JP2014518626A - 被験者が慢性腎疾患を有する、または発症するリスクがあるかどうかを決定するための方法 - Google Patents

被験者が慢性腎疾患を有する、または発症するリスクがあるかどうかを決定するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、被験者から得られた生物学的試料中のペリオスチン遺伝子の発現レベルを決定することを含む、前記被験者が、慢性腎疾患(CKD)を有するまたは発症するリスクがあるかどうかを決定するための方法に関する。本発明はまた、患者から得られた生物学的試料中のペリオスチン遺伝子の発現レベルを決定することを含む、前記患者におけるCKDのステージ分類をするための方法に関する。本発明はさらに、CKDを患う患者から得られた生物学的試料中のペリオスチン遺伝子の発現レベルを決定することを含む、処置に対する前記患者の応答性を決定するための方法に関する。

Description

発明の分野:
本発明は、患者における慢性腎疾患(CKD)のバイオマーカーとしてのペリオスチンの使用に関する。従って、本発明は、特に尿試料または血液試料中における、診断のためのマーカーとしてのペリオスチンの同定、およびCKDのステージ分類に関する。
発明の背景:
慢性腎疾患(CKD)は、大きな公衆衛生上の問題である。長年かけて、CKDのより早期の同定および処置は、腎疾患の進行を防ぐことができることが分かってきた。実際にフランスでは60,000人の患者が現在、透析または移植による処置を受けている(35,000人の透析患者および25,000人の移植患者を含み、全医療費の2%に相当する)。従って、たとえ2008年に「Agence de la Biomedecine」(Reseau d'Epidemiologie et Information en Nephrologie)によって発表された近年の研究が、CKDの最も一般的な原因は高血圧(22.6%)、糖尿病(22%)および原発性腎症(55%)であることを開示していても、医療制度に対するCKDの経済的影響は、CKDの疫学のより良き理解を含む難題をもたらす。結果として、フランスでは300万人の人間がCKDに患うであろう。腎不全は主要な心リスク因子として知られている。これは、腎不全および心不全によって特徴付けられる心腎症候群(CRS)と呼ばれる新たな容態の定義をもたらす。主に不全となっている臓器は心臓または腎臓のいずれかであり得、そしてこの不全臓器がしばしば他方の不全を誘発する。
従って、この疾患の悪化の基礎をなす機序のより良い理解は、患者の治療および処置を改善するために必須である。しかしながら現在まで、CKDの診断は、タンパク尿および糸球体ろ過量(GFR)推定値に基づくが、どちらの指数も、疾患がかなり進行した場合に異常な数値に達する。依然として、特にCKD発症の早期段階において、被験者がCKDを有するまたは発症するリスクがあるかどうかを決定するための方法を開発する必要性が存在する。
それ故、両方の早期の損傷の存在を示し、そして進行性疾患のリスクの増加した患者を同定するために使用することのできる、CKDのバイオマーカーは、CKDの診断および処置に好ましい影響を与えるだろう。
発明の要約:
本発明は、被験者から得られた生物学的試料中のペリオスチン遺伝子の発現レベルを決定することを含む、前記被験者が慢性腎疾患(CKD)を有するまたは発症するリスクがあるかどうかを決定するための方法に関する。
本発明はまた、患者から得られた生物学的試料中のペリオスチン遺伝子の発現レベルを決定することを含む、前記患者におけるCKDのステージ分類をするための方法に関する。
本発明はさらに、CKDを患う患者から得られた生物学的試料中のペリオスチン遺伝子の発現レベルを決定することを含む、処置に対する前記患者の応答性を決定するための方法に関する。
発明の詳細な説明:
本発明者らは、ペリオスチンを、CKDの早期かつ正確な検出のために、並びにペリオスチン遺伝子の発現レベルとCKD(およびそれ故に関連した腎病変)の重篤度との間の相関のために使用し得るという観察を行なった。実際に、ペリオスチンは、被験者から得られた生物学的試料中には検出されず、そしてCKDを患う患者から得られた試料中には検出される。さらに、また、ペリオスチン遺伝子の発現レベルは、CKDの重篤度に相関し、そしてペリオスチン遺伝子の発現レベルはまた、CKDに患う患者の、処置(例えば高血圧処置)に対する応答性を決定するために有用であることが示された。
定義:
明細書全体を通して、いくつかの用語が使用され、そして以下の段落において定義されている。
本明細書において使用したような「ペリオスチン」という用語は、「骨芽細胞特異的因子−2」、「OSF−2」または「POSTN」を含むがそれらに限定されない全ての同義語を包含することを意図する。
従って、前記用語は、天然ペリオスチンおよびその変異体およびその改変形を含む。「ペリオスチンタンパク質」という用語は、834個のアミノ酸のペリオスチンタンパク質を指す(アクセッションナンバーNP_006466の下でGenPeptデータベースに提供されている)。
ペリオスチンは、慢性腎疾患(CKD)の発症を診断または予測することを可能とする点において「マーカー」または「バイオマーカー」と呼ばれる。
本明細書において使用したような「バイオマーカー」という用語は、一般的に、分子、すなわち遺伝子(または前記遺伝子をコードする核酸)、タンパク質を指し、患者からの生物学的試料中におけるその発現は、当技術分野において標準的な方法(並びに本明細書において開示された方法)によって検出することができ、そしてそれが得られた患者の容態を予測または示す。
本明細書において使用したような「慢性腎疾患」(CKD)という用語は、数か月間または数年間におよぶ腎機能の進行的な低下を指す。CKDは、当技術分野におけるその一般的な意味を有し、そしてそれを使用して、腎臓に影響を及ぼす数多くの容態、腎実質の破壊、および機能性ネフロンまたは糸球体の低下を分類する。
より正確には、国際腎臓病予後改善機構(Kidney Disease Improving Global Outcomes)(KDIGO)は初めて、CKDのステージの定義および分類のためのシステムを開発および発表した。
従って、CKDは、KDOQI CKD分類表11(http://www.kidney.org/professionals/kdoqi/guidelines_ckd/Gif_File/kck_t11.gifのような)(腎損傷の兆候と組み合わせた、糸球体ろ過量(GFR)の減少に基づいて)に従って列挙された基準に従って定義された。
Figure 2014518626
GFRを推定するための方法はガイドライン4では使用されない。
腎損傷のマーカーは、ガイドライン5〜6に考察されている。
CKDの病因の例としては、高血圧、糖尿病、糸球体腎炎、心血管疾患、多発性嚢胞腎疾患、および腎移植片拒絶が挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用したような「患者」または「被験者」という用語は哺乳動物を示す。好ましくは、本発明による被験者または患者はヒトである。患者は無症候性であっても、あるいは早期または進行したCKDの徴候を示していてもよい。
本明細書において使用したような「健康な被験者」という用語は、既知の容態を全く患っていない、特にCKDに患っていない被験者の集団を指す。
「生物学的試料」という用語は、被験者または患者から得られた任意の生物学的試料を意味する。このような試料の例としては、液体、組織、細胞試料、臓器、生検体などが挙げられる。好ましい生物学的試料は腎生検体である。他の好ましい生物学的試料は尿試料または血液試料である。
「血液試料」とは、一定量の全血、または血清、血漿のような、その画分を意味する。
診断法およびキット:
本発明は、被験者から得られた生物学的試料中のペリオスチン遺伝子の発現レベルを決定することを含む、前記被験者が、慢性腎疾患(CKD)を有するまたは発症するリスクがあるかどうかを決定するための方法に関する。
本発明の文脈における「リスク」は、ある事象が特定の期間にわたって起こるであろうという確率に関し、そして被験者の「絶対」リスクまたは「相対」リスクを意味し得る。絶対リスクは、関連時間コホートの測定後の実際の観察を参照して、または関連時間期間の間追跡調査された統計的に有効な歴史的コホートから作成された指数値のいずれかを参照して測定され得る。相対リスクは、低リスクコホートの絶対リスクまたは平均集団リスクのいずれかと比較した、被験者の絶対リスクの比を指し、これはどのように臨床的リスク因子が評価されるかによって変化し得る。所定の検査結果に対する否定的な事象に対する肯定的な事象の比率であるオッズ比もまた一般的に無変換(no-conversion)に使用される(オッズは式p/(l−p)に従い、pは事象の確率であり、そして(l−p)は事象が起こらない確率である)。
特定の態様において、本発明の方法はさらに、被験者から得られた生物学的試料中のペリオスチンの発現レベルを、基準レベルと比較することからなる工程を含み、前記の決定された発現レベルと前記基準レベルとの差異は、前記被験者がCKDを有するまたは発症するリスクがあるかどうかを示す。
本明細書において使用した「基準レベル」という用語は、一般的な集団から、または被験者の選抜集団から得られた生物学的試料中のペリオスチンの量を指す。例えば、選抜集団は、見かけ上健康な被験者、例えば、以前にCKDの存在を示す兆候または徴候を全く示さなかった個体から構成され得る。別の例において、基準レベルは、確立されたCKDを有する被験者から得られたペリオスチンの量であり得る。基準レベルは、閾値または範囲であり得る。基準レベルは、見かけ上健康な被験者と、確立されたCKD被験者との間の比較測定に基づいて確立され得る。
1つの態様において、基準値は、実質的に健康である1人以上の被験者から得られた対照試料中のペリオスチンの発現レベルから導かれる。
別の態様において、このような被験者は、このような検査の後に診断的に関連した期間かけてモニタリングおよび/または周期的に再検査され(「縦断的研究」)、CKDの存続を確認する。このような期間は、基準値の決定された最初の検査日から1年間、2年間、2〜5年間、5年間、5〜10年間、10年間または10年間以上であり得る。
さらに、適切に預けられた過去の被験者試料中のペリオスチンレベルの遡及的測定を、これらの基準値の確立に使用し得、従って、必要とされる研究時間は短縮され、被験者は、中断された期間の間でも、対象とするプロダクトクレームの範囲を通して適切に追跡調査されると推定される。
典型的には、CKDのリスクのある被験者におけるペリオスチンのレベルは、一般集団からまたは健康被験者から得られた基準レベルより高いと見なされる。
本発明はまた、患者から得られた生物学的試料中のペリオスチン遺伝子の発現レベルを決定することを含む、前記患者における慢性腎疾患(CKD)のステージ分類をするための方法に関する。
1つの態様において、患者は、心血管疾患(例えば高血圧)、糖尿病、糸球体腎炎(例えば、膜性糸球体腎炎および膜性増殖性糸球体腎炎)、多発性嚢胞腎疾患(例えば常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)および常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD))、間質性腎炎、ループス腎炎、腎症(例えば膜性腎症)、特発性ネフローゼ症候群(例えば微小変化型ネフローゼ症候群(MSCS)および巣状分節性糸球体硬化症(FSGS))、閉塞性尿路疾患、および腎移植片拒絶(急性および慢性腎拒絶を含む)からなる群より選択されるCKDを患う。
本発明のさらなる局面は、CKDを患う患者から得られた生物学的試料中のペリオスチン遺伝子の発現レベルを決定することを含む、前記患者の処置に対する応答性を決定するための方法に関する。
典型的には、前記処置は、高血圧薬または生物学的療法(例えばACE阻害剤、レニン阻害剤またはAT1レセプターアンタゴニスト)の投与からなり得る。
被験者の処置に対する「応答性を決定すること」によって、異常な臨床的特徴の解消または改善を評価することができる。
例えば、処置に対して応答するCKDを患う被験者において、正常なタンパク尿の回復を観察することができる。より具体的には、処置に対する被験者の「応答性を決定」は、前記処置時に、被験者が完全な寛解、部分的な寛解、再発のリスクの高いまたは低い寛解を受けるかどうか、あるいは、前記処置が、異常な臨床的特徴および/または疾患の進行に対して有意な効果を全く有さないかどうかを決定することを含む。
特定の態様において、前記したような方法はさらに、患者から得られた生物学的試料中のペリオスチン遺伝子の決定されたレベルを、基準レベルと比較する工程を含み、前記の決定されたレベルと前記の基準レベルとの差異は、前記患者が処置に対して応答するかどうかを示す。典型的には、基準値は、前記処置に対して応答したまたは応答しなかった1人以上の患者から得られた対照試料中のペリオスチン遺伝子のレベルから導かれる。
生物学的試料中のペリオスチン遺伝子またはタンパク質などのバイオマーカーのレベルを決定するための方法は、当技術分野において周知である。
1つの態様において、本発明の方法によるペリオスチン遺伝子の発現レベルの決定は、前記被験者または患者から得られた生物学的試料中のペリオスチンをコードするmRNAの量を決定することによって実施される。
腎生検体が好ましい試料である。全RNAを、それから容易に抽出することができる。細胞または組織試料を、例えば、核酸を利用可能とするために、その使用前に処理し得る。細胞またはタンパク質の溶解、核酸の濃縮または希釈の技術は、当業者には公知である。
遺伝子の発現レベルの決定は、種々の技術によって実施され得る。一般的には、決定されたような発現レベルは、相対的発現レベルである。
より好ましくは、決定は、試料を、プローブ、プライマーまたはリガンドなどの選択試薬と接触させ、これにより試料中に元々存在する対象の核酸の存在を検出またはその量を測定することを含む。
好ましい態様において、発現レベルはmRNAの量を決定することによって決定され得る。
mRNAの量を決定するための方法は当技術分野において周知である。例えば、試料(患者から調製された生検体)中に含まれる核酸をまず標準的な方法に従って、例えば溶解酵素または化学溶液を使用して抽出するか、あるいは、製造業者の指示に従って核酸結合樹脂によって抽出する。その後、抽出されたmRNAを、ハイブリダイゼーション(例えばノザンブロット分析)および/または増幅(例えばRT−PCR)によって検出する。
好ましい態様において、ペリオスチン遺伝子の発現レベルは、RT−PCR、好ましくは定量または半定量RT−PCR、さらにより好ましくはリアルタイム定量または半定量RT−PCRによって決定される。
増幅の他の方法としては、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写増幅法(TMA)、鎖置換増幅法(SDA)および核酸配列ベース増幅法(NASBA)が挙げられる。
少なくとも10個のヌクレオチドを有し、そして本明細書の対象のmRNAに対して配列相補性または相同性を示す核酸は、ハイブリダイゼーションプローブまたは増幅プライマーとしての有用性を見出す。このような核酸は同一である必要はないが、典型的には同等なサイズの相同性領域に対して少なくとも約80%同一、より好ましくは85%同一、さらにより好ましくは90〜95%同一であると理解される。特定の態様において、ハイブリダイゼーションの検出のために、検出可能な標識などの適切な手段と組み合わせて核酸を使用することが有利である。
多種多様な適切な指示薬が当技術分野において公知であり、これには蛍光リガンド、放射性リガンド、酵素リガンドまたは他のリガンド(例えばアビジン/ビオチン)が挙げられる。
プローブは、典型的には、10〜1000、例えば10〜800、より好ましくは15〜700、典型的には20〜500のヌクレオチド長の一本鎖核酸を含む。プライマーは、典型的には、増幅しようとする対象の核酸に完全にまたはほぼ完全に一致するように設計された、10〜25ヌクレオチド長のより短い一本鎖核酸である。プローブおよびプライマーは、ハイブリダイゼーションする核酸に対して「特異的」であり、すなわち、それらは好ましくは高ストリンジェンシーなハイブリダイゼーション条件下(最も高い融解温度Tm、例えば50%ホルムアミド、5×または6×SCCに対応する。SCCは0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウムである)でハイブリダイゼーションする。
上の増幅法および検出法に使用される核酸プライマーまたはプローブは、キットしてまとめられていてもよい。
このようなキットは、共通プライマーおよび分子プローブを含む。好ましいキットはまた、増幅が起こったかどうかを決定するために必要とされる成分も含む。キットはまた、例えば、PCR緩衝液および酵素;陽性対照配列、反応対照プライマー;並びに特異的配列を増幅および検出するための説明書も含んでいてもよい。
別の態様において、本発明の方法によるペリオスチン遺伝子の発現レベルの決定は、前記被験者または患者から得られた生物学的試料中のペリオスチンタンパク質の濃度を測定することによって実施される。
好ましい態様において、前記被験者または患者から得られた血液試料および/または尿試料中のペリオスチンタンパク質の濃度が測定される。一旦患者からの生物学的試料が調製されると、ペリオスチンの濃度を、当技術分野における任意の公知の方法によって測定し得る。
1つの態様において、このような方法は、生物学的試料を、生物学的試料中に存在するペリオスチンと選択的に相互作用することのできる結合対と接触させることを含む。
1つの特定の態様において、結合対は、ポリクローナルまたはモノクローナル、好ましくはモノクローナルであり得る抗体であり得る。
別の特定の態様において、結合対はアプタマーであり得る。
適切な抗原またはエピトープを、例えばブタ、ウシ、ウマ、ウサギ、ヤギ、ヒツジおよびマウスからとりわけ選択された宿主動物に投与することによって、本発明のポリクローナル抗体またはそのフラグメントを、公知の方法に従って、生じさせることができる。当技術分野において公知の種々のアジュバントを使用して、抗体の産生を増強することができる。本発明の実施に有用な抗体は、ポリクローナル抗体でもよいが、モノクローナル抗体が好ましい。
本発明のモノクローナル抗体またはそのフラグメントは、培養液中での連続細胞株によって抗体分子の産生をもたらす任意の技術を使用して調製および単離され得る。産生および単離のための技術としては、KohlerおよびMilstein (1975)によって初めて記載されたハイブリドーマ技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Cote et al., 1983);並びにEBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al. 1985)が挙げられるがそれらに限定されない。
前記抗体の例としては、Abcamのポリクローナル抗体ab14041、Santa-Cruzのポリクローナル抗体sc−67233およびsc−49480、Biovendorのポリクローナル抗体RD184045100、並びに特許出願国際公開公報第03/016471号に記載されたヒトペリオスチンに特異的に結合するモノクローナル抗体が挙げられるがそれらに限定されない。
あるいは、一本鎖抗体の産生のために記載された技術(例えば米国特許第4,946,778号を参照)を適応させて、抗ペリオスチン一本鎖抗体を産生することができる。本発明の実施に有用な抗体はまた、F(ab’)フラグメント(これはインタクトな抗体分子をペプシンによって消化することによって生成され得る)およびFabフラグメント(これはF(ab’)フラグメントのジスルフィド橋を還元することによって生成され得る)を含むがそれらに限定されない、抗ペリオスチンフラグメントを含む。あるいは、Fabおよび/またはscFv発現ライブラリーを構築して、ペリオスチンに対する所望の特異性を有するフラグメントの迅速な同定を可能とすることができる。例えば、抗体のファージディスプレイを使用し得る。このような方法において、一本鎖Fv(scFv)またはFabフラグメントを、適切なバクテリオファージ、例えばM13の表面上に発現させる。簡潔に言えば、タンパク質を用いて免疫化させておいた適切な宿主(例えばマウス)の脾臓細胞を取り出す。前記タンパク質に対する所望の抗体を産生しているそうした細胞からVL鎖およびVH鎖のコード領域を得る。その後、これらのコード領域を、ファージ配列の末端に融合させる。一旦ファージが適切な担体、例えば細菌などに挿入されると、ファージは抗体フラグメントを提示する。抗体のファージディスプレイはまた、当業者には公知のコンビナトリアル法によっても提供され得る。ファージによって提示される抗体フラグメントを、イムノアッセイの一部として使用し得る。
別の態様において、結合対はアプタマーであり得る。アプタマーは、分子認識の点で抗体の代替物に相当する1クラスの分子である。アプタマーは、事実上任意のクラスの標的分子を高い親和性および特異性で認識する能力を有するオリゴヌクレオチドまたはオリゴペプチド配列である。このようなリガンドは、Tuerk C. 1997によって記載されたような、Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment (SELEX)法を用いたランダム配列ライブラリーの濃縮により単離され得る。ランダム配列ライブラリーは、DNAのコンビナトリアル化学合成によって得ることができる。このライブラリーにおける各メンバーは、独特な配列の最終的に化学的に改変された鎖状オリゴマーである。このクラスの分子の可能な改変、使用および利点は、Jayasena S.D., 1999において論説されている。ペプチドアプタマーは、ツーハイブリッド法(Colas et al., 1996)によってコンビナトリアルライブラリーから選択された、E.coliチオレドキシンAなどのプラットフォームタンパク質によって提示される立体配座的に制限された抗体可変領域からなる。
抗体またはアプタマーなどの本発明の結合対は、検出可能な分子または物質(例えば蛍光分子、発色産物を産生することのできる酵素、放射性分子、または当技術分野において公知の任意の他の標識)を用いて標識され得る。一般的にシグナルを(直接的にまたは間接的にのいずれかで)与える標識は当技術分野において公知である。
本明細書において使用した抗体に関する「標識された」という用語は、検出可能な物質、例えば放射性薬剤またはフルオロフォア(例えばフルオレセインイソチオシアネート(FITC)またはフィコエリトリン(PE)またはインドシアニン(Cy5))を抗体またはアプタマーに結合(すなわち物理的に連結)させることによる抗体またはアプタマーの直接的な標識、並びに、検出可能な物質との反応性によるプローブまたは抗体の間接的な標識(例えばセイヨウサワビペルオキシダーゼ、HRP)を包含することを意図する。本発明の抗体またはアプタマーを、当技術分野において公知の任意の方法によって放射性分子を用いて標識し得る。例えば、放射性分子としては、シンチグラフィー検査のための、I123、I124、In111、Re186、Re188などの放射性原子が挙げられるがそれらに限定されない。
前記のアッセイは、一般的に、固相支持体への結合対(すなわち抗体またはアプタマー)の結合を含む。本発明の実施に使用することのできる固相支持体としては、ニトロセルロース(例えば膜またはマイクロタイターウェルの形状);ポリビニルクロリド(例えばシートまたはマイクロタイターウェル);ポリスチレンラテックス(例えばビーズまたはマイクロタイタープレート);フッ化ポリビニリデン;ジアゾ化紙(diazotized paper);ナイロン膜;活性化ビーズ、磁気応答性ビーズなどが挙げられる。
より特定すると、ELISA法を使用することができ、マイクロタイタープレートのウェルは、1セットの抗ペリオスチン抗体でコーティングされている。その後、ペリオスチンを含むまたは含むことが疑われる生物学的試料を、コーティングされたウェルに加える。抗体−抗原複合体の形成を可能とするに十分なインキュベーション期間の後、プレート(群)を洗浄して、非結合部分を除去し得、そして検出可能なように標識された二次結合分子を加えることができる。二次結合分子は、あらゆる捕捉された試料マーカータンパク質と反応することを可能とし、プレートを洗浄し、そして二次結合分子の存在を当技術分野において周知の方法を使用して検出する。ELISAの代替的な方法としては、既知量の標識化ペリオスチンに加えて、ペリオスチンを含むまたは含むことが疑われる生物学的試料を、コーティングされたウェルに加えることを含む。抗体−抗原複合体の形成および標識天然分子と非標識天然分子との間の競合を可能とするに十分なインキュベーション期間の後、プレート(群)を洗浄して、非結合部分を除去することができる。例えばHRPにコンジュゲーションしたペリオスチンの結合によって得られた標識の強度を、当技術分野において周知の方法を使用して検出する。一般的なELISAよりも感度が高いこの配置においては、標識の減少は、試料中に存在する天然分子の量に関連している。HRPのコンジュゲーションしたペリオスチンの場合、HRP基質の添加は検出を可能とするだろう。色の検出が一般的に使用されるが、インキュベーション時間が必要であり、一方、ルミノール誘導体の代替物は、直接的で(インキュベーション時間は皆無である)感度の高い検出を可能とする。
ペリオスチンの濃度は、イムノアッセイ(例えば競合アッセイ、直接反応アッセイ、またはサンドイッチ型アッセイなど)を含む、標準的な免疫診断技術を使用することによって測定され得る。このようなアッセイとしては、凝集検査;酵素標識および酵素媒介イムノアッセイ、例えばELISA;ビオチン/アビジン型アッセイ;ラジオイムノアッセイ;免疫電気泳動;免疫沈降法が挙げられるがそれらに限定されない。
ペリオスチンの濃度の測定は(イムノアッセイをベースとした方法を用いるまたは用いない)また、化合物の分離を含み得る:疎水性に基づいたHPLC;サイズに基づいたサイズ排除クロマトグラフィー;および使用される特定の固相に対する化合物の親和性に基づいた固相アフィニティ。一旦分離されると、ペリオスチンは、その化合物に対する既知の「分離プロファイル」、例えば保持時間に基づいて同定され得、そして標準的な技術を使用して測定され得る。
あるいは、分離された化合物は、例えば質量分析計によって検出および測定され得る。
本発明のさらなる局面は、患者におけるCKDのバイオマーカーとしてのペリオスチンの使用に関する。
本発明のさらなる局面は、患者におけるCKDの診断のためのペリオスチンを検出するキットの使用に関する。
本発明はさらに、以下の図面および実施例によって説明されるだろう。しかしながら、これらの実施例および図面は、いずれにしても本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
対照ラット(C)、並びにロサルタンを用いて処置されたラット(LOS)、L−NAMEを用いて6週間処置されたラット(LN6w)、L−NAMEを用いて10週間処置されたラット(LN10w)、L−NAME+ロサルタンを用いて処置され、退縮したラット(LN reg)およびL−NAME+ロサルタンを用いて処置され、療法が無効であったラット(LN no reg)における、平均動脈圧(A)、タンパク尿(B)、腎血流量(C)および血漿中クレアチニン(D)。各群における正確な処置の記載は、以下の方法において提供される。 対照ラット(C)、並びにロサルタンを用いて処置されたラット(LOS)、L−NAMEを用いて6週間処置されたラット(LN6w)、L−NAMEを用いて10週間処置されたラット(LN10w)、L−NAME+ロサルタンを用いて処置され、退縮したラット(LN reg)およびL−NAME+ロサルタンを用いて処置され、療法が無効であったラット(LN no reg)の腎皮質における病変の定量。A:糸球体硬化症;B:全炎症;C:血管線維症;D:血管壊死;E:間質性線維症;F:尿細管病変。 対照ラット(C)、並びにロサルタンを用いて処置されたラット(LOS)、L−NAMEを用いて6週間処置されたラット(LN6w)、L−NAMEを用いて10週間処置されたラット(LN10w)、L−NAME+ロサルタンを用いて処置され、退縮したラット(LN reg)およびL−NAME+ロサルタンを用いて処置され、療法が無効であったラット(LN no reg)の腎皮質におけるTリンパ球の存在(CD3の染色によって証明)の定量。 高血圧により誘発されたCKDの研究において使用される処置および種々の群を示す実験的プロトコール。処置の分析的記載については、以下の材料および方法の記載(動物の処置)を参照頂きたい。 対照ラット(C)、並びにロサルタンを用いて処置されたラット(Los)、L−NAMEを用いて6週間処置されたラット(LN6w)、L−NAMEを用いて10週間処置されたラット(LN10w)、L−NAME+ロサルタンを用いて処置され、退縮したラット(LN reg)およびL−NAME+ロサルタンを用いて処置され、療法が無効であったラット(LN no reg)の腎皮質におけるコラーゲンIII(A)、ビメンチン(B)、エンドセリン(ET−1)(C)、e−セレクチン(D)のmRNA発現。e−セレクチンは、早期に高度に発現されるが、その発現はその後、減少することを注記する。 対照ラット(C)、並びにロサルタンを用いて処置されたラット(Los)、L−NAMEを用いて6週間処置されたラット(LN6w)、L−NAMEを用いて10週間処置されたラット(LN10w)、L−NAME+ロサルタンを用いて処置され、退縮したラット(LN reg)およびL−NAME+ロサルタンを用いて処置され、療法が無効であったラット(LN no reg)の腎皮質(A)および大動脈(B)におけるペリオスチンのmRNA発現。腎皮質におけるペリオスチンの発現は、種々の群における腎疾患の程度に依存して変化することを注記する。6C:対照ラット(C)、並びにロサルタンを用いて処置されたラット(Los)、L−NAMEを用いて6週間処置されたラット(LN6w)、L−NAMEを用いて10週間処置されたラット(LN10w)、L−NAME+ロサルタンを用いて処置され、退縮したラット(LN reg)およびL−NAME+ロサルタンを用いて処置され、療法が無効であったラット(LN no reg)においてウェスタンブロットによって定量されたペリオスチン発現の代表例。6D:6Cパネルのウェスタンブロットにおいて観察されたバンドの濃度測定による定量的推定。 A:高血圧により誘発された腎疾患の進行期および退縮期中の動物におけるペリオスチン発現とクレアチニン血症との間の相互作用。これらの数値は、対照ラット、並びにロサルタンを用いて処置されたラット、L−NAMEを用いて6週間処置されたラット、L−NAMEを用いて10週間処置されたラット、L−NAME+ロサルタンを用いて処置され、退縮したラットおよびL−NAME+ロサルタンを用いて処置され、療法が無効であったラットに由来する個々の動物に対応する。B:高血圧により誘発された腎疾患の進行期および退縮期中の動物におけるペリオスチン発現と腎血流量の間の相互作用。これらの数値は、対照ラット、並びにロサルタンを用いて処置されたラット、L−NAMEを用いて6週間処置されたラット、L−NAMEを用いて10週間処置されたラット、L−NAME+ロサルタンを用いて処置され、退縮したラットおよびL−NAME+ロサルタンを用いて処置され、療法が無効であったラットに由来する個々の動物に対応する。C:高血圧により誘発された腎疾患の進行期および退縮期中の動物におけるペリオスチン発現とタンパク尿との間の相互作用。これらの数値は、対照ラット、並びにロサルタンを用いて処置されたラット、L−NAMEを用いて6週間処置されたラット、L−NAMEを用いて10週間処置されたラット、退縮したL−NAME+ロサルタンを用いて処置されたラットおよび療法を離脱したL−NAME+ロサルタンを用いて処置されたラットに由来する個々の動物に対応する。D:高血圧により誘発された腎疾患の進行期および退縮期中の動物におけるペリオスチン発現と腎病変との間の相互作用。これらの数値は、対照ラット、並びにロサルタンを用いて処置されたラット、L−NAMEを用いて6週間処置されたラット、L−NAMEを用いて10週間処置されたラット、L−NAME+ロサルタンを用いて処置され、退縮したラットおよびL−NAME+ロサルタンを用いて処置され、療法が無効であったラットに由来する個々の動物に対応する。 腎移植片生検体におけるペリオスチン発現のトランスクリプトーム分析。
実施例1:高血圧により誘発された腎疾患ラットモデル(L−NAME)
材料および方法
群:
C(対照ラット):n=8
LOS(ロサルタンを用いて処置されたラット):n=3
LN6w(L−NAMEを用いて処置され、そして6週目に殺滅されたラット):n=10
LN10w(L−NAMEを用いて処置され、そして10週目に殺滅されたラット)n=12
LN reg(L−NAME+ロサルタンを用いて処置され、退縮したラット):n=14
LN no reg(L−NAME+ロサルタンを用いて処置され、療法が無効であったラット):n=15
動物の処置:体重250gの雄のSprague-Dawleyラットは正塩食により維持され、そして固形飼料および水道水に自由に近づけた。NOの合成は、L−NAME(経口、15mg/kg/日)によって阻害された。本発明者らは以前に、この用量が、腎疾患の進行を伴って徐々に血圧の上昇をもたらすことを見出した。タンパク尿が1g/mmolのクレアチニンを超えた時(5または6週間後)、動物群を殺滅して、療法の開始直前における腎血行動態および形態学的パラメーターの推定を可能とした(LN 6w群、n=10)。残りの動物を、4週間のさらなる実験期間のために2つの亜群に分けた:第1の亜群では、L−NAMEのみを投与された(LN 10w群、n=12);第2の亜群では、処置に、AT1レセプターアンタゴニストの投与を伴った(ロサルタン、経口で30mg/kg/日、Merck SharpおよびDohme-Chibret)。ロサルタン処置の終了時に、本発明者らは、第2群の動物を2つの亜群に分離した:50μmol/l未満の正常なクレアチン血症を有する動物(LN reg n=14)、および70μmol/lを超えるクレアチン血症を有する動物(LN no reg n=15)。薬物の用量は、パイロット実験および以前に公表された研究に基づいていた。対照動物を6週目および10週目に屠殺した。対照動物が、全ての測定されたパラメーターについて類似した結果を与えたので、プールしたデータを提示する(C群、n=8)。他の動物は、さらなる対照群として4週間の間にロサルタンを受けた(LOS群、n=3)。全てのプロトコールおよび処置は、フランス政府倫理委員会の承認の下で実施された。
腎血行動態:
ペントバルビタールナトリウム(50〜60mg/kg(体重)を腹腔内に、Nembutal、Abbott、Chicago、IL)による麻酔後、動物を、37℃に保持された自動制御テーブル上に置き、そして気管にカニューレを挿入して呼吸を容易にした。左大腿動脈を動脈圧の測定のためにカテーテル処置し、そして大腿静脈カテーテルを、代用液(volume replacement)の注入のために使用した。超音波通過時間流量プローブ(1RB、Transonic、Ithaca、NY)を左腎動脈の周辺に配置した。ウシ血清アルブミン(4.7g/dlの食塩水溶液)を、初期に50μl/分で注入することにより、手術による減少を補い、そしてその後、維持のために10μl/分で注入した。動脈圧を圧力トランスデューサー(Statham P23 DB)を介して測定し;腎血流量(RBF)を流量計によって測定した(T420、ローパスフィルタ、40Hz、Transonic)。腎血流量値は、心停止後の実験終了時に決定されたゼロオフセットのためにコントロールされた。データを記録し、保存し、そしてデータトランスレーションアナログ・デジタル変換器(DataTranslation analog-to-digital converter)およびIOXソフトウェア(EMKA Technologies, Paris, France)を使用して分析した。
尿タンパク分泌および血漿中クレアチニン:
尿試料を4時間かけて収集した。尿タンパク濃度をクレアチニン濃度に対して基準化し、そして数値を、クレアチニン1mmolあたりのタンパク質のgとして表現した。血液試料を試験の最終日に取り出し、そして血漿中クレアチニン(μmol/l)を自動ヤッフェ法によって測定した。
腎組織学:
腎臓を、マッソントリクローム溶液を用いて染色した。腎切片を、盲検的に2人の調査者によって独立的に検査して、前記したような0〜4の損傷スケールを使用して、炎症、尿細管病変、間質性線維症、血管性線維症、糸球体硬化症および血管壊死を推定した。個々の切片からの病変指数を平均化して、各ラットについての硬化症指数を計算した。
CD3についての免疫組織化学:
パラフィンに包埋された4μmの厚さの腎切片を脱脂し、98℃のクエン酸溶液(pH6)中で30分間かけて加熱し、そして最初にポリクローナルヤギ抗ラットCD3抗体を認識するリンパ球(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)と共に37℃で2時間かけてインキュベーションし、そしてその後、N−ヒストファインキット(Nichirei Biochemicals, Japan)の二次抗体と共に室温で30分間かけてインキュベーションした。AEC(Dako)の適用によって染色を明らかとし、ヘマトキシリンQS(Vector, Burlingame, CA)を用いて対比染色し、そしてPermanent Aqueous Mounting Media (Innovex)を用いて仕上げた。CD3陽性細胞の定量は、オリンパス分析ソフトウェアを使用して実施された。
ペリオスチン(POST)についての免疫組織化学:
4μmの厚さの凍結切片を、ポリクローナルウサギ抗ラットPOST抗体(Abcam, Cambridge, UK)と共に4℃で一晩かけてインキュベーションし、そしてその後、N−ヒストファインキット(Nichirei Biochemicals, Japan)の二次抗体と共に室温で30分間かけてインキュベーションした。AEC(Dako)の適用によって染色を明らかとし、ヘマトキシリンQS(Vector, Burlingame, CA)を用いて対比染色し、そしてPermanent Aqueous Mounting Media (Innovex)を用いて仕上げた。
リアルタイム定量PCR:
本発明者らは、TRIzol溶液(Life Technologies BRL, Gaithersburg, MD)を使用して腎皮質および腹部大動脈からRNAを抽出した。RNAの品質を、260nmと280nmにおける吸光度の比を測定することによって確認し、そして残留ゲノムDNAを、37℃で30分間かけてのDNaseI処理によって除去した(Fermentas)。本発明者らは、Revert Aid H minus First Strand DNA Synthesis kit(Fermentas)を用いての逆転写を使用して、1μgのRNAをcDNAへと変換し、これをその後、PCRによって、LightCycler 480 (Roche Diagnostic)を使用して、SYBR Green (Fast Start DNA Master SYBRGreen I; Roche Applied Science, Roche Diagnostic)、POST、Col3A1、ESel、ビメンチン、VCAM−1に対する特異的プライマー、およびハウスキーピング遺伝子としてのヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)を使用して、以下の条件下(95℃で5分間、および95℃で15秒間と60℃で15秒間の45サイクル、その後、72℃で15秒間)で増幅した。特異的プライマーは、Universal Probe Library system (UPL, Roche Applied Science)によって設計された。Q−PCRの結果を基準化するために、本発明者らは、Roche LightCycler 2.0 software (Roche Diagnostic)を使用した。本発明者らは、2−デルタCpとして結果を表現し、Cpはサイクル閾値数である。本発明者らは、各操作後に解離曲線を分析し、SYBR Greenを使用した場合に各増幅産物から定量の特異性を得られるようにした。
腎皮質におけるPOSTのイムノブロット:
腎皮質のRIPA緩衝液による溶解によって得られた25μgのタンパク質抽出物を、SDS−PAGE NuPAGE 4/12%ゲル(Invitrogen)によって還元条件下で、製造業者によって記載されたようなXCell SureLockTM Mini-Cell (NuPAGE, Invitrogen, San Diego, CA, USA)を使用して分画化し、そしてニトロセルロース膜(Immobilon-P, Millipore, Billerica, MA, USA)に転写し、その後、POST(Biovendor)またはβ−アクチン(Imgenex, Clinisciences, France)タンパク質を特異的ウサギポリクローナル一次抗体(それぞれ1/1000および1/5000希釈)およびペルオキシダーゼ標識IgG抗ウサギ二次抗体(1/4000希釈)を用いて検出した。膜を、オートラジオグラフィーフィルム(Fuji)上でenhanced chemiluminescence (ECL)-plus kit (Amersham Biosciences, Piscataway, NJ, USA)によって検出した。
統計学的方法:
in vivo研究のための統計学的分析を、ANOVAを使用し、続いてStatviewソフトウェアパッケージ中のフィッシャーの保護最小有意差検定(Fisher's protected least significance difference test)を使用して実施した。全ての数値は平均±SEである。ペリオスチンmRNA発現と、選択された機能的および組織学的変数との間の関連は、非正規に分布した変数についてlog変換した後に、線形回帰によって検査された。P<0.05を有する結果を、統計学的に有意と判断した。
結果
薬理学的な一酸化窒素の阻害は、進行的な腎血管疾患を誘発する:
LNAME処置の開始後、ラットは急速に重篤で持続的な高血圧を発症した(それぞれ6週目および10週目の処置においてMAP=211±7mmHgおよび212±5mmHg)(図1A)。進行的な高血圧性腎疾患は、タンパク尿の早期発症(6週目に1.3±0.2g/mmol)およびクレアチニン血症の遅い増加(10週目に100±14μmol/l)によって特徴付けられた(図1B、1D)。平行して、腎血流量は、6週間のLNAMEを用いての処置以降、著しい減少を示した(図1C)。
予期された通り、これらの機能的変化は、糸球体硬化症(図2A)、血管性線維症(図2C)、血管壊死(図2D)、間質性線維症(図2E)、尿細管病変(図2F)および炎症(図2B)を含む、血管性腎症の進行的で組織学的な病変(図2)に関連していた。炎症性浸潤性細胞の特徴付けは、CD3+リンパ球数が、6および10週間のLNAMEを用いての処置後に強力に増加したことを示した。
ロサルタンは、LNAMEを用いて処置されたラットの亜集団における腎疾患の退縮を促進する:
腎疾患の進行/退縮の決定要因を研究するために、軽度の高血圧性腎症(タンパク尿/クレアチニン血症、約1g/mmol)を有するラットを、LNAMEの継続と共にロサルタンを用いて処置した。ロサルタンの開始時における同程度のタンパク尿と比較して、腎疾患の進行における重要な異質性が観察された。ラットをその後、4週間のロサルタン+LNAMEを用いての処置後のクレアチニン血症の中央値に従って2つの群に分けた(図4)。従って、「退縮無し」(NOREG)群は、「退縮」群(REG)と比較して有意により高いクレアチニン血症を提示した(76±3vs50±2μmol/l、p<0.001)。2つの群の間のロサルタンの治療効力の差異と一致して、NOREGは、REG群と比較して、悪化した腎血流量(図1C)、血管病変(図2Cおよび2D)、糸球体硬化症(図2A)および腎炎症(図2Bおよび4)を示した。
高血圧性腎疾患の種々のステージに関連したマーカーの特徴付け:
NOの阻害は、腎臓における細胞外マトリックスの蓄積に関連している。有意な線維症が10週目に検出されたが、6週目には検出されず(図2)、Col3Al RT−qPCRは6週目にすでにアップレギュレーションされており、このことはこのステージ以後からのコラーゲンの持続的に増加された合成を示す(図5A)。Col3A1の合成は、REG群とNOREG群との間に差異はなかったことを注記する。
ビメンチンは、6週目および10週目において進行的に誘導された(図5B)。Col3A1とは対照的に、ビメンチンは、REG/NOREG群とは関係なく、ロサルタンの開始後に鋭い減少を示した。
内皮損傷は、腎血管疾患の病態生理に中心的な役割を果たしている可能性があるので、本発明者らは、このモデルにおいてET−1プロペプチドおよびE−セレクチンの転写調節を調べた(図5Cおよび5D)。興味深いことに、両方のマーカーが、6週目に強くしかし一過性の誘導を提示し、このことは早期の内皮機能不全を示唆する。しかしながら、E−セレクチンもET−1も、疾患の進行中にREG群とNOREG群とを識別することができなかった。
ペリオスチンは、高血圧性腎症の重篤度に密接に関連し、そして腎疾患退縮の主な決定要因である:
RT−qPCRによって示されているように、ペリオスチンは、基線で腎臓において発現され、そしてそれぞれ6および10週間のLNAME後に13倍および18倍にアップレギュレーションされた(図6A)。重要なことには、REG群におけるペリオスチンmRNAおよびタンパク質は有意に鈍っていたが(図6A)、一方、NOREG群は、4週間のロサルタンを用いての処置にも関わらずペリオスチン発現の持続的な増加を提示した(図6)。REG群とNOREG群との間に観察されたペリオスチン発現の後者の差異は、大動脈において評価した場合には存在しなかった(図6B)。ウェスタンブロットによるペリオスチンタンパク質発現の定量的評価は、上記の転写差異を確認した(図6C、6D)。
免疫組織化学法は、ペリオスチンが、正常な腎臓の動脈および細動脈の中膜内に弱い発現を提示したことを明らかとした。高血圧性腎症は、腎血管の中膜および外膜におけるペリオスチン染色の強い増加によって特徴付けられた。興味深いことには、ペリオスチンはまた、最も重篤な血管性病変、糸球体病変および尿細管病変の近くに、限局的で新規で間質性の発現を示した。
高血圧における腎疾患進行のマーカーおよび/または作用因子としてのペリオスチンの重要性をさらに評価するために、本発明者らは、高血圧性腎症の古典的で機能的で組織学的な特徴を用いて回帰分析を実施した。本発明者らは、ペリオスチンmRNAの発現の程度と、クレアチニン血症(r=0.68、図7)と、タンパク尿(r=0.71、図7B)と、腎血流量(r=0.64、図7C)と全組織学的病変スコア(r=0.65、図7D)との間に非常に強力な関連を見出した。
実施例2:移植(急性および慢性腎移植片拒絶)
材料および方法
腎移植患者(急性および慢性腎移植片拒絶)から腎生検体を得た。
結果
図8において示されたような移植の分野で得られた主な観察は以下である:
1)結果は、使用されたプライマー対とは独立して類似しており、従って、非特異的増幅の確率は除外される;
2)ペリオスチンは、急性拒絶患者(AR群)からの生検体において増加し;この増加は、炎症病変が観察された場合に増幅される(AR群+IF群):
3)ペリオスチンの関与はまた、慢性拒絶生検体においても観察される。ペリオスチンの発現は構造的病変の程度と共に増加し、そして構造的病変の程度に関連している(TA I群vsTA II群vsTA III群)。
後者の所見をヒト疾患にも当てはめ得るかどうかを決定するために、本発明者らはさらに、ヒト腎生検体標本におけるペリオスチン免疫染色を分析した。ペリオスチンは正常腎組織の糸球体または尿細管においては発現されていなかった。小血管においてはほんの弱い染色しか見出すことができなかった。慢性同種移植腎症は、尿細管間質性炎症および線維症によって特徴付けられる臨床容態である。この容態において、本発明者らは、主に尿細管萎縮および間質性線維症を呈する領域並びにいくつかの尿細管上皮細胞において、強力なペリオスチンの発現を観察した。ペリオスチンおよびビメンチンを含む連続切片を使用したところ(後者は、腎移植による線維症の進行に関連した上皮表現型変化を示す)、ペリオスチンの発現は、主に、損傷した尿細管の周辺の間質性領域に位置し、このことはヒト腎損傷の最中におけるペリオスチン発現の重要性を示唆する。
考察:
レニン−アンギオテンシン系は、腎線維症の進行に関与する複数の機序において中心的な役割を果たしている。ACE阻害剤、レニン阻害剤またはAT1レセプターアンタゴニストを用いてのタイムリーな遮断は、腎病変の回復を促進し得、そして最終的には腎疾患の実験モデルにおける末期臓器不全へと向かう進行を防御し得る。しかしながら、レニン−アンギオテンシン系遮断剤は、特にヒトにおいて、慢性腎疾患進行の防御において常に有効であるわけではないが、この可変的な効力に関与する因子は依然として明らかとなっていない。
この研究において本発明者らは、ロサルタンを用いてのL−NAMEによる高血圧性腎症の回復を分析し、そして腎疾患回復のノンリターンポイント(non-returen point)のマーカーの同定に焦点を当てた。本発明者らの結果は、ロサルタンが、L−NAME 6w群および10w群と比較して、処置された全ての群において腎血行動態の変化、タンパク尿、およびビメンチン発現を寛解したことを示す。これらの変数は、腎疾患進行の古典的な決定要因であるので、後者の効果は、最終的にNO欠乏性高血圧によって誘発された機能的および構造的な変化に対する全体的な防御に関連しているだろうと予期され得る。その代わりに、これらの有益な効果にも関わらず、No Reg群は、LN 10w群に類似した上昇した血漿中クレアチニンおよび血管線維症によって特徴付けられる、重篤な機能的および構造的疾患を提示した。それ故、腎疾患進行に関与し、そしてロサルタンによって影響を受ける重要なさらに他の因子が、Reg群とNo Reg群との間の異なる進行に関与する。これらの重要な因子が2つの群間で異なっていた理由は不明である。ロサルタンを導入するために選択された標準化されたカットオフポイントにも関わらず、本発明者らは、Reg群とNo Reg群との間に観察された異質性は、ロサルタンが導入された時の、ノンリターンポイントの周辺における腎疾患の進行における僅かな差異に起因する可能性を排除できなかった。あるいは、ゲノムが動物間で完全に同一ではない非近交種であるSprague Dawleyラット間の線維化促進遺伝子または抗線維化遺伝子の調節における既存の異質性が、Reg群とNo Reg群との間の差異を説明し得る可能性がある。本発明者らは、これらの元来の実験条件を活用して、高血圧性腎症の進行に関連した選択マーカーのトランスクリプトーム分析を実施した。
Reg群においては、ラットは、No Reg群と比較して減少した腎線維症を提示した。腎線維症は、線維性コラーゲンを含む細胞外マトリックスの蓄積によって特徴付けられる。Col3A1 RT−qPCRによって評価されるコラーゲンIIIの産生は、Reg群とNo Reg群との間に差異はなかったので、観察された組織学的な差異は、線維性コラーゲンの分解の促進に起因する可能性がある。
L−NAMEによる高血圧は、内皮機能不全の特徴に関連する。本発明者らの結果は、LN6w群におけるET−1プロペプチドおよびE−セレクチンの増加した発現によって示される早期の内皮活性化を示す。本発明者らおよび他者は、以前に、強力な線維化促進血管収縮剤であるET−1を、高血圧性腎症における腎線維症のメディエーターとして同定した。E−セレクチンは、特にアテローム硬化症および腎虚血・再灌流の病態生理に関与する内皮誘導性接着分子であるが、高血圧性腎症におけるその潜在的な関与については以前に報告されていなかった。本研究は、腎におけるET−1およびE−セレクチンmRNAの早期の増加を示すが、Reg群およびNo Reg群におけるその同じような発現は、内皮活性化のこれらのマーカーがAT1レセプター遮断によって誘導される腎疾患の回復の主な決定要因ではないことを示唆する。同様に、線維形成に関連する間葉細胞の古典的マーカーであるビメンチンは、腎疾患の回復に関係なく、ロサルタンによる処置によって減少した。
ペリオスチンは、骨膜および歯根膜において最初に同定された細胞外マトリックスタンパク質である。アンギオテンシンIIは、線維芽細胞および血管平滑筋細胞において、それぞれ、Ras/p38 MAPK/CREBおよびERK1/2/TGF−β1経路を介して、並びにホスファチジルイノシトール−3−キナーゼシグナル伝達を介して、ペリオスチンの発現を誘導することができる。従って、ペリオスチンは、虚血性、高血圧性および肥大性心筋症のモデルにおいて誘導され、そしてAT1レセプターアンタゴニストは、心臓におけるペリオスチンの発現を減少させる。腎臓では、生理学および疾患におけるペリオスチンの関与を評価する実験研究は稀である。ペリオスチンは、腎発達の最中に一過性に発現され、そして正常な成人の腎臓における発現は低い。ペリオスチンが高血圧性腎症および慢性腎疾患の進行/回復に関与しているかどうかは依然として解明されていない。
本発明者らの結果は、高血圧性腎症の進行に伴う、腎臓におけるペリオスチンの進行的な誘導を同定した。退縮分析は、ペリオスチンmRNA発現と頑強な腎疾患の機能的マーカーとの間に強力な関連を見出した。重要なことには、これらの関連は、収縮期血圧を共変数として加えた場合にも該当し、このことはペリオスチンが、高血圧の程度に関係なく腎損傷に関連していることを示唆する。免疫組織化学的分析は、ペリオスチンの所在が主に血管周囲であることを明らかとし、この場所で、このモデルにおいて細胞外マトリックスへの重要な沈着が起こっている。本発明者らはまた、慢性同種移植腎症の損傷を受けた線維化尿細管間質領域においてペリオスチンの強力で主に細胞外の染色を観察し、これはさらに、ヒト腎疾患のペリオスチンの過剰発現を実証する。ペリオスチンの間質への蓄積に関与する主な細胞の同定はさらに調査を必要とする。以前の研究からのデータは、線維芽細胞、平滑筋細胞および尿細管上皮細胞が、この設定においてペリオスチンの発現に関与し得ることを示唆する。
本発明者らは、高血圧性腎疾患の発症後のロサルタンを用いての根治的処置は、Regにおいては消失したペリオスチン発現を伴うが、No Reg群においては伴わず、このことは、ペリオスチンの減少が、アンギオテンシンIIに関連した疾患進行の機序に関与し得、そしてペリオスチン発現の減少が、疾患の回復の重要な決定要因であり得ることを示唆する。興味深いことに、組織学的線維症スコアの分析は、Reg群とNo Reg群との間の差異が、実験的高血圧性腎症におけるペリオスチンの分布と一致する血管周囲線維症に関して最も明白であったことを示す。これらの元来のデータは、ペリオスチンが、腎損傷部位での細胞外マトリックスへの蓄積の病態生理に関連し得ることを示唆する。
総合すると、本研究の結果は、ペリオスチンを、高血圧性腎症に関連すると以前には認識されていなかったマーカーとして同定する。ヒト慢性腎疾患の進行および治療コントロールをモニタリングするための予後診断マーカーとしての腎中、血漿中および尿中ペリオスチンの潜在力を明確に記載するためのさらなる研究が必要とされる。
参考文献:
本出願全体を通して、種々の参考文献が、本発明が属する当技術分野の最新技術を記載している。これらの参考文献の開示は、本開示への参照によって本明細書に組み入れられる。

Claims (10)

  1. 被験者から得られた生物学的試料中のペリオスチン遺伝子の発現レベルを決定することを含む、前記被験者が、慢性腎疾患(CKD)を有するまたは発症するリスクがあるかどうかを決定するための方法。
  2. 被験者から得られた生物学的試料中のペリオスチン遺伝子の決定された発現レベルを、基準レベルと比較することからなる工程をさらに含み、前記の決定された発現レベルと前記基準レベルとの間の差異は、前記被験者がCKDを有するまたは発症するリスクがあるかどうかを示す、請求項1記載の方法。
  3. 患者から得られた生物学的試料中のペリオスチン遺伝子の発現レベルを決定することを含む、前記患者における慢性腎疾患(CKD)のステージ分類をするための方法。
  4. CKDを患う患者から得られた生物学的試料中のペリオスチン遺伝子の発現レベルを決定することを含む、処置に対する前記患者の応答性を決定するための方法。
  5. 前記のペリオスチン遺伝子の発現レベルが、ペリオスチンmRNAの量を測定することによって決定され、そして前記生物学的試料が組織試料である、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
  6. 前記組織試料が腎生検体である、請求項5記載の方法。
  7. 前記のペリオスチン遺伝子の発現レベルが、前記患者から得られた生物学的試料中のペリオスチンタンパク質の濃度を測定することによって決定される、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
  8. 前記生物学的試料が尿試料または血液試料である、請求項7記載の方法。
  9. 前記患者が、多発性嚢胞腎疾患、糖尿病、糸球体腎炎、心血管疾患および腎移植片拒絶からなる群より選択されるCKDを患っている、請求項3〜8のいずれか一項記載の方法。
  10. 患者におけるCKDのバイオマーカーとしてのペリオスチンの使用。
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