JP2015034117A - ゼオライトの製造方法及びゼオライト - Google Patents
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Abstract
Description
耐久性の高いSAPO−34を得るためには、ゼオライトに含まれるSi、Al、Pに占めるSiの割合:Si/(Si+Al+P)[mol/mol]をある一定の範囲内に制御する必要がある(特許文献1)。しかし、このようにSi量を制御して高耐久性のSAPO−34を合成した場合、得られる製品の収率が低くなるという問題がある。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
本発明のゼオライトの製造方法は、アルミニウム原子原料、リン原子原料、ケイ素原子原料及びテンプレートを含む原料混合物よりなる水性ゲルを反応器内で加熱、昇温して水熱合成することにより、骨格構造に少なくともアルミニウム原子、リン原子及びケイ素原子を含むゼオライトを製造する方法において、原料の一部を含む水性ゲルを加熱し、該水性ゲルの温度が最初に100℃以上となった後に残りの原料を該水性ゲルに追加投入して水熱合成することを特徴とする。以下において、本発明のゼオライトの製造方法により製造されるゼオライトを「本発明のゼオライト」と称す場合がある。
本発明は、原料を、所定の温度に到達する前と、到達後との、少なくとも2回以上に分けて水熱合成の反応系に供することを特徴とし、所定の温度に達する前の原料も複数回に分けて反応系に加えても良く、また所定の温度に到達後の原料も複数回に分けて反応系に加えても良い。
以下、本発明で用いるケイ素原子原料、アルミニウム原子原料、リン原子原料、及びテンプレート等のゼオライト原料について、具体的に説明する。
ケイ素原子原料は特に限定されず、通常、fumed(ヒュームド)シリカ、シリカゾル、コロイダルシリカ、水ガラス、ケイ酸エチル、ケイ酸メチル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。高純度で、反応性が高い点で、ケイ素原子原料としてはfumedシリカが好ましい。
アルミニウム原子原料は特に限定されず、通常、擬ベーマイト、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムトリエトキシド等のアルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、アルミナゾル、アルミン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。取り扱いが容易な点及び反応性が高い点で、アルミニウム原子原料としては擬ベーマイトが好ましい。
リン原子原料は、通常リン酸であるが、リン酸アルミニウムを用いてもよい。リン原子原料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
テンプレートとしては、(1)ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物、(2)シクロアルキルアミン、(3)アルキルアミンの3つの群のうち、2つ以上の群から各群につき1種以上の化合物を選択して用いることが、粒径が大きく(例えば1〜50μm)、かつSi含有量が少なく、耐久性に優れたCHA型のSAPOを収率良く得ることができる点において好ましい。
ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物の複素環は通常5〜7員環であって、好ましくは6員環である。複素環に含まれるヘテロ原子の個数は通常3個以下、好ましくは2個以下である。窒素原子以外のヘテロ原子は特に限定されないが、窒素原子に加えて酸素原子を含むものが好ましい。ヘテロ原子の位置は特に限定されないが、ヘテロ原子が隣り合わないものが好ましい。
シクロアルキルアミンのシクロアルキル基の個数はアミン1分子に2以下であって、好ましくは1である。また、シクロアルキル基の炭素数は通常5〜7で、好ましくは6である。シクロアルキルのシクロ環の数は特に限定されないが、通常1が好ましい。また、シクロアルキル基がアミン化合物の窒素原子と結合しているのが好ましい。また、シクロアルキルアミンの分子量は通常250以下、好ましくは200以下、さらに好ましくは150以下である。
アルキルアミンのアルキル基は、通常、鎖状アルキル基であって、アルキルアミンの1分子中に含まれるアルキル基の数は特に限定されるものではないが、3個が好ましい。
また、アルキルアミンのアルキル基は一部水酸基等の置換基を有していてもよい。
アルキルアミンのアルキル基の炭素数は4以下が好ましく、1分子中の全アルキル基の炭素数の合計は10以下が好ましい。
また、アルキルアミンの分子量は通常250以下、好ましくは200以下、さらに好ましくは150以下である。
例えば、CHA型構造のSAPOを合成する場合、(1)ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物、例えばモルホリンは、非特許文献1に記載されるように、Si含有量の多いものであれば比較的容易に合成が可能であるが、Si含有量の少ないものを合成しようとすると、デンス成分やアモルファス成分が多く生成してしまう。また、(3)アルキルアミン、例えばトリエチルアミンは、限られた条件ではCHA構造のSAPOを合成可能であるが、通常、種々の構造のSAPOが混在しやすい。しかし逆に言えば、デンス成分やアモルファス成分ではなく、結晶構造のものにはなりやすい。また、(2)シクロアルキルアミン、例えばシクロヘキシルアミンはSi含有量が多い場合はCHA構造のSAPOを生成しやすく、少ない場合はある条件ではERI構造のSAPOが生成し、デンス成分となることは少ない。
すなわち、それぞれのテンプレートはCHA構造を導くための特徴、SAPOの結晶化を促進させる特徴などを、それぞれ限られた条件の中で有している。従って、(1)〜(3)のテンプレートの3つの群のうち、2つ以上の群から各群につき1種以上の化合物を選択し、これらの特徴を組み合わせることにより、相乗効果が発揮され、1種のみを単独で用いた場合には実現できない効果が得られる結果、Si含有量の少ない耐久性に優れたSAPOを合成することができると考えられる。
上記(1)〜(3)のテンプレートの好ましい組み合わせとしては、モルホリン、トリエチルアミン及びシクロヘキシルアミンから2種以上を選択する組み合わせであり、中でもモルホリンとトリエチルアミンを含む場合がより好ましい。この場合、モルホリン/トリエチルアミンのモル比は通常0.05〜20、好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは0.2〜9である。
本発明においては、上記のケイ素原子原料、アルミニウム原子原料、リン原子原料及びテンプレート以外に、特開2013−32268号公報に記載されているように、ゼオライト原料として遷移金属原料やポリアミン(但しジアミンを除く)を用いてもよい。これらの原料を更に用いることにより、遷移金属を含むSAPOゼオライトを直接合成することができる。即ち、本発明の方法は遷移金属を含むSAPOの製造にも適用することができる。
遷移金属原料としては、遷移金属種、或いは化合物種の異なるものの2種以上を併用してもよい。
上記式において、nは2〜5の整数が好ましく、2〜4の整数がより好ましく、2又は3がさらに好ましく、2が特に好ましい。xは2〜6の整数が好ましく、2〜5の整数がより好ましく、3又は4がさらに好ましく、4が特に好ましい。
本発明では、上述のケイ素原子原料、アルミニウム原子原料、リン原子原料、テンプレート、及び必要に応じて、遷移金属原料、ポリアミン等のその他の原料、更には水を混合して水性ゲルを調合して水熱合成に供する。その際の原料の混合順序は特に制限がなく、用いる条件により適宜選択すればよいが、通常は、まず水にリン原子原料、アルミニウム原子原料を混合し、これにケイ素原子原料、テンプレートを混合する。
追加原料は、ケイ素原子原料を含むことが好ましく、より好ましくは、追加原料はケイ素原子原料と水よりなることが好ましい。これは、SAPOの性能は、結晶中に取り込まれるSi原子の量に最も大きく左右されるためであり、従って、ケイ素原子原料については、初期原料を含む水性ゲルが所定の温度に達した後に添加することが好ましい。この場合、ケイ素原子原料は、1〜50重量%程度の水スラリーとして添加することが好ましい。
ただし、追加原料がケイ素原子原料以外の他の原料の場合であっても、原料の溶解度、水性ゲルのpHや粘度等を、追加原料の追加投入により変化させることができ、条件の調整により、ケイ素原子が結晶内に一度に取り込まれることを抑制させることが可能である。
本発明において、水性ゲルの加熱方法としては、電気ヒーターによる加熱又は蒸気若しくは熱媒油等の熱媒を用いた加熱などが挙げられる。通常、水性ゲルを耐圧容器に入れ、自己発生圧下、又は結晶化を阻害しない気体加圧下で、攪拌又は静置状態で水性ゲルを加熱して目的のゼオライトを得るために必要な温度(水熱合成温度)まで昇温し、当該水熱合成温度で所定の時間水性ゲルを保持して水熱合成が行われる。この水熱合成温度、即ち、水熱合成反応時の水性ゲルの温度は通常150℃以上、好ましくは175℃以上であり、通常250℃以下、好ましくは200℃以下である。後述の昇温過程の終了から、水熱合成の終了までの時間は通常1時間以上、好ましくは2時間以上、さらに好ましくは3時間以上であって、通常30日以下、好ましくは10日以下、さらに好ましくは4日以下である。水熱合成反応中、反応温度は一定でもよいし、段階的に変化させてもよい。
本発明で採用し得る温度プロファイルを図1に示すが、本発明は何ら図1の温度プロファイルに限定されるものではない。
図1(a)は水性ゲルを一定の昇温速度で連続的に水熱合成温度Txまで昇温し、その後その水熱合成温度Txに保持して水熱合成を行うものである。
図1(b),(c)は、水性ゲルをある昇温速度で温度Ta又はTbまで連続的に昇温し、その後昇温速度を下げて水熱合成温度Txまで連続的に昇温し、水熱合成温度Txに保持して水熱合成を行うものである。
図1(d)は、水性ゲルを温度Tcまで連続的に昇温した後、温度Tdまで連続的に降温し、その後水熱合成温度Txまで再び連続的に昇温し、水熱合成温度Txに保持して水熱合成を行うものである。
追加原料を、水性ゲルの温度が最初に100℃に達するよりも前に追加投入すると、水性ゲル内でゼオライトの結晶化が開始しておらず、本発明に従って追加原料を追加投入することによる効果を得ることができない。
すなわち、図1(a)及び図1(b)の場合は、昇温開始後Txに達するまでの過程が「昇温過程」であり、図1(c)の場合は、昇温開始後Tbに達するまでの過程、及び図1(d)の場合は、昇温開始後Tcに達するまでの過程が「昇温過程」である。
従って、例えば、図1(a)〜(d)に示す温度プロファイルの場合、矢印Aのタイミングよりも矢印Bのタイミングで追加原料を追加投入することが好ましい。
また、水性ゲルが最初に100℃に達してから水熱合成温度に到達するまでの時間は2〜20時間が好ましく、3〜10時間がより好ましい。
なお、ここで「水熱合成の終了」とは、水性ゲルの温度を水熱合成温度から100℃以下の温度に最後に降温する際の、降温の開始時のことを言う。
)してもよい。反応器内の蒸気をパージすることにより、系内に過剰に存在するテンプレートを反応器内から除去し、塩基性の水性ゲルを中性(pH6〜8)に調整することができる。かかるpHの調整により、ケイ素原子を結晶内に均一に取り込ませることができる。パージを実施する方法としては、反応器上部に接続された配管に設けられたバルブを開けて、反応器内の蒸気を大気に放出する方法が通常用いられる。パージする際の水性ゲルの温度は100℃以上が好ましく、150℃以上であることがより好ましく、さらに好ましくは175℃以上250℃以下である。パージ前後の反応器内圧の差は、0.01MPa以上であることが好ましく、0.05MPa以上であることがより好ましく、0.1MPa以上であることがさらに好ましい。また、前記パージ前後の反応器内圧の差は1MPa以下であることが好ましく、0.8MPa以下であることがより好ましく、0.5MPa以下であることがさらに好ましい。パージ前後の反応器内圧の差は、パージにより除去する蒸気量に対応しており、パージにより除去する蒸気の量が少なすぎると、水性ゲルのpHを十分に下げられず、パージの効果が得られない。また、パージにより除去する蒸気の量が多すぎると、ゼオライトの結晶化に必要な量のテンプレートまで除去されてしまい、所望のゼオライトを結晶化させることができなくなる場合がある。水性ゲルへの追加原料の追加投入はパージの前後いずれのタイミングで実施してもよいが、パージの前後5分以内に実施することが好ましく、特にパージの後5分以内に実施することが好ましい。
このようなパージによるpH調整は、特に追加原料がケイ素原子原料とリン原子原料を含む場合に効果的である。それは、ケイ素原子原料のみを追加投入すると結晶中に凝集したケイ素原子が取り込まれるところ、リン原子原料を同時に投入することによりケイ素原子の一部がリン原子に置換し、ケイ素原子を結晶中に高分散させることが可能となることによると考えられる。
次いでテンプレートを含有したゼオライトからテンプレートを除去する。生成物からのテンプレートの除去方法は特に限定されない。通常、空気又は酸素含有の不活性ガス、あるいは不活性ガスの雰囲気下に400℃から900℃の温度で焼成したり、エタノール水溶液、HCl含有エーテル等の抽剤による抽出したりする等の方法により、テンプレートを除去することができる。
本発明のゼオライトの製造方法によれば、骨格構造に少なくともアルミニウム原子、リン原子及びケイ素原子を含むゼオライトを合成することができる。
0.001≦x≦0.3 ・・・(I)
(式中、xは骨格構造中のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対するケイ素原子のモル比を示す)
0.3≦y≦0.6 ・・・(II)
(式中、yは骨格構造中のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対するアルミニウム原子のモル比を示す)
0.3≦z≦0.6 ・・・(III)
(式中、zは骨格構造中のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対するリン原子のモル比を示す)
0.001≦x≦0.11 ・・・(IV)
0.005≦x≦0.087 ・・・(V)
0.01≦x≦0.085 ・・・(VI)
(式中、xは前記式(I)におけると同義である)
また、フレームワーク密度は結晶構造を反映したパラメータであるが、IZAがATLAS OF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES Fifth Revised Edition 2001において示してある数値で、好ましくは10.0T/1000Å3以上であって、通常18.0T/1000Å3以下、好ましくは17.0T/1000Å3以下である。
試料を90℃に保たれた真空容器内に保持し、5℃の飽和水蒸気雰囲気と80℃の飽和水蒸気雰囲気にそれぞれ90秒曝す操作を繰り返す。このとき80℃の飽和水蒸気雰囲気に曝されたときに試料に吸着した水は、5℃の飽和水蒸気雰囲気で一部が脱着し、5℃に保った水だめに移動する。m回目の吸着からn回目の脱着で、5℃の水だめに移動した水の総量(Qn;m(g))と、試料の乾燥重量(W(g))から、一回あたりの平均吸着量(Cn;m(g/g))を以下のようにして求める。
[Cn;m]=[Qn;m]/(n−m+1)/W
吸着維持率とは、このようにして求めた水蒸気繰り返し吸脱着試験の1回から1000回の平均吸着量に対する1001回から2000回の平均吸着量の比を求めたものである。平均吸着量の吸着維持率が高いということは、水の吸脱着の繰り返しが行われてもゼオライトが劣化しないことを示す。
本発明のゼオライトは、一般的なゼオライトの用途に有用であるが、特に吸脱着耐久性を必要とする用途での使用に有効である。中でも、ヒートポンプ、デシカント、除湿などの水蒸気吸着材、或いは種々の触媒や触媒担体、特に車両やプラントの排ガス、中でも窒素酸化物を含む排ガスの浄化用触媒やその担体に利用できる。
特に本発明のゼオライトは、水蒸気吸着材として優れた性能を示す。本発明のゼオライトを水蒸気吸着材として用いる場合、本発明のゼオライトは、シリカ、アルミナ、チタニア等の金属酸化物や粘土等のバインダー成分や、熱伝導性の高い成分と共に使用してもよい。このとき、ゼオライトの含有量が水蒸気吸着材全体の60重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることが更に好ましい。
水224.0g、75重量%リン酸107.2g、及び擬ベーマイト(25重量%水含有、サソール社製)63.7gを混合し、3時間攪拌した。この混合液にfumedシリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製)7.0g、水155.1g、モルホリン40.8g、トリエチルアミン52.2gを加え、さらに1時間攪拌し、以下の組成を有する水性ゲルを得た。
Al2O3/SiO2/P2O5/モルホリン/トリエチルアミン/H2O
=1/0.25/0.875/1/1.1/50(モル比)
水性ゲルが100℃に到達してから、昇温過程が終了するまでの時間は4.75時間であった。すなわち、t0=28.75(=4.75+2.5+1.5+20)時間、t=21.5(=1.5+20)時間であり、t/t0=0.75であった。
反応終了後、脱ガス、冷却して、濾過、水洗の後、95℃で乾燥した。得られた乾燥粉体を700℃で空気気流下焼成を行って、テンプレートを除去し、実施例1のゼオライトを得た。
昇温過程終了後、190℃に保持して7.5時間経過後に、シリカ/水スラリーを1.2時間かけて供給し、さらに190℃で15時間保持したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のゼオライトを得た。t0=28.45(=4.75+7.5+1.2+15)時間、t=16.2(=1.2+15)時間であり、t/t0=0.57であった。
昇温過程終了後、190℃に保持して17時間経過後に、シリカ/水スラリーを1時間かけて供給し、さらに190℃で5.5時間保持したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のゼオライトを得た。t0=28.25(=4.75+17+1+5.5)時間、t=6.5(=1+5.5)時間であり、t/t0=0.23であった。
昇温過程終了後、190℃に保持して2.35時間経過後に、fumedシリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製)1.4g、水13.6g、75重量%リン酸10.0gを良く混合させたシリカ/水/リン酸スラリーを1.4時間かけて供給し、さらに190℃で20.25時間保持したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4のゼオライトを得た。水性ゲルが100℃に到達してから、昇温過程が終了するまでの時間は4.75時間であった。すなわち、t0=28.75(=4.75+2.35+1.4+20.25)時間、t=21.65(=1.4+20.25)時間であり、t/t0=0.75であった。
シリカ/水/リン酸スラリーとして、シリカ濃度12重量%シリカゾル5.4g(商品名:PL−1、扶桑化学工業社製品)、75重量%リン酸10.0gを良く混合させたシリカ/水/リン酸スラリーを用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例5のゼオライトを得た。
昇温過程終了後、190℃に保持して2.10時間経過後に、反応器内をパージした。パージ前後の反応器内圧はそれぞれ1.51MPa、1.39MPaであった。パージ後1分以内に、fumedシリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製)1.4g、水13.6g、75重量%リン酸10.0gを良く混合させたシリカ/水/リン酸スラリーを1.4時間かけて供給し、さらに190℃で20.48時間保持したこと以外は、実施例4と同様にして実施例6のゼオライトを得た。水性ゲルが100℃に到達してから、昇温過程が終了するまでの時間は4.75時間であった。すなわち、t0=28.75(=4.75+2.10+1.42+20.48)時間、t=21.90(=1.42+20.48)時間であり、t/t0=0.76であった。
水116.7g、85重量%リン酸45.2g、及び擬ベーマイト(25重量%水含有、サソール社製)31.3gを混合し、3時間攪拌した。この混合液にfumedシリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製)4.1g、水116.3g、モルホリン20.1g、トリエチルアミン25.7gを加え、さらに1時間攪拌し、以下の組成を有する水性ゲルを得た。
Al2O3/SiO2/P2O5/モルホリン/トリエチルアミン/H2O
1/0.3/0.85/1/1.1/60(モル比)
該水性ゲルを1Lのステンレス製オートクレーブに仕込み、攪拌しながら最高到達温度190℃まで昇温時間12時間で昇温し、昇温過程を終了して190℃で48時間保持した。原料の追加投入は実施しなかった。反応終了後、脱ガス、冷却して、濾過、水洗の後、100℃で乾燥した。得られた乾燥粉体を550℃で空気気流下焼成を行って、テンプレートを除去し、比較例1のゼオライトを得た。
水204.0g、85重量%リン酸78.4g、及び擬ベーマイト(25重量%水含有、サソール社製)57.8gを混合し、2時間攪拌した。この混合液にfumedシリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製)10.2g、水229.0g、モルホリン74.8gを加え、さらに2時間攪拌し、以下の組成を有する水性ゲルを得た。
Al2O3/SiO2/P2O5/モルホリン/H2O
=1/0.4/0.8/2/60(モル比)
該水性ゲルを1Lのステンレス製オートクレーブに仕込み、攪拌しながら最高到達温度190℃まで昇温時間10時間で昇温し、昇温過程を終了して190℃で48時間保持した。原料の追加投入は実施しなかった。反応終了後、脱ガス、冷却して、濾過、水洗の後、100℃で乾燥した。得られた乾燥粉体を550℃で空気気流下焼成を行ってテンプレートを除去し、比較例2のゼオライトを得た。
実施例1で調製した水性ゲルを1Lのステンレス製オートクレーブに仕込み、攪拌しながら最高到達温度190℃まで昇温時間10時間で昇温し、昇温過程を終了して190℃で24時間保持した。途中、昇温開始から9時間後に実施例1で用いたと同様のシリカ/水スラリーをプランジャーポンプにて1.2時間かけて供給した。シリカ/水スラリーの供給を開始した時点での水性ゲルの温度は173℃であった。水性ゲルが100℃に到達してから、昇温過程が終了するまでの時間は4.75時間であった。すなわち、t0=28.75(=4.75+24)時間、t=25.0(1+24)時間であり、t/t0=0.87であった。反応終了後、脱ガス、冷却して、濾過、水洗の後、95℃で乾燥した。得られた乾燥粉体を700℃で空気気流下焼成を行って、テンプレートを除去し、参考例1のゼオライトを得た。
表1において、Si初期仕込量、Si追加投入量は水性ゲル中のAl2O3に対するSiO2のモル比で表した量である。収率は原料仕込量に対する生成ゼオライトの割合(重量%)として算出した。生成ゼオライトのSi含有量は蛍光X線分析により求めた生成ゼオライトの{Si/(Si+Al+P)}×100(モル%)の値である。また、吸脱着耐久性は前述の水蒸気繰り返し吸脱着試験による吸着維持率である。
これに対して、原料を反応開始初期に一括して仕込み、原料の追加投入を行わない比較例1,2のうち、Si初期仕込量の少ない比較例1では収率が低い。Si初期仕込量を多くした比較例2では、収率は高いが、得られたSAPOの吸脱着耐久性が劣る。
なお、昇温過程の終了前に原料の追加投入を行った参考例1では、Si含有量は比較例1,2よりも少ないが、吸脱着耐久性が若干劣る。
Claims (13)
- アルミニウム原子原料、リン原子原料、ケイ素原子原料及びテンプレートを含む原料混合物よりなる水性ゲルを反応器内で加熱、昇温して水熱合成することにより、骨格構造に少なくともアルミニウム原子、リン原子及びケイ素原子を含むゼオライトを製造する方法において、
原料の一部を含む水性ゲルを加熱し、該水性ゲルの温度が最初に100℃以上となった後に残りの原料を該水性ゲルに追加投入して水熱合成することを特徴とするゼオライトの製造方法。 - 昇温過程の終了後に前記残りの原料を追加投入することを特徴とする請求項1に記載のゼオライトの製造方法。
- 前記残りの原料の追加投入を開始するときの前記水性ゲルの温度が175℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゼオライトの製造方法。
- 前記水性ゲルの温度が最初に100℃以上となってから水熱合成が終了するまでの時間をt0、前記残りの原料の追加投入の開始から水熱合成が終了するまでの時間をtとしたとき、0.20≦t/t0≦0.95を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
- 前記残りの原料がケイ素原子原料を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
- 前記残りの原料の追加投入前の水性ゲルの組成が、アルミニウム原子原料、リン原子原料、及びケイ素原子原料を酸化物として表わしたときのモル比で、Al2O3=1に対し、0.1≦SiO2≦0.28、0.5≦P2O5≦1.0であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
- 前記残りの原料がケイ素原子原料及びリン原子原料を含むことを特徴とする請求項5に記載のゼオライトの製造方法。
- 前記残りの原料の追加投入前に前記反応器内の蒸気の一部をパージし、前記水性ゲルをpH6〜8に調整することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
- 前記ゼオライトが、International Zeolite Association(IZA)が定めるコードにおいてCHAで示される構造を有するものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
- 前記テンプレートとして、(1)ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物、(2)シクロアルキルアミン、(3)アルキルアミンの3つの群のうち、2つ以上の群から各群につき1種以上の化合物を選択して用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
- 前記ゼオライトのケイ素原子の含有量が、該ゼオライト中のアルミニウム原子、リン原子、及びケイ素原子の合計に対するケイ素原子の割合で11モル%以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法で製造されたゼオライト。
- 請求項12に記載のゼオライトを用いた吸着材。
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