上記回路部品装着機は、回路基板に回路部品を装着するといった単一種の作業しか行うことができず、汎用性に欠けるものとなっている。例えば、製造対象を電気回路以外のものに拡大できるようにすること、複数種の作業を行い得るようにすること等によって製造作業機の汎用性を高めることが可能となる。本願発明は、そのような実情に鑑み、汎用性の高い製造作業機を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、製造作業を行うための本願発明の製造作業機は、その製造作業における主たる作業を実行する主ヘッド装置と、その主たる作業に対する補助的な作業を実行する補助ヘッド装置とを備え、前記補助ヘッド装置が、部品を押さえる作業を前記補助的な作業として実行し、前記主ヘッド装置が、前記補助ヘッド装置によって部品を押さえた状態において、前記主たる作業を実行するように構成される。
本願発明の製造作業機は、実行する作業の種類において互いに異なる複数の作業ヘッド装置として、部品を押さえる補助ヘッド装置と、その補助ヘッド装置によって部品を押さえた状態において主たる作業を実行する主ヘッド装置とを備え、それら2つの作業ヘッド装置が協働の作業を行うことで、汎用性の高い製造作業機となる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の(1)項,(21)項,(31)項,(32)項,(33)項をを合わせたものに、「補助ヘッド装置が補助的な作業として部品を押さえる作業を行い、その部品を押さえた状態において主ヘッド装置が主たる作業を実行する」旨の限定を加えたものが、請求項1に相当し、請求項1に「補助ヘッド装置が部品保持ヘッドとしても機能する」旨の限定を加えたものが、請求項2に、請求項2に「補助ヘッド装置が部品保持ヘッドとして保持した部品を押さえる」旨の限定を加えたものが、請求項3に、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに、「主ヘッド装置の行う作業」についての限定を加えたものが、請求項4,請求項5に、それぞれ相当する。
≪基本的構成≫
以下に、基本的構成に関するいくつかの態様を説明する。
(1)製造作業を行うための製造作業機であって、
それぞれが、前記製造作業を構成する複数の作業要素のうちの1つを実行する複数の作業要素実行装置を備えた製造作業機。
本製造作業機によって行われる「製造作業」、つまり、本製造作業機の実施対象作業は、特に限定されるものではなく、例えば、複数の部品によって組み立てられる組立物を組み立てる組立作業を始め、作業対象物(「部品」,「組立物」,「ワーク」等を含む概念である)に対して何らかの加工,処理等を施すような種々の作業が、実施対象作業となる。より具体的に言えば、何らかの加工を施す作業としては、例えば、プレス作業等の作業対象物を変形させる作業、切断作業等の作業対象物の一部を取り除く作業、切削作業等の作業対象物を成形する作業等が実施対象作業となる。また、何らかの処理を施す作業としては、例えば、レーザ,プラズマ等による作業対象物の表面改質作業、接着剤,着色剤等を作業対象物に塗布する塗布作業、熱風,冷風等によって作業対象物を加熱・乾燥・冷却等する熱処理作業、研磨等の表面仕上作業等の作業、1の部品に組み付けられた他の部品をねじ込む等によって固定等する作業、固着,硬化等の目的で作業対象物に光線,紫外線,電磁波等を照射等する作業等が実施対象作業となる。なお、組立作業,何らかの加工・処理等を施す作業等の作業結果を検査する検査作業も、実施対象作業となり得る。
「作業要素」は、例えば、作業対象物について行われる移動、回転、姿勢変更、処理、加工等のうちの1つのものを意味する。1の製造作業は、それらの作業要素の連携によって行われ、実施対象作業によって、作業要素の種類,数,連携の態様は異なる。「作業要素実行装置」は、1つの作業要素を実行する装置であり、例えば、作業要素に応じた単一の機能を有する装置と考えることができる。具体的には、例えば、実施対象作業が組立作業の場合には、後に説明するような、(a)1の部品を当該製造作業機外からの搬入,組立物の当該製造作業機外への搬出等の搬送を実行する搬送装置、(b)別の部品の供給を実行する部品供給装置、(c)部品供給装置によって供給された部品を上記1の部品に組み付けるための保持を実行する部品保持ヘッド(「作業ヘッド装置」の一種であり、「キャリーヘッド」とも呼ばれる)、(d)部品保持ヘッドによって保持された部品を移動させるために当該部品保持ヘッド装置を移動させるヘッド移動装置等の各々が、作業要素実行装置として、製造作業装置に配備される。組立作業において、あるいは、組立作業の結果を検査する検査作業において、部品あるいは組立物の位置,姿勢,組立精度等を認識するために当該部品,組立物を撮像するカメラ等の撮像装置も、撮像処理という作業要素を実行する作業要素実行装置となり得、組立作業において、2つの部品の固着のためにそれら2つの部品の少なくとも一方に接着剤を塗布する接着剤塗布装置も、接着剤の塗布という作業要素を実行する作業要素実行装置となり得る。なお、レーザ処理,プラズマ処理を始め上記何らかの加工・処理等を施す種々の装置も、それらの処理が行われる製造作業において、作業要素実行装置となり得る。
(2)当該製造作業機が、
前記複数の作業要素実行装置を、それぞれがそれら複数の作業要素実行装置の1つが行う1つの動作についての指令である複数の動作指令を順次送信することによって、統括して制御する統括制御装置を備えた(1)項に記載の製造作業機。
本項の態様によれば、上記統括制御装置によって、当該統括制御装置から送信される各動作指令の内容を変更するだけで、製造対象の変更等に対して、フレキシブルに対応することが可能である。
(3)前記複数の作業要素実行装置の各々が、自身の動作の制御を司る個別制御装置を備える(1)項または(2)項に記載の製造作業機。
本項の態様によれば、各作業要素実行装置が、自身の個別制御装置によって行われる。簡単に言えば、各作業要素実行装置がインテリジェント化された態様である。なお、製造作業機に、個別制御装置を有していない作業要素実行装置が含まれていてもよく、その場合は、個別制御装置を有する作業要素実行装置だけが、本項における作業要素実行装置に相当することとなる。
(4)前記複数の作業要素実行装置の各々が、
自身の対象となる作業要素を実行するための1以上の作動デバイスを備え、自身が備える前記個別制御装置がその1以上の作動デバイスを制御するように構成された(3)項に記載の製造作業機。
本項にいう「作動デバイス」は、例えば、1つの作業要素実行装置における制御可能な1つの作動主体、あるいは、モータ等のその作動主体の駆動源と考えることができる。典型的には先に説明した部品保持ヘッドにおいては、その保持のためのデバイスが作動デバイスとなる。例えば、作業要素実行装置が搬送装置である場合に、コンベア等の搬送デバイスが1つの作動デバイスとなり、搬送に付随してその搬送物を固定するための固定デバイスを有している場合に、その固定デバイスも作動デバイスとなる。また、後に説明するXY型あるいはXYZ型ヘッド移動装置が作業要素実行装置となる場合、X,Y,Z方向のそれぞれの移動を分担する直線型移動装置の各々が作動デバイスとなる。なお、作動デバイスは、アクチュエータとして機能するものに限定されず、例えば、プラズマ処理装置,レーザ処理装置等が作業要素実行装置となる場合には、プラズマ発生器,レーザ発生器等も作動デバイスとなり得、撮像装置が作業要素実行装置となる場合には、カメラ等の撮像デバイスの他に、照明器等も作動デバイスとなり得る。さらに言えば、上述した何らかの処理・加工等を施す動作主体となるものも作動デバイスとなり得る。なお、作業要素実行装置が、複数の作動デバイスを備える場合、それら複数の作動デバイスを1つの個別制御装置で制御することになり、その作業要素実行装置は、インテリジェント化が進んだ装置となる。
(5)当該製造作業機が、
前記複数の作業要素実行装置を、それぞれがそれら複数の作業要素実行装置の1つが行う1つの動作についての指令である複数の動作指令を順次送信することによって、統括して制御する統括制御装置を備え、
前記個別作業装置が、
前記統括制御装置から送信された動作指令の内容を認識し、前記複数の作業要素実行装置のうちの自身の備わるものがその動作指令に対応する1つの動作を行うべく前記1以上の作動デバイスの作動を制御するように構成された(4)項に記載の製造作業機。
本項の態様は、個別制御装置が統括制御装置からの動作指令の内容を理解して適切な作動デバイスの作動を行う態様であり、本項の態様における作業要素実行装置は、相当にインテリジェント化が進んだ装置となる。製造作業に応じて、作業要素実行装置の交換(当該装置を製造作業機から外すことと、当該装置を製造作業機に付けることとの両者を含む概念である)する場合、統括制御装置に構成に変更を加えることなく、単に動作指令の内容を変更するだけで、その作業要素実行装置の交換に対処することが可能である。
(6)当該製造作業機が、
前記複数の作業要素実行装置を、それぞれがそれら複数の作業要素実行装置の1つが行う1つの動作についての指令である複数の動作指令を順次送信することによって、統括して制御する統括制御装置を備え、
その統括制御装置が、1のプロトコルに従って動作指令を前記複数の作業要素実行装置の各々に送信するための統括インタフェイス部を備えるとともに、前記複数の作業要素実行装置の各々の前記個別制御装置が、前記統括制御装置から送信された動作指令を前記1のプロトコルに従って受信するための個別インタフェイス部を備えた(3)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の製造作業機。
本項の態様は、簡単に言えば、各作業要素実行装置が備える個別制御装置のインタフェイスを同じものとした態様である。本項の態様によれば、作業要素実行装置が交換されるような場合であっても、その交換に対して容易に対処可能である。
(7)前記複数の作業要素実行装置のうちの少なくとも1つのものが、
前記複数の作業要素のうちの1つのものを実行するために動作する部分に前記個別制御装置が組み込まれてユニット化された(3)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の製造作業機。
本項の態様における上記作業要素実行装置は、簡単に言えば、例えば、本体部、つまり、作業のために動作する機構を有する部分と、個別制御装置とが一体化された装置と考えることができる。上記のようにユニット化された作業要素実行装置は、交換の際、その交換が容易に行えることになる。
(8)当該製造作業機が、
ベースを備え、前記複数の作業要素実行装置のうちの少なくとも1つのものが、前記ベースと前記複数の作業要素実行装置のうちの自身とは別のものとの一方に着脱可能に構成された(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の製造作業機。
作業要素実行装置が着脱可能とされば、その作業要素実行装置の交換を容易に行うことが可能である。なお、作業要素実行装置の着脱がワンタッチで行えるような機構を採用することが望ましい。言い換えれば、所定の操作部材の単一の操作によって当該装置の固定およびその固定の解除が行われるような機構を採用することが望ましい。
(9)当該製造作業機が、
前記複数の作業要素実行装置のうちの少なくとも1つのものが、前記複数の作業要素実行装置以外の他の作業要素実行装置と交換可能に構成された(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の製造作業機。
先に説明したように、作業要素実行装置を交換可能とすれば、当該製造作業機を汎用化させることが可能である。言い換えれば、当該製造作業機に製造作業に応じた適当な作業要素実行装置を配備させることによって、その製造作業機を、種々の作業に対応させることができるのである。
(10)当該製造作業機が、前記交換可能な他の作業要素実行装置をも備えた(9)項に記載の製造作業機。
本項の態様の製造作業機は、すべての作業要素実行装置が当該製造作業機の本体に配備されているのではなく、交換可能な作業要素実行装置までもが、単体の状態で、本体および本体に配備された作業要素実行装置とともに、1セットとされた製造作業機である。
(11)当該製造作業機が、複数の部品によって組み立てられる組立物の組立作業を前記製造作業として行う組立作業機である(1)項ないし(10)項のいずれかに記載の製造作業機。
(12)当該製造作業機が、前記複数の部品のうちの1つである第1部品に、前記複数の部品のうちの別の1つである第2部品を組み付ける作業を、前記組立作業の少なくとも一部として行うものである(11)項に記載の製造作業機。
(13)前記複数の作業要素実行装置が、
前記第1部品に前記第2部品を組み付けるために必要な作業、若しくは、前記第1部品に前記第2部品が組み付けられた物に対して実行される作業を、前記複数の作業要素の1つのとして実行する作業ヘッド装置を含んで構成された(12)項に記載の製造作業機。
(14)前記複数の作業要素実行装置が、
前記第1部品と前記組立物との少なくとも一方の搬送を、前記複数の作業要素の1つとして実行する搬送装置を含んで構成された(12)項または(13)項に記載の製造作業機。
(15)前記複数の作業要素実行装置が、
前記第2部品の供給を、前記複数の作業要素の1つとして実行する部品供給装置を含んで構成された(12)項ないし(14)項のいずれか1つに記載の製造作業機。
上記5つの態様は、製造作業機が組立作業機とされた種々の態様である。上記作業ヘッド装置に関する「第1部品を第2部品に組み付けるために必要な作業」は、第1部品を第2部品に組み付ける作業(以下、「組付作業」という場合がある)における「主たる作業」であってもよく、また、「補助的な作業」であってもよい。「主たる作業」には、例えば、組付のために行う第2部品の保持、詳しく言えば、供給された第2部品を第1部品が存在する位置まで運ぶためにその第2部品を保持する作業、第2部品を第1部品にねじ込み等を行って固着させる作業等が含まれる。ちなみに、第2部品の保持を行う作業ヘッド装置は、部品保持ヘッドと呼ぶことができる。また、「補助的な作業」には、定置させられた第1部品の位置,姿勢等の認識のためのその第1部品の撮像、第1部品と第2部品との少なくとも一方への接着剤,処理剤等の塗布等、第1部品の第2部品への組付けに先立って実行される作業が含まれる。ちなみに、上記撮像を行う作業ヘッド装置は、撮像ヘッドと呼ぶことができ、接着剤等を塗布する作業ヘッド装置である塗布ヘッドは、アプリケーションヘッドの一種となる。さらに、「第1部品に第2部品が組み付けられた物に対して実行される作業」には、例えば、組立物の組立精度の認識等のために行うその組立物の撮像等、組立作業における補助的な作業が含まれる。
≪作業ヘッド装置≫
以下に、作業ヘッド装置に関するいくつかの態様を説明する。
(21)前記複数の作業要素実行装置が、作業ヘッド装置を含んで構成された(1)項ないし(15)項のいずれか1つに記載の製造作業機。
「作業ヘッド装置」とは、製造作業において中心的な役割を果たす作業要素実行装置であり、作業対象物の概して上方若しく側方からその作業対象物に対して何らかの動作を与える若しくは何らかの処理を施すための装置と考えることができる。当該製造作業機の実施対象作業に応じて、種々の作業ヘッド装置を採用することが可能である。組立作業において採用可能な作業ヘッド装置は、先に説明したため、ここでの説明は省略する。なお、組立作業以外の作業を行う製造作業機の場合であっても、前述の部品保持ヘッド,塗布ヘッド、撮像ヘッド等もその製造作業機の作業ヘッド装置となり得、また、レーザ発生器を有するレーザヘッド,プラズマ発生器を有するプラズマヘッド等もその製造作業機の作業ヘッド装置となり得る。ちなみに、部品を移動させるための部品移動ヘッド、部品の移動を目的として部品を保持する部品保持ヘッド等を、キャリーヘッドと呼ぶこともでき、塗布ヘッド,撮像ヘッド,レーザヘッド,プラズマヘッド等、先に説明した何らかの加工・処理を施す作業ヘッド装置を、プロセスヘッドと総称することもできる。
(22)前記作業ヘッド装置が、他の作業ヘッド装置と交換可能に構成された(21)項に記載の製造作業機。
(23)当該製造作業機が、前記交換可能な他の作業ヘッド装置をも備えた(22)項に記載の製造作業機。
上記2つの項の態様は、製造作業機の汎用化に大きく貢献する態様である。
(24)前記作業ヘッド装置が、
当該作業ヘッド装置が実行する作業における作業主体となる主デバイスと、その主デバイスを移動させる移動デバイスとを有する(21)項ないし(23)項のいずれか1つに記載の製造作業機。
本項の態様は、作業ヘッド装置が複数の作動デバイスを有する一態様である。本項にいう「主デバイス」は、実行される作業要素において中心的な役割を果たすデバイスである。また、「移動デバイス」の機能である「主デバイスを移動させる」とは、狭義の「移動」のみならず、「回転」,「回動」,「振動」,「揺動」等をも含むことを意味する。部品保持ヘッドを例にとって説明すれば、例えば、吸着ノズル,チャック,クランプ等を先端に有する部品保持デバイス(例えば、軸状のもの)が主デバイスに相当し、その部品保持デバイスを軸線方向に移動させるアクチュエータ,軸線回りに回転させるアクチュエータ等が、移動デバイスに相当するものとなる。
≪複数の作業ヘッド装置≫
以下に、作業ヘッド装置を複数備えた製造作業機に関するいくつかの態様について説明する。
(31)前記複数の作業要素実行装置が、それぞれが前記作業ヘッド装置である複数の作業ヘッド装置を含んで構成された(21)項ないし(24)項に記載の製造作業機。
作業ヘッド装置を複数備えることによって、製造作業機のスループット,汎用性等が高まることになる。例えば、互いに同じ作業ヘッド装置を複数備えることによって、当該製造作業機の生産性を高めることが可能である。また、同種作業ヘッドを複数備えることによって、作業対象物の範囲が拡大することになる。
(32)前記複数の作業ヘッド装置が、
実行する作業の種類において互いに異なる第1作業ヘッド装置と第2作業ヘッド装置とを含んで構成された(31)項に記載の製造作業機。
本項の態様は、当該製造作業機が、複数種の作業ヘッド装置、言い換えれば、互いに機能の異なる複数の異なる複数の作業ヘッド装置を備えた態様である。本項において「実行する作業の種類において互いに異なる」とは、第1作業ヘッド装置が実行する作業要素と、第2作業ヘッド装置が実行する作業要素とが互いに異なることを意味する。例えば、自身の対象となる作業要素として、部品保持ヘッドは運搬・移動のための部品の保持を、塗布ヘッドは接着剤等の塗布を、撮像ヘッドは対象物の撮像を、それぞれ実行し、これらの作業ヘッド装置は、実行する作業の種類において互いに異なることになる。実行する作業要素が異なる作業ヘッド装置を備えることにより、当該製造作業機は、複雑な内容の製造作業、言い換えれば、互いに種類の異なる作業が複合したような製造作業を行うことが可能となる。
(33)前記第1作業ヘッド装置が、前記製造作業における主たる作業を、前記複数の作業要素のうちの1つとして実行する主ヘッド装置とされ、前記第2作業ヘッド装置が、その主たる作業に対する補助的な作業を、前記複数の作業要素のうちの別の1つとして実行する補助ヘッド装置とされた(32)項に記載の製造作業機。
本項の態様における「主たる作業」は、当該製造作業機が行う製造作業において中心的な若しくは中核をなす作業要素を意味し、「補助的な作業」は、その主たる作業に関連して行われる作業要素と考えることができる。例えば、主ヘッド装置によって行われる作業と、補助ヘッド装置によって行われる作業とが、一連の作業、若しくは、協働の作業(共同作業,同期作業,協調作業等を含む概念である)となるような態様が、本項の態様に含まれる。実施対象作業に応じて、種々の作業が、主たる作業,補助的な作業となり得る。実施対象作業が組立作業である組立作業機の場合には、先に説明したように、例えば、部品保持ヘッド等が主ヘッド装置となり、塗布ヘッド,撮像ヘッド等が補助ヘッド装置となり得る。
なお、例えば、1の部品に別の部品を組み込むような作業を行う製造作業機の場合であって、その作業の際に、その1の部品の支持,位置固定等を要する場合に、別の部品のねじ込み,圧入等を行うヘッドが主ヘッド装置となり、その別の部品の支持,位置固定等を行うヘッドが補助ヘッド装置となる。また、例えば、レーザ処理等、作業対象物に何らかの加工・処理等を行う作業においても、それら加工・処理等の際に、作業対象物を支持・位置固定・押圧等を行う必要がある場合には、作業対象物に加工・処理等を行うヘッドが主ヘッド装置となり、それら作業対象物を支持・位置固定・押圧等を行うヘッドが補助ヘッド装置となる。このような組み込みの作業,加工・処理等は、2つの作業ヘッド装置が協働の作業を行う一例であり、そのような協働作業では、あたかも人間が両方の手で1つの作業対象物を扱うように、2つの作動ヘッド装置が協働することになる。
(34)前記製造作業機が、複数の部品によって組み立てられる組立物の組立作業を前記製造作業として行う組立作業機であり、かつ、前記複数の部品のうちの1つである第1部品を、前記複数の部品のうちの別の1つである第2部品に組み付ける作業を、前記組立作業の少なくとも一部として行うものであり、
前記第1作業ヘッド装置が、前記第1部品に前記第2部品を組み付けるために必要な作業として、前記第2の部品の保持を実行するものとされた(32)項または(33)項に記載の製造作業機。
本項の態様は、組立作業を行う製造作業機において、上記第1作業ヘッド装置を具体的に限定した態様である。本項の態様では、例えば、先に説明した部品保持ヘッド等、いわゆるキャリーヘッドが、第1作業ヘッド装置となり得る。なお、部品保持ヘッドは、上述の主たる作業を行う主ヘッド装置に相当すると考えることができる。
(35)前記第2作業ヘッド装置が、
(A)前記第1部品に前記第2部品を組み付けるために必要な作業としての、前記第1部品に第2部品を組み付ける作業に先立って実行される作業と、(B)前記第1部品が前記第2部品が組み付けられた物に対して実行される作業との一方を実行するものとされた(34)項に記載の製造作業機。
本項の態様は、組立作業を行う製造作業機において、上記第2作業ヘッド装置を具体的に限定した態様である。本項の態様では、例えば、先に説明した塗布ヘッド,撮像ヘッド等が、第1部品に第2部品を組み付ける作業に先立って実行される作業を行う作業ヘッド装置となり得、撮像ヘッド等が、第1部品が第2部品が組み付けられた物に対して実行される作業を行う作業ヘッド装置となり得る。ちなみに、それら塗布ヘッド,撮像ヘッド等は、いわゆるプロセスヘッドと呼ぶことができるものであり、また、本項の態様においては、それらは、上述の補助的な作業を行う補助ヘッド装置に相当すると考えることができる。
(36)前記複数の作業ヘッド装置のうちの少なくとも1つのものが、それら複数の作業ヘッド装置以外の他の作業ヘッド装置と交換可能に構成された(31)項ないし(35)項のいずれか1つに記載の製造作業機。
(37)前記製造作業機が、前記交換可能とされた他の作業ヘッド装置をも備えた(36)項に記載の製造作業機。
上記2つの項の態様は、製造作業機の汎用化に大きく貢献する態様である。
≪ヘッド移動装置≫
以下に、作業ヘッド装置を移動させるための装置に関するいくつかの態様について説明する。
(41)前記複数の作業要素実行装置が、
前記作業ヘッド装置の移動を、前記複数の作業要素のうちの1つとして実行するヘッド移動装置を含んで構成された(21)項ないし(36)項のいずれか1つに記載の製造作業機。
「ヘッド移動装置」の機能である「作業ヘッド装置の移動」とは、狭義の「移動」のみならず、「回転」,「回動」,「振動」,「揺動」等をも含む意味である。その移動の態様,機構等については特に限定されず、種々の態様,機構の装置を、ヘッド移動装置として採用することができる。例えば、後に説明するような、1の軌道に沿って移動させる移動装置、2以上の直線型移動装置を組み合わせた移動装置、多関節型ロボットのような移動装置等、種々のものを採用可能である。
なお、複数の作業ヘッド装置を有する製造作業機の場合、複数の作業ヘッドを1つのヘッド移動装置によって移動させるように構成してもよい。それとは反対に、複数の作業ヘッド装置を複数ヘッド移動装置によって移動させるように、詳しく言えば、複数の作業ヘッド装置の各々が、複数のヘッド移動装置の対応するものによって、独立して移動させられるように構成してもよい。裏を返せば、1つのヘッド移動装置は、単一の作業ヘッド装置を移動させるものであってもよく、複数の作業ヘッド装置を移動させるものであってもよいのである。ちなみに、複数のヘッド移動装置によって、複数の作業ヘッド装置を互いに独立して移動させるような態様は、それら複数の作業ヘッド装置が協働して作業するような場合に有効である。
(42)前記ヘッド移動装置が、
前記作業ヘッド装置を保持するヘッド保持部を有し、そのヘッド保持部を移動させることによって、その作業ヘッドを移動させるように構成された(41)項に記載の製造作業機。
(43)前記作業ヘッドが、前記ヘッド保持部に対して着脱可能とされた(42)項に記載の製造作業機。
上記2つの項の態様は、ヘッド移動装置にさらなる構成上の限定を加えた態様である。
≪平面型移動装置≫
以下に、ヘッド移動装置が平面型移動装置を含むいくつかの態様について説明する。
(51)前記ヘッド移動装置が、前記作業ヘッド装置を一平面に沿って移動させる平面型移動装置を含んで構成された(41)項ないし(43)項のいずれか1つに記載の製造作業機。
(52)前記平面型移動装置が、前記作業ヘッド装置を前記一平面としての水平面に沿って移動させるものである(51)項に記載の製造作業機。
上記2つの態様には、後に説明するXY型移動装置の他、上記一平面を規定する部材上を上記ヘッド保持部が自走するような装置を採用することも可能である。それらの態様は、後に説明する上下方向移動装置と組み合わせることによって、XYZ型移動装置を容易に構成できる態様である。なお、製造作業機が、複数の作業ヘッド装置を備えている場合、当該製造作業機の小型化,簡素化等の観点からすれば、それら複数の作業ヘッド装置は、1つの平面型移動装置によって、一緒に、つまり、一体的に移動させられるように構成することが望ましい。
(53)前記平面型移動装置が、
前記一平面に沿って互いに交差する2つの方向の各々に前記作業ヘッド装置を直線的に移動させる2つの直線型移動装置を含んで構成された(51)項または(52)項に記載の製造作業機。
(54)前記2つの直線型移動装置が、前記作業ヘッド装置を互いに直行する方向の各々に移動させるものである(53)項に記載の製造作業機。
上記2つの態様は、平面移動装置が所謂XY型移動装置とされた態様である。上記2つの態様の製造作業機は、上記2つの直線型移動装置の各々が1つの作業要素実行装置となるように構成することもできる。それに対し、ヘッド移動装置若しくは平面型移動装置を1つの作業要素実行装置とし、上記2つの直線型移動装置の各々が、その1つの作業要素実行装置の作動デバイスとなるような構成とすることも可能である。なお、製造作業機が複数の作業ヘッド装置を有する場合、それら複数の作業ヘッド装置を、2つの方向の一方に一緒に(一体的に)移動させる1つの直線型移動装置と、それら複数の作業ヘッド装置の各々を、2つの方向の他方に独立して移動させる複数の直線型移動装置とを含んで構成されてもよい。その構成は、複数の作業ヘッド装置が協働して1つの作業対象物に対して作業を行うような場合に有効である。
(55)前記2つの直線型移動装置の一方が、
前記互いに交差する2つの方向のうちの一方に延びる状態で配設された軸体を有する(53)項または(54)項に記載の製造作業機。
(56)前記軸体が、ボールねじ機構を構成するねじロッドである(55)項に記載の製造作業機。
(57)前記2つの直線型移動装置の他方が、
前記2つの直線型移動装置の一方が有する前記軸体を前記互いに交差する2つの方向のうちの他方に平行移動させることで、前記作業ヘッド装置を、前記互いに直交する2つの方向のうちの他方に移動させるように構成された(55)項または(56)項に記載の製造作業機。
上記3つの項の態様は、所謂XY型移動装置における典型的な構成を示す態様である。上記3つの項のうちの2番目の項の態様においては、軸体がボールねじ用のねじロッドとされているが、他の項の態様においては、軸体は、上記2つの方向のうちの一方への作業ヘッド装置の移動を案内するガイドロッドであってもよい。
(58)前記2つの直線型移動装置の一方が、
前記軸体を前記互いに交差する2つの方向のうちの一方に挿抜可能に構成された(55)項ないし(57)項のいずれか1つに記載の製造作業機。
(59)前記2つの直線型移動装置の他方が、
前記2つの直線型移動装置の一方が有する前記軸体を前記互いに交差する2つの方向のうちの他方に平行移動させることで、前記作業ヘッド装置を、前記互いに直交する2つの方向のうちの他方に移動させるように構成され、
前記軸体が、前記2つの直線型移動装置の他方によって特定の位置に移動させられた状態において、挿抜可能とされた(58)項に記載の製造作業機。
(60)当該製造作業機が、
前記互いに交差する2つの方向の一方における両側面のうちの一方に設けられ、一部に開口が形成された外装パネルを有し、
前記軸体が前記開口を通って挿抜可能とされた(58)項または(59)項に記載の製造作業機。
(61)前記2つの直線型移動装置の他方が、
前記2つの直線型移動装置の一方が有する前記軸体を前記互いに交差する2つの方向のうちの他方に平行移動させることで、前記作業ヘッド装置を、前記互いに直交する2つの方向のうちの他方に移動させるように構成され、
前記開口が、前記2つの直線型移動装置の他方によって前記軸体が特定の位置に移動させられた場合に、その軸体の一端部と向かい合う位置に形成された(60)項に記載の製造作業機。
上記4つの項に記載の態様は、上述した軸体が、その軸体の延びる方向に当該製造作業機に抜き挿し可能とされた態様である。例えば、ボールねじ機構を構成するねじロッドを交換する場合等において有効な態様である。特に、複数の製造作業機が並んで配設されたシステムにおいて、隣り合う製造作業機の外装パネルにも同様の位置に同様の開口を設ける等すれば、たとえ複数の製造作業機が隣接して配置されていても、簡便に、軸体を交換することが可能である。なお、両側に挿抜可能とされてもよく、また、片側にのみ挿抜可能とされてもよい。ちなみに、開口は、穴のみに限定されるものではなく、外装パネルに設けられた切欠きであってもよい。
≪上下方向移動装置およびそれに関連するヘッドの2段移動,撮像装置≫
以下に、ヘッド移動装置が上下方向移動装置を含むいくつかの態様について説明する。
(71)前記ヘッド移動装置が、
前記作業ヘッド装置を上下方向に移動させる上下方向移動装置を含んで構成された(41)項ないし(61)項のいずれか1つに記載の製造作業機。
(72)前記ヘッド移動装置が、前記作業ヘッド装置を保持するヘッド保持部を有し、
前記上下方向移動装置が、そのヘッド保持部を移動させることによって、前記作業ヘッド装置を上下方向に移動させるように構成された(71)項に記載の製造作業機。
上記2つの項における上下方向移動装置は、単独でヘッド移動装置を構成するものであってもよく、上記平面型移動装置とともにヘッド移動装置を構成するものであってもよい。後者の場合は、所謂XYZ型移動装置のZ方向の移動を分担する装置となる。製造作業機を、本上下方向移動装置が1の作業要素実行装置となるように構成することも可能であり、ヘッド移動装置を作業要素実行装置となり、その作業要素実行装置を構成する1の作業デバイスとなるように構成することも可能である。
製造作業機が複数の作業ヘッド装置を備える場合、上下方向移動装置は、それら複数の作業ヘッド装置を一括して若しくは一体として移動させるものであってもよく、それぞれを独立して移動させるようなものであってもよい。前者の場合は、複数の作業ヘッド装置に共通のヘッド保持部が存在するように構成することができ、それに対し後者の場合は、複数の作業ヘッド装置の各々に対して1のヘッド保持部が存在するように構成することができる。なお、後者の場合、ヘッド移動装置が複数の上下方向移動装置を有する態様と考えることができる。ちなみに、複数の作業ヘッド装置を備える場合、それらのすべてが上下方向移動装置によって移動させられる必要はなく、上下方向に移動させられない作業ヘッド装置が存在してもよい。
(73)前記作業ヘッド装置が、当該作業ヘッド装置が実行する作業における作業主体となる主デバイスと、前記ヘッド保持部に保持されてその主デバイスをそのヘッド保持部に対して移動させる移動デバイスとを有する(72)項に記載の製造作業機。
(74)前記移動デバイスが、前記主デバイスを前記ヘッド保持部に対して上下方向に移動させるものである(73)項に記載の製造作業機。
上記2つの態様によれば、主デバイスが、移動デバイスと上下方向移動装置との両方によって移動させられることになり、主デバイスを比較的複雑に移動させることが可能となる。特に、後者の態様によれば、主デバイスが2段階に移動させられるため、言い換えれば、所謂テレスコピック機構を用いて行われるような移動とすることができるため、各デバイス,上下方向移動装置を上下方向の寸法において小型化を図りつつ、主デバイスの上下方向の移動範囲を大きくすることが可能となる。例えば、当該製造作業機が組立作業機であり、作業ヘッド装置が部品保持ヘッド、主デバイスが部品保持デバイスであるときには、その部品保持ヘッドによって保持される部品,その部品が組み付けられる部品の上下方向における寸法が大きい場合であっても、それら部品の組付けのための作業を容易に行うことが可能となる。
(75)当該製造作業機が、撮像装置を備え、
その撮像装置が、前記上下方向移動装置によって、前記作業ヘッド装置とともに上下に移動させられる(71)項ないし(74)項のいずれか1つに記載の製造作業機。
(76)前記ヘッド移動装置が、前記作業ヘッド装置を保持するヘッド保持部を有し、
前記上下方向移動装置が、そのヘッド保持部を移動させることによって、前記作業ヘッド装置を上下方向に移動させるように構成され、
前記撮像装置が、前記ヘッド保持部に取り付けられた(75)項に記載の製造作業機。
(77)当該製造作業機が、複数の部品によって組み立てられる組立物の組立作業を前記製造作業として行う組立作業機であり、かつ、前記複数の部品のうちの1つである第1部品に、前記複数の部品のうちの別の1つである第2部品を組み付ける作業を、前記組立作業の少なくとも一部として行うものであり、
前記撮像装置が、前記第1部品と、前記第1部品に前記第2部品が組み付けられた物との少なくとも一方を撮像するように構成された(75)項または(76)項に記載の製造作業機。
上記3つの態様では、製造作業機がカメラ等の撮像装置を備え、その撮像装置が、上下方向移動装置によって移動させられる。上記3つの態様において、撮像装置は、作業ヘッド装置つまり複数の作業要素実行装置のうちの1つとなるものであってもよく、作業要素実行装置とはならないものであってもよい。製造作業機が、撮像装置とは別に複数の作業ヘッド装置を備えるように構成されている場合、その撮像装置は、それら複数の作業ヘッド装置の少なくとも1つとともに上下に移動させられるようにされればよい。
上記3つの態様によれば、撮像装置の撮像エリアの変更,ピントの調節等を、ズーム機能,ピント調節機能等の撮像装置自体の機能に依存することなく行えるため、そのような機能を有していない撮像装置が配備された製造作業機であっても、撮像対象の寸法等に応じた適切な撮像が可能となる。
なお、例えば、当該製造作業機が組立作業機であり、先に説明した部品保持ヘッド(キャリーヘッド)と、塗布ヘッド等のプロセスヘッドとが配備されている場合には、どちらかと言えば、部品保持ヘッドとともに撮像装置が上下方向に移動させられることが望ましい。撮像装置が上述した第1部品の位置ズレを認識し、その認識結果を基に、部品保持ヘッドが保持する第2部品を第1部品に組み付けるような製造作業機、若しくは、撮像装置が、部品保持ヘッドによって組み付けが行われた物を検査するような製造作業機の場合は、その撮像装置が部品保持ヘッドとともに移動させられるように構成することが望ましい。そのように構成することで、組付け精度,検査精度を、比較的高く維持することが可能となる。
(78)前記複数の作業要素実行装置が、それぞれが前記作業ヘッド装置である複数の作業ヘッド装置を含んで構成され、
前記ヘッド移動装置が、
前記複数の作業ヘッド装置の各々に対応して設けられ、それぞれが、前記上下方向移動装置として機能し、それら複数の作業ヘッド装置のうちの自身に対応するものを上下方向に移動させる複数の上下方向移動装置を備えた(71)項ないし(77)項のいずれか1つに記載の製造作業機。
本項の態様は、複数の上下方向移動装置を備えた態様である。先に詳しく説明しているので、ここでの説明は省略する。
≪搬送装置,部品供給装置≫
以下に、搬送装置,部品供給装置に関するいくつかの態様について説明する。
(81)当該製造作業機が、複数の部品によって組み立てられる組立物の組立作業を前記製造作業として行う組立作業機であり、かつ、前記複数の部品のうちの1つである第1部品に、前記複数の部品のうちの別の1つである第2部品を組み付ける作業を、前記組立作業の少なくとも一部として行うものであり、
前記複数の作業要素実行装置が、
前記複数の部品の1つである第1部品と前記組立物との少なくとも一方の搬送を、前記複数の作業要素のうちの1つとして実行する搬送装置を含んで構成され、
その搬送装置が、その搬送装置以外の他の搬送装置と交換可能に構成された(1)項ないし(78)項のいずれか1つに記載の製造作業機。
(82)当該製造装置が、前記交換可能な他の搬送装置をも備えた(81)項に記載の製造作業機。
(83)前記搬送装置と前記他の搬送装置とが、搬送の機構において互いに異なるものである(81)項または(84)項に記載の製造作業機。
上記3つの態様は、搬送装置に関する態様である。上記3つの項のうちの3つ目の態様において、「搬送の機構において互いに異なる」態様とは、例えば、搬送される搬送対象物の軌跡が互いに異なるようなものが含まれる。例えば、1の搬送装置が、所謂ベルトコンベア方式等、搬送対象物が一平面上を移動するような装置であり、他の搬送装置が、所謂リフトアンドキャリー方式(持ち上げて運ぶ方式)の装置であるような態様が含まれるのである。上記3つの態様は、組立作業機とされた製造作業機の汎用性の向上に貢献する態様となる。
(86)当該製造作業機が、複数の部品によって組み立てられる組立物の組立作業を前記製造作業として行う組立作業機であり、かつ、前記複数の部品のうちの1つである第1部品に、前記複数の部品のうちの別の1つである第2部品を組み付ける作業を、前記組立作業の少なくとも一部として行うものであり、
前記複数の作業要素実行装置が、
前記第2部品の供給を、前記複数の作業要素のうちの1つとして実行する部品供給装置を含んで構成され
前記部品供給装置が、その部品供給装置以外の他の部品供給装置と交換可能に構成された(1)項ないし(83)項のいずれか1つに記載の製造作業機。
(87)当該製造作業機が、前記交換可能な他の部品供給装置をも備えた(86)項に記載の製造作業機。
上記2つの態様は、部品供給装置に関する態様であり、組立作業機とされた製造作業機の汎用性の向上に貢献する態様となる。なお、上記部品供給装置として、複数の部品が配置されたトレイにおいてそれら部品を供給するトレイ型部品供給装置、複数の部品を保持するテープを順送りすることによってそれら部品を供給する、若しくは、バラバラの状態で収容された複数の部品を整列させつつ順送りすることによってそれらの部品を供給するフィーダ型部品供給装置等、種々のタイプの装置を採用することが可能である。
≪製造作業システム≫
以下は、上記製造作業装置を配列した製造作業システムに関する態様である。
(91)(1)項ないし(87)項のいずれか1つに記載の前記製造作業機を複数備え、それら複数の製造作業機が配列され、前記複数の製造作業機の各々による前記製造作業が順次実行されるように構成された製造作業システム。
本項の態様によれば、例えば、複数の工程にわたる製造作業であっても、1の工程を1の製造作業機に担わせることによって、システムとして、その製造作業を完遂することが可能である。なお、システムのサイズを小さくするためには、複数の製造作業機は、隣接して配置されることが望ましい。また、前行程を行う製造作業機からの作業対象物の搬入,後工程を行う製造作業機への作業対象物の搬出を円滑に行うため、各製造作業機が有する搬送装置は、協調して制御されることが望ましい。さらに、例えば、複数の製造作業機のベースを同一化若しくは統一規格化し、作業要素実行装置を複数の製造作業機に共用化することにより、システム自体の汎用性が高まることになる。
以下、請求可能発明の代表的な実施形態を、実施例として、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。また、〔発明の態様〕の各項の説明に記載されている技術的事項を利用して、下記の実施例の変形例を構成することも可能である。
<製造作業機の構成>
図1ないし図3に、実施例の製造作業機10を示す。図1は、製造作業機10の外観図であり、図2は、その製造作業機10の外装パネルである上部カバー12と側面カバー14等を取り外した状態における斜視図であり、図3は、図2における視点と逆向きの視点における斜視図である。製造作業機10は、製造作業として組立作業を行う組立作業機であり、詳しく言えば、第1部品としての板状の基材に対して第2部品としての片状若しくはブロック状の組付部品を組み付ける作業を行う作業機である。その製造作業機10は、自身が行う組立作業を構成する複数の作業要素の各々を実行する複数の作業要素実行装置を備えるものとされており、それら複数の作業要素実行装置の各々が、図2,3に示す本製造作業機10のベースとなるフレーム20に配設される。
図4,5には、図2,3に対して、複数の作業要素実行装置のすべてを配設した図を示す。それら図4,5に示すように、上記複数の作業要素実行装置は、基材を搬送する搬送装置22と,組立部品を供給する部品供給装置24と、基材に組立部品を組み付ける作業において主たる作業を実行する主ヘッド装置とされた第1作業ヘッド装置26と、その主たる作業に対する補助的な作業を実行する補助ヘッド装置とされた第2作業ヘッド装置28とを含んで構成される。また、複数の作業要素実行装置は、それらの装置の他にも、2つの作業ヘッド装置26,28を移動させるヘッド移動装置30と、基材や組立部品を撮像する撮像装置32とを含んで構成される。なお、以下の説明において、搬送装置22によって基材が搬送される方向を左右方向(X方向)と、水平面上においてその左右方向に直角な方向を前後方向(Y方向)と、それら左右方向および前後方向に直角な方向を上下方向(Z方向)と称することとする。
ちなみに、本製造作業機10により組み立てられる組立物を、図6を参照しつつ、簡単に説明すれば、組立物40は、板状の基材42と、複数のブロック状の組付部品(以下、「ブロック」という場合がある)44とから構成されるものである。具体的に説明すれば、まず、基材42には、上方からの視点において長方形状のブロック44Aが2つ組み付けられている。それら2つのブロック44Aの一方の上には、正方形状で高さが互いに異なる2種類のブロック44Bとブロック44Cとが積み重ねられている。また、2つのブロック44Aの他方には、それの上部にブロック44Cが積まれるとともに、ブロック44Cが並べられている。
第1作業ヘッド装置26は、部品供給装置24から供給されたブロック44を運ぶために保持する部品保持ヘッド(キャリーヘッドと呼ぶこともできる)26である。その部品保持ヘッド26は、図7に示すように、下端に部品吸着ノズル50を有し、ブロック44を吸着保持すること、その部品を離脱することが可能な部品保持ヘッド26である。詳しく言えば、その吸着ノズル50は、正負圧供給装置52(図11参照)を介して負圧エア,正圧エア通路に通じており、負圧にて部品を吸着保持し、僅かな正圧が供給されることで保持した部品を離脱する構造となっている。つまり、キャリーヘッドである部品保持ヘッド26は、部品の保持・離脱を、複数の作業要素の1つとして実行する作業要素実行装置として機能する。
一方、第2作業ヘッド装置28は、部品保持ヘッド26を利用して運ばれるブロック44を基材42に組み付けるために必要な補助的な作業要素を実行するプロセスヘッドである。詳しく言えば、そのプロセスヘッドである第2作業ヘッド装置28は、図8に示すように、下端に設けられたディスペンサノズル54と、そのディスペンサノズル54から任意の量の接着剤を吐出させる吐出装置58(図11参照)とを有するディスペンサヘッド28である。つまり、そのディスペンサヘッド28は、基材42にブロック44を組み付ける作業、あるいは、既に組み付けられたブロック44に別のブロック44を組み付ける作業に先立って行われる作業である接着剤の塗布を、複数の作業要素の1つとしての実行する作業要素実行装置として機能する。
上述の2つの作業ヘッド装置26,28は、先に述べたように、ヘッド移動装置30によって移動させられる。図2ないし5に示すように、そのヘッド移動装置30は、XYZロボット型の移動装置であり、フレーム20の上端に配設されている。詳しく言えば、ヘッド移動装置30は、2つの作業ヘッド装置26,28を、水平面に沿って、一緒に移動させる平面型移動装置60と、2つの作業ヘッド装置26,28を、それぞれ単独で上下方向に移動させる2つの上下方向移動装置(Z方向移動装置)62,64とを備えている。その平面型移動装置60は、後に詳しく説明するが、前後方向(Y方向)と左右方向(X方向)との各々に2つの作業ヘッド装置26,28を直線的に移動させる直線型移動装置であるX方向移動装置66およびY方向移動装置68によって構成されており、2つの作業ヘッド装置26,28を水平面上の任意の位置に移動させるものである。また、上下方向移動装置62,64は、後に詳しく説明するが、平面型移動装置60によって作業ヘッド装置26,28とともに水平面上を移動させられ、その水平面上の任意の位置において、作業ヘッド装置26,28を下降させる、あるいは、下降させた位置から上昇させるように構成されている。以下に、ヘッド移動装置30の構造について、詳しく説明する。
フレーム20の左右方向における両端は、前後方向に延びる1対の壁部70(外装パネルとしても機能する)とされており、それら1対の壁部70の各々の上端部にレール72が敷設されている。それら1対のレール72には、ビーム74が渡されており、そのビーム74が1対のレール72に沿って移動し、前後方向に移動可能とされている。それら1対のレール72の一方には、それと並列的に、断面がコの字状のガイドレール76が、上方に開口する状態で設けられている。そして、そのガイドレール76の内側には、ステータとしての磁石78が固定されている。一方、ビーム74には、ガイドレール76が設けられている側の端部に、そのガイドレール76の内部に収まる状態で可動子としての電磁コイル80が固定されている。つまり、それらガイドレール76,磁石78および電磁コイル80を含んで、リニアモータ82が構成されており、そのリニアモータ82によって、ビーム74が前後方向に平行移動させられるようになっている。
また、ビーム74には、ボールねじ機構88が設けられている。具体的に言えば、ねじ溝が形成されたねじロッド90が、左右方向に延びる状態で回転可能にビーム74に保持され、ベアリングボールを保持するナット92が、ねじロッド90のねじ溝に螺合した状態でビーム74に回転不能に保持されている。そして、そのねじロッド90は、ビーム74に固定された電磁モータ94によって回転させられるようになっている。つまり、ねじロッド90が、電磁モータ94によって回転させられることで、ナット92が左右方向に移動させられるようになっている。
2つの上下方向移動装置62,64は、ナット92に並列的に固定されている。それら2つの上下方向移動装置62,64の各々は、同様の構造のものであり、上下方向に延びる状態で回転可能に保持されたねじロッドとそれに螺合するナットとから構成されるボールねじ機構100,101と、ねじロッドを回転させる電磁モータ102,103と、ナットに固定されて上下方向にスライドするスライダ104,105とによって構成される。そのスライダ104に、部品保持ヘッド26が、スライダ105に、ディスペンサヘッド28が、それぞれ保持されている。つまり、2つの上下方向移動装置62,64の各々が有するスライダ104,105が、作業ヘッド装置26,28を保持するヘッド移動装置30のヘッド保持部として機能するものとなっている。
以上のような構成から、平面型移動装置60は、水平面に沿って互いに交差する2つの方向の各々に作業ヘッド装置26,28を直線的に移動させるX方向移動装置66,Y方向移動装置68を備えるものとなっている。X方向移動装置66は、ビーム74に配設されたボールねじ機構88によって、ヘッド保持部としてのスライダ104,105を左右方向移動させることで、作業ヘッド装置26,28を左右方向に移動させるように構成されている。また、Y方向移動装置68が、リニアモータ82によってねじロッド90が配設されたビーム74を前後方向に平行移動させることで、2つの作業ヘッド装置26,28を前後方向に移動させる構成とされている。
ちなみに、図9に示すように、本製造作業機10の側面カバー14には、開口106が形成されている。その開口106は、平面型移動装置60によってビーム74が最も前方に位置させられている状態(図9に示す位置)で、そのビーム74に配設された軸体であるねじロッド90の一端部が向かい合う位置に形成されている。つまり、何らかの失陥等によって、ねじロッド90を交換するような場合には、ねじロッド90は、その開口106を通って概して軸線方向に挿抜できるようになっている。
図10に、上記部品保持ヘッド26のカバーを省略した図を示す。部品保持ヘッド26は、本部品保持ヘッド26が実行する作業主体となる吸着ノズル50を含んで構成される主デバイスである部品保持具108と、スライダ104に保持されて部品保持具108を移動させる移動デバイスである保持具移動装置109とを有するものとされている。具体的には、保持具移動装置109は、上下方向に延びて配設されたねじロッド110とそれに螺合するナット111と含んで構成されるボールねじ機構112と、ねじロッド110を回転させる電磁モータ114と、ナット111に固定されて部品保持具108を保持する主デバイス保持部116とを有している。つまり、図10(b)に示すように、保持具移動装置109は、その保持具移動装置109が取り付けられているスライダ104に対して、部品保持具108を上下方向に移動させることが可能である。したがって、先に説明したヘッド移動装置30の上下方向移動装置62と合わせることで、部品保持具108を上下方向に2段階に移動することが可能とされている。このような構造の部品保持ヘッド26は、各デバイスや上下方向移動装置62を上下方向の寸法において小型化を図りつつ、部品保持具108の上下方向の移動範囲が大きくされているのである。つまり、組付部品の上下方向の寸法が大きい場合や、組立物の上下方向の寸法が大きい場合であっても、組付のための作業を容易に行うことが可能とされているである。
また、上記部品保持具108は、吸着ノズル50を回転させる電磁モータ118を含んで構成されるノズル回転装置119を備えている。つまり、部品保持ヘッド26は、自身が保持した部品の姿勢のズレ、詳しく言えば、上下方向に延びる軸線回りの回転ズレを調整することが可能とされている。
撮像装置32は、部品保持ヘッド26によって保持されたブロック44を撮像するためのベースカメラ120と(図2ないし図5参照)、搬送装置22上の基材42を撮像するためのヘッドカメラ122(図2ないし図5,図7,および図8参照)とを含んで構成される。ベースカメラ120は、搬送装置22と部品供給装置24との間においてフレーム20に配設され、自身の上方を撮像可能とされている。後に詳しく説明するように、組立部品44を保持した部品保持ヘッド26が、そのベースカメラ120上に移動させられて撮像が行われるようにされており、その撮像データに基づいて、部品保持ヘッド26に対する部品44の位置ズレや姿勢ズレ(回転ズレ)が認識されるようになっている。一方、ヘッドカメラ122は、部品保持ヘッド26が保持されたスライダ104に保持されている。詳しく言えば、部品保持ヘッド26側のスライダ104の下端部には、後方側に張り出すブラケット124が設けられており、ヘッドカメラ122は、後方側に延び出す状態で、そのブラケット124に取り付けられ、自身の下方を撮像可能とされている。後に詳しく説明するように、ヘッドカメラ122は、搬送装置22上の基材42や部品供給装置24上の組付部品44を撮像可能となっており、その撮像データに基づいて、基材42の位置ズレや姿勢のズレ,部品44の保持する前の位置等が認識されるようになっている。また、ヘッドカメラ122は、上下方向移動装置62によって、部品保持ヘッド26と一緒に上下方向に移動させられるように構成されている。つまり、ヘッドカメラ122による撮像位置と部品保持ヘッド26による部品の保持位置との距離が比較的小さくされているため、組付時の誤差を小さくでき、組付け精度が比較的高く維持されるようになっている。ちなみに、ベースカメラ120およびヘッドカメラ122が、それぞれ撮像装置と考え、本製造作業機10が、2つの撮像装置を備えていると考えることもできる。
図11に、搬送装置22の斜視図を示す。図11(a),(b)は、互いに反対の方向からの視点における斜視図である。搬送装置22は、ベルト周回装置128を備えており、1対のコンベアベルト130を搬送モータ132によって周回させることで、1対のコンベアベルト130上に載せられる基材42を左右方向に搬送する構造とされている。なお、詳しい説明は省略するが、1対のコンベアベルト130の一方は、電磁モータ134によって前後方向に移動させられるようになっており、種々の幅の基材に対応できるようになっている。また、搬送装置22は、昇降装置136を有しており、昇降台138を上昇させることで、その昇降台138と1対のコンベアベルト130の各々の上方に設けられた鍔部139との間に、基材42を挟み込んで固定することが可能とされている。搬送装置22は、基材42の特定位置への搬入と、その基材42の特定位置での固定と、基材42にブロック44を組み付けたものの搬出とを、複数の作業要素の1つとして実行する作業要素実行装置として機能する。
部品供給装置24は、トレイユニット型(トレイ型)の供給装置であり、ブロック44が載置される複数の部品トレイ140が収納される収納部142と、部品保持ヘッド28に部品を供給可能な位置に複数の部品トレイ140のうちの1つを収納部142から移動させるトレイ移動装置144とを有している。つまり、部品供給装置24は、部品の供給を、複数の作業要素の1つとして実行する作業要素実行装置として機能する。なお、複数の部品トレイ140の各々には、図6に示した組立物40を1つ完成させるために必要なブロック44が、トレイ140における所定の位置に載置されたものであり、部品供給装置24は、組立物40が完成して搬出され、次の基材40が搬入された後に、空の部品トレイから新しい部品トレイに交換されるようになっている。
本製造作業機10は、搬送装置22,部品供給装置24,部品保持ヘッド26,ディスペンサヘッド28,ヘッド移動装置30,撮像装置32の6つの作業要素実行装置を備えている。それら6つの装置の各々は、個別の制御装置を備えており、自身の対象となる作業要素を実行するための1以上の作動デバイスが、その個別制御装置によって制御されるように構成されている。
具体的には、図12に示すように、ヘッド移動装置30は、作動デバイスであるX方向移動装置66,Y方向移動装置68および2つのZ方向移動装置62,64との作動、つまり、それらが有する4つのモータ82,94,102,103の作動を制御するために、個別制御装置である移動装置制御装置160を備えている。また、ヘッド移動装置30は、4つのモータ82,94,102,103に対応する4つのサーボアンプ162,164,166,167とを有しており、移動装置制御装置160が各サーボアンプ162,164,166,167に制御信号を送信することで、X方向移動装置66,Y方向移動装置68および2つのZ方向移動装置62,64の作動を制御する構造とされている。
部品保持ヘッド26は、作動デバイスである正負圧供給装置52,保持具移動装置109およびノズル回転装置118、つまり、2つの電磁モータ114および118の作動を制御するために、個別制御装置である部品保持ヘッド制御装置170を備えている。また、部品保持ヘッド26は、正負圧供給装置52の駆動回路171と,2つの電磁モータ114,118に対応する2つのサーボアンプ172,173とを有しており、部品保持ヘッド制御装置170が駆動回路171および各サーボアンプ172,173に制御信号を送信することで正負圧供給装置52,保持具移動装置109およびノズル回転装置118の作動を制御する構造とされている。ディスペンサヘッド28は、吐出装置58の作動を制御するために、個別制御装置であるディスペンサヘッド制御装置174を備えている。また、ディスペンサヘッド28は、吐出装置58の駆動回路176を有しており、ディスペンサヘッド制御装置174が駆動回路176に制御信号を送信することで吐出装置58の作動を制御する構造とされている。
部品供給装置24は、トレイ移動装置144の作動を制御するために、個別制御装置である供給装置制御装置178を備えている。また、部品供給装置24は、トレイ移動装置144の駆動源であるモータの駆動回路180を有しており、供給装置制御装置178が駆動回路180に制御信号を送信することでトレイ移動装置144の作動を制御する構造とされている。搬送装置22は、ベルト周回装置128および昇降装置136の作動を制御するために、個別制御装置である搬送装置制御装置182を備えている。また、搬送装置22は、ベルト周回装置128が有する搬送モータ132の駆動回路184と,昇降装置136の駆動源である電磁モータの駆動源186とを有しており、搬送装置制御装置182が駆動回路184,186に制御信号を送信することで、ベルト周回装置128および昇降装置136の作動を制御する構造とされている。
撮像装置32は、ベースカメラ120およびヘッドカメラ122による撮像を実行するための制御信号の送信、および撮像によって得られた画像データの処理を実行するために、個別制御装置である撮像装置コントローラ190を有している。撮像装置コントローラ190は、後に説明するサブ統括制御装置192内に設けられているが、サブ統括制御装置192内で独立しており、バス194を介して撮像装置32のキャプチャボード196に接続されている。このため、撮像装置コントローラ190は、サブ統括制御装置192の構成要素ではなく、撮像装置32の構成要素として取り扱うものとする。
また、製造作業機10は、上記6つの作業要素実行装置である搬送装置22,部品供給装置24,部品保持ヘッド26,ディスペンサヘッド28,ヘッド移動装置30,撮像装置32を統括して制御するためのメイン統括制御装置200とサブ統括制御装置192とによって構成される統括制御装置を備えている。メイン統括制御装置200は、主に、各装置22,24,26,28,30,32の個別制御装置160,170,174,178,182,190に動作指令を送信するための制御装置であり、リピータハブ202を介して、動作指令を送信するための同種類のシリアル通信ケーブル204によって各個別制御装置160,170,174,178,182,190と接続されている。また、サブ統括制御装置192は、サブ統括コントローラ206を有しており、そのサブ統括コントローラ206には、各個別制御装置への動作指令の基となるソースプログラム、つまり、ある特定の製造作業を実行するためのソースデータが記憶されている。その記憶されているソースデータは、上記6つの作業要素実行装置の作動がコード化されたものである。サブ統括コントローラ206は、そのソースデータをある特定のプログラミング言語での動作指令に変換し、変換された動作指令をメイン統括制御装置200に送信するように構成されている。サブ統括コントローラ206とメイン統括制御装置200とは、ハブ208を介してLANケーブル210によって接続されており、サブ統括コントローラ206において変換された動作指令が、LANケーブル210を介して、メイン統括制御装置200に送信されるようになっている。また、ハブ208には、そのLANケーブル210と同種類の6本のLANケーブル210の一端が接続されており、それら6本のLANケーブル210の各々の他端が各作業要素実行装置の個別制御装置に接続されている。なお、シリアル通信ケーブル204およびLANケーブル210は、それぞれ、配線部とコネクタ部とから構成されるが、それら配線部とコネクタ部とは、それぞれ、汎用品であってもよく、本製造作業機10専用に開発されたものであってもよい。
また、図1にも示すように、製造作業機10には、製造作業機10の作動に関する情報を入出力するためのタッチパネル式のディスプレイ220が設けられており、メイン統括制御装置200とサブ統括コントローラ206とに接続されている。詳しくは、ディスプレイ220は、ハブ208を介して上記LANケーブル210と同種類のLANケーブル210によってメイン統括制御装置200に接続されており、シリアル通信ケーブル222とRGBアナログケーブル224とによってサブ統括コントローラ206に接続されている。製造作業機10には、さらに、非常停止スイッチ226が設けられており、ターミナルリレー228を介してI/Oケーブル230によってメイン統括制御装置200および各作業要素実行装置の個別制御装置に接続されている。なお、製造作業機10の主電源スイッチ,起動スイッチ等の複数のスイッチ232と、起動中であることを示す表示灯,作動可能であることを示す表示灯等の複数の表示灯234とが、メイン統括制御装置200に接続されている。
<製造作業機の作動>
本製造作業機10は、サブ統括コントローラ206に記憶されているソースデータに従って、上記6つの作業要素実行装置が各々の作業を実行することで、基材40への部品44の組み付け作業を実行するようになっている。具体的には、組立作業に関するソースデータは、まず、サブ統括コントローラ206において、図13に示すような複数の動作指令に変換される。そして、それら複数の動作指令が、サブ統括コントローラ206からメイン統括制御装置200へ、LANケーブル210を介して送信され、それら複数の動作指令が、順次、メイン統括制御装置200によって6つの作業要素実行装置の各々の個別制御装置に、シリアル通信ケーブル204を介して送信される。メイン統括制御装置200から送信される動作指令は、送信先を定めずに、全ての作業要素実行装置の各々の個別制御装置に送信されるが、動作指令には、その動作指令によって作動するべき作業要素実行装置が示されているため、その作動するべき作業要素実行装置の個別制御装置が自身に対応する動作指令を受信し、その動作指令に従って作動するようになっている。つまり、メイン統括制御装置200は、1のプロトコルに従って動作指令を複数の作業要素実行装置の各々に送信するための統括インタフェイス部240(図12参照)を備えるものとされており、複数の作業要素実行装置の各々の個別制御装置が、そのメイン統括制御装置200から送信された動作指令を上記1のプロトコルに従って受信するための個別インタフェイス部242を備えたものとされている。なお、図12においては、個別インタフェイス部242は、移動装置制御装置160にのみ示しているが、他の個別制御装置170,174,178,182も、同様に個別インタフェイス部242を備えたものとなっている。以下に、上記動作指令による作業要素実行装置の作動を具体的に説明する。
まず、メイン統括制御装置200によって、基材42の搬入に関する動作指令(i)が送信される。その動作指令(i)を受信した搬送装置22は、搬送モータ132を作動させて基材42を特定位置まで搬送し、その後、昇降装置136を作動させて基材42をその特定位置に固定する。次いで、メイン統括制御装置200によって、基材42の全体を撮像するためのヘッドカメラ122の移動に関する動作指令(ii)が送信される。その動作指令(ii)を受信したヘッド移動装置30は、平面型移動装置60の2つの直線型移動装置を作動させてヘッドカメラ122を基材42の撮像位置まで移動させる。なお、その際に、上下方向移動装置62は作動させず、ヘッドカメラ122は最も上方に位置させられている。続いて、メイン統括制御装置200によって、基材42の撮像に関する動作指令(iii)が送信される。その動作指令(iii)を受信した撮像装置32は、ヘッドカメラ122の照明を点灯させてヘッドカメラ122により基材42を撮像し、その撮像によって得られた図14(a)に示すような画像データを処理して基材42の位置情報(回転姿勢をも含む)を取得する。なお、その撮影によって取得された基材42の位置情報は、撮像装置コントローラ190からメイン統括制御装置200に送信される。また、上記動作指令(iii)の後、メイン統括制御装置200によって、組付部品44の供給に関する動作指令(iv)が送信される。その動作指令(iv)を受信した部品供給装置24は、トレイ移動装置144を作動させてその部品トレイ140を供給可能位置にセットする。
次に、メイン統括制御装置200によって、最初に組み付ける部品であるブロック44Aの組付位置を撮像するためのヘッドカメラの移動に関する動作指令(v)が送信される。その動作指令(v)を受信したヘッド移動装置30は、平面型移動装置60の2つの直線型移動装置を作動させてヘッドカメラ122を組付位置の上方まで移動させるとともに、上下方向移動装置62を作動させて組付位置を拡大して撮像できる高さまで、ヘッドカメラ122を下降させる。その後、組付位置の撮像に関する動作指令(vi)によって、図14(a)に示すような基材42の組付位置の撮像し、その撮像によって得られた画像データを処理して組付位置の位置情報(回転位置をも含む)を取得する。
次に、ブロック44を組み付ける作業に先立って実行される作業である接着剤の塗布を行うために、ディスペンサヘッド28の移動に関する動作指令(vii)が、メイン統括制御装置200によって送信される。その動作指令(vii)を受信したヘッド移動装置30は、ディスペンサヘッド28を、その動作指令とともに受信した基材42の位置情報に基づいて、組付部品であるブロック44Aを組み付ける位置に移動させ、上下方向移動装置64を作動させて基材42に対して接着剤を塗布するのに適した高さまで下降させる。続いて、接着剤の塗布に関する動作指令(viii)を受信したディスペンサヘッド28は、接着剤を放出して、基材42に接着剤を塗布するのである。
次に、部品保持ヘッド26の部品供給位置への移動に関する動作指令(ix)によって、ヘッド移動装置30は、部品保持ヘッド26を、平面型移動装置60を作動させて部品トレイ140の上方、正確には、そのトレイ140に載置されているブロック44Aの上方に移動させるとともに、上下方向移動装置62を作動させて部品トレイ140から設定された距離L1だけ上方となる位置まで下降させる。続いて、部品44Aの保持に関する動作指令(x)によって、部品保持ヘッド26は、保持具移動装置109を作動させて吸着ノズル50がブロック44Aに当接するまで部品保持具108を下降させ、正負圧供給装置54を作動させてブロック44Aを保持するのである。
なお、保持具移動装置109によって部品保持具108をブロック44Aに当接するまで下降させる際に、部品トレイ140までの距離L1と、部品保持具108を実際に下降させた距離とに基づいて、ブロック44Aの高さHAが認識されるようになっている。それにより、ブロック44Bのように高さが異なる部品であっても、部品を基材42の組付位置まで下降させる場合、その部品の高さを考慮して、その部品44の基材42への接触時に、それら部品44および基材42に大きな負荷が掛からないように保持具移動装置109を制御すること等が可能となる。
次いで、メイン統括制御装置200によって、部品保持ヘッド26が保持した部品44Aを撮像するための部品保持ヘッド26の移動に関する動作指令(xi)が送信される。その動作指令(xi)によって、ヘッド移動装置30は、ブロック44Aを保持した部品保持ヘッド26を、ベースカメラ120の上方まで移動させる。続いて、作動指令(xii)に、ベースカメラ120によるブロック44Aの撮像が行われ、部品保持ヘッド26に対するブロック44Aの位置情報、具体的に言えば、吸着ノズル50に対するブロック44Aの前後方向および左右方向の位置と、回転位置(上下方向に延びる軸線回りの回転角)とが取得される。
上記の撮像の後、動作指令(xiii)によって、ヘッド移動装置30は、部品保持ヘッド26を、平面型移動装置60を作動させて基材42の組付位置まで移動させるとともに、上下方向移動装置62を作動させて組み付ける面(図14(b)は、ブロック44Bを組み付ける場合のものであるため、ブロック44Aの上面となっている。なお、最初のブロック44Aの組付の場合は、基材42の上面である)から設定された距離L1だけ上方となる位置まで下降させる。続いて、動作指令(xiv)によって、部品保持ヘッド26は、回転デバイスを作動させ、動作指令(xiv)とともに受信した位置情報(回転位置)に基づいてブロック44Aの回転位置を調整し、次に、保持具移動装置109を作動させ、ブロック44Aの高さHAに基づいて適切な高さまで部品保持具108下降させて基材42にブロック44Aを接着させる。そして、部品保持ヘッド26は、正負圧供給装置54を作動させ、ブロック44Aを離脱させる。以上で、1つのブロック44の組付が完了する。その後、動作指令(x)〜(xiv)と同様の動作指令が繰り返し送信されて、複数のブロック44A,44B,44Cを組み付ける作業が、繰り返し行われる。そして、すべてのブロック44の組付が完了した後、搬送装置22によって組立物40が搬出される。
なお、本製造作業機10は、ヘッド移動装置30が2つの作業ヘッド装置26,28を独立して上下方向に移動させることが可能とされているため、図6に示したような高さが異なる部分があるような作業対象物に対して、2つの作業ヘッド装置の一方が作業を行う場合に、他方が障害になることがない。したがって、本製造作業機10は、種々の作業対象物に対して、種々の実施対象作業を実行することが可能となる、つまり、本製造作業機10は、汎用性の高いものとなっているのである。
<作業要素実行装置の交換>
図2,3に、搬送装置22,部品供給装置24を取り外した図面を示したが、フレーム20に対して、ワンタッチで取り付けることおよび取り外すことが可能とされている。そして、それら搬送装置22,部品供給装置24が取付けられていた位置には、それら搬送装置22,部品供給装置24の代わりに、他の搬送装置,部品供給装置を取り付けることが可能とされている。図15,16には、それら搬送装置22,部品供給装置24を、リフトアンドキャリー型の搬送装置であるキャリア260,フィーダ型の部品供給装置であるテープフィーダ262に交換した製造作業機10を示している。なお、図17に、そのキャリア260の斜視図を示す。そのキャリア260は、詳しい説明は省略するが、昇降装置270によって保持台272を上昇させることでワーク(作業対象物)274を持ち上げ、その状態において運搬装置276によって搬送方向に移動させる構造とされている。ちなみに、図示は省略するが、フレーム20の前方の角280(図1および図15参照)を基準とした凸部がフレーム20に形成されており、搬送装置22,260に形成された凹部を嵌合することで、フレーム20に対する搬送装置の位置がずれないように取り付けることが可能とされている。
また、搬送装置22の代わりには、さらに別の種類の搬送装置、例えば、モジュールタイプのダブルコンベア282(図18参照),シングルコンベア,昇降機能付のコンベア等を取り付けることが可能とされている。また、その他にも、自身内部に設けられ、上方に位置する作業対象物に対してレーザー加工,UV照射,ホットエアーの送風等の処理を実行する作業対象物下部加工装置を設けた搬送装置を取り付けることも可能である。さらに、部品供給装置24の代わりには、例えば、ボールフィーダ,ねじ供給装置,段積みユニット等を取付けることが可能とされている。
部品保持ヘッド26,ディスペンサヘッド28は、ヘッド移動装置30のヘッド保持部であるスライダ104,105に対して、ワンタッチで取り付けることおよび取り外すことが可能とされている。そして、部品保持ヘッド26もしくはディスペンサヘッド28が取付けられていた位置には、それら部品保持ヘッド26,ディスペンサヘッド28の代わりに、他の作業ヘッド装置を取り付けることが可能とされている。具体的に言えば、例えば、図18に示すように、作業対象物に対して高周波による溶融接着の処理を実行する高周波ウェルダー300,作業対象物に対してレーザー加工の実施を実行するためのレーザー発生装置302,作業対象物に対してUV照射による処理を実施するUV照射装置304,作業対象物に対してホットエアーを送風することで熱処理の実施を実行するホットエアー送風装置306,ねじ締め処理の実施を実行するねじ締め装置308,ねじの保持・離脱および、ねじを保持した状態でのねじ締め処理の実施を実行するねじ装着・ねじ締め装置310,2つのディスペンサノズルを有して2種類の補助剤の放出を実行するダブルディスペンサ装置312,他の部材を保持・離脱および部材を保持する箇所を回転させて保持位置の調整を実行する部材保持装置314,クリームはんだ印刷装置316等を、プロセスヘッドとして、ディスペンサヘッド28の代わりに取り付けることが可能とされている。また、部品保持ヘッド26の代わりに、他のキャリーヘッド、例えば、ヘッド移動装置30とは別に部品を左右方向や前後方向に移動させるための部品移動ヘッドを取り付けてもよい。さらに、製造作業機の実施対象作業によっては、キャリーヘッドである部品保持ヘッド26の代わりに、上述したようなプロセスヘッドを取り付けてもよい。
したがって、例えば、新たな製品を製造する必要が生じ、基材への部品の組付作業の代わりに、あるワークに部品をねじによって固定させるための作業を行うことが必要となった場合には、製造作業機自体を変更するのではなく、部品供給装置24をその組み付ける部品とねじを供給可能なものに変更するとともに、ディスペンサヘッド28をねじ装着・ねじ締め装置310に変更することで実施対象作業を変更することが可能となる。そのような構成とした製造作業機においては、例えば、キャリーヘッドである部品保持ヘッド26を利用して部品を押さえ、その状態においてプロセスヘッドであるねじ装着・ねじ締め装置310によってねじ締め作業を実行することが可能である。つまり、本製造作業機10は、2つの作業ヘッド装置を協働して作業するようにすることができ、あたかも、人間が両方の手で1つの作業対象物を扱うように作業することも可能である。
さらに、ヘッド移動装置30の代わりに、他の種類の移動装置、具体的には、例えば、多関節ロボット型の移動装置等を取り付けることも可能である。また、ヘッド移動装置30は、平面型移動装置が、2つの作業ヘッド装置26,28を一緒に移動させる構成のものとされていたが、それら2つの作業ヘッド装置26,28を独立して移動させるような構成のものと交換することも可能である。また、ベースカメラ120およびヘッドカメラ122も、他のカメラに取り替えることも可能である。
本製造作業機10を構成する搬送装置22,部品保持ヘッド26等の6つの作業要素実行装置の代わりに取り付け可能な上記複数の作業要素実行装置の各々は、それら6つの作業要素実行装置と同様に、自身の作動を制御する個別インタフェイス部242を備える個別制御装置を有している。本製造作業機10を構成する作業要素実行装置を別の作業要素実行装置に変更しても、それら別の作業要素実行装置は、自身が有する個別制御装置がメイン統括制御装置200から送信される動作指令を認識して、自身が有する作動デバイスを動作させることが可能とされている。したがって、例えば、上述したように、ディスペンサヘッド28をねじ装着・ねじ締め装置310に変更しても、メイン統括制御装置200は、単に動作指令の内容を変更するだけでよく、その動作指令を上述した1のプロトコルに従ってねじ装着・ねじ締め装置280の個別制御装置に送信すればよいのである。
<複数の製造作業機によって構成される製造作業システム>
上記製造作業機10単体では、比較的少ない製造工程しか行うことができないが、上記製造作業機10と同じ製造作業機,上記製造作業機10の作業要素実行装置を変更した製造作業機等を複数配列し、作業対象物を上流側に配置された製造作業機から下流側に配置された製造作業機に搬送しつつ、作業対象物に対して複数の製造作業機の各々による製造作業を順次実行するような製造作業システムを構成することで、比較的多くの製造工程を行うことが可能となる。つまり、ある程度複雑な製品,部品等を製造することが可能となる。本明細書では、そのように構成された製造作業システムとして、LED照明製造システム,パワーモジュール製造システム,太陽電池製造システムを採用し、それらのシステムについて以下に説明する。
i)LED照明製造システム
図18に、LED照明製造システム350の斜視図を示し、図19に、そのLED照明製造システム350によって組み立てられるLED照明352の分解図を示す。LED照明352は、図19に示すように、有底円筒状の電極ソケット354と、その電極ソケット354の内部に設けられる電極356と、電極ソケット354の上端に嵌合される円筒状のケース358と、そのケース358内部に設けられる電極付の基材360と、ケース358の上端部に接着剤によって固着されるヒートシンク362と、そのヒートシンク362の上端面に配設される電極付のLED基板364と、そのLED基板364をヒートシンク362に固定するためのねじ366と、ヒートシンク362の上端部に接着剤で固定される半球状のカバー368とによって構成されている。
LED照明製造システム350は、図18に示すように、8台の製造作業機によって構成されており、それら8台の製造作業機は、最上流側(1番左側)に配置された製造作業機から順に、第1製造作業機370,第2製造作業機372,第3製造作業機374,第4製造作業機376,第5製造作業機378,第6製造作業機380,第7製造作業機382,第8製造作業機384である。第1製造作業機370,第2製造作業機372,第3製造作業機374,第4製造作業機376,第5製造作業機378は、上記製造作業機10の搬送装置22をモジュールタイプのダブルコンベア282に変更したものである。第6製造作業機380および第8製造作業機384は、上記製造作業機10の搬送装置22をダブルコンベア282に変更するとともに、ディスペンサヘッド28をホットエアー送風装置306に変更したものである。第7製造作業機382は、上記製造作業機10の搬送装置22をダブルコンベア282に変更するとともに、部品保持ヘッド26をねじ装着・ねじ締め装置310に、部品供給装置24をねじ供給装置386に変更したものである。
第1製造作業機370は、作業要素実行装置として、部品保持ヘッド26,部品供給装置24,ダブルコンベア282,ヘッド移動装置30,撮像装置32(以下に説明する製造作業機は、すべてのものが、先に述べたヘッド移動装置30および撮像装置32を備えているため、それらについての説明は省略する)を備え、作業対象物としての電極ソケット354をダブルコンベア282上の特定の位置に載置する製造作業を行うものである。第1製造作業機370においては、電極ソケット354の載置されたトレイを供給するための動作指令,部品保持ヘッド26を電極ソケット354の供給位置に移動させるための動作指令,トレイに載置された電極ソケット354を保持するための動作指令,電極ソケット354を保持した部品保持ヘッド26をベースカメラ120上に移動させるための動作指令,部品保持ヘッド26に保持された電極ソケット354をベースカメラ120によって撮影してその電極ソケット354の保持状態の情報を取得するための動作指令,ダブルコンベア282上の特定の位置に部品保持ヘッド26を移動させるための動作指令,ダブルコンベア282上の特定の位置で電極ソケット354を離脱するための動作指令,ダブルコンベア282上に載置された電極ソケット354を搬送するための動作指令が、順次、送信される。各動作指令に応じて各作業要素実行装置242等が各作業要素を実行することで、ダブルコンベア282上に載置された電極ソケット354が第2製造作業機372に搬送される。なお、以下の製造作業機の各動作指令に関して、撮像装置32,ヘッド移動装置30,ダブルコンベア282への動作指令は、各製造作業において略同じであることから、それらの動作指令の記載を省略する。
第2製造作業機372は、作業要素実行装置として、部品保持ヘッド26,部品供給装置24,ダブルコンベア282を備え、作業対象物としての電極ソケット354に電極356を装着する製造作業を行うものである。第2製造作業機372においては、電極356の載置されたトレイを供給するための動作指令,トレイに載置された電極356を保持するための動作指令,電極356を電極ソケット354の内部で離脱するための動作指令が、順次、送信され、各作業要素が実行されることで、電極356が装着された電極ソケット354が第3製造作業機374に搬送される。
第3製造作業機374は、作業要素実行装置として、部品保持ヘッド26,部品供給装置24,ダブルコンベア282を備え、電極356が装着された電極ソケット354内にケース358を装着する製造作業を行うものである。また、第4製造作業機376は、作業要素実行装置として、部品保持ヘッド26,部品供給装置24,ダブルコンベア282を備え、ケース358内に基材360を装着する製造作業を行うものである。第3製造作業機374および第4製造作業機376の動作指令は、上記第2製造作業機372の動作指令と似通っているため、それらの説明は省略する。ちなみに、第1製造作業機370,第2製造作業機372,第3製造作業機374,第4製造作業機376の各々のディスペンサヘッド28は、LED照明352の製造作業において、作動しない。
第5製造作業機378は、作業要素実行装置として、部品保持ヘッド26,ディスペンサヘッド28,部品供給装置24,ダブルコンベア282を備え、ケース358の上端部に接着剤によってヒートシンク362を固着する製造作業を行うものである。第5製造作業機378においては、接着剤をケース358の上端部に塗布するための動作指令,ヒートシンク362の載置されたトレイを供給するための動作指令,トレイに載置されたヒートシンク362を保持するための動作指令,ヒートシンク362を接着剤の塗布されたケース358の上端部で離脱するための動作指令が、順次、送信され、各作業要素が実行されることで、ヒートシンク362の接着剤による固着作業が完了したLED照明352が第6製造作業機380に搬送される。つまり、第5製造作業機378において、部品保持ヘッド26は、ヒートシンク362を組み付けるために保持するキャリーヘッドであり、ヒートシンク362を組み付ける作業における主たる作業を実行する主ヘッド装置として機能する。また、ディスペンサヘッド28は、接着剤の塗布を行うプロセスヘッドであり、ヒートシンク362を組み付ける作業に先立って、接着剤の塗布を、上記の主たる作業に対する補助的な作業として実行する補助ヘッド装置として機能する。
第6製造作業機380は、作業要素実行装置として、部品保持ヘッド26,ホットエアー送風ヘッド306,部品供給装置24,ダブルコンベア282を備え、第5製造作業機378において塗布された接着材を乾燥させるとともに、ヒートシンク362の上端面にLED基板364を載置する製造作業を行うものである。第6製造作業機380においては、ケース358とヒートシンク362とを接着する接着剤を乾燥させるための動作指令,LED基板364の載置されたトレイを供給するための動作指令,トレイに載置されたLED基板364を保持するための動作指令,LED基板364をヒートシンク362の上端面で離脱するための動作指令が、順次、送信され、各作業要素が実行されることで、乾燥作業およびLED基板364の載置作業が完了したLED照明352が第7製造作業機382に搬送される。つまり、第6製造作業機380において、部品保持ヘッド26は、LED基板364を載置するために保持するキャリーヘッドであり、LED基板364をヒートシンク362上に載置する作業における主たる作業を実行する主ヘッド装置として機能する。また、ホットエアー送風装置306は、接着剤の乾燥を行うプロセスヘッドであり、LED基板364をヒートシンク362上に載置する作業に先立って、そのヒートシンク362をケース358に対して十分に固着させるために、接着剤の乾燥を、上記の主たる作業に対する補助的な作業として実行する補助ヘッド装置として機能する。
第7製造作業機382は、ねじ装着・ねじ締めヘッド310,ディスペンサヘッド28,ねじ供給装置386,ダブルコンベア282を備え、LED基板364をねじ366によってヒートシンク362に固定するとともに、第8製造作業機384で装着されるカバー268を固着するための接着剤をヒートシンク362に塗布する製造作業を行うものである。第7製造作業機382においては、ねじ366を供給するための動作指令,ねじ供給装置386によって供給されたねじ366を保持するための動作指令,ねじ締めを実行するための動作指令,ねじ366を離脱するための動作指令,接着剤をヒートシンク362の上端に塗布するための動作指令が、順次、送信され、各作業要素が実行されることで、ねじ締め作業および接着剤塗布作業が完了したLED照明352が第8製造作業機384に搬送される。つまり、第7製造作業機382において、ねじ装着・ねじ締め装置310は、LED基板364をヒートシンク362に対してねじによって締結するプロセスヘッドであり、ディスペンサヘッド28は、接着剤の塗布を行うプロセスヘッドである。
ちなみに、この第7製造作業機382は、2台の製造作業機に分割してもよい。その場合、それらの一方の製造作業機に、作業ヘッド装置として部品保持ヘッド26とねじ装着・ねじ締め装置310とを備えさせ、第6製造作業機380において実行されたLED基板364の載置する作業と、そのLED基板364とヒートシンク362とを締結する作業とを実行させるとともに、それらの他方に、作業ヘッド装置として部品保持ヘッド26とディスペンサヘッド28とを備えさせ、接着剤を塗布する作業と、第8製造作業機384において実行されるカバーの運搬および固着させる作業を実行させるようにしてもよい。そのように構成した場合、上記の一方の製造作業機において、部品保持ヘッド26が、LED基板364を組み付けるために保持するキャリーヘッドであり、LED基板364を組み付ける作業における主たる作業を実行する主ヘッド装置として機能する。また、ねじ装着・ねじ締め装置310は、LED基板364とヒートシンク362との締結を行うプロセスヘッドであり、カバー368を組み付け位置へ載置する作業の後に、ねじによる締結を、上記の主たる作業に対する補助的な作業として実行する補助ヘッド装置として機能する。
また、上記の製造作業機においては、ねじ装着・ねじ締め装置310によってLED基板364とヒートシンク362とを締結する際に、部品保持ヘッド26は、LED基板364を組み付け位置において押さえるように構成することが可能である。そのため、その製造作業機の主たる作業を、LED基板364とヒートシンク362との締結作業と考えれば、プロセスヘッドであるねじ装着・ねじ締め装置310が主ヘッド装置として機能し、部品保持ヘッド26が、その締結作業に対する補助的な作業を行う補助ヘッド装置として機能すると考えることもできる。したがって、このように構成された製造作業機は、2つの作業ヘッド装置が協働して作業することが可能となっている。
第8製造作業機384は、部品保持ヘッド26,ホットエアー送風ヘッド306,部品供給装置24,ダブルコンベア282を備え、第7製造作業機382において接着材が塗布された位置にカバー368を装着するとともに、その接着剤を乾燥させる製造作業を行うものである。第8製造作業機384においては、カバー368の載置されたトレイを供給するための動作指令,トレイに載置されたカバー368を保持するための動作指令,カバー368をヒートシンク362上の接着剤が塗布された位置に運ぶための動作指令,その接着剤を乾燥させるための動作指令,カバー368を離脱するための動作指令が、順次、送信され、各作業要素が実行されることで、完成したLED照明352が第8製造作業機384から送り出されてくる。つまり、第8製造作業機384において、部品保持ヘッド26は、カバー368を組み付けるために保持するキャリーヘッドであり、カバー368を組み付ける作業における主たる作業を実行する主ヘッド装置として機能する。また、ホットエアー送風装置306は、接着剤の乾燥を行うプロセスヘッドであり、カバー368を組み付けた作業の後に、接着剤の乾燥を、上記の主たる作業に対する補助的な作業として実行する補助ヘッド装置として機能する。なお、そのホットエアー送風装置306によって接着剤の乾燥を実行する際に、部品保持ヘッド26は、カバー368を組み付け位置において押さえるようにされている。そのため、第8製造作業機384の主たる作業を、接着剤の乾燥と考えれば、プロセスヘッドであるホットエアー送風装置306が主ヘッド装置として機能し、部品保持ヘッド26が、接着剤を乾燥させる作業に対する補助的な作業を行う補助ヘッド装置として機能すると考えることもできる。したがって、この第8製造作業機384は、2つの作業ヘッド装置が協働して作業するようになっている。
ii)パワーモジュール製造システム
図20に、パワーモジュール製造システム400の斜視図を示し、図21に、そのパワーモジュール製造システム400によって組み立てられるパワーモジュール402の分解図を示す。パワーモジュール402は、図21に示すように、ベース板414と、そのベース板414上にはんだ付けされる絶縁基板416と、ベース板414の四隅に形成された穴に嵌合される4つのブッシュ418と、それら4つのブッシュ418によってベース板414上に固定されるケース420と、ケース420内に装着される複数のピン端子422と、ケース420内に装着される電極424と、ケース420上部を覆う蓋部材426と、ケース420側面に貼着されるシール428とによって構成されている。
パワーモジュール製造システム400は、図20に示すように、7台の製造作業機430〜442およびワイヤーボンディング機444によって構成されており、それら7台の製造作業機430〜442は、最上流側(1番左側)に配置された製造作業機から順に、第1製造作業機430,第2製造作業機432,第3製造作業機434,第4製造作業機436,第5製造作業機438,第6製造作業機440,第7製造作業機442である。ちなみに、ワイヤーボンディング機444は、第4製造作業機436と第5製造作業機438との間の配設されているが、本発明とは関係無いため2点鎖線によって示している。
第1製造作業機430は、上記製造作業機10の搬送装置22をモジュールタイプのダブルコンベア282に変更するとともに、部品供給装置24をブッシュ418を供給するブッシュ供給装置450に変更したものである。第2製造作業機432,第3製造作業機434,第4製造作業機436は、上記製造作業機10の搬送装置22をダブルコンベア282に変更したものである。第5製造作業機438は、上記製造作業機10の搬送装置22をダブルコンベア282に変更するとともに、ディスペンサヘッド28をダブルディスペンサ装置312に変更し、部品供給装置24を取り外したものである。第6製造作業機440は、上記製造作業機10の搬送装置22をダブルコンベア282に変更するとともに、部品供給装置24を蓋部材426を供給する蓋部材供給装置452に変更したものである。第7製造作業機442は、上記製造作業機10の搬送装置22をダブルコンベア282に変更するとともに、部品供給装置24をテープフィーダ262に変更したものである。
パワーモジュール製造システム400では、予め、ベース板414に絶縁基板416がはんだ付けされており、作業対象物としての絶縁基板416付ベース板414が、第1製造作業機430に送り込まれる。第1製造作業機430は、その絶縁基板416付ベース板414の四隅に4つのブッシュ418を装着する製造作業を行うものであり、第2製造作業機432は、ケース420の4隅に形成された穴に4つのブッシュ418が嵌るように、ベース板414にケース420を装着する製造作業を行うものである。第3製造作業機434は、ケース420内部に複数のピン端子422を装着する製造作業を行うものであり、第4製造作業機436は、ケース420内部に電極424を装着する製造作業を行うものである。第4製造作業機436による製造作業が完了すると、ワイヤーボンディング機444によってワイヤーボンディング加工が実施される。ワイヤーボンディング加工が施されたパワーモジュール402が第5製造作業機438に送り込まれる。第5製造作業機438は、ケース420内部にシリコンゲルおよびエポキシ樹脂の2種類の補助剤を放出する製造作業を行うものであり、第6製造作業機440は、ケース420の上部に蓋部剤326を装着する製造作業を行うものである。そして、第7製造作業機442は、ケース420の側面にシール428を貼装する製造作業を行うものであり、その第7製造作業機442による製造作業が完了すると、完成したパワーモジュール402が第7製造作業機442から送り出されてくる。なお、本システム400の製造作業機における動作指令は、上記LED照明製造システム350の製造作業機における動作指令と似通っているため、本システム400における動作指令に関する説明は省略する。
iii)太陽電池製造システム
図22に、太陽電池製造システム470の斜視図を示し、図23に、その製造システム370によって製造される太陽電池472の分解図を示す。太陽電池472は、図23に示すように、シリコンセル474と、そのシリコンセル474の下面にはんだ付けされる下面側インタコネクタ476と、シリコンセル474の上面にはんだ付けされる上面側インタコネクタ478とによって構成されている。太陽電池製造システム470は、図22に示すように、3台の製造作業機によって構成されており、それら3台の製造作業機は、最上流側(1番左側)に配置された製造作業機から順に、第1製造作業機480,第2製造作業機482,第3製造作業機484である。
第1製造作業機480は、上記製造作業機10のディスペンサヘッド28をクリームはんだ印刷装置316に変更するとともに、部品供給装置24をインタコネクタを供給するインタコネクタ供給装置486に変更したものである。第2製造作業機482は、上記製造作業機10のディスペンサヘッド28をクリームはんだ印刷装置316に変更するとともに、部品供給装置24をシリコンセル474を供給するシリコンセル供給装置488に変更したものである。第3製造作業機484は、上記製造作業機10のディスペンサヘッド28をクリームはんだ印刷装置316に変更するとともに、部品供給装置24を2台のインタコネクタ供給装置486に変更したものである。
第1製造作業機480は、作業要素実行装置として、部品保持ヘッド26,クリームはんだ印刷ヘッド316,インタコネクタ供給装置486,搬送装置22を備え、作業対象物としての下面側インタコネクタ476を装着装置26のコンベアベルト50上の特定の位置に載置するとともに、下面側インタコネクタ476の上面のクリームはんだを塗布すべき箇所の全てにクリームはんだを印刷する製造作業を行うものである。第2製造作業機482は、作業要素実行装置として、部品保持ヘッド26,クリームはんだ印刷ヘッド316,シリコンセル供給装置488,搬送装置22を備え、クリームはんだが印刷された下面側インタコネクタ476の上にシリコンセル474を装着するとともに、シリコンセル474の上面のクリームはんだを印刷すべき箇所の一部にクリームはんだを印刷する製造作業を行うものである。第3製造作業機484は、作業要素実行装置として、部品保持ヘッド26,クリームはんだ印刷ヘッド316,2台のインタコネクタ供給装置486,搬送装置22を備え、シリコンセル474の上面のクリームはんだを印刷すべき箇所の残りの部分にクリームはんだを印刷するとともに、シリコンセル474上のクリームはんだが印刷された箇所に上面側インタコネクタ478を装着する製造作業を行うものである。そして、その第3製造作業機484による製造作業が完了すると、製造された太陽電池472が第3製造作業機484から送り出されてくる。本システム470においては、3つの製造作業機480,482,484は、いずれも、2つの作業ヘッド装置として、部品保持ヘッド26とクリームはんだ印刷装置316とを備えるものである。そして、それら3つの製造作業機480,482,484において、部品保持ヘッド26は、供給される部品を組み付けるために保持するキャリーヘッドであり、その部品を組み付ける作業における主たる作業を実行する主ヘッド装置として機能する。また、クリームはんだ印刷装置316は、クリームはんだの塗布を行うプロセスヘッドであり、部品を組み付ける作業に先立って、クリームはんだの塗布を、上記の主たる作業に対する補助的な作業として実行する補助ヘッド装置として機能する。なお、本システム470の製造作業機における動作指令も、上記LED照明製造システム350の製造作業機における動作指令と似通っているため、本システム470における動作指令に関する説明は省略する。
iv)製造作業システムにおけるその他の特徴
図24は、製造作業システムにおける2台の製造作業機のみを示した図である。その図24に示すように、本製造作業機のフレーム20には、開口500が形成されている。その開口500は、隣接する製造作業機のビーム74が最も前方に位置させられている状態(図24に示す位置)で、そのビーム74に配設されたねじロッド90の一端部が向かい合う位置に形成されている。つまり、何らかの失陥等によって、ねじロッド90を交換するような場合には、ねじロッド90は、隣接する製造作業機のフレーム20に形成された開口500を通って挿抜できるようになっている。つまり、ねじロッド90を交換するような場合であっても、製造作業機本体をシステムから取り外すことを必要とせず、容易にねじロッド90の交換が行えるようになっている。