JP2015003900A - ワクモ防除剤 - Google Patents

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高圓 山内
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高尚 山内
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Abstract

【課題】安全性が高く、飼育中の鶏ケージ等に散布することが可能なワクモ防除剤を提供すること。【解決手段】樹皮を乾留して得られる木酢液を有効成分として含有するワクモ防除剤。【選択図】図9

Description

本発明はワクモ防除剤に関し、さらに詳細には、ワクモに対し、殺虫作用および忌避作用を有し、ワクモの生息場所あるいは家禽類に適用することによって、ワクモを有効に防除し得るワクモ防除剤に関する。
ワクモ(Dermanyssus gallinae)は、家禽類に寄生し吸血する寄生虫であり、近年、採卵鶏の飼養規模・形態や季節、地域を問わず発生が見られるようになり、年々生息域を拡大し、繁殖力も旺盛になってきている。ワクモに対しては、一般に有機リン剤、カーバーメート剤などの駆除剤が使用されているが、飼育中の鶏ケージの隙間や餌箱の間などで繁殖するため、鶏に対する安全性等からこれらの駆除剤を散布できない場合があり、その結果、鶏の貧血、衰弱、死亡、産卵率の低下などの被害が発生しており、またワクモの媒介による大腸菌症の発症例なども報告されている。
これに対し新たなワクモ防除剤も検討されており、例えば特許文献1にはメトキサジアゾンを有効成分とする防除剤が開示されている。
特開2006−36174号公報
しかし、なお安全性が高く、飼育中の鶏ケージ等にも散布することが可能で、ワクモを効果的に防除し得る防除剤が望まれており、本発明はそのようなワクモ防除剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、樹皮を乾留して得られる木酢液は、ワクモに対し優れた殺虫作用および忌避作用を有し、これをワクモの生息場所に散布したり、家禽類に経口投与することにより、ワクモを有効に防除し得ることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、樹皮を乾留して得られる木酢液を有効成分として含有するワクモ防除剤である。
また本発明は上記木酢液をワクモの生息場所または家禽類に適用することを特徴とするワクモの防除方法である。
また本発明は上記木酢液を家禽類に投与することを特徴とするワクモの防除方法である。
本発明のワクモ防除剤は、ワクモに対し、優れた殺虫作用および忌避作用を有するものであり、ワクモの生息場所や家禽類に適用したり、あるいは家禽類に経口投与することによって、ワクモを有効に防除することができ、さらにはワクモに起因する家禽類の産卵能の低下等を抑制することが可能である。またこのワクモ防除剤は安全性が高いため、飼育中の家禽類のケージや家禽類に直接散布しても、家禽類の健康への影響が小さいものである。
試験例7において採取したワクモの顕微鏡写真である(A:背側、B:腹側)。 試験例8において、瓶内の揮発成分濃度に対するワクモの致死率をプロットしたグラフである。 試験例9における、ワクモが木酢液中の粒子に対し忌避行動を示し移動した状態の写真である。 試験例10における、木酢液吹付け前後の鶏体の総***孔付近の写真である(A:吹付け前、B:吹付け後)。 試験例12における、木酢液添加前後の樹皮炭粉末の多孔質断面の顕微鏡写真である(A:木酢液添加前、B:木酢液添加後)。 試験例12における、木酢液添加前後の樹皮炭粉末の元素マップ像である(A:全体像、B:炭素、C:マグネシウム、D:アルミニウム、E:カルシウム)。 試験例12における、樹皮炭粉末の空孔内部の元素マップ像である(A:全体像、B:炭素、C:はイットリウム、D:イッテリビウム)。 試験例13において、木酢液等に浸漬したワクモの写真である(A,Dは水(A:浸漬後、D:乾燥後)、B、Eは500倍希釈木酢液(B:浸漬後、E:乾燥後),C、Fは木酢液原液(C:浸漬後、F:乾燥後))。 試験例13において、木酢液原液に浸漬、乾燥後に解剖したワクモの写真である。 走査型電子顕微鏡によるワクモの写真である(A:側部、B:側部拡大、C:腹側、D:腹側拡大)。 木酢液を吹付けたワクモの第一幼生の写真である。
本発明のワクモ防除剤は、樹皮を乾留して得られる木酢液を有効成分とする。
上記木酢液の原料となる樹皮としては、樹木であれば特に限定されるものではないが、広葉樹が好ましく、例えば、カシ、タブ、サクラ、カエデ、シイ、クス、イス、ナラ、キハダ、ヤマモモ、カシワ、ケヤキ、クワ、キリ、ミズキ、ソヤが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができ、これらの中でもカシ、シイ、タブ、キハダおよびカシワよりなる群から選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。これらの樹皮を乾留するにあたって、乾留温度は、比較的低温が好ましく、具体的には350〜450℃が好ましく、380〜420℃がより好ましい。このような温度で20〜30日程度乾留すればよい。加熱手段は特に限定されず、直火、ヒーター等を利用できる。乾留によって発生した気体状の蒸留物を公知の手段によって捕集する。捕集された蒸留物を冷却して液体とし、静置しておくと上層、中間層、下層の3層に分離する。本発明の木酢液としては、このうちの中間層部分を公知方法により分取して用いる。このようにして調製される木酢液は、pHの範囲が好ましくは3〜3.8、より好ましくは3.3〜3.5であり、酸度(%)が好ましくは2〜3.5、より好ましくは2.5〜2.9の範囲にあるものである。なお酸度は実施例に記載の方法によって測定される値である。
上記木酢液は、そのまま、あるいは水、植物からの抽出液等の液体担体で希釈してもよく、また酢酸、酢酸を主成分とする液体を添加して液剤とし、本発明のワクモ防除剤として使用することができる。
例えば、家禽類に経口投与する場合には、安全性の観点から、水で500〜1000倍(容積)に希釈して用いることが好ましい。一方、ワクモの生育場所や家禽類に直接散布等して適用する場合には0〜500倍希釈で用いることが好ましい。このような液剤を平面に適用する場合には、原液が1mあたり1〜10ml程度の散布量になるよう適用すればよい。適用方法としては、噴霧、散布、湿布等が挙げられる。例えば、ワクモは家禽類の飼育ケージの隙間等にコロニーを形成するが、このようなコロニーなどのワクモの生息場所に対して、本発明のワクモ防除剤を噴霧等によって適用することにより、ワクモに対し忌避効果および殺虫効果が奏される。また、ワクモの寄生が重度になると、鶏の総***孔付近にコロニーを形成するものもいる。家禽類に直接適用する場合には、下から羽毛に逆らうように吹付けることでこれらの駆除と寄生予防効果が得られる。家禽類としては、鶏、ウズラ、七面鳥、ダチョウなどが挙げられる。また本発明にいて、防除対象のワクモには、卵、幼虫、若虫、成虫のいずれの段階も含まれる。
上記液剤を家禽類に経口投与する場合には、直接経口投与してもよく、飼料や飲料水に混ぜて摂取させてもよい。本発明の防除剤を経口投与する場合の投与量は特に限定されるものではないが、例えば、鶏に投与する場合、木酢液として、1個体1日あたり体重の0.005〜0.25質量%程度投与すればよい。
また、上記木酢液を公知の固形担体に担持させて錠剤、粉剤、粒剤、カプセル、ペレット等の剤型の固形製剤としてもよい。例えば、固形担体として樹皮炭粉末を使用し、これに木酢液を担持させることができる。この樹皮炭粉末の原料となる樹皮は木酢液と同様のものを使用することができ、好ましくは350〜450℃、より好ましくは380〜420℃の温度で20〜30日間程度炭化処理する。得られた樹皮炭を公知の粉砕方法によって粉砕処理し、1mm以下の粒径のものが、好ましくは96質量%以上、より好ましくは99質量%以上含有するように調整する。粒度の調整は、目開き1mmの篩を用いて篩分け等することにより行うことができる。この樹皮炭粉末に木酢液を噴霧し、均一に混合することによって樹皮炭粉末に木酢液が担持された粉末状の固形製剤が得られる。木酢液と樹皮炭粉末とは、含有質量比18:2〜14:6で混合することが好ましく、17:3〜15:5とすることがより好ましい。このような木酢液を樹皮炭粉末に担持させた固形製剤として、ネッカリッチ、スーパーネッカリッチ(宮崎みどり製薬株式会社製)が市販されており、これを利用することができる。
このような固形製剤を上記液剤と同様にワクモの生息場所や家禽類に適用したり、家禽類に経口投与することができる。適用方法や適用量、投与量も木酢液を基準として同様にすればよい。
以下、発明を製造例等に基づき説明する。なお本発明は、製造例等により何ら限定されるものではない。
製造例1
木酢液の調製:
南九州産のカシ、シイなどを主とする広葉樹をローリングバーガーにより剥皮して樹皮を得た。樹皮を縦5m×横5m×深さ1.1mの平窯に重ねて入れ、約390℃で炭化処理した。発生した蒸留物をファンで吸引し、平窯の側面に設けられた2個の穴から煙道を通って冷却水層まで移送して、冷却水層内に配管されたステンレス管を通過させて冷却し、貯留タンクに粗木酢液として貯留した。粗木酢液を貯留タンク内に約3ヶ月静置して、上層(油分)、中間層、下層(タール分等)に分離させてから、中間層を分取して精製木酢液を得た。この木酢液のpHは3.4であった。また中和滴定法により酸度を測定したところ2.73%であった。
製造例2
固形製剤の調製:
製造例1で得られた樹皮炭を、粉砕機により粒度1mm以下の粒子が96質量%以上となるように粉砕した。この樹皮炭粉末16kgに対し製造例1の精製木酢液4kgを噴霧、混合して、樹皮炭粉末に木酢液を担持させた固形製剤を調製した。
試験例1
ワクモに対する殺虫作用(1):
鶏舎に生育するワクモの成虫を採取し、シャーレ(底面積22cm2)に入れ密閉した。シャーレ内に製造例1で調製した木酢液を1ml注入した。室温で暗室に5時間放置後、シャーレ内のワクモの生死を確認し、供試虫数に対する死虫数の割合を駆除率(%)とした。木酢液に代えて同量の水道水を注入したものおよび何も加えなかったものについても同様にして駆除率を調べた。結果を表1に示す。
水道水でも呼吸ができない状態に陥り、一部のワクモが死亡したと思われるが、同量の木酢液ではそれを大きく上回る駆除率を示した。
試験例2
ワクモに対する殺虫作用(2):
プラスチック容器(底面積22cm2)に、製造例1で調製した木酢液0.8mlを含浸させたキッチンペーパー(約50cm2)を側面まで敷詰め、その上に鶏舎から採取したワクモの成虫を載せ密閉した。室温で1夜放置後、シャーレ内のワクモの生死を確認し、供試虫数に対する死虫数の割合を駆除率(%)として求めた。木酢液に代えて同量の水道水または市販の純米酢を使用したものについても同様にして駆除率を調べた。結果を表2に示す。
純米酢と木酢液は、共通して酢酸を含有するが、木酢液が純米酢を上回る駆除率であった。これらの液の酢酸濃度を、酢酸特有の刺激臭から臭気指数により簡易的に比較した。測定には、新コスモス電機株式会社製ポータブル型ニオイセンサXP-329N型を用いた。測定結果は、水3、100%酢酸1,602、木酢液783、純米酢802、純黒酢876であった。木酢液のワクモ駆除効果は酢酸以外の成分も含め、総合的に作用したものであることが示唆された。
試験例3
ワクモに対する忌避作用(コロニーへの散布):
鶏舎のケージの繋ぎ目に形成されたワクモのコロニーに製造例1で調製した木酢液を霧吹きで2ml/m2吹き付け、コロニーの状態の変化を目視および画像解析により調べた。木酢液は、1回目の吹き付け後、16時間後および19時間後の合計3回吹き付けた。ワクモは吸血により鶏を貧血状態に陥らせたり、あるいは吸血による不快感により鶏の産卵能力等を低下させるため、その吸血量がワクモの鶏に対する影響の指標になると考えられる。ワクモは、未吸血時は灰白色であるが吸血すると赤色になるため、画像解析では、吹き付け20分後のコロニーをデジタルカメラで撮影し、画像解析ソフト(MITANI CORPORATION.Win Roof)を用いて、吸血したワクモに対応する色(RGBカラーモデルでR82-99,G47-67,B69-82をしきい値とする)のドット数を自動カウントした。画像解析の結果を表3に示す。
木酢液の吹付後、ワクモの吸血反応ドット数がほぼ半減し、2回目、3回目の吹付で、さらに半減した。吹付を止めた後も測定を続けた結果、約2週間後にドット数が990にまで増えた。よって、木酢液の吹付が、ワクモのコロニーに作用し、鶏体を吸血によるストレスから保護できたと言える。また、木酢液の吹付後のコロニーの状態をビデオカメラにより撮影・観察したところ、ワクモの成体が一斉に逃げ出す様子が観察された。また、コロニー内の卵の膜が破れ、内容液が溶けだす様子が観察された。よって、ワクモ成体に対する忌避効果や卵の駆除効果等により、吸血する成体の個体数が著しく減少し、鶏に対する吸血の害を顕著に軽減できたと考えられる。
試験例4
ワクモに対する忌避作用(経口投与):
木酢液を樹皮炭粉末に担持させたスーパーネッカリッチ(宮崎みどり製薬社製、木酢液含有量20質量%)を鶏に摂取させ、ケージ内に形成されたワクモのコロニーの状態の変化を調べた。83週齢のボリス鶏種を5羽ずつ3区に分け、2週間標準飼料(日和産業株式会社製、ニュースター)を給餌した後、スーパーネッカリッチ1%添加飼料(標準飼料にスーパーネッカリッチを1質量%添加)、スーパーネッカリッチ2%添加飼料、または標準飼料(対照)をそれぞれ与え、ウインドレス三段高床式で3週間飼養した。ワクモのコロニーの状態の変化は、試験例3と同様にして目視観察および画像解析により評価した。各区5地点のコロニーについて、ネッカリッチ添加飼料給餌開始前と給餌開始2週間後に画像解析してワクモに対応する色のドット数を自動カウントした。各地点における、給餌開始前のドット数に対する給餌開始2週間後のドット数の割合を求め、5地点の平均値を各区におけるワクモ増減率(%)とした。結果を表4に示す。
上記結果により、木酢液の鶏体への経口投与によっても、ワクモのコロニー内での吸血反応が減少し、鶏体をワクモの吸血によるストレスから保護できる効果があることを確認できた。
試験例5
卵生産性に対する影響:
616日齢ソニア鶏種を16羽ずつ3区に分け、スーパーネッカリッチ0.5%添加飼料(標準飼料にスーパーネッカリッチを0.5質量%添加)、スーパーネッカリッチ1%添加飼料、または標準飼料(対照)をそれぞれ与え、ウインドレス三段高床式で9週間(5〜7月)飼養した。飼養開始5週間目から製造例1で調製した木酢液を、飼育中の鶏およびケージの隙間のワクモのコロニーに霧吹きで1日1回2ml吹き付けた。木酢液吹き付け開始前の4週間および吹き付け開始後5週間において、週毎の摂食量(g)、産卵率(%)、産卵日量(g)の変化を下記のようにして求めた。試験は各区2羽ずつの8反復で行った。結果を表5に示す。
(摂食量)
1反復ごとにバケツに2kgの飼料を作り置きし、週一回残量を計測し計算した。週毎のグループ内の平均値から最少二乗法を用いた回帰分析により測定期間中の変化率を求め、摂食量の変化とした。
(産卵率)
1反復ごとに卵を採取し、週2回産卵個数を数えた。週毎の産卵個数を日数×2(羽数)で割り、グループ内の平均値から最少二乗法を用いた回帰分析により測定期間中の変化率を求め、産卵率の変化とした。
(産卵日量)
1反復ごとに卵を採取し、週2回卵の重量を計測した。週毎の産卵重量を日数×2(羽数)で割り、グループ内の平均値から最少二乗法を用いた回帰分析により測定期間中の変化率を求め、産卵日量の変化とした。
いずれの区でも、木酢液の吹付前は気温の上昇に伴い摂食量、産卵率、産卵日量の減少が見られた。しかし、木酢液の吹付開始後は、いずれの区においても、摂食量と産卵日量に改善が見られ、さらにネッカリッチの給与区では、気温が高い時期にも関わらず、産卵率の改善まで見られた。
試験例6
安全性テスト:
8日齢の採卵鶏用讃岐コーチン(オス)を用いて安全性テストを行った。安全性テストは、「飼料の安全性評価基準及び評価手続」(平成20年5月19日付20消安第597号農林水産省消費・***長通知)の「鶏ひなの成長試験」に従い実施した。製造例1で調製した木酢液を水で500倍(容積)、1000倍に希釈し、ひなを6羽ずつ4区に分け、1000倍希釈木酢液、500倍希釈木酢液、木酢液原液、水道水を摂取させて体重の増減及び死亡率を調べた。試験期間は8日齢を1日目として13日齢までの6日間とした。試験期間中は朝、晩の1日2回、チューブを▲素▼嚢まで入れ、被験試料1mlを直接注入した。結果を表6に示す。
表中、a,bについて、異なる上付き文字は統計的有意差を意味する(P<0.05)。この結果からLD50(半数致死量)を求めたところ、LD50>126,316mg/kgとなった。毒物基準、劇物基準をクリアしており、極めて安全であることが示された(劇物LD50 <300mg/kg、毒物LD50 <50mg/kg(毒物及び劇物取締法 昭和25年12月28日法律第303号))。
試験例7
ワクモの同定:
採卵鶏用実験鶏舎において採取した寄生虫について、走査型顕微鏡を用いてワクモであると同定した。吸血被害が考えられるダニ目にはワクモとトシサシダニがいるが、肛板(Anal plate)に対し下側に肛門(Anue)が位置するのがワクモであり、上側に位置するのがトリサシダニである。図1に示す通り、採取したものは、肛板に対し、肛門が下側に位置しており、ワクモであることが確認された。
試験例8
木酢液の揮発成分の効果検証:
製造例1で調製した木酢液の揮発成分の効果について検証した。9mlの捕集瓶を二本連結し、片方にワクモを9匹、片方に<1>1,800μl水、<2>1,800μl木酢液<3>900μl木酢液、<4>450μl木酢液、<5>180μl木酢液、<6>18μl木酢液を入れた。この状態で37℃のプレート上に一晩おいた。捕集瓶中の液体はすべて揮発し瓶内に充満した。瓶内の揮発成分濃度に対するワクモ致死率を対数変換したものをプロットして近似直線を引き(図2)、これからLC50(半数致死濃度)を求めたところ18.9μl/cm3であった。
この結果から、木酢液に含まれる揮発成分のワクモに対する半数致死濃度は18.9μl/cm3であることを示すと同時に、ワクモの駆除液の効果を比較検証する方法を確立した。
試験例9
木酢液中の粒子による効果の検証:
9ml捕集瓶に製造例1の木酢液を9ml入れ、10分程度、瓶の中を浸した後、液体のみ取り除き、その後2日間風乾させた(WV1)。20羽飼養の、採卵鶏用実験鶏舎において、ケージ上にたまった埃内のワクモのコロニーを埃ごと適量入れた。これをオートクレープを用いて120℃で20分間滅菌処理した清潔な捕集瓶(WV2)と開口部を併せて連結した。一方、清潔な捕集瓶にワクモのコロニーを同程度の量埃ごといれ(CON1)、別の清潔な捕集瓶(CON2)と同様にして連結した。
この状態で2日間暗室においたところ、WV1の埃内のワクモは忌避行動を示しWV2へ移動した。これに対し、CON1内のワクモはCON2に移動せず、CON1の埃内で活動を続けた(図3)。
この結果から、木酢液中の粒子はワクモに対し忌避作用があり、これを持続させる効果を有することが示された。
試験例10
鶏体の総***孔付近の糞塊中のワクモに対する駆除効果:
500倍に希釈した製造例1の木酢液を、鶏体の総***孔付近の糞塊にいるワクモに吹付けた。吹付けは、500倍希釈木酢液を1羽あたり200mlの量で、鶏体の下から羽毛に逆らうようにして、産卵後の午前10時前後に1回、3日間にわたって行った。木酢液吹付け前後の鶏体の総***孔付近の写真を図4に示す。Aが吹付け前であり、Bが吹付け3日後の写真である。吹付け開始3日後には、鶏体上のワクモを駆除でき、産卵率も吹付け前は20羽平均で30%であったのに対し、吹付け3日後には70%に回復した。
試験例11
木酢液吹付けによる産卵成績及び卵質に対する影響:
鶏体に木酢液を吹付けたことによる産卵成績、卵質に対する影響を調べた。168日齢ソニア鶏種8羽を用い、製造例1で調製した木酢液を鶏の顔に1日2回霧吹きで1mlずつ8日間吹き付けた。試験開始時及び8日後における飼料消費量(g)、産卵率(%)、産卵日量(g)、平均卵重(g)、飼料効率を下記のようにして求めた。産卵成績に関する結果を表7に示す(上段:吹付け前、下段:吹付け8日後)。
(飼料消費量)
各区ごとにバケツに2kgの飼料を作り置きし、週一回残量を計測し摂食量を計算した。測定期間中の平均値を、飼料消費量とした。
(産卵率)
各区ごとに卵を採取し、週2回産卵個数を数えた。(測定期間中の産卵数)を(飼養羽数4羽×測定期間8日)で除したものを産卵率とした。
(産卵日量)
各区ごとに卵を採取し、週2回産卵重量を計測した。(上文で求めた産卵率)×(飼養羽数4羽が測定期間中に産んだ卵の総重量)を100で除したものを産卵日量とした。
(平均卵重)
各区ごとに卵を採取し、週2回産卵重量を計測し、産卵個数を数えた。(測定期間中に産んだ卵の総重量)を(測定期間中の産卵数)で除したものを平均卵重とした。
(飼料効率)
各区ごとに卵を採取し、週2回産卵重量を計測した。また、各区ごとにバケツに2kgの飼料を作り置きし、週一回残量を計測し計算した。
木酢液の吹付は、採卵鶏の産卵成績に影響を与えないことが証明された。また、産卵日量は吹付により有意に向上した。
また吹付け前及び吹付け8日後における卵質として、卵殻破壊強度(kg/cm2)、卵殻厚(mm)、卵殻割合(%)、アルブミン割合(%)、卵黄割合(%)、ハウユニットを下記のようにして求めた。卵質に関する結果を表8に示す(上段:吹付け前、下段:吹付け8日後)。
(卵殻破壊強度)
富士平工業株式会社製「卵殻強度計」を用いて計測した。
(卵殻厚)
ダイヤルシックネスゲージを用いて卵殻の厚さを計測した。
(卵殻割合)
卵殻重量を卵重で除して求めた。
(アルブミン割合)
卵重から卵黄重量と卵殻重量を差し引いたものをアルブミン割合とした。
(卵黄割合)
卵黄重量を卵重で除して求めた。
(卵黄色)
ロボットメーション株式会社、東北リズム株式会社製「EGGマルチテスタ(EMT-5000)」を用いて計測した。
(ハウユニット)
ロボットメーション株式会社、東北リズム株式会社製「EGGマルチテスタ(EMT-5000)」を用いて計測した。
木酢液の吹付は、採卵鶏の卵質に影響を与えないことが証明された。また、木酢液の吹付により卵黄割合が上昇した。
試験例12
製造例2の固形製剤の構造解析:
製造例2で得られた樹皮炭粉末に木酢液を担持させた固形製剤について、スペクトル分析を用いた構造解析を行った。測定装置としては、エネルギー分散型X線分析装置を備える走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ、卓上顕微鏡TM3030、エネルギー分散型X線分析装置SwiftED3000)を用いた。
(1)木酢液添加前後の樹皮炭粉末について、元素分析を行った。結果を表9に示す。また、樹皮炭粉末の空孔断面を図5に示す。
この結果から、木酢液成分が樹皮炭粉末の空孔内部に入ることによりミネラル成分の構成比率が上がることが示された。
(2)木酢液添加前後の樹皮炭粉末について、ミネラル成分の分布を調べた。元素マップ像を図6に示す。Aは全体像、Bは炭素、Cはマグネシウム、Dはアルミニウム、Eはカルシウムである。また空孔内部の元素組成を表10に示す。
表10より、空孔内部に木酢液が入り、カルシウムなどミネラル成分の濃縮が認められた。
(3)木酢液を添加した樹皮炭粉末について、空孔外部及び内部において元素を指定し分析を行った。指定元素は、木酢液粒子の1/10000画像から検出されたものである。それぞれの元素組成を表11に示す。また空孔内部の元素マップ像を図7に示す。Aは全体像、Bは炭素、Cはイットリウム、Dはイッテリビウムである。
イットリウム、イッテルビウムといった希土類原子が空孔内部で多く検出された。
(4)スペクトル分析を用いて木酢液中のミネラル構成を求めた。その結果を表12に示す。
試験例13
ワクモの顕微鏡観察:
吸血後のワクモを捕獲し、水、500倍希釈木酢液又は木酢液原液に一日漬け込んだ後、実体顕微鏡下で観察した。さらに、2日間乾燥させた後、同様に実体顕微鏡下で観察した。それぞれの顕微鏡写真を図8に示す。A,Dは水(A:浸漬後、D:乾燥後)、B、Eは500倍希釈木酢液(B:浸漬後、E:乾燥後)、C、Fは木酢液原液(C:浸漬後、F:乾燥後)の写真である。また、木酢液原液に浸漬したものについて乾燥後解剖した(図9)。
水、500倍希釈木酢液に浸漬したものは乾燥により収縮が見られたが、木酢液原液に浸漬したものは収縮しなかった。またその体内には木酢液中の粒子と思われる黒い斑点が見られた。これを解剖すると、体内物に木酢液中の粒子と思われる黒い物質が付着していた(図8及び9、矢印)。
この結果から、気門より木酢液粒子が体内に侵入したものと考えられる。無脊椎動物の体内にはカルシウムと特異的に結びつき溶血性を備えるレクチンが存在する。気門から侵入したカルシウムを主成分とする木酢液粒子がワクモ体内のレクチンと結びつき、作用したものと推測される(図10)。体皮の柔らかい第一幼生や卵の場合、体表に付着した粒子が浸透圧により組織を破壊すると考えられる(図11)。図11の写真では、木酢液で処理した第一幼生の気門から体液が噴出していることが認められる。
本発明のワクモ防除剤は、安全性が高く、飼育中のケージや鶏に直接散布したり、鶏に経口投与することによって、ワクモを有効に防除し得るものであるため、養鶏業において卵生産性の向上等に有用なものである。

Claims (6)

  1. 樹皮を乾留して得られる木酢液を有効成分として含有することを特徴とするワクモ防除剤。
  2. 樹皮が、カシ、シイ、タブ、キハダおよびカシワよりなる群から選ばれる1種または2種以上の広葉樹である請求項1記載のワクモ防除剤。
  3. 乾留の温度が380〜420℃である請求項1または2記載のワクモ防除剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかの項記載のワクモ防除剤をワクモの生息場所に適用することを特徴とするワクモの防除方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかの項記載のワクモ防除剤を家禽類に適用することを特徴とするワクモの防除方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかの項記載のワクモ防除剤を家禽類に経口投与することを特徴とするワクモの防除方法。

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