JP2014520102A - (メタ)アクリル酸エステルの精製の間のファウリングの低減方法 - Google Patents
(メタ)アクリル酸エステルの精製の間のファウリングの低減方法 Download PDFInfo
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Abstract
本発明は、分離及び精製前に、粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム中のビアセチルを100質量%まで反応させるのに十分な滞留時間及び徹底的な混合を与える条件下にて芳香族ジアミンを添加することにより、低ビアセチル含有分(2ppm未満)の(メタ)アクリル酸エステルを製造するときに、固体材料の蓄積を低減する方法を提供する。過剰芳香族ジアミンを最少限とすることができるように、ビアセチル含有分を測定しそして芳香族ジアミン添加速度を調節することによる、このような方法の分離及び精製装置における固形分蓄積を低減するためのフィードバック法も提供する。第三の実施形態はある時間にわたって芳香族ジアミンの添加速度を低減し又は停止することにより、低ビアセチル含有分(2ppm未満)の(メタ)アクリル酸エステルをなおも製造しながら、このような方法の間に固体材料の蓄積を後退させる方法を提供する。
Description
技術分野
本発明は、特に芳香族アミンが存在する際の(メタ)アクリル酸エステルの精製の間の下流装置のファウリングの低減方法に関する。
本発明は、特に芳香族アミンが存在する際の(メタ)アクリル酸エステルの精製の間の下流装置のファウリングの低減方法に関する。
発明の背景
メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、超吸収性ポリマー、アクリルバインダーなどの特殊ポリマー組成物の製造に有用であり、また、油井掘削泥の分散剤、凝集剤として効率的なポリマー、フラットパネルディスプレイ製造用ポリマーに有用である。不純物は典型的には(メタ)アクリル酸エステル中に存在し、それは重合反応を妨害し、又は、硬度、色及び弾性を含むポリマーの特性に悪影響を与える可能性がある。従って、(メタ)アクリル酸エステルを精製する、すなわち、他の製品ストリーム成分から所望の(メタ)アクリレートエステル製品を分離のためのプロセス及び方法は、特殊ポリマーグレード(すなわち、少なくとも99%純度)の(メタ)アクリル酸エステルの製造において非常に重要である。
メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、超吸収性ポリマー、アクリルバインダーなどの特殊ポリマー組成物の製造に有用であり、また、油井掘削泥の分散剤、凝集剤として効率的なポリマー、フラットパネルディスプレイ製造用ポリマーに有用である。不純物は典型的には(メタ)アクリル酸エステル中に存在し、それは重合反応を妨害し、又は、硬度、色及び弾性を含むポリマーの特性に悪影響を与える可能性がある。従って、(メタ)アクリル酸エステルを精製する、すなわち、他の製品ストリーム成分から所望の(メタ)アクリレートエステル製品を分離のためのプロセス及び方法は、特殊ポリマーグレード(すなわち、少なくとも99%純度)の(メタ)アクリル酸エステルの製造において非常に重要である。
(メタ)アクリル酸エステルを製造するための種々の商業的に実施される方法があり、それらのすべては、しばしば「粗製」(メタ)アクリル酸エステルと呼ばれる混合製品ストリームを生成する。粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームは、通常、所望の(メタ)アクリル酸エステルを含むだけでなく、水及び種々の他の不純物(限定することなく、未反応化合物、原料とともに導入される不純物、ならびに、中間体及び副生成物)も含む。どの(メタ)アクリル酸エステルが製造され、どのプロセスが実施されるかに応じて、このような不純物は、限定するわけではないが、メタノールなどの1種以上のアルコール、アクロレインなどの1種以上のアルデヒド化合物、無水マレイン酸及びフルフラール、ならびに、ビアセチルなどの1種以上のカルボニル化合物を含む。
粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームは、一般に、水及び上記のような他の不純物を除去するために1つ以上の分離及び精製プロセスに供される。水の一部を除去し、場合により、未反応原料の少なくとも一部を除去し、それにより、プロセスに再循環し又は他のプロセスで使用することができるようにする1つ以上の分離工程の後に、結果として生じる「ストリッピング済み」粗製(メタ)アクリル酸エステルは蒸留などの1つ以上の追加の分離及び精製工程に供され、ここで、所望の(メタ)アクリル酸エステルはより重くかつ高沸点の化合物から分離され、オーバーヘッドの蒸留された(メタ)アクリル酸エステル製品ストリーム、及び、より重質の高沸点化合物及び少量の(メタ)アクリル酸エステルを含むボトムストリームを生じる。ボトムストリームは別の分離工程においてさらに精製に供され、このストリーム中のなおも存在している(メタ)アクリル酸エステルの部分を回収し、オーバーヘッドの蒸留された(メタ)アクリル酸エステルストリーム、及び、より重い化合物を含む、さらなる濃縮されたボトムストリームを生じ、該ボトムストリームは廃棄物として廃棄されるか、又は、燃料として燃焼されることができる。
ストリッピング済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームは、一般に、比較的少量(例えば、数質量%未満、又は、さらにppmの範囲内)で残存不純物を含んでいるが、特定の不純物は少量でも、(メタ)アクリル酸エステルモノマーから続いて製造される特殊ポリマーの特性を妨害することが特に知られている。例えば、約5ppm(百万部当たりの部、質量基準)を超える量でメチルメタクリレート中に存在するビアセチル(2,3−ブタンジオン)は最終ポリマー製品における変色を引き起こすことが知られている。そのような有害な不純物のうちの1つ以上の除去を促進することが知られている種々の添加剤は、それゆえ、時々、反応工程又は分離及び精製工程の間などの1つ以上の点で製造プロセスに添加される。
メチルメタクリレート(MMA)の製造は、例えば、種々の方法で行うことができ、そのうちの1つの方法は、アセトンシアノヒドリン(ACH)及び硫酸の反応で始まり、エステル化で終わる、粗製MMAストリームを生成するための多段階反応プロセスである(以下、「MMAへの従来のACH経路」と呼ぶ)。別の方法は、イソブチレン(又はtert-ブチルアルコール)のメタクロレイン、その後、メタクリル酸への逐次酸化を伴い、それは、次いで、メタノールでエステル化されて、粗製メチルメタクリレートを生成する(以下において、MMAを生成するための「以下、従来のC4ベースの方法」と呼ぶ)。さらに、酸の存在下でプロピレンをカルボニル化して、イソ酪酸を生成し、その後、それを脱水素化することによって、粗製メチルメタクリレートストリームを製造することができる(以下において、MMAを生成するための「従来のC3ベースの方法」と呼ぶ)。もちろん、他の種類の既知の(メタ)アクリル酸エステルを製造するための他の様々方法が存在しそして実施されている。
MMAを製造するためのプロセスに1種以上のアミン化合物を添加すると、MMA製品からのアルデヒド及びカルボニル不純物の除去及び分離を促進することが知られている。米国特許第5,571,386号及び同第6,228,227号明細書を参照されたい。適切なアミン化合物としては、限定するわけではないが、例えば、モノエタノールアミン(「MEA」)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンならびにオルト-、パラ-及びメタ-フェニレンジアミン(すなわち、「oPD」、「pPD」及び「mPD」)が挙げられる。一般に、このようなアミン化合物が1種以上の不純物化合物と反応して化合し、元々存在する不純物よりも重い、高い沸点を有する付加物、ならびにMMAを生成し、1つ以上の従来の蒸留工程で分離を容易に行うことができる、と考えられている。
米国特許第4,668,818号明細書に記載されているように、後続の下流の精製工程の間のビアセチルの分離及び除去を容易にするために、MMAへの従来のACH経路のプロセス」のエステル化反応混合物にヒドラジン又は芳香族オルト-ジアミンを提供することも知られている。エステル化の間又はその直後に、硫酸などの強酸触媒の存在下で、1:1〜200:1、好ましくは20:1の芳香族オルト-ジアミン/ビアセチルのモル比で、芳香族オルト-ジアミンを添加すべきであることは米国特許第4,668,818号明細書に説明されている。
DeCourcyらの「メタクリル酸エステルの精製"Purification of Methacrylic Acid Esters"」(リサーチ・ディスクロージャーデータベース番号(Research Disclosure Database Number)544006, 2009年8月)には、1種以上の芳香族アミン(例えば、mPD、oPD及びpPD)を、約10以下:1の芳香族ジアミン:ビアセチルのモル比で用いて、ストリッピング済み粗製MMAからビアセチルを除去するための方法を記載しており、それはエステル化工程に事前に添加されるよりも著しく少量であり、米国特許第4,668,818号明細書に記載されるのと同程度にビアセチル除去を達成する。DeCourcyらは、芳香族アミンは、エステル化工程に次いで、例えば、ストリッピング済み粗製製品ストリームに添加されるべきであること(すなわち、エステル工程の後で、ストリッピング済み粗製ストリームの精製前に)を説明している。さらに、芳香族アミンは、任意の2つの分離工程の間にプロセスストリームに添加されても、又は、1つ以上の分離工程が行われている装置に添加されてもよい。
残念ながら、MMA中に存在するビアセチルと反応するのに要求される量の過剰での芳香族アミンの添加は不必要な原料の出費となるだけでなく、分離及び精製工程で使用される装置のファウリング(固体材料の蓄積)をもたらし、それにより、MMA製造プロセスの効率が低減される。このようなファウリングを受けることが観察される装置としては、限定するわけではないが、ストリッピングカラム、蒸留カラム、リボイラー、凝縮器及び熱交換器ならびにそのような装置を接続するパイプ及び他のラインが挙げられる。例えば、米国特許第5,585,514号明細書は、芳香族オルト-ジアミン下流の蒸留カラム加熱パイプのファウリングを生じさせ、それゆえ、非芳香族1,2-ジアミンの使用は粗製MMAからビアセチルを除去するのに好ましいことを具体的に説明している。
したがって、要求純度グレードのMMA製品を生じる精製度を維持しながら、ビアセチルの除去を促進するために芳香族ジアミンを添加するMMA製造プロセスの下流の精製装置で起こるファウリングを低減する方法が存在することが有利である。本発明はこの要求に取り組む。
発明の要旨
本発明の方法は、粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームの合計質量を基準として少なくとも95質量%の(メタ)アクリル酸エステル、5質量%以下の水及び50質量ppm以下のビアセチルを含む粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを提供すること、及び、芳香族ジアミンを前記粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームに対して、処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを生じる添加速度で添加すること、及び、前記粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム中に存在する総計のビアセチルのうちの少なくとも一部分を前記芳香族ジアミンと反応させることを含む、ビアセチル含有分が2ppm未満である(メタ)アクリル酸エステルを製造するための方法において、分離及び精製装置内の固体材料の蓄積を低減する。ビアセチルのうちの少なくとも一部分が芳香族ジアミンと反応した後に、処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを分離及び精製装置で蒸留し、オーバーヘッド製品を生じさせ、該製品は精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームの合計質量を基準として少なくとも99質量%の(メタ)アクリル酸エステル、1質量%以下の水及び2ppm未満のビアセチルを含む、精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームである。芳香族ジアミンはオルト-フェニレンジアミン、パラ-フェニレンジアミン及びメタ-フェニレンジアミンからなる群より選ばれる、少なくとも1種の化合物を含む。(メタ)アクリル酸エステルはメチルメタクリレートであることができる。
本発明の方法は、粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームの合計質量を基準として少なくとも95質量%の(メタ)アクリル酸エステル、5質量%以下の水及び50質量ppm以下のビアセチルを含む粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを提供すること、及び、芳香族ジアミンを前記粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームに対して、処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを生じる添加速度で添加すること、及び、前記粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム中に存在する総計のビアセチルのうちの少なくとも一部分を前記芳香族ジアミンと反応させることを含む、ビアセチル含有分が2ppm未満である(メタ)アクリル酸エステルを製造するための方法において、分離及び精製装置内の固体材料の蓄積を低減する。ビアセチルのうちの少なくとも一部分が芳香族ジアミンと反応した後に、処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを分離及び精製装置で蒸留し、オーバーヘッド製品を生じさせ、該製品は精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームの合計質量を基準として少なくとも99質量%の(メタ)アクリル酸エステル、1質量%以下の水及び2ppm未満のビアセチルを含む、精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームである。芳香族ジアミンはオルト-フェニレンジアミン、パラ-フェニレンジアミン及びメタ-フェニレンジアミンからなる群より選ばれる、少なくとも1種の化合物を含む。(メタ)アクリル酸エステルはメチルメタクリレートであることができる。
芳香族ジアミン/ビアセチルが10以下:1である初期モル比である処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを生成する添加速度で芳香族ジアミンを添加する(メタ)アクリル酸エステルの製造プロセスにおいて、本発明の方法は、処理済み粗製(メタ)アクリル酸ストリームを蒸留する前に、ビアセチルの少なくとも一部を芳香族ジアミンと反応させる工程を実施することを含み、該工程は(1)蒸留工程を実施する前に、粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム中のビアセチルに芳香族アミンが接触するための10〜1200秒間の滞留時間を提供するために、分離及び精製装置の上流に十分に離れて芳香族アミンを添加すること、及び、(2)芳香族ジアミンを粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームと徹底的に混合することによる。さらに、本発明の方法によると、芳香族ジアミンを粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームと徹底的に混合すること(2)は以下の少なくとも1つの技術によって達成される。
a)プロセス装置内でレイノルズ数が4000を超える乱流条件を提供するのに十分な粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームの流速でプロセスを操作すること、及び、
b)粗製(メタ)アクリル酸ストリーム及び芳香族アミン、又は、処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを、分離及び精製装置の上流に配置されており、1つ以上のスタティックミキサー、バッフル、再循環ループ、アジテータ、動力付きインラインミキサー及び機械的ミキサーを含む混合手段を有する装置に提供すること。
a)プロセス装置内でレイノルズ数が4000を超える乱流条件を提供するのに十分な粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームの流速でプロセスを操作すること、及び、
b)粗製(メタ)アクリル酸ストリーム及び芳香族アミン、又は、処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを、分離及び精製装置の上流に配置されており、1つ以上のスタティックミキサー、バッフル、再循環ループ、アジテータ、動力付きインラインミキサー及び機械的ミキサーを含む混合手段を有する装置に提供すること。
分離及び精製装置の上流に配置される装置は、容器、パイプ、導管、タンク又はそれらの組み合わせを含む。
芳香族ジアミン/ビアセチルの初期モル比が1:1〜100:1である、処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを生じる添加速度で芳香族ジアミンを添加する(メタ)アクリル酸エステルの製造プロセスにおいて、本発明による別の方法は、(i)精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームのビアセチル含有分をモニタリングして、ビアセチル含有分測定値を得ること、及び、(ii)ビアセチル含有分測定値が目標ビアセチル含有分とどのように比較されるかによって、以下のうちの1つの動作を取る、
(a)ビアセチル濃度測定値が所定の下限値と所定の上限値の間にある間には、添加速度を現在値に維持する、
(b)ビアセチル含有分測定値が上限値より大きい場合には、添加速度を増加させる、
(c)ビアセチル含有分測定値が下限値より小さい場合には、添加速度を減少させる、
ことによって、分離及び精製装置の操作の間の芳香族ジアミンの添加速度を調整することを含む。
(a)ビアセチル濃度測定値が所定の下限値と所定の上限値の間にある間には、添加速度を現在値に維持する、
(b)ビアセチル含有分測定値が上限値より大きい場合には、添加速度を増加させる、
(c)ビアセチル含有分測定値が下限値より小さい場合には、添加速度を減少させる、
ことによって、分離及び精製装置の操作の間の芳香族ジアミンの添加速度を調整することを含む。
芳香族ジアミンの添加速度が添加速度を減少させることによって調整されるときに、添加速度を、ある時間にわたってゼロに維持し、その後、ゼロより大きくすることができる。
芳香族ジアミン/ビアセチルの初期モル比が1:1〜100:1である、処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを生じる添加速度で芳香族ジアミンを添加する(メタ)アクリル酸エステルの製造プロセスにおいて、本発明の方法の別の実施形態は、このようなプロセスの分離及び精製装置内での固体材料の蓄積を後退させるためのものであり、その方法は少なくとも1つの操作条件をモニタリングし、所定の許容可能な範囲の外に該当する前記少なくとも1つの操作条件を観察することにより、固体材料が分離及び精製装置内で許容可能でない程度まで蓄積したものと判定すること、及び、前記少なくとも1つの操作条件が前記所定の許容可能な範囲に該当することが観測されるまで、ある時間、設定添加速度よりも低い値の範囲内に芳香族ジアミンの添加速度に低減しそして維持することを含む。設定添加速度よりも低い値の範囲はゼロの下限値とすることができる。精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームであるオーバーヘッド製品は、ビアセチル濃度を均質化するために1つ以上のタンク中に蓄積されそしてブレンドされることができる。
図面の簡単な説明
本発明のより完全な理解は以下に議論される実施形態及び添付の図面の参照により得ることができる。
図面の簡単な説明
本発明のより完全な理解は以下に議論される実施形態及び添付の図面の参照により得ることができる。
最初に、以下の説明において、範囲の端点は特定されるものと考えられ、そして当業者の知識の範囲内で他の値を許容範囲内で取り込むことが認識され、他の値は、限定するわけではないが、本発明との関係でそれぞれの端点から有意には異ならない値を含むことに注意されたい(別の言い方をすると、端点はそれぞれの端点各々に「約」、「付近」又は「近傍」の値を取り込むものと解釈されるべきである)。本明細書中に記載される範囲及び比の限定は組み合わせ可能である。例えば、もし範囲1〜20及び5〜15が特定のパラメータに関して記載されているならば、範囲1〜5、1〜15、5〜20又は15〜20も考えられ、そしてそれにより包含されるものと理解される。
本発明は、分離及び精製装置内での固体材料の蓄積(すなわち、「ファウリング」)を低減し、そしてさらには、後退させる方法を提供する。この問題は、しばしば、(メタ)アクリル酸エステル製造プロセスにおける芳香族ジアミンの使用によって引き起こされる。例えば、上述したように、芳香族ジアミンは、時々、粗製(メタ)アクリル酸エステルからカルボニル化合物であるビアセチルの分離及び除去を促進するために使用される。従って、実施される特定の製造プロセスに関係なく、本発明は、粗製(メタ)アクリル酸エステルの製造又はその分離及び精製のいずれかの間に芳香族ジアミンが添加される、ビアセチルを含む粗製(メタ)アクリル酸エステルから高純度(メタ)アクリル酸エステルを製造する精製プロセスに有利に応用されうる。
特に、本発明の第一の実施形態は、低ビアセチル含有分(例えば、0ppm〜2ppm未満)の(メタ)アクリル酸エステルをなおも製造しながら、このようなプロセスの分離及び精製装置内での固体材料の蓄積を低減させることに関する方法であり、分離及び精製を行う前に、ビアセチル含有分を2ppm未満の値に低減するために十分な滞留時間及び徹底的な混合を提供する条件下に芳香族ジアミンを添加することによる。本発明の別の実施形態は、粗製(メタ)アクリル酸エステルのビアセチル含有分が変動するときでも、過剰の芳香族ジアミンを最少限とすることができるように、蒸留済み(メタ)アクリル酸エステル製品のビアセチル含有分の測定に応じて芳香族ジアミンの添加速度を調整する方法を提供する。
本発明の第三の実施形態は、許容されない程度の固体材料の蓄積が関連の操作条件をモニタリングすることにより検知されたときに、ある時間にわたって芳香族ジアミンの添加速度を低減し又は停止することにより、低ビアセチル含有分(例えば、0ppm〜2ppm未満)の(メタ)アクリル酸エステルをなおも製造しながら、このようなプロセスの分離及び精製装置内の固体材料の蓄積を後退させることに関する方法である。
ここで、図1を参照すると、粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20を精製するための一般法10に関与される工程を示す模式図が提供されている。本発明に最も関連がある分離及び精製工程(30,40)により明確に焦点を当てるために、粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームの製造のための反応及び任意の事前水除去工程などの上流プロセス及び工程を図1から省いている。製造に使用される特定の製造プロセスに関係なく、製造、及び、場合により、低沸点原料のストリッピングなどの初期分離工程の後に、粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20のさらなる精製は、通常、1つ以上の分離及び精製工程30,40を有する精製プロセス10において行われる。関連技術の当業者に既に理解されるとおり、分離及び精製工程30,40は分離及び精製装置(それ自体示していない)を用いて行い、その装置としては、限定するわけではないが、1つ以上の蒸留カラム、ストリッパー、混合容器、リザーバー、精留カラム、重力セパレータ、凝縮器、リボイラー、クーラー、及び、粗製成分ストリーム20の所望の(メタ)アクリル酸エステルを他の成分から分離するためのプロセスストリームの処理に適する他の装置が挙げられる。
本発明の様々な実施形態を、以下において、高純度メチルメタクリレート(MMA)(すなわち、少なくとも99質量%のMMA及び0ppm〜2ppm未満のビアセチルを有する)の製造のためのプロセスに応用して詳細に説明するが、本発明は、限定するわけではないが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートを含む、他のタイプの(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に応用可能であることは理解されるべきである。さらに、本発明は任意の製造プロセスから誘導される粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームでの使用に適する。例えば、以下に記載される粗製MMAストリームはMMAへの従来のACH経路によるプロセスにより製造されたが、粗製MMAストリームは従来のC3又はC4をベースとする方法により得ることもできる。
ここで、図1を参照すると、通常、ストリッピング済み粗製メチルメタクリレート(MMA)ストリーム20はさらなる精製のために分離及び精製プロセス10にフィードされるであろう。さらなる精製としては、限定するわけではないが、ビアセチルの分離及び除去が挙げられる。このストリッピング済み粗製MMAストリーム20は既にストリッピング工程に付されており、それゆえ、粗製MMAストリームの合計質量を基準として少なくとも95質量%のMMA、5質量%以下の水及び50質量ppm以下のビアセチルを含むべきである。例えば、限定するわけではないが、ストリッピング済み粗製MMAストリーム20は25ppm以下のビアセチル、又は、さらには、10ppm以下のビアセチルを含むことができる。ストリッピング済み粗製MMAストリーム20は1種以上の他の不純物を含むことができ、不純物としては、限定するわけではないが、水、メタクリル酸、メタノール、アクロレイン、無水マレイン酸、フルフラール及びホルムアルデヒドが挙げられる。
より詳細には、ストリッピング済み粗製MMAストリーム20は第一の蒸留工程30に付されてよく、ここで、所望のMMA製品の少なくとも一部分を、より重質でより高沸点の化合物から分離し、オーバーヘッド精製済みMMAストリーム35(「蒸溜済みMMAストリーム」又は「DMMAストリーム」、35とも呼ぶ)、及び、より重質でより高沸点の化合物及び少量のMMAを含む重質エンドストリーム37を生じる。精製済みMMAストリーム(DMMAストリーム)35は精製済みMMAストリーム35の合計質量を基準として少なくとも99質量%のMMA、1質量%以下の水、及び、0質量ppm〜2質量ppm未満のビアセチルを含む。重質エンドストリーム37はストリーム37の合計質量を基準として60質量%未満の(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸エステルよりも高い沸点を有する化合物(例えば、ビアセチル及び芳香族ジアミンの反応生成物)を含む。
ボトムストリーム37を第二の蒸留工程40(任意工程であり、それゆえ、仮想線として図1に示している)に付されて、本ストリーム中になおも存在しているMMAの一部を回収することができる。このような第二の蒸留工程40は、通常、第二の精製済みMMAストリーム45(蒸留済みMMAストリーム又はDMMAストリーム、45とも呼ばれる)を生じさせ、それは、また、第二の精製済みMMAストリーム45の合計質量を基準として少なくとも99質量%のMMA、1質量%以下の水、及び、0質量ppm〜2質量ppm未満のビアセチルを含む。より重質の化合物を含むさらに濃縮された第二の重質エンドストリーム47も第二の蒸留工程40により生じ、それは廃棄物として廃棄されるか、又は、燃料として燃焼される。上述したとおり、ビアセチルなどのカルボニル不純物を除去するために、1種以上の芳香族ジアミンは粗製MMAストリームを製造するために行われる1つ以上の工程に従来から添加されおり、例えば、エステル化工程(図示せず)の間、又はエステル化の後であるが、ストリッピング工程(図示せず)の前に、又は、さらには、ストリッピングの後に(図1に示す粗製MMAストリーム20)に、芳香族ジアミン/ビアセチルのモル比1:1〜100:1で添加される。実際上、約20:1の芳香族ジアミン:ビアセチルのモル比は精製済みMMAストリーム35、45中で2ppm未満の所望のビアセチル含有分を達成するために必要である。しかしながら、上記で議論されるとおり、この実施ではさらなる精製10を行うために使用される分離及び精製装置の上記のファウリングをもたらしていた。このことは芳香族ジアミンが芳香族オルトジアミンであるときに特に当てはまるものであった。
上記のとおり、芳香族ジアミンは、ビアセチルとの反応により、ビアセチル又はMMAのいずれよりも重質で高い沸点を有する化合物を生成することで、従来の蒸留によりMMAからのビアセチルの分離を促進する。このように、関連技術分野の当業者によって理解されるように、粗製MMAストリーム20のさらなる精製10の前の上流の装置での十分な滞留時間及び十分な混合は、さらなる精製の30,40の前に、十分なビアセチルを転化させる(すなわち、芳香族ジアミンと反応させて、より重質な化合物を生成する)ことを確保し、それにより、その除去及び2ppm未満のビアセチルを有するDMMA製品(例えば、図1に示されるDMMAストリーム35)の製造を可能にする上で重要となる。
従来からMMA製造プロセスで使用されている約20:1の芳香族ジアミン/ビアセチルのモル比は、ストリッピング済み粗製MMAストリーム20中に存在する実質的にすべてのビアセチルを、蒸留の間により容易に除去される化合物へと転化させるために必要とされる量(すなわち、モル比1:1)の大過剰の芳香族ジアミンの量を表す。理論に拘束されることを望まないが、ストリッピング済み粗製MMAストリーム中の過剰の芳香族ジアミン(すなわち、より重質な化合物へのジアセチルの転化によって消費されない芳香族ジアミン)の存在がさらなる精製10の間の装置のファウリングをもたらすものと考えられる。
驚くべきことに、第一の蒸留工程30におけるように、さらに精製される前に、ストリッピング済み粗製MMAストリーム20中に存在する総ビアセチルの十分な部分を転化させることができる条件下に芳香族ジアミンを添加するかぎり、0ppm〜2ppm未満のビアセチルを有するMMA製品を製造するために以前に必要と信じられていたよりも低いモル比(すなわち、10以下:1)で芳香族ジアミンを添加することができることが判明した。例えば、ストリッピング済み粗製MMAストリーム20が50ppmのビアセチルを含む場合には、転化されるべき「十分な部分」はビアセチルの96%であり、それにより、処理済み粗製MMAストリーム25aには2ppm以下のビアセチルを残す。もしストリッピング済み粗製MMAストリーム20が10ppmのビアセチルを含む場合には、2ppm未満のビアセチルを有する精製済みMMAストリームを製造するのに、ビアセチルの80%を転化させることが必要である。このように、ストリッピング済み粗製MMAストリーム20中の転化されるべきビアセチルの「十分な部分」は関連技術の当業者により容易に計算されうる。
以下により詳細に記載されるように、「十分な滞留時間」は10〜1200秒であり、芳香族ジアミン及びビアセチルが互いに10〜1200秒間接触する、さらなる精製プロセス10の上流の十分に離れた添加点を選択することにより確保することができる。この方法は、さらなる精製プロセス10の前に、ストリッピング済み粗製MMAストリームと芳香族ジアミンを十分に混合することによりさらに促進される。
このように、本発明の1つの実施形態において、芳香族ジアミンはストリッピング済み粗製MMAストリーム20に、10以下:1の芳香族ジアミン/ビアセチルのモル比で、10〜1200秒間の滞留時間を提供するために、さらなる精製プロセス10の上流の十分に離れた点で添加される。このプロセスは、ストリッピング済み粗製MMAストリーム20中よりも少量のビアセチルを有する処理済み粗製MMAストリーム20aを生じさせる。別の言い方をすれば、芳香族ジアミンは、ストリッピング済み粗製MMAストリーム20の製造の下流、又は、その製造に後続する点ではあるが、10〜1200秒間の滞留時間を提供するために、さらなる精製プロセス10の上流の十分に離れた点で、ストリッピング済み粗製MMAストリーム20に添加される。
適切な芳香族ジアミンとしては、例えば、オルト-フェニレンジアミン(oPD)、パラ-フェニレンジアミン(pPD)、メタ-フェニレンジアミン(mPD)が挙げられる。芳香族ジアミンはニート(すなわち、少なくとも99%純度)で添加されてよいが、当業者に容易に理解されるとおり、芳香族ジアミン及び溶媒を含む溶液を調製し、次いでジアミン含有溶液をストリッピング済み粗製MMAストリーム20に添加することは、MMAストリーム中での芳香族ジアミンのより急速かつより均質な混合を提供するであろう。例えば、限定するわけではないが、溶液は、溶液の合計質量を基準として0.5質量%〜8質量%の芳香族ジアミンを含むことができ、溶媒は特定の(メタ)アクリル酸エステル製品(例えば、MMA)と同一である。以下において、芳香族ジアミンを添加するか、又はフィードするとの言及は、上記のとおり、ニートの芳香族ジアミンを用いること、又は、溶液の合計質量を基準として0.5質量%〜8質量%の芳香族ジアミンを含む溶液を用いることを含む。
より具体的には、芳香族ジアミンは第一の蒸留工程30の上流で又は該工程の前で添加されるべきである。より具体的には、限定するわけではないが、芳香族ジアミンは、例えば、図1の矢印Aで示す位置の近傍で、ストリッピング済み粗製MMAストリーム20に、10以下:1の芳香族ジアミン/ビアセチルのモル比で添加してよく、それにより、処理済み粗製MMAストリーム20aを生じ、それを、その後、第一の蒸留工程30に付す。第一の蒸留工程30の上流に芳香族ジアミンを添加することに加えて、芳香族ジアミンは、また、さらなる蒸留10の間に、第一の蒸留工程30の下流(すなわち、該工程の後)であるが、第二の蒸留工程40の上流(すなわち、該工程の前)などの他の点でMMAストリームに添加してもよい。より具体的には、限定するわけではないが、芳香族ジアミンを、第一の蒸留工程30を出る重質エンドストリーム37に、10以下:1の芳香族ジアミン/ビアセチルのモル比で添加してもよい。このようにして製造された第二の精製済みMMAストリーム45は、また、その総質量を基準として少なくとも99質量%のMMA、1質量%以下の水及び0ppm〜2ppm未満のビアセチルを含むであろう。
実際上、芳香族ジアミンは、ストリッピング済み粗製MMAストリーム20のさらなる精製10を行うのに使用される分離及び精製装置の上流に配置された装置にフィード(添加)される。上流の装置は、限定するわけではないが、下記の1つ以上:容器、パイプ、導管及びタンク(例えば、以下に詳細に説明する図1に仮想線で示される混合タンク25を参照されたい)が挙げられる。さらに、本発明の方法によれば、装置は、1つ以上のスタティックミキサー、バッフル、再循環ループ、アジテータ、動力付きインラインミキサー及び機械的ミキサー(図1には、それ自体示されていないが、図2を参照されたい)を含む混合手段を有することができる。
滞留時間の概念は関連技術の当業者によく知られており、一般に、特定の装置内又は装置内の特定の体積内で特定の粒子が費やす平均時間として理解されている。装置又は装置内の体積の境界は評価しようとしている特定のプロセス又は装置に適合するように自由に選択されうるが、一旦、決められたら、特性化全体にわたって同一のままとしなければならない。別の言い方をすると、滞留時間は存在する物質の量に直接的に依存し、特定の物質の粒子が体積内に入った瞬間から始まり、その物質の粒子がその体積を出ていく瞬間に終わる。もし体積が変化すると、体積に入りそして出ていく物質の流速が一定に維持されていると仮定すると、滞留時間も変化する。例えば、体積がより大きいと、滞留時間はより長くなり、同様に、体積がより小さいと、滞留時間はより短いであろう。さらに、当業者により認識されるであろうとおり、体積に入りそして出ていく流速が増加されると、滞留時間はより短くなるであろう。体積に入りそして出ていく流速が低下されると、滞留時間はより長くなるであろう。これは、もちろん、装置(又は体積)中の物質の濃度が一定であるものと仮定し、そして定常状態であるものと仮定している。
本明細書中に使用されるときに、また、図1を参照すると、滞留時間はさらなる精製10に付される前の時間であって、1つ以上のプロセスストリームのうちの同一の1つのストリーム、例えば、第一の蒸留工程30に入る前のストリッピング済み粗製MMAストリーム20中で芳香族ジアミン及びビアセチルが互いに接触している間の時間を意味する。
関連技術の当業者により評価されるとおり、処理済み粗製MMAストリーム20aの徹底的な混合を達成するための種々の技術が存在し、適切かつ有効な技術の選択は使用される反応装置の物理的性質による。より具体的には、処理済み粗製MMAストリーム20aがパイプ又は導管を流れているときに、徹底的な混合は、本明細書中に使用されるときに、MMAストリームが乱流条件を有することを意味し、それには、滞留時間の間にレイノルズ数が4,000を超えることを要求する。関連技術の当業者に理解されるとおり、レイノルズ数は装置の物理パラメータ及びそれを通る実際の流体流に基づいて計算される無次元数である。特定のパイプについて計算されるレイノルズ数の値により、層流又は乱流として流動形態を特性化することが可能になる。層流は装置内で滑らかで、一定の流体の動きを特徴とし、ここで、粘性力が支配的である。乱流は慣性力が支配的であり、混沌としたエディ、渦巻き及び他の流れ不安定性を生じる傾向があり、それが流体成分の徹底的な混合を促進する。装置がパイプであるときに、レイノルズ数が2300よりも小さいときに層流が起こり、レイノルズ数が4000より大きいときに乱流が起こる。2300〜4000の間では、パイプ粗さ及び流れ不均一性などの他の要因により、層流及び乱流が可能である(「遷移」流)。
下記はパイプを通って流れる流体のレイノルズ数の計算の例であり、いかなる方法でも本発明を限定することが意図されない。
レイノルズ数=Dvρ/u
(上式中、Dはパイプの内径(メートル又はフィート)であり、vはパイプ中の流速(メートルもしくはフィート/秒)であり、ρは流体の密度(キログラム/立方メートル又はポンド/立方フィート)であり、そしてuは流体の粘度(キログラムメートル/秒又はポンドフィート/秒)である)。もし、流体を含み、下記のパラメータを有する:
D=0.1023メートル(0.3355フィート)であり、
v=1.12メートル/秒(3.66fps)であり、
ρ=935.55kg/m3(58.4lb/ft3)であり、
u=0.0005kg−m/秒(0.000336lb/ft-秒=0.5センチポアズ)である、
パイプを有するならば、
R=(0.1023)(1.12)(935.55)/(0.0005)=214,383である。
レイノルズ数=Dvρ/u
(上式中、Dはパイプの内径(メートル又はフィート)であり、vはパイプ中の流速(メートルもしくはフィート/秒)であり、ρは流体の密度(キログラム/立方メートル又はポンド/立方フィート)であり、そしてuは流体の粘度(キログラムメートル/秒又はポンドフィート/秒)である)。もし、流体を含み、下記のパラメータを有する:
D=0.1023メートル(0.3355フィート)であり、
v=1.12メートル/秒(3.66fps)であり、
ρ=935.55kg/m3(58.4lb/ft3)であり、
u=0.0005kg−m/秒(0.000336lb/ft-秒=0.5センチポアズ)である、
パイプを有するならば、
R=(0.1023)(1.12)(935.55)/(0.0005)=214,383である。
214,383は明らかに4,000よりも大きいので、上記のパイプ中の流れは乱流であり、それゆえ、その中の流体の成分の徹底的な混合が本発明により起こっているものと結論付けることができる。ストリッピング済み粗製MMAストリーム20及び芳香族ジアミンが処理済み粗製MMAストリーム20aを生じる混合及び反応時間のためにタンク又は他の容器にフィードされ、ストリーム20aがそこから流れるときに、本明細書中に使用される徹底的な混合とは、処理済み粗製MMAストリーム20aがタンク又は他の容器中に含まれている間に、ストリッピング済み粗製MMAストリーム20中に含まれるビアセチル及び芳香族ジアミンの密な接触を促進するための機械内部混合手段を容器又はタンクが有することを意味する。
本発明の方法により上記のとおりに十分な滞留時間を提供するために、さらなる精製プロセス10の上流に配置されており、そしてストリッピング済み粗製MMAストリーム20の少なくとも一部を含み又はフィードされている装置(図1にはそれ自体を図示せず)に芳香族ジアミンを添加し又はフィードすることができる。上流の装置は、例えば、1つ以上の容器、パイプ、導管又はタンクを含むことができる。もちろん、上流の装置が混合手段(例えば、アジテータ、バッフル又はメカニカルスターラ)を有するならば、粗製MMAストリーム中の芳香族ジアミンの混合は改良される。
再び、図1を参照すると、例えば、ストリッピング済み粗製MMAストリーム20は1つ以上の内部機械アジテータ(図示せず)を有する混合タンク25(任意要素であり、それゆえ、仮想線で示されている)にフィードされることができ、また、芳香族アミンも10以下:1の芳香族ジアミン/ビアセチルのモル比で混合タンク25にフィードされることができ、ここで、それらはさらなる精製プロセス10(例えば、第一の蒸留工程30)にフィードされる前に、少なくとも10秒間の滞留時間で徹底的に混合される。混合タンク25中の芳香族ジアミン/ビアセチルのモル比は、例えば、2以下:1であり、又は、さらには、5以下:1であることができる。ストリッピング済み粗製MMAストリーム20の初期ビアセチル含有分は、典型的には50ppm以下であるべきであり、例えば、限定するわけではないが、25ppm以下、又は、さらには10ppm以下である。このような状況下に、混合タンク25中での芳香族ジアミン及びストリッピング済み粗製MMAストリーム20の滞留時間は10〜1200秒間、例えば、少なくとも300秒間、又は、さらには少なくとも600秒間である。タンクが存在せず、同一のビアセチル含有分パラメータが存在する場合に、芳香族ジアミンは、ストリッピング済み粗製MMAストリーム20が輸送されているパイプ中に直接的にフィードされてよいが、乱流(すなわち、4,000を超えるレイノルズ数の関係で上述のとおりの徹底的な混合)条件下に、芳香族ジアミン及びストリッピング済み粗製MMAストリーム20のパイプ中の滞留時間が10〜1200秒間とすることが可能になるように、さらなる精製10の上流の十分に離れた位置(すなわち、図1中矢印Aにより示される点などの、第一の蒸留工程30の十分に前)で、フィードされうる。
2ppm未満のビアセチルの精製済みMMA製品(すなわち、DMMAストリーム)35,45を提供するために、ストリッピング済み粗製MMAストリーム20中に存在するビアセチルの十分な量を転化させるために必要な十分な滞留時間を可能にする、さらなる精製プロセス10の上流の位置を一般的なエンジニアリング原理及び使用している特定の設備及び装置に関する実験研究を用いて決定することは、十分に関連技術の当業者の能力の範囲内である。もちろん、2ppm未満のビアセチルのMMA製品を達成するためにいかなる量のビアセチル転化が必要とされるかは、いかなる量のビアセチルがストリッピング済み粗製MMAストリーム20中に初期的に存在するかによるであろう。例えば、ストリッピング済み粗製MMAストリーム20が初期的に10質量ppmのビアセチルを含み、DMMA製品(35,47)の所望のビアセチル含有分が2ppm以下である場合には、少なくとも80%([10−2]/10×100)のビアセチルを反応させるために十分な滞留時間を第一の蒸留工程30の前のプロセス設備及び装置において提供することが必要である。実滞留時間はプロセスの体積及び流速を用いて容易に計算されうる。
本発明の第二の実施形態はビアセチル含有分が0ppm〜2ppm未満である(メタ)アクリル酸エステルを製造するためのプロセスにおいて、分離及び精製装置内での固体材料の蓄積を低減するためのフィードバック制御方法を提供する。本発明のフィードバック制御方法の応用から利益が得られるプロセスはストリッピング済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20中のビアセチル含有分が変動するプロセスである。
以下の説明のより良好な理解のために、図1を再び参照することができる。本発明のフィードバック制御方法は、粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20の合計質量を基準として、少なくとも95質量%の(メタ)アクリル酸エステル、5質量%以下の水及び50ppm以下、例えば、25ppm以下又はさらには10ppm以下のビアセチル含有分を含む、粗製又はストリッピング済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20を提供すること、及び、芳香族ジアミン/ビアセチルの初期モル比が1:1〜100:1であり、例えば、20以下:1である処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20aを生じる添加速度で芳香族ジアミンを粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20に添加することを含む、(メタ)アクリル酸エステルの製造プロセスで適切に実施されうる。
処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20aは分離及び精製装置30においてさらに精製され、精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームであるオーバーヘッド製品35を生じ、該ストリームは精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームの合計質量を基準として少なくとも99質量%の(メタ)アクリル酸エステル、1質量%以下の水及び初期ビアセチル含有分より小さいビアセチル含有分の目標値以下のビアセチルを含む。
例えば、ビアセチル含有分の目標値は精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームの合計質量を基準として0質量ppm〜5質量ppmであることができる。さらに、標準的なガスクロマトグラフィー法による非検知に基づく、本質的に0のビアセチル含有分の精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリーム(DMMA)は、本発明により、下流装置をファウリングすることなく得ることができる。これは、精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリーム35中にビアセチルが検知されない点への芳香族ジアミンの添加速度を調整することにより達成され、そして下流装置はファウリングの兆候(例えば、上昇したリボイラースチームのチェスト圧又は低下した冷却効率、下記の商業規模例4bを参照されたい)を示さない。測定ビアセチル含有分が検知可能でなく、そして下流装置がファウリングの兆候を示さない間は、添加速度を現状値に維持する。測定ビアセチル含有分が0より大きい(検知される)間は、添加速度を上げる。最終的に、下流装置がファウリングの兆候を示している間は、添加速度を低下させる。芳香族ジアミンの添加速度が添加速度を低下させることにより調整されるときには、添加速度はある時間0として維持され、その後、0よりも上に増加されてよい。芳香族アミンがビアセチルと接触する10〜1200秒間の滞留時間は十分である。好ましくは、芳香族ジアミンは少なくとも300秒間の滞留時間に基づいて、ビアセチルの100%までが芳香族ジアミンと反応するのに要求される芳香族ジアミン/ビアセチルのモル比を提供する速度で添加される。本方法は、0ビアセチルを有するDMMAを製造するのにフィードされそして消費される芳香族ジアミンの量を最少限にし、そしてそれゆえ、過剰の芳香族ジアミンを提供する慣用の実施に関連するファウリングの危険性を低減する。
より具体的には、本発明のフィードバック法は、さらなる精製プロセス10の間の芳香族ジアミンの添加速度を調節することを含み、それは、精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリーム35のビアセチル含有分をモニタリングして、ビアセチル含有分測定値を得て、そしてビアセチル含有分測定値が目標ビアセチル含有分とどのように比較されるかにより以下のうちの1つの動作を取ることにより行われる。ビアセチル含有分測定値が所定の下限値と所定の上限値の間にある間は、添加速度を現状値に維持する。ビアセチル含有分測定値が上限値よりも高いときには、添加速度を上げる。最後に、ビアセチル含有分測定値が下限値よりも低いときには、添加速度を下げる。芳香族ジアミンの添加速度が添加速度を下げることで調整されるときには、添加速度はある時間0に維持され、その後、0より高く増加されうる。
本発明は、例えば、限定するわけではないが、さらなる精製10を行う前に、粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20中に存在する総ビアセチルの100質量%までを芳香族ジアミンと反応させることを含む。別の例として、もし粗製ビアセチル含有分が10ppm以下であるならば、粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム中に存在するビアセチルの総質量の少なくとも80質量%を芳香族ジアミンと反応させ、2ppm未満のビアセチルを有する高純度の(メタ)アクリル酸エステル製品を製造することができる。別の例として、もし粗製ビアセチル含有分が3ppm以下であるならば、粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム(20)中に存在するビアセチルの総質量の少なくとも40質量%を芳香族ジアミンと反応させ、2ppm未満のビアセチルを有する高純度の(メタ)アクリル酸エステル製品(35,45)を製造することができる。
ビアセチル含有分の所定の下限値及び上限値は、例えば、限定するわけではないが、それぞれ目標ビアセチル含有分値の50%及び目標ビアセチル含有分値の75%であることができる。例えば、もし粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20のビアセチル含有分が10ppm以下であり、目標ビアセチル含有分値が2ppm以下であるならば、所定の下限値は1ppmであり、そして所定の上限値は1.5ppmである。また、もし目標ビアセチル含有分値が0であるならば、明らかな事実上の理由から、ビアセチル含有分の所定の下限値も0であり、そして所定の上限値は特定の製品及び意図させる最終使用に実用上許容されるいずれかの値であるべきであり、例えば、2ppm、又はさらには1ppmである。
幾つかの実施形態において、任意要素のインラインろ過装置(図示せず)は、分離及び精製装置中の固体材料の蓄積速度を最小限とするために、例えば、プロセスストリーム37又は47の、重質不純物を含むプロセスストリームにおいて有利に使用されうる。このようなろ過装置は、限定するわけではないが、カートリッジフィルタ、慣性フィルタ、ソックフィルタ、ストレーナー、リーフフィルタ、ウェッジワイヤーフィルタ、サンドフィルタ、フィルターバスケット及び遠心分離機の1つ以上が挙げられる。もし実施されるならば、このようなろ過装置はリボイラー、フィード/ボトム交換器及びボトムクーラーなどの熱交換器の上流に配置されることが好ましい。
本発明の第三の実施形態はビアセチル含有分が2ppm未満である(メタ)アクリル酸エステルを製造するためのプロセスにおいて、分離及び精製装置内での固体材料の蓄積を後退させる方法を提供する。(メタ)アクリル酸エステルの製造プロセスは、粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームの合計質量を基準として少なくとも95質量%の(メタ)アクリル酸エステル、5質量%以下の水、及び、50質量ppm以下の初期ビアセチル含有分を含む、粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを提供し、そして設定添加速度で芳香族ジアミンを粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームに添加し、それにより、芳香族ジアミン/ビアセチルの初期モル比が1:1〜100:1である処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを生じることで開始する。次に、処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを分離及び精製装置内で蒸留し、それにより、精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームであるオーバーヘッド製品を生じる。精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームは精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームの合計質量を基準として少なくとも99質量%の(メタ)アクリル酸エステル、1質量%以下の水、及び、初期ビアセチル含有分よりも低い目標値以下であるビアセチル含有分を含む。精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリーム中のビアセチル含有分の目標値は、例えば、0〜2ppmビアセチルであることができる。
驚くべきことに、高純度(メタ)アクリル酸エステルを製造するためのこのようなプロセスの操作中に、もしファウリング(すなわち、固体材料の蓄積)が分離及び精製装置で発生したならば、ある時間、芳香族ジアミンの添加速度を有意に低下し、又は、さらには停止し、次いで、芳香族ジアミンの添加を再開することにより、このようなファウリングを後退させることができることが発見された。この方法は、さらなる精製プロセス10をモニタリングし、そしてファウリングが発生しているか否かを決定することができることによる。当業者に明らかであろうように、ファウリングが発生しているかどうかを決定する最も確実な方法は、プロセスを停止し、装置を開いて、そして装置の内部表面を視覚的に、それらの表面上に蓄積された固体材料の存在について検査することである。残念ながら、このことは、特に、固体材料を除去するための解決策が装置の内部表面から蓄積された固体材料を削り取り、ブラッシングし、チッピングするなどによる実際の人力による物理的除去を必要としないならば、非常に非効率であり、そして商業運転において混乱させる。このように、ファウリングの指標となるプロセスの1つ以上の操作条件をモニタリングすることは、特に、本発明のこの第三の実施形態におけるように、固体材料の間接的な除去法が存在するときに、ずっと有利である。
例えば、限定するわけではないが、熱交換器又はリボイラーなどの装置内部のファウリングの指標となる1つの可能な操作条件はこのような装置を出ていく流体の温度の意図しない差異である。例えば、もしスチーム加熱式シェルアンドチューブ型リボイラーが105℃の出口温度を有する流体を送り出すように操作されているならば、ファウリングの開始は、リボイラースチームチェスト圧の増加により最初に特定され、次いで、その後、出口温度の数℃以上の低下により特定される。同様に、ボトムクーラーが10℃の出口温度を有する流体を製造するように操作されているならば、このクーラーを出てくる流体がモニタリングされ、13℃であることが判明されたならば、このことは、流体を所望の10℃の温度に冷却するボトムクーラーの能力を阻害する、ボトムクーラー中に蓄積された固体材料が存在することを指示することができる。さらに、9℃〜11℃の範囲の所望の出口温度など、この操作条件に許容可能な操作範囲が存在することができ、それにより、9℃〜11℃のこの所定の許容可能な範囲の外に測定される温度、例えば、13℃はボトムクーラーの問題(例えば、クーラー内部のファウリング)を指示する。関連技術の当業者により容易に決定可能なとおり、モニタリングされるべき操作条件は中に蓄積された固形分の存在を指示しそうな条件とすべきであり、そしてプロセスにおける使用における装置の特定の種類によるであろう。
このように、本発明の方法は、少なくとも1つの操作条件をモニタリングし、該操作条件が所定の許容可能な値の範囲の外にあることを観測することにより、固体材料が分離及び精製装置内に許容可能でない程度に蓄積したことを決定する工程を要求する。このような観察がなされたときに、操作条件が所定の許容可能な範囲内に該当するのが観察されるまで、芳香族ジアミンの添加速度を低減しそして設定添加速度よりも小さい値の範囲内にある時間維持する。上記の例では、ボトムクーラーのための所定の許容可能な範囲は9℃〜11℃であった。ボトムから出ていく流体の温度が、所定の許容可能な範囲の外にある13℃であると測定されると、クーラー内でファウリングが発生したと結論付けることができ、芳香族ジアミンの添加速度を、低減し、設定添加速度よりも低い値の範囲内にある時間維持することができる。出口温度が再び9℃〜11℃の範囲内に該当するときに、芳香族ジアミンの添加速度を設定添加速度まで戻すように上昇させてよい。これは、設定添加速度よりも低い値の範囲は0を含むことができ、そのことは芳香族ジアミンの添加速度がある時間0に低減されうることを意味する。
ビアセチルなどの1種以上の不純物の除去を促進するためにプロセスに過剰量の芳香族アミンが提供された、(メタ)アクリル酸エステルの製造プロセスにおいてファウリングが発生したときに、芳香族ジアミンの添加を低減し又は中止することにより、蓄積された固体材料を溶解してプロセスストリームに戻すことができ、それにより、再溶解させることができることが驚くべきことに発見された。この方法の1つの実施形態では、製造された精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリーム(35)は、また、より均一なビアセチル濃度をブレンディングにより得るために、数時間の操作時間をかけて1つ以上の大きなランダウンタンク内に蓄積させることができる。もしそのようなブレンディング装置を用いるならば、ランダウンタンクは最大限の均一性を達成するために混合され又は再循環されることが好ましい。本発明の第4の実施形態は、2ppm未満のビアセチル含有分を有する(メタ)アクリル酸エステルを製造するプロセスにおいて、分離及び精製装置内での固体材料の蓄積を低減するためのフィードフォワード、又は、積極的な方法を提供する。本発明のフィードフォワード制御法の応用から利益を得ることができるプロセスは、ストリッピング済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20のビアセチル含有分が変動する場合である。
以下の説明のより良好な理解のために、図1を再び参照することができる。本発明のフィードフォワード制御方法は、粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20の合計質量を基準として、少なくとも95質量%の(メタ)アクリル酸エステル、5質量%以下の水及び50ppm以下(例えば、25ppm以下又はさらには10ppm以下)のビアセチル含有分を含む、粗製又はストリッピング済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20を提供すること、及び、芳香族ジアミン/ビアセチルの初期モル比が1:1〜100:1であり、例えば、20以下:1である処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20aを生じる添加速度で芳香族ジアミンを粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20に添加することを含む、(メタ)アクリル酸エステルの製造プロセスで適切に実施されうる。
処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20aは分離及び精製装置30においてさらに精製され、精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームであるオーバーヘッド製品35を生じ、該ストリームは精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームの合計質量を基準として少なくとも99質量%の(メタ)アクリル酸エステル、1質量%以下の水及び初期ビアセチル含有分より小さいビアセチル含有分の目標値以下のビアセチルを含む。
より具体的には、本発明のフィードフォワード法は、さらなる精製プロセス10の間の芳香族ジアミンの添加速度を調節することを含み、それは、ストリッピング済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20のビアセチル含有分をモニタリングして、ビアセチル含有分測定値を得て、そしてビアセチル含有分測定値が目標ビアセチル含有分とどのように比較されるかにより以下のうちの1つの動作を取ることにより行われる。ビアセチル含有分測定値が所定の下限値と所定の上限値の間にある間は、芳香族ジアミンの添加速度を現状値に維持する。ビアセチル含有分測定値が上限値よりも高いときには、芳香族ジアミンの添加速度を上げる。最後に、ビアセチル含有分測定値が下限値よりも低いときには、添加速度を下げる。さらに、フィードフォワード制御法は、下流装置内の固体材料の蓄積を防止しながら、標準的なガスクロマトグラフィー法による非検知に基づく、本質的に0のDMMA中のビアセチル含有分を目標とすることができる。DMMA中の0ビアセチルを達成し、そして下流装置の固体材料の蓄積を防止するフィードフォワード法では、芳香族ジアミン添加速度が事前定義され、そして詳細には粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20のビアセチル含有分と適合されていることが要求される。0ビアセチル含有分のDMMAを製造し、そして下流装置内の固体材料の蓄積を防止するために要求される、ビアセチルを含む粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20に添加される芳香族ジアミンの具体的な比は粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20中の種々のレベルのビアセチル含有分、装置コンフィグレーション及び操作パラメータに基づいて実験的に決定され、操作パラメータは、限定するわけではないが、例えば、レイノルズ数、芳香族ジアミン及びビアセチルの滞留時間及び温度である。
芳香族ジアミンの添加速度が添加速度を下げることで調整されるときには、添加速度はある時間0に維持され、その後、0より高く増加されうる。
粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム中に存在する総計ビアセチルの100質量%まではさらなる精製10の前に芳香族ジアミンと反応されうる。
ビアセチル含有分の所定の下限値及び上限値は、例えば、限定するわけではないが、それぞれ目標ビアセチル含有分値の50%及び目標ビアセチル含有分値の75%であることができる。例えば、もし粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム20のビアセチル含有分が10ppm以下であり、目標ビアセチル含有分値が2ppm以下であるならば、所定の下限値は1ppmであり、そして所定の上限値は1.5ppmである。
上記の本発明の実施形態は単なる例示であり、当業者は本発明の精神及び範囲から逸脱することなく変更及び修飾を行うことができることは理解されるであろう。すべてのこのような変更及び修飾は本発明の範囲に含まれることが意図される。
さて、本発明の方法の具体的な応用を以下の実験室規模及び商業規模の実施例の関係で説明する。
例
実験室例1:
ある体積のストリッピング済み粗製MMA(公称95〜96%純度及び約5000ppmのMAAを含む)(SCMMA)を商業規模のACHをベースとする製造プロセスから抜き出し、ガスクロマトグラフ(GC)分析により測定して、約2.4ppmのビアセチル含有分を有することが判った。この材料を以下の3種の混合物を製造するために使用した。
実験室例1:
ある体積のストリッピング済み粗製MMA(公称95〜96%純度及び約5000ppmのMAAを含む)(SCMMA)を商業規模のACHをベースとする製造プロセスから抜き出し、ガスクロマトグラフ(GC)分析により測定して、約2.4ppmのビアセチル含有分を有することが判った。この材料を以下の3種の混合物を製造するために使用した。
(a)50mlのSCMMAを、スターラーバーを装備した、キャップされた100mlフラスコに装填した。これに、SCMMA中のオルト-フェニレンジアミン(oPD)の0.98%原料溶液をoPD/ビアセチルのモル比が10:1となるようにして添加した。混合物を周囲温度で約7時間にわたって攪拌し、周期的なサンプリング及びGCによるビアセチル濃度の決定を行った。
(b)同様に、50mlのSCMMAを、冷水(7.7℃)凝縮器、乾燥チューブ及びスターラーバーを装備した、第二の100mlフラスコに装填した。このサンプルに、oPD/ビアセチルのモル比が約10:1となるのに十分な量のSCMMA中のoPDの原料溶液を添加した。この第二の混合物を50℃にて約6時間にわたって攪拌し、周期的なサンプリング及びGCによるビアセチル濃度の決定を行った。
(c)第三の50ml混合物を上記の(b)と同様にして調製した。この第三の混合物を80℃にて約5時間にわたって攪拌し、周期的なサンプリング及びGCによるビアセチル濃度の決定を行った。
これらの3種の混合物の各々からの一連の第一のサンプルを抜き取り、そしてできるだけ急速に分析した(5分未満の滞留時間)。GC分析はビアセチル含有分がすべての3つのサンプルについて検知限界未満(本質的に0)であることを示した。すべての続くサンプルも検知限界未満であることが判った。このことは、ビアセチルが急速に重質成分(すなわち、沸点がMMAより高い)に転化されていること、及び、このビアセチルの転化反応が周囲温度で5時間以上、50℃で6時間以上、80℃で7時間以上、非可逆的であることを示す。さらに、沈殿物又は固形分の蓄積は試験サンプル中に観測されなかった。
実験室例2
原料oPD溶液の使用量がoPD/ビアセチルのモル比が約5:1となるのに十分な量であることを除いて、実験室例1中に記載される3つの混合物を再製造した。上述のように、初期サンプル (5分未満の滞留時間)は検知限界未満であることが判り、ビアセチルの転化反応が5時間以上の後に非可逆的であることが判り、沈殿物又は固形分の蓄積は試験サンプル中に観測されなかった。
原料oPD溶液の使用量がoPD/ビアセチルのモル比が約5:1となるのに十分な量であることを除いて、実験室例1中に記載される3つの混合物を再製造した。上述のように、初期サンプル (5分未満の滞留時間)は検知限界未満であることが判り、ビアセチルの転化反応が5時間以上の後に非可逆的であることが判り、沈殿物又は固形分の蓄積は試験サンプル中に観測されなかった。
実験室例3
原料oPD溶液の使用量がoPD/ビアセチルのモル比が約2:1となるのに十分な量であることを除いて、例1中に記載される3つの混合物を再製造した。上述の例と同様に、初期サンプル (5分未満の滞留時間)は検知限界未満であることが判り、ビアセチルの転化反応が5時間以上の後に非可逆的であることが判り、沈殿物又は固形分の蓄積は試験サンプル中に観測されなかった。
原料oPD溶液の使用量がoPD/ビアセチルのモル比が約2:1となるのに十分な量であることを除いて、例1中に記載される3つの混合物を再製造した。上述の例と同様に、初期サンプル (5分未満の滞留時間)は検知限界未満であることが判り、ビアセチルの転化反応が5時間以上の後に非可逆的であることが判り、沈殿物又は固形分の蓄積は試験サンプル中に観測されなかった。
実験室例4
蒸留によるDMMAの製造において、重質不純物及びMMAを含むボトムストリームも生成される(図1、重質ストリーム37を参照されたい)。このボトムストリームはストリッピングカラム(40、図1)においてさらに処理されて、残存MMAを回収することができる。このような処理を長時間にわたって125℃までの温度でボトムストリームに付すことができる。このような高温及び濃縮重質不純物の存在がビアセチル転化反応により生成される重質化合物の安定性に与える効果を評価するために、このようなストリッピング操作から生じるMMA欠乏ボトム材料のサンプル (前記ボトム材料を本明細書中で「TSB」と呼ぶ)を実験のために回収した。上記の実験と同様にして、ある体積のTSBをスパイクして、115ppm濃度のビアセチルを得て、その後、続いて、oPD/ビアセチルのモル比が約2:1となるのに十分な量のoPD原料溶液で処理した。この処理済み材料を連続的に混合し、125℃に加熱し、その温度に8時間維持した。上記の例と同様に、初期サンプル(5分未満の滞留時間)は検知限界未満であることが判り、ビアセチル転化反応は8時間範囲で非可逆的であることが判り、そして沈殿物又は固形分は試験サンプル中に観測されなかった。
蒸留によるDMMAの製造において、重質不純物及びMMAを含むボトムストリームも生成される(図1、重質ストリーム37を参照されたい)。このボトムストリームはストリッピングカラム(40、図1)においてさらに処理されて、残存MMAを回収することができる。このような処理を長時間にわたって125℃までの温度でボトムストリームに付すことができる。このような高温及び濃縮重質不純物の存在がビアセチル転化反応により生成される重質化合物の安定性に与える効果を評価するために、このようなストリッピング操作から生じるMMA欠乏ボトム材料のサンプル (前記ボトム材料を本明細書中で「TSB」と呼ぶ)を実験のために回収した。上記の実験と同様にして、ある体積のTSBをスパイクして、115ppm濃度のビアセチルを得て、その後、続いて、oPD/ビアセチルのモル比が約2:1となるのに十分な量のoPD原料溶液で処理した。この処理済み材料を連続的に混合し、125℃に加熱し、その温度に8時間維持した。上記の例と同様に、初期サンプル(5分未満の滞留時間)は検知限界未満であることが判り、ビアセチル転化反応は8時間範囲で非可逆的であることが判り、そして沈殿物又は固形分は試験サンプル中に観測されなかった。
本明細書中で上述したとおり、上記の実験室例1〜4に示されるoPDの優れたビアセチル除去性能にも係わらず、MMAの商業規模の製造プロセスに対するこの精製技術の応用は、驚くべきことに、不完全なビアセチル除去及び製造プロセス内の伝熱表面のファウリングで例示されるとおり、期待したほどに達しなかった。
商業規模例
下記の試験の各々において、商業規模MMA蒸留装置を用いて、実製造品質のストリッピング済み粗製MMAを処理しそして蒸留した。これらの試験の目的は2ppm以下のビアセチルを含む商業グレードの蒸留済みMMA製品(DMMA)が分離及び精製装置(例えば、蒸留装置及び付属品、例えば、リボイラー、凝縮器など)の有意なファウリングなしに、長時間にわたって製造されうる条件を示すことである。
下記の試験の各々において、商業規模MMA蒸留装置を用いて、実製造品質のストリッピング済み粗製MMAを処理しそして蒸留した。これらの試験の目的は2ppm以下のビアセチルを含む商業グレードの蒸留済みMMA製品(DMMA)が分離及び精製装置(例えば、蒸留装置及び付属品、例えば、リボイラー、凝縮器など)の有意なファウリングなしに、長時間にわたって製造されうる条件を示すことである。
図2は商業規模MMA蒸留装置300の模式図を提供し、それを用いて下記の実験例を行った。商業規模MMA蒸留装置300を用いて、図1との関係で上記したのと同様の商業規模MMA製造プロセスの第一の蒸留工程30を行った。MMA蒸留装置300を用いて、従来のACHベースのMMAプロセス及び関連するストリッピング工程により製造されたSCMMAストリーム(20、図1)からの高沸点不純物(「重質エンド」としても知られている)を除去した。本明細書中に使用されるときに、用語「SCMMA」は、約95〜96%MMAを含む、部分的に精製された粗製MMAストリームを意味し、ストリームからは、ある量の水及びメタノールなどの低沸点不純物が除去工程においてすでに除去されていた(20、図1)。
蒸留装置300は真空蒸留カラム310、クーリングタワーウォーターが供給されるオーバーヘッド凝縮器302、ヒドロキノン(「HQ」)阻害剤溶液フィードタンク303、スチーム加熱式連続循環外部リボイラー304、フィード−ボトム熱交換器305、及び、冷蔵冷却水が供給されるボトムクーラー307を含む。ポンプ、フィルター、制御バルブなどの付属装置も存在したが、単純化及び明瞭さのために図2から省略した。
蒸留カラム310はダウンカマーを有する20段の内部シーブトレーを有した。以下に、用語「トレー1」はカラム310の最下段トレーを意味し、「トレー20」はカラム310中の最上段トレーを意味する。カラムに接続された真空装置(図示せず)は約240mlmHgでカラムトップ圧を維持する。精製される周囲温度SCMMAの流速はフィード流量制御バルブ301の調節により制御した。フィード流量制御バルブ301を通して通過した後に、SCMMAはフィード−ボトム交換器305において、30℃〜36℃の温度に予熱し、その後、カラム310中のフィードトレー6(306)と位置合わせされたフィードノズル(それ自体示さず)を介して蒸留カラム310に入った。MMA中に溶解したヒドロキノン(「HQ」)阻害剤溶液を阻害剤フィードタンク303から取り出し、トレー18(318)上にフィードした。空気(図示せず)もカラム310のボトムに添加され、HQ阻害剤の効率を維持した。蒸留済みMMA蒸気をカラム310のトップから抜き出し、そしてオーバーヘッド凝縮器302中で凝縮させた。このように形成された凝縮物の一部309をカラム310に戻し(還流)、そして部分311はDMMA製品として貯蔵所(ランダウン)に送られる。
リボイラー(304)はカラムのボトムの温度を80℃〜90℃に維持した。重質エンド不純物を含むボトム材料370をカラム310のボトムから抜き出し、約35℃に初期冷却するためのフィード−ボトム熱交換器305を通過させ、その後、ボトムクーラー307でさらに冷却し、ボトムストリームの温度を約8℃〜10℃に冷却し、それにより、下流貯蔵タンク(図示せず)中の有機蒸気排出物を最少限にした。幾つかの例では、図2にて仮想線で示しているように、oPDを含有する溶液を一時フィードタンク308に貯蔵する。
ビアセチルの重質化合物への%転化は下記のとおりに計算される。
100×[(SCMMA中の初期ppmビアセチル)−(DMMA中の最終ppmビアセチル)]/(SCMMA中の初期ppmビアセチル)
100×[(SCMMA中の初期ppmビアセチル)−(DMMA中の最終ppmビアセチル)]/(SCMMA中の初期ppmビアセチル)
oPD:ビアセチルモル処理比は下記のとおりに定義される。
(添加されるoPDモル数)/(処理されるべきSCMMA中の初期モルビアセチル)
(添加されるoPDモル数)/(処理されるべきSCMMA中の初期モルビアセチル)
商業規模例1
DMMA中4.5wt%のoPDを調製し、そして一時フィードタンク308に入れた。タンク308を一時チュービングにより蒸留カラムフィード流量制御バルブ301のすぐ上流の点に接続し、その点はフィード−ボトム熱交換器305の上流から短距離である。oPD溶液を一定速度6gphでSCMMAフィードラインに直接的に添加した。
DMMA中4.5wt%のoPDを調製し、そして一時フィードタンク308に入れた。タンク308を一時チュービングにより蒸留カラムフィード流量制御バルブ301のすぐ上流の点に接続し、その点はフィード−ボトム熱交換器305の上流から短距離である。oPD溶液を一定速度6gphでSCMMAフィードラインに直接的に添加した。
構成したとおり、oPD及びMMAを混合しそして滞留時間を有することができる領域は約45リニアフィートの4インチのスケジュール40パイピング、及び、フィード流量制御バルブと蒸留カラムトレー6フィードノズルとの間の85平方フィートのらせんフィード−ボトム熱交換器305を含んだ。
この試験全体をとおして用いた68,000ポンド/時のSCMAAフィード速度で、完全な乱流がパイピング内で発生し(レイノルズ数>200,000)、oPD及びSMMAの徹底的な混合を提供した。さらに、らせんフィード−ボトム熱交換器も向上した熱交換のために乱流を最大化するように設計されているので徹底的な混合を提供した。このように、約24秒間のSCMMA中のビアセチルの液相滞留時間が与えられた後に、混合された処理済みSCMMAストリームは蒸留カラムに入った。
SCMMAは2.5ppmのビアセチル濃度を有し、そして0.3〜0.5%のMAAを含んだ。得られたoPD:ビアセチルモル比は10.6:1であった。DMMA製品311のサンプルは検知可能なビアセチルが存在ないことを示した (ビアセチル含有分=0ppm)。
一時フィードタンク中のoPD溶液が枯渇するまで84時間試験を進行させた。試験の最後に、ボトムアウトレット温度がこの比較的に短い84時間の試験時間でその通常範囲の約8℃〜10℃から12〜13℃まで上昇したので、ボトムクーラー307が急速にファウリングしたことが認められた。
商業規模例2a
この次の試験も図2に示した、上述した蒸留装置を用いて行った。この16.5時間の試験時間の間に、カラムに68,000ポンド/時のSCMMAを連続的にフィードし、平均ビアセチル濃度は3.4ppmであった。
この次の試験も図2に示した、上述した蒸留装置を用いて行った。この16.5時間の試験時間の間に、カラムに68,000ポンド/時のSCMMAを連続的にフィードし、平均ビアセチル濃度は3.4ppmであった。
この試験において、約25ポンドのoPDを蒸留装置HQ阻害剤溶液フィードタンク303(公称、DMMA中1.5wt%のHQ)に加え、そして混合して、1.31%のoPDを含むある体積のHQ阻害剤溶液を製造した。試験進行にわたって、2回の新鮮HQ及びDMMAのメークアップ添加を阻害剤タンク中のoPDの濃度を徐々に低下させるために行った。
oPD-含有阻害剤溶液を約19ガロン/時の連続流速で、蒸留カラムのトレー18のすぐ上にあるフィードノズルを通してポンプ送りした。試験の開始時に、このようにした蒸留カラムへの1.31%のoPD溶液のデリバリーは、7.1:1のoPD/ビアセチルの初期モル比では、約30.5ppmのoPD濃度に相当した。商業規模例2a(ケースI、ii及びiii)、2b及び2cの結果を表1に示す。
この比較例に短い試験操作の間に、ボトムアウトレット温度がその通常範囲の約8℃〜10℃から11〜12℃まで上昇したので、急速なファウリングの兆候がボトムクーラー307に見られた。
この試験は蒸留トレーの上面にoPDをモル比3.5:1〜7:1で添加することがビアセチル含有分を3.4ppmから2ppm以下に低減するのに有効でなく、そして蒸留装置熱交換器のファウリングをもたらすことを示した。
oPDの添加時に実験室でビアセチルの急速かつ高度に効果的な除去を示すことからすると、商業規模でのこの低い性能は非常に驚くべきことであった。理論に拘束されるつもりはないが、この試験の間に達成される低いビアセチル:重質化合物転化率は蒸留トレー上の液相ビアセチルの滞留時間が不十分であることと関連があり(平均10秒未満と評価される)、また、可能性として不十分な混合によるものとも仮定される。
商業規模例2b
上記の試験に引き続いて、商業規模例2aで使用したoPD溶液をその有効性を確認するために実験室で試験した。2.5ppmのビアセチルを含むSCMMAサンプルを2:1のoPD:ビアセチルモル処理比を得るのに十分なoPD溶液で周囲温度にて処理し、徹底的に混合するようによく振盪した。5分以内で、この処理された混合物のサンプルをGCにより分析し、そしてビアセチル濃度についての検知限界未満(<1ppm)の測定値となった。このことは商業規模例2aで使用したoPD溶液が活性であり、そしてビアセチルを重質化合物に急速に転化させることができ、それにより、MMAからビアセチルを除去するのを有効に促進することができることを示した。
上記の試験に引き続いて、商業規模例2aで使用したoPD溶液をその有効性を確認するために実験室で試験した。2.5ppmのビアセチルを含むSCMMAサンプルを2:1のoPD:ビアセチルモル処理比を得るのに十分なoPD溶液で周囲温度にて処理し、徹底的に混合するようによく振盪した。5分以内で、この処理された混合物のサンプルをGCにより分析し、そしてビアセチル濃度についての検知限界未満(<1ppm)の測定値となった。このことは商業規模例2aで使用したoPD溶液が活性であり、そしてビアセチルを重質化合物に急速に転化させることができ、それにより、MMAからビアセチルを除去するのを有効に促進することができることを示した。
商業規模例2c
図2の上記の蒸留装置に68,000ポンド/時のSCMMAを連続的にフィードする別の試験を行った。この試験において、SCMMAは2.5ppmの平均ビアセチル濃度を有した。
図2の上記の蒸留装置に68,000ポンド/時のSCMMAを連続的にフィードする別の試験を行った。この試験において、SCMMAは2.5ppmの平均ビアセチル濃度を有した。
十分なoPDをHQ阻害剤溶液タンクに混合し、1.00%のoPD、1.5%のHQ及び残部のMMAを含む、ある量のHQ阻害剤溶液を製造した。約110時間にわたるこの試験の間に、阻害剤溶液中のoPD濃度は一定のままであった。
oPD-含有阻害剤溶液を約22ガロン/時の連続流速で、蒸留カラムのトレー18のすぐ上にあるフィードノズルを通してポンプ送りした。これらの条件で、カラムを8.6:1のoPD:ビアセチルモル比で操作した。
この試験では、しかしながら、ビアセチルの重質化合物への転化率はわずが8%であり、DMMA製品中のビアセチル濃度は平均で2.3ppmで仕様外であった。さらに、ボトムアウトレット温度がその通常範囲の約8℃〜10℃から12〜14℃まで上昇することが観測されたので、急速なファウリングの兆候がここでもボトムクーラーに見られた。ファウリングはリボイラー装置でも明確に観測された。
この試験の低いビアセチル除去効率からして、高められたoPD:ビアセチルモル比を使用したとしても、不十分な混合及び滞留時間がここでも重要な要因となるのではないかと思われた。理論に拘束されることは望まないが、初期のビアセチル濃度が低下するときに物質移動制限がより重要な役割を果し、MMAストリーム中のoPD及びビアセチルの徹底的な混合を提供するために最も重要となるものと思われた。この試験の間に経験される低いビアセチル:重質化合物転化率は蒸留トレー上の液相ビアセチルの滞留時間が不十分であることと関連があり(平均10秒未満と評価される)、また、可能性として不十分な混合によるものとも考えられた。
商業規模例3
上記の商業規模蒸留装置を11日間続く第三の試験に利用した。この試験期間の間に、68,000ポンド/時のフィード速度で、2.5ppmの平均ビアセチル濃度のSCMMAを連続的に蒸留カラムにフィードした。DMMA中に溶解した1%のoPD及び1.5%のHQを含むoPD溶液を阻害剤フィードタンク中で混合し、その後、蒸留装置に対して合計フィード速度41ガロン/時で2つの箇所で同時にフィードした。より具体的には、溶液を22ガロン/時の速度で蒸留カラムのトレー18に直接的に添加し(すなわち、商業規模例2a及び2cと同様)、また、溶液をフィード流量制御バルブのすぐ上流の点でSCMMAフィードラインに19ガロン/時の速度で添加した(すなわち、商業規模例1と同様)。これらの条件下に、蒸留装置をoPD:ビアセチルモル処理比16:1で操作した。DMMA製品のサンプルを試験期間にわたって定期的に分析し、平均ビアセチル濃度が1.5ppmであるものと決定され、これは40%ビアセチル:重質化合物転化率に相当する。試験期間にわたって、フィード−ボトム熱交換器305は急速なファウリングの兆候を示し、ボトムアウトレット温度はその通常温度の約35℃から50℃(この温度指示器の通常範囲を超える)を超える温度に上昇した。ファウリングの同様の兆候はボトムクーラー307でも見られ、すなわち、ボトムアウトレット温度はその通常範囲の約8℃〜10℃から18〜22℃に上昇した。ファウリングは、また、リボイラー装置でも明確に観測され、その時点で試験運転を停止した。
上記の商業規模蒸留装置を11日間続く第三の試験に利用した。この試験期間の間に、68,000ポンド/時のフィード速度で、2.5ppmの平均ビアセチル濃度のSCMMAを連続的に蒸留カラムにフィードした。DMMA中に溶解した1%のoPD及び1.5%のHQを含むoPD溶液を阻害剤フィードタンク中で混合し、その後、蒸留装置に対して合計フィード速度41ガロン/時で2つの箇所で同時にフィードした。より具体的には、溶液を22ガロン/時の速度で蒸留カラムのトレー18に直接的に添加し(すなわち、商業規模例2a及び2cと同様)、また、溶液をフィード流量制御バルブのすぐ上流の点でSCMMAフィードラインに19ガロン/時の速度で添加した(すなわち、商業規模例1と同様)。これらの条件下に、蒸留装置をoPD:ビアセチルモル処理比16:1で操作した。DMMA製品のサンプルを試験期間にわたって定期的に分析し、平均ビアセチル濃度が1.5ppmであるものと決定され、これは40%ビアセチル:重質化合物転化率に相当する。試験期間にわたって、フィード−ボトム熱交換器305は急速なファウリングの兆候を示し、ボトムアウトレット温度はその通常温度の約35℃から50℃(この温度指示器の通常範囲を超える)を超える温度に上昇した。ファウリングの同様の兆候はボトムクーラー307でも見られ、すなわち、ボトムアウトレット温度はその通常範囲の約8℃〜10℃から18〜22℃に上昇した。ファウリングは、また、リボイラー装置でも明確に観測され、その時点で試験運転を停止した。
この試験は、ビアセチル仕様はDMMAに適合していたが、10超:1のoPD:ビアセチルモル比での操作は蒸留装置熱交換器表面の急速なファウリングを示した。
商業規模例4
長期間商業規模操作条件下に以前の研究で特定した操作パラメータを確認するために第四の最終の一連の試験を行った。これらの試験は操作範囲をよりよく規定するためにそしてある範囲の操作条件にわたる伝熱表面のファウリングの可逆性を示すためにoPD:ビアセチル比を変化させて行った。
長期間商業規模操作条件下に以前の研究で特定した操作パラメータを確認するために第四の最終の一連の試験を行った。これらの試験は操作範囲をよりよく規定するためにそしてある範囲の操作条件にわたる伝熱表面のファウリングの可逆性を示すためにoPD:ビアセチル比を変化させて行った。
この試験では、SCMMAはSCMMAのビアセチル濃度の潜在的変化を緩和するための大容積(百万ポンド容積を超える)中間貯蔵タンクから供給した。試験期間にわたって、SCMMAストリームは平均で95〜96質量%のMMA、0.3〜0.5質量%のMAA及び5ppm未満のビアセチルであった。以前の例と同様に、試験の究極の目的は蒸留装置内の伝熱装置のファウリングを同時に最少限としながら、2ppm未満のビアセチル含有分仕様を満たすDMMA製品を製造することができる能力を示すことである。
これらの試験では、フィードバック制御操作原理を応用し、ここで、初期oPD:ビアセチルモル処理比及びDMMAビアセチル濃度目標値を最初に選択し、その後、DMMAのビアセチル含有分実測値をモニタリングすることに基づいてoPD溶液の流れを調整して、目標値のビアセチル濃度を維持した。
このアプローチでは、実際のカラム中のoPD:ビアセチルモル比を補正して、蒸留装置にフィードされるSCMMAのビアセチル濃度の変化に適応することができる。このことは通常の連続操作の間に経時とともに発生することが知られている。ビアセチル濃度のこのような変化はSCMMAプロセス製造速度及び操作条件の違いを含む多くの理由から起こることがあり、又は、複数の製造設備から生じ、そして長時間の操作にわたってわずかに検知可能であるほど緩やかなことがある。このため、これらの最終試験は長期間にわたり、6ヶ月を網羅した。
これらの試験の間に、DMMAビアセチル含有分をDMMA製品ランダウン311の定期的なサンプリング及びGC分析によりモニタリングした。このモニタリングはオンラインGC又はFTIRデバイスなどの(連続)プロセスアナライザを用いても行うことができた。
oPDの過剰フィードから生じるファウリングを制限するために、ビアセチルの重質化合物への80%転化率を目標とし、90%転化率の下方制御値(LCV)を用いることにした。ビアセチル含有分が5ppmであるSCMMAストリームでは、これはDMMAビアセチル目標値が1ppmであり、LCVが0.5ppmであることに相当する。便利のために、上方制御値(UCV)は1.5ppmに設定した。しかしながら、制御値(UCV、LCV)の範囲がビアセチル目標値に対して数値的に対称であることが厳格に要求されないことに注意すべきである。
この一連の実験では行われていないが、SCMMAフィードフローに対する比でoPDフローを維持する自動操作の使用も長期間商業操作では有利であろう。フィードフォワードスキーム(SCMMAフィード中のビアセチル含有分をモニタリングし、oPD使用量調節を行うために使用する)も有利に使用できるものと考えられる。
3.4wt%のoPD、200ppmのフェノチアジン(PTZ)及び溶媒としてDMMAを含む一定組成のoPD溶液を試験全体にわたって使用した。このoPD溶液は一時フィードタンク308中に含まれ、フィード流量制御バルブのすぐ上流の点でSCMMAフィードラインに直接的に添加された(商業規模例1と同様)。oPD及びMMAを混合しそして滞留時間を有することができる領域は約45リニアフィートの4インチのスケジュール40パイピング、及び、フィード流量制御バルブ301と蒸留カラムトレー6フィードノズルとの間に85平方フィートのらせんフィード−ボトム熱交換器305を含んだ。パイピング内及びらせん熱交換器内での完全な乱流がoPDのSCMMA中の徹底的な混合を与えた。この試験全体をとおして用いた68,000〜70,000ポンド/時のSCMAAフィード速度で、この領域は約24秒間の液相滞留時間を提供し、その後、処理済みストリームは蒸留カラムに入った。結果を下記の表2に要約する。
実試験の期間にSCMMAビアセチル含有分を定期的に分析し、そし平均で約2.61ppmであることが判った。平均DMMAビアセチル含有分は試験期間の間に約0.98ppmであり、それは約62%の重質化合物への平均ビアセチル転化率に相当する。
Claims (17)
- A)粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームの合計質量を基準として少なくとも95質量%の(メタ)アクリル酸エステル、5質量%以下の水及び50質量ppm以下のビアセチルを含む粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを提供すること、
B)芳香族ジアミンを前記粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームに対して、芳香族ジアミン/ビアセチルの初期モル比が10以下:1である処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを生じる添加速度で添加すること、
C)前記粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム中に存在する総計のビアセチルのうちの少なくとも一部分を前記芳香族ジアミンと反応させること、及び、
D)工程C)に続いて、分離及び精製装置内で処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを蒸留して、精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームの合計質量を基準として少なくとも99質量%の(メタ)アクリル酸エステル、1質量%以下の水及び2質量ppm未満のビアセチルを含む精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームであるオーバーヘッド製品を製造すること、
を含み、
前記工程C)は、
C1)蒸留工程D)を行う前に、前記粗製(メタ)アクリル酸エステルストリーム中のビアセチルに芳香族アミンが接触するための10〜1200秒の滞留時間を提供するために、前記分離及び精製装置から十分に上流に離れて芳香族アミンを添加すること、及び、
C2)前記芳香族ジアミンを前記粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームと徹底的に混合すること、
により、処理済み粗製(メタ)アクリル酸ストリームを蒸留する前に行われる、ビアセチル含有分が2ppm未満である(メタ)アクリル酸エステルを製造するための方法において、分離及び精製装置内の固体材料の蓄積を低減する方法。 - 提供される滞留時間は10〜600秒である、請求項1記載の方法。
- 前記芳香族アミン及び粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを徹底的に混合する前記工程C2)は以下の少なくとも1つの技術、
a)プロセス装置内でレイノルズ数が4000を超える乱流条件を提供するのに十分な粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームの流速でプロセスを操作すること、及び、
b)粗製(メタ)アクリル酸ストリーム及び芳香族アミン、又は、処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを、分離及び精製装置の上流に配置されており、1つ以上のスタティックミキサー、バッフル、再循環ループ、アジテータ、動力付きインラインミキサー及び機械的ミキサーを含む混合手段を有する装置に提供すること、
によって達成される、請求項1記載の方法。 - 前記分離及び精製装置の上流に配置されている前記装置は容器、パイプ、導管、タンク又はそれらの組み合わせを含む、請求項3記載の方法。
- 前記芳香族ジアミンはオルト-フェニレンジアミン、パラ-フェニレンジアミン及びメタ-フェニレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、請求項1記載の方法。
- 前記芳香族ジアミンはオルト-フェニレンジアミンを含む、請求項1記載の方法。
- 前記(メタ)アクリル酸エステルはメチルメタクリレートである、請求項1記載の方法。
- 前記芳香族ジアミン/ビアセチルのモル比は2以下:1である、請求項1記載の方法。
- 芳香族ジアミンを添加する工程B)は、溶液の合計質量を基準として0.5〜8質量%のオルト-フェニレンジアミン及び溶媒を含む溶液を、前記粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームに添加することにより行われ、前記溶媒は前記(メタ)アクリル酸エステルと同一である、請求項1記載の方法。
- A)粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームの合計質量を基準として少なくとも95質量%の(メタ)アクリル酸エステル、5質量%以下の水及び50質量ppm以下の初期ビアセチル含有分を含む粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを提供すること、
B)芳香族ジアミンを前記粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームに対して、芳香族ジアミン/ビアセチルの初期モル比が1:1〜100:1である処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを生じる添加速度で添加すること、
C)分離及び精製装置内で処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを蒸留して、精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームの合計質量を基準として少なくとも99質量%の(メタ)アクリル酸エステル、1質量%以下の水及び初期ビアセチル含有分より低い目標値以下のビアセチル含有分を含む精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームであるオーバーヘッド製品を製造すること、及び、
D)(i)精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームのビアセチル含有分をモニタリングして、ビアセチル含有分測定値を得ること、及び、
(ii)ビアセチル含有分測定値が目標ビアセチル含有分とどのように比較されるかによって、以下のうちの1つの動作を取る、
(a)ビアセチル濃度測定値が所定の下限値と所定の上限値の間にある間には、添加速度を現在値に維持する、
(b)ビアセチル含有分測定値が上限値より大きい場合には、添加速度を増加させる、
(c)ビアセチル含有分測定値が下限値より小さい場合には、添加速度を減少させる、
ことにより分離及び精製装置の操作の間に芳香族ジアミンの添加速度を調整すること、
を含む、ビアセチル含有分が2ppm未満である(メタ)アクリル酸エステルを製造するための方法において、分離及び精製装置内の固体材料の蓄積を低減する方法。 - 前記芳香族ジアミンの添加速度が添加速度を減少させることによって調整されるときに、添加速度を、ある時間にわたってゼロに維持し、その後、ゼロより大きくする、請求項10記載の方法。
- 前記(メタ)アクリル酸エステルはメチルメタクリレートである、請求項10記載の方法。
- 前記芳香族ジアミンはオルト-フェニレンジアミン、パラ-フェニレンジアミン及びメタ-フェニレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、請求項10記載の方法。
- 前記所定の下限値はビアセチル含有分の目標値の50%であり、そして前記所定の上限値はビアセチル含有分の目標値の75%である、請求項10記載の方法。
- A)粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームの合計質量を基準として少なくとも95質量%の(メタ)アクリル酸エステル、5質量%以下の水及び20質量ppm以下の初期ビアセチル含有分を含む粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを提供すること、
B)芳香族ジアミンを前記粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームに対して、芳香族ジアミン/ビアセチルの初期モル比が1:1〜100:1である処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを生じる設定添加速度で添加すること、
C)分離及び精製装置内で処理済み粗製(メタ)アクリル酸エステルストリームを蒸留して、精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームの合計質量を基準として少なくとも99質量%の(メタ)アクリル酸エステル、1質量%以下の水及び初期ビアセチル含有分より低い目標値以下のビアセチル含有分を含む精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームであるオーバーヘッド製品を製造すること、及び、
D)少なくととも1つの操作条件をモニタリングして、所定の許容可能な範囲の外に該当する前記少なくとも1つの操作条件を観測することにより、分離及び精製装置内に許容可能でない程度に固体材料が蓄積したことを決定すること、及び、
E)前記少なくとも1つの操作条件が前記所定の許容可能な範囲に該当することが観測されるまで、ある時間、設定添加速度よりも低い値の範囲内に芳香族ジアミンの添加速度を低減しそして維持すること、
を含む、ビアセチル含有分が2ppm未満である(メタ)アクリル酸エステルを製造するための方法において、分離及び精製装置内の固体材料の蓄積を後退させる方法。 - 前記設定添加速度より低い値の前記範囲は下限値が0である、請求項15記載の方法。
- 精製済み(メタ)アクリル酸エステルストリームであるオーバーヘッド製品を1つ以上のタンクに集めそしてブレンドして中のビアセチル濃度を均質化する、請求項15記載の方法。
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