導電性材料、ポリビニルブチラールターポリマーバインダーおよびグリコールエーテル溶媒から構成される、導電性インク組成物が記載される。
前記導電性材料として、粒子状の任意の材料が使用されてもよく、前記粒子は、例えば、0.5から15ミクロン、例えば、1から10ミクロンまたは2から10ミクロンの平均サイズを有する。前記粒子は、どのような形状でもよいが、望ましくは、前記導電性材料は、2次元の形状、例えば、フレーク形状、例えば、ロッド、コーンおよびプレート、または針形状であり、例えば、少なくとも約3対1、例えば、少なくとも約5対1のアスペクト比を有する。
前記導電性材料は、任意の導電性金属または金属アロイ材料から構成されてもよい。適切な導電性材料は、金属、例えば、金、銀、ニッケル、インジウム、亜鉛、チタン、銅、クロム、タンタル、タングステン、プラチナ、パラジウム、鉄、コバルトから選択される少なくとも1つ、ならびにそれらのアロイを含み得る。前述の少なくとも1つを含む組み合わせが、使用され得る。前記導電性材料は、1つ以上の前述の金属またはアロイでコートまたはメッキされた基材材料、例えば、銀メッキされた銅フレークでもよい。コスト、可用性および性能の理由のために、望ましい導電性材料は、銀または銀メッキされた材料を含む。
1から10ミクロン、例えば、2から10ミクロンの平均フレークサイズを有する銀フレークが使用され得る。
前記導電性材料は、前記インクの、約50から約95重量パーセント、約60から約90重量パーセントまたは約70から約90重量パーセントの量で、導電性ペーストに存在してもよい。
前記インクは、少なくとも1つのポリビニルブチラール(PVB)ターポリマー熱可塑性バインダーも含む。前記PVBターポリマーバインダーは、望ましくは、前記熱可塑性材料を、理想的な温度(この態様に関しては、より低いTgが望ましい)で、融解または軟化させ、薄くせん断するのを可能にし、(より高いTgを必要とする)前記印刷されたインクを、強固にすることもさらに可能にする、Tgにおいて、前記インクが印刷後のパターンを保持するのを可能にする、理想的に高い粘度を有する材料である。前記ポリビニルブチラールターポリマーは、約10,000から約600,000Da、例えば、約40,000から約300,000Daまたは約40,000から約250,000Daの重量平均分子量(Mw)を有してもよい。前記PVBターポリマーバインダーのTgは、例えば、約60℃から約100℃、例えば、約60℃から約85℃または約62℃から約78℃である。
前記ポリビニルブチラール(PVB)ターポリマーは、下記式:
を有し、前記式中、R
1は、化学結合、例えば、共有化学結合、または、約1から約20個の炭素、約1から約15個の炭素原子、約4から約12個の炭素原子、約1から約10個の炭素原子、約1から約8個の炭素原子または約1から約4個の炭素原子を有する二価の炭化水素リンケージであり;R
2およびR
3は、独立して、アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチル基、約1から約20個の炭素原子、約1から約15個の炭素原子、約4から約12個の炭素原子、約1から約10個の炭素原子、約1から約8個の炭素原子または約1から約4個の炭素原子を有する芳香族基または置換されている芳香族基であり;x、yおよびzは、重量パーセントでそれぞれ表される、対応する繰り返しユニットの割合を表し、各繰り返しユニットは、ポリマー鎖に沿って、ランダムに分布され、x、yおよびzの合計は、約100重量パーセントであり;xは、独立して、約3重量パーセントから約50重量パーセント、約5重量パーセントから約40重量パーセント、約5重量パーセントから約25重量パーセントおよび約5重量パーセントから約15重量パーセントであり;yは、独立して、約50重量パーセントから約95重量パーセント、約60重量パーセントから約95重量パーセント、約75重量パーセントから約95重量パーセントおよび約80重量パーセントから約85重量パーセントであり;zは、独立して、約0.1重量パーセントから約15重量パーセント、約0.1重量パーセントから約10重量パーセント、約0.1重量パーセントから約5重量パーセントおよび約0.1重量パーセントから約3重量パーセントである。
前記ポリビニルブチラールターポリマーは、ビニルブチラール、ビニルアルコールおよびビニルアセテート由来であり得る。ポリビニルブチラールターポリマーの典型的な組成は、重量に基づいて、ポリビニルアルコールとして算出される、約10から約25%のヒドロキシル基、ポリビニルアセテートとして算出される、約0.1から約2.5%のアセテート基であり、残りがビニルブチラール基である。前記ターポリマーのMwおよびTgは、前記x、yおよびzの値の調節により調節され得る。
前記PVBターポリマーでは、R1は、望ましくは結合であり、xは、前記ターポリマーにおけるビニルアルコールユニットの量を表わす。R2は、望ましくは3つの炭素のアルキル基であり、yは、前記ターポリマーにおけるビニルブチラールユニットの量を表わす。R3は、1つの炭素原子のアルキル基であり、zは、前記ターポリマーにおけるビニルアセテートユニットの量を表わす。前記PVBターポリマーは、ランダムターポリマーである。
前記PVBターポリマーの特性は、前記ターポリマーを構成する種々のユニットの含量を調節することにより調節され得る。より多い量のビニルアセテートユニット、および、より少ない量のビニルブチラールユニット(少ないyおよび多いz)を含むことにより、より強く、より良好な接着性となる、より高い熱変形温度を有する、より疎水性のポリマーを産生し得る。より少ない量のビニルアルコール(ヒドロキシル)ユニットを含むことにより、溶解特性を広くし得る。
ポリビニルブチラールターポリマーとしては、例えば、商品名MOWITAL(Kuraray America)、S−LEC(Sekisui Chemical Company)BUTVAR(Solutia)およびPIOLOFORM(Wacker Chemical Company)に基づいて製造されたポリマーがあげられる。前記PVBターポリマーは、米国特許出願公開第2012/0043512号明細書に記載のように調製され得る。
前記PVBターポリマーバインダーに加えて、更なる熱可塑性バインダーを含むことが可能であり得る。前記少なくとも1つの更なる熱可塑性バインダーは、ポリエステル、例えば、テレフタレート、テルペン、スチレンブロックコポリマー、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマーおよびスチレン−エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン−ビニルアセテート−マレイン酸無水物ターポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレートおよび他のポリ(アルキル)メタクリレート、ポリオレフィン、ポリブテン、ポリアミドならびにそれらの混合物を含み得る。
前記導電性インクのバインダーは、前記インクの、約10重量%未満、例えば、前記インクの、約0.1から約10重量パーセントまたは約0.5から約5重量パーセントの量で存在し得る。
前記バインダーは、前記インクに種々の粘性を付与するのに役立てるために、種々のMwおよびTgを有するように製造され得る。種々の液相成長技術、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア/フレキソグラフ印刷は、上記の種々の粘性要求を有するインクの使用を必要とする。本願明細書におけるPVBターポリマーバインダーを含む(本願明細書における導電性材料を含む)インクは、約10,000から約70,000cpsの範囲における粘度を有してもよい。前記粘度は、各種の方法により測定され得るが、本願明細書では、Ares G2(TA Instruments)で測定したとして報告される。前記インクにおけるより多くのバインダーおよび/またはより少ない溶媒の使用は、前記インクの粘度を向上させるのに作用し得る。
前記インクは、少なくとも1つの溶媒も含む。上記PVBバインダーに関して、前記溶媒は、グリコールエーテル溶媒である。前記グリコールエーテル溶媒は、前記熱可塑性PVBバインダーを溶解し、温和な乾燥条件、例えば、約50℃から約250℃下において乾燥させながら、印刷後に蒸発させることができる、単独の溶媒または溶媒の混合物でもよい。グリコールエーテル溶媒としては、例えば、エチレングリコールジ−C1−C6−アルキルエーテル、プロピレングリコールジ−C1−C6−アルキルエーテル、ジエチレングリコールジ−C1−C6−アルキルエーテル、例えば、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ジプロピレングリコールジ−C1−C6−アルキルエーテルまたはそれらのいずれかの組み合わせがあげられる。
前記溶媒は、前記インクの、約5から50重量パーセント、約5から約35重量パーセントまたは約5から約25重量パーセントの量で使用され得る。前記1つ以上の溶媒の量は、具体的な印刷法、装置速度に関して、前記インクによる印刷を最適化するのに調節され得る。
前記導電性インクは、任意の添加剤、例えば、可塑剤、潤滑剤、分散剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、酸化防止剤およびキレート剤を含んでもよい。
前記インクは、望ましくは、前記粘度が、1s−1のせん断において、約40Pa・s以上、例えば、50−75Pa・s以上であり、前記せん断が50s−1の場合、前記粘度が、約25Pa・s以下に低下し得るレオロジーを示す。これにより、前記インクが、印刷法、例えば、スクリーン印刷による塗工に適するのが可能となる。前記インクは、スクリーン印刷の塗工用に薄くせん断され得るが、その後、せん断の除去により、急速に粘度を増して、前記基材上に強固な印刷パターンを形成する。この出願における前記インクのレオロジープロファイルは、例えば、図に示され、以下にさらに説明される。
前記導電性インクは、任意に適切な方法で製造され得る。1つの方法は、まず、前記バインダーを、前記インクの溶媒に溶解することであり、加熱および/または攪拌の使用を伴って行われてもよい。ついで、前記導電性材料が、望ましくは、ランピングを防止するために、段階的な速度の添加で添加される。加熱および/または攪拌が、前記導電性材料の添加中に、再度適用されてもよい。
前記導電性インクは、印刷により基材上に導電特性を形成するのに使用される。前記印刷は、任意の適切な印刷技術を使用して、基材上に前記インクを堆積させることにより行われ得る。前記基材上への前記インクの印刷は、基材上または、積層材料、例えば、半導体層および/または絶縁層を予め含む基材上のいずれかに生じ得る。
本願明細書において、印刷は、前記基材上への前記インク組成物の堆積を意味する。印刷は、前記基材上に、前記インクを所望のパターンに形成可能な任意のコーティング技術も含み得る。適切な技術としては、例えば、スピンコーティング、ブレードコーティング、ロッドコーティング、ディップコーティング、リソグラフィーまたはオフセット印刷、グラビア、フレキソグラフィー、スクリーン印刷、ステンシル印刷、スタンピング(例えば、マイクロコンタクト印刷)があげられる。
前記導電性インクが堆積される基材は、任意の適切な基材、例えば、シリコン、ガラス板、プラスチックフィルム、シート、布または紙であり得る。構造的にフレキシブルなデバイス用に、プラスチック基材、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドのシートが使用され得る。
印刷後に、前記パターン化して堆積されたインクは、硬化工程に供される。前記硬化工程は、前記インクにおける実質的に全ての溶媒が除去され、前記インクが、前記基材に対して強固に接着される工程である。本願明細書において、硬化は、前記バインダーの架橋または他の変換を必要としないが、架橋性のバインダーが前記インクに使用される場合、必要に応じて、前記硬化工程中に架橋されてもよい。前記硬化工程は、前記堆積されてパターン化されたインクを、約50℃から約250℃、約80℃から約220℃または約100℃から約210℃の温度に供することにより行われる。前記硬化工程が完了した時点で、前記溶媒は、本質的に蒸発される。前記実質的に全ての溶媒を除去することは、90%より多くの前記溶媒が、前記系から除去されることを意味する。残った前記インクの薄膜は、本質的に、導電性材料およびバインダーのみである。前記印刷は、接触により傷を付けられない、または、言い換えれば、タックフリーである。前記インクの薄膜は、前記バインダーのTg未満の温度で維持される場合、接触により別の基材上にオフセットまたはトランスファーをするべきでない。硬化のための時間の長さは、前記インクにおける溶媒量、前記インクの粘度、前記印刷パターンを形成するのに使用される方法、硬化に使用される温度に基づいて変動し得る。スクリーン印刷に関して、前記硬化は、約5分から約120分行われ得る。オフセット印刷に関して、前記硬化は、20秒から2分行われ得る。グラビアおよびフレキソグラフ印刷に関して、前記硬化は、20秒から2分行われ得る。より長い時間またはより短い時間が、必要に応じて使用されてもよい。
前記硬化のための加熱は、空気中、不活性雰囲気中、例えば、窒素またはアルゴン下、または、還元雰囲気中、例えば、1から約20体積パーセントの水素を含む窒素下において行われ得る。前記加熱は、大気圧または約1000mbarから約0.01mbarの減圧下でも行われ得る。
「加熱」は、前記インクを硬化するのに前記パターン化されたインクに対して、十分なエネルギーを付与し得る、任意の技術を包含する。加熱技術としては、例えば、熱加熱、赤外(「IR」)照射、レーザービーム、フラッシュライト、マイクロ波照射、UV照射またはそれらの組み合わせがあげられる。
硬化後に、前記パターン化されたインクは、例えば、その内容が参照により本願明細書に取り込まれる、米国特許出願番号13/925,438(Iftimeらにより、本願と同日付で出願された、発明の名称「Method Of Improving Sheet Resistivity Of Printed Conductive Inks」に記載の、任意の溶融工程に供されてもよい。前記溶融工程では、前記硬化され、パターン化されたインクは、前記インクにおけるバインダーのTgより20℃から130℃高い温度、例えば、前記バインダーのTgより20℃から100℃または30℃から80℃高い温度に供される。前記溶融温度は、例えば、上記の加熱により達成される。前記インク、溶融デバイスおよび方法は、前記導電性ペーストが、オフセット(前記溶融装置、例えば、溶融器ロール上にトランスファー)しないようにする。
前記温度に加えて、前記任意の溶融は、前記硬化され、パターン化されたインクを、圧力にも供する。前記圧力は、約50psiから約1500psi、例えば、約50psiから約1200psiまたは約100psiから約1000psiであり得る。前記温度および圧力は、望ましくは、必要または所望の温度およびニップ圧の条件に維持された、1つ以上のセットの溶融器ロールを通して、前記硬化され、パターン化されたインクを有する前記基材を供給することにより適用される。前記1つ以上のセットの溶融器ロールを通す供給速度は、約1m/分から約100m/分、約5m/分から約75m/分または約5m/分から約60m/分である。
前記溶融器ロールとしては、任意の溶融器ロール材料が使用され得る。トップロールは、非常に硬い材料、例えば、場合により、オフセットを防止するのに役立つ剥離剤でコートされた鉄であり得る。ボトムロールは、より軟らかいロール、例えば、ゴムでコートされたロールであり得る。
実施形態では、前記印刷されたインクと接触する前記一対の溶融器ロールの一方は、前記印刷パターンのオフセットを防止するのに役立つ、前記ロールの表面上に除去可能な剥離層、例えば、オイルまたはワックスを含むように製造され得る。適切なオイルは、シリコーンオイルおよび官能化シリコーンオイルから選択される。適切なシリコーンオイルの具体例としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)があげられる。適切な官能化オイルは、アミノ−官能化PDMSオイルおよびメルカプト−官能化PDMSオイルから選択される。
前記印刷された薄膜と接触する前記一対の溶融器ロールの一方は、例えば、良好な剥離特性を有する材料から構成される層またはコーティングとしての表面を有するように製造され得る。適切な表面は、ポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシポリマー樹脂(PFA)、ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−パーフルオロプロピルビニルエーテル)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー、ヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのコポリマー、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのターポリマーおよび、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのテトラポリマーならびにそれらの組み合わせで製造され得る。
前記パターン化されたインクを基材上に形成する方法、前記パターン化されたインクを硬化する方法、任意の溶融方法は、直列方式の連続的な方法で行われてよいし、または、断続的な工程において行われてもよい。前記インクがスクリーン印刷の方法で堆積される場合、前記方法は、直列方式の連続的な方法で行われるには、典型的には、時間がかかりすぎる。スクリーン印刷および他の断続的な方法では、前記基材上の前記パターン化されたインクは、前記硬化工程と任意の溶融工程との間のいくらかの時間保存されてもよい。堆積法を使用する方法、例えば、オフセット印刷およびグラビア/フレキソグラフ印刷は、直列方式の連続的な方法で使用するのに値する。
前記直列方式の連続的な方法では、ロールに保存され得るか、または、前記連続的な方法による連続的な供給により容易に形状を積層される前記基材材料は、まず、印刷装置に供給される。前記インクは、前記基材上に、所定の所望のパターンに印刷される。ついで、前記印刷された基材は、前記印刷装置から硬化位置に、連続的に進められ、硬化を行うための加熱が適用される。ついで、前記アイテムは、任意の溶融システムに連続的に供給され、圧力および加熱が、前記インクを溶融するのに適用され得る。ついで、最終生成物は、前記溶融システムから出た後に収集されてもよく、更なる加工に供されてもよい。前記最終生成物は、可能であれば、引取りロール上に収集されてもよく、切断および収集されてもよい。前記方法による前記材料の供給速度は、印刷および硬化に必要な速度に設定され得るか、または、前記溶融供給速度に関する上記と同じ供給速度であり得る。
前記硬化工程および溶融工程は、別々に記載されているが、これらの工程は、同時に行われてもよく、例えば、両方が前記溶融工程と併せて行われる。前記溶融工程中に適用される加熱は、前記印刷されたインクを硬化するのにも作用し得るため、プロセス効率をもたらす。このような実施形態では、硬化装置は、前記装置が全く同一と見なされるべきであるように、溶融装置内にある。
得られた素子は、電極、導電性パッド、相互接続、導電線、導電性トラックとして使用されてもよく、電子デバイス、例えば、薄膜トランジスタ、有機発光ダイオード、RFID(電波方式認識)タグ、光電池、ディスプレイ、印刷アンテナおよび、導電性素子または部品を必要とする他の電子デバイスに使用されてもよい。
本願明細書に開示の実施形態は、これから、具体的な例示となる実施形態に関して、詳細に記載されるであろう。これらの実施例は、説明することのみを意図しており、本願明細書に開示の実施形態は、本願明細書で列挙された材料、条件または方法のパラメータに限定することを意図していないことが理解される。全てのパーセントおよび部は、特に断らない限り、重量による。
実施例1
試料インクを、2から5ミクロンの銀フレーク、PVBバインダーおよびグリコールエーテル溶媒を使用して調製した。前記試料インクは、下記組成を有した。
前記インクを下記のように調製した:ステンレス鋼のアンカー混合ブレードを備える250mLのビーカーに、ブチルカルビトール(各インクに関して表1で特定した量)における、15wt%のバインダー溶液を添加した。前記混合物を、ホットプレートで55℃に加熱し、500RPMで攪拌した。次に、前記銀フレークを、ランピングを防止するために、段階的に前記混合物に徐々に添加した。前記混合物を、1時間ブレンドし、ついで、3−ロールミル(Erweka モデルAR400)に3回通過させた。最終的なインクを単離し、アンバーガラスのジャーに移した。
前記試料インクならびに2つの市販の導電性インク(DuPont 5025およびHenkel Electrodag 725A)を、せん断試験におけるレオロジー特性に関して評価した。前記試験では、レオロジーを、Ares G2機器(TA Instruments)上で、スクリーン印刷法(スクリーンのフラッド、スクリーンによるスキージおよび印刷した基材上の回復)をシミュレートするのに設計された下記のインクせん断プロトコル:1s−1で60秒、ついで、50s−1で30秒、ついで、1s−1で120秒、に基づいて測定した。前記レオロジー(粘度対時間)を、前記各試料、インク(前記図における1)、DuPont 5025(前記図における2)およびHenkel Electrodag 725A(前記図における3)に関して、図に示す。前記試料インクは、前記試料インクにおける前記PVBターポリマーバインダーおよびグリコールエーテル溶媒に起因し得る、優れた粘度プロファイルを示す。これらの材料の組み合わせは、高いずり減粘インデックスに寄与する。前記ずり減粘インデックスは、低せん断速度での粘度対高せん断速度での粘度の比である。
前記試料インクおよび2つの市販のインクを、2ミルのMylarフィルム上に、Gardco自動ドローダウン装置を使用する、1および2ミルの湿潤厚みでのドローダウンスクエアを使用して、室温でコートした。前記フィルムを、熱対流炉において、120℃で30分間、熱的に硬化させた。
前記堆積したインクの導電性を測定するために、2点プローブ測定を、下記のように行った:長さ約100mmおよび幅約2mmのラインを、前記フィルムを試験用に切った。抵抗を、マルチメータで測定した。前記ラインコーティングの厚みを、前記ライン上の複数の位置で測定し、平均厚みを算出した。シート抵抗を、下記式:
により取得した。前記式中:
である。
前記シート抵抗は、前記インクに特有である。より低いシート抵抗値、より良好な導電性。目的は、シート抵抗を最小化することである。
各試料の導電性を測定し、その値を、表2に報告する。
前述の結果は、本願のインクに関して、改善された導電性/シート抵抗が、優れた粘度プロファイルと共に達成されていることを説明する。本願明細書では、前記インクは、望ましくは、12.5mΩ/sq./ミル以下のシート抵抗を示す。