JP2014236123A - 太陽電池モジュールおよびその製造方法 - Google Patents

太陽電池モジュールおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】太陽電池のモジュール変換効率をより向上させることを目的とする。
【解決手段】透光性基板と裏面保護シートの間に太陽電池セルを有する太陽電池モジュールであって、前記透光性基板の光入射面側表面における少なくとも非発電領域に凹凸構造を有し、前記凹凸構造は、複数の傾斜面から構成される凹凸部を複数有し、前記複数の凹凸部のうちの、ある凹凸部の頂点を含み、前記透光性基板表面に垂直な断面において、前記傾斜面が前記透光性基板の表面となす傾斜角の最小角度と最大角度を各々θ1とθ2としたとき、30°<θ1<60°、30°<θ2を満たし、前記裏面保護シートは、光入射面側表面の算術平均粗さRaが40nm以下、拡散反射率が10%以下、かつ反射率が90%以上である太陽電池モジュール。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュールおよびその製造方法に関する。
近年、太陽電池の低コスト化、高効率化を両立するための検討が精力的に行われている。特に、薄膜太陽電池に関し、ガラス等の安価な透光性基体上に低温プロセスを用いて良質の半導体層を形成する方法が低コストの実現可能な方法として期待されている。また、太陽電池モジュールに関する研究が精力的になされており、モジュールの集電極や封止に使用される領域、またセル分離に使用される領域などの太陽電池の発電に寄与しない非発電領域に入射した光を発電領域へ導き、モジュール発電効率を改善することが検討されている。
特に、建材一体型モジュールのような小面積の太陽電池モジュールでは、発電領域の面積に対する非発電領域の面積の割合が高く、非発電領域に入射した光を収集し有効利用できれば発電効率の改善が期待できる。非発電領域に入射した光を収集するため、光入射面に形成した構造によって非発電領域に入射した光を有効利用する検討がなされている。
例えば特許文献1では、透光性基板と裏面保護シートの間に太陽電池セルを有する太陽電池モジュールに関し、透光性基板の光入射面側において非発電領域に凹凸構造を形成することにより、非発電領域へ入射した光の収集効果を向上させる旨が記載されている。また特許文献2では、透光性基板の光入射面側にプリズム構造を形成し集光効率を向上させる旨が記載されている。
一方、裏面保護シートに関する研究もなされており、特許文献3などのように、一般的に微細凹凸構造を有する散乱板が用いられている。また特許文献4では、裏面材として外周部と格子部を用い、格子部として銀、アルミニウムなどを用いた凹凸付きの金属膜反射層が用いられている。
特開2006−41168号公報 特開2000−31515号公報 特開2013−4948号公報 特開平10−284747号公報
特許文献1,2では、裏面保護シートとして、金属、有機樹脂、セラミックスや、屋根材である瓦材やスレート材などを用いているものの、裏面保護シートに関する詳細な検討はなされていない。また透光性基板の凹凸構造についても具体的な構造や大きさについては何ら検討されておらず、非発電領域へ入射した光の収集効果の点では課題が残る。
また本発明者らの検討によれば、特許文献1,2に記載されているように、裏面保護シートとして、アルミニウムなどの金属を用いた場合、一般的にRa≧50nm程度であるため、また特許文献3のような、凹凸付きの散乱板や白板を用いた場合、光を特定の方向へ収集する効果が低いため、非発電領域へ入射した光の収集効果が必ずしも十分でないことがわかった。
また特許文献4などでは、裏面保護シートの内側の一部に凹凸構造を付けており、位置あわせ精度や封止時の防水性確保の点で課題が残る。また、特許文献4では外周領域の裏面保護シートとして白色反射層を用いる旨が記載されている。外周部においては、光を収集する方向、つまり非発電領域から発電領域へ向かう方向が限定されているにもかかわらず、白色反射層を用いると高い光の収集効果が期待できない。
本発明はこのような従来技術の問題に鑑みなされたものであり、本発明では透光性基板の光入射面側に所定の凹凸構造を形成し、裏面保護シートとして鏡面反射シートを用いることにより、非発電領域に入射した光を効果的に収集することができる。その結果、太陽電池のモジュール変換効率をより向上させることを目的とする。
すなわち、本発明は以下に関する。
透光性基板と裏面保護シートの間に太陽電池セルを有する太陽電池モジュールであって、前記透光性基板の光入射面側表面における少なくとも非発電領域に凹凸構造を有し、前記凹凸構造は、複数の傾斜面から構成される凹凸部を複数有し、前記複数の凹凸部のうちの、ある凹凸部の頂点を含み、前記透光性基板表面に垂直な断面において、前記傾斜面が前記透光性基板の表面となす傾斜角の最小角度と最大角度を各々θ1とθ2としたとき、30°<θ1<60°、30°<θ2を満たし、前記裏面保護シートは、光入射面側表面の算術平均粗さRaが40nm以下、拡散反射率が10%以下、かつ反射率が90%以上である太陽電池モジュール。
前記凹凸構造は、凹凸部の高低差が0.5μm以上1mm以下を満たすことが好ましい。
前記凹凸部は、前記傾斜角の最小角度と最大角度を各々θ1、θ2としたとき、θ1<θ2を満たすことが好ましい。
前記凹凸部は、前記傾斜角の最大角度が80°≦θ2≦90°を満たすことが好ましい。
前記透光性基板の光入射面側表面における非発電領域において、前記凹凸部は、発電領域側に最大角度θ2を満たす最大傾斜面が形成され、前記最大傾斜面よりも前記発電領域から離れた領域に、最小角度θ1を満たす最小傾斜面が形成されていることが好ましい。
前記凹凸構造が、前記透光性基板の光入射面側表面における発電領域にも形成されていることが好ましい。
裏面保護シートの光入射側の表面に銀を有することが好ましい。
前記非発電領域の面積が、前記発電領域の面積の3%以上であることが好ましい。
前記凹凸構造は、四角錐または四角錐の反転形状の集合より構成されることが好ましい。
本発明によれば、透光性基板の光入射面側表面に所定の凹凸構造を形成し、かつ、所定の裏面保護シートを用いることによって、発電効率の向上した太陽電池モジュールを作製することが可能となる。
本発明の一実施形態における太陽電池モジュールの断面概略図である。 本発明の一実施形態における発電層の断面概略図である。 本発明の一実施形態における透光性基板の凹凸構造の断面概略図である。 実施例1のモジュール構造概略図 (光入射面から見下ろし)である。
以下、本発明に係る太陽電池モジュールの代表的な態様を説明する。
図1に本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの代表的な模式図を示している。本実施形態の太陽電池モジュールは、太陽電池セル2の光入射面側に透光性基板1、裏面側に裏面保護シート4を有する。
透光性基板1は、光入射面側の非発電領域に凹凸構造5を有する。太陽電池セル2は、セル透明基板2−1の裏面側(光入射面とは反対側)に透明電極2−2、光電変換ユニット2−3、2−4、2−5、裏面電極2−6を有する。前記透光性基板1と裏面保護シート4の間に、封止材料3により該太陽電池セル2が封止されることにより太陽電池モジュールが作製される。
図1においては、透光性基板1として、前記透光性基板1の光入射面側の非発電領域に凹凸構造5を形成したものを用いている。なお、本発明においては、図1のように、基板の一主面側(上側)を光入射側、裏面電極側(下側)を裏面側ともいう。また、発電層が形成された領域を「発電領域」、発電層が形成されていない領域を「非発電領域」という。
(透光性基板)
上記透光性基板1については、紫外〜赤外の波長範囲で透明であれば特に制限されないが、耐熱性に優れるという観点からガラス基板などを使用することが好ましい。ガラス基板としては無アルカリガラスやソーダライムガラスなどが挙げられるが、特にこれらの種類に限定されるものではない。無アルカリガラスやソーダライムガラスを使う場合、屈折率1.50〜1.55のガラス基板がコストと透過率の観点から好ましい。
上記透光性基板1の光入射面側の非発電領域上に凹凸構造5を形成する方法としては、特に限定されないが、凹凸構造の形成されたフィルムを基材に接着する方法や、透光性基板1の光入射面側表面自体に凹凸構造を形成する方法が挙げられる。基材としては、前記透光性基板1と同様な材料を用いることができる。また凹凸構造が形成されたフィルムの材料は、透光性の材料であれば任意の材料を用いることができるが、シクロオレフィンポリマーやポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリレート(PMMA)が、光吸収が少ない点や加工性に優れている点から望ましい。
上記フィルム材料を、フィルムが軟化する温度まで加熱後、所望の凹凸構造の逆のパターンを有する金型を押し付け、圧力を保ったまま冷却することにより、金型の凹凸構造をフィルム表面に転写し、凹凸構造を形成することができる。加熱する温度は、フィルムの材料によって異なるが、圧力によりフィルム厚が変わらない温度が好ましく、150℃以下が好ましい。フィルム厚はフィルムの体積をフィルムの面積で除算した厚さであり、フィルム表面の凹凸を平均した厚さである。PMMAフィルムの場合は130℃程度に加熱することが好ましい。また、金型を押し付ける圧力は、形成する凹凸構造の大きさおよび加熱温度にもよるが、1MPa以下の圧力が好ましく0.5MPa以下がより好ましい。また、上記の好ましい温度範囲で、凹凸構造を正確に転写するためには、0.1MPa以上が好ましい。また、フィルム作製時に凹凸構造を形成してもよい。
凹凸構造が形成されたフィルムを光入射面に接着する方法としては、フィルムおよび基材の屈折率に近い屈折率に調整されたUV硬化接着剤やアクリル系接着剤を用いる方法が挙げられる。また、実験的に凹凸構造の効果を確認する目的では、屈折率が調整されたオイルで光入射面に凹凸構造を貼り付ける方法によっても、評価することができる。
透光性基板1自体に凹凸構造を形成する方法としては、例えば、所望の凹凸構造の逆のパターンを有する金型を用いて形成する方法などが挙げられる。具体的には、透光性基板として熱可塑性樹脂などの低融点材料やガラスなどの高融点材料を用い、金型の温度を設定することで、凹凸構造を形成することができる。
また、凹凸構造は、アクリル樹脂やポリカーボネートなどの樹脂材料を押し出し成形で形成する方法、また、樹脂材料をキャスト法により成形して形成する方法などにより形成することができる。
金型を形成する方法としては、例えば、単結晶シリコン基板をアルカリ処理して該基板に凹凸構造を作ることにより作製することが出来る。また、メッキ製膜したニッケルをダイヤモンドバイトで研削加工することによって作製することもできる。金型には公知の離型剤を用いて表面処理することで、パターン形成時の不良が低減し、凹凸構造を精度よく転写可能であり、また複数回使用時の金型の耐久性が向上する。
結晶シリコンの異方性エッチングで四角錐型の金型を作製する場合には、板厚700μm程度の単結晶シリコンウェハを、KOHなどのアルカリ水溶液でエッチングする方法が利用できる。アルカリ水溶液による結晶シリコンのエッチング速度は、結晶面によって異なり、(111)面のエッチング速度は遅い。したがって、(100)面を表面に持つ単結晶シリコン基板をアルカリ水溶液でエッチングすると、基板表面に(111)面で構成された四角錐型のピラミッドがランダムに形成される。形成されるピラミッドの大きさは、エッチング時間や温度、微粒子等の添加剤によって制御することができる。
金型の材質は、特に限定されないが、熱による劣化や変形が少なく、複数回の成形処理に耐えられる材質のものが好ましく、例えばシリコンやニッケル、モリブデンなどの金属材料も使用可能である。光で硬化する場合には高透過性ガラスの金型を使用することで対応することが可能となる。
本発明においては、透光性基板1の光入射面側表面は、少なくとも非発電領域に所定の凹凸構造を有する。このような透光性基板1を用いることにより、非発電領域に入射した光を凹凸構造により異方性散乱し、さらに裏面保護シートで反射することにより効果的に発電領域へ収集することが期待できる。
ここで、本発明においては、凹凸構造は、少なくとも非発電領域に形成されていればよいが、光収集効果をより向上させる観点から、非発電領域の90%以上に形成されていることが好ましく、95%以上に形成されていることがより好ましく、100%即ち全面に形成されていることが特に好ましい。
本発明においては、凹凸構造は、複数の凹凸部により形成することができる。凹凸部の高低差は、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。上記の範囲とすることにより、入射光を高い効率で異方性散乱することができる。また、凹凸構造をフィルムに形成する場合には、1mm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。上記の範囲とすることで、フィルムのコストを抑えることができる。
ここで、上記凹凸部の高低差は凹凸部の高低差の最大値を意味する。ここで、凹凸部は一つの頂点に対して、透光性基板に近づく方向または遠ざかる方向のどちらか一方のみの面で構成され、面の方向が逆になる領域は別の凹凸部を意味する。また、凹凸構造が、異なる形状の複数の凹凸部から構成される場合、ある領域内に存在する複数の凹凸部のうち無造作に選出した凹凸部の各々について高低差を求めた場合の平均高低差を意味するものとする。例えば、基板の表面を電子顕微鏡写真で観察し、無作為に5点の凹凸部を選出し、該凹凸部の各々につき高低差を求め、該高低差の平均高低差として求めることができる。
上記凹凸構造の形状は、一般的な凹凸構造を有するものであれば特に制限されず、例えばピラミッド型や逆ピラミッド型、ライン&スペース型などがある。また前記光入射面側の凹凸構造は周期構造であってもよいし、非周期構造であってもよい。すなわち凹凸構造の高さがランダムに分布した構造であってもよい。
また本発明においては、前記凹凸構造が、透光性基板の光入射面側表面の発電領域上にも形成されていることがより好ましい。この場合、発電領域において光閉じ込め効果がより期待できる。生産性や、凹凸構造の形成の容易性の観点から、発電領域と非発電領域の凹凸構造を同時に形成することが好ましい。なお、発電領域上の凹凸構造は、前記非発電領域上の凹凸構造と同じ形状であっても良いし、異なる形状であってもよい。
ここで、本発明においては、図3に示すように、前記凹凸構造は、複数の傾斜面から構成される凹凸部を複数有する。すなわち、ある凹凸部は、複数の傾斜面により形成されている。この際、前記複数の凹凸部のうちの、ある凹凸部の頂点を含み、前記基板表面に垂直な断面において、前記凹凸部の前記傾斜面が前記基板の表面となす傾斜角の最小角度と最大角度を各々θ1とθ2としたとき30°<θ1<60°、30°<θ2を満たす。
ここで、「傾斜角の最小角度θ1」および「傾斜角の最大角度θ2」とは、凹凸構造を構成する、ある1つの凹凸部の頂点と、その頂点を囲む傾斜面上で最も傾斜角度が大きくなる方向をつなぐ辺(図3a、b右図における点線)とを通り、かつ、前記基板の表面に垂直な断面において、上記傾斜部の辺と、基板表面のなす角を傾斜角θとしたとき、該凹凸部を構成する複数の傾斜面の各々の傾斜角のうち、最も小さい角度および最も大きい角度を意味する。なお、ある凹凸部を構成する複数の傾斜面のうち、上記最小角度θ1および最大角度θ2を満たす傾斜面を各々、最小傾斜面および最大傾斜面という。
例えば、図3(a)のように、凹凸部が正四角錐の場合、4つの傾斜面のいずれも同じ角度となるため、θ1=θ2となる。一方、図3(b)のような形状の場合、4つの傾斜面の各々についてθを求め、その際の最も小さい角度をθ1、最も大きい角度をθ2とする。なお、凹凸部がn角錐(n≧3)の場合、n個の傾斜面の各々についてθを求めることにより、θ1とθ2を算出することができる。
また、凹凸構造が、異なる形状の複数の凹凸部から構成される場合、ある領域内に存在する複数の凹凸部のうち無造作に選出した凹凸部の各々についてθ1とθ2を求めた場合の平均角度(各々θ1aveとθ2ave)を意味するものとする。例えば、基板の表面を電子顕微鏡写真で観察し、無作為に5点の頂点を選出し、該頂点の各々につき、最小角度と最大角度を求め、該角度の平均値(各々θ1aveとθ2ave)を頂点の平均角度θとして求めることができる。
この際、光閉じ込め効果をより向上させる観点から、隣り合う凹凸部のうち、一方の凹凸部のθ1を満たす傾斜面と、他方の凹凸部のθ2を満たす傾斜面が隣り合うことがより好ましい。
ここで、θ1=θ2を満たすものとしては、例えば、図3aに示すように、四角錐型のピラミッド構造がランダムに分布した構造などが挙げられる。四角錐型のピラミッド構造は、金型形成のコストや作製に要する時間を低減できる観点から、結晶シリコンの異方性エッチングなどにより金型を作製し、該金型を用いることにより形成することが好ましい。
中でも、本発明においては、図3bに示すように、θ1≠θ2、θ1<θ2を満たす、すなわち非対称形状とすることが好ましい。非対称形状とすることにより、入射光を所望の方向へ異方性散乱する確率は、図3aに示す対称形状と比較して最大で2倍となり、光収集効果の点でより好ましい。凹凸構造の断面構造を非対称形状とすることにより、より多くの光を所望の方向へ異方性散乱することができ、それにより、非発電領域に入射した光を発電領域へ伝播させることができる。
この際、発電領域への光の伝播効率の観点から、θ1は31°以上が望ましく、32°以上がより望ましい。また、透明電極による光吸収を抑制する観点から、58°以下が望ましく、55°以下がより望ましい。θ2については、光の伝播効率の観点から、80°以上90°以下が好ましく、85°以上90°以下がより好ましい。
また、図1(a)に示すように、前記透光性基板の光入射面側表面において、非発電領域における前記凹凸部は、太陽電池側に最大角度θ2を満たす最大傾斜面が形成され、前記最大傾斜面よりも太陽電池から離れた領域に、最小角度θ1を満たす最小傾斜面が形成されていることが好ましい。
この場合、光収集効果がより期待できる。中でも、図4に示すような太陽電池を用いる場合、発電領域の両側の非発電領域における凹凸部が、図1(c)に示すように、いずれも、太陽電池側に最大傾斜面、前記最大傾斜面よりも離れた領域に最小傾斜面を有することが好ましい。すなわち、最大傾斜面および最小傾斜面と、発電領域との距離を各々L2およびL1としたとき、L1>L2を満たすことが好ましい。
ここで、ある凹凸部における傾斜面と発電領域の距離は、図3(c)に示すように、θを測定した傾斜面の前記基板表面に垂直な断面における傾斜面の辺と基板表面に平行な方向との交点と、発電領域と、の最も近い距離を意味する。すなわち、複数の凹凸部がランダムに形成されている場合は、上述のように、平均値を求めることにより算出することができる。すなわち、例えば、基板の表面を電子顕微鏡写真で観察し、無作為に5点の頂点を選出し、該頂点の各々につき、最大傾斜面および最小傾斜面と、発電領域との距離(L2およびL1)を求めて、該距離の平均値(各々L2aveとL1ave)を平均距離として求めることができる。
本発明においては、裏面保護シートとして、鏡面反射シートを用い、かつ光入射側の透光性基板の表面凹凸を上記構造とすることにより、従来の拡散板を用いた場合に比べて非発電領域からの光収集効果がより期待できる。
凹凸構造5の屈折率は光の反射を抑制する観点から、500nmの波長で測定される値として1.47〜1.57が好ましく、1.50〜1.55の範囲にあることがより好ましい。上記の屈折率とすることで、特に、基材上に凹凸構造を形成したものを用いる場合、凹凸構造と基材との界面での反射による発電効率の低下を抑制することができる。この際、基材と凹凸構造の屈折率差が小さいものを用いることがより好ましい。
(太陽電池セル)
以下に、太陽電池セル2として、薄膜シリコン系太陽電池を用いた場合について図1〜2に基づいて説明するが、以下に限定されない。
セル透明基板2−1としては、上述のように、透光性基板1と同様の材料を用いることができる。この際、セル透明基板2−1は、透光性基板1を兼ねていてもよい。すなわち、透光性基板1の一部に、後述の光電変換ユニット等を形成しても良い。
本実施形態においては、前記セル透明基板2−1の一主面上に透明電極2−2が形成される。透明電極は、350〜1500nmの波長領域において高い透明性を示し、且つ導電性のものであれば制限なく使用可能であるが、光電変換装置の作製時にかかる熱履歴の観点から、酸化物を用いることが好ましく、特には酸化亜鉛を主成分とする透明導電性酸化物や、酸化インジウム、インジウム−錫複合酸化物、インジウム−モリブデン複合酸化物、インジウム−チタン複合酸化物などが使用できる。ここで「主成分とする」とは、ある成分を50%より多く含むことを意味し、70%以上含むことが好ましく、90%以上含むことがより好ましい。
透明電極2−2は、膜厚が150〜2000nmであることが好ましい。この範囲の膜厚とすることで、導電性と透明性に優れた透明導電層を形成することができる。中でも透明電極層での抵抗損を抑制する観点から700nm以上がより好ましく、透明電極層での光吸収をより抑える観点から、1500nm以下が好ましい。
ここで、本実施形態のように、薄膜シリコン系太陽電池を用いる場合、2つ以上の異なる光電変換ユニットより形成することが好ましい。「2つ以上の異なる光電変換ユニット」とは、バンドギャップが異なる2つ以上の光電変換ユニットを意味し、通常、i型半導体層のバンドギャップを意味する。これにより広い波長領域の光を吸収することが可能となる。
光電変換ユニット2−3、2−4、2−5としては、具体的には、p−i−n接合からなるシリコン半導体積層構造体を用い、このような光電変換ユニットを2層以上、直列接続となるように配置して構成することが好ましい。
各々の半導体層は、プラズマCVD法により好適に作製することができる。プラズマCVD法とは、シランガスをシリコン材料として用い、プラズマエネルギーを利用してシリコンを形成する方法であり、p型層やn型層の製膜には、それぞれジボランやホスフィンなどのガスを適量添加することで可能となる。
上記のように2つ以上の光電変換ユニットを直列接続する場合には、ワイドバンドギャップの光入射側光電変換ユニット2−3を光入射側に配置し、その上にナローバンドギャップの裏面側光電変換ユニット2−5を配置することが好ましい。光電変換ユニット2としては、非単結晶シリコンを用いることが好ましく、中でも多結晶シリコンや非晶質シリコンを好ましく用いることができる。この際、p/i/nで結晶構造が異なってもかまわない。なお、非晶質あるいは結晶質のシリコン系材料としては、半導体を構成する主要元素としてシリコンのみを用いる場合だけでなく、炭素、酸素、窒素、ゲルマニウムなどの元素をも含む合金材料であってもよい。
この場合、例えば、光入射側光電変換ユニット2−3として非晶質シリコンからなる光電変換ユニットを、裏面側光電変換ユニット2−5として微結晶シリコンからなる光電変換ユニットを配置することができる。上記光入射側光電変換ユニット2−3や裏面側光電変換ユニット2−5以外に、例えば光入射側光電変換ユニットと裏面側光電変換ユニットの間に、さらに1つ以上の光電変換ユニット2−4を配置してもかまわない。
これら複数の光電変換ユニット間には、透明中間層を形成し、光の反射と透過を選択的に行う層を設けることができる。これにより、上記の例では光入射側光電変換ユニット2−3に取り込まれる光をより多くすることができ、さらに透過した光で裏面側光電変換ユニット2−5の発電に寄与することができる。なお本発明における「結晶質」は、多結晶及び微結晶を包含する。また、用語「結晶質」及び「微結晶」は、部分的に非晶質を含むものをも意味するものとする。
透明電極2−2と光電変換ユニット2−3の間には、電気的なコンタクトの改善を目的とした層を設けることができる。この層としては、光電変換ユニットよりもバンドギャップの広い半導体層を用いると、透明電極層と光電変換層の界面付近での電子−正孔の再結合を抑制できる。その結果、光電変換層で生成した電子−正孔を電極に効率よく取り出すことが可能となり、結果として変換効率を向上することが可能となり好ましい。この様な半導体としては例えばp型シリコンカーバイドなどが挙げられる。
こうして設けられた光電変換ユニット2−3、2−4、2−5上に裏面電極2−6を形成する。裏面電極2−6は、透明導電性酸化物層と裏面金属電極層の2層を設けることができるが、さらに他の層を設けて、2層以上の層で形成することもできる。
透明導電性酸化物層は、光電変換ユニット2−3、2−4、2−5を形成するシリコンと、裏面金属電極層2−6を形成する金属原子の相互拡散を抑制する為に用いられる。また光の干渉を起こすことで、任意の波長の光を強めて、光電変換特性を向上させるために用いられる。透明導電性酸化物層としては、例えば酸化インジウムや酸化亜鉛、酸化チタンなどを含有するものを用いることができる。
透明導電性酸化物層は、膜厚を25〜120nmの範囲で設けることが好ましい。さらには30〜85nmの範囲が光学的に好ましい。この範囲の膜厚とすることで、光学的な効果や、導電性・コストの面で好ましいだけでなく、裏面金属電極層に用いる金属原子と、光電変換ユニット2−3、2−4、2−5を形成するシリコン原子との原子拡散を抑制するバリア層の役割を果たすことができるため好ましい。
裏面金属電極層2−6は、充分に導電性が高く、且つ光電変換ユニット2−3、2−4、2−5を通過してきた光を反射して、再び光電変換ユニット2−3、2−4、2−5に入れるために、反射率が高いものが好ましい。このような材料として例えば銀やアルミニウムなどが挙げられる。
裏面金属電極層の膜厚は、裏面まで到達した光を反射して再度光電変換ユニットへ送り返す効果を有効に機能させる観点から、150nm以上が好ましく、200以上nmがより好ましい。また、裏面金属電極層に使用する金属コストを抑制する観点から300nm以下が好ましい。
なお、本発明における光収集効果は、基板の光入射面に形成した凹凸構造と裏面保護シートによるものであるので、太陽電池セルは特に限定されず、薄膜シリコン太陽電池や結晶シリコン太陽電池、化合物太陽電池であってもかまわない。
このようにして作製した光電変換ユニットを、直列又は並列に電気的に接続し、複数の薄膜太陽電池素子からなる太陽電池モジュールを作製する。太陽電池モジュールでは、その電極層や半導体層を水分や酸素等から保護することや外部と電気的に絶縁することなどを目的として、この太陽電池素子全体を、充填材料である封止樹脂3と裏面保護シート4により封止した構造になっている。
上記封止樹脂3 として用いられる樹脂としては、主としてEVA(エチレン・ビニルアセテート共重合体)を用いるが、PVB(ポリビニルブチラール)、PIB(ポリイソブチレン) 、及びシリコーン樹脂等を用いることもできる。この際、封止樹脂3は、図1に示すように、太陽電池セルと裏面保護シート4の間(すなわち太陽電池セルの裏面側)にのみ配置しても良いし、太陽電池セルと透光性基板の間(すなわち太陽電池セルの光入射側)にも配置しても良い。
(裏面保護シート)
前記裏面保護シートとしては一般的に、セル側から順に、表面層(白色の樹脂フィルム)/基材層(PETフィルムなど)/裏面層(樹脂フィルムに金属を製膜した防水層や、テフロン(登録商標)フィルム)を有する白色バックシートや、黒色の樹脂フィルムをセル側の表面層とした黒色バックシートが用いられている。
しかしながら、白色バックシートは、バックシートに入射した光を拡散反射するため、凹凸構造で異方性散乱された光がバックシートに到達した際に光を望ましい方向へ高い割合で反射することができない。また、裏面保護シートを黒色バックシートにすると、反射は最小となり、バックシートに入射した光は失われる。また、金属板を用いた場合、通常Ra=50nm程度のアルミニウム箔などが用いられているが、この場合、光の反射角に広がりが生じ、所望の方向へ反射する光の割合が少なくなるといった問題点がある。
一方、本発明においては、前記裏面保護シート4として、鏡面反射性のシートを用い、かつ光入射面側に所定の凹凸構造を有する透光性基板を用いることにより、凹凸構造で異方性散乱された光を所望の方向へ高い反射率で反射し、光を発電領域へと効果的に伝播させることが期待できる。裏面保護シート4は高い反射率を有することが好ましく、反射率は90%以上であることが好ましい。
本発明においては、前記裏面保護シートの、光入射面側表面の算術平均粗さRaは40nm以下である。算術平均粗さが40nm以下であれば、容易に拡散反射率を10%以下とすることができる。ここで、拡散反射率とは、反射光のうち入射角の角度と反射角の角度が±2.5度以上離れた方向へ反射する光の入射光に対する割合である。裏面保護シートの算術平均粗さが40nm以下であり高い反射率を有する場合、裏面保護シートに入射した光は鏡面反射する。
前記裏面保護シートは、鏡面加工された金属シートが望ましく、金属の単層シートとしては、鏡面加工されたアルミニウム製の反射シートが価格の低さと反射率の高さから特に好ましい。また、金属の積層シートや表面粗さの小さなフィルム等へ金属を製膜した表面が好ましく、銀を製膜した表面が反射率の高さから特に好ましい。また、金属をメッキ製膜した表面、さらに誘電体ミラーを用いることもできる。前記裏面保護シートが鏡面反射することにより、前記光入射面側の凹凸構造によって異方性散乱された光を効率的に発電領域へ伝播させることができる。
前記透光性基板1の光入射面表面から前記裏面保護シートまでの距離は、光収集効率の観点から1mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。また、重量を低く抑える観点および光吸収を少なくする観点から10mm以下が好ましく7mm以下がより好ましい。ここで「透光性基板1の光入射面側表面」とは、凹凸構造の凸部の頂点のうち、裏面保護シートと最も離れた表面を意味する。
上記のようにして、本発明における太陽電池モジュールを作製することができる。本発明の太陽電池モジュールは、特に、建材一体型太陽電池モジュールとして用いることが好ましい。建材一体型太陽電池モジュールなどの、発電以外の機能を特色とする太陽電池モジュールでは、一般に発電に特化した太陽電池モジュールと比較して小面積であり、また発電領域に対する非発電領域の面積が大きくなる。このような太陽電池モジュールに本発明を適用することで、これまで発電に寄与してこなかった非発電領域に入射した光を有効利用することができ、発電効率の向上がより期待できる。
本発明による光収集効果により効果的にモジュール効率を上げる観点から、発電領域に対する非発電領域の割合は3%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。
以下に、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(シミュレーション1)
ガラス面上に形成した凹凸構造の形状と、光収集効率との関係を検討するため、レイトレーシング法による3次元光シミュレーションを行った。シミュレーションした構造はガラス板上に断面が直角三角形である同一形状の凹凸構造(θ2=90°で固定)を同じ向きで並べた構造とした。ガラスの板厚は3mmである。裏面保護シートが完全拡散反射する場合と、裏面保護シートが鏡面反射する場合の2種類について行い、さらに凹凸構造の傾斜角を8水準変えた。以上の構造に光がガラス面の上側から垂直に入射するとし、幅10mmのガラス板の側面まで到達した光が収集されたとした。シミュレーションの結果を以下の表1に示す。表では最も光収集効率の高かった、傾斜角34°で裏面が鏡面反射する場合のシミュレーション結果に対する、他条件での計算結果の相対比を示す。
シミュレーションの結果から、裏面が鏡面反射する場合、光収集率は傾斜角により大きく変化し、傾斜角が32°から55°において高い値を示すことがわかる。中でも、32°から40°がより高い値を示した。最も光収集率が高くなる傾斜角34°では、裏面が完全拡散反射する場合の2倍以上の光収集率となった。
(シミュレーション2)
表面に凹凸構造を形成したガラスの、ガラス板厚と光収集効率との関係を検討するため、レイトレーシング法による3次元光シミュレーションを行った。シミュレーションした構造はシミュレーション1での凹凸構造傾斜角34°で裏面が鏡面反射する構造とガラスの厚みのみが異なる構造とし、ガラスの厚みは4水準変えて計算した。シミュレーションの結果を以下の表2示す。表では最も光収集効率の高かった、ガラスの厚みが3mmである場合のシミュレーション結果に対する、他条件での計算結果の相対比を示す。
シミュレーションの結果から、ガラスの厚みが厚いほど光収集効率が高くなることがわかる。
(実施例1)
まず、以下のようにして実施例1における太陽電池セル2を作製した。
3.2mm厚の白板ガラスから成る透光性基板(屈折率1.52)のヘーズを分光光度計(パーキンエルマー製Lambda950)で測定したところ、1%であった。なお、本実施例では透光性基板1とセル透明基板2−1は一致する。
セル透明基板2−1の一主面上に、0.9μmの膜厚を有するSnO2からなる透明導電膜を熱CVD法により形成した。透明導電膜を製膜後、レーザ加工機(芝浦メカトロニクス製2波長レーザ装置)によりYVO4の基本波レーザ(波長1064nm)をガラス面側から照射し、透明導電膜の一部を除去することにより、透明電極2−2を形成した。
透明電極2−2上に、第1の光電変換ユニットとしての非晶質シリコン薄膜光電変換ユニット2−3、第2の光電変換ユニットとして非晶質シリコン薄膜光電変換ユニット2−4、第3の光電変換ユニットとして微結晶シリコン薄膜光電変換ユニット2−5をこの順序で形成した。これらの光電変換ユニット2−3,2−4,2−5のそれぞれについて、それぞれに対応するp型層、ノンドープの光電変換層、およびn型層を、この順序でプラズマCVD法によって形成した。
第1の光電変換ユニット2−3に含まれるノンドープの非晶質シリコン光電変換層は200℃の下地温度のもとでRFプラズマCVD法によって堆積し、その膜厚は250nmとした。また、第2の光電変換ユニット2−4に含まれるノンドープの非晶質SiGe光電変換層は200℃の下地温度のもとでRFプラズマCVD法によって堆積し、その膜厚は150nmとした。第3の光電変換ユニット2−5に含まれるノンドープの微結晶シリコン光電変換層は180℃の下地温度のもとでRFプラズマCVD法によって堆積し、その膜厚は2.0μmとした。
光電変換ユニット2−3,2−4,2−5形成後、透明導電性酸化物層として、スパッタ法にてZnO層を90nm形成後、レーザ加工機(芝浦メカトロニクス製2波長レーザ装置)によりYVO4の第二高調波レーザ(波長532nm)をガラス面側から照射し、光電変換ユニットの一部を除去することにより、透明導電膜の一部を露出させた。次にスパッタ法にて裏面電極層2−6として金属電極膜である銀層を250nm形成し、金属電極膜を含む裏面電極2−6を形成した。
裏面電極2−6を製膜後、レーザ加工機(芝浦メカトロニクス製2波長レーザ装置)によりYVO4の第二高調波レーザ(波長532nm)をガラス面側から照射し、光電変換ユニットおよび裏面電極の一部を除去することにより分離溝を形成し、複数の太陽電池が電気的に直列接続した集積型三接合型薄膜シリコン太陽電池セルを作製した。
次に、作製したセルの周縁部に存在する、非発電領域に製膜された発電層をYVO4の基本波レーザ(波長1064nm)をガラス面側から照射し除去した。除去した領域は図4に示すような非発電領域2箇所である。除去後、セルを確認したところ、非発電領域は透明になっていた。
作製した太陽電池セルの裏面側に、封止樹脂3であるEVAと裏面保護シート4として高反射金属である銀で片面コートされたアルミニウム製の鏡面反射シート(alanod製MIRO−2 Silver)を重ね、真空ラミネータにより封止して三接合型薄膜シリコン太陽電池モジュールを作製した。この際、鏡面反射シートの銀側を光入射面側として使用した。使用した裏面保護シートは、反射率が94%であり拡散反射率は4%だった。
この鏡面反射シートの光入射面側表面の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で2.2nmだった。算術平均粗さの測定はAFM(パシフィックnanotech社製nano―R)を用いてJIS B 0601:2001に基づいて行った。観察した範囲は1μm四方である。
シート厚150μmのPMMAシート(屈折率1.50)を130度に加熱しながら金型に押し付け、PMMAシート表面に凹凸構造を成形した。成形に使用した金型はニッケルリンでメッキした金属板をダイヤモンドバイトにより研削加工して作製した。
凹凸構造は図1(c)に断面概略図を示すとおり、断面が直角三角形である同一形状を同じ向きで並べた構造であり、傾斜角(θ1)の異なる凹凸構造付きシートを7種類作製した。θ2はすべて90°である。図1(c)に示すように、発電領域側にθ2、発電領域から離れた領域にθ1が配置されるように、凹凸構造を形成した。凹凸構造付きPMMAシートをロールカッターで切断し、断面をSEM観察したところ、凹凸構造の高低差は40μmだった。シートの屈折率は1.52であり、太陽電池モジュールのガラス基板(基材)とほぼ等しいものを選んだ。
作製した凹凸構造つきPMMAシートを、屈折率1.52に調整したオイルで太陽電池モジュールの光入射面側ガラス(基材)上に貼りつけ、凹凸構造5を有する透光性基板を作製した。シートを貼り付けた位置は図4に示す非発電領域のみであり、発電領域には貼り付けなかった。
非発電領域は発電領域に対して面積比で25%である。シートを貼り付けた状態で光電変換特性評価を行った結果を以下に示す。表3では、凹凸構造付きPMMAシートなしの場合(比較例1−1)の光電変換特性に対する他条件での測定値の相対比を示す。
実験の結果、凹凸構造の最小傾斜角θ1が30°より大きく、60°より小さい場合、短絡電流(Jsc)が向上することがわかった。短絡電流が向上する一方で開放電圧(Voc)および曲線因子(FF)はほぼ変わらなかった結果、発電効率(Eff)も向上した。
(実施例2)
実施例1と同じ方法で作製された太陽電池モジュールを使って、比較例1−1および実施例1−1と同様にして、各々比較例2−1および実施例2−1とした。
実施例2−1と、裏面保護シートが白色バックシートで構成されている点のみが異なる太陽電池モジュールを作製し、比較例2−2とした。使用した白色バックシートは、反射率・拡散反射率ともに80%であった。比較例2−2の光電変換特性を測定後、非発電領域に凹凸構造付きPMMAシートをオイルで貼りつけ、比較例2−3とした。
実施例2−1と、裏面保護シートが圧延アルミニウムシートで構成されている点のみが異なる太陽電池モジュールを作製し、比較例2−4とした。圧延アルミニウムシートは、アルミニウムの薄板をローラで押し伸ばしたシートであり、使用した圧延アルミニウムシートの算術平均粗さは50nm、反射率は88%、拡散反射率は14%だった。比較例2−4の光電変換特性を測定後、非発電領域に凹凸構造付きPMMAシートをオイルで貼りつけ、比較例2−5とした。
光電変換特性を評価し、凹凸構造付きPMMAシートなしの場合(比較例2−1)の光電変換特性に対する他条件での測定値の相対比を表4に示す。
比較例2−1と実施例2−1および比較例2−2と比較例2−3を比較すると、裏面保護シートが鏡面反射シートである実施例2−1の方が、白色バックシートである比較例2−3に比べて、短絡電流の増加率が高くなった。また実施例2−1と比較例2−3を比較すると、鏡面反射シートを用い、かつθ1=40°の凹凸構造を有する実施例2−1の方が、変換効率が約3%高くなった。
比較例2−1と実施例2−1および比較例2−4と比較例2−5を比較すると、
裏面保護シートが鏡面反射シートである実施例2−1の方が、圧延アルミニウムシートである比較例2−5に比べて、短絡電流の増加率が高くなった。また実施例2−1と比較例2−5を比較すると、鏡面反射シートを用い、かつθ1=40°の凹凸構造を有する実施例2−1の方が、変換効率が約1%高くなった。
以上より、本発明のような、裏面保護シートとして鏡面反射シートを用い、かつ所定の凹凸構造を有する基板を用いることにより、従来のものと比べて変換効率がより向上することがわかる。
(実施例3)
以上実施例1〜2は、非発電領域のみに凹凸構造を形成したが、以下の実施例3では太陽電池モジュールの光入射面全面に凹凸構造を形成した。すなわち発電領域上にも凹凸構造を形成した。なお、実施例3−2、比較例3−1および比較例3−3においては、発電領域上にも凹凸構造は形成されていなかった。
図1(b)に示すように、発電領域の一方の端部側にθ2、他方の端部側にθ1が配置されるように、凹凸構造を形成した。
比較例1−1と、裏面保護シートが黒色バックシートで形成されている点のみがことなる方法で作製された太陽電池モジュールの、凹凸構造形成前のモジュールを比較例3−1とした。比較例3−1のモジュールで使用した黒色バックシートの反射率は5%、拡散反射率は2%だった。
比較例3−1の光電変換特性測定後、ランダムピラミッド形状の凹凸構造付きPMMAシートを粘着剤で粘着し、比較例3−2とした。ランダムピラミッド形状の凹凸構造付きPMMAシートは、実施例1の凹凸構造付きPMMAシートと同様の方法で作製したが、金型として単結晶シリコン基板をアルカリでエッチングした基板を使用した。形成したランダムピラミッド形状の凹凸構造付きPMMAシートをロールカッターで切断し、断面をSEMで観察したところ、凹凸部の高低差は10μmだった。
比較例3−1と、裏面保護シートが鏡面反射シートである点のみが異なる太陽電池モジュールを作製し、比較例3−3とした。比較例3−3の光電変換特性測定後、実施例1と同じ工程で作製した断面が直角三角形である凹凸構造つきPMMAシートを基板の半分の大きさに切断し、切断した2枚を、図4に示す発電領域側にθ2を満たす最大傾斜面、最大傾斜面よりも発電領域から離れた領域にθ1を満たす最小傾斜面が配置されるように粘着剤(屈折率1.49)で粘着し、実施例3−1とした。
実施例3−1の光電変換特性測定後、凹凸構造付きPMMAシートを粘着剤ごと剥離し、実施例1−1と実施例2−1と同様にして非発電領域のみに凹凸構造付きPMMAシートを粘着剤で粘着し、実施例3−2とした。実施例3−2の光電変換特性を測定後、凹凸構造付きPMMAシートを粘着剤ごと剥離し、ランダムピラミッド形状の凹凸構造付きPMMAシートを粘着剤で粘着し、実施例3−3とした。
比較例3−3と、凹凸構造が反射防止用微粒子層である点のみが異なる太陽電池モジュールを作製し、比較例3−4とした。反射防止用微粒子層は、あらかじめ透光性基板1の光入射面にシリカ製の微粒子(平均粒子径100nm)を、オルトケイサンテトラエチル(TEOS)と混合後、バーコート法により塗布し、450℃で焼成することにより形成した。
以上作製した太陽電池モジュールの光電変換特性を凹凸構造付きPMMAシートなしで裏面保護シートが黒色バックシートの場合(比較例3−1)の光電変換特性に対する他条件での測定値の相対比で以下の表5に示す。
比較例3−2と実施例3−3の比較から、凹凸構造を光入射面全面に形成する場合、ランダムピラミッドである場合でも、裏面が鏡面反射シートであれば高い短絡電流向上効果が得られることがわかる。また、実施例3−1と実施例3−2との比較から非発電領域のみでなく、発電領域にも凹凸構造を形成した方が、より高い短絡電流向上効果が得られることがわかる。この短絡電流向上効果は、非発電領域からの光収集効果と、発電領域での反射防止効果が組み合わさったと考えられる。
また、実施例3−1と実施例3−3の比較では、ランダムピラミッドである実施例3−3に対し、実施例3−1のようにθ1<θ2である凹凸構造を、発電領域側にθ2を満たす最大傾斜面が向くように形成することにより、非発電領域からの高い光収集効果が表れることがわかる。実施例3−3と比較例3−4の比較から、ランダムピラミッドによる短絡電流の向上効果は、単純な反射防止効果による向上効果を大きく上回った。ランダムピラミッド構造により、反射防止効果のみでなく光収集が行われ、その結果高い短絡電流向上効果が得られたと考えられる。
以上のように、本発明のような透光性基板と裏面保護シートを用いることにより光収集効果が高く、反射防止効果も高い太陽電池モジュールを作製できることがわかった。
1 透光性基板
2 太陽電池セル
2−1 セル透明基板
2−2 透明電極層
2−3 光電変換ユニット1
2−4 光電変換ユニット2
2−5 光電変換ユニット3
2−6 裏面電極
3 封止樹脂
4 裏面保護シート
5 凹凸構造
6 太陽光線
7 反射光
10 太陽電池モジュール

Claims (9)

  1. 透光性基板と裏面保護シートの間に太陽電池セルを有する太陽電池モジュールであって、
    前記透光性基板の光入射面側表面における少なくとも非発電領域に凹凸構造を有し、
    前記凹凸構造は、複数の傾斜面から構成される凹凸部を複数有し、
    前記複数の凹凸部のうちの、ある凹凸部の頂点を含み、前記透光性基板表面に垂直な断面において、前記凹凸部の前記傾斜面が前記透光性基板の表面となす傾斜角の最小角度と最大角度を各々θ1とθ2としたとき、30°<θ1<60°、30°<θ2を満たし、
    前記裏面保護シートは、光入射面側表面の算術平均粗さRaが40nm以下、拡散反射率が10%以下、かつ反射率が90%以上である太陽電池モジュール。
  2. 前記凹凸構造は、前記凹凸部の高低差が0.5μm以上1mm以下を満たす、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  3. 前記凹凸部は、前記傾斜角の最小角度と最大角度がθ1<θ2を満たす、請求項1〜2のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  4. 前記凹凸部は、前記傾斜角の最大角度が80°≦θ2≦90°を満たす請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  5. 前記透光性基板の光入射面側表面における非発電領域において、前記凹凸部は、発電領域側に最大角度θ2を満たす最大傾斜面が形成され、前記最大傾斜面よりも前記発電領域から離れた領域に、最小角度θ1を満たす最小傾斜面が形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  6. 前記凹凸構造が、前記透光性基板の光入射面側表面における発電領域にも形成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  7. 裏面保護シートの光入射側の表面に銀を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  8. 前記非発電領域の面積が、前記発電領域の面積の3%以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  9. 前記凹凸構造は、四角錐または四角錐の反転形状の集合より構成される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
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