JP2014228809A - 複眼光学系、撮像装置、及び複眼光学系の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レンズアレイ内を伝搬する光によるクロストーク又はゴーストを低減することができる複眼光学系及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】複眼光学系100を構成する第1レンズアレイ10において、像側主面の光学面11a側の第1パターンPT1が略同一方向を向いているので、特定のレンズ要素で回折され隣のレンズ要素に到達した光が、同一方向の第1パターンPT1により繰り返し回折を受ける。このような第1パターンPT1で繰り返し回折されることによって、クロストークの原因となる迷光を低減することができ、複眼光学系100の性能を向上させることができる。【選択図】図5
Description
本発明は、複眼光学系、複眼光学系を組み込んだ撮像装置、及び複眼光学系の製造方法に関する。
近年の撮像光学系に対する薄型化の要求は非常に大きい。それに対応するために、光学設計により全長短縮を図ったり、それに伴う誤差感度の増大に対応するために製造精度を向上させたりすることが行われてきたが、一つの光学系と撮像素子で像を得るという従来の方式ではさらなる要求への対応が難しくなってきている。
そこで、撮像素子を複数の領域に分割して、それぞれに光学系を配置し、得られた画像を処理することで最終的な画像出力を行う複眼撮像装置、及び、それに用いられる複眼光学系と呼ばれる光学系が、薄型化への要求に対応する観点で注目されている。
そこで、撮像素子を複数の領域に分割して、それぞれに光学系を配置し、得られた画像を処理することで最終的な画像出力を行う複眼撮像装置、及び、それに用いられる複眼光学系と呼ばれる光学系が、薄型化への要求に対応する観点で注目されている。
現在までに、各種の複眼光学系が提案されているが、軽量でコストダウンに優れている熱可塑性樹脂などの光学樹脂材料を用いて、高画質で超薄型を達成する手法について十分に検討した例はない。
複眼光学系は、複数の独立した個眼を前提としており、各個眼により得られる複数の画像の干渉を回避するために個眼間に間隔を設けることが好ましい。特に、複眼光学系が樹脂製である場合、射出成形によってレンズアレイを得る成形条件を良くする観点からも各レンズ部の有効径外にフランジ部を設けることが好ましい。しかし、本願発明者らの検討によれば、このフランジ部を光が伝播してクロストークが発生し、ゴーストとして観察される可能性があることが判明している。つまり、ある個眼から入射した光がフランジ部を介して隣の個眼へ伝播することでゴーストを生じるおそれがある。
特許文献1、2には、フランジ部を有する樹脂製のレンズアレイを用いた複眼撮像装置が記載されている。
また、特許文献3の従来技術欄には、レンズアレイとして、レンズ要素をマス目状に隙間なく配置したプラスチック製の光学素子が開示されている。この光学素子は、サイドゲート方式の射出成形によって得られる成形品である。
なお、複眼光学系に関するものではなく、単独のレンズ系に関するものであるが、特許文献4では、樹脂レンズ表面に形成された直線状の多数の細溝を表裏で90度向きを変えることによって、波面収差の影響を低減することが記載されている。
また、特許文献3の従来技術欄には、レンズアレイとして、レンズ要素をマス目状に隙間なく配置したプラスチック製の光学素子が開示されている。この光学素子は、サイドゲート方式の射出成形によって得られる成形品である。
なお、複眼光学系に関するものではなく、単独のレンズ系に関するものであるが、特許文献4では、樹脂レンズ表面に形成された直線状の多数の細溝を表裏で90度向きを変えることによって、波面収差の影響を低減することが記載されている。
しかし、特許文献1、2では、クロストークの防止のために撮像素子とレンズアレイとの間に遮光壁を配置し、さらにレンズアレイより物体側に絞りを配置する構造について述べられているが、アレイ内を伝搬する光によるクロストークについては考慮していない。
また、特許文献3の従来技術欄には、サイドゲートのプラスチック製レンズアレイの例があるが、これは画像表示装置用であり、ゴーストについても言及されていない。
特許文献4では、単一のレンズの入射面と出射面とを透過する光線の波面収差の低減に関するものであることから、隣接する複数のレンズ間のゴーストの低減については述べられていない。
また、特許文献3の従来技術欄には、サイドゲートのプラスチック製レンズアレイの例があるが、これは画像表示装置用であり、ゴーストについても言及されていない。
特許文献4では、単一のレンズの入射面と出射面とを透過する光線の波面収差の低減に関するものであることから、隣接する複数のレンズ間のゴーストの低減については述べられていない。
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、アレイ内を伝搬する光によるクロストーク又はゴーストを低減することができる複眼光学系及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記複眼光学系を組み込んだ撮像装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記複眼光学系を組み込んだ撮像装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る複眼光学系は、2次元状に配列する複数のレンズ要素と、複数のレンズ要素間に延在するフランジ部とを含む光学材料からなる一体物であるレンズアレイを備え、レンズアレイの2つの主面のうち像側の主面において、複数のレンズ要素が有する複数の第1光学面に、直線状に延びる周期的な凹凸からなる第1パターンが形成され、複数の第1光学面の第1パターンは、略同一方向を向いている。
上記複眼光学系では、像側主面において第1パターンが略同一方向を向いているので、物体側からあるレンズ要素に入射し像側の光学面で回折反射されフランジ部を伝播して隣のレンズ要素の像側の光学面に達する光を、隣接する2つのレンズの像側の光学面の第1パターンによる複合的な回折によって、クロストークの原因となる迷光を低減することができる。ここで、周期的パターンは金型の転写面上に形成されたツールマーク等が転写されることで形成されるものである。
なお、ツールマークは、加工工具による転写面の形成に付随して発生する非平坦な痕跡である。ツールマークは、通常周期パターンであり、成形型の光学転写面を研磨で仕上げてツールマークを消すことも可能であるが、消去工程で形状変動が発生し面精度が低下するおそれがある。このため、面精度が要求される用途では、ツールマークが残ることを或る程度許容する必要がある。このようにツールマークを残す場合であっても、像側主面において隣り合う2つのレンズについて、ツールマークの形状が反映された第1パターンの方向を一致させることで、特定のレンズ要素で回折されさらにフランジ部で全反射されて隣のレンズ要素の像側の光学面に到達する光が、第1パターンによって繰り返し回折を受ける。これにより、特定のレンズ要素に入射した意図しない光線が回折によって隣のレンズ要素の光路に比較的大きな強度で入射することを防止でき、かかる光のクロストークによって像検出等の精度を劣化させる現象を抑えることができる。
なお、ツールマークは、加工工具による転写面の形成に付随して発生する非平坦な痕跡である。ツールマークは、通常周期パターンであり、成形型の光学転写面を研磨で仕上げてツールマークを消すことも可能であるが、消去工程で形状変動が発生し面精度が低下するおそれがある。このため、面精度が要求される用途では、ツールマークが残ることを或る程度許容する必要がある。このようにツールマークを残す場合であっても、像側主面において隣り合う2つのレンズについて、ツールマークの形状が反映された第1パターンの方向を一致させることで、特定のレンズ要素で回折されさらにフランジ部で全反射されて隣のレンズ要素の像側の光学面に到達する光が、第1パターンによって繰り返し回折を受ける。これにより、特定のレンズ要素に入射した意図しない光線が回折によって隣のレンズ要素の光路に比較的大きな強度で入射することを防止でき、かかる光のクロストークによって像検出等の精度を劣化させる現象を抑えることができる。
本発明の具体的な側面又は態様では、上記複眼光学系において、レンズアレイは、熱可塑性樹脂を成形型に注入して成形され、2つの主面をつなぐ外縁の側部に樹脂注入部が設けられている。レンズアレイは、熱可塑性樹脂によって比較的安価に成形することができる。特に、熱可塑性樹脂を樹脂注入部に対応するゲート等を介して型空間内に注入する場合、レンズアレイの薄い部分に相当する部分にも樹脂を供給しやすく、得られるレンズアレイを比較的高精度とすることができる。なお、樹脂注入部が側部に形成される場合、成形品の収縮が中心軸の周りにおいて軸対称ではなくなるので、補正を考慮して光学面等を自由曲面にすることが望ましくなる。このような自由曲面に対応する転写型は、加工工具を直線的に移動させることによって加工を簡易かつ高精度にできるので、結果的にツールマーク及びこれを反映した光学面上のパターンも周期的で直線状となる。
本発明のさらに別の側面では、第1パターンの凹凸のピッチをTP(μm)とし、複数のレンズ要素での使用中心波長をλ(μm)としたときに、以下の関係
1.5<TP/λ<8.0
を満たす。値TP/λを8.0より小さくすると、ピッチが粗くなり面精度が低下する傾向が生じるのを防ぐことができる。逆に、値TP/λを1.5より大きくすると、ピッチが細かくなり回折しなくなったり、特異的に非常に強い回折が発生するという不具合が生じたりするのを防止することができる。
1.5<TP/λ<8.0
を満たす。値TP/λを8.0より小さくすると、ピッチが粗くなり面精度が低下する傾向が生じるのを防ぐことができる。逆に、値TP/λを1.5より大きくすると、ピッチが細かくなり回折しなくなったり、特異的に非常に強い回折が発生するという不具合が生じたりするのを防止することができる。
本発明のさらに別の側面では、第1パターンの凹凸の高さをH(μm)とし、複数のレンズ要素の使用中心波長をλ(μm)としたときに、以下の関係
0.5<100×H/λ<7.0
を満たす。値100×H/λが7.0より小さくなるような周期的パターンの高さとすることにより、回折効率が高くなりすぎることを抑制し、低減できる量を超えてクロストークが増加することを防止できる。値100×H/λが0.5をより大きくなるような周期的パターンの高さとすることにより、回折効率が低くなり過ぎるのを防止し、周期的パターンの複合的な回折によるクロストーク低減効果を確保することができる。
0.5<100×H/λ<7.0
を満たす。値100×H/λが7.0より小さくなるような周期的パターンの高さとすることにより、回折効率が高くなりすぎることを抑制し、低減できる量を超えてクロストークが増加することを防止できる。値100×H/λが0.5をより大きくなるような周期的パターンの高さとすることにより、回折効率が低くなり過ぎるのを防止し、周期的パターンの複合的な回折によるクロストーク低減効果を確保することができる。
本発明のさらに別の側面では、複数のレンズ要素は、直交する4つの基準方向に沿ってマトリックス状に配置されている。
本発明のさらに別の側面では、レンズアレイの物体側の主面において、複数のレンズ要素が有する複数の第2光学面に、直線状に延びる周期的な凹凸からなる第2パターンが形成され、複数の第2光学面の第2パターンは、第1パターンと略同一方向を向いている。この場合、像側の第1パターンと物体側の第2パターンとが略同一方向を向いているので、第1パターンと第2パターンとの複合的回折によって、クロストークの原因となる迷光を低減することができ、複眼光学系の性能を向上させることができる。
本発明のさらに別の側面では、上述したレンズアレイを含む複数のレンズアレイが積層されている。この場合、異なるレンズアレイのレンズ要素の組み合わせによって結像性能を向上させることができる。
本発明のさらに別の側面では、複数のレンズアレイは、上述したレンズアレイの上記レンズ要素を第1レンズ要素とし上記フランジ部を第1フランジ部とする第1レンズアレイを含み、また、2次元状に配列する複数の第2レンズ要素と当該複数の第2レンズ要素間に延在する第2フランジ部とを含む一体物である第2レンズアレイを含んでおり、第2レンズアレイの2つの主面のうち少なくとも像側の主面において、複数の第2レンズ要素に対応する複数の第3光学面に直線状に延びる周期的な凹凸である第3パターンが形成され、複数の第3光学面の第3パターンは、略同一方向を向いている。
本発明のさらに別の側面では、第2のレンズアレイの物体側の主面において、複数の第2レンズ要素に対応する複数の第4光学面に直線状に延びる周期的な凹凸である第4パターンが形成され、複数の第4光学面の第4パターンは、第3パターンと略同一方向を向いている。
本発明のさらに別の側面では、第1レンズアレイの第1及び第2パターンと、第2レンズアレイの第3及び第4パターンとが略同一方向を向いている。
本発明のさらに別の側面では、第1レンズアレイの第1及び第2パターンと、第2レンズアレイの第3及び第4パターンとが異なる方向を向いている。
本発明のさらに別の側面では、積層しなくてもよいレンズアレイの2つの主面の少なくとも一方においてフランジ部の表面に直線状に延びる周期的な凹凸からなる第5パターンが形成されている。この場合、光学面以外にも周期的パターンが形成されるため、レンズアレイ内を伝播する光の強度をさらに低減させる効果も期待できる。
本発明のさらに別の側面では、第1レンズアレイの2つの主面及び第2レンズアレイの2つの主面のうち少なくとも一つにおいてフランジ部の表面に直線状に延びる周期的な凹凸からなる第5パターンが形成されている。
上記課題を解決するため、本発明に係る撮像装置は、上述の複眼光学系と、複数のレンズ要素に対応して設けられた複数のセンサー要素を有するセンサーアレイとを備える。
上記撮像装置では、既に説明した特徴を有する複眼光学系を組み込んでいるので、クロストークを低減でき、視野分割方式又は超解像方式の画像検出に際しての性能向上を図ることができる。ここで、視野分割方式とは、個々のレンズによって結像された異なる視野の画像を、画像処理よって各視野の画像をつなぎ合わせることで1つの画像を得る方式を指す。また、超解像方式とは、個々のレンズによって結像された同じ視野の画像から画像処理によって1つの高解像度の画像を得る方式を指す。
上記課題を解決するため、本発明に係る複眼光学系の製造方法は、複数のレンズ要素と、複数のレンズ要素間に延在するフランジ部とに対応する成形面を有する成形型の成形空間をレンズ材料で満たす工程と、2つの主面のうち像側の主面において、それぞれが複数のレンズ要素に含まれ、略同一方向を向いた、直線状に延びる周期的な凹凸からなる第1パターンを有する複数の第1光学面を有するレンズアレイを得る工程とを備える。
上記の製造方法によって得られる複眼光学系では、第1パターンが略同一方向を向いているので、第1パターンにより繰り返し回折されることによって、クロストークの原因となる迷光を低減することができる。
本発明の具体的な側面では、成形面は、複数の第1光学面に対応する部位に、直線状に延びる周期的な凹凸からなるツールマークを有し、ツールマークの形状をレンズ材料に転写した後、成形型から成形物を取り出すことにより、一体成形された複数のレンズ要素とフランジ部とを備えるレンズアレイを得る。この場合、成形型の成形面に形成されたツールマークを成形物であるレンズアレイの光学面に転写することで周期的なパターンを形成するので、レンズアレイの後加工が不要となり、製造工程が簡素化される。
本発明の別の側面では、ツールマークは、ラスター加工によって成形型の成形面に形成される。この場合、レンズアレイの光学面等を自由曲面として加工することが可能になる。
本発明のさらに別の側面では、成形型の成形面を加工する工程をさらに含み、該加工工程は、非軸対称誤差をフィードバックによって補正する加工データの補正工程を含む。この場合、成形品の収縮等を考慮した形状補正が可能になる。
〔第1実施形態〕
図1(A)、1(B)、2(A)及び2(B)に示すように、本実施形態の複眼光学系100は、複数のレンズアレイ10,20と、複数のスペーサー30,40とを交互に積み重ねた積層体である。複眼光学系100のうち、第1及び第2レンズアレイ10,20は、XY面に平行に延びる平板状の部材であり、第1及び第2スペーサー30,40は、第1及び第2レンズアレイ10,20に沿って延びる部材であり、これらの部材10,20,30,40は、XY面に垂直なZ軸方向に積み重ねられている。
図1(A)、1(B)、2(A)及び2(B)に示すように、本実施形態の複眼光学系100は、複数のレンズアレイ10,20と、複数のスペーサー30,40とを交互に積み重ねた積層体である。複眼光学系100のうち、第1及び第2レンズアレイ10,20は、XY面に平行に延びる平板状の部材であり、第1及び第2スペーサー30,40は、第1及び第2レンズアレイ10,20に沿って延びる部材であり、これらの部材10,20,30,40は、XY面に垂直なZ軸方向に積み重ねられている。
複眼光学系100において、物体側の第1レンズアレイ10は、光学材料である熱可塑性樹脂製の一体物であり、平面視において正方形又は矩形の輪郭を有する。第1レンズアレイ10は、それぞれが光学素子である複数のレンズ要素10aと、複数のレンズ要素10aを周囲から支持するフランジ部10fとを有する。フランジ部10fは、レンズ要素10a間にあるレンズ間フランジ部10cと、第1レンズアレイ10の外周部にある外周フランジ部10bとからなる。第1レンズアレイ10を構成する複数のレンズ要素10aは、XY面に平行に配列された正方又は矩形の格子点(図示の例では4×4の16点)上にそれぞれの光学面が重なるように2次元的に配置されている。各レンズ要素10aは、物体側主面10pにおいて凸の光学面11aを有し、像側主面10qにおいて凹の光学面11bを有し、両光学面11a,11bは、例えば非球面となっている。外周フランジ部10b及びレンズ間フランジ部10cからなるフランジ部10fは、平板状の平坦部である。ここで、レンズ間フランジ部10cは、物体側にフランジ面11cを有し、像側にフランジ面11dを有する。レンズ間フランジ部10cには、第1スペーサー30が接合されている。
図1(B)に示す像側の第2レンズアレイ20は、光学材料である熱可塑性樹脂製の一体物であり、平面視において正方形又は矩形の輪郭を有する。第2レンズアレイ20は、それぞれが光学素子である複数のレンズ要素20aと、複数のレンズ要素20aを周囲から支持するフランジ部20fとを有する。第2レンズアレイ20のフランジ部20fは、レンズ要素20a間にあるレンズ間フランジ部20cと、第2レンズアレイ20の外周部にある外周フランジ部20bとからなる。複数のレンズ要素20aは、XY面に平行に配列された正方又は矩形の格子点(図示の例では4×4の16点)上に2次元的に配置されている。各レンズ要素20aは、物体側主面20pにおいて凹の光学面12aを有し、像側主面20qにおいて凸の光学面12bを有し、両光学面12a,12bは、例えば非球面となっている。外周フランジ部20b及びレンズ間フランジ部20cからなるフランジ部20fは、平板状の平坦部である。ここで、レンズ間フランジ部20cは、物体側にフランジ面12cを有し、像側にフランジ面12dを有する。レンズ間フランジ部20cは、第1及び第2スペーサー30,40と接合される。
第1スペーサー30は、ガラス、セラミックス、金属、樹脂、あるいはこれらの複合材料等で形成された部材である。第1スペーサー30は、一方の主面において第1レンズアレイ10の像側主面10qに接合されるとともに、他方の主面において第2レンズアレイ20の物体側主面20pに接合されている。第1スペーサー30は、スペーサー本体31と開口32とを有する。スペーサー本体31は、格子枠状の部分であり、開口32は、矩形形状を有する。開口32は、レンズ要素10a等に対応する位置に貫通孔として形成されている。第1レンズアレイ10のレンズ要素10aや第2レンズアレイ20のレンズ要素20aは、開口32の周囲の矩形枠によって各レンズ要素の光軸に平行なレンズアレイの中心軸AX方向に関して支持されていることになる。
第2スペーサー40は、ガラス、セラミックス、金属、樹脂、あるいはこれらの複合材料等で形成された部材である。第2スペーサー40は、一方の主面において第2レンズアレイ20の像側主面20qに接合されている。第2スペーサー40は、スペーサー本体41と開口42とを有する。スペーサー本体41は、格子枠状の部分であり、開口42は、矩形形状を有する。開口42は、レンズ要素20aに対応する位置に貫通孔として形成されている。第2レンズアレイ20のレンズ要素20aは、開口42の周囲の矩形枠によって軸AX方向に関して支持されていることになる。なお、本実施形態のように、別体のスペーサー30、40を設ける代わりに、レンズ要素を構成する樹脂で、レンズ要素の周囲にレンズアレイ間隔やレンズアレイと撮像素子との間隔を規定するスペーサー部を一体的に形成してもよい。
なお、第1レンズアレイ10の各レンズ要素10aと、これの−Z側に対向して配置される第2レンズアレイ20のレンズ要素20aとは、第1スペーサー30の対応部分を間に挟んで軸AXに沿ってアライメントして配置されており、1つの合成レンズ1aを構成している。格子点上に2次元的に配列された複数の合成レンズ1aは、視野分割方式又は超解像方式の個眼レンズに相当するものとなっている。ここで、視野分割方式とは、個々の複合光学系である各合成レンズ1aによって結像された、異なる視野の画像を画像処理よって各視野の画像をつなぎ合わせることで1つの画像を得る方式である。また、超解像方式とは、個々の複合光学系である各合成レンズ1aによって結像された、同じ視野の画像から画像処理によって1つの高解像度の画像を得る方式である。
図1(A)及び1(B)等に示すように、複眼光学系100は、撮像装置1000に組み込まれる。撮像装置1000は、上述した複眼光学系100の他に、複眼光学系100を構成する個々の合成レンズ1aに対応して設けられた複数の検出部(センサー要素)61を有するイメージセンサーアレイ60と、イメージセンサーアレイ60によって検出された画像信号に対して処理を行う画像処理部65とを備える。ここで、複眼光学系100は、イメージセンサーアレイ60に対して固定され、矩形枠状又は正方形枠状のケース50に収納されている。
以下、図3を参照して、光学的なクロストークの発生について概略的に説明する。なお、第1レンズアレイ10の表裏の光学面には、後述する周期的パターンが形成されている。複眼光学系100の第1レンズアレイ10において、第1のレンズ要素10a1に入射したある光L1は、光学面11bに到達して回折反射され、レンズ間フランジ部10cで全反射されつつ伝搬し、隣の第2のレンズ要素10a2に入り込む。この光L1は、第2のレンズ要素10a2の光学面11bを内側から回折透過して像側に射出され、第2レンズアレイ20のレンズ要素20aを経て、センサーアレイ60のうち第2のレンズ要素10a2に対応する検出部(センサー要素)61に入射する。つまり、本実施形態の複眼光学系100において、上記のようなクロストーク光は、いずれか1つ以上の合成レンズ1aを構成するレンズ要素10aで発生し、その周りのレンズ間フランジ部10cを伝搬し、隣の合成レンズ1a及びこれに付随する検出部61に入射する。
ここで、光学面11aから入射した光L1が第1のレンズ要素10a1の光学面11bで反射される際には、光学面11bで正反射されるものと、光学面11b上に形成された周期的パターンPT1によって回折されるものとが存在する。さらに、光L1が第2のレンズ要素10a2の光学面11bから射出される際には、光学面11bで屈折されるものと、光学面11b上に形成された周期的パターンPT1によって回折されるものとが存在する。
別の例として、第1レンズアレイ10において、第2のレンズ要素10a2に入射したある光L2は、光学面11bに到達して回折反射され、レンズ間フランジ部10cで全反射されつつ伝搬し、隣の第3のレンズ要素10a3に入り込む。この光L3は、第3のレンズ要素10a3の光学面11aで回折反射され光学面11bを通過して射出され、第2レンズアレイ20のレンズ要素20aを経て、センサーアレイ60のうち第3のレンズ要素10a3に対応する検出部(センサー要素)61に入射する。つまり、本実施形態の複眼光学系100において、上記のようなクロストーク光は、いずれか1つ以上の合成レンズ1aを構成するレンズ要素10aで発生し、その周りのレンズ間フランジ部10cを伝搬し、隣の合成レンズ1a及びこれに付随する検出部61に入射する。
ここで、光L2が第2のレンズ要素10a2の光学面11bで反射される際には、光学面11bで正反射されるものと、光学面11b上に形成された周期的パターンPT1によって回折されるものとが存在する。さらに、光L2が第3のレンズ要素10a3の光学面11aで反射される際には、光学面11aで正反射されるものと、光学面11a上に形成された周期的パターンPT2によって回折されるものとが存在する。光L2が第3のレンズ要素10a3の光学面11bから射出される際には、光学面11bで屈折されるものと、光学面11b上に形成された周期的パターンPT1によって回折されるものとが存在する。
上記光L1が第1レンズアレイ10において隣接する合成レンズ1a間を伝搬してクロストークが発生するとき、特に回折が原因となるものとしては、光L1が、あるレンズ要素10a1の光学面11bで回折され、さらに、隣のレンズ要素10a2の光学面11bで回折される場合と、上記光L2が、あるレンズ要素10a2の光学面11bで回折され、かつ、隣のレンズ要素10a3の光学面11aで回折される場合とが、主要なものと考えられる。
図4は、第1レンズアレイ10の光学面11a,11bに形成された周期的パターンPTを説明する概念図である。光学面11a,11bの表面には、ピッチTP(μm)で高さH(μm)の周期的な筋状の凹凸として周期的パターンPTが形成されている。なお、周期的パターンPTを構成する各溝Kは、紙面に垂直な方向に一様に延びている。光学面11a,11bに角度θで入射した波長λ(μm)の光は、屈折によって角度θ'で射出される。この際、射出光には、0次の基本光の他に、±1次の回折光、±2次の回折光、…等が含まれる。この際、
n・sinθ−n'・sinθ'=mλ/TP (mは次数を表す整数)
なる関係が成り立っており、周期的凹凸(周期的パターンPT)のピッチTPに応じて回折が発生し、ピッチTPが小さく波長λが長いほど回折の角度が大きくなって曲がりやすくなる。基本的には無限の次数で回折が発生するが、周期的凹凸(周期的パターンPT)の高さHが低いと、回折光の大半は0次光となり、±1次光、±2次光の順に回折効率は大きく減少する。従って、通常は一次回折の影響のみを考慮すればよい。例えば、周期的パターンPTのピッチTPが2μmで波長λが0.5μmのとき、1次光は入射角度θ=0°だと14.5度で回折する。このような1次光、2次光等がどれだけ回折するかは、周期的パターンPTの回折効率に依存することになるが、回折効率を厳密に計算するには、スカラー理論ではなく、ベクトル理論に基づいた計算を行う必要がある。
n・sinθ−n'・sinθ'=mλ/TP (mは次数を表す整数)
なる関係が成り立っており、周期的凹凸(周期的パターンPT)のピッチTPに応じて回折が発生し、ピッチTPが小さく波長λが長いほど回折の角度が大きくなって曲がりやすくなる。基本的には無限の次数で回折が発生するが、周期的凹凸(周期的パターンPT)の高さHが低いと、回折光の大半は0次光となり、±1次光、±2次光の順に回折効率は大きく減少する。従って、通常は一次回折の影響のみを考慮すればよい。例えば、周期的パターンPTのピッチTPが2μmで波長λが0.5μmのとき、1次光は入射角度θ=0°だと14.5度で回折する。このような1次光、2次光等がどれだけ回折するかは、周期的パターンPTの回折効率に依存することになるが、回折効率を厳密に計算するには、スカラー理論ではなく、ベクトル理論に基づいた計算を行う必要がある。
図5(A)は、隣接する複数のレンズ要素10aの表面の周期的パターンの配置関係を説明する説明する概念図である。第1レンズアレイ10の像側主面10qに形成された第1の周期的パターンPT1は、Y方向に平行に等ピッチで形成されている。また、第1レンズアレイ10の物体側主面10pに形成された第2の周期的パターンPT2も、像側と同様にY方向に平行に等ピッチで形成されている。
図6(A)は、隣接する複数のレンズ要素10aの表面の周期的パターンの配置関係とクロストークの低減との関係を概念的に説明する図である。例えば第1レンズアレイ10の第1領域AR1において、第1レンズアレイ10の第1のレンズ要素10a1に対して周期的パターンPT1、PT2に直交する方向から主面に対して傾斜して物体側から入射した光L(1)は、第1のレンズ要素10a1の光学面11bにより回折反射され、回折作用を受けた光L(2)となる。この光L(2)が第1レンズアレイ10内を伝播し、隣の第2のレンズ要素10a2の光学面11a,11bのうちいずれか一方に到達すると、光学面11a、11bのいずれかにより、再度回折作用を受けた光L(3)となる。図3に示した光L1は、光L(2)が光学面11bにより回折透過されたときの光L(3)に相当する。また、図3に示した光L2は、光L(2)が光学面11aにより回折反射されたときの光L(3)に相当する。ここで、光L(1)が入射する光学面11bの第1の周期的パターンPT2は、光軸方向(又は光線方向)からみて光L(1)に対して垂直であるため、回折された光L(2)は、光L(1)に比べて強度は低下するものの、光L(2)を含み光軸に平行な入射平面内に留まることになる。光L(3)についても同様である。本発明者らの検討によれば、回折反射の場合は、入射光に対する周期的パターンの向きを垂直とする方が平行とするよりも回折効率の値がかなり小さいことが判明している。従って、周期的パターンPT1、PT2に対して垂直に光が入射する場合、入射平面から外側へ光が拡散しにくいということから、クロストーク発生の観点では一見不利にみえるが、回折効率の値が小さい光学面で回折が繰り返されるため、結果的に光L(3)は、強度が十分に低下したものとなり、図3における光L1や光L2は、クロストークによって像検出等の精度を劣化させるまでに至らない程度のものとなると推測される。
また、例えば第2領域AR2において、第1レンズアレイ10の第1のレンズ要素10a1に対して周期的パターンPT1、PT2に平行な方向から傾斜して入射した光L(1)を考えると、この光L(1)は、第1のレンズ要素10a1の光学面11bにより回折反射され、回折作用を受けた光L(2)となる。この光L(2)は、第1レンズアレイ10内を伝播し、隣の第2のレンズ要素10a2の光学面11a,11bのうちいずれか一方に達すると、光学面11a、11bのいずれかにより、再度回折作用を受けた光L(3)となる。図3に示した光L1は、光L(2)が光学面11bにより回折透過されたときの光L(3)に相当する。また、図3に示した光L2は、光L(2)が光学面11aにより回折反射されたときの光L(3)に相当する。ここで、第2の周期的パターンPT2に平行に入射した光L(1)は、光軸に垂直な方向に拡散される。また、光L(2)は、光学面11aによって回折反射されるか光学面11bによって回折透過される際にさらに光軸に垂直な方向に拡散される。よって、光L(3)は強度が十分に低下したものとなり、図3における光L1や光L2によるクロストークの発生が防止されるものと推測される。
図5(B)は、周期的パターンPT1、PT2の向きに関して変更を加えた参考例を説明する図である。この場合、第1レンズアレイ10の物体側主面10pに形成された第2の周期的パターンPT2は、千鳥状に配置された光学面においてY方向に平行に等ピッチで形成され、残りの位置にある光学面においてX方向に平行に等ピッチで形成されている。また、第1レンズアレイ10の像側主面10qに形成された第1の周期的パターンPT1は、物体側の光学面に対応する千鳥状の位置に配置された光学面においてY方向に平行に等ピッチで形成され、残りの位置にある光学面においてX方向に平行に等ピッチで形成されている。
図6(B)は、図6(A)に対応し、参考例における周期的パターンの配置関係とクロストークの低減との関係を概念的に説明する図である。参考例の場合、例えば第1レンズアレイ10の第1領域AR1において、第1レンズアレイ10の第1のレンズ要素10a1に対して例えば光学面11aの第1の周期的パターンPT2に光軸方向(又は光線方向)からみて垂直に入射した光L(1)は、第1のレンズ要素10a1の光学面11bによって回折反射されて光L(2)となり、第1レンズアレイ10内を伝播した後、隣の第2のレンズ要素10a2の光学面11a又は光学面11bに到達する。図6(A)で説明したように、光L(2)、及び、次の光L(3)は、光L(1)に比べて強度は低下するものの、光L(2)、光L(3)を含み光軸に平行な入射平面内に留まる。ここで、回折反射の場合、入射光に対する周期的パターンの向きを平行とするよりも垂直とする方が回折効率の値がかなり大きいため、特に図3の光L2によるクロストークを十分に抑制することができなくなるものと推測される。
また、例えば第2領域AR2において、第1レンズアレイ10の第1のレンズ要素10a1に対して、光軸方向(又は光線方向)からみて光学面11aの第2の周期的パターンPT2に平行な方向から入射する光L(1)について考えると、第1のレンズ要素10a1の光学面11bによって回折反射され光L(2)は、第1レンズアレイ10内を伝播し、隣の第2のレンズ要素10a2の光学面11a又は光学面11bに達する。ここで、第1の周期的パターンPT1によって回折反射された光L(2)は、光軸に垂直な方向にある程度拡散するが、隣の光学面11aの第2パターンPT2又は光学面11bの第1パターンPT1によって回折される際には図6(A)の領域AR2の場合に比べて大きくは広がらず、クロストークを十分に抑制できなくなるものと推測される。このため、光L(3)は、強度が十分に低下したものとならない。
第1及び第2の周期的パターンPT1、PT2のピッチをTP(μm)については、複数のレンズ要素10aでの使用中心波長をλ(μm)としたときに、以下の関係
1.5<TP/λ<8.0
が満たされている。なお、値TP/λが8.0より小さいと、ピッチTPが過度に粗くなることを回避でき、光学面11a,11bの面精度を向上させることが比較的容易となる。逆に、値TP/λが1.5より大きいと、ピッチTPが過度に細かくなることを回避でき、光学面11a,11bで特異的に非常に強い回折が発生することを回避できる。
1.5<TP/λ<8.0
が満たされている。なお、値TP/λが8.0より小さいと、ピッチTPが過度に粗くなることを回避でき、光学面11a,11bの面精度を向上させることが比較的容易となる。逆に、値TP/λが1.5より大きいと、ピッチTPが過度に細かくなることを回避でき、光学面11a,11bで特異的に非常に強い回折が発生することを回避できる。
第1及び第2の周期的パターンPT1、PT2の高さをH(μm)については、複数のレンズ要素10aでの使用中心波長をλ(μm)としたときに、以下の関係
0.5<100×H/λ<7.0
が満たされている。なお、値100×H/λが7.0より小さいと、回折効率が全体として高くなりすぎることを抑制でき、低減できる量を超えてクロストークが増加することを防止できる。値100×H/λが0.5より大きいと、第1及び第2ツールマークTM1,TM2を或る程度残した加工が比較的容易であり、また、回折効率が低くなり過ぎるのを防止し、周期的パターンの複合的な回折によるクロストーク低減効果を確保することが可能になる。
0.5<100×H/λ<7.0
が満たされている。なお、値100×H/λが7.0より小さいと、回折効率が全体として高くなりすぎることを抑制でき、低減できる量を超えてクロストークが増加することを防止できる。値100×H/λが0.5より大きいと、第1及び第2ツールマークTM1,TM2を或る程度残した加工が比較的容易であり、また、回折効率が低くなり過ぎるのを防止し、周期的パターンの複合的な回折によるクロストーク低減効果を確保することが可能になる。
図5(A)を参照して、複数のレンズ要素10aの周期的な配列間隔をLP(mm)とし、複数のレンズ要素10aの有効径をED(mm)としたときに、以下の関係
ED<LP
が満たされている。つまり、隣り合うレンズ要素の有効面の間には間隔が設けられている。なお、有効径EDは、第1及び第2光学面11a,11bの有効径の平均値とする。
ED<LP
が満たされている。つまり、隣り合うレンズ要素の有効面の間には間隔が設けられている。なお、有効径EDは、第1及び第2光学面11a,11bの有効径の平均値とする。
参考のため、レンズアレイのレンズ要素の表裏に周期的パターンが存在する場合の回折効率についてシミュレーションを行った。
以下の表1は、所定角度で光を入射させたときの偏光による回折効率を、回折パターンへの入射方向(垂直又は平行)と、回折パターンのピッチとを変えて、ベクトル理論による厳密計算(RCWA法)によって求めた結果を示す。ここで、回折パターンすなわち周期的パターンの高さは10nmであるとした。また、周期的パターンは矩形断面の回折格子であるとした。計算波長は、0.55μmとした。表1は、ツールマークに垂直な方向及び平行な方向から第1レンズアレイ10の平面方向に対して傾いた光線が入射角度50°で入射した場合を示し、回折透過の場合と、回折反射の場合とを示している。実際の回折は、±1次、±3次、±5次、…と発生するが、計算の結果、1次に比べて他の次数の回折効率がかなり小さかったので、±1次の結果のみを記す。
〔表1〕
なお、入射角度は、例えばピッチTP=2μmの場合、一般的な屈折率1.5の媒体(特に平板状のレンズ間フランジ部)内で全反射伝搬する際の反射角度が42°であることを考慮して、50°に設定した。表1から明らかなように、回折透過の場合は、垂直と平行の何れの場合も、TE波及びTM波のどちらの偏光も、±1次の両方の次数において、回折効率は非常に小さいことがわかる。これに対して、回折反射の場合は、回折透過に比べて回折効率の値がかなり大きく、また、入射光を平行にした方が垂直にする場合よりも値が大きいことが分かる。
〔表1〕
なお、入射角度は、例えばピッチTP=2μmの場合、一般的な屈折率1.5の媒体(特に平板状のレンズ間フランジ部)内で全反射伝搬する際の反射角度が42°であることを考慮して、50°に設定した。表1から明らかなように、回折透過の場合は、垂直と平行の何れの場合も、TE波及びTM波のどちらの偏光も、±1次の両方の次数において、回折効率は非常に小さいことがわかる。これに対して、回折反射の場合は、回折透過に比べて回折効率の値がかなり大きく、また、入射光を平行にした方が垂直にする場合よりも値が大きいことが分かる。
なお、回折効率の計算で用いたRCWA法とはRigorous Coupled Wave Analysis法のことであり、厳密結合波解析法などと訳されることもある。RCWA法は、スカラー解析ではなく、電場・磁場がベクトル場であることを考慮した電磁界解析のうち微分法の一種である。周期的な構造にしか適用できないが,回折効率の厳密な計算や、SPR(Surface Plasmon Resonance:表面プラズモン共鳴)現象などのシミュレーションに用いることができる。
以上では、第1レンズアレイ10のみにおける回折によるクロストークについて説明したが、第2レンズアレイ20内でも同様の現象が生じる。このため、第2レンズアレイ20の像側主面20qに形成された第3の周期的パターンPT3の向きを略同一方向に揃えるのが好ましい。また、物体側主面20pに形成された第4の周期的パターンの向きを略同一方向に揃えることが望ましい。この際、図7(A)及び7(B)に示すように、第2レンズアレイ20の第3及び第4の周期的パターンPT3,PT4の方向を第1レンズアレイ10の第1及び第2の周期的パターンPT1、PT2の方向と一致させてもよいし、図8(A)及び8(B)に示すように、第2レンズアレイ20の第3及び第4の周期的パターンPT3,PT4の方向を第1レンズアレイ10の第1及び第2の周期的パターンPT1,PT2の方向と直交させてもよい。後者の場合は、合成レンズ1a内で特定方向に偏って像劣化が生じることを防止できる。
以下、第1レンズアレイ10等の製造方法について説明する。第1レンズアレイ10は、射出成形によって形成される。
図9(A)は、第1レンズアレイ10を成形するための金型を説明する図である。金型装置70は、第1金型71と第2金型72とを備える。第1金型71と第2金型72とは、型合わせ面PLで型合わせされ、金型71,72間にキャビティ70aを形成する。キャビティ70aに臨むように、第1金型71には、第レンズアレイ10の第1主面10p側の形状を転写するための転写面71cが形成され、第2金型72には、第レンズアレイ10の第2主面10q側の形状を転写するための転写面72cが形成されている。転写面71c,72cは、レンズ要素10aの光学面11a,11bを転写するため、その一部に2次元的に配列された複数の光学転写部71g,72gを有する。金型装置70には、キャビティ70aに連通するゲートGAが形成されている。この場合、ゲートGAは、転写面71c,72cの中央ではなく側方に配置されており、サイドゲート方式で射出成形が行われる。なお、レンズ要素を多数備えるアレイレンズは、個々のレンズ要素に求められる精度の要求が高く、各光学面の偏心精度や光学面頂の深さのばらつきが例えば1μm以下とするような精度が求められる。このため、入れ子ではない一体型として金型を作製することが好ましい。一体型とすることで、光学面を同時加工できるため精度が向上する。金型製造のためのコスト増大の回避などを考慮して、図9に破線で示すように入れ子と受け型とを組み合わせた金型としてもよいが、この場合は、成形によって得られるレンズアレイが要求精度を下回らないようにするため、金型を精度よく作製するとともに、入れ子と受け型とを正確に位置調整する必要がある。
図9(B)は、金型装置70の全体構造を説明する断面図である。図4(A)のキャビティ70aには、ゲートGAを介してランナーRAが連結され、ランナーRAは、樹脂供給側のスプルーSPに繋がっている。結果的に、熱可塑性樹脂を溶融させることによって得たスプルーSPからの溶融樹脂Jは、ランナーRAを充填し、ゲートGAを介してキャビティ70aを充填する。溶融樹脂Jの冷却後に第1金型71と第2金型72とを離間させることで、スプルーSPに対応するスプルー部81と、ランナーRAに対応するランナー部82と、ゲートGAに対応するゲート部83と、キャビティ70aに対応するレンズアレイ本体84とを備える成形品80が形成される。ここで、ゲート部83に対しては、ゲートカット処理が施され、ゲート部83の残りである樹脂注入部14と、その先のレンズアレイ本体84とによって、第1レンズアレイ10が得られる。
なお、第2レンズアレイ20も第1レンズアレイ10と同様の手法によって成形される。つまり、第2レンズアレイ20も、熱可塑性樹脂をサイドゲート方式で射出成形することによって製造される。
以下、図10を参照して、複眼光学系100の製造工程の概要について説明する。まず、図9(A)に示す第1金型71及び第2金型72になるべき初期金型を作製する(ステップS01)。具体的には、第1金型71の転写面71cや第2金型72の転写面72cを数値制御型の研削又は切削装置である加工装置によって創成する。
図11は、図9(A)に示す第1及び第2金型71,72の転写面71c,72cを加工するための加工装置の構造を説明する模式的な斜視図である。加工装置90は、被加工体であるワークWを切削加工するための切削ユニット91と、切削ユニット91をワークWに対して支持する駆動装置としてのNC駆動機構92とを備える。切削ユニット91は、例えばエンドミル等である切削工具91aを有し、切削工具91aを回転軸のまわりに回転させることもできる。切削工具91aの先端は、自由曲面を加工可能な形状となっている。NC駆動機構92は、台座94a上に第1ステージ94bと第2ステージ94cとを載置した構造の駆動装置である。ここで、第1ステージ94bは、第1可動部95aを支持しており、この第1可動部95aは、不図示のチャックを介してワークWを支持している。第1ステージ94bは、ワークWを、例えばz軸方向に沿った所望の位置に所望の速度で移動させることができる。一方、第2ステージ94cは、第2可動部95bを支持しており、この第2可動部95bは、切削ユニット91を支持している。第2ステージ94cは、第2可動部95b及び切削ユニット91を支持して、これらを例えばx軸方向に沿った所望の位置に所望の速度で移動させることができ、第2可動部95bは、切削ユニット91を支持して、これをy軸方向に沿った所望の位置に所望の速度で移動させることができる。
不図示の駆動制御装置によって、NC駆動機構92に内蔵されたモータや位置センサー等を駆動することにより、第1及び第2ステージ94b,94cや、第1及び第2可動部95a,95bを目的とする状態に適宜動作させる。ワークWの表面Waに自由曲面を加工する場合、例えばラスター型の走査を行いつつ切削加工を行う。具体的には、第2ステージ94cによって切削ユニット91をx軸方向に定速度で移動させる主走査を行うことができ、第1可動部95aによって切削ユニット91をz軸方向に定速度で移動させる副走査を行うことができる。これらの主走査及び副走査に際して、第2可動部95bが切削ユニット91をy方向に適宜変位させることで、ワークWの表面Waに所望の凹凸形状を形成することができる。つまり、図9(A)に示す金型71,72の転写面71c,72cを自由曲面として加工することができる。
図12(A)及び12(B)は、図11の加工装置90による切削工具91a先端の走査パターンを説明する図である。図に示すように、x方向への走査で1ラインの加工を行った後、加工位置をz方向に1ライン分ずらし、x方向の開始地点に戻した後、次のラインの加工を行うという手順を繰り返す。ワークWの表面Waは、2次元的に走査される切削ユニット91の切削工具91aによって立体的に加工され、結果的に第1金型71の転写面71cが得られる。この転写面71cには、凹の光学転写部71gが形成されている。なお、加工装置90によるワークWの切削は、一回で行われず、深さ方向に関して複数段階に分割して行われる。このため、初期段階又は途中段階ではワークWの表面Waに図12(A)等に示すような加工を行う必要はなく、同心状その他の軌跡で加工を行うことができるが、最終段階ではワークWの表面Waに図12(A)等に示すような直線的な加工を行う。なお、ワークの加工は、同一方向へ走査を繰り返すやり方だけでなく、z方向に移動した後、x方向の逆方向へ加工する(つまり、x方向において往復させながら加工を行う)ようにしてもよい。
図12(C)に示すように、転写面71cの光学転写部71g上には、切削工具91aの先端の軌跡に対応して溝Kが形成されており、全体としてx方向に平行に延びz方向に等間隔で配列された周期溝であるツールマークTMが形成されている。なお、加工装置90によって転写面71c,72cを形成した後に光学転写部71g,72g以外を研磨してツールマークを消すこともできる。
図10に戻って、ステップS01で得た第1金型71と第2金型72とを利用して、第1レンズアレイ10等を成形する(ステップS02)。
図13(A)は、金型装置70によって成形された成形品としての第1レンズアレイ10を示す。第1レンズアレイ10の光学面11a,11bには、図12(C)のツールマークTMを転写した平行に延びる周期的な筋状のパターンPTが形成されている(図12(D)参照)。この場合、第1レンズアレイ10において、4辺うち1辺の中央に突起状のゲート跡に対応する樹脂注入部14が形成されている。樹脂注入部14の突起は後加工によって除去することができる。なお、第1レンズアレイ10は、ゲート側領域R1と反ゲート側領域R2とで転写性に違いがあり、第1レンズアレイ10の表側の各光学面11aに対しては非対称な形状誤差が発生する。同様に、図示を省略するが、裏側の各光学面11bに対しても非対称な形状誤差が発生する。
図13(B)は、第1レンズアレイ10の別の成形例を示す。この場合、図13の第1レンズアレイ10に比較して90°異なる位置に樹脂注入部14が形成されている。なお、本成形例では、周期的パターンPT1、PT2の向きが、樹脂注入時の樹脂の流れに沿ったものとなるため、成形不良の低減に有利である。また、図13A、13Bいずれの場合においても、成形が完了して型からレンズアレイを取り出し、樹脂注入部14をランナー部から切断した後、樹脂注入部14の一部あるいは樹脂注入部14が接続していた部位の痕跡がレンズアレイに残されるため、この部位や痕跡によって、周期的パターンの向きや形状誤差の傾向を把握することができる。
図13(A)は、金型装置70によって成形された成形品としての第1レンズアレイ10を示す。第1レンズアレイ10の光学面11a,11bには、図12(C)のツールマークTMを転写した平行に延びる周期的な筋状のパターンPTが形成されている(図12(D)参照)。この場合、第1レンズアレイ10において、4辺うち1辺の中央に突起状のゲート跡に対応する樹脂注入部14が形成されている。樹脂注入部14の突起は後加工によって除去することができる。なお、第1レンズアレイ10は、ゲート側領域R1と反ゲート側領域R2とで転写性に違いがあり、第1レンズアレイ10の表側の各光学面11aに対しては非対称な形状誤差が発生する。同様に、図示を省略するが、裏側の各光学面11bに対しても非対称な形状誤差が発生する。
図13(B)は、第1レンズアレイ10の別の成形例を示す。この場合、図13の第1レンズアレイ10に比較して90°異なる位置に樹脂注入部14が形成されている。なお、本成形例では、周期的パターンPT1、PT2の向きが、樹脂注入時の樹脂の流れに沿ったものとなるため、成形不良の低減に有利である。また、図13A、13Bいずれの場合においても、成形が完了して型からレンズアレイを取り出し、樹脂注入部14をランナー部から切断した後、樹脂注入部14の一部あるいは樹脂注入部14が接続していた部位の痕跡がレンズアレイに残されるため、この部位や痕跡によって、周期的パターンの向きや形状誤差の傾向を把握することができる。
次に、得られた成形品としての第1レンズアレイ10における各光学面11a,11bの形状誤差を測定し評価する。この結果を利用して、金型の補正形状を算出する(ステップS03)。つまり、熱可塑性樹脂をサイドゲート方式で射出成形するため、第1レンズアレイ10には、非対称な形状誤差が発生するが、このような形状誤差を予め相殺するような補償形状を有するキャビティ70aを予め金型装置70によって形成すれば、形状誤差のない第1レンズアレイ10を得ることができる。このような補償形状に相当する補正形状は、非軸対称形状になる。
次に、ステップS02で得た補正形状のデータに基づいて、金型71,72の転写面71c,72cに対して非軸対称誤差等を含む補正加工を施す(ステップS04)。この補正加工は、ラスター加工によって行われる。すなわち、図12(A)等に示す切削工具91aの走査パターン(主方向に切削工具91aを走査し、副方向にピッチ送りすること)によって、転写面71c,72cの表層が全面加工される。上述したように、同一方向への加工をZ方向の位置を変えて繰り返すやり方だけでなく、Z方向の位置を変えながらX方向に往復するように加工してもよい。
次に、ステップS02で得た金型71,72を利用して、第1レンズアレイ10等を成形する(ステップS05)。上記のようにゲート側領域R1と反ゲート側領域R2とで転写性に差があるが、ステップS04で予めフィードバックによって金型補正しているため、各光学面11a,11bの形状誤差が低減され、設計形状に近づく。
次に、得られた成形品としての第1レンズアレイ10における各光学面11a,11bの形状誤差(配置関係も含む)を測定し評価し、設計上のレンズ形状に対して許容範囲内であるか否かを判断する(ステップS05)。光学面11a,11bの形状誤差が許容値の範囲内である場合、金型装置70の転写面71c,72cの形状が確定し、成形条件も確定する。一方、光学面11a,11bの形状誤差が許容値の範囲外である場合、ステップS04に戻って金型71,72の転写面71c,72cに対して再度の補正加工を施す。
ステップS05で光学面11a,11bの形状誤差が許容値の範囲内であった場合、得られた第1レンズアレイ10は、複眼光学系100の組立工程に送られる(ステップS06)。組立工程では、以上のようにして得た第1レンズアレイ10と、同様の手法で得た第2レンズアレイ20とが第1スペーサー30を挟んで接合され、さらに、第2レンズアレイ20側には、第2スペーサー40が接合される。なお、形状誤差が許容範囲内であることが一旦確認された後は、その後の測定を、頻度を減らしたり省略したりして多数の成形を繰り返してもよい。
以上説明した第1実施形態の複眼光学系100等によれば、第1レンズアレイ10において、光学面11b側の第1の周期的パターンPT1が略同一方向を向いているので、第1の周期的パターンPT1での複合的な回折によって、クロストークの原因となる迷光を低減することができ、複眼光学系100の性能を向上させることができる。また、第1パターンPT1と第2パターンPT2とが略同一方向を向いているので、第1パターンPT1と第2パターンPT2との複合的回折によって、クロストークの原因となる迷光を低減することができ、複眼光学系100の性能を向上させることができる。
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態に係る複眼光学系等を説明する。第2実施形態に係る複眼光学系等は、第1実施形態に係る複眼光学系等を部分的に変更したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態と同様であるものとする。
以下、本発明の第2実施形態に係る複眼光学系等を説明する。第2実施形態に係る複眼光学系等は、第1実施形態に係る複眼光学系等を部分的に変更したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態と同様であるものとする。
図14(A)は、第2実施形態の複眼光学系を構成する第1レンズアレイ10を説明する平面図であり、図14(B)は、本実施形態の第1レンズアレイ10を説明する裏面図である。図示のように、第1レンズアレイ10の物体側主面10pには、光学面11aだけでなく全面に亘って周期的パターンPT2が形成されている。同様に、第1レンズアレイ10の像側主面10qには、光学面11bだけでなく全面に亘って周期的パターンPT1が形成されている。換言すれば、本例の第1レンズアレイ10においては、光学面以外の領域に第5の周期的パターンが形成されている。
なお、図示を省略するが、第2レンズアレイ20にも、上記第1レンズアレイ10と同様に、表裏の主面全体に周期的パターンPT3,PT4を形成することができる。この際、第2レンズアレイ20の周期的パターンを第1レンズアレイ10と平行にすることができるが、第2レンズアレイ20の周期的パターンを第1レンズアレイ10と直交させることもできる。
本実施形態の場合、金型成形面全体にわたって周期的パターンを設けた金型とすることで、光学転写面以外の部位を研磨してツールマークを消去するなどの手間を省くことができる。また、このような金型を使って成形を行うことで得られるレンズアレイ10,20には、光学面以外にも周期的パターンが形成されるため、レンズアレイ10,20内を伝播する光の強度をさらに低減させる効果も期待できる。なお、光学面以外の領域における周期的パターン(第5の周期的パターン)を、第1及び第2レンズアレイ10,20の表裏の主面の何れか一方のみに設けるようにしてもよい。この場合、少なくとも像側主面10q,20qに設けることが望ましい。
以上、実施形態に係る複眼光学系等について説明したが、本発明に係る複眼光学系等
は上記のものには限られない。例えば、レンズアレイ10,20を構成するレンズ要素10a,20aの配列や光学面11a,11b,12a,12bの形状は、複眼光学系100又は撮像装置1000の用途又は仕様に応じて適宜変更することができる。例えばレンズ要素10a,20aは、4×4の格子点に配列するものに限らず、例えば3×3、5×5等の格子点に配列することができ、矩形格子に限らず、多様な配列とすることができる。さらに、複眼光学系100を構成するレンズアレイは、2層(第1及び第2レンズアレイ10,20)に限らず、1層(第1レンズアレイ10のみ)とすることもできるし、3層以上とすることもできる。
は上記のものには限られない。例えば、レンズアレイ10,20を構成するレンズ要素10a,20aの配列や光学面11a,11b,12a,12bの形状は、複眼光学系100又は撮像装置1000の用途又は仕様に応じて適宜変更することができる。例えばレンズ要素10a,20aは、4×4の格子点に配列するものに限らず、例えば3×3、5×5等の格子点に配列することができ、矩形格子に限らず、多様な配列とすることができる。さらに、複眼光学系100を構成するレンズアレイは、2層(第1及び第2レンズアレイ10,20)に限らず、1層(第1レンズアレイ10のみ)とすることもできるし、3層以上とすることもできる。
第1スペーサー30の開口32や第2スペーサー40の開口42は、正方形、長方形、円形等、様々な形状とできる。具体的には、開口32,42を楕円形等に設定することができる。
なお、上記実施形態においては、レンズアレイの各レンズ要素の光学面における周期的パターンを、金型の光学転写面に設けるツールマークを転写することで形成したが、必ずしもこれに限るものではなく、他の方法、例えば、光学転写面上のツールマークが消去された金型でレンズアレイを成形した後、レーザー照射やエッチング、あるいは機械的加工により、レンズアレイの各レンズ要素の光学面に筋状の凹凸からなる周期的パターンを形成するようにしてもよい。
1a…合成レンズ、 10…第1レンズアレイ、 20…第2レンズアレイ、 10a,20a…レンズ要素、 10b,20b…外周フランジ部、 10c,20c…レンズ間フランジ部、 10p,20p…物体側主面、 10q,20q…像側主面、 11a,11b、12a,12b…光学面、 11c,12c、11d,12d…フランジ面、 14…樹脂注入部、 30,40…スペーサー、 32,42…開口、 50…ケース、 60…センサーアレイ、 61…検出部、 65…画像処理部、 70…金型装置、 71,72…金型、 71c,72c…転写面、 71g,72g…光学転写部、 80…成形品、 90…加工装置、 91…切削ユニット、 91a…切削工具、 92…駆動機構、 94b,94c…ステージ、 95a,95b…可動部、 100…複眼光学系、 1000…撮像装置、 AX…軸、 K…溝、 L1,L2,L3…光、 R1…ゲート側領域、 R2…反ゲート側領域、 TM…ツールマーク、 PT1、PT2、PT3、PT4…周期的パターン 、 W…ワーク、 Wa…表面
Claims (18)
- 2次元状に配列する複数のレンズ要素と、前記複数のレンズ要素間に延在するフランジ部とを含む光学材料からなる一体物であるレンズアレイを備え、
前記レンズアレイの2つの主面のうち像側の主面において、前記複数のレンズ要素が有する複数の第1光学面に、直線状に延びる周期的な凹凸からなる第1パターンが形成され、
前記複数の第1光学面の前記第1パターンは、略同一方向を向いていることを特徴とする複眼光学系。 - 前記レンズアレイは、熱可塑性樹脂を成形型に注入して成形され、前記2つの主面をつなぐ外縁の側部に樹脂注入部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の複眼光学系。
- 前記第1パターンの凹凸のピッチをTP(μm)とし、前記複数のレンズ要素での使用中心波長をλ(μm)としたときに、以下の関係
1.5<TP/λ<8.0
を満たすことを特徴とする請求項1及び2のいずれか一項に記載の複眼光学系。 - 前記第1パターンの凹凸の高さをH(μm)とし、前記複数のレンズ要素の使用中心波長をλ(μm)としたときに、以下の関係
0.5<100×H/λ<7.0
を満たすことを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の複眼光学系。 - 前記複数のレンズ要素は、直交する4つの基準方向に沿ってマトリックス状に配置されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の複眼光学系。
- 前記レンズアレイの物体側の主面において、前記複数のレンズ要素が有する複数の第2光学面に、直線状に延びる周期的な凹凸からなる第2パターンが形成され、前記複数の第2光学面の第2パターンは、前記第1パターンと略同一方向を向いていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の複眼光学系。
- 前記レンズアレイを含む複数のレンズアレイが積層されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の複眼光学系。
- 前記複数のレンズアレイは、前記レンズアレイの前記レンズ要素を第1レンズ要素とし前記フランジ部を第1フランジ部とする第1レンズアレイを含み、また、2次元状に配列する複数の第2レンズ要素と前記複数の第2レンズ要素間に延在する第2フランジ部とを含む光学材料からなる一体物である第2レンズアレイを含んでおり、
前記第2レンズアレイの2つの主面のうち少なくとも像側の主面において、前記複数の第2レンズ要素に対応する複数の第3光学面に直線状に延びる周期的な凹凸である第3パターンが形成され、前記複数の第3光学面の前記第3パターンは、略同一方向を向いていることを特徴とする請求項7に記載の複眼光学系。 - 前記第2のレンズアレイの物体側の主面において、前記複数の第2レンズ要素に対応する複数の第4光学面に直線状に延びる周期的な凹凸である第4パターンが形成され、前記複数の第4光学面の第4パターンは、前記第3パターンと略同一方向を向いていることを特徴とする請求項8に記載の複眼光学系。
- 前記第1レンズアレイの第1及び第2パターンと、前記第2レンズアレイの第3及び第4パターンとが略同一方向を向いていることを特徴とする請求項9に記載の複眼光学系。
- 前記第1レンズアレイの第1及び第2パターンと、前記第2レンズアレイの第3及び第4パターンとが異なる方向を向いていることを特徴とする請求項9に記載の複眼光学系。
- 前記2つの主面の少なくとも一方において前記フランジ部の表面に直線状に延びる周期的な凹凸からなる第5パターンが形成されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の複眼光学系。
- 前記第1レンズアレイの2つの主面及び前記第2レンズアレイの2つの主面のうち少なくとも一つにおいて前記フランジ部の表面に直線状に延びる周期的な凹凸からなる第5パターンが形成されていることを特徴とする請求項8から11までのいずれか一項に記載の複眼光学系。
- 請求項1から13までのいずれか一項に記載の複眼光学系と、
前記複数のレンズ要素に対応して設けられた複数のセンサー要素を有するセンサーアレイと
を備えることを特徴とする撮像装置。 - 複数のレンズ要素と、前記複数のレンズ要素間に延在するフランジ部とに対応する成形面を有する成形型の成形空間をレンズ材料で満たす工程と、
2つの主面のうち像側の主面において、それぞれが前記複数のレンズ要素に含まれ、略同一方向を向いた、直線状に延びる周期的な凹凸からなる第1パターンを有する複数の第1光学面を有するレンズアレイを得る工程と、を備えることを特徴とする複眼光学系の製造方法。 - 前記成形面は、前記複数の第1光学面に対応する部位に、直線状に延びる周期的な凹凸からなるツールマークを有し、前記ツールマークの形状をレンズ材料に転写した後、前記成形型から成形物を取り出すことにより、一体成形された前記複数のレンズ要素と前記フランジ部とを備えるレンズアレイを得る請求項15に記載の複眼光学系の製造方法。
- 前記ツールマークは、ラスター加工によって前記成形型の成形面に形成されることを特徴とする請求項16に記載の複眼光学系の製造方法。
- 前記成形型の成形面を加工する工程をさらに含み、該加工工程は、非軸対称誤差をフィードバックによって補正する加工データの補正工程を含むことを特徴とする請求項15〜17のいずれか一項に記載の複眼光学系の製造方法。
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JP2013110434A JP2014228809A (ja) | 2013-05-24 | 2013-05-24 | 複眼光学系、撮像装置、及び複眼光学系の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2017212902A1 (ja) * | 2016-06-08 | 2017-12-14 | オリンパス株式会社 | レンズ成形用金型の製造方法およびレンズの製造方法 |
WO2022018901A1 (ja) * | 2020-07-21 | 2022-01-27 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | ビーム強度均一化素子 |
JP7487809B2 (ja) | 2018-03-20 | 2024-05-21 | Agc株式会社 | ホモジェナイザ、照明光学系および照明装置 |
-
2013
- 2013-05-24 JP JP2013110434A patent/JP2014228809A/ja active Pending
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