JP2014534264A - 複素環化合物およびその使用 - Google Patents

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Abstract

PI3キナーゼ活性を調節する複素環式成分、この複素環式成分を含有する薬学的組成物、ならびにPI3キナーゼ活性に関連する疾患および病態を治療するためにこれらの化学成分を使用する方法が本明細書に記載される。特定の実施形態において、本発明は、薬学的に許容される賦形剤および本発明の方法によって調製される1つ以上の化合物を含む、組成物を提供する。幾つかの実施形態において、組成物は、組成物は、液体、固体、半固体、ゲル、またはエアロゾル形態である。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、「HETEROCYCLIC COMPOUNDS AND USES THEREOF」と題され、2011年11月21日に出願された仮出願第61/563,450号の優先権の利益を主張するものであり、それは参照により全目的で本明細書に完全に組み込まれる。
細胞の活性は、細胞内事象を刺激または阻害する外部シグナルによって制御され得る。刺激または阻害シグナルが細胞中へおよび細胞内で伝達されて、細胞内応答を引き出すプロセスは、シグナル伝達と称される。過去数十年間にわたって、シグナル伝達事象が次々に解明され、多種多様の生体応答において中心的役割を果たすことが見出されている。シグナル伝達経路の種々の構成成分における欠陥は、多数の形態の癌、炎症性障害、代謝障害、血管および神経疾患を含む数多くの疾患の原因となることが見出されている(Gaestel et al.Current Medicinal Chemistry(2007)14:2214−2234(非特許文献1))。
キナーゼは、重要なシグナル伝達分子の分類をなす。キナーゼは、一般にタンパク質キナーゼおよび脂質キナーゼに分類することができ、ある特定のキナーゼは、二重特異性を示す。タンパク質キナーゼは、他のタンパク質および/またはそれ自体をリン酸化(すなわち、自己リン酸化)する酵素である。タンパク質キナーゼは、それらの基質利用に基づき、一般に次の3つの主要な群に分類することができる:主にチロシン残基上の基質をリン酸化するチロシンキナーゼ(例えば、erb2、PDGF受容体、EGF受容体、VEGF受容体、src、abl)、主にセリンおよび/またはスレオニン残基上の基質をリン酸化するセリン/スレオニンキナーゼ(例えば、mTorC1、mTorC2、ATM、ATR、DNA−PK、Akt)、ならびにチロシン、セリンおよび/またはスレオニン残基上の基質をリン酸化する二重特異性キナーゼ。
脂質キナーゼは、細胞内の脂質のリン酸化を触媒する酵素である。これらの酵素、ならびに結果として生じるリン酸化脂質および脂質由来の生物学的に活性な有機分子は、細胞増殖、遊走、接着、および分化を含む、多くの異なる生理学的プロセスにおいて役割を果たす。脂質キナーゼの特定の群は、膜脂質キナーゼ、すなわち、細胞膜に含有されるまたは細胞膜に関連する脂質のリン酸化を触媒するキナーゼを含む。かかる酵素の例としては、ホスホイノシチドキナーゼ(PI3−キナーゼ、PI4−キナーゼ等)、ジアシルグリセロールキナーゼ、およびスフィンゴシンキナーゼが挙げられる。
ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)シグナル伝達経路は、ヒト癌における最も高度な突然変異系の1つである。PI3Kシグナル伝達は、アレルギー性接触皮膚炎、関節リウマチ、骨関節炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺障害、乾癬、多発性硬化症、喘息、糖尿病合併症に関連する障害、および急性冠症候群等の心臓血管系の炎症性合併症を含む、他の多くの病状に関与する。
PI3Kは、ホスファチジルイノシトールまたはホスホイノシチド上の3’−OH基をリン酸化する細胞内脂質キナーゼの、固有のかつ保存されたファミリーのメンバーである。PI3Kファミリーは、特有の基質特異性、発現パターン、および制御様式を有する15個のキナーゼを含む(Katso et al.,2001)。クラスI PI3K(p110α、p110β、p110δ、およびp110γ)は、典型的にチロシンキナーゼまたはG−タンパク質共役受容体によって活性化されて、PIP3を生成し、Akt/PDK1、mTOR、Tecファミリーキナーゼ、およびRhoファミリーGTPasesの経路にあるもの等の下流エフェクターに関与する。クラスIIおよびIII PI3−Kは、PI(3)PおよびPI(3,4)Pの合成を通じて、細胞内輸送において主要な役割を果たす。
PI3Kのアルファ(α)アイソフォームは、例えば、多種多様のヒト癌に関連付けられている。血管新生は、内皮細胞遊走の調節においてPI3Kのαアイソフォームを選択的に必要とすることが示されている。(Graupera et al、Nature 2008;453;662−6(非特許文献2))。PI3Kαをコードする遺伝子における突然変異またはPI3Kαの上方制御につながる突然変異は、肺癌、胃癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膀胱癌、乳癌、結腸癌、脳癌、および皮膚癌等の多くのヒト癌において生じると考えられている。しばしば、PI3Kαをコードする遺伝子における突然変異は、E542K、E545K、およびH1047R等の、ヘリカルおよびキナーゼドメインにおける複数のホットスポット内に群がる点突然変異である。これらの突然変異のうちの多くは、発癌性機能獲得型突然変異であることが示されている。PI3Kα突然変異は高率であるため、この経路を標的とすることにより、貴重な治療機会を提供し得る。PI3KδまたはPI3Kγ等の他のPI3Kアイソフォームは主に造血細胞中で発現されるが、PI3Kαは、PI3Kβとともに、構成的に発現される。
クラスI PI3Kのデルタ(δ)アイソフォームは、特に、幾つかの疾患および生物学的プロセスに関連付けられている。PI3Kδは、主に、T細胞、樹状細胞、好中球、肥満細胞、B細胞、およびマクロファージ等の白血球を含む造血細胞中で発現される。PI3Kδは、T細胞機能、B細胞活性化、肥満細胞活性化、樹状細胞機能、および好中球活性等の哺乳類免疫系機能に不可分の構成要素として関与する。免疫系機能におけるその不可欠な役割に起因して、PI3Kδはまた、アレルギー反応、炎症性疾患、炎症媒介型血管新生、関節リウマチ、狼瘡等の自己免疫疾患、喘息、気腫、および他の呼吸器疾患等の望ましくない免疫反応に関連する幾つかの疾患にも関与する。免疫系機能に関与する他のクラスI PI3Kには、PI3Kγが含まれ、それは白血球シグナル伝達において役割を果たし、炎症、関節リウマチ、および自己免疫疾患等狼瘡に関連付けられている。
PI3Kシグナル伝達経路の下流メディエーターには、Aktおよび哺乳類ラパマイシン標的(mTOR)が含まれる。Aktは、PIP3に結合してAktキナーゼ活性化をもたらすプレクストリン相同(PH)ドメインを有する。Aktは、多くの基質をリン酸化し、また多様な細胞反応のためのPI3Kの中心的な下流エフェクターである。Aktの1つの重要な機能は、TSC2のリン酸化および他の機構を通じてTORの活性を増強することである。mTORは、PI3Kファミリーの脂質キナーゼに関連するセリン−スレオニンキナーゼである。mTORは、細胞成長、細胞増殖、細胞運動性、および生存を含む広範な生物学的プロセスに関連付けられている。mTOR経路の制御不全が種々のタイプの癌において報告されている。mTORは、タンパク質翻訳、養分吸収、自己貪食、およびミトコンドリア機能を制御するために、成長因子および栄養シグナルを統合する多機能キナーゼである。
他の多くのキナーゼによって媒介されるシグナル伝達経路の制御不全は、ヒト疾患の発症における主な要因である。異常なまたは過度のタンパク質キナーゼ活性または発現は、良性および悪性増殖性疾患、アレルギー性接触皮膚炎等の障害、関節リウマチ、骨関節炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺障害、乾癬、多発性硬化症、喘息、糖尿病合併症に関連する障害、および急性冠症候群等の心臓血管系の炎症性合併症を含む多くの病状において観察されている。
したがって、キナーゼ、特にPI3K等の脂質キナーゼおよびmTor等のタンパク質キナーゼは、薬物開発のための主要標的である。本発明は、化合物、かかる化合物を調製する方法、および該化合物を使用する方法を提供することによって、当該技術分野における必要性に対処する。
Gaestel et al.Current Medicinal Chemistry(2007)14:2214−2234 Graupera et al、Nature 2008;453;662−6
式A、
Figure 2014534264
の化合物を調製する方法が提供され、
a)式A1の化合物を、式B1、
Figure 2014534264
の化合物と反応させて、式C1、
Figure 2014534264
の化合物をもたらすステップと、
b)式C1の化合物を、式D1、
Figure 2014534264
の化合物に変換するステップと、
c)式D1の化合物を、式E1、
Figure 2014534264
の化合物と反応させて、式Aの化合物をもたらすステップと、を含み、
式中、
は、BrまたはIであり、
は、Br、ClまたはIであり、
およびWのうちの一方は、Nであり、他方は、O、NR10、またはSであり、
nは、1、2、または3であり、
Gは、水素、アルキル、アルケニル、またはアリールであるか、あるいは
Figure 2014534264
のG基が一緒になって、5員または6員の環式部分を形成し、
およびRは独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、リン酸塩、尿素、炭酸塩、またはNR’R’’であり、式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって、環式部分を形成する。
幾つかの実施形態において、Wは、Oであり、Wは、Nである。幾つかの実施形態において、Rは、アミノである。幾つかの実施形態において、nは、1または2である。幾つかの実施形態において、窒素と一緒になったRaおよびRbは、アルキルで任意に置換される4、5、6、または7員の環式部分を形成する。例えば、環式部分は、飽和複素環基等の、4、5、6、または7員の複素環基である。一実施形態において、複素環基は、置換ピペラジンである。
幾つかの実施形態において、Gは、水素またはアルキルであり、例えばGは、水素である。
幾つかの実施形態において、ステップa)は、Pd(dba)/キサントホス等のパラジウム触媒系の存在下で行われる。幾つかの実施形態において、ステップb)は、オキシ塩化リンの存在下で行われる。幾つかの実施形態において、ステップc)は、Pd(PPh等のパラジウム触媒系の存在下で行われる。
なおも別の実施形態において、本発明は、薬学的に許容される賦形剤および本発明の方法によって調製される1つ以上の化合物を含む、組成物を提供する。幾つかの実施形態において、組成物は、組成物は、液体、固体、半固体、ゲル、またはエアロゾル形態である。
さらになおも別の実施形態において、本発明は、ホスファチジルイノシトール−3キナーゼ(PI3キナーゼ)を阻害するための方法を提供し、PI3キナーゼを、有効量の本発明の方法によって調製される化合物と接触させることを含む。幾つかの実施形態において、PI3キナーゼは、PI3キナーゼアルファである。接触させるステップは、PI3キナーゼアルファを含む、1つ以上のI型PI3キナーゼを発現する細胞を接触させることを更に含んでもよい。幾つかの実施形態において、本方法は、第2の治療剤を細胞に投与することを更に含む。
本発明はまた、PI3キナーゼに関連する病態を治療するための方法も提供し、それを必要とする対象に、有効量の本明細書に開示される化合物を投与することを含む。幾つかの実施形態において、PI3キナーゼに関連する病態は、喘息、気腫、気管支炎、乾癬、アレルギー、アナフィラキシー、関節リウマチ、移植片対宿主病、紅斑性狼瘡、乾癬、再狭窄、良性前立腺肥大症、糖尿病、膵炎、増殖性糸球体腎炎、糖尿病誘発性腎疾患、炎症性腸疾患、アテローム性動脈硬化症、湿疹、強皮症、糖尿病、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加齢黄斑変性、血管腫、神経膠腫、悪性黒色腫、カポジ肉腫、ならびに卵巣癌、乳癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、結腸癌、および類表皮癌からなる群から選択される。
参照による援用
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも各々の個々の刊行物、特許、および特許出願が、参照により具体的にかつ個々に組み込まれるように示されるかのごとく、それと同じ程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、記載されたが、かかる実施形態が例として提供されるにすぎないことは当業者に明白であろう。本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換が今では当業者に想到されるであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する種々の代替手段が、本発明を実践するにあたり用いられてもよいことが理解されるべきである。添付の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの均等物がそれによって包含されることが意図される。
別途規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の専門家によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照される全ての特許および刊行物が参照により組み込まれる。
本明細書および特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上、そうでないとする明確な指示がない限り、複数形の指示対象を含む。
本明細書で使用されるとき、「薬剤」または「生物活性剤」は、生物学的、薬学的、もしくは化学化合物、または他の部分を指す。非限定的例としては、単純なまたは複合の有機または無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、抗体断片、ビタミン誘導体、炭水化物、毒素、または化学療法化合物が挙げられる。種々の化合物、例えば、小分子およびオリゴマー(例えば、オリゴペプチドおよびオリゴヌクレオチド)、ならびに種々のコア構造に基づく合成有機化合物を、合成することができる。加えて、植物または動物抽出物等の、種々の天然源が、スクリーニングのための化合物を提供することができる。当業者は、本発明の薬剤の構造的性質に関して限定がないことを容易に認識することができる。
本明細書で使用される「アゴニスト」という用語は、標的タンパク質の活性または発現を阻害することにより、標的タンパク質の生物学的機能を開始または強化する能力を有する化合物を指す。したがって、「アゴニスト」という用語は、標的ポリペプチドの生物学的役割の文脈において定義される。本明細書における好ましいアゴニストは標的と特異的に相互作用する(例えば、標的に結合する)が、標的ポリペプチドがそのメンバーである、シグナル伝達経路の他のメンバーと相互作用することによって、標的ポリペプチドの生物活性を開始または強化する化合物もまた、この定義内に特定的に含まれる。
「アンタゴニスト」および「阻害剤」という用語は、交換可能に使用され、それらは、標的タンパク質の活性または発現のいずれかを阻害することによって、標的タンパク質の生物学的機能を阻害する能力を有する化合物を指す。したがって、「アンタゴニスト」および「阻害剤」という用語は、標的タンパク質の生物学的役割の文脈において定義される。本明細書において好ましいアンタゴニストは、標的と特異的に相互作用する(例えば、それに結合する)が、標的タンパク質がそのメンバーであるシグナル伝達経路の他のメンバーとの相互作用によって、標的タンパク質の生物活性を阻害する化合物もまた、この定義内に特定的に含まれる。アンタゴニストによって阻害される好ましい生物活性は、腫瘍の発達、成長、もしくは転移、または自己免疫疾患において見られる所望されない免疫応答に関連する。
「抗癌剤」、「抗腫瘍剤」、または「化学療法剤」は、腫瘍病態の治療において有用な任意の薬剤を指す。抗癌剤の1つのクラスは、化学療法剤を含む。「化学療法」は、静脈内、経口、筋肉内、腹腔内、膀胱内、皮下、経皮、頬側、または吸入もしくは坐剤の形態を含む、種々の方法による、1つ以上の化学療法薬および/または他の薬剤の、癌患者への投与を意味する。
「細胞増殖」という用語は、***の結果として細胞数が変化した現象を指す。この用語はまた、増殖シグナルと一致して細胞形態学が変化した(例えば、サイズが増加した)細胞成長を包含する。
「共投与」、「と組み合わせて投与される」という用語、およびそれらの文法的な同等形態は、2つ以上の薬剤を動物に、両方の薬剤および/またはそれらの代謝産物が同時に動物の中に存在するように、投与することを包含する。共投与には、別個の組成物での同時投与、別個の組成物での異なる時間での投与、または両方の薬剤が存在する組成物での投与が含まれる。
「有効量」または「治療上有効量」という用語は、下記に定義される通りの、疾患治療を含むが、それらに限定されない意図される適用を達成するために十分な、本明細書に記載される化合物の量を指す。治療上有効量は、意図される適用(体外または体内)、または治療されている対象および病態、例えば、対象の体重および年齢、病態の重症度、投与の様態等に応じて変動し得、それは当業者によって容易に決定され得る。本用語はまた、標的細胞における特定の反応、例えば、血小板接着および/または細胞遊走の低減を誘導するであろう用量にも適用される。具体的な用量は、選定される特定の化合物、従うべき投薬レジメン、それが他の化合物と組み合わせて投与されるかどうか、投与のタイミング、それが投与される組織、およびそれが担持される物理的送達系に応じて、変動するであろう。
本明細書で使用される「治療」、「治療すること」、「一時緩和すること」、および「寛解させること」は、交換可能に使用される。これらの用語は、治療上の便益および/または予防上の便益を含むが、それらに限定されない、有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチを指す。治療上の便益とは、治療されている基礎障害の根絶または寛解を意味する。また、治療上の便益は、患者が依然として基礎障害に罹患している場合があるにもかかわらず、患者において改善が観察されるような、基礎障害に関連する生理的症状の1つ以上の根絶または寛解により達成される。予防上の便益のために、特定の疾患を発症するリスクのある患者に、または、この疾患の診断が為されていないかもしれないが、疾患の生理学的症状の1つ以上を報告する患者に、組成物が投与されてもよい。
本明細書で使用される「治療効果」は、上述の治療上の便益および/または予防上の便益を包含する。予防上の効果には、疾患もしくは病態の出現を遅延させることもしくは排除すること、症状疾患もしくは病態の発症を遅延させることもしくは排除すること、または疾患もしくは病態の進行を緩徐化すること、停止すること、もしくは反転させること、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
「薬学的に許容される塩」という用語は、当該技術分野で周知の多様な有機および無機対イオンに由来する塩を指す。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸と共に形成することができる。塩をもたらすことのできる無機酸には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が含まれる。塩をもたらすことのできる有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等が含まれる。薬学的に許容される塩基付加塩は、無機および有機塩基と共に形成することができる。塩をもたらすことのできる無機塩基には、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム等が含まれる。塩をもたらすことのできる有機塩基には、例えば、一級、二級、および三級アミン、天然に生じる置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂等、具体的には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびエタノールアミン等が含まれる。幾つかの実施形態において、薬学的に許容される塩基付加塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩から選定される。
「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」には、ありとあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等が含まれる。薬学的活性物質のためのかかる媒体および薬剤の使用は、当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と不適合性である限りを除いて、本発明の治療組成物におけるその使用が企図される。補足的な活性成分もまた、組成物中に組み込むことができる。
「シグナル伝達」は、刺激性または阻害性シグナルが細胞の中へとかつ細胞内で伝達されて、細胞内応答を引き出すプロセスである。シグナル伝達経路の調節剤は、同じ特異的なシグナル伝達経路にマッピングされる1つ以上の細胞タンパク質の活性を調節する、化合物を指す。調節剤は、シグナル伝達分子の活性を増強しても(アゴニスト)、抑制してもよい(アンタゴニスト)。
生物活性剤に適用される「選択的阻害」または「選択的に阻害」という用語は、標的との直接のまたは相互作用的な相互作用を介して、オフターゲットシグナル伝達活性と比較して、標的シグナル伝達活性を選択的に低減する薬剤の能力を指す。
本明細書で使用される「B−ALL」という用語は、B細胞急性リンパ芽球性白血病を指す。
「対象」は、哺乳動物等の動物、例えばヒトを指す。本明細書に記載される方法は、ヒト治療学および獣医学適用の両方に有用であり得る。幾つかの実施形態において、患者は、哺乳動物であり、幾つかの実施形態において、患者は、ヒトである。
「放射線療法」は、開業医に既知の通例法および組成物を用いて、患者を、アルファ放射ヌクレオチド(例えば、アクチニウムおよびトリウム放射性核種)、低線エネルギー付与(LET)放射線放出体(すなわち、ベータ放出体)、転換電子放出体(例えば、ストロンチウム−89およびサマリウ−153−EDTMP、または限定なしにx線、ガンマ線、および中性子を含む高エネルギー放射線等の放射線放出体に曝露することを意味する。
「プロドラッグ」は、生理学的条件態下で、または加溶媒分解によって、本明細書に記載される生物学的に活性な化合物に変換され得る化合物を示すことが意図される。したがって、「プロドラッグ」という用語は、薬学的に許容される生物学的に活性な化合物の前駆体を指す。プロドラッグは、対象に投与されるとき不活性であり得るが、例えば、加水分解によって、体内で活性化合物に変換される。プロドラッグ化合物しばしば、哺乳類生物における可溶性、組織適合性、または遅延放出という利点を提供する(例えば、Bundgard,H.,Design of Prodrugs(1985),pp.7−9,21−24(Elsevier,Amsterdamを参照されたい)。プロドラッグの考察は、Higuchi,T.,et al.,”Pro−drugs as Novel Delivery Systems,”A.C.S.Symposium Series,Vol.14に、およびBioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に提供され、それらの両方は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。「プロドラッグ」という用語はまた、かかるプロドラッグが哺乳類対象に投与されると体内で活性化合物を放出する、共有結合された任意の担体を含むことも意図される。本明細書に記載される活性化合物のプロドラッグは、修飾体が通例の操作または体内のいずれかで親活性化合物に開裂されるような方法で、活性化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製されてもよい。プロドラッグは、その中のヒドロキシ、アミノ、またはメルカプト基が任意の基に結合され、活性化合物のプロドラッグが哺乳類対象に投与されると、開裂してそれぞれ遊離ヒドロキシ、遊離アミノ、または遊離メルカプト基を形成する化合物を含む。プロドラッグの例としては、アルコールの酢酸、ギ塩、および安息香酸誘導体、または活性化合物中のアミン官能基のアセトアミド、ホルムアミド、およびベンズアミド誘導体等が挙げられるが、それらに限定されない。
「体内」(in vivo)という用語は、対象の身体内で起こる事象を指す。
「体外」(in vitro)という用語は、対象の身体の外側で起こる事象を指す。例えば、体外アッセイは、対象アッセイの外側で実行される任意のアッセイを包含する。体外アッセイは、生存または死滅した細胞が用いられる、細胞ベースのアッセイを包含する。体外アッセイはまた、無傷細胞が何ら用いられない無細胞アッセイも包含する。
別途定めのない限り、本明細書に描写される構造はまた、1個以上の同位体濃縮した原子の存在においてのみ異なる、化合物を含むことが意図される。例えば、水素が重水素もしくはトリチウムによって置換されるか、または炭素原子が13Cもしくは14C濃縮炭素によって置換される本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
本発明の化合物はまた、かかる化合物を構成する原子のうちの1個以上において、非天然の割合の原子の同位体を含有してもよい。例えば、化合物は、例えば、トリチウム(H)、ヨウ素125(125I)、または炭素14(14C)等の放射性同位体で放射標識されてもよい。本発明の化合物の全ての同位体変形が、放射性であってもなくても、本発明の範囲内に包含される。
分子量等の物理的特性、または化学的式等の化学的特性について、範囲が本明細書で使用されるとき、範囲の全ての組み合わせおよび部分的組み合わせ、ならびにその中の具体的な実施形態が含まれることが意図される。数または数値範囲を参照するときの「約」という用語は、参照される数または数値範囲が、実験の変動性(または統計上の実験誤差)以内の近似値であることを意味し、故に、数または数値範囲は、例えば、定められる数または数値範囲の1%〜15%の間で変動し得る。「含むこと(comprising)」という用語(および「含む(comprise)」または「含む(comprises)」または「有すること(having)」または「含むこと(including)」等の関連する用語)は、記載される特長「からなる」または記載される特長「から本質的になる」実施形態、例えば、任意の物質の組成物、組成物、方法、またはプロセス等の実施形態を含む。
次の略号および用語は、本明細書全体を通じて、ここで指定される意味を有する:
PI3−K=ホスホイノシチド3−キナーゼ;PI=ホスファチジルイノシトール;PDK=ホスホイノシチド依存性キナーゼ;DNA−PK=デオキシリボース核酸依存性タンパク質キナーゼ;PIKK=ホスホイノシチドキナーゼ様キナーゼ;AIDS=後天性免疫不全症候群;TLC=薄層クロマトグラフィー;MeOH=メタノール;およびCHCl=クロロホルム。
本明細書で使用される略号は、化学および生物学技術分野におけるそれらの従来の意味を有する。
「アルキル」は、不飽和を含有せず、1〜10個の炭素原子を有する、炭素および水素原子のみからなる直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカル(例えば、C〜C10アルキル)を指す。本明細書に現れるときはいつでも、「1〜10」等の数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「1〜10個の炭素原子」は、アルキル基が、最大10個の炭素原子かつそれを含む、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子等からなってもよいことを意味するが、本定義はまた、数値範囲が何ら表記されない「アルキル」という用語の出現も包含する。幾つかの実施形態において、それは、C〜Cアルキル基である。典型的なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチルイソブチル、三級ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、セプチル、オクチル、ノニル、デシル等が含まれるが、これらに決して限定されない。アルキルは、単結合によって分子の残りに結合され、例えば、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル、1−メチルエチル(イソ−プロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)、3−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル等である。本明細書で特に別途定めのない限り、アルキル基は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR、−SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)N(R、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、−N(R)S(O)(式中、tは、1または2である)、−S(O)OR(式中、tは、1または2である)、−S(O)N(R(式中、tは、1または2である)、またはPO(Rである置換基のうちの1個以上によって任意に置換され、式中、各Rは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。
「アルケン」部分は、少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1つの炭素−炭素二重結合からなる基を指し、「アルキン」部分は、少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1つの炭素−炭素三重結合からなる基を指す。アルキル部分は、飽和であれ不飽和であれ、分岐鎖、直鎖、または環式であってもよい。
「アルケニル」は、少なくとも1個の二重結合を含有し、2〜10個の炭素原子を有する(すなわち、C〜C10アルケニル)、炭素および水素原子のみからなる直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカル基を指す。本明細書に現れるときはいつでも、「2〜10」等の数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「2〜10個の炭素原子」は、アルケニル基が、最大10個の炭素原子かつそれを含む、2個の炭素原子、3個の炭素原子等からなってもよいことを意味する。ある特定の実施形態において、アルケニルは、2〜8個の炭素原子を含む。他の実施形態において、アルケニルは、2〜5個の炭素原子(例えば、C〜Cアルケニル)を含む。アルケニルは、単結合によって分子の残りに結合され、例えば、エテニル(すなわち、ビニル)、プロプ−1−エニル(すなわち、アリル)、ブト−1−エニル、ペント−1−エニル、ペンタ−1,4−ジエニル等である。本明細書で特に別途定めのない限り、アルケニル基は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR、−SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)N(R、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、−N(R)S(O)(式中、tは、1または2である)、−S(O)OR(式中、tは、1または2である)、−S(O)N(R(式中、tは、1または2である)、またはPO(Rである1個以上の置換基によって任意に置換され、式中、Rは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。
「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を含有し、2〜10個の炭素原子を有する(すなわち、C〜C10アルキニル)、炭素および水素原子のみからなる直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカル基を指す。本明細書に現れるときはいつでも、「2〜10」等の数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「2〜10個の炭素原子」は、アルキニル基が、最大10個の炭素原子かつそれを含む、2個の炭素原子、3個の炭素原子等からなってもよいことを意味する。ある特定の実施形態において、アルキニルは、2〜8個の炭素原子を含む。他の実施形態において、アルキニルは、2〜5個の炭素原子(例えば、C〜Cアルキニル)を有する。アルキニルは、単結合によって分子の残りに結合され、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等である。本明細書で特に別途定めのない限り、アルキニル基は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR、SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)N(R、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、−N(R)S(O)(式中、tは、1または2である)、−S(O)OR(式中、tは、1または2である)、−S(O)N(R(式中、tは、1または2である)、またはPO(Rである1個以上の置換基によって任意に置換され、式中、各Rは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。
「カルボキサルデヒド」は、−(C=O)Hラジカルを指す。
「カルボキシル」は、−(C=O)OHラジカルを指す。
「シアノ」は、−CNラジカルを指す。
「シクロアルキル」は、炭素および水素のみを含有する単環式または多環式ラジカルを指し、飽和、または部分的に不飽和であり得る。シクロアルキル基は、3〜10個の環原子を有する基(すなわち、C〜C10シクロアルキル)を含む。本明細書に現れるときはいつでも、「3〜10」等の数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「3〜10個の炭素原子」は、シクロアルキル基が、最大10個の炭素原子かつそれを含む、3個の炭素原子等からなってもよいことを意味する。幾つかの実施形態において、それは、C〜Cシクロアルキルラジカルである。幾つかの実施形態において、それは、C〜Cシクロアルキルラジカルである。シクロアルキル基の例示的な例としては、次の部分が挙げられるが、それらに限定されない:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロセプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ノルボルニル等。本明細書で特に別途定めのない限り、シクロアルキル基は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR、−SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)N(R、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、−N(R)S(O)(式中、tは、1または2である)、−S(O)OR(式中、tは、1または2である)、−S(O)N(R(式中、tは、1または2である)、またはPO(Rである1個以上の置換基によって任意に置換され、式中、各Rは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。
「アルコキシ」という用語は、酸素を通じて親構造に結合される、直鎖、分岐鎖、環状配置、およびそれらの組み合わせの1〜8個の炭素原子を含む、基−O−アルキルを指す。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシ等が挙げられる。「低級アルコキシ」は、1〜6個の炭素を含有するアルコキシ基を指す。幾つかの実施形態において、C〜Cアルキルは、1〜4個の炭素原子の直鎖および分岐鎖両方のアルキルを包含する、アルキル基である。
「置換アルコキシ」という用語は、アルキル構成成分が置換されているアルコキシ(すなわち、−O−(置換アルキル))を指す。本明細書で特に別途定めのない限り、アルコキシ基のアルキル部分は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR、SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)N(R、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、−N(R)S(O)(式中、tは、1または2である)、−S(O)OR(式中、tは、1または2である)、−S(O)N(R(式中、tは、1または2である)、またはPO(Rである1個以上の置換基によって任意に置換され、式中、各Rは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。
「アルコキシカルボニル」という用語は、カルボニル炭素を通じて結合された式(アルコキシ)(C=O)−の基を指し、式中、アルコキシ基は、指定された数の炭素原子を有する。したがってC〜Cアルコキシカルボニル基は、その酸素を通じてカルボニルリンカーに結合された1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基である。「低級アルコキシカルボニル」は、アルコキシ基が低級アルコキシ基である、アルコキシカルボニル基を指す。幾つかの実施形態において、C〜Cアルコキシは、1〜4個の炭素原子の直鎖および分岐鎖アルコキシ基を包含するアルコキシ基である。
「置換アルコキシカルボニル」という用語は、基(置換アルキル)−O−C(O)−を指し、この基は、カルボニル官能基を通じて親構造体に結合される。本明細書で特に別途定めのない限り、アルコキシカルボニル基のアルキル部分は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR、−SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)N(R、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、−N(R)S(O)(式中、tは、1または2である)、−S(O)OR(式中、tは、1または2である)、−S(O)N(R(式中、tは、1または2である)、またはPO(Rである1個以上の置換基によって任意に置換され、式中、各Rは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。
「アシル」は、基(アルキル)−C(O)−、(アリール)−C(O)−、(ヘテロアリール)−C(O)−、(ヘテロアルキル)−C(O)−、および(ヘテロシクロアルキル)−C(O)−を指し、この基は、カルボニル官能基を通じて親構造に結合される。幾つかの実施形態において、それは、アシルオキシ基のアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキル部分と、アシルのカルボニル炭素との鎖または環原子の総数、すなわち、3個の他の環または鎖原子と、カルボニルとを指す、C〜C10アシルラジカルである。Rラジカルがヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルである場合、ヘテロ環または鎖原子は、鎖または環原子の総数に寄与する。本明細書で特に別途定めのない限り、アシルオキシ基の「R」は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR、SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)N(R、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、−N(R)S(O)(式中、tは、1または2である)、−S(O)OR(式中、tは、1または2である)、−S(O)N(R(式中、tは、1または2である)、またはPO(Rである1個以上の置換基によって任意に置換され、式中、各Rは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。
「アシルオキシ」は、R(C=O)O−ラジカルを指し、式中、「R」は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、それらは本明細書に記載される通りである。幾つかの実施形態において、それはアシルオキシ基のアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキル部分の鎖または環原子の総数とアシルのカルボニル炭素、すなわち他の3個の環または鎖原子とカルボニルを指す、C〜Cアシルオキシラジカルである。Rラジカルがヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルである場合、ヘテロ環または鎖原子は、鎖または環原子の総数に寄与する。本明細書で特に別途定めのない限り、アシルオキシ基の「R」は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR、−SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)N(R、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、−N(R)S(O)(式中、tは、1または2である−S(O)OR(式中、tは、1または2である)、−S(O)N(R(式中、tは、1または2である)、またはPO(Rである1個以上の置換基によって任意に置換され、式中、各Rは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。
「アミノ」または「アミン」は、−N(Rラジカル基を指し、式中、各Rは、本明細書で別途具体的定めのない限り、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。−N(R基が、水素以外の2つのRを有するとき、それらは、窒素原子と組み合わされて、4、5、6、または7員環を形成することができる。例えば、−N(Rは、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを含むことが意図されるが、それらに限定されない。本明細書で特に別途定めのない限り、アミノ基は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR、−SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)N(R、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)N(R、−N(R)C(NR)N(R、−N(R)S(O)(式中、tは、1または2である)、−S(O)OR(式中、tは、1または2である)、−S(O)N(R(式中、tは、1または2である)、またはPO(Rである1個以上の置換基によって任意に置換され、式中、各Rは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書に定義されるように任意に置換されてもよい。
「置換アミノ」という用語はまた、各々上述される、基−NHR、およびNRのN−オキシドも指す。N−オキシドは、対応するアミノ基と、例えば、過酸化水素またはm−クロロペルオキシ安息香酸との処理によって、調製することができる。当業者は、N−酸化を行うための反応条件に精通している。
「アミド(amide)」または「アミド(amido)」は、式−C(O)N(R)または−NHC(O)Rを有する化学部分を指し、式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を通じて結合される)、およびヘテロ脂環式(環炭素を通じて結合される)からなる群から選択され、その部分の各々は、それ自体が任意に置換されてもよい。幾つかの実施形態において、それは、ラジカル中の炭素の総数にアミド(amide)カルボニルを含む、C〜Cアミド(amido)またはアミド(amide)ラジカルである。アミドの−N(R)のRは任意に、それが結合する窒素と一緒になって、4、5、6、または7員環を形成してもよい。本明細書で特に別途定めのない限り、アミド基は任意に、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキルについて本明細書に記載される置換基のうちの1個以上によって独立して置換される。アミドは、式(I)の化合物に結合され、それによってプロドラッグを形成する、アミノ酸またはペプチド分子であってもよい。本明細書に記載される化合物上の任意のアミン、ヒドロキシ、またはカルボキシル側鎖を、アミド化することができる。かかるアミドを作製するための手順および具体的な基は、当業者に知られており、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rdEd.,John Wiley&Sons,New York,N.Y.,1999等の参考文献において容易に見出すことができ、それは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
「芳香族」または「アリール」は、炭素環式であるπ電子共役系を有する少なくとも1つの環を有する、6〜10個の環原子を有する芳香族ラジカル(例えば、C〜C10芳香族またはC〜C10アリール)を指す(例えば、フェニル、フルオレニル、およびナフチル)。置換ベンゼン誘導体から形成され、環原子において自由原子価を有する二価ラジカルは、置換フェニレンラジカルと名付けられる。自由原子価を有する炭素原子からの1個の水素原子の除去によって、その名称が「−イル」で終わる一価多環式炭化水素ラジカルに由来する二価ラジカルは、対応する一価ラジカルの名称に「−イデン」を追加することによって名付けられ、例えば、2つの結合点を有するナフチル基は、ナフチリデンと称される。本明細書に現れるときはいつでも、「6〜10」等の数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「6〜10個の環原子」は、アリール基が、最大10個の環原子かつそれを含む、6個の環原子、7個の環原子等からなってもよいことを意味する。この用語は、単環式または縮合環多環式(すなわち、環原子の隣接した対を共有する環)基を含む。本明細書で特に別途定めのない限り、アリール部分は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR、−SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)N(R、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、−N(R)S(O)(式中、tは、1または2である)、−S(O)OR(式中、tは、1または2である)、−S(O)N(R(式中、tは、1または2である)、またはPO(Rである1個以上の置換基によって任意に置換され、式中、各Rは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。
「アラルキル」または「アリールアルキル」は、(アリール)アルキルのラジカルを指し、ここでアリールアルキル部分(moiety)は、この部分(moiety)のアルキル部分(portion)を介して結合される。アリールおよびアルキルは、本明細書に開示される通りであり、それぞれアリールおよびアルキルに好適な置換基として記載される、置換基の1個以上によって任意に置換される。
「エステル」は、式−COORの化学ラジカルを指し、式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を通じて結合される)、およびヘテロ脂環式(環炭素を通じて結合される)からなる群から選択される。本明細書に記載される化合物上の任意のアミン、ヒドロキシ、またはカルボキシル側鎖を、エステル化することができる。かかるエステルを作成する手順および具体的基は、当業者に既知であり、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rdEd.,John Wiley&Sons,New York,N.Y.,1999等の参考文献のソースに容易に見出すことができ、それは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書で特に別途定めのない限り、エステル基は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR、−SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)N(R、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、N(R)C(O)R、−N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、−N(R)S(O)(式中、tは、1または2である)、−S(O)OR(式中、tは、1または2である)、−S(O)N(R(式中、tは、1または2である)、またはPO(Rである1個以上の置換基によって任意に置換され、式中、各Rは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。
「フルオロアルキル」は、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−フルオロメチル−2−フルオロエチル等の、上で定義される1個以上のフルオロラジカルによって置換される、上で定義されるアルキルラジカルを指す。フルオロアルキルラジカルのアルキル部分は、アルキル基について上で定義されるように任意に置換されてもよい。
「ハロ」、「ハロゲン化物」、または代替的に「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロアルキニル」、および「ハロアルコキシ」という用語は、1個以上のハロ基でまたはそれらの組み合わせで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシ構造を含む。例えば、「フルオロアルキル」および「フルオロアルコキシ」という用語は、それぞれ、ハロがフッ素であるハロアルキルおよびハロアルコキシ基を含む。
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、および「ヘテロアルキニル」は、任意に置換され、炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、リン、またはそれらの組み合わせから選択される1個以上の骨格鎖原子を有する、アルキル、アルケニル、およびアルキニルラジカルを含む。例えば、C〜Cヘテロアルキル等、総計の鎖長を指す数値範囲が与えられてもよく、この例では、それは4個の原子の長さである。例えば、CHOCHCHラジカルは、「C」ヘテロアルキルと称され、それは原子鎖長の説明におけるヘテロ原子中心を含む。分子の残りへの接続は、ヘテロアルキル鎖におけるヘテロ原子または炭素のいずれを通じてもよい。ヘテロアルキル基は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、−OR、−SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)(式中、tは、1または2である)、−S(O)OR(式中、tは、1または2である)、−S(O)N(R(式中、tは、1または2である)、またはPO(Rである1個以上の置換基で置換されてもよく、式中、各Rは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。
「ヘテロアルキルアリール」は、−(ヘテロアルキル)アリールラジカルを指し、ここでヘテロアルキルおよびアリールは、本明細書に開示される通りであり、それぞれヘテロアルキルおよびアリールに好適な置換基として記載される置換基の1個以上によって任意に置換される。
「ヘテロアリール」、または代替的に「ヘテロ芳香族」は、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個以上の環ヘテロ原子を含み、単環式、二環式、三環式、または四環式環系であってもよい、5〜18員芳香族ラジカル(例えば、C〜C13ヘテロアリール)を指す。本明細書に現れるときはいつでも、「5〜18」等の数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「5〜18個の環原子」は、ヘテロアリール基が、最大18個の環原子かつそれを含む、5個の環原子、6個の環原子等からなってもよいことを意味する。自由原子価を有する原子からの1個の水素原子の除去によって、その名称が「−イル」で終わる一価ヘテロアリールラジカルに由来する二価ラジカルは、対応する一価ラジカルの名称に「−イデン」を追加することによって名付けられ、例えば、2つの結合点を有するピリジル基は、ピリジルイデンである。Nを含有する「ヘテロ芳香族」または「ヘテロアリール」部分は、環の骨格原子のうちの少なくとも1個が窒素原子である芳香族基を指す。多環式ヘテロアリール基は、縮合であっても非縮合であってもよい。ヘテロアリールラジカルにおけるヘテロ原子(複数可)は、任意に酸化される。1個以上の窒素原子は、存在する場合、任意に四級化される。ヘテロアリールは、環(複数可)の任意の原子を通じて、分子の残りに結合される。ヘテロアリールの例としては、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズインドリル(ベンズインドリル)、1,3−ベンゾジオキソリル(ベンゾdioxolyl)、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル(benzooxazolyl)、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル(dioxepinyl)、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、1,4−ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾチエノ[3,2−d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジニル、5,6−ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5,6−ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル、6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2−c]ピリダジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラザニル、フラノニル、フロ[3,2−c]ピリジニル、5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、5,8−−メタノ−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリニル、ナフチリジニル、1,6−ナフチリジノニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル(oxoazepinyl)、オキサゾリル、オキシラニル、5,6,6a,7,8,9,10,10a−オクタヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、1−フェニル−1H−ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル(phenoxazinyl)、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジニル、ピリジニル、ピリド[3,2−d]ピリミジニル、ピリド[3,4−d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリニル、5,6,7,8−テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジニル、6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジニル、5,6,7,8−テトラヒドロピリド[4,5−c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアピラニル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3−d]ピリミジニル、チエノ[3,2−d]ピリミジニル、チエノ[2,3−c]ピリジニル、およびチオフェニル(すなわち、チエニル)が挙げられるが、それらに限定されない。本明細書で特に別途定めのない限り、ヘテラリール(heteraryl)部分は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、−OR、−SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)(式中、tは、1または2である)、−S(O)OR(式中、tは、1または2である)、−S(O)N(R(式中、tは、1または2である)、またはPO(Rである1個以上の置換基によって任意に置換され、式中、各 Rは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。
置換ヘテロアリールはまた、ピリジニルN−オキシド等の、1個以上のオキシド(−O−)置換基で置換された環系を含む。
「ヘテロアリールアルキル」は、本明細書に記載されるアルキル部分に結合された、本明細書に記載されるヘテロアリール部分を有する部分を指し、ここで分子の残りの部分への結合は、アルキル基を通してのものである。ヘテロアリールおよびアルキルは、本明細書に開示される通りであり、それぞれヘテロアリールおよびアルキルに好適な置換基として記載される置換基の1個以上によって任意に置換される。
「ヘテロシクロアルキル」は、2〜12個の炭素原子ならびに窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜6個のヘテロ原子を含む、安定な3〜18員の非芳香族環ラジカルを指す。本明細書に現れるときはいつでも、「3〜18」等の数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「3〜18個の環原子」は、ヘテロシクロアルキル基が、最大18個の環原子かつそれを含む、3個の環原子、4個の環原子等からなってもよいことを意味する。幾つかの実施形態において、それは、C〜C10ヘテロシクロアルキルである。幾つかの実施形態において、それは、C〜C10ヘテロシクロアルキルである。幾つかの実施形態において、それは、C〜C10ヘテロシクロアルキルである。本明細書で特に別途定めのない限り、ヘテロシクロアルキルラジカルは、縮合または架橋環系を含んでもよい、単環式、二環式、三環式、または四環式環系である。ヘテロシクロアルキルラジカルにおけるヘテロ原子は、任意に酸化されてもよい。1個以上の窒素原子は、存在する場合、任意に四級化される。ヘテロシクロアルキルラジカルは、部分的にまたは完全に飽和である。ヘテロシクロアルキルは、環(複数可)の任意の原子を通じて、分子の残りに結合されてもよい。かかるヘテロシクロアルキルラジカルの例としては、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1−オキソ−チオモルホリニル、および1,1−ジオキソ−チオモルホリニルが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書で特に別途定めのない限り、ヘテロシクロアルキル部分は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、−OR、−SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)(式中、tは、1または2である)、−S(O)OR(式中、tは、1または2である)、−S(O)N(R(式中、tは、1または2である)、またはPO(Rである1個以上の置換基によって任意に置換され、式中、各 Rは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。
「ヘテロシクロアルキル」はまた、通常3〜7個の環原子を有する一方の非芳香族環が、酸素、硫黄、および窒素から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子ならびに前述のヘテロ原子のうちの少なくとも1つを含む組み合わせに加えて、少なくとも2個の炭素原子を含有し、通常3〜7個の環原子を有する他方の環が任意に、酸素、硫黄、および窒素から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含有し、かつ芳香族でない、二環式環系も含む。
「ヘテロシクロアルキルオキシ」は、(ヘテロシクロアルキル)−O−部分を指し、ここでヘテロシクロアルキル部分は、炭素原子を介して酸素に結合され、ここで酸素は、その部分を化合物に結合するリンカーとして機能する。ヘテロシクロアルキルは、本明細書に記載される通りであり、ヘテロシクロアルキルに好適であるとして本明細書に記載される、1個以上の置換基によって任意に置換される。
「異性体」は、同じ分子式を有する異なる化合物である。「立体異性体」は、原子が空間に配置される方式においてのみ異なる異性体である。「鏡像異性体」は、重ねることができない互いの鏡像である立体異性体の対である。鏡像異性体の対の1:1混合物は、「ラセミ」混合物である。「(±)」という用語が、適切な場合、ラセミ混合物を指定するために使用される。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2個の不斉原子を有するが、互いの鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学は、カーン−インゴルド−プレローグR−S系に従って明記される。化合物が純粋な鏡像異性体である場合、各キラル炭素における立体化学は、RまたはSのいずれかによって明記することができる。絶対構成が未知である分解された化合物は、それらがナトリウムD線の波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性または左旋性)に応じて、(+)または(−)として指定することができる。本明細書に記載されるある特定の化合物は、1つ以上の不斉中心を含有し、したがって、(R)−または(S)−として絶対立体化学の観点から定義され得る鏡像異性体、ジアステレオマー、および他の立体異性体型を生じさせることがでる。本化学成分、薬学的組成物、および方法は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態、および中間混合物を含む、全てのかかる可能な異性体を含むことが意図される。光学的に活性な(R)−および(S)−異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を用いて調製するか、または従来の技術を用いて分解することができる。化合物の光学活性は、キラルクロマトグラフィーおよび旋光測定を含むが、それらに限定されない任意の好適な方法を介して分析することができ、立体異性体の他方の異性体に対する優位性の程度を決定することができる。
本明細書に記載される化合物がオレフィン二重結合または幾何学的不斉性の他の中心を含有する場合、特に指示がない限り、化合物は、EおよびZ幾何学的異性体の両方を含むことが意図される。
「部分(Moiety)」は、分子の具体的なセグメントまたは官能基を指す。化学部分は、しばしば分子に組み込まれたまたは付け加えられた認識された化学成分である。
「ニトロ」は、−NOラジカルを指す。
「オキサ」は、−O−ラジカルを指す。
「オキソ」は、=Oラジカルを指す。
「互変異性体」は、互変異性化によって相互変換される構造的に特有の異性体である。「互変異性化」は、異性化の形態であり、プロトトロピックなまたはプロトン移動互変異性化を含み、酸‐塩基化学のサブセットとして考えられる。「プロトトロピック互変異性化」または「プロトン移動互変異性化」は、結合次数の変更、しばしば単結合と隣接する二重結合との交換を伴うプロトンの遊走を含む。互変異性化が可能な場合(例えば、溶液中で)、互変異性体の化学平衡に到達することができる。互変異性化の例としては、ケト−エノール互変異性化がある。ケト−エノール互変異性化の具体的例としては、ペンタン−2,4−ジオンおよび4−ヒドロキシペント‐3−エン−2−オン互変異性体の相互変換がある。互変異性化の別の例としては、フェノール−ケト互変異性化がある。フェノール−ケト互変異性化の具体的例としては、ピリジン−4−オールおよびピリジン−4(1H)−オン互変異性体の相互変換がある。
本発明の化合物はまた、かかる化合物を構成する原子のうちの1個以上において、非天然の割合の原子の同位体を含有してもよい。例えば、化合物は、例えば、トリチウム(H)、ヨウ素−125(125I)、または炭素−14(14C)等の放射性同位体で放射標識されてもよい。本発明の化合物の全ての同位体変形は、放射性であってもなくても、本発明の範囲内に包含される。
「脱離基または原子」は、反応条件下で、出発物質から切断され、こうして特定された部位における反応を促進するであろう、任意の基または原子である。かかる基の好適な例としては、特に指示がない限り、ハロゲン原子、メシルオキシ、p−ニトロベンゼンスルホニルオキシ、およびトシルオキシ基がある。
「保護基」は、慣習的に有機合成におけるそれに関連する意味を有し、すなわち、化学反応が別の保護されていない反応部位上で選択的に行われるように、また選択的反応が完了した後、基が容易に除去され得るように、多機能化合物における1つ以上の反応部位を選択的に遮断する基である。多種多様の保護基が、例えば、T.H.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,John Wiley&Sons,New York(1999)に開示される。例えば、ヒドロキシ保護形態は、化合物中に存在するヒドロキシ基のうちの少なくとも1個がヒドロキシ保護基により保護される部分である。同様に、アミンおよび他の反応性基が、同様に保護されてもよい。
「溶媒和物」は、薬学的に許容される溶媒の1つ以上の分子に物理的に会合する化合物(例えば、式Iから選択される化合物またはその薬学的に許容される塩)を指す。「式Iの化合物」は、式Iの化合物および化合物の溶媒和物、ならびにそれらの混合物を包含することが理解されよう。
「置換」は、参照される基が、アシル、アルキル、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、炭水化物、炭酸塩、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、エステル、チオカルボニル、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、オキソ、ペルハロアルキル、ペルフルオロアルキル、リン酸塩、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、ならびに一置換および二置換アミノ基を含むアミノ、ならびにそれらの保護された誘導体から個々におよび独立して選択される1個以上の追加の基(複数可)で置換され得ることを意味する。二置換アミノ基は、実例としてモルホリノ等の、アミノ基の窒素と一緒になって環を形成する基を包含する。例えば、シクロアキル(cycloakyl)置換基は、1個以上の環炭素において置換されたハロゲン化物を有してもよい等、置換基自体が置換されてもよい。上の置換基の保護誘導体を形成し得る保護基は、当業者に既知であり、上のGreene and Wuts等の参考文献に見出され得る。
「スルホニル」は、次の基を指す:−S(O)−H、−S(O)−(任意に置換されたアルキル)、−S(O)−(任意に置換されたアミノ)、S(O)−(任意に置換されたアリール)、−S(O)−(任意に置換されたヘテロアリール)、および−S(O)−(任意に置換されたヘテロシクロアルキル)。
「スルホンアミジル」または「スルホンアミド」は、−S(=O)−NRRラジカルを指し、式中、各Rは独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を通じて結合される)、およびヘテロ脂環式(環炭素を通じて結合される)からなる基から選択される。−S(=O)−NRRラジカルの−NRRにおけるR基は、それが結合されている窒素と一緒になって、4、5、6、または7員環を形成することができる。幾つかの実施形態において、それはC〜C10スルホンアミドであり、式中、スルホンアミドにおける各Rは、総計1個の炭素、2個の炭素、3個の炭素、または4個の炭素を含有する。スルホンアミド基は、それぞれアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールについて記載される置換基の1個以上によって任意に置換される。
「スルホキシル」は、−S(=O)OHラジカルを指す。
「スルホネート」は、−S(=O)−ORラジカルを指し、式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を通じて結合される)、およびヘテロ脂環式(環炭素を通じて結合される)からなる群から選択される。スルホネート基は、それぞれアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールについて記載される置換基の1個以上によってR上で任意に置換される。
置換基がそれらの従来の化学式によって左から右へ書かれて明記される場合、それらは、その構造を右から左へ書くことにより得られるであろう化学的に同一の置換基を同等に包含し、例えば、−CHO−は、−OCH−と等しい。
本発明の化合物はまた、例えば、多形体、擬多形体、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形体(無水物を含む)、高次構造多形体、および化合物の非晶質形態、ならびにそれらの混合物を含む、それらの化合物の結晶質および非晶質形態を含む。「結晶質形態」、「多形体」、および「新規の形態」は、特定の結晶質または非晶質形態を指さない限り、本明細書で交換可能に使用されてもよく、例えば、多形体、擬多形体、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形体(無水物を含む)、高次構造多形体、および非晶質形態、ならびにそれらの混合物を含む、化合物の全ての結晶質および非晶質形態を含むことが意図される。
「溶媒」、「有機溶媒」、および「不活性溶媒」は各々、例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム、塩化メチレン(またはジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、N−メチルピロリドン(「NMP」)、ピリジン等を含む、これらと共に記載されている反応の条件下で不活性な溶媒を意味する。異なる明記がない限り、本明細書に記載される反応に使用される溶媒は、不活性有機溶媒である。異なる明記がない限り、限定的な試薬の各グラムにつき、1cc(またはmL)の溶媒が、等価体積を構成する。
本明細書に記載される化学成分および中間体の単離および精製は、所望される場合、例えば、濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーもしくは厚層クロマトグラフィー、またはこれらの手順の組み合わせ等の任意の好適な分離または精製手順によって達成することができる。好適な分離および単離手順の具体的な例示は、本明細書の下記の実施例への参照によって得ることができる。しかしながら、他の同等の分離または単離手順を使用することもできる。
所望される場合、本発明の化合物の(R)−および(S)−異性体は、存在する場合、当業者に既知の方法、例えば、例えば結晶化によって分離され得る、ジアステレオマー塩もしくは複合体の形成によって;例えば結晶化、ガス−液体、もしくは液体クロマトグラフィーによって分離され得るジアステレオマー誘導体の形成を介して;1つの鏡像異性体の鏡像異性体特異的試薬との選択的反応、例えば酵素的酸化もしくは還元、続いて修飾されたおよび修飾されていない鏡像異性体の分離;またはキラル環境、例えば結合キラルリガンドを有するシリカ等のキラル支持体上での、もしくはキラル溶媒の存在下でのガス−液体もしくは液体クロマトグラフィーによって、分解することができる。代替的に、特定の鏡像異性体は、光学的に活性な試薬、基質、触媒、もしくは溶媒を用いる不斉合成によって、または不斉転換によって一方の鏡像異性体を他方の鏡像異性体に変換することによって、合成されてもよい。
本明細書に記載される化合物は、任意に薬学的に許容される酸と接触させて、対応する酸付加塩を形成することができる。本明細書に列挙される化合物の薬学的に許容される形態には、薬学的に許容される塩、キレート、非共有結合複合体、プロドラッグ、およびそれらの混合物が含まれる。ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容される塩の形態である。加えて、本明細書に記載される化合物が酸付加塩として得られる場合、遊離塩基は、酸塩の溶液を塩基化することによって得ることができる。逆に、生成物が遊離塩基である場合、付加塩、特に薬学的に許容される付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を調製するための従来の手順に従って、遊離塩基を好適な有機溶媒中に溶解させ、溶液を酸で処理することによって生成されてもよい。当業者であれば、非毒性の薬学的に許容される付加塩を調製するために使用され得る種々の合成技法を認識するであろう。
上述の通り、本発明は、1つ以上の脂質キナーゼおよび/またはタンパク質キナーゼに対するアンタゴニストとして有用な種々の化合物を提供する。
一態様において、本発明は、式I、
Figure 2014534264
の化合物、または化合物のその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
は、N、NR、またはCRであり、Wは、N、NR、CR、またはC=Oであり、Wは、N、NR、またはCRであり、Wは、Nであり、2個を超えるN原子および2個を超えるC=O基が隣接することはなく、
は、Nであり、
は、NまたはCRであり、
およびWは独立して、NまたはCRであり、
およびWのうちの一方は、Nであり、他方は、O、NR10、またはSであり、
およびRは独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、リン酸塩、尿素、炭酸塩、またはNR’R’’であり、式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって、環式部分を形成し、
およびRは独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、リン酸塩、尿素、炭酸塩、またはNR’R’’であり、式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって、環式部分を形成するか、
あるいは一緒になったRおよびRが、環式部分を形成し、
、R、R、およびRは独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、リン酸塩、尿素、炭酸塩、またはNR’R’’であり、式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって、環式部分を形成し、
は、アルキルまたはハロであり、
10は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、リン酸塩、尿素、炭酸塩、またはNR’R’’であり、式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって、環式部分を形成する。
幾つかの実施形態において、式Iの化合物は、互変異性体として存在し、かかる互変異性体が本発明によって企図される。
幾つかの実施形態において、Rは、水素である。他の実施形態において、Rは、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、リン酸塩、尿素、炭酸塩、またはNR’R’’であり、式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって、環式部分を形成する。
幾つかの実施形態において、Rは、水素である。他の実施形態において、Rは、例えば、非置換もしくは置換アルキル(CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチルを含むが、それらに限定されない)である。他の実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アルケニル(例えば、ビニル、アリル、1−メチルプロペン−1−イル、ブテニル、またはペンテニル等の非置換もしくは置換C〜Cアルケニルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換アルキニル(アセチレニル、プロパルギル、ブチニル、またはペンチニル等の非置換もしくは置換C〜Cアルキニルを含むが、それらに限定されない)である。代替的に、Rは、非置換もしくは置換アリール(単環式または二環式アリールを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換アリールアルキル(アルキルに結合された単環式または二環式アリールを含むが、それらに限定されず、ここでアルキルは、CH、CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、およびペンチルを含むが、それらに限定されない)である。幾つかの他の実施形態において、Rは、単環式および二環式ヘテロアリールを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロアリールである。単環式ヘテロアリールRiは、ピロリル、チエニル、フリル、ピリジニル、ピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、およびオキサゾリルを含むが、それらに限定されない。二環式ヘテロアリールRは、ベンゾチオフェニル、ベンゾフリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キナゾリニル、アザインドリル、ピラゾロピリミジニル、プリニル、ピロロ[1,2−b]ピリダジニル、ピロロピリミジニル、インダゾリル、ピラゾリルピリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、およびピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジニルを含むが、それらに限定されない。本発明はまた、Rが、アルキルに結合された、上述の単環式および二環式ヘテロアリールを含むが、それらに限定されない、非置換もしくは置換ヘテロアリールアルキルであり、次いでそのアルキルがCH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、およびペンチルを含むが、それらに限定されない、化合物も提供する。幾つかの実施形態において、Rは、非置換もしくは置換シクロアルキル(シクロプロピル、シクロブチル、およびシクロペンチルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換ヘテロアルキル(非限定的例としては、エトキシメチル、メトキシメチル、およびジエチルアミノメチルが挙げられる)である。幾つかの更なる実施形態において、Rは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、およびピペラジニルを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルである。式Iの化合物のなおも他の実施形態において、Rは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、またはブトキシ等のC〜Cアルコキシを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換アルコキシである。Rはまた、4−NHピペリジン−1−イル−オキシ、4−メチルピペリジン−1−イル−オキシ、4−エチルピペリジン−1−イル−オキシ、4−イソプロピル−ピペリジン−1−イル−オキシ、およびピロリジン−3−イル−オキシを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルオキシでもあり得る。他の実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アミノであり、この置換アミノは、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−イソプロピルアミノ、N−メチルN−エチルアミノ、およびジブチルアミノを含むが、それらに限定されない。幾つかの実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アシル、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換C〜Cアシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、非置換もしくは置換アミド、または非置換もしくは置換スルホンアミドである。他の実施形態において、Rは、−I、−F、−Cl、または−Brであるハロである。幾つかの実施形態において、Rは、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、リン酸塩、尿素、および炭酸塩からなる群から選択される。また、Rが、−CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、−OCH、−OCHCH、または−CFであることも企図される。
式Iの化合物の幾つかの実施形態において、Wは、CRである。Rは、例えば、水素、非置換もしくは置換アルキル(CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチルを含むが、それらに限定されない)であり得る。他の実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アルケニル(例えば、ビニル、アリル、1−メチルプロペン−1−イル、ブテニル、またはペンテニル等の、非置換もしくは置換C〜Cアルケニルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換アルキニル(アセチレニル、プロパルギル、ブチニル、またはペンチニル等の非置換もしくは置換C〜Cアルキニルを含むが、それらに限定されない)である。代替的に、Rは、非置換もしくは置換アリール(単環式または二環式アリールを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換アリールアルキル(アルキルに結合された単環式または二環式アリールを含むが、それらに限定されず、ここでアルキルは、CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、およびペンチルを含むが、それらに限定されない)である。幾つかの他の実施形態において、Rは、単環式および二環式ヘテロアリールを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロアリールである。単環式ヘテロアリールRは、ピロリル、チエニル、フリル、ピリジニル、ピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、およびオキサゾリルを含むが、それらに限定されない。二環式ヘテロアリールRは、ベンゾチオフェニル、ベンゾフリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キナゾリニル、アザインドリル、ピラゾロピリミジニル、プリニル、ピロロ[1,2−b]ピリダジニル、ピロロピリミジニル、インダゾリル、ピラゾリルピリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、およびピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジニルを含むが、それらに限定されない。本発明はまた、Rが、アルキルに結合された、上述の単環式および二環式ヘテロアリールを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロアリールアルキルであり、次いでそのアルキルがCH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、およびペンチルを含むが、それらに限定されない、式Iの化合物も提供する。幾つかの実施形態において、Rは、非置換もしくは置換シクロアルキル(シクロプロピル、シクロブチル、およびシクロペンチルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換ヘテロアルキル(非限定的例としては、エトキシメチル、メトキシメチル、およびジエチルアミノメチルが挙げられる)である。幾つかの更なる実施形態において、Rは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、およびピペラジニルを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルである。式Iの化合物のなおも他の実施形態において、Rは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、またはブトキシ等のC〜Cアルコキシを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換アルコキシである。Rはまた、4−NHピペリジン−1−イル−オキシ、4−メチルピペリジン−1−イル−オキシ、4−エチルピペリジン−1−イル−オキシ、4−イソプロピル−ピペリジン−1−イル−オキシ、およびピロリジン−3−イル−オキシを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルオキシであり得る。他の実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アミノであり、ここで置換アミノは、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−イソプロピルアミノ、N−メチルN−エチルアミノ、およびジブチルアミノを含むが、それらに限定されない。幾つかの実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アシル、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換C〜Cアシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、非置換もしくは置換アミド、または非置換もしくは置換スルホンアミドである。他の実施形態において、Rは、−I、−F、−Cl、または−Brであるハロである。幾つかの実施形態において、Rは、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、リン酸塩、尿素、および炭酸塩からなる群から選択される。また、Rが、−CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、−OCH、−OCHCH、または−CFであることも企図される。
式Iの化合物のRはまた、NR’R’’でもあり得、式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって、3〜8個の環原子を有する環式部分を形成する。そのようにして形成された環式部分は、S、O、およびNからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を更に含んでもよい。そのようにして形成された環式部分は、置換されていないか、または置換されており、モルホリニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イソチアゾリジニル1,2、ジオキシド、およびチオモルホリニルを含むが、それらに限定されない。更なる非限定的な例となる環式部分は、次のものである:
Figure 2014534264
本発明はまた、Rがアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アシル、アルコキシ、アミド、アミノ、スルホンアミド、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、およびNR’R’’(式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって環式部分を形成する)からなる基のメンバーであるとき、Rが次の置換基のうちの1個以上で任意に置換される、式Iの化合物も提供する:アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アシル、ヘテロシクロアルキルオキシ、アルコキシ、アミド、アミノ、スルホンアミド、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、リン酸塩、尿素、炭酸塩、またはNR’R’’(式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって環式部分を形成する)。上の置換基の各々は、アルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、スルホンアミド、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、オキソ、リン酸塩、尿素、および炭酸塩からなる群から選定される1個以上の置換基で更に置換されてもよい。
例えば、本発明は、Rがアルキルであるとき、アルキルがNR’R’’で置換され、式中、R’およびR’’が窒素と一緒になって環式部分を形成する、化合物を提供する。そのようにして形成された環式部分は、置換されていないか、または置換されている可能性がある。非限定的な例となる環式部分には、モルホリニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、およびチオモルホリニルが含まれるが、それらに限定されない。式Iの化合物の他の例において、Rがアルキルであるとき、このアルキルは、オキセタニル、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、およびピペラジニルを含む、ヘテロシクロアルキルで置換される。上に列挙されたヘテロシクロアルキル(aklyl)置換基の全ては、置換されていないか、または置換されている可能性がある。
式Iの化合物のなおも他の例において、Rがアルキルであるとき、このアルキルは、置換されていないか、または置換されている5、6、7、8、9、または10員の単環式または二環式ヘテロアリールで置換される。単環式ヘテロアリールは、ピロリル、チエニル、フリル、ピリジニル、ピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、およびオキサゾリルを含むが、それらに限定されない。二環式ヘテロアリールは、ベンゾチオフェニル、ベンゾフリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キナゾリニル、アザインドリル、ピラゾロピリミジニル、プリニル、ピロロ[1,2−b]ピリダジニル、ピロロピリミジニル、インダゾリル、ピラゾリルピリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、およびピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジニルを含むが、それらに限定されない。
式Iの化合物の他の実施形態において、Rは、−NHR3’、−N(CH)R3’、−N(CHCH)R3’、−N(CH(CH)R3’、または−OR3’であり、式中、R3’は、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル(その非限定的例としては、4−NHピペリジン−1−イル、4−メチルピペリジン−1−イル、4−エチルピペリジン−1−イル、4−イソプロピル−ピペリジン−1−イル、およびピロリジン−3−イルが挙げられる)、非置換もしくは置換単環式アリール、または非置換もしくは置換単環式ヘテロアリール(ピロリル、チエニル、フリル、ピリジニル、ピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、およびオキサゾリルを含むが、それらに限定されない)である。一例において、Rは、−O−アリール、すなわちフェノキシである。別の例において、Rは、−O−(4−メチル)ピペリジン−1−イルまたは−O−(4−イソプロピル)ピペリジン−1−イルである。
式Iの化合物の幾つかの実施形態において、Rは、次の部分のうちの1つである:
Figure 2014534264
Figure 2014534264
Figure 2014534264
式Iの化合物の幾つかの実施形態において、Wは、NRであり、式中、Rは、水素、非置換もしくは置換C〜C10アルキル(それは−CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換C〜Cシクロアルキル(それはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルを含むが、それらに限定されない)である。式Iの化合物の他の実施形態において、Rは、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル(それはオキセタニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、およびピペラジニルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換C〜C10ヘテロアルキル(それはメトキシエトキシ、メトキシメチル、およびジエチルアミノエチルを含むが、それらに限定されない)である。代替的に、Rは、非置換もしくは置換単環式ヘテロアリール(それはピロリル、チエニル、フリル、ピリジニル、ピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、およびオキサゾリルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換単環式アリールである。
さらに他の実施形態において、Wは、C=Oである。
式Iの化合物の幾つかの実施形態において、Wは、CRである。Rは、例えば、水素、または非置換もしくは置換アルキル(CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチルを含むが、それらに限定されない)であり得る。他の実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アルケニル(例えば、ビニル、アリル、1−メチルプロペン−1−イル、ブテニル、またはペンテニル等の非置換もしくは置換C〜Cアルケニルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換アルキニル(アセチレニル、プロパルギル、ブチニル、またはペンチニル等の非置換もしくは置換C〜Cアルキニルを含むが、それらに限定されない)である。代替的に、Rは、非置換もしくは置換アリール(単環式または二環式アリールを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換アリールアルキル(アルキルに結合された単環式または二環式アリールを含むが、それらに限定されず、ここでアルキルは、CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、およびペンチルを含むが、それらに限定されない)である。幾つかの他の実施形態において、Rは、単環式および二環式ヘテロアリールを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロアリールである。単環式ヘテロアリールRは、ピロリル、チエニル、フリル、ピリジニル、ピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、およびオキサゾリルを含むが、それらに限定されない。二環式ヘテロアリールRは、ベンゾチオフェニル、ベンゾフリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キナゾリニル、アザインドリル、ピラゾロピリミジニル、プリニル、ピロロ[1,2−b]ピリダジニル、ピロロピリミジニル、インダゾリル、ピラゾリルピリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、およびピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジニルを含むが、それらに限定されない。
本発明はまた、Rが、アルキルに結合された、上述の単環式および二環式ヘテロアリールを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロアリールアルキルであり、次いでそのアルキルがCH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、およびペンチルを含むが、それらに限定されない、式Iの化合物も提供する。幾つかの実施形態において、Rは、非置換もしくは置換シクロアルキル(シクロプロピル、シクロブチル、およびシクロペンチルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換ヘテロアルキル(非限定的例としては、エトキシメチル、メトキシメチル、およびジエチルアミノメチルが挙げられる)である。幾つかの更なる実施形態において、Rは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、およびピペラジニルを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルである。式Iの化合物のなおも他の実施形態において、Rは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、またはブトキシ等のC〜Cアルコキシを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換アルコキシである。Rはまた、4−NHピペリジン−1−イル−オキシ、4−メチルピペリジン−1−イル−オキシ、4−エチルピペリジン−1−イル−オキシ、4−イソプロピル−ピペリジン−1−イル−オキシ、およびピロリジン−3−イル−オキシを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルオキシでもあり得る。他の実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アミノであり、この置換アミノは、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−イソプロピルアミノ、N−メチルN−エチルアミノ、およびジブチルアミノを含むが、それらに限定されない。幾つかの実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アシル、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換C〜Cアシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、非置換もしくは置換アミド、または非置換もしくは置換スルホンアミドである。幾つかの実施形態において、Rは、−I、−F、−Cl、または−Brであるハロである。幾つかの実施形態において、Rは、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、リン酸塩、尿素、および炭酸塩からなる群から選択される。また、Rが、−CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、−OCH、−OCHCH、または−CFであることも企図される。
式Iの化合物のRはまた、NR’R’’でもあり得、式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって、3〜8個の環原子を有する環式部分を形成する。そのようにして形成された環式部分は、S、O、およびNからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を更に含んでもよい。そのようにして形成された環式部分は、置換されていないか、または置換されており、モルホリニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イソチアゾリジニル1,2、ジオキシド、およびチオモルホリニルを含むが、それらに限定されない。更なる非限定的な例となる環式部分は、次のものである:
Figure 2014534264
本発明はまた、Rがアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アシル、アルコキシ、アミド、アミノ、スルホンアミド、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、およびNR’R’’(式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって環式部分を形成する)からなる基のメンバーであるとき、Rが次の置換基のうちの1個以上で任意に置換される、式Iの化合物も提供する:アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アシル、ヘテロシクロアルキルオキシ、アルコキシ、アミド、アミノ、スルホンアミド、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、リン酸塩、尿素、炭酸塩、またはNR’R’’(式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって環式部分を形成する)。上の置換基の各々は、アルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、スルホンアミド、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、オキソ、リン酸塩、尿素、および炭酸塩からなる群から選定される1個以上の置換基で更に置換されてもよい。
例えば、本発明は、Rがアルキルであるとき、アルキルがNR’R’’で置換され、式中、R’およびR’’が窒素と一緒になって環式部分を形成する、化合物を提供する。そのようにして形成された環式部分は、置換されていないか、または置換されている可能性がある。非限定的な例となる環式部分には、モルホリニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イソチアゾリジニル1,2,ジオキシド、およびチオモルホリニルが含まれるが、それらに限定されない。式Iの化合物の他の例において、Rがアルキルであるとき、このアルキルは、オキセタニル、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、およびピペラジニルを含む、ヘテロシクロアルキルで置換される。上に列挙されたヘテロシクロアルキル(aklyl)置換基の全ては、置換されていないか、または置換されている可能性がある。
式Iの化合物のなおも他の例において、Rがアルキルであるとき、このアルキルは、置換されていないか、または置換されている5、6、7、8、9、または10員の単環式または二環式ヘテロアリールで置換される。単環式ヘテロアリールは、ピロリル、チエニル、フリル、ピリジニル、ピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、およびオキサゾリルを含むが、それらに限定されない。二環式ヘテロアリールには、ベンゾチオフェニル、ベンゾフリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キナゾリニル、アザインドリル、ピラゾロピリミジニル、プリニル、ピロロ[1,2−b]ピリダジニル、ピロロピリミジニル、インダゾリル、ピラゾリルピリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、およびピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジニルが含まれるが、それらに限定されない。
式Iの化合物の幾つかの実施形態において、Wは、NRであり、式中、Rは、水素、非置換もしくは置換C〜C10アルキル(それは−CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換C〜Cシクロアルキル(それはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルを含むが、それらに限定されない)である。式Iの化合物の他の実施形態において、Rは、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル(それはオキセタニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、およびピペラジニルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換C〜C10ヘテロアルキル(それはメトキシエトキシ、メトキシメチル、およびジエチルアミノエチルを含むが、それらに限定されない)である。代替的に、Rは、非置換もしくは置換単環式ヘテロアリール(それはピロリル、チエニル、フリル、ピリジニル、ピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、およびオキサゾリルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換単環式アリールである。
幾つかの実施形態において、一緒になったRおよびRが環式部分を形成する。かかる部分は、例えば、3〜8個の環原子を有してもよい。そのようにして形成された環式部分は、S、O、およびNからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を更に含んでもよい。そのようにして形成された環式部分は、置換されていないか、または置換されている。幾つかの実施形態において、置換基は、C〜C10アルキル(それは−CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチルを含むが、それらに限定されない)、またはC〜Cシクロアルキル(それはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルを含むが、それらに限定されない);ヘテロシクロアルキル(それはオキセタニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、およびピペラジニルを含むが、それらに限定されない)、C〜C10ヘテロアルキル(それはメトキシエトキシ、メトキシメチル、およびジエチルアミノエチルを含むが、それらに限定されない);単環式ヘテロアリール(それはピロリル、チエニル、フリル、ピリジニル、ピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、およびオキサゾリルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換単環式アリールである。環式部分は、1個以上の置換基を有してもよく、それは同じであっても異なってもよい。
幾つかの実施形態において、RおよびRによって形成される環式部分は、次の置換基うちの少なくとも1個で置換される:
Figure 2014534264
Figure 2014534264
Figure 2014534264
式Iの化合物の幾つかの実施形態において、Wは、CRである。Rは、例えば、水素、または非置換もしくは置換アルキル(CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチルを含むが、それらに限定されない)であり得る。一実施形態において、Rは、Hである。他の実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アルケニル(例えば、ビニル、アリル、1−メチルプロペン−1−イル、ブテニル、またはペンテニル等の非置換もしくは置換C〜Cアルケニルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換アルキニル(アセチレニル、プロパルギル、ブチニル、またはペンチニル等の非置換もしくは置換C〜Cアルキニルを含むが、それらに限定されない)である。代替的に、Rは、非置換もしくは置換アリール(単環式または二環式アリールを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換アリールアルキル(アルキルに結合された単環式または二環式アリールを含むが、それらに限定されず、ここでアルキルは、CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、およびペンチルを含むが、それらに限定されない)である。幾つかの他の実施形態において、Rは、単環式および二環式ヘテロアリールを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロアリールである。単環式ヘテロアリールRは、ピロリル、チエニル、フリル、ピリジニル、ピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、およびオキサゾリルを含むが、それらに限定されない。二環式ヘテロアリールRは、ベンゾチオフェニル、ベンゾフリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キナゾリニル、アザインドリル、ピラゾロピリミジニル、プリニル、ピロロ[1,2−b]ピリダジニル、ピロロピリミジニル、インダゾリル、ピラゾリルピリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、およびピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジニルを含むが、それらに限定されない。
式Iの化合物の幾つかの実施形態において、Wは、NまたはNRであり、式中、Rは、水素、非置換もしくは置換C〜C10アルキル(それは−CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換C〜Cシクロアルキル(それはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルを含むが、それらに限定されない)である。式Iの化合物の他の実施形態において、Rは、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル(それはオキセタニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、およびピペラジニルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換C〜C10ヘテロアルキル(それはメトキシエトキシ、メトキシメチル、およびジエチルアミノエチルを含むが、それらに限定されない)である。代替的に、Rは、非置換もしくは置換単環式ヘテロアリール(それはピロリル、チエニル、フリル、ピリジニル、ピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、およびオキサゾリルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換単環式アリールである。
式Iの化合物の幾つかの実施形態において、Wは、NまたはNRであり、式中、Rは、水素、非置換もしくは置換C〜C10アルキル(それは−CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換C〜Cシクロアルキル(それはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルを含むが、それらに限定されない)である。式Iの化合物の他の実施形態において、Rは、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル(それはオキセタニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、およびピペラジニルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換C〜C10ヘテロアルキル(それはメトキシエトキシ、メトキシメチル、およびジエチルアミノエチルを含むが、それらに限定されない)である。代替的に、Rは、非置換もしくは置換単環式ヘテロアリール(それはピロリル、チエニル、フリル、ピリジニル、ピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、およびオキサゾリルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換単環式アリールである。
式Iの化合物の幾つかの実施形態において、Wは、Nである。式Iの化合物の他の実施形態において、Wは、CRである。Rは、例えば、水素、または非置換もしくは置換アルキル(CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチルを含むが、それらに限定されない)であり得る。一実施形態において、Rは、Hである。他の実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アルケニル(例えば、ビニル、アリル、1−メチルプロペン−1−イル、ブテニル、またはペンテニル等の非置換もしくは置換C〜Cアルケニルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換アルキニル(アセチレニル、プロパルギル、ブチニル、またはペンチニル等の非置換もしくは置換C〜Cアルキニルを含むが、それらに限定されない)である。代替的に、Rは、非置換もしくは置換アリール(単環式または二環式アリールを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換アリールアルキル(アルキルに結合された単環式または二環式アリールを含むが、それらに限定されず、ここでアルキルは、CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、およびペンチルを含むが、それらに限定されない)である。幾つかの他の実施形態において、Rは、単環式および二環式ヘテロアリールを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロアリールである。単環式ヘテロアリールRは、ピロリル、チエニル、フリル、ピリジニル、ピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、およびオキサゾリルを含むが、それらに限定されない。二環式ヘテロアリールRは、ベンゾチオフェニル、ベンゾフリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キナゾリニル、アザインドリル、ピラゾロピリミジニル、プリニル、ピロロ[1,2−b]ピリダジニル、ピロロピリミジニル、インダゾリル、ピラゾリルピリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、およびピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジニルを含むが、それらに限定されない。
幾つかの実施形態において、式Iの化合物は、次の式を有する:
Figure 2014534264
他の実施形態において、式Iの化合物は、次のものである:
Figure 2014534264
例えば、式Iの化合物は、次のものである:
Figure 2014534264
幾つかの実施形態において、式Iの化合物は、次のものである:
Figure 2014534264
別の態様において、本発明は、下位式Iaの化合物を提供する。一実施形態において、R、R、R、R、およびRは、水素である。別の実施形態において、R、R、R、およびRは、水素であり、Rは、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、リン酸塩、尿素、炭酸塩、またはNR’R’’であり、式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって、環式部分を形成する。Rは、例えば、水素、非置換もしくは置換アルキル(CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチルを含むが、それらに限定されない)であり得る。他の実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アルケニル(例えば、ビニル、アリル、1−メチルプロペン−1−イル、ブテニル、またはペンテニル等の非置換もしくは置換C〜Cアルケニルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換アルキニル(アセチレニル、プロパルギル、ブチニル、またはペンチニル等の非置換もしくは置換C〜Cアルキニルを含むが、それらに限定されない)である。代替的に、Rは、非置換もしくは置換アリール(単環式または二環式アリールを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換アリールアルキル(アルキルに結合された単環式または二環式アリールを含むが、それらに限定されず、ここでアルキルは、CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、およびペンチルを含むが、それらに限定されない)である。幾つかの他の実施形態において、Rは、単環式および二環式ヘテロアリールを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロアリールである。単環式ヘテロアリールRは、ピロリル、チエニル、フリル、ピリジニル、ピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、およびオキサゾリルを含むが、それらに限定されない。二環式ヘテロアリールRは、ベンゾチオフェニル、ベンゾフリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キナゾリニル、アザインドリル、ピラゾロピリミジニル、プリニル、ピロロ[1,2−b]ピリダジニル、ピロロピリミジニル、インダゾリル、ピラゾリルピリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、およびピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジニルを含むが、それらに限定されない。本発明はまた、Rが、アルキルに結合された、上述の単環式および二環式ヘテロアリールを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロアリールアルキルであり、次いでそのアルキルがCH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、およびペンチルを含むが、それらに限定されない、下位式Iaの化合物も提供する。幾つかの実施形態において、Rは、非置換もしくは置換シクロアルキル(シクロプロピル、シクロブチル、およびシクロペンチルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換ヘテロアルキル(非限定的例としては、エトキシメチル、メトキシメチル、およびジエチルアミノメチルが挙げられる)である。幾つかの更なる実施形態において、Rは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、およびピペラジニルを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルである。式Iの化合物のなおも他の実施形態において、Rは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、またはブトキシ等のC〜Cアルコキシを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換アルコキシである。Rはまた、4−NHピペリジン−1−イル−オキシ、4−メチルピペリジン−1−イル−オキシ、4−エチルピペリジン−1−イル−オキシ、4−イソプロピル−ピペリジン−1−イル−オキシ、およびピロリジン−3−イル−オキシを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルオキシでもあり得る。他の実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アミノであり、この置換アミノは、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−イソプロピルアミノ、N−メチルN−エチルアミノ、およびジブチルアミノを含むが、それらに限定されない。幾つかの実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アシル、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換C〜Cアシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、非置換もしくは置換アミド、または非置換もしくは置換スルホンアミドである。他の実施形態において、Rは、−I、−F、−Cl、または−Brであるハロである。幾つかの実施形態において、Rは、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、リン酸塩、尿素、および炭酸塩からなる群から選択される。また、Rが、−CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、−OCH、−OCHCH、または−CFであることも企図される。幾つかの実施形態において、Rはまた、NR’R’’でもあり得、式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって、3〜8個の環原子を有する環式部分を形成する。そのようにして形成された環式部分は、S、O、およびNからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を更に含んでもよい。そのようにして形成された環式部分は、置換されていないか、または置換されており、モルホリニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イソチアゾリジニル1,2、ジオキシド、およびチオモルホリニルを含むが、それらに限定されない。更なる非限定的な例となる環式部分は、次のものである:
Figure 2014534264
別の態様において、本発明は、下位式Ibの化合物を提供する。一実施形態において、R、R、R、およびRは、水素である。別の実施形態において、R、R、およびRは、水素であり、Rは、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、リン酸塩、尿素、炭酸塩、またはNR’R’’であり、式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって、環式部分を形成する。Rは、例えば、水素、非置換もしくは置換アルキル(CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチルを含むが、それらに限定されない)であり得る。他の実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アルケニル(例えば、ビニル、アリル、1−メチルプロペン−1−イル、ブテニル、またはペンテニル等の非置換もしくは置換C〜Cアルケニルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換アルキニル(アセチレニル、プロパルギル、ブチニル、またはペンチニル等の非置換もしくは置換C〜Cアルキニルを含むが、それらに限定されない)である。代替的に、Rは、非置換もしくは置換アリール(単環式または二環式アリールを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換アリールアルキル(アルキルに結合された単環式または二環式アリールを含むが、それらに限定されず、ここでアルキルは、CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、およびペンチルを含むが、それらに限定されない)である。幾つかの他の実施形態において、Rは、単環式および二環式ヘテロアリールを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロアリールである。単環式ヘテロアリールRは、ピロリル、チエニル、フリル、ピリジニル、ピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、およびオキサゾリルを含むが、それらに限定されない。二環式ヘテロアリールRは、ベンゾチオフェニル、ベンゾフリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キナゾリニル、アザインドリル、ピラゾロピリミジニル、プリニル、ピロロ[1,2−b]ピリダジニル、ピロロピリミジニル、インダゾリル、ピラゾリルピリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、およびピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジニルを含むが、それらに限定されない。本発明はまた、Rが、アルキルに結合された、上述の単環式および二環式ヘテロアリールを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロアリールアルキルであり、次いでそのアルキルがCH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、およびペンチルを含むが、それらに限定されない、式Iの化合物も提供する。幾つかの実施形態において、Rは、非置換もしくは置換シクロアルキル(シクロプロピル、シクロブチル、およびシクロペンチルを含むが、それらに限定されない)、または非置換もしくは置換ヘテロアルキル(非限定的例としては、エトキシメチル、メトキシメチル、およびジエチルアミノメチルが挙げられる)である。幾つかの更なる実施形態において、Rは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、およびピペラジニルを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルである。式Iの化合物のなおも他の実施形態において、Rは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、またはブトキシ等のC〜Cアルコキシを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換アルコキシである。Rはまた、4−NHピペリジン−1−イル−オキシ、4−メチルピペリジン−1−イル−オキシ、4−エチルピペリジン−1−イル−オキシ、4−イソプロピル−ピペリジン−1−イル−オキシ、およびピロリジン−3−イル−オキシを含むが、それらに限定されない非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルオキシでもあり得る。他の実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アミノであり、この置換アミノは、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−イソプロピルアミノ、N−メチルN−エチルアミノ、およびジブチルアミノを含むが、それらに限定されない。幾つかの実施形態において、Rは、非置換もしくは置換アシル、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換C〜Cアシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、非置換もしくは置換アミド、または非置換もしくは置換スルホンアミドである。他の実施形態において、Rは、−I、−F、−Cl、または−Brであるハロである。幾つかの実施形態において、Rは、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、リン酸塩、尿素、および炭酸塩からなる群から選択される。また、Rが、−CH、−CHCH、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、−OCH、−OCHCH、または−CFであることも企図される。幾つかの実施形態において、Rはまた、NR’R’’でもあり得、式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって、3〜8個の環原子を有する環式部分を形成する。そのようにして形成された環式部分は、S、O、およびNからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を更に含んでもよい。そのようにして形成された環式部分は、置換されていないか、または置換されており、モルホリニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イソチアゾリジニル1,2、ジオキシド、およびチオモルホリニルを含むが、それらに限定されない。更なる非限定的な例となる環式部分は、次のものである:
Figure 2014534264
幾つかの実施形態において、置換基R、R、R、またはRは、表1に示される置換基のうちのいずれであってもよい:

表1.式Iの化合物のR、R、R、R部分には、各々独立して、次のものが含まれるが、それらに限定されない:
Figure 2014534264
Figure 2014534264
Figure 2014534264
Figure 2014534264
一般に、本発明の化合物は、次の反応スキームによって調製されてもよい:
スキームA:
Figure 2014534264
本発明の化合物は、スキームAおよびBに一般に表される反応を介して合成されてもよい。合成は、式Aの化合物と式Bの化合物とのカップリングを介して進んで、式Cの化合物をもたらす。カップリングステップは、典型的に、パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)を含むが、それらに限定されない、パラジウム触媒系を使用することによって触媒される。カップリングは、一般に、好適な塩基の存在下で行われ、その非限定的例は、炭酸ナトリウムである。反応に好適な溶媒の一例は、含水ジオキサンである。
スキームAにおいて使用するための式Aの化合物は、式Aの構造を有し、式中、Tは、ブロモ、クロロ、フルオロ、およびヨードを含む、ハロであり、残りの置換基は、本発明の化合物の式IおよびIIについて定義される。式Bに図示されるボロン酸および酸誘導体について、Xは、OまたはSのいずれかであり、ベンゾオキサゾールまたはベンゾチアゾール部分は、4、5、6、または7位において結合され得る。
式Bの化合物について、Gは、水素またはRG1であり、式中、RG1は、アルキル、アルケニル、またはアリールである。代替的に、B(OG)は、一緒になって、5員または6員環式部分を形成する。幾つかの実施形態において、式Bの化合物は、式E、
Figure 2014534264
の構造を有する化合物であり、式中、Gは、HまたはRG1であり、RG1は、アルキル、アルケニル、またはアリールである。代替的に、B(OG)は、一緒になって、5員または6員の環式部分を形成し、RG2は、H、カルバミン酸tert−ブチル、またはアシルである。
スキームB:
Figure 2014534264
スキームBは、反応スキームBにおいて使用するための式B’または任意に式B’’の化合物を合成するための例となるスキームを図示する。Mは、式Bによって説明されるベンゾオキサゾリルまたはベンゾチアゾリル等の複素環部分である。この反応は、式Dの化合物とホウ酸トリアルキルまたはボロン酸誘導体との反応を介して進んで、式B’の化合物をもたらす。ホウ酸トリアルキルには、ホウ酸トリイソプロピルが含まれるが、それらに限定されず、ボロン酸誘導体には、ビス(ピナコラト)ジボロンが含まれるが、それらに限定されない。反応は典型的に、塩基の存在下で実行され、非限定的例が酢酸カリウムである。反応は、ジオキサンまたはテトラヒドロフラン等の溶媒中で実行してもよい。
スキームBにおいて使用するための式Dの化合物は、Tがハロまたは別の脱離基であり、Mが上に定義される通りである、化合物である。式B’の化合物は更に、塩酸等の酸での処理によって、式B’’の化合物に変換されてもよい。
スキームBを介して合成することができる、式Bの幾つかの例となる化合物には、次の式の化合物が含まれるが、それらに限定されない:
Figure 2014534264
所望される場合、ベンゾオキサゾリル部分(すなわち、式CのM)上での置換基の脱保護(例えば、アミノ置換基からのBoc保護の除去)が、式Bの化合物の式Aの化合物へのカップリング後に行われる。
かかる保護基を有する幾つかの例となる化合物には、次の式の化合物が含まれるが、それらに限定されない:
Figure 2014534264
次の反応スキームは、本発明のいくつかの化合物の調製を例示する。

スキームC:5−(7−(3−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−アミンの合成
Figure 2014534264

スキームD:2−アミノ−1−(4−(6−(2−アミノベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)−1,5−ナフチリジン−3−イル)ピペラジン−1−イル)−2−メチルプロパン−1−オンの合成
Figure 2014534264
スキームE:5−(3−モルホリノピリド[2,3−b]ピラジン−6−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−アミンの合成
Figure 2014534264

スキームF:5−(6−モルホリノ−1,5−ナフチリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−アミンの合成
Figure 2014534264
スキームG:本発明の化合物の調製のための例となる合成経路。
Figure 2014534264

スキームH:本発明の化合物の調製のための代替の例となる合成経路。
Figure 2014534264
スキームI:本発明の化合物の調製のための代替の例となる合成経路。
Figure 2014534264
スキームJ:本発明の化合物の調製のための代替の例となる合成経路。
Figure 2014534264
スキームK:本発明の化合物の調製のための代替の例となる合成経路。
Figure 2014534264
スキームL:本発明の化合物の調製のための代替の例となる合成経路。
Figure 2014534264
本発明は、本発明の1つ以上の化合物を含む薬学的組成物を提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、急性骨髄性白血病、胸腺、脳、肺、扁平上皮、皮膚、眼、網膜芽細胞腫、眼内黒色腫、口腔および中咽頭、膀胱、胃(gastric)、胃(stomach)、膵臓、膀胱、***、子宮頚部、頭部、頚部、腎、腎臓、肝臓、卵巣、前立腺、結腸直腸、食道誘発性癌等の癌を含むが、それらに限定されない、過剰増殖性障害等の障害の治療のための薬学的組成物を提供する。幾つかの実施形態において、該薬学的組成物は、皮膚(例えば、乾癬)、再狭窄、または前立腺(例えば、良性前立腺肥大症(BPH))の良性過形成等の非癌性過剰増殖性障害の治療のためのものである。
幾つかの実施形態において、本発明は、哺乳動物における望ましくない、過敏性の、有害もしくは有毒な免疫応答に関連する疾患または病態を治療するための薬学的組成物を提供する。かかる望ましくない免疫応答は、例えば、喘息、気腫、気管支炎、乾癬、アレルギー、アナフィラキシー、自己免疫疾患、関節リウマチ、移植片対宿主病、移植拒絶反応、肺損傷、および紅斑性狼瘡を伴うか、またはそれらをもたらす可能性がある。本発明の薬学的組成物を使用して、肺葉、胸腔、気管支、気管、上気道、または呼吸のための神経および筋肉を侵す疾患を含むが、それらに限定されない他の呼吸器疾患を治療することができる。本発明の組成物を更に使用して、多臓器不全を治療することができる。
本発明はまた、哺乳動物における肝臓疾患(糖尿病を含む)、膵炎もしくは腎臓疾患(増殖性糸球体腎炎および糖尿病誘発性腎疾患を含む)、または疼痛の治療のための組成物も提供する。
本発明はまた、***運動性の治療のための組成物も提供する。本発明は更に、アルツハイマー疾患、ハンチントン疾患、CNS外傷、および脳卒中を含むが、それらに限定されない神経系または神経変性疾患の治療のための組成物を提供する。
本発明は更に、哺乳動物における芽細胞移植の予防のための組成物を提供する。
本発明はまた、腫瘍血管新生、関節リウマチ等の慢性炎症性疾患、炎症性腸疾患、アテローム性動脈硬化症、乾癬等の皮膚疾患、湿疹、および強皮症、糖尿病、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加齢黄斑変性、血管腫、神経膠腫、悪性黒色腫、カポジ肉腫、ならびに卵巣癌、乳癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、結腸癌、および類表皮癌として現れ得る、哺乳動物における血管発生または血管新生に関連する疾患を治療するための組成物にも関する。
本発明は更に、ベルナール−スリエ症候群、グランツマン血小板無力症、スコット症候群、フォンヴィレブランド病、ヘルマンスキー−パドラック症候群、および灰色血小板症候群を含むが、それらに限定されない、血小板凝集または血小板接着を伴う障害の治療のための組成物を提供する。
幾つかの実施形態において、骨格筋萎縮、骨格筋肥大、癌組織における白血球動員、浸潤転移、悪性黒色腫、カポジ肉腫、急性および慢性細菌およびウイルス感染、敗血症、糸球体硬化、糸球体、腎炎、または進行性腎線維症である疾患を治療するための組成物が提供される。
主題の薬学的組成物は、典型的に製剤化されて、活性成分としての治療上有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、もしくは誘導体を提供する。所望される場合、薬学的組成物は、それらの薬学的に許容される塩および/または配位錯体、ならびに1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、不活性固体希釈剤および充填剤を含む担体、滅菌水溶液および種々の有機溶媒を含む希釈剤、浸透促進剤、可溶化剤、およびアジュバントを含有する。
主題の薬学的組成物は、単独でまたは1つ以上の他の薬剤と組み合わせて投与することができ、他の薬剤もまた典型的に薬学的組成物の形態で投与される。所望される場合、主題化合物および他の薬剤(複数可)が調製物中に混合されてもよく、またはそれらを組み合わせて別個にもしくは同時に使用するために、両方の構成成分が別個の調製物に製剤化されてもよい。
幾つかの実施形態において、本発明の薬学的組成物において提供される化合物のうちの1つ以上の濃度は、100%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.09%未満、0.08%未満、0.07%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.04%未満、0.03%未満、0.02%未満、0.01%未満、0.009%未満、0.008%未満、0.007%未満、0.006%未満、0.005%未満、0.004%未満、0.003%未満、0.002%未満、0.001%未満、0.0009%未満、0.0008%未満、0.0007%未満、0.0006%未満、0.0005%未満、0.0004%未満、0.0003%未満、0.0002%未満、または0.0001%未満(w/w、w/v、またはv/v)である。
幾つかの実施形態において、本発明の化合物のうちの1つ以上の濃度は、90%超、80%超、70%超、60%超、50%超、40%超、30%超、20%超、19.75%超、19.50%超、19.25%超、19%超、18.75%超、18.50%超、18.25%超、18%超、17.75%超、17.50%超、17.25%超、17%超、16.75%超、16.50%超、16.25%超、16%超、15.75%超、15.50%超、15.25%超、15%超、14.75%超、14.50%超、14.25%超、14%超、13.75%超、13.50%超、13.25%超、13%超、12.75%超、12.50%超、12.25%超、12%超、11.75%超、11.50%超、11.25%超、11%超、10.75%超、10.50%超、10.25%10%超、9.75%超、9.50%超、9.25%超、9%超、8.75%超、8.50%超、8.25%超、8%超、7.75%超、7.50%超、7.25%超、7%超、6.75%超、6.50%超、6.25%超、6%超、5.75%超、5.50%超、5.25%超、5%超、4.75%超、4.50%超、4.25%超、4%超、3.75%超、3.50%超、3.25%超、3%超、2.75%超、2.50%超、2.25%超、2%超、1.75%超、1.50%超、125%超、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超、0.2%超、0.1%超、0.09%超、0.08%超、0.07%超、0.06%超、0.05%超、0.04%超、0.03%超、0.02%超、0.01%超、0.009%超、0.008%超、0.007%超、0.006%超、0.005%超、0.004%超、0.003%超、0.002%超、0.001%超、0.0009%超、0.0008%超、0.0007%超、0.0006%超、0.0005%超、0.0004%超、0.0003%超、0.0002%超、または0.0001%超(w/w、w/v、またはv/v)である。
幾つかの実施形態において、本発明の化合物のうちの1つ以上の濃度は、およそ0.0001%〜およそ50%、およそ0.001%〜およそ40%、およそ0.01%〜およそ30%、およそ0.02%〜およそ29%、およそ0.03%〜およそ28%、およそ0.04%〜およそ27%、およそ0.05%〜およそ26%、およそ0.06%〜およそ25%、およそ0.07%〜およそ24%、およそ0.08%〜およそ23%、およそ0.09%〜およそ22%、およそ0.1%〜およそ21%、およそ0.2%〜およそ20%、およそ0.3%〜およそ19%、およそ0.4%〜およそ18%、およそ0.5%〜およそ17%、およそ0.6%〜およそ16%、およそ0.7%〜およそ15%、およそ0.8%〜およそ14%、およそ0.9%〜およそ12%、およそ1%〜およそ10%(w/w、w/v、またはv/v.v/v)の範囲にある。
幾つかの実施形態において、本発明の化合物のうちの1つ以上の濃度は、およそ0.001%〜およそ10%、およそ0.01%〜およそ5%、およそ0.02%〜およそ4.5%、およそ0.03%〜およそ4%、およそ0.04%〜およそ3.5%、およそ0.05%〜およそ3%、およそ0.06%〜およそ2.5%、およそ0.07%〜およそ2%、およそ0.08%〜およそ1.5%、およそ0.09%〜およそ1%、およそ0.1%〜およそ0.9%(w/w、w/v、またはv/v)の範囲にある。
幾つかの実施形態において、本発明の化合物のうちの1つ以上の量は、10g以下、9.5g以下、9.0g以下、8.5g以下、8.0g以下、7.5g以下、7.0g以下、6.5g以下、6.0g以下、5.5g以下、5.0g以下、4.5g以下、4.0g以下、3.5g以下、3.0g以下、2.5g以下、2.0g以下、1.5g以下、1.0g以下、0.95g以下、0.9g以下、0.85g以下、0.8g以下、0.75g以下、0.7g以下、0.65g以下、0.6g以下、0.55g以下、0.5g以下、0.45g以下、0.4g以下、0.35g以下、0.3g以下、0.25g以下、0.2g以下、0.15g以下、0.1g以下、0.09g以下、0.08g以下、0.07g以下、0.06g以下、0.05g以下、0.04g以下、0.03g以下、0.02g以下、0.01g以下、0.009g以下、0.008g以下、0.007g以下、0.006g以下、0.005g以下、0.004g以下、0.003g以下、0.002g以下、0.001g以下、0.0009g以下、0.0008g以下、0.0007g以下、0.0006g以下、0.0005g以下、0.0004g以下、0.0003g以下、0.0002g以下、または0.0001g以下である。
幾つかの実施形態において、本発明の化合物のうちの1つ以上の量は、0.0001g超、0.0002g超、0.0003g超、0.0004g超、0.0005g超、0.0006g超、0.0007g超、0.0008g超、0.0009g超、0.001g超、0.0015g超、0.002g超、0.0025g超、0.003g超、0.0035g超、0.004g超、0.0045g超、0.005g超、0.0055g超、0.006g超、0.0065g超、0.007g超、0.0075g超、0.008g超、0.0085g超、0.009g超、0.0095g超、0.01g超、0.015g超、0.02g超、0.025g超、0.03g超、0.035g超、0.04g超、0.045g超、0.05g超、0.055g超、0.06g超、0.065g超、0.07g超、0.075g超、0.08g超、0.085g超、0.09g超、0.095g超、0.1g超、0.15g超、0.2g超、0.25g超、0.3g超、0.35g超、0.4g超、0.45g超、0.5g超、0.55g超、0.6g超、0.65g超、0.7g超、0.75g超、0.8g超、0.85g超、0.9g超、0.95g超、1g超、1.5g超、2g超、2.5超、3g超、3.5超、4g超、4.5g超、5g超、5.5g超、6g超、6.5g超、7g超、7.5g超、8g超、8.5g超、9g超、9.5g超、または10g超である。
幾つかの実施形態において、本発明の化合物のうちの1つ以上の量は、0.0001〜10g、0.0005〜9g、0.001〜8g、0.005〜7g、0.01〜6g、0.05〜5g、0.1〜4g、0.5〜4g、または1〜3gの範囲にある。
本発明による化合物は、幅広い投薬量範囲にわたって有効である。例えば、ヒト成人の治療において、1日当たり0.01〜1000mg、0.5〜100mg、1〜50mg、および1日当たり5〜40mgの投与量が、使用され得る投与量の例である。例となる投与量は、1日当たり10〜30mgである。厳密な投与量は、投与経路、化合物が投与される形態、治療される対象、治療される対象の体重、ならびに主治医の選好および経験に依存するであろう。
本発明の薬学的組成物は、典型的に、活性成分(例えば、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩および/または配位錯体)、ならびに1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、不活性固体希釈剤および充填剤を含むが、それらに限定されない担体、希釈剤、滅菌水溶液および種々の有機溶媒、浸透増強剤、可溶化剤、およびアジュバントを含有する。
非限定的な例となる薬学的組成物およびそれらを調製する方法が下に記載される。
経口投与のための薬学的組成物。 幾つかの実施形態において、本発明は、本発明の化合物、および経口投与に好適な薬学的賦形剤を含有する、経口投与のための薬学的組成物を提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、(i)有効量の本発明の化合物、任意に(ii)有効量の第2の薬剤、および(iii)経口投与に好適な薬学的賦形剤を含有する、経口投与のための固体薬学的組成物を提供する。幾つかの実施形態において、組成物は、(iv)有効量の第3の薬剤を更に含有する。
幾つかの実施形態において、薬学的組成物は、経口摂取に好適な液体薬学的組成物であってもよい。経口投与に好適な本発明の薬学的組成物は、カプセル、カシェット、もしくは錠剤等の個別の剤形、または各々が粉末としてもしくは顆粒中に規定量の活性成分を含有する液体もしくはエアロゾルスプレー、溶液、または水溶液もしくは非水溶液中の懸濁液、水中油乳剤もしくは油中水液乳剤として提示することができる。かかる剤形は、調剤方法のいずれによっても調製することができるが、全ての方法は、活性成分を、1つ以上の必要な成分を構成する担体と混合するステップを含む。一般に、組成物は、活性成分を、液体担体もしくは微粉固体担体、または両方と均一かつ緊密に混和し、次いで、必要な場合、生成物を所望の提示形態に成形することによって調製される。例えば、錠剤は、任意に1つ以上の副成分と共に、圧縮または成型によって調製することができる。圧縮錠剤は、好適な機械中で、粉末または顆粒等の自由流動性形態の活性成分を、任意に結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、および/または界面活性剤もしくは分散剤等であるが、それらに限定されない賦形剤と混合して、圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、好適な機械中で、不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末化化合物の混合物を成形することによって作製することができる。
本発明は、水が一部の化合物の分解を促進する可能性があることから、活性成分を含む無水薬学的組成物および剤形を更に包含する。例えば、水は、薬学技術分野において、製剤の経時的な貯蔵寿命または安定性等の特徴を決定するために長期保管をシミュレートする手段として、添加されてもよい(例えば、5%)。本発明の無水薬学的組成物および剤形は、無水または低水分含有成分および低水分または低湿度条件を使用して調製することができる。乳糖を含有する本発明の薬学的組成物および剤形は、製造、パッケージ化、および/または保管中の水分および/または湿度への相当の接触が予想される場合、無水にすることができる。無水薬学的組成物は、その無水性質が維持されるように調製および保管されてもよい。したがって、無水組成物は、それを好適な製剤キットに含めることができるような、水への曝露を防止することが知られる物質を使用してパッケージ化されてもよい。好適なパッケージ化の例としては、密封ホイル、プラスチック等、単位用量容器、ブリスターパック、およびストリップパックが挙げられるが、それらに限定されない。
活性成分は、従来の薬学調合技法に従って、薬学的担体と緊密に混和して組み合わせることができる。担体は、投与に望ましい調製形態に応じて、多種多様な形態をとることができる。経口剤形のための組成物を調製する際は、経口液体調製物(懸濁液、溶液、およびエリキシル等)またはエアロゾルの場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコール、香料剤、防腐剤、着色剤等の、通常の薬学的媒体のいずれかを担体として用いることができ、あるいは経口固体調製物の場合には、デンプン、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、および崩壊剤等の担体を使用することができ、幾つかの実施形態において、乳糖の使用を用いない。例えば、好適な担体には、固体経口調製物と共に、粉末、カプセル、および錠剤が含まれる。所望される場合、錠剤は、標準的な水性または非水性技法によってコーティングすることができる。
薬学的組成物および剤形において使用するのに好適な結合剤には、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、アカシア等の天然および合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末化トラガント、グアーガム、セルロース、およびその誘導体(例えば、エチルセルロース、セルロース酢酸塩、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微晶質セルロース、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
本明細書に開示される薬学的組成物および剤形において使用するのに好適な充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微晶質セルロース、粉末化セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
本発明の組成物において崩壊剤を使用して、水性環境に曝露されるとき崩壊する錠剤を得てもよい。多すぎる崩壊剤は、瓶中で崩壊し得る錠剤をもたらす場合がある。少なすぎる崩壊剤は、崩壊が生じるのに不十分である場合があり、故に剤形からの活性成分(複数可)の放出の速度および程度を変化させる場合がある。故に、活性成分(複数可)の放出を有害に変化させるほど少なすぎることも多すぎることもない、十分な量の崩壊剤を使用して、本明細書に開示される化合物の剤形が形成され得る。使用される崩壊剤の量は、製剤のタイプおよび投与様式に基づいて変動し得、当業者にとって容易に識別可能であり得る。約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤、または約1〜約5重量パーセントの崩壊剤が、薬学的組成物において使用されてもよい。本発明の薬学的組成物および剤形を形成するために使用され得る崩壊剤には、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、またはそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
本発明の薬学的組成物および剤形を形成するために使用され得る滑沢剤には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、またはそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。更なる滑沢剤には、例えば、シロイド(syloid)シリカゲル、合成シリカの凝固エアロゾル、またはそれらの混合物が含まれる。薬学的組成物の約1重量パーセント未満の量の滑沢剤を任意に添加することができる。
経口投与のために水性懸濁液および/またはエリキシルが所望されるとき、本明細書の必須の活性成分は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、およびそれらの種々の組み合わせ等の希釈剤と一緒に、種々の甘味剤もしくは香料剤、着色物質もしくは染料、またそれが所望される場合、乳化剤および/もしくは懸濁化剤と組み合わされてもよい。
錠剤は、コーティングされていないか、または既知の技法によってコーティングされて、消化管における崩壊および吸収を遅延させ、それによってより長期にわたる持続作用を提供することができる。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリル等の時間遅延物質を用いることができる。経口使用のための製剤はまた、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、もしくはカオリンと混合される、硬質ゼラチンカプセルとして、または活性成分が水もしくは油性媒体、例えば、ピーナッツ油、液体パラフィン、もしくはオリーブ油と混合される、軟質ゼラチンカプセル剤として、提示することもできる。
本発明の薬学的組成物および剤形を形成するために使用され得る界面活性剤には、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。つまり、親水性界面活性剤の混合物が用いられてもよく、親油性界面活性剤の混合物が用いられてもよく、または少なくとも1つの親水性界面活性剤および少なくとも1つの親油性界面活性剤の混合物が用いられてもよい。
好適な親水性界面活性剤は、一般に、少なくとも10のHLB値を有し得るが、好適な親油性界面活性剤は、一般に、約10以下のHLB値を有し得る。非イオン性両親媒性化合物の相対的親水性および疎水性を特徴付けるために使用される実験的パラメータは、親水性−親油性平衡(「HLB」値)である。より低いHLB値を有する界面活性剤は、より親油性または疎水性であり、油中での溶解度がより高いが、より高いHLB値を有する界面活性剤は、より親水性であり、水溶液中での溶解度がより高い。親水性界面活性剤は、一般に、約10を超えるHLB値を有する化合物、ならびにHLB尺度が一般に適用できない陰イオン性、陽イオン性、または双性化合物であると見なされる。同様に、親油性(すなわち、疎水性)界面活性剤は、約10以下のHLB値を有する化合物である。しかしながら、界面活性剤のHLB値は、工業的、薬学的および、化粧用乳剤の製剤化を可能にするために一般に使用される大まかな指針であるにすぎない。
親水性界面活性剤は、イオン性または非イオン性のいずれであってもよい。好適なイオン性界面活性剤には、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチド、およびポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド、およびポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチンおよび水素化レシチン;リゾレシチンおよび水素化リゾレシチン;リン脂質およびその誘導体;リゾリン脂質およびその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;硫酸アルキルの塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム;アシルアクチレート(acylactylate);モノおよびジグリセリドのモノおよびジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノおよびジグリセリド;モノおよびジグリセリドのクエン酸エステル;ならびにそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
前述の群のうちで、イオン性界面活性剤には、例として、レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質およびその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;硫酸アルキルの塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム;アシルアクチレート;モノおよびジグリセリドのモノおよびジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノおよびジグリセリド;モノおよびジグリセリドのクエン酸エステル;ならびにそれらの混合物が含まれる。
イオン性界面活性剤は、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG−ホスファチジルエタノールアミン、PVP−ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチル酸(lactylic)エステル、ステアロイル−2−ラクチレート、ステアロイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン(cholylsarcosine)、カプロン酸塩、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリル硫酸塩、テラセシル(teracecyl)硫酸塩、ドキュセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、ならびにそれらの塩および混合物のイオン化形態であってよい。
親水性非イオン性界面活性剤には、アルキルグルコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴールグリセリド;ポリエチレングリコールアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリエチレングリコールアルキルフェノール等のポリオキシアルキレンアルキルフェノール;ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステルおよびポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル等のポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸、およびステロールからなる群の少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換生成物;ポリオキシエチレンステロール、その誘導体および類似体;ポリオキシエチル化ビタミンおよびその誘導体;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;およびそれらの混合物;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ならびにポリオールと、トリグリセリド、植物油、および水素化植物油からなる群の少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換生成物が含まれてもよいが、それらに限定されない。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリトリトール、またはサッカリドであってもよい。
他の親水性非イオン性界面活性剤には、限定なしに、ラウリン酸PEG−10、ラウリン酸PEG−12、ラウリン酸PEG−20、ラウリン酸PEG−32、ジラウリン酸PEG−32、オレイン酸PEG−12、オレイン酸PEG−15、オレイン酸PEG−20、ジオレイン酸PEG−20、オレイン酸PEG−32、オレイン酸PEG−200、オレイン酸PEG−400、ステアリン酸PEG−15、ジステアリン酸PEG−32、ステアリン酸PEG−40、ステアリン酸PEG−100、ジラウリン酸PEG−20、トリオレイン酸PEG−25グリセリル、ジオレイン酸PEG−32、ラウリン酸PEG−20グリセリル、ラウリン酸PEG−30グリセリル、ステアリン酸PEG−20グリセリル、オレイン酸PEG−20グリセリル、オレイン酸PEG−30グリセリル、ラウリン酸PEG−30グリセリル、ラウリン酸PEG−40グリセリル、PEG−40パーム核油、PEG−50水素化ヒマシ油、PEG−40ヒマシ油、PEG−35ヒマシ油、PEG−60ヒマシ油、PEG−40水素化ヒマシ油、PEG−60水素化ヒマシ油、PEG−60トウモロコシ油、カプリン酸/カプリル酸PEG−6グリセリド、カプリン酸/カプリル酸PEG−8グリセリド、ポリグリセリル−10ラウリン酸、PEG−30コレステロール、PEG−25植物ステロール、PEG−30大豆ステロール、トリオレイン酸PEG−20、オレイン酸PEG−40ソルビタン、ラウリル酸PEG−80ソルビタン、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE−9ラウリルエーテル、POE−23ラウリルエーテル、POE−10オレイルエーテル、POE−20オレイルエーテル、POE−20ステアリールエーテル、コハク酸トコフェリルPEG−100、PEG−24コレステロール、オレイン酸ポリグリセリル−10、Tween 40、Tween 60、モノステアリン酸スクロース、モノラウリル酸スクロース、モノパルミチン酸スクロース、PEG10−100ノニルフェノールシリーズ、PEG15−100オクチルフェノールシリーズ、およびポロキサマーが含まれる。
好適な親油性界面活性剤には、例にすぎないが、脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロールおよびステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロールおよびステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノおよびジグリセリドの乳酸誘導体;ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸、およびステロールからなる群の少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換生成物;油溶性ビタミン/ビタミン誘導体;ならびにそれらの混合物が含まれる。この群の中で、好ましい親油性界面活性剤には、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、およびそれらの混合物が含まれるか、またはそれはポリオールと、植物油、水素化植物油、およびトリグリセリドからなる群の少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換生成物である。
一実施形態において、組成物は、本発明の化合物の良好な可溶性および/または溶解性を確実にして、本発明の化合物の沈殿を最小限するための可溶化剤を含んでもよい。これは特に、非経口使用のための組成物、例えば、注射用組成物にとって重要であり得る。可溶化剤はまた、親水性薬物および/もしくは界面活性剤等の他の構成成分の可溶性を増加させるため、または組成物を安定なもしくは均質な溶液または分散液として維持するために添加されてもよい。
好適な可溶化剤の例としては、次のものが挙げられるが、それらに限定されない:アルコールおよびポリオール、例えばエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、およびそれらの異性体等、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール(transcutol)、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および他のセルロース誘導体、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体;テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)またはメトキシPEG等の約200〜約6000の平均分子量を有するポリエチレングリコールのエーテル;アミドならびに2−ピロリドン、2−ピペリドン、イプシロン−カプロラクタム、N−アルキルピロリドン、N−ヒドロキシアルキルピロリドン、N−アルキルピペリドン、N−アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド、およびポリビニルピロリドン等の他の窒素含有化合物;プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、酪酸エチル、トリアセチン、一酢酸プロピレングリコール、二酢酸プロピレングリコール、ε−カプロラクトンおよびその異性体、δ−バレロラクトンおよびその異性体、β−ブチロラクトンおよびその異性体等のエステル;ならびにジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N−メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、および水等の当該技術分野で既知の他の可溶化剤。
可溶化剤の混合物がまた使用されてもよい。例としては、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200−100、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、およびジメチルイソソルビドが挙げられるが、それらに限定されない。特に好ましい可溶化剤には、ソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG−400、グリコフロール、およびプロピレングリコールが含まれる。
含まれ得る可溶化剤の量は、特に限定されない。所与の可溶化剤の量は、生物学的に許容される量に限定され得、それは当業者によって容易に決定され得る。幾つかの状況では、はるかに過剰の生物学的に許容される量の可溶化剤を含めて、例えば、薬物の濃度を最大限にし、組成物を患者に提供する前に、蒸留または蒸発等の従来の技法を使用して過剰の可溶化剤を除去することが有利であり得る。故に、存在する場合、可溶化剤は、薬物および他の賦形剤を組み合わせた重量に基づき、10重量%、25重量%、50重量%、100重量%、または最大約200重量%の重量比であり得る。所望される場合、5%、2%、1%、または更にそれ未満等の非常に少量の可溶化剤もまた使用され得る。典型的に、可溶化剤は、約1%〜約100%の量で、より典型的には約5重量%〜約25重量%で存在し得る。
組成物は、1つ以上の薬学的に許容される添加剤および賦形剤を更に含むことができる。かかる添加剤および賦形剤には、限定なしに、脱粘着剤(detackifier)、消泡剤、緩衝剤、ポリマー、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、粘度調節剤、等張化剤(tonicifier)、香味剤、着色剤、着臭剤、乳白剤、懸濁化剤、結合剤、充填剤、可塑剤、滑沢剤、およびそれらの混合物が含まれる。
加えて、酸または塩基が、プロセスを促進するため、安定性を増大させるため、または他の理由で、組成物に組み込まれてもよい。薬学的に許容される塩基の例としては、アミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロカルサイト(hydrocalcite)、水酸化マグネシウムアルミニウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)等が挙げられる。また、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノスルホン(hydroquinosulfonic)酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸、パラ−ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸等の薬学的に許容される酸の塩である塩基も好適である。リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、およびリン酸二水素ナトリウム等の多塩基酸の塩を使用することもできる。塩基が塩である場合、陽イオンは、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の任意の好都合な薬学的に許容される陽イオンであり得る。例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、およびアンモニウムが挙げられてもよいが、それらに限定されない。
好適な酸は、薬学的に許容される有機または無機酸である。好適な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸等が挙げられる。好適な有機酸の例としては、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ−ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸等が挙げられる。
注射用薬学的組成物。幾つかの実施形態において、本発明は、本発明の化合物および注射に好適な薬学的賦形剤を含有する、注射用薬学的組成物を提供する。組成物中の薬剤の構成成分および量は、本明細書に記載される通りである。
本発明の新規の組成物が、注射による投与のために組み込まれ得る形態は、ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油、もしくはピーナッツ油、ならびにエリキシル剤、マンニトール、デキストロース、または滅菌水溶液、および同様の薬学的ビヒクルを用いる、水性もしくは油性懸濁液または乳剤が含まれる。
食塩水中水溶液もまた、注射に慣習的に使用される。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等(およびそれらの好適な混合物)、シクロデキストリン誘導体、および植物油がまた用いられてもよい。適切な流動性は、例えば、分散剤の場合には必要とされる粒径の維持のために、レシチン等のコーティングの使用によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によってもたらすことができる。
滅菌注射液は、必要に応じて、必要とされる量の本発明の化合物を、上に列挙された種々の他の成分と共に適切な溶媒に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製される。一般に、分散剤は、種々の滅菌活性成分を、塩基性分散溶媒および上に列挙されたものからの必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクル中に組み込むことによって調製される。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、ある特定の望ましい調製方法は、活性成分に加えて、事前に滅菌濾過されたその溶液からの任意の追加的な所望の成分の粉末をもたらす、真空乾燥および凍結乾燥技法である。
局所(例えば、経皮)送達のための薬学的組成物。幾つかの実施形態において、本発明(inventio)は、本発明の化合物および経皮送達に好適な薬学的賦形剤を含有する、経皮送達のための薬学的組成物を提供する。
本発明の組成物は、ゲル、水溶性ゼリー、クリーム、ローション、懸濁液、発泡体、粉末、スラリー、軟膏、溶液、油、ペースト、坐剤、スプレー、乳剤、食塩水溶液、ジメチルスルホキシド(DMSO)系溶液等の、局所(local)または局所(topical)投与に好適な固体、半固体、または液体形態の調製物へと製剤化することができる。一般に、高密度の担体は、領域を活性成分に長時間曝露することができる。対照的に、溶液製剤は、活性成分を選定領域により即時的に曝露し得る。
薬学的組成物はまた、好適な固体またはゲル相担体または賦形剤を含んでもよく、それは皮膚の角質層透過性障壁を通る治療分子の増加した浸透を可能にするか、またはその送達を補助する化合物である。局所製剤技術分野の専門家に既知のこれらの浸透増大分子の多くが存在する。かかる担体および賦形剤の例としては、湿潤剤(例えば、尿素)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、アルコール(例えば、エタノール)、脂肪酸(例えば、オレイン酸)、界面活性剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピルおよびラウリル硫酸ナトリウム)、ピロリドン、モノラウリン酸グリセロール、スルホキシド、テルペン(例えば、メンソール)、アミン、アミド、アルカン、アルカノール、水、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコール等のポリマーが挙げられる。
本発明の方法において使用するための別の例となる製剤は、経皮送達デバイス(「パッチ」)を用いる。かかる経皮パッチを使用して、別の薬剤と共にまたはそれを伴わずに、制御された量の本発明の化合物の連続的または非連続的注入を提供し得る。
医薬品の送達のための経皮パッチの構成および使用は、当該技術分野で周知である。例えば、米国特許第5,023,252号、第4,992,445号、および第5,001,139号を参照されたい。かかるパッチは、医薬品の連続的送達、パルス型送達、または要求に応じた送達用に構成されてもよい。
吸入用薬学的組成物。吸入またはガス注入のための組成物には、薬学的に許容される水性もしくは有機溶媒またはそれらの混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末が含まれる。液体または固体組成物は、上述の好適な薬学的に許容される賦形剤を含有してもよい。好ましくは、組成物は、局所または全身効果のために、経口または経鼻呼吸経路によって投与される。好ましくは薬学的に許容される溶媒中の、組成物は、不活性ガスの使用によって噴霧されてもよい。噴霧される溶液は、噴霧デバイスから直接吸入されてもよく、または噴霧デバイスは、顔用マスクのテントまたは間欠的陽圧呼吸機器に取付けられてもよい。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、好ましくは経口または経鼻的に、製剤を適切な様態で送達するデバイスから投与されてもよい。
他の薬学的組成物。薬学的組成物はまた、本明細書に記載される組成物、および舌下、頬側、直腸、骨内、眼内、鼻腔内、硬膜外、または髄腔内投与に好適な1つ以上の薬学的に許容される賦形剤から調製されてもよい。かかる薬学的組成物のための調製は、当該技術分野で周知である。例えば、例えば、Anderson,Philip O.;Knoben,James E.;Troutman,William G,eds.,Handbook of Clinical Drug Data,Tenth Edition,McGraw−Hill,2002、Pratt and Taylor,eds.,Principles of Drug Action,Third Edition,Churchill Livingston,New York,1990、Katzung,ed.,Basic and Clinical Pharmacology,Ninth Edition,McGraw Hill,20037ybg、Goodman and Gilman,eds.,The Pharmacological Basis of Therapeutics,Tenth Edition,McGraw Hill,2001、Remingtons Pharmaceutical Sciences,20th Ed.,Lippincott Williams&Wilkins.,2000、Martindale,The Extra Pharmacopoeia,Thirty−Second Edition(The Pharmaceutical Press,London,1999)を参照されたく、それらの全ては参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本発明の化合物または薬学的組成物の投与は、化合物の作用部位への送達を可能にする任意の方法によって達成することができる。これらの方法には、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、血管内、腹腔内、または注入を含む)、局所(例えば、経皮適用)、直腸投与、カテーテルもしくはステントによる局所送達を介した、または吸入を通じるものが含まれる。化合物はまた、脂肪内または髄腔内に投与することもできる。
投与される化合物の量は、治療されている哺乳動物、障害または病態の重症度、投与速度、化合物の動態、および処方医師の裁量に依存するであろう。しかしながら、有効な投薬は、単回または分割用量で、1日につき体重1kg当たり約0.001〜約100mg、好ましくは約1〜約35mg/kg/日の範囲にある。70kgのヒトに対しては、この量は、約0.05〜7g/日、好ましくは約0.05〜約2.5g/日になろう。幾つかの事例では、前述の範囲の下限を下回る投薬量レベルで十分であり得るが、他の実例では、更なる多用量が、例えば1日を通して投与するためにかかる多用量を複数の少用量に分割することによって、いかなる有害な副作用も引き起こすことなく用いられ得る。
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、単回用量で投与される。典型的に、かかる投与は、薬剤を迅速に導入するために注射によって、例えば、静脈内注射によって行われるであろう。しかしながら、他の経路が適宜使用されてもよい。本発明の化合物の単回用量はまた、急性病態の治療のために使用されてもよい。
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、複数回用量で投与される。投薬は、1日当たり約1回、2回、3回、4回、5回、6回、または6回より多くてもよい。投薬は、1カ月1回、2週間に1回、週1回、または1日おきに1回であってもよい。別の実施形態において、本発明の化合物および別の薬剤は、1日当たり約1回〜1日当たり約6回、一緒に投与される。別の実施形態において、本発明の化合物および薬剤の投与は、約7日未満継続する。なおも別の実施形態において、投与は、約6日を超えて、10日を超えて、14日を超えて、28日を超えて、2カ月を超えて、6カ月を超えて、または1年を超えて継続する。幾つかの実例では、連続投薬は、必要な限り達成および維持される。
本発明の薬剤の投与は、必要な限り継続されてもよい。幾つかの実施形態において、本発明の薬剤は、1日を超えて、2日を超えて、3日を超えて、4日を超えて、5日を超えて、6日を超えて、7日を超えて、14日を超えて、または28日を超えて投与される。幾つかの実施形態において、本発明の薬剤は、28日未満、14日未満、7日未満、6日未満、5日未満、4日未満、3日未満、2日未満、または1日未満にわたって投与される。幾つかの実施形態において、本発明の薬剤は、例えば、慢性効果のある治療のために、継続的に慢性的に投与される。
有効量の本発明の化合物は、単回または複数回のいずれかの用量で、直腸、頬側、鼻腔内、および経皮経路を含む、同様の実用性を有する薬剤の許容される投与様式のいずれかによって、動脈内注射によって、静脈内に、腹腔内に、非経口で、筋肉内に、皮下に、経口で、局所的に、または吸入剤として投与されてもよい。
本発明の組成物はまた、例えば、ステント等の浸漬もしくはコーティングされたデバイス、あるいは動脈挿入型円筒ポリマーを介して、投与されてもよい。かかる投与方法は、例えば、バルーン血管形成術等の術後の再狭窄の予防または寛解を補助し得る。理論に拘束されるものではないが、本発明の化合物は、再狭窄に寄与する動脈壁内の平滑筋細胞の遊走および増殖を遅延させるかまたは阻害し得る。本発明の化合物は、例えばステントの支柱(strut)から、ステントグラフトから、グラフトから、またはステントのカバーもしくは外筒からの局所送達によって投与されてもよい。幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、マトリックスと混和される。かかるマトリックスは、ポリマーマトリックスであってもよく、化合物をステントに結合させる役目を果たしてもよい。かかる使用に好適なポリマーマトリックスには、例えば、ポリラクチド、ポリカプロラクトングリコリド、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリアミノ酸、多糖類、ポリホスファゼン、ポリ(エーテル−エステル)コポリマー(例えば、PEO−PLLA)等のラクトン系ポリエステルまたはコポリエステル;ポリジメチルシロキサン、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)、アクリレート系ポリマーまたはコポリマー(例えば、ポリヒドロキシエチルメチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン)、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化ポリマー、およびセルロースエステルが含まれる。好適なマトリックスは、非分解性であってもよく、または経時的に分解して、化合物(単数または複数)を放出してもよい。本発明の化合物は、浸漬/スピンコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、および/または刷毛塗り等の種々の方法によって、ステントの表面に適用されてもよい。化合物は、溶媒中に適用されてもよく、その溶媒を蒸発させることによって、化合物の層をステント上に形成してもよい。代替的に、化合物は、ステントまたはグラフトの本体内に、例えば、マイクロチャネルまたは細孔内に位置してもよい。埋め込まれるとき、化合物は、ステントの本体から拡散して動脈壁に接触する。かかるステントは、かかる細孔またはマイクロチャネルを含有するように製造されたステントを、好適な溶媒中の本発明の化合物の溶液に浸漬し、続いて溶媒を蒸発させることによって調製されてもよい。ステントの表面上の過剰の薬物は、追加の簡便な溶媒洗浄を介して除去されてもよい。なおも他の実施形態において、本発明の化合物は、ステントまたはグラフトに共有結合されてもよい。体内で分解し、本発明の化合物の放出をもたらす、共有結合のリンカーが使用されてもよい。かかる目的のために、エステル、アミド、または無水結合等の、任意の生体不安定性(bio−labile)結合が使用されてもよい。本発明の化合物は追加的に、血管形成術中に使用されるバルーンから経脈管的に投与されてもよい。本発明の製剤の心膜または外膜(advential)適用を介する化合物の血管外投与もまた、再狭窄を減少させるために行われてもよい。
記載されるように使用され得る多様なステントデバイスが、例えば、次の参考文献に開示され、それらの全ては参照により本明細書に組み込まれる:米国特許第5451233号、米国特許第5040548号、米国特許第5061273号、米国特許第5496346号、米国特許第5292331号、米国特許第5674278号、米国特許第3657744号、米国特許第4739762号、米国特許第5195984号、米国特許第5292331号、米国特許第5674278号、米国特許第5879382号、米国特許第6344053号。
本発明の化合物は、複数投薬量で投与されてもよい。化合物の薬物動態の対象者間変動に起因して、最適な治療のために投薬レジメンの個別化が必要であることは、当該技術分野で既知である。本発明の化合物のための投薬量は、本開示に照らして通例の実験によって見出され得る。
本発明の化合物が、1つ以上の薬剤を含む組成物として投与され、その薬剤が、本発明の化合物よりも短い半減期を有する場合、その薬剤および本発明の化合物の単位剤形は、それに応じて調節されてもよい。
主題の薬学的組成物は、例えば、錠剤、カプセル、丸薬、粉末、徐放製剤、溶液、懸濁液として経口投与に好適な、滅菌溶液、懸濁液、もしくは乳剤として非経口注射に好適な、軟膏もしくはクリームとして局所投与に好適な、または坐剤として直腸投与に好適な形態であってもよい。薬学的組成物は、正確な投薬量の単回投与に好適な単位剤形であってよい。薬学的組成物は、従来の薬学的担体または賦形剤および活性成分としての本発明による化合物を含むであろう。加えて、それは、他の薬用品または医薬品、担体、アジュバント等を含んでもよい。
例となる非経口投与形態には、滅菌水溶液、例えば、プロピレングリコールまたはデキストロース水溶液中の、活性化合物の溶液または懸濁液が含まれる。かかる剤形は、所望される場合、好適に緩衝することができる。
本発明はまた、キットも提供する。キットは、好適なパッケージ中の本明細書に記載される本発明の化合物(単数または複数)、および使用のための説明書、臨床研究の考察、副作用の一覧等を含み得る書面の資料を含む。かかるキットはまた、科学的参考文献、パッケージ添付文書類、臨床試験の結果、および/またはこれらの要約等の情報を含んでもよく、それらは、組成物の活性および/もしくは利点を示すかもしくは確立し、かつ/または投薬、投与、副作用、薬物相互作用、もしくは医療供給者にとって有用な他の情報を記載する。かかる情報は、種々の研究、例えば、体内モデルが関与する実験動物を使用する研究、およびヒト臨床治験に基づく研究の結果に基づいてもよい。キットは、別の薬剤を更に含有してもよい。幾つかの実施形態では、本発明の化合物および薬剤は、キット内の別個の容器中の別個の組成物として提供される。幾つかの実施形態では、本発明の化合物および薬剤は、キット内の1つの容器中の単一組成物として提供される。好適なパッケージおよび使用のための追加品(例えば、液体調製物のための計量カップ、空気への曝露を最小限にするためのホイルラッピング等)は、当該技術分野で知られており、キットに含まれてもよい。本明細書に記載されるキットは、医師、看護師、薬剤師、薬局等を含む医療供給者に、提供、市販、および/または販促することができる。キットはまた、幾つかの実施形態では、消費者に直接販売されてもよい。
本発明はまた、1つ以上のタイプのPI3キナーゼ(特にPI3キナーゼα)、および/またはmTORの機能低下に関連する疾患を含むが、それらに限定されない病態を治療するために、本発明の化合物または薬学的組成物を使用する方法も提供する。p110δキナーゼ活性によって媒介される病態および障害の詳説は、Saduら、国際公開第01/81346号に説明され、これらは参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。
本発明はまた、哺乳動物に、治療上有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、もしくは誘導体を投与することを含む、該哺乳動物における過剰増殖性障害を治療する方法に関する。幾つかの実施形態において、該方法は、白血病、胸腺、脳、肺、扁平上皮、皮膚、眼、網膜芽細胞腫、眼内黒色腫、口腔および中咽頭、膀胱、胃(gastric)、胃(stomach)、膵臓、膀胱、***、子宮頚部、頭部、頚部、腎、腎臓、肝臓、卵巣、前立腺、結腸直腸、食道、精巣、婦人科、甲状腺、CNS、PNS、AIDS関連(例えば、リンパ腫およびカポジ肉腫)、またはウイルス誘発性癌等の癌の治療に関する。いくつかの実施形態においては、癌は、脳神経膠腫、膠芽腫、白血病、バナヤン−ゾナナ症候群、カウデン病、レルミット−デュクロ病、乳癌、炎症性乳癌、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、上衣腫、髄芽腫、肉腫、骨肉腫、または骨もしくは甲状腺の巨大細胞腫瘍である。他の実施形態において、本発明の化合物は、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、多発性骨髄腫、マントル細胞白血病、巨核芽球白血病、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、または赤白血病を治療するために使用される。さらに他の実施形態において、本発明は、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、または濾胞性リンパ腫の治療のための化合物を提供する。他の実施形態において、本発明は、神経芽腫、膀胱癌、尿路上皮癌、外陰部癌、子宮内膜癌、中皮腫、唾液腺癌、肝細胞癌、鼻咽頭癌、口腔癌、および消化管間質腫瘍である癌の治療に関する。
幾つかの実施形態において、該方法は、皮膚(例えば、乾癬)、再狭窄、または前立腺(例えば、良性前立腺肥大症(BPH))の良性過形成等の非癌性過剰増殖性障害の治療に関する。
本明細書に提供される治療方法は、対象に、治療上有効量の本発明の化合物を投与することを含む。一実施形態において、本発明は、哺乳動物における自己免疫疾患を含む炎症障害を治療する方法を提供する。本方法は、該哺乳動物に、治療上有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、もしくは誘導体を投与することを含む。自己免疫疾患の例としては、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群(APS)、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、クローン病、糖尿病(1型)、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン−バレー症候群(GBS)、橋本疾患、紅斑性狼瘡、多発性硬化症、重症筋無力症、オプソクローヌスミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、オード甲状腺炎、天疱瘡、多発性関節炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、関節リウマチ、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎(「巨大細胞動脈炎」としても知られる)、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、全身性脱毛、シャーガス病、慢性疲労症候群、自律神経障害、子宮内膜症、化膿性汗腺炎、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性大腸炎、白斑、および外陰部痛が挙げられるが、それらに限定されない。他の障害には、骨吸収障害、血栓症、肺炎症、脳感染症/炎症、髄膜炎、および脳炎が含まれる。
一態様において、主題方法の1つ以上が、関節の腫脹の低減、血清抗コラーゲンレベルの低減、ならびに/または骨吸収、軟骨損傷、パンヌス、および/もしくは炎症等の関節の病理の低減を含むが、それらに限定されない、関節リウマチに関連する症状を寛解させるのに有効である。別の態様において、主題方法は、足首の炎症を少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、60%、または約75%〜90%低減するのに有効である。別の態様において、主題方法は、膝の炎症を少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、60%、または約75%〜90%以上低減するのに有効である。更に別の態様において、主題方法は、血清抗II型コラーゲンレベルを少なくとも約10%、12%、15%、20%、24%、25%、30%、35%、50%、60%、約75%、80%、86%、87%、または約90%以上低減するのに有効である。別の態様において、主題方法は、足首の組織病理スコアを約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、またはそれを超えて低減するのに有効である。さらに別の態様において、主題方法は、膝の組織病理スコアを約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、またはそれを超えて低減するのに有効である。
他の実施形態において、本発明は、肺葉、胸腔、気管支、気管、上気道、または呼吸のための神経および筋肉を侵す疾患を含むが、それらに限定されない呼吸器疾患を治療するために、化合物または薬学的組成物を使用する方法を提供する。例えば、閉塞性肺疾患を治療するための方法が提供される。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、気道閉塞または気流制限を特徴とする気道疾患の群に対する包括的用語である。この包括的用語に含まれる病態は、慢性気管支炎、気腫、および気管支拡張症である。
別の実施形態において、本明細書に記載される化合物は、喘息の治療に使用される。また、本明細書に記載の化合物または薬学的組成物は、内毒血症および敗血症の治療に使用されてもよい。一実施形態において、本明細書に記載の化合物または薬学的組成物は、関節リウマチ(RA)の治療に使用される。なおも別の実施形態において、本明細書に記載の化合物または薬学的組成物は、接触性またはアトピー性皮膚炎の治療に使用される。接触性皮膚炎には、刺激性皮膚炎、光毒性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、光アレルギー性皮膚炎、接触じん麻疹、全身性接触性皮膚炎等が含まれる。刺激性皮膚炎は、ある特定の物質に敏感になっている皮膚の上に、過度に多量の物質が使用される場合に生じ得る。時に湿疹と呼ばれるアトピー性皮膚炎は、皮膚炎の一種であるアトピー性皮膚疾患である。
他の実施形態において、本明細書に記載される化合物は、アテローム性動脈硬化症、心肥大、心筋細胞機能障害、高血圧、および血管収縮を含む心臓病の治療のために使用される。本発明はまた、哺乳動物に、治療上有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、もしくは誘導体を投与することを含む、該哺乳動物における血管発生または血管新生に関連する疾患を治療する方法に関する。幾つかの実施形態において、該方法は、腫瘍血管新生、関節リウマチ等の慢性炎症性疾患、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患、乾癬、湿疹、および強皮症等の皮膚疾患、糖尿病、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加齢黄斑変性、血管腫、神経膠腫、悪性黒色腫、カポジ肉腫、ならびに卵巣、乳、肺、膵臓、前立腺、結腸、および類表皮癌からなる群から選択される疾患を治療するためのものである。
本発明の方法により、本発明の化合物、または該化合物の薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、もしくは誘導体により治療され得る患者には、例えば、乾癬;再狭窄;アテローム性動脈硬化症;BPH;乳腺の管組織の腺管癌、髄様癌、膠様癌、管状癌、および炎症性乳癌等の乳癌;卵巣の腺癌および卵巣から腹腔に転移した腺癌等の上皮卵巣腫瘍を含む卵巣癌;子宮癌;扁平上皮細胞癌および腺癌を含む頸部上皮における線癌等の子宮頸癌;次のものから選択される前立腺癌等の前立腺癌:腺癌または骨に転移した腺癌(adenocarinoma);膵臓管組織の類上皮(epitheliod)癌および膵臓管の腺癌等の膵臓癌;膀胱の移行上皮癌、尿路上皮癌(移行上皮癌)、膀胱の内側を覆う尿路上皮細胞の腫瘍、扁平上皮細胞癌、腺癌、および小細胞癌等の膀胱癌;急性骨髄性白血病(myeloid leukemia)(AML)、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、脊髄形成異常症、骨髄増殖性疾患、急性骨髄性白血病(myelogenous leukemia)(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、肥満細胞症、慢性リンパ性白血病(CLL)、多発性骨髄腫(MM)、および骨髄異形成症候群(MDS)等の白血病;骨癌;扁平上皮細胞癌、腺癌、および未分化大細胞癌に分割される非小細胞肺癌(NSCLC)ならびに小細胞肺癌等の肺癌;基底細胞癌、黒色腫、扁平上皮細胞癌、および時に扁平上皮細胞癌に進展する皮膚病態である日光角化症等の皮膚癌;目網膜芽細胞腫;皮膚または眼内(目)黒色腫;原発性肝癌癌(肝臓で始まる癌);腎臓癌;乳頭状、濾胞性、髄質性、および未分化等の甲状腺癌;びまん性大型B細胞リンパ腫、B細胞免疫芽細胞リンパ腫、および小型非切れ込み核細胞性リンパ腫等のAIDS関連リンパ腫;カポジ肉腫;B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、および幹細胞癌を含むウイルス誘発性癌;ヒトリンパ球好性ウイルス1型(HTLV−1)および成人T細胞白血病/リンパ腫;ならびにヒトパピローマウイルス(HPV)および子宮頸癌;神経膠腫(星状細胞腫、未分化星状細胞腫、または多形神経膠芽腫)、乏突起神経膠腫、上衣腫、髄膜腫、リンパ腫、シュワン腫、および髄芽腫を含む、原発性脳腫瘍等の中枢神経系癌(CNS);聴神経腫瘍ならびに神経線維腫およびシュワン腫を含む悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、悪性線維性組織球腫(fibrous cytoma)、悪性線維性組織球腫(fibrous histiocytoma)、悪性髄膜腫、悪性中皮腫、ならびに悪性ミューラー管混合腫瘍等の末梢神経系(PNS)癌;下咽頭癌、喉頭癌、上咽頭癌および口腔咽頭癌等の口腔および口腔咽頭癌;リンパ腫、胃の間質腫瘍、およびカルチノイド腫瘍等の胃癌;精上皮腫および非精上皮腫を含む胚細胞性腫瘍(GCT)、ならびにライディッヒ細胞腫およびセルトリ細胞腫を含む性腺間質腫瘍等の、精巣癌;胸腺腫、胸腺癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫カルチノイド、またはカルチノイド腫瘍等の胸腺癌;直腸癌;ならびに結腸癌を有すると診断された患者が含まれる。
本発明はまた、哺乳動物に、治療上有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、もしくは誘導体を投与することを含む、該哺乳動物における糖尿病を治療する方法に関する。
加えて、本明細書に記載される化合物は、座瘡を治療するために使用されてもよい。
加えて、本明細書に記載される化合物は、アテローム性動脈硬化症を含む動脈硬化症の治療のために使用されてもよい。動脈硬化症は、中動脈または大動脈の任意の硬化を説明する一般的用語である。アテローム性動脈硬化症は、特に粥状斑に起因する動脈の硬化である。
更に、本明細書に記載される化合物は、糸球体腎炎の治療のために使用されてもよい。糸球体腎炎は、糸球体の炎症を特徴とする、原発性または続発性自己免疫腎疾患である。それは無症候性の場合も、または血尿症および/もしくはタンパク尿症を呈する場合もある。多くの認識されている型があり、急性、亜急性、または慢性糸球体腎炎に分割される。原因は、感染性(細菌、ウイルス、または寄生性病原体)、自己免疫性、または腫瘍随伴性である。
更に、本明細書に記載される化合物は、滑液包炎、狼瘡、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群(APS)、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、クローン病、糖尿病(1型)、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン−バレー症候群(GBS)、橋本病、炎症性腸疾患、紅斑性狼瘡、重症筋無力症、オプソクローヌスミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、オード甲状腺炎、変形性関節症(ostheoarthritis)、網膜ブドウ膜炎、天疱瘡、多発性関節炎、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、全身性脱毛、シャーガス病、慢性疲労症候群、自律神経障害、子宮内膜症、化膿性汗腺炎、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性大腸炎、白斑、外陰部痛、虫垂炎、動脈炎、関節炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、子宮頚管炎、胆管炎、胆嚢炎、絨毛羊膜炎、大腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚筋炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、全腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合織炎、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、肝炎、汗腺炎、回腸炎、虹彩炎、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎、心筋炎、筋炎、腎炎、臍炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、間質性肺炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、ブドウ膜炎、腟炎、血管炎、または外陰炎の治療のために使用されてもよい。
本発明はまた、哺乳動物に、治療上有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、もしくは誘導体を投与することを含む、該哺乳動物における心血管疾患を治療する方法に関する。心血管病態の例としては、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、血管閉塞、頸動脈閉塞性疾患、または虚血性病態が挙げられるが、それらに限定されない。
別の態様において、本発明は、白血球の機能を撹乱するまたは破骨細胞の機能を撹乱する方法を提供する。本方法は、白血球または破骨細胞を、機能を撹乱する量の本発明の化合物と接触させることを含む。
本発明の別の態様において、方法は、対象の眼に主題化合物または薬学的組成物のうちの1つ以上を投与することを含む、眼疾患を治療するための方法が提供される。
更に、点眼剤、眼内注射、硝子体内注射を介して、局所的に、または薬物溶出デバイス、マイクロカプセル、埋込体、もしくはマイクロ流体デバイスの使用を通じて、本発明の化合物を投与するための方法が提供される。幾つかの実例では、本発明の化合物は、界面膜によって取り囲まれた油性コアを有するコロイド粒子を有する油および水性乳剤等の、化合物の眼球内浸透度を増大させる担体または賦形剤と共に投与される。
幾つかの実例では、コロイド粒子は、少なくとも1つの陽イオン性薬剤、およびポロキサマー、チロキサポール、ポリソルベート、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ソルビタンエステル、またはステアリン酸ポリオキシル等の少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。幾つかの実例では、陽イオン性薬剤は、アルキルアミン、第三級アルキルアミン、第四級アンモニウム化合物、陽イオン性脂質、アミノアルコール、ビグアニジン塩、陽イオン性化合物、またはそれらの混合物である。幾つかの実例では、陽イオン性薬剤は、クロルヘキシジン、ポリアミノプロピルビグアニジン、フェンホルミン、アルキルビグアニジン、またはそれらの混合物等のビグアニジン塩である。幾つかの実例では、第四級アンモニウム化合物は、ベンザルコニウムハロゲン化物、ラウラコニウムハロゲン化物、セトリミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハロゲン化物、テトラデシルトリメチルアンモニウムハロゲン化物、ドデシルトリメチルアンモニウムハロゲン化物、セトリモニウムハロゲン化物、ベンゼトニウムハロゲン化物、ベヘンアルコニウム(behenalkonium)ハロゲン化物、セタルコニウムハロゲン化物、セテチルジモニウム(cetethyldimonium)ハロゲン化物、セチルピリジニウムハロゲン化物、ベンゾドデシニウムハロゲン化物、クロラリルメテンアミン(chlorallyl methenamine)ハロゲン化物、ミリスチルアルコニウム(rnyristylalkonium)ハロゲン化物、ステアラルコニウムハロゲン化物、またはそれらの2つ以上の混合物である。幾つかの実例では、陽イオン性薬剤は、ベンザルコニウムクロリド、ラウラコニウムクロリド、ベンゾドデシニウムブロミド、ベンゼテニウム(benzethenium)クロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、またはそれらの2つ以上の混合物である。幾つかの実例では、油相は、鉱油および軽油、中鎖トリグリセリド(MCT)、ヤシ油;水素化綿実油、水素化パーム油、水素化ヒマシ油、または水素化大豆油を含む水素化油;ポルオキシル(poluoxyl)−40水素化ヒマシ油、ポリオキシル−60水素化ヒマシ油、またはポリオキシル−100水素化ヒマシ油を含むポリオキシエチレン水素化ヒマシ油誘導体である。
本発明は更に、キナーゼを、有効量の本発明の化合物と接触させることによってPI3Kおよび/またはmTorキナーゼ活性を調節する方法を提供する。調節は、キナーゼ活性を阻害または活性化することであってもよい。幾つかの実施形態において、本発明は、キナーゼを、溶液中の有効量の本発明の化合物と接触させることによってキナーゼ活性を阻害する方法を提供する。幾つかの実施形態において、本発明は、目的のキナーゼを発現する細胞、組織、臓器を接触させることによってキナーゼ活性を阻害する方法を提供する。幾つかの実施形態において、本発明は、対象に、有効量の本発明の化合物を投与することによって、齧歯動物および哺乳動物(例えば、ヒト)を含むが、それらに限定されない対象におけるキナーゼ活性を阻害する方法を提供する。幾つかの実施形態において、阻害の割合は、50%、60%、70%、80%、または90%を超える。
幾つかの実施形態において、キナーゼは、PI3キナーゼα、PI3キナーゼβ、PI3キナーゼγ、PI3キナーゼδ等の異なるアイソフォーム(isorform)を含むPI3キナーゼ;DNA−PK;mTor;Abl、VEGFR、エフリン受容体B4(EphB4);TEK受容体型チロシンキナーゼ(TIE2);FMS関連チロシンキナーゼ3(FLT−3);血小板由来増殖因子受容体(PDGFR);RET;A(商標);ATR;hSmg−1;Hck;Src;上皮増殖因子受容体(EGFR);KIT;インスリン(インスリン(Inulsin))受容体(IR)およびIGFRからなる群から選択される。
本発明はまた、他の経路、または同じ経路の他の構成成分、または更に重複したセットの標的酵素を調節することが知られる薬剤が、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、もしくは誘導体と組み合わせて使用される、併用療法のための方法を提供する。一態様において、かかる療法は、相乗的または相加的治療効果を提供するために、主題化合物と、化学療法剤、治療抗体、および放射線治療との組合せを含むが、それらに限定されない。
自己免疫疾患の治療については、主題化合物または薬学的組成物を、Enbrel(登録商標)、Remicade(登録商標)、Humira(登録商標)、Avonex(登録商標)、およびRebif(登録商標)を含むが、それらに限定されない一般的な処方薬と組み合わせて使用することができる。呼吸器疾患の治療については、主題化合物または薬学的組成物を、Xolair(登録商標)、Advair(登録商標)、Singulair(登録商標)、およびSpiriva(登録商標)を含むが、それらに限定されない一般的な処方薬と組み合わせて投与することができる。
本発明の化合物は、脳脊髄炎、喘息、および本明細書に記載される他の疾患等の炎症性病態の症状を軽減するように作用する他の薬剤と組み合わせて製剤化または投与されてもよい。これらの薬剤には、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、例えば、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、ナブメトン、トルメチン等が含まれる。コルチコステロイドは、炎症を低減し、免疫系の活性を抑制するために使用される。この種類の最も一般的な処方薬は、プレドニゾンである。クロロキン(Aralen)またはヒドロキシクロロキン(Plaquenil)もまた、狼瘡を有する幾つかの個体に非常に有用であり得る。それらは、狼瘡の皮膚および関節症状に対して最も頻繁に処方される。アザチオプリン(Imuran)およびシクロホスファミド(Cytoxan)は、炎症を抑制し、免疫系を抑制する傾向がある。他の薬剤、例えばメトトレキサートおよびシクロスポリンは、狼瘡の症状を調節するために使用される。抗凝固剤は、血液が急速に凝固するのを予防するために用いられる。それらは、血小板が粘着するのを予防する非常に低用量のアスピリンから、ヘパリン/クマディンにわたる。
別の一態様において、本発明はまた、ある量の抗癌剤(例えば、化学療法剤)と組み合わせて、ある量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容されるその塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、もしくは誘導体を含む、哺乳動物における異常細胞成長を阻害するための方法および薬学的組成物に関する。現在、多くの化学療法剤が当該技術分野で既知であり、本発明の化合物と組み合わせて使用することができる。
幾つかの実施形態において、化学療法剤は、有糸***阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生体応答修飾物質、抗ホルモン剤、血管新生阻害剤、免疫療法剤、アポトーシス促進剤、および抗アンドロゲン薬からなる群から選択される。非限定的例としては、化学療法剤、細胞傷害性薬物、ならびにグリベック(イマチニブメシル酸塩)、ベルケード(ボルテゾミブ)、カソデックス(ビカルタミド)、イレッサ(ゲフィチニブ)、およびアドリアマイシン等の非ペプチド小分子、ならびに化学療法剤の宿主が挙げられる。化学療法剤の非限定的な例としては、チオテパおよびシクロスホスファミド(CYTOXAN(商標))等のアルキル化剤;ブスルファン、イムプロスルファン、およびピポスルファン等のスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボクオン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa)等のアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド、およびトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミンおよびメチルアメラミン(methylamelamines);クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード等の窒素マスタード類;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン等のニトロソ尿素類;オキサザフォスフォリン類;窒素マスタード類;トリアゼン類;アクラシノマイシン類、アクチノマイシン、アントラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、Casodex(商標)、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンを含む、アントラサイクリン類、アクチノマイシン類、およびブレオマイシン類等の抗生物質;メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU)等の代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート等の葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン等のピリミジン類似体、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン等のアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン等の抗副腎物質(anti−adrenal);フロリン酸等の葉酸補充物質;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デホファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エルホミチン(elfomithine);酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK.R(商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、パクリタキセル(TAXOL(商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)およびドセタキセル(TAXOTERE(商標)、Rhone−Poulenc Rorer、Antony、France);レチノイン酸;エスペラマイシン類;カペシタビン;ゲムシタビン、ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が挙げられる。また好適な化学療法細胞調整剤として、例えばタモキシフェン(Nolvadex(商標))、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン、およびトレミフェン(フェアストン)を含む抗エストロゲン薬;ならびにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリン等の抗アンドロゲン薬等の、腫瘍へのホルモン作用を制御または阻害するように作用する抗ホルモン剤;クロランブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチンおよびカルボプラチン等の白金または白金類錯体;パクリタキセルおよびドセタキセルを含むジテルペノイド類、またはビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンフルニン、ビンデシン、およびビノレルビンを含むビンカアルカロイド類等の微小管阻害薬;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセロダ;イバンドロネート;カンプトテシン類(例えば、カンプトテシン−11)、トポテカン、イリノテカン、およびエピポドフィロトキシンを含むトポイソメラーゼIおよびII阻害剤;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;エポチロンAまたはB;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);ヒストンデアセチラーゼ阻害薬;細胞分化プロセスを誘導する化合物;ゴナドレリンアゴニスト;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;タンパク質または脂質キナーゼ活性を標的化/低減する化合物;タンパク質または脂質ホスファターゼの活性を標的とし、低減し、または阻害する化合物;抗アンドロゲン薬;ビスホスホネート;生体応答修飾物質;抗増殖性抗体;ヘパラナーゼ阻害剤;Ras発癌性アイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;血液系腫瘍の治療に使用される化合物;Flt−3の活性を標的とし、低減し、または阻害する化合物;Hsp90阻害剤;テモゾロミド(TEMODAL(登録商標));Conforma Therapeutics製の17−AAG(17−アリルアミノゲルダナマイシン、NSC330507)、17−DMAG(17−ジメチルアミノエチルアミノ−17−デメトキシ−ゲルダナマイシン、NSC707545)、IPI−504、CNF1010、CNF2024、CNF1010等のHsp90阻害剤;テモゾロミド(TEMODAL(登録商標));GlaxoSmithKline製のSB715992もしくはSB743921、またはCombinatoRx製のペンタミジン/クロルプロマジン等のキネシンスピンドルタンパク質阻害剤;Array PioPharma製のARRY142886、AstraZeneca製のAZD6244、Pfizer製のPD181461もしくはPD0325901等のMEK阻害剤、ロイコボリン、EDG結合剤、抗白血病化合物、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ阻害剤、抗増殖性抗体、あるいは他の化学療法化合物も含まれる。所望される場合、本発明の化合物または薬学的組成物は、Herceptin(登録商標)、Avastin(登録商標)、Erbitux(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Taxol(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Taxotere(登録商標)、およびVelcade(登録商標)等の一般的に処方される抗癌薬と併用することができる。本発明の化合物と併用され得る化合物についての更なる情報は、下に提供される。
プロテアソーム阻害剤には、プロテアソームの活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物が含まれる。プロテアソームの活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物には、例えば、ボルテゾミド(Velcade((商標)))およびMLN 341が含まれる。マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(「MMP」阻害剤)には、コラーゲンペプチド模倣体および非ペプチド模倣体、テトラサイクリン誘導体、例えば、ヒドロキサメートペプチド模倣体阻害剤バチマスタット、およびその経口で生物学的に利用可能な類似体マリマスタット(BB−2516)、プリノマスタット(AG3340)、メタスタット(NSC 683551)BMS−279251、BAY 12−9566、TAA211、MMI270B、またはAAJ996が含まれるが、それらに限定されない。血液系腫瘍の治療において使用される化合物には、FMS様チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、FMS様チロシンキナーゼ受容体(Flt−3R)の活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物;インターフェロン、1−b−D−アラビノフランシルシトシン(arabinofuransylcytosine)(ara−c)、およびビスルファン(bisulfan);ならびにALK阻害剤、例えば、未分化リンパ腫キナーゼを標的とする、減少させる、または阻害する化合物が含まれるが、それらに限定されない。FMS様チロシンキナーゼ受容体(Flt−3R)の活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物は特に、Flt−3R受容体キナーゼファミリーのメンバーを阻害する化合物、タンパク質、または抗体、例えば、PKC412、ミドスタウリン、スタウロスポリン誘導体、SU11248、およびMLN518である。
Hsp90阻害剤には、Conforma Therapeutics製の17−AAG(17−アリルアミノゲルダナマイシン、NSC330507)、17−DMAG(17−ジメチルアミノエチルアミノ−17−デメトキシ−ゲルダナマイシン、NSC707545)、IPI−504、CNF1010、CNF2024、CNF1010;テモゾ−ロミド(TEMODAL(登録商標));GlaxoSmithKline製のSB715992もしくはSB743921、またはCombinatoRx製のペンタミジン/クロルプロマジン等のキネシンスピンドルタンパク質阻害剤;Array PioPharma製のARRY142886、AstraZeneca製のAZD6244、Pfizer製のPD181461等のMEK阻害剤、ロイコボリン、EDG結合剤、抗白血病化合物、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ阻害剤、抗増殖性抗体、または他の化学療法化合物等の化合物が含まれる。
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(または「HDAC阻害剤」)には、ヒストンデアセチラーゼを阻害する、および抗増殖性活性を持つ化合物が含まれる。これには、国際公開第02/22577号に開示される化合物、特にN−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、およびそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。それは更に、特にスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)を含む。
本発明の化合物と併用するためのビスホスホネートには、エチドロン(etridonic)酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸、およびゾレドロン酸が含まれるが、それらに限定されない。
本発明の化合物はまた、タンパク質または脂質キナーゼ活性、タンパク質または脂質ホスファターゼ活性、または更なる抗血管新生化合物を標的化または低減する化合物と併用されてもよい。かかる化合物には、タンパク質チロシンキナーゼおよび/もしくはセリンおよび/もしくはスレオニンキナーゼ阻害剤、または脂質キナーゼ阻害剤、例えば、血小板由来成長因子−受容体(PDGFR)の活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物等の、PDGFRの活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物、特にPDGF受容体を阻害する化合物、例えば、N−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体、例えば、イマチニブ、SU101、SU6668、およびGFB−1 11;線維芽細胞成長因子−受容体(FGFR)の活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物;インスリン様成長因子受容体I(IGF−IR)の活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物等の、IGF−IRの活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物、特に、国際公開第02/092599号に開示される化合物等もしくはOSI906等の、IGF−I受容体のキナーゼ活性を阻害する化合物、またはCP−751871、R1507、AVE1642、IMC−A12、AMG479、MK−0646、SCH717454、もしくはその成長因子等の、IGF−I受容体の細胞外ドメインを標的とする抗体;Trk受容体型チロシンキナーゼファミリーの活性を標的化、低減、もしくは阻害する化合物、またはエフリンB4阻害剤;AxI受容体型チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物;Ret受容体型チロシンキナーゼの活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物;Kit/SCFR受容体型チロシンキナーゼの活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物、例えば、イマチニブ;c−Kit受容体型チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物等の、C−kit受容体型チロシンキナーゼ−(PDGFRファミリーの一部)の活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物、特にc−Kit受容体を阻害する化合物、例えば、イマチニブ;c−Ablファミリーメンバーおよびそれらの遺伝子融合産物の活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物等の、c−Ablファミリーのメンバー、それらの遺伝子融合産物(例えば、BCR−AbIキナーゼ)および突然変異体の活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物、例えば、N−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体、例えば、イマチニブまたはニロチニブ(AMN107);PD180970;AG957;NSC 680410;ParkeDavis製のPD173955;またはダサチニブ(BMS−354825);タンパク質キナーゼC(PKC)のメンバー、およびセリン/スレオニンキナーゼのRafファミリー、MEK、SRC、JAK、FAK、PDK1、PKB/Aktのメンバー、Ras/MAPKファミリーメンバー、および/またはサイクリン−依存性キナーゼファミリー(CDK)のメンバーの活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物、ならびに特に米国特許第5,093,330号に開示されるスタウロスポリン誘導体、例えば、ミドスタウリンが含まれるが、それらに限定されず、更なる化合物の例としては、例えば、UCN−01、サフィンゴール、BAY43−9006、ブリオスタチン1、ペリホシン;イルモフォシン(llmofosine);RO318220およびRO320432;GO6976;Isis3521;LY333531/LY379196;国際公開第00/09495号に開示される化合物等のイソキノリン(isochinoline)化合物;FTI;PD184352またはQAN697(P13K阻害剤)またはAT7519(CDK阻害剤);イマチニブメシル酸塩(GLEEVEC)またはチルホスチンを含むタンパク質−チロシンキナーゼ阻害剤の活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物等の、タンパク質−チロシンキナーゼ阻害剤の活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物が挙げられる。チルホスチンは、好ましくは低分子量(Mr<1500)化合物、またはその薬学的に許容される塩、特にベンジリデンマロニトリルクラスまたはS−アリールベンゼンマロニトリルもしくは二基質キノリンクラスクラスの化合物から選択される化合物、更には特にチルホスチンA23/RG−50810;AG99;チルホスチンAG213;チルホスチンAG1748;チルホスチンAG490;チルホスチンB44;チルホスチンB44(+)鏡像異性体;チルホスチンAG555;AG494;チルホスチンAG556、AG957、およびアダホスチン(4−{[(2,5−ジヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}−安息香酸アダマンチルエステル;NSC680410、アダホスチン)からなる群から選択される任意の化合物である。
本発明の化合物はまた、上皮細胞成長因子受容体ファミリーの活性を標的とし、減少させ、または阻害する化合物等の、受容体型チロシンキナーゼの上皮細胞成長因子ファミリー(EGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4、ホモまたはヘテロ二量体として)およびそれらの突然変異体の活性を標的とし、減少させ、または阻害する化合物、特に、EGF受容体型チロシンキナーゼファミリーのメンバー、例えば、EGF受容体、ErbB2、ErbB3、およびErbB4を阻害するか、またはEGFもしくはEGF関連リガンドに結合する化合物、タンパク質、もしくは抗体であり、特に、例えば、実施例39の化合物等の国際公開第97/02266号に、あるいは欧州特許第0 564 409号、国際公開第99/03854号、欧州特許第0520722号、欧州特許第0 566 226号、欧州特許第0 787 722号、欧州特許第0 837 063号、米国特許第5,747,498号、国際公開第98/10767号、国際公開第97/30034号、国際公開第97/49688号、国際公開第97/38983号、および特に国際公開第96/30347号(例えば、CP358774として知られる化合物)、国際公開第96/33980号(例えば、化合物ZD1839)、および国際公開第95/03283号(例えば、化合物ZM105180)に一般的および具体的に開示される化合物、タンパク質、またはモノクローナル抗体;例えば、トラスツズマブ(Herceptin(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、イレッサ、タルセバ、OSI−774、Cl−1033、EKB−569、GW−2016、E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.1 1、E6.3、またはE7.6.3、および国際公開第03/013541号に開示される7H−ピロロ−[2,3−d]ピリミジン誘導体;ならびにc−Metの活性を標的とし、減少させ、または阻害する化合物等の、c−Met受容体の活性を標的とし、減少させ、または阻害する化合物、特にc−Met受容体のキナーゼ活性を阻害する化合物、あるいはc−Metの細胞外ドメインを標的とするか、またはHGFに結合する抗体と併用されてもよい。さらなる抗血管新生化合物には、それらの活性に対する別の作用機構を有する、例えば、タンパク質または脂質キナーゼ阻害に関係しない化合物、例えば、タリドミド(THALOMID)およびTNP−470が含まれる。39の化合物、あるいは欧州特許第0 564 409号、国際公開第99/03854号、欧州特許第0520722号、欧州特許第0 566 226号、欧州特許第0 787 722号、欧州特許第0 837 063号、米国特許第5,747,498号、国際公開第98/10767号、国際公開第97/30034号、国際公開第97/49688号、国際公開第97/38983号、および特に国際公開第96/30347号(例えば、CP358774として知られる化合物)、国際公開第96/33980号(例えば、化合物ZD1839)、および国際公開第95/03283号(例えば、化合物ZM105180)に一般的および具体的に開示される化合物、タンパク質、またはモノクローナル抗体;例えば、トラスツズマブ(ハーセプチン(商標))、セツキシマブ(アービタックス(商標))、イレッサ、タルセバ、OSI−774、Cl−1033、EKB−569、GW−2016、E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.1 1、E6.3、またはE7.6.3、および国際公開第03/013541号に開示される7H−ピロロ−[2,3−d]ピリミジン誘導体;ならびにc−Metの活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物等の、c−Met受容体の活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物、特にc−Met受容体のキナーゼ活性を阻害する化合物、あるいはc−Metの細胞外ドメインを標的とするか、またはHGFに結合する抗体と共に使用されてもよい。更なる抗血管新生化合物には、それらの活性に対する別の機序を有する、例えば、タンパク質または脂質キナーゼ阻害に無関係な化合物、例えば、サリドマイド(THALOMID)およびTNP−470が含まれる。
非受容体キナーゼ血管新生阻害剤がまた、本発明の化合物と任せて有用であり得る。一般に血管新生は、erbB2およびEGFRの阻害剤が血管新生、主にVEGF発現を阻害することが示されていることから、erbB21EGFRシグナル伝達に関連する。したがって、非受容体チロシンキナーゼ阻害剤が、本発明の化合物と併用されてもよい。例えば、VEGFR(受容体型チロシンキナーゼ)を認識しないが、リガンドに結合する抗VEGF抗体;血管新生を阻害するであろう小分子の阻害剤インテグリン(アルファvベータ3);エンドスタチンおよびアンギオスタチン(非RTK)もまた、開示される化合物と組み合わせて有用であることが判明し得る。(Bruns C J et al(2000),Cancer Res.,60:2926−2935、Schreiber A B,Winkler M E,and Derynck R.(1986),Science,232:1250−1253、Yen L et al.(2000),Oncogene 19:3460−3469を参照されたい)。
タンパク質または脂質ホスファターゼの活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物には、例えば、ホスファターゼ1、ホスファターゼ2A、またはCDC25の阻害剤、例えば、オカダ酸またはその誘導体が含まれる。細胞分化プロセスを誘導する化合物は、例えば、レチノイン酸、α−、γ−、もしくはδ−トコフェロール、またはα−、γ−、もしくはδ−トコトリエノールである。シクロオキシゲナーゼ阻害剤には、例えば、Cox−2阻害剤、セレコキシブ(CELEBREX)、ロフェコキシブ(VIOXX)、エトリコキシブ、バルデコキシブ等の5−アルキル置換2−アリールアミノフェニル酢酸および誘導体、または5−アルキル−2−アリールアミノフェニル酢酸、例えば、5−メチル−2−(2’−クロロ−6’−フルオロアニリノ)フェニル酢酸、およびルミラコキシブが含まれるが、それらに限定されない。
ヘパラナーゼ阻害剤には、PI−88を含むが、それらに限定されない、ヘパリン硫酸分解を標的とし、低減し、または阻害する化合物が含まれる。生体応答修飾物質には、リンフォカインおよびインターフェロン、例えば、インターフェロンγが含まれる。Ras発癌性アイソフォームの阻害剤には、Rasの発癌性活性を標的とし、低減し、または阻害するH−Ras、K−Ras、N−Ras、および他の化合物が含まれる。ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤には、例えば、L−744832、DK8G557、およびR115777(ザーネストラ)が含まれるが、それらに限定されない。
テロメラーゼ阻害剤には、テロメラーゼの活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物が含まれる。テロメラーゼの活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物は、特にテロメラーゼ受容体を阻害する化合物、例えば、テロメスタチンである。メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤は、例えば、メチオニンアミノペプチダーゼの活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物である。メチオニンアミノペプチダーゼの活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物は、例えば、ベンガミドまたはその誘導体である。
抗増殖性抗体には、トラスツズマブ(Herceptin(商標))、トラスツズマブ−DM1、アービタックス、ベバシズマブ(Avastin(商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、PRO64553(抗CD40)、および2C4抗体が含まれるが、それらに限定されない。抗体とは、例えば、それらが望ましい生物活性を示す限り、少なくとも2つの無傷の抗体、および抗体断片から形成される、無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異的抗体を意味する。
急性骨髄性白血病(AML)の治療のために、本発明の化合物は、標準的な白血病治療薬と併用、特にAMLの治療のために使用される治療薬と併用することができる。特に、本発明の化合物は、例えば、ダウノルビシン、アドリアマイシン、Ara−C、VP−16、テニポシド、ミトキサントロン、イダルビシン、カルボ白金(Carboplatinum)、およびPKC412等の、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤および/またはAMLの治療に有用な他の薬物と組み合わせて投与することができる。
本発明の化合物と併用するための抗白血病性化合物には、例えば、Ara−C、デオキシシチジンの2’−アルファ−ヒドロキシリボース(アラビノシド)誘導体であるピリミジン類似体が含まれる。また、ヒポキサンチンのプリン類似体、6−メルカプトプリン(6−MP)、およびリン酸フルダラビンも含まれる。酪酸ナトリウムおよびスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)等の、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤の活性を標的とする、減少させる、または阻害する化合物は、ヒストンデアセチラーゼとして知られる酵素の活性を阻害する。具体的なHDAC阻害剤には、MS275、SAHA、FK228(かつてのFR901228)、トリコスタチンA、および米国特許第6,552,065号に開示される化合物、特に、Λ/−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、またはその薬学的に許容される塩、およびΛ/−ヒドロキシ−3−[4−[(2−ヒドロキシエチル){2−(1/−/−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、またはその薬学的に許容される塩、例えば、乳酸塩が含まれる。
ソマトスタチン受容体アンタゴニストには、オクトレオチド、およびSOM230(パシレオチド)等のソマトスタチン受容体を標的とする、治療する、または阻害する化合物が含まれる。腫瘍細胞損傷アプローチには、電離放射線、例えば、電磁線(X線およびガンマ線等)または粒子(アルファおよびベータ粒子等)のいずれかとして生じる電離放射線等のアプローチが含まれる。電離放射線は、放射線療法において提供されるが、それらに限定されず、当該技術分野で既知である。Hellman,Principles of Radiation Therapy,Cancer,in Principles and Practice of Oncology,Devita et al.,Eds.,4th Edition,Vol.1,pp.248−275(1993)を参照されたい。EDG結合剤には、リンパ球再循環現象を調節する、FTY720等の免疫抑制剤が含まれる。
リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤には、フルダラビンおよび/またはシトシンアラビノシド(ara−C)、6−チオグアニン、5−フルオロウラシル、クラドリビン、6−メルカプトプリン(特にALLに対するara−Cと組み合わせて)、および/またはペントスタチンを含むが、それらに限定されないピリミジンまたはプリンヌクレオシド類似体が含まれる。リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤は、例えば、Nandy et al.,Acta Oncologica,Vol.33,No.8,pp.953−961(1994)に言及されるPL−1、PL−2、PL−3、PL−4、PL−5、PL−6、PL−7、またはPL−8等の、ヒドロキシ尿素または2−ヒドロキシ−1/−/−イソインドール−1,3−ジオン誘導体である。
S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ阻害剤には、米国特許第5,461,076号に開示される化合物が含まれるが、それらに限定されない。
また特に、国際公開第98/35958号に開示されるVEGFの化合物、タンパク質、もしくはモノクローナル抗体、例えば、1−(4−クロロアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジンもしくはその薬学的に許容される塩、例えば、コハク酸塩、または国際公開第00/09495号、国際公開第00/27820号、国際公開第00/59509号、国際公開第98/11223号、国際公開第00/27819号、および欧州特許第0 769 947号に開示されるもの;Prewett et al,Cancer Res,Vol.59,pp.5209−5218(1999)、Yuan et al.,Proc Natl Acad Sci U S A,Vol.93,pp.14765−14770(1996)、Zhu et al.,Cancer Res,Vol.58,pp.3209− 3214(1998)、およびMordenti et al.,Toxicol Pathol,Vol.27,No.1,pp.14−21(1999)によって説明されるもの;国際公開第00/37502号および国際公開第94/10202号に開示されるもの;O’Reilly et al.,Cell,Vol.79,pp.315−328(1994)によって説明されるアンジオスタチン(ANGIOSTATIN);O’Reilly et al.,Cell,Vol.88,pp.277−285(1997)によって説明されるエンドスタチン(ENDOSTATIN);アンスラニル酸アミド;ZD4190;ZD6474;SU5416;SU6668;ベバシズマブ;あるいは抗VEGF抗体もしくは抗VEGF受容体抗体、例えば、rhuMAbおよびRHUFab、VEGFアプタマー例えば、マクゴン(Macugon);FLT−4阻害剤、FLT−3阻害剤、VEGFR−2 IgGI抗体、アンジオザイム(RPI4610)、およびベバシズマブ(Avastin(商標))も含まれる。
本発明の化合物はまた、抗炎症性、気管支拡張性、または抗ヒスタミン原薬等の他の原薬と併用するための共同療法化合物として、特に以上に言及された閉塞性または炎症性気道疾患等の治療において、例えば、かかる薬物の治療上の活性の増強物質として、またはかかる薬物の必要とされる投薬量もしくは可能性のある副作用を低減する手段として有用である。本発明の化合物は、固定された薬学的組成物中で他方の原薬と混合されてもよく、またはもう他方の原薬の前に、それと同時に、もしくはその後に別個で投与されてもよい。したがって、本発明は、記載される本発明の化合物と、抗炎症性、気管支拡張性、抗ヒスタミン、または鎮咳性原薬との組み合わせを含み、本発明の該化合物および該原薬は、同じまたは異なる薬学的組成物中にある。好適な抗炎症薬には、ステロイド、特にブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(beclamethasone dipropionate)、プロピオン酸フルチカゾン、シクレソニド、もしくはフロ酸モメタゾン等の糖質コルチコステロイド、または国際公開第02/88167号、国際公開第02/12266号、国際公開第02/100879号、国際公開第02/00679号(特に実施例3、11、14、17、19、26、34、37、39、51、60、67、72、73、90、99、および101のもの)、国際公開第03/035668号、国際公開第03/048181号、国際公開第03/062259号、国際公開第03/064445号、国際公開第03/072592号に記載されるステロイド、国際公開第00/00531号、国際公開第02/10143号、国際公開第03/082280号、国際公開第03/082787号、国際公開第03/104195号、国際公開第04/005229号に記載されるもの等の非ステロイド性糖質コルチコイド受容体アゴニスト;LY29311 1、CGS025019C、CP−195543、SC−53228、BIIL284、ONO4057、SB209247および米国特許第5451700号に記載されるもの等のLTB4アンタゴニスト;モンテルカストおよびザフィルルカスト等のLTD4アンタゴニスト;シロミラスト(Ariflo(登録商標)GlaxoSmithKline)、ロフルミラスト(Byk Gulden)、V−1 1294A(Napp)、BAY19−8004(Bayer)、SCH−351591(Schering−Plough)、アロフィリン(Almirall Prodesfarma)、PD189659/PD168787(Parke−Davis)、AWD−12−281(Asta Medica)、CDC−801(Celgene)、SeICID(TM)CC−10004(Celgene)、VM554/UM565(Vernalis)、T−440(田辺)、KW−4490(協和発酵工業)、ならびに国際公開第92/19594号、国際公開第93/19749号、国際公開第93/19750号、国際公開第93/19751号、国際公開第98/18796号、国際公開第99/16766号、国際公開第01/13953号、国際公開第03/104204号、国際公開第03/104205号、国際公開第03/39544号、国際公開第04/000814号、国際公開第04/000839号、国際公開第04/005258号、国際公開第04/018450号、国際公開第04/018451号、国際公開第04/018457号、国際公開第04/018465号、国際公開第04/018431号、国際公開第04/018449号、国際公開第04/018450号、国際公開第04/018451号、国際公開第04/018457号、国際公開第04/018465号、国際公開第04/019944号、国際公開第04/019945号、国際公開第04/045607号、および国際公開第04/037805号に開示されるもの等のPDE4阻害剤;欧州特許第409595A2号、欧州特許第1052264号、欧州特許第1241176号、国際公開第94/17090号、国際公開第96/02543号、国際公開第96/02553号、国際公開第98/28319号、国際公開第99/24449号、国際公開第99/24450号、国際公開第99/24451号、国際公開第99/38877号、国際公開第99/41267号、国際公開第99/67263号、国際公開第99/67264号、国際公開第99/67265号、国際公開第99/67266号、国際公開第00/23457号、国際公開第00/77018号、国際公開第00/78774号、国際公開第01/23399号、国際公開第01/27130号、国際公開第01/27131号、国際公開第01/60835号、国際公開第01/94368号、国際公開第02/00676号、国際公開第02/22630号、国際公開第02/96462号、国際公開第03/086408号、国際公開第04/039762号、国際公開第04/039766号、国際公開第04/045618号、および国際公開第04/046083号に開示されるもの等のA2aアゴニスト;国際公開第02/42298号に記載されるもの等のA2bアンタゴニスト;ならびにアルブテロール(サルブタモール)、メタプロテレノール、テルブタリン、サルメテロールフェノテロール、プロカテロール、および特にホルモテロール等の、ベータ−2アドレノセプターアゴニスト、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、ならびに国際公開第0075114号(この書類は、参照により本明細書に組み込まれる)の式Iの化合物(遊離または塩または溶媒和形態で)、好ましくはその実施例の化合物、ならびに国際公開第04/16601号の式Iの化合物(遊離または塩または溶媒和形態で)、また国際公開第04/033412号の化合物が含まれる。好適な気管支拡張性薬物には、抗コリン作働性または抗ムスカリン性化合物、特に臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、チオトロピウム塩およびCHF4226(Chiesi)、ならびにグリコピロレートが含まれるが、また、国際公開第01/041 18号、国際公開第02/51841号、国際公開第02/53564号、国際公開第03/00840号、国際公開第03/87094号、国際公開第04/05285号、国際公開第02/00652号、国際公開第03/53966号、欧州特許第424021号、米国特許第5171744号、米国特許第3714357号、国際公開第03/33495号、および国際公開第04/018422号に記載されるものも含まれる。
好適な抗ヒスタミン原薬には、塩酸セチリジン、アセトアミノフェン、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラチジン(loratidine)、デスロラチジン(desloratidine)、ジフェンヒドラミン、および塩酸フェキソフェナジン、アクチバスチン(activastine)、アステミゾール、アゼラスチン、エバスチン、エピナスチン、ミゾラスチン、およびテフェナジン(tefenadine)、ならびに国際公開第03/099807号、国際公開第04/026841号、および日本特許第2004107299号に開示されるものが含まれる。
本発明の化合物と抗炎症薬との他の有用な組み合わせは、ケモカイン受容体のアンタゴニスト、例えば、CCR−1、CCR−2、CCR−3、CCR−4、CCR−5、CCR−6、CCR−7、CCR−8、CCR−9、およびCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、特に、Schering−PloughアンタゴニストSC−351125、SCH−55700、およびSCH−D等のCCR−5アンタゴニスト、TAK−770等の武田のアンタゴニスト、ならびに米国特許第6166037号(特に請求項18および19)、国際公開第00/66558号(特に請求項8)、国際公開第00/66559号(特に請求項9)、国際公開第04/018425号、および国際公開第04/026873号に記載されるCCR−5アンタゴニストとの組み合わせである。
抗微小管または抗有糸***薬剤には、細胞周期のM期または有糸***期中の腫瘍細胞の微小管に対して活性な期特異的薬剤が含まれる。抗微小管薬剤の例としては、ジテルペノイドおよびビンカアルカロイドが挙げられるが、それらに限定されない。天然源に由来する、ジテルペノイドは、細胞周期のG/M期において作動する期特異的な抗癌剤である。ジテルペノイドは、微小管のβ−チューブリンサブユニットを、このタンパク質と結合することによって安定化させると考えられている。このタンパク質の脱会合は次いで、糸***が停止され、細胞死が結果として起きることにより阻害されると思われる。ジテルペノイドの例としては、パクリタキセルおよびその類似体ドセタキセルが挙げられるが、それらに限定されない。パクリタキセル、すなわち(2R,3S)−N−ベンゾイル−3−フェニルイソセリンとの5β,20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサ−ヒドロキシタキサ−11−エン−9−オン4,10−ジアセテート2−ベンゾエート13−エステルは、タイヘイヨウイチイから単離される天然ジテルペン産物であり、注射液TAXOL(登録商標)として市販されている。それはテルペンのタキサンファミリーのメンバーである。その活性についての1つの機序は、パクリタキセルの、チューブリンに結合し、それによって癌細胞成長を阻害する能力に関する。パクリタキセルは、米国における不応性卵巣癌の治療における臨床使用のために、および乳癌の治療のために認可されている。それは皮膚の新生物ならびに頭部および頚部癌の治療のための可能性ある候補である。化合物はまた、多嚢胞腎臓病、肺癌、およびマラリアの治療に対する可能性を示す。パクリタキセルによる患者の治療は、閾値濃度(50nM)を超える投薬の持続期間(Kearns,C.M.et.al.,Seminars in Oncology,3(6)p.16−23,1995)に関連する、骨髄抑制(多数の細胞系譜、Ignoff,R.J.et.al,Cancer Chemotherapy Pocket Guide,1998)をもたらす。ドセタキセル、すなわち5β−20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサヒドロキシタキサ−1−1−エン−9−オン4−アセテート2−ベンゾエート、三水和物との、(2R,3S)−−N−カルボキシ−3−フェニルイソセリン、N−tert−ブチルエステル、13−エステルは、注射用溶液として、TAXOTERE(登録商標)として市販されている。ドセタキセルは、乳癌の治療に適応がある。ドセタキセルは、ヨーロッパイチイの針から抽出される天然前駆体、10−デアセチル−バッカチンIIIを用いて調製される、パクリタキセル(その項参照)の半合成誘導体である。ドセタキセルの用量制限毒性は、好中球減少である。
ビンカアルカロイドには、ニチニチソウ植物に由来する期特異的抗腫瘍剤である。ビンカアルカロイドは、チューブリンに特異的に結合することによって、細胞周期のM期(有糸***)において作用する。結果として、結合されたチューブリン分子は、微小管へと重合することができない。有糸***は、中期で停止され、細胞死が結果として起きると考えられている。ビンカアルカロイドの例としては、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビンが挙げられるが、それらに限定されない。ビンブラスチン、すなわち硫酸ビンカロイコブラスチンは、VELBAN(登録商標)として、注射液として市販されている。それは種々の固形腫瘍の第2選択療法として適応がある可能性を有するが、主には、精巣癌、またホジキン病、ならびにリンパ性および組織球性リンパ腫を含む種々のリンパ腫の治療において適応がある。骨髄抑制がビンブラスチンの用量制限副作用である。ビンクリスチン、すなわちビンカロイコブラスチン、22−オキソ−、硫酸塩は、ONCOVIN(登録商標)として、注射液として市販されている。ビンクリスチンは、急性白血病の治療に適応があり、ホジキンおよび非ホジキン悪性リンパ腫に対する治療レジメンにおいても使用されている。脱毛症および神経学的作用がビンクリスチンの最も一般的な副作用であり、より低い程度では骨髄抑制および胃腸粘膜炎作用が生じる。ビノレルビン、すなわち酒石酸ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))の注射液として市販されている、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−C’−ノルビンカロイコブラスチン[R−−(R,R)−2,3−ジヒドロキシブタンジオエート(1:2)(塩)]は、半合成ビンカアルカロイドである。ビノレルビンは、種々の固形腫瘍、特に非小細胞肺癌、進行性乳癌、およびホルモン不応性前立腺癌の治療において、単一薬剤として、またはシスプラチン等の他の化学療法剤と組み合わせて適応がある。骨髄抑制がビノレルビンの最も一般的な用量制限副作用である。
白金配位錯体には、DNAと相互作用する非期特異的抗癌剤が含まれる。白金錯体は、腫瘍細胞に入り、アクア化を経、DNAとの鎖内および鎖間架橋を形成して、腫瘍に対して生物学的有害作用を引き起こす。白金配位錯体の例としては、シスプラチンおよびカルボプラチンが挙げられるが、それらに限定されない。シスプラチン、すなわちシス−ジアンミンジクロロ白金は、PLATINOL(登録商標)として、注射液として市販されている。シスプラチンは主に、転移性精巣および卵巣癌ならびに進行性膀胱癌の治療において適応がある。シスプラチンの主な用量制限副作用は、水和および利尿によって制御され得る腎毒性、および聴器毒性である。カルボプラチン、すなわち白金、ジアミン[1,1−シクロブタン−ジカルボキシレート(2−)−O,O’]は、PARAPLATIN(登録商標))として、注射液として市販されている。カルボプラチンは主に、進行性卵巣癌の第1および第2選択治療において適応がある。骨髄抑制がカルボプラチンの用量制限毒性である。
アルキル化剤には、非期抗癌特異的薬剤および強力な求電子剤である。典型的に、アルキル化剤は、アルキル化によって、リン酸塩、アミノ、スルフヒドリル、ヒドロキシル、カルボキシル、およびイミダゾール基等のDNA分子の求核性部分を通じてDNAに対する共有結合を形成する。かかるアルキル化は、核酸機能を撹乱して、細胞死を招く。アルキル化剤の例としては、シクロホスファミド、メルファラン、およびクロラムブシル等の窒素マスタード;ブスルファン等のアルキルスルホネート;カルムスチン等のニトロソ尿素;およびダカルバジン等のトリアゼンが挙げられるが、それらに限定されない。シクロホスファミド、すなわち2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2時間−1,3,2−オキサオキサザフォスフォリン2−オキシド一水和物は、注射液または錠剤として、CYTOXAN(登録商標)として市販されている。シクロホスファミドは、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、および白血病の治療において、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて適応がある。脱毛症、吐き気、嘔吐、白血球減少が、シクロホスファミドの最も一般的な用量制限副作用である。メルファラン、すなわち4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−L−フェニルアラニンは、注射液または錠剤として、ALKERAN(登録商標)として市販されている。メルファランは、多発性骨髄腫および切除不可能な卵巣の上皮癌の一時緩和治療に適応がある。骨髄抑制がメルファランの最も一般的な用量制限副作用である。クロラムブシル、すなわち4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]ベンゼンブタン酸は、LEUKERAN(登録商標)錠剤として市販されている。クロラムブシルは、慢性リンパ性白血病、ならびにリンパ肉腫、巨大濾胞性リンパ腫、およびホジキン病等の悪性リンパ腫の一時緩和治療に適応がある。骨髄抑制がクロラムブシルの最も一般的な用量制限副作用である。ブスルファン、すなわち1,4−ブタンジオールジメタンスルホネートは、MYLERAN(登録商標)錠剤として市販されている。ブスルファンは、慢性骨髄性白血病の一時緩和治療に適応がある。骨髄抑制がブスルファンの最も一般的な用量制限副作用である。カルムスチン、すなわち1,3−[ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソ尿素は、凍結乾燥物質の単一バイアルとして、BiCNU(登録商標)として市販されている。カルムスチンは、単一薬剤として、または他の薬剤と組み合わせて、脳腫瘍、多発性骨髄腫、ホジキン病、および非ホジキンリンパ腫に対する一時緩和治療に適応がある。遅延性骨髄抑制がカルムスチンの最も一般的な用量制限副作用である。ダカルバジン、すなわち5−(3,3−ジメチル−1−トリアゼノ)−イミダゾール−4−カルボキサミドは、物質の単一バイアルとして、DTIC−Dome(登録商標)として市販されている。ダカルバジンは、転移性悪性黒色腫の治療に、およびホジキン病の第2選択治療のための他の薬剤と組み合わせて適応がある。吐き気、嘔吐、および食欲不振が、ダカルバジンの最も一般的な用量制限副作用である。
抗腫瘍抗生物質には、DNAに結合またはインターカレートする非期特異的薬剤が含まれる。典型的に、かかる作用は、安定なDNA複合体または鎖切断をもたらし、それは核酸の通常の機能を撹乱して、細胞死を招く。抗腫瘍性抗生物質薬剤の例としては、ダクチノマイシン等のアクチノマイシン、ダウノルビシンおよびドキソルビシン等のアントラサイクリン(anthrocyclins);ならびにブレオマイシンが挙げられるが、それらに限定されない。アクチノマイシンDとしても知られるダクチノマイシンは、注射用形態で、COSMEGEN(登録商標)として、市販されている。ダクチノマイシンは、ウィルムス腫瘍および横紋筋肉腫の治療に適応がある。吐き気、嘔吐、および食欲不振が、ダクチノマイシンの最も一般的な用量制限副作用である。ダウノルビシン、すなわち(8S−シス−)−8−アセチル−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12ナフタセンジオンヒドロクロリドは、リポソーム注射用形態としてのDAUNOXOME(登録商標)として、または注射用としてのCERUBIDINE(登録商標)として市販されている。ダウノルビシンは、急性非リンパ性白血病および進行性HIV関連カポジ肉腫の治療において、寛解誘導に適応がある。骨髄抑制がダウノルビシンの最も一般的な用量制限副作用である。ドキソルビシン、すなわち(8S,10S)−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキソピラノシル)オキシ]−8−グリコロイル、7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12ナフタセンジオンヒドロクロリドは、注射用形態として、RUBEX(登録商標)として、またはADRIAMYCIN RDF(登録商標)として市販されている。ドキソルビシンは、主に急性リンパ芽球性白血病および急性骨髄芽球性白血病の治療に適応があるが、幾つかの固形腫瘍およびリンパ腫の治療において有用な構成成分でもある。骨髄抑制がドキソルビシンの最も一般的な用量制限副作用である。ストレプトマイセス属(Streptomyces verticillus)の株から単離される細胞傷害性グリコペプチド抗生物質の混合物である、ブレオマイシンは、BLENOXANE(登録商標)として市販されている。ブレオマイシンは、扁平上皮癌、リンパ腫、および精巣癌の一時緩和治療として、単一薬剤として、または他の薬剤と組み合わせて適応がある。肺および皮膚毒性が、ブレオマイシンの最も一般的な用量制限副作用である。
トポイソメラーゼII阻害剤には、エピポドフィロトキシンが含まれるが、それらに限定されない。エピポドフィロトキシンは、マンドレイク植物に由来する期特異的抗腫瘍剤である。エピポドフィロトキシンは、典型的に、トポイソメラーゼIIおよびDNAとの三元複合体を形成することによって、細胞周期のSおよびG期における細胞に影響を及ぼして、DNA鎖切断を引き起こす。鎖切断が蓄積し、細胞死が結果として起きる。エピポドフィロトキシンの例としては、エトポシドおよびテニポシドが挙げられるが、それらに限定されない。エトポシド、すなわち4’−デメチル−エピポドフィロトキシン9[4,6−0−(R)−エチリデン−β−D−グルコピラノシド]は、注射用溶液またはカプセルとして、VePESID(登録商標)として市販されており、VP−16として一般的に知られる。エトポシドは、精巣および非小細胞肺癌の治療において、単独の薬剤として、または他の化学療法薬剤と組み合わせて適応がある。骨髄抑制がエトポシドの最も一般的な副作用である。白血球減少の発生は、血小板減少よりも重症である傾向がある。テニポシド、すなわち4’−デメチル−エピポドフィロトキシン9[4,6−0−(R)−テニリデン−β−D−グルコピラノシド]は、注射用溶液として、VUMON(登録商標)として市販されており、VM−26として一般的に知られる。テニポシドは、小児の急性白血病の治療において、単独の薬剤として、または他の化学療法薬剤と組み合わせて適応がある。骨髄抑制がテニポシドの最も一般的な用量制限副作用である。テニポシドは、白血球減少および血小板減少の両方を誘発する可能性がある。他のトポイソメラーゼII阻害剤には、エピルビシン、イダルビシン、ネモルビシン、ミトキサントロン、およびロソキサントロンが含まれる。
悪性腫瘍性代謝拮抗剤には、DNA合成を阻害することによって、またはプリンもしくはピリミジン塩基合成を阻害することによって、細胞周期のS期(DNA合成)において作用し、それによってDNA合成を制限する、期特異的抗腫瘍剤が含まれる。結果として、S期は進行せず、細胞死が結果として起きる。抗悪性腫瘍性代謝拮抗剤の例としては、フルオロウラシル、メトトレキサート、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、およびゲムシタビンが挙げられるが、それらに限定されない。5−フルオロウラシル、すなわち5−フルオロ−2,4−(1H,3H)ピリミジンジオンは、フルオロウラシルとして市販されている。5−フルオロウラシルの投与は、チミジレート合成の阻害を招き、それはまたRNAおよびDNAの両方に組み込まれる。結果は典型的に、細胞死である。5−フルオロウラシルは、***、結腸、直腸、胃、および膵臓の癌の治療において、単一薬剤として、または他の化学療法薬剤と組み合わせて適応がある。骨髄抑制および粘膜炎が、5−フルオロウラシルの用量制限副作用である。他のフルオロピリミジン類似体には、5−フルオロデオキシウリジン(フロクスウリジン)および5−フルオロデオキシウリジン一リン酸塩が含まれる。シタラビン、すなわち4−アミノ−1−β−D−アラビノフラノシル−2(1H)−ピリミジノンは、CYTOSAR−U(登録商標)として市販されており、Ara−Cとして一般的に知られる。シタラビンは、成長しているDNA鎖中にシタラビンの末端を組み込むことによりDNA鎖伸長を阻害することによって、S期における細胞期特異性を示すと考えられている。シタラビンは、急性白血病の治療において、単一薬剤として、または他の化学療法薬剤と組み合わせて適応がある。他のシチジン類似体には、5−アザシチジンおよび2’,2’−ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)が含まれる。シタラビンは、白血球減少、血小板減少、および粘膜炎を誘発する。メルカプトプリン、すなわち1,7−ジヒドロ−6H−プリン−6−チオン一水和物は、PURINETHOL(登録商標)として市販されている。メルカプトプリンは、現時点で未だに特定されていない機序によりDNA合成を阻害することによって、S期における細胞期特異性を示す。メルカプトプリンは、急性白血病の治療において、単一薬剤として、または他の化学療法薬剤と組み合わせて適応がある。骨髄抑制および胃腸粘膜炎が、高用量のメルカプトプリンの予想される副作用である。有用なメルカプトプリン類似体は、アザチオプリンである。チオグアニン、すなわち2−アミノ−1,7−ジヒドロ−6H−プリン−6−チオンは、TABLOID(登録商標)として市販されている。チオグアニンは、現時点で未だに明示されていない機序によりDNA合成を阻害することによって、S期における細胞期特異性を示す。チオグアニンは、急性白血病の治療において、単一薬剤として、または他の化学療法薬剤と組み合わせて適応がある。白血球減少、血小板減少、および貧血を含む骨髄抑制がチオグアニン投与の最も一般的な用量制限副作用である。しかしながら、胃腸の副作用が生じ、用量制限となる可能性がある。他のプリン類似体には、ペントスタチン、エリスロヒドロキシノニルアデニン、リン酸フルダラビン、およびクラドリビンが含まれる。ゲムシタビン、すなわち2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロシチジンモノヒドロクロリド(β−異性体)は、GEMZAR(登録商標)として市販されている。ゲムシタビンは、G1/S境界を通じる細胞の進行を遮断することによって、S期における細胞期特異性を示す。ゲムシタビンは、局所進行性非小細胞肺癌の治療において、シスプラチンと組み合わせて、および局所進行性膵臓癌の治療において単独で適応がある。白血球減少、血小板減少、および貧血を含む骨髄抑制がゲムシタビン投与の最も一般的な用量制限副作用である。メトトレキサート、すなわちN−[4−[[(2,4−diアミノ−6−プテリジニル)メチル]メチルアミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸は、メトトレキサートナトリウムとして市販されている。メトトレキサートは、プリンヌクレオチドおよびチミジレートの合成に必要とされるジヒドロ葉酸レダクターゼの阻害を通じてDNA合成、修復、および/または複製を阻害することによって、S期において特異的に細胞期作用を示す。メトトレキサートは、絨毛腫、髄膜性白血病、非ホジキンリンパ腫、ならびに***、頭部、頚部、卵巣、および膀胱の癌の治療において、単一薬剤として、または他の化学療法薬剤と組み合わせて適応がある。骨髄抑制(白血球減少、血小板減少、および貧血)および粘膜炎が、メトトレキサート投与の予想される副作用である。
トポイソメラーゼI阻害剤には、カンプトテシンおよびカンプトテシン誘導体等のカンプトテシンが含まれる。カンプトテシン細胞傷害性活性は、そのトポイソメラーゼI阻害活性に関連すると考えられている。カンプトテシンの例としては、イリノテカンおよびトポテカンが挙げられるが、それらに限定されない。イリノテカンHCl、すなわち(4S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−9−[(4−ピペリジノピペリジノ)カルボニルオキシ]−1H−ピラノ[3’,4’,6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオンヒドロクロリドは、注射液CAMPTOSAR(登録商標)として市販されている。イリノテカンは、カンプトテシンの誘導体であり、その活性代謝物SN−38と共に、トポイソメラーゼI−DNA複合体に結合する。細胞傷害性は、トポイソメラーゼI:DNA:イリノテカンまたはSN−38三元複合体と複製酵素との相互作用によって引き起こされる、修復不可能な2本鎖切断の結果として生じると考えられている。イリノテカンは、結腸、または直腸の転移性癌の治療に適応がある。イリノテカンHClの用量制限副作用は、好中球減少症を含む骨髄抑制および下痢を含む胃腸作用である。トポテカンHCl、すなわち(S)−10−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−エチル−4,9−ジヒドロキシ−1H−ピラノ[3’,4’,6,7]−インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14−(4H,12H)−ジオンモノヒドロクロリドは、注射液HYCAMTIN(登録商標)として市販されている。トポテカンは、カンプトテシンの誘導体であり、トポイソメラーゼI−DNA複合体に結合し、DNA分子のねじれ歪みに応答してトポイソメラーゼIによって引き起こされる1本鎖切断の再連結を防止する。トポテカンは、卵巣および小細胞肺癌の転移性癌の第2選択治療に適応がある。トポテカンHClの用量制限副作用は、骨髄抑制、主に好中球減少症である。
ホルモンおよびホルモン類似体は、ホルモンと、癌の成長および/または成長の欠如との間に関係がある癌を治療するために有用な化合物である。癌治療に有用なホルモンおよびホルモン類似体の例としては、悪性リンパ腫および小児急性白血病の治療に有用なプレドニゾンおよびプレドニゾロン等の副腎皮質ステロイド;副腎皮質癌およびエストロゲン受容体を含有するホルモン依存性乳癌の治療に有用なアミノグルテチミド、ログレチミド(roglethimide)、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、ケトコナゾール、ボラゾール、ファドロゾール、アナストロゾール、レトラゾール(letrazole)、ホルメスタン、アタメスタン、およびエクセメスタン等のアミノグルテチミドおよび他のアロマターゼ阻害剤;ホルモン依存性乳癌および子宮内膜癌の治療に有用な酢酸メゲストロール等のプロゲストリン;前立腺癌および良性前立腺肥大の治療に有用な、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロン等のエストロゲン、アンドロゲン、および抗アンドロゲン、ならびにフィナステリドおよびデュタステリド等の5α−レダクターゼ;ホルモン依存性乳癌および他の感受性の高い癌の治療に有用な、フルベストラント、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン等の抗エストロゲン、ならびに米国特許第5,681,835号、第5,877,219号、および第6,207,716号に記載されるもの等の選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERMS);ならびに前立腺癌の治療のための黄体形成ホルモン(LH)および/または卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を刺激するゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)およびその類似体、例えば、アバレリクス、ゴセレリン、酢酸ゴセレリン、およびルプロリド等のLHRHアゴニストおよびアンタゴニストが挙げられるが、それらに限定されない。SH2/SH3ドメインブロッカーは、PI3−K p85サブユニット、Srcファミリーキナーゼ、アダプター分子(Shc、Crk、Nck、Grb2)、およびRas−GAPを含む、多様な酵素またはアダプタータンパク質におけるSH2またはSH3ドメイン結合を撹乱する薬剤である。抗癌薬のための標的としてのSH2/SH3ドメインは、Smithgall,T.E.(1995),Journal of Pharmacological and Toxicological Methods.34(3)125−32で考察されている。セリン/スレオニンキナーゼの阻害剤には、キナーゼ(rafk)、マイトジェンまたは細胞外制御キナーゼ(MEK)、および細胞外制御キナーゼ(ERK)のブロッカーを含む、MAPキナーゼカスケードブロッカー;ならびにPKC(アルファ、ベータ、ガンマ、イプシロン、ミュー、ラムダ、イオタ、ゼータ)のブロッカーを含むタンパク質キナーゼCファミリーメンバーブロッカーが含まれる。IkBキナーゼファミリー(IKKa、IKKb)、PKBファミリーキナーゼ、aktキナーゼファミリーメンバー、およびTGFベータ受容体キナーゼ。かかるセリン/スレオニンキナーゼおよびその阻害剤は、Yamamoto,T.,Taya,S.,Kaibuchi,K.,(1999),JournaLのBiochemistry.126(5)799−803、Brodt,P,Samani,A.,and Navab,R.(2000),Biochemical Pharmacology,60.1101−1107、Massague,J.,Weis−Garcia,F.(1996)Cancer Surveys.27:41−64、Philip,P.A.,and Harris,A.L.L.(1995),Cancer Treatment and Research.78:3−27、Lackey,K.et al Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,(10),2000,223−226、米国特許第6,268,391号、およびMartinez−Iacaci,L.,et al,Int.J.Cancer(2000),88(1),44−52に記載される。
また、ホスホリパーゼCブロッカーおよびミオイノシトール類似体等のミオ−イノシトールシグナル伝達阻害剤も、本発明の化合物と共に使用するための対象となる。かかるシグナル阻害剤は、Powis,G.,and Kozikowski A.,(1994)New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy ed.,Paul Workman and David Kerr,CRC press 1994,Londonに記載される。
阻害剤の別の群は、Ras癌遺伝子の阻害剤等のシグナル伝達経路阻害剤である。かかる阻害剤には、ファルネシルトランスフェラーゼ、ゲラニル−ゲラニルトランスフェラーゼ、およびCAAXプロテアーゼの阻害剤、ならびにアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、および免疫療法が含まれる。かかる阻害剤は、野生型突然変異体rasを含有する細胞中のras活性化を遮断し、それによって抗増殖剤として作用することが示されている。Ras癌遺伝子阻害は、Scharovsky,O.G.,Rozados,V.R.,Gervasoni,S.I.Matar,P.(2000),Journal of Biomedical Science.7(4)292−8、Ashby,M.N.(1998),Current Opinion in Lipidology.9(2)99−102、およびBioChim.Biophys.Acta,(19899)1423(3):19−30で考察されている。
本発明は更に、外科手術、電離放射線、光力学療法、または移植を含む、他の腫瘍治療アプローチと組み合わせて、例えば、コルチコステロイド、ホルモンと共に、または放射線増感剤として使用される、化合物または薬学的組成物を使用するための方法に関する。
1つのかかるアプローチは、例えば、哺乳動物における異常な細胞成長を阻害するまたは過剰増殖性障害を治療するいくつかの態様あり得る。放射線療法を施すための技法は、当該技術分野で知られており、これらの技法は、本明細書に記載される併用療法において使用することができる。この併用療法における本発明の化合物の投与は、本明細書に記載されるように決定することができる。
放射線療法(Radiation therapy)は、限定なしに外部照射療法、内部放射線療法、組織内照射、定位放射線手術、全身放射線療法、放射線療法(radiotherapy)および半永久的または一時的な間質近接照射療法を含む、複数の方法のうちの1つ、または方法の組み合わせを通じて施すことができる。本明細書で使用されるとき、「近接照射療法」という用語は、腫瘍または他の増殖性の組織疾患部位でまたはその近くで体内に挿入された空間的に閉じ込められた放射性物質によって送達される放射線療法を指す。この用語は、限定なしに、放射性同位体(例えば、At−211、I−131、I−125、Y−90、Re−186、Re−188、Sm−153、Bi−212、P−32、およびLuの放射性同位体)への曝露を含むことが意図される。本発明の細胞調節剤として使用するのに好適な放射線源には、固体および液体の両方が含まれる。非限定的例として、放射線源は、固体源としてI−125、I−131、Yb−169、Ir−192、固体源としてI−125等の放射性核種、または光子、ベータ粒子、ガンマ線、もしくは他の治療用放射線を放出する他の放射性核種であり得る。放射性物質はまた、放射性核種(複数可)の任意の溶液、例えば、I−125もしくはI−131の溶液から作製される流体であり得るか、または放射性流体は、Au−198、Y−90等の固体放射性核種の小粒子を含有する好適な流体のスラリーを使用して生成され得る。更に、放射性核種(複数可)は、ゲルまたは放射性ミクロスフェア中で具現され得る。
いかなる理論にも制限されるものではないが、本発明の化合物は、異常な細胞を、かかる細胞を死滅させるおよび/またはかかる細胞の成長を阻害する目的のために、放射線による治療に対してより感受性にすることができる。したがって、本発明は更に、哺乳動物に、ある量の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、もしくは誘導体を投与することを含む、哺乳動物における異常な細胞を放射線による治療に対して感作するための方法に関し、その量は、異常な細胞を放射線による治療に対して感作するのに有効である。本方法における化合物、塩、または溶媒和物の量は、本明細書に記載されるかかる化合物の有効量を確認するための手段に従って決定することできる。
光力学療法は、癌を治療または予防するために、光感作性化合物として知られるある特定の化学物質を使用する療法を含む。光力学療法の例としては、例えば、VISUDYNEおよびポルフィマーナトリウム等の化合物での治療が挙げられる。血管新生抑制ステロイドには、例えば、アネコルタブ、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、11−α−エピヒドロコルチゾール、コルテキソロン、17α−ヒドロキシプロゲステロン、コルチコステロン、デスオキシコルチコステロン、テストステロン、エストロン、およびデキサメタゾン等の、血管新生を遮断または阻害する化合物が含まれる。
コルチコステロイドを含有する埋め込み物には、例えば、フルオシノロンおよびデキサメタゾン等の化合物が含まれる。他の化学療法化合物には、植物アルカロイド、ホルモン化合物、およびアンタゴニスト;生体応答修飾物質、好ましくはリンフォカインまたはインターフェロン;アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体;shRNAまたはsiRNA;あるいはその他の化合物または他のもしくは未知の機序を有する化合物が含まれるが、それらに限定されない。
本発明の化合物または薬学的組成物は、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤、および抗増殖剤から選択される、ある量の1つ以上の物質と併用することができる。
MMP−2(マトリックス−メタロプロテイナーゼ2)阻害剤、MMP−9(マトリックス−メタロプロテイナーゼ9)阻害剤、およびCOX−11(シクロオキシゲナーゼ11)阻害剤等の抗血管新生剤を、本明細書に記載される本発明の化合物および薬学的組成物と併用することができる。有用なCOX−II阻害剤の例としては、CELEBREX(商標)(アレコキシブ)、バルデコキシブ、およびロフェコキシブが挙げられる。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、国際公開第96/33172号(1996年10月24日公開)、国際公開第96/27583号(1996年3月7日公開)、欧州特許出願第97304971.1号(1997年7月8日出願)、欧州特許出願第99308617.2号(1999年10月29日出願)、国際公開第98/07697号(1998年2月26日公開)、国際公開第98/03516号(1998年1月29日公開)、国際公開第98/34918号(1998年8月13日公開)、国際公開第98/34915号(1998年8月13日公開)、国際公開第98/33768号(1998年8月6日公開)、国際公開第98/30566号(1998年7月16日公開)、欧州特許公開第606,046号(1994年7月13日公開)、欧州特許公開第931,788号(1999年7月18日公開)、国際公開第90/05719号(1990年5月31日公開)、国際公開第99/52910号(1999年10月21日公開)、国際公開第99/52889号(1999年10月21日公開)、国際公開第99/29667号(1999年6月17日公開)、PCT国際出願第PCT/IB98/01113号(1998年7月21日出願)、欧州特許出願第99302232.1号(1999年3月25日出願)、英国特許出願第9912961.1号(1999年6月3日出願)、米国仮出願第60/148,464号(1999年8月12日出願)、米国特許第5,863、949号(1999年1月26日発行)、米国特許第5,861,510号(1999年1月19日発行)、および欧州特許公開第780,386号(1997年6月25日公開)に記載され、それらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。幾つかの実施形態において、MMP−2およびMMP−9阻害剤は、MMP−1を阻害する活性をほとんどまたは全く有しないか、あるいはその他のマトリックス−メタロプロテアーゼ(すなわち、MAP−1、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、MMP−10、MMP−11、MMP−12、およびMMP−13)と比べて、MMP−2および/またはAMP−9を選択的に阻害する。本発明において有用なMMP阻害剤の幾つかの具体的例は、AG−3340、RO32−3555、およびRS13−0830である。
本発明はまた、ある量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、もしくは誘導体、または同位体標識された誘導体を含む、哺乳動物における心血管疾患を治療する方法および哺乳動物における心血管疾患を治療する薬学的組成物、ならびに心血管疾患の治療のための、ある量の1つ以上の治療剤の使用に関する。
心血管疾患適用において使用するための例となる薬剤は、抗血栓剤、例えば、プロスタサイクリンおよびサリチル酸、血栓溶解剤、例えば、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、およびアニソイル化プラスミノーゲン−ストレプトキナーゼ活性化因子複合体(APSAC)、抗血小板剤、例えば、アセチル−サリチル酸(ASA)およびクロピドロゲル(clopidrogel)、血管拡張剤、例えば、硝酸塩、カルシウムチャネル遮断薬、抗増殖剤、例えば、コルヒチンおよびアルキル化剤、インターカレート剤、インターロイキン等の成長調節因子、トランスフォーミング成長因子−ベータおよび血小板由来成長因子の同類物、成長因子に対して向けられたモノクローナル抗体、抗炎症剤、ステロイド性および非ステロイド性の両方、ならびに血管緊張、機能、動脈硬化症、および介入後の血管または臓器損傷に対する治癒反応を調節することができる他の薬剤である。抗生物質はまた、組み合わせでまたは本発明によって含まれるコーティング内に含まれてもよい。更に、コーティングを使用して、血管壁内に限局して治療薬送達を達成することができる。活性剤を膨潤性ポリマー中に組み込むことによって、活性剤は、ポリマーの膨潤時に放出されることになる。
本明細書に記載される化合物は、滑沢剤としても知られる液体または固体組織障壁と併せて製剤化または投与されてもよい。組織障壁の例としては、多糖類、ポリグリカン、セプラフィルム、インターシード、およびヒアルロン酸が挙げられるが、それらに限定されない。
本明細書に記載される化合物と任せて投与され得る薬には、吸入によって有用に送達される任意の好適な薬物、例えば、鎮痛剤、例えば、コデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニル、もしくはモルヒネ;狭心症用調製物、例えば、ジルチアゼム;抗アレルギー薬、例えば、クロモグリケート、ケトチフェン、もしくはネドクロミル;抗感染薬、例えば、セファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン、もしくはペンタミジン;抗ヒスタミン剤、例えば、メタピリレン;抗炎症薬、例えば、ベクロメタゾン、フルニソリド、ブデソニド、チプレダン、トリアムシノロンアセトニド、もしくはフルチカゾン;鎮咳剤、例えば、ノスカピン;気管支拡張剤、例えば、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール、ホルモテロール、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニルエフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、サルブタモール、サメテロール、テルブタリン、イソエタリン、ツロブテロール、オルシプレナリン、もしくは(−)−4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−[[[6−[2−(2−ピリジニル)エトキシ]ヘキシル]−アミノ]メチル]ベンゼンメタノール;利尿剤、例えば、アミロライド;抗コリン作動薬、例えば、イプラトロピウム、アトロピン、もしくはオキシトロピウム;ホルモン剤、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、もしくはプレドニゾロン;キサンチン、例えば、アミノフィリン、コリンテオフィリネート、リジンテオフィリネート、もしくはテオフィリン;ならびに治療用タンパク質およびペプチド、例えば、インスリンもしくはグルカゴンが含まれる。適切な場合、薬の活性および/または安定性を最適化するために、薬が塩の形態(例えば、アルカリ金属もしくはアミン塩として、または酸付加塩として)で、またはエステル(例えば、低級アルキルエステル)として、または溶媒和物(例えば、水和物)として使用され得ることは当業者には明白であろう。
併用療法に有用な他の例となる治療剤には、上述の薬剤、放射線療法、ホルモンアンタゴニスト、ホルモンおよびそれらの放出因子、甲状腺および抗甲状腺薬、エストロゲンおよびプロゲスチン、アンドロゲン、副腎皮質刺激ホルモン;副腎皮質ステロイドおよびそれらの合成類似体;副腎皮質ホルモンの合成および作用の阻害剤、インスリン、経口血糖降下剤、および膵臓内分泌部の薬理、石灰化および骨代謝に影響を及ぼす薬剤:カルシウム、リン酸塩、副甲状腺ホルモン、ビタミンD、カルシトニン、水溶性ビタミン、ビタミンB複合体、アスコルビン酸、脂溶性ビタミン、ビタミンA、K、およびE等のビタミン、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、ムスカリン受容体アゴニストおよびアンタゴニスト;抗コリンエステラーゼ薬剤;神経筋接合部および/または自律神経節で作用する薬剤;カテコールアミン、交感神経模倣薬、およびアドレナリン受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト;ならびに5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT、セロトニン)受容体アゴニストおよびアンタゴニストが含まれるが、それらに限定されない。
治療剤はまた、ヒスタミンおよびヒスタミンアンタゴニスト、ブラジキニンおよびブラジキニンアンタゴニスト、5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)、膜リン脂質の選択的加水分解の産物の生体内変換によって生成される脂質物質、エイコサノイド、プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエンス、アスピリン、非ステロイド性抗炎症剤、鎮痛−解熱剤、プロスタグランジンおよびトロンボキサンの合成を阻害する薬剤、誘導型シクロオキシゲナーゼの選択的阻害剤、誘導型シクロオキシゲナーゼ−2の選択的阻害剤、オータコイド、傍分泌ホルモン、ソマトスタチン、ガストリン、体液性および細胞性免疫反応に関与する相互作用を媒介するサイトカイン、脂質由来オータコイド、エイコサノイド、β−アドレナリン作動性アゴニスト、イプラトロピウム、糖質コルチコイド、メチルキサンチン、ナトリウムチャネルブロッカー、オピオイド受容体アゴニスト、カルシウムチャネルブロッカー、膜安定化物質およびロイコトリエン阻害剤等の、疼痛および炎症に対する薬剤を含むことができる。
本明細書において企図される更なる治療剤には、利尿剤、バソプレッシン、腎臓の水保持能に影響を及ぼす薬剤、レンニン、アンジオテンシン、心筋虚血症の治療に有用な薬剤、降圧剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β−アドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、高コレステロール血症の治療のための薬剤、および脂質代謝異常の治療のための薬剤が含まれる。
企図される他の治療剤には、胃酸度の調節に使用される薬物、消化性潰瘍の治療のための薬剤、胃食道逆流病の治療のための薬剤、運動促進剤、鎮吐剤、過敏性腸症候群に使用される薬剤、下痢に使用される薬剤、便秘に使用される薬剤、炎症性腸疾患に使用される薬剤、胆道疾患に使用される薬剤、膵臓疾患に使用される薬剤が含まれる。原虫感染症を治療するために使用される治療剤、マラリア、アメーバ症、ジアルジア症、トリコモナス症、トリパノゾーマ病、および/もしくはリーシュマニア症を治療するために使用される薬物、ならびに/または蠕虫症の化学療法において使用される薬物。他の治療剤には、抗菌剤、スルホンアミド、トリメトプリム−スルファメトキサゾールキノロン、および***症に対する薬剤、ペニシリン、セファロスポリン、およびその他、β−ラクタム抗生物質、アミノグリコシドを含む薬剤、タンパク質合成阻害剤、結核、マイコバクテリウムアビウム複合疾患、およびハンセン病の化学療法において使用される薬物、抗真菌剤、非レトロウイルス剤および抗レトロウイルス剤を含む抗ウイルス薬剤が含まれる。
主題化合物と組み合わせることができる治療用抗体の例としては、抗受容体チロシンキナーゼ抗体(セツキシマブ、パニツムマブ、トラスツズマブ)、抗CD20抗体(リツキシマブ、トシツモマブ)、ならびにアレムツズマブ、ベバシズマブ、およびゲムツズマブ等の他の抗体が挙げられるが、それらに限定されない。
更に、免疫調節物質、免疫抑制剤、寛容原、および免疫刺激薬等の、免疫調節に使用される治療剤が本明細書における方法によって企図される。加えて、血液および造血臓器に対して作用する治療剤、造血薬剤、成長因子、ミネラル、およびビタミン、抗凝血剤、血栓溶解剤、および抗血小板薬。
主題化合物と組み合わせることができる更なる治療剤は、GoodmanおよびGilman著、Hardman、Limbird、およびGilman編集、第10版「The Pharmacological Basis of Therapeutics」ならびに医師用添付文書集に見出され得、それらの両方は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載される化合物は、治療されている病態に応じて、本明細書に開示される薬剤または他の好適な薬剤と併用することができる。したがって、幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、上述の他の薬剤と共投与されるであろう。併用療法で使用される場合、本明細書に記載される化合物は、第2の薬剤と共に、同時にまたは別個に投与されてもよい。この組み合わせた投与は、同じ剤形の2つの薬剤の同時投与、別個の剤形の同時投与、および別個の投与を含んでもよい。つまり、本明細書に記載される化合物、および上述の薬剤のいずれもが、同じ剤形として一緒に製剤化され、同時に投与されてもよい。代替的に、本発明の化合物および上述の薬剤のいずれかが同時に投与されてもよく、ここで両方の薬剤は、別個の製剤中に存在する。別の代替手段では、本発明の化合物が投与され、続いて即座に上述の薬剤のいずれかが投与されるか、またはその逆であってもよい。別個の投与プロトコルでは、本発明の化合物および上述の薬剤のいずれかは、数分間おいて、または数時間おいて、または数日間おいて投与されてもよい。
本発明の化合物の投与は、作用部位への化合物の送達を可能にする任意の方法によって達成することができる。有効量の本発明の化合物は、単回または複数回のいずれかの用量で、直腸、頬側、鼻腔内、および経皮経路を含む、同様の実用性を有する薬剤の許容される投与様式のいずれかによって、動脈内注射によって、静脈内に、腹腔内に、非経口で、筋肉内に、皮下に、経口で、局所的に、吸入剤として、または例えば、ステント等の浸漬もしくはコーティングされたデバイス、あるいは動脈挿入型円筒ポリマーを介して、投与されてもよい。
投与される化合物の量は、治療されている哺乳動物、障害または病態の重症度、投与速度、化合物の動態、および処方医師の裁量に依存するであろう。しかしながら、有効な投薬は、単回または分割用量で、1日につき体重1kg当たり約0.001〜約100mg、好ましくは約1〜約35mg/kg/日の範囲にある。70kgのヒトに対しては、この量は、約0.05〜7g/日、好ましくは約0.05〜約2.5g/日になろう。幾つかの事例では、前述の範囲の下限を下回る投薬量レベルで十分であり得るが、他の実例では、更なる多用量が、例えば1日を通して投与するためにかかる多用量を複数の少用量に分割することによって、いかなる有害な副作用も引き起こすことなく用いられ得る。
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、単回用量で投与される。典型的に、かかる投与は、薬剤を迅速に導入するために注射によって、例えば、静脈内注射によって行われるであろう。しかしながら、他の経路が適宜使用されてもよい。本発明の化合物の単回用量はまた、急性病態の治療のために使用されてもよい。
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、複数回用量で投与される。投薬は、1日当たり約1回、2回、3回、4回、5回、6回、または6回より多くてもよい。投薬は、1カ月1回、2週間に1回、週1回、または1日おきに1回であってもよい。別の実施形態において、本発明の化合物および別の薬剤は、1日当たり約1回〜1日当たり約6回、一緒に投与される。別の実施形態において、本発明の化合物および薬剤の投与は、約7日未満継続する。なおも別の実施形態において、投与は、約6日を超えて、10日を超えて、14日を超えて、28日を超えて、2カ月を超えて、6カ月を超えて、または1年を超えて継続する。幾つかの実例では、連続投薬は、必要な限り達成および維持される。
本発明の薬剤の投与は、必要な限り継続されてもよい。幾つかの実施形態において、本発明の薬剤は、1日を超えて、2日を超えて、3日を超えて、4日を超えて、5日を超えて、6日を超えて、7日を超えて、14日を超えて、または28日を超えて投与される。幾つかの実施形態において、本発明の薬剤は、28日未満、14日未満、7日未満、6日未満、5日未満、4日未満、3日未満、2日未満、または1日未満にわたって投与される。幾つかの実施形態において、本発明の薬剤は、例えば、慢性効果のある治療のために、継続的に慢性的に投与される。
本発明の化合物が、1つ以上の薬剤を含む組成物として投与され、その薬剤が、本発明の化合物よりも短い半減期を有する場合、その薬剤および本発明の化合物の単位剤形は、それに応じて調整されてもよい。
幾つかの実施形態では、本発明の化合物は、薬物動態特性および予想される副作用プロフィールを推定するために試験される。この目的のために、種々のアッセイが当該技術分野で既知である。例えば、経口アベイラビリティは、Caco−2透過性アッセイを行うことによって、薬物開発の早期中に推定することができる。更に、ヒトにおける経口薬物動態は、マウス、ラット、またはサルにおけるアッセイの結果から外挿することによって、概算することができる。幾つかの実施形態では、本発明の化合物は、生物の複数の種にわたって良好な経口アベイラビリティを示す。
他のアッセイは、肝臓機能および代謝に対する薬物候補の効果を検査する。シトクロムP450(CYP)タンパク質は、哺乳類生物に投与される薬物を代謝することに関与する、主要な酵素である。したがって、薬物候補の所望されない相互作用は、有害な薬物相互作用の重大な源であり得る。一般に、薬物は、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、またはCYP3A4等のCYPアイソザイムと相互作用しないことが望ましい。幾つかの実施形態では、本発明の化合物は、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、またはCYP3A4について10μM超のIC50を示す。更に、ヒト調製物を使用する肝臓ミクロソームおよび肝細胞代謝アッセイを使用して、薬物候補の体外半減期を推定することができる。
心毒性もまた、薬物候補を評価することにおいて重要な考慮事項である。例えば、hERGは、Kv11.1カリウムイオンチャネルをコードする遺伝子であり、タンパク質が、心臓における活動電位の再分極電流を媒介することに関与する。薬物候補によるhERG遺伝子産物の阻害は、突然死の危険性の増加をもたらす可能性があり、したがって望ましくない特性である。幾つかの実施形態では、本発明の化合物は、好適な濃度で投与されるとき、10%未満のhERG阻害を示す。
薬物候補化合物の突然変異原性は、Ames試験または改変Ames試験を介して、例えば、肝S9系を使用してアッセイすることができる。幾つかの実施形態では、本発明の化合物は、かかる試験において負の活性を示す。
薬物候補の他の所望されない相互作用はまた、受容体パネルスクリーンを介して確認することができる。幾つかの実施形態では、本発明の化合物について、有意な相互作用は何ら検出されない。
下に提供される実施例および調製物は、本発明の化合物およびかかる化合物を調製する方法を更に例示説明および例を提示する。本発明の範囲は次の実施例および調製物の範囲によって決して限定されないことを理解されたい。次の実施例では、単一のキラル中心を有する分子は、別途注記のない限り、ラセミ混合物として存在する。2つ以上のキラル中心を有する分子は、別途注記のない限り、ジアステレオマーのラセミ混合物として存在する。単一の鏡像異性体/ジアステレオマーは、当業者に既知の方法によって得ることができる。
実施例1:5−(7−(3−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−アミンの合成
実施例1a:3−ブロモ−1,5−ナフチリジン(C−2)の合成
Figure 2014534264

1,5−ナフチリジン(C−1)(50.0g、384mmol、1.0当量)および酢酸ナトリウム(62.9g、768mmol、2.0当量)の、攪拌した80℃の酢酸(300mL)中混合物に、臭素(67.5g、422mmol、1.1当量)の酢酸(80mL)中溶液を、反応温度を80℃〜90℃に維持しながら滴加した。80℃で2時間攪拌した後、TLC分析に基づいて反応が完了した。結果として生じた混合物を室温まで冷却し、次いで濾過した。濾液を真空下で濃縮し、残渣を、シリカゲル(0〜30%酢酸エチル−石油エーテル(petroether))上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、淡黄色の固体として所望の生成物3−ブロモ−1,5−ナフチリジン(C−2)(36.5g、収率45%)を得た。H NMR(300MHz、CDCl−d6)δ:8.97(m、2H)、8.57(s、1H)、8.37(d、J=8.4Hz、1H)、7.65(m、1H);ESI−MSm/z:208.96[M+H]
実施例1b:3−ブロモ−1,5−ナフチリジン−5−オキシド(C−3)の合成
Figure 2014534264

3−ブロモ−1,5−ナフチリジン(C−2)(35.6g、170mmol、1.0当量)の、攪拌した0℃のジクロロメタン(300mL)中溶液に、m−クロロ過安息香酸(35.27g、204mmol、1.2当量)を数回に分けて添加した。結果として生じた混合物を室温で1時間攪拌した。TLC分析に基づいて反応が完了した。反応混合物を飽和NaSO溶液および飽和NaHCO溶液で順次洗浄し、次いでブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮し、残渣を、シリカゲル(1〜5%MeOH−DCM)上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物3−ブロモ−1,5−ナフチリジン−5−オキシド(C−3)(28.35g、収率74%)を得た。H NMR(300MHz、CDCl−d6)δ:9.21(s、1H)、9.01(s、1H)、8.52(d、J=6.3Hz、1H)、7.96(d、J=8.7Hz、1H)、7.53(m、1H);ESI−MSm/z:208.10[M+H]
実施例1c:7−ブロモ−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−4)の合成
Figure 2014534264

3−ブロモ−1,5−ナフチリジン−5−オキシド(C−3)(70.0g、311mmol、1.0当量)および4−トルオールスルホニルクロリド(71.16g、373mmol、1.2当量)の、CHCl(1200mL)中混合物に、炭酸カリウム(146g、1056mmol、3.4当量)の、HO(500mL)中溶液を室温で添加した。結果として生じた混合物を一晩攪拌し、HO(500mL)で希釈した。固体を濾過によって収集し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、所望の生成物7−ブロモ−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−4)(28.8g、収率41.2%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d6)δ:11.90(bs、1H)、8.51(s、1H)、7.88(d、J=9.6Hz、1H)、7.81(s、1H)、6.74(d、J=9.6Hz、1H);ESI−MSm/z:225.1[M+H]
実施例1d:1−(4−メトキシベンジル)−7−ブロモ−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−5)の合成
Figure 2014534264

7−ブロモ−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−4)(29g、128.9mmol、1.0当量)の、攪拌したDMF(200mL)中溶液に、水素化ナトリウム(鉱物油中60%、7.73g、193.3mmol、1.5当量)を室温で数回に分けて添加し、混合物を30〜40℃で1時間攪拌した。1−(クロロメチル)−4−メトキシベンゼン(30.28g、193.3mmol、1.5当量)を滴加した。結果として生じた混合物を30〜40℃で一晩攪拌し、水(500mL)で反応停止処理し、酢酸エチル(5×200mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮し、残渣を、シリカゲル(10〜50%酢酸エチル/石油エーテル)上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色の固体として所望の生成物、1−(4−メトキシベンジル)−7−ブロモ−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−5)(20.2g、収率45.4%)を得た。H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ:8.61(s、1H)、8.15(s、1H)、8.00(d、J=10Hz、1H)、7.18(d、J=8.4Hz、2H)、7.02(d、J=9.6Hz、1H)、6.89(d、J=8.8Hz、2H)、5.45(s、2H)、3.71(s、3H);ESI−MSm/z:345.1[M+H]
実施例1e.1−(4−メトキシベンジル)−7−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−6)の合成
Figure 2014534264

1−(4−メトキシベンジル)−7−ブロモ−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−5)(8.1g、23.46mmol、1.0当量)、アゼチジン−3−オール塩酸塩(3.08g、28.15mmol、1.2当量)、Pd(dba)(429mg、0.47mmol、0.02当量)、キサントホス(407mg、0.7mmol、0.03当量)、およびCsCO(19.87g、61mmol、2.6当量)の、1,4−ジオキサン(100mL)中の混合物を、アルゴン雰囲気下で、還流温度で一晩加熱し、次いで冷却および濾過し、フィルターケーキを酢酸エチルで洗浄し、組み合わせた濾液を真空下で濃縮し、残渣を、シリカゲル(1〜5%MeOH−DCM)上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、1−(4−メトキシベンジル)−7−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−6)(7.2g、収率91%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d6)δ:7.76(m、2H)、7.17(d、J=8.7Hz、2H)、6.84(d、J=8.7Hz、2H)、8.53(m、2H)、5.68(d、J=6.3Hz、1H)、5.34(s、2H)、4.56(m、1H)、4.13(m、2H)、3.66(s、3H)、3.59(m、2H);ESI−MSm/z:338.1[M+H]
実施例1f:1−(4−メトキシベンジル)−7−(3−オキソアゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−7)の合成
Figure 2014534264

1−(4−メトキシベンジル)−7−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−6)(2.637g、7.81mmol、1.0当量)の、DMSO(30mL)中混合物に、EtN(9mL、64.82mmol、8.3当量)、およびピリジン三酸化硫黄(8.71g、54.7mmol、7.0当量)のDMSO(30mL)中溶液を順次添加した。結果として生じた混合物を室温で1時間攪拌した。TLC分析に基づいて反応が完了した。混合物を氷水(100mL)中に注ぎ、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮し、残渣を、シリカゲル(1:1〜1:3石油エーテル/酢酸エチル、次いで80:1DCM/MeOH)上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、淡色の固体として所望の生成物1−(4−メトキシベンジル)−7−(3−オキソアゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−7)(2.6g、収率99%)を得た。HNMR(300MHz、DMSO−d6)δ:7.93(s、1H)、7.82(d、J=9.6Hz、1H)、7.21(d、J=9Hz、2H)、6.84(m、3H)、6.60(d、J=9.6Hz、1H)、5.37(s、2H)、4.79(s、4H)、3.65(s、3H);ESI−MSm/z:336.1[M+H]
実施例1g:1−(4−メトキシベンジル)−7−(3−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−8)の合成
Figure 2014534264

1−(4−メトキシベンジル)−7−(3−オキソアゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−7)(5.796g、17.3mmol、1.0当量)および1−イソプロピルピペラジン(4.432g、34.6mmol、2.0当量)の、DCM(150mL)および酢酸(0.5mL)中の混合物を、還流温度で3時間加熱し、次いでNaBH(OAc)(7.33g、34.6mmol、2.0当量)を部分量に分けて添加し、結果として生じた混合物を一晩還流状態に保った。反応体混合物を冷却し、HO(300mL)で希釈し、DCM(4×100mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮し、残渣を、シリカゲル(2〜5%MeOH−DCM)上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、淡色の固体として所望の生成物1−(4−メトキシベンジル)−7−(3−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−8)(5.6g、収率72.3%)を得た。H NMR(300MHz、CDCl−d6)δ:7.83(d、J=7.5Hz、1H)、7.78(s、1H)、7.15(d、J=6.9Hz、2H)、6.85(d、J=6.6Hz、2H)、6.72(d、J=7.2Hz、1H)、6.37(s、1H)、5.40(s、2H)、4.02(m、2H)、3.78(m、5H)、3.67(m、1H)、3.51(m、1H)、3.42(m、1H)、2.97(m,1H)、2.80(m、4H)、2.55(m、2H)、1.17(d、J=4.8Hz、6H);ESI−MSm/z:448.3[M+H]
実施例1h:7−(3−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−9)の合成
Figure 2014534264

1−(4−メトキシベンジル)−7−(3−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−8)(5.6g、12.5mmol、1.0当量)をTFA(100mL)中に溶解させ、結果として生じた混合物を還流状態で16時間攪拌した。TLC分析に基づいて反応が完了した。混合物を室温まで冷却し、真空下で濃縮して、TFAを除去した。結果として生じた懸濁液を水(200mL)で希釈し、温度を0℃より低く保ちながら、炭酸ナトリウムで中和して、pH値を8〜9に調整した。結果として生じた混合物を室温で30分間攪拌した。固体を濾過によって収集し、水(2×50mL)ですすぎ、真空下で乾燥させて、白色の固体として所望の生成物7−(3−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−9)(3.91g、収率95.7%)を得た。ESI−MSm/z:328.2[M+H]
実施例1i:2−クロロ−7−(3−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン(C−10)の合成
Figure 2014534264

7−(3−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−9)(5.346g、16.3mmol、1.0当量)を、POCl(100mL)中に溶解させ、結果として生じた混合物を還流状態で30分間攪拌した。TLC分析に基づいて反応が完了した。次いで混合物を室温まで冷却し、真空下で濃縮して、POClを除去した。残渣を氷水(500mL)中に注ぎ、温度を0℃より低く保ちながら、飽和NaCO水溶液で中和して、pH値を8〜9に調整した。混合物を室温で30分間攪拌した。残渣をDCM(4×200mL)で抽出し、組み合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮し、残渣を、シリカゲル(2〜7%MeOH−DCM)上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物2−クロロ−7−(3−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン(C−10)(1.9g、収率33.7%)を得た。ESI−MSm/z:346.14[M+H]
実施例1j:5−(7−(3−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−アミン(72)の合成
Figure 2014534264

2−クロロ−7−(3−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン(C−10)(220mg、0.636mmol、1.0当量)、2−アミノベンゾ[d]オキサゾール−5−イルボロン酸(135mg、0.763mmol、1.2当量)、Pd(PPh(73mg、0.06mmol、0.1当量)、およびNaCO(202mg、1.908mmol、3.0当量)の混合物を、1,4−ジオキサン(30mL)および水(9mL)の混合物中に溶解させた。結果として生じた混合物を脱気し、アルゴンで3回バックフィルし、アルゴン雰囲気下で、還流状態で2時間加熱した。TLC分析に基づいて反応が完了した。混合物を真空下で濃縮し、残渣を、シリカゲル(1:5 MeOH−DCM)上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物5−(7−(3−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−アミン(72)(120mg、収率42.5%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d6)δ:8.35(s、1H)、8.20(d、J=8.7Hz、1H)、8.02(s、1H)、7.98(d、J=8.4Hz、1H)、7.87(d、J=6.3Hz、1H)、7.48(s、2H)、7.42(d、J=8.1Hz、1H)、7.08(s、1H)、4.12(m、2H)、3.85(m、2H)、3.36(m、1H)、3.23(m、4H)、2.47(m、1H)、2.37(m、4H)、0.95(d、J=6.9Hz、6H);ESI−MSm/z:444.21[M+H]
実施例2:2−アミノ−1−(4−(6−(2−アミノベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)−1,5−ナフチリジン−3−イル)ピペラジン−1−イル)−2−メチルプロパン−1−オンの合成
実施例2a:tert−ブチル1,5−ナフチリジン−3−イルカルバメート(D−12)の合成
Figure 2014534264

3−ブロモ−1,5−ナフチリジン(C−2)(4.181g、20.0mmol、1.0当量)の、1,4−ジオキサン(100mL)中溶液に、tert−ブチルカルバメート(2.812g、24.0mmol、1.2当量)、炭酸セシウム(9.132g、28.0mmol、1.4当量)、トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム(183mg、0.20mmol、0.01当量)、およびキサントホス(347mg、0.60mmol、0.03当量)を添加した。混合物をアルゴン雰囲気下で、還流状態で16時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却した後、それを水(300mL)で希釈し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮した。結果として生じた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(15〜25%酢酸エチル−石油エーテル)によって精製して、黄色の油として所望の生成物、tert−ブチル1,5−ナフチリジン−3−イルカルバメート(D−12)(4.047g、収率82.5%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d6)δ:10.02(bs、1H)、8.94(s、1H)、8.87(m、1H)、8.47(s、1H)、8.28(d、J=8.4Hz、1H)、7.58(m、1H)、1.49(s、9H);ESI−MSm/z:246.10[M+H]
実施例2b:1,5−ナフチリジン−3−アミン(D−13)の合成
Figure 2014534264

tert−ブチル1,5−ナフチリジン−3−イルカルバメート(D−12)(4.040g、16.5mmol、1.0当量)の、メタノール(24mL)中溶液に、濃縮塩酸(36.5%、10mL、120mmol、7.27当量)を添加した。結果として生じた混合物を50℃で2時間攪拌した。TLC分析に基づいて反応が完了した。混合物を減圧下で濃縮して、所望の生成物1,5−ナフチリジン−3−アミン(D−13)を得、それを更に精製することなく次の反応のために使用した。HNMR(300MHz、DMSO−d6)8.85(m、1H)、8.77−8.75(m、2H),7.63−7.69(m、1H)、7.4(d、J=1.8Hz、1H);ESI−MSm/z:146.10[M+H]
実施例2c:3−ヨード−1,5−ナフチリジン(D−14)の合成
Figure 2014534264

1,5−ナフチリジン−3−アミン(D−13)(16.5mmol、1.0当量)の、HO(150mL)中溶液に、濃縮HCl(36.5%、7mL、84mmol、5.0当量)を0〜5℃で緩徐に添加した。結果として生じた混合物を0〜5℃で15分間攪拌し、亜硝酸ナトリウム(1.252g、18.1mmol、1.1当量)のHO(5mL)中溶液を、0〜5℃で滴加し、1時間攪拌した。次いで上の溶液を、KI(8.217g、49.5mmol、3当量)のHO(100mL)中溶液に添加し、結果として生じた混合物を60℃で1時間攪拌した。溶液を室温まで冷却した後、固体NaSO(4.0g)を添加した。混合物を固体NaCOで中和して、pH値を7〜8に調整し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。組み合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮して、固体として所望の生成物3−ヨード−1,5−ナフチリジン(D−14)(2.758g、収率65.3%、2ステップ)を得た。H NMR(300MHz、CDCl3−d6)δ:9.1(d、J=2.1Hz、1H)、8.95(dd,J=4.2Hz,J=1.5Hz、1H)、8.80(d、J=1.2Hz、1H)、8.35(d、J=8.4Hz、1H)、7.63−7.67(m、1H);ESI−MSm/z:256.96[M+H]
実施例2d:7−ヨード−1,5−ナフチリジン1−オキシド(D−15)の合成
Figure 2014534264

3−ヨード−1,5−ナフチリジン(D−14)(2.750g、10.7mmol、1.0当量)の、CHCl(30mL)中溶液に、3−クロロペルオキシ安息香酸(2.780g、16.1mmol、1.5当量)を添加した。結果として生じた混合物を室温で2時間攪拌した後、飽和炭酸ナトリウム溶液(50mL)を添加し、CHCl(10×30mL)で抽出した。組み合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮した。結果として生じた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(50%EA−PE)によって精製して、固体として所望の生成物7−ヨード−1,5−ナフチリジン1−オキシド(D−15)(1.574g、収率54%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl−d6)δ:9.45(dd,J=2.0Hz,J=0.8Hz、1H)、9.18(d、J=2.5Hz、1H)、8.54(d、J=6.0Hz、1H)、7.98(d、J=8.8Hz、1H)、7.59−7.55(m、1H);ESI−MSm/z:272.95[M+H]
実施例2e:7−ヨード−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(D−16)の合成
Figure 2014534264

7−ヨード−1,5−ナフチリジン1−オキシド(D−15)(1.570g、5.77mmol、1.0当量)の、クロロホルム(30mL)中溶液に、p−トルエンスルホニルクロリド(1.210g、6.35mmol、1.1当量)、炭酸カリウム(2.711g、19.5mmol、3.4当量)、および水(10mL)を添加した。室温で16時間攪拌した後、反応混合物を水(50mL)で希釈し、濾過して、白色の固体として所望の生成物7−ヨード−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(D−16)(740mg、47.1%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d6)δ:8.60(s、1H)、7.98(d、J=1.8Hz、1H)、7.85(d、J=9.9Hz、1H)、6.72(d、J=9.9Hz、1H);ESI−MSm/z:272.97[M+H]
実施例2f:2−クロロ−7−ヨード−1,5−ナフチリジン(D−17)の合成
Figure 2014534264

7−ヨード−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(D−16)(740mg、2.72mmol、1.0当量)を、POCl(10mL)中に溶解させ、次いで還流状態で1時間加熱した。TLC分析に基づいて反応が完了した。反応混合物を真空下で濃縮し、氷水(30mL)中に注ぎ、飽和炭酸ナトリウム溶液(約30mL)で中和して、pH値を8〜9に調整した。混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブラインで洗浄し(50mL)、NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮した。結果として生じた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5〜10%酢酸エチル/石油エーテル)によって精製して、固体として所望の生成物、2−クロロ−7−ヨード−1,5−ナフチリジン(D−17)(715mg、90.5%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl−d6)δ:9.13(d、J=2.0Hz、1H)、8.74(d、J=1.6Hz、1H)、8.33(d、J=8.8Hz、1H)、7.66(d、J=8.8Hz、1H);ESI−MSm/z:290.93[M+H]
実施例2g:tert−ブチル4−(6−クロロ−1,5−ナフチリジン−3−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート(D−18)の合成
Figure 2014534264

2−クロロ−7−ヨード−1,5−ナフチリジン(D−17)(586mg、2.02mmol、1.0当量)の、1,4−ジオキサン(20mL)中溶液に、tert−ブチルピペラジン−1−カルボキシレート(372mg、2.00mmol、1.0当量)、炭酸セシウム(922mg、2.83mmol、1.4当量)、トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム(37mg、0.04mmol、0.02当量)、およびキサントホス(35mg、0.06mmol、0.03当量)を添加した。混合物をアルゴン雰囲気下で、還流状態で16時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、それを水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブラインで洗浄し(50mL)、NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮した。結果として生じた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(15%酢酸エチル/石油エーテル)によって精製して、黄色の油として所望の生成物、tert−ブチル4−(6−クロロ−1,5−ナフチリジン−3−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート(D−18)(207mg、収率29.4%)を得た。H NMR(300MHz、CDCl−d6)δ:8.79(d、J=2.7Hz、1H)、8.16(d、J=8.7Hz、1H)、7.43(d、J=2.7Hz、1H)、7.36(d、J=8.7Hz、1H),3.64(m、4H)、3.34(m、4H)、1.49(s、9H);ESI−MSm/z:349.13[M+H]
実施例2h:2−クロロ−7−(ピペラジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン(D−19)の合成
Figure 2014534264


アセチルクロリド(4.3mL、60.5mmol)を、0℃のMeOH(11mL)に添加し、結果として生じた溶液を0℃で30分間攪拌した。この溶液に、tert−ブチル4−(6−クロロ−1,5−ナフチリジン−3−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート(D−18)(207mg、0.59mmol、1.0当量)を添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。TLC分析に基づいて反応が完了した。混合物を真空下で濃縮して、所望の生成物2−クロロ−7−(ピペラジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン(D−19)を得、それを更に精製することなく次の反応のために使用した。H NMR(300MHz、DMSO−d6)δ:8.99(d、J=2.7Hz、1H)、8.28(d、J=8.7Hz、1H)、7.59(d、J=2.7Hz、1H)、7.52(d、J=8.7Hz、1H),3.68(m、4H)、3.22(m、4H);ESI−MSm/z:249.06[M+H]
実施例2i:tert−ブチル(1−(4−(6−クロロ−1,5−ナフチリジン−3−イル)ピペラジン−1−イル)−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)カルバメート(D−20)の合成
Figure 2014534264

2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−メチルプロパン酸(180mg、0.89mmol、1.5当量)、トリエチルアミン(209mg、2.07mmol、3.5当量)、およびHOBt(120mg、0.89mmol、1.5当量)の、攪拌した無水CHCl(10mL)中混合物に、EDCI(170mg、0.89mmol、1.5当量)を添加し、結果として生じた混合物を室温で30分間攪拌し、次いで2−クロロ−7−(ピペラジン−1−イル)−1,5−ナフチリジン(D−19)(0.59mmol、1.0当量)を添加した。反応混合物を室温で20時間攪拌し、次いで水(30mL)およびCHCl(15mL)で反応停止処理し、有機層を分離した。有機層をブライン(10mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮した。結果として生じた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(2%MeOH−CHCl)によって精製して、所望の生成物、tert−ブチル(1−(4−(6−クロロ−1,5−ナフチリジン−3−イル)ピペラジン−1−イル)−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)カルバメート(D−20)(193mg、収率75.4%、2ステップ)を得た。ESI−MS m/z:434.18[M+H]
実施例2j:ert−ブチル(1−(4−(6−(2−アミノベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)−1,5−ナフチリジン−3−イル)ピペラジン−1−イル)−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)カルバメート(D−21)の合成
Figure 2014534264

Tert−ブチル(1−(4−(6−クロロ−1,5−ナフチリジン−3−イル)ピペラジン−1−イル)−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)カルバメート(20)(190mg、0.44mmol、1.0当量)および(2−アミノベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)ボロン酸(94mg、0.53mmol,1.2当量)を1,4−ジオキサン(10mL)および水(10mL)の混合物中に溶解させた。この混合物に、Pd(PPh(51mg、0.044mmol、0.1当量)および炭酸ナトリウム(140mg、1.32mmol、3.0当量)を順次添加した。結果として生じた混合物を、アルゴン雰囲気下で攪拌しながら、還流状態で2時間加熱した。TLC分析に基づいて反応が完了した。反応混合物を真空下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(1〜5%MeOH−CHCl)によって精製して、黄色の固体として所望の生成物、tert−ブチル(1−(4−(6−(2−アミノベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)−1,5−ナフチリジン−3−イル)ピペラジン−1−イル)−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)カルバメート(D−21)(87mg、37.2%)を得た。ESI−MS m/z:532.22[M+H]
実施例2k:2−アミノ−1−(4−(6−(2−アミノベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)−1,5−ナフチリジン−3−イル)ピペラジン−1−イル)−2−メチルプロパン−1−オン(43)の合成
Figure 2014534264

アセチルクロリド(4.3mL、60.5mmol)を、0℃のMeOH(11mL)に添加し、結果として生じた溶液を0℃で30分間攪拌した。この溶液に、tert−ブチル(1−(4−(6−(2−アミノベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)−1,5−ナフチリジン−3−イル)ピペラジン−1−イル)−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)カルバメート(D−21)(85mg、0.16mmol、1.0当量)を添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。TLC分析に基づいて反応が完了した。混合物を水(20mL)で希釈し、固体NaCO(約3.5g)で中和して、pH値を8〜9に調整し、CHCl(6×30mL)で抽出した。組み合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(11%MeOH/CHCl)によって精製して、黄色の固体として所望の生成物、2−アミノ−1−(4−(6−(2−アミノベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)−1,5−ナフチリジン−3−イル)ピペラジン−1−イル)−2−メチルプロパン−1−オン(43)(43mg、62.3%)を得た。H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ:8.96(s、1H)、8.28(d、J=8.8Hz、1H)、8.12−8.09(m、2H)、7.92(d、J=7.6Hz、1H),7.59(s、1H)、7.60−7.47(m、3H)、4.01(m、4H)、3.42(m、4H)、1.347(s、6H);ESI−MSm/z:432.21[M+H]
実施例3:5−(3−モルホリノピリド[2,3−b]ピラジン−6−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−アミンの合成
実施例3a:6−クロロピリジン−2,3−ジアミン(E−24)の合成
Figure 2014534264

6−クロロ−2−ニトロピリジン−3−アミン(E−23)(8.8g、51mmol、1.0当量)およびラネーニッケル(0.88g)の、メタノール(100mL)中混合物を、水素下で、室温で24時間攪拌し、次いで濾過し、濾液を真空下で濃縮して、淡色の固体として所望の生成物6−クロロピリジン−2,3−ジアミン(E−24)(7g、収率95.6%)を得た。ESI−MS m/z:144.05[M+H]
実施例3b:エチル2−(2−アミノ−6−クロロピリジン−3−イルアミノ)酢酸塩(E−25)の合成
Figure 2014534264

6−クロロピリジン−2,3−diアミン(E−24)(7.2g、50mol、1.0当量)および炭酸カリウム(6.9g、50mmol、1当量)の、攪拌したDMF(100mL)中混合物を、30分間攪拌し、次いでエチルブロモ酢酸塩(9.2g、55mmol、1.1当量)を添加し、結果として生じた混合物を60〜70Cで3時間攪拌した。TLC分析に基づいて反応が完了した。反応混合物を氷水(200mL)中に注ぎ、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮して、白色の固体として所望の生成物エチル2−(2−アミノ−6−クロロピリジン−3−イルアミノ)酢酸塩(E−25)(5.8g、収率50.5%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d6)δ:6.39(m、2H)、5.93(bs、2H)、5.32(m、1H)、4.08(m、2H)、3.88(d、J=6.0Hz、2H)、1.15(m、3H);ESI−MSm/z:230.05[M+H]
実施例3c:6−クロロ−1,2−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン(E−26)の合成
Figure 2014534264

エチル2−(2−アミノ−6−クロロピリジン−3−イルアミノ)酢酸塩(E−25)(4.58g、20mmol、1.0当量)の、無水1,4−ジオキサン(50mL)中溶液に、水素化ナトリウム(鉱物油中60%、240mg、6mmol、0.3当量)を添加し、結果として生じた混合物を還流状態で2時間攪拌し、次いで室温まで冷却し、濃縮HClで中和して、pH値を8〜9に調整し、真空下で濃縮して、溶媒のほとんどを除去し、次いで濾過し、フィルターケーキを水、および酢酸エチル/石油エーテル(1:1)で洗浄し、乾燥させて、淡色の固体として所望の生成物6−クロロ−1,2−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン(E−26)(2.5g、収率68%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d6)δ:10.86(bs、1H)、6.96(d、J=8.1Hz、1H)、6.79(d、J=8.1Hz、1H)、6.35(bs、1H)、3.78(d、J=1.5Hz、2H);ESI−MSm/z:183.95[M+H]
実施例3d:6−クロロピリド[3,2−b]ピラジン−3(4H)−オン(E−27)の合成
Figure 2014534264

6−クロロ−1,2−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン(E−26)(3.68g、20mmol、1.0当量)の、1,4−ジオキサン(80mL)中混合物に、二酸化マンガン(19.4g、223mmol、11.1当量)を添加した。結果として生じた混合物を還流状態で2時間攪拌し、次いで室温まで冷却し、濾過し、ケーキを酢酸エチルおよびメタノールで洗浄した。組み合わせた濾液を真空下で濃縮して、淡色の固体として所望の生成物6−クロロピリド[3,2−b]ピラジン−3(4H)−オン(E−27)(3g、収率82%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d6)δ:13.03(bs、1H)、8.19(m、2H)、7.38(d、J=8.4Hz、1H);ESI−MSm/z:180.00[M−H]
実施例3e:3,6−ジクロロピリド[2,3−b]ピラジン(E−28)の合成
Figure 2014534264

6−クロロピリド[3,2−b]ピラジン−3(4H)−オン(E−27)(9g、49.8mmol)をPOCl(100mL)中に溶解させ、結果として生じた混合物を還流状態で3時間攪拌した。TLC分析に基づいて反応が完了した。混合物を室温まで冷却し、真空下で濃縮して、POClを除去した。残渣を氷水(150mL)中に注ぎ、DCM(3×100mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮して、固体として所望の生成物3,6−ジクロロピリド[2,3−b]ピラジン(E−28)(9g、収率90%)を得た。ESI−MS m/z:199.97[M+H]
実施例3f:6−クロロ−3−モルホリノピリド[2,3−b]ピラジン(E−29)の合成
Figure 2014534264

3,6−ジクロロピリド[2,3−b]ピラジン(E−28)(201mg、1mmol、1.0当量)およびモルホリン(175μL、2mmol、2.0当量)およびトリエチルアミン(270μL、2mmol、2.0当量)の、DCM(20mL)中混合物を、室温で2時間攪拌した。次いで水(20mL)を添加した。有機層を分離し、ブライン(2×10mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮して、所望の生成物6−クロロ−3−モルホリノピリド[2,3−b]ピラジン(E−29)(100mg、収率40%)を得た。H NMR(300MHz、CDCl−d6)δ:8.59(s、1H)、8.15(d、J=6.6Hz、1H)、7.35(d、J=6.3Hz、1H)、3.90(m、8H);ESI−MSm/z:251.00[M+H]
実施例3g:5−(3−モルホリノピリド[2,3−b]ピラジン−6−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−アミン(2)の合成
Figure 2014534264

6−クロロ−3−モルホリノピリド[2,3−b]ピラジン(E−29)(100mg、0.4mmol、1.0当量)、2−アミノベンゾ[d]オキサゾール−5−イルボロン酸(108mg、0.6mmol、1.5当量)、Pd(PPh(50mg、0.04mmol、0.1当量)、およびNaCO(0.22g、2.0mmol、5.0当量))の混合物を、1,4−ジオキサン(15mL)および水(5mL)の混合物中に溶解させた。結果として生じた混合物を脱気し、アルゴンで3回バックフィルし、還流温度で2時間加熱した。TLC分析に基づいて反応が完了した。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を、シリカゲル(60:1:0.02 MeOH−DCM−NH3.H2O)上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、黄色の固体として5−(3−モルホリノピリド[2,3−b]ピラジン−6−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−アミン(2)(100mg、収率72%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d6)δ:8.86(s、1H)、8.26(m、1H)、8.06(m、2H)、7.92(m、1H)、7.55(bs、2H)、7.47(m、1H)、3.82(m、8H);ESI−MSm/z:349.14[M+H]
実施例4:5−(6−モルホリノ−1,5−ナフチリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−アミンの合成
実施例4a:7−ブロモ−2−クロロ−1,5−ナフチリジン(F−31)の合成
Figure 2014534264

7−ブロモ−1,5−ナフチリジン−2(1H)−オン(C−4)(3.1g、13.78mmol、1.0当量)を、POCl(20mL)中に溶解させ、結果として生じた混合物を還流状態で1時間攪拌した。TLC分析に基づいて反応が完了した。混合物を真空下で濃縮して、POClを除去した。残渣を氷水(30mL)中に注ぎ、飽和NaCO水溶液で中和して、温度を10℃より低く保ちながら、pH値を7〜8に調整した。結果として生じた混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、組み合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮して、所望の生成物7−ブロモ−2−クロロ−1,5−ナフチリジン(F−31)(2.11g、収率62.9%)を得た。ESI−MS m/z:242.9[M+H]
実施例4b:7−ブロモ−2−モルホリノ−1,5−ナフチリジン(F−32)の合成
Figure 2014534264

7−ブロモ−2−クロロ−1,5−ナフチリジン(F−31)(200mg、0.82mmol、1.0当量)およびモルホリン(10mL)混合物を、封管中、140℃で一晩攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(150mL)で希釈し、次いでブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮して、所望の生成物7−ブロモ−2−モルホリノ−1,5−ナフチリジン(F−32)(180mg、収率74.7%)を得た。ESI−MS m/z:294.01[M+H]
実施例4c:5−(6−モルホリノ−1,5−ナフチリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−アミン(73)の合成
Figure 2014534264

7−ブロモ−2−モルホリノ−1,5−ナフチリジン(F−32)(180mg、0.6mmol、1.0当量)、2−アミノベンゾ[d]オキサゾール−5−イルボロン酸(131mg、0.73mmol、1.2当量)、Pd(PPh(71mg、0.06mmol、0.1当量)、およびNaCO(195mg、1.8mmol、3.0当量)の混合物を、1,4−ジオキサン(10mL)および水(10mL)の混合物中に溶解させた。結果として生じた混合物を脱気し、アルゴンで3回バックフィルし、アルゴン雰囲気下で、還流状態で2時間加熱した。TLC分析に基づいて反応が完了した。混合物を真空下で濃縮し、残渣を、シリカゲル(3〜5%MeOH−DCM)上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、5−(6−モルホリノ−1,5−ナフチリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−アミン(73)(140mg、収率67.2%)を得た。H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ:8.93(s、1H)、8.10(m、2H)、7.66(s、1H)、7.53(s、2H)、7.45(m、3H),3.74(m、8H);ESI−MSm/z:348.11[M+H]
実施例5:選択された化合物についてのIC50値。
表2.選択された本発明の化合物についての体外IC50データ。次の記号を使用する:+(10マイクロモル超)、++(10マイクロモル未満)、+++(1マイクロモル未満)、および++++(100nM未満)。
Figure 2014534264
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実施例6:p110α/p85α、p110β/p85α、p110δ/p85α、およびp110γの発現および阻害アッセイ:
PI3−K活性をアッセイするための商用のキットまたは系が入手可能である。市販のキットまたは系を使用して、PI3−キナーゼα、β、δ、およびγを含むが、それらに限定されないPI3−Kの阻害剤および/またはアゴニストをスクリーニングすることができる。例となる系は、Upstate製のPI3キナーゼ(ヒト)HTRF(商標)アッセイである。アッセイは、製造業者によって示唆される手順に従って行うことができる。手短に述べると、アッセイは、PI3−Kの活性によって形成されたPIP3産物を間接的に測定する時間分解FRETアッセイである。キナーゼ反応は、マイクロタイタープレート(例えば、384ウェルのマイクロタイタープレート)中で行う。総反応体積は、1ウェル当たりおよそ20μLである。第1のステップでは、各ウェルは、20%ジメチルスルホキシド中2μLの試験化合物を受容して、2%DMSOの最終濃度を得る。次に、1ウェル当たりおよそ14.5μLのキナーゼ/PIP2混合物(1倍反応緩衝液中で希釈)を添加して、0.25〜0.3μg/mLキナーゼおよび10μMのPIP2の最終濃度にする。プレートを密封し、室温で15分間インキュベートする。反応を開始するために、1ウェル当たり3.5μLのATP(1倍反応緩衝液中で希釈)を添加して、10μMのATPの最終濃度にする。プレートを密封し、室温で1時間インキュベートする。1ウェル当たり5μLの停止液を添加することによって反応を停止させ、次いで1ウェル当たり5μLの検出ミックスを添加する。プレートを密封し、室温で1時間インキュベートし、次いで適切なプレートリーダー上で読み取る。データを分析し、GraphPad Prism 5を使用してIC50を生成する。PI3Kα、β、δ、およびγに対して、IC50に到達する阻害剤のnM濃度が提供される。β、δ、およびγに対する濃度よりも低い濃度でのPI3Kαの阻害は、この群のキナーゼにおける特異性の証拠となる。同様のアッセイ、および当該技術分野で既知の他のアッセイを使用して、PI3KクラスIIキナーゼ、ホスホイノシチド4キナーゼ(PI4K)、およびホスホイノシチド5キナーゼ(PI5K)を含むが、それらに限定されない他のキナーゼの阻害パーセントを測定することができる。
実施例7:Ablの発現および阻害アッセイ
本発明の1つ以上の化合物の、Ablキナーゼに対する交差活性またはその欠如は、当該技術分野で既知の任意の手順または下に開示される方法に従って測定することができる。例えば、本明細書に記載される化合物は、25mMのHEPES(pH7.4)、10mMのMgCl、200μMのATP(2.5μCiのγ−32P−ATP)、および0.5mg/mLのBSAを含有するアッセイにおいて、組換え完全長AblまたはAbl(T315I)(Upstate)に対して、三重でアッセイすることができる。最適化されたAblペプチド基質EAIYAAPFAKKKをリン酸受容体(200μM)として使用する。リン酸セルロースシート上にスポットすることによって反応を終了させ、それを0.5%リン酸で洗浄する(およそ6回、各々5〜10分間)。シートを乾燥させ、移行した放射能をリン酸画像化によって定量する。
実施例8:Hckの発現および阻害アッセイ
本発明の1つ以上の化合物の、Hckキナーゼに対する交差活性またはその欠如は、当該技術分野で既知の任意の手順または下に開示される方法に従って測定することができる。本明細書に記載される化合物は、25mMのHEPES(pH7.4)、10mMのMgCl、200μMのATP(2.5μCiのγ−32P−ATP)、および0.5mg/mLのBSAを含有するアッセイにおいて、組換え完全長Hckに対して、三重でアッセイすることができる。最適化されたSrcファミリーキナーゼペプチド基質EIYGEFKKKをリン酸受容体(200μM)として使用する。リン酸セルロースシート上にスポットすることによって反応を終了させ、それを0.5%リン酸で洗浄する(およそ6回、各々5〜10分間)。シートを乾燥させ、移行した放射能をリン酸画像化によって定量する。
実施例9:インスリン受容体(IR)の発現および阻害アッセイ
本発明の1つ以上の化合物の、IR受容体キナーゼに対する交差活性またはその欠如は、当該技術分野で既知の任意の手順または下に開示される方法に従って測定することができる。本明細書に記載される化合物は、25mMのHEPES(pH7.4)、10mMのMgCl、10mMのMnCl、200μMのATP(2.5μCiのγ−32P−ATP)、および0.5mg/mLのBSAを含有するアッセイにおいて、組換えインスリン受容体キナーゼドメイン(Upstate)に対して、三重でアッセイすることができる。ポリE−Y(Sigma、2mg/mL)を基質として使用する。ニトロセルロース上にスポットすることによって反応を終了させ、それを1MのNaCl/1%リン酸で洗浄する(およそ6回、各々5〜10分間)。シートを乾燥させ、移行した放射能をリン酸画像化によって定量する。
実施例10:Srcの発現および阻害アッセイ
本発明の1つ以上の化合物の、Srcキナーゼに対する交差活性またはその欠如は、当該技術分野で既知の任意の手順または下に開示される方法に従って測定することができる。例えば、本明細書に記載される化合物は、25mMのHEPES(pH7.4)、10mMのMgCl、200μMのATP(2.5μCiのγ−32P−ATP)、および0.5mg/mLのBSAを含有するアッセイにおいて、組換え完全長SrcまたはSrc(T338I)に対して、三重でアッセイすることができる。最適化されたSrcファミリーキナーゼペプチド基質EIYGEFKKKをリン酸受容体(200μM)として使用する。リン酸セルロースシート上にスポットすることによって反応を終了させ、それを0.5%リン酸で洗浄する(およそ6回、各々5〜10分間)。シートを乾燥させ、移行した放射能をリン酸画像化によって定量化した。
実施例11:DNA−PK(DNAK)の発現および阻害アッセイ
本発明の1つ以上の化合物の、DNAKキナーゼに対する交差活性またはその欠如は、当該技術分野で既知の任意の手順に従って測定することができる。DNA−PKは、Promegaから購入することができ、製造業者の指示に従ってDNA−PKアッセイ系(Promega)を使用してアッセイすることができる。
実施例12:mTORの発現および阻害アッセイ
本発明の1つ以上の化合物の、mTorに対する交差活性またはその欠如は、当該技術分野で既知の任意の手順または下に開示される方法に従って測定することができる。本明細書に記載される化合物は、50mMのHEPES(pH7.5)、1mMのEGTA、10mMのMgCl、2.5mM、0.01% Tween、10μMのATP(2.5μCiのμ−32P−ATP)、および3μg/mLのBSAを含有するアッセイにおいて、組換えmTOR(Invitrogen)に対して試験することができる。ラット組換えPHAS−1/4EBP1(Calbiochem、2mg/mL)を基質として使用する。ニトロセルロース上にスポットすることによって反応を終了させ、それを1MのNaCl/1%リン酸で洗浄する(およそ6回、各々5〜10分間)。シートを乾燥させ、移行した放射能をリン酸画像化によって定量する。
mTOR活性をアッセイするための他のキットまたは系は、市販されている。例えば、InvitrogenのLanthaScreen(商標)キナーゼアッセイを使用して、本明細書に開示されるmTORの阻害剤を試験することができる。このアッセイは、mTORキナーゼによるGFP標識された4EBP1のリン酸化を測定する時間分解FRETプラットフォームである。キナーゼ反応は、白色の384ウェルのマイクロタイタープレート中で行う。総反応体積は、1ウェル当たり20μLであり、反応緩衝液の組成は、50mMのHEPES(pH7.5)、0.01%ポリソルベート20、1mMのEGTA、10mMのMnCl、および2mMのDTTである。第1のステップでは、各ウェルに、20%ジメチルスルホキシド中2μLの試験化合物を入れて、2%DMSOの最終濃度を得る。次に、反応緩衝液中で希釈された1ウェル当たり8μLのmTORを添加して、60ng/mLの最終濃度にする。反応を開始するために、1ウェル当たり10μLのATP/GFP−4EBP1混合物(反応緩衝液中で希釈)を添加して、10μMのATPおよび0.5μMのGFP−4EBP1の最終濃度にする。プレートを密封し、室温で1時間インキュベートする。1ウェル当たり10μLのTb−抗pT46 4EBP1抗体/EDTA混合物(TR−FRET緩衝液中で希釈)を添加することによって反応を停止させて、1.3nM抗体および6.7mMのEDTAの最終濃度にする。プレートを密封し、室温で1時間インキュベートし、次いでLanthaScreen(商標)TR−FRET用に設定されたプレートリーダー上で読み取る。データを分析し、GraphPad Prism 5を使用してIC50を生成する。
実施例13:血管内皮成長受容体の発現および阻害アッセイ
本発明の1つ以上の化合物の、VEGF受容体に対する交差活性またはその欠如は、当該技術分野で既知の任意の手順または下に開示される方法に従って測定することができる。本明細書に記載される化合物は、25mMのHEPES(pH7.4)、10mMのMgCl、0.1%BME、10μMのATP(2.5μCiのμ−32P−ATP)、および3μg/mLのBSAを含有するアッセイにおいて、組換えKDR受容体キナーゼドメイン(Invitrogen)に対して試験することができる。ポリE−Y(Sigma、2mg/mL)を基質として使用する。ニトロセルロース上にスポットすることによって反応を終了させ、それを1MのNaCl/1%リン酸で洗浄する(およそ6回、各々5〜10分間)。シートを乾燥させ、移行した放射能をリン酸画像化によって定量する。
実施例14:エフリン受容体B4(EphB4)の発現および阻害アッセイ
本発明の1つ以上の化合物の、EphB4に対する交差活性またはその欠如は、当該技術分野で既知の任意の手順または下に開示される方法に従って測定することができる。本明細書に記載される化合物は、25mMのHEPES(pH7.4)、10mMのMgCl、0.1%BME、10μMのATP(2.5μCiのμ−32P−ATP)、および3μg/mLのBSAを含有するアッセイにおいて、組換えエフリン受容体B4キナーゼドメイン(Invitrogen)に対して試験することができる。ポリE−Y(Sigma、2mg/mL)を基質として使用する。ニトロセルロース上にスポットすることによって反応を終了させ、それを1MのNaCl/1%リン酸で洗浄する(およそ6回、各々5〜10分間)。シートを乾燥させ、移行した放射能をリン酸画像化によって定量する。
実施例15:表皮成長因子受容体(EGFR)の発現および阻害アッセイ
本発明の1つ以上の化合物の、EGFRキナーゼに対する交差活性またはその欠如は、当該技術分野で既知の任意の手順または下に開示される方法に従って測定することができる。本明細書に記載される化合物は、25mMのHEPES(pH7.4)、10mMのMgCl、0.1%BME、10μMのATP(2.5μCiのμ−32P−ATP)、および3μg/mLのBSAを含有するアッセイにおいて、組換えEGF受容体キナーゼドメイン(Invitrogen)に対して試験することができる。ポリE−Y(Sigma、2mg/mL)を基質として使用する。ニトロセルロース上にスポットすることによって反応を終了させ、それを1MのNaCl/1%リン酸で洗浄する(およそ6回、各々5〜10分間)。シートを乾燥させ、移行した放射能をリン酸画像化によって定量する。
実施例16:KITアッセイの発現および阻害アッセイ
本発明の1つ以上の化合物の、KITキナーゼに対する交差活性またはその欠如は、当該技術分野で既知の任意の手順または下に開示される方法に従って測定することができる。本明細書に記載される化合物は、25mMのHEPES(pH7.4)、10mMのMgCl、1mMのDTT、10mMのMnCl、10μMのATP(2.5μCiのμ−32P−ATP)、および3μg/mLのBSAを含有するアッセイにおいて、組換えKITキナーゼドメイン(Invitrogen)に対して試験することができる。ポリE−Y(Sigma、2mg/mL)を基質として使用する。ニトロセルロース上にスポットすることによって反応を終了させ、それを1MのNaCl/1%リン酸で洗浄する(およそ6回、各々5〜10分間)。シートを乾燥させ、移行した放射能をリン酸画像化によって定量する。
実施例17:RETの発現および阻害アッセイ
本発明の1つ以上の化合物の、RETキナーゼに対する交差活性またはその欠如は、当該技術分野で既知の任意の手順または下に開示される方法に従って測定することができる。本明細書に記載される化合物は、25mMのHEPES(pH7.4)、10mMのMgCl、2.5mMのDTT、10μMのATP(2.5μCiのμ−32P−ATP)、および3μg/mLのBSAを含有するアッセイにおいて、組換えRETキナーゼドメイン(Invitrogen)に対して試験することができる。最適化されたAblペプチド基質EAIYAAPFAKKKをリン酸受容体(200μM)として使用する。リン酸セルロースシート上にスポットすることによって反応を終了させ、それを0.5%リン酸で洗浄する(およそ6回、各々5〜10分間)。シートを乾燥させ、移行した放射能をリン酸画像化によって定量する。
実施例18:血小板由来成長因子受容体(PDGFR)の発現および阻害アッセイ
本発明の1つ以上の化合物の、PDGFRキナーゼに対する交差活性またはその欠如は、当該技術分野で既知の任意の手順または下に開示される方法に従って測定することができる。本明細書に記載される化合物は、25mMのHEPES(pH7.4)、10mMのMgCl、2.5mMのDTT、10μMのATP(2.5μCiのμ−32P−ATP)、および3μg/mLのBSAを含有するアッセイにおいて、組換えPDG受容体キナーゼドメイン(Invitrogen)に対して試験することができる。最適化されたAblペプチド基質EAIYAAPFAKKKをリン酸受容体(200μM)として使用する。リン酸セルロースシート上にスポットすることによって反応を終了させ、それを0.5%リン酸で洗浄する(およそ6回、各々5〜10分間)。シートを乾燥させ、移行した放射能をリン酸画像化によって定量する。
実施例19:FMS関連チロシンキナーゼ3(FLT−3)の発現および阻害アッセイ
本発明の1つ以上の化合物の、FLT−3キナーゼに対する交差活性またはその欠如は、当該技術分野で既知の任意の手順または下に開示される方法に従って測定することができる。本明細書に記載される化合物は、25mMのHEPES(pH7.4)、10mMのMgCl、2.5mMのDTT、10μMのATP(2.5μCiのμ−32P−ATP)、および3μg/mLのBSAを含有するアッセイにおいて、組換えFLT−3キナーゼドメイン(Invitrogen)に対して試験することができる。最適化されたAblペプチド基質EAIYAAPFAKKKをリン酸受容体(200μM)として使用する。リン酸セルロースシート上にスポットすることによって反応を終了させ、それを0.5%リン酸で洗浄する(およそ6回、各々5〜10分間)。シートを乾燥させ、移行した放射能をリン酸画像化によって定量する。
実施例20:TEK受容体チロシンキナーゼ(TIE2)の発現および阻害アッセイ
本発明の1つ以上の化合物の、TIE2キナーゼに対する交差活性またはその欠如は、当該技術分野で既知の任意の手順または下に開示される方法に従って測定することができる。本明細書に記載される化合物は、25mMのHEPES(pH7.4)、10mMのMgCl、2mMのDTT、10mMのMnCl、10μMのATP(2.5μCiのμ−32P−ATP)、および3μg/mLのBSAを含有するアッセイにおいて、組換えTIE2キナーゼドメイン(Invitrogen)に対して試験することができる。ポリE−Y(Sigma、2mg/mL)を基質として使用する。ニトロセルロース上にスポットすることによって反応を終了させ、それを1MのNaCl/1%リン酸で洗浄する(およそ6回、各々5〜10分間)。シートを乾燥させ、移行した放射能をリン酸画像化によって定量する。
実施例21:B細胞活性化および増殖アッセイ
1つ以上の主題化合物の、B細胞活性化および増殖を阻害する能力を、当該技術分野で既知の標準的な手順に従って決定する。例えば、生細胞の代謝活性を測定する体外細胞増殖アッセイを確立する。アッセイは、アラマーブルー還元を使用して96ウェルのマイクロタイタープレート中で行う。Balb/c脾臓B細胞をFicoll−Paque(商標)PLUS勾配により精製し、続いてMACS B細胞単離キット(Miletenyi)を使用して磁気細胞分離を行う。細胞を、B細胞培地(RPMI+10%FBS+Penn/Strep+50μMのbME+5mMのHEPES)中に、90μL中50,000細胞/ウェルでプレートする。本明細書に開示される化合物をB細胞培地中で希釈し、10μL体積で添加する。プレートを、37℃および5%CO(0.2%DMSO最終濃度)で30分間インキュベートする。B細胞培地中、10μg/mLのLPS、または5μg/mLのF(ab’)2ロバ抗マウスIgMのいずれかに加えて、2ng/mL組換えマウスIL4を含有する、50μLのB細胞刺激カクテルを次いで添加する。プレートを、37℃および5%COで72時間インキュベートする。15μLの体積のアラマーブルー試薬を各ウェルに添加し、プレートを、37℃および5%COで5時間インキュベートする。アラマーブルー蛍光を560Ex/590Emで読み取り、GraphPad Prism 5を使用してIC50またはEC50値を算出する。
実施例22:腫瘍細胞株増殖アッセイ
1つ以上の主題化合物の、腫瘍細胞株増殖を阻害する能力を、当該技術分野で既知の標準的な手順に従って決定する。例えば、体外細胞増殖アッセイを行って、生細胞の代謝活性を測定することができる。アッセイは、アラマーブルー還元を使用して96ウェルのマイクロタイタープレート中で行う。ヒト腫瘍細胞株を、ATCC(例えば、MCF7、U−87mg、MDA−MB−468、PC−3)から得、T75フラスコ中で培養密度まで増殖させ、0.25%トリプシンでトリプシン処理し、腫瘍細胞培地(DMEM+10%FBS)で1回洗浄し、腫瘍細胞培地中に、90μL中5,000細胞/ウェルでプレートする。本明細書に開示される化合物を腫瘍細胞培地中で希釈し、10μL体積で添加する。プレートを、37℃および5%COで72時間インキュベートする。10μLの体積のアラマーブルー試薬を各ウェルに添加し、プレートを、37℃および5%COで3時間インキュベートする。アラマーブルー蛍光を560Ex/590Emで読み取り、GraphPad Prism 5を使用してIC50値を算出する。結果は、試験された条件下で、本発明の化合物の幾つかが腫瘍細胞株増殖の強力な阻害剤であることを示すことが予測される。
実施例23:体内の抗腫瘍活性
本明細書に記載される化合物は、ヒトおよびマウス腫瘍モデルのパネルにおいて評価することができる。
パクリタキセル不応性腫瘍モデル
1.臨床由来卵巣癌モデル。
この腫瘍モデルは、卵巣癌患者の腫瘍生検から確立する。腫瘍生検を患者から採取する。
本明細書に記載される化合物を、2日毎、5回のスケジュールを使用して、病期分類した腫瘍を有するヌードマウスに投与する。
2.A2780Taxヒト卵巣癌異種移植片(突然変異チューブリン)。
A2780Taxは、パクリタキセル耐性ヒト卵巣癌モデルである。それは、MDR拮抗薬であるパクリタキセルおよびベラパミルとの細胞の共インキュベーションによって、感受性親A2780株からもたらされる。その耐性機序は、MDRに関連しないことが示されており、それはベータ−チューブリンタンパク質をコードする遺伝子における突然変異に起因する。
本明細書に記載される化合物を、2日毎、5回のスケジュールで、病期分類した腫瘍を有するマウスに投与することができる。
3.HCT116/VM46ヒト結腸癌異種移植片(多剤耐性)。
HCT116/VM46は、感受性HCT116親株から発達させたMDR耐性結腸癌である。体内で、ヌードマウスにおいて成長させられたHCT116/VM46は、パクリタキセルに対する高い耐性を一貫して示している。
本明細書に記載される化合物を、2日毎、5回のスケジュールで、病期分類した腫瘍を有するマウスに投与することができる。
5.M5076マウス肉腫モデル
M5076は、体内でパクリタキセルに対して本質的に不応性であるマウス線維肉腫である。
本明細書に記載される化合物を、2日毎、5回のスケジュールで、病期分類した腫瘍を有するマウスに投与することができる。
1つ以上の本発明の化合物を、多剤耐性ヒト結腸癌異種移植片HCT/VM46または本明細書に記載されるモデルを含む当該技術分野で既知の任意の他のモデルにおいて、体内で他の治療剤と併用することができる。
結果は、試験される条件下で、本発明の1つ以上の化合物が体内での腫瘍成長の強力な阻害剤であることを示すことが予想される。
実施例24:ミクロソーム安定性アッセイ
1つ以上の主題化合物の安定性を、当該技術分野で既知の標準的な手順に従って決定する。例えば、1つ以上の主題化合物の安定性を、体外アッセイによって確立する。具体的には、肝臓由来のマウス、ラット、またはヒトミクロソームと反応させたときの1つ以上の主題化合物の安定性を測定する、体外ミクロソーム安定性アッセイを確立する。化合物とのミクロソーム反応は、1.5mLエッペンドルフ管中で行う。各管は、0.1μLの10.0mg/mLのNADPH、75μLの20.0mg/mLマウス、ラット、またはヒト肝ミクロソーム、0.4μLの0.2Mリン酸塩緩衝液、および425μLのddHOを含有する。陰性対照(NADPHを含まない)管は、75μLの20.0mg/mLマウス、ラット、またはヒト肝ミクロソーム、0.4μLの0.2Mリン酸塩緩衝液、および525μLのddHOを含有する。1.0μLの10.0mM試験化合物を添加することによって反応を開始する。反応管を37℃でインキュベートする。100μL試料を、300μL冷メタノールを含有する新たなエッペンドルフ管中に、反応の0、5、10、15、30、および60分において収集する。試料を15,000rpmで遠心分離してタンパク質を除去する。遠心分離した試料の上清を新たな管に移す。ミクロソームとの反応後の上清中の安定な化合物の濃度を、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC−MS)によって測定する。
実施例25:血漿安定性アッセイ
血漿中の1つ以上の対象化合物の安定性を、当該技術分野で既知の標準的な手順に従って決定する。例えば、Rapid Commun.Mass Spectrom.,10:1019−1026を参照されたい。次の手順は、ヒト血漿を使用するHPLC−MS/MSアッセイであるが、サル、イヌ、ラット、およびマウスを含む他の種もまた利用可能である。凍結し、ヘパリン化したヒト血漿を、使用前に冷水浴中で解凍し、4℃で10分間、2000rpmでスピンする。主題化合物を、400μMストック溶液から事前に加温した血漿のアリコートに添加して、5μM試験化合物および0.5%DMSOを含有する、400μL(または半減期決定のために800μL)の最終アッセイ体積を得る。反応物を、振盪しながら、37℃で0分間および60分間、または半減期決定のために37℃で0、15、30、45、および60分間インキュベートする。50μLのインキュベーション混合物を200μLの氷冷アセトニトリルに移すことによって反応を停止させ、5分間振盪することによって混合する。試料を6000xgで、4℃で15分間遠心分離し、120μLの上清を清潔な管中に除去する。試料を次いで蒸発乾固させ、HPLC−MS/MSによる分析に供す。
所望される場合、次の1つ以上の対照または参照化合物(5μM)を、試験化合物と同時に試験する。それらは、1つの化合物、すなわち低い血漿安定性を有するプロポキシカイン、および別の化合物、すなわち中間の血漿安定性を有するプロパンテリンである。
試料をアセトニトリル/メタノール/水(1/1/2、v/v/v)中で再構成し、選択反応モニタリング(SRM)を使用した(RP)HPLC−MS/MSを介して分析する。HPLC条件は、オートサンプラーを用いるバイナリLCポンプ、混合モード、C12、2×20mmカラム、および勾配プログラムからなる。分析物に対応するピーク面積をHPLC−MS/MSによって記録する。パーセントとして表される、ゼロ時間の時点で残っていた量に対する60分後に残った親化合物の比率を、血漿安定性として報告する。半減期決定の場合は、一次速度論を想定して、残った化合物(%)対時間の、対数曲線の最初の線形範囲の勾配から半減期を推定する。
実施例26:化学安定性
1つ以上の主題化合物の化学安定性を、当該技術分野で既知の標準的な手順に従って決定する。以下は、主題化合物の化学安定性を確認するための例となる手順を詳述する。化学安定性アッセイに使用するデフォルト緩衝液は、pH7.4のリン酸緩衝食塩水(PBS)であるが、他の好適な緩衝液を使用することができる。主題化合物を100μMストック溶液からPBSのアリコートに添加して(二重に)、5μM試験化合物および1%DMSOを含有する、400μLの最終アッセイ体積を得る(半減期決定のためには700μLの総試料体積を調製する)。反応物を振盪しながら、37℃で0分間および24時間インキュベートし、半減期決定のためには、試料を0、2、4、6、および24時間インキュベートする。100μLのインキュベーション混合物を100μLのアセトニトリルに即座に添加し、5分間ボルテックスすることによって反応を停止させる。試料を次いでHPLC−MS/MSによって分析するまで−20℃で保管する。この化合物は、24時間の経過にわたって大部分が加水分解されるため、所望される場合、クロラムブシル(5μM)等の対照化合物または参照化合物を目的の主題化合物と同時に試験する。選択反応モニタリング(SRM)を使用した(RP)HPLC−MS/MSを介して、試料を分析する。HPLC条件は、オートサンプラーを用いるバイナリLCポンプ、混合モード、C12、2×20mmカラム、および勾配プログラムからなる。分析物に対応するピーク面積をHPLC−MS/MSによって記録する。パーセントとして表される、ゼロ時間の時点で残っていた量に対する24時間後に残った親化合物の比率を、化学安定性として報告する。半減期決定の場合は、一次速度論を想定して、残った化合物(%)対時間の、対数曲線の最初の線形範囲の勾配から半減期を推定する。
実施例27:Aktキナーゼアッセイ
L6筋芽細胞、B−ALL細胞、B細胞、T細胞、白血病細胞、骨髄細胞、p190形質導入細胞、フィラデルフィア染色体陽性細胞(Ph+)、およびマウス胚性線維芽細胞を含むが、それらに限定されない、Akt/mTOR経路の構成成分を含む細胞を、典型的に、ウシ胎児血清および/または抗生物質を補充したDMEM等の細胞増殖培地中で増殖させ、培養密度まで増殖させる。
本明細書に開示される1つ以上の化合物の、Akt活性化に対する効果を比較するために、該細胞に一晩、血清飢餓処置を行い、本明細書に開示される1つ以上の化合物または約0.1%DMSOで約1分間〜約1時間インキュベートしてから、インスリン(例えば、100nM)で約1分間〜約1時間刺激する。細胞を、ドデシル硫酸ナトリウム等の洗浄剤およびプロテアーゼ阻害剤(例えば、PMSF)を含有する氷***解緩衝液中にこすり入れることによって溶解させる。細胞を溶解緩衝液と接触させた後、溶液を手短に超音波で分解し、遠心分離によって清澄化し、SDS−PAGEによって分解し、ニトロセルロースまたはPVDFに移し、ホスホ−Akt S473、ホスホ−Akt T308、Akt、およびβ−アクチンに対する抗体(Cell Signaling Technologies)を使用して免疫ブロットする。
実施例28:血液中のキナーゼシグナル伝達
ホスフロー(phosflow)法(Methods Enzymol.2007;434:131−54)を使用して、血液細胞中のPI3K/Akt/mTorシグナル伝達を測定する。この方法の利点は、それが本来、集団平均よりもむしろ細胞の異質性が検出され得るような単一細胞アッセイであることである。これは他のマーカーによって定義される異なる集団におけるシグナル伝達状態の同時識別を可能にする。ホスフローはまた、非常に定量的である。本明細書に開示される1つ以上の化合物の効果を試験するために、未分画の脾細胞、または末梢血単核球を抗CD3で刺激して、T細胞受容体シグナル伝達を開始させる。細胞を次いで固定し、表面マーカーおよび細胞内リンタンパク質について染色する。試験される条件下で、本明細書に開示される阻害剤がAkt−S473およびS6の抗CD3媒介型リン酸化を阻害するが、ラパマイシンがS6リン酸化を阻害し、Aktリン酸化を増大させることが予想される。
同様に、全血のアリコートを種々の濃度のビヒクル(例えば、0.1%DMSO)またはキナーゼ阻害剤と共に15分間インキュベートした後、刺激物質を添加して、抗カッパ軽鎖抗体(Fab’2断片)を使用してT細胞受容体(TCR)(二次抗体を有する抗CD3)またはB細胞受容体(BCR)を架橋する。およそ5分および15分後、試料を固定し(例えば、冷4%パラホルムアルデヒドで)、ホスフローに使用する。表面染色を使用して、当該技術分野で既知の細胞表面マーカーに向けられた抗体を用いてT細胞およびB細胞を識別する。固定した細胞を、AktおよびS6等のキナーゼ基質のリン酸化のレベルを、次いで、これらのタンパク質のリン酸化アイソフォームに特異的な標識された抗体と共にインキュベートすることによって測定する。細胞の集団を次いでフローサイトメトリーによって分析する。
結果は、試験される条件下で、本発明の化合物のうちの1つ以上が血液細胞中のPI3K、mTOR、およびAktシグナル伝達のうちの1つ以上のうちの1つ以上のメンバーの強力かつ選択的な阻害剤であることを示すことが予想される。
実施例29:コロニー形成アッセイ
p190 BCR−Ablレトロウイルスで新たに形質転換されたマウス骨髄細胞(本明細書でp190形質導入細胞と称される)を、M3630メチルセルロース培地中、種々の薬物組み合わせの存在下で、約30%血清中の組換えヒトIL−7と共に約7日間プレートし、形成されたコロニーの数を顕微鏡下での目視検査によって計数する。
代替的に、ヒト末梢血単核球を、初期診断または再発時に、フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)および陰性(Ph−)患者から得る。生細胞を単離し、CD19+CD34+B細胞前駆体に対して濃縮する。一晩の液体培養後、細胞を、サイトカイン(IL−3、IL−6、IL−7、G−CSF、GM−CSF、CF、Flt3 リガンド、およびエリスロポエチン)および本開示のいずれかの化合物と組み合わせた種々の濃度の既知の化学療法剤を補充したメトカルト(Methocult)GF+H4435、Stem Cell Tehcnologies)中にプレートする。12〜14日後、コロニーを顕微鏡によって計数する。この方法を使用して、相加的活性または相乗活性の証拠について試験することができる。
結果は、試験される条件下で、本発明の化合物のうちの1つ以上が、p190形質導入細胞コロニー形成の強力かつ選択的な阻害剤であることを示すことが予想される。
実施例30:白血病細胞に対するキナーゼ阻害剤の体内効果
メス受容マウスに、約4時間空けた2回の線量で、各々およそ5Gyにより、γ源からの致死的照射を行う。2回目の放射線量の約1時間後、マウスに約1×10個の白血病細胞(例えば、Ph+ヒトもしくはマウス細胞、またはp190形質導入骨髄細胞)を静脈内注射する。これらの細胞を、3〜5週齢の供与マウス由来の約5×10個の正常な骨髄細胞の放射線保護量と一緒に投与する。受容対象に水中の抗生物質を与え、毎日監視する。約14日後に病気になったマウスを安楽死させ、リンパ系臓器を分析のために採取する。白血病細胞注射の約10日後、キナーゼ阻害剤処置を開始し、マウスが病気になるまで、または最長で移植後およそ35日間、毎日継続する。阻害剤は、経口洗浄(oral lavage)によって与える。
約10日目(処置前)、および安楽死時(処置後)に、末梢血液細胞を収集し、標識された抗hCD4抗体と接触させ、フローサイトメトリーによって計数する。この方法を使用して、試験される条件下で、既知の化学療法剤と組み合わせた本明細書に開示される1つ以上の化合物の相乗効果が、既知の化学療法剤(例えば、グリベック)単独での処置と比較して、白血病血液細胞数を有意に低減することを実証することができる。
実施例31:狼瘡疾患モデルマウスの処置
B細胞中のPI3Kシグナル伝達に対抗する阻害性受容体FcγRIIbを欠くマウスは、高浸透率で狼瘡を発症する。一部の狼瘡患者がFcγRIIbの減少した発現または機能を示すことから、FcγRIIbノックアウトマウス(R2KO、Jackson Labs)は、ヒト疾患の有効なモデルであると見なされている(S.Bolland and J.V.Ravtech 2000.Immunity 12:277−285)。
R2KOマウスは、約4〜6月齢以内に、抗核抗体、糸球体腎炎、およびタンパク尿症を伴う狼瘡様疾患を発症する。これらの実験のために、ラパマイシン類似体RAD001(LC Laboratoriesから入手可能)をベンチマーク化合物として使用し、経口投与する。この化合物は、B6.Sle1z.Sle3zモデルにおいて狼瘡症状を寛解させることが示されている(T.Wu et al.J.Clin Invest.117:2186−2196)。
R2KO、BXSB、またはMLR/lpr等の狼瘡疾患モデルマウスを、約2月齢時点で、およそ約2ヶ月間処置する。マウスに次の用量を与える:約10mg/kgのビヒクルRAD001、またはおよそ1mg/kg〜約500mg/kgの本明細書に開示される化合物。試験期間およそ全体を通じて血液および尿試料を得、抗核抗体(血清の希釈液中)またはタンパク質濃度(尿中)について試験する。血清もまた、ELISAによって抗ssDNAおよび抗dsDNA抗体について試験する。60日目に、動物を安楽死させ、組織を脾臓重量および腎臓疾患の測定のために採取する。糸球体腎炎を、H&Eで染色された腎臓切片において査定する。処置の休止後、同じエンドポイントを使用して他の動物を約2ヶ月間研究する。
当該技術分野で確立されたこのモデルを使用して、本明細書に開示されるキナーゼ阻害剤が狼瘡疾患モデルマウスにおける狼瘡症状の発症を抑制または遅延させ得ることを試験することができる。
実施例32:マウス骨髄移植アッセイ
メス受容マウスに、γ線源からの致死的照射を行う。放射線量の約1時間後、マウスに初期継代p190形質導入培養物(例えば、Cancer Genet Cytogenet.2005 Aug;161(1):51−6に記載されるような)由来の約1×106個の白血病細胞を注射する。これらの細胞を、3〜5週齢の供与マウス由来のおよそ5×106個の正常な骨髄細胞の放射線保護量と一緒に投与する。受容対象に水中の抗生物質を与え、毎日監視する。約14日後に病気になったマウスを安楽死させ、リンパ系臓器をフローサイトメトリーおよび/または磁気濃縮のために採取する。約10日目に処置を開始し、マウスが病気になるまで、または最長で移植後約35日後まで、毎日継続する。薬物は、強制経口投与(p.o.)によって与える。パイロット実験では、治癒的ではないが、白血病発症を約1週間以下遅延させる化学療法剤の用量を特定し、対照を、ビヒクル処置するか、このモデルにおいて白血病誘発を遅延させるが治癒的でないことが以前に示された化学療法剤(例えば、約70mg/kg、1日2回のイマチニブ)で処置する。第1相については、eGFPを発現するp190細胞を使用し、検死分析は、フローサイトメトリーによる骨髄、脾臓、およびリンパ節(LN)中の白血病細胞の割合の列挙に限定する。第2相では、ヒトCD4の尾なし型を発現するp190細胞を使用し、検死分析には、hCD4+細胞の脾臓からの磁気選別、続いて次の主要なシグナル伝達エンドポイントの免疫ブロット分析を含める:p Akt−T308およびS473、pS6およびp4EBP−1。免疫ブロット検出の対照として、選別した細胞を、溶解前に本開示の阻害剤のキナーゼ阻害剤の存在または不在下で、インキュベートする。任意に、「ホスフロー」を使用して、事前選別を行わずにhCD4開口型細胞中のp Akt−S473およびpS6−S235/236を検出する。これらのシグナル伝達研究は、例えば、薬物処置マウスが35日時点で臨床的白血病を発症していない場合に特に有用である。生存についてのカプラン−マイヤープロットを生成し、当該技術分野で既知の方法に従って統計分析を行う。p190細胞からの結果を別個にならびに累積的に分析する。
処置を開始する直前の10日目から開始し、末梢血液(100〜200μL)の試料を全てのマウスから毎週得る。血漿を薬物濃度の測定のために使用し、細胞を、本明細書に記載されるように白血病マーカー(eGFPまたはhCD4)およびシグナル伝達バイオマーカーについて分析する。
当該技術分野で既知のこの一般的アッセイを使用して、本明細書に開示される化合物の有効な治療用量が白血病細胞の増殖を阻害するために使用され得ることを試験してもよい。
実施例33:ラットで発症するII型コラーゲン誘発性関節炎アッセイ
本発明の化合物の、自己免疫疾患関節炎に対する効果を試験するために、コラーゲン誘発性発症関節炎モデルを使用する。0日目、メスのルイスラットにコラーゲン注射を与える。ウシII型コラーゲンを0.01N酢酸中の4mg/mL溶液として調製する。等体積のコラーゲンおよび不完全フロイントアジュバントを、乳化物質のビーズが水中でその形態を保持するまで手混合によって乳化する。各齧歯動物は、混合物の300μL注射を、各注射時に、背部の3つの皮下部位にわたって分散して受容する。
0日目、毎日12時間間隔で、ビヒクル(5%NMP、85%PEG 400、10%Solutol)またはビヒクルもしくは対照(例えば、メトトレキサート)中の本発明の化合物を用いて経口化合物投与を開始し、16日目まで継続する。0、3、6、9〜17日目、ラットを計量し、9〜17日目に足首のカリパス測定をとる。17日目、最終体重をとり、次いで動物を安楽死させる。安楽死後、血液を採取し、後足および膝を除去する。血液を薬物動態実験ならびに抗II型コラーゲン抗体ELISAアッセイのために更に処理する。後足を計量し、次いで、膝と共に、10%ホルマリン中に保存する。足および膝をその後、顕微鏡検査のために処理する。肝臓、脾臓、および胸腺を計量する。坐骨神経を病理組織診断のために調製する。
膝および足首関節を1〜2日間固定し、4〜5日間脱灰する。足首関節を縦方向に半分に切断し、膝を前額面に沿って半分に切断する。関節を処理し、包埋し、分割し、トルイジンブルーで染色する。関節のスコア化を、次の基準に従って行う:
膝および足首炎症
0=正常
1=滑膜/関節周囲組織における炎症性細胞の最小の浸潤
2=軽度の浸潤
3=中程度の浮腫を伴う中程度の浸潤
4=顕著な浮腫を伴う顕著な浸潤
5=重度の浮腫を伴う重度の浸潤
足首パンヌス
0=正常
1=軟骨および軟骨下骨におけるパンヌスの最小の浸潤
2=軽度の浸潤(辺縁帯で脛骨または足根骨の1/4未満)
3=中程度の浸潤(辺縁帯で脛骨または小足根骨の1/4〜1/3が侵されている)
4=顕著な浸潤(辺縁帯で脛骨または足根骨の1/2〜3/4が侵されている)
5=重度の浸潤(辺縁帯脛骨または足根骨の3/4超が侵されている、全体的構造の重度の歪み)
膝パンヌス
0=正常
1=軟骨および軟骨下骨におけるパンヌスの最小の浸潤
2=軽度の浸潤(脛骨または大腿骨の表面または軟骨下面積の最大1/4にわたって拡大)
3=中程度の浸潤(脛骨または大腿骨の表面または軟骨下面積の1/4超だが1/2未満にわたって拡大)
4=顕著な浸潤(脛骨または大腿骨表面の1/2〜3/4にわたって拡大)
5=重度の浸潤(表面の3/4超に及ぶ)
軟骨損傷(足首、特に小足根骨)
0=正常
1=最小=明白な軟骨細胞喪失またはコラーゲン崩壊を伴わないトルイジンブルー染色の最小から軽度の喪失
2=軽度=巣性の軽度の(表面的)軟骨細胞喪失および/またはコラーゲン崩壊を伴うトルイジンブルー染色の軽度の喪失
3=中程度=多巣性の中程度の(中間層までの深度の)軟骨細胞喪失および/またはコラーゲン崩壊を伴うトルイジンブルー染色の中程度の喪失、1/2〜3/4深度までの小足根骨が侵されている
4=顕著=多巣性の顕著な(深層までの深度の)軟骨細胞喪失および/またはコラーゲン崩壊を伴うトルイジンブルー染色の顕著な喪失、1つ以上の小足根骨が軟骨の全層喪失を有する
5=重度=多巣性の重度の(石灰化線までの深度の)軟骨細胞喪失および/またはコラーゲン崩壊を伴うトルイジンブルー染色の重度のびまん性喪失
軟骨損傷(膝、特に大腿顆)
0=正常
1=最小=明白な軟骨細胞喪失またはコラーゲン崩壊を伴わないトルイジンブルー染色の最小から軽度の喪失
2=軽度=巣性の軽度の(表面的)軟骨細胞喪失および/またはコラーゲン崩壊を伴うトルイジンブルー染色の軽度の喪失
3=中程度=多巣性からびまん性の中程度の(中間層までの深度の)軟骨細胞喪失および/またはコラーゲン崩壊を伴うトルイジンブルー染色の中程度の喪失
4=顕著=多巣性からびまん性の顕著な(深層までの深度の)軟骨細胞喪失および/またはコラーゲン崩壊あるいは完全にまたはほぼ完全に喪失した単一の大腿骨表面を伴うトルイジンブルー染色の顕著な喪失
5=重度=両方の大腿骨および/または脛骨における、多巣性の重度の(石灰化線までの深度の)軟骨細胞喪失および/またはコラーゲン崩壊を伴うトルイジンブルー染色の重度のびまん性喪失
骨吸収(足首)
0=正常
1=最小=小さい吸収面積、低倍では容易に明白でない、まれな破骨細胞
2=軽度=より多数の吸収面積、低倍では容易に明白でない、より多数の破骨細胞、辺縁帯で脛骨または足根骨の1/4未満が吸収されている
3=中程度=皮質の全層欠陥を伴わない髄小柱および皮質骨の明白な吸収、一部の髄小柱の喪失、低倍で明白な病変、より多数の破骨細胞、辺縁帯で脛骨または足根骨の1/4〜1/3が侵されている
4=顕著=皮質骨の全層欠陥、しばしば残った皮質表面のプロフィールの歪みを伴う、髄骨の顕著な喪失、多数の破骨細胞、辺縁帯で脛骨または足根骨の1/2〜3/4が侵されている
5=重度=皮質骨の全層欠陥、しばしば残った皮質表面のプロフィールの歪みを伴う、髄骨の顕著な喪失、多数の破骨細胞、辺縁帯で超脛骨または足根骨の3/4が侵されている、全体的構造の重度の歪み
骨吸収(膝)
0=正常
1=最小=小さい吸収面積、低倍では容易に明白でない、まれな破骨細胞
2=軽度=より多数の吸収面積、脛骨または大腿骨表面(内側または外側)の1/4を含む軟骨下骨の明確な喪失
3=中程度=脛骨または大腿骨表面(内側または外側)の1/4超だが1/2未満を含む軟骨下骨の明白な吸収
4=顕著=脛骨または大腿骨表面(内側または外側)の1/2以上だが3/4未満を含む軟骨下骨の明白な吸収
5=重度=脛骨または大腿骨表面(内側または外側)の3/4超を含む撹乱に起因する関節全体の歪み
スチューデントのt検定、または他の適切な検定(事後検定を伴うANOVA)を使用して、有意性を5%の有意水準に設定し、体重/足重量統計分析、足AUCパラメータおよび病理組織学的パラメータを評価した。足重量およびAUCの阻害パーセントは、次の式を使用して算出した:
阻害%=A−B/A×100
A=平均疾患対照−平均正常
B=平均処置−平均正常
結果は、ビヒクルのみの対照またはメトトレキサート対照に比べて、本発明の化合物が関節炎誘発性の経時的な足首直径増における有意な低減、ならびに上述の炎症、パンヌス、軟骨損傷、および骨吸収のカテゴリーのうちの少なくとも1つ以上における足首病理組織診断の低減を呈することを示すことが予想される。結果は、本発明の1つ以上の化合物が関節炎疾患症状の治療および低減に有用であり得ることを示すことが予想される。
結果は更に、選択された試験化合物について、10、20、および60mg/kg投薬量レベルでの血清抗II型コラーゲンレベルの低減を示すことが予想され、本発明の1つ以上の化合物が関節炎疾患症状の治療および低減に有用であり得るだけでなく、自己免疫反応自体の阻害にもまた有用であり得ることが示唆される。
実施例34:ラット確立型II型コラーゲン誘発性関節炎アッセイ
ラットにおける10日間確立型II型コラーゲン誘発性関節炎の炎症、軟骨撹乱、および骨吸収の阻害における本発明の化合物の用量反応性有効性を検査するために、化合物を毎日または1日2回、6日間経口投与する。
0日目、メスのルイスラットに麻酔をかけ、調製したコラーゲン注射を与え、前述の通り投与する。6日目、動物に麻酔をかけ、第2のコラーゲン注射を与える。9日目、正常な(前疾患)左右足首関節のカリパス測定を行う。10〜11日目、関節炎が典型的に生じ、ラットを処置群に無作為割り当てする。無作為割り当ては、足首関節膨潤が明白に確立され、両側性疾患の証拠が存在した後に行う。
動物を研究への組み入れのために選択した後、処置を経口経路によって開始する。動物にビヒクル、対照(エンブレル)、または化合物の用量を、1日2回または1日1回(それぞれBIDまたはQD)与える。1〜6日目、経口溶液について2.5ml/kg(BID)または5ml/kg(QD)の量を使用して投与を行う。関節炎の確立後の1〜7日目、ラットを計量し、足首のカリパス測定を毎日とる。7日目、最終体重をとり、動物を安楽死させる。
結果は、試験される条件下で、選択された試験化合物について、経時的な平均足首直径増の低減を示すことが予想される。
実施例35:アジュバント誘発性関節炎アッセイ
ラットの髄腔内カテーテル挿入
イソフルラン麻酔したルイスラット(200〜250g)に、髄腔内(IT)カテーテルを埋め込む。6日間の回復期間後、感覚または運動異常を有すると思われた動物(一般に総数の5%未満)を除く全ての動物を実験に使用する。髄腔内投与のために、カテーテルを通じて10μLの薬物または食塩水、続いて10μLの等張食塩水を注射する。
アジュバント関節炎および薬物処置
カテーテル移植の数日後である0日目、ルイスラットを、尾基部において、0.1mLの完全フロイントアジュバント(CFA)で免疫化する(n=6/群)。薬物(例えば、1つ以上の本発明の化合物またはビヒクル)処置は、一般に8日目に開始し、20日目まで毎日継続する。関節炎の臨床徴候は、一般に10日目に始まり、足膨潤を、水変動測定法によって2日毎に決定する。
結果は、本発明の1つ以上の化合物が、本明細書に記載される疾患または病態のうちの1つ以上の治療に有用であり得ることを示すことが予想される。
実施例36:齧歯類薬物動態アッセイ
本発明の化合物の薬物動態を研究するために、一組の4〜10週齢のマウスを次の表に従って群に分ける:
Figure 2014534264
本発明の化合物を適切なビヒクル(例えば、5%1−メチル−2−ピロリジノン、85%ポリエチレングリコール400、10%Solutor)中に溶解させ、12時間間隔で毎日経口投与する。最終化合物を投与した2時間後、全ての動物をCO中で安楽死させる。血液を即座に収集し、血漿単離のために氷上に保つ。血漿を、5000rpmで10分間遠心分離することによって単離する。採取された血漿を薬物動態検出のために凍結する。
結果は、本発明の化合物についての吸収、分布、代謝、***、および毒性等の薬物動態パラメータを実証することが予想される。
実施例37:バソテスト(Basotest)アッセイ
Orpegen Pharma Basotest試薬キットを使用してバソテストアッセイを行う。ヘパリン化した全血を、試験化合物または溶媒で、37℃で20分間プレインキュベートする。血液を次いで、アッセイキット刺激緩衝液(反応のために細胞を予備刺激する)、続いてアレルゲン(ダストダニ抽出物または草抽出物)と共に20分間インキュベートする。血液試料を氷上でインキュベートすることによって、脱顆粒プロセスを停止する。細胞を次いで抗IgE−PEで標識して好塩基性顆粒球を検出、および抗gp53−FITCで標識してgp53(活性化好塩基球上で発現する糖タンパク質)を検出する。赤血を染色した後、細胞を溶解溶液の添加によって溶解させる。細胞を洗浄し、フローサイトメトリーによって分析する。試験化合物は、このアッセイで評価されるとき、マイクロモルよりも低い範囲で好塩基性顆粒球のアレルゲン誘発性活性化を阻害する。結果は、試験される条件下で、本発明の1つ以上の化合物が好塩基球のアレルゲン誘発性活性化を阻害することができることを実証することが予想される。
実施例38:腫瘍成長の阻害のための本発明の化合物の使用
細胞株
対象となる細胞株(A549、U87、ZR−75−1、および786−O)をAmerican Type Culture Collection(ATCC,Manassas,VA)から得る。細胞を早期継代(例えば、3継代目)において増殖させ、低温貯蔵で保存する。1つのアリコートを更なる増殖に使用して、1つのTGI研究に十分な細胞を得る(約9継代目で)。
動物
メスの胸腺欠損ヌードマウスは、Harlanによって供給される。マウスを4〜6週齢で受け取る。取扱い前に約1日〜2週間、全てのマウスを順化させる。マウスをマイクロアイソレーターケージに収容し、特定病原体除去条件下で維持する。マウスに照射されたマウスチャウ(mouse chow)を給餌し、自由に摂取可能なオートクレーブ処理水を提供する。
腫瘍異種移植片モデル
マウスに、0.01〜0.5mLの腫瘍細胞(およそ1.0×10〜1.0×10個の細胞/マウス)を右脇腹に皮下接種する。接種の5〜10日後、カリパスを用いて腫瘍を測定し、腫瘍重量を、例えば、Study Director V.1.6.70(Study Log)等の動物研究管理ソフトウェアを使用して算出する。約120mgの腫瘍サイズを有するマウスを、Study Directorを使用して所望の群にペアマッチして割り当てる(1日目)。マウスをペアマッチしたときに体重を記録する。腫瘍体積および体重測定を週1〜4回行い、粗観察を少なくとも1日1回行う。1日目、本発明の化合物および参照化合物ならびにビヒクル対照を、示されるように強制経口投与または静脈内投与する。実験の最終日、最終投薬の1〜4時間後にマウスを殺処分し、それらの腫瘍を収集する。腫瘍を切除し、2つの切片に切り分ける。腫瘍の3分の1をホルマリン中に固定し、パラフィンブロックで包埋し、腫瘍の残りの3分の2を急速凍結し、−80℃で保管する。
データおよび統計分析
次の式を利用して平均腫瘍成長阻害(TGI)を算出する:
Figure 2014534264
1日目の出発サイズから退行する腫瘍は、算出から除去する。1日目の腫瘍重量と比べて退行を示す腫瘍については、下の式を使用して個々の腫瘍縮小(TS)を算出する。各群の平均腫瘍縮小を算出し、報告する。
このモデルを用いて、試験される条件下で、本発明の化合物が腎癌細胞成長、乳癌細胞成長、肺癌細胞成長、または膠芽腫細胞成長等の腫瘍細胞成長を阻害し得るかどうかを示すことができる。
Figure 2014534264
実施例39:PI3Kα突然変異を有する腫瘍細胞のPI3K経路および増殖の阻害
乳癌細胞(例えば、MDA−MB−361およびT47D)を含むが、それらに限定されないPI3Kαにおける1つ以上の突然変異を含む細胞、および前立腺癌細胞(例えば、PC3)を含むが、それらに限定されないPTENにおける1つ以上の突然変異を含む細胞を、典型的に、ウシ胎児血清および/または抗生物質を補充したDMEM等の細胞増殖培地中で増殖させ、培養密度まで増殖させる。細胞を次いで種々の濃度の試験化合物で約2時間処理し、その後、細胞溶解緩衝液中で溶解させる。溶解物をSDS−PAGE、続いてウェスタンブロット分析に供して、pAKT(S473)、pAKT(T308)、pS6、およびp4E−BP1を含むが、それらに限定されない下流シグナル伝達マーカーを検出する。本発明の化合物の種々の用量での細胞について、増殖(および増殖阻害)の程度もまた測定することができる。これらの結果によって示されるpAKTおよび増殖の阻害パーセントに基づき、IC50値を算出する。
実施例40:血管新生の体外阻害
管形成アッセイキット(例えば、Invitrogenから市販されている)を使用することによって等で、管形成アッセイを使用して、試験化合物の存在下での血管新生の阻害を評価する。血管新生能は、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)等の内皮細胞株を使用して体外で測定することができる。キット指示書に従って、化合物の存在または不在下でアッセイを行う。手短に述べると、ゲルマトリックスを細胞培養表面に適用し、細胞を成長因子と共にマトリックス被覆表面に添加し、このうち幾つかの試料にはまた阻害剤化合物も添加し、細胞を37oCおよび5%COで、対照試料(化合物が添加されていない)が管構造を形成するのに十分に長く(一晩等)インキュベートし、細胞透過染料(例えば、カルセイン)を使用して細胞を染色し、細胞を可視化して、管形成の程度を特定する。阻害されていない対照細胞と比べた管形成におけるいずれの減少も、血管新生阻害を示す。試験される用量および対応する管形成阻害の程度に基づいて、管形成についてのIC50値を算出する。細胞生存能についてのIC50値は、生細胞を死滅細胞から識別する染色法(例えば、Invitrogenから市販されているImage−iT DEAD Green生存能染色)等の、当該技術分野で既知の任意の数の方法を使用して測定することができる。
実施例41:乳癌の異種マウスモデルにおける体内有効性
ヒト乳腺癌細胞MDA−MB−361(PI3Kα/HER2癌)の移植に由来する腫瘍を有するヌードマウスを、無処置対照群(ビヒクルのみ)および処置群に分離する。処置群のマウスを、70mg/kg(70mpk)の汎PI3K阻害剤、または30mpkもしくは60mpkの試験化合物を受容するマウスに更に分割する。処置群のマウスは、毎日経口洗浄によって20〜50日間、規定用量を受容し、その期間中、腫瘍重量を実施例37に記載される通りに算出する。処置剤の投与後、血糖を定期的に監視する。最終処置の2時間後、腫瘍を採取し、タンパク質を上述のウェスタンブロットによって分析する。処置の終わりに、脾臓における辺縁帯B細胞の局在性/生存能に対する化合物の効果もまた評価する。
MDA細胞の代わりに、786−O細胞、すなわち非突然変異PI3Kαを有するヒト腎臓癌細胞株を使用した同様の実験を使用して、試験化合物の特異性を更に実証する。例えば、試験化合物を、mTorに対する特異性を有するキナーゼ阻害剤と比較する。
実施例42:他のキナーゼ阻害剤との相乗的な組み合わせ
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、別のキナーゼ阻害剤と組み合わせられる。幾つかの実施形態において、組み合わされたキナーゼ阻害剤は、MEK阻害剤である。半数効果分析を使用して、MEK阻害剤と組み合わせたときの本発明の化合物の相乗作用、拮抗作用、または相加性を決定する。チョウ/タラレイ方程式を使用して併用指数(CI)を決定する。各々個々の化合物についてのIC50値は、72時間のCellTiter−Gloアッセイにおいて決定する。組み合わせアッセイについては、薬物をそれらの等効力比(例えば、それらのIC50の比率)で使用する。CalcuSynソフトウェア(Biosoftによる)を用量効果分析のために使用する。
キナーゼ阻害剤間の相乗効果を更に実証するために、細胞停止アッセイを使用して、処置細胞の周期段階に及ぼす、阻害剤の単独のおよび組み合わせた効果を決定する。ヒト結腸癌細胞株であるHCT116細胞を、DMSO(担体)、3μMの、化合物54を含む本発明の化合物、0.3μMのPD0325901、または3μMの試験化合物および0.3μMのMEK阻害剤の両方の組み合わせで処理する。細胞を次いでDMSOまたは阻害剤の存在下で20時間インキュベートする。細胞周期の各段階での細胞の数を決定し、全体のパーセントとして表し、このうちプレG0/G1で停止された細胞の数の増加が細胞周期進行の有効阻害を示す。このアッセイを使用して、本発明の化合物と他の阻害剤との組み合わせが相乗的であり得るかどうかを決定することができる。

Claims (14)

  1. 式A、
    Figure 2014534264
    の化合物を調製する方法であって、
    a)式A1の化合物を、式B1、
    Figure 2014534264
    の化合物と反応させて、式C1、
    Figure 2014534264
    の化合物をもたらすステップと、
    b)式C1の前記化合物を、式D1、
    Figure 2014534264
    の化合物に変換するステップと、
    c)式D1の前記化合物を、式E1、
    Figure 2014534264
    の化合物と反応させて、式Aの化合物をもたらすステップと、を含み、
    式中、
    は、BrまたはIであり、
    は、Br、ClまたはIであり、
    およびWのうちの一方は、Nであり、他方は、O、NR10、またはSであり、
    nは、1、2、または3であり、
    Gは、水素、アルキル、アルケニル、またはアリールであるか、あるいは
    Figure 2014534264
    のG基が一緒になって、5員または6員の環式部分を形成し、
    およびRは独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、リン酸塩、尿素、炭酸塩、またはNR’R’’であり、式中、R’およびR’’は、窒素と一緒になって、環式部分を形成する、方法。
  2. は、Oであり、Wは、Nである、請求項1に記載の方法。
  3. は、アミノである、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  4. nは、1または2である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 窒素と一緒になったRaおよびRbは、アルキルで任意に置換される4、5、6、または7員の環式部分を形成する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記環式部分は、4、5、6、または7員の複素環基である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記複素環基は、飽和である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記複素環基は、置換ピペラジンである、請求項6に記載の方法。
  9. Gは、水素である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. ステップa)は、パラジウム触媒系の存在下で行われる、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記パラジウム触媒系は、Pd(dba)/キサントホスである、請求項10に記載の方法。
  12. ステップb)は、オキシ塩化リンの存在下で行われる、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. ステップc)は、パラジウム触媒系の存在下で行われる、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記パラジウム触媒系は、Pd(PPhである、請求項13に記載の方法。
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