(実施形態1)
本実施形態の電磁石装置10を図1ないし図3に基づいて説明する。なお、各図では、同じ部材に対して、同じ番号を付している。
本実施形態の電磁石装置10は、電磁コイル1と、強磁性の剛体よりなる可動鉄芯2と、可動鉄芯2を収容し可動鉄芯2と磁気的に結合する入れ子3とを備えている。電磁コイル1は、空隙10aを介して、対向配置した一対の端部11a,11bを有する継鉄11を備えている。電磁コイル1は、継鉄11と磁気的に結合するコイル12を備えている。可動鉄芯2は、一対の端部11a,11bの間を移動可能としている。
入れ子3は、一方の端部11a側と空間10bを介して継鉄11と磁気的に結合可能としている。空間10bにおける入れ子3の主磁路形成部端3dと一方の端部11a側との間隙の最短距離G1は、可動鉄芯2と入れ子3との隙間の最長距離G2以上としている。また、間隙の最短距離G1は、隙間の最長距離G2と、電磁コイル1の消磁状態における可動鉄芯2の移動方向に沿った可動鉄芯2と一方の端部11a側との距離STとの和以下としている。
これにより本実施形態の電磁石装置10は、動作音の発生を抑制することが可能となる。
以下、より具体的な本実施形態の電磁石装置10について説明する。
本実施形態の電磁石装置10では、電磁コイル1は、励磁用巻線たるコイル12と、コイル12が巻装されたコイルボビン12aとを備えている。コイルボビン12aは、たとえば、芳香族ポリエステルなどの液晶ポリマからなる合成樹脂材料を用いて形成することができる。なお、コイルボビン12aは、コイル12が巻回される円筒部12cと、円筒部12cの両端部から外方に突出する鍔部12d,12eとを有している。
電磁コイル1は、コイル12と磁気的に結合する継鉄11を備えている。継鉄11は、継鉄11の材料として、たとえば、磁性金属材料たる鉄を用いて形成することができる。継鉄11は、断面視において、空隙10aを介して対向配置した一対の端部11a,11bを有するC字状に形成している。継鉄11は、たとえば、1枚の板を折り曲げ加工することにより連続一体的に形成することができる。電磁コイル1は、継鉄11の一部をコイルボビン12aの円筒部12cに挿通している。電磁コイル1は、コイル12へ通電できるように、コイル12の両端と外部の一対のリード線とを各別に電気的に接続可能としている。
電磁石装置10は、継鉄11の一対の端部11a,11b間において、一方の端部11a側と対向して円柱状の可動鉄芯2を設けている。可動鉄芯2は、コイル12により生ずる磁束を通す材料により形成している。可動鉄芯2は、可動鉄芯2の材料として、たとえば、ケイ素鋼、パーマロイやフェライトなどを用いることができる。電磁石装置10は、円柱状の可動鉄芯2を収容する円筒状の入れ子3を備えている。可動鉄芯2は、可動鉄芯2の外径が入れ子3の内径よりも若干小さい円柱状に形成している。また、可動鉄芯2は、入れ子3の軸方向に沿って移動することができるように構成している。電磁コイル1は、コイル12への通電に伴い電磁力を生じる。電磁石装置10は、電磁コイル1の電磁力により、可動鉄芯2を移動させることが可能としている。すなわち、電磁石装置10は、電磁エネルギを機械的な運動に変換している。
本実施形態の電磁石装置10では、一方の端部11a側から離れた初期位置と、一方の端部11aに可動鉄芯2が当接する終端位置との間で可動鉄芯2が移動可能なように可動鉄芯2の移動範囲を設定している。なお、本実施形態の電磁石装置10では、電磁コイル1のコイル12への通電を行わない消磁状態において、可動鉄芯2が初期位置にある。また、本実施形態の電磁石装置10では、電磁コイル1のコイル12への通電により励磁状態とすることで、可動鉄芯2を終端位置に移動することができる。
入れ子3は、可動鉄芯2の移動を案内する。入れ子3は、可動鉄芯2と磁気的に結合する。入れ子3は、継鉄11の他方の端部11bに固着している。入れ子3は、可動鉄芯2と同様に、コイル12により生ずる磁束を通す材料により形成している。入れ子3は、入れ子3の材料として、たとえば、ケイ素鋼、パーマロイやフェライトなどを用いることができる。入れ子3は、可動鉄芯2と同じ材料を用いて構成してもよし、異なる材料を用いて構成してもよい。電磁石装置10は、継鉄11、入れ子3および可動鉄芯2が、コイル12により生じる磁束を通す磁路を形成している。言い換えれば、本実施形態の電磁石装置10は、入れ子3が継鉄11、可動鉄芯2と共に磁気回路を形成している。
本実施形態の電磁石装置10では、入れ子3が継鉄11の一対の端部11a,11b間における主となる磁路を形成する主磁路形成部3d1を備えている。したがって、入れ子3の主磁路形成部端3dとは、円筒状の入れ子3における継鉄11の一方の端部11a側の端を示している。
可動鉄芯2は、可動鉄芯2の一端側に可動軸5を結合している。可動軸5は、可動鉄芯2の移動方向(図1の上下方向)に長い丸棒状に形成している。可動軸5は、非磁性材料にて形成することができる。可動軸5は、可動軸5の先端部を可動鉄芯2と結合して固定している。電磁石装置10は、可動鉄芯2の移動により、可動鉄芯2に結合した可動軸5を可動させることができる。
電磁石装置10は、可動鉄芯2と継鉄11の他方の端部11bとの間に、可動鉄芯2を初期位置に復帰させる向きにばね力を有した復帰ばね6を備えている。復帰ばね6は、コイルばねにより構成している。復帰ばね6は、円筒状の入れ子3の内部に収納している。復帰ばね6は、可動鉄芯2の一端と反対の他端側と、継鉄11の他方の端部11b側との間に設けている。復帰ばね6は、復帰ばね6の一端側が可動鉄芯2と固着している。復帰ばね6は、復帰ばね6の一端と反対の他端側が、継鉄11の他方の端部11bと固着している。復帰ばね6は、可動鉄芯2が終端位置側に移動したときに、復帰ばね6が伸張して復帰ばね6が他方の端部11b側に復帰するように弾性付勢する。そのため、復帰ばね6は、継鉄11の一方の端部11a側への可動鉄芯2の移動を抑制している。
本実施形態の電磁石装置10は、可動鉄芯2が初期位置にあるときには可動鉄芯2と継鉄11の一方の端部11a側とが互いに離間している。電磁石装置10は、可動鉄芯2が終端位置にあるときには可動鉄芯2と継鉄11の一方の端部11a側とが接触する。本実施形態の電磁石装置10は、コイル12への通電により、可動鉄芯2が継鉄11の一方の端部11a側に吸引されて終端位置に移動する。電磁石装置10は、コイル12への通電を停止すると、復帰ばね6により可動鉄芯2が初期位置に復帰する。
入れ子3は、一方の端部11a側と空間10bを介して継鉄11と磁気的に結合可能としている。本実施形態の電磁石装置10では、空間10bにおける入れ子3と一方の端部11a側との間隙の最短距離G1は、可動鉄芯2と入れ子3との隙間の最長距離G2以上としている。また、間隙の最短距離G1は、隙間の最長距離G2と、電磁コイル1の消磁状態における可動鉄芯2の移動方向に沿った可動鉄芯2と一方の端部11a側との距離STとの和以下としている。入れ子3は、間隙の最短距離G1、隙間の最長距離G2および距離STを上述の関係にした特定形状とすることにより、可動鉄芯2が終端位置に移動し可動鉄芯2と一方の端部11a側との当接による衝撃を緩和させることが可能となる。
入れ子3は、図2(a)に示すように、たとえば、入れ子3と一方の端部11a側との間隙の最短距離G1を、可動鉄芯2と入れ子3との隙間の最長距離G2と同じとすることができる。なお、図2(a)は、電磁コイル1の消磁状態における電磁石装置10の部分的な断面図を示している。この場合、間隙の最短距離G1は、隙間の最長距離G2と、電磁コイル1の消磁状態における可動鉄芯2の移動方向に沿った可動鉄芯2と一方の端部11a側との距離STとの和より小さくなる。入れ子3は、入れ子3の軸方向の長さL1が最も長くなる。
また、入れ子3は、図2(b)に示すように、たとえば、入れ子3と一方の端部11a側との間隙の最短距離G1を、可動鉄芯2と入れ子3との隙間の最長距離G2より大きくする。図2(b)は、電磁コイル1の消磁状態における電磁石装置10の部分的な断面図を示している。また、間隙の最短距離G1は、隙間の最長距離G2と、電磁コイル1の消磁状態における可動鉄芯2の移動方向に沿った可動鉄芯2と一方の端部11a側との距離STとの和と同じにすることができる。この場合、入れ子3は、入れ子3の軸方向の長さL2が最も短くなる。
次に、本実施形態の電磁石装置10の動作特性について図3を用いて説明する。図3では、電磁コイル1による可動鉄芯2への吸引力Fと、可動鉄芯2の移動方向における可動鉄芯2の位置との関係を示している。
電磁石装置10では、可動鉄芯2の移動方向に沿った可動鉄芯2と一方の端部11a側との距離が最大となる初期位置において、可動鉄芯2と入れ子3との静止摩擦力SFが最も大きくなる(図3中の太い一点鎖線を参照)。また、電磁石装置10では、電磁コイル1の励磁状態において、可動鉄芯2の移動に伴い復帰ばね6のばね力、可動鉄芯2周囲の流体の流れが引き起こす流体力や可動鉄芯2の入れ子3との動摩擦力などによる動作抵抗力MRが生じる(図3中の細い破線を参照)。
電磁石装置10では、電磁コイル1の電磁力により生じた移動鉄芯2への吸引力Fが静止摩擦力SFや動作抵抗力MRを上回れば、移動鉄芯2を一方の端部11a側に移動させることができる。
ここで、継鉄11と磁気的に結合していない入れ子を備えた比較のための電磁石装置では、可動鉄芯2が一方の端部11a側に近づくにつれ吸引力Fが急激に上昇する傾向にある(図3中の破線Bを参照)。本実施形態の電磁石装置10は、継鉄11と磁気的に結合する入れ子3を上述の特定形状とすることにより、比較のための電磁石装置と比較して、可動鉄芯2が一方の端部11a側と当接する終端位置での吸引力Fを低下させている(図3中の実線Aを参照)。また、電磁石装置10は、初期位置での吸引力Fを、比較のための電磁石装置と同程度とすることができる。さらに、電磁石装置10は、継鉄11と磁気的に結合した特定形状の入れ子3を他方の端部11bに備えることにより、可動鉄芯2の移動に伴い吸引力Fの変動を抑制し、安定した吸引力Fを確保することも可能となる。
本実施形態の電磁石装置10は、電磁コイル1の励磁状態において、電磁コイル1のコイル12と磁気的に結合する継鉄11の他方の端部11b、入れ子3、可動鉄芯2を経由して継鉄11の一方の端部11a側に磁束が形成される磁気回路が形成されている。
本実施形態の電磁石装置10は、継鉄11と磁気的に結合する入れ子3を特定形状とすることにより、可動鉄芯2を経由しない入れ子3と継鉄11の一方の端部11a側との間の磁気抵抗を低減している。電磁石装置10は、入れ子3と継鉄11の一方の端部11a側との間の磁気抵抗を低減することにより、可動鉄芯2に加わる終端位置での吸引力Fを低減させることができる。電磁石装置10は、終端位置での吸引力Fを低減させることにより、可動鉄芯2が一方の端部11a側に衝突する瞬間の速度を低減させている。本実施形態の電磁石装置10は、可動鉄芯2が一方の端部11a側に衝突する瞬間の速度を低減させることにより、動作音をより小さくさせることが可能となる。また、本実施形態の電磁石装置10は、可動鉄芯2が一方の端部11a側に衝突する瞬間の速度を低減させることにより、可動鉄芯2が一方の端部11a側で衝突後に跳ね返りが生ずることを抑制することが可能となる。
以下、本実施形態の電磁石装置10に用いられる各構成について詳述する。
電磁コイル1は、継鉄11と、継鉄11と磁気的に結合するコイル12とを備えている。継鉄11は、電磁石装置10の電磁力により生ずる吸着力を増強することが可能なものである。継鉄11は、空隙10aを介して、対向配置した一対の端部11a,11bを有している。継鉄11は、磁気的に結合したコイル12からの磁力線が透入し、一対の端部11a,11b間でN極とS極とを近づけさせることが可能となる。継鉄11は、継鉄11の材料として、たとえば、炭素の含有量が0.5%以下の鉄などの軟鉄、鋼や所定量の珪素を添加した電磁鋼などを用いることができる。継鉄11は、断面視において、一対の端部11a,11bを備えたC字形状とすることができる。継鉄11は、C字形状だけに限られない。また、継鉄11は、一対の端部11a,11bを備えていればよく、一対の端部11a,11bを一体として備えたものだけに限られない。継鉄11は、複数の部材を接合して一対の端部11a,11bを備えた構成とするものでもよい。
可動鉄芯2は、一対の端部11a,11bの間を移動可能なものである。可動鉄芯2は、磁束を通す強磁性の剛体より形成することができる。可動鉄芯2は、可動鉄芯2の材料として、たとえば、鉄、コバルト、ニッケル、ケイ素鋼、パーマロイやフェライトなどを用いることができる。可動鉄芯2は、たとえば、円柱状に形成することができる。可動鉄芯2は、円柱状だけに限られず、角柱状や立方体など種々の形状のものを用いることができる。
入れ子3は、可動鉄芯2を収容可能なものである。入れ子3は、たとえば、円筒状の形状に形成することができる。入れ子3は、円筒状だけに限られず、角筒状など可動鉄芯2の外形形状に合わせて種々の形状とすることができる。入れ子3は、筒状に形成する場合、内形を内部に収納する可動鉄芯2の外形と相似形で若干大きな形状とすることが好ましい。入れ子3は、可動鉄芯2と磁気的に結合可能なものである。入れ子3は、可動鉄芯2の近傍に設けることにより磁気的に結合することが可能となる。入れ子3は、可動鉄芯2と磁気的に結合可能であればよく、入れ子3と可動鉄芯2との間に別の部材が設けられていてもよい。入れ子3は、入れ子3の主磁路形成部端3dと、一方の端部11a側と空間10bを介して継鉄11と磁気的に結合している。入れ子3は、入れ子3の材料として、たとえば、鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウム、鉄合金、ニッケル合金やコバルト合金などを用いることができる。
(実施形態2)
図4に示す本実施形態の電磁石装置10は、図1に示す実施形態1の一方の端部11a側に固定鉄芯4を備えた点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して適宜に説明を省略している。
本実施形態の電磁石装置10では、図4および図5に示すように、一方の端部11a側には、継鉄11と磁気的に結合する固定鉄芯4を備えており、上記間隙は、固定鉄芯4と入れ子3の主磁路形成部端3dとの間隔であり、距離STは、電磁コイル1の消磁状態における可動鉄芯2の移動方向に沿った固定鉄芯4と可動鉄芯2との間隔である。
より具体的には、本実施形態の電磁石装置10は、電磁コイル1の消磁状態において、図5(a)に示すように、たとえば、入れ子3の主磁路形成部端3dと固定鉄芯4との間隙の最短距離G1を、可動鉄芯2と入れ子3との隙間の最長距離G2と同じとすることができる。なお、図5(a)は、電磁コイル1の消磁状態における電磁石装置10の部分的な断面図を示している。この場合、間隙の最短距離G1は、隙間の最長距離G2と、電磁コイル1の消磁状態における可動鉄芯2の移動方向に沿った可動鉄芯2と固定鉄芯4との距離STとの和より小さい。そのため、本実施形態の電磁石装置10では、入れ子3の軸方向の長さL3が最も長くなる。
また、本実施形態の電磁石装置10は、図5(b)に示すように、たとえば、入れ子3の主磁路形成部端3dと固定鉄芯4との間隙の最短距離G1を、可動鉄芯2と入れ子3との隙間の最長距離G2より大きくしている。図5(b)は、電磁コイル1の消磁状態における電磁石装置10の部分的な断面図を示している。さらに、電磁石装置10は、間隙の最短距離G1を、隙間の最長距離G2と、電磁コイル1の消磁状態における可動鉄芯2の移動方向に沿った可動鉄芯2と固定鉄芯4側との距離STとの和にすることができる。この場合、本実施形態の電磁石装置10では、入れ子3の軸方向の長さL4が最も短くなる。
これにより、本実施形態の電磁石装置10は、実施形態1と同様に、動作音の発生をより抑制することが可能となる。
本実施形態の電磁石装置10では、図6に示すように、可動鉄芯2と入れ子3との隙間がいずれの位置でも均一となるものだけに限られない。本実施形態の電磁石装置10は、図7に示すように、可動鉄芯2と入れ子3との隙間が不均一な状態においても、動作音の発生を抑制することが可能となる。なお、図6では、電磁石装置10の要部の略断面を図6(a)に示し、可動鉄芯2の移動方向と垂直な方向における可動鉄芯2と入れ子3との配置関係を図6(b)に示している。同様に、図7では、電磁石装置10の要部の略断面を図7(a)に示し、可動鉄芯2の移動方向と垂直な方向における可動鉄芯2と入れ子3との配置関係を図7(b)に示している。
本実施形態の電磁石装置10では、固定鉄芯4は、継鉄11の一方の端部11a側に固定している。固定鉄芯4は、磁束を通す強磁性の剛体より形成することができる。固定鉄芯4は、固定鉄芯4の材料として、たとえば、鉄、コバルト、ニッケル、ケイ素鋼、パーマロイやフェライトなどを用いることができる。固定鉄芯4は、たとえば、円柱状に形成することができる。固定鉄芯4は、可動軸5が貫通する貫通孔4aを備えている。可動鉄芯2は、円柱状だけに限られず、角柱状や立方体など種々の形状のものを用いることができる。
なお、電磁石装置10は、図8に示すように、入れ子3において、コイル12により生じた磁束の漏れが少なければ、入れ子3の主磁路形成部端3dに突出部位3d2を設けてもよい。図8に示す電磁石装置10では、入れ子3は、コイル12により生じた磁束を主として通す主磁路形成部3d1と、主磁路形成部3d1の磁束密度よりも小さい磁束密度となる突出部位3d2とを備えている。主磁路形成部3d1は、円筒状に形成している。突出部位3d2は、主磁路形成部3d1と同軸であり、主磁路形成部3d1よりも厚みの薄い円筒状に形成している。したがって、図8に示す電磁石装置10では、入れ子3の主磁路形成部端3dとは、円筒状の主磁路形成部3d1における一方の端部11aの端部を示している。
本実施形態の電磁石装置10は、図9に示すように、スイッチSWのオンとオフとを制御することにより、電源Eからコイル12への通電を制御して電磁コイル1の駆動を制御することができる。本実施形態の電磁石装置10は、スイッチSWを開放して電源Eからコイル12への通電をさせない消磁状態では、可動鉄芯2と継鉄11の一方の端部11a側とが互いに離間している(図9(a)を参照)。本実施形態の電磁石装置10は、コイル12への通電により、可動鉄芯2が継鉄11の一方の端部11a側に吸引されて終端位置に移動する(図9(b)を参照)。電磁石装置10は、コイル12への通電を停止すると、復帰ばね6により可動鉄芯2が初期位置に復帰する。
本実施形態の電磁石装置10は、可動鉄芯2と固定鉄芯4とが当接する場合でも、継鉄11と磁気的に結合する入れ子3を特定形状とすることにより、動作音の発生をより抑制することが可能となる。
(実施形態3)
図10に示す本実施形態の電磁石装置10は、実施形態2の厚みが均一な円筒状の入れ子3を用いる代わりに、軸方向に沿った厚みに変化を持たせた入れ子3を用いた点が主として相違する。なお、実施形態2と同様の構成要素については、同一の符号を付して適宜に説明を省略している。
本実施形態の電磁石装置10では、図10に示すように、入れ子3は、可動鉄芯2の移動方向と垂直方向に沿った入れ子3の断面積を、他方の端部11b側(図10(c)を参照)よりも一方の端部11a側(図10(b)を参照)で小さくしている。なお、入れ子3の断面は、図10(a)のXXの位置での入れ子3の断面を図10(b)で示し、図10(a)のYYの位置での入れ子3の断面を図10(c)に示している。
本実施形態の電磁石装置10では、実施形態2と同様に、入れ子3は、一方の端部11a側と空間10bを介して継鉄11と磁気的に結合している。図10においては図示していないが、空間10bにおける入れ子3の主磁路形成部端3dと一方の端部11a側との間隙の最短距離G1は、可動鉄芯2と入れ子3との隙間の最長距離G2以上としている。また、間隙の最短距離G1は、隙間の最長距離G2と、電磁コイル1の消磁状態における可動鉄芯2の移動方向に沿った可動鉄芯2と一方の端部11a側との距離STとの和以下としている。また、本実施形態の電磁石装置10は、一方の端部11a側には、継鉄11と磁気的に結合する固定鉄芯4を備えており、上記間隙は、固定鉄芯4と入れ子3との間隔であり、距離STは、電磁コイル1の消磁状態における可動鉄芯2の移動方向に沿った固定鉄芯4と可動鉄芯2との間隔である。
本実施形態の電磁石装置10では、入れ子3は、たとえば、台形状の板材31を用いて形成することができる(図11(a)を参照)。入れ子3は、台形状の板材31をまるめて、板材31の端部同士を固着することで形成することができる(図11(b)を参照)。板材31は、台形における上底側の板材31の厚みを、台形における下底側の板材31の厚みよりも薄くしている。
以下、図12において、継鉄11と磁気的に結合する入れ子3の形状が異なることによる磁束(図12中の太矢印を参照)の流れの違いを説明する。
入れ子3の厚みが均一な電磁石装置10では、図12(a)に示すように、可動鉄芯2の可動方向と垂直な方向に沿った入れ子3の断面での磁束密度は、電磁コイル1を消磁状態から励磁状態としたときに可動鉄芯2が移動する移動方向に沿って小さくなる。これに対し本実施形態の電磁石装置10では、図12(b)に示すように、入れ子3の断面積を可動鉄芯2が移動する移動方向に沿って小さくし、入れ子3の断面での磁束密度の変化を小さくしている。また、本実施形態の電磁石装置10は、入れ子3の断面での磁束密度の変化を小さくすることで、磁気抵抗を小さくすることが可能となる。これにより、本実施形態の電磁石装置10は、図12(a)の電磁石装置10と比較して、電磁コイル1の消費電力を、より低減することが可能となる。また、本実施形態の電磁石装置10は、入れ子3の断面積を可動鉄芯2が移動する移動方向に沿って小さくすることで、入れ子3の軽量化を図ることが可能となる。さらに、本実施形態の電磁石装置10は、入れ子3の断面積を可動鉄芯2の移動方向に沿って小さくすることで、入れ子3の材料を削減し、低コスト化を図ることも可能となる。
本実施形態の電磁石装置10は、図10に示す入れ子3の形状だけに限られない。本実施形態の電磁石装置10は、入れ子3の断面積を可動鉄芯2の移動方向に沿って小さくし、入れ子3の断面での磁束密度の変化を小さくできる限り、入れ子3は、図13に示すように、入れ子3の外周が部分的に突出する突起部3aを備えた形状としてもよい。また、本実施形態の電磁石装置10は、図14に示すように、入れ子3を階段状にして、入れ子3の断面積を可動鉄芯2の移動方向に沿って小さくする複数の段部3bを備えた形状としてもよい。図14に示す電磁石装置10では、図10や図13に示す入れ子3を備えた電磁石装置10と比較して、比較的容易に形成することが可能となる。
(実施形態4)
図15に示す本実施形態の電磁石装置10は、実施形態2の可動鉄芯2の移動方向と垂直方向に沿った断面が入れ子3の中心軸Zに対して対称な入れ子3の代わりに、断面が非対称の入れ子3を用いた点が主として相違する。なお、実施形態2と同様の構成要素については、同一の符号を付して適宜に説明を省略している。
本実施形態の電磁石装置10では、入れ子3は、可動鉄芯2の移動方向と垂直方向に沿った入れ子3の断面(図15(a)を参照)を、可動鉄芯2の移動方向に沿った入れ子3の中心軸Z(図15(a)を参照)に対して非対称としている。
本実施形態の電磁石装置10では、入れ子3は、一方の端部11a側と空間10bを介して継鉄11と磁気的に結合している。図15では図示していないが、空間10bにおける入れ子3の主磁路形成部端3dと一方の端部11a側との間隙の最短距離G1は、可動鉄芯2と入れ子3との隙間の最長距離G2以上としている。また、間隙の最短距離G1は、隙間の最長距離G2と、電磁コイル1の消磁状態における可動鉄芯2の移動方向に沿った可動鉄芯2と一方の端部11a側との距離STとの和以下としている。また、本実施形態の電磁石装置10は、一方の端部11a側には、継鉄11と磁気的に結合する固定鉄芯4を備えており、上記間隙は、固定鉄芯4と入れ子3との間隔であり、距離STは、電磁コイル1の消磁状態における可動鉄芯2の移動方向に沿った固定鉄芯4と可動鉄芯2との間隔である。
本実施形態の電磁石装置10は、たとえば、円筒状の入れ子3の外側面に可動鉄芯2の移動方向に沿った溝部3cを備えた構成とすることができる。溝部3cは、可動鉄芯2の移動方向に沿って均一な深さでもよいし、入れ子3の断面積を可動鉄芯2が移動する移動方向に沿って小さくなるように溝部3cの深さが変化したものでもよい。
本実施形態の電磁石装置10では、入れ子3は、たとえば、矩形状の板材31を用いて形成することができる(図16(a)を参照)。入れ子3は、矩形状の板材31に溝部31aを備えている。入れ子3は、矩形状の板材31をまるめ板材31の端部同士を固着することで形成することができる(図16(b)を参照)。板材31の溝部31aは、可動鉄芯2の移動方向に沿って深さが変化する入れ子3の溝部3cを構成することができる。
これにより、本実施形態の電磁石装置10は、断面積を変化させた入れ子3を比較的簡単に形成することが可能となる。本実施形態の電磁石装置10は、入れ子3の断面を中心軸Zに対して非対称とすることにより、可動鉄芯2に働く中心軸Zと垂直なr方向における吸引力が不均一となる(図15(b)を参照)。電磁石装置10は、入れ子3の断面が中心軸Zに対して非対称であればよく、入れ子3の軸方向におけるいずれの断面であってもよい。本実施形態の電磁石装置10は、可動鉄芯2に働くr方向の力が不均一となるため、可動鉄芯2は入れ子3の断面の肉厚が厚い部分に偏って運動する傾向にある。本実施形態の電磁石装置10は、可動鉄芯2に働くr方向の力が不均一な入れ子3とすることにより、動作音の発生をより抑制することが可能となる。
(実施形態5)
図17に示す本実施形態の電磁石装置10は、実施形態2の入れ子3が可動鉄芯2の移動を案内する代わりに、可動鉄芯2と入れ子3との間に設けた容器9が可動鉄芯2の移動を案内する点が主として相違する。なお、実施形態2と同様の構成要素については、同一の符号を付して適宜に説明を省略している。
本実施形態の電磁石装置10は、図17に示すように、可動鉄芯2と入れ子3との間に可動鉄芯2を収容する容器9を備えている。容器9は、可動鉄芯2の移動を案内する。
本実施形態の電磁石装置10は、容器9を備えることにより、容器9の外部から容器9の内部に塵や芥などが入り込んで可動鉄芯2の移動が阻害されることを抑制することが可能となる。
容器9は、可動鉄芯2を収容可能なものである。容器9は、可動鉄芯2を収容して可動鉄芯2の移動を案内可能なものであればよい。容器9は、可動鉄芯2を収容する容器9の内部を気密封止可能なものが好ましい。容器9は、たとえば、円筒状の形状に形成することができる。容器9は、円筒状だけに限られず、角筒状など可動鉄芯2の外形形状に合わせて種々の形状とすることができる。容器9は、筒状に形成する場合、内形を内部に収納する可動鉄芯2の外形と相似形で若干大きな形状とすることが好ましい。また、容器9は、容器9の外形を入れ子3の内形と相似形で若干小さな形状とすることが好ましい。容器9は、磁性体で形成してもよいし、非磁性体で形成してもよい。容器9は、非磁性体の場合、容器9の材料として、たとえば、ステンレス(SUS403(JIS G4304))や樹脂などを用いることができる。容器9は、磁性体の場合、容器9の材料として、たとえば、電磁軟鉄、冷間圧延鋼板(SPCC(JIS G3141))、ステンレス(SUS430(JIS G4305))やニッケルを含有する鉄合金(42アロイ(JIS G3141))などを用いることができる。
(実施形態6)
図18に示す本実施形態の電磁継電器20は、実施形態2と同様の構成の電磁石装置10を用いて構成している。なお、実施形態2と同様の構成要素については、同一の符号を付して適宜に説明を省略している。
本実施形態の電磁継電器20は、実施形態2のごとく、可動鉄芯2と他方の端部11bとの間に復帰ばね6を設ける代わりに、可動鉄芯2と固定鉄芯4との間に復帰ばね6を設けた以外は実施形態2と同様な構成の電磁石装置10を備えている。また、電磁継電器20は、一対の固定接点21a,21aを備えている。本実施形態の電磁継電器20は、可動接触子22を備えている。本実施形態の電磁継電器20では、可動接触子22は、可動鉄芯2と結合している。可動接触子22は、可動鉄芯2の移動に伴って固定接点21aの各々に接触する接触状態と離間する離間状態とに接離可能としている。
本実施形態の電磁継電器20では、入れ子3は、一方の端部11a側と空間10bを介して継鉄11と磁気的に結合している。図18では図示していないが、空間10bにおける入れ子3の主磁路形成部端3dと一方の端部11a側との間隙の最短距離G1は、可動鉄芯2と入れ子3との隙間の最長距離G2以上としている。また、間隙の最短距離G1は、隙間の最長距離G2と、電磁コイル1の消磁状態における可動鉄芯2の移動方向に沿った可動鉄芯2と一方の端部11a側との距離STとの和以下としている。また、本実施形態の電磁継電器20における電磁石装置10は、一方の端部11a側には、継鉄11と磁気的に結合する固定鉄芯4を備えており、上記間隙は、固定鉄芯4と入れ子3との間隔であり、距離STは、電磁コイル1の消磁状態における可動鉄芯2の移動方向に沿った固定鉄芯4と可動鉄芯2との間隔としている。
本実施形態の電磁継電器20は、間隙の最短距離G1、隙間の最長距離G2および距離STを上述の関係にした特定形状の入れ子3を用いることにより、電磁石装置10の駆動に伴う動作音の発生を抑制することが可能となる。また、本実施形態の電磁継電器20は、可動鉄芯2の跳ね返り量が減少することにより、電磁継電器20の安定的な動作を実現することが可能となる。
以下、より具体的な電磁継電器20の構成について説明する。
本実施形態の電磁継電器20は、一対の固定接点21a,21aと、固定接点21a,21aの各々に接離可能な可動接触子22とを備えた接点装置を有している。電磁継電器20は、接点装置と、電磁石装置10とを一体に組み合わせて構成している。
電磁石装置10は、コイル12と、コイル12が巻装されたコイルボビン12aとを備えている。電磁石装置10は、コイル12と磁気的に結合する継鉄11を備えている。継鉄11は、断面視において、空隙10aを介して設けた一対の端部11a,11bを有するC字状に形成している。電磁石装置10は、継鉄11の一方の端部11aに配置された円柱状の固定鉄芯4を備えている。固定鉄芯4は、コイル12により生じる磁束を通す材料により形成することができる。
また、電磁石装置10は、継鉄11の一対の端部11a,11b間において、固定鉄芯4と対向する円柱状の可動鉄芯2を備えている。可動鉄芯2は、固定鉄芯4と同様に、コイル12により生ずる磁束を通す材料により形成することができる。可動鉄芯2は、固定鉄芯4と同じ材料を用いて構成してもよし、異なる材料を用いて構成してもよい。電磁石装置10は、円柱状の可動鉄芯2を収容する円筒状の入れ子3を備えている。入れ子3は、可動鉄芯2の移動を案内する。入れ子3は、固定鉄芯4と同様に、コイル12により生ずる磁束を通す材料により形成している。入れ子3は、可動鉄芯2や固定鉄芯4と同じ材料を用いて構成してもよいし、異なる材料を用いて構成してもよい。入れ子3は、継鉄11の他方の端部11bに固着している。電磁石装置10は、継鉄11、固定鉄芯4、入れ子3および可動鉄芯2が、コイル12により生じる磁束を通す磁路を形成する。電磁石装置10では、入れ子3が継鉄11、固定鉄芯4、可動鉄芯2と共に磁気回路を形成している。
固定鉄芯4および可動鉄芯2は、それぞれ外径が入れ子3の内径よりも若干小さい円柱状に形成している。また、可動鉄芯2は、入れ子3の軸方向に沿って移動することができるように構成している。可動鉄芯2の移動範囲は、固定鉄芯4から離れた初期位置と、固定鉄芯4に当接する終端位置との間に設定している。
電磁石装置10は、固定鉄芯4および可動鉄芯2との間に、可動鉄芯2を初期位置に復帰させる向きのばね力を有したコイルばねからなる復帰ばね6を備えている。復帰ばね6は、円柱状の固定鉄芯4における他方の端部11b側に形成した収容凹部4bに一端側を収容している。復帰ばね6は、復帰ばね6の一端側が固定鉄芯4と当接している。復帰ばね6は、復帰ばね6の他端側が可動鉄芯2と当接している。更に、復帰ばね6は、可動鉄芯2と固定鉄芯4との間に圧縮状態で設けられており、可動鉄芯2を他方の端部11b側に弾性付勢する。復帰ばね6は、可動鉄芯2が終端位置に移動したときに、復帰ばね6が圧縮されて復帰ばね6の全体が収容凹部4b内に収まる。そのため、復帰ばね6は、固定鉄芯4への可動鉄芯2の当接を抑制している。
本実施形態の電磁継電器20は、支持体8を好適に備えている。支持体8は、セラミック材料により形成することができる。支持体8は、支持体8の底部の2箇所に端子孔8a,8aを備えている。各端子孔8aには、円柱状に形成された固定端子台21が各々挿通されている。固定端子台21は、たとえば、銅などの金属材料により形成することができる。一対の固定端子台21,21は、各固定端子台21の先端部に固定接点21aを各々設けている。本実施形態の電磁継電器20では、固定接点21aは、固定端子台21と固定接点21aとを別体に構成しているが、一体として構成するものでもよい。固定端子台21は、支持体8と、ろう付けして固定している。
電磁継電器20は、一対の固定接点21a,21aの間に跨る形で長板状の可動接触子22を備えている。可動接触子22は、導電材料により形成している。可動接触子22は、可動接触子22の材料として、たとえば、銅などを用いて形成することができる。可動接触子22は、図示していないが、各固定接点21aの各々に対向するように配置される可動接点を一表面側に設けてもよい。可動接触子22は、可動接触子22の中央部に、可動接触子22を可動鉄芯2に連結する可動軸5が挿通される挿通孔22cを貫設している。
本実施形態の電磁継電器20では、固定接点21aは、固定接点21aの表面を可動接触子22側に突出するように形成し固定端子台21の一表面側から突出させている。これにより、固定接点21aは、固定接点21aと可動接触子22側との接触の安定を図ることができる。電磁継電器20は、必ずしも固定接点21aを可動接触子22側に向かって凸状とするものだけに限られない。電磁継電器20は、固定接点21aと可動接触子22との接触の安定を図るため、固定接点21aと可動接触子22とのいずれか一方の表面を凸状に形成してもよい。また、電磁継電器20は、必ずしも固定接点21aと可動接触子22を凸状とするものだけに限られない。電磁継電器20は、固定接点21aと可動接触子22とを平らに形成してもよい。
可動軸5は、可動鉄芯2の移動方向に長い丸棒状に形成された軸部5aと、可動接触子22の可動鉄芯2と反対側にあって挿通孔22cよりも大きい頭部5bとを備えている。可動軸5は、可動軸5の軸部5aを可動接触子22の挿通孔22cに貫挿している。可動軸5は、頭部5bにより可動接触子22に対して抜け止めがなされている。可動軸5は、非磁性材料にて形成することができる。
電磁継電器20は、継鉄11の一方の端部11a側と可動接触子22との間には、可動軸5が挿通されたコイルばねからなる接圧ばね7を設けている。可動接触子22は、接圧ばね7のばね力によって固定端子21a側に押し付けられることにより、可動軸5の頭部5bに保持されている。
固定鉄芯4は、円柱状の固定鉄芯4の軸方向に沿って可動軸5が貫通する貫通孔4aを備えている。可動軸5は、軸部5aが貫通孔4aを通して先端部を可動鉄芯2と結合している。可動鉄芯2は、円柱状の可動鉄芯2の軸方向に沿って結合孔(図示していない)を備えている。可動鉄芯2は、軸部5aの先端部を結合孔に挿入して固定する形で可動軸5と結合している。電磁継電器20は、可動軸5の軸部5aの先端部と可動鉄芯2との結合を螺合により結合してもよい。これにより、可動接触子22は、可動鉄芯2の移動に連動して移動することが可能となる。
本実施形態の電磁継電器20は、可動鉄芯2が初期位置にある場合、固定接点21aと可動接触子22とが互いに離間している(図18(a)を参照)。電磁継電器20は、可動鉄芯2が終端位置にある場合、固定接点21aと可動接触子22とが接触するように可動鉄芯2と可動接触子22との位置関係を設定している(図18(b)を参照)。電磁継電器20は、可動鉄芯2が初期位置にあり、固定接点21aと可動接触子22とが互いに離間している場合、開成状態となる。また、電磁継電器20は、可動鉄芯2が終端位置にある場合、固定接点21aと可動接触子22とが接触して閉成状態となる。
本実施形態の電磁継電器20は、コイル12への通電時において、固定鉄芯4における可動鉄芯2との対向面と継鉄11の他方の端部11b側における入れ子3の周部とが一対の磁極部として互いに異極性に磁化される。したがって、電磁継電器20は、コイル12への通電により、可動鉄芯2が固定鉄芯4側に吸引されて終端位置に移動する。また、電磁継電器20は、コイル12への通電を停止すると、復帰ばね6により可動鉄芯2が初期位置に復帰する。
電磁継電器20は、電磁石装置10のコイル12へ通電されていない場合、可動接触子22と、一対の固定接点21a,21aとが離間状態で開放されることにより、一対の固定接点21a,21aの間が絶縁されている。また、電磁継電器20は、電磁石装置10のコイル12へ通電されている場合、可動接触子22と、固定接点21aの各々と接触する接触状態で閉成されることにより、一対の固定接点21a,21aの間が導通されることになる。電磁継電器20は、可動接触子22と固定接点21aとの間の接触圧を、接圧ばね7によっても調整している。
なお、電磁継電器20は、収容ケースを備えてもよい。収容ケースは、固定端子台21を固定した支持体8側と可動接触子22とを内部に収容し、内部を気密封止が可能なもので構成することができる。電磁継電器20は、収納ケースにより固定端子台21の固定接点21a、可動接触子22、可動軸5、接圧ばね7、固定鉄芯4、復帰ばね6や可動鉄芯2が気密空間に収納することが可能とになる。電磁継電器20は、収容ケースで囲まれた上記空間内に、消弧性ガスとして水素ガスなどを封入してもよい。収容ケースは、耐熱性材料により形成することができる。収容ケースは、収容ケースの材料として、たとえば、セラミックス材料などを用いることができる。
本実施形態の電磁継電器20は、図18に示した電磁石装置10を備えたものだけに限られず、実施形態1ないし実施形態4の電磁石装置10を用いて電磁継電器20を構成してもよい。いずれの電磁継電器20でも、電磁石装置10の駆動に伴う動作音の発生を抑制することが可能となる。