JP2014516905A - ダイヤモンドセンサー、検出器および量子デバイス - Google Patents

ダイヤモンドセンサー、検出器および量子デバイス Download PDF

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Abstract

複数の電子ドナー欠陥を含む合成単結晶ダイヤモンド材料の第1領域と、複数の量子スピン欠陥を含む合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域と、合成単結晶ダイヤモンド材料の第3領域であって、第1領域および第2領域が第3領域によって相隔たっているように第1領域と第2領域との間に配置された、第3領域とを含み、合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域および第3領域は、合成単結晶ダイヤモンド材料の第1領域より低い濃度の電子ドナー欠陥を有し、第1領域と第2領域は、十分遠く離れていなければ、合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域内の複数の量子スピン欠陥のデコヒーレンス時間を過度に短縮し、かつ/または複数の量子スピン欠陥のスペクトル線幅の歪み広がりを生じさせる、第1領域と第2領域との間の他のカップリング相互作用を低減するように十分遠くに離れていながら、電子が合成単結晶ダイヤモンド材料の第1領域から合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域に供与されることが可能になるように十分近い、10nm〜100μmの範囲内の距離によって相隔たっており、こうして、合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域内の負に帯電した量子スピン欠陥および合成単結晶ダイヤモンド材料の第1領域内の正に帯電した欠陥を形成する、合成単結晶ダイヤモンド材料。

Description

本発明は、センシング、検出および量子処理用途で使用するための合成化学蒸着(CVD)ダイヤモンド材料に関する。
磁力計、核磁気共鳴(NMR)および電子スピン共鳴(ESR)装置などのスピン共鳴装置、磁気共鳴画像法(MRI)用スピン共鳴イメージング装置、量子計算などの量子情報処理デバイスを含めた様々なセンシング、検出および量子処理用途で使用するための、合成ダイヤモンド材料中の点欠陥、特に量子スピン欠陥および/または光学活性欠陥が提案されてきた。
シリコン含有欠陥、例えば、シリコン空孔欠陥(Si−V)、シリコン二空孔欠陥(Si−V2)、シリコン空孔−水素欠陥(Si−V:H)、シリコン二空孔水素欠陥(Si−V2:H)など、ニッケル含有欠陥、クロム含有欠陥、ならびに窒素含有欠陥、例えば、窒素空孔欠陥(N−V)、二窒素空孔欠陥(N−V−N)および窒素空孔−水素欠陥(N−V−H)などを含めた多くの点欠陥が、合成ダイヤモンド材料において研究されている。これらの欠陥は一般に、中性荷電状態または負荷電状態で見つかる。これらの点欠陥は、1個を超える結晶格子点にわたって延在することに留意されたい。用語の点欠陥は、本明細書において、このような欠陥を包含するが、10個以上の格子点にわたって延在するものなどのより大きいクラスター欠陥、または多くの格子点にわたって延在し得る転位などの拡張欠陥を含まないことが意図されている。
ある特定の欠陥は、これらが負荷電状態にあるとき、センシング、検出および量子処理用途に特に有用であることが判明している。例えば、合成ダイヤモンド材料中の負に帯電した窒素空孔欠陥(NV-)は、有用な量子スピン欠陥として多くの興味を引いている。その理由は、これが、以下のことを含むいくつかの望ましい特徴を有するためである。
(i)その電子スピン状態は、極めて長いコヒーレンス時間(これは、横緩和時間T2および/またはT2 *を使用して定量化および比較することができる)のために、高い忠実度でコヒーレントにマニピュレートすることができる;
(ii)その電子構造により、欠陥が光学的にポンピングされてその電子基底状態になることが可能になり、このような欠陥を、非極低温度においてでも、特定の電子スピン状態中に置くことが可能になる。これにより、コンパクト化が望まれるある特定の用途について、高価でかさ高い低温冷却装置の必要をなくすことができる。さらに、欠陥は、すべて同じスピン状態を有する光子の源として機能し得る;ならびに
(iii)その電子構造は、欠陥の電子スピン状態を、光子によって読み取ることを可能にする発光性および非発光性電子スピン状態を含む。これは、磁気測定、スピン共鳴分光法およびスピン共鳴イメージングなどのセンシング用途で使用される合成ダイヤモンド材料から情報を読み取るのに好都合である。さらに、これは、長距離量子通信およびスケーラブルな量子計算のための量子ビットとしてNV-欠陥を使用することに向けての重要な要因である。このような結果により、NV-欠陥が固体状態量子情報処理(QIP)の競争力のある候補になる。
ダイヤモンド中のNV-欠陥は、図1aに示したように、炭素空孔に隣接した置換窒素原子からなる。その2つの不対電子は、電子基底状態においてスピン三重項(3A)を形成し、縮退したms=±1副準位は、ms=0準位から2.87GHz分離されている。NV-欠陥の電子構造を、Steingert et al. "High sensitivity magnetic imaging using an array of spins in diamond", Review of Scientific Instruments 81, 043705(2010)の中から図1bに例示する。ms=0副準位は、光学的にポンピングされたとき、高い蛍光率を呈する。対照的に、欠陥がms=±1準位内で励起されると、これは、無放射性一重項状態(1A)にクロスオーバーし、その後引き続いて緩和してms=0になる確率をより高くする。結果として、スピン状態を光学的に読み取ることができ、ms=0状態は「明るく」、ms=±1状態は暗い。外部磁場が印加されると、スピン副準位ms=±1の縮退は、ゼーマン***を介して破られる。これにより、印加磁場の規模およびその方向に応じて共鳴線が***する。共鳴スピン遷移は、マイクロ波(MW)周波数を掃引することによってプローブすることができ、Steinert et al.の中から図2aに示したように、光検出磁気共鳴(ODMR)スペクトルにおいて特徴的なディップをもたらすので、この依存性をベクトル磁気測定に使用することができる。
Steinert et al.は、超高純度{100}タイプIIaダイヤモンド中に負に帯電したNV-中心の均質層を作り出すのにイオン注入を使用した。アンサンブルNV-センサーは、複数のセンシングスピン(sensing spin)からの蛍光信号の増幅に起因するより高い磁気感受性を提供することが判明した。Steinert et al.の中から図2bに示したように、ダイヤモンド格子では、4つの明確な四面体NV-配向が強いられているので、別の選択肢は、ベクトル再構築である。これらの軸のそれぞれに沿った磁場の投影を、単一複合スペクトルとして測定することができ、数値アルゴリズムを使用して完全磁場ベクトルを再構築することができる。外部磁場の規模(B)および配向(θB,ψB)は、制約なし最小二乗アルゴリズムに基づいてODMRスペクトルを分析することによって計算することができる。
量子応用に適した材料の生産における1つの主要問題は、量子スピン欠陥がデコヒーレンスするのを防止し、または系がデコヒーレンスするのに要する時間を少なくとも延長する(すなわち、「デコヒーレンス時間」を延長する)ことである。長いデコヒーレンス時間が量子計算などの用途において望ましく、その理由は、それにより、量子ゲートのアレイを操作する時間をより多くすることが可能になり、したがってより複雑な量子計算を実施することが可能になるためである。長いデコヒーレンス時間は、センシング用途において電子および磁気環境の変化に対する感度を増大させるためにも望ましい。
国際公開第2010010344号では、高い化学的純度、すなわち低窒素含量を有し、ダイヤモンド材料の表面が、結晶欠陥の存在を最小限にするように処理された単結晶合成CVDダイヤモンド材料を、量子スピン欠陥を含む固体状態系を形成するのに使用することができることが開示されている。このような材料が量子スピン欠陥のホストとして使用される場合、長いデコヒーレンス時間が室温で得られ、デバイスへの読み書きに使用される光学遷移の周波数は、安定である。
国際公開第2010010352号では、単結晶合成CVDダイヤモンド材料が調製される条件を慎重に制御することによって、非常に高い化学的純度と非常に高い同位体純度を兼ね備える合成ダイヤモンド材料を提供することが可能であることが開示されている。CVDプロセスで使用される材料の化学的純度および同位体純度の両方を制御することによって、量子スピン欠陥のホストとして使用するのに特に適した合成ダイヤモンド材料を得ることが可能である。このような材料が量子スピン欠陥のホストとして使用される場合、長いデコヒーレンス時間が室温で得られ、デバイスへの読み書きに使用される光学遷移の周波数は、安定である。低窒素濃度および低濃度の13Cを有する合成ダイヤモンド材料の層が開示されている。合成ダイヤモンド材料の層は、非常に低い不純物レベル、および非常に低い関連した点欠陥レベルを有する。さらに、合成ダイヤモンド材料の層は、その光吸収が本質的に完全なダイヤモンド格子の光吸収である、成長温度に関連した熱力学値に十分近い、低転位密度、低歪み、ならびに空孔および自己格子間密度を有する。
上記を踏まえると、国際公開第2010010344号および国際公開第2010010352号では、高品質「量子グレード」単結晶合成CVDダイヤモンド材料を製造する方法が開示されていることが明白である。用語「量子グレード」は、材料の量子スピン特性を利用する用途で使用するのに適したダイヤモンド材料について本明細書で使用する。具体的には、量子グレードダイヤモンド材料が高純度であると、当業者に公知の光学技法を使用して、1個の欠陥中心を孤立させることが可能になる。用語「量子ダイヤモンド材料」は、このような材料を指すのにも使用される。
量子材料の1つの問題は、このような材料中の量子スピン欠陥からの単一光子発光は、非常に弱い場合があることである。例えば、ダイヤモンド中のNV-欠陥は、低温でさえ、0.05の程度のデバイ−ワラー因子に関連した広いスペクトル放出を呈する。そのとき、ゼロフォノン線(ZPL)中の単一光子の放出は、極めて弱く、一般に、1秒当たり光子数千個の程度である。このような計数率は、合理的なデータ収集時間内でスピン状態と光学遷移とのカップリングに基づく高度なQIPプロトコールを実現するには不十分となり得る。
弱い発光の問題は、材料中に多数の発光種が存在するように、量子スピン欠陥の数を増やすことによってある程度軽減することができる。負に帯電した欠陥を形成するには、窒素またはリンなどの電子ドナーが必要である。したがって、負に帯電した欠陥の数を増やすために、材料中の電子ドナーの濃度を増大させることができる。しかし、このような電子ドナーは、負に帯電した量子スピン欠陥と双極子カップリングを引き起こし、負電荷量子スピン欠陥のデコヒーレンス時間を短くする場合がある。したがって、解決されるべき問題は、負に帯電した量子スピン欠陥のデコヒーレンス時間を過度に短くすることなく、負に帯電した量子スピン欠陥の数を増やす方法になる。あるいは、ある特定の用途については、相対的に少ない負に帯電した量子スピン欠陥を有することが望ましい場合があるが、この場合、各負に帯電した量子スピン欠陥は、非常に長いデコヒーレンス時間を有する。このとき、問題は、欠陥を形成するのに必要とされる電子ドナーがデコヒーレンス時間を過度に短くしないことを保証しながら、負に帯電した量子スピン欠陥を形成する方法である。
本発明のある特定の実施形態の一目的は、上述の問題の1つまたは複数を少なくとも部分的に解決することである。
本発明者らは、電荷移動が起こる長さスケールが、デコヒーレンスに至るプロセスが起こる(例えば、双極子スピンカップリング)長さスケールと異なることを認識した。したがって、原理上は、負に帯電した量子スピン欠陥を形成するために電荷移動が起こるように量子スピン欠陥に十分近いが、十分遠くなければ量子スピン欠陥のデコヒーレンス時間が短縮し、または量子スピン欠陥のスペクトル線幅が広幅化する、歪みおよび双極子カップリングを最小限にするように十分遠くに電子ドナーを位置させることが可能である。さらに、本発明者らは、このような仕組みは、材料の第1領域内に電子ドナー欠陥を位置させ、電子ドナー欠陥を含む材料の第1領域から相隔たった材料の第2領域内に量子スピン欠陥を位置させ、これらの領域が、第1領域から第2領域への電荷移動が起こって、第2領域内での負に帯電した量子スピン欠陥の形成を可能にし得るほど十分密集し、それでも、電子電荷ドナー欠陥が、量子スピン欠陥のデコヒーレンス時間を過度に短縮し、かつ/または量子スピン欠陥のスペクトル線幅の歪み広がりを生じさせる、量子スピン欠陥と実質的な双極子カップリングを引き起こさないほど十分遠く離れているように領域を形成することによって、実際には実現することができることを認識した。
上記を踏まえて、本発明の第1の態様は、
複数の電子ドナー欠陥を含む合成単結晶ダイヤモンド材料の第1領域と、
複数の量子スピン欠陥を含む合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域と、
合成単結晶ダイヤモンド材料の第3領域であって、第1領域および第2領域が第3領域によって相隔たっているように第1領域と第2領域との間に配置された、第3領域と
を含み、
合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域および第3領域は、合成単結晶ダイヤモンド材料の第1領域より低い濃度の電子ドナー欠陥を有し、
第1領域と第2領域は、十分遠く離れていなければ、合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域内の複数の量子スピン欠陥のデコヒーレンス時間を過度に短縮し、かつ/または複数の量子スピン欠陥のスペクトル線幅の歪み広がりを生じさせる、第1領域と第2領域との間の他のカップリング相互作用を低減するように十分遠くに離れていながら、電子が合成単結晶ダイヤモンド材料の第1領域から合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域に供与されることが可能になるように十分近い、10nm〜100μmの範囲内の距離によって相隔たっており、こうして、合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域内の負に帯電した量子スピン欠陥および合成単結晶ダイヤモンド材料の第1領域内の正に帯電した欠陥を形成する、合成単結晶ダイヤモンド材料を提供する。
上記定義は、完全な単結晶ダイヤモンド格子構造を形成することは不可能であるという事実を考慮に入れている。したがって、材料のあらゆる領域内にいくつかの欠陥が不可避的に存在することとなり、欠陥のうちのいくつかは、量子スピン欠陥を形成し得、欠陥のうちのいくつかは、電子ドナー欠陥を形成し得る。ここで重要な点は、異なる領域のそれぞれを製作する方法は、別の種類の欠陥に対して1つの種類の欠陥の形成に有利に働くように調整し、または様々な欠陥の種類を最小限にするように調整することができることに留意することである。したがって、第1領域は、電子ドナー欠陥の数を増やすのに適した方法を使用して製作することができ、第2領域は、材料の第1領域と比較した場合、相対的に少ない数の電子ドナー欠陥が第2領域内に導入されるのを保証しながら、領域内に量子スピン欠陥を導入するのに適した方法を使用して製作することができる。さらに、これらの異なる領域は、第1領域と第2領域が、上述した機能的要求事項を満たすために特定の距離離れているように、これらの間の第3のスペーサー領域とともに製作することができる。
第1領域と第2領域との間に配置される材料の第3の中間領域は、第1領域と比べて少ない電子ドナー欠陥を有する相対的に高純度のダイヤモンド材料を形成するのに適した方法によって製作することができる。第3領域はまた、第2領域と比べて少ない量子スピン欠陥を含むことができる。第3の中間領域は、第1領域および第2領域の両方との決定的な境界界面を形成することができる。例えば、一仕組みでは、少なくとも電子ドナー層(第1領域)、量子スピン欠陥アクセプター層(第2領域)、および中間スペーサー層(第3領域)を備える層構造を提供することができる。しかし、ドナー領域およびアクセプター領域は、層である必要はなく、中間層によって分離されている必要はないことも想定されている。一代替例は、例えば、注入法を使用して、垂直に分離されて層になるのではなく、横方向に分離されたドナー領域およびアクセプター領域を形成することである。別の代替例は、電子ドナー層および量子スピン欠陥アクセプター層を含むが、中間層を含まない垂直に積み重ねられた層構造である。この仕組みでは、ドナー層は、アクセプター層に向かって減少方向に傾斜した電子ドナーの濃度を有することができる。したがって、別個の容易に識別できる中間層が存在する場合はないが、相対的に低濃度の電子ドナーを有する識別可能な中間領域があることになる。実際には、電子ドナー層は、相対的に高濃度の電子ドナーを有する領域、および量子スピン欠陥領域に隣接する相対的に低濃度の電子ドナーを有する領域を含む異なる領域を有するように徐々に段階分けされている。
さらに別の可能性は、第3領域が材料の第2領域と同じまたは同様の組成を有するように形成され、この領域は、化学的組成および/または結晶学的組成ではなく、使用の際の光学アドレッシングの管理によって区別されることである。例えば、第1の電子ドナー層(第1領域)および第2の量子スピン欠陥層(第2および第3領域)を含む合成単結晶ダイヤモンド材料を形成することができる。使用の際に、10nm〜100μmの範囲内の距離で第1層から相隔たった第2の量子スピン欠陥層の領域を、光学的にアドレッシングすることができ、この領域内の量子スピン欠陥は、十分遠く離れていなければ、合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域内の複数の量子スピン欠陥のデコヒーレンス時間を過度に短縮し、かつ/または複数の量子スピン欠陥のスペクトル線幅の歪み広がりを生じさせる、電子ドナー層との他のカップリング相互作用を低減するように電子ドナー層から十分遠くに離れていながら、電子を受け取るように電子ドナー層に十分近い。この仕組みでは、電子ドナー層と光学的にアドレッシングされる量子スピン欠陥の領域との間の中間領域は、電子ドナー層に隣接する第2層の一部によって形成される。
別の選択肢は、量子スピン欠陥の単層を含む合成単結晶ダイヤモンド材料を形成し、層の横方向に間隔の空いた領域内に電子ドナーを注入することである。このとき、このような層は、先に記載した2層システムと同様の様式で電子ドナー領域および量子スピン欠陥領域を含有し、量子スピン欠陥領域は、本発明の第2領域および第3領域の両方を形成する。先に記載した仕組みと同様に、第2領域および第3領域は、電子ドナー領域と相隔たった量子スピン欠陥領域の部分が光学的にアドレッシングされるような光学アドレッシングの管理によって区別することができる。
本発明の第2の態様によれば、上述した合成単結晶ダイヤモンド材料を製造する方法が提供される。第1、第2および第3領域は、領域の1つまたは複数を形成するための注入技法を含んでもよいCVD技法を使用して形成されることが好ましい。しかし、可能な一実施形態によれば、電子ドナー欠陥を含有する第1領域は、層状構造の一体化したコンポーネントを形成するような基板によって形成することができる。適当な合成法の例を詳細な説明で論じる。
本発明の第3の態様によれば、センシングデバイス、検出デバイスまたは量子スピンデバイスで使用するための合成ダイヤモンドデバイスコンポーネントであって、上述した合成単結晶ダイヤモンド材料から形成されるデバイスコンポーネントが提供される。
本発明の第4の態様によれば、上述したデバイスコンポーネントを備えるデバイスが提供される。このデバイスは、単結晶合成ダイヤモンド材料の第2領域内の複数の量子スピン欠陥の1つまたは複数を光学的にポンピングするための光源を備えることができる。
本発明をより良好に理解するため、および本発明をどのように実行に移すかを示すために、次に、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら、単に例として説明する。
a)は、NV-欠陥の原子構造を例示する図である。b)は、NV-欠陥の電子構造を例示する図である。 a)は、様々なマイクロ波周波数によってマニピュレートされた複数のNV-欠陥から得られる特徴的な蛍光スペクトルを例示する図である。b)は、ダイヤモンド結晶中の4つの結晶学的NV-軸の配向を例示する図である。 (a)〜(d)は、本発明の実施形態による合成単結晶ダイヤモンド材料を例示する図である。 (e)〜(g)は、本発明の実施形態による合成単結晶ダイヤモンド材料を例示する図である。 本発明の一実施形態による、層状合成単結晶ダイヤモンド材料を作製する方法を例示する図である。 本発明の一実施形態による、スピン共鳴装置の模式図である。 本発明の別の実施形態による、スピン共鳴装置の模式図である。 本発明の別の実施形態による、スピン共鳴装置の模式図である。 本発明の別の実施形態による、スピン共鳴装置の模式図である。 本発明の別の実施形態による、スピン共鳴装置の模式図である。 本発明の一実施形態による、ダイヤモンド量子デバイスにおいて使用するための層状合成単結晶ダイヤモンド材料を含むマイクロ流体セルの模式図である。 図10に例示したものなどのマイクロ流体セルとともに使用するためのスピン共鳴装置の模式図である。
図3(a)〜3(c)は、本発明の実施形態による層状合成単結晶ダイヤモンド材料を例示する。
図3(a)は、3つの層構造を含む層状合成単結晶ダイヤモンド材料を示す。この層状構造は、層が共通の結晶格子を共有するように、合成ダイヤモンド材料の単結晶中に全体に形成することができる。第1層2は、複数の電子ドナー欠陥を含む。第2層4は、複数の量子スピン欠陥を含む。第3層6は、第1層2および第2層4が、10nm〜100μmの範囲内の距離によって相隔たっているように、第1層2と第2層4の間に配置されている。この距離は、電子が第1層2から第2層4に供与され、こうして第2層4内に負に帯電した量子スピン欠陥を形成するのが可能になるように選択される。さらに、第1層2と第2層4の間の距離は、第1層2内の電子ドナー欠陥と第2層4内の量子スピン欠陥との間の双極子カップリングが低いことを保証するように選択される。これにより、第2層4内の量子スピン欠陥のデコヒーレンス時間が長く、第2層4内の量子スピン欠陥からのスペクトル線発光の歪み広がりが少ないことが保証される。第2層4は、第1層2より低い濃度の電子ドナー欠陥を有する。これにより、第2層4内の電子ドナー欠陥に起因する量子スピン欠陥のデコヒーレンス短縮およびスペクトル線広幅化が相対的に低いことが保証される。さらに、第3層6は、第1層2より低い濃度の電子ドナー欠陥、および第2層4より低い濃度の量子スピン欠陥を有する。やはりこれにより、第3層6内の欠陥に起因する第2層4内の量子スピン欠陥のデコヒーレンス短縮およびスペクトル線広幅化が相対的に低いことが保証される。
図3(b)は、図3(a)に例示した層状構造の変形を示す。この層状構造は、上述した同じ3つの層2、4、6を含む。さらに、層状構造は、3つの層構造を封入する最下層8および最上層10を含む。最下層8および最上層10は、例えば、層6内にもたらされるものと同様の性質の高純度ダイヤモンド材料を含むことができる。
図3(c)は、図3(a)に例示した層状構造のさらに別の変形を示す。この層状構造は、図3(b)に関して記載した層2、4、6、8、20を含む。さらに、ホウ素ドープ単結晶ダイヤモンド材料12のさらなる層が施されて、半導電性層または完全に金属の導電層が形成される。電荷は、この追加の層を通過することができ、層4内の量子スピン欠陥の状態を電気的に制御するのに使用することができる。あるいは、量子スピン欠陥の状態を電気的に制御するのに、異なる表面終端を利用することができる。こうして、ダイヤモンド材料内の電子空間分布を、材料にエネルギーを印加することによって、例えば、電場によって制御して、電子ドナー欠陥から量子スピン欠陥に電子を供与させることができる。
他の変形も想定されている。例えば、基板が最終的な層状構造の一体化した部分を形成するように、上に層状構造が成長したダイヤモンド基板内に電子ドナー欠陥を施すことができる。13Cは、量子スピン欠陥と有害にカップリングし得るスピン活性核であるので、デコヒーレンス時間をさらに延ばすために、層の1つまたは複数を、レベルが低減した13Cを有するように形成することができる。他の欠陥のレベルも低く保持することができる。電子部品を形成するために、量子スピン欠陥のさらなる層、またはさらなる導電層などの追加の機能的な層も施すことができる。
図3(d)は、図3(a)に例示した層状構造の別の変形を示す。第1層2は、複数の電子ドナー欠陥を含む。第2層4は、複数の量子スピン欠陥を含む。電子ドナー層2は、量子スピン欠陥層4に隣接する電子ドナー層2の領域14が相対的に低濃度の電子ドナーを有するように、量子スピン欠陥層4に向かって減少方向に傾斜した電子ドナーの濃度を有する。したがって、多くの点で、この構造は、図3(a)に示した構造と同様であり、図3(d)中の領域14は、図3(a)中の層6と機能的に等価である。ここでの差異は、中間領域14は、ほぼ間違いなく、図3(a)のような別個の層でないことである。
図3(e)は、1つまたは複数の電子ドナー領域2、量子スピン欠陥領域4、および中間領域6が単層内に形成されている別の変形を示す。この仕組みでは、電子ドナー領域2および量子スピン欠陥領域4は、垂直に分離されて層になっているのではなく、横方向に分離されている。注入法を使用することによって、異なる領域を形成することができる。例えば、電子ドナー種を領域2内に注入することができ、量子スピン欠陥を領域4内に注入することができる。
図3(f)は、単結晶ダイヤモンド材料の層が、1つまたは複数の電子ドナー領域2および1つまたは複数の量子スピン欠陥領域4を含む、図3(e)に示した仕組みの変形を示す。化学的に識別できる中間領域は、まったく施されていない。正しくは、使用の際に、10nm〜100μmの範囲内の距離で電子ドナー領域から相隔たった量子スピン欠陥領域の部分16は、光学的にアドレッシングされ、この領域内の量子スピン欠陥は、十分遠く離れていなければ、合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域内の複数の量子スピン欠陥のデコヒーレンス時間を過度に短縮し、かつ/または複数の量子スピン欠陥のスペクトル線幅の歪み広がりを生じさせる、電子ドナー層との他のカップリング相互作用を低減するように電子ドナー領域から十分遠くに離れていながら、電子を受け取るように電子ドナー領域に十分近い。この仕組みでは、電子ドナー領域2と光学的にアドレッシングされる量子スピン欠陥16の領域との間の中間領域6は、光学アドレッシングの管理によって画定される。構造化層は、量子スピン欠陥を含む層内に電子ドナー種を注入することによって形成することができる。
図3(g)は、単結晶ダイヤモンド材料の層が、1つまたは複数の電子ドナー領域2、および1つまたは複数の量子スピン欠陥領域4を含む、図3(f)に示した仕組みの別の変形を示す。この仕組みでは、電子ドナー領域内の電子ドナーの濃度は、多様である。特に、例示した仕組みでは、電子ドナー領域内の電子ドナーの濃度は、量子スピン欠陥領域に隣接する部分内で減少して、相対的に少ない電子ドナーの領域18を形成し、これは、中間スペーサー領域として機能する。
図4は、図3(a)に例示した層状合成単結晶ダイヤモンド材料を作製する方法を示す。この方法は、上に層状構造が堆積される基板20から開始する。ステップAにおいて、第1層22を、電子供与窒素欠陥が層内に組み込まれるように、窒素を含有する雰囲気下でCVDダイヤモンド材料の層を成長させることによって形成することができる。ステップBにおいて、高純度層が形成されるようにプロセスガス中の窒素濃度を低減することによって、さらなる層24(先の定義における第3層)をその上に引き続いて成長させることができる。ステップCにおいて、プロセスガス中の窒素濃度を増大させることによって、窒素含有単結晶ダイヤモンド材料の最上層26を成長させることができる。引き続いて、ステップDにおいて、3つの層構造22、24、26が基板から取り出される。ステップEにおいて、層内に空孔欠陥を形成するために最上層を照射し、窒素空孔(NV)欠陥を含有する層28を形成するために、アニールして空孔欠陥を窒素欠陥まで移動させ、これと対を形成させることができる。次いで、最下層内の窒素欠陥から最上層内のNV欠陥への電子供与が起こり、こうして最上層28内にNV-欠陥を形成することができ、これを、センシング、検出、および量子処理用途に使用することができる。最下層22内の電子供与性窒素種(これは次に、NV欠陥に電子を供与して正に帯電していることになる)は、最上層28内のNV-欠陥と相隔たっているので、NV-欠陥と窒素欠陥との間の双極子カップリングの規模は低減され、したがって、NV-欠陥のデコヒーレンス時間を延ばすことができ、かつ/またはNV-欠陥のスペクトル線幅の歪み広がりを低減することができる。
上述の方法の代替案も想定されている。例えば、電子ドナー欠陥は、窒素欠陥である必要はなく、代わりに、リン欠陥、シリコン欠陥、または任意の他の電子供与性ダイヤモンド欠陥とすることができる。
欠陥は、ダイヤモンド合成の間に、材料中に成長するのではなく、層の1つまたは複数を形成するためにダイヤモンド材料中に注入することができる。例えば、不純物原子、例えば、窒素、リン、およびシリコンなどをダイヤモンド材料中に注入するための技法が公知である。したがって、先に述べた例の代替案では、中間層24と同様の様式で低窒素プロセスガスを用いて最上層26を成長させ、次いで、照射および/またはアニーリングステップの後に、窒素原子などの不純物原子を最上層26内に注入して量子スピン欠陥を形成することができる。
不純物空孔量子スピン欠陥は、照射および/またはアニーリングによって形成することができる。空孔を形成するのに照射を使用することができ、空孔は、加熱/アニーリングすると、孤立した窒素点欠陥などの不純物欠陥によって捕捉されて不純物空孔量子スピン欠陥を形成するまで、ダイヤモンド材料を通じて移動することができる。アニーリングは、照射中または照射後に実施され得る。アニーリングでは、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃または1200℃以上の温度にダイヤモンド材料を加熱することができる。不純物空孔量子スピン欠陥を形成するアニーリングに加えて、またはその代替として、アニーリングは、結晶学的欠陥、例えば、不純物原子を注入することによって形成される損傷の除去を助長することもできる。アニーリングは、1つまたは複数のステップで実施され得る。例えば、アニールは、異なる温度、例えば、第1温度での第1アニール、および第1温度と異なる第2温度(より高い、またはより低い)での第2アニールで段階的に実施することができる。1つの有利なアニールは、結晶学的欠陥/損傷を修復するのに十分高いが、不純物空孔欠陥が壊されることのないような十分に低い温度におけるものである。例えば、第1アニールを、不純物空孔量子スピン欠陥の形成を促進するのに十分な温度で実施することができ、次いで第2アニールを、不純物空孔欠陥を壊すほど高くないが、結晶学的欠陥/損傷を修復するより高い温度で実施することができる。
十分な空孔がアズグロウン材料中に存在する場合、空孔を形成するために、照射ステップを必要とされる場合はない。このような状況では、アズグロウン材料中に存在する空孔を、材料を通じて移動し、不純物欠陥によって捕捉されて、不純物空孔量子スピン欠陥を形成するようにアニールすることができる。さらに、ある特定の成長条件の下で、成長の間にユニットとして、ダイヤモンド材料中に不純物空孔量子スピン欠陥を直接組み込むことも可能である。このような状況では、照射もアニーリングも必要とされる場合はない。この代替案では、不純物空孔量子スピン欠陥は、照射およびアニーリングなどの成長後処理を使用するのではなく、ダイヤモンド材料の成長中に形成される。
上述の実施形態では、量子スピン欠陥としてNV-欠陥の形成が記載されているが、他の欠陥も使用することができる。シリコン含有欠陥、ニッケル含有欠陥、クロム含有欠陥、および窒素含有欠陥を含めて、様々な点欠陥がダイヤモンド材料において公知である。好適な実施形態は、背景技術の節に記載したように、窒素含有NV-欠陥の有利な性質のために、この欠陥を利用することが想定されているが、本発明のある特定の実施形態は、センシング、検出、および量子処理用途に適した他の種類の負に帯電した欠陥に適用可能であり得ることも想定されている。
電子ドナー層は、10nm以上、100nm以上、5μm以上、50μm以上、100μm以上または500μm以上の厚さを有することができる。電子ドナー層は、合成CVD(化学蒸着)または合成HPHT(高圧高温)ダイヤモンド材料から形成され得る。電子ドナー欠陥は、成長中に、または成長後の注入によって材料中に形成することができる。電子ドナー層の厚さの上限は、本発明の機能にとって決定的でない。電子ドナー層も層状構造の支持基板として機能する場合、これは、相対的に厚くてもよい。しかし、単結晶ダイヤモンド材料の厚い層は、形成するのがより困難で、高価であるので、電子ドナー層は、通常厚さ2mm未満であり、より通常には厚さ1mm未満である。
電子ドナー層は、窒素、リンおよび/またはシリコンなどの、相対的に高濃度の電子ドナー欠陥を有するはずである。例えば、電子ドナー欠陥の濃度は、1×1016欠陥/cm3以上、5×1016欠陥/cm3以上、1×1017欠陥/cm3以上、5×1017欠陥/cm3以上、1×1018欠陥/cm3以上、5×1018欠陥/cm3以上、1×1019欠陥/cm3以上、または2×1019欠陥/cm3以上であり得る。実際には、はるかにより高い濃度を包含することは困難であり、層は一般に、1022欠陥/cm3以下、1021欠陥/cm3以下、または1020欠陥/cm3以下の電子ドナー欠陥の濃度を有する。
電子ドナー層から量子スピン欠陥層に電子が十分に供与されるのを保証するために、いくつかの用途では、量子スピン欠陥層内の量子スピン欠陥の濃度より高い濃度の電子ドナー層内の電子ドナーが存在するのを保証することが有用である。これは、電子ドナーと量子スピン欠陥との間の電子供与の効率が、一般に100%でないためである。したがって、過剰の電子ドナーを供給することにより、量子スピン欠陥のかなりの部分が、電子を受け取ることが保証される。ある特定の仕組みによれば、電子ドナー層/領域内の電子ドナーの濃度は、量子スピン欠陥層/領域内の量子スピン欠陥の濃度より、少なくとも2、4、8、10、100または1000倍高い。さらに、ある特定の仕組みによれば、電子ドナー層/領域内の電子ドナー欠陥の濃度は、量子スピン欠陥層/領域内の電子ドナー欠陥の濃度より、少なくとも2、4、8、10、100または1000倍高い。有利には、量子スピン欠陥の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%が電子を受け取って、負に帯電した量子スピン欠陥を形成する。
量子スピン欠陥層は、1nm以上、5nm以上、10nm以上、50nm以上、100nm以上、500nm以上または1μm以上の厚さを有することができる。さらに、量子スピン欠陥層は、100μm以下、80μm以下、60μm以下、40μm以下、20μm以下または10μm以下の厚さを有する場合がある。量子スピン欠陥層の厚さについてのこれらの下方境界と上方境界の組合せを含む範囲が想定されている。具体的な層厚は、デバイスの用途および層内の量子スピン欠陥の濃度にある程度依存することになる。例えば、適度に高濃度の量子スピン欠陥が量子スピン層内に存在する場合、層を非常に薄くすることにより、個々の量子スピン欠陥を光学的に孤立させることが可能になり得る。もちろん、層が厚くなりすぎると、電子ドナー層から最も遠い層の部分は、電子ドナー層から遠すぎて、それから電子を受け取って、負に帯電した量子スピン欠陥を形成することができなくなる。したがって、層厚および量子スピン欠陥の濃度は、特定の用途にとって十分な数の量子スピン欠陥が存在し、量子スピン欠陥が電子ドナー層に十分近い結果、負に帯電した量子スピン欠陥を形成するための電子供与が起こり得るように制御することができる。通常、これは、量子スピン欠陥層は非常に薄く、電子ドナー層に比較的近いが、電子ドナー層と量子スピン欠陥層との間で広範な双極子カップリングが起こるほど近くないことを必然的に伴うことになる。
量子スピン欠陥層は、合成単結晶CVDダイヤモンド材料から形成されることが好ましい。量子スピン欠陥は、成長中に、または成長後の注入によって材料中に形成することができる。量子スピン欠陥は、負に帯電したシリコン含有欠陥、負に帯電したニッケル含有欠陥、負に帯電したクロム含有欠陥、および負に帯電した窒素含有欠陥の1つまたは複数を含むことができる。多くの用途について、負に帯電した窒素空孔欠陥(NV-)が有利であり、その理由は、背景技術の節で論じたこの欠陥の有用な性質のためである。
量子スピン欠陥の濃度は、所望の用途にある程度依存することになる。個々の量子スピン欠陥が光学的に孤立化され、アドレッシング可能であることを必要とする用途では、量子スピン欠陥の濃度は、個々の量子スピン欠陥がより容易に個々にアドレッシングされ得るように十分に低いことが有利である。あるいは、複数の量子スピン欠陥が、個々の量子スピン欠陥が孤立化され、別個にアドレッシング可能であることを必要とすることなく、群として環境の変化を感知するのに使用される用途では、より高濃度の量子スピン欠陥を供給することができる。例えば、量子スピン欠陥の濃度は、1×1011欠陥/cm3以上、1×1012欠陥/cm3以上、1×1013欠陥/cm3以上、1×1014欠陥/cm3以上、1×1015欠陥/cm3以上、1×1016欠陥/cm3以上、1×1017欠陥/cm3以上、1×1018欠陥/cm3以上である場合がある。さらに、量子スピン欠陥の濃度は、4×1018欠陥/cm3以下、2×1018欠陥/cm3以下、1×1018欠陥/cm3以下、1×1017欠陥/cm3以下、または1×1016欠陥/cm3以下とすることができる。量子スピン欠陥層の厚さについてのこれらの下方境界と上方境界の組合せを含む範囲が想定されている。例えば、量子スピン欠陥の濃度は、1×1011欠陥/cm3〜4×1018欠陥/cm3、1×1012欠陥/cm3〜1×1017欠陥/cm3、または1×1013欠陥/cm3〜1×1016欠陥/cm3の範囲内であり得る。より高濃度の用途については、量子スピン欠陥の濃度は、1×1015欠陥/cm3〜4×1018欠陥/cm3、1×1016欠陥/cm3〜2×1018欠陥/cm3、または1×1017欠陥/cm3〜1×1018欠陥/cm3の範囲内とすることができる。一構成によれば、電子ドナー層内に形成される電子供与性欠陥の数は、量子スピン欠陥層内に形成される量子スピン欠陥の数より多い。量子スピン欠陥の濃度が低いことは、量子スピン欠陥が長いデコヒーレンス時間、狭いスペクトル線幅を有し、量子スピン欠陥が光学的に孤立化され得ることを保証することの助けとなる。電子ドナー層内の電子供与性欠陥の数がより多いと、電荷移動して負に帯電した量子スピン欠陥を形成する可能性が高いことを保証することになる。
量子スピン欠陥層内の他の欠陥の濃度は、デコヒーレンス時間を短縮し、または光吸収を増大させる相互作用を回避するために、低いべきである。例えば、窒素、リンおよびシリコンの1つまたは複数などの単独または組み合わせの電子ドナー欠陥の濃度は、1×1017欠陥/cm3以下、1×1016欠陥/cm3以下、5×1015欠陥/cm3以下、1×1015欠陥/cm3以下、5×1014欠陥/cm3以下、1×1014欠陥/cm3以下、または5×1013欠陥/cm3以下とすることができる。多くの用途では、量子スピン欠陥層内に可能な限り低い他の欠陥の濃度を有することが望ましい。しかし、実際には、他の欠陥は、少なくとも1×1010欠陥/cm3の濃度で存在することになるのが通常である。
ある特定の用途について、量子スピン欠陥層は、20ppb以下、10ppb以下、5ppb以下、1ppb以下もしくは0.5ppb以下の中性単一置換窒素濃度、0.15ppb以下、0.1ppb以下、0.05ppb以下、0.001ppb以下、0.0001ppb以下もしくは0.00005ppb以下のNV-濃度、または0.1ppm以上、0.5ppm以上、1.0ppm以上、2.0ppm以上、3ppm以上、4ppm以上もしくは5ppm以上のNV-濃度、および0.9%以下、0.7%以下、0.4%以下、0.1%以下、0.01%以下もしくは0.001%以下の13Cの総濃度の1つまたは複数を有することができる。高純度量子グレード単結晶CVD合成ダイヤモンド材料を使用すると、ダイヤモンド材料内の1つまたは複数の量子スピン欠陥のデコヒーレンス時間が改善され、当業者に公知の光学技法を使用して1個の欠陥中心を孤立させることが可能になる。材料は、所望の最終用途に応じた2つのカテゴリー、すなわち、低NV-濃度材料または高NV-濃度材料のうちの1つに分類することができる。
量子スピン欠陥層内の点欠陥の濃度を制御することに加えて、転位欠陥などの拡張された結晶学的欠陥の濃度が、層の光学的性質を改善する(例えば、複屈折を低減する)ように、かつ量子スピン欠陥のデコヒーレンス時間を短縮し得る層内の歪みを低減するように低いことを保証することも有利である。したがって、量子スピン欠陥層に垂直な方向の複屈折は、5×10-5以下、1×10-5以下、5×10-6以下または1×10-6以下であり得る。
電子供与層と量子スピン欠陥層との中間の層は、10nm以上、50nm以上、100nm以上、500nm以上、1μm以上、10μm以上または20μm以上の厚さを有し得る。さらに、中間層は、100μm以下、80μm以下、60μm以下、40μm以下または30μm以下の厚さを有することができる。中間層の厚さについてのこれらの下方境界と上方境界の組合せを含む範囲が想定されている。層厚は、電子供与性欠陥と量子スピン欠陥との間の双極子カップリングが低いことを保証しながら、電子供与層と量子スピン欠陥層との間で十分な電子供与が起こって、負に帯電した量子スピン欠陥を形成することができることを保証するように最適化することができる。理想的なシナリオでは、中間層はいずれの種類の欠陥もまったく含まない非常に高純度の材料である。このような理想的な仕組みでは、電子ドナー層は、電子ドナー欠陥のみを含有し、量子スピン欠陥層は、量子スピン欠陥のみを含有し、中間層は、いずれの電子ドナーまたは量子スピン欠陥も含有しない。これは、実際には不可能である。しかし、不純物欠陥の濃度は、中間層内で低いべきである。中間層が過剰の欠陥を含有する場合、これらは、量子スピン欠陥に十分近いことによって、量子スピン欠陥とカップリングし、デコヒーレンス時間を短縮し得る。さらに、中間層が、電子ドナー層から電子を受け入れることができる過剰の欠陥を含有する場合、これらの欠陥は、電子ドナー層から量子スピン欠陥層への電子輸送を阻害することになる。したがって、ある特定の用途では、窒素、リン、およびシリコンの1つまたは複数などの単独または組み合わせの電子ドナー欠陥の濃度は、1×1017欠陥/cm3以下、1×1016欠陥/cm3以下、5×1015欠陥/cm3以下、1×1015欠陥/cm3以下、5×1014欠陥/cm3以下、1×1014欠陥/cm3以下、または5×1013欠陥/cm3以下とすることができる。多くの用途では、中間層内に可能な限り低いこれらの欠陥の濃度を有することが望ましい。しかし、実際には、これらの欠陥は、少なくとも1×1011欠陥/cm3の濃度で存在することになるのが通常である。さらに、NV欠陥などの量子スピン欠陥の濃度は、1×1014欠陥/cm3以下、1×1013欠陥/cm3以下、1×1012欠陥/cm3以下、1×1011欠陥/cm3以下、または1×1010欠陥/cm3以下とすることができる。やはり、多くの用途では、中間層内に可能な限り低いこれらの欠陥の濃度を有することが望ましい。しかし、実際には、これらの欠陥は、少なくとも1×109欠陥/cm3の濃度で存在することになるのが通常である。
単結晶合成ダイヤモンド材料は、0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、2mm以上または3mm以上の少なくとも1つの寸法を有することができる。さらに、単結晶合成ダイヤモンド材料は、0.1μm以上、1μm以上、10μm以上、100μm以上、200μm以上または500μm以上の厚さを有する層状構造を形成することができる。単結晶合成ダイヤモンド材料の具体的なサイズおよび寸法は、デバイス構成およびその意図される用途にある程度依存することになる。しかし、多くの用途について、単結晶合成CVDダイヤモンド材料は、量子スピン欠陥の分布が、点欠陥のデコヒーレンス時間を改善し、かつ/または光学技法を使用して1個の欠陥中心を孤立させることを可能にするように十分分散していながら、感度を改善するのに十分な量子スピン欠陥を含有するように十分大きい必要がある場合がある。
量子スピン欠陥は、1ms以下、800μs以下、600μs以下、500μs以下、400μs以下、200μs以下、150μs以下、100μs以下、75μs以下、50μs以下、20μs以下または1μs以下の対応するT2 *値とともに、0.05ms以上、0.1ms以上、0.3ms以上、0.6ms以上、1ms以上、5ms以上または15ms以上のデコヒーレンス時間T2(ハーンエコー減衰によって測定される)を有することができる。
量子スピン欠陥は、100nm以下、80nm以下、50nm以下、20nm以下または10nm以下の単結晶合成ダイヤモンド材料の表面からの距離に適所配置することができる。点欠陥は、表面に隣接する磁場または電場の変化に対する感度を増大させるために、表面の近くに適所配置されることが有利であり得る。
合成ダイヤモンド材料中の光のアウトカップリングを増大させ、量子スピン欠陥からの光収集を増大させるために、単結晶合成ダイヤモンド材料の表面にアウトカップリング構造を形成することができる。一タイプの仕組みでは、アウトカップリング構造は、単結晶合成ダイヤモンド材料の表面内に形成され、それによって、アウトカップリング構造が単結晶合成ダイヤモンド材料の表面によって一体的に形成される。このような一体化されたアウトカップリング構造を形成するために、より多くのダイヤモンド材料が必要となる場合があり、この追加の材料の少なくとも一部は、量子応用に利用される量子スピン欠陥を含む層状構造より低いグレードで構成されてもよい。適当なアウトカップリング構造は、凸面表面、マイクロレンズアレイ、ソリッドイマージョンレンズ(SIL)、複数の表面くぼみまたはナノ構造、回折格子、フレネルレンズ、および反射防止膜などの皮膜の1つまたは複数を含む。
上述した合成ダイヤモンドデバイスコンポーネントは、顕現化プラズマエッチング(revealing plasma etch)によって顕現化される場合、5×103欠陥/mm2以下または5×103欠陥/mm2以下の欠陥密度を有する成長表面を伴った単結晶ダイヤモンド基板を使用するCVD法を使用して製造することができる。これは、天然、HPHT、またはCVD合成ダイヤモンド材料から形成され得る。ダイヤモンド材料のこれらの異なるタイプのそれぞれは、それ自体の別個の特徴を有し、したがって、別個のものとして識別可能であるが、この基板の重要な特徴は、成長表面が良好な表面仕上げを有するように慎重に調製されることである。成長表面は、{100}、{110}、{111}または{113}結晶面の数度以内に配向していることが好ましい。成長表面の欠陥密度は、例えば、以下に記載のタイプの短時間プラズマエッチングを使用して、欠陥を顕現化するように最適化されたプラズマまたは化学エッチング(顕現化プラズマエッチングと呼ばれる)を使用した後、光学的評価によって最も容易に特徴付けられる。
2つの種類の欠陥を顕現化することができる。
1)基板材料品質に固有のもの。選択された天然ダイヤモンド中では、これらの欠陥の密度は、50/mm2という低いものであり得、より一般的な値は102/mm2であるが、他のダイヤモンド中では、これは、106/mm2以上であり得る。
2)転位構造、および研磨ラインに沿ってびびり跡を形成する微小クラックを含めた、研磨から生じるもの。これらの密度は、試料にわたって相当に変化する場合があり、一般的な値は、約102/mm2から、不十分に研磨された領域または試料中の最大104/mm2超の範囲である。
欠陥の好適な低密度は、欠陥に関連した表面エッチングフィーチャーの密度が、5×103/mm2未満、より好ましくは102/mm2未満であるようなものである。顕現化プラズマエッチングでは、表面および表面直下に欠陥が露出されるので、低い表面粗さを有するように単に表面を研磨することは、これらの基準を必ずしも満たさないことに留意されるべきである。さらに、顕現化プラズマエッチングは、単純な研磨によって除去され得る微小クラックおよび表面特徴などの表面欠陥に加えて、転位などの内因性欠陥を顕現化することができる。
したがって、CVD成長が起こる基板表面およびその下の欠陥レベルは、基板を慎重に選択し、調製することによって最小限にすることができる。ここで「調製」に含まれるのは、各段階が、基板としての調製が完了したときに基板表面を最終的に形成することになる面における材料内の欠陥密度に影響し得るので、鉱山回収(天然ダイヤモンドの場合)または合成(合成材料の場合)に由来する材料に適用される任意のプロセスである。特定の処理ステップとして、慣例的なダイヤモンド用プロセス、例えば、機械切り出し、ラップ仕上げおよび研磨など(低欠陥レベルのために特に最適化された本用途において)、ならびにあまり慣例的でない技法、例えば、レーザー加工、反応性イオンエッチング、イオンビームミリングまたはイオン注入、およびリフトオフ技法など、化学研磨/機械研磨、ならびに液体化学処理およびプラズマ処理技法の両方を挙げることができる。さらに、好ましくは0.08mmの長さにわたって測定される、スタイラス表面形状測定装置によって測定される表面RQは、最小限にされるべきであり、任意のプラズマエッチングの前の一般的な値は、数ナノメートル以下、すなわち、10ナノメートル未満である。RQは、平面からの表面形状の標準偏差である(表面高度のガウス分布について、RQ=1.25Ra)。定義については、例えば、"Tribology: Friction and Wear of Engineering Materials", IM Hutchings, (1992), Publ. Edward Arnold, ISBN 0-340-56184を参照。
基板の表面損傷を最小限にする一具体的方法は、ホモエピタキシャルダイヤモンド成長が行われる表面上にその場プラズマエッチングを含めることである。原理上は、このエッチングは、その場であることも、成長プロセスの直前であることも必要ないが、これがその場である場合、最大の利益が達成され、その理由は、そうすると、さらなる物理的損傷または化学的汚染のあらゆるリスクが回避されるためである。その場エッチングはまた、成長プロセスもプラズマベースである場合に、一般に最も好都合である。プラズマエッチングでは、堆積またはダイヤモンド成長プロセスと同様の条件であるが、いずれの炭素含有原料ガスも存在しない、かつ一般に、エッチング速度をより良好に制御するためにわずかに低い温度の条件を使用することができる。例えば、これは、以下のうちの1つまたは複数からなり得る。
(i)少量のArを含んでもよく、要求される少量のO2を含む、大部分は水素を使用する酸素エッチング。一般的な酸素エッチング条件は、基板温度600〜1100℃(より一般的には、800℃)および3〜60分の一般的な継続時間とともに、50〜450×102Paの圧力、百分率がすべて体積によるもので、1〜4%の酸素含量、0〜30%のアルゴン含量、および残りの水素を含有するエッチングガスである。
(ii)(i)と同様であるが、酸素が存在しない水素エッチング。
(iii)アルゴン、水素および酸素のみに基づかないエッチングの代替法、例えば、ハロゲン、他の不活性ガス、または窒素を利用するものを使用することができる。
一般に、エッチングは、酸素エッチングとその後の水素エッチング、次いで炭素原料ガスの導入による合成に直接移すことからなる。エッチング時間/温度は、処理から残った表面損傷を除去するのを可能にし、いずれの表面混入物も除去されるが、非常に粗くなった表面を形成することなく、かつ表面を横断し、したがって深いピットを生じさせる転位などの拡張欠陥に沿って大規模にエッチングすることがないように選択される。エッチングは積極的であるので、その成分用のチャンバー設計および材料選択は、材料がチャンバーから気相中に、または基板表面にプラズマによってまったく移されないようなものであることがこの段階にとって特に重要である。酸素エッチングの後の水素エッチングは、結晶欠陥にあまり特異的でなく、このような欠陥を積極的に攻撃する酸素エッチングによって生じたギザギザを丸め、その後の成長のためにより滑らかな、より良好な表面をもたらす。
量子ダイヤモンドコンポーネントの少なくとも一部は、分子窒素として計算して、250ppb以下、200ppb以下、150ppb以下または120ppb以下の窒素濃度を有する気相を使用して成長させることができる。CVD反応器内のガス中の窒素含量を減らすと、CVDダイヤモンド材料中の窒素含量が減少し、したがって吸収係数が下がり、デコヒーレンス時間が長くなる。CVD反応器のガス内の窒素含量は、0.001ppb超、0.01ppb超、0.1ppb超、1ppb超または10ppb超であってもよい。
CVD成長プロセスでは、高い化学的純度に加えて高い同位体純度の原料ガスを使用してもよい。例えば、炭素原料ガスは、99%以上、99.3%以上、99.6%以上、99.9%以上、99.99%以上または99.999%以上であるように増やされた12Cフラクションを有することができる。これにより、単一光子エミッターのデコヒーレンス時間をさらに延ばすことができるが、天然存在度の12Cを使用することができることも想定されている。
上記を踏まえると、量子ダイヤモンドコンポーネントは、20ppb以下、10ppb以下、5ppb以下、1ppb以下または0.5ppb以下の中性単一置換窒素濃度、0.15ppb以下、0.1ppb以下、0.05ppb以下、0.001ppb以下、0.0001ppb以下または0.00005ppb以下のNV-濃度、および0.9%以下、0.7%以下、0.4%以下、0.1%以下、0.01%以下または0.001%以下の13Cの総濃度の1つまたは複数を含む少なくとも1つの高純度部分を有するダイヤモンド材料から形成することができる。
CVD成長プロセスで使用されるガス組成物は、例えば、シリコンまたはリンなどの色中心の形成またはこれらの電荷安定化に関係した他の不純物を含んでもよい。しかし、低窒素濃度に加えて、ある特定の実施形態によれば、CVD成長プロセスでは、CVD成長の間にダイヤモンド材料中に組み込むことができる非常に低濃度の他の不純物を有するガス組成物を使用することも好ましい。したがって、ダイヤモンド材料の少なくとも一部は、100ppb以下のホウ素濃度、100ppb以下のシリコン濃度、1ppm以下の常磁性欠陥濃度、5ppm以下の任意の単一非水素不純物濃度、10ppm以下の水素およびその同位元素を除く総不純物含量、ならびに1018cm-3以下の単結晶ダイヤモンドホスト材料中の水素不純物濃度の1つまたは複数を有することが好ましい。高純度材料は、低濃度の転位を有することも好ましい。例えば、高純度単結晶ダイヤモンド材料は、106転位cm-2以下、104転位cm-2以下、3×103転位cm-2以下、103転位cm-2以下、102転位cm-2以下、または10転位cm-2以下の転位束密度を含有し得る。これは、慎重に基板を調製し、阻害しなければ高純度ダイヤモンド材料中に伝播し得る転位の形成を阻害するために窒素を使用することによって実現することができる。
低表面粗さRqを実現するようにダイヤモンド材料の表面を処理することも望ましい。国際公開第2010010344号および国際公開第2010010352号に記載されているように、高いT2値および高いスペクトル安定性を、量子スピン欠陥がこのような処理された表面から100μm以下の距離に適所配置されるホスト材料として本発明の合成ダイヤモンド材料を使用して得ることができる。本発明の実施形態によれば、量子スピン欠陥は、このような処理された表面から100μm以下、好ましくは50μm以下、好ましくは20μm以下、好ましくは10μm以下、好ましくは1μm以下、好ましくは500nm以下、好ましくは200nm以下、好ましくは50nm以下、好ましくは20nm以下、または好ましくは10nm以下の距離に適所配置されてもよい。量子スピン欠陥のこの適所配置は、これが、例えば、導波路への光結合によって、特徴づけ、「読み取る」ことができるように、最終用途にとって容易にアクセス可能であることを意味する。したがって、量子グレード単結晶ダイヤモンド内に量子スピン欠陥を形成することであって、ダイヤモンド材料の表面が、量子スピン欠陥が形成される場所に最も近い表面上の点を中心とした半径約5μmの円によって画定される範囲内の単結晶ダイヤモンドの表面粗さRqが、10nm以下、5nm以下、1nm以下または0.5nm以下であるように処理される、ことが有利である。
量子スピン欠陥付近の表面において表面粗さが低いことに加えて、表面下の損傷が量子スピン欠陥付近で少ないことを保証することも有用である。表面下の損傷は、プラズマエッチングのようなエッチング、および研磨によって低減することができる。ダイヤモンドが量子スピン欠陥に悪影響を及ぼすことになる化学種で終端を成さないことを保証するように、量子スピン欠陥付近のダイヤモンド表面における表面終端の種類を制御することも有用であり得る。例えば、量子スピン欠陥付近のダイヤモンド表面が、水素などのゼロでないスピンを有する種、または何らかの表面電荷再分配プロセス(水素に起こることが知られているものなど)をもたらし得る種ではなく、酸素などのスピンゼロ種で終端が成されることを保証することが有用であり得る。
先に記載した合成ダイヤモンドデバイスコンポーネントは、ダイヤモンド量子デバイスを形成するのに使用することができる。このようなデバイスの例を図5に例示する。量子デバイス50は、先に記載した層状単結晶合成ダイヤモンド材料52から形成されるダイヤモンド量子コンポーネント52を備える。この量子デバイスは、層52内で複数の量子スピン欠陥の1つまたは複数を光学的にポンピングするための光源56も備える。
光源56は、NV-欠陥を励起して、図1(a)に例示した電子遷移を起こすのに適切な周波数に調整される。欠陥の電子構造により、欠陥が光学的にポンピングされてその電子基底状態になることが可能になり、このような欠陥を、非極低温度においてでも、特定の電子スピン状態中に置くことが可能になる。これにより、コンパクト化が望まれるある特定の用途について、高価でかさ高い低温冷却装置の必要をなくすことができる。さらに遷移し、引き続いて緩和し、蛍光発光すると、すべて同じスピン状態を有する光子が発光することになる。したがって、このデバイス構成は、フォトニクスに基づくさらなる量子処理用途に有用である、すべて同じスピン状態を有する光子の源として機能することができる。
図6は、同様のダイヤモンド量子デバイス60を示す。このデバイス60は、先に記載した層状単結晶合成ダイヤモンド材料64を含むダイヤモンド量子コンポーネント62も備える。この量子デバイスは、層64内で複数の量子スピン欠陥の1つまたは複数を光学的にポンピングするための光源66も備える。
図6に示したダイヤモンド量子デバイス60は、単結晶合成ダイヤモンドコンポーネント62が、発光性NV-欠陥からの光出力を増大させるためのアウトカップリング構造68を有するように形成されていることにおいて、図5に示したものと異なる。例示した仕組みでは、単結晶CVD合成ダイヤモンドコンポーネント60は、成形されてソリッドイマージョンレンズになっている。このレンズは、先に記載した層状量子グレード材料から完全に形成することができ、または層状量子グレード材料が配置された複合構造物とすることができる。例えば、単結晶合成ダイヤモンドコンポーネント62は、層状量子グレード材料を含む合成CVDダイヤモンド材料の単結晶、およびより低いグレードの材料の1つまたは複数のさらなる層から構成することができる。
図7は、ダイヤモンド量子デバイス70の別の例を示す。このデバイスは、先に記載したような単結晶合成ダイヤモンドコンポーネント72および光源76を含む。デバイス70は、単結晶合成ダイヤモンドコンポーネント72内の1つまたは複数の緩和中の量子スピン欠陥74からの発光を検出するための検出器78をさらに備えることにおいて、図5および図6に例示したものと異なる。
このデバイス構成では、ms=±1状態への電子遷移をもたらすNV-欠陥のいずれの摂動も、後に検出器78によって検出され得る蛍光発光の低減をもたらすことになる。
図8は、ダイヤモンド量子デバイス80の別の例を示す。このデバイスは、先に記載したような単結晶合成ダイヤモンドコンポーネント82および光源86を含む。デバイス80も、単結晶合成ダイヤモンドコンポーネント82内の1つまたは複数の緩和中の量子スピン欠陥84からの発光を検出するための検出器88を備える。デバイス80は、単結晶合成ダイヤモンド層内の複数の量子スピン欠陥の1つまたは複数をマニピュレートするためのマイクロ波発振器89をさらに備えることにおいて、図7に例示したものと異なる。
このデバイス構成では、ダイヤモンド量子デバイスは、磁力計として機能することができ、マイクロ波発振器89は、単結晶合成ダイヤモンドコンポーネント82内の複数の量子スピン欠陥の1つまたは複数をマニピュレートするための一連のマイクロ波周波数をスキャンするように構成されている。ある特定の周波数において、NV-欠陥は、ms=0からms=±1状態に電子遷移し、NV-欠陥からの蛍光発光が減少する。この遷移が起こる周波数は、外部磁場または電場によって摂動を受けるms=±1状態のエネルギー準位に依存することになる。したがって、蛍光発光の減少が起こる周波数を、外部磁場または電場を測定するのに使用することができる。
図8に示したデバイスの改良バージョンでは、デバイスは、ms=±1状態の縮退を***させるための静的な場の発生器も備えることができる。次いでこの***の規模は、任意の外部磁場または電場によって摂動を受け、蛍光発光の減少が起こる周波数が変化し、この変化は、外部磁場または電場の規模および/または方向の変化に対応する。
あるいは、図8に例示したダイヤモンド量子デバイスは、量子情報処理デバイスとして機能するように構成することができる。このような仕組みでは、マイクロ波発振器89は、複数の量子スピン欠陥に情報を書き込むために、単結晶合成ダイヤモンドコンポーネント内の複数の量子スピン欠陥を選択的にマニピュレートするように構成することができ、検出器88は、複数の量子スピン欠陥から情報を読み取るために、複数の量子スピン欠陥の1つまたは複数を選択的にアドレッシングするように構成することができる。
デバイスは、スピン共鳴装置とすることができ、マイクロ波発振器は、合成単結晶ダイヤモンド材料中の前記量子スピン欠陥の1つまたは複数をマニピュレートするために、一連のマイクロ波周波数をスキャンするように構成され、スピン共鳴装置は、合成単結晶ダイヤモンド材料に隣接して配置された試料内の量子スピンをマニピュレートするために一連の周波数をスキャンするように構成された無線周波数またはマイクロ波周波数発生器をさらに備える。図9は、このようなダイヤモンド量子デバイス90の例を示す。このデバイスは、単結晶合成ダイヤモンドコンポーネント92を含む。デバイス90は、単結晶CVD合成ダイヤモンドコンポーネント92内の1つまたは複数の緩和中の量子スピン欠陥からの発光を検出するための検出器95、および単結晶合成ダイヤモンドコンポーネント内の複数の量子スピン欠陥の1つまたは複数をマニピュレートするためのマイクロ波発振器96も備える。マイクロ波発振器96は、単結晶合成ダイヤモンド層内の複数の量子スピン欠陥の1つまたは複数をマニピュレートするための一連のマイクロ波周波数をスキャンするように構成されている。デバイス90は、単結晶合成ダイヤモンドコンポーネント92に隣接して配置された試料99内の量子スピンをマニピュレートするために一連の周波数をスキャンするように構成された無線周波数またはマイクロ波周波数発生器98をさらに備える。
このデバイス構成は、スピン共鳴装置として機能することができる。このようなデバイスは、静的な場の発生器も備えることできる。このような仕組みでは、試料99は、静的な場、例えば、静磁場にかけられる。試料99に静磁場を印加することによって、試料内の核のスピンは、印加磁場と優先的に整列する。次いで振動場が試料に印加され、周波数が変動される。振動場が核スピンと共鳴すると、これは、静的な場の方向と反対に配向するように核スピンを反転させる。この遷移は、感知および検出することができる局所磁場の変化をもたらす。異なる核は、周囲の電子の局所的な遮蔽効果、および密集した核スピン同士間のスピン−スピン相互作用のために、印加振動場の異なる周波数でスピン反転することになる。
これまでのところ、記載したデバイスは、標準的なNMRデバイスのように機能するが、試料体積ははるかに小さく、静的な場ははるかに低く、例えば、小さい磁石の使用(または地球磁場が使用される場合、実際には磁石なし)が可能になり、したがって、全体としてデバイスのコンパクト化が可能になる。標準的なNMRデバイスと対照的に、核スピン反転から生じる局所磁場の変化は、試料99に隣接した単結晶CVD合成ダイヤモンドコンポーネント内に配置された1つまたは複数の量子スピン欠陥を使用して検出される。
NV-欠陥は、先に記載した静磁場内に配置される。したがって、NV-欠陥内の電子スピン状態ms=±1の縮退は、図1bに例示したように***される。NV-欠陥は、532nmの光学レーザー源で励起され、3A基底状態から3E励起状態に電子が励起される。励起したms=0の電子は、発光して基底状態に戻る遷移において蛍光を発し、この蛍光が検出される。振動マイクロ波場がNV-欠陥に印加され、周波数が変動される。振動マイクロ波場がNV-中心の電子スピンと共鳴すると、これにより、電子がms=±1状態に遷移する。この共鳴スピン遷移は、マイクロ波(MW)周波数を掃引することによってプローブすることができ、図2aに関してSteinert et al.によって先に記載されたように、光検出磁気共鳴(ODMR)スペクトル中に特徴的なディップをもたらす。
次に、ms=±1状態のエネルギーは、静的な場に依存することになるが、振動場によって誘導される試料中の核スピン反転によって生じる磁場の局所変化により摂動を受けることになる。したがって、電子スピン共鳴がNV-欠陥内で起こるマイクロ波周波数は、試料中の核スピンが振動場と共鳴するとき、シフトされる。これらの変化は、蛍光が起こるディップのシフトによって検出される。したがって、試料中の核スピン共鳴は、NV-欠陥内の電子スピン共鳴の変化を介して光学的に検出される。したがって、光信号を処理してNMRデータを作成することができる。これは、化学シフトデータを示すNMRスペクトルの形式とすることができる。代替としてまたは追加的に、スピン共鳴装置は、検出器が、合成単結晶ダイヤモンド材料中の前記量子スピン欠陥からの発光を空間的に分解してスピン共鳴画像を形成するように構成された、スピン共鳴イメージング装置とすることができる。例えば、複数の光学的な読みが試料の異なる位置で取得される場合、一試料について磁気共鳴画像(MRI)を生成することができる。このようなスピン共鳴イメージング装置では、検出器は、単結晶CVD合成ダイヤモンドコンポーネント内の複数の量子スピン欠陥からの発光を空間的に分解してスピン共鳴画像を形成するように構成することができる。代替としてまたは追加的に、この技法を使用して電場の変化を測定することができる。
上述のプロセスを使用して作成されるデータは、装置の表示画面上に表示することができる。あるいは、ラップトップまたはデスクトップコンピューターなどの外部デバイスに有線または無線でデータを伝送して、処理および表示をしてもよい。この場合、量子デバイス内の処理および表示は、単純化し、サイズおよびコストを低減することができる。ポータブル量子デバイスによって集められたデータを受け取り、処理し、表示するために、適当なコンピュータープログラムを準備して標準的なコンピューターで実行することができる。
先に記載した量子デバイスは、流体試料を受け取るためのマイクロ流体チャネルを備え、単結晶合成ダイヤモンドコンポーネントがマイクロ流体チャネルに隣接して位置したマイクロ流体デバイスであるように構成することができる。このような仕組みでは、マイクロ流体チャネル、および量子センサーとして作用する単結晶合成ダイヤモンドコンポーネントを一体化して、図10に例示したものなどのマイクロ流体セルにすることができる。
図10は、ダイヤモンドベースマイクロ流体セル100の例を示す。マイクロ流体セル100は、流体試料を配置することができるチャネル104に隣接して適所配置された少なくとも1つのダイヤモンドセンサー102を備える。少なくとも1つのダイヤモンドセンサー102は、先に記載した層状構造を使用して形成することができる1つまたは複数の量子スピン欠陥106を含む。ダイヤモンドセンサー102は、チャネル104内に位置した試料内の磁場および/または電場の変化を感知するために、チャネル104に隣接して適所配置される。例示した仕組みは、チャネル104の反対側に置かれた2つのダイヤモンドセンシング素子102を備える。しかし、マイクロ流体セルは、1つのみ、または代わりに複数のダイヤモンドセンシング素子を備えることができることが想定されている。
マイクロ流体チャネルは、1mm以下の、さらに特に、100nm〜1mmの範囲内の、500nm〜500μmの範囲内でもよい少なくとも1つの寸法を有することが好ましい。マイクロ流体チャネルのサイズは、ある特定の化学種に選択的であるように選ぶことができる。1つを超えるチャネルを準備してもよい。異なるチャネルは、化学種のサイズの差異に基づいて異なる化学種に選択的であるように、異なるサイズを有することができる。
図11は、図10に示したものなどのマイクロ流体セルとともに使用するためのスピン共鳴装置110を示す。装置110は、静磁場発生器(B0)、第1の可変振動磁場発生器(B1)、および第2の可変振動磁場発生器(B2)を備える。第1の可変振動磁場発生器(B1)は、好ましくは無線周波数発生器であり、第2の振動可変磁場発生器(B2)は、好ましくはマイクロ波発振器である。装置は、ベイ114を受け入れているセルの周囲に配置された磁気シールド112をさらに備えることができる。一仕組みでは、静磁場として地球磁場が使用され、したがって追加の静磁場発生器は、まったく必要とされない。このような仕組みでは、シールドは、静磁場に対してではなく、任意の外部振動場からセンサーを遮蔽するように適合させることができる。このようなシールドは、当業者に公知である。スピン共鳴装置は、ベイ114を受け入れているセル内に取り付けられたダイヤモンドベースマイクロ流体セル内の量子スピン欠陥を励起するように構成された光源116、およびダイヤモンドベースマイクロ流体セル内の量子スピン欠陥からの光出力信号を検出するための光検出器118も備える。光源は、レーザー光源とすることができる。光源は、チャネルに沿った異なる位置で流体の分析を可能にするために、マイクロ流体チャネルに沿った異なる位置における量子スピン欠陥を選択的に励起するように構成することができる。代替としてまたは追加的に、検出器は、チャネルに沿った異なる位置で流体の分析を可能にするために、マイクロ流体チャネルに沿った異なる位置における量子スピン欠陥からの発光を選択的に検出するように構成することができる。
上記の代わりに、デバイスは、量子情報処理デバイスとすることができる。このようなデバイスでは、マイクロ波発振器は、前記量子スピン欠陥に情報を書き込むために、合成単結晶ダイヤモンド材料中の量子スピン欠陥を選択的にマニピュレートするように構成することができ、検出器は、量子スピン欠陥から情報を読み取るために、量子スピン欠陥の1つまたは複数を選択的にアドレッシングするように構成することができる。
代替の仕組みでは、先に記載した磁場発生器は、電場発生器と取り替えることができる。NV-欠陥の電子構造は、本発明の実施形態が、磁場の代替として、または磁場に加えて電場を測定するのに使用することもできるようなものである。
1つまたは複数のプロセッサ120をスピン共鳴装置内に配置し、検出器118に連結して、発光データを受け取って処理することができる。1つまたは複数のプロセッサ120は、結果を出力するための出力部122に連結することができる。出力部122は、スピン共鳴データを表示するための表示画面を備えることができる。1つまたは複数のプロセッサ120およびディスプレイ122は、スピン共鳴装置内に一体化することができる。代替としてまたは追加的に、出力部122は、データを処理および表示するためのラップトップまたはデスクトップコンピューターなどの外部デバイスにデータを伝送するように適合させることができる。
このようなデバイスは、図9に関して先に記載したように機能することができる。ダイヤモンド材料内の1つまたは複数の量子スピン欠陥のデコヒーレンス時間を改善するために高純度量子グレート単結晶ダイヤモンド材料を使用することの代替として、またはそれに加えて、適当なパルスシーケンスを選択および利用してデコヒーレンス時間を延ばすことができる。したがって、先に記載したデバイスは、デコヒーレンス時間を延ばし、したがって感度を増大させるために、1つまたは複数の量子スピン欠陥にパルス信号を与えるように構成することができる。一般的なパルスシーケンスは、π/2パルス、その後のπパルス、その後の別のπ/2パルスを含む。
本発明を好適な実施形態に関して特に示し、説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、形式および詳細の様々な変更を行うことができることが当業者に理解されるであろう。
本発明を好適な実施形態に関して特に示し、説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、形式および詳細の様々な変更を行うことができることが当業者に理解されるであろう。
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1. 複数の電子ドナー欠陥を含む合成単結晶ダイヤモンド材料の第1領域と、
複数の量子スピン欠陥を含む合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域と、
合成単結晶ダイヤモンド材料の第3領域であって、第1領域および第2領域が第3領域によって相隔たっているように第1領域と第2領域との間に配置された、第3領域と
を含み、
合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域および第3領域は、合成単結晶ダイヤモンド材料の第1領域より低い濃度の電子ドナー欠陥を有し、
第1領域と第2領域は、十分遠く離れていなければ、合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域内の複数の量子スピン欠陥のデコヒーレンス時間を過度に短縮し、かつ/または複数の量子スピン欠陥のスペクトル線幅の歪み広がりを生じさせる、第1領域と第2領域との間の他のカップリング相互作用を低減するように十分遠くに離れていながら、電子が合成単結晶ダイヤモンド材料の第1領域から合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域に供与されることが可能になるように十分近い、10nm〜100μmの範囲内の距離によって相隔たっており、こうして、合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域内の負に帯電した量子スピン欠陥および合成単結晶ダイヤモンド材料の第1領域内の正に帯電した欠陥を形成する、合成単結晶ダイヤモンド材料。
2. 第3領域が、第2領域より低い濃度の量子スピン欠陥を有する、上記1に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
3. 第1、第2および第3領域が層の形態である、上記1または2に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
4. 第1、第2および第3領域が、1つの単層内に配置されている、上記1または2に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
5. 第1領域内の電子ドナー欠陥の濃度が、第2領域に向かって減少する、上記1から4までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
6. 第3領域が、第2領域に隣接する第1領域の一部によって形成される、上記1から5までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
7. 第3領域が第2領域の一部によって形成され、第2および第3領域が光学アドレッシングの管理によって画定され、それによって使用の際に、10nm〜100μmの範囲内の距離によって第1領域と相隔たった第2領域の一部が光学的にアドレッシングされる、上記1から5までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
8. 量子スピン欠陥が、負に帯電したシリコン含有欠陥、負に帯電したニッケル含有欠陥、負に帯電したクロム含有欠陥、および負に帯電した窒素含有欠陥の1つまたは複数を含む、上記1から7までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
9. 量子スピン欠陥が、負に帯電した窒素空孔欠陥(NV - )である、上記1から8までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
10. 電子ドナー欠陥が、窒素、リンおよびシリコンの1つまたは複数を含む、上記1から9までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
11. 第1領域が、10nm以上、100nm以上、5μm以上、50μm以上、100μm以上または500μm以上の厚さを有する、上記1から10までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
12. 第1領域が、2mm以下または1mm以下の厚さを有する、上記1から11までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
13. 第1領域が、合成CVD(化学蒸着)または合成HPHT(高圧高温)ダイヤモンド材料から形成される、上記1から12までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
14. 第1領域内の電子ドナー欠陥の濃度が、1×10 16 欠陥/cm 3 以上、5×10 16 欠陥/cm 3 以上、1×10 17 欠陥/cm 3 以上、5×10 17 欠陥/cm 3 以上、1×10 18 欠陥/cm 3 以上、5×10 18 欠陥/cm 3 以上、1×10 19 欠陥/cm 3 以上、または2×10 19 欠陥/cm 3 以上である、上記1から13までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
15. 第1領域内の電子ドナー欠陥の濃度が、10 22 欠陥/cm 3 以下、10 21 欠陥/cm 3 以下、または10 20 欠陥/cm 3 以下である、上記1から14までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
16. 第1領域内の電子ドナー欠陥の濃度が、第2領域内の量子スピン欠陥の濃度より、少なくとも2、4、8、10、100または1000倍高い、上記1から15までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
17. 第1領域内の電子ドナー欠陥の濃度が、第2領域内の電子ドナー欠陥の濃度より、少なくとも2、4、8、10、100または1000倍高い、上記1から16までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
18. 第2領域内の量子スピン欠陥の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%が負に帯電している、上記1から17までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
19. 第2領域が、1nm以上、5nm以上、10nm以上、50nm以上、100nm以上、500nm以上または1μm以上の厚さを有する、上記1から18までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
20. 第2領域が、100μm以下、80μm以下、60μm以下、40μm以下、20μm以下または10μm以下の厚さを有する、上記1から19までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
21. 第2領域内の量子スピン欠陥の濃度が、1×10 11 欠陥/cm 3 以上、1×10 12 欠陥/cm 3 以上、1×10 13 欠陥/cm 3 以上、1×10 14 欠陥/cm 3 以上、1×10 15 欠陥/cm 3 以上、1×10 16 欠陥/cm 3 以上、1×10 17 欠陥/cm 3 以上、1×10 18 欠陥/cm 3 以上である、上記1から20までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
22. 第2領域内の量子スピン欠陥の濃度が、4×10 18 欠陥/cm 3 以下、2×10 18 欠陥/cm 3 以下、1×10 18 欠陥/cm 3 以下、1×10 17 欠陥/cm 3 以下、または1×10 16 欠陥/cm 3 以下である、上記1から21までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
23. 窒素、リンおよびシリコンの1つまたは複数を単独でまたは組み合わせて含む第2領域内の電子ドナー欠陥の濃度が、1×10 17 欠陥/cm 3 以下、1×10 16 欠陥/cm 3 以下、5×10 15 欠陥/cm 3 以下、1×10 15 欠陥/cm 3 以下、5×10 14 欠陥/cm 3 以下、1×10 14 欠陥/cm 3 以下、または5×10 13 欠陥/cm 3 以下である、上記1から22までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
24. 第2領域の主面に垂直な方向内の第2領域の複屈折が、5×10 -5 以下、1×10 -5 以下、5×10 -6 以下、または1×10 -6 以下であり得る、上記1から23までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
25. 量子スピン欠陥が、400μs以下、200μs以下、150μs以下、100μs以下、75μs以下、50μs以下、20μs以下または1μs以下の対応するT 2 * 値とともに、0.05ms以上、0.1ms以上、0.3ms以上、0.6ms以上、1ms以上、5ms以上または15ms以上のデコヒーレンス時間T 2 を有する、上記1から24までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
26. 第3領域が、50nm以上、100nm以上、500nm以上、1μm以上、10μm以上または20μm以上の厚さを有する、上記1から25までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
27. 第3領域が、80μm以下、60μm以下、40μm以下または30μm以下の厚さを有する、上記1から26までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
28. 第3領域が、1×10 17 欠陥/cm 3 以下、1×10 16 欠陥/cm 3 以下、5×10 15 欠陥/cm 3 以下、1×10 15 欠陥/cm 3 以下、5×10 14 欠陥/cm 3 以下、1×10 14 欠陥/cm 3 以下、または5×10 13 欠陥/cm 3 以下である、窒素、リンおよびシリコンの1つまたは複数を単独でまたは組み合わせて含む電子ドナー欠陥の濃度を有する、上記1から27までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
29. 第3領域が、1×10 14 欠陥/cm 3 以下、1×10 13 欠陥/cm 3 以下、1×10 12 欠陥/cm 3 以下、1×10 11 欠陥/cm 3 以下、または1×10 10 欠陥/cm 3 以下の量子スピン欠陥の濃度を有する、上記1から28までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
30. 上記1から29までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料を含む、デバイスコンポーネント。
31. アウトカップリング構造が、光のアウトカップリングを増大させるために合成単結晶ダイヤモンド材料の表面で形成される、上記30に記載のデバイスコンポーネント。
32. アウトカップリング構造が、合成単結晶ダイヤモンド材料の表面内に形成され、それによって、アウトカップリング構造が、合成単結晶ダイヤモンド材料の表面によって一体的に形成される、上記31に記載のデバイスコンポーネント。
33. アウトカップリング構造が、凸面表面、マイクロレンズアレイ、ソリッドイマージョンレンズ(SIL)、複数の表面くぼみまたはナノ構造、回折格子、フレネルレンズ、および反射防止膜などの皮膜の1つまたは複数を含む、上記31または32に記載のデバイスコンポーネント。
34. 上記30から33までのいずれか1項に記載のデバイスコンポーネントと、
合成単結晶ダイヤモンド材料中の量子スピン欠陥の1つまたは複数を光学的にポンピングするための光源と
を備えるデバイス。
35. 合成単結晶ダイヤモンド材料中の1つまたは複数の緩和中の量子スピン欠陥からの発光を検出するための検出器をさらに備える、上記34に記載のデバイス。
36. 合成単結晶ダイヤモンド材料中の量子スピン欠陥の1つまたは複数をマニピュレートするためのマイクロ波発振器をさらに備える、上記34または35に記載のデバイス。
37. デバイスが磁力計であり、マイクロ波発振器が、合成単結晶ダイヤモンド材料中の前記量子スピン欠陥の1つまたは複数をマニピュレートするために一連のマイクロ波周波数をスキャンするように構成されている、上記35または36に記載のデバイス。
38. デバイスがスピン共鳴装置であり、マイクロ波発振器が、合成単結晶ダイヤモンド材料中の前記量子スピン欠陥の1つまたは複数をマニピュレートするために一連のマイクロ波周波数をスキャンするように構成されており、スピン共鳴装置が、合成単結晶ダイヤモンド材料に隣接して配置された試料内の量子スピンをマニピュレートするために一連の周波数をスキャンするように構成された無線周波数またはマイクロ波周波数発生器をさらに備える、上記35または36に記載のデバイス。
39. スピン共鳴装置が、流体試料を受け取るためのマイクロ流体チャネルを備えるマイクロ流体デバイスであり、単結晶合成CVDダイヤモンド材料がマイクロ流体チャネルに隣接して位置している、上記38に記載のデバイス。
40. スピン共鳴装置がスピン共鳴イメージング装置であり、検出器が、合成単結晶ダイヤモンド材料中の前記量子スピン欠陥からの発光を空間的に分解してスピン共鳴画像を形成するように構成されている、上記38または39に記載のデバイス。
41. デバイスが量子情報処理デバイスである、上記34に記載のデバイス。
42. マイクロ波発振器が、前記量子スピン欠陥に情報を書き込むために、合成単結晶ダイヤモンド材料中の前記量子スピン欠陥を選択的にマニピュレートするように構成され、検出器が、前記量子スピン欠陥から情報を読み取るために、前記量子スピン欠陥の1つまたは複数を選択的にアドレッシングするように構成されている、上記35、36または41に記載のデバイス。
43. 上記1から29までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料を製造する方法であって、第1、第2および第3領域は、異なるダイヤモンド合成条件、合成後の欠陥注入、合成後の照射、合成後のアニーリング、および光学アドレッシングの管理の1つまたは複数によって画定される、方法。

Claims (43)

  1. 複数の電子ドナー欠陥を含む合成単結晶ダイヤモンド材料の第1領域と、
    複数の量子スピン欠陥を含む合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域と、
    合成単結晶ダイヤモンド材料の第3領域であって、第1領域および第2領域が第3領域によって相隔たっているように第1領域と第2領域との間に配置された、第3領域と
    を含み、
    合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域および第3領域は、合成単結晶ダイヤモンド材料の第1領域より低い濃度の電子ドナー欠陥を有し、
    第1領域と第2領域は、十分遠く離れていなければ、合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域内の複数の量子スピン欠陥のデコヒーレンス時間を過度に短縮し、かつ/または複数の量子スピン欠陥のスペクトル線幅の歪み広がりを生じさせる、第1領域と第2領域との間の他のカップリング相互作用を低減するように十分遠くに離れていながら、電子が合成単結晶ダイヤモンド材料の第1領域から合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域に供与されることが可能になるように十分近い、10nm〜100μmの範囲内の距離によって相隔たっており、こうして、合成単結晶ダイヤモンド材料の第2領域内の負に帯電した量子スピン欠陥および合成単結晶ダイヤモンド材料の第1領域内の正に帯電した欠陥を形成する、合成単結晶ダイヤモンド材料。
  2. 第3領域が、第2領域より低い濃度の量子スピン欠陥を有する、請求項1に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  3. 第1、第2および第3領域が層の形態である、請求項1または2に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  4. 第1、第2および第3領域が、1つの単層内に配置されている、請求項1または2に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  5. 第1領域内の電子ドナー欠陥の濃度が、第2領域に向かって減少する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  6. 第3領域が、第2領域に隣接する第1領域の一部によって形成される、請求項1から5までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  7. 第3領域が第2領域の一部によって形成され、第2および第3領域が光学アドレッシングの管理によって画定され、それによって使用の際に、10nm〜100μmの範囲内の距離によって第1領域と相隔たった第2領域の一部が光学的にアドレッシングされる、請求項1から5までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  8. 量子スピン欠陥が、負に帯電したシリコン含有欠陥、負に帯電したニッケル含有欠陥、負に帯電したクロム含有欠陥、および負に帯電した窒素含有欠陥の1つまたは複数を含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  9. 量子スピン欠陥が、負に帯電した窒素空孔欠陥(NV-)である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  10. 電子ドナー欠陥が、窒素、リンおよびシリコンの1つまたは複数を含む、請求項1から9までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  11. 第1領域が、10nm以上、100nm以上、5μm以上、50μm以上、100μm以上または500μm以上の厚さを有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  12. 第1領域が、2mm以下または1mm以下の厚さを有する、請求項1から11までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  13. 第1領域が、合成CVD(化学蒸着)または合成HPHT(高圧高温)ダイヤモンド材料から形成される、請求項1から12までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  14. 第1領域内の電子ドナー欠陥の濃度が、1×1016欠陥/cm3以上、5×1016欠陥/cm3以上、1×1017欠陥/cm3以上、5×1017欠陥/cm3以上、1×1018欠陥/cm3以上、5×1018欠陥/cm3以上、1×1019欠陥/cm3以上、または2×1019欠陥/cm3以上である、請求項1から13までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  15. 第1領域内の電子ドナー欠陥の濃度が、1022欠陥/cm3以下、1021欠陥/cm3以下、または1020欠陥/cm3以下である、請求項1から14までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  16. 第1領域内の電子ドナー欠陥の濃度が、第2領域内の量子スピン欠陥の濃度より、少なくとも2、4、8、10、100または1000倍高い、請求項1から15までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  17. 第1領域内の電子ドナー欠陥の濃度が、第2領域内の電子ドナー欠陥の濃度より、少なくとも2、4、8、10、100または1000倍高い、請求項1から16までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  18. 第2領域内の量子スピン欠陥の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%が負に帯電している、請求項1から17までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  19. 第2領域が、1nm以上、5nm以上、10nm以上、50nm以上、100nm以上、500nm以上または1μm以上の厚さを有する、請求項1から18までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  20. 第2領域が、100μm以下、80μm以下、60μm以下、40μm以下、20μm以下または10μm以下の厚さを有する、請求項1から19までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  21. 第2領域内の量子スピン欠陥の濃度が、1×1011欠陥/cm3以上、1×1012欠陥/cm3以上、1×1013欠陥/cm3以上、1×1014欠陥/cm3以上、1×1015欠陥/cm3以上、1×1016欠陥/cm3以上、1×1017欠陥/cm3以上、1×1018欠陥/cm3以上である、請求項1から20までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  22. 第2領域内の量子スピン欠陥の濃度が、4×1018欠陥/cm3以下、2×1018欠陥/cm3以下、1×1018欠陥/cm3以下、1×1017欠陥/cm3以下、または1×1016欠陥/cm3以下である、請求項1から21までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  23. 窒素、リンおよびシリコンの1つまたは複数を単独でまたは組み合わせて含む第2領域内の電子ドナー欠陥の濃度が、1×1017欠陥/cm3以下、1×1016欠陥/cm3以下、5×1015欠陥/cm3以下、1×1015欠陥/cm3以下、5×1014欠陥/cm3以下、1×1014欠陥/cm3以下、または5×1013欠陥/cm3以下である、請求項1から22までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  24. 第2領域の主面に垂直な方向内の第2領域の複屈折が、5×10-5以下、1×10-5以下、5×10-6以下、または1×10-6以下であり得る、請求項1から23までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  25. 量子スピン欠陥が、400μs以下、200μs以下、150μs以下、100μs以下、75μs以下、50μs以下、20μs以下または1μs以下の対応するT2 *値とともに、0.05ms以上、0.1ms以上、0.3ms以上、0.6ms以上、1ms以上、5ms以上または15ms以上のデコヒーレンス時間T2を有する、請求項1から24までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  26. 第3領域が、50nm以上、100nm以上、500nm以上、1μm以上、10μm以上または20μm以上の厚さを有する、請求項1から25までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  27. 第3領域が、80μm以下、60μm以下、40μm以下または30μm以下の厚さを有する、請求項1から26までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  28. 第3領域が、1×1017欠陥/cm3以下、1×1016欠陥/cm3以下、5×1015欠陥/cm3以下、1×1015欠陥/cm3以下、5×1014欠陥/cm3以下、1×1014欠陥/cm3以下、または5×1013欠陥/cm3以下である、窒素、リンおよびシリコンの1つまたは複数を単独でまたは組み合わせて含む電子ドナー欠陥の濃度を有する、請求項1から27までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  29. 第3領域が、1×1014欠陥/cm3以下、1×1013欠陥/cm3以下、1×1012欠陥/cm3以下、1×1011欠陥/cm3以下、または1×1010欠陥/cm3以下の量子スピン欠陥の濃度を有する、請求項1から28までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  30. 請求項1から29までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料を含む、デバイスコンポーネント。
  31. アウトカップリング構造が、光のアウトカップリングを増大させるために合成単結晶ダイヤモンド材料の表面で形成される、請求項30に記載のデバイスコンポーネント。
  32. アウトカップリング構造が、合成単結晶ダイヤモンド材料の表面内に形成され、それによって、アウトカップリング構造が、合成単結晶ダイヤモンド材料の表面によって一体的に形成される、請求項31に記載のデバイスコンポーネント。
  33. アウトカップリング構造が、凸面表面、マイクロレンズアレイ、ソリッドイマージョンレンズ(SIL)、複数の表面くぼみまたはナノ構造、回折格子、フレネルレンズ、および反射防止膜などの皮膜の1つまたは複数を含む、請求項31または32に記載のデバイスコンポーネント。
  34. 請求項30から33までのいずれか1項に記載のデバイスコンポーネントと、
    合成単結晶ダイヤモンド材料中の量子スピン欠陥の1つまたは複数を光学的にポンピングするための光源と
    を備えるデバイス。
  35. 合成単結晶ダイヤモンド材料中の1つまたは複数の緩和中の量子スピン欠陥からの発光を検出するための検出器をさらに備える、請求項34に記載のデバイス。
  36. 合成単結晶ダイヤモンド材料中の量子スピン欠陥の1つまたは複数をマニピュレートするためのマイクロ波発振器をさらに備える、請求項34または35に記載のデバイス。
  37. デバイスが磁力計であり、マイクロ波発振器が、合成単結晶ダイヤモンド材料中の前記量子スピン欠陥の1つまたは複数をマニピュレートするために一連のマイクロ波周波数をスキャンするように構成されている、請求項35または36に記載のデバイス。
  38. デバイスがスピン共鳴装置であり、マイクロ波発振器が、合成単結晶ダイヤモンド材料中の前記量子スピン欠陥の1つまたは複数をマニピュレートするために一連のマイクロ波周波数をスキャンするように構成されており、スピン共鳴装置が、合成単結晶ダイヤモンド材料に隣接して配置された試料内の量子スピンをマニピュレートするために一連の周波数をスキャンするように構成された無線周波数またはマイクロ波周波数発生器をさらに備える、請求項35または36に記載のデバイス。
  39. スピン共鳴装置が、流体試料を受け取るためのマイクロ流体チャネルを備えるマイクロ流体デバイスであり、単結晶合成CVDダイヤモンド材料がマイクロ流体チャネルに隣接して位置している、請求項38に記載のデバイス。
  40. スピン共鳴装置がスピン共鳴イメージング装置であり、検出器が、合成単結晶ダイヤモンド材料中の前記量子スピン欠陥からの発光を空間的に分解してスピン共鳴画像を形成するように構成されている、請求項38または39に記載のデバイス。
  41. デバイスが量子情報処理デバイスである、請求項34に記載のデバイス。
  42. マイクロ波発振器が、前記量子スピン欠陥に情報を書き込むために、合成単結晶ダイヤモンド材料中の前記量子スピン欠陥を選択的にマニピュレートするように構成され、検出器が、前記量子スピン欠陥から情報を読み取るために、前記量子スピン欠陥の1つまたは複数を選択的にアドレッシングするように構成されている、請求項35、36または41に記載のデバイス。
  43. 請求項1から29までのいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料を製造する方法であって、第1、第2および第3領域は、異なるダイヤモンド合成条件、合成後の欠陥注入、合成後の照射、合成後のアニーリング、および光学アドレッシングの管理の1つまたは複数によって画定される、方法。
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