JP2014204669A - 抗体とその利用 - Google Patents
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Abstract
【課題】大量のサンプルであっても簡便、迅速に活性型リーリンを選択的に測定できる手段を提供する。
【解決手段】活性型リーリンに対して特異的に結合し、不活性型リーリンに対しては結合しない抗活性型リーリン抗体、あるいは、特定のアミノ酸配列を有するペプチドに対して特異的に結合する抗活性型リーリン抗体。
【選択図】図2
【解決手段】活性型リーリンに対して特異的に結合し、不活性型リーリンに対しては結合しない抗活性型リーリン抗体、あるいは、特定のアミノ酸配列を有するペプチドに対して特異的に結合する抗活性型リーリン抗体。
【選択図】図2
Description
本発明は抗体とその利用に関する。更に詳しくは本発明は、活性型リーリンに対して特異的に結合し、不活性型リーリンに対しては結合しない新規な抗活性型リーリン抗体と、この抗体のH鎖、L鎖の可変領域をコードする核酸又はこれらの領域におけるCDR配列部分をコードする核酸と、この抗体を生産するハイブリドーマ細胞と、この抗体を利用する活性型リーリン測定方法、及びそのために用いる活性型リーリン測定用キットに関する。
リーリンは、脳の機能に重要な、3400を超えるアミノ酸からなる巨大な分泌タンパク質である。リーリンが脳の特徴的な層構造の形成に必須であること、ヒトでもリーリンが欠損すると脳構造形成不全が起こることも報告されている。一方、リーリンは成体の脳でも発現しており、その発現量の低下や分解亢進が統合失調症、アルツハイマー病、気分障害等の疾患の一因となることが明らかになってきている。
リーリンに関して、例えば下記の特許文献1ではリーリンのエピトープ領域ポリペプチド及びこれをコードするポリヌクレオチドを開示し、これによってリーリンの機能を更に研究すると共に、リーリン遺伝子の異常並びにニューロンの配置異常に起因する脳障害に対する診断・治療手段を提供できるとしている。又、下記の特許文献2では、中枢神経系の他の重要成分におけるDIIAレベルを非破壊的に評価又は予想するためのバイオマーカーとしてのリーリンを測定する方法を提案している。
リーリンに関して、例えば下記の特許文献1ではリーリンのエピトープ領域ポリペプチド及びこれをコードするポリヌクレオチドを開示し、これによってリーリンの機能を更に研究すると共に、リーリン遺伝子の異常並びにニューロンの配置異常に起因する脳障害に対する診断・治療手段を提供できるとしている。又、下記の特許文献2では、中枢神経系の他の重要成分におけるDIIAレベルを非破壊的に評価又は予想するためのバイオマーカーとしてのリーリンを測定する方法を提案している。
"Reelin, the extracellular matrix protein deficient in reeler mutantmice, is processed by a metalloproteinase." Lambert de Rouvroit C, de Bergeyck V,Cortvrindt C, Bar I, Eeckhout Y, Goffinet AM. Exp Neurol. 1999 Mar;156(1):214-7.
"Mechanism and significance of specific proteolytic cleavage ofReelin." Kohno S, Kohno T, NakanoY, Suzuki K, Ishii M, Tagami H, Baba A, Hattori M. Biochem Biophys Res Commun. 2009 Feb27;380(1):93-7.
リーリンについては、更に、公知の各種文献により、あるいは本願発明者の研究により、以下の点が分かっている。
即ち、リーリンは分子内で特異的な分解を受けるが、その分解部位として、リーリンタンパク質のアミノ酸配列におけるN末端側に近い未知のサイト(以下、このサイトを「N-t site」と呼ぶ)とC末端側に近い未知のサイト(以下、このサイトを「C-t site」と呼ぶ)とがある(非特許文献1参照)。実際には、リーリンの分子内分解の大部分はN-t siteで起こり、C-t siteで起こる分解は比較的少ない。
従って、リーリンの研究又は測定用に調製された被験試料には、一般的に、分子内分解を受けていない全長リーリンと分子内分解を受けた分解型リーリンとが混在している。そして前記したリーリンの生理的機能について、全長リーリンは活性であるが、N-t siteでの分子内分解を受けた分解型リーリンは不活性であり(非特許文献2参照)、一方、C-t siteでの分子内分解を受けた分解型リーリンは、幾分低下した活性を維持することが分かっている。
以上の点を踏まえれば、リーリンの機能の研究のため、あるいはリーリンの発現量低下等に基づく疾患の診断・治療手段の開発のため、被験試料中のリーリンの測定を行う場合には、活性型リーリンのみを選択的に測定する必要がある。
このような要求に応えるために、従来は、例えば全長リーリンと分解型リーリンとの分子量の差を利用して電気泳動を行っていた。しかし、巨大タンパク質である全長リーリンや分解型リーリンの電気泳動は非常に時間がかかり、効率面で実用性に欠けていた。しかも大量のサンプルについて同時に測定を行うことは、手間の面で事実上は不可能であった。
又、被験試料中の不活性型リーリンを検出することなく活性型リーリンのみを選択的に測定するためには、その目的に適う抗体、特にモノクローナル抗体の利用が特に有効であると考えられるが、このような抗原特異性を備える抗体は、未だ提案も提供もされていない。
そこで本発明は、大量のサンプルであっても簡便、迅速に活性型リーリンを選択的に測定できる手段を提供することを、解決すべき技術的課題とする。
本願発明者は、リーリンタンパク質のアミノ酸配列において未解明であったN-t siteの分解部位を具体的に突き止めた。更に、このアミノ酸配列を有するペプチドを抗原とするモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞を作製することに成功した。その結果、N-t siteでの分解を受けていないリーリン、即ち活性型リーリンのみに特異的に結合する抗活性型リーリン抗体を得るに至り、本発明を完成した。
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための第1発明の構成は、活性型リーリンに対して特異的に結合し、不活性型リーリンに対しては結合しない抗体である、抗活性型リーリン抗体である。
上記課題を解決するための第1発明の構成は、活性型リーリンに対して特異的に結合し、不活性型リーリンに対しては結合しない抗体である、抗活性型リーリン抗体である。
上記の第1発明において「抗体」のカテゴリーは限定されないが、必要な条件を備えたハイブリドーマ細胞によって生産されるモノクローナル抗体であることが特に好ましい。「活性型リーリン」とは、N-t siteでの分解を受けていないリーリンを言い、「不活性型リーリン」とは、N-t siteでの分解を受けたリーリンを言う。
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための第2発明の構成は、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドに対して特異的に結合する抗体である、抗活性型リーリン抗体である。
上記課題を解決するための第2発明の構成は、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドに対して特異的に結合する抗体である、抗活性型リーリン抗体である。
上記の第2発明において、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列は、未解明であったリーリンタンパク質のN-t siteの分解部位を中心とする8個のアミノ酸配列であり、N-t siteでの分解は、このアミノ酸配列中のプロリン(Pro)とアラニン(Ala)との間で起こる。なお、配列表において後述するように、この8個のアミノ酸配列及びその分解部位は、実際にはマウスのリーリンから割り出したものであるが、ヒトのリーリンにおいても上記のアミノ酸配列及びその分解部位は全く同一である。
又、「(配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を)有する」とは、当該アミノ酸配列からなり、又は、このアミノ酸配列を一部に含むことを意味する。本願明細書の以下の記載においても、特定のアミノ酸配列又は塩基配列について「有する」と言うときは、同上の意味である。
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための第3発明の構成は、配列表の配列番号2に示すアミノ酸配列を有するH鎖可変領域と、配列表の配列番号3に示すアミノ酸配列を有するL鎖可変領域とを有するポリペプチドからなる抗体である、抗活性型リーリン抗体である。
上記課題を解決するための第3発明の構成は、配列表の配列番号2に示すアミノ酸配列を有するH鎖可変領域と、配列表の配列番号3に示すアミノ酸配列を有するL鎖可変領域とを有するポリペプチドからなる抗体である、抗活性型リーリン抗体である。
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための第4発明の構成は、配列表の配列番号2に示すアミノ酸配列に対して1〜数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列を有するH鎖可変領域と、配列表の配列番号3に示すアミノ酸配列に対して1〜数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列を有するL鎖可変領域とを有するポリペプチドからなり、以下の(1)、(2)の少なくとも一方に該当する抗体である、抗活性型リーリン抗体である。
上記課題を解決するための第4発明の構成は、配列表の配列番号2に示すアミノ酸配列に対して1〜数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列を有するH鎖可変領域と、配列表の配列番号3に示すアミノ酸配列に対して1〜数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列を有するL鎖可変領域とを有するポリペプチドからなり、以下の(1)、(2)の少なくとも一方に該当する抗体である、抗活性型リーリン抗体である。
(1)活性型リーリンに対して特異的に結合し、不活性型リーリンに対しては結合しない。
(2)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドに対して特異的に結合する。
上記の第4発明において、「配列表の配列番号2又は3に示すアミノ酸配列に対して1〜数個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列」の好ましい例として、アミノ酸の同類置換を挙げることができる。「同類置換」とは、ポリペプチドの機能が全体的に実質的に不変のまま維持されるように、所定のアミノ酸残基を化学的又は機能的に類似した別のアミノ酸残基で置換することを言う。化学的又は機能的に類似したアミノ酸の例示として、疎水性アミノ酸(Ala、Ile、Leu、Phe、Pro、Trp、Val、Met)同士、極性だが電荷のないアミノ酸(Asn、Cys、Gln、Gly、Ser、Thr、Tyr)同士、塩基性アミノ酸(Arg、His、Lys)同士、酸性アミノ酸(Asp、Glu)同士、等が挙げられる(E.E.Cornnら著、田宮信雄ら訳、「コーン・スタンプ生化学 第5版」東京化学同人刊、p56-58、1988)。
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための第5発明の構成は、配列表の配列番号4〜6に示すアミノ酸配列からなるCDR配列の全てを含むH鎖可変領域と、配列表の配列番号7〜9に示すアミノ酸配列からなるCDR配列の全てを含むL鎖可変領域とを有するポリペプチドからなる抗体である、抗活性型リーリン抗体である。
上記課題を解決するための第5発明の構成は、配列表の配列番号4〜6に示すアミノ酸配列からなるCDR配列の全てを含むH鎖可変領域と、配列表の配列番号7〜9に示すアミノ酸配列からなるCDR配列の全てを含むL鎖可変領域とを有するポリペプチドからなる抗体である、抗活性型リーリン抗体である。
上記の第5発明において、「(〜CDR配列の全てを)含む」とは、当該CDR配列の全てを一部に含むことを意味する。本願明細書の以下の記載においても、特定のアミノ酸配列又は塩基配列について「含む」と言うときは、同上の意味である。
(第6発明の構成)
上記課題を解決するための第6発明の構成は、以下(3)〜(8)のいずれかに該当する、核酸である。
上記課題を解決するための第6発明の構成は、以下(3)〜(8)のいずれかに該当する、核酸である。
(3)配列表の配列番号4に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
(4)配列表の配列番号5に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
(5)配列表の配列番号6に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
(6)配列表の配列番号7に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
(7)配列表の配列番号8に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
(8)配列表の配列番号9に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
上記の第6発明において、配列番号4〜9に示すアミノ酸配列をそれぞれコードする核酸は、第5発明に規定した6種のCDR配列をコードする核酸である。又、「核酸」とはセンス/アンチセンスDNA又はRNAや、ハイブリダイゼーション用プローブ、PCR用プライマー、融合遺伝子作製時における鋳型等を含む概念であり、1本鎖、2本鎖又は3本鎖のものを包含する。
(第7発明の構成)
上記課題を解決するための第7発明の構成は、第6発明に記載した(3)〜(8)の全ての塩基配列を含み、第1発明〜第5発明のいずれかに記載の抗活性型リーリン抗体をコードする、核酸である。
上記課題を解決するための第7発明の構成は、第6発明に記載した(3)〜(8)の全ての塩基配列を含み、第1発明〜第5発明のいずれかに記載の抗活性型リーリン抗体をコードする、核酸である。
上記の第7発明において、「核酸」とは、センス/アンチセンスDNA又はRNAを含む概念である。
(第8発明の構成)
上記課題を解決するための8発明の構成は、哺乳動物のミエローマ細胞と、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドで免疫された哺乳動物の脾細胞との融合によって作製され、第1発明〜第5発明のいずれかに記載の抗活性型リーリン抗体を生産する、ハイブリドーマ細胞である。
上記課題を解決するための8発明の構成は、哺乳動物のミエローマ細胞と、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドで免疫された哺乳動物の脾細胞との融合によって作製され、第1発明〜第5発明のいずれかに記載の抗活性型リーリン抗体を生産する、ハイブリドーマ細胞である。
上記の第8発明に係るハイブリドーマ細胞は、免疫すべきペプチドのアミノ酸配列が開示された状況下においては、専門家であれば技術常識に基づいて作製することが可能である。従って、第8発明に係るハイブリドーマ細胞については、いわゆる特許寄託を要しない。
(第9発明の構成)
上記課題を解決するための第9発明の構成は、第1発明〜第5発明のいずれかに記載の抗活性型リーリン抗体を用いた抗原−抗体反応により、被験試料中の活性型リーリンを測定する、活性型リーリン測定方法である。
上記課題を解決するための第9発明の構成は、第1発明〜第5発明のいずれかに記載の抗活性型リーリン抗体を用いた抗原−抗体反応により、被験試料中の活性型リーリンを測定する、活性型リーリン測定方法である。
(第10発明の構成)
上記課題を解決するための第10発明の構成は、第1発明〜第5発明のいずれかに記載の抗活性型リーリン抗体を含んで構成され、被験試料中の活性型リーリンを測定するために用いるものである、活性型リーリン測定用キットである。
上記課題を解決するための第10発明の構成は、第1発明〜第5発明のいずれかに記載の抗活性型リーリン抗体を含んで構成され、被験試料中の活性型リーリンを測定するために用いるものである、活性型リーリン測定用キットである。
第1発明の抗活性型リーリン抗体は、活性型リーリンに対して特異的に結合し不活性型リーリンに対しては結合しないため、この抗体を用いて、被験試料中の不活性型リーリンを検出することなく活性型リーリンのみを選択的に測定することができる。そのため、大量のサンプルについても、例えばマルチウエルプレートを用いて、簡便、迅速に活性型リーリンを選択的に測定することが可能になった。
第2発明に関して、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列は、従来は未解明であったリーリンタンパク質のN-t siteの分解部位の両側の各4個のアミノ酸配列であるため、第2発明の抗活性型リーリン抗体は、N-t siteでの分解を受けた不活性型リーリンに対しては結合せず、このサイトでの分解を受けていないN-t site非分解型リーリンに対して特異的に結合する。
N-t site非分解型リーリンは活性型であり、これには全長リーリンとC-t siteでの分子内分解のみを受けた分解型リーリンとが包含される。なお、前記のようにリーリンの分子内分解の大部分はN-t siteで起こり、C-t siteで起こる分解は比較的少ないため、C-t siteでの分子内分解のみを受けた分解型リーリンの存在は、測定誤差の範囲内として事実上無視することも可能である。
第3発明には、本発明に係る抗活性型リーリン抗体のH鎖可変領域とL鎖可変領域が規定されている。従って第3発明の抗活性型リーリン抗体も、第2発明の抗活性型リーリン抗体と同様の作用・効果を期待できる。
第4発明によって、第3発明の抗活性型リーリン抗体と機能が同等で、そのH鎖可変領域及びL鎖可変領域のアミノ酸配列において抗体機能に影響しない僅かな「配列の変更」を伴う抗活性型リーリン抗体が提供される。
第5発明には、本発明に係る抗活性型リーリン抗体のH鎖可変領域におけるCDR配列の全てとL鎖可変領域におけるCDR配列の全てが規定されている。従って第5発明の抗活性型リーリン抗体も、第2発明の抗活性型リーリン抗体と同様の作用・効果を期待できる。
第6発明及び第7発明に係るそれぞれの核酸、第8発明に係るハイブリドーマ細胞は、いずれも、本発明に係る抗活性型リーリン抗体の生産手段あるいは研究手段として極めて有用である。
第9発明によって、大量のサンプルについても、簡便、迅速に、不活性型リーリンを検出することなく活性型リーリンのみを選択的に測定することができる活性型リーリン測定方法が提供される。
第10発明によって、第9発明の活性型リーリン測定方法を有効に実施するための活性型リーリン測定用キットが提供される。
次に本発明の実施形態を、その最良の形態を含めて説明する。
〔抗活性型リーリン抗体〕
本発明に係る抗活性型リーリン抗体は以下の1)〜5)のいずれかに該当する抗体である。なお、リーリンタンパク質自体は周知であるため、本明細書では、そのアミノ酸配列等の説明を省略する。
本発明に係る抗活性型リーリン抗体は以下の1)〜5)のいずれかに該当する抗体である。なお、リーリンタンパク質自体は周知であるため、本明細書では、そのアミノ酸配列等の説明を省略する。
1)活性型リーリンに対して特異的に結合し、不活性型リーリンに対しては結合しない抗体である
2)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドに対して特異的に結合する抗体である。
2)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドに対して特異的に結合する抗体である。
3)配列表の配列番号2に示すアミノ酸配列を有するH鎖可変領域と、配列表の配列番号3に示すアミノ酸配列を有するL鎖可変領域とを有するポリペプチドからなる抗体である。
4)配列表の配列番号2に示すアミノ酸配列に対して1〜数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列を有するH鎖可変領域と、配列表の配列番号3に示すアミノ酸配列に対して1〜数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列を有するL鎖可変領域とを有するポリペプチドからなり、(1)活性型リーリンに対して特異的に結合し、不活性型リーリンに対しては結合しない、(2)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドに対して特異的に結合する、の少なくとも一方に該当する抗体である。
5)配列表の配列番号4〜6に示すアミノ酸配列からなるCDR配列の全てを含むH鎖可変領域と、配列表の配列番号7〜9に示すアミノ酸配列からなるCDR配列の全てを含むL鎖可変領域とを有するポリペプチドからなる抗体である。
上記の各種抗体には、ポリクロ−ナル抗体、モノクロ−ナル抗体が包含されるが、特にモノクロ−ナル抗体が好ましい。更に、これらの抗体には、検出・測定の目的のためにペルオキシダ−ゼ、β−D−ガラクトシダ−ゼ、アルカリフォスファタ−ゼ、グルコ−ス−6−リン酸脱水素酵素等の酵素、デルフィニウム等の蛍光標識、放射性同位元素標識または同位元素標識、ビオチン等を結合させた標識化抗活性型リーリン抗体も包含される。
〔核酸〕
本発明に係る核酸としては、上記した配列番号4〜6に示すアミノ酸配列からなるCDR配列、配列番号7〜9に示すアミノ酸配列からなるCDR配列をそれぞれコードする、以下(3)〜(8)のいずれかに該当する核酸が挙げられる。
本発明に係る核酸としては、上記した配列番号4〜6に示すアミノ酸配列からなるCDR配列、配列番号7〜9に示すアミノ酸配列からなるCDR配列をそれぞれコードする、以下(3)〜(8)のいずれかに該当する核酸が挙げられる。
(3)配列表の配列番号4に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
(4)配列表の配列番号5に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
(5)配列表の配列番号6に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
(6)配列表の配列番号7に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
(7)配列表の配列番号8に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
(8)配列表の配列番号9に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
更に本発明に係る核酸としては、上記した(3)〜(8)の全ての塩基配列を含み、前記のいずれかに記載した抗活性型リーリン抗体をコードする核酸も挙げられる。
これらの核酸には、上記に直接に規定するものの他、これらの核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、これらの核酸と同等の機能を示す核酸が含まれる。
ここに「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、コロニーハイブリダイゼーション法,プラークハイブリダイゼーション法又はサザンブロットハイブリダイゼーション法等の適宜なハイブリダイゼーション法において、以下の条件下で一方のポリヌクレオチド(DNA)又は該ポリヌクレオチドの断片に対し他方のポリヌクレオチド(DNA)がハイブリダイズできることを言う。
即ち、フィルターに固定化された一方のポリヌクレオチド又は該ポリヌクレオチドの断片に対し、0.7〜1MのNaClの存在下、所定温度(X°C)下で他方のポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍程度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム,15mMクエン酸ナトリウムよりなる)を用いてX°Cの条件下でフィルターを洗浄した場合に、他方のポリヌクレオチドを同定できることを言う。そして上記の「X°C」とは、少なくとも50°C以上であり、より好ましくは60°C以上であり、更に好ましくは65°C以上である。
〔ハイブリドーマ細胞〕
細胞融合によりハイブリドーマ細胞を構成すべきミエローマ細胞と、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドで免疫された脾細胞としては、ヒトを除く哺乳動物の細胞を用いることができる。哺乳動物としてはこの種の目的に常用されるサル,ラット,マウス等の哺乳動物が好ましい。ミエローマ細胞の系が確立され、扱い易いと言う理由から特にマウスが好ましい。
細胞融合によりハイブリドーマ細胞を構成すべきミエローマ細胞と、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドで免疫された脾細胞としては、ヒトを除く哺乳動物の細胞を用いることができる。哺乳動物としてはこの種の目的に常用されるサル,ラット,マウス等の哺乳動物が好ましい。ミエローマ細胞の系が確立され、扱い易いと言う理由から特にマウスが好ましい。
又、リーリンは血中をはじめ体内のいたるところに存在するため、普通の(正常な)マウスにリーリン由来のペプチドを免疫しても、「自己抗体」と認識されて排除されてしまう可能性が非常に高い。そこで、例えば、米国のJackson Lab.社が提供している「リーリン欠損マウス」の使用がとりわけ好ましい。
配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドで免疫された脾細胞を取得する方法、細胞融合によりハイブリドーマ細胞を取得する方法、ハイブリドーマ細胞を培養する方法、その培地から抗活性型リーリン抗体(モノクローナル抗体)を取得する方法等については、公知の各種の方法を任意に採用することができる。
〔活性型リーリン測定方法〕
本発明の活性型リーリン測定方法は、上記いずれかの抗活性型リーリン抗体を用いた抗原−抗体反応により、被験試料中の活性型リーリンを測定する方法である。その具体的な実施形態としては、この種の抗原−抗体反応を利用する公知の各種の方法を任意に採用することができ、特段に限定されない。
本発明の活性型リーリン測定方法は、上記いずれかの抗活性型リーリン抗体を用いた抗原−抗体反応により、被験試料中の活性型リーリンを測定する方法である。その具体的な実施形態としては、この種の抗原−抗体反応を利用する公知の各種の方法を任意に採用することができ、特段に限定されない。
被験試料としては、ヒト、哺乳動物、又はリーリン欠損症等に好適な表現型を示すモデル動物等から採取した血液その他の体液、これらの体液から調製した組成物(例えば、pH緩衝液による希釈物等)、あるいはこれらの凍結乾燥物等を任意に利用することができる。
〔活性型リーリン測定用キット〕
本発明の活性型リーリン測定用キットは、上記いずれかの抗活性型リーリン抗体を含んで構成され、被験試料中の活性型リーリンを測定するために用いるものである。
本発明の活性型リーリン測定用キットは、上記いずれかの抗活性型リーリン抗体を含んで構成され、被験試料中の活性型リーリンを測定するために用いるものである。
この測定用キットは、この種のキットが備えることがある必要又は有益な他の任意の構成要素、例えば希釈用の緩衝液その他の構成要素を備えることができる。
次に本発明の実施例を説明する。本発明の技術的範囲は以下の実施例によって限定されない。
(免疫)
配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドである抗原ペプチドの溶液(0.8mg/mL)200μLを、等量のフロイントアジュバントと氷上でSONIFIER250を用いてエッペンドルフチューブ内にて1分間超音波処理(output
15%、Duty Cycle 20%)を行い、エマルジョンとした。
配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドである抗原ペプチドの溶液(0.8mg/mL)200μLを、等量のフロイントアジュバントと氷上でSONIFIER250を用いてエッペンドルフチューブ内にて1分間超音波処理(output
15%、Duty Cycle 20%)を行い、エマルジョンとした。
このエマルジョンを別の注射器に1mL取り、投与抗原量が40μgとなるように、雌10週齢リーラーマウスの腹腔内に注射した。この操作を2週間毎に2回行い、ELISA法により抗体生産を確認した後、同マウスの腹腔内に抗原注射を行った。
(細胞の調製)
免疫終了後のマウス脾細胞を取り出し、1 wellあたり3 mLのDMEMが入ったNet
wellで5 mLのピストンを用いて細胞をほぐした。Net wellの下層を15mL tubeに移した後、各wellを等量のDMEMでwashして15mL tubeに移した。300gで10分間遠心分離した後、上清を捨て、10 mLのDMEMを加えサスペンドした。この操作を3回繰り返した後、細胞数をカウントした。
免疫終了後のマウス脾細胞を取り出し、1 wellあたり3 mLのDMEMが入ったNet
wellで5 mLのピストンを用いて細胞をほぐした。Net wellの下層を15mL tubeに移した後、各wellを等量のDMEMでwashして15mL tubeに移した。300gで10分間遠心分離した後、上清を捨て、10 mLのDMEMを加えサスペンドした。この操作を3回繰り返した後、細胞数をカウントした。
ミエローマ細胞については、37℃、5% CO2存在下、10cm dish内で培養していたミエローマ細胞(PAI細胞)をサスペンドして50 mL tubeに回収した。その後、1000 rpmで5分間遠心分離し上清を捨て、DMEM 10 mLを加え、細胞数をカウントした。
(ハイブリドーマの作製)
上記により調製された脾細胞とミエローマ細胞とを、10:1の細胞数割合で混合した後、1000 rpmで10分間遠心分離した後、上清を捨てPEG(polyethylene glycol 1500)をtubeの壁をつたわらせながら30秒かけて加えた。その後、3 mLのDMEMを30秒かけて加えた。その後FCSを30秒かけて加え1000 rpmで5分間遠心分離した。上清を捨ていわゆるHAT培地を20ml添加し1000
rpmで5分間遠心分離し上清を捨てた。その後、それぞれ5.0×105cells/
wellおよび2.5×105cells/
wellになるように適量のHAT培地を加えサスペンドした。サスペンド後、あらかじめ100μL/wellのHAT培地を入れ、37℃、5%、CO2存在下に反応させておいた96well plate に、100μL/wellで播種した。
上記により調製された脾細胞とミエローマ細胞とを、10:1の細胞数割合で混合した後、1000 rpmで10分間遠心分離した後、上清を捨てPEG(polyethylene glycol 1500)をtubeの壁をつたわらせながら30秒かけて加えた。その後、3 mLのDMEMを30秒かけて加えた。その後FCSを30秒かけて加え1000 rpmで5分間遠心分離した。上清を捨ていわゆるHAT培地を20ml添加し1000
rpmで5分間遠心分離し上清を捨てた。その後、それぞれ5.0×105cells/
wellおよび2.5×105cells/
wellになるように適量のHAT培地を加えサスペンドした。サスペンド後、あらかじめ100μL/wellのHAT培地を入れ、37℃、5%、CO2存在下に反応させておいた96well plate に、100μL/wellで播種した。
培養7日後、培養上清を50μl回収し抗原ペプチドを抗原としたELISA法により抗体価を測定した。その結果を表1に示す。表1において、「5.0×10^5cells/well」と表記したテーブルは上記の5.0×105 cells/wellとした群を示し、「2.5×10^5cells/well」と表記したテーブルは上記の2.5×105 cells/wellとした群を示す。また、表1中の縦方向の「A」〜「H」の区分は96well plateの「A」〜「H」を示し、横方向の「1」〜「12」の区分は96well
plateの「1」〜「12」を示す。これらの内、H12ではポジティブコントロールとして免疫終了後のマウスの血清を用いた。
plateの「1」〜「12」を示す。これらの内、H12ではポジティブコントロールとして免疫終了後のマウスの血清を用いた。
Penicillin + 50 mg/mL Streptomycinを含むOpti-MEMに培地を交換し、37℃、5%CO2存在下で培養した。48h後に0.45μm滅菌フィルターおよび、5mLシリンジを用いて上清を回収し、上清と4×SDS sumpling bufferを3:1で混合しサンプル化した。
サンプルを1レーンあたり30μL注ぎ、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)により分離し、セミドライ式転写機(Trans-blot SD cell、Bio-Red)を用いてPVDF膜(Millipore)に転写した。転写後のPVDF膜は5%スキムミルク(森永乳業)in TBSTで30分間ブロッキングを行った。ブロッキング後、PVDF膜と、表1で抗体価が0.400以上と比較的高かった各クローンから得られた抗体とを室温で2時間インキュベートした。その後、PVDF膜をTBSTで5分間×4回洗浄し、HRP標識された二次抗体を含む5%スキムミルク in TBSTを室温で1時間インキュベートした。そして、PVDF膜をTBSTで5分間×4回洗浄し、Immobilon Western Chemiluminescent HRP
Substrate(Millipore)を用い可視化し、LAS4000(GE Healthcare)にて発光を検出した。その結果、特に活性型リーリンと特異的に結合したのが、表1の「2.5 cells/well」と表記したテーブル中の「F3」のクローンである。このクローンを「2F3株」と名付けた。
(マウスハイブリドーマ細胞からのmRNAの抽出)
培養されたハイブリドーマ細胞2F3株の細胞4.2×106個から、mRNA精製用の RNeasy Protect Mini Kit(QIAGEN社)を用いて、mRNAの抽出を行った。細胞をRLTバッファー350μLに溶解しシリンジ内でホモジナイズした後、等量の70%エタノールを添加したその後、RNeasyスピンカラムに移して10400 rpmで15秒間遠心分離し、その下層の液を除去した。RW1バッファー700μLをRNeasyスピンカラムに添加し、10400 rpmで15秒間遠心分離し、その下層の液を除去した。その後、RPEバッファー500μLをRNeasyスピンカラムに添加し、10400 rpmで15秒間遠心分離し、その下層の液を除去するという操作を2回繰り返した。そして、RNase freeの滅菌水を50μL RNeasyスピンカラムに添加し、10400 rpmで1分間遠心分離しmRNAを溶出した。その結果、43.4μgのmRNAを取得した。
Substrate(Millipore)を用い可視化し、LAS4000(GE Healthcare)にて発光を検出した。その結果、特に活性型リーリンと特異的に結合したのが、表1の「2.5 cells/well」と表記したテーブル中の「F3」のクローンである。このクローンを「2F3株」と名付けた。
(マウスハイブリドーマ細胞からのmRNAの抽出)
培養されたハイブリドーマ細胞2F3株の細胞4.2×106個から、mRNA精製用の RNeasy Protect Mini Kit(QIAGEN社)を用いて、mRNAの抽出を行った。細胞をRLTバッファー350μLに溶解しシリンジ内でホモジナイズした後、等量の70%エタノールを添加したその後、RNeasyスピンカラムに移して10400 rpmで15秒間遠心分離し、その下層の液を除去した。RW1バッファー700μLをRNeasyスピンカラムに添加し、10400 rpmで15秒間遠心分離し、その下層の液を除去した。その後、RPEバッファー500μLをRNeasyスピンカラムに添加し、10400 rpmで15秒間遠心分離し、その下層の液を除去するという操作を2回繰り返した。そして、RNase freeの滅菌水を50μL RNeasyスピンカラムに添加し、10400 rpmで1分間遠心分離しmRNAを溶出した。その結果、43.4μgのmRNAを取得した。
(cDNAの合成)
上記のように取得したハイブリドーマ細胞2F3株のmRNAから、cDNA合成用のPrimeScript Reverse
Transcriptae(タカラバイオ株式会社)を用いてcDNAの合成を行った。Oligo-dTプライマー1μL,dNTP(2.5mM)4μL,上記2F3株のmRNA4.3μgを混合後、65℃
5分間保温後氷上で急冷した。その後、反応液5×バッファー4μL,RNase 阻害剤0.5μL,AMV(Avian Myeloblastosis Virus)由来の逆転写酵素(5U/μL)1μLを加え、RNase freeの滅菌水により20μLとした。
上記のように取得したハイブリドーマ細胞2F3株のmRNAから、cDNA合成用のPrimeScript Reverse
Transcriptae(タカラバイオ株式会社)を用いてcDNAの合成を行った。Oligo-dTプライマー1μL,dNTP(2.5mM)4μL,上記2F3株のmRNA4.3μgを混合後、65℃
5分間保温後氷上で急冷した。その後、反応液5×バッファー4μL,RNase 阻害剤0.5μL,AMV(Avian Myeloblastosis Virus)由来の逆転写酵素(5U/μL)1μLを加え、RNase freeの滅菌水により20μLとした。
上記反応液の作製後、42℃で60分間伸長反応を行い、70℃,15分間で酵素を失活させた後、氷上で5分間冷した。
(PCR法による抗体遺伝子の増幅)
抗体遺伝子の可変領域は、H鎖,L鎖共にN末端、C末端にそれぞれ相同性を保持していることが知られている。そこで、この相同性を基にPCRプライマーの設計を行った。PCRプライマーの塩基配列は、H鎖N末端が配列表の配列番号10、H鎖C末端が配列表の配列番号11、L鎖N末端が配列表の配列番号12、L鎖C末端が配列表の配列番号13に、それぞれ示す通りのものとした。これらのPCRプライマーを用いて、日本バイオラッドラポラトリーズ社製のPCR装置を利用して、PCR法によりH鎖,L鎖の遺伝子増幅を行った。
抗体遺伝子の可変領域は、H鎖,L鎖共にN末端、C末端にそれぞれ相同性を保持していることが知られている。そこで、この相同性を基にPCRプライマーの設計を行った。PCRプライマーの塩基配列は、H鎖N末端が配列表の配列番号10、H鎖C末端が配列表の配列番号11、L鎖N末端が配列表の配列番号12、L鎖C末端が配列表の配列番号13に、それぞれ示す通りのものとした。これらのPCRプライマーを用いて、日本バイオラッドラポラトリーズ社製のPCR装置を利用して、PCR法によりH鎖,L鎖の遺伝子増幅を行った。
反応液は、H鎖,L鎖のいずれについても、上記でcDNAを合成した反応液を鋳型として1μL、上記H鎖又はL鎖のN末端及びC末端プライマーを各20 p mol、10×PCRバッファー(タカラバイオ社製)を5μL,2.5mMのdNTPを3μL,DNA合成酵素
Ex Taq(タカラバイオ社製)を0.5μL用い、これらに滅菌水を加えて50μLとした。
Ex Taq(タカラバイオ社製)を0.5μL用い、これらに滅菌水を加えて50μLとした。
PCR法の条件は、解離反応を94℃で1分、アニーリング反応を45℃で1分、伸長反応を72℃で2分とし、これらを30サイクル行った。
こうして得られたPCR反応液の電気泳動を行った処、目的の位置約350 bp にバンドを確認することができた。
(抗体遺伝子のクローニング)
PCR法により増幅したH鎖,L鎖の遺伝子をそれぞれpGEM-T Easyベクター(Promega社製)に挿入し、クローニングした。
PCR法により増幅したH鎖,L鎖の遺伝子をそれぞれpGEM-T Easyベクター(Promega社製)に挿入し、クローニングした。
(抗体遺伝子の塩基配列決定)
クローニングした株を、PCR後目的の遺伝子が増幅されることを指標としてコロニーPCRにより選択した後、それらの株からプラスミドを抽出し、塩基配列の決定を行った。
クローニングした株を、PCR後目的の遺伝子が増幅されることを指標としてコロニーPCRにより選択した後、それらの株からプラスミドを抽出し、塩基配列の決定を行った。
その結果、H鎖可変領域は配列表の配列番号2に示す504塩基(168アミノ酸)、L鎖可変領域は配列表の配列番号3に示す390塩基(130アミノ酸)で構成されていることが推定された。又、相同領域の配列及び分子量から、cDNAのこれらの塩基配列はIgGモノクローナル抗体のH鎖,L鎖をコードしていると判断された。
なお、配列番号2の塩基配列における塩基番号163〜183(H1領域)、塩基番号226〜273(H2領域)、塩基番号370〜381(H3領域)、及び、配列番号3の塩基配列における塩基番号94〜144(L1領域)、塩基番号190〜210(L2領域)、塩基番号307〜333(L3領域)の各領域は、前記Kabatのデータベースの超可変領域に相当する部分であり、抗原との結合を決定付ける領域を示す。
(抗体の評価)
実験方法
70〜80%コンフルエント状態のHEK293T細胞(35 mm dishで培養)の培地をOpti-MEM(Invitrogen)に置換し、pCrl(pcDNA3にリーリンのcDNA全長を挿入したベクター)2.5μgと5μLのLipofectamine 2000(Invitrogen)を用いてトランスフェクションを行った。5時間後、50 Units/mL
Penicillin + 50 mg/mL Streptomycinを含むOpti-MEMに培地を交換し、37℃、5%CO2存在下で培養した。48h後に0.45μm滅菌フィルターおよび、5mLシリンジを用いて上清を回収し、上清と4×SDS sumpling bufferを3:1で混合しサンプル化した。
実験方法
70〜80%コンフルエント状態のHEK293T細胞(35 mm dishで培養)の培地をOpti-MEM(Invitrogen)に置換し、pCrl(pcDNA3にリーリンのcDNA全長を挿入したベクター)2.5μgと5μLのLipofectamine 2000(Invitrogen)を用いてトランスフェクションを行った。5時間後、50 Units/mL
Penicillin + 50 mg/mL Streptomycinを含むOpti-MEMに培地を交換し、37℃、5%CO2存在下で培養した。48h後に0.45μm滅菌フィルターおよび、5mLシリンジを用いて上清を回収し、上清と4×SDS sumpling bufferを3:1で混合しサンプル化した。
サンプルを1レーンあたり30μL注ぎ、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)により分離し、セミドライ式転写機(Trans-blot SD cell、Bio-Red)を用いてPVDF膜(Millipore)に転写した。転写後のPVDF膜は5%スキムミルク(森永乳業)in TBSTで30分間ブロッキングを行った。ブロッキング後、PVDF膜と一次抗体を含む5%スキムミルク in TBSTとを室温で2時間インキュベートした。その後、PVDF膜をTBSTで5分間×4回洗浄し、HRP標識された二次抗体を含む5%スキムミルク in TBSTを室温で1時間インキュベートした。そして、PVDF膜をTBSTで5分間×4回洗浄し、Immobilon Western
Chemiluminescent HRP Substrate(Millipore)を用い可視化し、LAS4000(GE Healthcare)にて発光を検出した。
Chemiluminescent HRP Substrate(Millipore)を用い可視化し、LAS4000(GE Healthcare)にて発光を検出した。
抗体
一次抗体として、市販のマウス抗リーリンN末端認識モノクローナル抗体 G10(1:3000 Millipore)と、2F3株から得られた抗体(2F3抗体)を用いた。又、二次抗体としてAnti-mouse IgG HRP-linked antibody(1:4000、GE Healthcare)を用いた。
一次抗体として、市販のマウス抗リーリンN末端認識モノクローナル抗体 G10(1:3000 Millipore)と、2F3株から得られた抗体(2F3抗体)を用いた。又、二次抗体としてAnti-mouse IgG HRP-linked antibody(1:4000、GE Healthcare)を用いた。
結果
評価の結果を述べる前に、図1に基づいて簡単な説明を行う。図1の上段には図案化された全長リーリンと、そのN-t site及びC-t siteが示されている。図1の中段に示す「NR6」とは、全長リーリンがC-t siteで切断された場合におけるアミノ末端側の断片であり、図1の下段に示す「NR2」とは、全長リーリンがN-t siteで切断された場合におけるアミノ末端側の断片である。従って、全長リーリン、NR2断片及びNR6断片の全てを認識する抗体は、活性型リーリンと不活性リーリンとを区別なく認識する抗体である。これに対して、全長リーリンとNR6断片を認識するが、NR2断片を認識しない抗体は、活性型リーリンのみを認識する抗体である。
評価の結果を述べる前に、図1に基づいて簡単な説明を行う。図1の上段には図案化された全長リーリンと、そのN-t site及びC-t siteが示されている。図1の中段に示す「NR6」とは、全長リーリンがC-t siteで切断された場合におけるアミノ末端側の断片であり、図1の下段に示す「NR2」とは、全長リーリンがN-t siteで切断された場合におけるアミノ末端側の断片である。従って、全長リーリン、NR2断片及びNR6断片の全てを認識する抗体は、活性型リーリンと不活性リーリンとを区別なく認識する抗体である。これに対して、全長リーリンとNR6断片を認識するが、NR2断片を認識しない抗体は、活性型リーリンのみを認識する抗体である。
上記の評価の結果、図2に示すように、G10抗体ではNR2のバンドが検出できるのに対し、2F3抗体ではNR2バンドは検出されなかった。このことから、2F3抗体はN-t siteで分解がおきていないリーリン、即ち活性型リーリンのみを認識すると考えられる。
本発明により、大量のサンプルであっても簡便、迅速に活性型リーリンを選択的に測定できる手段が提供される。
Claims (10)
- 活性型リーリンに対して特異的に結合し、不活性型リーリンに対しては結合しない抗体であることを特徴とする抗活性型リーリン抗体。
- 配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドに対して特異的に結合する抗体であることを特徴とする抗活性型リーリン抗体。
- 配列表の配列番号2に示すアミノ酸配列を有するH鎖可変領域と、配列表の配列番号3に示すアミノ酸配列を有するL鎖可変領域とを有するポリペプチドからなる抗体であることを特徴とする抗活性型リーリン抗体。
- 配列表の配列番号2に示すアミノ酸配列に対して1〜数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列を有するH鎖可変領域と、配列表の配列番号3に示すアミノ酸配列に対して1〜数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列を有するL鎖可変領域とを有するポリペプチドからなり、以下の(1)、(2)の少なくとも一方に該当する抗体であることを特徴とする抗活性型リーリン抗体。
(1)活性型リーリンに対して特異的に結合し、不活性型リーリンに対しては結合しない。
(2)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドに対して特異的に結合する。 - 配列表の配列番号4〜6に示すアミノ酸配列からなるCDR配列の全てを含むH鎖可変領域と、配列表の配列番号7〜9に示すアミノ酸配列からなるCDR配列の全てを含むL鎖可変領域とを有するポリペプチドからなる抗体であることを特徴とする抗活性型リーリン抗体。
- 以下(3)〜(8)のいずれかに該当することを特徴とする核酸。
(3)配列表の配列番号4に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
(4)配列表の配列番号5に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
(5)配列表の配列番号6に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
(6)配列表の配列番号7に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
(7)配列表の配列番号8に示すアミノ酸配列をコードする核酸。
(8)配列表の配列番号9に示すアミノ酸配列をコードする核酸。 - 請求項6に記載の(3)〜(8)の全ての塩基配列を含み、第1発明〜第5発明のいずれかに記載の抗活性型リーリン抗体をコードすることを特徴とする核酸。
- 哺乳動物のミエローマ細胞と、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドで免疫された哺乳動物の脾細胞との融合によって作製され、請求項1〜5のいずれかに記載の抗活性型リーリン抗体を生産することを特徴とするハイブリドーマ細胞。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の抗活性型リーリン抗体を用いた抗原−抗体反応により、被験試料中の活性型リーリンを測定することを特徴とする活性型リーリン測定方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の抗活性型リーリン抗体を含んで構成され、被験試料中の活性型リーリンを測定するために用いるものであることを特徴とする活性型リーリン測定用キット。
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