JP2014513698A - がん治療保護のためのヒ素の使用 - Google Patents

がん治療保護のためのヒ素の使用 Download PDF

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Abstract

ヒト対象におけるがん細胞の化学療法的処置または放射線処置中にヒト対象における非がん性細胞への損傷を阻害、防止、または低減する方法は、放射線または1つもしくは複数の化学療法剤での処置前に、ヒ素および/または1つもしくは複数のヒ素化合物を治療上有効な量でヒト対象に投与することを含む。

Description

[連邦政府支援の研究または開発に関する言明]
本発明は、National Institutes of Healthによって授与された認可番号CA085679による政府支援でなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
[発明の分野]
本発明は、一般的に、がんの処置に関する。より具体的には、本発明は、化学がん療法および放射線がん療法によって引き起こされる副作用の寛解に向けられる。
がんは、動物およびヒトにおける死亡原因の第1位である。この10年間、手術に加えての化学療法および放射線療法の併用は、治癒的設定および緩和的設定においてがん患者の処置のための標準アプローチになっている。放射線および化学療法は、がん治療の成功した方法であるが、それらは、がん性細胞と正常細胞とをうまくは識別しない。したがって、がん細胞を殺害する過程において、放射線または化学療法剤はまた、正常組織も損傷し、全身性毒性および有害な副作用をもたらし、そのことは、がん患者に著しい脅威を与える場合が多い。有害な副作用はまた、許容される最大用量を大いに制限する。化学療法および放射線療法の毒性を避けるための努力は、過去における度重ねての努力にもかかわらず、大きな成果を生んでいない。
一態様において、本発明は、がんの処置のための放射線処置を必要としているヒト対象に、1つまたは複数のヒ素化合物を約1μg/kg/日から約125μg/kg/日までの保護的な量で投与することを含む、ヒト対象におけるがん細胞の放射線処置中にヒト対象における非がん性細胞への損傷を阻害、防止、または低減する方法に関する。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のヒ素化合物の保護的な量は、約31μg/kg/日から約125μg/kg/日までである。放射線は、1つまたは複数のヒ素化合物の投与の後にヒト対象に投与される。いくつかの実施形態において、三酸化ヒ素が、ヒト対象へ放射線処置を投与する前にヒト対象に投与される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のヒ素化合物は、ヒト対象への放射線処置の投与の少なくとも1日前にヒト対象へ投与される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のヒ素化合物は、ヒト対象への放射線の投与前の少なくとも3日間毎日、ヒト対象に投与される。
別の態様において、本発明は、化学療法的処置を必要としているヒト対象に、1つまたは複数のヒ素化合物を約1μg/kg/日から約125μg/kg/日までの保護的な量で投与することを含む、ヒト対象におけるがん細胞の化学療法的処置中にヒト対象における非がん性細胞への損傷を阻害、防止、または低減する方法に関する。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のヒ素化合物の保護的な量は、約31μg/kg/日から約125μg/kg/日までである。1つまたは複数の化学療法剤は、1つまたは複数のヒ素化合物の投与の後にヒト対象へ投与される。いくつかの実施形態において、三酸化ヒ素が、ヒト対象への放射線処置を投与する前にヒト対象に投与される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のヒ素化合物は、ヒト対象への1つまたは複数の化学療法剤の投与の少なくとも1日前にヒト対象へ投与される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のヒ素化合物は、ヒト対象への1つまたは複数の化学療法剤の投与前の少なくとも3日間毎日、ヒト対象に投与される。
別の態様において、本発明は、がんの処置のための化学療法的処置または放射線処置を必要としているヒト対象に、1つまたは複数のヒ素化合物を投与することを含む、ヒト対象におけるがん細胞の化学療法的処置または放射線処置中にヒト対象における副作用を阻害、防止、または低減する方法に関する。1つまたは複数の化学療法剤または放射線は、1つまたは複数のヒ素化合物の投与の後にヒト対象へ投与される。1つまたは複数のヒ素化合物は、化学療法剤がヒト対象に投与された場合、ヒト対象における化学療法的処置または放射線処置によって引き起こされる副作用を阻害、防止、または低減するのに十分な量で投与される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のヒ素化合物は、約1μg/kg/日から約125μg/kg/日までの保護的な量で投与される。
阻害、防止、または低減され得る副作用には、胃腸管系に関連した副作用、低赤血球数に関連した副作用、低白血球数に関連した副作用、低血小板数に関連した副作用、骨髄細胞欠乏に関連した副作用、心毒性に関連した副作用、および脱毛に関連した副作用が挙げられる。
本発明の利点は、以下の実施形態の詳細な説明の助けを借りて、以下に説明する添付の図面を参照すれば、当業者に明らかとなる。
様々な処置条件下における、ヒト肺癌細胞を注射された雄マウスへのヒ素前処置の効果を示す図である。 様々な処置条件下における、ヒト肺癌細胞を注射された雌マウスへのヒ素前処置の効果を示す図である。 様々な処置条件下における、ヒト乳癌細胞を注射された雌マウスへのヒ素前処置の効果を示す図である。 様々な処置条件下における、ヒト結腸癌細胞を注射されたマウスへのヒ素前処置の効果を示す図である。 X線照射下でのWTマウス対p53 R172Pノックインマウスへのヒ素前処置の効果を示す図である。 放射線処置後の白血球数および小腸損傷へのヒ素の効果を示す図である。
本発明は、様々な改変および代替形態が可能であり得るが、その特定の実施形態が、図面において例として示され、本明細書では詳細に記載される。図面は、原寸に比例していない場合がある。しかしながら、それの図面および詳細な説明は、開示された特定の形に本発明を限定することを意図するものではなく、それとは反対に、意図は、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の精神および範囲内に入る全ての改変、等価物、および代替物を網羅することであることが理解されるべきである。
以下の定義が提供される:
本明細書に用いられる場合、用語「投与」、「投与すること」などは、組成物を対象に提供することの関連において用いられるとき、一般的に、投与される化合物が、その化合物が投与されることの意図される生物学的効果の1つまたは複数を達成するように、任意の手段によって、適切な送達媒体と組み合わせて、1つまたは複数の医薬組成物、「市販の」(OTC)組成物、または栄養補助組成物を対象に提供することを指す。非限定的例として、組成物は、非経口、皮下、静脈内、冠内、直腸内、筋肉内、腹腔内、経皮、または口腔内の送達経路で投与され得る。代替として、または同時に、投与は、経口経路によってもよい。投与される用量は、レシピエントの年齢、健康状態、体重、および/もしくは疾患状態、もしあれば、同時処置の種類、処置の頻度、ならびに/または望まれる効果の性質に依存する。投与される薬理学的活性化合物の用量は、レシピエントの年齢、健康状態、体重、および/もしくは疾患状態、もしあれば、同時処置、処置の頻度、ならびに/または望まれる生物学的効果の性質および大きさなどの複数の因子に依存する。
本明細書で用いられる場合、用語「がん」は、腫瘍などの、細胞の制御されない成長または増殖の組織として定義される。特定の実施形態において、腫瘍は、局所的浸潤および転移をもたらす。
本明細書で用いられる場合、用語「化学療法剤」は、がんの処置として用いられる薬物、毒素、化合物、組成物、または生物学的実体として定義される。
本明細書で用いられる場合、用語「細胞毒」は、細胞を殺害するために用いられる薬物、毒素、化合物、組成物、または生物学的実体として定義される。実施形態において、その細胞は、がん細胞である。
本明細書で用いられる場合、用語「DNA損傷性物質」は、核酸を損傷する薬物、毒素、化合物、組成物、または生物学的実体である。損傷は、核酸に対するいかなる種類のものであってもよく、例えば、DNA二重らせん分子の一方の鎖または両方の鎖を切断すること、または1つもしくは複数のヌクレオチドの突然変異を引き起こすことである。
本明細書で用いられる場合、用語「薬物」は、病状または疾患の治療的処置に用いられる医薬または薬として定義される。薬物は、別の薬物または別の型の治療と組み合わせて用いられてもよく、実施形態において、がんの処置に有効である。
本明細書で用いられる場合、用語「薬学的に、または薬理学的に許容される」は、動物またはヒトに投与されたとき、有害な、アレルギー性の、または他の都合の悪い反応を生じない分子実体および組成物を指す。
本明細書で用いられる場合、用語「薬学的に許容される担体」は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、被覆剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。
本明細書で用いられる場合、「医薬組成物」、「医薬製剤」、「医薬調製物」などの用語は、一般的に、規定された用量の、1つまたは複数の薬理学的活性化合物を細胞、細胞群、器官または組織、動物またはヒトに送達するように適応している製剤を指す。薬理学的活性化合物を医薬調製物に組み入れる方法は、当技術分野において広く知られている。所望の生物学的結果を達成するために医薬組成物中に含まれるべき適切な規定用量の薬理学的活性化合物の決定は、当業者の技能レベルの範囲内である。医薬組成物は、徐放性または持続放出性製剤として提供されてもよい。そのような製剤は、所望の時点に大量の化合物を製剤から放出することができ、または用量に存在する化合物の比較的一定な量が所定の期間にわたって放出されることを確実にすることができる。「徐放」、「放出制御」、または「持続放出」などの用語は、薬学的分野において広く用いられており、当業者によって容易に理解される。医薬調製物は、固体、半固体、ゲル、ハイドロゲル、液体、溶液、懸濁液、乳濁液、エアロゾル、粉末、またはそれらの組み合わせとして調製され得る。典型的には薬理学的に不活性である1つまたは複数の担体、保存剤、香味料、賦形剤、被覆剤、安定剤、結合剤、溶媒、および/または助剤が医薬調製物に含まれ得る。化合物の薬学的に許容される塩がその用語の意味の範囲内に含まれることは当業者によって容易に理解されるであろう。その用語はまた、2つ以上の薬理学的活性化合物の混合物を含有する医薬組成物も包含することは、さらに当業者によって理解されるであろうし、そのような化合物は、例えば、併用療法として投与される。
本明細書で用いられる場合、用語「対象」は、一般的に、哺乳動物、特に、ヒトを指す。一実施形態において、ヒ素含有化合物を受ける対象は、化学療法または放射線療法に予定されている者である。例えば、対象は、化学療法または放射線療法が有利な処置であると考えられるがんと診断されている、ヒト患者または動物であり得る。
本明細書で用いられる場合、用語「処置すること」は、病状または疾患についての処置を施すという実施として定義される。処置は、完全な治癒を提供する必要はなく、少なくとも1つの症状が改善され、または根絶される場合には、有効とみなされる。さらに、処置は、疾患状態または病状の永久的改善を提供する必要はないが、これは好ましいことではある。
薬理学的活性組成物を投与されることになっている対象に関連して用いられる場合、用語「処置を必要としている」、「それを必要としている」、「そのような処置から恩恵を受けるだろう者」などは、一般的に、個人または動物が、特定の処置または医学的介入を要し、またはそれから恩恵を受けるだろうという適切なヘルスケア提供者によってなされた判断を指す。そのような判断は、ヘルスケア提供者の専門知識の領域内にある様々な因子に基づいてなされ得るが、個人または動物が、特定の医学的介入で寛解され、または処置される可能性がある状態の結果として、病気であり、または病気になるだろう、または病気になるリスクがあるという知識を含む。
化学療法または放射線療法に関連した「副作用」には、腹痛、胃酸過多、胃酸の逆流、脱毛(抜け毛)、貧血、食欲不振、早期の満腹感、関節痛(節々の痛み)、無気力、運動失調、高窒素血、肝毒性、気管支炎、便秘、膀胱炎、深部静脈血栓(DVT)、消化不良、呼吸困難、浮腫、食道炎、顆粒球減少、女性化***、血腫、***、白血球減少、粘膜炎、筋肉痛、心筋炎、腎臓毒性、好中球減少、汎血球減少、心膜炎、咽頭炎、口内炎、血小板減少、口内乾燥、皮膚乾燥、潮紅、色素沈着過剰、爪の変化、光線過敏、放射線リコール、および発疹が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、副作用は、好中球減少(低白血球数)による副作用を含む。低白血球数は、身体における感染症の増加をもたらし得る。いくつかの実施形態において、副作用は、貧血(低赤血球数)による副作用を含む。低赤血球数は、頭痛および疲労などの副作用をもたらし得る。いくつかの実施形態において、副作用は、血小板減少(低血小板数)による副作用を含む。低血小板数は、挫傷形成の増加、点状出血、および出血(例えば、鼻、歯茎、直腸)などの副作用をもたらし得る。他の副作用には、胃腸管への副作用(例えば、吐き気、腹痛、腹部痙攣、鼓腸(ガス)、胃酸過多、胃酸の逆流、食欲不振、早期の満腹感など)が挙げられる。他の副作用には、脱毛(抜け毛)および皮膚反応(例えば、皮膚乾燥、潮紅、色素沈着過剰、爪の変化、光線過敏、放射線リコール、および発疹)が挙げられる。
句「治療上有効な量」および「有効な量」は、他に指示がない限り、同義語であり、処置されることになっている状態、疾患、または障害を改善するのに十分である、本発明の化合物の量を意味する。治療上有効な量、加えて、剤形、投与経路、および投与頻度を含む、本発明の化合物の、処置を必要としている患者への効果的な投与に関係した他の因子の決定は、直面している状態の特徴に依存し得、その特徴には、処置されることになっている患者および状態、特定の患者における状態の重症度、用いられることになっている特定の化合物、用いられることになっている特定の投与経路、投与頻度、ならびに用いられることになっている特定の製剤が挙げられる。患者についての治療的有効な処置計画の決定は、医学分野または獣医学分野における業者のレベル内で可能である。臨床用途において、有効な量は、U.S.Food and Drug Administration、または相当する外国の政府機関によって推奨される量であり得る。単一の剤形を生じるように担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、処置される哺乳動物宿主および特定の投与様式によって変わる。
本明細書で用いられる場合、用語「保護的な量」は、放射線療法または化学療法薬の正常細胞への有害な副作用を低減し、防止し、または別の形で寛解させるのに十分である、放射線療法または1つもしくは複数の化学療法剤と同時に、別々に、または連続して対象に投与されるヒ素含有化合物の有効な量を記載する。
本明細書で用いられる場合、用語「腫瘍細胞」は、腫瘍またはがんなどの悪性腫瘤の細胞として定義される。その細胞は、腫瘍内、もしくは腫瘍の表面上に位置する場合もあるし、またはそれは腫瘍に付随している場合もある。
本明細書で用いられる場合、病的状態または疾患状態を調節することに関連して用いられるときの用語「低減すること」、「阻害すること」、および「寛解させること」は、一般的に、疾患状態のマイナスの結果の少なくとも一部の防止および/または低減を指す。生化学的事象または経路の関連において用いられるとき、その用語は、一般的に、前記経路の規模または活性の正味の低減を指す。
本発明は、特定の化学療法または放射線療法に限定されないことは理解されるべきであり、それらの療法は、当然ながら、変わり得る。本明細書で用いられる専門用語は、特定の実施形態のみを記載することを目的とし、限定することを意図するものではないこともまた、理解されるべきである。本明細書および添付の特許請求の範囲に用いられる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、内容が明らかに他に指図していない限り、単数形および複数形の指示対象を含む。
当業者によって理解されているように、ありとあらゆる目的のために、特に書面による説明を提供することに関して、本明細書に開示された全ての範囲は、ありとあらゆる可能な部分的範囲およびその部分的範囲の組み合わせを包含する。いずれの列挙された範囲も、その同じ範囲が、少なくとも2等分、3等分、4等分、5等分、10等分などへ分解されることを十分に記載し、かつ可能にするものとして容易に認識することができる。非限定的例として、本明細書で論じられる各範囲は、下部3分の1、中部3分の1、および上部3分の1などへ容易に分解することができる。また当業者によって理解されているように、「に至るまで」、「少なくとも」、「より大きい」、「より少ない」などの全ての言語は、挙げられている数を含み、上記で論じられているように、後で、部分的範囲へ分解することができる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されているように、範囲は、各個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1〜3単位を有する群は、1単位、2単位、または3単位を有する群を指す。同様に、1〜5単位を有する群は、1単位、2単位、3単位、4単位、または5単位を有する群を指すなど。
がんのほとんどの型は、化学療法または放射線療法のいずれかで処置され得る。ヒ素は、乳がん、卵巣がん、結腸直腸がん、胃がん、肺がん、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、尿管がん、甲状腺がん、膵臓がん、子宮頸がん、食道がん、中皮腫、頭頸部がん、肝細胞がん、黒色腫、脳がん、外陰がん、精巣がん、肉腫、腸がん、皮膚がん、白血病、およびリンパ腫などのがんの化学療法または放射線療法の処置に関連した副作用を低減するのに有用である。そのようながんについての様々な動物モデルが知られており、それらは、ヒ素の有効性、加えて、投与プロトコールおよび投薬プロトコールを探索するために用いることができる。いくつかの実施形態において、対象は、保護的な量のヒ素、その後に、ヒ素含有化合物ではない化学療法剤を受ける。
実施形態において、化学療法剤および/または放射線の患者への投与と共に、1つまたは複数のヒ素化合物を患者に投与することにより、がん患者における化学療法または放射線療法の副作用が阻害される方法が提供される。1つまたは複数のヒ素化合物は、副作用を低減するのに有効な量で投与されるが、それは、追加の腫瘍形成を誘発するだろう量よりはるかに少ない量である。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のヒ素化合物は、化学療法または放射線療法の投与前に、患者へ投与される。実施形態において、1つまたは複数のヒ素化合物は、患者への化学療法または放射線療法の投与と実質的に同時に、またはそれの後に、投与される。1つまたは複数のヒ素化合物は、化学療法または放射線療法の前、それの間、およびそれの後に投与されてもよい。化学療法後および放射線療法後の副作用の重症度の低下は、化学療法または放射線療法を受けた患者によって経験される生活の質を高める。そのような向上した生活の質の表れとして、がん患者は、ヒ素での前処置を受けていない患者と比較して、より旺盛な食欲、より良い眠り、より高いレベルのエネルギー、より少ない痛み、より少ない胃腸障害、より少ない脱毛、感染発生率の低下、および望ましい体重増加を有することが観察される。
ヒ素は、所望の保護効果を生じる、処置(例えば、化学療法または放射線療法)の投与近くのいずれの時点でも投与することができる。一実施形態において、ヒ素は、処置の投与前に、例えば、処置の投与の1〜2日前、1〜3日前、1〜4日前、1〜5日前、または1〜10日前に対象に投与される。いくつかの実施形態において、ヒ素は、処置の投与の1日前、2日前、3日前、4日前、または5日前に対象に投与される。適切な実施形態において、ヒ素は、処置の投与の3日前に投与される。この期間中、投与は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日6回、または(例えば、静脈内投与により)実質的に連続して、起こってもよい。
典型的には、保護効果を達成するのに十分な、ヒ素組成物の有効な量は、1日あたり体重1キログラムにつき約5μgから1日あたり体重1キログラムにつき約3,500μgまでの範囲である。いくつかの実施形態において、有効な量は、1日あたり体重1キログラムにつき約10μgから1日あたり体重1キログラムにつき約1,000μgまでの範囲である。他の実施形態において、有効な量は、約5〜約1,500μg/kg/日、約5〜約1,000μg/kg/日、約5〜約850μg/kg/日、約5〜約500μg/kg/日、約5〜約350μg/kg/日、約10〜約500μg/kg/日、約15〜約850μg/kg/日、または約15〜約350μg/kg/日の範囲である。他の実施形態において、有効な量は、約1〜約30μg/kg/日、約5〜約30μg/kg/日、約5〜約25μg/kg/日、約5〜約20μg/kg/日、約10〜約20μg/kg/日、または約15〜約20μg/kg/日の範囲である。適切な実施形態において、用量は、約15μg/kg/日、約20μg/kg/日、約25μg/kg/日、約30μg/kg/日、約35μg/kg/日、約40μg/kg/日、約50μg/kg/日、約100μg/kg/日、約150μg/kg/日、約250μg/kg/日、または約500μg/kg/日である。
いくつかの実施形態において、ヒトにおいて保護効果を達成するのに十分な、ヒ素組成物の有効な量は、約5〜約200μg/kg/日、約10〜約150μg/kg/日、約15〜約150μg/kg/日、約30〜約150μg/kg/日、約30〜約125μg/kg/日、約30〜約100μg/kg/日、約30〜約85μg/kg/日、約15〜約50μg/kg/日;約1〜約125μg/kg/日、約1.5〜約125μg/kg/日、約3〜約125μg/kg/日、約1.5〜約62.5μg/kg/日、約1〜約40μg/kg/日、または約2〜約85μg/kg/日の範囲である。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のヒ素化合物の適切な総量は、約31〜約125μg/kg/日、約31〜約85μg/kg/日、約35〜約80μg/kg/日、または約40〜約70μg/kg/日の範囲にある。
用いられ得るヒ素化合物の例には、酸化ヒ素(III)(三酸化ヒ素(As))、酸化ヒ素(V)(As)、セレン化ヒ素(III)(AsSe)、硫化ヒ素(II)(As)、硫化ヒ素(III)(As)、硫化ヒ素(V)(As)、テルル化ヒ素(III)(AsTe)、ヒ酸ナトリウム(NaHAsO)、亜ヒ酸ナトリウム(NaAsO)、ヒ酸カリウム(KHAsO)、アルセニル酒石酸ナトリウム(NaCAsO)、四硫化四ヒ素(As)、および他のヒ素誘導体が挙げられるが、それらに限定されない。
いくつかの実施形態において、三酸化ヒ素は、ヒト対象におけるがん細胞の放射線処置または化学療法的処置の間、ヒト対象における非がん性細胞への損傷を阻害し、低減し、または防止するために用いられ得る。三酸化ヒ素は、約1μg/kg/日から約125μg/kg/日までの範囲の量で投与され得る。いくつかの実施形態において、三酸化ヒ素は、約31μg/kg/日から約125μg/kg/日までの範囲の量で投与され得る。いくつかの実施形態において、三酸化ヒ素は、約31μg/kg/日から約85μg/kg/日までの範囲の量で投与され得る。種々の実施形態において、三酸化ヒ素は、三酸化ヒ素を投与されなかった対照対象または対照対象集団と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上、非がん性細胞への損傷を阻害し、低減し、または防止することができる。
いくつかの実施形態において、亜ヒ酸ナトリウムは、ヒト対象におけるがん細胞の放射線処置または化学療法的処置の間、ヒト対象における非がん性細胞への損傷を阻害し、低減し、または防止するために用いられ得る。亜ヒ酸ナトリウムは、約1μg/kg/日から約125μg/kg/日までの範囲の量で投与され得る。いくつかの実施形態において、亜ヒ酸ナトリウムは、約31μg/kg/日から約125μg/kg/日までの範囲の量で投与され得る。いくつかの実施形態において、亜ヒ酸ナトリウムは、約31μg/kg/日から約85μg/kg/日までの範囲の量で投与され得る。いくつかの実施形態において、亜ヒ酸ナトリウムは、約31μg/kg/日から約65μg/kg/日までの範囲の量で投与され得る。種々の実施形態において、亜ヒ酸ナトリウムは、亜ヒ酸ナトリウムを投与されなかった対照対象または対照対象集団と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上、非がん性細胞への損傷を阻害し、低減し、または防止することができる。
いくつかの実施形態において、三酸化ヒ素は、化学療法剤および/または放射線療法によって引き起こされる副作用を阻害し、低減し、または防止するために用いられる。三酸化ヒ素の投与後、放射線療法または1つもしくは複数の化学療法剤は、ヒト対象に投与され得る。いくつかの実施形態において、三酸化ヒ素は、放射線または1つもしくは複数の化学療法剤のヒト対象への投与の少なくとも1日前にヒト対象へ与えられる。いくつかの実施形態において、三酸化ヒ素は、放射線または化学療法剤のヒト対象への投与前の少なくとも3日間、ヒト対象に与えられる。種々の実施形態において、三酸化ヒ素は、三酸化ヒ素を投与されなかった対照対象または対照対象集団と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上、1つまたは複数の副作用を阻害し、低減し、または防止することができる。
一態様において、随伴毒性を有する処置を、その処置の投与時点の前の1回または複数回の保護的用量のヒ素の投与と共に投与することにより、対象における疾患状態を処置するための方法が開示される。保護的な量のヒ素含有化合物の投与は、化学療法または放射線療法に関連した1つまたは複数の副作用の改善を伴う。例えば、がんおよび特定の免疫学的障害の処置に用いられる化学療法および放射線療法は、汎血球減少、または貧血、好中球減少、および血小板減少の併発を引き起こし得る。したがって、造血細胞の増加または補充がそのような処置の成功にとって重大である場合が多い。
ヒ素の対象への投与の効果は、処置の毒性(例えば、造血毒性)の低減であり、それゆえ、高用量および用量高密度プロトコールが特定の対象の治療計画に利用されることを可能にする。この実施形態を実施することの全体的な利益は、ヒ素の対象への投与が、造血毒性などの処置の毒性を低減し、または減少させることである。結果的に、様々な処置様式の治療上許容される最大用量が変更され得る。いくつかの場合、処置の治療上許容される最大用量は、処置前にヒ素を投与されていない対象についての治療上許容される最大用量と比べて増加させることができる。
一実施形態において、保護的な量のヒ素の投与は、化学療法または放射線療法の曝露後の骨髄状態の改善を伴う。対象についての骨髄状態は、以下のうちの1つまたは複数が生じたならば、改善している:がん細胞治療(例えば、放射線療法および/または化学療法)後の対象における骨髄細胞の密度が、がん細胞治療の前に対象のヒ素での前処置が行われなかった場合より高い。がん細胞治療後の対象における骨髄中の前駆細胞または幹細胞の密度が、がん細胞治療の前に対象のヒ素での前処置が行われなかった場合より高い。がん細胞治療(例えば、放射線療法および/または化学療法)後の対象における骨髄組織の質量が、がん細胞治療の前に対象のヒ素での前処置が行われなかった場合より高い。またはがん細胞治療(例えば、放射線療法および/または化学療法)後の対象における骨髄細胞増殖の速度が、がん細胞治療の前に対象のヒ素での前処置が行われなかった場合より大きい。有効性の決定は、化学療法剤または放射線剤での治療後のいかなる時点でも行うことができる。例えば、有効性の決定は、剤(例えば、化学療法剤または放射線)が対象に送達されてから1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、またはそれ以後に行うことができる。骨髄試料は、この分析のために、対象の身体における骨髄の任意の部分から採取することができる。その結果を、ヒ素での前処置が行われなかった場合の予想される結果と比較するために、データは、同じまたは類似した化学療法または放射線療法を受けるが、ヒ素を受けない1個または複数の対照個体から、好ましくは数個の個体から収集することができる。適切には、対照集団は、同じ状態について、例えば、同じ型のがんについて処置されることになっている。量は、対照集団と比較して、いかなる利益であれ、生じる場合の保護的な量である。例えば、値または平均値が、対照個体または対照群からの値または平均値より、正常値に近い(例えば、対照個体または対照群からの値または平均値より高い)骨髄状態パラメータ(例えば、所与の前駆体細胞型の増殖率)を、処置される個体または群が有する場合には、その処置される個体または群の骨髄状態は改善されている。任意で、必要に応じて、統計学的方法をこの解析に適用することができる。種々の実施形態において、保護的な有効な量は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上、骨髄状態を改善する量であり得る。
化学療法、および場合によっては、放射線療法について、治療上許容される最大用量は、対象の全血球数(「CBC」)をモニターすることによって決定され得る。対象の骨髄への損傷は、低い赤血球数、低い白血球数、低い血小板数、またはそれらの組み合わせによって顕在化され得る。一般的に、正常の赤血球数は、血液の1マイクロリットルあたり約450万個から約600万個までの範囲である。血液の1マイクロリットルあたり約400万個より低い赤血球数は、化学療法剤用量および/または放射線線量が治療上許容される最大用量より高いことを示している可能性がある。一般的に、正常の白血球数は、血液の1マイクロリットルあたり約4,000個から約11,000個までの範囲である。血液の1マイクロリットルあたり約3,500個より低い白血球数は、化学療法剤用量および/または放射線線量が治療上許容される最大用量より高いことを示している可能性がある。一般的に、正常の血小板数は、血液の1マイクロリットルあたり約150,000個から約400,000個までの細胞の範囲である。血液の1マイクロリットルあたり約50,000個より低い血小板細胞数は、化学療法剤用量および/または放射線線量が治療上許容される最大用量より高いことを示している可能性がある。治療上許容される最大用量を決定するための方法は、本明細書に参照により組み入れられている、Gurey、「How to calculate the dose of chemotherapy」、British Journal of Cancer(2002)、86:1297〜1302に記載されている。
したがって、いくつかの実施形態において、治療上許容される最大量は、対象のCBCをモニターすることによって決定され得る。1つまたは複数の細胞カウントを一般的に許容されるレベルより下に降下させるまでに使用できる化学療法剤の量は、1つまたは複数の化学療法剤の投与前の1つまたは複数のヒ素化合物の対象への投与によって増加し得ることが見出されている。一般的に、対象に投与される化学療法剤の量を増加させることは、処置の有効性を増加させる(例えば、がん細胞が破壊される速度を増加させ、および/または再発率を低下させる)。
放射線療法中に、1つまたは複数の細胞カウントを一般的に許容されるレベルより下に降下させるまでに使用できる放射線線量は、放射線の対象への投与前の1つまたは複数のヒ素化合物の対象への投与によって増加し得ることもまた見出されている。一般的に、対象に投与される放射線の量を増加させることは、処置の有効性を増加させる(例えば、がん細胞が破壊される速度を増加させ、および/または再発率を低下させる)。
治療上許容される最大用量を決定するために他の因子が用いられてもよい。例えば、化学療法および放射線療法の副作用は、腸管粘膜への傷害であり得る。腸管粘膜への損傷は、身体が栄養分を吸収する能力に影響し得るため、これもまた、放射線療法および化学療法の用量制限副作用であり得る。いくつかの実施形態において、がん細胞治療の治療上許容される最大用量は、腸管粘膜へ許容される量の損傷を生じる用量であり得る。いくつかの実施形態において、対象の体重が、腸管粘膜の状態を決定するためにモニターされてもよい。例えば、有意な体重減少(例えば、対象の開始時の体重から3ポンドより多い処置中の体重減少)は、腸管粘膜への許容されない損傷を示し得る。腸管粘膜へ許容されない損傷が引き起こされないうちに用いられ得る化学療法剤の量は、1つまたは複数の化学療法剤の投与前の1つまたは複数のヒ素化合物の対象への投与によって増加し得ることが見出されている。腸管粘膜へ許容されない損傷が引き起こされないうちに放射線療法中に用いられ得る放射線線量は、放射線の対象への投与前の1つまたは複数のヒ素化合物の対象への投与によって増加し得ることもまた見出されている。
放射線療法剤および因子には、DNA損傷を誘導する放射線および波動、例えば、γ線照射、X線、UV照射、マイクロ波、電子放出、放射性同位元素などが挙げられる。治療は、上記の型の放射線を局在性腫瘍部位に照射することによって達成され得る。これらの因子の全部が、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製および修復能力、ならびに染色体の集合および維持への広範な損傷をもたらす可能性が最も高い。
X線についての線量範囲は、長期間(3〜4週間)の50〜200レントゲンの一日量から、2000〜6000レントゲンの単一線量までの範囲である。放射性同位元素についての用量範囲は、ばらつきが大きく、同位元素の半減期、放射される放射線の強度および型、ならびに新生物細胞による取り込みに依存する。
化学療法剤には、DNAに直接、架橋する剤、DNAへインターカレートする剤、ならびに核酸合成に影響を及ぼすことによって染色体異常および有糸***異常をもたらす剤が挙げられる。化学療法剤の例には、ドキソルビシン、ダウノルビシン、マイトマイシン、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、シスプラチン、エトポシド、腫瘍壊死因子、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、カルムスチン、メルファラン(melphalan)、シクロホスファミド、クロランブシル、ブスルファン、フルオロウラシル(「5FU」)、およびロムスチンが挙げられるが、それらに限定されない。これらの剤のいずれかが、1つまたは複数のヒ素化合物での患者の前処置の後に、単独で、または他の剤と組み合わせて、用いられ得る。1つまたは複数のヒ素化合物での患者の前処置は、上記で列挙された化学療法剤の副作用のうちの多くの強度および発生率を、そのような剤の効力を有意に阻害することなく、低減する。
核酸、特にDNAを直接、架橋する剤は、DNA損傷を生じることが想定され、かつ本明細書に示されており、そのことにより相乗的抗悪性腫瘍性多剤併用療法へと至る。シスプラチンおよび他のDNAアルキル化剤などの剤が用いられ得る。
DNAを損傷する剤にはまた、DNA複製、有糸***、および染色体分離に干渉する化合物が挙げられる。これらの化合物の例には、ドキソルビシン(別名アドリアマイシン)、エトポシド(別名VP−16)、ベラパミル、ポドフィロトキシンなどが挙げられる。これらの化合物は、新生物の処置のための臨床設定において広く用いられており、アドリアマイシンについての静脈内への21日間隔での25〜75mg/mから、エトポシドについての静脈内または経口での35〜100mg/mまでの範囲の用量で、ボーラス注入によって投与される。
ドキソルビシン塩酸塩、5,12−ナフタセンジオン,(8s−cis)−10−((3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−a−L−lyxo−ヘキソピラノシル)オキシ)−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシアセチル)−1−メトキシ−ヒドロクロリド(ヒドロキシダウノルビシン塩酸塩、アドリアマイシン)は、広域抗悪性腫瘍性スペクトルにおいて用いられる。それはDNAに結合し、核酸合成を阻害し、有糸***を阻害し、染色体異常を促進する。
単独で投与される場合、それは、甲状腺腺腫および原発性肝細胞癌の処置のための第一選択薬である。それは、卵巣腫瘍、子宮内膜腫瘍、および***腫瘍、気管支原性燕麦細胞癌、非小細胞肺癌、胃腺癌、網膜芽細胞腫、神経芽細胞腫、菌状息肉腫、膵癌、前立腺癌、膀胱癌、骨髄腫、びまん性組織球性リンパ腫、ウィルムス腫瘍、ホジキン病、副腎腫瘍、骨肉腫 軟部肉腫、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、ならびに急性リンパ球性白血病の処置のための31個の第一選択多剤併用療法薬の構成要素である。それは、島細胞がん、子宮頸がん、精巣がん、および副腎皮質がんの処置のための代替薬物である。それはまた、免疫抑制剤でもある。
ドキソルビシンは、吸収されにくく、典型的には、静脈内に投与される。薬物動態は、多区画性である。分布相は、12分間および3.3時間の半減期を有する。排出半減期は、約30時間である。40〜50%は、胆汁へ分泌される。残りの大部分は、肝臓で代謝されて、一部は活性代謝産物(ドキソルビシノール)になるが、数パーセントは尿へ***される。肝臓機能障害が存在する場合、用量は、典型的には抑制される。
適切な用量は、静脈内、成体、21日間隔で60〜75mg/m、または3週間もしくは4週間の間隔で繰り返される2日間連続もしくは3日間連続の各日における25〜30mg/m、または週1回の20mg/mである。最低用量は、高齢患者において、以前の化学療法もしくは新生物性骨髄浸潤によって引き起こされた事前の骨髄抑制がある場合、またはこの薬物が他の骨髄造血抑制薬と併用される場合に、用いられるべきである。用量は、血清ビリルビンが1.2mg/dLから3mg/dLの間にある場合には50%、3mg/dLより高い場合には75%、低減されるべきである。生涯の総用量は、正常な心機能を有する患者において550mg/mを超えるべきではなく、縦隔放射線照射を受けたことがある者においては400mg/mを超えるべきではない。あるいは、4週間ごとに繰り返される、3日間連続の各日における30mg/m。例示的な用量は、10mg/m、20mg/m、30mg/m、50mg/m、100mg/m、150mg/m、175mg/m、200mg/m、225mg/m、250mg/m、275mg/m、300mg/m、350mg/m、400mg/m、425mg/m、450mg/m、475mg/m、500mg/mであり得る。当然ながら、これらの用量の全ては、例示的であり、これらの点の間にある任意の用量もまた、本発明において有用であると予想される。
ダウノルビシン塩酸塩、5,12−ナフタセンジオン,(8S−cis)−8−アセチル−10−((3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−a−L−lyxo−ヘキサノピラノシル)オキシ)−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−10−メトキシ−ヒドロクロリド、別名セルビジンは、市販されている。ダウノルビシンは、DNAへインターカレートし、DNA指向性RNAポリメラーゼをブロックし、DNA合成を阻害する。それは、核酸合成に干渉しない用量で、細胞***を阻止することができる。
他の薬物と併用して、それは、成体における急性骨髄球性白血病(寛解導入として)、急性リンパ球性白血病、および慢性骨髄球性白血病の急性期の第一選択化学療法に含まれる。経口吸収は悪く、それは静脈内に与えられなければならない。分布の半減期は、45分間であり、排出の半減期は約19時間である。それの活性代謝産物である、ダウノルビシノールの半減期は約27時間である。ダウノルビシンは、大部分、肝臓で代謝され、胆汁へも分泌される(約40%)。用量は、肝不全または腎不全においては低減されなければならない。
適切な用量(塩基当量)は、静脈内 成体、60歳未満、3週間もしくは4週間ごとに1日間、2日間、もしくは3日間、45mg/m/日(60歳より上の患者については30mg/m)、または3週間もしくは4週間ごとに3〜6日間、0.8mg/kg/日である。生涯において550mg/mより多くが与えられるべきではなく、ただし、胸部照射を受けたことがある場合の450mg/m以下を除く。子ども、年齢が2歳未満であり、または体表面が0.5m未満である場合(その場合、体重に基づいた成体スケジュールが用いられる)を除いて、25mg/m、週1回。それは、注射剤形(塩基当量)20mg(塩酸塩の21.4mgに対応する塩基当量として)で利用できる。例示的な用量は、10mg/m、20mg/m、30mg/m、50mg/m、100mg/m、150mg/m、175mg/m、200mg/m、225mg/m、250mg/m、275mg/m、300mg/m、350mg/m、400mg/m、425mg/m、450mg/m、475mg/m、500mg/mであり得る。当然ながら、これらの用量は、例示的であり、これらの点の間にある任意の用量もまた、本発明において有用であると予想される。
マイトマイシン(別名ムタマイシンおよび/またはマイトマイシン−C)は、抗腫瘍活性を有することが示されているStreptomyces caespitosusのブロスから単離された抗生物質である。この化合物は、熱安定性であり、高い融点を有し、有機溶媒において溶解しやすい。
マイトマイシンは、デオキシリボ核酸(DNA)の合成を選択的に阻害する。グアニンおよびシトシンの含有量は、マイトマイシン誘導性架橋の程度と相関する。この薬物の高濃度において、細胞RNAおよびタンパク質合成もまた抑制される。
ヒトにおいて、マイトマイシンは、静脈内投与後、血清から迅速にクリアランスされる。30mgのボーラス注射後、血清濃度を50%、低下させるために必要とされる時間は、17分間である。30mg、20mg、または10mgの静脈内注射後、最大血清中濃度は、それぞれ、2.4mg/mL、1.7mg/mL、および0.52mg/mLであった。クリアランスは、主に肝臓における代謝によってもたらされるが、代謝は、他の組織においても起こる。クリアランスの速度は、最大血清中濃度に反比例し、それは、分解経路の飽和のためと考えられる。
マイトマイシンの用量の約10%は、尿中に変化せずに***される。代謝経路は、比較的低い用量で飽和するため、尿中に***された用量のパーセントは、用量の増加と共に増加する。子どもにおいて、静脈内に投与されたマイトマイシンの***は同様である。
アクチノマイシンD(ダクチノマイシン)(50−76−0);C62861216(1255.43)は、DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害する抗悪性腫瘍薬である。それは、絨毛癌、胎児性横紋筋肉腫、精巣腫瘍、およびウィルムス腫瘍の処置のための第一選択多剤併用療法薬の構成要素である。全身性処置に応答しない腫瘍は、局所的灌流に応答することがある。ダクチノマイシンは放射線療法を強化する。それは二次性(遠心性)免疫抑制剤である。
アクチノマイシンDは、一次的手術、放射線療法、ならびに他の薬物、特にビンクリスチンおよびシクロホスファミドと組み合わせて用いられる。抗悪性腫瘍活性はまた、ユーイング腫瘍、カポジ肉腫、および軟部組織肉腫においても確認されている。アクチノマイシンDは、絨毛癌の進行症例を有する女性において有効であり得る。それはまた、転移性精巣癌を有する患者においてクロラムブシルおよびメトトレキセートと併用して、一貫した応答を生じる。応答は、ホジキン病および非ホジキンリンパ腫を有する患者においても観察される場合がある。アクチノマイシンDはまた、免疫応答、特に腎移植の拒絶反応を抑制するために用いられている。
用量の半分は、無傷のまま、胆汁へ***され、10%が尿へ***され、半減期は約36時間である。薬物用量は血液脳関門を通過しない。アクチノマイシンDは、凍結乾燥した粉末として供給される(各バイアル中0/5mg)。通常の一日量は、10〜15mg/kgであり、これは静脈内に5日間、与えられる。毒性の症状が引き起こされないならば、追加のコースが3〜4週間の間隔で与えられてもよい。100〜400mgの連日注射が、子どもに10〜14日間、与えられている。他の投与計画において、3〜6mg/kg、合計125mg/kg、および7.5mg/kgの週1回の維持量が用いられている。薬物を、点滴静注のチューブへ投与することがより安全であるが、皮下反応を避けるためにバイアルから薬物を引き出すのに用いられた針を廃棄するという予防措置を以て、直接的静脈内注射が与えられている。例示的な用量は、100mg/m、150mg/m、175mg/m、200mg/m、225mg/m、250mg/m、275mg/m、300mg/m、350mg/m、400mg/m、425mg/m、450mg/m、475mg/m、500mg/mであり得る。当然ながら、これらの用量の全ては、例示的であり、これらの点の間にある任意の用量もまた、本発明において有用であると予想される。
ブレオマイシンは、Streptomyces verticillusの株から単離された細胞毒性糖ペプチド抗生物質の混合物である。それは水に溶解しやすい。
ブレオマイシンの正確な作用機構は知られていないが、入手可能な証拠は、主要な作用様式がDNA合成の阻害であることを示すように思われ、RNAおよびタンパク質合成の阻害はより低いといういくつかの証拠がある。
マウスにおいて、高濃度のブレオマイシンは、皮膚、肺、腎臓、腹膜、およびリンパ管に見出される。造血組織に見出される低濃度と対照的に、皮膚および肺の腫瘍細胞は高濃度のブレオマイシンを有することが見出されている。骨髄に見出される低濃度のブレオマイシンは、その組織に見出される高レベルのブレオマイシン分解酵素に関連している可能性がある。
1分あたり>35mLのクレアチニンクリアランスを有する患者において、ブレオマイシンの血漿中または血清中最終排出半減期は、およそ115分間である。1分あたり<35mLのクレアチニンクリアランスを有する患者において、血漿中または血清中最終排出半減期は、クレアチニンクリアランスが減少するにつれて、指数関数的に増加する。ヒトにおいて、投与された用量の60%〜70%は、活性ブレオマイシンとして尿中で回収される。
ブレオマイシンは、緩和療法とみなされるべきである。それは、単一剤としてか、または他の認可された化学療法剤との実証済みの併用としてかのいずれかで、以下の新生物の管理において有用であることが示されている:頭頸部(口、舌、扁桃腺、上咽頭、中咽頭、洞、口蓋、唇、頬側粘膜、歯肉、喉頭蓋、咽頭を含む)、皮膚、陰茎、頸部、および外陰部などの扁平上皮癌。それはまた、リンパ腫および精巣癌の処置にも用いられている。
アナフィラキシー様反応の可能性のため、リンパ腫患者は、最初の2回の用量について2単位以下で処置されるべきである。急性反応が起こらなければ、標準の投与スケジュールに従ってもよい。
ホジキン病および精巣腫瘍の改善は、迅速であり、2週間以内に観察される。この時までに改善が見られない場合には、改善の可能性は低い。扁平上皮がんはよりゆっくりと応答し、何らかの改善が観察されるまでに3週間も要することがある。
ブレオマイシンは、筋肉内、静脈内、または皮下経路によって与えられてもよい。
シスプラチンは、転移性精巣もしくは卵巣癌、進行性膀胱がん、頭頸部がん、子宮頸がん、肺がん、または他の腫瘍などのがんを処置するために広く用いられている。シスプラチンは、単独で、または他の剤と組み合わせて、用いることができ、15〜20mg/m、3週間ごとに5日間、合計3回のコースの効果的な用量が、臨床適用に用いられる。例示的な用量は、0.50mg/m、1.0mg/m、1.50mg/m、1.75mg/m、2.0mg/m、3.0mg/m、4.0mg/m、5.0mg/m、10mg//mであり得る 当然ながら、これらの用量の全ては、例示的であり、これらの点の間にある任意の用量もまた、本発明において有用であると予想される。
シスプラチンは、経口では吸収されず、それゆえ、静脈内に、皮下に、腫瘍内に、または腹腔内に注射によって送達されなければならない。
本発明の特定の態様において、シスプラチンは、非小細胞肺癌の処置においてエモジンまたはエモジン様化合物と組み合わせて用いられる。しかしながら、シスプラチンおよびエモジンまたはエモジン様化合物の組み合わせは、任意の他のneu媒介性がんの処置に用いることができることは明らかである。
エトポシドは、VP16としても知られており、主に、ブレオマイシンおよびシスプラチンと組み合わせて精巣腫瘍の処置に、シスプラチンと組み合わせて肺の小細胞癌に用いられる。それはまた、非ホジキンリンパ腫、急性非リンパ球性白血病、***の癌腫、および後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連したカポジ肉腫に対しても活性がある。
エトポシドは、静脈内投与について溶液(20mg/ml)として、および経口使用について50mgの液体入りカプセルとして入手可能である。肺の小細胞癌について、(併用療法における)静脈内用量は、多くも100mg/m、または少なくも2mg/mであり得、日常的には35mg/m、毎日4日間〜50mg/m、毎日5日間もまた用いられている。経口で与えられる場合、用量は2倍にされるべきである。このように、小細胞肺癌についての用量は、高くも200〜250mg/mであってもよい。(併用療法における)精巣がんについての静脈内用量は、50〜100mg/m、毎日5日間、または100mg/m、1日おきに3回の投与である。治療のサイクルは、通常、3〜4週間ごとに繰り返される。この薬物は、おそらく製剤中に用いられる溶媒のせいである血圧低下および気管支痙攣を避けるために30分〜60分間の注入中、ゆっくり投与されるべきである。
腫瘍壊死因子(TNF;カケクチン)は、いくつかの種類のがん細胞を殺害し、サイトカイン産生を活性化し、マクロファージおよび内皮細胞を活性化し、コラーゲンおよびコラゲナーゼの産生を促進し、炎症メディエータであり、また敗血症ショックのメディエータでもあり、異化反応、発熱、および睡眠を促進する糖タンパク質である。いくつかの感染病原体は、TNF産生の刺激を通して腫瘍縮小を引き起こす。TNFは、有効用量において単独で用いられる場合、極めて有毒であり得るため、最適な投与計画は、おそらく、他の薬物と組み合わせてより低い用量でそれを用いるであろう。その免疫抑制作用は、γ−インターフェロンによって強化され、そのため、その組み合わせは危険である可能性がある。TNFとインターフェロン−αのハイブリッドもまた、抗がん活性を有することが見出されている。
タキソールは、トネリコ、セイヨウイチイ(Taxus brevifolia)の樹皮から単離された実験的有糸***阻害剤である。それは、チューブリンに(ビンカアルカロイドによって用いられる部位とは異なる部位で)結合し、微小管の集合を促進する。タキソールは、最近、臨床的に評価されつつある。それは、悪性黒色腫および卵巣の癌腫に対する活性を有する。最大用量は、1日あたり30mg/mで5日間、または3週間ごとに1回与えられる210〜250mg/mである。当然ながら、これらの用量の全ては、例示的であり、これらの点の間にある任意の用量もまた、本発明において有用であると予想される。図6は、ポリエチレングリコールアダプターを通しての、ペプチドと抗がん剤タキソールを運搬するリポソームとのコンジュゲーションを示す図である。
ビンクリスチンは、有糸***をブロックし、***中期停止を生じる。この薬物の生物学的活性の大部分が、チューブリンへ特異的に結合する能力、および微小管へと重合するタンパク質の能力をブロックする能力によって説明することができる可能性が高いように思われる。***装置の微小管の破壊を通して、細胞***は中期で停止する。有糸***中、染色体を正しく分離できないことは、おそらく細胞死をもたらす。
正常な骨髄細胞および上皮細胞に対するビンクリスチンの比較的低い毒性ゆえに、この剤は抗悪性腫瘍薬の中で珍しいものと言え、それは、他の骨髄抑制剤と組み合わせて含まれる場合が多い。
ビンブラスチンまたはビンクリスチンの経口投与後の予測不可能な吸収が報告されている。通常の臨床用量において、血漿中の各薬物のピーク濃度は、約0.4mMである。
ビンブラスチンおよびビンクリスチンは、血漿タンパク質に結合する。それらは、血小板中に高度に濃縮され、白血球および赤血球中ではより小さい程度で濃縮される。
ビンクリスチンは、血漿からのクリアランスの多相パターンを有する。最終半減期は約24時間である。この薬物は、肝臓で代謝されるが、生物学的活性のある誘導体は同定されていない。肝機能不全を有する患者において、用量は低減されるべきである。血漿中のビリルビンの濃度が3mg/dl(約50mM)より高い場合には、用量の少なくとも50%の低減が必要である。
硫酸ビンクリスチンは、静脈内注射用溶液(1mg/ml)として入手可能である。コルチコステロイドと共に用いられるビンクリスチンは、現在、小児白血病において寛解を導入するための選り抜きの処置である。これらの薬物についての最適な用量は、ビンクリスチン、静脈内、2mg/体表面積m、週1回、およびプレドニソロン、経口、40mg/m、毎日であると思われる。ホジキン病または非ホジキンリンパ腫を有する成体患者は、通常、複合体プロトコールの一部としてビンクリスチンを受ける。MOPP投与計画に用いられる場合、ビンクリスチンの推奨用量は、1.4mg/mである。高用量のビンクリスチンは、重篤な神経毒性を経験する可能性がある成体によるより、白血病を有する子どもによって、より良く許容されるように思われる。7日間ごとより頻繁な、またはより高い用量でのこの薬物の投与は、応答速度が比例的に向上することなく、毒性症状を増加させるように思われる。ビンクリスチンの静脈内投与中の血管外遊出を避けるための予防措置もまた用いられるべきである。ビンクリスチン(およびビンブラスチン)は、匹敵する毒性があって静脈内に投与することができるものより数倍多い用量で、腫瘍の動脈血供給へ注入することができる。
ビンクリスチンは、ホジキン病および他のリンパ腫において有効となっている。それは、ホジキン病において単独で用いられる場合、ビンブラスチンより若干、有益性が低いように思われるが、メクロレタミン、プレドニソロン、およびプロカルバジンと共に用いられる場合(いわゆるMOPP投与計画)、それは、この疾患の進行期(IIIおよびIV)についての好ましい処置である。非ホジキンリンパ腫において、ビンクリスチンは、特にシクロホスファミド、ブレオマイシン、ドキソルビシン、およびプレドニソロンと共に用いられる場合、重要な剤である。ビンクリスチンは、リンパ球性白血病においてビンブラスチンより有用である。有益な応答は、様々な他の新生物、特に、ウィルムス腫瘍、神経芽細胞腫、脳腫瘍、横紋筋肉腫、ならびに***、膀胱、***系、および女性生殖器系の癌を有する患者において報告されている。
用いられるビンクリスチンの用量は、個々の患者のニーズに応じて臨床医によって決定される。0.01〜0.03mg/kgもしくは0.4〜1.4mg/mを投与することができ、または1.5〜2mg/mを投与することができる。あるいは、0.02mg/m、0.05mg/m、0.06mg/m、0.07mg/m、0.08mg/m、0.1mg/m、0.12mg/m、0.14mg/m、0.15mg/m、0.2mg/m、0.25mg/mを、一定静脈内注入として与えることができる。当然ながら、これらの用量の全ては、例示的であり、これらの点の間にある任意の用量もまた、本発明において有用であると予想される。
細胞がビンブラスチンとインキュベートされる場合、微小管の溶解が起こる。ビンブラスチンまたはビンクリスチンの経口投与後の予測不可能な吸収が報告されている。通常の臨床用量において、血漿中の各薬物のピーク濃度は、約0.4mMである。ビンブラスチンおよびビンクリスチンは、血漿タンパク質に結合する。それらは、血小板中に高度に濃縮され、白血球および赤血球中ではより小さい程度で濃縮される。
静脈内注射後、ビンブラスチンは、血漿からのクリアランスの多相パターンを有する。分布後、薬物は、約1時間および20時間の半減期を以て、血漿から消失する。
ビンブラスチンは、肝臓において、生物学的活性のある誘導体デアセチルビンブラスチンへと代謝される。投与された用量の約15%が尿中、無傷のまま検出され、約10%が、胆汁中***後の糞便中で回収される。肝機能不全を有する患者においては、用量は低減されるべきである。血漿中のビリルビンの濃度が3mg/dl(約50mM)より高い場合には、用量の少なくとも50%の低減が必要である。
硫酸ビンブラスチンは、注射用調製物において入手可能である。この薬物は静脈内に与えられる。皮下遊出に対する特別の予防措置をとらなければならず、これが、痛みを伴う炎症および潰瘍を引き起こす可能性があるからである。この薬物は、循環障害がある四肢へ注射されるべきではない。0.3mg/体重kgの単回投与後、骨髄抑制は、7〜10日間でその最大に達する。中程度の白血球減少(約3000細胞/mm)に達していないならば、週1回の用量を、0.05mg/体重kgの増加分ずつ、徐々に増加してもよい。精巣がんを治癒させるために設計された投与計画において、ビンブラスチンは、血液細胞数または毒性にかかわらず、3週間ごとに0.3mg/kgの用量で用いられる。
ビンブラスチンの最も重要な臨床用途は、ブレオマイシンおよびシスプラチンと併用した、転移性精巣腫瘍の治癒的治療においてである。有意な改善が50〜90%の症例において観察され得る、有益な応答は、様々なリンパ腫、特にホジキン病において報告されている。高い割合のリンパ腫におけるビンブラスチンの有効性は、その疾患がアルキル化剤に対して不応性である場合でも、減少することはない。それはまた、カポジ肉腫、神経芽細胞腫、およびレッテラー・シーベ病(組織球症X)において、加えて、女性における***の癌腫および絨毛癌において、活性がある。
用いられるビンブラスチンの用量は、個々の患者のニーズに応じて臨床医によって決定される。0.1〜0.3mg/kgを投与することができ、または1.5〜2mg/mも投与することができる。あるいは、0.1mg/m、0.12mg/m、0.14mg/m、0.15mg/m、0.2mg/m、0.25mg/m、0.5mg/m、1.0mg/m、1.2mg/m、1.4mg/m、1.5mg/m、2.0mg/m、2.5mg/m、5.0mg/m、6mg/m、8mg/m、9mg/m、10mg/m、20mg/mを与えることができる。当然ながら、これらの用量の全ては、例示的であり、これらの点の間にある任意の用量もまた、本発明において有用であると予想される。
カルムスチン(無菌カルムスチン)は、特定の腫瘍性疾患の処置に用いられるニトロソ尿素の1つである。それは、1,3ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソ尿素である。それは、214.06の分子量をもつ、凍結乾燥した淡黄色フレークまたは凝結した塊である。それは、アルコールおよび脂質中において高溶解性であり、水には溶解しにくい。カルムスチンは、推奨されているように、再構成後、静脈内注入によって投与される。無菌カルムスチンは、一般的に、凍結乾燥物質の100mg単一用量バイアルにおいて入手できる。
カルムスチンがDNAおよびRNAをアルキル化することは一般的に同意されているが、それは、他のアルキル化剤と交差耐性ではない。他のニトロソ尿素と同様に、それはまた、タンパク質におけるアミノ酸のカルバモイル化によって、いくつかの重要な酵素過程を阻害する可能性がある。
カルムスチンは、神経膠芽腫、脳幹神経膠腫、メディロブラディオーマ(medullobladyoma)、星細胞腫、上衣腫、および転移性脳腫瘍などの脳腫瘍において、単一剤として、または他の認可された化学療法剤との確立された併用療法において、緩和療法として適応される。それはまた、多発性骨髄腫を処置するためにプレドニソロンと組み合わせて用いられている。カルムスチンは、ホジキン病および非ホジキンリンパ腫の処置において、一次治療で処置されながらも再発する患者において、または一次治療に応答しない患者において、他の認可された薬物と併用した二次治療として、有用であることが証明されている。
以前に処置されていない患者における単一剤としてのカルムスチンの推奨用量は、6週間ごと、静脈内への150〜200mg/mである。これは、単一用量として与えられてもよいし、または2日間連続で、75〜100mg/mなどの連日注射へ分割されてもよい。カルムスチンが、他の骨髄抑制薬と組み合わせて、または骨髄予備能が枯渇している患者において、用いられる場合、用量は、それに応じて調整されるべきである。初回量の後の用量は、先行する用量に対する患者の血液学的応答に応じて調整されるべきである。他の用量、例えば、10mg/m、20mg/m、30mg/m、40mg/m、50mg/m、60mg/m、70mg/m、80mg/m、90mg/m、100mg/mが本発明に用いられてもよいことは当然、理解されている。当業者は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第17版を参照する。用量のいくらかの変動は、処置されることになっている対象の状態に依存して、必然的に起こる。いずれにしろ、投与の責任を担う者は、個々の対象について適切な用量を決定するであろう。
アルケラン、L−フェニルアラニンマスタード、フェニルアラニンマスタード、L−PAM、またはL−サルコリシンとしても知られたメルファラン(melphalan)は、ナイトロジェンマスタードのフェニルアラニン誘導体である。メルファラン(melphalan)は、選ばれたヒト腫瘍性疾患に対して活性がある二機能性アルキル化剤である。それは、化学的には、4−(ビス(2−クロロエチル)アミノ)−L−フェニルアラニンとして知られている。
メルファラン(melphalan)は、この化合物の活性L−異性体であり、BergelおよびStockによって1953年に初めて合成された。メドファランとして知られたD−異性体は、特定の動物腫瘍に対して活性がより低く、染色体へ効果を生じるのに必要とされる用量は、L−異性体に関して必要とされる用量より多い。ラセミ(DL−)体は、メルファラン(merphalan)またはサルコリシンとして知られている。メルファラン(melphalan)は、水に不溶性であり、約2.1のpKaを有する。メルファラン(melphalan)は、経口投与用の錠剤の形で入手でき、多発性骨髄腫を処置するために用いられている。
入手可能な証拠により、多発性骨髄腫を有する患者の約3分の1〜2分の1が、この薬物の経口投与に対して好ましい応答を示すことが示唆されている。
メルファラン(melphalan)は、卵巣上皮癌の処置に用いられている。卵巣癌の処置のための1つの一般的に利用される投与計画は、単一コースとして、0.2mg/kgの用量で毎日5日間、メルファラン(melphalan)を投与することになっている。コースは、血液学的許容度に応じて、4週間または5週間ごとに繰り返される。あるいは、用いられるメルファラン(melphalan)の用量は、低くも0.05mg/kg/日、または高くも3mg/kg/日、またはこれらの用量の間にある任意の用量、またはこれらの用量より高くあり得る。用量のいくらかの変動は、処置されることになっている対象の状態に依存して、必然的に起こる。いずれにしろ、投与の責任を担う者は、個々の対象について適切な用量を決定するであろう。
シクロホスファミドは、2H−1,3,2−オキサザホスホリン−2−アミン,N,N−ビス(2−クロロエチル)テトラヒドロ−,2−オキシド一水和物である。Cytoxanという名前で、Mead Johnsonから入手可能、およびNeosarという名前でAdriaから入手可能である。シクロホスファミドは、トリエチルアミンの触媒作用下でジオクサン溶液中、3−アミノ−1−プロパノールとN,N−ビス(2−クロロエチル)ホスホロアミジン酸ジクロリド((ClCHCH).sub.2N−−POCl)を縮合することによって調製される。縮合は、ヒドロキシル基およびアミノ基の両方を含む2つであり、したがって、環化をもたらす。
他のβ−クロロエチルアミノアルキル化剤と違って、それは、肝酵素によって活性化されるまで活性エチレンイモニウム型へ容易に環化しない。したがって、その物質は、胃腸管において安定で、耐容性が良く、経口および非経口経路により有効であり、局所的水疱形成、壊死、静脈炎、またはさらに疼痛を引き起こさない。
成体用の適切な用量には、経口では、胃腸管許容度に応じて1〜5mg/kg/日(通常、併用)、または1〜2mg/kg/日;静脈内では、最初に、2〜5日間にわたる分割量での40〜50mg/kg、または7〜10日間ごとに10〜15mg/kg、または3〜5mg/kg、週2回、または1.5〜3mg/kg/日が挙げられる。用量250mg/kg/日が、抗悪性腫瘍薬として投与される場合がある。胃腸管の有害効果のため、静脈内経路が、負荷について好ましい。維持中、3000〜4000/mmの白血球数は、通常、望ましい。この薬物はまた、筋肉内に、浸潤により、または体腔へ投与されることがある。それは、100mg、200mg、および500mgの注射用剤形で、ならびに25mgおよび50mgの錠剤で入手できる。投与のための用量に関する詳細については、当業者は、参照により本明細書に組み入れられている、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」15版61章を参照されたい。
クロラムブシル(別名ロイケラン)は、選ばれたヒト腫瘍性疾患に対して活性があることが見出されているナイトロジェンマスタード型の二機能性アルキル化剤である。クロラムブシルは、化学的には、4−(ビス(2−クロロエチル)アミノ)ベンゼンブタン酸として知られている。
クロラムブシルは、経口投与用の錠剤の形で入手できる。それは、胃腸管から迅速かつ完全に吸収される。0.6〜1.2mg/kgの単回経口投与後、血漿中クロラムブシルのピークレベルは1時間以内に達せられ、親薬物の最終半減期は、1.5時間と推定される。0.1〜0.2mg/kg/日または3〜6mg/m/日、または代替として0.4mg/kgが、抗悪性腫瘍性処置に用いられ得る。処置計画は、当業者によく知られており、本明細書で参照された「Physicians Desk Reference」および「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に見出すことができる。
クロラムブシルは、慢性リンパ性(リンパ球性)白血病、リンパ肉腫、巨大濾胞性リンパ腫、およびホジキン病を含む悪性リンパ腫の処置に適応される。それは、これらの障害のいずれにおいても治癒的ではなく、臨床的に有用な緩和を生じ得る。
ブスルファン(別名ミレラン)は、二機能性アルキル化剤である。ブスルファンは、化学的には、1,4−ブタンジオールジメタンスルホネートとして知られている。
ブスルファンは、ナイトロジェンマスタードの構造類似体ではない。ブスルファンは、経口投与用の錠剤の形で入手できる。各分割錠は、2mgのブスルファンならびに不活性成分のステアリン酸マグネシウムおよび塩化ナトリウムを含有する。
ブスルファンは、慢性骨髄性(myelogenous)(骨髄性(myeloid)、骨髄球性(myelocytic)、顆粒球性)白血病の緩和処置に適応される。治癒的ではないが、ブスルファンは、顆粒球の全質量を低減し、疾患の症状を軽減し、患者の臨床状態を改善する。以前に処置されていない慢性骨髄性白血病を有する成体の約90%が、ブスルファンの使用後、臓器肥大の退行または安定化と共に血液学的寛解を得るであろう。生存期間およびヘモグロビンレベルの維持に関して脾臓照射より優れていること、ならびに脾腫大を制御することにおいて照射法と等価であることが示されている。
フルオロウラシル(「5FU」)(商標名Adrucil、Carac、Efudex、およびFluoroplexで販売されている)は、がんの処置に用いられるピリミジン類似体である薬物である。その主要な用途の一部は、結腸直腸がんおよび膵がんにおいてである。それはまた、炎症性乳がんの処置に用いられることもある。
ロムスチンは、特定の腫瘍性疾患の処置に用いられるニトロソ尿素の1つである。それは、1−(2−クロロエチル)−3−シクロヘキシル−1−ニトロソ尿素である。それは、C16ClNの実験式および233.71の分子量をもつ黄色の粉末である。ロムスチンは、10%エタノール中(1mLあたり0.05mg)および無水アルコール中(1mLあたり70mg)に可溶性である。ロムスチンは、水に比較的溶けにくい(1mLあたり<0.05mg)。それは、生理的pHにおいて比較的イオン化していない。ロムスチンカプセル中の不活性成分はステアリン酸マグネシウムおよびマンニトールである。
ロムスチンはDNAおよびRNAをアルキル化することは一般的に同意されているが、それは他のアルキル化剤と交差耐性ではない。他のニトロソ尿素と同様に、それはまた、タンパク質におけるアミノ酸のカルバモイル化によって、いくつかの重要な酵素過程を阻害する可能性がある。
ロムスチンは経口で与えられてもよい。30mg/mから100mg/mまでの範囲の用量での放射性ロムスチンの経口投与後、与えられた放射活性の約半分が、24時間以内に、分解産物の形で***された。
代謝産物の血清中半減期は、16時間から2日間までの範囲である。組織内レベルは、静脈内投与から15分後において血漿中レベルに匹敵する。
ロムスチンは、原発性および転移性脳腫瘍の両方について、適切な外科手術および/または放射線治療方法をすでに受けている患者において、他の処置様式に加えて単一剤として、または他の認可された化学療法剤との確立された併用療法において、有用であることが示されている。それはまた、一次治療で処置されながらも再発する患者において、または一次治療に応答しない患者において、他の認可された薬物と併用したホジキン病に対する二次治療において、有効であることが証明されている。
以前に処置されていない患者における単一剤としての成体および子どもにおけるロムスチンの推奨用量は、6週間ごとの単一経口用量として130mg/mである。骨髄機能が損なわれた個体において、用量は、6週間ごとの100mg/mに低減されるべきである。ロムスチンが、他の骨髄抑制薬と組み合わせて用いられる場合、用量は、それに応じて調整されるべきである。処置されることになっている個体に必要であると臨床医によって決定された場合、他の用量、例えば、20mg/m、30mg/m、40mg/m、50mg/m、60mg/m、70mg/m、80mg/m、90mg/m、100mg/m、120mg/m、またはこれらの数値の間の任意の用量が用いられ得ることは理解されている。
がんの成長の除去のための外科的処置は、腫瘍およびがんの処置についてのもう一つの標準方法である。これは、がんの成長全体を除去することを試みる。しかしながら、手術は、一般的に、いかなる残存する新生物細胞または悪性細胞の破壊も確実にするために化学療法および/または放射線療法と併用される。このように、手術は、腫瘍を処置するために、放射線療法および化学療法を用いることに加えて、用いられ得る。
DNA損傷の誘導は、がん細胞を殺害するための放射線療法および化学療法の両方についての主要な作用様式であり、それはまた、p53を強く活性化する。多数の証拠により、DNA損傷性抗がん治療に誘導される急性毒性は、主に、p53によって媒介され、p53は、活性化されると、腸上皮、脾臓、骨髄、甲状腺、舌、精巣、および毛包を含む感受性組織において大量のアポトーシス性細胞死を誘導し、重篤な病理学的帰結をもたらすことが示されている。これらの観察と一致して、欠陥p53をもつ細胞は、DNA損傷誘導性アポトーシスに抵抗性であるという所見がある。さらに、遺伝的研究により、p53欠損マウスは、放射線および化学療法によって誘導される毒性に対して不応性であることが示されている。化学療法および放射線療法に対するp53媒介性病理学的応答は、p53の抑制が、有害な副作用の寛解のための可能性のあるアプローチとなり、患者がはるかにより攻撃的な(かつそれゆえに、潜在的に、より成功する)処置計画を許容することを可能にし得ることを示唆している。しかしながら、p53は、最も重要な腫瘍抑制因子の1つであり、それゆえに、それの阻害に起因する潜在的がんリスクには、対処する必要がある。
p53腫瘍抑制因子は、産物が細胞周期停止、DNA修復、老化、またはアポトーシスを媒介するいくつかの遺伝子の発現を調節する転写因子である。発がんの防止におけるp53の重要な役割は、p53遺伝子座に直接、影響を及ぼす突然変異を通してか、またはその正常な制御の異常を通してかのいずれかによるがん細胞におけるそれの普遍的な不活性化によって裏付けられる。DNA損傷応答経路および発がん性ストレス経路はp53に集まって来るため、両方の経路は、p53の腫瘍抑制機能に不可欠であると考えられている。しかしながら、最近の遺伝的研究は、DNA損傷経路よりむしろ発がん性ストレス経路が、p53媒介性腫瘍抑制に必須であることを示す有力な証拠を提供している。p53状態が、機能状態と不活性状態の間をin vivoで可逆的に切り換えることができる、遺伝子操作されたマウスモデルを用いて、p53媒介性DNA損傷応答は、腫瘍抑制に無関係であるが、病理学的帰結の原因であることが示されている。興味深いことは、急性DNA損傷応答が鎮まるまでのp53回復の遅延が、がん発生に対する保護を保持し、そのような保護がp19ARFに依存するという所見である。内因性p53が、DNA損傷活性化プロテインキナーゼ(ATM、ATR、またはChk2)によってリン酸化することができない突然変異体によって置換された、マウス遺伝的研究は、急性DNA損傷応答が、p53媒介性腫瘍抑制にとって必要ではない可能性があるという意見と一致している。ノックインマウスは、DNA損傷誘導性アポトーシスの能力がなかったが、それにもかかわらず、がん発生から完全に保護されていた。これらの研究を合わせると、p53活性の一時的な抑制は、腫瘍抑制機能を損なうことなくDNA損傷誘導性細胞毒性を有意に低下させ得ることが示されており、がん治療保護のアプローチとして一時的なp53阻害を探求するための論理的根拠が提供されている。
ヒ素は、Ras−GTPアーゼ依存性機構を通してNADPHオキシダーゼ活性を活性化して、活性酸素の細胞内群発を生じることにより酸化ストレスを誘導する、天然に存在する半金属である。ヒト、実験動物、および培養細胞のヒ素への曝露は、様々な多様効果と関連している。ヒ素は、確定のヒト発がん物質であるが、特に低用量における、ヒ素応答曲線の形について多くの議論がある。この議論は、ヒ素曝露を通して動物モデルにおいてがんを誘発することに一貫した成功がないため、ヒ素発がんの機構ははっきりしないままであるという事実によってさらに複雑化している。低用量データを含む疫学調査もまた、約60ppb(0.8μM)未満の濃度での飲料水中のヒ素への曝露が、対照値より低い膀胱がんまたは肺がんのリスクと関連していることを示している。しかしながら、毒性レベルで吸収された場合、ヒ素は、がんを含む重篤な健康問題を引き起こす。例えば、バングラデシュの多くの地域において、飲料水中の高濃度のヒ素は、それが、がん率の増加と相関しているため、特別な健康上の懸念となっている。しかし、ヒ素はまた、より低い用量において健康に有益な効果を生じるともてはやされてきた。例えば、18世紀から20世紀初期にかけて、Fowler’s Solution(1%亜ヒ酸カリウム)として知られた無機ヒ素調製物が、皮膚がん、高血圧、および関節炎を含む様々な疾患の処置に用いられた。ヒ素は、女性によって顔貌を向上させるために皮膚に塗られさえした。ヒ素に対する応答の濃度関連階層は、十分実証されている。例えば、ヒト成人***ケラチノサイトにおいて、5μM以下の濃度での24時間のヒ素処置は、細胞増殖および細胞生存を促進することが知られている転写因子である、核内因子−κB(NF−κB)およびアクチベータータンパク質1(AP−1)活性の増強を伴う増殖の誘導が生じた。10μM以上の濃度において、細胞生存率の統計学的に有意な減少が観察された。低濃度のヒ素および高濃度のヒ素によって誘導される細胞効果の異なる性質の裏付けとして、ゲノム分析は、低用量(5μM、非細胞毒性)および高用量(50μM、細胞毒性)が、遺伝子のほとんど完全に重複していないサブセットの発現に影響することを示し、低用量における生存促進性生物学的応答から高用量における死促進性応答への定性的切り換えと一致している。合わせて考えると、入手可能な情報は、ヒ素の二相性用量応答を示している。低用量ヒ素によって誘導される効果は、高用量ヒ素の効果と大きさにおいて異なるだけではなく、性質においても異なる、すなわち、細胞保護性対細胞毒性である。
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために含まれる。以下にある実施例に開示された技術は、本発明の実施において十分機能するように、本発明者らによって発見された技術を代表しており、したがって、その実施のための好ましい様式を構成すると考えることができることは当業者によって理解されているはずである。しかしながら、当業者は、本開示を鑑みれば、開示されている特定の実施形態に多くの変化を加えることができ、かつ本発明の精神および範囲から逸脱することなく、同様の、または類似した結果をなお得ることができることを理解するはずである。
[低用量のヒ素は、p53活性を、その細胞質内分布を誘導することにより抑制する]
低用量(1〜10μM、12時間)における亜ヒ酸ナトリウムでの細胞の短期間処置は、Hdm2の上方制御およびp53の細胞質内の蓄積に関連している。MAPK経路を通して、低レベルの亜ヒ酸塩は、Hdm2のP2プロモーター媒介性発現を刺激し、その後、Hdm2は、P53ユビキチン化および続いて核外移行を促進する。結果として、UV照射または5FU処置に応答してのp53活性化およびアポトーシスが機能しないことによって証明されているように、遺伝毒性ストレスに対するp53応答は損なわれる。p53活性化を妨害する亜ヒ酸塩の能力は、マウスが亜ヒ酸塩含有水を与えられた場合、5FU処置によって誘発されるp53依存性組織損傷の有意な鈍化によって、さらに実証される。
[担がんマウスの低用量のヒ素での前処置は、化学療法および照射誘導性殺害から正常組織を保護するが、がん細胞を保護しない]
実験において、肺癌細胞株A549を、ヒ素の効果を評価するためのマウス異種移植モデルを作製するために用いた。胸腺欠損ヌードマウス(Balb c nu/nu、4〜6週齢)をHarlan laboratoriesから購入した。マウスを無菌条件下で飼育し、12時間の明/12時間の暗のサイクルで維持し、食物および水を随意に供給した。100μlの最終体積中マウスあたり3百万個の細胞としてのヒト肺癌細胞A549(マトリゲル中50%懸濁液としての細胞)を、Balb cヌードマウスの右側腹部に皮下注射した。平均腫瘍容積が約100mmに達したとき、マウスを以下の群へランダム化した。対照;亜ヒ酸塩のみ;5FUのみ;亜ヒ酸塩および5FU;X線照射のみ;亜ヒ酸塩およびX線照射。ヒ素前処置について、マウスに、亜ヒ酸ナトリウムを(1.0mg/Lとして)含有する水を3日間、与えた。その後、マウスを、静脈内への5FU(30mg/体重kg)か、または2Gy全身照射(「TBI」)かのいずれかを毎日1週間、与えた。腫瘍容積を定期的に測定した。腫瘍容積を、方程式:(容積=長さ×幅×深さ×0.5236mm)を用いて計算した。体重もまた、実験期間中、モニターした。数値は、群あたり合計10匹のマウスを用いた2つの独立した実験からの平均値±SEである。
媒体群または対照群において、腫瘍容積は、時間と共に増加し続けた(図1および2参照)。ヒ素処置は、移植腫瘍の成長にいかなる検出可能な効果も生じず、そのような短期間のヒ素処置は腫瘍進行の促進も阻害も引き起こさないことを示した。予想された通り、静脈内処置による5FU(30mg/体重kg)か、または全身照射(TBI)としての2Gyでの照射のいずれかでの毎日1週間の処置は、著しい腫瘍退縮を生じた。意義深いことには、5FU誘導性腫瘍退縮または照射誘導性腫瘍退縮が、ヒ素で、またはヒ素なしで前処置された2つの群の間で区別できないという観察によって証明されているように、ヒ素前処置は、5FU誘導性腫瘍抑制および照射誘導性腫瘍抑制のどちらにもほとんど効果を示さなかった(図1および2)。したがって、本発明者らのデータは、低用量のヒ素前処置が、少なくともヒト肺癌異種移植マウスモデルにおいて、5FUおよび放射線の効力に検出可能には影響しないことを示している。
低用量ヒ素が、これらの担がんマウスにおいて5FUまたは照射によって引き起こされる損傷から正常組織を保護することができるかどうかを試験するために、本発明者らは、実験期間中、体重変化をモニターした。実験において記載されているように処置されたマウスの体重を、実験期間中、モニターした。
図1および2に示されているように、対照マウスの体重は、7週間目まで横ばい状態にならず、その後、わずかに増加した。興味深いことに、ヒ素処置マウスは、体重の減少をほとんど示さなかった。顕著な対比として、5FUまたは照射のどちらで処置されたマウスも、体重が有意に減少した。これはおそらく、それらの動物における腫瘍成長がほとんど完全に抑制されていたため、処置の毒性によって引き起こされている(図1および2参照)。意義深いことには、そのような治療誘導性体重減少は、ヒ素含有水を与えられたマウスの体重の最小限の減少によって実証されているように、ヒ素前処置によって効果的に防止された。
ヒ素の効果を組織レベルで評価するために、本発明者らは、化学療法および放射線処置に対して最も感受性が高い2つの組織、小腸細胞および骨髄細胞を調べた。動物全体のレベルでの観察と一致して、5FUおよび放射線処置は、小腸細胞および骨髄細胞への激しい損傷を伴い、そのような損傷は、低用量ヒ素前処置によって有意に阻害された。まとめると、結果は、低用量ヒ素での短期間処置が、5FUおよび照射の癌細胞を殺害する能力を損なうことなく、正常組織の顕著な保護を伴うことを示している。
[最大保護を提供するためのヒ素前処置の継続期間]
次に、本発明者らは、最大保護を提供することができるヒ素前処置の継続期間を決定した。本発明者らは、担がんマウスを、飲料水中1.0mg/Lのヒ素で1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、または7日間、前処置した。動物を、再び、5FU(30mg/体重kg)で、毎日1週間、処置し、体重変化をモニターした。結果は、1日間および2日間のヒ素前処置が、3日間前処置より弱い保護を生じたが、3日間より長い前処置からの利益のさらなる増加はなかったことを示している。合わせて考えると、本発明者らのデータは、3日間のヒ素前処置が最適な保護として十分であるように思われることを示している。
[ヒ素媒介性p53阻害は、一時的かつ可逆的である]
ヒ素に関連した潜在的がんリスクを認識して、本発明者らは、低用量ヒ素媒介性p53阻害が可逆的であるかどうかを調べた。5μM亜ヒ酸ナトリウムを含有する培地中で3日間培養した後、非形質転換型ヒト***上皮細胞株である、MCF10A細胞を、ヒ素を含まない培地中で、1日間、3日間、5日間、7日間、9日間、または11日間、回復させ、照射に対するp53応答を評価した。放射線誘導性p53活性化は、p53タンパク質存在量およびp21発現の誘導によって反映され、細胞がヒ素を含まない培地中で5日間、培養されてやっと検出でき、ヒ素除去から7日後、ほとんど完全に回復した。ウェスタン結果と一致して、免疫染色により、ヒ素を含まない培地中で5日間、培養された細胞において、p53の核再分布が明らかにされた。合わせて考えると、培養細胞に関する結果は、ヒ素媒介性p53阻害は、一時的であり、いったんヒ素処置が中止されたならば、完全に逆戻りし得ることを示している。
次に、本発明者らは、マウスを用いて、p53活性のヒ素媒介性調節をin vivoで調べた。この目的を達成するために、本発明者らは、末梢血リンパ球を用いて、照射に対するp53応答をモニターした。マウスに、ヒ素を含有する水を3日間、与えた。ヒ素除去から1日後、3日後、5日後、7日後、9日後、または11日後、全血を動物から収集した。Ficoll方法を用いることにより、リンパ球を単離した。細胞を24時間、培養し、その後、2Gyの線量で照射し、処置から3時間後、採取した。ウェスタン分析を実施した。細胞に基づいた研究からの結果と一致して、ヒ素を除去した後、放射線によるp53活性化は、わずかにより遅い反応速度ではあるが、回復した。放射線誘導性p53蓄積およびp21発現は、照射後0日目および1日目において抑制され、7日目に部分的に回復し、9日目に、未処置レベルまで完全に戻った。まとめると、本発明者らのデータは、低用量ヒ素誘導性p53抑制が一時的かつ可逆的であることを示している。
[ヒト***MDA MB−321異種移植雌マウス]
胸腺欠損ヌードマウス(Balb c nu/nu、4〜6週齢)をHarlan laboratoriesから購入した。マウスを無菌条件下で飼育し、12時間の明/12時間の暗のサイクルで維持し、食物および水を随意に供給した。100mlの最終体積中マウスあたり3百万個の細胞としてのヒト乳癌細胞MDA−MB−231(マトリゲル中50%懸濁液としての細胞)を、Balb cヌードマウスの右側腹部に皮下注射した。平均腫瘍容積が約100mmに達したとき、マウスを以下の群へランダム化した。対照;5FUのみ;亜ヒ酸塩および5FU。ヒ素前処置について、マウスに、亜ヒ酸ナトリウムを(1.0mg/Lとして)含有する水を3日間、与え、または腹腔内(「IP」)処置を施した(10μg/日、3日間)。その後、マウスを、静脈内への5FU(30mg/体重kg)で、毎日1週間、処置した。腫瘍容積を定期的に測定した。腫瘍容積を、方程式:(容積=長さ×幅×深さ×0.5236mm)を用いて計算した。体重を、実験期間中、モニターした。数値は、群あたり合計10匹のマウスを用いた2つの独立した実験からの平均値±SEである。この実験からの結果を図3に提示している。
予想された通り、媒体群または対照群における腫瘍容積は、時間と共に増加し続けた(図3)。5FU(30mg/体重kg、静脈内)での毎日1週間の処置は、著しい腫瘍退縮を生じた。5FU誘導性腫瘍退縮が、亜ヒ酸ナトリウムで、または亜ヒ酸ナトリウムなしで前処置された2つの群の間で区別できないという観察によって証明されているように、ヒ素前処置は、5FU誘導性腫瘍抑制にほとんど効果を示さなかった(図3)。低用量ヒ素が、これらの担がんマウスにおいて5FUによって引き起こされる損傷から正常組織を保護することができるかどうかを試験するために、本発明者らは、実験期間中、体重変化をモニターした。体重の減少をほとんど示さなかった対照マウスとは顕著な対比を示して、5FUで処置されたマウスは、体重の有意な減少を示した。三酸化ヒ素で前処置されたマウスの体重における最小限の減少によって実証されているように、5FU誘導性体重減少は、ヒ素前処置によってほとんど完全に防止された。
[ヒト結腸癌異種移植(5FU)]
胸腺欠損ヌードマウス(Balb c nu/nu、4〜6週齢)をHarlan laboratoriesから購入した。マウスを無菌条件下で飼育し、12時間の明/12時間の暗のサイクルで維持し、食物および水を随意に供給した。100mlの最終体積中マウスあたり3百万個の細胞としてのヒト結腸癌細胞SW−480(マトリゲル中50%懸濁液としての細胞)を、Balb cヌードマウスの右側腹部に皮下注射した。平均腫瘍容積が約100mmに達したとき、マウスを以下の群へランダム化した。対照;亜ヒ酸塩のみ、5FUのみ;亜ヒ酸塩および5FU。ヒ素前処置について、マウスに、亜ヒ酸ナトリウムを(1.0mg/Lとして)含有する水を3日間、与えた。その後、マウスを、静脈内への5FU(30mg/体重kg)で毎日1週間、処置した。腫瘍容積を定期的に測定した。腫瘍容積を、方程式:(容積=長さ×幅×深さ×0.5236mm3)を用いて計算した。体重を、実験期間中、モニターした。数値は、群あたり合計10匹のマウスを用いた2つの独立した実験からの平均値±SEである。この実験からの結果を図4に提示している。
予想された通り、媒体群または対照群における腫瘍容積は、時間と共に増加し続けた(図4)。ヒ素処置は、移植腫瘍の成長にいかなる検出可能な効果も生じず、そのような低用量ヒ素での短期間処置は腫瘍進行の促進も阻害も引き起こさないことを示した。5FU(30mg/体重kg、静脈内)での毎日1週間の処置は、著しい腫瘍退縮を生じた。5FU誘導性腫瘍退縮が、亜ヒ酸ナトリウムで、または亜ヒ酸ナトリウムなしで前処置された2つの群の間で区別できないという観察によって証明されているように、ヒ素前処置は、5FU誘導性腫瘍抑制にほとんど効果を示さなかった。5FUおよびヒ素の処置に対する応答において、雄マウスと雌マウスの間でほとんど差はなかった。したがって、本発明者らのデータは、短期間の低用量のヒ素前処置が、少なくともヒト結腸癌異種移植マウスモデルにおいて、5FUの効力に検出可能には影響しないことを示している。
低用量ヒ素が、これらの担がんマウスにおいて5FUによって引き起こされる損傷から正常組織を保護することができるかどうかを調べるために、本発明者らは、実験期間中、体重変化をモニターした。体重の減少をほとんど示さなかった対照マウスおよびヒ素処置マウスとは顕著な対比を示して、5FUで処置されたマウスは、体重の有意な減少を示した。これはおそらく、それらの動物における腫瘍がほとんど完全に退縮したため、処置の毒性によって引き起こされている。意義深いことには、5FU誘導性体重減少は、ヒ素含有水を与えられた雄マウスおよび雌マウスの両方の体重の最小限の減少によって実証されているように、ヒ素前処置によってほとんど完全に防止された。
体重測定の結果を確証するために、本発明者らは、化学療法剤誘導性損傷に対して最も感受性が高い2つの組織、小腸細胞および骨髄細胞を調べることにより、組織レベルでヒ素の効果を評価した。動物全体での観察と一致して、5FU処置は、小腸腺窩のサイズと形態の両方における著しい変化によって証明されているように、小腸細胞への激しい損傷を伴った。そのような損傷は、低用量ヒ素前処置によって有意に寛解した。ヒ素の保護効果はまた、骨髄においても明らかである。骨髄細胞消耗は、5FU処置マウスにおいて明らかに観察されたが、この骨髄細胞性の減少は、ヒ素前処置されたマウスにおいて大幅に軽減された。まとめると、結果は、低用量ヒ素での短期間処置が、5FUの癌細胞を殺害する能力を損なうことなく、正常組織の顕著な保護を伴うことを示している。
[C57BL/6 WTマウスおよびR172Pノックインマウス]
本発明者らの前の研究により、アポトーシスの低用量ヒ素媒介性抑制の根底にある機構は、p53の阻害であることが示された。突然変異体p53発現型マウスモデルを用いて、ヒ素の観察された保護効果がp53不活性化によって媒介されたのかどうかを試験した。4〜6週齢の黒色C57BL/6 WTマウスまたはp53 R172PノックインマウスをLazona博士から入手した。マウスを無菌条件下で飼育し、12時間の明/12時間の暗のサイクルで維持し、食物および水を随意に供給し、マウスを以下の群へランダム化した。対照;X線照射のみ;亜ヒ酸塩およびX線照射。ヒ素前処置について、マウスに、三酸化ヒ素を(1.0mg/Lとして)含有する水を3日間、与えた。その後、マウスに、2Gy TBIを毎日1週間、照射した。体重を、実験期間中、モニターした。数値は、群あたり合計10匹のマウス用いた2つの独立した実験からの平均値±SEである。この実験からの結果は、図5に提示されている。野生型同腹仔とは対照的に、ヒ素は、p53突然変異体マウスにおいて5FU誘導性毒性に対する保護をほとんど与えず、ヒ素が、p53の抑制を介して健康な正常組織に選択的な保護効果を発揮するモデルを裏付けた。
[亜ヒ酸ナトリウム前処置の用量依存の研究]
群あたり6匹の雄マウスおよび6匹の雌マウスに関する亜ヒ酸ナトリウムの12個の異なる用量を試験した。3500μg/体重kgを超える亜ヒ酸ナトリウム用量は、それだけで、非常に明らかな毒性を示した。結果として、本発明者らは、15μg/kgから3500μg/kgまでの7個の用量群を試験した。3日間、ヒ素で、またはヒ素なしでのいずれかで前処置されたマウスに、2Gyの線量での全身照射を与えた。照射から48時間後、動物を捕獲し、血液試料および組織を収集した。本発明者らは、毒性を評価するためのマーカーとして、WBC(リンパ球、マクロファージ、および血小板を含む)数、GI管におけるp53活性、およびGI形態を用いた。これらの3つのパラメータに基づいて、合わせて考えると、保護的ヒ素用量範囲が決定され、それは、15μg/体重kgから1000μg/体重kgまでである。結果は図6に提示されている。
[ヒ素での前処置後の細胞の組織学的研究]
亜ヒ酸ナトリウムで前処置されたマウスを、放射線療法(2Gyまたは6Gy)または化学療法(シスプラチンまたは5−FU)に供し、様々な細胞への損傷を評価した。表1は、ヒ酸塩前処置あり、またはなしでの、化学療法または放射線療法後の腎細胞の状態を示す。
表2は、ヒ酸塩前処置あり、またはなしでの、化学療法または放射線療法後の骨髄細胞の状態を示す。
表3は、ヒ酸塩前処置あり、またはなしでの、化学療法または放射線療法後の脾臓細胞の状態を示す。
表4は、ヒ酸塩前処置あり、またはなしでの、化学療法または放射線療法後の小腸細胞の状態を示す。
表5は、ヒ酸塩前処置あり、またはなしでの、化学療法または放射線療法後の様々な組織の状態を示す。
[動物研究からの用量変換]
マウスにおける研究から収集されたデータは、ヒトに用いられる適切な投薬範囲を決定するために用いられ得る。一実施形態において、マウス研究に基づいたヒトについての用量範囲は、以下の方程式(1)を用いて決定され得る。
ヒト等価用量(mg/kg)=マウス用量(mg/kg)*0.081
他の動物が用いられる場合には、用量範囲は、参照により本明細書に組み入れられている、Reagan−Shawら、「Dose translation from animal to human studies revisited」The FASEB Journal、22巻、2007年、659〜661ページに教示されているように、類似した方程式に基づいて調整され得る。
[ヒ素用量制限毒性研究]
三酸化ヒ素は、無菌注射用溶液中で入手できる。固体状態における分子式はAsである。その分子量は197.8グラムである。その作用機構は完全には理解されていないが、多くの種々のがん細胞株において成長を阻害し、アポトーシスを促進することが考えられる。急性前骨髄球性白血病を有する患者について500ml 5%グルコース生理食塩水中の、静脈内に2〜3時間かけて送達される、現在用いられている10mg(0.15mg/kgのFDA認可用量と一致)の一日量において、血漿中ヒ素は、t1/2α 0.89±0.29時間およびt1/2β 12.13±3.31時間で、迅速に平均ピークレベル6.85μモル/L(範囲、5.54〜7.30μモル/L)に達した。ヒ素の連続投与はヒ素の血漿中濃度の変化を生じなかったこともまた示されている。三酸化ヒ素の代謝は、ヒ酸還元酵素による5価ヒ素から3価ヒ素への還元、ならびにメチルトランスフェラーゼによる、3価ヒ素からモノメチルアルソン酸へ、およびモノメチルアルソン酸からジメチルアルシン酸へのメチル化を含む。メチル化反応の主要な場所は肝臓であると思われる。ヒ素は、肝臓、腎臓、心臓、肺、および爪に貯蔵される。通常の***様式は、尿中である。現在、血液腫瘍および固形腫瘍における三酸化ヒ素の多数のNCI支援の臨床試験がある。三酸化ヒ素は、公知のヒト発がん物質であるが、非常に低いレベルでのヒトへのその効果は、議論の余地があり、いくつかのデータは、特定のがんに対するヒ素の保護効果を支持している。
三酸化ヒ素の血液学的毒性評価について、ヒ素投与なしとありとの交互化学療法サイクルの比較が用いられ、血液学的評価項目への効果の測定は、反復測定設計を用いて研究される。用量の段階的増大から決定される三酸化ヒ素の用量は、臨床毒性評価のための各患者についての一定用量として用いられる。評価項目には、化学療法の交互サイクルを比較する、時間経過における血液学的パラメータ(白血球数、血小板数、およびヘマトクリット)の変化が挙げられる。毒性評価は、三酸化ヒ素の投与された用量においてin vitroでのp53活性化がブロックされている患者についてのみ実施される。これらの患者について、三酸化ヒ素は、化学療法のサイクル1、3、および5については投与されない。三酸化ヒ素は、サイクル2、4、および6について、投与される。各患者は、化学療法の偶数サイクル前に、同じ用量の三酸化ヒ素を受ける。
[概要]
DNA損傷の誘導は、がん細胞を殺害するための放射線療法および化学療法の両方についての主要な作用様式であり、それはまた、p53を強く活性化する。多数の証拠により、DNA損傷性抗がん治療に誘導される急性毒性は、主に、p53によって媒介され、p53は、活性化されると、腸上皮、脾臓、骨髄、甲状腺、舌、精巣、および毛包を含む感受性組織において大量のアポトーシス性細胞死を誘導し、重篤な病理学的帰結をもたらすことが示されている。これらの観察と一致して、欠陥p53をもつ細胞は、DNA損傷誘導性アポトーシスに抵抗性であるという所見がある。さらに、遺伝的研究により、p53欠損マウスは、放射線および化学療法によって誘導される毒性に対して不応性であることが示されている。化学療法および放射線療法に対するp53媒介性病理学的応答は、p53の抑制が、有害な副作用の寛解のための可能性のあるアプローチとなり、患者がはるかにより攻撃的な(かつそれゆえに、潜在的に、より成功する)処置計画を許容することを可能にし得ることを示唆している。しかしながら、p53は、最も重要な腫瘍抑制因子の1つであり、それゆえに、それの阻害に起因する潜在的がんリスクには、対処する必要がある。
p53腫瘍抑制因子は、産物が細胞周期停止、DNA修復、老化、またはアポトーシスを媒介するいくつかの遺伝子の発現を調節する転写因子である。発がんの防止におけるp53の重要な役割は、p53遺伝子座に直接、影響を及ぼす突然変異を通してか、またはその正常な制御の異常を通してかのいずれかによるがん細胞におけるそれの普遍的な不活性化によって裏付けられる。DNA損傷応答経路および発がん性ストレス経路はp53に集まって来るため、両方の経路は、p53の腫瘍抑制機能に不可欠であると考えられている。しかしながら、最近の遺伝的研究は、DNA損傷経路よりむしろ発がん性ストレス経路が、p53媒介性腫瘍抑制に必須であることを示す有力な証拠を提供している。p53状態が、機能状態と不活性状態の間をin vivoで可逆的に切り換えることができる、遺伝子操作されたマウスモデルを用いて、p53媒介性DNA損傷応答は、腫瘍抑制に無関係であるが、病理学的帰結の原因であることが示されている。興味深いことは、急性DNA損傷応答が鎮まるまでのp53回復の遅延が、がん発生に対する保護を保持し、そのような保護がp19ARFに依存するという所見である。内因性p53が、DNA損傷活性化プロテインキナーゼ(ATM、ATR、またはChk2)によってリン酸化することができない突然変異体によって置換された、マウス遺伝的研究は、急性DNA損傷応答がp53媒介性腫瘍抑制にとって必要ではない可能性があるという意見と一致している。ノックインマウスは、DNA損傷誘導性アポトーシスの能力がなかったが、それにもかかわらず、がん発生から完全に保護されていた。これらの研究を合わせると、p53活性の一時的な抑制は、腫瘍抑制機能を損なうことなくDNA損傷誘導性細胞毒性を有意に低下させ得ることが示されており、がん治療保護のアプローチとして一時的なp53阻害を探求するための論理的根拠が提供されている。
ヒ素は、Ras−GTPアーゼ依存性機構を通してNADPHオキシダーゼ活性を活性化して、活性酸素の細胞内群発を生じることにより酸化ストレスを誘導する、天然に存在する半金属である。ヒト、実験動物、および培養細胞のヒ素への曝露は、様々な多様効果と関連している。ヒ素は、確定のヒト発がん物質であるが、特に低用量における、ヒ素応答曲線の形について多くの議論がある。この議論は、ヒ素曝露を通して動物モデルにおいてがんを誘発することに一貫した成功がないため、ヒ素発がんの機構ははっきりしないままであるという事実によってさらに複雑化している。低用量データを含む疫学調査もまた、約60ppb(0.8μM)未満の濃度での飲料水中のヒ素への曝露が、対照値より低い膀胱がんまたは肺がんのリスクと関連していることを示している。しかしながら、毒性レベルで吸収された場合、ヒ素は、がんを含む重篤な健康問題を引き起こす。例えば、バングラデシュの多くの地域において、飲料水中の高濃度のヒ素は、それが、がん率の増加と相関しているため、特別な健康上の懸念となっている。しかし、ヒ素はまた、より低い用量において健康に有益な効果を生じると、もてはやされてきた。例えば、18世紀から20世紀初期にかけて、Fowler’s Solution(1%亜ヒ酸カリウム)として知られた無機ヒ素調製物が、皮膚がん、高血圧、および関節炎を含む様々な疾患の処置に用いられた。ヒ素は、女性によって顔貌を向上させるために皮膚に塗られさえした。ヒ素に対する応答の濃度関連階層は、十分実証されている。例えば、ヒト成人***ケラチノサイトにおいて、5μM以下の濃度での24時間のヒ素処置は、細胞増殖および細胞生存を促進することが知られている転写因子である、核内因子−κB(NF−κB)およびアクチベータータンパク質1(AP−1)活性の増強を伴う増殖の誘導が生じた。10μM以上の濃度において、細胞生存率の統計学的に有意な減少が観察された。低濃度のヒ素および高濃度のヒ素によって誘導される細胞効果の異なる性質の裏付けとして、ゲノム分析は、低用量(5μM、非細胞毒性)および高用量(50μM、細胞毒性)が、遺伝子のほとんど完全に重複していないサブセットの発現に影響することを示し、低用量における生存促進性生物学的応答から高用量における死促進性応答への定性的切り換えと一致している。合わせて考えると、入手可能な情報は、ヒ素の二相性用量応答を示している。低用量ヒ素によって誘導される効果は、高用量ヒ素の効果と大きさにおいて異なるだけではなく、性質においても異なる、すなわち、細胞保護性対細胞毒性である。
いかなる特定の理論にも縛られるつもりはないが、低用量ヒ素前処置は、一時的なp53抑制の機構を介して正常組織を、DNA損傷誘導性病理的帰結から効果的に保護することができると考えられる。重要なことは、保護が正常組織へ選択的であり、がん細胞は、それらの欠陥p53のため、この保護応答を共有しないという所見である。本発明者らはまた、ヒ素のp53活性への効果をモニターするために末梢リンパ球を用いる方法を確立した。
[例−悪性腫瘍を有するヒト対象における低用量ヒ素のp53への効果]
この研究の目的は、ヒト患者においてp53活性化をブロックすることにおける三酸化ヒ素の活性を評価することであった。p53の活性化を、患者のリンパ球のin vitroアッセイによって測定した。
[方法]
末梢血球数を抑制することが知られた化学療法を開始することになっている、白血病以外の悪性腫瘍と診断された18歳より上の患者を研究に登録した。化学療法の各サイクル間の予想される間隔は、最低2週間であった。患者は、ヒ素前処置なしで化学療法の最初のサイクル、続いて、3日間連続のヒ素前処置を含む化学療法の第2サイクル(三酸化ヒ素は、サイクル2の間、−3日目、−2日目、および−1日目に投与された)を受けた。処置を、1/2時間かけて静脈内に0.005mg/kgの用量で与えた。
ヒ素のp53抑制への効果を、サイクル1/1日目(その時点において、患者はヒ素も化学療法も受けていない)におけるp53活性化を、患者が3日間のヒ素前処置を受けたサイクル2/1日目におけるp53活性化と比較することにより決定した。末梢リンパ球がサイクル1/1日目において培養中、2Gyでの放射線照射により誘導可能なp53活性化を示さなかった患者は、この実施例についての最終結果に考慮されなかった。
p53活性化のアッセイについて、約10mLの全血を、各サイクルの1日目に患者から単離した。その後、リンパ球をFicoll勾配上で分離し、細胞をPBSで洗浄し、2つのアリコートへ分割し、アッセイ前に37℃で培地中、インキュベートした。次に、アリコートの1つを2Gy放射線に曝露し、p53の活性化を誘導した。他方のアリコートを処理しなかった。細胞を収集し、溶解し、p53の活性化をPathScan(登録商標)Phospho−p53(Serl5)Sandwich ELISAキット(Cell Signaling、Technology、Danvers、MA)を用いて測定した。
簡単に述べれば、このアッセイは、ホスホ−p53(Ser15)タンパク質の内因性レベルを検出する固相サンドイッチ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)である。p53ウサギモノクローナル抗体をマイクロウェル上にコーティングした。細胞可溶化液とのインキュベーション後、非ホスホ−p53タンパク質およびホスホ−p53タンパク質の両方を、コーティングされた抗体によって捕獲した。徹底的な洗浄後、ホスホ−p53(16G8)マウスモノクローナル抗体を加えて、捕獲されたホスホ−p53タンパク質を検出した。その後、HRP連結抗マウス抗体を用いて、結合した検出抗体を認識した。HRP基質のTMBを加えて、発色させた。この発色についての光学密度の大きさは、ホスホ−p53タンパク質の量に比例する。処理された(照射された)試料と未処理の試料におけるp53の活性化を、その2つの試料間の光学密度の差を調べることにより比較した。処理された試料と未処理の試料の間の光学密度の差を、未処理の試料の光学密度で割って、パーセンテージの差(ELISAパーセンテージ)を得た。
[結果]
10人の患者の予備的なコホートを研究した。この分析に含まれる患者は、三酸化ヒ素なしのサイクルとペアになった三酸化ヒ素の少なくとも1サイクルを完了する患者として定義される。コホートにおける10人の患者のうちの1人(対象#007)は、サイクル1/1日目において培養中、2Gyでの放射線照射により誘導可能なp53活性化を示し、この患者のリンパ球が誘導性p53を有することを示した。ヒ素前処理後(サイクル2/1日目)、その対象は、培養中、2Gyでの放射線照射により誘導可能なp53活性化の低下を示した。対象#007についての結果は、下記の表6に示されている。
この結果は、サイクル1/1日目において、患者は、強いp53誘導を示したことを示す。患者が、化学療法の次のサイクルの開始前に三酸化ヒ素を受けたとき、p53の誘導は大いに抑制された。in vitroでの2Gyの放射線への曝露後、患者の末梢リンパ球におけるp53活性化の妨害と細胞生存の保護との間に密接な取り決めがあるだろうことが含意される。そのようなものとして、低用量ヒ素は、in vivoで化学療法の効果からヒト対象の正常組織を保護するための方法において有用である。
この特許において、特定の米国特許、米国特許出願、および他の資料(例えば、論文)は、参照により組み入れられている。しかしながら、そのような米国特許、米国特許出願、および他の資料の文章は、そのような文章と、本明細書に示されたその他の記述および図面との間に矛盾が存在しない程度で、参照により組み入れられるのみである。そのような矛盾の場合、そのような参照により組み入れられた米国特許、米国特許出願、および他の資料におけるいかなるそのような矛盾する文章も、厳密に言えば、この特許において参照により組み入れられていない。
本発明の様々な態様のさらなる改変および代替の実施形態は、この記載を鑑みれば、当業者に明らかであろう。したがって、この記載は、例証としてのみ解釈されるべきであり、本発明を行う一般的な方法を当業者に教示することを目的とする。本明細書に示され、および記載された本発明の形式は、実施形態の例としてとられるべきであることは、理解されるべきである。要素および材料が、本明細書に例証および記載されたものと置き換わってもよく、部分および工程が逆転されてもよく、本発明の特定の特徴が、独立して利用されてもよく、それらは全て、本発明のこの記載の恩恵を享受した後は、当業者にとって明らかであろう。以下の特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された要素に変化が加えられ得る。

Claims (20)

  1. がんの処置のための放射線処置および/または化学療法的処置を必要としているヒト対象に、1つまたは複数のヒ素化合物を、1μg/kg/日から125μg/kg/日までの保護的な量で投与するステップであって、前記ヒ素化合物の1つまたは複数が、ヒト対象への放射線および/または1つもしくは複数の化学療法剤の投与の少なくとも1日前に、ヒト対象に投与されるステップと、
    前記ヒ素化合物の1つまたは複数の投与の後に放射線および/または1つもしくは複数の化学療法剤をヒト対象に投与するステップと
    を含む、ヒト対象におけるがん細胞の放射線処置および/または化学療法的処置中にヒト対象における非がん性細胞への損傷を阻害、防止、または低減する方法。
  2. 1つまたは複数のヒ素化合物が三酸化ヒ素を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 1つまたは複数のヒ素化合物の保護的な量が31μg/kg/日から85μg/kg/日までである、請求項1に記載の方法。
  4. 1つまたは複数のヒ素化合物の保護的な量が40μg/kg/日から70μg/kg/日までである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記ヒ素化合物の1つまたは複数が、ヒト対象への放射線の投与の少なくとも3日前にヒト対象へ投与される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記ヒ素化合物の1つまたは複数が、ヒト対象への放射線の投与前の少なくとも3日間連続、ヒト対象へ投与される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記ヒ素化合物の1つまたは複数が、ヒト対象に経口投与される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記ヒ素化合物の1つまたは複数が、ヒト対象に静脈内投与される、請求項1に記載の方法。
  9. 前記対象が化学療法的処置を必要としている、請求項1に記載の方法。
  10. 前記対象が放射線処置を必要としている、請求項1に記載の方法。
  11. 1つまたは複数のヒ素化合物をヒト対象に投与するステップと、
    前記ヒ素化合物の1つまたは複数の投与の後に、治療上許容される最大用量の1つまたは複数の化学療法剤を前記対象に供するステップであって、前記ヒ素化合物の1つまたは複数の投与後に与えられる、前記1つまたは複数の化学療法剤の前記治療上許容される最大用量が、1つまたは複数のヒ素化合物での前処置の非存在下で与えられる前記1つまたは複数の化学療法剤の治療上有効な最大用量より高い、ステップと
    を含む、ヒト対象におけるがん細胞の化学療法的処置の方法。
  12. 1つまたは複数のヒ素化合物が三酸化ヒ素を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 1つまたは複数のヒ素化合物の保護的な量が1μg/kg/日から125μg/kg/日までである、請求項11に記載の方法。
  14. 1つまたは複数のヒ素化合物の保護的な量が1μg/kg/日から85μg/kg/日までである、請求項11に記載の方法。
  15. 1つまたは複数のヒ素化合物の保護的な量が31μg/kg/日から85μg/kg/日までである、請求項11に記載の方法。
  16. 前記ヒ素化合物の1つまたは複数が、ヒト対象への放射線の投与の少なくとも3日前にヒト対象へ投与される、請求項11に記載の方法。
  17. 前記ヒ素化合物の1つまたは複数が、ヒト対象への放射線の投与前の少なくとも3日間連続、ヒト対象に投与される、請求項11に記載の方法。
  18. 前記治療上許容される最大用量が、前記対象のCBCをモニターすることによって決定される、請求項11に記載の方法。
  19. 前記治療上許容される最大用量が、前記対象の体重をモニターすることによって決定される、請求項11に記載の方法。
  20. 1つまたは複数のヒ素化合物をヒト対象に投与するステップと、
    前記ヒ素化合物の1つまたは複数の投与の後に、治療上許容される最大線量の放射線を前記対象に投与するステップであって、前記ヒ素化合物の1つまたは複数の投与後に与えられる、放射線の前記治療上許容される最大線量が、1つまたは複数のヒ素化合物での前処置の非存在下で与えられる放射線の治療上有効な最大線量より高い、ステップと
    を含む、ヒト対象におけるがん細胞の放射線処置の方法。
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