(配列表)
配列番号1は、ヒトZWILCHの核酸配列である
配列番号2は、ヒトPTTG1の核酸配列である
配列番号3は、ヒトDEPDC1の核酸配列である
配列番号4は、ヒトTPX2の核酸配列である
配列番号5は、ヒトCDCA3の核酸配列である
配列番号6は、ヒトBCCIPの核酸配列である
配列番号7は、ヒトHMGB2の核酸配列である
配列番号8は、ヒトAURKBの核酸配列である
配列番号9は、ヒトKPNA2の核酸配列である
配列番号10は、ヒトAHCTF1の核酸配列である
配列番号11は、ヒトMYCの核酸配列である
配列番号12は、ヒトMCM7の核酸配列である
配列番号13は、ヒトDBF4の核酸配列である
配列番号14は、ヒトCDCA8の核酸配列である
配列番号15は、ヒトBARD1の核酸配列である
配列番号16は、ヒトSGOL2の核酸配列である
配列番号17は、ヒトCDC20の核酸配列である
配列番号18は、ヒトBUB3の核酸配列である
配列番号19は、ヒトDNM2の核酸配列である
配列番号20は、ヒトKIF11の核酸配列である
配列番号21は、ヒトアンドロゲンレセプター(AR)の核酸配列である。
(詳細な説明)
(I.略語)
ADT アンドロゲン除去療法
AR アンドロゲンレセプター
CDC20 細胞***周期20ホモログ
CDCA3 細胞***周期関連3
ChIP クロマチン免疫沈降
CRPC 去勢抵抗性前立腺癌
CSPC 去勢感受性前立腺癌
DEPDC1 DEPドメイン含有1
DHT ジヒドロテストステロン
HMGB2 高移動度遺伝子ボックス2
KIF 11 キネシンファミリーメンバー11
MYC v−myc骨髄球腫症
PSA 前立腺特異的抗原
QRTPCR 定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応
TPX2 TPX2,微小管関連ホモログ
ZWILCH Zwilch,動原体関連ホモログ 。
(II.用語)
別段示されなければ、技術用語は、従来の使用法に従って使用される。分子生物学における一般用語の定義は、Benjamin Lewin, Genes V, published by Oxford University Press, 1994 (ISBN 0−19−854287−9);Kendrew et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Biology, published by Blackwell Science Ltd., 1994 (ISBN 0−632−02182−9);およびRobert A. Meyers (ed.), Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference, published by VCR Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1−56081−569−8)において見いだされ得る。
別段説明されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。単数形の用語「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」、および「上記、この、その(the)」は、文脈が明らかに別のことを示さなければ、複数形への言及を含む。同様に、語句「もしくは、または、あるいは」は、文脈が明らかに別のことを示さなければ、「および、ならびに(and)」を含むものと解釈される。核酸もしくはポリペプチドについて与えられる全ての塩基サイズもしくはアミノ酸サイズ、および全ての分子量もしくは分子質量の値は、近似値であり、説明のために提供されることは、さらに理解されるべきである。本明細書に記載されるものに類似もしくは等価な方法および材料が、本開示の実施もしくは試験において使用され得るものの、適切な方法および材料が、以下に記載される。用語「含む、包含する」は、「含む、包含する(include)」を意味する。
さらに、上記材料、方法、および例は、例示に過ぎず、限定するとは解釈されない。本開示の種々の実施形態の検討を容易にするために、以下の具体的用語の説明が提供される。
アンドロゲンレセプター(AR):NR3C4、ジヒドロテストステロンレセプター、もしくはSBMAとしても公知。核レセプタースーパーファミリーのサブファミリー3Cのメンバー(グルココルチコイドレセプター、ミネラル・コルチコイドレセプター、およびプロゲステロンレセプターとともに)。上記ARは、DNAに直接結合し、リガンド(例えば、テストステロンもしくはジヒドロテストステロン(DHT))の結合の際に遺伝子転写を調節する。上記ARはまた、直接的なタンパク質−タンパク質相互作用を介して、例えば、他の転写因子もしくはシグナル伝達タンパク質と作用して、遺伝子発現を調節する。
一例において、ARは、全長野生型(もしくは天然の)配列、ならびにARのうちの少なくとも1つの活性(例えば、リガンド結合もしくはDNA結合)を保持するAR対立遺伝子改変体を含む。特定の例において、ARは、配列番号21に対して少なくとも80%の配列同一性、例えば、少なくとも85%、90%、95%、もしくは98%の配列同一性を有する。
抗体:抗原(例えば、癌生存因子関連分子もしくはそのフラグメント)のエピトープを特異的に認識しかつ結合する、少なくとも軽鎖もしくは重鎖の免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチド。抗体は、重鎖および軽鎖から構成され、その各々は、可変領域(可変重鎖領域(VH)および可変軽鎖領域(VL)といわれる)を有する。まとめると、上記VH領域および上記VL領域は、上記抗体によって認識される上記抗原の結合を担う。いくつかの例において、本開示の抗体は、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20に対して特異的であるものを含む。
用語抗体は、インタクトな免疫グロブリン、ならびにその改変体および一部(例えば、Fab’フラグメント、F(ab)’2フラグメント、一本鎖Fvタンパク質(「scFv」)、およびジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)を含む。scFvタンパク質は、免疫グロブリンの軽鎖可変領域および免疫グロブリンの重鎖可変領域が、リンカーによって結合されている融合タンパク質であるのに対して、dsFvにおいては、上記鎖は、上記鎖の会合を安定化させるためにジスルフィド結合を導入するように変異されている。上記用語はまた、遺伝子操作された形態(例えば、キメラ抗体、ヘテロ結合体抗体(例えば、二重特異的抗体)を含む。また、Pierce Catalog and Handbook, 1994−1995 (Pierce Chemical Co., Rockford, IL); Kuby, J., Immunology, 3rd Ed., W.H. Freeman & Co., New York, 1997もまた参照のこと。
アレイ:分子(例えば、生物学的高分子(例えば、ペプチド、抗体、もしくは核酸分子)または生物学的サンプル(例えば、組織切片)の、基材(substrate)上もしくは基材中のアドレス指定可能な場所での配置。「マイクロアレイ」とは、評価もしくは分析のために検鏡を必要とするかまたはそれに補助されるように最小化されているアレイである。アレイは、ときおり、チップもしくはバイオチップといわれる。
分子のアレイ(「特徴」)は、一度に1つのサンプルで多数の分析を行うことを可能にする。特定の例示的アレイにおいて、1種以上の分子(例えば、オリゴヌクレオチドプローブ)は、例えば、内部コントロールを提供するために、上記アレイに複数回(例えば、2回もしくは3回)存在する。上記アレイ上のアドレス指定可能な場所の数は、例えば、少なくとも1から少なくとも2まで、少なくとも5まで、少なくとも10まで、少なくとも20まで、少なくとも30まで、少なくとも50まで、少なくとも75まで、少なくとも100まで、少なくとも150まで、少なくとも200まで、少なくとも300まで、少なくとも500まで、少なくとも550まで、少なくとも600まで、少なくとも800まで、少なくとも1000まで、少なくとも10,000まで、もしくはこれ以上まで変動し得る。詳細な例において、アレイは、核酸分子(例えば、少なくとも15ヌクレオチドの長さ(例えば、約15〜40ヌクレオチドの長さ)であるオリゴヌクレオチド配列)を含む。詳細な例において、アレイは、本明細書で開示される遺伝子(例えば、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20)を検出するために使用され得る少なくとも1種(例えば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、もしくは8種)のオリゴヌクレオチドプローブもしくはプライマーを含む。
タンパク質ベースのアレイは、タンパク質(例えば、抗体)であるかまたはタンパク質を含むプローブ分子を含むか、あるいは標的分子がタンパク質であるかもしくはタンパク質を含む場合、タンパク質が結合される核酸を含むアレイを含む(または逆もまた然り)。いくつかの例において、アレイは、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、およびCDC20のうちの1つに特異的な1種以上(例えば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、もしくは8種)の抗体を含む。
アレイ内で、各アレイにされたサンプルは、その場所が上記アレイの少なくとも2つの寸法内で信頼性高くかつ一貫して決定され得るという点で、アドレス指定可能である。アレイ上の特徴適用場所(feature application location)は、異なる形状を想定し得る。例えば、上記アレイは、規則的(例えば、一様な行および列に配置されている)もしくは不規則であり得る。従って、規則正しいアレイにおいて、各サンプルの場所は、上記アレイに適用される時点で上記サンプルに対して割り当てられ、キーが、各場所と適切な標的もしくは特徴位置とを相関させるために提供され得る。しばしば、規則正しいアレイは、対称性のグリッドパターンにおいて配置されるが、サンプルは、他のパターン(例えば、放射線状に置かれた線、らせん状の線、もしくは規則正しいクラスタにおいて)において配置され得る。アドレス指定可能なアレイは、コンピューターが上記アレイ上の特定のアドレスと、その場所での上記サンプルについての情報(例えば、ハイブリダイゼーションもしくは結合データ(例えば、シグナル強度についてを含む))とを相関させるためにプログラムされ得るという点において、通常、コンピューター読み取り可能である。コンピューター読み取り可能な形式のいくつかの例において、上記アレイにおける個々の特徴は、例えば、直交グリッドパターン(これは、コンピューターによって情報をアドレス指定するために相関させられ得る)において規則的に配置される。
いくつかの例において、上記アレイは、陽性コントロール、陰性コントロール、もしくは両方(例えば、β−アクチン、18S RNA、β−ミクログロブリン、グリセルアルデヒド−3−ホスフェート−デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、および他のハウスキーピング遺伝子を検出するために特異的な分子)を含む。一例において、上記アレイは、1〜20種のコントロール(例えば、1〜10種もしくは1〜5種のコントロール)を含む。
結合もしくは安定な結合:2種の物質もしくは分子の間の会合(例えば、抗体とポリペプチド(例えば、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20のポリペプチド)との会合、または核酸の、別の核酸への会合(例えば、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20のRNA、またはTPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20のcDNAに対するオリゴヌクレオチドプローブの結合)。結合は、当業者に公知の任意の手順によって検出され得る。
核酸分子の相補鎖の結合を検出するための物理的方法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:DNase Iもしくはケミカルフットプリンティング、ゲルシフトおよびアフィニティー切断アッセイ、ノーザンブロッティング、ドットブロッティングおよび光吸収検出手順のような方法。例えば、1つの方法は、温度がゆっくりと上昇するにつれて、オリゴヌクレオチド(もしくはアナログ)および標的核酸を含む溶液の光吸収の変化を、220〜300nmにおいて検出する工程を包含する。上記オリゴヌクレオチドもしくはアナログがその標的に結合した場合、上記オリゴヌクレオチド(もしくはアナログ)および標的が互いに解離するか、もしくは融解するにつれて、特徴的な温度において吸収が増大する。別の例において、上記方法は、一方もしくは両方の核酸分子(または適切な場合、抗体もしくはタンパク質)に存在するシグナル(例えば、検出可能な標的)を検出する工程を包含する。
オリゴマーとその標的核酸との間の結合は、頻繁に、上記オリゴマーのうちの50%がその標的から融解する温度(Tm)によって特徴付けられる。より高い(Tm)は、より低い(Tm)を有する複合体と比較して、より強いかもしくはより安定な複合体を意味する。
バイオマーカー:生理学的状態もしくは細胞状態を特徴付け、かつ疾患進行を検出するかもしくは定義する、または治療の応答を予測もしくは定量するために客観的に測定され得る、分子属性、生物学的属性もしくは物理的属性。バイオマーカーは、通常の生物プロセス、病的プロセス、もしくは治療介入に対する薬理学的応答のインジケーターとして客観的に測定され評価される特徴である。バイオマーカーは、細胞もしくは生物によって生成される任意の分子構造であり得る。バイオマーカーは、任意の細胞もしくは組織内部で発現され得るか;組織もしくは細胞の表面上で接近可能であり得るか;細胞もしくは組織に構造的に固有である(例えば、細胞もしくは組織によって分泌され、壊死、アポトーシスなどのようなプロセスを介して細胞もしくは組織の破壊によって生成され得る構造成分)か;またはこれらの任意の組み合わせであり得る。バイオマーカーは、任意のタンパク質、炭水化物、脂肪、核酸、触媒部位、またはこれらの任意の組み合わせ(例えば、酵素、糖タンパク質、細胞膜、ウイルス、細胞、器官、オルガネラ、または任意の単分子構造もしくは多分子構造、あるいは単独であろうと組み合わせであろうと、今公知であるかもしくは既に開示されている任意の他のこのような構造であり得る。
バイオマーカーは、バイオマーカーが得られ得る核酸の配列もしくは任意の他の化学構造によって表され得る。このような核酸の例としては、miRNA、tRNA、siRNA、mRNA、cDNA、もしくはゲノムDNA配列(これらの任意の相補的配列を含む)が挙げられる。
バイオマーカーの一例は、遺伝子産物(例えば、特定のDNA配列によってコードされるタンパク質もしくはRNA分子)である。前立腺癌細胞を含むサンプル中での上記遺伝子産物の発現は、上記前立腺癌に由来する特定の結果を示す。1つのさらなる例は、上記TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20の遺伝子の任意の発現産物である。
癌:分化の喪失、増大した増殖速度、周辺組織への侵襲、および転移する能力を伴う特徴的な脱分化を受けた悪性新生物。例えば、前立腺癌は、前立腺組織において生じるかもしくは上記組織から生じる悪性新生物である。
残存癌は、癌を縮小もしくは根絶するために被験体に与えられる処置の任意の形態の後に、上記被験体に残っている癌である。転移性癌は、元の(原発性)癌(これに上記転移性癌が由来する)の元の部位以外の、身体中の1以上の部位における癌である。局所再発は、上記元の癌と同じ部位(例えば、同じ組織内)におけるかもしくは上記部位付近の癌の再発である。
cDNA(相補的DNA):内部の非コードセグメント(イントロン)および転写を決定する調節配列を欠いているDNAの片。cDNAは、細胞から抽出されたメッセンジャーRNA(mRNA)からの逆転写によって合成され得る(例えば、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20のcDNAは、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20のmRNAから逆転写される)。TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20のmRNAから逆転写されたTPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20のcDNAの量は、生物学的サンプル中に存在するTPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20のmRNAの量、従って、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20の発現の量を決定するために使用され得る。
細胞***周期20ホモログ(CDC20):細胞***の調節に関与するタンパク質。CDC20の1つの機能は、後期促進複合体の活性化であり、上記活性化から、染色分体分離が開始され、後期へと入る。CDC20はまた、紡錘体アセンブリチェックポイントの一部であり、全ての姉妹染色分体のセントロメアが、中期板に一列に並び、微小管に結合されるときにのみ後期が進行することを確実にする。
一例において、CDC20は、全長の野生型(もしくは天然の)配列、ならびに腫瘍(例えば、前立腺腫瘍)において増大したレベルにおいて発現される能力を保持するCDC20対立遺伝子改変体を含む。特定の例において、CDC20は、配列番号17に対して少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%、もしくは98%の配列同一性)を有する。
細胞***周期関連3(CDCA3):有糸***開始(mitotic entry)1(TOMEI)のトリガーとしても公知。CDCA3は、後期促進複合体のG1基質である。CDCA3は、Skp 1と会合し、Cdk1阻害性チロシンキナーゼWee1の分解に必要とされる。CDCA3の核酸配列およびタンパク質配列は、公に入手可能である。
一例において、CDCA3は、全長の野生型(もしくは天然)の配列、ならびに腫瘍(例えば、前立腺腫瘍)において増大したレベルで発現される能力を保持するCDCA3対立遺伝子改変体を含む。特定の例において、CDCA3は、配列番号5に対して少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%、もしくは98%の配列同一性)を有する。
接触:直接的な物理的に会合した状態での配置;固体、液体、および気体の会合を含む。接触は、1つの分子ともう1つの分子との間の接触を含む。接触は、単離された細胞もしくは組織とインビトロで、または被験体に投与(例えば、被験体へのアルツハイマー病のための処置の投与)することによってインビボで起こり得る。接触の概念はまた、ある分子を、固体、液体、もしくは気体状の混合物に添加することによって包含され得る。
コントロール:参照標準。コントロールは、遺伝子の基礎的な発現を示す既知の値であり得る(例えば、前立腺癌に由来する細胞において発現されるTPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20の量)。試験サンプル(例えば、被験体から得られる生物学的サンプル)における発現の間の差異は、特定の疾患結果のような生物学的状態を示し得る。例えば、コントロールのものより大きい、前立腺癌サンプルにおけるTPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20の発現は、上記前立腺癌サンプルが由来する上記被験体のより短い生存時間を示し得る。
実験サンプルとの比較のために、任意のサンプルもしくは標準が使用され得る。いくつかの実施形態において、上記コントロールは、健康な患者から得られたサンプルもしくは癌と診断された患者から得られた非腫瘍組織サンプル(例えば、腫瘍に隣り合う非腫瘍組織)である。いくつかの実施形態において、上記コントロールは、歴史的コントロールもしくは標準参照値もしくは値の範囲(例えば、以前に試験されたコントロールサンプル(例えば、好ましくない予後を有する癌患者の群)もしくはベースライン値もしくは正常値(例えば、非腫瘍組織における、本明細書で開示される遺伝子のうちの1つ以上のレベル)を示すサンプルの群)である。コントロールはまた、特定の疾患結果を示すバイオマーカーの発現の閾値レベルとして働き得る。
DEPドメイン含有1(DEPDC1):膀胱癌において高度に発現される遺伝子。DEPDC1は、ジンクフィンガー転写因子ZNF224と相互作用する。DEPDC1の核酸配列およびタンパク質配列は、公に入手可能である。
一例において、DEPDC1は、全長の野生型(もしくは天然)の配列、ならびに腫瘍(例えば、前立腺腫瘍)において増大したレベルで発現される能力を保持するDEPDC1対立遺伝子改変体を含む。特定の例において、DEPDC1は、配列番号3に対して少なくとも80%の配列同一性(たとえば、少なくとも85%、90%、95%、もしくは98%の配列同一性)を有する。
遺伝子の発現を検出:定性的もしくは定量的のいずれかの様式において、例えば、当該分野で公知の慣用的方法によってもしくは当該分野で既に開示されている任意の方法によって、核酸もしくはタンパク質(例えば、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20の核酸もしくはタンパク質)を検出することによる、発現のレベルの検出。
差次的発現もしくは変化した発現:メッセンジャーRNAの量、mRNAからタンパク質への変換、もしくは2つの異なるサンプル間でのそれらの両方における差異。いくつかの例において、上記差異は、発現のコントロールもしくは閾値レベル(例えば、非癌性前立腺組織における遺伝子発現の量)に対して比較される。
DNA(デオキシリボ核酸):大部分の生きている生物(一部のウイルスは、リボ核酸(RNA)を含む遺伝子を有する)の遺伝物質を含む、長鎖ポリマー。DNAポリマー中の反復ユニットは、4種の異なるヌクレオチド(これらの各々は、リン酸基が結合したデオキシリボース糖に結合された4種の塩基、アデニン、グアニン、シトシンおよびチミンのうちの1種を含む)である。DNA分子中のヌクレオチドの3つ組(コドンといわれる)は、ポリペプチドにおけるアミノ酸をコードする。用語コドンはまた、DNA配列が転写されるmRNA中の3種のヌクレオチドの対応する(および相補的な)配列のために使用される。
発現:遺伝子の上記コードされる情報が、細胞の活動部分、非活動部分、もしくは構造的部分に変換されるプロセス(例えば、RNAもしくはタンパク質の合成)。遺伝子発現は、外部シグナルによって影響を受け得る。例えば、ホルモンへの細胞の曝露は、ホルモン誘導性遺伝子の発現を刺激し得る。異なるタイプの細胞は、同一のシグナルに対して異なって応答し得る。遺伝子の発現はまた、DNAからRNAへ、タンパク質への経路におけるいずれかの箇所で調節され得る。調節は、転写、翻訳、RNA輸送およびプロセシングに対する制御、中間分子(例えば、mRNA)の分解、または中間s分子が生成された後の特定のタンパク質の活性化、不活性化、区画化もしくは分解を介するものを含み得る。例において、遺伝子発現は、腫瘍(例えば、前立腺腫瘍)を有する被験体の予後を決定するために(例えば、被験体の生存もしくは転移を発生させる可能性を予測するために)モニターされ得る。
試験サンプルにおける核酸分子の発現は、コントロールサンプル(例えば、通常サンプルもしくは非腫瘍サンプル)と比較して変化し得る。遺伝子発現における変化(例えば、差次的発現)としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(1)過剰発現;(2)過小発現;もしくは(3)発現の抑制。核酸分子の発現における変化は、その対応するタンパク質の発現における変化と関連し得、実際には、上記変化を引き起こし得る。
タンパク質発現はまた、通常(例えば、非腫瘍)の状況において上記タンパク質の発現とは異なるように、ある様式において変化し得る。これは、以下を含むが、必ずしもそれらに限定されない:(1)アミノ酸残基のうちの1もしくは数個が異なるような、上記タンパク質の変異;(2)上記タンパク質の配列への1もしくは数個(例えば、10〜20個以下)のアミノ酸残基の短い欠失もしくは付加;(3)タンパク質ドメイン全体もしくはサブドメインが除去もしくは付加されるような、アミノ酸残基(例えば、少なくとも20残基)のより長い欠失もしくは付加;(4)コントロールもしくは標準の量と比較して、上記タンパク質の増大した量の発現;(5)コントロールもしくは標準の量と比較して、上記タンパク質の減少した量の発現;(6)上記タンパク質の細胞内局在もしくは標的化の変化;(7)上記タンパク質の一時的に調節された発現の変化(その結果、上記タンパク質は、通常には発現されない場合に発現されるか、または代わりに通常は発現される場合に発現されない);(8)上記タンパク質が細胞中に位置したままである時間における増大した寿命を介したタンパク質の安定性の変化;ならびに(9)上記タンパク質の局在化した(例えば、特定の器官もしくは組織または細胞内局在)発現の変化(その結果、上記タンパク質は、通常発現される場所で発現されないか、または通常発現されない場所で発現される)(各々、コントロールもしくは標準と比較される)。
差次的発現の決定のために、サンプルと比較するためのコントロールもしくは標準は、通常である(それらが所望の特徴について変化していないという点で)と考えられるサンプル(例えば、癌(例えば、前立腺癌)を有しない被験体に由来するサンプル)、ならびにおそらくは自由裁量によって設定されているとしても、実験値(例えば、値の範囲)を含み、このような値が、実験室間で変動し得るということを心に留めておく。実験室標準および値は、既知もしくは決定された集団値に基づいて設定され得、測定され、実験的に決定された値の比較を可能にするグラフもしくは表の形式において与えられ得る。
高移動度遺伝子ボックス2(HMGB2):高移動度群タンパク質(high−mobility group protein)2(非ヒストン染色体高移動度群タンパク質ファミリーのメンバー)としても公知。これらタンパク質は、クロマチンと会合し、DNAを曲げてDNA環を形成し得る。HMGB2の核酸配列およびタンパク質配列は、公に入手可能である。一例において、HMGB2は、全長の野生型(もしくは天然)の配列、ならびに腫瘍(例えば、前立腺腫瘍)において増大したレベルで発現される能力を保持するHMGB2対立遺伝子改変体を含む。特定の例において、HMGB2は、配列番号7に対して少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%、もしくは98%の配列同一性)を有する。
ハイブリダイゼーション:DNA、RNAの2本の鎖の相補的領域の間で、またはDNAとRNAとの間で塩基対を形成し、それによって、例えば、二重鎖分子を形成すること。特定のストリンジェンシーの程度を生じるハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション法の性質、ならびにハイブリダイズしようとしている核酸配列の組成および長さに依存して変動する。一般に、ハイブリダイゼーションの温度およびハイブリダイゼーション緩衝液のイオン強度(例えば、Na+濃度)は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する。特定のストリンジェンシーの程度を達成するためのハイブリダイゼーション条件に関する計算は、Sambrookら(1989) Molecular Cloning、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory, Plainview, NY (第9章および第11章)において考察されている。以下は、ハイブリダイゼーション条件の例示的設定であり、限定ではない:
非常に高ストリンジェンシー(少なくとも90%の同一性を共有する配列を検出)
ハイブリダイゼーション:65℃で16時間にわたって5×SSC
洗浄2回:室温(RT)で各15分間にわたって2×SSC
洗浄2回:65℃で各20分間にわたって0.5×SSC。
高ストリンジェンシー(少なくとも80%の同一性を共有する配列を検出)
ハイブリダイゼーション:65℃〜70℃で16〜20時間にわたって5×〜6×SSC
洗浄2回:RTで各5〜20分間にわたって2×SSC
洗浄2回:55℃〜70℃で各30分間にわたって1×SSC。
低ストリンジェンシー(少なくとも60%の同一性を共有する配列を検出)
ハイブリダイゼーション:RT〜55℃で16〜20時間にわたって6×SSC
洗浄少なくとも2回:RT〜55℃で各20〜30分間にわたって2×〜3×SSC。
単離された:「単離された」生物学的成分(例えば、核酸分子、タンパク質もしくはオルガネラ)は、上記成分が天然に存在する生物の細胞中の他の生物学的成分(例えば、他の染色体および染色体外のDNAおよびRNA、タンパク質およびオルガネラ)から実質的に分離されたかまたは精製されている。「単離された」核酸およびタンパク質は、標準的な精製法によって精製された核酸およびタンパク質を含む。この用語はまた、宿主細胞における組換え発現によって調製された核酸およびタンパク質、ならびに化学合成された核酸を包含する。
キネシンファミリーメンバー11(KIF11):TR相互作用タンパク質(TR−interacting protein)5、キネシン様タンパク質(kinesin−like protein)1、キネシン関連モータータンパク質(kinesin−related motor protein)Eg5、および甲状腺レセプター相互作用タンパク質(thyroid receptor interacting protein)5としても公知。KIF11は、紡錘体動態に関与する、キネシン様モータータンパク質のファミリーのメンバーである。KIF11は、染色体の位置づけ、セントロメア分離、および有糸***の間の二極性紡錘体の確立に関与する。
KIF11の核酸配列およびタンパク質配列は、公に入手可能である。一例において、KIF11は、全長の野生型(もしくは天然)の配列、ならびに腫瘍(例えば、前立腺腫瘍)において増大したレベルで発現される能力を保持するKIF11対立遺伝子改変体を含む。特定の例において、KIF11は、配列番号20に対して少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%、もしくは98%の配列同一性)を有する。
標識:直接的にもしくは間接的に別の分子に結合体化されて、その分子の検出を容易にする、検出可能な化合物もしくは組成物。標識の具体的な非限定例としては、放射性同位元素、酵素基質、補因子、リガンド、化学発光因子もしくは蛍光因子、ハプテン、および酵素が挙げられる。いくつかの例において、標識は、抗体もしくは核酸が特異的に結合する分子(例えば、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20のタンパク質もしくは核酸)の検出を容易にするために、上記抗体もしくは核酸に付着される。
v−myc骨髄球腫症ウイルス癌遺伝子ホモログ(MYC):細胞増殖、複製能、成長、分化、およびアポトーシスを調節する転写因子ネットワークの癌原遺伝子MYC。MYCの核酸配列およびタンパク質配列は、公に入手可能である。一例において、MYCは、全長の野生型(もしくは天然)の配列、ならびに腫瘍(例えば、前立腺腫瘍)において増大したレベルで発現される能力を保持するMYC対立遺伝子改変体を含む。特定の例において、MYCは、配列番号11に対して少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%、もしくは98%の配列同一性)を有する。
核酸分子:cDNA、mRNA、ゲノムDNA、および合成(例えば、化学的に合成された)DNAが挙げられるが、これらに限定されないデオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドポリマー。上記核酸分子は、二本鎖もしくは一本鎖であり得る。一本鎖の場合、上記核酸分子は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖であり得る。さらに、核酸分子は、環状もしくは直鎖状であり得る。核酸分子はまた、ポリヌクレオチドといわれ得、上記用語は、交換可能に使用される。
オリゴヌクレオチド:約6〜約300ヌクレオチド長の間の、天然のホスホジエステル結合によって連結された複数の連結ヌクレオチド。オリゴヌクレオチドアナログとは、オリゴヌクレオチドに類似して機能するが、天然に存在しない部分を有する部分に言及する。例えば、オリゴヌクレオチドアナログは、天然に存在しない部分(例えば、変化した糖部分もしくは糖間連結)を含み得る(例えば、ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド)。
特定のオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドアナログは、最大約200ヌクレオチド長までの直鎖状の配列(例えば、少なくとも6ヌクレオチド、例えば、少なくとも8ヌクレオチド、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも15ヌクレオチド、少なくとも20ヌクレオチド、少なくとも21ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチド、少なくとも30ヌクレオチド、少なくとも35ヌクレオチド、少なくとも40ヌクレオチド、少なくとも45ヌクレオチド、少なくとも50ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチド、もしくはさらに少なくとも200ヌクレオチド長、または約6〜約50ヌクレオチド、例えば、約10〜25ヌクレオチド(例えば、12ヌクレオチド、15ヌクレオチドもしくは20ヌクレオチド)である配列(例えば、DNAもしくはRNA))を含み得る。
オリゴヌクレオチドプローブは、分子ハイブリダイゼーションによって相補的配列の存在を検出するために使用されるオリゴヌクレオチドである。詳細な例において、オリゴヌクレオチドプローブは、オリゴヌクレオチドプローブ:標的配列ハイブリダイゼーション複合体の検出を可能にする標識を含む。詳細な例において、プローブは、少なくとも1種のフルオロフォア(例えば、アクセプターフルオロフォアもしくはドナーフルオロフォア)を含む。例えば、フルオロフォアは、上記プローブの5’末端もしくは3’末端において付着され得る。具体例において、上記フルオロフォアは、上記プローブの5’末端において塩基に、その3’末端において塩基に、その5’末端においてリン酸基もしくは改変塩基(例えば、上記プローブの内部のT)に付着される。
オリゴヌクレオチドプライマーは、核酸増幅を刺激するために使用されるオリゴヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドプライマーは、上記プライマーと上記標的核酸鎖との間でハイブリッドを形成するために、核酸ハイブリダイゼーションによって相補的な標的核酸分子にアニールされ得る。プライマーは、ポリメラーゼ酵素によって、上記標的核酸分子に沿って伸長し得る。従って、プライマーは、標的核酸分子を増幅するために使用され得る。
オリゴヌクレオチドプライマーの特異性は、その長さとともに増大する。従って、例えば、30連続ヌクレオチドを含むプライマーは、15ヌクレオチドのみの対応するプライマーより高い特異性で、標的配列にアニールする。従って、より大きな特異性を得るために、少なくとも15連続、20連続、25連続、30連続、35連続、40連続、45連続、50連続、もしくはこれ以上の連続ヌクレオチドを含むプローブおよびプライマーが、選択され得る。詳細な例において、プライマーは、少なくとも15ヌクレオチド長(例えば、標的核酸分子に相補的な少なくとも15連続ヌクレオチド)である。本開示の方法を実施するために(例えば、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20の全てもしくは任意の部分を増幅するために)使用され得るプライマーの特定の長さは、増幅されるべき上記標的核酸分子に相補的な少なくとも15連続、少なくとも16連続、少なくとも17連続、少なくとも18連続、少なくとも19連続、少なくとも20連続、少なくとも21連続、少なくとも22連続、少なくとも23連続、少なくとも24連続、少なくとも25連続、少なくとも26連続、少なくとも27連続、少なくとも28連続、少なくとも29連続、少なくとも30連続、少なくとも31連続、少なくとも32連続、少なくとも33連続、少なくとも34連続、少なくとも35連続、少なくとも36連続、少なくとも37連続、少なくとも38連続、少なくとも39連続、少なくとも40連続、少なくとも45連続、少なくとも50連続、もしくはこれ以上の連続ヌクレオチドを有するプライマー(例えば、15〜50ヌクレオチド、20〜50ヌクレオチド、もしくは15〜30ヌクレオチドのプライマー)を含む。
プライマー対は、核酸配列の増幅のために、例えば、PCR、リアルタイムPCR、もしくは当該分野で公知の他の核酸増幅法によって、使用され得る。「上流」もしくは「順方向」プライマーは、核酸配列上の参照点に対して5’側にあるプライマーである。「下流」もしくは「逆方向」プライマーは、核酸配列上の参照点に対して3’側にあるプライマーである。一般に、少なくとも1個の順方向および1個の逆方向プライマーは、増幅反応に含められる。
核酸プローブおよび/もしくはプライマーは、本明細書で提供される核酸分子に基づいて容易に調製され得る。PCRプライマー対およびプローブは、例えば、Primer(Version 0.5,(著作権)1991, Whitehead Institute for Biomedical Research, Cambridge, MA)もしくはPRIMER EXPRESS(登録商標)ソフトウェア(Applied Biosystems, AB, Foster City, CA)のような、その目的が意図された多くのコンピュータープログラムのうちのいずれかを使用することによって、公知の配列から得られ得る。
オリゴヌクレオチドおよび他の核酸プローブおよびプライマーを調製し、使用するための方法、ならびに標識のための方法、ならびに種々の目的に適した標識の選択におけるガイダンスは、例えば、Sambrookら(In Molecular Cloning:A Laboratory Manual, CSHL, New York, 1989)、Ausubelら(編)(In Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, 1998)、およびInnisら(PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications, Academic Press, Inc., San Diego, CA, 1990)に記載される。
ポリペプチド:モノマーがアミノ酸残基(これらは、アミド結合を介して一緒に連結される)であるポリマー。アミノ酸がα−アミノ酸である場合、L−光学異性体もしくはD−光学異性体のいずれかが、使用され得る。用語「ポリペプチド」もしくは「タンパク質」は、本明細書で使用される場合、任意のアミノ酸配列を包含し、改変配列(例えば、糖タンパク質)を含むことが意図される。用語「ポリペプチド」は、天然に存在するタンパク質、ならびに組換えによってもしくは合成で生成されるものを網羅することが具体的に意図される。用語「残基」もしくは「アミノ酸残基」は、タンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドへと組み込まれるアミノ酸への言及を含む。
予後:疾患(例えば、癌(例えば、前立腺癌))の経過の予測。上記予後は、上記被験体が、攻撃的な、再発性の疾患を発症させる可能性、1回以上の転移を発生させる可能性、特定の時間量を生存する(例えば、被験体が3ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、もしくは5年間生存する可能性を決定する)可能性、特定の治療(例えば、ホルモン療法)に応答する可能性、またはこれらの組み合わせを決定することを包含し得る。
前立腺癌:前立腺の悪性腫瘍(一般には、腺起源)。いくつかの例において、前立腺癌は、腺癌、移行上皮癌、扁平上皮癌、肉腫、もしくは前立腺の小細胞癌を含む。他の例において、前立腺癌は、転移性前立腺癌(例えば、前立腺腫瘍の、別の組織もしくは器官(例えば、肺、骨、肝臓、もしくは脳)への転移)を含む。
サンプル(もしくは生物学的サンプル):ゲノムDNA、RNA(mRNAを含む)、タンパク質、もしくはこれらの組み合わせを含む、被験体から得られる標本。本明細書で使用される場合、生物学的サンプルとしては、細胞、組織、および体液(例えば、血液;血液派生物および血液画分(例えば、血漿もしくは血清));抽出された胆汁;生検されたかもしくは手術により取り出された組織(例えば、固定されていない、凍結されている、ホルマリン中で固定されている、そして/またはパラフィン中で包埋されている組織を含む);涙液;乳汁;皮膚の切屑;表面洗浄物;尿;痰;脳脊髄液;前立腺液;膿汁;または骨髄吸引物が挙げられる。詳細な例において、サンプルは、腫瘍生検材料(例えば、前立腺腫瘍生検材料)を含む。別の例において、サンプルは、循環している腫瘍細胞(例えば、腫瘍を有する被験体の血液中に存在する腫瘍細胞)を含む。
被験体から生物学的サンプルを得ることとしては、当該分野で公知の特定のサンプルを集めるための任意の方法が挙げられるが、これらに限定されない。被験体から生物学的サンプルを得ることはまた、方法が行われる場所とは異なる場所において集められたサンプルを受容すること;上記方法を行う個体とは異なる個体によって集められたサンプルを受容すること、上記方法を行う前に、任意の期間において集めたサンプルを受容すること、上記方法を行う機器とは異なる機器を使用して集めたサンプルを受容すること、またはこれらの任意の組み合わせを包含する。被験体から生物学的サンプルを得ることはまた、上記サンプルの収集および上記方法を行うことが、同じ場所において、同じ個体によって、同時に、同じ機器を使用して、またはこれらのうちの任意の組み合わせにおいて行われる状況を包含する。
生物学的サンプルは、生物学的サンプルの任意の画分または上記生物学的サンプルから単離および/もしくは精製され得る生物学的サンプルの任意の成分を包含する。例えば:細胞が血液もしくは組織から単離される場合(バイオマーカー発現に基づいてソートされた特異的細胞タイプを含む);または核酸もしくはタンパク質が体液もしくは組織から精製される場合;または血液が血漿、血清、軟膜のPBMC、または遠心分離および/もしくは濾過に基づく他の細胞画分および非細胞画分のような画分へと分離される場合。生物学的サンプルは、物質の形質転換(transformation of mater)もしくは任意の他の操作を受けた、生物学的サンプルもしくは画分またはその成分をさらに含む。例えば、生物学的サンプルから精製されたmRNAの逆転写から作製されたcDNA分子は、生物学的サンプルといわれ得る。
感度および特異性:二項分類試験(binary classification test)の実施の統計的測定法。感度は、正確に同定されている実際の陽性の割合(例えば、好ましくない予後を有すると同定されている腫瘍のパーセンテージ)を評価する。特異性は、正確に同定されている陰性の割合(例えば、好ましくない予後を有しないと同定された腫瘍のパーセンテージ)を評価する。
配列同一性/類似性:2種以上の核酸配列、または2種以上のアミノ酸配列の間の同一性/類似性は、上記配列間の同一性もしくは類似性の観点で表される。配列同一性は、パーセンテージ同一性の観点において評価され得る;上記パーセンテージが高いほど、配列はより一致する。配列類似性は、パーセンテージ類似性の観点で評価され得る(これは、保存的アミノ酸置換を考慮に入れる);上記パーセンテージが高いほど、配列はより類似している。
比較のための配列のアラインメントの方法は、当該分野で周知である。種々のプログラムおよびアラインメントアルゴリズムは、以下に記載される:Smith & Waterman, Adv Appl Math 2, 482 (1981); Needleman & Wunsch, J Mol Biol 48, 443 (1970); Pearson & Lipman, Proc Natl Acad Sci USA 85, 2444 (1988); Higgins & Sharp, Gene 73, 237−244 (1988); Higgins & Sharp, CABIOS 5, 151−153 (1989); Corpetら、Nuc Acids Res 16, 10881−10890 (1988); Huangら、Computer Appls in the Biosciences 8, 155−165 (1992); and Pearsonら、Meth Mol Bio 24, 307−331 (1994)。さらに、Altschulら、J Mol Biol 215, 403−410 (1990)は、配列アラインメント法および相同性計算の詳細な考察を提示している。
The NCBI Basic Local Alignment Search Tool (BLAST)は、配列分析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxとともに使用するために、いくつかの供給源から入手可能である(the National Center for Biological Information (NCBI, National Library of Medicine, Building 38A, Room 8N805, Bethesda, MD 20894)およびインターネット上を含む)。さらなる情報は、NCBIウェブサイトにおいて見いだされ得る。
BLASTNは、核酸配列を比較するために使用される一方で、BLASTPは、アミノ酸配列を比較するために使用される。上記2つの比較された配列が相同性を共有する場合、その示された出力ファイルは、整列された配列として相同性の領域を示す。上記2つの比較された配列が相同性を共有しない場合、その示された出力ファイルは、整列された配列を示さない。
いったん整列されると、同一のヌクレオチドもしくはアミノ酸残基が両方の配列において提示される位置数を計数することによって、マッチ数が決定される。パーセント配列同一性は、上記マッチ数を、同定された配列に示される配列の長さもしくは区切られた長さ(例えば、同定された配列に示される配列に由来する100連続ヌクレオチドもしくはアミノ酸残基)のいずれかで除算し、続いて、得られた値に100を乗算することによって決定される。例えば、1154ヌクレオチドを有する試験配列と整列される場合に1166マッチを有する核酸配列は、上記試験配列に対して75.0%同一である(1166÷1554*100=75.0)。上記パーセント配列同一性値は、小数点一位へと丸め計算する。例えば、75.11、75.12、75.13、および75.14は、75.1へと四捨五入される一方で、75.15、75.16、75.17、75.18、および75.19は、75.2へと四捨五入される。長さ値は、常に整数である。別の例において、同定された配列に由来する20連続ヌクレオチドと次のように整列する、20ヌクレオチド領域を含む標的配列は、その同定された配列に対して75%の配列同一性を共有する領域を含む(すなわち、15÷20*100=75)。
約30アミノ酸より大きなアミノ酸配列の比較のために、デフォルトパラメーター(ギャップ存在コスト(gap existence cost)11、および残基ごとのギャップコスト(a per residue gap cost)1)に設定されたデフォルトBLOSUM62マトリクスを使用して、Blast 2配列機能が使用される。ホモログは、代表的には、上記NCBI Basic Blast 2.0, gapped blastpとnrもしくはswissprotデータベースのようなデータベースとを使用して、アミノ酸配列との全長アラインメントにわたって計数して少なくとも70%の配列同一性を有することによって、特徴付けられる。上記blastnプログラムで検索したクエリー(queries)は、DUST(Hancock and Armstrong, 1994, Comput. Appl. Biosci. 10:67−70)でフィルタにかけられる。他のプログラムは、SEGを使用する。さらに、手動アラインメントが行われ得る。さらにより大きな類似性を有するタンパク質は、この方法によって評価される場合、ますます大きなパーセンテージ類似性(例えば、あるタンパク質に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%の配列同一性)を示す。
短いペプチド(約30アミノ酸より短い)を整列する場合、上記アラインメントは、上記Blast 2配列機能を使用して、デフォルトパラメーター(オープンギャップ 9、エクステンションギャップ 1 ペナルティー)に設定したPAM30マトリクスを使用して、行われる。参照配列に対してさらに大きな類似性を有するタンパク質は、この方法によって評価される場合、まずます大きなパーセンテージ同一性(例えば、あるタンパク質に対して少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%の配列同一性)を示す。全体の配列より短い配列が配列同一性について比較される場合、ホモログは、代表的には、10〜20アミノ酸の短いウインドウにわたって少なくとも75%の配列同一性を有し、上記参照配列に対するそれらの同一性に依存して、少なくとも85%、90%、95%もしくは98%の配列同一性を有し得る。このような短いウインドウにわたって配列同一性を決定するための方法は、NCBIウェブサイトに記載されている。
2つの核酸分子がより密接に関連しているという1つのしるしは、上記のように、2つの分子がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。高い程度の同一性を示さない核酸配列は、それにも拘わらず、遺伝コードの縮重に起因して、同一もしくは類似の(保存された)アミノ酸配列をコードし得る。核酸配列における変化は、実質的に同じタンパク質を全てコードする複数の核酸分子を生成するために、この縮重を使用して作製され得る。このような相同な核酸配列は、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20の核酸配列に対して、例えば、少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する。
特異的結合因子:規定された標的(例えば、タンパク質、酵素、ポリサッカリド、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、組換えベクターもしくは低分子)にのみ実質的にもしくは優先的に結合する因子。例において、「特異的結合因子」は、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20の遺伝子産物(例えば、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20のmRNA、cDNA、もしくはタンパク質)に結合し得る。従って、核酸特異的結合因子は、規定された核酸(例えば、RNA)に、または上記核酸内の特定の領域にのみ実質的に結合する。
タンパク質特異的結合因子は、規定されたタンパク質のみ、もしくは上記タンパク質内の特定の領域に実質的に結合する。例えば、特異的結合因子は、特定されたポリペプチドに実質的に結合する抗体および他の因子を含み、例えば、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20に特異的に結合する特異的結合因子は、抗体(例えば、モノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体)、またはTPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20に対するリガンドであり得る。抗体は、上記ポリペプチドに対して特異的なモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体、ならびにそれらの免疫学的に有効な部分(「フラグメント」)であり得る。特定の因子が特定のポリペプチドにのみ実質的に結合することの決定は、慣用的な手順を使用するかもしくは上記手順を適合させることによって、容易に行われ得る。1つの適切なインビトロアッセイは、ウェスタンブロッティング手順(多くの標準テキスト(Harlow and Lane, Using Antibodies:A Laboratory Manual, CSHL, New York, 1999が挙げられる)に記載される)を利用する。特定のバイオマーカーに結合する特異的結合因子はまた、特異的結合試薬ともいわれ得る。これら用語は、交換可能に使用され得る。
被験体:多細胞脊椎動物生物(ヒトおよび非ヒト哺乳動物を含むカテゴリー)。
生存:診断もしくは最初の処置(例えば、手術もしくは最初の処置)の日と特定された事象(例えば、特定の治療に対する抵抗性の発生、再発、転移もしくは死亡)との間の期間。全生存は、診断もしくは最初の処置の日と、死亡日もしくは最後の追跡日との間の時間間隔である。無再発生存は、診断もしくは最初の処置の日と再発(例えば、局所領域再発)が診断された日もしくは最後の追跡日との間の時間間隔である。転移なしの生存は、診断もしくは最初の処置の日と、転移が診断された日もしくは最後の追跡日との間の時間間隔である。
TPX2,微小管関連ホモログ(Xenopus laevis)(TPX2):タンパク質fls353;肝細胞癌関連抗原(hepatocellular carcinoma−associated antigen)519;制限発現増殖関連タンパク質(restricted expression proliferation−associated protein)100;およびXklp2の標的化タンパク質としても公知。TPX2は、紡錘体装置の成分であり、Aurora−Aセリン−スレオニンキナーゼと相互作用する。
TPX2の核酸配列およびタンパク質配列は、公に入手可能である。一例において、TPX2は、全長の野生型(もしくは天然)の配列、ならびに腫瘍(例えば、前立腺腫瘍)において増大したレベルで発現される能力を保持するTPX2対立遺伝子改変体を含む。特定の例において、TPX2は、配列番号4に対して、少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%、もしくは98%の配列同一性)を有する。
Zwilch,動原体関連ホモログ (ZWILCH):有糸***チェックポイントの成分(これは、細胞が有糸***を早まって終わらないようにする)。ZWILCHは、有糸***の間に動原体へと標的化される。ZWILCHの核酸配列およびタンパク質配列は、公に入手可能である。
一例において、ZWILCHは、全長の野生型(もしくは天然)の配列、ならびに腫瘍(例えば、前立腺腫瘍)において増大したレベルで発現される能力を保持するZWILCH対立遺伝子改変体を含む。特定の例において、ZWILCHは、配列番号1に対して少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%、もしくは98%の配列同一性)を有する。
(III.癌を有する被験体の予後を決定するための方法)
本明細書で開示されるのは、癌(例えば、前立腺癌)を有する被験体における予後を決定するために使用され得る遺伝子発現プロフィールである。いくつかの例において、上記予後を決定することは、腫瘍を有する上記被験体の結果(例えば、腫瘍再発、転移、もしくは生存の可能性)を予測することを含む。他の例において、上記予後を決定することは、上記腫瘍が、治療(例えば、化学療法もしくはホルモン療法)に対して抵抗性になるかもしくは抵抗性になる可能性があるか否かを予測することを含む。従って、本明細書に提供されるのは、腫瘍(例えば、前立腺腫瘍)を有する被験体の予後決定をする(prognosing)ための方法である。
いくつかの実施形態において、上記方法は、上記被験体に由来するサンプル中のTPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、およびCDC20のうちの1種以上(例えば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、もしくは全て)の遺伝子産物の発現を検出する工程、ならびに上記サンプル中の上記1種以上の遺伝子の発現と、発現の閾値レベルとを比較する工程を包含する。いくつかの例において、上記方法は、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、およびCDC20の遺伝子産物のうちの5種以上(例えば、5種、6種、7種、もしくは全て)の発現を検出する工程を包含する。他の例において、上記方法は、表1に開示される遺伝子のうちの1種以上(例えば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、13種、14種、15種、16種、17種、18種、19種、もしくは全て)の生成物の発現を検出する工程を包含する。上記方法のいくつかの実施形態において、発現の閾値レベルを超える、サンプル中のTPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、およびCDC20のうちの1種以上(例えば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、もしくは全て)の遺伝子産物の発現は、好ましくない予後(例えば、低下した生存の可能性(例えば、低下した全生存、無再発生存(relapse−free survival)、もしくは無転移生存(metastasis−free survival)))または治療(例えば、ホルモン療法、例えば、前立腺癌のためのADT)に対する抵抗性またはこの抵抗性を発生させる可能性を示す。詳細な例において、発現の閾値レベルを超える、上記サンプル中のTPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、およびCDC20のうちの5種以上(例えば、5種、6種、7種、もしくは全て)の発現は、好ましくない予後(例えば、低下した生存の可能性(例えば、低下した全生存、無再発生存、もしくは無転移生存))または治療(例えば、ホルモン療法、例えば、前立腺癌のためのADT)に対する抵抗性またはこの抵抗性を発生させる可能性を示す。
一例において、低下した全生存は、診断もしくは最初の処置のときから60ヶ月以下の生存期間(例えば、50ヶ月、40ヶ月、30ヶ月、20ヶ月、12ヶ月、6ヶ月、もしくは3ヶ月)を含む。別の例において、低下した無再発生存は、診断もしくは最初の処置のときから60ヶ月以下の再発がない期間(例えば、50ヶ月、40ヶ月、30ヶ月、20ヶ月、12ヶ月、6ヶ月、もしくは3ヶ月)を含む。さらなる例において、低下した無転移生存は、診断もしくは最初の処置のときから60ヶ月以下の転移がない期間(例えば、50ヶ月、40ヶ月、30ヶ月、20ヶ月、12ヶ月、6ヶ月、もしくは3ヶ月)を含む。
さらなる例において、治療(例えば、化学療法もしくはホルモン療法)に対する抵抗性は、最初の処置もしくはその後の処置に応答しない腫瘍を含む。最初の処置に応答しない状態は、本質的抵抗性を有するといわれる。最初の治療処置に応答するが、同じ治療でのその後の処置に応答しない状態は、獲得性の抵抗性を有するといわれる。いくつかの例において、好ましくない予後は、治療(例えば、ホルモン療法)に対する現在の腫瘍抵抗性を含む。他の例において、好ましくない予後は、診断もしくは最初の処置のときから72ヶ月以下、60ヶ月の期間(例えば、50ヶ月、40ヶ月、30ヶ月、24ヶ月、18ヶ月、12ヶ月、6ヶ月、もしくは3ヶ月)に、治療(例えば、ホルモン療法)に対する腫瘍抵抗性を発生させることを含む。いくつかの例において、上記腫瘍は、ホルモン療法(例えば、アンドロゲン除去療法;ADT)に対する抵抗性を有するか、もしくはその抵抗性を獲得する可能性がある前立腺腫瘍である。
ADT(もしくはアンドロゲン抑制治療)は、黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストもしくはアナログ(例えば、ロイプロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、ブセレリン、もしくはヒストレリン)、LHRHアンタゴニスト(例えば、アバレリクスもしくはデガレリクス)、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ビカルタミド、もしくはニルタミド)、ケトコナゾール、もしくはこれらの2種以上の組み合わせでの処置を含み得る。詳細な例において、上記腫瘍は、LHRHアゴニスト(例えば、ロイプロリドもしくはゴセレリン)もしくは精巣の外科的除去に対する抵抗性を獲得するものであるかもしくはその可能性のあるものである。ホルモン療法に対する抵抗性は、当業者によって、例えば、血清中のテストステロンが去勢レベルであるにも拘わらず経時的にPSAレベルが増大していることを観察することによって、決定され得る。
上記開示される遺伝子の発現は、当該分野で公知のもしくは既に開示されている任意の適切な方法論を使用して、検出および/もしくは定量され得る。例えば、遺伝子発現の検出は、核酸増幅法(例えば、RT−PCR)もしくはアレイ分析を使用して核酸分子(例えば、RNA)を検出することによって達成され得る。遺伝子発現の検出はまた、タンパク質を検出するイムノアッセイ(例えば、ELISA、ウェスタンブロット、もしくはRIAアッセイ)を使用して達成され得る。遺伝子発現を検出するためのさらなる方法は、当該分野で周知であり、以下により詳細に記載される。
一例において、上記開示される遺伝子の発現は、生物学的サンプル中で検出および/もしくは定量される。詳細な例において、上記生物学的サンプルは、腫瘍サンプル(例えば、腫瘍生検材料(例えば、前立腺腫瘍生検材料))である。いくつかの例において、腫瘍サンプルは、固定されていない、凍結されている、ホルマリン中に固定されている、および/もしくはパラフィン中に包埋されている腫瘍組織を含む。別の例において、上記サンプルは、末梢血サンプル(例えば、循環する腫瘍細胞を含むサンプル)である。他の例において、上記サンプルは、尿、唾液、脳脊髄液、前立腺液、膿汁、もしくは骨髄吸引物である。
腫瘍予後と関連する上記開示される遺伝子の変化した発現は、好ましくない予後と相関する発現の任意の量であり得る。いくつかの実施形態において、発現における増大もしくは減少は、発現の閾値レベルと比較して、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、もしくはこれ以上である。
発現の閾値レベルは、特定の遺伝子もしくは遺伝子のセットの発現の定量されたレベルである。上記発現の閾値レベルを超えるかもしくは下回る、サンプル中の遺伝子もしくは遺伝子のセットの発現レベルは、特定の疾患状態もしくは結果を予測する。わずか一例において(説明の容易さのために単純化した)、発現の閾値レベルを超えるTPX2の発現は、前立腺癌を有する患者における疾患の再発を予測する。
上記発現の閾値レベルの性質および数値(あるとすれば)は、予測に使用される上記遺伝子もしくは遺伝子のセットの発現を決定するために選択される方法に基づいて変動する。本開示に鑑みれば、いずれの当業者も、特定のRNAもしくはタンパク質発現を測定するための、当該分野で現在公知のもしくは既に開示されている任意の方法を使用して、前立腺癌において低下した生存を予測する患者サンプル中のTPX2発現の閾値レベルを決定し得る。
発現の閾値レベルの概念は、単一の値もしくは結果に限定されるべきではない。むしろ、発現の閾値レベルの概念は、例えば、疾患がない生存の例えば、高い、中程度、もしくは低い可能性を示し得る複数の閾値発現レベルを包含する。あるいは、上記閾値を下回る上記サンプル中のTPX2の発現は、上記被験体が良好な予後を有する可能性があることを示す低い発現の閾値、および上記閾値を上回る上記サンプル中のTPX2発現は、上記被験体が好ましくない予後を有することを示す別個の高い発現の閾値が存在し得る。上記2つの閾値の間に入る上記サンプル中の発現は、上記被験体が好ましくない予後を有するかもしくは有しないかに関して確定的でない。
被験体が、TPX2発現を測定するための特定の方法(例えば、RTPCR、ELISA、ISH、もしくはIHC)の好ましくない結果を有することを示すTPX2発現の閾値を得るために、前立腺癌において低下した生存を有することが既知の被験体の第1のコホートから、および低下した生存を有しないことが既知の第2のコホートから得られるサンプルを使用して、TPX2発現が決定され得る。TPX2発現は、両方のコホート、および被験体が好ましくない予後を有することを示す所望の発現の発現プロフィールにおいて決定される。好ましくは、上記発現の閾値レベルは、被験体が好ましくない予後を有するか否かを予測する最大の能力を提供する発現のレベルであり、試験の選択性および感度の両方を最大化する。発現の閾値レベルの予知力(predictive power)は、当該分野で公知の多くの統計的方法のうちのいずれかによって評価され得る。当業者は、どの統計的方法が、TPX2発現を決定するための方法および得られるデータに基づいて選択されるべきかを理解する。このような統計的方法の例としては、以下が挙げられる:
受信者動作特性曲線、もしくは「ROC」曲線は、2つの集団の各々においてその相対的頻度に対して変数の値をプロットすることによって計算され得る。分布を使用して、閾値が選択される。上記ROC曲線下の面積は、発現が正確に診断を示すという確率の尺度である。上記2つのコホート間のTPX2発現の分布が重なる場合、重なりの領域の中に入り、上記被験体がサンプルを提供する被験体からのTPX2発現値は、診断され得ない。例えば、Hanleyら、Radiology 143, 29−36 (1982)(その全体において本明細書に参考として援用される)を参照のこと。その場合、低い発現の閾値および高い発現の閾値が、選択され得る。
オッズ比は、効果の大きさを評価し、2つの群間の関連の量および非依存性を説明する。オッズ比は、上記閾値を上回るTPX2発現が、ADを有しないことが既知である被験体または続いてADを発症させない被験体のコホートに由来するサンプル中に起こるオッズに対する、上記閾値を上回るTPX2発現が、ADを有することが既知の被験体または続いてADを発症させる被験体のコホートに由来するサンプル中に起こるオッズの比である。オッズ比1は、上記閾値を上回るTPX2発現が、両方のコホートにおいてひとしくありそうであることを示す。1より大きいオッズ比もしくは1より小さいオッズ比は、上記マーカーの発現が、一方のコホートもしくは他方のコホートにおいて起こる可能性がより高いことを示す。
ハザード比は、相対的リスクの推定値によって計算され得る。相対的リスクは、特定の事象が起こる可能性である。例えば:相対的リスクは、上記閾値を超えないサンプルが好ましくない予後を有しない患者に由来するという確率に対するTPX2の発現の閾値レベルを超えるサンプルが好ましくない予後を有する患者に由来するという確率の比から計算され得る。ハザード比の場合、値1は、上記相対的リスクが上記第1の群および第2の群の両方において等しいことおよび上記アッセイがほとんどもしくは全く予測値を有さないことを示し;1より大きい値もしくは1より小さい値は、上記リスクが、計算への入力に依存して、一方の群もしくは別の群においてより大きいことを示す。
発現の複数の閾値レベルは、いわゆる「三分位数」、「四分位数」、もしくは「五分位数」分析によって選択され得る。これら方法において、複数の群が、単一の集団として一緒に考慮され得、等しい個体数を有する3つ以上のビン(bin)に分けられる。これら「ビン」のうちの2つの間の境界は、発現の閾値レベルが考慮され得、このレベルは、上記被験体が好ましくない予後を有するかもしくは将来有するという特定のリスクレベルを示す。リスクは、どの「ビン」に試験被験体が入るかに基づいて割り当てられ得る。
上記発現の閾値レベルはまた、上記試験の目的に基づいて異なり得る。被験体が好ましくない予後を有するか有しないかを決定するための試験については、被験体の2つのコホートが試験され得る:一方の好ましくない予後を有することが既知の被験体コホート、および好ましくない予後を有しないことが既知の別の被験体コホート。TPX2発現は、両方のコホートにおいて同じ方法によって決定され、上記コホートを区別する発現の閾値レベルが決定される。
発現の閾値レベルの1つのタイプは、1種以上のコントロールもしくは標準と比較した、発現の量もしくは評価である。発現は、上記発現の閾値レベルに等しいことが公知のコントロールを上回り得るかもしくは下回り得る。上記コントロールは、サンプル中の遺伝子の発現を比較するための、任意の適切なコントロールであり得る。いくつかの実施形態において、上記コントロールサンプルは、非腫瘍組織である。いくつかの例において、上記非腫瘍組織は、同じ被験体から得られる(例えば、上記腫瘍に隣り合っている非腫瘍組織)。他の例において、上記非腫瘍組織は、健康なコントロール被験体から得られる。他の例において、既知の発現レベルに等しいコントロールのセットは、標準曲線を公式化するために評価される。次いで、上記サンプル中の発現は、その標準曲線に基づいて定量され、次いで、上記発現の閾値レベルと比較される。
いくつかの実施形態において、上記開示される方法は、上記被験体の予後のさらなるインジケーターを決定する工程をさらに包含する。具体例において、上記腫瘍は、前立腺腫瘍であり、上記方法は、上記被験体の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを測定する工程を包含する。被験体のPSAレベル(例えば、上記被験体に由来するサンプル(例えば、血液サンプル)中で)を測定するための方法は、当業者に公知であり、イムノアッセイ(例えば、電気化学発光イムノアッセイ)を包含する。いくつかの場合において、上記被験体は、正常PSAレベルより高い(例えば、4ng/mLより高い(例えば、約4〜50ng/mL、約4〜10ng/mL、もしくは約10〜25ng/mL))PSAレベルを有する。いくつかの例において、増大した(正常より高い)PSAレベルは、上記被験体が好ましくない予後を有することを示す。一例において、10.0以上のPSAレベルは、上記被験体が好ましくない予後を有することを示す。PSAレベルは、上記被験体の年齢および健康状態に基づいて変動し得る。当業者は、被験体における正常もしくは異常なPSAレベルを決定し得る。
他の例において、上記腫瘍は、前立腺腫瘍であり、上記方法は、上記被験体に由来するサンプル中でTMPRSS2−ERG遺伝子融合物の存在を検出する工程を包含する。TMPRSS2−ERG遺伝子融合物を検出するための方法は、当業者に公知であり、インサイチュハイブリダイゼーション(例えば、蛍光インサイチュハイブリダイゼーションもしくは比色インサイチュハイブリダイゼーション)、サザンブロット、ノーザンブロット、ポリメラーゼ連鎖反応(例えば、逆転写PCR)、ウェスタンブロット、もしくは免疫組織化学を含む。いくつかの例において、TMPRSS2−ERG遺伝子融合物の存在は、上記被験体が好ましくない予後を有することを示す。
開示される方法は、癌を有する被験体の予後を決定するために使用され得る。詳細な例において、癌は、前立腺癌を含む。
(IV.遺伝子発現の検出)
A.核酸の検出
サンプル中の核酸の発現は、慣用的方法を使用して検出され得る。いくつかの例において、生物学的サンプル中の核酸は、単離されるか、増幅されるか、またはその両方とも行われる。いくつかの例において、発現の増幅および検出は、同時にまたはほぼ同時に起こる。例えば、核酸は、市販されるキットを使用することによって、単離および増幅され得る。例において、上記生物学的サンプルは、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、および/もしくはCDC20のうちの少なくとも1種のmRNAの増幅を可能にするプライマーとともに、このような生成物の増幅を可能にするために十分な条件下でインキュベートされ得る。
ハイブリダイゼーション分析および/もしくは配列決定に基づいて、核酸(例えば、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、および/もしくはCDC20をコードするmRNA)の量を決定するための方法は、当該分野で公知である。サンプル中でのmRNA発現の定量のための当該分野で公知の方法としては、ノーザンブロッティングおよびインサイチュハイブリダイゼーション(Parker & Barnes, Methods in Molecular Biology 106 247−283 (1999);RNAse保護アッセイ(Hod, Biotechniques 13, 852−854 (1992));ならびにPCRベースの方法(例えば、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)(Weis et al., Trends in Genetics 8, 263−264 (1992)))が挙げられる。配列決定ベースの遺伝子発現分析の代表的方法としては、遺伝子発現の連続分析(SAGE)、および広範囲並行シグナチャー配列決定法(massively parallel signature sequencing)(MPSS)による遺伝子発現分析が挙げられる(Mardis ER, Annu. Rev. Genomics Hum Genet 9, 387−402 (2008)を参照のこと)。いくつかの実施形態において、生物学的サンプルにおいて発現されるTPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、および/もしくはCDC20の量を決定することは、上記生物学的サンプル中のTPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、および/もしくはCDC20のmRNAの量を決定することを包含する。
mRNAを定量するための方法は、当該分野で周知である。一例において、上記方法は、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を利用する。一般に、RT−PCRによる遺伝子発現プロファイリングにおける第1の工程は、RNAテンプレートの、cDNAへの逆転写、続いて、PCR反応におけるその指数関数的増幅である。最も一般に使用される2つの逆転写酵素は、トリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素(AMV−RT)およびモロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(MMLV−RT)であるが、RNAテンプレートからcDNAを合成し得る任意の酵素もしくはそのフラグメントが使用され得る。上記逆転写工程は、代表的には、発現プロファイリングの環境およぼ目的に依存して、特異的プライマー、ランダムヘキサマー、もしくはオリゴ−dTプライマーを使用して刺激される。例えば、抽出されたRNAは、GENEAMP(登録商標) RNA PCRキット(Perkin Elmer, Calif., USA)を使用して、製造業者の指示に従って逆転写され得る。次いで、得られたcDNAは、その後のPCR反応においてテンプレートとして使用され得る。
PCR工程は、多くの熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼのうちのいずれかを使用し得るが、代表的には、Taq DNAポリメラーゼ(これは、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するが、3’−5’プルーフリーディングエンドヌクレアーゼ活性を欠いている)を使用する。従って、TAQMAN(登録商標) PCRは、代表的には、TaqもしくはTthポリメラーゼの5’−ヌクレアーゼ活性を利用して、その標的アンプリコンに結合したハイブリダイゼーションプローブを加水分解するが、等価な5’ヌクレアーゼ活性を有する任意の酵素も使用され得る。2種のオリゴヌクレオチドプライマーが、PCR反応に代表的なアンプリコンを生成するために使用される。第3のオリゴヌクレオチド、もしくはプローブは、上記2種のPCRプライマーの間に位置するヌクレオチド配列を検出するために設計される。上記プローブは、Taq DNAポリメラーゼ酵素によって伸長せず、レポーター蛍光色素およびクエンチャー蛍光色素で標識される。上記レポーター色素からの任意のレーザー誘導性発光は、上記2種の色素が、それらが上記プローブ上に存在するように一緒に密接に位置する場合に、クエンチング色素によってクエンチされる。増幅反応の間に、上記Taq DNAポリメラーゼ酵素は、テンプレート依存性様式において上記プローブを開裂する。得られたプローブフラグメントは、溶液中で解離し、上記放出されたレポーター色素からのシグナルには、第2のフルオロフォアのクエンチング効果がない。レポーター色素の一分子は、合成される各新たな分子のために遊離され、上記クエンチされていないレポーター色素の検出は、データの定量的解釈のための基礎を提供する。定量的PCRにおいて使用され得る蛍光標識の例としては、以下が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない:HEX、TET,6−FAM、JOE、Cy3、Cy5、ROX TAMRA、およびテキサスレッド。定量的PCRにおいて使用され得るクエンチャーの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定される必要はない:TAMRA(これは、HEX、TET、もしくは6−FAMとともにクエンチャーとして使用され得る)、BHQ1、BHQ2、もしくはDABCYL。
TAQMAN(登録商標) RT−PCRは、市販の装置(例えば、ABI PRISM 7700(登録商標) Sequence Detection SystemTM(Perkin−Elmer−Applied Biosystems, Foster City, Calif., USA)、もしくはLightcycler(Roche Molecular Biochemicals, Mannheim, Germany))を使用して行われ得る。一実施形態において、上記5’ヌクレアーゼ手順は、リアルタイム定量的PCRデバイス(例えば、ABI PRISM 7700(登録商標) Sequence Detection System)で行われる。上記システムは、サーモサイクラー、レーザー、電荷結合素子(CCD)、カメラおよびコンピューターから構成される。上記システムは、サーモサイクラー上にある96ウェル形式でサンプルを増幅する。増幅の間に、レーザー誘導性蛍光シグナルは、全ての96ウェルに関して光ファイバーケーブルを通じてリアルタイムで集められ、上記CCDで検出される。上記システムは、上記機器を動かし、上記データを分析するためのソフトウェアを含む。
いくつかの例において、5’−ヌクレアーゼアッセイデータは、Ct、もしくは閾値サイクルとして最初に表現される。上記で考察されるように、蛍光値は、全てのサイクルの間に記録され、それは、増幅反応においてその点までに増幅された生成物の量を表す。上記蛍光シグナルが統計的に有意として最初に記録される点は、閾値サイクル(Ct)である。
サンプル間変動の誤差および影響を最小限にするために、RT−PCRは、内部標準を使用して行われ得る。理想的な内部標準は、異なる組織の間で一定のレベルで発現され、実験処理によって影響を受けない。遺伝子発現のパターンを正規化するために最も頻繁に使用されるRNAは、ハウスキーピング遺伝子のmRNA生成物である。
さらに、定量的PCRは、上記プライマー間の配列に結合する標識オリゴヌクレオチドプローブの使用なしに、被験体に由来するサンプルの逆転写から生じるcDNAに対して行われ得る。これら技術のうちのいくつかにおいて、PCR増幅は、蛍光色素(例えば、SYBRグリーン)の、上記増幅反応の間に二本鎖PCR生成物への結合によって追跡される。SYBRグリーンは、二本鎖DNAに結合するが、一本鎖DNAには結合しない。さらに、SYBRグリーンは、二本鎖DNAに結合した場合に波長497nmにおいて強く蛍光を発するが、二本鎖DNAに結合されない場合には蛍光を発しない。結果として、497nmでの蛍光の強度は、上記反応の間の任意の時点において存在する増幅生成物の量と相関し得る。増幅の速度は、続いて、最初のサンプル中に存在するテンプレート配列の量と相関し得る。一般に、Ct値は、上記TaqMan(登録商標)システムを使用して計算されるものに類似して計算される。プローブは存在しないので、適切な配列の増幅は、多くの技術のうちのいずれかによってチェックされ得る。1つのこのような技術は、核酸フラグメントを分離し、定量的リアルタイムPCR反応に由来する増幅生成物と、既知のサイズのコントロールDNAフラグメントとを比較するために適した、アガロースもしくは他のゲル上で上記増幅生成物を泳動させることを包含する。
サンプル内のRNA発現レベルは、ハウスキーピング遺伝子のような内部標準に対する比較において定量され得る。ハウスキーピング遺伝子発現が、例えば、TPX2と同じサンプル中で決定される場合、TPX2発現は、上記ハウスキーピング遺伝子の発現に対して正規化され得る。よって、上記ハウスキーピング遺伝子の発現は、存在する総RNAの観点においてサンプル間変動を説明するために働く内部正規化コントロールとして働く。ハウスキーピング遺伝子は、一定の発現レベルで、生物中の大部分もしくは全ての組織において構成的に発現される任意の遺伝子であり得る。Eisenberg and Levanon, Trends in Genetics 19, 362−365 (2003.)を参照のこと。ヒトハウスキーピング遺伝子のリストは、http://www.compugen.co.il/supp_info/Housekeeping_genes.html(2012年3月08日に最後に確認)において入手可能である。当業者は、特定の標的遺伝子のmRNA発現を評価するための任意の方法において使用されるように1種以上の受容可能なハウスキーピング遺伝子を選択する方法を知っている。
一実施形態において、核酸サンプルが利用される(例えば、生物学的サンプルから単離された総mRNA)。上記生物学的サンプルは、上記目的の被験体(例えば、心血管疾患を有すると疑われる被験体)に由来する任意の生物学的組織もしくは体液に由来し得る。このようなサンプルとしては、血液、血球(例えば、白血球)もしくは脾臓組織を含む組織生検材料が挙げられるが、これらに限定されない。
核酸(例えば、mRNA)は、当業者に周知の多くの方法のうちのいずれかに従って、上記サンプルから単離され得る。総mRNAを単離するための方法は、当業者に周知である。例えば、核酸の単離および精製の方法は、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology:Hybridization With Nucleic Acid Probes, Part I. Theory and Nucleic Acid Preparation, P. Tijssen, ed. Elsevier, N.Y. (1993)の第3章、およびLaboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology:Hybridization With Nucleic Acid Probes, Part I. Theory and Nucleic Acid Preparation, P. Tijssen, ed. Elsevier, N.Y. (1993)の第3章に詳細に記載されている。一例において、上記総核酸は、所定のサンプルから、例えば、酸グアニジウム−フェノール−クロロホルム抽出法を使用して単離され、ポリA+mRNAは、オリゴdTカラムクロマトグラフィーによって、もしくは(dT)n磁性ビーズを使用することによって単離される(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual (2nd ed.), Vols. 1−3, Cold Spring Harbor Laboratory, (1989)、もしくはCurrent Protocols in Molecular Biology, F. Ausubel et al., ed. Greene Publishing and Wiley−Interscience, N.Y. (1987)を参照のこと)。別の例において、オリゴ−dT磁性ビーズは、mRNAを精製するために使用され得る(Dynal Biotech Inc., Brown Deer, WI)。核酸は、核酸単離前に全血中の細胞を溶解することによって血液から単離され得るか、または核酸は、全血の画分(例えば、PBMC)から単離され得るかのいずれかである。上記核酸サンプルは、ハイブリダイゼーション前に増幅され得る。定量的結果が所望される場合、増幅された核酸の相対的頻度を維持もしくは制御する方法が利用される。「定量的」増幅のための方法は、当業者に周知である。例えば、定量的PCRは、同じプライマーを使用して、コントロール配列の既知量を同時に共増幅することを包含する。これは、PCR反応を較正するために使用され得る内部標準を提供する。次いで、上記アレイは、上記増幅された核酸の定量のための内部標準に特異的なプローブを含み得る。
定量的PCRにおいて使用されるプライマーおよびプローブは、オリゴヌクレオチドであり得る。オリゴヌクレオチド合成は、当該分野で現在公知か、または既に開示されている任意の方法による、規定された化学構造および/もしくは核酸配列を有するオリゴヌクレオチドの化学合成である。オリゴヌクレオチド合成は、成長している鎖の5’末端にヌクレオチド残基を付加することによって行われ得る。オリゴヌクレオチド合成のエレメントは、以下を含む:脱ブロック(de−blocking)(脱トリチル化):DMT基は、不活性溶媒(ジクロロメタンもしくはトルエン)中の酸(例えば、TCAもしくはジクロロ酢酸(DCA))の溶液で除去され、洗浄され、第1の塩基上の遊離5’ヒドロキシル基を生じる。カップリング:ヌクレオシドホスホルアミダイト(もしくはいくつかのホスホルアミダイトの混合物)は、酸性アゾール触媒、テトラゾール、2−エチルチオテトラゾール、2−ベンジルチオテトラゾール、4,5−ジシアノイミダゾール、もしくは多くの類似の化合物によって活性化される。この混合物は、5’−ヒドロキシル基は、入ってくるヌクレオシドホスホルアミダイトの活性化ホスホルアミダイト部分と反応して、ホスファイトトリエステル結合を形成する、出発固体支持体(第1のカップリング)もしくはオリゴヌクレオチド前駆体(カップリング後)と接触した状態にされる。上記ホスホルアミダイトカップリングは、無水アセトニトリル中で行われ得る。結合していない試薬および副生成物は、洗浄によって除去され得る。
上記固体支持体に結合した5’−OH基のうちのわずかなパーセンテージ(0.1〜1%)は、反応しないままであり、(n−1)ショートマー(shortmer)と一般にいわれる内部塩基欠失を有するオリゴヌクレオチドの形成を防止するために、さらなる鎖伸長から永久的にブロックされるべきである。これは、無水酢酸の混合物および1−メチルイミダゾールを触媒として使用する、反応していない5’−ヒドロキシ基のアセチル化によって行われる。過剰な試薬は、洗浄によって除去される。
新たに形成される3配位(tricoordinated)ホスファイトトリエステル結合は、オリゴヌクレオチド合成の条件下で制限された安定性がある。上記固体支持体に結合した物質の、弱塩基(ピリジン、ルチジン、もしくはコリジン)の存在下でのヨウ素および水での処理は、上記ホスファイトトリエステルを4配位ホスフェートトリエステル(天然に存在するホスフェートジエステルヌクレオシド間結合の保護された前駆体)へと酸化する。この工程は、オリゴヌクレオチドホスホロチオエートを得るために、硫化工程と置換され得る。後者の場合、上記硫化工程は、キャッピングの前に行われる。鎖アセンブリの完了の際に、上記生成物は、上記固相から溶液へと遊離され得、脱保護され得、集められ得る。生成物は、高純度の所望のオリゴヌクレオチドを得るために、HPLCによって単離され得る。
一実施形態において、上記ハイブリダイズした核酸は、上記サンプル核酸に付着される1種以上の標識を検出することによって検出される。上記標識は、多くの方法のうちのいずれかによって組み込まれ得る。一例において、上記標識は、上記サンプル核酸の調製において増幅工程の間に同時に組み込まれる。従って、例えば、標識プライマーもしくは標識ヌクレオチドを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、標識された増幅生成物を提供する。一実施形態において、上記のように、標識ヌクレオチド(例えば、フルオレセイン標識UTPおよび/もしくはCTP)を使用する転写増幅は、標識を転写される核酸に組み込む。あるいは、標識は、元の核酸サンプル(例えば、mRNA、ポリA mRNA、cDNAなど)もしくは増幅が完了した後にその増幅生成物に直接付加され得る。標識を核酸に付着させる手段は、当業者に周知であり、上記核酸のキナーゼ処理、および上記サンプル核酸を標識(例えば、フルオロフォア)に結合する核酸リンカーのその後の付着(ライゲーション)による、例えば、ニックトランスレーションもしくは末端標識(例えば、標識RNAで)を含む。使用に適した検出可能な標識は、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的もしくは化学的な手段によって検出可能な任意の組成を含む。有用な標識としては、標識されたストレプトアビジン結合体での染色のためのビオチン、磁性ビーズ(例えば、DYNABEADSTM)、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質など)、放射標識(例えば、3H、125I、35S、14C、もしくは32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ELISAにおいて一般に使用される他のもの)、および比色標識(例えば、コロイド金、または着色ガラスもしくはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズ)が挙げられる。このような標識の使用を教示する特許としては、以下が挙げられる:米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号;および同第4,366,241号。このような標識を検出するための方法もまた、周知である。従って、例えば、放射標識は、写真フィルムもしくはシンチレーションカウンターを使用して検出され得、蛍光マーカーは、発せられた光を検出するために光検出器を使用して検出され得る。酵素標識は、代表的には、上記酵素を基材に提供し、上記基材上の酵素の作用によって生成される反応生成物を検出することによって検出され、比色標識は、着色された標識を単純に可視化することによって検出される。
上記標識は、ハイブリダイゼーションの前もしくは後に、上記標的(サンプル)核酸に付加され得る。いわゆる「直接標識」は、ハイブリダイゼーション前に、上記標的(サンプル)核酸に直接結合されるかまたは組み込まれる検出可能な標識である。対照的に、いわゆる「間接」標識は、ハイブリダイゼーション後にハイブリッド二重鎖に結合される。しばしば、上記間接標識は、上記ハイブリダイゼーション前に上記標的核酸に付着された結合部分に付着される。従って、例えば、上記標的核酸は、上記ハイブリダイゼーション前にビオチン化され得る。ハイブリダイゼーション後、アビジン結合体化フルオロフォアが、ビオチンを有するハイブリッド二重鎖に結合し、容易に検出される標識を提供する(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Vol. 24:Hybridization With Nucleic Acid Probes, P. Tijssen, ed. Elsevier, N.Y., 1993を参照のこと)。
核酸ハイブリダイゼーションは、変性プローブおよび標的核酸を、上記プローブおよびその相補的な標的が相補的塩基対形成を介して安定なハイブリッド二重鎖を形成し得る条件下で提供することを包含する。次いで、ハイブリッド二重鎖を形成しない核酸は、代表的には、付着した検出可能な標識の検出を介して検出されるべきハイブリダイズした核酸を残して洗い流される。温度を上昇させるかもしくは上記核酸を含む緩衝液の塩濃度を低下させることによって、核酸が変性されることは、一般に認識される。低ストリンジェンシー条件(例えば、低温および/もしくは高い塩)下で、ハイブリッド二重鎖(例えば、DNA:DNA、RNA:RNA、もしくはRNA:DNA)は、アニールした配列が完全に相補的でない場合すら形成する。従って、ハイブリダイゼーションの特異性は、より低いストリンジェンシーで低下する。逆に、より高いストリンジェンシー(例えば、より高温もしくはより低い塩)では、首尾良いハイブリダイゼーションは、より少ないミスマッチを要する。当業者は、ハイブリダイゼーション条件が、異なる程度のストリンジェンシーを提供するように設計され得ることを認識する。
一般に、ハイブリダイゼーション特異性(ストリンジェンシー)とシグナル強度との間には、二律背反が存在する。従って、一実施形態において、洗浄は、一貫した結果を生じ、かつバックグラウンド強度の約10%より高いシグナル強度を与える最高のストリンジェンシーにおいて行われる。従って、上記ハイブリダイズしたアレイは、逐次的により高いストリンジェンシー溶液において洗浄され得、各洗浄の間に読み取られ得る。このように生成されるデータセットの分析から、洗浄ストリンジェンシーが明らかになり、これを上回ると、上記ハイブリダイゼーションパターンが目に見えるほどには変化せず、目的の特定のオリゴヌクレオチドプローブについての適切なシグナルを提供する。これら工程は、市販のアレイシステムについて標準化された。
上記ハイブリダイゼーション結果を評価するための方法は、使用される特異的プローブ核酸の性質、および提供されるコントロールに伴って変動する。一実施形態において、各プローブの蛍光強度の単純な定量化が決定される。これは、アレイ上の各場所(異なるプローブを表す)におけるプローブシグナル強度を測定することによって単純に達成される(例えば、上記標識は、蛍光標識であり、蛍光の量(強度)の検出は、上記アレイ上の各位置における固定された励起照度(fixed excitation illumination)によって生成される場合)。「試験」サンプル(例えば、未知の予後を有する被験体由来の前立腺癌組織)に由来する核酸にハイブリダイズしたアレイの絶対強度と、「コントロール」サンプル(例えば、同じ患者由来の正常前立腺組織)によって生成される強度との比較から、上記プローブの各々にハイブリダイズする核酸の相対的発現の尺度が提供される。
B.タンパク質の検出
核酸の検出の代わりとして、もしくは核酸の検出に加えて、タンパク質は、ウェスタンブロット、免疫組織化学、ELISA、もしくは質量分析のような慣用的方法を使用して検出され得る。いくつかの例において、タンパク質は、検出前に精製される。一例において、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、およびCDC20のうちの少なくとも1種は、上記生物学的サンプルを、上記タンパク質に特異的に結合する抗体とインキュベートすることによって検出される。別の例において、表1に開示される遺伝子のうちの少なくとも1種は、上記生物学的サンプルを、上記タンパク質に特異的に結合する抗体とインキュベートすることによって検出される。一次抗体は、検出可能な標識を含み得る。例えば、一次抗体は、直接標識され得るか、または上記サンプルは、標識されている二次抗体(例えば、蛍光標識で)とその後にインキュベートされ得る。次いで、例えば、顕微鏡検査、ELISA、フローサイトメトリー、もしくは分光測光によって上記標識が検出され得る。別の例において、上記生物学的サンプルは、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、およびCDC20のうちの少なくとも1種、または表1に開示される遺伝子のうちの少なくとも1種の発現を検出するために、ウェスタンブロッティングによって分析される。
上記抗体もしくは二次抗体に適した標識としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、磁性因子および放射活性物質が挙げられる。適した酵素の非限定的な例としては、以下が挙げられる:西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、もしくはアセチルコリンエステラーゼ。適した補欠分子族複合体の非限定的な例としては、ストレプトアビジン:ビオチンおよびアビジン:ビオチンが挙げられる。適切な蛍光物質の非限定的な例としては、以下が挙げられる:ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドもしくはフィコエリトリン。非限定的で例示的な発光物質は、ルミノールであり;非限定的で例示的な磁性因子は、ガドリニウムであり、非限定的で例示的な放射活性標識としては、125I、131I、35Sもしくは3Hが挙げられる。
例示的で市販される抗体としては、以下が挙げられる:TPX2抗体(例えば、カタログ番号 sc−26275、sc−271570、およびsc−26273(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA);カタログ番号 ab32795およびab71816(Abeam, Cambridge, MA))、KIF11抗体(例えば、カタログ番号 sc−31644およびsc−66872(Santa Cruz Biotechnology);カタログ番号 ab37009およびab37814, Abeam));ZWILCH抗体(例えば、カタログ番号 sc−66302およびsc−135615(Santa Cruz Biotechnology);カタログ番号 abl01403およびab57533(Abeam));MYC抗体(例えば、カタログ番号 sc−70468およびsc−70463(Santa Cruz Biotechnology));DEPDC1抗体(例えば、カタログ番号 sc−164170およびsc−86115(Santa Cruz Biotechnology);カタログ番号 ab57591およびab76647(Abeam));CDCA3抗体(例えば、カタログ番号 sc−134625(Santa Cruz Biotechnology);カタログ番号 ab69608およびab57795(Abeam));HMGB2抗体(例えば、カタログ番号 sc−8758およびsc−271689(Santa Cruz Biotechnology);カタログ番号 ab61169およびab64861(Abcam));ならびにCDC20抗体(例えば、カタログ番号 ab26483、ab64877、およびabI8217(Abcam))。当業者は、他の適切な抗体を同定もしくは生成し得る。
代替例において、タンパク質発現は、検出可能な物質で標識された標準および所望のタンパク質(例えば、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、もしくはCDC20、または表1に開示される遺伝子のうちの1種)を特異的に結合する標識されていない抗体を利用する競合的イムノアッセイによって、生物学的サンプル中でアッセイされ得る。このアッセイにおいて、上記生物学的サンプル(例えば、組織生検材料、組織生検材料から単離された細胞、血液、もしくは尿)、上記標識された標準、および上記所望のタンパク質に特異的に結合する抗体が合わされ、上記標識されていない抗体に結合される標識された標準の量が決定される。上記生物学的サンプル中のタンパク質の量は、上記目的のタンパク質に特異的に結合する抗体に結合した標識標準物の量に逆比例する。
(V.アレイ)
本明細書に提供される詳細な実施形態において、アレイは、遺伝子発現を評価するために、例えば、癌(例えば、前立腺癌)を有する患者を予後決定するために使用される。表1に列挙される遺伝子のうちの1種以上に特異的なプローブもしくはプライマーから本質的になるアレイを記載する場合、このようなアレイは、これら遺伝子に特異的なプローブもしくはプライマーを含み、コントロールプローブを(例えば、インキュベーション条件が十分であることを確認するために)さらに含み得る。いくつかの例において、上記アレイは、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、およびCDC20のうちの1種以上に対して特異的な1種以上(例えば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、もしくは8種)のプローブもしくはプライマーを含み得るかもしくはこれらから本質的になり得、1種以上のコントロールプローブをさらに含み得る。他の例において、上記アレイは、表1に開示される遺伝子のうちの1種以上に対して特異的な1種以上のプローブもしくはプライマーを含み得るかもしくはこれらから本質的になり得、1種以上のコントロールプローブをさらに含み得る。例示的なコントロールプローブとしては、GAPDH、アクチン、および18S RNAが挙げられる。一例において、アレイは、マルチウェルプレート(例えば、96ウェルもしくは384ウェルプレート)である。
一例において、上記アレイは、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、およびCDC20を認識し得るプローブもしくはプライマー(例えば、オリゴヌクレオチドもしくは抗体)を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる。上記プローブもしくはプライマーは、上記プローブと標的配列(例えば、本明細書で開示される遺伝子のうちの1種)との間の特異的結合の検出を可能にするために、1種以上の検出可能な標識をさらに含み得る。
上記アレイの固体支持体は、有機ポリマーから形成され得る。固体支持体に適切な物質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニニデンジフルオリド、ポリフルオロエチレン−プロピレン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリメチルペンテン、ポリクロロトリフルオロエチレン(polycholorotrifluoroethylene)、ポリスルホン、ヒドロキシル化二軸配向性ポリプロピレン、アミノ化二軸配向性ポリプロピレン、チオール化二軸配向性ポリプロピレン、エチレンアクリル酸、エチレンメタクリル酸、およびこれらのコポリマーのブレンド(米国特許第5,985,567号を参照のこと)。
一般に、上記固体支持体表面を形成するために使用され得る物質の適切な特徴としては、以下が挙げられる:活性化の際に、上記支持体の表面がオリゴヌクレオチドのような生体分子と共有結合することができるように、表面活性化の影響を受けやすいこと;生体分子の「インサイチュ」合成に従いやすいこと;上記オリゴヌクレオチドもしくはタンパク質(例えば、抗体)によって占有されない上記支持体上の領域において、非特異的結合の影響を受けにくいように、または非特異的結合が起こる場合に、このような物質が、上記オリゴヌクレオチドもしくはタンパク質(例えば、抗体)を除去することなく、上記表面から容易に除去され得るように、化学的に不活性であること。
別の例において、表面活性化有機ポリマーは、上記固体支持体表面として使用される。表面活性化有機ポリマーの一例は、高周波プラズマ放電(radio frequency plasma discharge)を介してアミノ化されたポリプロピレン物質である。他の反応性の基もまた、使用され得る(例えば、カルボキシル化、ヒドロキシル化、チオール化、もしくは活性エステル基)。
広範な種類のアレイ形式が、本開示に従って使用され得る。一例は、オリゴヌクレオチドバンド、ペプチド、もしくは抗体の線形アレイ(一般には、当該分野でディップスティックといわれる)を含む。別の適した形式は、別個にセルの二次元パターン(例えば、64×64アレイでは4096マス)を含む。当業者によって認識されるように、スロット(矩形)および円形のアレイが挙げられるが、これらに限定されない他のアレイ形式は、使用に等しく適している(米国特許第5,981,185号を参照のこと)。いくつかの例において、上記アレイは、マルチウェルプレートである。一例において、上記アレイは、ポリマー媒体(これは、糸、膜もしくはフィルムである)上に形成される。有機ポリマー媒体の例は、約1ミル(0.001インチ)〜約20ミルの程度の厚みを有するポリプロピレンシートであるが、上記フィルムの厚みは重要でなく、かなり広い範囲にわたって変動し得る。上記アレイは、二軸配向性ポリプロピレン(BOPP)フィルムを含み得、上記フィルムは、それらの耐久性に加えて、低いバックグラウンド蛍光を示す。
本開示のアレイ形式は、種々の異なるタイプの形式において含められ得る。「形式」は、上記固体支持体が固定され得る任意の形式(例えば、マイクロタイタープレート(例えば、マルチウェルプレート)、試験管、無機シート、ディップスティックなど)を含む。例えば、上記固体支持体がポリプロピレン糸である場合、1本以上のポリプロピレン糸が、プラスチックディップスティックタイプデバイスに固定され得;ポリプロピレン膜がガラススライドに固定され得る。上記特定の形式は、それ自体重要ではない。上記固体支持体が、上記固体支持体の挙動にも、そこに吸収されるいかなるバイオポリマーの挙動にも影響を及ぼすことなく固定され得ること、および上記形式(例えば、ディップスティックもしくはスライド)が、上記デバイスが導入される任意の物質(例えば、臨床サンプルおよびハイブリダイゼーション溶液)に対して安定であることが、必要な全てである。
本開示のアレイは、種々のアプローチによって調製され得る。一例において、オリゴヌクレオチドもしくはタンパク質配列は、別個に合成され、次いで、固体支持体に付着される(米国特許第6,013,789号を参照のこと)。別の例において、所望のアレイを提供するために、上記支持体上に直接配列が合成される(米国特許第5,554,501号を参照のこと)。固体支持体にオリゴヌクレオチドおよびタンパク質を共有結合させるために、ならびに上記支持体上にオリゴヌクレオチドもしくはタンパク質を直接合成するために適した方法は、当業者に公知である;適した方法のまとめは、Matson et al., Anal. Biochem. 217:306−10, 1994において見いだされ得る。一例において、上記オリゴヌクレオチドは、固体支持体上にオリゴヌクレオチドを調製するための従来の化学技術(例えば、PCT出願WO 85/01051およびWO 89/10977、または米国特許第5,554,501号)を使用して、上記支持体上に合成される。
適切なアレイは、所定のパターンにおいて4種の塩基の前駆体を置くことによって、上記アレイのセルにオリゴヌクレオチドを合成するように生成され得る。簡潔には、マルチチャネル自動化化学送達システムは、上記基材にわたって、並行した行(上記送達システムにおけるチャネルの数に対応する)においてオリゴヌクレオチドプローブ集団を作製するために使用される。第1の方向においてオリゴヌクレオチド合成が完了した後、上記基材は、次いで、90°だけ回転されて、合成して第2の行のセット内に進められ、これは、上記第1のセットに対して垂直である。このプロセスは、その交点が複数の別個のセルを生成するマルチチャネルアレイを作り出す。
上記オリゴヌクレオチドは、上記オリゴヌクレオチドの3’末端もしくは上記オリゴヌクレオチドの5’末端のいずれかによって、上記ポリプロピレン支持体に結合される。一例において、上記オリゴヌクレオチドは、3’末端によって、上記固体支持体に結合される。しかし、当業者は、上記オリゴヌクレオチドの3’末端もしくは5’末端の使用が、上記固体支持体に固定するために適しているか否かを決定し得る。一般に、3’末端および5’末端の領域におけるオリゴヌクレオチドプローブの内部相補性は、上記支持体への結合を決定する。
詳細な例において、上記アレイ上のオリゴヌクレオチドプローブは、1種以上の標識を含み、上記標識は、オリゴヌクレオチドプローブ:標的配列ハイブリダイゼーション複合体の検出を可能にする。
(VI.診断キット)
本明細書に記載される方法は、前立腺癌を有する被験体の予後を提供するために、例えば、少なくとも1種の特異的核酸プローブを含む診断キット(これは、例えば、臨床状況において便利に使用され得る)を利用することによって行われ得る。このようなキットは、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、および/もしくはCDC20の発現を決定するにあたって使用され得る1種以上の成分を収容する、パッケージ、ボックス、バッグ、もしくは他の容器の形態において提供され得る。このようなキットはまた、標識試薬、酵素(PCR増幅試薬(例えば、TaqもしくはPfu));逆転写酵素、ならびに上記方法の性能を促進するさらなる緩衝液および溶液を含み得る。
診断キットは、タンパク質に特異的に結合する試薬(例えば、抗体)を含み得る。このようなキットは、1種以上の特異的抗体、緩衝液、および特異的エピトープへの上記抗体の結合を検出するように構成された他の試薬を含む。上記抗体のうちの1種以上は、蛍光標識、酵素標識、磁性標識、金属標識、化学標識、または特異的に結合した抗体の存在を示しそして/もしくはその場所を突き止める他の標識で、標識され得る。上記キットはまた、他の抗体上のエピトープを特異的に認識する1種以上の二次抗体を含み得る。これら二次抗体はまた、標識され得る。二次抗体の概念はまた、別の抗体のエピトープもしくは標識を特異的に結合する非抗体リガンドを包含する。例えば、ストレプトアビジンもしくはアビジンは、別の抗体に結合体化されるビオチンに結合し得る。このようなキットはまた、上記キットに含まれる1種以上の抗体に結合体化される酵素の存在下で、色もしくは数種の他の特性を変化させる酵素基質を含み得る。
キットは、基材物質に結合される試薬として提供され得る。例えば、上記キットは、ポリスチレンプレートに結合される抗体もしくは他のタンパク質試薬を含み得る。あるいは、上記キットは、基材(ここで基材は、核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)が、単一で、もしくはマイクロアレイ形式のいずれかにおいて、固定され得るか、付着され得るかもしくはプリントされ得る任意の固体もしくは半固体の物質であり得る)に結合される核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)を含み得る。
診断キットはまた、上記被験体が前立腺癌において好ましくない予後を有することを示す、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、および/もしくはCDC20の発現の閾値レベルの指標を含み得る。指標は、上記発現の閾値レベルの任意の伝達であり得る。上記指標は、上記発現の閾値レベルを上回るTPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、および/もしくはCDC20の発現が、上記被験体が好ましくない予後を有することを示すということをさらに示し得る。上記閾値レベルの指標は、上記被験体が、好ましくない予後を有するという高い、中程度もしくは低いリスクを有する、システムにおける複数の段階で提供され得る。上記指標は、任意の数の段階を含み得る。上記指標は、ELISAアッセイにおける光学密度、タンパク質濃度(例えば、ng/ml)、CCR6を発現する細胞のパーセンテージ、または陽性コントロール、陰性コントロール、もしくはハウスキーピング遺伝子と比較した発現の倍数(fold)として、上記発現の閾値を数字で示し得る。上記指標は、目でもしくは機器を介して、上記サンプルにマッチさせようと意図している陽性コントロールもしくは陰性コントロールであり得る。上記指標は、ゲル電気泳動を介して上記サンプルと比較されるべきサイズマーカーであり得る。
上記指標は、任意の具体的な表現媒体を介して伝達され得る。それは、パッケージ材料、別個の紙片、もしくは任意の他の基材にプリントされ得、上記キットとともに提供され得、上記キットとは別個に提供され得、インターネット上に投稿され得、ソフトパッケージに書かれ得る。上記指標は、特に、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、および/もしくはCDC20の発現が、インサイチュハイブリダイゼーション、FACS分析、もしくは免疫組織化学の使用を介して決定される場合、画像(例えば、FACS画像、写真もしくは顕微鏡写真、またはこれらのうちの任意のコピーもしくは他の複製品)を含み得る。
上記診断手順は、核酸精製が必要ないように、血液塗抹標本上(固定および/もしくは凍結)、または組織生検材料上に直接「インサイチュ」で行われ得る。サンプルに由来するDNAもしくはRNAは、当業者に周知である手順を使用して単離され得る。
目的の核酸、すなわち、TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、および/もしくはCDC20をコードする核酸に特異的である核酸試薬は、このようなインサイチュ手順のためのプローブおよび/もしくはプライマーとして使用するためにこれら遺伝子の配列を考慮して、容易に生成され得る(例えば、Nuovo, G. J., 1992, PCR in situ hybridization:protocols and applications, Raven Press, NYを参照のこと)。
以下の実施例は、開示される方法の例示である。本開示に鑑みて、当業者は、これら実施例のバリエーションおよび開示される方法の他の実施例が、過度の実験なく可能であることを認識する。
(実施例1:アンドロゲン非依存性前立腺癌細胞増殖に関与する遺伝子の同定)
1)アンドロゲンなしの血清中で増殖させたが、合成アンドロゲンであるDHT(ジヒドロテストステロン)で刺激した去勢感受性前立腺癌細胞株LNCaPおよびその去勢抵抗性前立腺癌由来細胞株(Abl)に由来するアンドロゲンレセプターChIP(クロマチン免疫沈降)−チップマイクロアレイデータ; 2)アンドロゲンなしの血清中で増殖させたLNCaP細胞およびAbl細胞におけるアンドロゲンレセプターもしくは非標的コントロールのRNAi媒介性抑制後の遺伝子発現プロフィール; ならびに3)アンドロゲンなしの血清中で増殖させたLNCaP細胞もしくはAbl細胞へのDHTもしくはビヒクルの添加の後の遺伝子発現プロフィール(Wangら、Cell 138:245−256. 20 2009)、からの公開されたデータを分析した。
多くの遺伝子は、アンドロゲンレセプターのRNAi媒介性抑制に際して差次的発現を示した。上記差次的発現のうちのいくらかは、上記LNCaP株もしくはAbl株のうちの一方において起こったが、他方では起こらなかった。しかし、差次的発現を示した遺伝子のうちの大部分は、両方の株において示された。
上記アンドロゲンレセプターによって制御されることが公知の遺伝子のうちの少数が、ARのRNAi抑制に伴ってより低い発現を示した。これら同じ遺伝子のうちのいくらかは、アンドロゲンの添加に伴ってより高い発現を示した(図1;レーン3およびレーン4 対 レーン1およびレーン2)。さらに、ARを、ChIPアッセイにおいてアンドロゲンの非存在下でこれらアンドロゲン非依存性遺伝子に結合させ、LNCaP細胞もしくはAbl細胞へのアンドロゲンの添加は、これら遺伝子へのAR結合を増大させなかった。このことは、アンドロゲン非依存性ARシグナル伝達が、去勢感受性前立腺癌細胞においてすら機能し、これら経路もまた、去勢抵抗性前立腺癌細胞に関連することを実証する。
図1における分析から同定された上記アンドロゲン非依存性AR標的遺伝子の各々の発現を、前立腺癌増殖を促進する遺伝子を同定するために抑制した。これを、RAPID(RNAi補助タンパク質標的同定)、ハイスループット、96ウェルプレートRNAiアッセイ(Tyner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 5, 8695−8700 (2009)(本明細書に参考として援用される))を使用して達成した。目的の候補アンドロゲン非依存性AR標的遺伝子もしくは非標的コントロール(NTC)のsiRNAにつき3種の異なるsiRNAを、アンドロゲンなしの血清中で増殖させたLNCaP細胞へと導入した。細胞生存度を、CellTiter 96(登録商標) AQueous One Solution細胞増殖アッセイ(Promega; Madison, WI)を使用して定量した。代表的プレートからの結果を、図2に示す。
細胞増殖において混乱を引き起こす、使用した上記3種のsiRNAのうちの少なくとも2種を有するという基準を満たす21個の遺伝子を、各プレートについてのメジアン細胞生存度を下回る1標準偏差超において評価した。これら遺伝子を、表1に列挙する。これらのうち、10種の遺伝子(DEPDC1、TPX2、AURKB、MYC、MCM7、DBF4、BARD 1、CDC20、DNM2、およびKIF11)のRNAi抑制はまた、去勢抵抗性前立腺癌Abl細胞の増殖を妨害した。それらの結果は、図2に示される。QRTPCRから、LNCaP細胞およびCRPC Abl細胞の両方においてARのRNAi媒介性抑制は、これら遺伝子のうちの全ての発現を低下させることが確認された。上記データを、図3にまとめる。
(実施例2:アンドロゲン非依存性AR標的遺伝子の予後的影響)
診断時の前立腺腫瘍におけるTPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、CDC20、AURKB、MCM7、DBF4、BARD1、CDC20、およびDNM2の各々の発現レベルを、域外値分析を使用して、前立腺癌サンプルからの公開された遺伝子発現プロフィールにおいて分析した(Taylorら、Cancer Cell 18:11−22, 2010;cbioportal.org/cgx/index.do(本明細書に参考として援用される))。変化したTPX2もしくはKIF11を有する腫瘍は、上記のTaylorら参考文献中のデータセットにおいてTPX2(図4A)もしくはKIF11(図4B)の発現の最高の十分位数を有する腫瘍である。TPX2もしくはKIF11の発現が変化した腫瘍を有する被験体は、発現が変化していない患者より短い無再発生存を有した。
上記閾値を上回る、腫瘍におけるTPX2の発現は、患者が少なくとも70ヶ月以内に再発するという100%の可能性を示した。上記閾値を上回る、上記腫瘍におけるKIF11の発現は、患者が120ヶ月以内に再発するという60%の可能性を示した。
例えば、TPX2の発現の閾値レベルを選択する1つの方法は、前立腺癌を有する少なくとも50名、少なくとも75名、少なくとも100名、少なくとも150名、少なくとも200名、もしくは200名を超える患者の腫瘍サンプルを選択して、TPX2 mRNAの発現を定量し、TPX2のmRNA発現に関してサンプルの上位10%を選択し、そしてTPX2発現に関してサンプルの上位10%からなる群の最低の発現レベルにおいて発現の閾値レベルを設定することである。
この実施例は、TPX2 mRNAの発現を定量するための任意の方法(本明細書で開示される任意のこのような方法を含む)に関して機能する。
(実施例3:前立腺癌を有する被験体の予後)
この実施例は、前立腺癌と診断された被験体の予後を決定するために使用され得る特定の代表的方法を記載する。しかし、当業者は、本明細書で提供される教示に基づいて、これら具体的方法から逸脱した方法もまた、前立腺癌を有する被験体の予後を首尾良く提供するために使用され得ることを認識する。
腫瘍サンプルは、上記被験体から得られる。約1〜100μgの組織を、例えば、細針吸引物を使用して、各サンプルタイプについて得た。RNAおよび/もしくはタンパク質を、慣用的方法を使用して(例えば、市販のキットを使用して)、上記腫瘍サンプルから単離する。
上記前立腺腫瘍の予後を、マイクロアレイ分析もしくはリアルタイム定量的PCRによって、被験体から得られる腫瘍サンプル中のTPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、およびCDC20のうちの1種以上の発現レベルを検出することによって、決定する。上記腫瘍サンプル中のTPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、およびCDC20のうちの1種以上の相対的発現レベルを、発現の閾値レベルと比較する。発現の閾値レベルの1つのタイプは、コントロールにおける発現(例えば、上記被験体の隣接する非腫瘍組織から単離されるRNA)であり得る。他の場合において、上記発現の閾値レベルは、参照値(例えば、健康な被験体もしくは癌被験体の群から得られる非腫瘍サンプル中に存在するこのような分子の相対的な量)である。好ましくは、上記発現の閾値レベルは、予後の決定において、上記試験の感度および選択性を最大化する。
TPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、およびCDC20のうちの1以上の相対的発現を、当業者に公知の方法(例えば、タンパク質マイクロアレイ、ウェスタンブロット、もしくはイムノアッセイ技術)によって、上記タンパク質レベルで決定される。総タンパク質を、上記腫瘍サンプルから単離し、任意の適切な技術を使用して、コントロール(例えば、上記被験体の隣接する非腫瘍組織から単離されるタンパク質もしくは参照値)と比較する。
上記発現の閾値レベルを超える(約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約4倍、約5倍、約7倍もしくは約10倍)上記腫瘍サンプル中のTPX2、KIF11、ZWILCH、MYC、DEPDC1、CDCA3、HMGB2、およびCDC20のRNAもしくはタンパク質のうちの1種以上もしくは全ての発現は、好ましくない予後(例えば、治療(例えば、ADT)に対する抵抗性、もしくは上記治療に対する抵抗性のリスク、または再発するかもしくは転移を発生させる可能性)を示す。
上記試験の結果は、上記試験の結果についての情報を提供する認知できる出力物においてユーザー(例えば、臨床医もしくは他のヘルスケア従事者、実験室の人員、または患者)に提供される。いくつかの例において、上記出力物は、紙出力物(例えば、書面によるかもしくは印刷された出力物)、スクリーン上の表示、図表による出力物(例えば、グラフ、チャート、もしくは他の模式図)、または聞き取れる出力物であり得る。他の例において、上記出力物は、数値(例えば、上記サンプル中の1種以上の遺伝子の発現の量、またはコントロールと比較した場合、上記サンプル中の1種以上の遺伝子の相対量)である。詳細な例において、上記発現の閾値レベルを示すかもしくは提供する出力物(例えば、図表による出力物)は、上記サンプル中の1種以上の遺伝子の発現の値もしくはレベルが、上記発現の閾値レベルを上回る場合に好ましくない予後を、および上記サンプル中の1種以上の遺伝子の発現の値もしくはレベルが上記発現の閾値レベルを下回る場合に良好な予後を示す。いくつかの例において、上記出力物は、ユーザーに、例えば、物理的な、聞き取れるか、または電子通信(例えば、メール、電話、ファックスによる伝送、eメール、または電子媒体記録への伝送によって)を介する出力を提供することによって、伝達される。
上記出力物は、定量的情報(例えば、内部コントロール、外部コントロール、もしくは発現の閾値レベルに対する遺伝子発現の量もしくは遺伝子発現)を提供し得るか、または定性的情報(例えば、予後)を提供し得る。さらなる例において、上記出力物は、上記サンプル中の遺伝子発現の相対量に関する定性的情報を提供し得る(例えば、コントロールと比較して、1種以上のタンパク質における増大の存在を同定する)。
いくつかの例において、上記出力は、データ(例えば、予後を示す数字的限界もしくは他の限界)を解釈するためのガイドラインに付随する。上記出力における指標は、上記出力物の受容者が、予後もしくは処置プランに到達するために、上記結果を解釈するために使用し得る、例えばカットオフの正常もしくは異常な範囲を含み得る。他の例において、上記出力物は、1種以上のホルモン療法、放射線療法、化学療法、もしくはこれらの2種以上の組み合わせの選択のような、推奨される治療レジメンを(例えば、遺伝子発現の量もしくはコントロールと比較した遺伝子発現の増大の量に基づいて)提供し得る。
本開示の原理が適用され得る多くの考えられる実施形態に鑑みれば、例示される実施形態が、単なる例であることは認識されるべきであり、本発明の範囲を限定するとは理解されるべきでない。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。