JP2015010899A - 波長選択フィルタ、前記波長選択フィルタを用いた波長可変光源、前記波長可変光源を用いた光干渉断層計、および前記波長選択フィルタを用いた光検出器 - Google Patents
波長選択フィルタ、前記波長選択フィルタを用いた波長可変光源、前記波長可変光源を用いた光干渉断層計、および前記波長選択フィルタを用いた光検出器 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 波長選択を高速に行うことができ、かつ、選択された波長の光が狭線幅である波長選択フィルタを提供することを目的とする。【解決手段】 互いに周期が異なる格子パターンを有する複数の回折格子と、前記回折格子の各々に照射される光を、前記格子パターンを横切る第一の方向に対して平行な方向に拡大させる拡大光学系と、前記拡大光学系を経た光の前記回折格子への照射位置を可変とする照射光学系と、を有し、前記照射光学系によって前記光が照射される回折格子を切り替えることにより、選択される波長を切り替えることを特徴とする波長選択フィルタ。【選択図】 図1
Description
本発明は波長選択フィルタ、前記波長選択フィルタを用いた波長可変光源、前記波長可変光源を用いた光干渉断層計、および前記波長選択フィルタを用いた光検出器に関する。
入射した光から特定の波長を選択して射出させ、かつ選択する波長を変化させることのできる波長選択フィルタは、分光器などの光検出器、光源への応用が期待できる。
特に、射出する光の波長を可変な波長可変光源は、通信、センシング、イメージングなどの様々な分野への応用が期待できることから、近年盛んに研究開発が行われている。
ここで、射出する光の波長を時間的に変化させる波長可変光源(波長掃引光源ともいう)を用いた光干渉断層計(Optical Coherence Tomography、以下OCTと略す)は、SN比の高い断層像の取得が可能であることが知られている。波長可変光源を用いたOCTを以下では、SS−OCT(Swept Source OCT)ということがある。
SS−OCTを用いて網膜などの断層像を得る場合、波長可変光源の波長可変速度が速いほど断層像取得時間を短縮でき、断層像の取得範囲を広くできるなどの利点がある。また射出する各波長の光が狭線幅であるほど、深いより深い部位の断層像を得ることができる。そのため、波長可変光源は、波長可変速度を速くすることと、射出する各波長の光の線幅を狭くすること(狭線幅にすること)、の両立が望まれている。
波長可変光源の一例として、利得媒体から発せられた広帯域光のうちの一部の波長の光を波長選択フィルタによって選択射出する光源が知られている。この波長選択フィルタは平面型回折格子(平面方向に格子パターンが形成されている回折格子)を有し、この平面型回折格子に広帯域光を入射させ、入射角を変化させることで回折角を変え、選択する光の波長を変化させるものがある。
このような波長選択フィルタで選択される各々の波長の光を狭線幅にするためには、回折格子に入射させる光線の光束径を大きくする必要があり、大きな光束径に対応した大きな回折格子を用いる必要がある。大きな回折格子を用いると、入射角を変えるための回折格子を動かす速度が遅くなり、結果的に、波長可変速度が遅くなるという課題が生じる。また、回折格子に対する光の入射角を変えるためにミラーを用いる場合、大きな光束径に対応した大きなミラーを用いる必要があるため、入射角を高速に変えることが難しく、選択する波長を高速に変化させることが難しい。
そこで、特許文献1では、平面型回折格子を用いずブラッグ・グレーティングを用い、ブラッグ・グレーティングの構成膜厚が位置に依存して連続的に、または段階的に変化するように構成された波長選択フィルタを使用した波長可変光源が開示されている。この波長選択フィルタは、半導体レーザから射出された光の照射位置を、ミラーを用いて、ブラッグ・グレーティングの格子間隔が変化する方向に変えていくことで、選択される光の波長を変えることができる。
特許文献1に開示の波長選択フィルタは、ブラッグ・グレーティングの厚さを厚くし、ブラッグ・グレーティングを構成する層の総数を多くすることで、選択される波長の光の線幅を狭くすることができる。したがって、光束径を大きくせずに狭線幅な光が選択されるため、選択する波長を変えるためのミラーを大きくする必要がなく、高速に波長可変できると考えられる。
しかし、特許文献1の開示の波長可変光源において、本発明の発明者は課題を見出した。特許文献1の波長可変光源における波長選択フィルタにおいて、波長分解能としてOCT業界で必要とされる、各波長の線幅0.04nm(波長840nm帯)を実現するには、ブラッグ・グレーティングの厚さが5mm以上、層数が21000である必要がある。このような厚い、層数が多いブラッグ・グレーティングを作製することは現実的に困難である。さらに、ブラッグ・レーティングの厚さ方向に光が伝搬する際の光束の広がりにより、回折光の線幅が広くなるという問題も考えられる。言い換えると、波長選択を高速に行うこと、および選択された波長の光が狭線幅であることを両立する波長選択フィルタを実現することが困難であった。
そこで、本発明は、波長選択を高速に行うことができ、かつ、選択された波長の光が狭線幅である波長選択フィルタを提供することを目的とする。また、別の本発明は、射出する光の波長を高速に変化させ、かつ、各々の波長の光を狭線幅にすることができる波長可変光源を提供することを目的とする。また、別の本発明は、入射する光の波長成分を高速、かつ高精度に分析することのできる光検出器を提供することを目的とする。
本発明に係る波長選択フィルタは、互いに周期が異なる格子パターンを有する複数の回折格子と、前記回折格子の各々に照射される光を、前記格子パターンを横切る第一の方向に対して平行な方向に拡大させる拡大光学系と、前記拡大光学系を経た光の前記回折格子への照射位置を可変とする照射光学系と、を有し、前記照射光学系によって前記光が照射される回折格子を切り替えることにより、選択される波長を切り替えることを特徴としている。
本発明に係る波長選択フィルタによれば、波長選択を高速に行うことができ、かつ、選択された波長の光が鏡線幅である。また、別の本発明に係る波長可変光源によれば、射出される光の波長を高速に変化させ、かつ、各々の波長の光を狭線幅とすることができる。
また、別の本発明に係る光検出器によれば、入射する光の波長成分を高速、かつ高精度に分析することのできる光検出器を提供することを目的とする。
(実施形態1)
(波長選択フィルタ)
本発明の実施形態1に係る波長選択フィルタについて図1を用いて説明する。
(波長選択フィルタ)
本発明の実施形態1に係る波長選択フィルタについて図1を用いて説明する。
本実施形態に係る波長選択フィルタは、互いに周期が異なる格子パターン100を有する複数の回折格子101と、回折格子101の各々に照射される光を、格子パターンを横切る第一の方向105に対して平行な方向に拡大させる拡大光学系102と、拡大光学系102を経た光の回折格子101への照射位置を可変とする照射光学系103と有する。そして、照射光学系103によって光が照射される回折格子を切り替えることにより、選択される波長を切り替えることを特徴とする。
以下、本実施形態に係る波長選択フィルタによる波長選択の方法について詳細を説明する。
まず、複数の波長成分(λ1、λ2、・・λn)を有する光L1が、ガルバノミラー103aに入射し、ガルバノミラー103aによって反射された光L2が凸レンズ103bに入射する。図1において照射光学系103は、ガルバノミラー103aと凸レンズ103bとで構成される。レンズ103bに入射した光はレンズの光軸に対して平行な方向に進み、対向する一対のシリンドリカルレンズ102a,102bで構成される拡大光学系102に入射する。シリンドリカルレンズ102aに入射した光L3は第一の方向105に対して平行な方向に拡大する。拡大した光が102bのシリンドリカルレンズに入射すると平行光束L4となって射出される。平行光束L4が回折格子101に入射すると、回折格子への入射角が回折格子の照射位置ごとに同じとなり、特定の角度方向に回折される光の波長が照射位置ごとに変化する構成となる。
平行光束L4は回折格子101のG1で示した線上に照射される。ここで、本実施形態に係る波長選択フィルタは、図1のように、G1、G1’、G1’’のように互いに周期が異なる格子パターンを有する複数の回折格子101を有する。なお、図1では、回折格子の面内の第二の方向に向かって、格子パターン100の周期(格子間隔)が小さい部位から大きい部位へと連続的に変化した、放射状の格子パターンが形成された複数の回折格子を示している。すなわち、G1で示した線上の格子パターン100の周期はG1’のそれよりも小さく、G1’で示した線上の格子パターン100の周期はG1’’のそれよりも小さくなるように構成されている。
本実施形態における複数の回折格子101は、図1のように複数の回折格子が一体となっていてもよいし、複数の回折格子が一体となっていなくてもよい。一体となっていない場合としては、複数の回折格子が離間して設けられている場合、複数の回折格子が基板上に設けられているが、各々は離間して設けられている場合を指す。さらに、複数の回折格子は図1のように同一面上の第一の方向105と直交する第二の方向106に沿って配列されていることが好ましいが、後述する実施形態2のように湾曲した面内に沿って設けられていてもよい。
なお、本実施形態における回折格子は、回折光が回折格子から反射光または透過光として外部に取り出せるように格子パターンの周期を設定されているものであれば特に限定されない。格子パターンの周期は、選択したい波長の1/2よりも大きくする必要がある。
また、回折格子に用いられる材料は特に限定されないが、光の吸収の少ない光学ガラスを用いることが好ましい。回折格子101のG1で示した線上に照射された平行光束L4は、格子パターンの周期に応じた回折光として反射される。回折格子101を、回折格子に入射する光L4に対して適切な角度をもたせて配置することで、回折光のうち特定の波長(λ1)の光のみが、逆の光路をたどって拡大光学系102に戻るようにすることができる。なお、回折された光の一部を選択する選択光学系を有していてもよい。
以上により本実施形態に係る波長選択フィルタが、複数の波長成分を有する光から、λ1の波長のみを選択できることがわかる。
次に、ガルバノミラー103aを、矢印で示す方向に回転させることで、レンズ103bに光L2’が入射する。光L2’は拡大光学系102を経て先と同様に平行光束L4’として回折格子101のG1’で示す線上に照射される。ここでG1’はG1よりも格子パターン100の周期が小さいため、所定の角度に回折される回折光の波長が変わり、拡大光学系102に戻る光の波長はλ1と異なるλ2となる。同様にして、ガルバノミラー103aをさらに回転させると、レンズ103bに光L2’’が入射し、拡大光学系102を経て光L4’が回折格子のG1’’で示す線上に照射される。回折光の回折角はさらに変わり、λ1、λ2と異なるλ3の光が選択される。
したがって、本実施形態に係る波長選択フィルタはガルバノミラー103aの角度を時間的に変化させることで、入射した光から選択する光の波長を時間的に変化させることができる。
ここで、入射した光L1の光束径が小さくても、拡大光学系102を構成するシリンドリカルレンズ102aによって光束径が第一の方向105に拡大されるため、選択される波長の光の線幅は狭い。さらに、上記の通り選択する波長を変えるために駆動するガルバノミラー103aに入射させる光の光束径は小さくても狭線幅な光が選択される。したがって、ガルバノミラー103aを大きくする必要がなく、高速に回転駆動できるため、選択する波長を高速に変えることができる。よって、本実施形態に係る波長選択フィルタは、波長選択を高速に行うことができ、かつ、選択された波長の光が狭線幅にできることがわかった。
(回折格子)
本実施形態における回折格子の詳細について図2を用いて説明する。図2(a)は、図1で示す回折格子を拡大した図である。
本実施形態における回折格子の詳細について図2を用いて説明する。図2(a)は、図1で示す回折格子を拡大した図である。
回折格子101は第一の方向105と第二の方向106で示される平面A上に、格子パターン100が形成され、平面A上の位置によって格子パターンの周期が異なる。具体的には、平面Aにおいて、第二の方向106(x軸方向)の位置yが等しく、第一の方向の位置xが異なる二つの位置では格子パターンの周期が互いに等しい。つまり、G1、G1’、G1’’で示される線上の各々においては、格子パターンの周期が等しい。そして、第二の方向の位置yが異なる2つの位置、すなわち、G1で示される線上のある位置と、G1’で示される線上のある位置と、G1’’で示される線上のある位置と、における格子パターンの周期は互いに異なる。このような回折格子101に、第一の方向105に平行な平面光(シート状のビーム)を照射すると、照射位置の格子パターンの周期に応じた回折光が得られる。平面光の照射位置を第二の方向106に沿って変えることで、回折光の回折角が異なるため、回折光を選択する回折角を固定しておけば、平面光の照射位置が変わるのに伴って、選択される光の波長が変わる。図2(a)のように格子パターン100の周期が、第二の方向106に沿って連続的に変化している場合、平行光束L4を照射する位置を第二の方向に沿って変化させると、選択される波長が連続的に変化するため好ましい。
格子パターンは、基板上に、該基板とは異なる屈折率の物質が設けられることで形成されていてもよいし、基板上に基板とは透過率が異なるスリットが設けられることで形成されていてもよい。前者の場合、図2(a)の白い部分が基板であり、格子パターン100で示される黒線(G1、G1’、G1’’で示す線以外の線)が基板とは異なる屈折率の物質である。後者の場合、白い部分が基板であり、格子パターン100で示される黒線が(G1、G1’、G1’’で示す線以外の線)がスリットとなる。基板とは異なる屈折率の物質を設ける構成の場合、当該物質が設けられている間隔が等しければ形状は特に限定されず、断面が矩形であってもよいし、三角形状であってもよい。また基板とは透過率が事なるスリットを設ける場合、スリット部は基板よりも透過率が高くても良いし逆に低くても良い。
上記の説明において回折格子101は平面上に形成された回折格子であるが、これに限定するものではない。例えば、格子パターンが形成されている方向と垂直方向にのみ曲率を有するような曲面上に形成されていてもよいし、さらに反射型の回折格子ではなく透過型の回折格子を用いてもよい。
図2(a)で示す放射状の格子パターンが形成された回折格子は、例えばフォトリソグラフィあるいは電子線ビーム描画装置、あるいは集束イオンビーム加工装置などを用いて作製可能である。図2(a)のように直線が並ぶ格子パターンは作製が容易であり好適である。
また、図2(a)では放射状の格子パターンを図示したがこれに限るものではない。各線は曲線状であっても良い。回折格子に対して照射される光の照射位置の時間変化に対して、選択される光の波数が時間とともに線形に変化するような回折格子のパターンが形成されていることが好ましい。
また図2(b)で示す回折格子201のように、格子パターンの周期が第二の方向に沿って不連続に、具体的には階段状に変化していてもよい。ここで階段状とは、格子パターンの周期が、第二の方向に不連続に変化している形態の一例を表すものとする。
図2(b)で示すような階段状に格子パターンが形成されている場合、回折格子201が定数Δλに対して下記式(1)で表わされる条件を満たすことが好ましい。
上記式(1)において、Λiは前記格子パターンのうち、i番目の格子パターンの周期であり、Λi+1は前記i番目の格子パターンに隣接するi+1番目の格子パターンの周期であり、αは前記回折格子への前記平行光束の入射角であり、βは前記回折格子からの回折光の回折角であり、mは0以外の整数である。
上記の式においてΔλは、回折格子に対する入射角α及び回折角βを一定としたときに、光を入射する段をi番目からi+1番目に変化させたときの、選択される波長の変化量である。すなわち、定数Δλに対して上記式(1)を満たすようにΛiとΛi+1とを設定すれば、照射位置を第二の方向に変化させたときに、選択される波長の変化量を一定にすることが可能である。このような構成は例えば分光計測など、等波長間隔の計測データを取得する場合などに好適である。
また、図2(b)で示すような階段状に格子パターンが形成されている場合、回折格子201が定数Δkに対して下記式(2)で表わされる条件を満たすことが好ましい。
上記式(2)において、Ki=2π/Λi、Ki+1はそれぞれ、i番目,i+1番目の格子波数である。なお、Ki=2π/Λi、Ki+1=2π/Λi+1であり、Λiは前記格子パターンのうち、i番目の格子パターンの周期であり、Λi+1は前記i番目の格子パターンに隣接するi+1番目の格子パターンの周期であり、αは前記回折格子への前記平行光束の入射角を、βは前記回折格子からの回折光の回折角であり、mは0以外の整数である。
上記の式においてΔkは、回折格子に対する入射角α及び回折角βを一定としたときに、光を入射する段をi番目からi+1番目に変化させたときの、選択される波数の変化量である。すなわち、定数Δkに対して上記式(2)を満たすようにΛiとΛi+1とを設定すれば、照射位置を第二の方向に変化させたときに、選択される波数の変化量を一定にすることが可能である。
たとえばSS−OCTでは、取得した干渉スペクトルを等波数間隔のデータ列としてフーリエ変換する必要がある。そのため、この好適な回折格子を備えた波長選択フィルタを用いた波長可変光源をOCT用の光源として用いた場合、等波数間隔のデータ取得が可能となるため好ましい。
(拡大光学系)
本実施形態における拡大光学系は、入射した光を上記第一の方向105、すなわち格子パターンが形成されている方向に対して平行な方向に拡大させることが可能に構成されていれば特に限定されない。拡大光学系の例として、上記102aで示すシリンドリカルレンズが挙げられる。拡大光学系を構成する光学素子は1つでも複数でもよい。上記では、拡大光学系102は、102aで示すシリンドリカルレンズの他に102bで示すシリンドリカルレンズを有する。シリンドリカルレンズ102bに光が入射すると平行光束L4となって射出される。このように対向する一対のシリンドリカルレンズを用いると、光を格子パターンが形成されている方向に拡大し、かつ、回折格子への入射角が回折格子の照射位置ごとに同じとなるため好ましい。また、格子パターンが形成されている方向へ開口数(NA)を小さくして集光させ、そのビームウェストが回折格子面上に形成されるようにすることが好ましい。
本実施形態における拡大光学系は、入射した光を上記第一の方向105、すなわち格子パターンが形成されている方向に対して平行な方向に拡大させることが可能に構成されていれば特に限定されない。拡大光学系の例として、上記102aで示すシリンドリカルレンズが挙げられる。拡大光学系を構成する光学素子は1つでも複数でもよい。上記では、拡大光学系102は、102aで示すシリンドリカルレンズの他に102bで示すシリンドリカルレンズを有する。シリンドリカルレンズ102bに光が入射すると平行光束L4となって射出される。このように対向する一対のシリンドリカルレンズを用いると、光を格子パターンが形成されている方向に拡大し、かつ、回折格子への入射角が回折格子の照射位置ごとに同じとなるため好ましい。また、格子パターンが形成されている方向へ開口数(NA)を小さくして集光させ、そのビームウェストが回折格子面上に形成されるようにすることが好ましい。
また、後述する実施形態2において説明するように、拡大光学系としてトーリックレンズを用いることができる。
本実施形態において、拡大光学系は、拡大光学系に入射して射出された光の光束径wが下記式(3)を満たすように構成されていることが好ましい。
上記式(3)において、λは拡大光学系に入射する光の中心波長であり、Λは回折格子の格子パターンの周期、αは回折格子に入射する光の入射角であり、mは0以外の整数であり、dλは回折格子の波長分解能である。回折格子の波長分解能が小さいほど、その回折格子の回折光の各波長成分の光の線幅が狭い。
上記式(3)は、回折格子の波長分解能をdλよりも良くするために、最低限必要な回折格子に照射する光の光束径wが必要であることを意味している。なお、上記wは回折格子に入射する光がガウシアンの強度プロファイルを持つと仮定したときの1/e^2強度の半幅であり、波長分解能dλもガウシアンスペクトルの1/e^2強度の幅で定義する。
ここで、OCT用の光源として本実施形態に係る波長選択フィルタを備えた波長可変光源を使用する場合、光源の線幅はコヒーレンス長に反映されるため、OCTとして撮像可能な深さ範囲を決める事になる。
したがって、OCTとして撮像深さ範囲Δzを確保するために、回折格子に入射する光束径の半値半幅w1/2は以下の条件を満たす必要がある。
上記式(4)における各パラメータは、上記式(3)と同じである。
また回折格子101に照射される光束は、第二の方向106への幅(以下「厚み」とする)をもつ。仮に、照射される光の光束が第二の方向106に関しても平行光束として、つまり厚みが一定のまま回折格子に照射されるものとする。この場合、光束が持つ厚みの範囲内に回折格子101の格子周期が異なる部位を含むため、特定の角度方向への回折光に波長幅が生じる。そこで下記式(5)を満たすように光束の厚みの範囲内の格子周期の変化量dΛを小さくすることで、光束の厚みの範囲内での格子周期の変化による回折波長の幅を回折格子の波長分解能以下に抑えることが可能である。つまり、厚みが厚い光束を回折格子に照射する場合には、格子パターン周期の第二の方向106に沿った変化量を小さくする必要があり、厚みが薄い光束を照射する場合は変化量を大きくすることができる。
回折格子へ照射する光の回折格子面上での格子パターンの周期方向と垂直な方向(第二の方向106)への厚さをw’とし、その厚さ内での回折格子の周期Λの変化量をdΛとする。このとき、dΛは前記w’の範囲内で以下の式を満たしていることが好ましい。
ここで、αは回折格子への光の入射角度、mは0以外の整数、wは前述のように回折格子に入射する光がガウシアンの強度プロファイルを持つと仮定したときの半値半幅である。
一方w’は入射する光が回折格子の周期方向と垂直な方向にガウシアンの強度プロファイルを持つと仮定したときの1/2強度の全幅を表す。回折格子に照射する光は回折格子面上で、回折格子の周期方向と垂直方向に有限の厚みを持っている。このため、この厚みの範囲内で、回折格子の格子周期は微妙に変化し、回折格子からある角度に回折される光の波長も、この格子周期の微小な変化に対応し僅かに変化する。つまり、上記光の厚みの範囲内での回折格子の格子周期の変動分dΛはなるべく小さいことが好適である。
また回折格子に照射する光束が上記のように第二の方向106(厚み方向)に関して平行光束ではなく角度広がりを有している場合は、戻り光の光路が第二の方向106に沿って上下に逸れる。ただし上記の逸れた戻り光は例えば照射光学系103よりも手前の光路に絞り107などを挿入することで除去出来る。あるいは別の光路で光を取りだす場合でも同様の対応が可能である。例えば回折格子上の全面で照射光束をジャストフォーカスにすることが困難な場合、あるいは上記厚み方向に平行光束にすることが困難である場合など、この様な対応により波長分解能劣化を有る程度抑制可能である。また、シリンドリカルレンズと回折格子の間に大径の集光レンズを挿入し、回折格子表面へ照射する光束の厚みを薄くすることなども好適である。
(照射光学系)
本実施形態において照射光学系103は、回折格子101に対する入射光を第二の方向106に照射位置を可変とすることができれば特に限定されない。照射光学系103として例えば、図1に示すようにガルバノミラー103aを有する光学系が挙げられる。照射光学系103を構成する光学素子は1つでも複数でもよい。図1に示すようにガルバノミラー103aと凸レンズ103bを組み合わせた光学系でもよいし、図3(a)に示すガルバノミラー301と放物面鏡302の組み合わせでもよい。凸レンズ103bがあることで、拡大光学系102に対して入射させる光を調整できる。また、図3(b)に示すように、反射コート315を結晶端面に部分的に配置した電気光学結晶311を用い、電源312によって印加する電圧を変化させることによる屈折率変化を利用して、射出する光を平行移動させても良い。この場合、電源312によって印加する電圧を変化させることにより入射光316の光路を光路313から光路314へ変化させることが可能である。
本実施形態において照射光学系103は、回折格子101に対する入射光を第二の方向106に照射位置を可変とすることができれば特に限定されない。照射光学系103として例えば、図1に示すようにガルバノミラー103aを有する光学系が挙げられる。照射光学系103を構成する光学素子は1つでも複数でもよい。図1に示すようにガルバノミラー103aと凸レンズ103bを組み合わせた光学系でもよいし、図3(a)に示すガルバノミラー301と放物面鏡302の組み合わせでもよい。凸レンズ103bがあることで、拡大光学系102に対して入射させる光を調整できる。また、図3(b)に示すように、反射コート315を結晶端面に部分的に配置した電気光学結晶311を用い、電源312によって印加する電圧を変化させることによる屈折率変化を利用して、射出する光を平行移動させても良い。この場合、電源312によって印加する電圧を変化させることにより入射光316の光路を光路313から光路314へ変化させることが可能である。
このような電気光学結晶を用いる光偏向器は、電気駆動によって光の照射位置を変えるため、機械駆動によって照射位置を変える系に比べて早く変えることができる点で好ましい。
例えば、電気光学結晶として電気光学効果が大きいKTN結晶(KTa1−xNxO3)を用いると、屈折率が約2.2であり、500V/mの電圧印加に対して屈折率変化が0.015程度生じる。したがって図3(b)において、電気光学結晶に対する入射角を80度とした場合、電気光学結晶311の入射面から射出面までの光学距離を1mとすると、光の射出光路313と314の平行移動量は約8.73mm生じる。また、電気光学結晶311は、1つの板状の結晶でも良いし、図3(c)に示すように、電気光学プリズムを2つ(321,322)用意し、両者の間を空気の光路にすることで伝搬損失を抑制することも可能である。323、324はそれぞれ、電気光学プリズム321,322に電圧を印加する電源である。
上記KTN結晶以外の電気光学結晶として、LN、LT、KTNの各結晶を用いることができる。さらに、照射光学系103として偏向角可変のAOMなどを用いることも可能である。
また、実施形態2で後述するように、照射光学系として、回折格子への照射光束の照射位置を平行移動する系ではなく光束の照射角度を走査する光学系を用いても良い。
(選択光学系)
図1のような光学系においては、回折光のうち、拡大光学系102に戻る波長の光を選択するため、回折光の一部の光を選択するための光学素子を特段設けない構成も可能である。つまりケラレによって特定の回折角で戻る光が選択される。このような構成では波長選択のために回折格子で光が回折される回数が1回で済むため、回折格子に光が照射されることによる光量ロスを抑制することが可能であるため好ましい。
図1のような光学系においては、回折光のうち、拡大光学系102に戻る波長の光を選択するため、回折光の一部の光を選択するための光学素子を特段設けない構成も可能である。つまりケラレによって特定の回折角で戻る光が選択される。このような構成では波長選択のために回折格子で光が回折される回数が1回で済むため、回折格子に光が照射されることによる光量ロスを抑制することが可能であるため好ましい。
一方、回折光のうち特定の波長の光を選択する選択光学系を用いることが可能である。
例えば、図4(a)のように、回折光L5を入射光L4の光路と異なる方向に射出させ、回折光L5を選択光学系としての平面ミラー401で入射光L4の光路に戻す構成としてもよいし、平面ミラー401をハーフミラーとしてハーフミラーの透過光を取り出す構成としてもよい。さらに、平面ミラー401の代わりにスリットを設け、このスリットを選択したい波長の光が透過する構成としてもよい。
また、回折格子101に対して光を正面から入射させ、回折光を取りだす構成も可能である。この構成では回折格子の表面全面で光束をジャストフォーカス出来るため好ましい。
また、図4(b)のように、入射光L4や回折光L5とは異なる光路を持つ別の回折次数の光L6を取り出す構成としてもよい。
また、透過型の回折格子402を用いる場合、透過光の光路上に、回折された光のうち特定の波長の光を選択するための選択光学系としての光学素子403、例えばスリットを設けることで波長選択を行うことができる。
(用途)
上記波長可変光源はOCT、分光器などの光検出器、多波長画像取得装置、測距装置に用いることができる。
上記波長可変光源はOCT、分光器などの光検出器、多波長画像取得装置、測距装置に用いることができる。
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る波長選択フィルタについて図5を用いて説明する。ここでは、実施形態1に係る波長選択フィルタの説明と異なる点について説明し、共通する事項については説明を省略する。
本発明の実施形態2に係る波長選択フィルタについて図5を用いて説明する。ここでは、実施形態1に係る波長選択フィルタの説明と異なる点について説明し、共通する事項については説明を省略する。
図5において、拡大光学系502は一対のトーリックレンズ502a,502bとで構成される。照射光学系103からの照射光の偏向に合わせ、回折格子501は曲面上となっている。この曲面は第一の方向505に対しては曲率を持たず、照射光を走査する方向であり、第一の方向505と垂直な方向である第二の方向506に対してのみ曲率を有している。曲率は、入射光L8の進行方向と、入射光L8が照射される回折格子の位置とが垂直となるように設定される。回折格子の格子パターンの周期方向は第一の方向505である。
本実施形態においては、トーリックレンズ502aが入射光L7を第一の方向505へ拡大し、トーリックレンズ502bが平行光束となるようにする機能を有する。このようにトーリックレンズ502a,502bを用い、かつ、第二の方向506に曲率を有する回折格子を用いる場合、実施形態1で用いた凸レンズ103bが不要となる。
本実施形態に係る波長選択フィルタについても、照射光学系103を用いて光の照射位置を変えることで、入射した光から選択する光の波長を変化させることができる。そして、入射した光L1の光束径が小さくても、トーリックレンズ502aによって光束径が大きくなるため、実施形態1と同様最終的に選択される光の線幅は狭い。さらに、上記の通り選択する波長を変えるために駆動する照射光学系103に入射させる光の光束径は小さくても狭線幅な光が選択されるため、照射光学系103を大きくする必要がなく、高速に駆動でき、選択する波長を高速に変えることができる。
本実施形態における照射工学系103として、電気工学決勝などを用いたビーム変更機を用いると、高速に走査できるため好ましい。また、照射位置可変素子103としてガルバノミラーあるいはMEMSミラーを用いると大きな偏向角を得ることができるため好ましい。
(波長可変光源)
上記実施形態1および2に係る波長選択フィルタは波長可変光源に用いることができる。ここでは実施形態1で説明した波長選択フィルタを用いた例について図6を用いて説明する。
上記実施形態1および2に係る波長選択フィルタは波長可変光源に用いることができる。ここでは実施形態1で説明した波長選択フィルタを用いた例について図6を用いて説明する。
本発明の実施形態に係る波長可変光源は、発光素子601と、発光素子601から出た光から特定の波長を選択する波長選択フィルタとを有する。そして、波長選択フィルタは、上記実施形態1で説明したものである。
実施形態1に係る波長選択フィルタは、上記の通り狭線幅な光で、かつ、選択する波長を高速に変えることができるため、実施形態に係る波長可変光源は射出される光の波長を狭線幅、かつ、光束に波長可変することができる。
本実施形態に係る波長可変光源において、発光素子601が発する光から特定の波長の光を切り出してもよいし、波長選択フィルタと発光素子601とが光共振器の少なくとも一部を構成していてよい。発光素子601として半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifier、以下SOAと略すことがある)などの光増幅器やファイバ光増幅器を用いる場合、これらを含めた光共振器を組む構成にしても良い。その場合にはたとえば回折格子101とハーフミラー602とで構成される光共振器内に発光素子601としての半導体光増幅器を配置する構成が可能である。
光共振器の一方の端は回折格子101に限るものではなく、回折光を図4(a)のように平面ミラー401で折り返す場合には平面ミラー401とすることも可能である。光共振器を構成する場合、本実施形態に係る波長可変光源はレーザ発振させることができ、レーザ発振させる場合、射出させる光の強度が大きいため好ましい。
(発光素子)
本実施形態に係る波長可変光源における発光素子としては、射出させたい波長帯域の波長成分を含む光を発するものであれば特に限定されない。発光素子として例えば、SOA、ファイバ光増幅器、熱光源、SLD(Super Luminescent Diode)を用いることができる。
本実施形態に係る波長可変光源における発光素子としては、射出させたい波長帯域の波長成分を含む光を発するものであれば特に限定されない。発光素子として例えば、SOA、ファイバ光増幅器、熱光源、SLD(Super Luminescent Diode)を用いることができる。
(光干渉断層計(OCT))
上記実施形態に係る波長可変光源を用いたOCTについて説明する。
上記実施形態に係る波長可変光源を用いたOCTについて説明する。
本実施形態に係るOCTは、上記実施形態1、2に記載の波長選択フィルタによって選択された光を用いて物体の断層像を取得するものである。
実施形態に係るOCTの一例は、光源部701、干渉光学系702、光検出部703、情報取得部704、を少なくとも有する構成であり、光源部701は上記で説明した本実施形態に係る面発光レーザである。また、図示していないが、情報取得部704はフーリエ変換器を有する。ここで、情報取得部704がフーリエ変換器を有するとは、情報取得部が入力されたデータに対してフーリエ変換する機能を有していれば形態は特に限定されない。一例は、情報取得部704が演算部を有し、該演算部がフーリエ変換する機能を有する場合である。具体的には、該演算部がCPUを有するコンピュータであり、このコンピュータが、フーリエ変換機能を有するアプリケーションを内蔵する場合である。他の例は、情報取得部704がフーリエ変換機能を有するフーリエ変換回路を有する場合である。光源部701から出た光は干渉光学系702を経て測定対象の物体712の情報を有する干渉光となって出力される。干渉光は光検出部703において受光される。なお光検出部703は差動検出型でも良いし単純な強度モニタ型でも良い。受光された干渉光の強度の時間波形の情報は光検出部703から情報取得部704に送られる。情報取得部704では、受光された干渉光の強度の時間波形のピーク値を取得してフーリエ変換をし、物体712の情報(例えば断層像の情報)を取得する。なお、ここで挙げた光源部701、干渉光学系702、光検出部703、情報取得部704以外の部位を任意に設けることができる。
以下、光源部701から光が発振されてから、測定対象の物体の断層像の情報を得るまでについて詳細に説明する。
光の波長を変化させる光源部701から出た光は、ファイバ705を通って、カップラ706に入り、照射光用のファイバ707を通る照射光と、参照光用のファイバ708を通る参照光とに分岐される。カップラ706は、光源の波長帯域でシングルモードのもので構成し、各種ファイバカップラは3dBカップラで構成することができる。照射光はコリメーター709を通って平行光束になり、ミラー710で反射される。ミラー710で反射された光はレンズ711を通って物体712に照射され、物体712の奥行き方向の各層から反射される。一方、参照光はコリメーター713を通ってミラー714で反射される。カップラ706では、物体712からの反射光とミラー714からの反射光による干渉光が発生する。干渉した光はファイバ715を通り、コリメーター716を通って集光され、光検出部703で受光される。光検出部703で受光された干渉光の強度の情報は電圧などの電気的な情報に変換されて、情報取得部704に送られる。情報取得部704では、干渉光の強度のデータをフーリエ変換し断層像の情報を得る。この、フーリエ変換する干渉光の強度のデータは通常、波数クロックを用いて等波数間隔サンプリングされたデータであるが、等波長間隔にサンプリングされたデータを用いることも可能である。
得られた断層像の情報は、情報取得部704から画像表示部717に送って画像として表示させてもよい。なお、ミラー711を照射光の入射する方向と垂直な平面内で走査することで、測定対象の物体712の3次元の断層像を得ることができる。また、光源部701の制御は情報取得部704が電気回路718を介して行ってもよい。また図示しないが、光源部701から出る光の強度を逐次モニタリングし、そのデータを干渉光の強度の信号の振幅補正に用いてもよい。
本実施形態に係るOCTは、光源701として、上記実施形態に係る波長可変光源を用いるため、波長可変速度を速く、かつ、射出される光の線幅を狭くすることができる。そのため、検体の深い位置の断層像を得られ、かつ、断層像を高速に取得することが可能である。
(光検出器)
上記実施形態1および2に係る波長選択フィルタは波長可変光源に用いることができる。
上記実施形態1および2に係る波長選択フィルタは波長可変光源に用いることができる。
実施形態に係る光検出器は、波長選択フィルタと、この波長選択フィルタによって選択された光を検出する光検出部と、光検出部で検出された光の有する波長成分に関する情報を取得する情報取得部とを有する。含まれる波長成分がわからない光が波長選択フィルタに入射すると、波長選択フィルタによって、波長が選択され、光検出部に入射する。光検出部で検出されたか否かによってある波長成分が含まれるか否かがわかる。また、選択波長を変えていくことで、光にどのような波長成分が含まれるかに関する情報を取得できる。また、情報取得部によって光検出部によって検出される光の波長成分に関する情報を取得して分析することも可能である。
このようにして、本実施形態に係る光検出器は、波長選択フィルタに入射した光の有する波長成分に関する情報を取得することができる。
本実施形態に係る光検出器において用いる波長選択フィルタが、上記実施形態に係る波長選択フィルタであるため、波長選択を高速に行うことができるため、光検出器で検出される光の波長を高速に変えることができる。また、上記実施形態に係る波長選択フィルタは選択された波長の光を狭線幅にできるため、高分解能な波長スペクトルの取得および分析が可能である。
(実施例1)
本実施例では、本発明の波長選択フィルタの構成例を示す。図8にその構成図を示す。
本実施例では、本発明の波長選択フィルタの構成例を示す。図8にその構成図を示す。
図8において回折格子801は、図8のように格子周期が格子パターンの周期方向(第一の方向805)と垂直方向(第二の方向806)に変化している格子である。回折格子801の格子周期は1um(1000本/mm)から1.01um(990本/mm)まで変化する。
回折格子801に対する光の入射角は24.87度にすることで、波長840nm帯において回折格子に入射した光の1次回折光が入射光路をそのまま戻る構成となっている。
外部から入射する光804としては、840nmを中心波長とする広帯域な発光スペクトルをもつSLDを用いる。
外部から入射する光804は、回折格子801の表面上において、その格子パターンの周期方向805の幅が、強度が1/e2になる半幅で2.5mmになるように、一対のシリンドリカルレンズ802で拡大され照射される。これは回折格子の波長分解能を0.2nmとしているため、この波長分解能の実現のために設計では波長分解能0.19nmを想定しているためである。
照射光学系803はガルバノミラー808及び凸レンズ807で構成される。ガルバノミラーは1kHzで駆動し、掃引角度は±10度である。凸レンズ807の焦点距離を28.4mmとし、ガルバノミラー808の回転軸をその焦点に合わせる。この構成により回折格子上での照射位置可変幅が約10mmとなる。
光804はレンズ809によりその径を100umでコリメートされ、回折格子801上で、その格子ベクトルと垂直方向806への厚さが100umの光束として照射する。
回折格子上の、格子が1000本/mmの位置814から格子が990本/mmの位置813までの距離は10mmにする。この条件では上記光束の厚さ100um内での格子パターンの周期の変化量は0.1nmである。この値は式(5)でΛ=1×10−6、α=24.87度、w=2.5×10―3として求めたdΛの値である0.23nm以下の条件も満たしている。
このような構成により、回折格子上の位置814に照射する際には波長850nmの光が選択され入射光路を戻り、位置813に照射する際には波長840nmの光を選択することができる。あるいは別の構成例としては、たとえば入射光を回折格子801に対して正面から光を入射させ、1次回折光のある角度成分のみ平面ミラーで回折格子に折り返すことで波長選択し、−1次の回折光を外部に取りだす構成も可能である。
(実施例2)
本実施例では、波長可変光源の例を図9を用いて説明する。
図9において回折格子901は、格子パターンの周期が格子の周期方向と垂直方向に変化する格子である。また回折格子901は曲面902上に配置されている。回折格子901の格子パターンの周期は580nm(1720本/mm)から530nm(1890本/mm)まで変化する。
本実施例では、波長可変光源の例を図9を用いて説明する。
図9において回折格子901は、格子パターンの周期が格子の周期方向と垂直方向に変化する格子である。また回折格子901は曲面902上に配置されている。回折格子901の格子パターンの周期は580nm(1720本/mm)から530nm(1890本/mm)まで変化する。
回折格子901に対する光の入射角は49.11度にすることで、波長840nmにおいて回折格子に入射した光の1次回折光が入射光路をそのまま戻るように構成可能である。
840nmを中心波長とするSOAを発光素子907として用いる。発光素子907は駆動電源911によって駆動、制御される。発光素子907から発せられた光は照射光学系としての光照射位置可変素子906によってその角度が変わる。本実施例において光照射位置可変素子906として電気光学結晶を用いた偏向器を用いる。この偏向器の偏向角は10度、駆動周波数は100kHzである。照射光学系906は電源910によって電圧印加される。
また光照射位置可変素子906から回折格子までの距離は113mmとする。これにより回折格子面上での光照射位置の変化量は約20mmとなる。
そこで回折格子上901上の、格子定数が1720本/mmの位置914から格子定数が1890本/mmの位置913までの長さは20mmにする。
光束照射位置可変素子906を経た光は、一対のトーリックレンズ905を用いて光束の半値半幅2mm、半値全幅4mmに拡大し回折格子901に照射される。これは所定の波長分解能として0.04nmを目指すため、設計では波長分解能0.034nmに相当する照射光束幅を与えているものである。
また、回折格子901に照射された光束は元の光路を戻り、光束照射位置可変素子906を経てアパーチャ909に到達する。アパーチャ径は、回折格子の周期方向と垂直方向916の厚さを10umにする。これにより、回折格子901に照射される光成分のうち、回折格子の格子パターンの周期方向915と垂直方向916の厚さが10um分以下の光の成分のみをアパーチャ909にて発光素子907に帰還する。回折格子は上記のように長さ2cmで波長800nmから880nmに変化する。したがって光束の厚さが10umの成分を帰還することは0.04nmの波長幅の光を帰還することに相当する。
このようにアパーチャ909を光路に配置することで、照射光が伝搬中に回折格子の周期方向と直角方向に広がることによる波長分解能の劣化を抑制、すなわち狭線幅な光を得ることが可能である。
また発光素子907からの射出光908を、不図示のミラーなどにより再度、発光素子907そして回折格子901に戻すことで光共振器を構成し、波長可変レーザとすることもできる。
101 回折格子
102 拡大光学系
103 照射光学系
102 拡大光学系
103 照射光学系
Claims (14)
- 互いに周期が異なる格子パターンを有する複数の回折格子と、
前記回折格子の各々に照射される光を、前記格子パターンを横切る第一の方向に対して平行な方向に拡大させる拡大光学系と、
前記拡大光学系を経た光の前記回折格子への照射位置を可変とする照射光学系と、
を有し、
前記照射光学系によって前記光が照射される回折格子を切り替えることにより、選択される波長を切り替えることを特徴とする波長選択フィルタ。 - 前記拡大光学系は、前記回折格子に照射される光を平行光束にするように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の波長選択フィルタ。
- 前記波長選択フィルタが、さらに前記回折格子によって回折された光の一部を選択する選択光学系を有することを特徴とする請求項1に記載の波長選択フィルタ。
- 前記複数の回折格子は、同一面上の前記第一の方向と直交する第二の方向に沿って配列されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の波長選択フィルタ。
- 前記格子パターンの周期が、前記第二の方向に沿って不連続に変化していることを特徴とする請求項4に記載の波長選択フィルタ。
- 前記回折格子が定数Δλに対して下記式(1)を満たすように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の波長選択フィルタ。
上記式(1)において、Λiは前記格子パターンのうち、i番目の格子パターンの周期であり、Λi+1は前記i番目の格子パターンに隣接するi+1番目の格子パターンの周期であり、αは前記回折格子への前記平行光束の入射角であり、βは前記回折格子からの回折光の回折角であり、mは0以外の整数である。 - 前記回折格子が定数Δkに対して下記式(2)を満たすように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の波長選択フィルタ。
上記式(2)において、Ki=2π/Λi、Ki+1=2π/Λi+1であり、Λiは前記格子パターンのうち、i番目の格子パターンの周期であり、Λi+1は前記i番目の格子パターンに隣接するi+1番目の格子パターンの周期であり、αは前記回折格子への前記平行光束の入射角を、βは前記回折格子からの回折光の回折角であり、mは0以外の整数である。 - 前記拡大光学系はシリンドリカルレンズを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の波長選択フィルタ。
- 前記拡大光学系はトーリックレンズを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の波長選択フィルタ。
- 前記照射光学系が電気光学結晶を用いた偏向器を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の波長選択フィルタ。
- 発光素子と、前記発光素子から出た光から特定の波長を選択する波長選択フィルタとを有する波長可変光源であって、
前記波長選択フィルタは、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の波長選択フィルタ
であることを特徴とする波長可変光源。 - 前記波長選択フィルタと前記発光素子とが、光共振器の少なくとも一部を構成していることを特徴とする請求項11に記載の波長可変光源。
- 請求項1乃至10に記載の波長選択フィルタによって選択された光を用いて物体の断層像を取得する光干渉断層計。
- 波長選択フィルタに入射した光の有する波長成分に関する情報を取得する光検出器であって、前記波長選択フィルタと、前記波長選択フィルタによって選択された光を検出する光検出部とを有し、
前記波長選択フィルタが、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の波長選択フィルタ
であることを特徴とする光検出器。
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WO2019172166A1 (ja) * | 2018-03-05 | 2019-09-12 | パイオニア株式会社 | 走査装置及び測距装置 |
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