JP2015001503A - 電流検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】測定電流が流れる導線を囲む磁気コアに巻回した励磁コイル3と、前記磁気コアを飽和状態またはその近傍の状態で、前記励磁コイルに供給する励磁電流の磁性を反転させる矩形波電圧を発生する発振手段4と、該発振手段から出力される前記矩形波電圧に基づいて前記測定電流を検出する電流検出手段とを少なくとも備えた電流検出装置であって、前記磁気コアに巻回した励磁コイルとは別の検出コイル21と、該検出コイルの出力電圧が入力されるハイパスフィルタ22とを備え、前記発振手段は、前記ハイパスフィルタの出力と前記励磁コイルの出力との差分を演算するノイズ除去手段20を備えている。
【選択図】図2
Description
この特許文献1に記載された従来例では、図10(a)に示す構成を有する。すなわち、軟質磁性体製の同形,等大に構成された円環状をなすコア101及び102と、各コア101及び102に等しい回数巻回された励磁コイル103と、各コア101及び102にわたるよう一括して巻回された検出コイル104とを備えている。
励磁コイル103はこれに通電したとき両コア101及び102に生じる磁場が逆相であって互いに打ち消し合うようコア101及び102に巻回されている。
また、特許文献2に記載された従来例では、図11に示すように、感知される電流121は、ソフトフェライトのトロイダルルコアを有する小型変成器からなる可飽和コア磁気検知素子124の一次巻線を通って流れる。この変成器の2次巻線は一端が電力スイッチ123に接続され、この電力スイッチ123は、電源122から二次巻線に供給される電圧の極性を交互に切り替える。また、二次巻線の他端は、検知装置125に接続される。
さらに、コア101、102を飽和領域まで励磁する必要があるので、大きな励磁電流が必要となり、センサの消費電流が大きいという未解決の課題もある。
また、本発明に係る電流検出装置の第2の態様は、前記ノイズ除去手段が、前記ハイパスフィルタの出力と前記励磁コイルの出力とが入力される差動増幅回路で構成されている。
また、本発明に係る電流検出装置の第4の態様は、前記電流検出手段が、前記発振回路から出力される矩形波電圧のデューティ比を検出し、検出したデューティ比に基づいて測定電流の過大電流を検出する第1の過大電流検出手段を備えている。
また、本発明に係る電流検出装置の第6の態様は、前記発振手段から出力される前記矩形波電圧の波高値に基づいて前記測定電流の過大電流を検出する第3の過大電流検出手段を備えている。
〔実施形態の構成〕
図1は、本発明の電流検出装置の実施形態の構成を示す図である。図2は、図1の発振回路及びハイパスフィルタ回路の具体的構成を示す回路図である。図3は、図1の電流検出回路、周波数検出回路、振幅検出回路及び出力判定回路の構成を具体化したブロック図である。
導線1a、1bは、例えば漏電検知などの対象物に設けられ、例えば10A〜800Aの往復の電流Iが流れる導線であって、健全状態では導線1a、1bに流れる電流の和はゼロであるが、漏電や地絡などで導線1a、1bに流れる電流の和が零にならず、検出対象とする例えば15mA〜500mA程度の微小な差異電流が流れる。
磁気コア2には、励磁コイル3が所定巻数で巻回されており、この励磁コイル3に発振回路4から励磁電流が供給される。
発振回路4は、後述のように、設定したしきい値に応じて、磁気コア2を飽和状態またはその近傍の状態で、励磁コイル3に供給する励磁電流の磁性を反転させる矩形波電圧を発生する。
このオペアンプ11の出力側が、励磁コイル3及び抵抗12を介して接地されている。そして、励磁コイル3及び抵抗12との接続点がノイズ除去回路20を介してオペアンプ11の反転入力側に接続されている。また、オペアンプ11の非反転入力側は、オペアンプ11の出力側及びグランド間に直列に接続された分圧抵抗13及び14間の接続点に接続されている。そして、オペアンプ11の出力側が出力端子15に接続されている。
ノイズ除去回路20は、オペアンプ30を有する差動増幅回路の構成を有する。すなわち、オペアンプ30の反転入力側が第1の抵抗31を介してハイパスフィルタ回路22の出力側に接続されている。また、オペアンプ30の反転入力側及び出力側間に第2の抵抗32が接続されている。さらに、オペアンプ30の非反転入力側が第3の抵抗33を介して励磁コイル3の一端に接続されている。また、第3の抵抗R33とオペアンプ30の非反転入力側との間の接続点と接地との間に第4の抵抗34が接続されている。
Vo=(R2/R1)(V2−V1) ……(1)
そして、抵抗33は励磁コイル3に接続され、抵抗31はハイパスフィルタ回路22に接続されており、ハイパスフィルタ回路22では、インバータ回路等のノイズ発生源からの高周波ノイズを通過させるので、ノイズ除去回路20で励磁コイル3の出力からハイパスフィルタ回路22を通過した高周波ノイズ分を減算することにより、高周波ノイズ成分を除去することができる。
周波数検出回路6は、図3に示すように、ハイパスフィルタ回路61と、絶対値検出回路62とを備えている。
振幅検出回路7は、図3に示すように、絶対値検出回路71で構成されている。
絶対値検出回路71は、発振回路4から出力される出力電圧Vaの絶対値(波高値)を検出し、電圧信号でなる波高値信号を出力する。
そして、オア回路85の論理和出力がオア回路82に出力され、このオア回路82から過電流状態の有無を表す出力判別信号が出力される。
(発振回路の動作)
まず、発振回路4の動作について、図2を参照して説明する。
説明を簡単にするため、ノイズ除去回路20が接続されておらず、励磁コイル3及び抵抗12の接続点が直接オペアンプ11の反転入力端子に接続されているものとする。
この発振回路4では、分圧抵抗13及び14の接続点Eの閾値電圧Vthがオペアンプ11の非反転入力側に供給されており、この閾値電圧Vthと励磁コイル3及び抵抗12との接続点Dの電圧Vdとが比較されて、その比較出力が矩形波の出力電圧Vaとして出力側から出力される(例えば図9(b)〜(d)参照)。
このとき、オペアンプ11の非反転入力側には、抵抗13および抵抗14の接続点Eが接続されているため、抵抗13と抵抗14で分圧された電圧が閾値電圧Vthとして入力されている。一方、オペアンプ11の反転入力側の励磁コイル3および抵抗12の接続点Dの電圧Vdは、励磁コイル3の励磁電流ILの増加に応じて増加する。そして、その電圧Vd=R12×ILが閾値電圧Vthを上回ると、オペアンプ11の出力電圧Vaがローレベルに反転する。
このとき、閾値電圧Vthは、出力電圧Vaがローレベルになっているので、閾値電圧Vthも低い電圧となる。そして、接続点Dの電圧Vdが励磁コイル3の励磁電流ILの減少に応じて減少し、閾値電圧Vthを下回ると、オペアンプ11の出力電圧Vaは図9(b)〜(d)に示すようにハイレベルに反転する。
このような動作により、発振回路4の出力電圧Vaは、図9(b)〜(d)に示すように、ハイレベルとローレベルを交互に繰り返す矩形波電圧となり、発振回路4は非安定マルチバイブレータとして動作する。そして、励磁コイル3の励磁電流は、図9(a)に示すように、増加と減少を交互に繰り返す鋸歯状波電流となる。
次に、磁気コア2と発振回路4との関係について説明する。
ここで、磁気コア2のB−H特性は、実際には図4の実線で示すようにヒステリシスを有する。しかし、説明をわかり易くするために、磁気コア2のB−H特性は、図4の破線で示すヒステリシスの中心値の特性を有するものとする。
また、励磁コイル3のインダクタンスLは、次の式で表すことができる。
上式によれば、励磁コイル3のインダクタンスLは透磁率μに比例するため、図5(b)は励磁電流ILとインダクタンスLに関係を表す特性曲線をみることができる。測定電流I=0の場合には、図5(b)の動作範囲は実線の太線部分であるため、励磁コイル3のインダクタンスLは、ほぼ一定値(L0)となる。
このため、測定電流I=0のときには、励磁コイル3の励磁電流ILは図9(a)の実線のようになり、発振回路4の出力電圧は図9(b)の実線のようになる。
この電流I1は、導線1aを流れる電流Iaと、導線1bに流れる電流Ibの差の電流であり、漏電や地絡に対応する電流である。電流I1が流れると、電流I1による磁界H1が磁気コア2内に発生する。この磁界H1により、磁気コア2のB−H特性曲線は、図6(a)のように、測定電流I=0のときの磁界Hに対して磁界H1の分だけシフトした特性曲線となる。
この結果、測定電流Iが0からI1の範囲では、発振回路4の矩形波電圧である出力電圧Vaのデューティ比が、測定電流I(電流Iaと電流Ibの差の電流値)に応じて変化する。
このような特性の磁気コア2に巻回される励磁コイル3に、発振回路4からの矩形波電圧が印加されると、磁気コア2の動作領域は図7(a)の実線の太線部分となる。このため、図7(b)の実線の太線部分が動作領域での励磁コイル3のインダクタンスLとなる。そして、励磁コイル3のインダクタンスLは、励磁電流ILが正負のいずれの場合であっても、測定電流I=0の場合のインダクタンスL0より小さな値となる。
このように、測定電流IがI1よりもさらに大きなI2の場合には、発振回路4の出力電圧Vaのオンレベル期間TH2とオフレベル期間TL2の双方が短くなる。このため、オンレベル期間とオフレベル期間のデューティ比が測定電流Iに応じて比例しなくなり、デューティ比のみの検出では測定電流Iを検出できなくなる。
f=1/(TH2+TL2)
その後、測定電流IがI2 よりもさらに大きなI3 になると、磁気コア2は図8に示すように完全飽和領域になり、励磁コイル3のインダクタンスLはほぼ零となり、発振回路4は発振が不可能となって発振を停止する。
(1)測定電流I=0のとき
このときには、発振回路4の出力電圧(矩形波電圧)Vaは、図9(b)の実線のように、ハイレベルとローレベルは1:1のデューティ比になる。
このときには、発振回路4の出力電圧Vaは、図9(c)の点線のようになり、そのデューティ比が測定電流I(電流Iaと電流Ibの差の電流値)に応じて変化する。したがって、この範囲では、電流検出回路5で発振回路4の出力電圧Vaのデューティ比を検出することにより、測定電流Iを検出できる。
このときには、発振回路4の出力電圧Vaは、図9(d)の一点鎖線のようになり、その発振周波数が測定電流I=0の場合に比べて高くなる。さらに、発振回路4の出力電圧Vaの波高値(振幅)が減少するようになる。したがって、この範囲では、周波数検出回路6または振幅検出回路7で、発振回路4の出力電圧Vaの周波数または振幅を検出することにより、測定電流Iを検出できる。
(4)測定電流IがI3以上のときには、発振回路4は発振動作を停止する。
そこで、この実施形態では、(2)(3)の関係を利用して測定電流Iが過大電流であるか否を検出するようにし、このため、発振回路4の後段に電流検出回路5、周波数検出回路6、および振幅検出回路7をそれぞれ設けている(図1、図3参照)。
次に、電流検出回路5、周波数検出回路6、及び振幅検出回路7のそれぞれの動作について、図1を参照して説明する。
まず、測定電流Iが0からI1の範囲のときには、電流検出回路5のデューティ比検出回路51の動作が有効である。
すなわち、デューティ比検出回路51は、発振回路4の出力電圧Vaのハイレベル期間およびローレベル期間をそれぞれ測定し、この測定結果を基に出力電圧Vaのデューティ比を検出し、このデューティ比検出回路51から出力される電圧信号でなる測定電流Iに応じた電流検出信号を出力判定回路8へ出力する。
すなわち、周波数検出回路6は、発振回路4から出力される出力電圧Vaの周波数をハイパスフィルタ回路61で検出し、そのフィルタ出力を絶対値検出回路62に検出して電圧信号でなる周波数検出信号を出力判定回路8へ出力する。
出力判定回路8では、電流検出回路5から出力される電流検出信号をコンパレータ81で基準信号Vb0と比較し、電流検出信号が基準信号Vb0を下回ったらコンパレータ81から過電流状態を表すハイレベルの第1の過電流検出信号OC0をオア回路82に出力する。
さらに、出力判定回路8は、振幅検出回路7から出力される振幅検出信号をコンパレータ84で基準信号Vb2と比較し、振幅検出信号が基準信号Vb2を下回ったらコンパレータ84から過電流状態を表すハイレベルの第3の過電流検出信号OC2をオア回路85に出力する。
このため、オア回路82は、電流検出回路5の電流検出信号の比較を行うコンパレータ81、周波数検出回路6の周波数検出信号の比較を行うコンパレータ83、および振幅検出回路7の振幅検出信号の比較を行うコンパレータ84のうちの何れかの1つからハイレベルの過電流検出信号が入力されると、過電流を検出した旨のハイレベルの信号を出力する。
ところで、測定対象となる導線1a及び1bの周囲にインバータ等の高周波ノイズ源が配置されている場合には、導線1a及び1bに高周波ノイズ成分が重畳されることになる。励磁コイル3の出力電流に高周波ノイズ成分が重畳されていると前述した周波数検出回路6から出力される周波数検出信号や振幅検出回路7から出力される振幅検出信号に影響を与え、過電流状態を誤検出する場合が生じる。
この出力電圧Voがオペアンプ11の反転入力側に入力されるので、オペアンプ11から出力される発振回路4の発振出力Vaは高周波ノイズの影響を除去した電圧信号となる。
この結果、出力判定回路8での過電流状態の検出を正確に行うことができ、高周波ノイズ成分による過電流状態の誤検出を確実に防止することができる。
以上のように、この実施形態では、測定電流Iが0からI1の範囲のときは、電流検出回路5が、発振回路4の出力電圧Vaのデューティ比を検出し、この検出を基に第1の過電流の検出をするようにした。
また、この実施形態では、測定電流IがI1からI2の範囲のときには、周波数検出回路6が、発振回路4の出力電圧Vaの発振周波数の変化を基に第2の過電流を検出することに加え、振幅検出回路7が、その出力電圧Vaの振幅の変化を基に第3の過電流を検出するようにした。
このため、この実施形態によれば、導線1a、1bの少なくとも一方に過電流が流れた場合に、発振回路4の発振停止の有無にかかわらずその過電流を検出できる。しかも、この実施形態によれば、過電流が流れた場合に、広い検出範囲において精度良く過電流の検出を行うことができる。
しかも、上記の従来例のように磁気センサなどを使用することなく電流の検出が可能であるので、堅牢で、周囲環境条件により影響を受けることの少ない電流検出装置を提供することができる。
(1)上記の実施形態では、2本の導線1a、1bを用いて、これらに流れる電流の差の電流を検出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1本の導線に流れる微小電流を検出する場合にも適用できる。
(2)上記の実施形態では、ノイズ除去回路20をオペアンプ30を使用した差動増幅回路で構成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、オペアンプ以外の半導体素子を使用した差動増幅回路を適用することもでき、さらには他の形式の減算回路を適用することもできる。
(4)上記の実施形態において、電流検出回路5、周波数検出回路6及び振幅検出回路7のそれぞれの出力信号を使用し、その信号ごとに例えばランプ等の表示器を点灯するようにすれば、過電流の検出状態を目視で認識できて便宜である。
Claims (6)
- 測定電流が流れる導線を囲む磁気コアに巻回した励磁コイルと、設定した閾値に応じて、前記磁気コアを飽和状態またはその近傍の状態で、当該励磁コイルに供給する励磁電流の磁性を反転させる矩形波電圧を発生する発振手段と、該発振手段から出力される前記矩形波電圧に基づいて前記測定電流を検出する電流検出手段とを少なくとも備えた電流検出装置であって、
前記磁気コアに巻回した励磁コイルとは別の検出コイルと、
該検出コイルの出力電圧が入力されるハイパスフィルタとを備え、
前記発振手段は、前記ハイパスフィルタの出力と前記励磁コイルの出力との差分を演算するノイズ除去手段を備えている
ことを特徴とする電流検出装置。 - 前記ノイズ除去手段は、前記ハイパスフィルタの出力と前記励磁コイルの出力とが入力される差動増幅回路で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電流検出装置。
- 前記差動増幅回路は、オペアンプと、該オペアンプの反転入力側及び前記ハイパスフィルタ間に介挿された第1の抵抗と、前記反転入力側及び出力側間に接続された第2の抵抗と、前記オペアンプの非反転入力側及び前記励磁コイル間に接続された第3の抵抗と、前記第3の抵抗及び前記オペアンプの非反転入力側間の接続点と接地との間に接続された第4の抵抗とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の電流検出装置。
- 前記電流検出手段は、前記発振回路から出力される矩形波電圧のデューティ比を検出し、検出したデューティ比に基づいて測定電流の過大電流を検出する第1の過大電流検出手段を備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電流検出装置。
- 前記発振手段から出力される前記矩形波電圧の周波数に基づいて測定電流の過大電流を検出する第2の過大電流検出手段を備えていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の電流検出装置。
- 前記発振手段から出力される前記矩形波電圧の波高値に基づいて前記測定電流の過大電流を検出する第3の過大電流検出手段を備えていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の電流検出装置。
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