JP2014531865A - 聴覚装置における安定性と音声の聴き取り易さの改善 - Google Patents

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Abstract

本発明は、補聴器のような聴覚装置における安定性を改善し、音声の聴き取り易さを向上するための、信号の相関除去に関する。前記聴覚装置は、入力信号の第1周波数部分であって、ローパスフィルタを通過した部分を備える前記第1周波数部分を供給するように構成されている第1フィルタと、前記入力信号の第2周波数部分であって、ハイパスフィルタを通過した部分を備える前記第2周波数部分を供給するように構成されている第2フィルタと、第1周期関数に基づく第1モデルを用いて、前記第1周波数部分から第1合成信号を生成するように構成されている第1合成ユニットと、前記第2周波数部分と前記第1合成信号とを結合し、結合信号を供給するように構成されている結合器と、を備える。

Description

本発明は、補聴器のような聴覚装置における安定性を改善し、音声の聴き取り易さを向上するための、信号の相関除去に関する。
補聴器における信号処理は、通常、信号の時変ゲインを決定し、その信号にそのゲインをかけ合わせることによって、実装される。この手法は線形時変システム、すなわち、時間とともに変化する周波数応答を有するフィルタを与える。このシステムは、ダイナミック・レンジ・コンプレッションや、ノイズ・サプレッションなど、目的とする信号処理が時間および周波数に依存するゲインであるような処理に対して、非常に効果的であろう。しかしながら、時変フィルタは、その線形性のために、本発明のように、周波数変化や位相ランダム化などの非線形処理の実装には用いることが出来ない。
代替手法として、分析合成(analysis/synthesis)システムを用いることもある。分析(analysis)では、入力信号は通常複数のセグメントに分割され、それぞれのセグメントが一組の信号特性を決定するために分析される。合成(synthesis)では、測定された、あるいは修正された信号特性を用いて、新たな信号が生成される。効果的な分析合成スキームは、米国特許第4,885,790号明細書、米国再発行特許第36,478号明細書および米国特許第4,856,068号明細書によって公知となっている正弦波モデリングである。分析は、それぞれのセグメントに対する高速フーリエ変換(FFT)の計算と、そのFFTのそれぞれのピークについての周波数、振幅および位相の決定からなる。それぞれの正弦波はFFTのピークに適合されるが、必ずしも全てのピークを用いる必要はない。その規則は、1つのセグメントにおけるピークの振幅と、位相と、周波数を、次のセグメントにおける対応するピークとリンクさせ、滑らかに変動する信号を与えるために、それぞれの正弦波の振幅、位相および周波数は、複数の出力セグメントに亘って補間される。従って、限られた数の修正された正弦波成分を用いて、音声が再現される。
正弦波モデリングは、非線形の信号修正の枠組みを提供する。この手法は、例えば、米国特許第5,054,072号明細書に示すような、デジタル音声コーディングに利用することが出来る。信号の振幅および位相は、音声について決定され、デジタルで符号化され、それらを用いて正弦波を合成し出力信号を生成するレシーバに向けて送信される。
McAulay,R.J.とQuatieri,T.F.の"Speech analysis/synthesis based on a sinusoidal representation"(IEEE Trans. Acoust. Speech and Signal Processing, Vol ASSP-34, pp 744-754, 1986)で報告されているように、正弦波モデリングは、時間スケールおよび周波数の修正に対しても効果的である。時間スケールの修正については、FFTのピークの周波数は保存されるが、出力信号の連続するセグメントの間の間隔は、信号の速度を上げるために減少させることも出来るし、信号の速度を下げるために増加させることも出来る。周波数シフトについては、出力信号のセグメントの間隔は各正弦波についての振幅の情報に従って保存されるが、それらの正弦波は元の値からシフトされた周波数で生成される。米国特許第4,885,790号明細書および米国特許第5,054,072号明細書に示されるように、別の信号操作では、合成された正弦波の位相を動的に調整することによって、ピーク対平均比(peak-to-average ratio)を低減して、信号のピークの振幅を減少させる。
正弦波モデリングは、音声強調に対しても用いることが出来る。Quatieri,T.F. とDanisewicz,R.G.の"An approach to co-channel talker interference suppression using a sinusoidal model for speech"(IEEE Trans. Acoust. Speech and Signal Processing, Vol 38, pp 56-69, 1990)では、正弦波モデリングを使用して音声の干渉を抑制している。Katesもまた、雑音の抑制の基礎として正弦波モデリングを用いている(この内容は、Kates,J.M.の"Speech enhancement based on a sinusoidal model"(J. Speech Hear Res, Vol 37, pp 449-464, 1994)で報告されている)。上記したKatesによる研究では、音声と想定される信号の高強度の正弦波成分は再現され、雑音と想定される低強度の成分は除去される。しかしながら、音声の明瞭度の改善に対しては、恩恵がない。JansenとHansenは、相加性の広帯域雑音によって劣化した音声を、正弦波モデリングを用いて強調しており、彼らの手法がウィーナーフィルタなどの比較スキームよりも効果的であることを見出している(この内容は、Jansen,J.とHansen,J,H.L.の"Speech enhancement using a constrained iterative sinusoidal model"(IEEE Trans. Speech and Audio Proc, Vol 9, pp 731-740, 2001)で報告されている)。
正弦波モデリングは、聴力損失および補聴器に対しても応用されている。RutledgeとClementsは、正弦波モデリングをダイナミック・レンジ・コンプレッションについての処理フレームワークとして使用している(この内容は、米国特許第5,274,711号明細書で報告されている)。彼らは、正弦波モデリングを使用して信号帯域幅の全体を再現しているが、聴覚損失が測定されている周波数における合成成分の振幅を増大させている。他の者も、同様の手法を用いて、合成された正弦波成分の周波数を元の信号の周波数よりも低くシフトすることにより、聴覚障害を有する聴取者に対する周波数の低減を提供している。シフト量は周波数に依存しており、低周波数では小さなシフト量であり、高周波数では大きなシフト量である。
従って、本発明は、補聴器のような聴覚装置における安定性の改善を実現するための計算が簡単な方法を提供することを目的とする。
上記又は他の目的を達成するための第1態様は、第1フィルタと、第2フィルタと、第1合成ユニットと、結合器と、を備える聴覚装置である。第1フィルタは、聴覚装置の入力信号の第1周波数部分を供給するように構成されている。第1周波数部分は、ローパスフィルタを通過した部分を備え、又は、当該部分(即ち入力信号のうちのローパスフィルタを通過した部分)である。第2フィルタは、聴覚装置の入力信号の第2周波数部分を供給するように構成されている。第2周波数部分は、ハイパスフィルタを通過した部分を備え、又は、当該部分(即ち入力信号のうちのハイパスフィルタを通過した部分)である。第1合成ユニットは、第1周期関数に基づく第1モデルを用いて、第1周波数部分から第1合成信号を生成するように構成されている。第1合成信号の位相は、少なくとも部分的にランダム化されてもよい。結合器は、第2周波数部分と第1合成信号とを結合し、結合信号を供給するように構成されている。
本発明の第2態様は、聴覚装置の入力信号と出力信号との相関を除去する方法である。方法は、入力信号の複数の周波数部分を選択することと、第1合成信号を生成すると、複数の処理信号を結合することと、を備える。複数の周波数部分は、第1周波数部分と第2周波数部分とを含む。第1周波数部分は、ローパスフィルタを通過した部分を備え、又は、当該部分(即ち入力信号のうちのローパスフィルタを通過した部分)である。第2周波数部分は、ハイパスフィルタを通過した部分を備え、又は、当該部分(即ち入力信号のうちのハイパスフィルタを通過した部分)である。第1合成信号は、第1モデルと第1周波数部分とを用いて生成される。第1モデルは、第1周期関数に基づくものである。第1合成信号の位相は、少なくとも部分的にランダム化されてもよい。結合される複数の処理信号は、第1合成信号と第2周波数部分とを含む。
入力信号の第1周波数部分から第1合成信号を生成すると共に、入力信号の第2周波数成分を当該合成信号に合成することによって、入力信号の第1周波数部分が合成された信号に対して少なくとも部分的に相関除去され、聴覚装置の安定性を高め得る。第1及び第2フィルタの手段のそれぞれによって入力信号の第1及び第2周波数部分を供給して、選択された1以上の周波数部分のみで合成信号を生成することは、聴覚装置の全周波数範囲のように広い周波数範囲で合成信号を生成する構成と比べて、コンピュータの負荷を低減し得る。従って、実施例では、合成信号は、第1周波数部分から生成され、第2周波数部分から生成されない。結果として得られる聴覚装置は、高い安定性と、コンピュータの処理負荷の低減と、の組合せの効果を発揮し得る。
従って、1以上の合成信号が、必要な(あるいは最も必要な)周波数のみについて、あるいは、当該周波数を主として、生成されれば、上記の効果が達成され得る。
本発明の聴覚装置は、聴覚機器と補聴器のいずれか一方あるいはいずれかの組み合わせであってもよい。
例えば、任意の信号のバンドパスフィルタを通過したいずれの部分も、その信号のローパスフィルタを通過した部分を必然的に備えていることは明らかである。また、バンドパスフィルタを通過した部分は、必然的に、ローパスフィルタを通過した部分、すなわち、その信号のローパスフィルタ部分およびハイパスフィルタ部分である。
聴覚装置は、入力変換器及び/又は聴覚損失処理装置及び/又はレシーバを備えている。入力変換器は、例えば電気的入力信号等の入力信号を提供するために用いられる。聴覚損失処理装置は、処理済信号を提供するために、結合信号を処理する。しかしながら、聴覚損失処理装置は、結合器を用いて処理結果を結合する前に、第2周波数部分と合成信号とを個別に処理することで処理済信号を提供してもよい。聴覚損失処理装置の処理は、聴覚装置のユーザの聴覚障害に合わせて行われる。レシーバは、処理済信号を外部の音声シグナルへと変換するためのものであってもよい。
第1フィルタは、入力変換器に接続されていてもよい。第2フィルタは、入力変換器に接続されていてもよい。合成ユニットは、第1フィルタの出力に接続されていてもよい。結合器は、第2フィルタの出力に接続されるとともに、合成ユニットの出力に接続されていてもよい。本明細書において「接続」なる用語を用いる場合、(アンプ、コンバータ等の)一つ又は複数の第3エレメントが間に配置されていたとしても、(例えば第1フィルタ等の)第1エレメントが(例えば入力変換器等の)第2エレメントに接続されることを意味することは明らかである。
聴覚装置は、入力信号の第3周波数部分を供給するように構成されている第3フィルタを備えていてもよい。第3周波数部分は、ローパスフィルタを通過した部分であってもよい。聴覚装置及び/又は結合器は、第3の周波数部分を結合信号に含めるように構成されていてもよい。
複数の周波数部分は、ローパスフィルタを通過した部分を含む第3周波数部分、又は、ローパスフィルタを通過した部分である第3周波数部分を備えていてもよい。複数の処理信号は、第3周波数部分を含んでいてもよい。
聴覚装置は、入力信号の第4周波数部分を供給するように構成されている第4フィルタを備えていてもよい。第4周波数部分は、ハイパスフィルタを通過した部分を備えていてもよい。聴覚装置は、第2周期関数に基づく第2モデルを用いて、第4周波数部分から第2合成信号を生成するように構成されている第2合成ユニットを備えていてもよい。聴覚装置及び/又は結合器は、第2合成信号を結合信号に含めるように構成されていてもよい。
複数の周波数部分は、ハイパスフィルタを通過した部分を含む第4周波数部分、又は、ハイパスフィルタを通過した部分である第4周波数部分を備えていてもよい。方法は、第4周波数部分と第2モデルとに基づいて第2合成信号を生成するステップを含んでいてもよく、第2モデルは、第2周期関数に基づいていてもよい。複数の処理信号は、第2合成信号を備えていてもよい。
第2周波数部分は、バンドパスフィルタを通過した部分であってもよい。すなわち、第2周波数部分は、入力信号のバンドパスフィルタを通過した部分であってもよい。
第2周波数部分は、第1周波数部分よりも高い周波数又は高い周波数領域を表してもよい(又は備えていてもよい)。
第1周波数部分は、バンドパスフィルタを通過した部分であってもよい。すなわち、第1周波数部分は、入力信号のバンドパスフィルタを通過した部分であってもよい。
第1フィルタは、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、及び、バンドストップフィルタのいずれか、もしくはこれらの組み合わせであってもよい。
第2フィルタは、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ、及び、バンドストップフィルタのいずれか、もしくはこれらの組み合わせであってもよい。
第3フィルタは、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ、及び、バンドストップフィルタのいずれか、もしくはこれらの組み合わせであってもよい。
第4フィルタは、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ、及び、バンドストップフィルタのいずれか、もしくはこれらの組み合わせであってもよい。
本発明の聴覚装置は、2、3、4、もしくはそれ以上の複数の不安定性のためのフィルタと合成ユニットを備えていてもよい。
聴覚装置のフィルタは、入力信号が少なくとも実質的に複数の周波数部分に分割されるように構成されていてもよい。これは、フィルタが少なくとも実質的に同一であるカットオフ周波数の対を有すること、ならびに、そのような少なくとも実質的に同一のカットオフ周波数の対の数が、フィルタの数から1が減算された数と等しいことで可能となる。例えば、第1及び第2フィルタは、ロー及びハイパスフィルタの補償対であってもよく、同一もしくは実質的に同一のカットオフ(あるいはクロスオーバ)周波数を有していてもよい(すなわち、実質的に同一のカットオフ周波数の対が1つ提供される)。一つ又は複数の実施形態では、第1フィルタはバンドパスフィルタであってもよく、第2フィルタはハイパスフィルタであってもよく、第3フィルタはローパスフィルタであってもよく、第3フィルタのカットオフ周波数は第1フィルタのカットオフ周波数と少なくとも実質的に同一であってもよく、第2フィルタのカットオフ周波数は第1フィルタの高いカットオフ周波数と少なくとも実質的に同一であってもよい(すなわち、2対の実質的に同一のカットオフ周波数が提供される)。
第1フィルタの第1カットオフ周波数は、第2フィルタの第1カットオフ周波数の約200Hz内であり、例えば、100Hz以内又は50Hz以内である。
本発明の1または複数の実施例によると、第1及び/又は第2周期関数は、例えば第1/第2正弦波もしくは正弦波の線形結合等の第1/第2三角関数であってもよく、あるいはそのような第1/第2三角関数を含んでいてもよい。これにより、音声信号は高次の周期性を有しており、フーリエの定理に従って正弦波あるいは正弦波の線形結合によりモデル化(もしくは近似化)することができるため、音声をモデリングする簡単な方法が提供される。これにより、特に音声信号のための非常に正確かつ簡単な演算モデルが提供される。正弦波という用語は、サインもしくはコサインを意味する。
本方法は、第1合成信号の周波数及び/又は第2合成信号の周波数をシフトするステップを備えていてもよい。(例えば、第1合成信号及び/又は第2合成信号等の)本発明の聴覚装置のいかなる信号も、所定の周波数領域内で実質的に連続した周波数等の複数の周波数を有していてもよい。よって、聴覚装置の所定の信号の周波数をシフトするということは、当該信号の周波数をシフトすること、もしくは当該信号の周波数の少なくとも一部をシフトすることを意味することは明らかである。第1合成ユニットは第1合成信号の周波数をシフトするように構成されていてもよい。第2合成ユニットは第2合成信号の周波数をシフトするように構成されていてもよい。周波数をシフトすることで、入力と出力の信号間の相関排除を増加させる簡単な方法が提供される。第1(及び/又は第2)合成ユニットが第1(及び/又は第2)合成信号の周波数をシフトするように構成されるとの表現は、各合成ユニットで生成され、結合器で(その後)結合される各種信号の周波数を、各合成ユニットに設けられたフィルタによって生成される各周波数部分に対してシフトする(すなわち、別の周波数領域へシフトする)ことであってもよい。
本方法及び/又は第1合成ユニットは、第1合成信号の少なくとも第1部分の周波数を低減する方向へシフトするように構成されていてもよい。代替的にあるいは追加的に、本方法及び/又は第1合成ユニットは、第1合成信号の少なくとも第2部分の周波数を増加する方向へシフトするよう構成されていてもよい。
本方法及び/又は第2合成ユニットは、第2合成信号の少なくとも第1部分の周波数を低減する方向へシフトするよう構成されていてもよい。代替的にあるいは追加的に、本方法及び/又は第2合成ユニットは、第2合成信号の少なくとも第2部分の周波数を増加する方向へシフトするよう構成されていてもよい。
代替的にあるいは追加的に、第1合成信号の位相(及び/又は第2合成信号等のその他の合成信号の位相)は、少なくとも部分的にランダム化されてもよい。これは、例えば、元の(高周波数)信号の位相をランダムな位相で置き換えることで実現される。ここでは、簡単な演算による入力と出力信号の相関排除のための別の方法を得ることができる。
本発明の1または複数の実施例によると、合成信号の周波数シフティングは、位相のランダム化とともに用いることができる。よって、周波数シフティングによる相関排除の効果と位相ランダム化による相関排除の効果を同時に得ることができる。これにより、より高次な相関排除を得ることができ、より高い聴覚装置の安定性を得ることができる。
位相のランダム化は、例えば、元の位相とランダムな位相を任意の比率でブレンドすることで得ることができる。よって、所望のシステム(聴覚装置)の安定性を得るために必要最低限の位相ランダム化をおこなうことができ、これと同時に、演算負荷を可能な限り抑える一方で、所望される安定性の向上において可能な限り最も高い音声品質を得ることができる。
本発明の聴覚装置は、例えば米国特許出願番号第2002/0176584に示される構成のような、フィードバック抑制フィルタを備えていてもよい。ここでは、より向上された聴覚装置の安定性を得ることができ、フィードバックがかかる前に聴覚装置のより高い増幅域での使用が可能となる。
信号の正弦波モデル化は、信号に歪を生じさせることがある。しかしながら、例えば正弦波モデル化によって生じる歪等の歪みは、ユーザにとっては、増加する周波数においてより聞きにくいものとなりうる。
聴覚装置における少なくともいくつかのフィードバックは、高周波数での現象であってもよい。しかしながら聴覚装置におけるいくつかのフィードバックは追加的に、あるいは代替的にその他の周波数部分において行われてもよい。
本記載では、高周波数、中周波数、低周波数の記載は、例えば約20Hzから20kHzの間の、人間の正常聴覚周波数域に対して規定されるものである。よって、1または複数の実施例における高周波数という記載は、例えば、2.5kHzより大きい、3kHzより大きい、3.5kHzより大きい等の、2kHzより大きい周波数を意味していてもよい。この1または複数の実施例では、中周波数という記載は、500Hz〜2kHzの周波数を意味していてもよい。低周波数という記載は、500Hzより低い周波数を意味していてもよい。代替の実施例では、高周波数という記載は、3.5kHzより大きい周波数を意味していてもよい。代替の実施例では、中周波数という記載は、1500Hz〜3Hzの周波数を意味してもよい。この実施例において低周波数という記載は、1500Hzより低い周波数を意味してもよい。さらに別の実施例では、高周波数という記載は、例えば2kHzより大きい、3kHzより大きい、3.5kHzより大きい等の、1.5kHzより大きい周波数を意味してもよい。この実施例では、中周波数という記載は、700Hz〜1.5kHzの周波数を意味してもよい。この実施例では、低周波数という記載は、700Hzより低い周波数を意味してもよい。
補聴器を使用するユーザの聴覚損失の主な形態として、高周波数損失があげられる。よって、高周波数を低減することで、少なくともそれらのリスナーにとっての高周波数の可聴度を向上させることができる。
例えば、高周波数のほぼ正常なヒアリングができている場合において、低周波数において可聴度のロスが生じる場合、聴覚損失が生じる。例えば信号を増幅する等して低周波数をより高くすることで、このタイプのロスに苦しむユーザの可聴度を向上させることができる。
中周波数にロスが生じる一方で低周波数及び高周波数での可聴度が高い、いわゆる「クッキーバイト」型の聴覚損失が存在する。このような場合、第1、第2、第3周波数部分を用いるように構成されたシステムが有利である。例えば、ローパスおよびハイパスフィルタによって信号が非修正の周波数部分が提供され、中周波数バンドパスフィルタによって、例えば中周波数を低減及び/又は増加させる(すなわち、中周波数を大きくする)ことで、中周波数をより可聴度の高い領域へとシフトさせる正弦波モデリングが適用された周波数部分を提供することができる。
中周波数における損失の場合、周波数をシフトアップ及び/又はシフトダウンするのかは、損失を含む周波数領域に依存する。シフトアップの場合、歪みをより聞こえにくくすることができるが、ユーザにとっての高周波数における周波数分解能が低いことがあり、いくつかの周波数分解能が失われてしまうことがある。
よって、中周波数損失におけるオプションとして、損失領域そのものを2つの周波数領域に分割し、2つの領域のうち低い方を周波数の低い方向へとシフトし、2つの領域のうち高い方を周波数の高い方向へとシフトすることができる。このアプローチは、周波数シフトが行われていないローパスと、周波数を低くシフトした低バンドパスと、周波数を高くシフトした高バンドパスと、周波数シフトが行われていないハイパスの、4つのフィルタ出力を備える実施形態に具現化できる。
処理歪は低周波数においてより顕著になることから、低周波数およびクッキーバイト型の損失の両方にとって、可聴な歪が問題となり得る。
例えば、音響フィードバックを低減するため等、周波数を高周波数にシフトすることで、補聴器の安定性を向上させることができる。
信号の位相をランダム化することも音響フィードバックを低減するのに有効であり得る。
周波数シフティングは、可聴度を向上させるのに有効であり得る。
低周波数における音響フィードバックは、例えば、パワーデバイス等で問題となり得る。
位相ランダム化は、補聴器の不安定性が最も高い、1つまたは複数の周波数領域にのみ適用され得る。代替的にあるいは追加的に、正弦波モデリングを入力信号の全てに対して用いてもよい。
可聴度の損失が低周波数において生じている場合、周波数をシフトアップさせてもよい。仮に、可聴度の損失が中周波数において生じている場合、モデリングによって生じる歪が周波数が増加するにつれて聞き取りにくくなることから、(この場合においてシフトダウンさせることができるにも関わらず)周波数をシフトアップさせてもよい。
本方法及び/又は第1合成ユニットは、
第1周波数部分を、互いに重なり合い得る複数の第1セグメントに分割し、及び/又は、
複数の第1セグメントの各セグメントに窓関数を適用して周波数領域に変換し、及び/又は、
各セグメントにおいて、少なくとも2以上であり得るN個の最も高いピークを選択するように構成され、
第1合成信号を生成することは、選択されたピークのそれぞれを第1周期関数で置き換えることを含むように構成されていてもよい。
追加的にあるいは代替的に、本方法及び/又は第2合成ユニットは、
第2周波数部分を、互いに重なり合い得る複数の第2セグメントに分割し、及び/又は、
複数の第2セグメントの各セグメントに窓関数を適用して周波数領域に変換し、及び/又は、
各セグメントにおいて、少なくとも2以上であり得るN個の最も高いピークを選択するように構成され、
第1合成信号を生成することは、選択されたピークのそれぞれを第2周期関数で置き換えることを含むように構成されていてもよい。
例えば、窓関数の適用による信号の特徴損失が補償されるように、セグメントは重なり合っていてもよい。
第1合成信号及び/又は第2合成信号を生成することは、N個のピークのそれぞれの周波数、振幅、及び位相を用いることを含んでいてもよい。
選択されたピークの少なくとも第1部分の周波数よりも低い周波数を持つ周期関数で置き換えることにより、生成された第1及び/又は第2合成信号の少なくとも第1部分の周波数を、より低い周波数にシフトさせてもよい。
選択されたピークの少なくとも第2部分を、選択されたピークの少なくとも第2部分の周波数よりも高い周波数を持つ周期関数で置き換えることにより、生成された第1及び/又は第2合成信号の少なくとも第2部分の周波数を、より高い周波数にシフトさせてもよい。
選択されたピークのうちの幾つかのピークの少なくとも幾つかの位相を、[0,2π]ラジアンに亘る一様分布からランダムあるいは疑似ランダムに選択された位相で置き換えることによって、第1合成信号及び/又は第2合成信号の位相は、少なくとも部分的にランダム化されてもよい。
位相のランダム化は、さらにあるいは代替的に、聴覚装置の安定性もしくは安定性に関する要求に応じて行われてもよい。
本発明のいくつかの実施形態およびいくつかの特徴が上気されたが、これらの特徴のうちの1つにおける1または複数の実施例に含まれる特徴が、1つまたは複数のその他の特徴に含まれていてもよく、本明細書で「実施例」もしくは「1または複数の実施例」と記載した場合、これは本発明のいずれの特徴に基づく1または複数の実施例のいずれであってもよいことを意味する。
以下では、本発明の好ましい実施形態が図面を参照してより詳細に説明される。
本発明のある側面に係る補聴器の実施形態を概略的に示す。 補聴器の代替実施形態を概略的に示す。 補聴器の別の実施形態を概略的に示す。 補聴器のさらに別の実施形態を概略的に示す。 補聴器のさらに別の実施形態を概略的に示す。 窓関数が適用された音声セグメントの振幅スペクトルを概略的に示す。 周波数の低減の例を概略図示する。 2つのセンテンスを備えるテスト信号のスペクトログラムを概略的に示しており、1つ目のセンテンスは女性話者によって話され、2つ目のセンテンスは男性話者によって話されている。 スペクトル全体について正弦波モデリングを使用して再現されたテストセンテンスのスペクトログラムを概略的に示す。 2kHzより上では正弦波モデリングを使用して、再現されたテストセンテンスのスペクトログラムを概略的に示す。 2kHzより上では2:1の周波数圧縮と正弦波モデリングを使用して、再現されたテストセンテンスのスペクトログラムを概略的に示す。 2kHzより上ではランダム位相と正弦波モデリングを使用して、再現されたテストセンテンスのスペクトログラムを概略的に示す。 2kHzより上では2:1の周波数圧縮およびランダム位相と正弦波モデリングを使用して、再現されたテストセンテンスのスペクトログラムを概略的に示す。 本発明に係る方法の一実施形態のフローチャートを概略的に示す。 本発明に係る方法の代替実施形態のフローチャートを概略的に示す。 本発明に係る方法の別の実施形態のフローチャートを概略的に示す。 本発明に係る方法のさらに別の代替実施形態のフローチャートを概略的に示す。 本発明に係る方法の実施形態のフローチャートを概略的に示す。 補聴器の実施形態を概略的に示す。 補聴器の実施形態を概略的に示す。 補聴器の実施形態を概略的に示す。 補聴器の実施形態を概略的に示す。 補聴器の実施形態を概略的に示す。
以下では、本発明の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明は異なる形態で具体化されてもよく、ここに示す実施形態に限定されるものと解釈されてはならない。むしろ、これらの実施形態は、本開示を完璧で完全なものとし、且つ本発明の範囲を当業者に完全に伝えるために提供される。全体を通して、同様の構成要素には同様の参照符号を付す。従って、各図の説明に関して、同様の構成要素は詳細には説明しない。
図1は、本発明に係る補聴器2の実施例を示す。図示された補聴器2は、ここでは電気的入力信号6を供給するマイクロホン4として具体化された入力変換器を備えている。補聴器2は電気的入力信号6(または電気的入力信号6から導出された信号)を補聴器2の使用者の聴覚損失に合わせて処理する聴覚損失処理装置8も備えている。電気的入力信号6は音声信号であることが理解される。図示された補聴器2は、処理済信号12を出力音信号へ変換するレシーバ10も備えている。本実施例では、処理済信号12は聴覚損失処理装置8の出力信号である。聴覚損失処理装置8は、図1−図5の何れにも示されているように、周波数および/または音圧レベルに依存した聴覚損失補償アルゴリズムに従って聴覚損失処理装置8への入力信号を処理することが可能な、いわゆるコンプレッサを備えていてもよい。さらに、聴覚損失処理装置8は、その代替的な構成として、あるいは追加的な構成として、雑音低減アルゴリズムなどの他の標準的な補聴器アルゴリズムを実行するように構成することもできる。
補聴器2は、さらに第1フィルタ14と第2フィルタ16を備えている。フィルタ14,16は入力変換器(マイクロホン4)に接続されている。
第1フィルタ14は、補聴器2の入力信号6の第1周波数部分を提供するよう構成されている。 第1周波数部分は、ローパスフィルタを通過した部分を備えている。 第2フィルタ16は、入力信号6の第2周波数部分を提供するよう構成されている。第2周波数部分 は、ハイパスフィルタを通過した部分を備えている。すなわち、入力信号6からは複数の周波数部分が得られる。フィルタ14,16は、相補的な一対のフィルタとして設計することが可能である。フィルタ14,16は、双一次変換を用いてデジタル無限インパルス応答(IIR)フィルタに変換される、少なくとも実質同一のカットオフ周波数を有する5次のバターワース型のハイパスフィルタ設計およびローパスフィルタ設計であってもよいし、そのような構成を有していてもよい。カットオフ周波数は2kHzに選択することができ、この場合入力信号6に部分的に基づく合成信号24は、2kHzを超えない周波数領域でのみ生成される。他の実施形態では、カットオフ周波数は例えば1.5kHzから2.5kHzの範囲で調整可能である。
図示された補聴器2は、第1フィルタ14の出力に接続された第1合成ユニット18も備えている。第1合成ユニット18は、第1周波数部分(すなわち、第1フィルタ14の出力信号)および第1モデルに基づいて、第1合成信号24を生成するように構成されている。このモデルは、第1周期関数に基づいている。これによって、少なくともある程度までは入力信号6を用いて相関除去された第1周波数部分における音声信号を提供する簡単な方法が提供される。
結合器20(本実施例では単純な加算器として図示されている)は、第2フィルタ16の出力と第1合成ユニット18の出力に接続されており、結合信号26を提供するために、第2周波数部分と第1合成信号24を結合する。そして結合信号26は、例えばダイナミック・レンジ・コンプレッションおよび場合によってはノイズ・サプレッションといった標準的な補聴器処理アルゴリズムを用いて、聴覚損失処理装置8で処理される。
第1フィルタ14、第2フィルタ16、第1合成ユニット18、結合器20および聴覚損失処理装置8は、デジタル信号処理(DSP)ユニット28の内部に実装されてもよい。DSPユニット28は、要求仕様および使用可能なバッテリ電源に応じて、固定小数点DSPまたは浮動小数点DSPであってもよい。一以上の実施形態では、補聴器2はマイクロホン信号をデジタル信号6に変換するA/Dコンバータ(図示せず)および処理済信号12をアナログ信号に変換するD/Aコンバータ(図示せず)を備えていても良い。
モデルが基とする周期関数は、正弦波や、正弦波の線形結合などの三角関数であってもよい。記載を簡潔にするために、以下の実施形態についての記載では、主要な実施例として(例えばMcAulay,R.J.とQuatieri,T.F.の"Speech analysis/synthesis based on a sinusoidal representation"(IEEE Trans. Acoust. Speech and Signal Processing, Vol ASSP-34, pp 744-754, 1986)に開示された手順による)正弦波モデリングのみについて説明する。しかし、本明細書で言及される全ての実施例に関して、周期関数に基づく他のモデリングを代わりに用いることが出来ることに注意されたい。
図2は補聴器2の別の実施形態を示している。図2に示される実施形態は、図1に示す実施形態とほぼ同じであるから、相違点のみについて説明する。(図2に)図示された実施形態では、第1合成ユニット18は2つの信号処理ブロック30および32に分割されている。第1ブロック30において、周波数のシフティングが行われる。周波数のシフト(例えば、周波数の低減及び/又は増加、周波数のワーピングなど)は、第1フィルタ14の出力信号の測定された振幅および位相を用いて、シフトされた周波数での出力正弦波を生成することによって行われる。正弦波の生成は、ブロック32で行われる。正弦波の振幅はそのまま用いられるので、元の信号の包絡線の特性が保存される。周波数シフトを伴う正弦波モデリングは、補聴器2の入力信号および出力信号の相関除去を強化し、安定性を向上させるであろう。
図3は図2に示す補聴器2の入力信号と出力信号の間の相関除去を強化する代替又は追加の手法を示している。処理ブロック34で示すように、周波数シフトの代わりに(あるいは、周波数シフトに加えて)、第1合成ユニット18へ入力される信号の位相がランダム化される。ランダム位相は、入力される信号(すなわち、第1フィルタ14の出力信号)について測定された位相を、0から2πラジアンに亘る一様分布から選択されたランダムな位相値に置き換えることによって実現される。ここでも正弦波の振幅はそのまま用いられるので、元の信号の包絡線の特性が保存される。
図4は、処理ブロック30および34で示すように、正弦波モデリングに周波数シフトと位相ランダム化を組み合わせた、補聴器2の実施形態を示す。組み合わせ処理については、第1合成ユニット18で行われる正弦波モデリングは、第1合成ユニット18への入力信号の元の振幅とランダムな位相値を用いて、シフトされた周波数での出力正弦波を生成する。周波数のシフトと位相のランダム化の組み合わせは、2kHzより下での正弦波モデリングを備える2バンドシステムを用いて実現される。一またはそれ以上の実施形態において、2kHzよりも小さい周波数は、10個の正弦波を用いて再現される。これにより、補聴器2の入力信号および出力信号の間の高度な相関除去を実現する、非常にシンプルな方法が得られる。
図5は、周波数シフトと位相ランダム化を正弦波モデリングに組み合わせた、本発明の実施形態に係る補聴器2の別の実施形態を示している。第1合成ユニット18へ入力される信号は第1フィルタ14の出力信号である。入力される信号は、処理ブロック36で示すように、複数のセグメントに分割される。窓関数の適用の際に失われる特徴を考慮に入れるために、それらのセグメントは例えば重なり合っていてもよい。処理ブロック38で示すように、スペクトル漏れ(spectral leakage)を低減するように、それぞれのセグメントに窓関数を適用し、そのセグメントのFFTが計算される。振幅スペクトルのN個の最も高いピークが選択されて、それぞれのピークの周波数、振幅および位相が補聴器2の内部のデータ記憶ユニット(明示されない)に記憶される。そして、測定された周波数、振幅および位相の値を用いて、選択されたピークのそれぞれについて1つの正弦波を生成する(処理ブロック32によって示す)ことによって、出力信号が合成される。
上記の処理ステップに加えて、正弦波の開始および終了を滑らかにするために、以下の手順が用いられる。正弦波が以前のセグメントについて生成されたものと周波数が近い場合には、振幅および周波数が修正された正弦波を生成するために、出力セグメント期間に亘って振幅、位相および瞬時周波数が補間されてもよい。以前のセグメントと一致していない周波数成分は、開始における滑らかな推移(“birth”)を作り出すために、上昇するランプ関数を用いて重み付けされてもよい。以前のセグメントに存在しており現在のものに存在していない周波数成分は、振幅をゼロとする滑らかな推移(“death”)を作り出すために、下降するランプ関数を用いて重み付けされてもよい。
複数のセグメントは、例えば、フォンハン窓(2乗余弦窓)を用いて窓関数が適用される。使用可能な1つの窓関数のサイズは24ms(サンプリングレート22.05kHzで530サンプル)である。他の形状およびサイズの窓関数を用いることも出来る。
ピークの選択の一例は図6に示されている。ここでは、窓関数が適用された音声(男性話者)のセグメント40の振幅スペクトルが、垂直方向のスパイク42で示される16個の最も高い選択されたピークとともに示されている(図6の簡潔さと理解を明瞭にするために、2つの垂直方向のスパイクのみについて参照符号42を付している)。この例では、2kHzより下で振幅スペクトルの4個のピークが生じており、残る12個のピークが2kHz以上で生じている。この例についてスペクトル全体を再現するには、合計で22のピークが必要であろう。より短いセグメントのサイズを用いると、周波数分解能の低減によって母音の再現性が悪くなるであろうが、信号の時間−周波数の包絡線の振る舞いをより正確に再現することができる。本発明においては、信号の再現と周波数の修正に重点を置いている。人間の聴覚系は一定の周波数における周波数の識別力は低いため、周波数分解能の低減は聞き取られることがなく、実際には包絡線の振る舞いの再現における改善された正確さが音声の品質を改善するであろう。
図7は周波数の低減の実施例を示している。(例えば、処理ブロック30によって示される)周波数の低減は、例えば2kHzより大きい高周波数で行われてもよい。高周波数領域を再現するために、10個の正弦波が使用されるであろう。図示される周波数シフトで用いているのは、図7に示すように2:1の周波数コンプレッションである。この事は、低周波数帯域において何ら修正をすることなく、2kHz以下の周波数が再現されることを意味している。2kHzを超えると、周波数の低減によって、3kHzが2.5kHzの正弦波として再現され、4kHzが3kHzに配置され、以下同様にして、11kHzが6.5kHzの正弦波で再現される。学術的な調査(以下で明らかとなるであろう)によって、このような周波数の低減の手法は、声の音色にわずかな変化をもたらすが、明らかな歪をほとんどもたらさないことが示されている。
図7に示したものに追加して、あるいはその代替として、その他の様々な周波数シフトが可能である。例えば、周波数の低減の代替として、あるいは、これに加えて周波数の増加を行ってもよい。また、非線形シフトを用いてもよい。
図8はテスト信号のスペクトログラムを概略的に示している。その信号は2つのセンテンスを含んでおり、1つめは女性話者が話したものであり、2つめは男性話者が話したものである。右側のバーは、信号のピークのレベルに関して、dBでの範囲を示している。
入力音声のスペクトログラムが図8に示されており、スペクトル全体を再現するために32個の正弦波を用いる正弦波モデリングを用いて再現されたセンテンスのスペクトログラムが図9に示されている。正弦波モデリングにおけるある程度の分解能の喪失を見て取ることができる。例えば、約0.8secでの1kHzを下回るピッチ高調波は図9ではぼやけており、同様に2kHzと4kHzの間の高調波もほとんど再現されていない。1.2secから1.5secの間についても、同様の効果が得られる。図9で約2secから開始する、男性話者についての正弦波モデリングの効果は、あまりはっきりしない。
図19または20に示す補聴装置の実施形態に係る2バンドの補聴器における、シミュレートされた処理についてのスペクトログラムが、図10に示されている。ここでは、正弦波モデリングは第1合成ユニット18と第2合成ユニット19において用いられている。図10の例では、第4周波数部分、すなわちこの例では2kHzを超える周波数については、10個の正弦波が用いられる。2kHzを下回る周波数は、第1合成ユニット18によって行われた少しの修正のみで再現されているが、そのような微差があるにもかかわらず、図示されるスペクトログラムは低周波数において元のものと見かけ上実質的に一致している。しかしながら、2kHzを超えると、正弦波モデリングによる不完全な信号の再現がよりはっきりと確認される。
図11に、周波数圧縮についてのスペクトログラムが示される。2kHzを超える高調波構造の詳細の大部分は失われているようであるが、包絡線の振る舞いは保存されている。2kHzを超える周波数のシフトは明らかである。この例で用いられるFFTのサイズは24msecであり、窓関数が適用されたセグメントの期間は6msecである。6msec(132サンプル)のセグメントのサイズに一致させるためにFFTのサイズを低減することは、本発明の一またはそれ以上の実施形態に係る聴覚装置において、より実用的である。FFTのサイズを低減しても、ここで説明する実施例と同じスペクトログラムと音声品質を与えるであろう。なぜなら、決定的な要因はセグメントのサイズだからである。
図12は、2kHzを超える部分(第2周波数部分)は2:1の周波数コンプレッションとランダム位相を用いることで再現された、テストセンテンスについてのスペクトログラムを概略的に示している。元の音声は1.2kHz以下で、かつ1.5〜2kHzの範囲内で提供されるものであり、1.2〜1.5kHz(第1周波数部分)の周波数領域における正弦波モデリングが行われる。位相のランダム化は、図示された例では、本発明の一またはそれ以上の実施形態に係る聴覚装置に、2kHzより上での正弦波モデリングを用いたシミュレーションを用いて実装されている。2kHzを超える周波数は10個の正弦波を用いて再現されている。正弦波の振幅の情報は保存されるが、位相についてはランダムな値に置き換えられている。ランダム位相は本質的には音声の明瞭さや品質に何の影響もない。なぜなら、2kHzを超える部分を元の位相値とした場合の正弦波モデリングについての明瞭度指数I3は0.999であり、ランダム位相の音声についても0.999であり(この内容は、Kates,J.M.とArehart,K.H.の"Coherence and the speech intelligibility index"(J. Acoust. Soc. Am., Vol. 117, pp 2224-2237, 2005)で報告されている)、この事から完全な明瞭さが期待されるからである。同様に、正弦波モデリングについてのHASQI品質指数(この内容は、Kates,J.M.とArehart,K.H.の"The hearing aid speech quality index (HASQI)"(J. Audio Eng. Soc.に掲載, 2009)で報告されている)の値は、2kHzを超える部分で元の位相値を用いる場合は0.921であり、ランダム位相の音声では0.915であるから、本質的には品質の低下がない。HASQIは処理された信号と元の信号の包絡線の変化を測定するものであり、この結果はランダム位相を用いた正弦波モデリングが音声の包絡線を顕著に変化させるものではないことを示していることに注意されたい。1.2〜1.5kHzの周波数領域における正弦波モデリングについても同様である。
高周波数帯域においてランダム位相を有する音声のスペクトログラムを図12に示す。位相のランダム化によって、図10のスペクトログラムで示した2kHzより上での正弦波モデリングと比較して、幾つかの小さな変化がもたらされている。例えば、0.6secと0.8secの間では、ランダム位相の信号は、元の位相値を用いた正弦波モデリングより、3kHzから5kHzまでの間の高調波ピークが不正確となっている。
図13は、2kHzを超える部分(第2周波数部分)と、第1周波数部分を除く2kHzを下回る元の音声は2:1の周波数コンプレッションとランダム位相を伴う正弦波モデリングを用いて再現されたテストセンテンスについてのスペクトログラムを示している。組み合わされた処理では、第2周波数部分の正弦波モデリングは元の振幅とランダム位相値を用いて、シフトされた周波数での出力正弦波を生成する。周波数の低減と位相のランダム化の組み合わせは、2kHzより上での正弦波モデリングと補聴器のシミュレーションを用いて実装されている。2kHzを超える周波数は10個の正弦波を用いて再現されている。スペクトログラムから分かるように、組み合わされた処理と、元の位相値を用いた周波数の低減の間では、聞き取ることができる違いは極めて小さい。
図14は、聴覚装置の入力信号と出力信号との相関を除去する、本発明による方法のフローチャートを示している。この方法は、入力信号の複数の周波数部分を選択するステップ44と、第1合成信号を生成するステップ46と、複数の処理信号を結合するステップ48とを備えている。
複数の周波数部分は、第1周波数部分と第2周波数部分とを含んでいる。第1周波数部分は、ローパスフィルタを通過した部分を備える。第2周波数部分は、ハイパスフィルタを通過した部分を備える。
第1合成信号を生成するステップは、第1周波数部分と第1モデルを用いてなされ、第1モデルは、第1周期関数に基づいている。
複数の処理信号を結合するステップは、第1合成信号と第2周波数部分を結合することを含む。
図14に示す方法のフローチャートは補聴器に用いることができ、そして、組み合わされた信号は聴覚障害補正アルゴリズムによって処理することができ、そして、補聴器のレシーバによって音信号に変換することができる。この2つの付加的な部分は、図14の点線のブロック50(組み合わされた信号を聴覚障害補正アルゴリズムで処理するステップ)および52(聴覚障害が補正された信号を音信号に変換するステップ)で示されている。
図15は、本発明に係る方法の代替実施形態のフローチャートを示している。その方法は、以下のステップをさらに含んでいる。
ブロック54で示す、入力信号の第1(および/または第2)周波数部分を(場合によっては重なり合っている)複数のセグメントに分割するステップと、
ブロック56で示す、各セグメントに窓関数を適用して周波数領域に変換するステップ(このステップ(56)は一またはそれ以上の実施形態において窓関数を適用した高速フーリエ変換(FFT)を用いることで実現され、その窓関数はハン窓である)と、
ブロック58で示す、各セグメントにおいてN個(ここでNは1,2または2より大きい、例えば8−20のあたりの適切な自然数であって、例えば10である)の最も高いピークを選択するステップと、
ブロック60で示す、選択されたピークのそれぞれを周期関数で置き換えることによって、第1(および/または第2)合成信号を生成するステップ。
事実上、図14に示すステップ46はステップ54,56,58および60に分けられる。図に示すように、図15に示す方法の実施形態は、図14に関連して説明したように、付加的なステップ50および52を備えていてもよい。図15に示す実施形態に係る方法の一またはそれ以上の実施形態において、合成信号を生成するステップ46は、N個のピークそれぞれの周波数、振幅および位相を用いて周期関数を生成するステップをさらに備えていてもよい。
図16は、図15に示す方法の代替(又は追加)実施形態のフローチャートを示している。その方法は、選択されたピークそれぞれを、それらのピークの周波数よりも低い周波数を有する周期関数で置き換えることによって、生成された合成信号(もしくはその一部)を低い(および/または高い)周波数にシフトするステップ62をさらに備えている。
図17は、図15に示す方法の代替(又は追加)実施形態のフローチャートを示している。その方法は、選択された幾つかのピークの少なくとも幾つかの位相を、[0,2π]ラジアンに亘る一様分布からランダムに、あるいは疑似ランダムに選択された位相で置き換えることによって、第1(および/または第2)合成信号の位相が少なくとも部分的にランダム化されるステップ64をさらに備えている。
図18は図15に示す方法の代替(又は追加)実施形態を示している。ここでは、例えば低減等の上述した周波数シフト(ステップ62)と上述した位相のランダム化(ステップ64)が、同一の実施形態において組み合わされている。
図17または図18に示す方法の一またはそれ以上の実施形態によれば、位相のランダム化は調整可能であってもよく、図17または図18に示す方法の一またはそれ以上の実施形態によれば、位相のランダム化は補聴器の安定性に応じて実施されてもよい。
ここで図14を参照すると、本発明の実施形態は、図14に関連して説明したものに加えて、選択されたピーク(例えば、選択されたピークそれぞれ)を、それらのピークの周波数よりも低い周波数を有する周期関数で置き換えることによって、生成された合成信号の周波数を、より低い周波数、および/またはより高い周波数にシフトさせるステップを備えてもよく、および/または、選択されたピークのうちの幾つかのピークの、少なくとも幾つかの位相を、0から2πラジアンに亘る一様分布からランダムに、あるいは疑似ランダムに選択された位相で置き換えることによって、合成信号の位相が少なくとも部分的にランダム化されるステップを備えてもよい。
図19は、聴覚装置102を模式的に示し、聴覚装置102は、第1フィルタ14と、第2フィルタ16と、第1合成ユニット18と、結合器20(すなわち、複数の結合器20を含む一つの結合器20)と、第3フィルタ15と、第4フィルタ17と、第2合成ユニット19とを備えている。さらに、聴覚装置102は、入力変換器4と、聴覚損失処理装置8と、レシーバ10とを備えている。入力変換器は、入力信号6を供給するように構成されている。
第1フィルタ14は、入力信号6の第1周波数部分を供給するように構成されている。第1周波数部分は、ローパスフィルタを通過した部分を備える。
第2フィルタ16は、入力信号6の第2周波数部分を供給するように構成されている。第2周波数部分は、ハイパスフィルタを通過した部分を備える。
第1合成ユニット18は、第1周期関数に基づく第1モデルを用いて、第1周波数部分から、第1合成信号を生成するように構成されている。
結合器20(聴覚装置102用のものは、3つの結合器20によって具体化される)は、第2周波数部分を第1合成信号と結合し、結合信号26を供給するように構成されている。
第3フィルタ15は、入力信号の第3周波数部分を供給するように構成されている。第3周波数部分は、ローパスフィルタを通過した部分を備える。聴覚装置は、結合信号26に第3周波数部分を含めるように構成されている。
第1周波数部分は、バンドパスフィルタを通過した部分である。
第4フィルタ17は、入力信号6の第4周波数部分を供給するように構成されている。第4周波数部分は、ハイパスフィルタを通過した部分を備える。
第2合成ユニット19は、第2周期関数に基づく第2モデルを用いて、第4周波数部分から第2合成信号を生成するように構成されている。聴覚装置は、第2合成信号を結合信号26に含めるように構成されている。
第2周波数部分は、バンドパスフィルタを通過した部分である。第2周波数部分は、第1周波数部分よりも高い周波数に対応する。
実施形態102においては、入力信号は、以下の4つの周波数セグメントまたは周波数部分に、少なくとも実質的に分割されることが実現される。その4つとは、高周波数部分(第4周波数部分)と、低周波数部分(第3周波数部分)と、中間域高周波数部分(第2周波数部分)と、中間域低周波数部分(第1周波数部分)である。
第1周波数部分は、例えば、1kHzから1.5kHzの間の周波数部分であってよい。第2周波数部分は、例えば、1.5kHzから2.5kHzの間の周波数部分であってよい。第3周波数部分は、例えば、1kHzより低い周波数部分であってよい。第4周波数部分は、例えば、2.5kHzより高い周波数部分であってよい。
聴覚損失処理装置8は、結合信号26を処理して、処理済信号を供給するように構成されている。レシーバ10は、処理済信号を出力音信号に変換するように構成されている。
図20に示される実施形態202は、図19に示される実施形態102と、実質的に同一である。図20の実施形態202は、図19の実施形態102と、結合器20が、関連する信号、すなわち第2周波数部分と、第3周波数部分と、第1合成信号と、第2合成信号とを、結合するための単一の結合器20によって示されている点で異なる。
図21および22にそれぞれ示される実施形態302および402は、実施形態102および202と、第4フィルタおよび第2合成ユニットが省略されている点で、実質的に異なる。
実施形態302および402においては、入力信号は、以下の3つの周波数セグメントまたは周波数部分に、少なくとも実質的に分割されることが実現される。その3つとは、低周波数部分(第3周波数部分)と、高周波数部分(第2周波数部分)と、中間域周波数部分(第1周波数部分)である。
第1周波数部分は、例えば、1kHzから2kHzの間の周波数部分であってよい。第2周波数部分は、例えば、2kHzより高い周波数部分であってよい。第3周波数部分は、例えば、1kHzより低い周波数部分であってよい。
図23は、聴覚装置502を模式的に示し、聴覚装置502は、第1フィルタ14(二つのフィルタ部分、すなわちフィルタ部分14Aと14B4とからなる)と、第2フィルタ16と、第1合成ユニット18と、結合器20と、第3フィルタ(二つのフィルタ部分、すなわちフィルタ部分14Aと14B3とからなる)と、第4フィルタ(二つのフィルタ部分、すなわちフィルタ部分14Aと14B2とからなる)と、第2合成ユニット19と、第5フィルタ14Aと、第3合成ユニット21とを備えている。さらに、聴覚装置502は、入力変換器4と、聴覚損失処理装置8と、レシーバ10とを備えている。入力変換器は入力信号6を供給するように構成されている。
第1フィルタ14は、入力信号6の第1周波数部分を供給するように構成されている。第1周波数部分は、ローパスフィルタを通過した部分を備える。
第2フィルタ16は、入力信号6の第2周波数部分を供給するように構成されている。第2周波数部分は、ハイパスフィルタを通過した部分を備える。
第1合成ユニット18は、第1周期関数に基づく第1モデルを用いて、第1周波数部分から、第1合成信号を生成するように構成されている。
結合器20は、第2周波数部分を第1合成信号と結合し、結合信号26を供給するように構成されている。
第3フィルタは、入力信号の第3周波数部分を供給するように構成されている。第3周波数部分は、ローパスフィルタを通過した部分を備える。聴覚装置(すなわち結合器20)は、結合信号26に第3周波数部分を含めるように構成されている。
第1周波数部分は、バンドパスフィルタを通過した部分である。
第4フィルタは、入力信号6の第4周波数部分を供給するように構成されている。第4周波数部分は、ハイパスフィルタを通過した部分を備える。
第2合成ユニット19は、第2周期関数に基づく第2モデルを用いて、第4周波数部分から第2合成信号を生成するように構成されている。聴覚装置(すなわち結合器20)は、第2合成信号を結合信号26に含めるように構成されている。
第2周波数部分は、バンドパスフィルタを通過した部分である。第2周波数部分は、第1周波数部分よりも高い周波数に対応する。
第5フィルタ14Aは、入力信号6の第5周波数部分を供給するように構成されている。
第3合成ユニット21は、第3周期関数に基づく第3モデルを用いて、第5周波数部分から第3合成信号を生成するように構成されている。聴覚装置(すなわち結合器20)は、結合信号26に第3合成信号を含めるように構成されている。
図23に示される実施形態においては、入力信号が、以下の5つの周波数セグメントまたは周波数部分に、少なくとも実質的に分割されることが実現される。その5つとは、高周波数部分(第4周波数部分)と、低周波数部分(第5周波数部分)と、中間域高周波数部分(第2周波数部分)と、中間域低周波数部分(第3周波数部分)と、中間域中間周波数部分(第1周波数部分)である。
第1周波数部分は、例えば、1.5kHzから2kHzの間の周波数部分であってよい。第2周波数部分は、例えば、2kHzから2.5kHzの間の周波数部分であってよい。
3周波数部分は、例えば、1kHzから1.5kHzの間の周波数部分であってよい。第4周波数部分は、例えば、2.5kHzより高い周波数部分であってよい。第5周波数部分は、例えば、1kHzより低い周波数部分であってよい。
聴覚損失処理装置8は、結合信号26を処理して、処理済信号を供給するように構成されている。レシーバ10は、処理済信号を出力音信号に変換するように構成されている。
正弦波モデリングは、図14−18に示す方法及び/又は図1−5及び/又は9−23に示す装置のいずれの実施形態においても用いることができる。本発明の実施形態で用いられる正弦波モデリングの手順は、入力される信号が、好ましくは重なり合う複数のセグメントに分割される、McAulay,R.J.とQuatieri,T.F.の"Speech analysis/synthesis based on a sinusoidal representation"(IEEE Trans. Acoust. Speech and Signal Processing, Vol ASSP-34, pp 744-754, 1986)の手順に基づいていてもよい。それぞれのセグメントには窓関数が適用され、そのセグメントについてFFTが計算される。そして、振幅スペクトルのN個の最も高いピークが選択され、それぞれのピークの周波数、振幅および位相がデータ記憶ユニットに記憶される。そして、測定された周波数、振幅および位相の値を用いて、選択されたピークそれぞれに対して1つの正弦波を生成することで、出力信号が合成される。正弦波の周波数が以前のセグメントについて生成されたものと近い場合、振幅、位相および瞬時周波数は、出力セグメント期間に亘ってさらに補間されて、振幅および周波数が修正された正弦波を生成する。以前のセグメントと一致しない周波数成分は、上昇するランプ関数を用いて重み付けされ、開始における滑らかな推移(“birth”)を作り出し、以前のセグメントに存在しており現在のものに存在していない周波数成分は、下降するランプ関数を用いて重み付けされて、振幅をゼロとする滑らかな推移(“death”)を作り出す。
周期関数が正弦波である実施例においては、正弦波モデリングは(一般的な周期関数を用いたモデリングと同じように)部分的なランダム位相を用いる選択肢を与えることが期待される。元の位相値とランダム位相値を混合することによって、推定されたシステムの安定性に応じて信号に適用される値のランダム化を連続的に調整することができる。補聴器2及び/又は聴覚装置が安定であると思われる場合には、元の位相値を用いることができ、その補聴器2及び/又は聴覚装置が不安定になり始める時に、ランダム位相に徐々に推移させることができる。従って、図3,4,5,17または18において(処理ブロック34または64で)図示される位相のランダム化は、調整可能であってもよい。さらに、本発明の実施形態において、図3,4,5,17または18において(例えば処理ブロック34または64で)図示される位相のランダム化の調整は、補聴器2及び/又は聴覚装置の安定性に応じて実施されてもよい。
従って、本明細書で提供される新たなアイディアは、入力される信号の複数の周波数部分を提供することと、1または複数の周波数部分のみについて正弦波モデリングを適用することに関連しており、このアイディアは補聴器等の聴覚装置において実現可能であり、好ましいものである。本明細書において提供する処理の結果は、周波数のシフティング及び/又は信号の相関除去において、正弦波モデリングが有効な手順であることを示している。さらに、正弦波モデリングは幾つかの利点を有する:正弦波モデリングは、ピッチの検出または有声/無声の判断を必要とすることなく、音声を正確に再現することができる;これらの操作の何れも、本明細書の実施例では実装されていない。合成信号を生成するための周波数部分を、例えば高周波数、及び/又は低周波数及び/又はバンドパス領域等のその他の周波数領域等の限定的な範囲に制限することは、聞き取ることができる処理の産物(processing artifacts)の少なくとも一部を除去するうえで効果的である。限定された周波数の再現に必要とされる正弦波の数を減らすことによって、その処理に関する計算負荷を著しく低減することができる。その結果、計算効率が良く、高い音声品質を与える非線形の信号操作が実現される。本発明において提供される実施例は、正弦波モデリングの実現可能性を示すことを意図しており、補聴器及び/又は聴覚装置にプログラミングされる処理の最終版及び/又は制限されたバージョンを意図するものではない。
本発明がその精神と基本的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態に具現化することができ、かつ様々な異なるアルゴリズムを利用することができることが、本技術分野に詳しい者には理解されるであろう。例えば、アルゴリズムの選択(例えば、どの種類の正弦波モデリングを用いるか)は、通常は応用に特有のものであって、その選択は予想される処理の複雑さや計算負荷などの様々な要因に依存している。さらに、本明細書における開示および記述は、添付の特許請求の範囲において規定される本発明の範囲を説明するためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。
以下の任意の項目による聴覚装置および方法は、本明細書に開示されている。
(項目1)聴覚装置であって、
入力信号の第1周波数部分であって、ローパスフィルタを通過した部分を備える前記第1周波数部分を供給するように構成されている第1フィルタと、
前記入力信号の第2周波数部分であって、ハイパスフィルタを通過した部分を備える前記第2周波数部分を供給するように構成されている第2フィルタと、
前記第1周期関数に基づく第1モデルを用いて、前記第1周波数部分から第1合成信号を生成するように構成されている第1合成ユニットと、
前記第2周波数部分と前記第1合成信号とを結合し、結合信号を供給するように構成されている結合器と、を備える聴覚装置。
(項目2)項目1に記載の聴覚装置であって、
前記入力信号の第3周波数部分であって、ローパスフィルタを通過した部分を備える前記第3周波数部分を供給するように構成されている第3フィルタを備え、
前記第3の周波数部分を前記結合信号に含めるように構成されている、聴覚装置。
(項目3)項目1または2に記載の聴覚装置であって、
前記第1周波数部分がバンドパスフィルタを通過した部分である、聴覚装置。
(項目4)項目1から3のいずれかに記載の聴覚装置であって、
前記入力信号の第4周波数部分であって、ハイパスフィルタを通過した部分を備える前記第4周波数部分を供給するように構成されている第4フィルタと、
第2周期関数に基づく第2モデルを用いて、前記第4周波数部分から第2合成信号を生成するように構成されている第2合成ユニットと、を備え、
前記第2合成信号を前記結合信号に含めるように構成され、
前記第2周波数部分がバンドパスフィルタを通過した部分である、聴覚装置。
(項目5)項目4に記載の聴覚装置であって、
前記第2合成ユニットは、前記第2合成信号の周波数をより低い周波数にシフトさせるように構成されている、聴覚装置。
(項目6)項目1から5のいずれかに記載の聴覚装置であって、
前記第1合成ユニットは、前記第1合成信号の周波数をシフトさせるように構成されている聴覚装置。
(項目7)項目1から6のいずれかに記載の聴覚装置であって、
前記第1合成ユニットは、
前記第1周波数部分を、互いに重なり合い得る複数の第1セグメントに分割し、
前記複数の第1セグメントの各セグメントに窓関数を適用して周波数領域に変換し、
各セグメントにおいて、少なくとも2であり得るN個の最も高いピークを選択するように構成され、
前記第1合成信号を生成することは、前記選択されたピークのそれぞれを前記第1周期関数で置き換えることを含む、聴覚装置。
(項目8)項目1から7のいずれかに記載の聴覚装置であって、
前記入力信号を供給するように構成されている入力変換器、および/または、
前記結合信号を、前記聴覚装置の使用者の聴覚損失に合わせて処理し、処理済信号を供給するように構成されている聴覚損失処理装置、および/または
前記処理済信号を出力音信号に変換するように構成されているレシーバ、を備える聴覚装置。
(項目9)項目1から8のいずれかに記載の聴覚装置であって、
前記第1周期関数は、正弦波、正弦波の線形結合等のような三角関数を含む、聴覚装置。
(項目10)項目1から9のいずれかに記載の聴覚装置であって、
前記第1合成信号の位相は、少なくとも部分的にランダム化される、聴覚装置。
(項目11)項目10に記載の聴覚装置であって、
前記位相のランダム化は、調整可能である、聴覚装置。
(項目12)項目6又はそれに従属するいずれかの項目に記載の聴覚装置であって、
前記第1合成ユニットは、前記第1合成信号の少なくとも第1部分の周波数を、より低い周波数にシフトさせるように構成されている、聴覚装置。
(項目13)項目6又はそれに従属するいずれかの項目に記載の聴覚装置であって、
前記第1合成ユニットは、前記第1合成信号の少なくとも第2部分の周波数を、より高い周波数にシフトさせるように構成されている、聴覚装置。
(項目14)項目4又はそれに従属するいずれかの項目に記載の聴覚装置であって、
前記第2合成信号の位相は、少なくとも部分的にランダム化される、聴覚装置。
(項目15)項目7又は項目10又はそれらに従属するいずれかの項目に記載の聴覚装置であって、
前記第1合成信号の位相は、選択されたピークのうちの幾つかのピークの少なくとも幾つかの位相を、[0,2π]ラジアンに亘る一様分布からランダム又は疑似ランダムに選択された位相で置き換えることによって、少なくとも部分的にランダム化される、聴覚装置。
(項目16)項目10又はそれに従属するいずれかの項目に記載の聴覚装置であって、
前記位相のランダム化は、前記聴覚装置の安定性に応じて実施される、聴覚装置。
(項目17)項目7又はそれに従属するいずれかの項目に記載の聴覚装置であって、
前記第1合成信号の生成は、前記N個のピークのそれぞれの周波数と振幅と位相とを用いることを含む、聴覚装置。
(項目18)項目1から17のいずれかに記載の聴覚装置であって、
前記聴覚装置は、聴覚機器と補聴器とのいずれか一方あるいはいずれかの組み合わせである聴覚装置。
(項目19)聴覚装置の入力信号と出力信号との相関を除去する方法であって、
ローパスフィルタを通過した部分を備える第1周波数部分と、ハイパスフィルタを通過した部分を備える第2周波数部分と、を含む前記入力信号の複数の周波数部分を選択することと、
第1周期関数に基づく第1モデルと前記第1周波数部分とを用いて、第1合成信号を生成することと、
前記第1合成信号と前記第2周波数部分とを含む複数の処理信号を結合することと、
を備える方法。
(項目20)項目19に記載の方法であって、
前記複数の周波数部分は、ローパスフィルタを通過した部分を備える第3周波数部分を含み、
前記複数の処理信号は、前記第3周波数部分を含む、方法。
(項目21)項目19または20に記載の方法であって、
前記第1周波数部分は、バンドパスフィルタを通過した部分である、方法。
(項目22)項目19から21のいずれかに記載の方法であって、
前記複数の周波数部分は、ハイパスフィルタを通過した部分を備える第4周波数部分を含み、
前記方法は、第2周期関数に基づく第2モデルと前記第4周波数部分とを用いて、第2合成信号を生成することを備え、
前記複数の処理信号は、前記第2合成信号を含み、
前記第2周波数部分は、バンドパスフィルタを通過した部分である、方法。
(項目23)項目19から22のいずれかに記載の方法であって、
前記方法は、
前記第1周波数部分を、互いに重なり合い得る複数の第1セグメントに分割することと、
前記複数の第1セグメントの各セグメントに窓関数を適用して周波数領域に変換することと、
各セグメントにおいて、少なくとも2であり得るN個の最も高いピークを選択することと、を備え、
前記第1合成信号を生成することは、前記選択されたピークのそれぞれを前記第1周期関数で置き換えることを含む、方法。
(項目24)項目23に記載の方法であって、
前記選択されたピークの少なくとも第1部分を、前記選択されたピークの前記少なくとも第1部分の周波数よりも低い周波数を持つ周期関数で置き換えることにより、前記生成された第1合成信号の少なくとも第1部分の周波数を、より低い周波数にシフトさせる、方法。
(項目25)項目23または24に記載の方法であって、
前記選択されたピークの少なくとも第2部分を、前記選択されたピークの前記少なくとも第2部分の周波数よりも高い周波数を有する周期関数で置き換えることにより、前記生成された第1合成信号の少なくとも第2部分の周波数を、より高い周波数にシフトさせる、方法。
(項目26)項目23から25のいずれかに記載の方法であって、
前記第1合成信号の位相は、選択されたピークのうちの幾つかのピークの少なくとも幾つかの位相を、[0,2π]ラジアンに亘る一様分布からランダムあるいは疑似ランダムに選択された位相で置き換えることによって、少なくとも部分的にランダム化される、方法。
(項目27)項目19から26のいずれかに記載の方法であって、
前記第1周期関数は、正弦波、正弦波の線形結合等の三角関数を含む、方法。
(項目28)項目19から27のいずれかに記載の方法であって、
前記第1合成信号の位相は、少なくとも部分的にランダム化される、方法。
(項目29)項目28に記載の方法であって、
前記位相のランダム化は、調整可能である、方法。
(項目30)項目22又はそれに従属するいずれかの方法であって、前記第2合成信号の位相は、少なくとも部分的にランダム化される、方法。
(項目31)項目28又はそれに従属するいずれかの項目に記載の方法であって、
前記位相のランダム化は、前記聴覚装置の安定性に応じて実施される、方法。
(項目32)項目23又はそれに従属するいずれかの項目に記載の方法であって、
前記第1合成信号の生成は、前記N個のピークのそれぞれの周波数と振幅と位相とを用いることを含む、方法。
(項目33)項目19から32のいずれかに記載の方法であって、
前記聴覚装置は、聴覚機器と補聴器のいずれか一方あるいはいずれかの組み合わせである、方法。

Claims (15)

  1. 聴覚装置であって、
    前記聴覚装置の入力信号の第1周波数部分を供給するように構成されている第1フィルタであって、前記第1周波数部分は、ローパスフィルタを通過した部分を備える、前記第1フィルタと、
    前記入力信号の第2周波数部分を供給するように構成されている第2フィルタであって、前記第2周波数部分は、ハイパスフィルタを通過した部分を備える、前記第2フィルタと、
    第1周期関数に基づく第1モデルを用いて、前記第1周波数部分から第1合成信号を生成するように構成されている第1合成ユニットであって、前記第1合成信号の位相は、少なくとも部分的にランダム化される、前記第1合成ユニットと、
    前記第2周波数部分と前記第1合成信号とを結合し、結合信号を供給するように構成されている結合器と、を備える聴覚装置。
  2. 請求項1に記載の聴覚装置であって、
    前記入力信号の第3周波数部分を供給するように構成されている第3フィルタであって、前記第3周波数部分は、ローパスフィルタを通過した部分を備える、前記第3フィルタを備え、
    前記第3の周波数部分を前記結合信号に含めるように構成されている、聴覚装置。
  3. 請求項1または2に記載の聴覚装置であって、
    前記第1周波数部分がバンドパスフィルタを通過した部分である、聴覚装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の聴覚装置であって、
    前記入力信号の第4周波数部分を供給するように構成されている第4フィルタであって、前記第4周波数部分は、ハイパスフィルタを通過した部分を備える、前記第4フィルタと、
    第2周期関数に基づく第2モデルを用いて、前記第4周波数部分から第2合成信号を生成するように構成されている第2合成ユニットと、を備え、
    前記第2合成信号を前記結合信号に含めるように構成され、
    前記第2周波数部分がバンドパスフィルタを通過した部分である、聴覚装置。
  5. 請求項4に記載の聴覚装置であって、
    前記第2合成ユニットは、前記第2合成信号の周波数をより低い周波数にシフトさせるように構成されている、聴覚装置。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の聴覚装置であって、
    前記第1合成ユニットは、前記第1合成信号の周波数をシフトさせるように構成されている、聴覚装置。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の聴覚装置であって、
    前記第1合成ユニットは、
    前記第1周波数部分を、互いに重なり合い得る複数の第1セグメントに分割し、
    前記複数の第1セグメントの各セグメントに窓関数を適用して周波数領域に変換し、
    各セグメントにおいて、少なくとも2以上であり得るN個の最も高いピークを選択するように構成され、
    前記第1合成信号を生成することは、前記選択されたピークのそれぞれを前記第1周期関数で置き換えることを含む、聴覚装置。
  8. 聴覚装置の入力信号と出力信号との相関を除去する方法であって、
    前記入力信号の複数の周波数部分を選択することであって、前記複数の周波数部分は、ローパスフィルタを通過した部分を備える第1周波数部分と、ハイパスフィルタを通過した部分を備える第2周波数部分と、を含む、前記選択することと、
    第1周期関数に基づく第1モデルと、前記第1周波数部分と、を用いて、第1合成信号を生成することであって、前記第1合成信号の位相は、少なくとも部分的にランダム化される、前記生成することと、
    前記第1合成信号と前記第2周波数部分とを含む複数の処理信号を結合することと、
    を備える方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、
    前記複数の周波数部分は、ローパスフィルタを通過した部分を備える第3周波数部分を含み、
    前記複数の処理信号は、前記第3周波数部分を含む、方法。
  10. 請求項8または9に記載の方法であって、
    前記第1周波数部分は、バンドパスフィルタを通過した部分である、方法。
  11. 請求項8から10のいずれかに記載の方法であって、
    前記複数の周波数部分は、ハイパスフィルタを通過した部分を備える第4周波数部分を含み、
    前記方法は、第2周期関数に基づく第2モデルと、前記第4周波数部分と、を用いて、第2合成信号を生成することを備え、
    前記複数の処理信号は、前記第2合成信号を含み、
    前記第2周波数部分は、バンドパスフィルタを通過した部分である、方法。
  12. 請求項8から11のいずれかに記載の方法であって、
    前記第1周波数部分を、互いに重なり合い得る第1複数のセグメントに分割することと、
    前記第1複数のセグメントの各セグメントに窓関数を適用して周波数領域に変換することと、
    各セグメントにおいて、少なくとも2であり得るN個の最も高いピークを選択することと、を備え、
    前記第1合成信号を生成することは、前記選択されたピークのそれぞれを前記第1周期関数で置き換えることを含む、方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、
    前記選択されたピークの少なくとも第1部分を、前記選択されたピークの前記少なくとも第1部分の周波数よりも低い周波数を持つ周期関数で置き換えることにより、前記生成された第1合成信号の少なくとも第1部分の周波数を、より低い周波数にシフトさせる、方法。
  14. 請求項12または13に記載の方法であって、
    前記選択されたピークの少なくとも第2部分を、前記選択されたピークの前記少なくとも第2部分の周波数よりも高い周波数を持つ周期関数で置き換えることにより、前記生成された第1合成信号の少なくとも第2部分の周波数を、より高い周波数にシフトさせる、方法。
  15. 請求項12から14のいずれかに記載の方法であって、
    前記選択されたピークのうちの幾つかのピークの少なくとも幾つかの位相を、[0,2π]ラジアンに亘る一様分布からランダムあるいは疑似ランダムに選択された位相で置き換えることによって、前記第1合成信号の位相は、少なくとも部分的にランダム化される、方法。
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