JP2014236052A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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真也 石田
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俊之 川上
崇士 川崎
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崇士 川崎
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Abstract

【課題】高温かつ高出力の駆動においても十分な信頼性を得ることができる半導体レーザ素子を提供することである。【解決手段】窒化物半導体レーザ素子100は、光出射部に形成され、アルミニウムの窒化物結晶又はアルミニウムの酸窒化物結晶を含む第1コート膜114と、第1コート膜114の前記光出射部とは反対側に形成され、酸化物、酸窒化物又は窒化物を含む第2コート膜115と、第2コート膜115の第1コート膜114とは反対側に形成され、ダイヤモンド状炭素を含む放熱膜であるDLC膜116と、を備えた構成とする。【選択図】図2

Description

本発明は、窒化物半導体レーザ素子をはじめとする半導体レーザ素子に関する。
従来から窒化物半導体発光素子の中でも特に窒化物半導体レーザ素子においては、光出射部の劣化を原因とする信頼性不良が知られている。この光出射部の劣化は非発光再結合準位の存在により、光出射部が過度に発熱することによって起こると考えられている。そして、非発光再結合準位が発生する主要因としては、光出射部の酸化が考えられている。
そこで、光出射部の酸化を防止することを目的として、光出射部にアルミナ(Al23)または酸化シリコン(SiO2)などのコート膜が形成されている(特許文献1参照)。
特開2002−335053号公報
我々は、高出力駆動時でも光出射部の劣化を原因とした信頼性不良を起こさないような窒化物半導体レーザ素子の実現を目指して研究を行ってきた。その中で以下の試験を行ったところ、さらなる課題が見つかった。
光出射側の端面にアルミナからなるコート膜を80nmの厚さに形成し、光反射側の端面に酸化シリコン膜/酸化チタン膜の多層膜を形成して95%の反射率とした従来の窒化物半導体レーザ素子について、低温かつ低出力の条件でのエージング試験(30℃、CW駆動、光出力30mW)と高温かつ高出力の条件でのエージング試験(70℃、CW駆動、光出力100mW)の2種類のエージング試験を行なった。その結果、低温かつ低出力条件でのエージング試験では、3000時間を超えても安定に動作していたが、高温かつ高出力の条件でのエージング試験においては400時間を超えたあたりから、光出射部のCOD(Catastrophic Optical Damage)により、レーザ光の発振を停止する窒化物半導体レーザ素子が数多く見られた。したがって、従来の窒化物半導体レーザ素子においては、高温かつ高出力条件では400時間という比較的短いエージング時間で光出射部のCODが問題になることがわかった。
本発明は、高温かつ高出力の駆動においても十分な信頼性を得ることができる半導体レーザ素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の半導体レーザ素子は、光出射部に形成され、アルミニウムの窒化物結晶又はアルミニウムの酸窒化物結晶を含む第1コート膜と、第1コート膜の前記光出射部とは反対側に形成され、酸化物、酸窒化物又は窒化物を含む第2コート膜と、第2コート膜の第1コート膜とは反対側に形成され、ダイヤモンド状炭素を含む放熱膜と、を備えた構成とする。
本発明によると、高温かつ高出力の駆動においても十分な信頼性を得ることができる半導体レーザ素子を提供することができる。
第1実施形態の窒化物半導体レーザ素子の好ましい一例の模式的な断面図である。 図1に示す窒化物半導体レーザ素子の共振器長方向の模式的な側面図である。 第1実施形態の窒化物半導体レーザ素子の第1コート膜のTEMによる電子線回折パターンである。 第1実施形態の窒化物半導体レーザ素子の端面と第1コート膜の2つの領域にまたがった領域のTEMによる電子線回折パターンである。 本発明の窒化物半導体レーザ素子のエージング時間とCODレベルとの関係を示す図である。 従来の窒化物半導体レーザ素子のエージング時間とCODレベルとの関係を示す図である。 光出射部にアルミニウムの窒化物結晶又はアルミニウムの酸窒化物結晶を含むコート膜を形成した窒化物半導体レーザ素子のエージング時間とCODレベルとの関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。以下では窒化物半導体レーザ素子を例に説明するが、本発明は窒化物系以外のAlGaInPやAlGaAs結晶等からなるレーザ構造を有する半導体レーザ素子にも適用可能である。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
本発明者は、上記の問題を解決するために、低温かつ低出力の条件(30℃、CW駆動、光出力30mW)でのエージング後と高温かつ高出力の条件(70℃、CW駆動、光出力100mW)でのエージング後のそれぞれの上記構成の従来の窒化物半導体レーザ素子のCODレベルの変化を調べた。
図6に従来の窒化物半導体レーザ素子のエージング時間とCODレベルとの関係を示す。なお、図6において、横軸はエージング時間を示し、縦軸はCODレベルを示している。ここで、CODレベルは、上記条件においてエージング時間をそれぞれ変化させてエージングした後のそれぞれの窒化物半導体レーザ素子について駆動電流(CW駆動)を徐々に増加させて光出力を増加させていったときに光出射部がCODしたときの光出力値のことをいう。
図6に示すように、低温かつ低出力の条件でエージングした後の窒化物半導体レーザ素子においては、エージング時間が100時間程度で光出射部のCODによる劣化が起こるが、エージング時間がそれよりも長くなっても、CODレベルはほとんど変化していない。
一方、高温かつ高出力の条件でエージングした後の窒化物半導体レーザ素子においてもエージング時間が100時間程度で光出射部のCODによる劣化が起こり、エージング時間が200時間程度まではCODレベルは大きく低下しない。しかしながら、エージング時間が400時間を超えるとCODレベルの大きな低下が見られる。
以上の結果から、本発明者は、高温かつ高出力の条件でのエージングにおいてはエージング時間が400時間以降のCODレベルの低下が窒化物半導体レーザ素子の信頼性の低下を引き起こしている原因であることがわかった。
400時間以降のCODレベルの低下の原因は、大気中の酸素またはO−H基などが光出射側の端面に形成されたアルミナからなるコート膜中を透過して光出射側の端面を構成する窒化物半導体結晶の表面にまで到達し、窒化物半導体結晶を酸化したためにCODレベルの低下を引き起こしたと考えた。すなわち、大気中の酸素またはO−H基などがアルミナからなる80nmの厚さのコート膜中を透過するのに400時間程度かかったものと考えられる。
光出射側の端面に形成されるコート膜は、ほとんどの場合、EB(Electron Beam)蒸着法またはスパッタリング法などの方法を用いて成膜される。この場合は、コート膜はほぼアモルファスとなることが知られている。上記の試験を行なった後の窒化物半導体レーザ素子の端面についてTEM(Transmission Electron Microscopy)観察を行ない、コート膜の電子線回折パターンを観察したところ、アモルファス特有のハローパターンが見られ、コート膜がアモルファスであることが確認された。
アモルファスのコート膜は、密度が低く欠陥を多く含んでいるため、大気中の酸素またはO−H基などを透過しやすい。そこで、窒化物半導体レーザ素子の光出射部にアルミニウムの窒化物結晶又はアルミニウムの酸窒化物結晶を含むコート膜を形成することによって、高温かつ高出力の駆動において十分な信頼性が得られた。
さらに、コート膜中のアルミニウムの窒化物結晶又はアルミニウムの酸窒化物結晶の結晶軸が光出射部を構成している窒化物半導体結晶の結晶軸と揃っている場合には、高温かつ高出力の駆動においてさらに信頼性を向上することができた。
そこで、コート膜中のアルミニウムの酸窒化物結晶の結晶軸が光出射部を構成している窒化物半導体結晶の結晶軸と揃っているレーザを作製して、70℃、CW駆動、光出力100mWおよび90℃、CW駆動、光出力300mWでのエージング後のそれぞれの上記構成の窒化物半導体レーザ素子のCODレベルの変化を調べた。
図7に、光出射部にアルミニウムの窒化物結晶又はアルミニウムの酸窒化物結晶を含むコート膜を形成した窒化物半導体レーザ素子のエージング時間とCODレベルとの関係を示す。図7に示すように、70℃、光出力100mWでは、時間経過によるCODレベルの低下は見られない。しかしながら、90℃、光出力300mWでは、CODレベルが時間とともに徐々に低下していることがわかる。
このさらなる高温、高出力(90℃、光出力300mW)のエージングでは、素子端面の温度が上昇して端面のコート膜が劣化したため、CODレベルが時間とともに徐々に低下したと考えられる。
そこで、本発明では、アルミニウムの窒化物結晶又はアルミニウムの酸窒化物結晶を含む第1コート膜上(第1コート膜の光出射部とは反対側)に、さらに酸化物、酸窒化物又は窒化物を含む第2コート膜と、第2コート膜上(第2コート膜の第1コート膜とは反対側)に熱伝導に優れたダイヤモンド状炭素(DLC;Diamond-like Carbon )積層膜とを形成した。このDLC膜(放熱膜)により素子端面の温度が低下し、CODレベルの低下が抑制され、高温かつ高出力(90℃、光出力300mW)の駆動において十分な信頼性を得ることができる。
具体的には、膜中のアルミニウムの酸窒化物結晶の結晶軸が光出射部を構成する窒化物半導体結晶の結晶軸と揃っている第1コート膜を光出射部の端面に形成し、その上に酸化物、酸窒化物又は窒化物を含む第2コート膜を形成し、その上にDLC膜を形成した窒化物半導体レーザ素子を作製した。そして、90℃、CW駆動、光出力300mWで素子のエージングを行い、エージング後のそれぞれの上記構成の本発明の窒化物半導体レーザ素子のCODレベルの変化を調べた。
図5に、本発明の窒化物半導体レーザ素子のエージング時間とCODレベルとの関係を示す。図5に示すように、1500時間エージングした場合においてもCODレベルが640mWあり、初期のCODレベルからほとんど劣化がないことが確認された。
また、熱伝導に優れたDLC膜を第2コート膜上に積層することで、素子端面の十分な放熱効果を得ることができる。またDLC膜と第1コート膜の間に第2コート膜を入れることでDLC膜と第1コート膜との相互拡散を防ぎ、CODレベルの低下がないレーザ素子を得ることができる。
一方、結晶化していないアモルファス状のアルミニウムの窒化物又はアルミニウムの酸窒化物の膜上に同じく酸化物、酸窒化物又は窒化物の膜を形成し、その上にDLC膜を形成した場合は、アモルファス状のアルミニウムの窒化物又はアルミニウムの酸窒化物の膜と、酸化物、酸窒化物又は窒化物の膜と、DLC膜との相互拡散が起こり、CODレベルの低下を抑えることができなかった。
また、本発明において、第1コート膜の厚さは6nm以上150nm以下であることが好ましい。第1コート膜の厚さが6nm未満の場合にはコート膜の厚さが薄すぎて酸素などが第1コート膜中を透過するのを十分に抑制することができないおそれがある。また、第1コート膜の厚さが150nmを超えている場合には結晶化している第1コート膜はアモルファスの場合に比べて強い内部応力を有しているため、第1コート膜にひび割れなどの問題が発生するおそれがある。
また、本発明において、アルミニウムの酸窒化物結晶を含む第1コート膜の酸素の含有量が第1コート膜を構成する原子全体の35原子%よりも多い場合には、第1コート膜がアルミナの特性に近づき、アルミニウムの酸窒化物結晶の結晶性が崩れてしまい、酸素などが第1コート膜中を透過するのを十分に抑制することができていない傾向にある。したがって、本発明において、アルミニウムの酸窒化物結晶を含む第1コート膜中の酸素の含有量は35原子%以下であることが好ましく、15原子%以下であることがより好ましい。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子は、基板上に形成された活性層とクラッド層とがアルミニウム、インジウムおよびガリウムからなる群から選択された少なくとも1種の3族元素と5族元素である窒素との化合物を50質量%以上含む材料から構成されている素子のことを意味する。
<第1実施形態>
図1に、本実施形態の窒化物半導体レーザ素子の好ましい一例の模式的な断面図を示す。ここで、本実施形態の窒化物半導体レーザ素子100は、n型GaNからなる半導体基板101上に、n型GaNからなる厚さ0.2μmのバッファ層102、n型Al0.06Ga0.94Nからなる厚さ2.3μmのn型クラッド層103、n型GaNからなる厚さ0.02μmのn型ガイド層104、厚さ4nmのInGaNと厚さ8nmのGaNからなる多重量子井戸活性層105、p型Al0.3Ga0.7Nからなる厚さ20nmのp型電流ブロック層106、p型Al0.05Ga0.95Nからなる厚さ0.5μmのp型クラッド層107およびp型GaNからなる厚さ0.1μmのp型コンタクト層108が半導体基板101側からこの順序でエピタキシャル成長により積層された構成を有している。なお、上記の各層の混晶比は適宜調節されるものであり、本発明の本質とは関係がない。また、本実施形態の窒化物半導体レーザ素子から発振されるレーザ光の波長は多重量子井戸活性層105の混晶比によって、たとえば370nm〜470nmの範囲で適宜調節することができる。なお、本実施形態においては、レーザ光の波長は405nmとした。
また、窒化物半導体レーザ素子100は、p型クラッド層107およびp型コンタクト層108の一部が除去されて、ストライプ状のリッジストライプ部111が共振器長方向に延伸するように形成されている。ここで、リッジストライプ部111のストライプの幅は、たとえば1.2〜2.4μm程度であり、代表的には1.5μm程度である。
また、p型コンタクト層108の表面にはPd層とMo層とAu層の積層体からなるp電極110が設けられ、p電極110の下部にはリッジストライプ部111の形成箇所を除いてSiO2層とTiO2層の積層体からなる絶縁膜109が設けられている。また、n型GaN基板101の上記の層の積層側と反対側の表面にはHf層とAl層の積層体からなるn電極112が形成されている。
図2に、図1に示す窒化物半導体レーザ素子100の共振器長方向の模式的な側面図を示す。ここで、窒化物半導体レーザ素子100の光出射側の端面113にはAlabc(a+b+c=1、0<b≦0.35)の組成式で表わされるアルミニウムの酸窒化物を含む第1コート膜114が6nmの厚さで形成されている。そして、第1コート膜114上にアルミニウムの酸化物を含む第2コート膜115が80nmの厚さで形成されている。さらに、第2コート膜115上にDLC膜116が10nmの厚さで形成されている。
なお、上記の組成式において、Alはアルミニウムを示し、Oは酸素を示し、Nは窒素を示す。また、上記の組成式において、aはアルミニウムの組成比を示し、bは酸素の組成比を示し、cは窒素の組成比を示す。スパッタ法によりコート膜を形成した場合には、アルゴンなどが多少含まれることがあるが、ここでは、Al、OおよびN以外のアルゴンなどを除いた組成比で換算して表現している。つまり、Al、OおよびNの組成比の合計が1となるようにしている。
また、窒化物半導体レーザ素子100の光反射側の端面117には厚さ6nmのアルミニウムの酸窒化物膜118、厚さ80nmのアルミニウムの酸化物膜119、および、厚さ71nmの酸化シリコン膜と厚さ46nmの酸化チタン膜とを1ペアとして4ペア積層(酸化シリコン膜から積層開始)した後に最表面に厚さ142nmの酸化シリコン膜が積層された高反射膜120がこの順序で形成されている。
なお、上記の第1コート膜114、第2コート膜115、DLC膜116、アルミニウムの酸窒化物膜118、アルミニウムの酸化物膜119および高反射膜120は、上記の半導体基板上にバッファ層などの上記の窒化物半導体層を順次積層し、リッジストライプ部を形成した後に、絶縁膜、p電極およびn電極をそれぞれ形成したウエハを劈開することによって劈開面である端面113および端面117がそれぞれ露出した試料を作製し、その試料の端面113および端面117上にそれぞれ形成される。
上記の第1コート膜114を形成する前に成膜装置内において端面113をたとえば100℃以上の温度で加熱することによって、端面113に付着している酸化膜や不純物などを除去してクリーニングすることが好ましいが、本発明においては特に行なわなくてもよい。また、端面113にたとえばアルゴンまたは窒素のプラズマを照射することで端面113のクリーニングを行なってもよいが、本発明においては特に行なわなくてもよい。また、端面113を加熱しながらプラズマ照射することも可能である。また、上記のプラズマの照射に関しては、たとえば、アルゴンのプラズマを照射した後に続けて窒素のプラズマを照射することも可能であり、その逆の順番でプラズマを照射してもよい。アルゴンと窒素以外にも、たとえば、ヘリウム、ネオン、キセノンまたはクリプトンなどの希ガスを用いることもできる。
また、上記の第1コート膜114、第2コート膜115およびDLC膜116は、たとえばECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタ法により形成することができるが、他の各種スパッタ法、またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法あるいはEB(Electron Beam)蒸着法などにより形成することもできる。
第1コート膜114を構成するアルミニウム、窒素および酸素の含有量(原子%)は、たとえばAES(Auger Electron Spectroscopy)によって測定することができる。また、第1コート膜114を構成する酸素の含有量は、TEM−EDX(Transmission Electron Microscopy-Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)によっても測定することができる。
上記レーザ素子の端面コート膜と同一の条件で別途作製したアルミニウムの酸窒化物をAESにより厚さ方向に組成の分析をした結果、このアルミニウムの酸窒化物を構成するアルミニウムの含有量は34.8原子%、酸素の含有量は3.8原子%および窒素の含有量は61.4原子%で厚さ方向にほぼ均一な組成であることがわかった。なお、極微量のアルゴンも検出された。また、第1コート膜114中のアルミニウム、酸素、窒素およびアルゴンの総原子数を100原子%としたときの第1コート膜114中のアルゴンの含有量は0原子%よりも多く5原子%未満の範囲となり、通常は1原子%以上3原子%以下程度となるが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、光出射側のアルミニウムの酸化物膜115、光反射側のアルミニウムの酸窒化物膜118、アルミニウムの酸化物膜119および高反射膜120も上記の第1コート膜114およびDLC膜116と同様にECRスパッタ法などにより形成することができる。また、これらの膜の形成前にも加熱によるクリーニングおよび/またはプラズマ照射によるクリーニングを行なうことが好ましい。ただし、光出射部の劣化が問題となるのは光密度の大きい光出射側であり、光反射側は光出射側に比べて光密度が小さいため、劣化が問題とならない場合が多い。したがって、本発明においては、光反射側の端面117にはアルミニウムの酸窒化物膜などの膜は設けなくてもよい。また、本実施形態においては、光反射側の端面117には厚さ6nmのアルミニウムの酸窒化物118が形成されているが、アルミニウムの酸窒化物118の厚さは、たとえば50nmと厚くしても問題はない。
また、端面に上記の膜を形成した後には加熱処理を行なってもよい。これにより、上記の膜に含まれる水分の除去や加熱処理による膜質の向上を期待することができる。
以上のようにして、上記の試料の光出射側の端面113に第1コート膜114、第2コート膜115およびDLC膜116をこの順序で形成し、光反射側の端面117にアルミニウムの酸窒化物膜118、アルミニウムの酸化物膜119および高反射膜120をこの順序で形成した後にチップ状に分割することによって、本実施形態の窒化物半導体レーザ素子100が得られる。
図3に、本実施形態の窒化物半導体レーザ素子100の第1コート膜114のTEMによる電子線回折パターンを示し、図4に、端面113と第1コート膜114の2つの領域にまたがった領域のTEMによる電子線回折パターンを示す。図4では端面113と第1コート膜114の2つの領域を解析するために、スポット径を絞っている。
図3に示すように、この電子線回折パターンは回折スポットが点在していることから、第1コート膜114を構成するアルミニウムの酸窒化物は結晶化していることがわかる。
また、図4に示す矢印は第1コート膜114の回折スポットを示しているが、図4に示すように、第1コート膜114の回折スポットは光出射側の端面113を構成する窒化物半導体結晶の回折スポットとほぼ一致している。したがって、光出射側の端面113を構成する窒化物半導体結晶と第1コート膜114を構成するアルミニウムの酸窒化物結晶の結晶軸は揃っていることが確認された。
図4は、厳密には、窒化物半導体レーザ素子100の光出射部と第1コート膜114との回折スポットを比較しているわけではないが、光出射側の端面113は窒化物半導体層が順次エピタキシャル成長して形成されたウエハの端面であることから、光出射側の端面113を構成する窒化物半導体結晶の結晶軸はすべて揃っていると考えられる。したがって、窒化物半導体レーザ素子100の光出射側の端面113の一部である光出射部を構成する窒化物半導体結晶の結晶軸と第1コート膜114を構成するアルミニウムの酸窒化物結晶の結晶軸とは揃っていると考えられる。
なお、図4においては、第1コート膜114の回折スポットは光出射側の端面113を構成する窒化物半導体結晶の回折スポットとほぼ一致しているが、光出射側の端面113を構成する窒化物半導体結晶と第1コート膜114を構成するアルミニウムの酸窒化物結晶とは格子定数が異なるために、これらの回折スポットの位置は多少ずれることがある。また、図4の中央部においては、光出射側の端面113を構成する窒化物半導体結晶の回折スポットが大きく出ており、第1コート膜114の回折スポットはそれに隠れて見えていない。
表1に、図4に示す第1コート膜114の回折スポットから第1コート膜114を構成するアルミニウムの酸窒化物結晶の各方向の面間隔を求めた結果を示す。レファレンスとしてJCPDSカードに示されたアルミニウムの窒化物結晶の面間隔を一緒に記載している。ここで、本実施形態で作製した第1コート膜114のC軸方向の面間隔は2.48オングストローム(Å)であった。
また、DLC膜116の結晶系をTEMにより調べたところ、ハローパターンにリング状の回折パターンが重なった回折パターンが確認され、多少結晶化していることがわかった。TEM像を確認したところ、明確な欠陥は確認されなかった。
また、上記レーザ素子の端面コート膜と同一の条件で別途サファイア基板上に作製したDLC膜のTEM回折パターンはハローパターンでアモルファスであることが確認された。サファイア基板上のDLC膜のTEM像を確認するとダークラインが見られ、欠陥があることが分かった。
また、第2コート膜115の結晶系についてもTEMにより調べたところ多少結晶化していることがわかった。TEM像を確認したところ、明確な欠陥は確認されなかった。
次に、窒化物半導体レーザ素子100のエージング前とエージング(90℃、CW駆動、光出力300mW)後のCODレベルについて調査した。その結果を図5に示す。図5に示すように、エージング前のCODレベルは700mW程度であり、エージング時間が400時間を超えた場合でもCODレベルはほとんど低下していないことがわかる。
これは、窒化物半導体レーザ素子100においては、第1コート膜114を構成するアルミニウムの酸窒化物結晶は、光出射側の端面113を構成する窒化物半導体結晶上にエピタキシャル成長したと思われるような非常に結晶性の高い膜となっており、この結晶性の高さが、欠陥を多く含むと考えられるアモルファスのコート膜に比べて酸素の透過を抑制する膜として有効に機能しているためと考えられる。これには90℃の高温でも第1コート膜114が劣化しないことが必要であり、DLC膜116の放熱効果により劣化が抑制されているものと考えられる。
<第2実施形態>
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子は、光出射側の端面113に形成される膜の構成および光反射側の端面117に形成される膜の構成を変更したこと以外は、第1実施形態の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成を有している。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子においては、光出射側の端面113にアルミニウムの窒化物を含む厚さ20nmの第1コート膜114が形成され、第1コート膜114上に厚さ60nmのシリコンの窒化物を含む第2コート膜115が形成され、第2コート膜115上に厚さ200nmのDLC膜116が形成されている。
また、光反射側の端面117には厚さ12nmのアルミニウムの窒化物膜が形成され、そのアルミニウムの窒化物膜上に厚さ80nmのアルミニウムの酸化物膜が形成され、そのアルミニウムの酸化物膜上に厚さ81nmの酸化シリコン膜と厚さ54nmの酸化チタン膜とを1ペアとして4ペア積層(酸化シリコン膜から積層開始)した後に最表面に厚さ162nmの酸化シリコン膜が積層された高反射膜が形成されている。
ここで、第1実施形態と同様にして、TEMの電子線回折パターンにより、第1コート膜114の結晶系を調査したところ、第1コート膜114はアルミニウムの窒化物結晶から構成されていることが確認された。また、TEMの電子線回折パターンにより、光出射側の端面113を構成する窒化物半導体結晶と第1コート膜114を構成するアルミニウムの窒化物結晶の結晶軸が揃っていることも確認された。またDLC膜116に関しても、TEM観察により欠陥がないことがわかった。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子についても、第1実施形態と同様にして、エージング(90℃、CW駆動、光出力300mW)後のCODレベルを調査した。その結果、本実施形態の窒化物半導体レーザ素子のCODレベルは、1500時間のエージング後においてもほとんど低下していないことが確認された。
<第3実施形態>
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子は、光出射側の端面113に形成される膜の構成および光反射側の端面117に形成される膜の構成を変更したこと以外は、第1実施形態の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成を有している。
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子においては、光出射側の端面113にAl0.330.110.56の組成式で表わされるアルミニウムの酸窒化物を含む厚さ40nmの第1コート膜114が形成され、第1コート膜114上に厚さ240nmのアルミニウムの酸化物を含む第2コート膜115が形成され、第2コート膜115上に厚さ20nmのDLC膜116が形成されている。
また、光反射側の端面117には厚さ12nmのアルミニウムの窒化物膜が形成され、そのアルミニウムの窒化物膜上に厚さ80nmのアルミニウムの酸化物膜が形成され、そのアルミニウムの酸化物膜上に厚さ81nmの酸化シリコン膜と厚さ54nmの酸化チタン膜とを1ペアとして4ペア積層(酸化シリコン膜から積層開始)した後に最表面に厚さ162nmの酸化シリコン膜が積層された高反射膜が形成されている。
ここで、第1実施形態と同様にして、TEMの電子線回折パターンにより、第1コート膜114の結晶系を調査したところ、第1コート膜114はアルミニウムの酸窒化物結晶から構成されていることが確認された。また、TEMの電子線回折パターンにより、光出射側の端面113を構成する窒化物半導体結晶と第1コート膜114を構成するアルミニウムの酸窒化物結晶の結晶軸が揃っていることも確認された。またDLC膜116に関しても、TEM観察により欠陥がないことがわかった。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子についても、第1実施形態と同様にして、エージング(90℃、CW駆動、光出力300mW)後のCODレベルを調査した。その結果、本実施形態の窒化物半導体レーザ素子のCODレベルは、1500時間のエージング後においてもほとんど低下していないことが確認された。
<第4実施形態>
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子は、光出射側の端面113に形成される膜の構成および光反射側の端面117に形成される膜の構成を変更したことならびに発振されるレーザ光の波長を460nmとしたこと以外は、第2実施形態の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成を有している。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子においては、光出射側の端面113にアルミニウムの酸窒化物を含む厚さ50nmの第1コート膜114が形成され、第1コート膜114上に厚さ60nmのシリコン窒化物を含む第2コート膜115が形成され、第2コート膜115上に厚さ50nmのDLC膜116が形成されている。
また、光反射側の端面117には厚さ6nmのアルミニウムの酸窒化物膜が形成され、そのアルミニウムの酸窒化物膜上に厚さ80nmのアルミニウムの酸化物膜が形成され、そのアルミニウムの酸化物膜上に厚さ81nmの酸化シリコン膜と厚さ54nmの酸化チタン膜とを1ペアとして4ペア積層(酸化シリコン膜から積層開始)した後に最表面に厚さ162nmの酸化シリコン膜が積層された高反射膜が形成されている。
ここで、第1実施形態と同様にして、TEMの電子線回折パターンにより、第1コート膜114の結晶系を調査したところ、第1コート膜114はアルミニウムの酸窒化物結晶から構成されていることが確認された。また、TEMの電子線回折パターンにより、光出射側の端面113を構成する窒化物半導体結晶と第1コート膜114を構成するアルミニウムの酸窒化物結晶の結晶軸が揃っていることも確認された。またDLC膜116に関しても、TEM観察により欠陥がないことがわかった。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子についても、第1実施形態と同様にして、エージング(90℃、CW駆動、光出力300mW)後のCODレベルを調査した。その結果、本実施形態の窒化物半導体レーザ素子のCODレベルは、1500時間のエージング後においてもほとんど低下していないことが確認された。
<第5実施形態>
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子は、光出射側の端面113に形成される膜の構成および光反射側の端面117に形成される膜の構成を変更したこと以外は、第1実施形態の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成を有している。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子においては、光出射側の端面113にAl0.300.250.45の組成式で表わされるアルミニウムの酸窒化物を含む厚さ50nmの第1コート膜114が形成され、第1コート膜114上に厚さ110nmの窒化シリコンを含む第2コート膜115が形成され、第2コート膜115上に厚さ70nmのDLC膜116が形成されている。
また、光反射側の端面117には厚さ50nmのアルミニウムの酸窒化物膜が形成され、そのアルミニウムの酸窒化物膜上に厚さ50nmの酸化シリコン膜が形成され、その酸化シリコン膜上に厚さ71nmの酸化シリコン膜と厚さ50nmの窒化シリコン膜とを1ペアとして6ペア積層(酸化シリコン膜から積層開始)した後に最表面に厚さ142nmの酸化シリコン膜が積層された高反射膜が形成されている。
窒化シリコン膜は酸化シリコン膜よりも防湿性が高く、酸素透過性が低い(すなわち、O−H基および酸素が酸化シリコン膜中よりも拡散しにくい)ため、第1コート膜114を構成するアルミニウムの酸窒化物膜上に第2コート膜を構成する窒化シリコン膜を形成することによって酸素などの透過による光出射側の端面113の酸化を抑制することができる傾向が大きくなる。
ここで、第2コート膜115を構成する窒化シリコン膜の厚さは5nm以上であることが好ましく、80nm以上であることがより好ましい。窒化シリコン膜の厚さが5nm未満である場合には均一に成膜することが困難となる傾向にあり、80nm以上である場合には酸素の拡散の抑制効果がより高くなる傾向にあるためである。
ここで、第1実施形態と同様にして、TEMの電子線回折パターンにより、第1コート膜114の結晶系を調査したところ、第1コート膜114はアルミニウムの酸窒化物結晶から構成されていることが確認された。また、TEMの電子線回折パターンにより、光出射側の端面113を構成する窒化物半導体結晶と第1コート膜114を構成するアルミニウムの酸窒化物結晶の結晶軸が揃っていることも確認された。またDLC膜116に関しても、TEM観察により欠陥がないことがわかった。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子についても、第1実施形態と同様にして、エージング(90℃、CW駆動、光出力300mW)後のCODレベルを調査した。その結果、本実施形態の窒化物半導体レーザ素子のCODレベルは、1500時間のエージング後においてもほとんど低下していないことが確認された。
<第6実施形態>
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子は、光出射側の端面113に形成される膜の構成および光反射側の端面117に形成される膜の構成を変更したこと以外は、第1実施形態の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成を有している。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子においては、光出射側の端面113にAl0.310.030.66の組成式で表わされるアルミニウムの酸窒化物を含む厚さ30nmの第1コート膜114が形成され、第1コート膜114上に厚さ140nmの窒化シリコンを含む第2コート膜115が形成され、第2コート膜115上に厚さ30nmのDLC膜116が形成されている。ここで、第2コート膜115を構成する窒化シリコン膜の厚さは5nm以上であることが好ましい。窒化シリコン膜の厚さが5nm未満である場合には面内に均一に成膜することが困難である傾向にあるためである。
また、光反射側の端面117には厚さ50nmのアルミニウムの酸窒化物膜が形成され、そのアルミニウムの酸窒化物膜上に厚さ50nmの酸化シリコン膜が形成され、その酸化シリコン膜上に厚さ71nmの酸化シリコン膜と厚さ50nmの窒化シリコン膜とを1ペアとして6ペア積層(酸化シリコン膜から積層開始)した後に最表面に厚さ142nmの酸化シリコン膜が積層された高反射膜が形成されている。
ここで、第1実施形態と同様にして、TEMの電子線回折パターンにより、第1コート膜114の結晶系を調査したところ、第1コート膜114はアルミニウムの酸窒化物結晶から構成されていることが確認された。また、TEMの電子線回折パターンにより、光出射側の端面113を構成する窒化物半導体結晶と第1コート膜114を構成するアルミニウムの酸窒化物結晶の結晶軸が揃っていることも確認された。またDLC膜116に関しても、TEM観察により欠陥がないことがわかった。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子についても、第1実施形態と同様にして、エージング(90℃、CW駆動、光出力300mW)後のCODレベルを調査した。その結果、本実施形態の窒化物半導体レーザ素子のCODレベルは、1500時間のエージング後においてもほとんど低下していないことが確認された。
<第7実施形態>
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子は、光出射側の端面113に形成される膜の構成および光反射側の端面117に形成される膜の構成を変更したこと以外は、第1実施形態の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成を有している。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子においては、光出射側の端面113にAl0.320.080.60の組成式で表わされるアルミニウムの酸窒化物を含む厚さ30nmの第1コート膜114が形成されている。そして、第1コート膜114上に厚さ140nmの窒化シリコン膜と、その窒化シリコン膜上に厚さ160nmのアルミニウムの酸化物膜が形成されており、これら窒化シリコン膜及びアルミニウムの酸化物膜が第2コート膜115となっている。さらに、第2コート膜115上にDLC膜116が形成されている。
また、光反射側の端面117には厚さ50nmのアルミニウムの酸窒化物膜が形成され、そのアルミニウムの酸窒化物膜上に厚さ50nmの酸化シリコン膜が形成され、その酸化シリコン膜上に厚さ71nmの酸化シリコン膜と厚さ50nmの窒化シリコン膜とを1ペアとして6ペア積層(酸化シリコン膜から積層開始)した後に最表面に厚さ142nmの酸化シリコン膜が積層された高反射膜が形成されている。
ここで、第1実施形態と同様にして、TEMの電子線回折パターンにより、第1コート膜114の結晶系を調査したところ、第1コート膜114はアルミニウムの酸窒化物結晶から構成されていることが確認された。また、TEMの電子線回折パターンにより、光出射側の端面113を構成する窒化物半導体結晶と第1コート膜114を構成するアルミニウムの酸窒化物結晶の結晶軸が揃っていることも確認された。またDLC膜116に関しても、TEM観察により欠陥がないことがわかった。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子についても、第1実施形態と同様にして、エージング(90℃、CW駆動、光出力300mW)後のCODレベルを調査した。その結果、本実施形態の窒化物半導体レーザ素子のCODレベルは、1500時間のエージング後においてもほとんど低下していないことが確認された。
また、第2コート膜115のアルミニウムの酸化物膜を厚さ140nmのシリコンの酸化物膜に代えて上記と同様にしてエージング(90℃、CW駆動、光出力300mW)後のCODレベルを調査したところ、上記と同様に1500時間のエージング後においてもほとんど低下していないことが確認された。
<第8実施形態>
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子は、光出射側の端面113に形成される膜の構成および光反射側の端面117に形成される膜の構成を変更したこと以外は、第1実施形態の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成を有している。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子においては、光出射側の端面113にAl0.320.080.60の組成式で表わされるアルミニウムの酸窒化物を含む厚さ60nmの第1コート膜114が形成され、第1コート膜114上に厚さ230nmのシリコンの酸窒化物を含む第2コート膜115が形成され、第2コート膜115上に厚さ100nmのDLC膜116が形成されている。
ここで、第2コート膜115を構成するシリコンの酸窒化物膜はSi0.3480.040.612の組成式で表わされ、シリコンの含有量は34.8原子%、酸素の含有量は4.0原子%および窒素の含有量は61.2原子%であった。
また、光反射側の端面117には厚さ50nmのアルミニウムの酸窒化物膜が形成され、そのアルミニウムの酸窒化物膜上に厚さ50nmの酸化シリコン膜が形成され、その酸化シリコン膜上に厚さ71nmの酸化シリコン膜と厚さ50nmの窒化シリコン膜とを1ペアとして6ペア積層(酸化シリコン膜から積層開始)した後に最表面に厚さ142nmの酸化シリコン膜が積層された高反射膜が形成されている。
ここで、第1実施形態と同様にして、TEMの電子線回折パターンにより、第1コート膜114の結晶系を調査したところ、第1コート膜114はアルミニウムの酸窒化物結晶から構成されていることが確認された。また、TEMの電子線回折パターンにより、光出射側の端面113を構成する窒化物半導体結晶と第1コート膜114を構成するアルミニウムの酸窒化物結晶の結晶軸が揃っていることも確認された。またDLC膜116に関しても、TEM観察により欠陥がないことがわかった。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子についても、第1実施形態と同様にして、エージング(90℃、CW駆動、光出力300mW)後のCODレベルを調査した。その結果、本実施形態の窒化物半導体レーザ素子のCODレベルは、1500時間のエージング後においてもほとんど低下していないことが確認された。
<第9実施形態>
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子は、光出射側の端面113に形成される膜の構成および光反射側の端面117に形成される膜の構成を変更したこと以外は、第1実施形態の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成を有している。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子においては、光出射側の端面113にAl0.320.080.60の組成式で表わされるアルミニウムの酸窒化物を含む厚さ40nmの第1コート膜114が形成され、第1コート膜114上に厚さ100nmの酸化ジルコニウムを含む第2コート膜115が形成され、第2コート膜115上に厚さ60nmのDLC膜116が形成されている。
また、光反射側の端面117には厚さ50nmのアルミニウムの酸窒化物膜が形成され、そのアルミニウムの酸窒化物膜上に厚さ50nmの酸化シリコン膜が形成され、その酸化シリコン膜上に厚さ71nmの酸化シリコン膜と厚さ50nmの窒化シリコン膜とを1ペアとして6ペア積層(酸化シリコン膜から積層開始)した後に最表面に厚さ142nmの酸化シリコン膜が積層された高反射膜が形成されている。
ここで、第1実施形態と同様にして、TEMの電子線回折パターンにより、第1コート膜114の結晶系を調査したところ、第1コート膜114はアルミニウムの酸窒化物結晶から構成されていることが確認された。また、TEMの電子線回折パターンにより、光出射側の端面113を構成する窒化物半導体結晶と第1コート膜114を構成するアルミニウムの酸窒化物結晶の結晶軸が揃っていることも確認された。またDLC膜116に関しても、TEM観察により欠陥がないことがわかった。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子についても、第1実施形態と同様にして、エージング(90℃、CW駆動、光出力300mW)後のCODレベルを調査した。その結果、本実施形態の窒化物半導体レーザ素子のCODレベルは、1500時間のエージング後においてもほとんど低下していないことが確認された。
<第10実施形態>
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子は、光出射側の端面113に形成される膜の構成および光反射側の端面117に形成される膜の構成を変更したこと以外は、第1実施形態の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成を有している。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子においては、光出射側の端面113にアルミニウムの窒化物を含む厚さ50nmの第1コート膜114が形成され、第1コート膜114上に厚さ140nmの窒化シリコンを含む第2コート膜115が形成されており、第2コート膜115上に厚さ50nmのDLC膜116が形成されている。
また、光反射側の端面117には厚さ50nmのアルミニウムの窒化物膜が形成され、そのアルミニウムの窒化物膜上に厚さ50nmの酸化シリコン膜が形成され、その酸化シリコン膜上に厚さ71nmの酸化シリコン膜と厚さ50nmの窒化シリコン膜とを1ペアとして6ペア積層(酸化シリコン膜から積層開始)した後に最表面に厚さ142nmの酸化シリコン膜が積層された高反射膜が形成されている。
ここで、第1実施形態と同様にして、TEMの電子線回折パターンにより、第1コート膜114の結晶系を調査したところ、第1コート膜114はアルミニウムの窒化物結晶から構成されていることが確認された。また、TEMの電子線回折パターンにより、光出射側の端面113を構成する窒化物半導体結晶と第1コート膜114を構成するアルミニウムの窒化物結晶の結晶軸が揃っていることも確認された。またDLC膜116に関しても、TEM観察により欠陥がないことがわかった。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子についても、第1実施形態と同様にして、エージング(90℃、CW駆動、光出力300mW)後のCODレベルを調査した。その結果、本実施形態の窒化物半導体レーザ素子のCODレベルは、1500時間のエージング後においてもほとんど低下していないことが確認された。
なお、上記の第1〜10実施形態においては、半導体基板101としてn型GaN基板を用いているが、本発明の一実施形態は窒化物半導体結晶からなる光出射部に光出射部の窒化物半導体結晶と結晶軸が揃ったアルミニウムの窒化物結晶またはアルミニウムの酸窒化物結晶を含む第1コート膜114を形成することによって、窒化物半導体レーザ素子の信頼性を向上させることを特徴の1つとするものである。したがって、半導体基板101にAlSGatN(s+t=1、0≦s≦1、0≦t≦1)の組成式で表される窒化物半導体からなる基板を用いることが好ましく、第1コート膜114との格子不整合を小さくし、欠陥や歪みを緩和する観点からは、半導体基板101としてはたとえばAlN基板またはAlGaN基板のようなアルミニウムを含む窒化物半導体基板を用いることが好ましい。
また、上記の第1〜10実施形態においては、窒化物半導体からなる半導体基板101上に窒化物半導体層を順次積層して窒化物半導体レーザ素子を作製しており、半導体基板101の窒化物半導体層の成長面に応じて、半導体基板101の成長面上に積層された窒化物半導体層の表面状態も変化し、窒化物半導体層の側面に形成される第1コート膜114の結晶性も変化し得る。そのため、窒化物半導体レーザ素子の半導体基板101の成長面が第1コート膜114の結晶性に影響を与え得ることがわかった。ここで、窒化物半導体からなる半導体基板101の窒化物半導体層の成長面はC面{0001}、A面{11−20}、R面{1−102}またはM面{1−100}であることが好ましく、その成長面のオフ角はこれらの結晶面のうちいずれかの結晶面から2°以内であることが好ましい。
なお、結晶面および方向を表わす場合に、本来であれば所要の数字の上にバーを付した表現をするべきであるが、表現手段に制約があるため、本明細書においては、所要の数字の上にバーを付す表現の代わりに、所要の数字の前に「−」を付して表現している。
また、上記の各実施形態においては、反射率を制御するために、第1コート膜114上に第2コート膜115を形成している。第2コート膜115としては、たとえば、アルミニウムの酸化物膜、酸化シリコン膜、酸化チタン膜、酸化ハフニウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ニオブ膜、酸化タンタル膜若しくは酸化イットリウム膜などの酸化物膜、アルミニウムの窒化物膜若しくは窒化シリコン膜などの窒化物膜、および第1コート膜114と組成の異なるアルミニウムの酸窒化物膜若しくはシリコンの酸窒化物膜などの酸窒化物膜からなる群から選択された少なくとも1種を用いることができる。
たとえば、一例として、第1コート膜114に厚さが20nmで酸素の含有量が10原子%のアルミニウムの酸窒化物膜を用い、第1コート膜114上に厚さ63nmの窒化シリコンを含む第2コート膜115を形成し、第2コート膜115上に厚さ20nmのDLC膜116を形成する。上述したように、窒化シリコン膜は防湿性が高く、酸素透過性が低いため、酸素などの透過による光出射部の酸化を抑制することができると考えられる。
また、本発明において、第1コート膜がアルミニウムの酸窒化物結晶を含む場合には、酸素の含有量がグレーデッド(光出射部と第1コート膜との界面から第1コート膜の最表面に向かって酸素の含有量が次第に減少または増加すること)状に変化していてもよい。実際には、第1コート膜中で酸素の含有量は多少のばらつきを有する。また、第1コート膜中の酸素の含有量は35原子%以下の範囲内でばらつくことが好ましい。
また、本発明において、所望の反射率を実現するために、放熱膜(DCL膜116)の内側(光出射部側)には屈折率の異なる多層構造を設けてもよい。
以下に本発明の実施形態についてまとめる。本発明の一実施形態の半導体レーザ素子は、光出射部に形成され、アルミニウムの窒化物結晶又はアルミニウムの酸窒化物結晶を含む第1コート膜114と、第1コート膜114の前記光出射部とは反対側に形成され、酸化物、酸窒化物又は窒化物を含む第2コート膜115と、第2コート膜115の第1コート膜114とは反対側に形成され、ダイヤモンド状炭素を含む放熱膜(DLC膜116)と、を備えた構成とする。
この構成によれば、熱伝導に優れた放熱膜により素子端面の温度が低下し、CODレベルの低下が抑制され、高温かつ高出力(90℃、光出力300mW)の駆動において十分な信頼性を得ることができる。
上記の半導体レーザ素子において、前記アルミニウムの窒化物結晶又は前記アルミニウムの酸窒化物結晶は、前記光出射部を構成する半導体結晶と結晶軸が揃っていることが好ましい。
この構成によれば、DLC膜116の膜質がさらに向上し、さらに素子端面の十分な放熱効果を得ることができる。その結果、高温かつ高出力の駆動においてさらに信頼性を向上することができる。
また上記の半導体レーザ素子において、第1コート膜114の厚さが6nm以上150nm以下であることが好ましい。
第1コート膜114の厚さが6nm未満の場合には第1コート膜114の厚さが薄すぎて酸素などが第1コート膜114中を透過するのを十分に抑制することができないおそれがある。また、第1コート膜114の厚さが150nmを超えている場合には結晶化している第1コート膜114はアモルファスの場合に比べて強い内部応力を有しているため、第1コート膜114にひび割れなどの問題が発生するおそれがある。
また上記の半導体レーザ素子において、第2コート膜は、例えば酸化物としては、アルミニウムの酸化物膜、酸化シリコン膜、酸化チタン膜、酸化ハフニウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ニオブ膜、酸化タンタル膜または酸化イットリウム膜である。
また上記の半導体レーザ素子において、第2コート膜は、例えば酸窒化物としては、第1コート膜と組成の異なるアルミニウムの酸窒化物膜又はシリコンの酸窒化物膜である。
また上記の半導体レーザ素子において、第2コート膜は、例えば窒化物としては、アルミニウムの窒化物膜又は窒化シリコン膜である。
また上記の半導体レーザ素子において、AlsGatN(s+t=1、0≦s≦1、0≦t≦1)の組成式で表される窒化物半導体からなる基板を用いることが好ましい。
この構成により、半導体結晶からなる光出射部に光出射部の窒化物半導体結晶と結晶軸が揃ったアルミニウムの窒化物結晶またはアルミニウムの酸窒化物結晶からなる第1コート膜114を形成することができる。
本発明は、光出射部を含む端面部分に窓構造(たとえばGaAs系の半導体レーザ素子で用いられている端面付近の活性層の組成を平均化してバンドギャップを大きくし、CODレベルを向上させた構造)を有する半導体レーザ素子にも利用することができる。
100 窒化物半導体レーザ素子(半導体レーザ素子)
101 半導体基板
114 第1コート層
115 第2コート膜
116 DLC膜(放熱膜)

Claims (5)

  1. 光出射部に形成され、アルミニウムの窒化物結晶又はアルミニウムの酸窒化物結晶を含む第1コート膜と、
    第1コート膜の前記光出射部とは反対側に形成され、酸化物、酸窒化物又は窒化物を含む第2コート膜と、
    第2コート膜の第1コート膜とは反対側に形成され、ダイヤモンド状炭素を含む放熱膜と、を備えた半導体レーザ素子。
  2. 前記アルミニウムの窒化物結晶又は前記アルミニウムの酸窒化物結晶は、前記光出射部を構成する半導体結晶と結晶軸が揃っていることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  3. 第1コート膜の厚さが6nm以上150nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザ素子。
  4. 第2コート膜が、アルミニウムの酸化物膜、酸化シリコン膜、酸化チタン膜、酸化ハフニウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ニオブ膜、酸化タンタル膜または酸化イットリウム膜を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の半導体レーザ素子。
  5. AlsGatN(s+t=1、0≦s≦1、0≦t≦1)の組成式で表される窒化物半導体からなる基板を用いていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の半導体レーザ素子。
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