JP2015048412A - 改ざん及び複写防止機能を有するインキと該インキを用いた偽造防止印刷物 - Google Patents

改ざん及び複写防止機能を有するインキと該インキを用いた偽造防止印刷物 Download PDF

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栄幸 田邉
亮介 吉田
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亮介 吉田
純一 ▲高▼橋
純一 ▲高▼橋
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Abstract

【課題】 有機溶剤を用いて印刷物に形成された個人情報等を消去し、再利用する改ざん行為と、カラー複写機等のデジタル機器を用いて印刷物を複製する偽造行為の双方を防止する改ざん及び複写防止印刷物を提供する。【解決手段】 可視光下で等色として視認され、特定の光源下又は特定光源透過フィルタの介在により視認すると、異なる色で視認されるメタメリックペアインキのいずれか一方又は双方に、有機溶剤への接触により滲出する油溶性染料を添加することで、有機溶剤による改ざん及び複写機による複製の双方を防止する改ざん及び複写防止インキとその印刷物に関するものである。【選択図】図1

Description

本発明は、切手及び収入印紙等の金券、旅券冊子等の身分証明書及び各種証明書等の貴重印刷物に対し、印刷物上に形成された個人情報等の印字、切手や印紙類等に付与された消印又は割印等を消去して、印刷物を再利用する改ざん行為や、印刷物をカラー複写機等のデジタル機器によって複製する行為の双方を防止する改ざん及び複写防止機能を有するインキと当該インキを用いた偽造防止印刷物に関するものである。
セキュリティ性が要求される切手、収入印紙及び各種証明書等の貴重印刷物は、偽造や改ざんされないことが求められるが、印刷物上に印字された個人情報や切手及び収入印紙等に施された消印や割印等を、特定の有機溶剤によって消去する改ざん行為が行われている。
これらの改ざん行為を防止する方法として、本出願人は、水不溶性で有機溶剤可溶型の油溶性染料と、前述した油溶性染料と色の異なる着色顔料を配合させることによって、有機溶剤と接触させたときの変色効果が、JIS表色系に基づくΔE20以上の色差を有する変色効果インキ及びそれを用いた印刷物について出願している(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のインキ及び印刷物は、油溶性染料の色と着色顔料の色を大きく異ならせることで、有機溶剤への浸漬によって瞬時又は30秒以内に当該印刷物の色が大きく変化する印刷物であり、印刷物上に印字された個人情報等の文字や、切手又は収入印紙等に施された消印又は割印等のみを消去しようとしても、印刷画線に含まれる油溶性染料が瞬時又は30秒以内に滲出することから、改ざん行為を防止できるものである。
また、複製行為による偽造として、スキャナ、プリンタ及びカラー複写機等のデジタル機器を用いることで精巧な偽造品を作製されるおそれがある。その対策の一つとして、従来からメタメリズムを応用したメタメリックペアインキを用いる方法が多く試みられている。メタメリックペアインキを用いた貴重印刷物の目視による判別方法は、照射する光源の種類や特定波長を透過するフィルタを介在させることにより、ペアインキが同色と判断されるか、又は異なった色相として判断される特性を利用したものである。
前述のメタメリックペアインキとは、特定光源下では等色として認識されるが、可視光領域の中で比較的に視感度の低い特定波長では、異なる分光反射率を有した二種類のインキであることから、カラー複写機等で色を検知する際に、視感度の低い領域における反射特性も読み取り、結果的に異なる色の複製物が得られるものである。(例えば、特許文献2参照)。
特開2009−149789号公報 特開昭54−159004号公報
しかしながら、特許文献1のインキ及び印刷物は、印刷物上に形成された印字、消印又は割印等を消去し、印刷物をそのままの状態で改ざんする行為は防止できるものの、印刷物上に形成された印刷画線をスキャナ、プリンタ及びカラー複写機等のデジタル機器を用いて画像を取り込み、取り込んだ画像に含まれる個人情報等の印字や消印等を画像データから消去することで、真正品と同様の印刷画線を再現されるおそれがあることから、偽造抑止力の点で更なる改善が求められていた。
また、特許文献2の印刷物は、デジタル機器を用いた複製行為には、一定の偽造防止抵抗力を有するものの、印刷物上に形成された個人情報等の印字や消印等を消去する改ざん行為に対しての抑止力がなく、課題が残されていた。
また、特許文献1及び特許文献2の発明を組み合わせ、同一の印刷面上に複写及び改ざん防止機能を付与することも可能であるが、少なくともメタメリックペアインキと改ざん防止インキの3色を印刷する必要があり、刷色の増加によるデザイン性の自由度が制限される等、課題が残されていた。
さらに、特許文献1及び特許文献2を組み合わせた印刷物を作製しても、各々の偽造防止画線は独立した領域に各々の機能を有する画線として形成されるため、特許文献1の印刷物を複製して再現する方法と特許文献2の印刷物を改ざんする方法の双方を組み合わせて偽造することで、偽造品を作製されるおそれが残り、更なる偽造防止抵抗力の向上が求められていた。
本発明は、上記課題の解決を目的とするものであり、メタメリックペアインキのいずれか一方又は双方に水不溶性有機溶剤可溶型の油溶性染料を添加することで、デジタル機器を用いた複写による偽造及び有機溶剤を用いた改ざん行為の双方を防止する機能を2色のインキによって形成することができる改ざん及び複写防止機能を有するインキと該インキを用いた偽造防止印刷物に関するものである。
本発明の改ざん及び複写防止機能を有するインキは、第1のインキ及び第2のインキを有するペアインキであって、第1のインキ又は第2のインキは、水不溶性で有機溶剤可溶の油溶性染料を2〜15%含み、あるいは第1のインキ及び第2のインキはそれぞれ異なる色を有する水不溶性で有機溶剤可溶の油溶性染料を2〜15%含み、第1のインキは、着色顔料を5〜30%、紫外線硬化型又は酸化重合型のワニスを60〜90%を含み、第2のインキは、着色顔料を5〜30%、紫外線硬化型又は酸化重合型のワニスを60〜90%を含み、第1のインキは、波長領域640nmにおいて30〜90%の分光反射率を有し、第2のインキは、波長領域640nmにおいて10〜50%の分光反射率を有し、第1のインキにおける波長領域640nmの分光反射率は、第2のインキにおける波長領域640nmの分光反射率よりも20%以上高く、第1のインキ及び第2のインキは、可視光下で観察すると等色として観察され、特定の光源下で観察すると異なる色として観察され、第1のインキ及び第2のインキは、有機溶剤に接触させると可視光下で異なる色として観察されることを特徴とする改ざん及び複写防止機能を有するインキである。
また、前述した特定の光源下は、波長領域630〜680nmであることを特徴とする改ざん及び複写防止機能を有するインキ。
また、本発明の改ざん及び複写防止機能を有するインキは、第1のインキ及び第2のインキのいずれか一方が油溶性染料を含む場合、青色又は紫色の油溶性染料を少なくとも含むことを特徴とする改ざん及び複写防止機能を有するインキである。
また、本発明の偽造防止印刷物は、基材に改ざん及び複写防止機能を有するインキによって印刷領域が形成された印刷物であって、印刷領域は、第1のインキによって第1の印刷画像が形成され、第2のインキによって第2の印刷画像が形成され、第1の印刷画像及び第2の印刷画像を可視光下で観察した場合、等色として観察され、特定の光源下で観察すると、第1の印刷画像が淡い色で、第2の印刷画像が濃い色で観察され、印刷物を有機溶剤に接触又は浸漬させた場合、第1の画像及び/又は第2の画像が色変化することを特徴とする偽造防止印刷物である。
また、本発明の偽造防止印刷物は、第1の画像及び第2の画像が結合することで、一つの有意味画像が形成されたことを特徴とする偽造防止印刷物である。
また、本発明の偽造防止印刷物における印刷領域は、第1の画像によって情報部又は背景部のいずれか一方が形成され、第2の画像によって情報部又は背景部の他方が形成されたことを特徴とする偽造防止印刷物である。
さらに、本発明の偽造防止印刷物は、印刷領域を有機溶剤に接触又は浸漬した場合、第1の印刷画像及び第2の印刷画像が補色の関係に色変化することを特徴とする偽造防止印刷物である。
本発明の改ざん及び複写防止機能を有するインキと該インキを用いた偽造防止印刷物は、メタメリックペアインキのいずれか一方又は双方に改ざん防止機能を付与することで、デジタル機器を用いた複製による偽造を防止することができ、かつ、有機溶剤等を用いた改ざん行為も防止することができることから、偽造防止抵抗力が大幅に向上するという効果を奏する。
また、デジタル機器による複写を防止するメタメリックペア印刷画線と、有機溶剤を用いた改ざん行為を防止する印刷画線をそれぞれ組み合わせて形成した印刷物とは異なり、2色のインキに二つの機能を付与することができることから、印刷物のデザイン性の自由度が向上するという効果を奏する。
第1の実施の形態における第1のインキ及び第2のインキの分光反射率を示す図である。 有機溶剤に浸漬後の第1のインキ及び第2のインキの展色物における分光反射率を示す図である。 第2の実施の形態における第1のインキ及び第2のインキの分光反射率を示す図である。 有機溶剤に浸漬後の第1のインキ及び第2のインキの展色物における分光反射率を示す図である。 実施例1における第1のインキ及び第2のインキの分光反射率を示す図である。 第1のインキで形成された第1の印刷模様2と第2のインキで形成された第2の印刷模様3が形成された印刷物1を示す図である。 実施例1の印刷物1を特定の光源下で観察した状態を示す図である。 実施例1の印刷物1における有機溶剤への浸漬後の状態を示す図である。 実施例2における第1のインキ及び第2のインキの分光反射率を示す図である。 第1のインキで形成された第1の印刷模様2´と第2のインキで形成された第2の印刷模様3´が形成された印刷物1´を示す図。 実施例2の印刷物1´を特定の光源下で観察した状態を示す図である。 実施例2の印刷物1´における有機溶剤への浸漬後の状態を示す図。
本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
(改ざん及び複写防止機能を有するインキ)
本発明の改ざん及び複写防止機能を有するインキは、可視光下において等色として観察されるペアインキが、特定の光源下において異なる色として観察されるメタメリックな機能を有するものであり、かつ、ペアインキのいずれか一方又は双方に有機溶剤に接触又は浸漬させることで、インキ中に含まれる油溶性染料が滲出し、著しい色変化を伴うものである。なお、本発明でいう等色とは、肉眼で観察した際にほとんど差別化することができない状態であり、略等色として観察される若干の色差を有する色を含むものである。
前述したメタメリックな性質については、一般的な着色顔料を組み合わせることで、スキャナ、プリンタ及びカラー複写機等のデジタル機器によって複写物を作製した場合に、著しい色変化を伴う印刷物を作製可能である。メタメリックな機能を有するペアインキを作製するためには、一般的な着色顔料を組み合わせることで作製可能であるが、特に、可視光領域における比較的に視感度の低い400、500、600又は700nm付近にシャープなピークを形成するか、又はペアインキにおける波長領域640nm付近の分光反射率を20以上異ならせることで、顕著な色変化を伴うメタメリックペアインキを作製することができる。
また、色材に用いる顔料については、特に限定されず、公知の顔料を使用することができる。例えば、酸性染料系レーキ及び塩基性染料系レーキ等といった染付けレーキ顔料、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、β−ナフトール系、ナフトールAS系、ピラゾロン系及びベンズイミダゾロン系等といった不溶性アゾ顔料をはじめ、縮合アゾ顔料及びアゾレーキ顔料等のアゾ系顔料、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、インジゴ系、ジオキサジン系、キノフタロン系、イソインドリノン系及びジケトピロロピロール系等といった縮合多環系顔料等を使用することができる。
また、本発明の改ざん及び複写防止機能を有するインキは、有機溶剤に接触又は浸漬させることで、インキ中に含まれる水不溶性有機溶剤可溶性の油溶性染料が滲出し、著しい色変化を伴うものであり、前述したメタメリックな機能を有するペアインキのいずれか一方又は双方に油溶性染料を添加することで再現される。ただし、添加する油溶性染料については、メタメリックな機能を付与するために必要となる可視光領域における波長領域640nm付近における分光反射率への影響度を考慮して選択しなければならない。
また、本発明の改ざん及び複写防止機能を有するインキに用いられる油溶性染料は、水不溶性で有機溶剤可溶型の染料であれば公知のものを使用することができるが、好ましくは、ケトン類及びエステル類等の有機溶剤に対して溶解性を示すものである。なお、油溶性染料とは、主として有機溶剤、合成樹脂及び油脂等の着色に用いられる染料であって、多くの場合単なる溶解現象により目的物を着色する点に特徴がある。また、ここでいう油溶とは、油脂類に溶解するという狭義の意味だけではなく、水以外の多くの有機溶剤に溶解性をもつ意味も含んでいる。すなわち、水溶性基がなく、油脂類や炭化水素類に可溶な染料であり、油脂、ガソリン、セッケン、バター、クツ墨及びプラスチック等の着色に用いられるものである。
なお、有機溶剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール及びブチルアルコール等といったアルコール類のような極性溶剤、ベンゼン、トルエン及びキシレン等といった芳香族炭化水素類のような非極性溶剤、ガソリン、石油、ベンジン、ミネラルスプリット等の脂肪族炭化水素類、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、クロロホルム等といったハロゲン化炭化水素類、アセトン、アセトニトリル、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン等といったケトン類、酢酸エチル及び酢酸ブチル等の酢酸エステル類等の公知の有機溶剤が挙げられる。
また、本発明の複写及び改ざん防止インキは、紫外線を照射することで硬化する紫外線硬化型のワニスや、酸化重合反応により乾燥皮膜を形成する酸化重合ワニス等、公知のワニスを用いることが可能であり、使用形態に合わせて随時選択することが可能である。ただし、紫外線硬化型のワニスを用いる場合には、油溶性染料を配合したインキ皮膜が、薬品と十分に接触できるように単官能アクリレートモノマーをベースにすることが望ましい。単官能アクリレートモノマーは分子中にアクリロイル基を1つ持つ構造で、一般的に低粘度で硬化物は柔軟で密着性が良い。この反面、硬化速度が遅く、硬化皮膜の強度が弱いという欠点が挙げられる。材料の硬化性を低下させずに粘度を上げるためにジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂や2官能アクリレートオリゴマーで粘度調整するのが良い。
また、2官能アクリレートモノマーを主成分としたワニスにおいても、インキ皮膜内の油溶性染料を有機溶剤等の薬品と十分に接触させることができる。しかし、三官能又は多官能アクリレートモノマーを主成分としたバインダーの場合は、架橋密度が高過ぎて油溶性染料を配合したインキ皮膜内の油溶性染料が有機溶剤等の薬品と十分に接触することが困難であることから油溶性染料が有機溶剤に接触することができず、十分な滲出効果が見込めないことから、好ましくない。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1のインキ及び第2のインキにおける分光反射率を示す図である。第1のインキは、可視光下では褐色として観察されるが、特定光源下で観察するか、又は特定波長透過フィルタを介在させた状態で観察した場合に、淡い色(白色)として観察される。また、第2のインキは、可視光下で観察した場合に第1の色と等色の褐色として観察され、第1のインキと同様の観察条件である特定光源下又は特定波長透過フィルタを介在させた状態で観察した場合に、濃い色(灰から黒色)として観察される。
第1のインキは、一般的な着色顔料の組み合わせにより構成された特色インキであるが、褐色を再現するための着色顔料として必要となる青成分を波長領域630nm以降の分光反射率が高い、すなわち、透過に転じる立ち上がりの早い青色又は紫色顔料を用いることで、特定光源下で観察するか、又は特定波長透過フィルタを介在させた状態で観察した場合に、淡い色(白色)として観察されるものである。
(第1のインキの配合割合)
紫色顔料 7.5%
赤色顔料 2.5%
黄色顔料 8.0%
体質顔料 6.0%
助剤 1.0%
ワニス 75.0%
第2のインキは、一般的な着色顔料と青色の油溶性染料の組合せによって構成された特色インキであり、可視光下で第1のインキと等色として観察され、特定光源下で観察するか、又は特定波長透過フィルタを介在させた状態で観察した場合に、濃い色(灰から黒色)として観察されるインキである。
(第2のインキの配合割合)
青色油溶性染料 3.5%
赤色顔料 8.0%
黄色顔料 12.0%
助剤 1.0%
ワニス 75.5%
図1は、第1のインキ及び第2のインキの分光反射率を比較した図である。図1の分光反射率は、第1のインキ及び第2のインキを用いて、膜厚1μmの展色物を作製し、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計「U−4100」を使用して、分光反射率の測定を行ったものである。
第1のインキと第2のインキの展色物は、可視光下において等色として観察されるが、図1のように、波長領域640nm付近の分光反射率を比較すると第1のインキの分光反射率が約50%と高い値を示しているのに対し、第2のインキは、25%程度と低い値を示していることから、特定の光源下で観察するか、又は特定波長透過フィルタを介在させた状態で観察すると、第1のインキは淡い色(白色)として観察され、第2のインキは濃い色(灰から黒色)として観察されることから、2つのインキにおけるコントラスト差によって第1のインキと第2のインキを差別化することができる。
また、第1のインキ及び第2のインキの展色物は、カラー複写機で複写した場合、第2のインキは、複写前の色と略同等の色で再現されるが、第1のインキは、640nm以上の比較的に視感度の低い領域の分光反射率が高いことから、赤みの色成分が多く検出され、複写物の色が赤みの色で再現される。よって、第1のインキと第2のインキの複写後の色が異なることで、複写物を判別することができるという、複写防止効果を確認することができた。
次に、第2のインキにおける改ざん防止効果について説明する。図2は、第1のインキ及び第2のインキの展色物を、有機溶剤に30秒間浸漬し、乾燥後の展色物の分光反射率を測定したものである。図2のように、第1のインキは、有機溶剤に浸漬しても滲出する効果を備えていないことから、浸漬前とほとんど変わらない分光反射率を示した。一方、第2のインキは、青色の油溶性染料を含んでいることから、有機溶剤への浸漬により、第2のインキに含まれる青色成分が滲出することで、褐色から橙色へと変色した。
この有機溶剤への浸漬後の展色物を前述した特定の光源下で観察するか、又は特定波長透過フィルタを介在させた状態で観察すると、第1のインキは、溶剤への浸漬前と同様に淡い色(白色)として観察されるが、第2のインキは、第1のインキよりも更に淡い色(白色)として観察された。これは、特定の波長域である640nm付近の反射率を吸収させていた青色の油溶性染料が滲出したことで、特定の波長域の反射率が65%付近まで上昇したためである。
以上、第1の実施の形態における第1のインキ及び第2のインキは、特定の光源下で観察するか、又は特定波長透過フィルタを介在させた状態で観察すると、第1のインキと第2のインキのコントラスト差によって真偽判別することができるとともに、カラー複写機による複製を防止することができる。さらに、印刷物上に形成された個人情報等の印字部分を消去する有機溶剤への浸漬による改ざん行為を試みた場合、第2のインキに含まれる油溶性染料が滲出することで、第2のインキが褐色から橙色へと色変化し、改ざんの痕跡を顕著に発見することができることから、2色のペアインキによって二重の偽造防止効果を付与することができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態で用いるインキは、可視光下において褐色の等色として観察されるペアインキであって、かつ、特定の光源下で観察するか、又は特定波長透過フィルタを介在させた状態で観察した際に淡い色(白色)として観察される第1のインキに紫色の油溶性染料を添加したものであり、第2のインキは、第1のインキと同一の条件で観察した場合に濃い色(灰から黒色)として観察されるインキとし、一般的な着色顔料の組合せによって作製した。
(第1のインキの配合割合)
紫色の油溶性染料 8.0%
赤色顔料 2.5%
黄色顔料 10.5%
助剤 1.0%
ワニス 78.0%
(第2のインキの配合割合)
青色顔料 1.8%
赤色顔料 8.2%
黄色顔料 6.5%
緑色顔料 5.5%
助剤 1.0%
ワニス 77.0%
図3は、第2の実施の形態における第1のインキ及び第2のインキの分光反射率を示す図である。図3の分光反射率は、第1のインキ及び第2のインキを用いて、膜厚1μmの展色物を作製し、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計「U−4100」を使用して、分光反射率の測定を行ったものである。
第1のインキと第2のインキの展色物は、可視光下において褐色の等色として観察されるが、図3のように、波長領域640nm付近の分光反射率を比較すると第1のインキの分光反射率が約75%と高い値を示しているのに対し、第2のインキは、40%程度と低い値を示していることから、特定の光源下で観察するか、又は特定波長透過フィルタを介在させた状態で観察すると、第1のインキは淡い色(白色)として観察され、第2のインキは濃い色(灰から黒色)として観察されることから、2つのインキにおけるコントラスト差によって第1のインキと第2のインキを差別化することができる。
また、第2の実施の形態における第1のインキ及び第2のインキの展色物は、カラー複写機で複写した場合に各々異なる色へと変色する。第1のインキは、可視光領域のうち、比較的に視感度の低い630nm以降の分光反射率が高いため、肉眼では観察しにくい赤色成分がカラー複写機により検出され、赤みの色で再現される。一方、第2のインキは、緑色顔料を添加することで比較的に視感度の低い波長領域590nm付近に反射ピークを有することから、緑色成分を多く取り込んだ色として再現される。すなわち、第1のインキは赤みに変色し、第2のインキは緑みに変色するという複写防止効果を有することを確認することができた。
次に、第1のインキにおける改ざん防止効果について説明する。第1のインキ及び第2のインキの展色物を、有機溶剤に30秒間浸漬し、乾燥後の展色物の分光反射率を測定した。
図4は、有機溶剤への浸漬後の第1のインキ及び第2のインキの展色物における分光反射率を測定したものであり、第2のインキは、有機溶剤への浸漬によって滲出する材料を含んでいないことから、浸漬前とほとんど変わらない分光反射率を示した。一方、第1のインキは、紫色の油溶性染料を含んでいることから、有機溶剤への浸漬により、第1のインキに含まれる紫色成分が滲出することで、褐色から黄色へと変色した。
この有機溶剤への浸漬後の展色物を前述した特定の光源下で観察するか、又は特定波長透過フィルタを介在させた状態で観察すると、第2のインキは、溶剤への浸漬前と同様に濃い色(灰から黒色)として観察されるが、第1のインキは、浸漬前に確認された淡い色(白色)よりも更に濃度の低い色(透明)として観察された。これは、特定の波長域である640nm付近の反射率を下げていた紫色の油溶性染料が滲出したことで、特定の波長域の反射率が90%付近まで上昇したためである。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内であればその他の様々な実施の形態が含まれる。
実施例1の改ざん及び複写防止機能を有するインキについて説明する。実施例1では、可視光下で観察すると紅色の等色として観察される第1のインキと第2のインキを用いている。第1のインキは、一般的な着色顔料を組み合わせることで作製されたインキであり、波長領域640nm付近の分光反射率を下げない紫色顔料を用いることで青色成分を補い、褐色のインキとしている。また、第2のインキについては、水不溶性で有機溶剤可溶型の油溶性染料として、青色の染料(KP Blue RR:紀和化学工業株式会社製)を用い、それ以外の顔料は、一般的な着色顔料を用いて作製した。なお、第1のインキ及び第2のインキの配合割合は、以下のとおりである。
(第1のインキの配合割合)
紫色顔料 6.0%
赤色顔料 12.0%
黄色顔料 1.0%
体質顔料 6.0%
乾燥剤 1.0%
酸化重合型ワニス 74.0%
(第2のインキの配合割合)
青色油溶性染料 2.0%
紫色顔料 2.5%
赤色顔料 11.0%
黄色顔料 1.5%
体質顔料 8.0%
乾燥剤 1.0%
酸化重合型ワニス 74.0%
図5は、実施例1における第1のインキ及び第2のインキの分光反射率を示すものである。第1のインキ及び第2のインキは、可視光下において等色として観察されるが、特定の光源下で観察するか、又は特定波長透過フィルタを介在させた状態で観察すると、コントラスト差によって差別化することができる。
第1のインキは、比較的に視感度の低い波長領域640nm以上の分光反射率が高く、約70%の分光反射率を有することから、淡い色(白色)として観察される。一方、第2のインキは、前述した波長域における分光反射率が20%程度であるため、特定の光源下で観察するか、又は特定波長透過フィルタを介在させた状態で観察すると濃い色(灰から黒色)として観察されることから、第1のインキと第2のインキにコントラスト差が発生し、差別化することができるものである。
次に、前述した第1のインキ及び第2のインキを用いて印刷物1を作製した。実施例1の印刷物1の印刷方法は、オフセット印刷方式によって作製した。図6は、実施例1における印刷物1であり、第1のインキで形成された第1の印刷模様2と第2のインキで形成された第2の印刷模様3を有する。第1の印刷模様2及び第2の印刷模様3は、二つの印刷模様が結合することで、複数のさくらの花びらが形成された地紋模様を形成している。また、第1の印刷模様2及び第2の印刷模様3が形成された領域上に個人情報等が印字された証明書タイプの印刷物1である。
図6のように、印刷物1を可視光下で観察した場合、第1のインキで形成された第1の印刷模様2と第2のインキで形成された第2の印刷模様3は、紅色の等色として観察されることで、情報部及び背景部を区別することができない。よって、等色の花びらを地紋とし、複数の花びら上に形成された個人情報のみが強調されて視認される。
一方、図7のように、印刷物1を特定の光源下で観察するか、又は特定波長透過フィルタを介在させた状態で観察すると、第1のインキで形成された第1の印刷模様2は、淡い色(白色)として観察され、第2のインキで形成された第2の印刷模様3は、濃い色(灰から黒色)として観察されることから、第1の印刷模様2と第2の印刷模様3のコントラスト差によって、複数形成された桜の花びらの地紋画像の少なくとも一部が変色し、2つのインキで形成された第1の印刷領域2及び第2の印刷模様3を差別化することができた。
また、実施例1における印刷物1をカラー複写機で複写した場合、第1のインキで形成された第1の印刷模様2は、比較的に視感度の低い波長領域640nm以上に高い反射特性を有することから、複写機により赤成分が多く検出され、赤色へと変色する。一方、第2のインキで形成された第2の印刷模様3は、真正品と略同等の色で再現されることから、第1の印刷模様2と第2の印刷模様3が真正品と異なる色で再現される。よって、複数形成された桜の花びらの地紋模様の少なくとも一部が変色し、複写物であることを顕著に発見することができる。
次に、有機溶剤による改ざん行為後の印刷物1について説明する。実施例1の印刷物1は、個人情報等が印字される証明書タイプの印刷物1であることから、これらの個人情報を消去する行為として、印刷物1を有機溶剤に浸漬することで、印刷物上に形成された情報のみを消去し、新たな情報に書き換える改ざん行為が行われる。
図8は、印刷物1を有機溶剤に浸漬した状態を示すものである。印刷物1を浸漬する有機溶剤については、ステンレスバットに投入したアセトンを用い、印刷物1が液体内に浸漬するように投入し、20秒経過後に引き上げて自然乾燥させることで、改ざん行為後の印刷物1を得た。
図8の第1の印刷模様2は、有機溶剤への浸漬後も、浸漬前と同等の色を維持しているが、第2の印刷模様3は、第2のインキに含まれる青色の油溶性染料が滲出することで、赤色へと変色した。よって、印刷物上に形成された個人情報を新たな情報に書き換える改ざん行為を確実に防止することができた。
また、前述した個人情報を消去し、第2の印刷模様3が変色した印刷物1をスキャナ等のデジタル機器で画像を取り込み、入力画像を基に第1の印刷模様2と第2の印刷模様3の色を調整する偽造行為を行った場合であっても、偽造物のメタメリック機能が真正品と異なることで偽造を発見することができるという、二重の偽造防止効果を付与することができる。
実施例2の改ざん及び複写防止機能を有するインキについて説明する。実施例2では、可視光下では褐色の等色として観察されるペアインキであり、特定の光源下で観察するか、又は特定波長を透過するフィルタを介在させて観察した際に、淡い色(白色)として観察される第1のインキと、濃い色(灰から黒色)として観察される第2のインキを用いている。また、第1のインキには、水不溶性で有機溶剤可溶型の油溶性染料として、紫色の染料(カヤセットバイオレットA−R:日本化薬株式会社製)及び青色の染料(KP Blue RR:紀和化学工業株式会社製)を用い、改ざん防止機能を付与した構成とした。また、第2のインキは、波長領域600nm付近にシャープなピークを持たせるため、緑色顔料を用いて第1のインキと等色のインキを作製した。なお、第1のインキ及び第2のインキに用いた油溶性染料以外の材料については、一般的な着色顔料を用い、ワニスについては、紫外線硬化型のワニスを用いた。
(第1のインキ)
紫色油溶性染料 6.5%
青色油溶性染料 1.5%
赤色顔料 4.0%
黄色顔料 11.0%
光重合開始剤 3.0%
紫外線硬化型ワニス 74.0%
青色顔料 2.5%
緑色顔料 7.5%
赤色顔料 8.0%
黄色顔料 5.0%
光重合開始剤 3.0%
紫外線硬化型ワニス 74.0%
図9は、実施例2における第1のインキ及び第2のインキの分光反射率を示す図であり、第1のインキ及び第2のインキは、可視光下において褐色の等色として観察されるが、特定の光源下で観察するか、又は特定波長透過フィルタを介在させた状態で観察すると、コントラスト差によって差別化することができる。
第1のインキは、特定の光源下である波長領域640nm付近の分光反射率が高く、約40%の分光反射率を有することから、淡い色(灰色)として観察される。一方、第2のインキは、同波長域における分光反射率が10%程度であることから、濃い色(黒色)として観察されることから、第1のインキと第2のインキにコントラスト差が発生し、二つのインキで形成した印刷領域を差別化することができる。
次に、第1のインキ及び第2のインキを用いた印刷物1´について、図10を用いて説明する。実施例2の印刷物1´は、印紙タイプの印刷物1´であり、印刷方法は、オフセット印刷方式によって作製した。図10は、実施例2の印刷物1´を可視光下で観察した状態を示すものであり、券種名及び両額等の下層に第1のインキで形成された第1の印刷模様2´と第2のインキで形成された第2の印刷模様3´を有する。第1の印刷模様2´及び第2の印刷模様3´は、情報部と背景部を形成している。なお、図10において第2の印刷領域3´で形成された「複写」の文字が視認される状態で図示しているが、実際には、第1のインキと第2のインキは等色のペアインキであることから、可視光下で観察した場合に視認されるものではない。
図10のように、印刷物1´を可視光下で観察した場合、第1のインキで形成された第2の印刷模様2´と第2のインキで形成された第2の印刷模様3´は、褐色の等色として観察されることで、情報部及び背景部を区別することができず、券種名及び両額のみが観察される。
図11は、実施例2の印刷物1´を特定の光源下で観察するか、又は特定波長透過フィルタを介在させて観察した状態を示すものであり、第1のインキで形成された第1の印刷模様2´は、淡い色(白色)として観察され、第2のインキで形成された第2の印刷模様3´は、濃い色(灰から黒色)として観察されることから、第1の印刷模様2と第2の印刷模様3のコントラスト差によって、情報部及び背景部が差別化され、「複写」の文字を観察することができた。
また、実施例2における印刷物1´をカラー複写機で複写した場合、第1のインキで形成された第1の印刷模様2´は、可視光領域における比較的に視感度の低い640nm付近に高い反射特性を有することから、カラー複写機によって赤色成分を多く含むように検出されることで、赤みの色に変色する。一方、第2のインキで形成された第2の印刷模様3´は、緑色顔料を用いたことにより、比較的に視感度の低い590nm付近にシャープなピークを有することから、当該ピークを検出することで緑みの褐色に変色する。これにより、第1の印刷領域2´及び第2の印刷領域3´が異なる色へと変色することから、情報部と背景部の色差によって「複写」の文字が表出し、確実な複写防止効果を有することを確認した。
次に、有機溶剤による改ざん行為後の印刷物1´について説明する。実施例2の印刷物1´は、印紙タイプの印刷物1´であることから、割印等を消去して再利用する行為として、印刷物1´を有機溶剤に浸漬することで、印刷物上に形成された割印を消去し、再利用されるおそれがある。そこで、有機溶剤への浸漬により第1の印刷模様2´を形成する第1のインキに含まれる油溶性染料が滲出することで色変化し、改ざんの痕跡を顕著に表わすものである。なお、印刷物1´を浸漬する有機溶剤については、パークロロエチレンを用い、ステンレスバットにパークロロエチレンを投入し、印刷物1´が液体内に浸漬するように投入し、30秒経過後に引き上げて自然乾燥させることで、改ざん行為後の印刷物1´を得た。
図12は、有機溶剤への浸漬後の印刷物1´を示すものであり、第2の印刷模様3´は、有機溶剤への浸漬後も、浸漬前と同様の色であるが、第1の印刷模様2´は、第1のインキに含まれる紫及び青色の油溶性染料が滲出することで、黄色へと変色した。よって、印刷物1´上に形成された消印を消去することで印紙等の有価証券を再利用する行為を確実に防止することができた。
さらに、改ざん行為後の印刷物1´は、第1の印刷模様2´に含まれる紫及び青色の油溶性染料が滲出することで、青み成分が抜けた黄色へと変化しているため、この改ざん後の印刷物1´をスキャナ等のデジタル機器で取り込み、青み成分を追加することで真正品と同じ形態とする偽造行為についても、特定光源下で観察するか、又は特定波長透過フィルタを介在させた状態で観察すると、第1の印刷模様2´を再現するために補った青み成分により、濃い色(灰から黒色)として観察されることから、真正品と異なる形態となり、確実に偽造を発見することができるという、二重の偽造防止効果を付与することができる。
実施例3の改ざん及び複写防止機能を有するインキについて説明する。実施例3では、可視光下では褐色の等色として観察されるペアインキであり、特定の光源下で観察するか、又は特定波長を透過するフィルタを介在させて観察した際に、淡い色(白色)として観察される第1のインキと、濃い色(灰から黒色)として観察される第2のインキを用いている。また、第1のインキには、水不溶性で有機溶剤可溶型の油溶性染料として、青色の染料(KP Blue RR:紀和化学工業株式会社製)を用い、第2のインキには、橙色の染料(オイルオレンジ 5101:有本化学工業株式会社製)を添加し、双方のインキに改ざん防止機能を付与した構成とした。なお、第1のインキ及び第2のインキに用いた油溶性染料以外の材料については、一般的な着色顔料を用い、ワニスについては、紫外線硬化型のワニスを用いた。
(第1のインキ)
青色油溶性染料 4.5%
赤色顔料 6.0%
黄色顔料 10.5%
光重合開始剤 3.0%
紫外線硬化型ワニス 76.0%
(第2のインキ)
橙色油溶性染料 11.0%
青色顔料 5.5%
赤色顔料 2.0%
黄色顔料 2.5%
光重合開始剤 3.0%
紫外線硬化型ワニス 76.0%
実施例3における第1のインキ及び第2のインキを用いて証明書タイプの印刷物を作製し、第1のインキによって第1の印刷模様を、第2のインキによって第2の印刷模様を形成した。この印刷物を可視光下で観察すると、第1の印刷領域と第2の印刷領域は、褐色の等色として観察されたが、特定の光源下で観察するか、又は特定波長透過フィルタを介在させて観察すると、第1の印刷領域は淡い色(白色)で、第2の印刷領域は濃い色(灰から黒色)で観察された(図示せず)。
また、実施例3の印刷物をカラー複写機で複製した場合、第1のインキと第2のインキのメタメリックな性質により、顕著な色変化を確認することができた(図示せず)。
さらに、実施例3の印刷物を有機溶剤に30秒間浸漬させた。第1の印刷領域は、第1のインキに含まれる青色の油溶性染料が滲出することで橙色へと変色し、第2の印刷領域は、第2のインキに含まれる橙色の油溶性染料が滲出し、青色へと変色した。よって、第1の印刷領域及び第2の印刷領域の双方が補色の関係に色変化することで、改ざんの痕跡を確実に把握することができた(図示せず)。
1、1´、1´´ 印刷物
2、2´、2´´ 第1の印刷領域
3、3´、3´´ 第2の印刷領域

Claims (7)

  1. 第1のインキ及び第2のインキを有するペアインキであって、
    前記第1のインキ又は前記第2のインキは、水不溶性で有機溶剤可溶の油溶性染料を2〜15%含み、あるいは前記第1のインキ及び前記第2のインキはそれぞれ異なる色を有する水不溶性で有機溶剤可溶の油溶性染料を2〜15%含み、
    前記第1のインキは、着色顔料を5〜30%、紫外線硬化型又は酸化重合型のワニスを60〜90%を含み、
    前記第2のインキは、着色顔料を5〜30%、紫外線硬化型又は酸化重合型のワニスを60〜90%を含み、
    前記第1のインキは、波長領域640nmにおいて30〜90%の分光反射率を有し、
    前記第2のインキは、波長領域640nmにおいて10〜50%の分光反射率を有し、
    前記第1のインキにおける波長領域640nmの分光反射率は、前記第2のインキにおける波長領域640nmの分光反射率よりも20%以上高く、
    前記第1のインキ及び前記第2のインキは、可視光下で観察すると等色として観察され、特定の光源下で観察すると異なる色として観察され、
    前記第1のインキ及び前記第2のインキは、有機溶剤に接触させると可視光下で異なる色として観察されることを特徴とする改ざん及び複写防止機能を有するインキ。
  2. 前記特定の光源下は、波長領域630〜680nmであることを特徴とする請求項1記載の改ざん及び複写防止機能を有するインキ。
  3. 前記第1のインキ及び前記第2のインキのいずれか一方が前記油溶性染料を含む場合、前記油溶性染料は、青色又は紫色の油溶性染料を少なくとも含むことを特徴とする請求項1又は2記載の改ざん及び複写防止機能を有するインキ。
  4. 基材に、前記請求項1乃至3のいずれか一項に記載の改ざん及び複写防止機能を有するインキによって印刷領域が形成された印刷物であって、
    前記印刷領域は、前記第1のインキによって第1の印刷画像が形成され、前記第2のインキによって第2の印刷画像が形成され、
    前記第1の印刷画像及び前記第2の印刷画像を可視光下で観察した場合、等色として観察され、特定の光源下で観察すると、前記第1の印刷画像が淡い色で、前記第2の印刷画像が濃い色で観察され、
    前記印刷物を有機溶剤に接触又は浸漬させた場合、前記第1の画像及び/又は前記第2の画像が色変化することを特徴とする偽造防止印刷物。
  5. 前記第1の画像及び前記第2の画像が結合することで、一つの有意味画像が形成されたことを特徴とする請求項4記載の偽造防止印刷物。
  6. 前記印刷領域は、前記第1の画像によって情報部又は背景部のいずれか一方が形成され、前記第2の画像によって前記情報部又は前記背景部の他方が形成されたことを特徴とする請求項4記載の偽造防止印刷物。
  7. 前記印刷領域を有機溶剤に接触又は浸漬した場合、前記第1の印刷画像及び前記第2の印刷画像が補色の関係に色変化することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の偽造防止印刷物。
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