JP2015046368A - マグネシウム電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】負極材の自己放電反応を抑制し、負極材の利用率を向上させることができるマグネシウム電池を提供すること。
【解決手段】マグネシウム合金からなるマグネシウム極15と、マグネシウム極15からマグネシウムイオンが溶出可能な水溶性の電解液37とを備え、マグネシウム合金は、少なくとも亜鉛を含む合金であることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、金属マグネシウムまたはその合金を負極材として用いたマグネシウム電池に関する。
従来、金属マグネシウムまたはその合金を負極材として用いたマグネシウム一次電池として、特に大容量が得られる利点から、マグネシウム空気電池が知られている。この種のマグネシウム空気電池では、例えば、負極に用いられるマグネシウム合金として、ASTM規格のAZ31、AZ61、AZ71等のマグネシウムにアルミニウム及び亜鉛を加えたものを用いたマグネシウム空気電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−181382号公報
ところで、マグネシウムは資源的に豊富な元素で資源的制約が少なく、その質量当りの電気化学当量が大きく、水溶系電解液で作動させることが可能なことから、高エネルギーで安全な電池が得られる。これらの利点から、次世代電池として見直されている。
しかし、従来のマグネシウム一次電池では、マグネシウム極が塩化ナトリウム水溶液(食塩水)を主体とする電解液中で化学式1に示すような自己放電反応を生じるため、大きな電気容量が得られないという問題があった。自己放電反応とは、マグネシウム極のマグネシウムが溶解するのと同時に、発生した電子が電解液中の水素イオンを還元し、水素の発生や、活物質のマグネシウムと電解液中の水が消費する現象をいう。
従来のマグネシウム一次電池では、自己放電量が多く、本来電気エネルギーで取り出す容量が減少する課題があった。また、自己放電反応の生成物である水素ガスは爆発の危険性もあり、特に大形電池では発生量が多くなることや、これを密閉した室内で使用する場合は危険性が大きくなる課題もあった。
[化学式1]
Mg+2H2O→Mg(OH)2+H2
このため、自己放電を抑制するために、従来、マグネシウム負極に耐酸化性のあるマグネシウム合金を用いることや、多価カルボン水溶液やアルカリ性水溶液を用いることが試行されてきた。
しかし、従来のマグネシウム合金では効果が乏しく、更には異種金属による局部電池の形成で更に自己放電量が増大することがある。電解液を多価カルボン水溶液やアルカリ性水溶液にした場合は、マグネシウム負極に不働体皮膜が形成され、また、アルカリ性水溶液では炭酸ガスの吸収による抵抗の増大も起こり、放電性能が著しく低下する。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、負極材の自己放電反応を抑制し、負極材の利用率を向上させることができるマグネシウム電池を提供することを目的とする。
本発明は、マグネシウム合金からなる負極材と、前記負極材からマグネシウムイオンが溶出可能な水溶性電解液とを備え、前記マグネシウム合金は、少なくとも亜鉛を含む合金であることを特徴とする。
ここで、本構成で言うマグネシウム合金とは、少なくとも2種類の成分(マグネシウム及び亜鉛)を含む合金であり、更にAl、Ca、Mn、Sr等の成分を含んでも良い。なお、合金の成分を表記するに際し、Al、Ca、Mn、Sr等のように意図的に添加された成分のみを表記し、製造過程等で不可避的に混入される成分(例えば鉄)を含むものではない。
この構成によれば、マグネシウム合金に含まれる亜鉛が電解液中の水酸化物イオンと反応して難溶性の水酸化亜鉛を形成する。この水酸化亜鉛は、電極表面の一部に膜を形成するため、マグネシウム合金と電解液とが触れている面積が低減され、自己放電反応を抑制することができ、従って、負極材の利用率の向上を図ることができる。
前記マグネシウム合金には、マグネネシウム合金の全体の質量に対して亜鉛が2.0質量%以上4.0質量%以下含まれているのが好ましく、更には、亜鉛が2.0質量%以上3.5質量%以下含まれている構成が好ましい。
また、前記電解液の主成分が、塩化ナトリウム水溶液であることを特徴とする。塩化ナトリウム水溶液は、導電性及び安全性が高く、難溶性の水酸化亜鉛を電極表面に簡単に形成することができる。
また、前記電解液中の電解質濃度が、全電解液成分に対して4質量%〜18質量%であることを特徴とする。電解質濃度を4質量%〜18質量%に調整することで、負極材の自己放電反応を長期に亘り抑制することができる。また、前記負極と対をなす正極が、空気極であっても良い。
本発明によれば、マグネシウム合金からなる負極材と、負極材からマグネシウムイオンが溶出可能な水溶性電解液とを備え、マグネシウム合金は少なくとも亜鉛を含む合金であるため、マグネシウム合金に含まれる亜鉛が電解液中の水酸化物イオンを反応して難溶性の水酸化亜鉛を形成する。この水酸化亜鉛は、電極表面の一部に膜を形成するため、マグネシウム合金と電解液とが触れている面積が低減され、自己放電反応を抑制することができ、安定的に電力を取り出すことができる。
本実施形態に係るマグネシウム空気電池の斜視図である。 マグネシウム空気電池の部分側断面図である。 マグネシウム合金中の亜鉛添加量を変化させたときの自己放電量および利用率を示した図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るマグネシウム空気電池10の斜視図であり、図2は、マグネシウム空気電池10の部分側断面図である。
マグネシウム空気電池(マグネシウム電池)10は、図1に示すように、合成樹脂材料で形成された扁平な支持枠体11を備え、この支持枠体11の一方の面に開口を通じて露出する空気極13と、当該支持枠体11内に収容されるマグネシウム極(負極材)15(図2参照)とを備える。本構成では、マグネシウム空気電池10は、空気極13が正極として作用し、マグネシウム極15が負極として作用する一次電池である。
支持枠体11は、上面部が開放され、空気極13と対向する側面中央部に開口部(不図示)を有し、この開口部に空気極側パネル23が接着剤等で固着されて形成されている。また、支持枠体11と、空気極側パネル23との上面部には蓋体27が配置され、この蓋体27の略中央部には、支持枠体11内に電解液を注入するための注液口(不図示)が設けられ、この注液口にガス抜き用の弁体29が設けられている。また、蓋体27の一端部(図1中右端部)には、マグネシウム極15に接続された負極端子17が形成され、蓋体27の他端部(図1中左端部)には、空気極13に接続されて当該蓋体27と空気極側パネル23との隙間から延びる正極端子19が形成されている。
空気極側パネル23には、開口部23Aが形成され、この開口部23Aにはマグネシウム極15と対向して空気極13が配置されている。空気極13は、空気極本体と、絶縁性多孔質シートと、網状支持体とを積層して一体に形成される。
空気極本体は、所定粘度に調整された触媒スラリーを集電体に塗布した後に焼成して形成される。具体的には、ケッチェンブラックと水とを所定時間、一定の回転速度で攪拌混合する。その後、これらにバインダーとして用いられるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の水性分散液を投入し、攪拌混合することにより所定の粘度の導電材料スラリーを調合する。そして、このスラリーを厚さ1.1mmの発泡ニッケルからなる集電体に塗布した後、100℃で乾燥し、270℃で焼成する。
絶縁性多孔質シートは、酸素を透過させ、水分の透過を抑制する撥水性を備える孔径5〜40μmの多孔質膜である。本実施形態では、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる多孔性のシートが用いられ、焼成した空気極本体の一方の面に同時に圧着している。
網状支持体は、ステンレススチール製のエキスパンドメタルで形成された幅0.6mmのストランドで、縦1.7mm、横2.2mmの網目を持つ目の細かいものである。網状支持体は、圧着した絶縁性多孔質シートの外側の面に配置され、空気極本体の周囲と共にその周囲を結着材で結着される。
一方、マグネシウム極15は、マグネシウム合金を板状に形成されるとともに、図2に示すように、空気極13と所定距離離間して対向配置され、支持枠体11の内面に密接して設けられている。空気極13とマグネシウム極15との間には、マグネシウム極からマグネシウムイオンが溶出可能な水溶性の電解液37が充填されている。
電解液37は、アニオンとして塩化物イオンを含み、カチオンとしてアルカリ金属イオン(Li,Na,K,Rb,Cs,Fr)、アルカリ土類金属イオン(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Ra)の少なくとも1つを含む水溶液が用いられる。本実施形態では、電解液37として、安全性及び導電性の高い点から塩化ナトリウム水溶液(濃度10%程度)が用いられている。
また、塩化ナトリウム水溶液の他にも、マグネシウムイオンを含む塩化マグネシウム水溶液を用いることもできる。この構成では、電解液である塩化マグネシウム水溶液から分解したマグネシウムイオンの共通イオン効果により、マグネシウム極15から溶け出すマグネシウムイオンの量が抑制される。このため、マグネシウム極15の自己放電反応を抑制することができる。
このように構成されるマグネシウム空気電池10は、空気極13においては絶縁性多孔質シートを通して供給される酸素と電解液37に空気極本体が接触することにより、正極反応(O2+2H2O+4e-→4OH-)が進行し、マグネシウム極15においては負極反応(Mg→Mg2++2e-)が進行し、放電が行われる。マグネシウム空気電池10における全反応は、Mg+1/2O2+H2O→Mg(OH)2となる。
ところで、従来のマグネシウム空気電池では、マグネシウム極は、自己放電反応によって、電子を放出してマグネシウムイオンとなって電解液中に溶出する。このマグネシウムイオンは、空気極(正極)の酸素還元反応で生成する水酸化物イオンと結び付いて、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)の沈殿を形成する。
また、上記した電池の放電反応及び自己放電反応で水が消費されるため、電解液濃度は上昇し、次第に塩化ナトリウム(NaCl)が析出する。電解液中での沈殿生成および結晶の析出により電解液の抵抗が増大するため、放電時の電圧降下を引き起こし、出力できる電力量が低下する。このため自己放電反応を抑制することは重要である。
また、電解液中の塩化ナトリウム(電解質)濃度は、4質量%〜18質量%の範囲にすることが好ましい。塩化ナトリウム濃度は、18質量%以下にすることで、自己放電反応で水が消費された場合にも、塩化ナトリウムの析出を抑制することができる。また、4質量%を下回る場合には、放電時の電圧が降下してしまう。
本構成では、マグネシウム極15を形成するマグネシウム合金が少なくとも亜鉛を含む合金である点に特徴を有する。
マグネシウム合金とは、マグネシウム(Mg)を主成分とする合金、例えば、マグネシウムを50質量%以上含有する合金のことである。本構成では、少なくとも亜鉛(Zn)を含むマグネシウム合金を用いる。
また、前述するように、本発明で言うマグネシウム合金とは、亜鉛を含むことを基本とするが、亜鉛以外の他の元素、例えばAl、Ca、Mn、Sr等を追加添加して、マグネシウム合金の機械的強度や難燃性を向上させたものを用いることも可能である。
アルミニウム(Al)の添加量としては、3.0質量%〜8.0質量%が好ましい。3.0質量%よりも少ない場合では、機械的強度などの効果が乏しい。8.0質量%よりも多いと、マグネシウム合金に含まれるマグネシウム分が少ないため、取り出せる電力も少なくなってしまう。
カルシウム(Ca)の添加量としては、0.2質量%〜5.0質量%が好ましい。0.2質量%よりも少ない場合では、耐熱性などの効果が乏しい。5質量%よりも多いと、機械的強度が低下し得る。
マンガン(Mn)の添加量としては、0.1質量%〜1.5質量%が好ましい。0.1質量%よりも少ない場合では、腐食を抑制する効果が乏しい。1.5質量%よりも多くても効果に違いは現れず結果としてマグネシウム合金に含まれるマグネシウム分が少ないため、取り出せる電力も少なくなってしまう。
ストロンチウム(Sr)の添加量としては、1.5質量%〜2.5質量%が好ましい。1.5質量%よりも少ない場合では、耐熱性などの効果が乏しい。2.5質量%よりも多いと、機械的強度が低下し得る。
亜鉛を含むマグネシウム合金を負極(マグネシウム極15)に用いると、合金中の亜鉛と電解液中の水酸化物イオンOH-が反応して難溶性の水酸化亜鉛(Zn(OH)2)がマグネシウム極15の表面に形成される。このため、形成された水酸化亜鉛によって、マグネシウム合金中のマグネシウムと塩化ナトリウム水溶液との接触が抑えられ、マグネシウム極15の自己放電反応を抑制することができる。
マグネシウムと亜鉛では、電気化学列は亜鉛の方が上(言い換えるとイオン化傾向は亜鉛の方が小さい)のために、まずマグネシウムが酸化してから亜鉛表面の水酸化亜鉛生成が始まる。このため、水酸化亜鉛の生成が、初期の放電反応を妨害することはない。
また、亜鉛は、比較的安価な元素であり、マグネシウム合金に含ませることにより、自己放電を効果的に抑制することができる。
マグネシウム合金には、亜鉛が2.0質量%以上4.0質量%以下含まれる。亜鉛の比率が2.0質量%よりも小さい場合には、自己放電を抑制する十分な効果が得られず、4.0質量%よりも大きい場合には、難溶性の膜が電極表面に形成されて、マグネシウム電極の反応面積が小さくなり、電圧降下を招き、更には高電流密度では放電できなくなってしまう恐れがある。
マグネシウム極15の自己放電を安定的に抑制するとともに、電圧降下の恐れを低減するためには、マグネシウム合金全体の質量に対し亜鉛の比率は2.0質量%以上3.5質量%以下の範囲とするのが好ましい。
次に、実施例について説明する。
[実施例1]
(負極)
負極材は、公知の方法によりマグネシウム合金を作製した。マグネシウム合金の組成としては、亜鉛(Zn)の添加量を2.0質量%、アルミニウム(Al)7.0質量%、カルシウム(Ca)3.0質量%、マンガン(Mn)0.3質量%、残部がマグネシウムより形成した。なお、マグネシウム合金は縦5cm、横5cm、厚さ5mmの上縁部の一端(縁部一端)に、タブ部を形成した。
(正極(空気極))
空気極は、上記した製法で作成した後、縦5cm×横5cmに切断し、タブをスポット溶接した。
(マグネシウム電池)
マグネシウム電池10は、図1に示すように、合成樹脂材料で形成された扁平な支持枠体11を備え、この支持枠体11の一方の面に開口を通じて露出する空気極13と、当該支持枠体11内に収容される金属極15(図2)とを備え、前記金属極15は前記空気極13と10mm離間するように設置した。この支持枠体11は、上面部が開放されており、空気極13と対向する側面中央部(不図示)に空気極側パネル23と略同等の大きさの開口部(不図示)を有し、空気極13側に配置される空気極側パネル23を支持枠体11にシリコン接着剤を用いて隙間が完全に無くなる様に接着することにより形成した。また、支持枠体11と、空気極側パネル23との上部には蓋体27が配置され、この蓋体27の略中央部には、支持枠体11内に電解液を注入するための注液口(不図示)を設け、この注液口にガス抜き用の弁体29が設けたものである。
前記注液口より電解質濃度が10.0質量%の塩化ナトリウム水溶液(食塩水)300mlを注液したマグネシウム電池を注液し、マグネシウム電池を製造した。
[実施例2]
負極材として亜鉛(Zn)の添加量を3.5質量%、アルミニウム(Al)7.0質量%、カルシウム(Ca)3.0質量%、マンガン(Mn)0.3質量%、残部がマグネシウムよりなるマグネシウム合金を用いた以外は、実施例1と同様にマグネシウム電池を作製した。
[実施例3]
負極材として亜鉛(Zn)の添加量を4.0質量%、アルミニウム(Al)7.0質量%、カルシウム(Ca)3.0質量%、マンガン(Mn)0.3質量%、残部がマグネシウムよりなるマグネシウム合金を用いた以外は、実施例1と同様にマグネシウム電池を作製した。
[比較例1]
負極材としてアルミニウム(Al)7.0質量%、カルシウム(Ca)3.0質量%、マンガン(Mn)0.3質量%、残部がマグネシウムよりなるマグネシウム合金を用いた以外は、実施例1と同様にマグネシウム電池を作製した。
[比較例2]
負極材として亜鉛(Zn)の添加量を1.0質量%、アルミニウム(Al)7.0質量%、カルシウム(Ca)3.0質量%、マンガン(Mn)0.3質量%、残部がマグネシウムよりなるマグネシウム合金を用いた以外は、実施例1と同様にマグネシウム電池を作製した。
[比較例3]
負極材として亜鉛(Zn)5.0質量%、アルミニウム(Al)7.0質量%、カルシウム(Ca)3.0質量%、マンガン(Mn)0.3質量%、残部がマグネシウムよりなるマグネシウム合金を用いた以外は、実施例1と同様にマグネシウム電池を作製した。
夫々作製したマグネシウム合金またはマグネシウム電池を用いて、自己放電量(自己放電速度ともいう)と負極材(マグネシウム合金)の利用率の確認試験を行った。その結果を表1に示す。なお、表1にはマグネシウム合金の組成、自己放電量、マグネシウム合金の利用率を夫々併記した。また、図3にマグネシウム合金中の亜鉛添加量を変化させたときの自己放電量および利用率を示した。
[自己放電量の算出]
マグネシウム合金の自己放電量の算出は次のように行った。
まず、電解液中の電解質濃度が10.0質量%の塩化ナトリウム水溶液(食塩水)を20ml入れたサンプル瓶を用意した。次いで、前記サンプル瓶の中に、1.0gのマグネシウム合金片を入れ7日間浸漬させた。そして、浸漬前後のマグネシウム合金の質量を測定し、自己放電量を算出した。自己放電量の算出式は次の通りである。
自己放電量(mg/day)
=(浸漬前のマグネシウム合金の質量−浸漬後のマグネシウム合金の質量)/7
[利用率の算出]
マグネシウム合金の利用率の算出は次のように行った。
夫々作製したマグネシウム合金を、マグネシウム電池の負極として用いた場合の、利用率を算出した。正極は縦5cm×横5cmの空気極、負極に、縦5cm×横5cm×厚さ5mmのマグネシウム合金を用意し、電解液中の電解質濃度が10.0質量%の塩化ナトリウム水溶液(食塩水)300mlを注液したマグネシウム電池を作製した。前記マグネシウム電池に、500mAの電流をかけ、10時間放電させる。利用率は、放電前後のマグネシウム合金の質量変化から、下記式の通り求めた。
利用率[%]
=放電容量[Ah]×100/[(放電前のマグネシウム合金の質量〔g〕−放電後のマグネシウム合金の質量〔g〕)×(マグネシウム合金中に含まれるマグネシウム分〔%〕/100)×マグネシウム金属の理論容量]
Figure 2015046368
表1、及び、図3に示すように、本実施形態に係る実施例1〜3は、比較例1〜3に比べ自己放電量、マグネシウム合金の利用率が改善されていることが分る。これは、マグネシウム合金に含まれる亜鉛が電解液中の水酸化物イオンと反応し、難溶性の水酸化亜鉛を形成することで自己放電反応を抑制したものと考えられる。それにより、反応途中でのマグネシウム合金の脱落等も抑制することが可能となり、マグネシウム合金の利用率が向上したものと考えられる。
しかしながら、亜鉛を含まない比較例1は、自己放電量、利用率共に低い値を示し、これは、電解液中で難溶性の水酸化亜鉛が形成されず、自己放電反応を抑制することができないため、利用率も低下したものと考えられる。
また、亜鉛の添加量が1.0質量%と少ない比較例2は、自己放電量、利用率共に改善は見られるものの市場の要求を満足するに至るものではない。
また、亜鉛の添加量が5.0質量%と多い比較例3は、自己放電量は少ないものの、利用率が極端に低い値を示した。これは電解液中で形成される難溶性の塩がマグネシウム負極に不働体皮膜として厚く形成されたため、途中で放電ができなくなったしまった。
以上、説明したように、本実施形態によれば、マグネシウム合金からなるマグネシウム極15と、マグネシウム極15からマグネシウムイオンが溶出可能な塩化ナトリウム水溶液とを備え、マグネシウム合金は亜鉛を含む構成としたため、マグネシウム合金に含まれる亜鉛が電解液中の水酸化物イオンを反応して難溶性の水酸化亜鉛を形成する。この水酸化亜鉛は、電極表面の一部に膜を形成するため、マグネシウム合金と電解液と触れている面積が低減され、自己放電反応を抑制することができ、従って、負極材の利用率の向上を図ることができる。従って、マグネシウム極15の利用率の向上を図ることができ、長期間に亘り安定的に電力を取り出すことができる。
また、本実施形態によれば、マグネネシウム合金の全体の質量に対して亜鉛が2.0質量%以上4.0質量%以下含まれているため、自己放電の抑制効果を安定的に発揮させることができる。
また、本実施形態によれば、水溶性の電解液として、塩化ナトリウム水溶液を用いているため、安全性及び導電性の高いマグネシウム空気電池を安価に形成することができる。
また、本実施形態によれば、電解液中の塩化ナトリウム濃度が、全電解液成分に対して4質量%〜18質量%であるため、放電反応中の塩化ナトリウムの析出及び自己放電反応を抑え、負極材の利用率の向上を図ることができる。
また、本実施形態によれば、負極であるマグネシウム極15と対をなす正極が空気極13であるため、簡素な構成で環境に安全な電池を形成することができる。
以上、本発明を実施するための形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。例えば、本実施形態では、正極に空気極13を用いたマグネシウム空気電池について説明したが、マグネシウム合金を負極活物質とするものであればよく、海水電池として知られるマグネシウム塩化鉛電池またはマグネシウム塩化銀電池に用いることができることは勿論である。
10 マグネシウム空気電池(マグネシウム電池)
11 支持枠体
13 空気極
15 マグネシウム極(負極材)
17 負極端子
19 正極端子
23 空気極側パネル
27 蓋体
29 弁体
37 電解液

Claims (4)

  1. マグネシウム合金からなる負極材と、前記負極材からマグネシウムイオンが溶出可能な水溶性電解液とを備え、前記マグネシウム合金は、少なくとも亜鉛を含む合金であることを特徴とするマグネシウム電池。
  2. 前記マグネシウム合金には、マグネネシウム合金の全体の質量に対して亜鉛が2.0質量%以上4.0質量%以下含まれていることを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム電池。
  3. 前記電解液の主成分が、塩化ナトリウム水溶液であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマグネシウム電池。
  4. 前記電解液中の電解質濃度が、全電解液成分に対して4質量%〜18質量%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマグネシウム電池。
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