JP2014239128A - 太陽電池裏面封止用ポリエステルフィルム - Google Patents

太陽電池裏面封止用ポリエステルフィルム Download PDF

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晃太郎 能澤
川崎 陽一
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陽一 川崎
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泰人 棟
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有奈 宮脇
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Abstract

【課題】 耐加水分解性と、生産時の低コスト化と、封止材との接着性とを満たす太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 極限粘度(IV)が0.62dl/g以上0.73dl/g以下であり、末端カルボキシル基量(AV)が26当量/t以下であり、広角X線回折により得られる強度プロフィールの24°〜30°の範囲に観測されるピークの半値幅(w)が1.17°以上であり、回収ポリエステルを含有し、ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格の少なくとも一種を有するポリウレタンと架橋剤とを含有する塗布液を塗布して得られた塗布層を少なくともフィルムの片面に有することを特徴とすることを特徴とする太陽電池裏面封止用ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムに関するものであり、詳しくは、耐加水分解性と、生産時の低コスト化と、封止材との接着性とを満たす太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムに関するものである。
光電変換効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電は、クリーンエネルギを得る手段として広く行われている。そして、太陽電池セルの光電変換効率の向上に伴って、多くの個人住宅にも太陽光発電システムが設けられるようになってきている。このような太陽光発電システムを実際のエネルギー源として用いるために、複数の太陽電池セルを電気的に直列に接続させた構成をなす太陽電池モジュールが使用されている。
太陽電池モジュールは高温高湿度環境で長期間使用されるので、太陽電池裏面封止用フィルムにも長期耐久性が求められる。例えば、特許文献1に、太陽電池裏面封止用フィルムとしてフッ素系フィルムを用いた技術が開示されている。この文献にはフッ素系フィルムにあらかじめ熱処理を施すことで、フッ素系フィルムの熱収縮率をあらかじめ低減させることが可能となり、封止材であるエチレンビニルアセテート(以下、EVAと略記することがある)との真空ラミネート加工時の、耐候性や耐水性を初めとする物性の低下防止や、歩留まりの向上にも効果のあると記載されている。しかし、フッ素系フィルムは高価であるので、太陽電池モジュールも高価なものになってしまうという問題がある。
太陽電池裏面封止用フィルムとして、ポリエステル系フィルムが用いられていることがある。ポリエステル系フィルムを、高温高湿度環境で使用すると、分子鎖中のエステル結合部位の加水分解が起こり、機械的特性が劣化することが知られている。よって、ポリエステル系フィルムを屋外で長期(例えば20年間)にわたって使用する場合、あるいは高湿度環境で使用する場合を想定して、加水分解を抑制すべく、様々な検討が行われている。
ポリエステルの加水分解は、ポリエステル分子鎖の末端カルボキシル基量が高いほど分解が速いことが知られている。このことから、特許文献2や特許文献3には、カルボン酸と反応する化合物を添加することで、分子鎖末端のカルボキシル基量を低減させることによる耐加水分解性を向上させる技術が開示されている。しかし、これらの化合物は、製膜プロセスでの溶融押出工程、または、マテリアルリサイクル工程において、ゲル化を誘発し、異物を発生させる可能性が高く、環境的にも生産的にも好ましくない。
特許文献4には、ポリエステルの触媒と重合方法を最適化することで、ポリエステル分子鎖の末端カルボキシル基を低くする以外に、フィルムの極限粘度を高くすることで、耐加水分解性を向上させる技術が開示されている。しかし、回収原料を含有させていないため、コスト的に好ましくない。また、ポリエステル分子の結晶構造制御についての工夫がなされていないため、ポリエステルフィルムを屋外に長期間暴露した際の、ポリエステルの結晶化促進が起因となるフィルムの脆性破壊の発生しやすさについては、満足するフィルムを得られていない。更に、太陽電池用に好適に使用される封止材であるエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(以後、EVAと略することがある)との接着性についても満足するものを得られていない。
特開2002−83978公報 特開平9−227767号公報 特開平8−73719号公報 特開2012−017456公報
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであって、その解決課題は、耐加水分解性と、生産時の低コスト化と、封止材との接着性とを満たす太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムを提供することである。
本発明者らは、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、極限粘度(IV)が0.62dl/g以上0.73dl/g以下であり、末端カルボキシル基量(AV)が26当量/t以下であり、広角X線回折により得られる強度プロフィールの24°〜30°の範囲に観測されるピークの半値幅(w)が1.17°以上であり、回収ポリエステルを含有し、ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格の少なくとも一種を有するポリウレタンと架橋剤とを含有する塗布液を塗布して得られた塗布層を少なくともフィルムの片面に有することを特徴とすることを特徴とする太陽電池裏面封止用ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、基材となるポリエステルフィルムが高温高湿度環境下でも優れた耐加水分解性を有し、コストも低く抑えられ、封止材との接着性とを満たす太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムを提供でき、その工業的価値は高い。
本発明のフィルムの基材として使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られる芳香族ポリエステルを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらのポリエステルの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、コストと性能のバランスに優れており、本発明においては、ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを好ましく用いることができる。
本発明の基材となるポリエステルフィルムのポリエステル原料は、通常ポリエステルの重合でよく用いられるアンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属化合物重合触媒を用いることができる。ただし、これらの触媒量が多いと、フィルム化のためのポリエステルを溶融させた際に、分解反応起きやすくなり、分子量の低下などにより末端カルボキシル基濃度が高くなり、耐加水分解性が劣るようになる。一方で重合触媒量が少な過ぎる場合には、重合反応速度が低下するので、重合時間が長くなって末端カルボキシル基濃度が高くなり、結果的に耐加水分解性を悪化させることになる。このため、本発明においては、アンチモンであれば通常50〜400ppm、好ましくは100〜350ppm、チタンであれば通常1〜20ppm、好ましくは2〜15ppm、ゲルマニウムであれば通常3〜50ppm、好ましくは5〜40ppm、アルミニウムであれば通常1〜20ppm、好ましくは2〜15ppmの範囲とするのがよい。またこれらの重合触媒は、2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。なお、本発明のポリエステルフィルム中の化合物の量は、蛍光X線分析装置を用いた分析にて検出が可能である。
本発明のポリエステルフィルムで用いるポリエステル原料の重合触媒はチタンであることが、重合活性の観点から好ましい。また、チタン元素含有量は10ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは9ppm以下、特に好ましくは8ppm以下である。下限については特に設けないが、実際には2ppm程度が現在の技術では下限となる。チタン化合物の含有量が多すぎると、チタン原子の活性化が高いため、ポリエステルを溶融押出する工程でオリゴマーが副生成しやすく、その結果裏面保護材とした際の他部材との接着性に劣る。また、チタン元素を全く含まない場合、ポリエステル原料製造時の生産性が劣り、目的の重合度に達したポリエステル原料を得られないことがある。
重合触媒として使用されるチタン化合物としては、例えば、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート等のチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、チタンアルコキシドと珪素アルコキシド若しくはジルコニウムアルコキシドとの混合物の加水分解により得られるチタンと珪素若しくはジルコニウム複合酸化物、酢酸チタン、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム、蓚酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸−水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン−塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム、チタンアセチルアセトナート等が挙げられ、中でも、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のチタンアルコキシド、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウムが好ましく、テトラ−n−ブチルチタネートが特に好ましい。
本発明の太陽電池用ポリエステルフィルムの主たる構成成分であるポリエステルを重合
する際に使用する重縮合触媒は、アルミニウムおよび/またはその化合物を用いても構わない。前記アルミニウムおよび/またはアルミニウム化合物として、金属アルミニウムのほか、公知のアルミニウム化合物を限定なく使用することができる。
アルミニウム化合物としては、具体的には、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムiso−プロポキサイド、アルミニウムn-ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、などのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好ましく、これらの中でもさらに酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートが特に好ましい。
本発明の基材となるポリエステルフィルムは、フィルム全体を測定したときに、後述する蛍光X線分析装置を用いた分析にて検出されるリン元素量が、0〜70ppmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0〜50ppmの範囲であり、0ppmであってもよい。当該リン元素は、通常はリン酸化合物に由来するものであって、ポリエステル製造時に触媒成分として添加される。本発明においては、リン元素量が上記範囲を満足することにより、耐加水分解性をフィルムに付与することができる。リン元素量が多すぎると、リン酸化合物が原因となる加水分解を促進することになるため好ましくない。ポリエステルフィルムの耐加水分解性は、フィルム全体に関連する特性であり、本願発明においては含有するリンの含有量は、当該フィルムを構成するポリエステル全体として含有量が前述の範囲であることが好ましい。
リン酸化合物の例としては、リン酸、亜リン酸あるいはそれらのエステル、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、亜ホスホン酸化合物、亜ホスフィン酸化合物など公知のものが該当し、具体例としては、正リン酸、モノメチルフォスフェート、ジメチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート、モノエチルフォスフェート、ジエチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、エチルアシッドホスフェート、モノプロピルフォスフェート、ジプロピルフォスフェート、トリプロピルフォスフェート、モノブチルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、モノアミルフォスフェート、ジアミルフォスフェート、トリアミルフォスフェート、モノヘキシルフォスフェート、ジヘキシルフォスフェート、トリヘキシルフォスフェート、3、5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルなどが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルム中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合してもよい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化珪素、カオリン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等の粒子が挙げられる。
また、特公昭59―5216号公報、特開昭59―217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
また、易滑性を付与するために用いる粒子は、平均粒径で通常0.1〜10μmが好ましく、添加量としては、0.005〜5.0重量%の範囲で選択することができる。
使用される無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウムのような白色顔料、ベンガラ、モリブデンレッド、カドミウムレッド、などの赤色顔料、赤口黄鉛、クロムパーミリオンなどの橙色顔料、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルーなどの青色顔料、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーンなどの緑色顔料、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエローなどの黄色顔料、マンガンバイオレット、ミネラルバイオレットなどの紫色顔料、黒色酸化鉄などの黒色顔料が挙げられる。黒色顔料には、カーボンブラック(チャネル、ファーネス、アセチレン、サーマル等)、カーボンナノチューブ(単層、多層)、アニリンブラック等も用いることもできる。
また、有機顔料としては、例えば縮合アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、オキサジン、キサンテン、イソインドリノン、キノフタロン、アンスラキノン系などを挙げることができる。
これらの中では、有機顔料よりも無機顔料やカーボンブラックやカーボンナノチューブなどの方が、ポリエステルの溶融成型時の耐熱性や、屋外で使用した際の耐光性に優れることが多い。また、これらのなかでも、太陽電池セルとの色調の類似性、着色顔料の着色力や経済性、ポリエステルに対して分解を促進させる等の影響が殆ど無いことを加味すると、カーボンブラックが本発明の太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムには好適である。
上記の着色顔料は1種類を単独で用いても良いが、色調を調整する目的等で2種類以上の着色顔料を併用できる。また、上記の着色顔料は、粒子種によってその好ましい粒子径の範囲が異なるが、平均粒子径としては通常0.01〜10μm、好ましくは0.02〜5μmの範囲の範囲いから選択するのが良い。特に着色顔料に隠蔽力に関しては、一般的に平均粒子径の小さくなるに従い隠蔽力が高まり、光の波長の1/2前後の大きさで最大となり、さらに小さくなると隠蔽力は急激に減少して透明性が大きくなることを勘案して、0.05〜2μm程度の平均粒子径のものを使用することが、隠蔽力を高める上で好ましい。
ポリエステルフィルム中に上記の着色顔料や易滑性付与粒子等を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、原料となるポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後に添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付二軸押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とを混錬する方法、または乾燥させた粒子とポリエステル原料とを混錬する方法などによって行われる。特に着色顔料や白色顔料の場合には、高濃度のマスターバッチとしてポリエステル原料に添加しておき、フィルムの製膜時にこれを希釈する形で使用することが、フィルムを構成するポリエステルの末端カルボキシル基量を低くする点で好ましい。
なお、本発明のポリエステルフィルム中には、上述の着色顔料や易滑性付与粒子等の他に、必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等を添加することができる。また、耐光性を向上する目的で、ポリエステルに対して0.01〜5重量部の範囲で紫外線吸収剤を含有させることができる。この紫外線吸収剤には、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾオキサジノン系などを挙げることができるが、これらの中でも、特にトリアジン系紫外線吸収剤等が好ましく用いられる。また、これらの紫外線吸収剤は、後述するようにフィルム自体が3層以上の積層構造である場合には、その中間層に添加する方法も好ましく用いることができる。もちろん、これらの紫外線吸収剤や添加剤は、高濃度マスターバッチとして作成し、これを製膜時に希釈使用することができる。
本発明においては、ポリエステルの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層フィルムとすることができる。層の構成としては、A原料とB原料とを用いたA/B構成、またはA/B/A構成、さらにC原料を用いてA/B/C構成またはそれ以上に層の数を増やした構成のフィルムとすることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法によってフィルム全体(塗布層があれば塗布層を除いた部分)の末端カルボキシル基量(AV)を測定したときに、26当量/トン以下であることが必要であり、好ましくは24当量/トン以下である。末端カルボキシル基量が26当量/トンを超えると、ポリエステルフィルムの耐加水分解性が劣る。ポリエステルフィルムの耐加水分解性は、フィルム全体に関連する特性であり、本願発明においては、当該フィルムを構成するポリエステル全体として末端カルボキシル基量が前述した範囲であることが必要である。一方、本願発明の耐加水分解性を鑑みると、ポリエステルの末端カルボキシル基量の下限はないが、重縮合反応の効率、溶融押出工程での加水分解や熱分解等の点から通常は5当量/トン程度である。
本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法によってフィルム全体(塗布層を除いた部分)の極限粘度(IV)を測定したときは、0.62dl/g以上であることが必要で、好ましくは0.63dl/g以上である。ポリエステルフィルムの極限粘度を0.62dl/g以上とすると、長期耐久性や耐加水分解性が良好なポリエステルフィルムが得られる。一方、ポリエステルフィルムの極限粘度の上限は0.73dl/g以下で、好ましくは0.71dl/g以下、さらに好ましくは0.68dl/g以下である。ポリエステルフィルムの極限粘度を0.73dl/g以下とすることで、ポリエステルフィルムの生産時において押出機の負荷を低減させることとなり、吐出量が向上し、また生産性の良好なポリエステルフィルムを提供することができる。
通常ポリエステルフィルムは、口金から溶融押出しされ急冷固化された非晶質ポリエステルシートを延伸して得られる。そして、ポリエステルフィルムの製造時において、ポリエステルシートの端部は、押出しの際、ネックイン現象により厚くなり、クリップの噛み代として使用される。製品化するときに、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離される。また、耳部を取り除かれたマスターロールも、製品サイズにスリット時に、余剰のスリット耳が切断分離される。
本発明での回収ポリエステルとは、上述のような切断分離された耳部フィルムやスリット耳を粉砕機にて粉砕化したフレーク化物、フレーク化物を乾燥して単軸押出機で溶融押出されたペレット化物、未乾燥のフレーク化物をベント付二軸押出機で溶融押出されたペレット化物等のことを示す。
本発明のポリエステルフィルム中の回収ポリエステルの含有量は、生産性やコストの観点から、15重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは25重量%以上、最も好ましくは30重量%以上である。本発明のポリエステルフィルム中の回収ポリエステルの含有量の上限は特に設けないが、耐加水分解性の観点から80重量%以下、より好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下、最も好ましくは50重量%以下である。
また、耐加水分解性を維持する観点から、溶融押出されたペレット化物より、切断分離された耳部フィルムやスリット耳を粉砕機にて粉砕化したフレーク化物を回収ポリエステルとして優先的に使用した方が好ましい。
本発明において、ポリエステルフィルムの末端カルボキシル基量と極限粘度を特定範囲とするため、フィルム製造での、ポリエステル原料を溶融押出する工程において、a)ポリエステルチップに含まれる水分によって加水分解を受けることを極力避けること、b)押出機およびメルトライン内でのポリエステルの滞留時間をできるだけ短くすること、などによって行われる。a)の具体的な例としては、一軸押出機を使用する場合は、原料をあらかじめ水分量が50ppm)以下、好ましくは30ppm以下になるように十分乾燥すること、二軸押出機を使用する場合は、ベント口を設け、40ヘクトパスカル以下、好ましくは30ヘクトパスカル以下、さらに好ましくは20ヘクトパスカル以下の減圧を維持すること等の方法を採用することができる。b)の具体的な例としては、押出機への原料投入から溶融シートが口金から吐出し始めるまでの滞留時間として、20分以下、さらには15分以下とすることが好ましい。
上述のような切断分離された耳部フィルムやスリット耳を粉砕機にて粉砕化したフレーク化物を未乾燥の状態で押出機に直接供給できる点で、ベント付二軸押出機をポリエステルフィルム製膜時に使用するほうが好ましい。
以下、本発明のポリエステルフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
ポリエステルフィルムが単層構成の場合には1台の溶融押出機を使用し、ポリエステルフィルムが多層構成の場合には、その積層構成に応じて必要な数の溶融押出機と、それらを合流積層させるフィードブロックあるいは多層のマルチマニホールドダイを用いる。公知の手法により乾燥したポリエステルチップを一軸押出機に供給、または、未乾燥のポリエステルチップを減圧系に繋いだベント口を有する二軸押出機に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱溶融する。この際、異物を除去するために公知の適切なポリマーフィルターを通してもよいし、ギアーポンプを用いて溶融ポリマーの脈動を低減する方法も採用できる。次いで、溶融したポリマーを口金から押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、このようにして得られたシートを二軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向(MD)に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向(TD)に90〜160℃で2〜6倍に延伸を行い、160〜240℃で1〜600秒間熱処理を行う。または、同時二軸延伸機を用いて、縦方向および横方向に70〜160℃で面積倍率として5〜20倍の範囲で同時に延伸した後、同条件で熱処理を行ってもよい。
さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、広角X線回折により得られる強度プロフィールの24°〜30°の範囲に観測されるピークの半値幅(w)が1.17°以上であり、1.26°以上が好ましく、1.36°以上がより好ましく、1.48°以上が最も好ましい。半値幅(w)が1.17°より大きいと、ポリエステルフィルムの湿熱処理後における結晶成長由来の脆性破壊が発生しくなり、用途上好ましくない。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、太陽電池封止材として一般的に使用されているエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(以後、EVAと略することがある)やポリビニルアセタール樹脂(以後、PVBと略することがある)等の封止材樹脂、上記封止剤とのシーラントとなる、ポリプロピレン、ポリエチレン、無水マレイン酸基含有ポリオレフィン、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体からなる群から選ばれるポリオレフィン系樹脂との耐湿熱接着性を向上させる、塗布層(プライマー)を上述の塗布層とは別に設けることが可能である。
太陽電池封止材樹脂もしくは太陽電池封止剤用シーラント樹脂との接着性が向上する塗布層(プライマー)の成分としては、ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格の少なくとも一種を有するポリウレタンと、架橋剤とを含有することが好ましい。
ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格を有するポリウレタンとは、ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格を有する化合物を、各々ポリオールとして使用したものである。なお、ポリカーボネート骨格とポリエーテル骨格とを同時に有していてもよい。
太陽電池封止材樹脂もしくは太陽電池封止剤用シーラント樹脂との接着性が向上する塗布層(プライマー)のポリウレタンに用いるポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジアルキルカーボネート、エチレンカーボネートあるいはホスゲンとジオールとの反応などで得られる。ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン等が挙げられる。これらの中でも、1,6−ヘキサンジオールを用いたポリカーボネートポリオールは、工業的に入手し易く、しかも接着性を向上させる点で良好であり、しかも耐加水分解性に関しても良好であるため、好ましい。
ポリカーボネートポリオールは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量で、300〜5000であることが好ましい。
太陽電池封止材樹脂もしくは太陽電池封止剤用シーラント樹脂との接着性が向上する塗布層(プライマー)のポリウレタンに用いるポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレンポリオール(ポリエチレングリコールなど)、ポリオキシプロピレンポリオール(ポリプロピレングリコールなど)、ポリオキシテトラメチレンポリオール(ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど)、共重合ポリエーテルポリオール(ポリオキシエチレングリコールとポリオキシプロピレングリコールなどのブロック共重合体やランダム共重合体など)などが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシテトラメチレングリコールが接着性を向上させる点で良好であり、しかも耐加水分解性に関しても良好であるため、好ましい。
ポリエーテルポリオールは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の数平均分子量で、300〜5000であることが好ましい。
上述したポリカーボネートポリオールまたはポリエーテルポリオールを用いたポリウレタンは、その他の汎用ポリオールであるポリエステルポリオールを用いたポリウレタンよりも、加水分解に対する耐性が良好なものとなる。
これらのポリカーボネートポリオールまたはポリエーテルポリオールは、各々1種類だけを単独で用いてもよいが、2種類以上を併用することも可能である。また前述したように、これらのポリカーボネートポリオールとポリエーテルポリオールとを併用することもできる。
太陽電池封止材樹脂もしくは太陽電池封止剤用シーラント樹脂との接着性が向上する塗布層(プライマー)のポリウレタンに用いるポリイソシアネートには、公知の脂肪族、脂環族、芳香族等のポリイソシアネートを挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートの具体例として、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、水添ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等を挙げることができる。またこれらのポリイソシアネートは単独で使用してもよいが、2種以上混合して使用することもできる。
鎖長延長剤などの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、水などがある。
太陽電池封止材樹脂もしくは太陽電池封止剤用シーラント樹脂との接着性が向上する塗布層(プライマー)に使用する、ポリカーボネート構造またはポリエーテル構造の少なくとも一種を有するポリウレタンは、有機溶剤を媒体とするものであってもよいが、好ましくは水を媒体とするものである。ポリウレタンを水に分散または溶解させるには、乳化剤を用いる強制乳化型、ポリウレタン樹脂中に親水性基を導入する自己乳化型あるいは水溶型等がある。特に、ポリウレタン樹脂の骨格中にイオン性基を導入しアイオノマー化した自己乳化タイプが、液の貯蔵安定性や得られる塗布層の耐水性、透明性、接着性に優れており好ましい。
また、導入するイオン性基としては、アニオン性基としては、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、リン酸塩基、ホスホン酸塩基等が挙げられ、カチオン性基としては、4級アンモニウム等が挙げられる。例えばアニオン性基としてカルボン酸塩基を例に挙げれば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ブタン酸、トリメリット酸‐ビス(エチレングリコール)エステルなどのアンモニウム塩や低級アミン塩等を好ましく用いることができる。またカチオン性基の4級アンモニウムについては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミンなどの4級化物を好ましく用いることができる。これらのイオン性基の中でも、カルボン酸塩基であって、かつ、カウンターイオンがアンモニアやトリエチルアミン等の沸点が150℃以下の有機アミンである場合には、後述するオキサゾリン系架橋剤やカルボジイミド系架橋剤との反応性が高く、反対側の面に形成する塗布層の架橋密度を高める点で特に好ましい。
太陽電池封止材樹脂もしくは太陽電池封止剤用シーラント樹脂との接着性が向上する塗布層(プライマー)中のウレタン樹脂にイオン性基を導入する方法としては、重合反応の各段階の中で種々の方法が取り得る。例えば、プレポリマー合成時に、イオン性基を持つ樹脂を共重合成分として用いたり、ポリオールや鎖延長剤などの一成分としてイオン性基を持つ成分を用いたりすることができる。
太陽電池封止材樹脂もしくは太陽電池封止剤用シーラント樹脂との接着性が向上する塗布層(プライマー)には、上述したポリウレタンの他に、耐熱性、耐熱接着性、耐湿性、耐ブロッキング性を付与するために、架橋剤を併用する必要がある。この架橋剤は、水溶性あるいは水分散性であることが好ましく、具体的には、メチロール化あるいはアルコキシメチロール化したメラミン系化合物やベンゾグアナミン系化合物、尿素系化合物、アクリルアミド系化合物の他、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、シランカップリング剤系化合物、チタンカップリング剤系化合物などから選ばれた少なくとも1種類を含有させることが好ましい。これらの架橋剤の中でも、オキサゾリン系化合物あるいはカルボジイミド系化合物であって、それ自体がポリマーである架橋剤が、反対側の面に形成する塗布層の耐熱・耐湿接着性が大きく向上するため、特に好ましい。このようなオキサゾリン系架橋剤は、例えば株式会社日本触媒の商品名エポクロス(登録商標)として、またカルボジイミド系架橋剤は、例えば日清紡ケミカル株式会社の商品名カルボジライト(登録商標)として工業的に入手できる。
また、これらの架橋剤の添加量は、反対側の面に形成する塗布層中のポリウレタンに対する重量比で、10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20の割合で使用することが好ましい。
太陽電池封止材樹脂もしくは太陽電池封止剤用シーラント樹脂との接着性が向上する塗布層(プライマー)には、以上述べたポリウレタンと架橋剤成分との合計が、50重量%)以上、さらには75重量%以上の量で存在していることが好ましい。これらの樹脂成分以外に、付加的にその他の樹脂を添加することができる。付加的に添加できる樹脂成分としては、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂などが挙げられる。但し、ポリエステル系樹脂やポリエステルポリウレタン樹脂は、耐加水分解性に劣ることが多く、これらの樹脂は塗布層へ添加しないか、添加してもその添加量を10重量%未満とすることが好ましい。
また、太陽電池封止材樹脂もしくは太陽電池封止剤用シーラント樹脂との接着性が向上する塗布層(プライマー)のブロッキングの防止や滑り性の付与のために、太陽電池封止材樹脂もしくは太陽電池封止剤用シーラント樹脂との接着性が向上する塗布層(プライマー)中に微粒子を添加することも可能である。微粒子としては例えば、シリカやアルミナ、酸化金属等の無機粒子、あるいは架橋高分子粒子等の有機粒子等を用いることができる。微粒子の大きさは150nm以下、好ましくは100nm以下で、塗布層中の添加量としては、0.5〜10重量%の範囲で選択するのが好ましい。
その他、太陽電池封止材樹脂もしくは太陽電池封止剤用シーラント樹脂との接着性が向上する塗布層(プライマー)中に、必要に応じて上記述べた成分以外を含むことができる。例えば、界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等である。これらの添加剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
太陽電池封止材樹脂もしくは太陽電池封止剤用シーラント樹脂との接着性が向上する塗布層(プライマー)は、フルオロポリマー用プライマー層と同様、主として水を媒体とした塗布液としてポリエステルフィルム上に塗工されることが好ましい。塗布されるポリエステルフィルムは、あらかじめ二軸延伸されたものでもよいが、塗布した後に少なくとも一方向に延伸され、さらに熱固定をする、いわゆるインラインコーティング法を用いることが好ましい。
基材となるポリエステルフィルムへの塗布液の塗布方法としては、公知の任意の方法が適用できる。具体的には、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、バーコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法およびカーテンコート法、ダイコート法などを単独または組み合わせて適用することができる。
本発明における塗布層は、その塗工量としては、乾燥・固化された後の、あるいは二軸延伸・熱固定等を施された後の最終的な乾燥皮膜として、0.005〜1.0g/m、さらには0.01〜0.5g/mの範囲とするのが好ましい。この塗工量が0.005g/m未満では、接着性が不十分となる傾向にあり、1.0g/mを超える場合には、もはや接着性は飽和しており、逆にブロッキング等の弊害が発生しやすくなる傾向がある。
塗布層中の成分の分析は、例えば、TOF−SIMS等の表面分析によって行うことができる。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、オフラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
一方、インラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、70〜280℃で3〜200秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明におけるポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明のフィルムに塗布層を設ける場合、その実施態様としては、以下のものとなる。(1)ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格の少なくとも一種を有するポリウレタンと、架橋剤とを含有する塗布液から形成された塗布層/ポリエステルフィルム。
(2)ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格の少なくとも一種を有するポリウレタンと、架橋剤とを含有する塗布液から形成された塗布層/ポリエステルフィルム/ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格の少なくとも一種を有するポリウレタンと、架橋剤とを含有する塗布液から形成された塗布層。
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。なお、フィルムの諸物性の測定および評価方法を以下に示す。
(1)末端カルボキシル基量(当量/トン)
ポリエステルチップであったら粉砕する。ポリエステルフィルムであったら、フィルムに塗布層が設けてある場合には、この影響を無くすため、研磨剤入りクレンザーを使って塗布層を水で洗い流してから、イオン交換水で十分にすすいで乾燥したフィルムをサンプルとする。得られたサンプルに対し、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1(N)の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料抜きで同様の操作を実施し、以下の式によって酸価を算出した。
酸価(当量/t)=(A−B)×0.1×f/W
〔ここで、Aは、滴定に要した0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Bは、ブランクでの滴定に要した0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Wは、ポリエステル樹脂試料の量(g)、fは、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の力価である〕
なお、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の力価(f)は、試験管にメタノール5mlを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬として1〜2滴加え、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液0.4mlで変色点まで滴定し、次いで、力価既知の0.1Nの塩酸水溶液を標準液として0.2ml採取して加え、再度、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した。(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った)。以下の式によって力価(f)を算出した。
力価(f)=0.1Nの塩酸水溶液の力価×0.1Nの塩酸水溶液の採取量(μl)/0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の滴定量(μl)。
(2)極限粘度[dl/g]
測定試料1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量部)の溶媒に溶解させて濃度c=0.01g/cmの溶液を調製し、30℃にて溶媒との相対粘度ηを測定し、極限粘度:IV[dl/g]を求めた。フィルムに塗布層が設けてある場合には、この影響を無くすため、研磨剤入りクレンザーを使って塗布層を水で洗い流してから、イオン交換水で十分にすすいで乾燥した後、同様に測定を行った。
(3)半値幅(w)
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、広角X線回折(CuKα線 λ=0.154nm)から求められる強度プロフィールの24°〜30°の範囲にピークの最大値がある。ここで24°〜30°の範囲に最大値が認められるピークは、α晶の(100)面に起因するピークである。
当ピークのある強度プロフィールに対し下記式(B)に示すローレンツ式により、半値幅(w)を求めた。
Figure 2014239128
上記式中、y0 h基線、Aはプロフィールと基線の間の全面積(積分強度)、xはピークの中心、wはピークの半分の高さにおける全幅である。
(4)触媒由来元素の定量
蛍光X線分析装置(株式会社島津製作所製 型式「XRF−1500」)を用いて、下記表1に示す条件下で、フィルム中の元素量;P:リンを求めた。積層フィルムの場合はフィルムを溶融してディスク状に成型して測定することにより、フィルム全体に対する含有量を測定した。また、フィルムに塗布層が設けてある場合には、この影響を無くすため、研磨剤入りクレンザーを使って塗布層を水で洗い流してから、イオン交換水で十分にすすいで乾燥した後、同様に測定を行った。なお、この方法での検出限界は、通常1ppm程度である。
Figure 2014239128
(5)フィルム伸度耐加水分解性
平山製作所製 パーソナルプレッシャークッカーPC−242HS−Eを用いて、120℃―100%RHの雰囲気にてフィルムを60時間処理した。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した後、フィルムの機械的特性として、製膜方向(MD)の破断伸度を測定した。測定には株式会社島津製作所製 万能試験機AUTOGRAPHを使用し、幅15mmのサンプルで、チャック間50mmとして、引張り速度200mm/分の条件で行った。処理前後での破断伸度の保持率(%)を下記の式(1)にて算出し、下記の基準で判断した。
破断伸度保持率=処理後の破断伸度÷処理前の破断伸度×100 …(1)
◎:保持率が80%以上
○:保持率が60〜80%未満
△:保持率が20〜60%未満
×:保持率が20%未満
(6)EVAとの接着強度
長手方向がMDとなるように、長さ300mm、幅25mmのポリエステルフィルムの小片を2本切り取った。一方で長さ50mm、幅25mmであるEVAフィルムの1本の小片を切り取り、2本のポリエステルフィルムの小片の塗布層でEVAフィルムを挟むように重ねた。これをヒートシール装置(テスター産業株式会社製 TP−701−B)を用いてラミネートした。使用したEVAフィルムは、ドイツ Etimex社製 485.00(標準硬化タイプ、厚み0.5mm)で、ヒートシール条件は、温度150℃、圧力0.13MPaで、20分間の条件を用いた。EVAとの接着強度を測定するため、まず25mmの幅のポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネート小片から、長さ300mm、幅15mmのサンプルを切り取る。この15mm幅のポリエステルフィルムの小片のラミネートされていない端部を、引張/曲げ試験機(株式会社島津製作所製 EZGraph)の中に取り付ける。引き続き、角度180°、速度100mm/分でこのポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネートを分離するために必要な力(接着強度)を10個の試料について測定して、その平均値を下記のように分類にした。
◎:接着強度が50N/15mm幅以上
○:接着強度が30N/15mm幅〜50N/15mm幅未満
△:接着強度が10N/15mm幅〜30N/15mm幅未満
×:接着強度が10N/15mm幅未満
(7)EVAとの耐湿熱接着強度
上記(6)で作成したポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネートの25mm幅の試験片を用いて、上記(5)と同様に120℃―100%RHの雰囲気にて36時間の湿熱処理を行った。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した後、サンプルから15mm幅の測定サンプルを切り取り、上記(6)と同様に、ポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネートを分離するために必要な力(接着強度)の平均値を求めた。
この値と、湿熱処理を行う前の接着強度から、接着強度保持率を次式にて算出し、下記の基準で判断した。
接着強度保持率(%)=(湿熱処理後の接着強度)/(湿熱処理前の接着強度)
◎:保持率が70%以上
○:保持率が50〜70%未満
△:保持率が20〜50%未満
×:保持率が20%未満
ポリエステルフィルムを構成するポリエステル原料例は以下のとおりである。
<ポリエステル原料(1)の製造法>
スラリー調製槽、およびそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、および2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールをそれぞれ毎時865重量部、485重量部で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.3重量%エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1t当たりの燐原子としての含有量が0.129モル/樹脂tとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製した。このスラリーを、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力50kPa(0.5kg/cm)、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力5kPa(0.05kg/cm)、平均滞留時間1.5時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、エステル化反応させた。また、その際、第2段目のエステル化反応槽に設けた上部配管を通じて、酢酸マグネシウム4水和物の0.6 重量% エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1t当たりのマグネシウム原子としての含有量が0.165モル/樹脂tとなる量で連続的に添加すると共に、第2段目のエステル化反応槽に設けた別の上部配管を通じてエチレングリコールを毎時60重量部連続的に追加添加した。
引き続いて、前記で得られたエステル化反応生成物を連続的に溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のエステル化反応生成物に、テトラ−n−ブチルチタネートを、チタン原子の濃度0.15重量%、水分濃度を0.5重量%としたエチレングリコール溶液として、得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が0.084モル/樹脂tとなる量で連続的に添加しつつ、270℃、絶対圧力2.6kPaに設定された第1段目の溶融重縮合槽、次いで、278℃、絶対圧力0.5kPaに設定された第2段目の溶融重縮合槽、次いで、280℃、絶対圧力0.3kPaに設定された第3段目の溶融重縮合槽に連続的に移送して、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.65dl/gとなるように各重縮合槽における滞留時間を調整して溶融重縮合させ、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口から連続的にストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してチップ状粒状体としたポリエステル原料(1)を製造した。末端カルボキシル基量は14当量/トンであった。
<ポリエステル原料(2)の製造法>
ポリエステル原料(1)を出発原料とし、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるように連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下215℃で、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.82dl/g)となるように滞留時間を調整して固相重縮合させ、ポリエステル原料(2)を得た。末端カルボキシル基量は7当量/トンであった。
<ポリエステル原料(3)の製造法>
攪拌機付き2リッターステンレス製オートクレーブに高純度テレフタル酸とエチレングリコールを仕込み、常法に従ってエステル化反応を行い、オリゴマー混合物を得た。
このオリゴマー混合物に重縮合触媒として、(1)塩基性酢酸アルミニウムを20g/lのアルミニウム化合物含有量となるように調整したエチレングリコール溶液と、(2)4Lのエチレングリコールに3、5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルを200g加えて185℃にて60分間還流下で攪拌後に冷却して得られたリン化合物のエチレングリコール溶液の混合物とを、アルミニウム元素の残存量が20(ppm、リン元素の残存量が80ppmとなるように添加した。
次いで、窒素雰囲気下、常圧にて250℃で10分間攪拌した。その後、60分間かけて280℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)として、さらに280℃、13.3Pa下でポリエステルの極限粘度が0.55dl/gになるまで重縮合反応を行った。
反応槽から取り出した溶融重縮合反応生成物は、ダイからストランド状に押出して冷却固化し、カッターで切断して1個の重さが平均粒重24mgのポリエステル樹脂チップ:ポリエステルチップ化した。ポリエステルチップの極限粘度は0.56dl/g、末端カルボキシル基量は13当量/トンであった。
上記の溶融重合によって得たポリエステルチップを0.5mmHgの減圧下、220℃で固相重合を行い、極限粘度が0.78dl/g、末端カルボキシル基量が7当量/トンのポリエステル(3)を得た。
<ポリエステル原料(4)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が5g/樹脂tとなる量で加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2 .5μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、粒子のポリエステルに対する含有量が3.0重量%となるように添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.60に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル原料(4)を得た。極限粘度は0.64dl/g、末端カルボキシル基量は21当量/トンであった。
<ポリエステル原料(5)の製造法>
ポリエステル原料(4)製造方法において、の平均粒子径2 .5μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーの代わりに、平均粒子径0.8μmの合成炭酸カルシウム粒子のエチレングリコールスラリーを粒子のポリエステルに対する含有量が1重量%となるように添加した以外は、ポリエステル原料(4)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル原料(5)を得た。極限粘度は0.62dl/g、末端カルボキシル基量は23当量/トンであった。
<ポリエステル原料(6)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を0.02部加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃ とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドホスフェート0.03部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップを得た。この、ポリエステルの極限粘度は0.63dl/g、ポリマーの末端カルボキシル基量は45当量/トンであった。上記ポリエステルチップを出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行って、ポリエステル原料(6)を得た。ポリエステル原料(6)の極限粘度は0.85dl/g、ポリマーの末端カルボキシル基量は32当量/トンであった。
塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
・ウレタン
U1:数平均分子量約1000のポリテトラメチレングリコールとジメチロールプロピオン酸とイソホロンジイソシアネートからなるポリウレタン(カルボン酸のカウンターイオンがアンモニア)であるポリウレタン水分散体
U2:ヘキサメチレンジオールのポリカーボネートポリオール(数平均分子量約1000)とジメチロールプロピオン酸と水添ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートからなるポリウレタン(カルボン酸のカウンターイオンがトリエチルアミン)である水分散体
U3:芳香族ポリエステルと脂肪族ジイソシアネートとのポリエステルポリウレタン水分散体である、DIC株式会社 商品名ハイドラン(登録商標)AP−40F。
・ポリエステル
E1:芳香族ポリエステルの水分散体である、DIC株式会社 商品名ファインテック(登録商標)ES−670
・オキサゾリン
X1:オキサゾリン系水溶性樹脂架橋剤 株式会社日本触媒 商品名エポクロス(登録商標)WS−500
X2:カルボジイミド系水溶性樹脂架橋剤 日清紡ケミカル株式会社 商品名カルボジライト(登録商標)V−02−L2
X3:水溶性エポキシ系架橋剤 ナガセケムテックス株式会社 商品名デナコール(登録商標)EX−521
・シリカ
D1:シリカ微粒子水分散体(平均粒子径60nm)
(塗布液例)
塗布層用の塗布液を表2のように作成した。
Figure 2014239128
<回収ポリエステル(1)の製造法>
表層の原料としてポリエステル原料(1)70重量%と、ポリエステル原料(5)30重量%を混合し、中間層の原料として、ポリエステル原料(1)84重量%とポリエステル原料(5)16重量%を混合し、2台のベント付二軸押出機に各々供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、100℃にて縦方向に2.8倍延伸した後、テンター内で予熱工程を経て120℃で5.1倍の横延伸を施した後、220℃で10秒間の熱処理を行い、その後180℃で幅方向に4%の弛緩を加え、全厚みが38μm(層構成:表層4μm/中間層30μm/表層4μmの幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。
本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。
このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰のスリット耳として切断分離を行った。
切断分離された耳部フィルムおよびスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、290℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル(1)とする。回収ポリエステル(1)の極限粘度は0.551dl/g、末端カルボキシル基量は43当量/トンであった。
実施例1:
上記ポリエステル原料(2)およびポリエステル原料(4)を96.0:4.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付二軸押出機により、吐出量;450kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、口金から流出した非晶質のポリエステルシートを、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に表2に示す塗布液E−1を塗布し、テンターに導き、クリップで掴まれた縦延伸シートを横方向に120℃で3.8倍延伸し、221℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が0.03g/mを有する、厚さ125μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。
なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。
このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。
切断分離された耳部フィルムおよびスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。得られた粉砕化物を、回収ポリエステル(2)とする。回収ポリエステル(2)のIVは0.729dl/g、AVは13当量/トンであった。
上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、および回収ポリエステル(2)を未乾燥の状態にて、76.8:3.2:20.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付二軸押出機により、吐出量;450kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に表2に示す塗布液E−1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、221℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が0.03g/mを有する、厚さ125μmのポリエステルフィルム(A1)のマスターロールを得た。
なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。粉砕機にて粉砕化して、回収ポリエステル用に貯めた。
このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(A1)を得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。粉砕機にて粉砕化して、回収ポリエステル用に貯めた。
実施例2:
上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、および回収ポリエステル(1)を68.0:4.0:28.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付二軸押出機により、吐出量;500kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に表2に示す塗布液E−1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、221℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が0.03g/mを有する、厚さ125μm、幅2000mmのポリエステルフィルム(A2)のマスターロールを得た。
なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。
このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(A2)を得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。
切断分離された耳部フィルムおよびスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。得られた粉砕化物を、回収ポリエステル(3)とする。回収ポリエステル(3)のIVは0.672dl/g、AVは22当量/トンであった。
実施例3:
上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、回収ポリエステル(1)、回収ポリエステル(3)を48.0:4.0:28.0:20.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付二軸押出機により、吐出量;500kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に表2に示す塗布液E−1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、221℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が0.03g/mを有する、厚さ125μm、幅2000mmのポリエステルフィルム(A3)のマスターロールを得た。
なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行い、粉砕機にて粉砕化し、回収ポリエステルとして貯めた。
このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(A3)を得た。本スリット時に、生成された余剰のスリット耳もまた粉砕機にて粉砕化し、回収ポリエステルとして貯めた。
実施例4:
上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、および回収ポリエステル(1)を56.0:4.0:40.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付二軸押出機により、吐出量;500kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に表2に示す塗布液E−1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、221℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が0.03g/mを有する、厚さ125μm、幅2000mmのポリエステルフィルム(A4)のマスターロールを得た。
なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行い、粉砕機にて粉砕化し、回収ポリエステルとして貯めた。
このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(A4)を得た。本スリット時に、生成された余剰のスリット耳もまた粉砕機にて粉砕化し、回収ポリエステルとして貯めた。
実施例5:
実施例2において、ポリエステル原料(2)ではなく、ポリエステル原料(3)にすることを除き、実施例2と同様な方法でポリエステルフィルム(A5)を得た。
実施例6:
粉砕化物である回収ポリエステル(2)を乾燥後単軸押出機に供給し、290℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル(4)とする。回収ポリエステル(4)の極限粘度は0.670dl/g、末端カルボキシル基量は20当量/トンであった。上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、および回収ポリエステル(4)を26.2:3.8:70.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付二軸押出機により、吐出量;500kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に表2に示す塗布液E−1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、221℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が0.03g/mを有する、厚さ125μm、幅2000mmのポリエステルフィルム(A6)のマスターロールを得た。
なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。
このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(A6)を得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。
実施例7:
上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、および回収ポリエステル(1)を68.0:4.0:28.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付二軸押出機により、吐出量;500kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に表2に示す塗布液E−1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、231℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が0.03g/mを有する、厚さ50μm、幅2000mmのポリエステルフィルム(A7)のマスターロールを得た。
なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。
このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(A7)を得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。
実施例8:
上記ポリエステル原料(2)およびポリエステル原料(4)を96.0:4.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付二軸押出機により、吐出量;450kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、口金から流出した非晶質のポリエステルシートを、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に表2に示す塗布液E−1を塗布し、テンターに導き、クリップで掴まれた縦延伸シートを横方向に120℃で3.8倍延伸し、236℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が0.03g/mを有する、厚さ50μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。
なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。
このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。
切断分離された耳部フィルムおよびスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。得られた粉砕化物を、回収ポリエステル(5)とする。回収ポリエステル(5)のIVは0.729dl/g、AVは13当量/トンであった。
上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、および回収ポリエステル(5)を未乾燥の状態にて、76.8:3.2:20.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付二軸押出機により、吐出量;450kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に表2に示す塗布液E−1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、236℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が0.03g/mを有する、厚さ50μmのポリエステルフィルム(A8)のマスターロールを得た。
なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。粉砕機にて粉砕化して、回収ポリエステル用に貯めた。
このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(A8)を得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。粉砕機にて粉砕化して、回収ポリエステル用に貯めた。
実施例9:
実施例2において、塗布液E−1ではなく、塗布液E−2とすることを除き、実施例2と同様な方法でポリエステルフィルム(A9)を得た。
実施例10:
実施例2において、塗布液E−1ではなく、塗布液E−3とすることを除き、実施例2と同様な方法でポリエステルフィルム(A10)を得た。
実施例11:
実施例2において、塗布液E−1ではなく、塗布液E−4とすることを除き、実施例2と同様な方法でポリエステルフィルム(A11)を得た。
実施例12:
実施例2において、塗布液E−1ではなく、塗布液E−7とすることを除き、実施例2と同様な方法でポリエステルフィルム(A12)を得た。
比較例1:
上記ポリエステル原料(2)およびポリエステル原料(4)を96.0:4.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付二軸押出機により、吐出量;450kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、口金から流出した非晶質のポリエステルシートを、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に表2に示す塗布液E−1を塗布し、テンターに導き、クリップで掴まれた縦延伸シートを横方向に120℃で3.8倍延伸し、221℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が0.03g/mを有する、厚さ125μm、幅2000mmのポリエステルフィルム(B1)のマスターロールを得た。
なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行い廃棄した。
このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(B1)を得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行い廃棄した。得られたポリエステルフィルムの評価結果は下記表3に示す。
比較例2:
上記ポリエステル原料(2)およびポリエステル原料(4)を96.0:4.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付二軸押出機により、吐出量;200kg/hr、シリンダー温度;280℃で溶融押出し、口金から流出した非晶質のポリエステルシートを、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に表2に示す塗布液E−1を塗布し、テンターに導き、クリップで掴まれた縦延伸シートを横方向に120℃で3.8倍延伸し、221℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が0.03g/mを有する、厚さ125μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。
なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。
このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。
切断分離された耳部フィルムおよびスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。得られた粉砕化物を回収ポリエステル(6)とする。回収ポリエステル(6)のIVは0.745dl/g、AVは11当量/トンであった。
上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、および回収ポリエステル(6)を未乾燥の状態にて、76.8:3.2:20.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付二軸押出機により、吐出量;200kg/hr、シリンダー温度;280℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に表2に示す塗布液E−1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、221℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が0.03g/mを有する、厚さ125μmのポリエステルフィルム(B2)のマスターロールを得た。
比較例3:
実施例2において、ポリエステル原料(2)ではなく、ポリエステル原料(6)にすることを除き、実施例2と同様な方法でポリエステルフィルム(B3)を得た。
比較例4:
上記ポリエステル原料(1)およびポリエステル原料(4)を96:4の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付二軸押出機により、吐出量;500kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、口金から流出した非晶質のポリエステルシートを、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に表2に示す塗布液E−1を塗布し、テンターに導き、クリップで掴まれた縦延伸シートを横方向に120℃で3.8倍延伸し、221℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が0.03g/mを有する、厚さ125μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。
なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。
このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。
切断分離された耳部フィルムおよびスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。得られた粉砕化物を、回収ポリエステル(7)とする。回収ポリエステル(7)のIVは0.615dl/g、AVは20当量/トンであった。
上記ポリエステル原料(1)、ポリエステル原料(4)、および回収ポリエステル(7)を未乾燥の状態にて、67.2:2.8:30.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付二軸押出機により、吐出量;500kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に表2に示す塗布液E−1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、221℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が0.03g/mを有する、厚さ125μmのポリエステルフィルム(B4)のマスターロールを得た。
なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行い、粉砕機にて粉砕化し、回収ポリエステルとして貯めた。
このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(B4)を得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行い、粉砕機にて粉砕化し、回収ポリエステルとして貯めた。
比較例5:
上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、および回収ポリエステル(1)を68.0:4.0:28.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付二軸押出機により、吐出量;500kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に表2に示す塗布液E−1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、245℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が0.03g/mを有する、厚さ125μm、幅2000mmのポリエステルフィルム(B5)のマスターロールを得た。
なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。
このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(B5)を得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。
比較例6:
実施例2において、塗布液E−1ではなく、塗布液E−5とすることを除き、実施例2と同様な方法でポリエステルフィルム(B6)を得た。
比較例7:
実施例2において、塗布液E−1ではなく、塗布液E−6とすることを除き、実施例2と同様な方法でポリエステルフィルム(B7)を得た。
比較例8:
実施例2において、塗布液E−1ではなく、塗布液E−8とすることを除き、実施例2と同様な方法でポリエステルフィルム(B8)を得た。
比較例9:
実施例2において、塗布液E−1ではなく、塗布液E−9とすることを除き、実施例2と同様な方法でポリエステルフィルム(B9)を得た。
比較例10:
実施例2において、塗布液E−1ではなく、塗布液E−10とすることを除き、実施例2と同様な方法でポリエステルフィルム(B10)を得た。
Figure 2014239128
Figure 2014239128
本発明のフィルムは、太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムとして好適に利用することができる。

Claims (2)

  1. 極限粘度(IV)が0.62dl/g以上0.73dl/g以下であり、末端カルボキシル基量(AV)が26当量/t以下であり、広角X線回折により得られる強度プロフィールの24°〜30°の範囲に観測されるピークの半値幅(w)が1.17°以上であり、回収ポリエステルを含有し、ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格の少なくとも一種を有するポリウレタンと架橋剤とを含有する塗布液を塗布して得られた塗布層を少なくともフィルムの片面に有することを特徴とすることを特徴とする太陽電池裏面封止用ポリエステルフィルム。
  2. リン元素含有量が70ppm以下である請求項1に記載の太陽電池裏面封止用ポリエステルフィルム。
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