JP2014203006A - 光学塗膜、光学塗膜の製造方法、及び反射防止膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材上に形成された塗膜よりなる光学塗膜であって、前記塗膜中には、長径(L)とそれと直交する短径の最大値(D)の平均値:((L+D)/2)が、20nm以上の空隙(X)を有し、前記空隙(X)の長径(L)と短径(D)とが1<L/Dであり、前記空隙(X)が前記基材との界面において、当該基材と非接触である光学塗膜。
【選択図】なし
Description
また、特許文献5〜7に開示されている方法で得られた多孔体は、機械的強度に乏しいという問題を有している。さらに、特許文献8及び10に開示されている反射防止膜は、耐候性に改善の余地があるという問題を有している。さらにまた、特許文献9に開示されている塗膜は、反射防止特性に改善の余地があるという問題を有している。またさらに、特許文献11に開示されているコーティング組成物は、反射防止特性に改善の余地があるという問題を有している。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
基材上に形成された塗膜よりなる光学塗膜であって、
前記塗膜中には、長径(L)とそれと直交する短径の最大値(D)の平均値:((L+D)/2)が、20nm以上の空隙(X)を有し、
前記空隙(X)の長径(L)と短径(D)とが1<L/Dであり、
前記空隙(X)が前記基材との界面において、当該基材と非接触である光学塗膜。
〔2〕
前記空隙(X)の周囲に前記平均空隙サイズが20nm未満の空隙(Y)を、さらに有する、前記〔1〕に記載の光学塗膜。
〔3〕
前記光学塗膜が、金属酸化物(A)及び重合体エマルジョン粒子(B)を含むコーティング組成物を塗布し、乾燥して形成される光学塗膜の前駆体を、600℃以上の温度で焼結することにより形成されたものである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の光学塗膜。
〔4〕
前記重合体エマルジョン粒子(B)が、コア/シェル層構造からなる粒子であり、
前記重合体エマルジョン粒子(B)は、加水分解性珪素化合物(b1)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2)とを、重合体単量体として含み、
前記コア層中における、加水分解性官能基を3個以上含む加水分解性珪素化合物(b1−3)の割合が、前記2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2)と前記加水分解性珪素化合物(b1)との合計量に対する質量比率で、
(b1−3)/((b1)+(b2))≧0.20である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の光学塗膜。
〔5〕
前記重合体エマルジョン粒子(B)が、コア/シェル層構造からなる粒子であり、
前記重合体エマルジョン粒子(B)は、加水分解性珪素化合物(b1)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2)とを、重合単量体として含み、
前記シェル層中における、加水分解性官能基を3個以上含む加水分解性珪素化合物(b1−3)の割合が、前記2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2)と前記加水分解性珪素化合物(b1)との合計量に対する質量比率で、
0.01<(b1−3)/((b1)+(b2))<0.20
である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の光学塗膜。
〔6〕
金属酸化物(A)と重合体エマルジョン粒子(B)とを含むコーティング組成物を塗布し、乾燥して、光学塗膜の前駆体を形成する工程と、
前記前駆体を500℃以上の温度で焼結し、光学塗膜を形成する工程と、
を有する、光学塗膜の製造方法。
〔7〕
前記光学塗膜が反射防止膜である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の光学塗膜。
〔8〕
前記〔7〕に記載の反射防止膜を含む太陽電池用ガラス。
〔9〕
前記〔7〕に記載の反射防止膜を含む太陽電池モジュール。
〔10〕
前記〔7〕に記載の反射防止膜を含む太陽電池用集光レンズ。
本実施形態の光学塗膜は、所定の基材上に形成されている塗膜よりなり、当該塗膜中には、長径(L)とそれと直交する短径の最大値(D)の平均値(以下、平均空隙サイズと記載する。):((L+D)/2)が、20nm以上の空隙(X)を有する。
また、前記空隙(X)の長径(L)と短径(D)とが、1<L/Dである。
前記空隙(X)が前記基材との界面において、当該基材と非接触である。
本実施形態の光学塗膜は、所定の基材上に形成されている塗膜よりなる。
基材は、本実施形態の光学塗膜の用途に応じて、種々選択可能である。
例えば、合成樹脂、天然樹脂等の有機基材、ガラス等の無機基材や、それらの組み合わせがいずれも適用でき、具体的には、太陽電池用の部材(ガラス、及びモジュール等)、太陽電池用集光レンズ、光電池、液晶ディスプレイ、メガネ、窓ガラス、テレビ等、光透過性の向上及び/又は映り込みの防止を必要としている各種の部材が挙げられる。
その他、太陽光発電用保護材、集光型太陽光発電用ミラー、太陽熱発電用ミラー、太陽熱発電用集光ガラス、建築物、鋼構造物、建材、モルタル、コンクリート、プラスチック、自動車等も基材として挙げられる。
本実施形態の光学塗膜は、当該塗膜中に空隙(X)を有している。前記空隙(X)は、長径(L)とそれと直交する短径の最大値(D)(以下、単に短径(D)と記載する場合がある。)との平均値(平均空隙サイズ):((L+D)/2)が、20nm以上である。
前記空隙(X)の平均空隙サイズが20nm以上であることにより高い反射防止の効果が得られる。前記空隙(X)の平均空隙サイズは、30nm以上であることが好ましく、40nm以上であることがより好ましい。
ここで、「短径の最大値」とは、空隙の長径(X)に直交する径が複数ある場合、それらの中で最大のものを言う。
なお、前記平均空隙サイズは、窒素吸着法から求めた細孔分布の平均値、細孔容積、平均細孔径から求めた平均空隙サイズ、電子顕微鏡で直接観察された空隙の最大径、あるいは球状粒子が細密充填した場合の最大空隙径の計算値等から求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載する方法により求めることができる。
前記空隙(X)の平均空隙サイズを、20nm以上に制御するための方法としては、空隙形成材として用いる後述する重合体エマルジョン粒子(B)の組成制御を行う方法や、焼結温度、昇温速度の制御を行う方法等が挙げられる。
前記L/Dは1.2以上であることが好ましく、1.4以上であることがより好ましい。
前記空隙(X)の長径(L)と、短径(D)との比率を1<L/Dに制御する方法としては、後述する重合体エマルジョン粒子(B)の架橋度を制御する方法が挙げられる。
また、空隙(Y)は、前記空隙(X)の周囲に有することが好ましい。ここで「周囲」とは、空隙(X)の表面に直接接触しているか、あるいは化学的に相互作用ができる程度の距離に存在することを意味し、これにより、塗膜強度の向上効果が得られる。
空隙(Y)の平均空隙サイズは、10nm以下であることが好ましく、5nm未満であることがより好ましい。
空隙(Y)を空隙(X)の周囲に形成し、かつ空隙(Y)の平均空隙サイズを10nm以下に制御する方法としては、後述する金属酸化物(A)の粒子径や、後述する加水分解性珪素化合物(C)の添加量を制御する方法が挙げられる。
本実施形態の光学塗膜は、前記コーティング組成物中に、金属酸化物(A)及び重合体エマルジョン粒子(B)を含むことにより、金属酸化物(A)と重合体エマルジョン粒子(B)とのヘテロ凝集、又は金属酸化物(A)同士の凝集を形成させることができる。
焼結により(B)成分が除去される結果、空隙(X)が形成され、空隙(Y)は(A)成分の粒子間の空隙として形成される。
コーティング組成物中に加水分解性珪素化合物(C)を含むことにより、前記平均空隙サイズが20nm未満の空隙(Y)に、前記加水分解性珪素化合物(C)を浸透させることができ、当該空隙(Y)の平均空隙サイズを制御することができる。
前記コーティング組成物においては、加水分解性珪素化合物(C)を含む場合、加水分解性珪素化合物(C)のシラノール基と前記金属酸化物(A)の表面に存在する水酸基との間の縮合反応により結合が形成したり、あるいは、加水分解性珪素化合物(C)と金属酸化物(A)との間に水素結合が形成したりする。これにより、前記コーティング組成物から得られる塗膜は、機械的強度がより増加する。なお、加水分解性珪素化合物(C)については後述する。
前記金属酸化物(A)は、球状の金属酸化物(a1)及び/又はアスペクト比(長径/短径)が3〜25の非球状の金属酸化物(a2)を含むことが好ましい。
本実施形態の光学塗膜を形成する前記コーティング組成物に含まれる重合体エマルジョン粒子(B)は、所定の重合体により構成されている。当該重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリ(メタ)アクリレート系、ポリ(メタ)アクリレート−シリコーン系共重合体、ポリビニルアセテート系、ポリブタジエン系、ポリ塩化ビニル系、塩素化ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリスチレン系、ポリスチレン−(メタ)アクリレート系共重合体、ロジン系誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物等から構成される重合体等が挙げられる。
重合体エマルジョン粒子(B)は、前記(b1)と(b2)とが重合したもの、(b1)、(b2)がそれぞれ重合したものの混合物、複合物のいずれであってもよく、これらの併用であってもよい。
(式(1)中、Wは炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基、アミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表す。Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。xは1以上4以下の整数であり、yは0以上3以下の整数である。また、x+y=4である。)
なお、重合体エマルジョン粒子(B)の質量は、上述した2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2)や、これと共重合可能なその他のビニル単量体(b3)、さらには加水分解性珪素化合物(b1)が全て重合した場合に得られる重合生成物の質量であるものとする。
前記加水分解性珪素化合物(b1)の含有量は、重合安定性の観点から、重合体エマルジョン粒子(B)100質量%に対して、0.01質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
なお、前記(b1)や(b2)等は、水素結合や化学結合等の各種結合によって複合化されていることが好ましいが、その結合の形態や状態等について何らかの限定を行うものではない。さらに、重合体エマルジョン粒子(B)中の一部分のみにおいて上記したような複合化が行われていてもよい。
アルキル部の炭素数が1〜50の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。
前記エチレンオキシド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
当該芳香族ビニル化合物は、重合体エマルジョン粒子(B)を構成する全ビニル単量体中において好ましくは0〜99.9質量%、より好ましくは5〜80質量%である。
当該シアン化ビニル化合物は、重合体エマルジョン粒子(B)を構成する全ビニル単量体中において好ましくは0〜99.9質量%、より好ましくは5〜80質量%である。
乳化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤;酸性乳化剤のアルカリ金属(Li、Na、K等)塩、酸性乳化剤のアンモニウム塩、脂肪酸石鹸等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、アルキルピリジニウムブロミド、イミダゾリニウムラウレート等の四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩型のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等のノニオン型界面活性剤やラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤等が挙げられる。
前記シード(核)となる物質は、特に限定されず、公知のものを用いることもでき、反応条件等に応じて適宜選択することができる。
重合反応は、系中のpHが好ましくは1.0〜10.0、より好ましくは1.0〜6.0の範囲で進行させればよい。pHは、燐酸二ナトリウムやボラックス、又は、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等のpH緩衝剤を用いて調節することが可能である。
さらには、コア層とシェル層とにおいて、柔軟性が異なるものであることが好ましく、シェル層がコア層よりも柔軟であることがより好ましい。
柔軟性は、加水分解性珪素化合物(b1)として、加水分解性官能基を3個以上含む加水分解性珪素化合物(b1−3)を用い、当該加水分解性官能基を3個以上含む加水分解性珪素化合物(b1−3)の、前記2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2)と全加水分解性珪素化合物(b1)の合計量に対する重量比率を規定することにより制御することができる。
また、シェル層中に含まれる加水分解性官能基を3個以上含む加水分解性珪素化合物(b1−3)成分は、全加水分解性珪素化合物(b1)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2)との合計量に対する質量比率で、0.01<(b1−3)/((b1)+(b2))<0.20が好ましく、さらには0.1<(b1−3)/((b1)+(b2))<0.3が好ましい。これにより塗膜強度の向上効果が得られる。
詳細には、本実施形態の光学塗膜を形成する工程においては、前記金属酸化物(A)及び重合体エマルジョン粒子(B)を含むコーティング層を塗布し、可能し、前駆体を形成し、その後、焼結を行う。すなわち、コーティング組成物から溶媒を除去する乾燥工程で前駆体を形成した後、焼結によって空隙(X)を形成する工程を実施する。当該空隙(X)を形成する工程においては、重合体エマルジョン粒子(B)の全て、あるいは一部を除去される。
その際に、重合体エマルジョン粒子(B)の周囲の金属酸化物(A)層の縮合が急激に進み、塗膜全体が収縮する。ここで、重合体エマルジョン粒子(B)の柔軟性の異なるコア層とシェル層が存在することで塗膜の収縮を緩和し、空隙(X)の崩壊を抑制しながら光学塗膜を形成することができるようになる。その結果、空隙(X)を保持しながら、当該空隙(X)の周囲に密な空隙(Y)が効率的に形成され、高い反射防止性能と強度とを発現することが可能となる。なお、「周囲」とは、空隙(X)の表面に直接接触しているか、あるいは、化学的に相互作用できる程度の距離で存在することを意味する。また、同時に本実施形態の光学塗膜を形成する基材界面と、塗膜中の空隙(X)が直接接することが抑制される。これは重合体エマルジョン粒子(B)が塗膜収縮を緩和することにより、空隙(X)が押しつぶされて基材と接触してしまうことを抑制するためと考えられる。
空隙(X)は、その全部又は一部が、空気層が充填されており、屈折率が1に極めて近い。
空隙(X)の平均空隙サイズは、長径(L)とそれと直交する短径の最大値(D)との平均値から求めることができる。
空隙(X)の平均空隙サイズは、(L+D)/2>20nmであることが好ましく、塗膜膜厚(d)との関係においては、d>(L+D)/2であることが好ましい。
本実施形態の光学塗膜は、上述した金属酸化物(A)、重合体エマルジョン粒子(B)に加え、加水分解性珪素化合物(C)を、さらに含有してもよい。
当該加水分解性珪素化合物(C)は、下記式(2)、(3)、及び(4)で表される化合物からなる群より選ばれる1種類以上の加水分解性珪素化合物であることが好ましい。
なお、上述した(b1)加水分解性珪素化合物は、重合体エマルジョン粒子(B)を構成する成分であり、当該(B)成分中に一体として組み込まれており、前記加水分解性珪素化合物(C)は、(A)成分及び(B)成分とは別個独立して添加されるものであり、上述した(b1)加水分解性珪素化合物とは明確に区別される。
(式(2)中、R1は水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びエポキシ基からなる群より選ばれるいずれかを有してもよい、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基を表す。Xは、加水分解性基を表し、nは0〜3の整数である。)
(式(3)中、X3は加水分解性基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を表す。nは0又は1である。)
(式(4)中、R3は炭素数1〜6のアルキル基を表す。nは2〜8の整数である。)
本実施形態の光学塗膜を形成するコーティング組成物は、金属酸化物(A)と重合体エマルジョン粒子(B)との質量比率((A):(B))が、1:0.05〜1:10であることが好ましく、1:0.1〜1:5であることがより好ましく、1:0.5〜1:3であることがさらに好ましい。
金属酸化物(A)と加水分解性珪素化合物(C)との質量比率((A):(C))は、強度の観点から、1:0.05〜1:5であることが好ましく、1:0.1〜1:3であることがより好ましく、1:0.5〜1:2であることがさらに好ましい。
あるいは、非球状の金属酸化物(a2)が重合体エマルジョン粒子の重合体粒子(B’)の表面に直接、又は球状の金属酸化物(a1)を介して結合している構造体が前記加水分解性珪素化合物(C)の加水分解縮合物(C’)に被覆され、前記重合体エマルジョン粒子の重合体粒子(B’)に固定化された前駆体を介して空隙(X)が形成されていることが好ましい。このような構造を有する光学塗膜は、反射防止膜として、優れた機械的強度及び耐候性を発揮する。
本実施形態の光学塗膜は、金属酸化物(A)と、重合体エマルジョン粒子(B)と、必要に応じて加水分解性珪素化合物(C)を含むコーティング組成物を調製し、当該コーティング組成物を塗布して乾燥し、前駆体を形成する工程と、当該前駆体を500℃以上の温度で焼結する工程とにより製造することができる。
コーティング組成物は、金属酸化物(A)、好ましくは球状の金属酸化物(a1)と、アスペクト比(長径/短径)が3〜25の非球状の金属酸化物(a2)とを含む金属酸化物(A)と、重合体エマルジョン粒子(B)とを配合して混合物を得る第1の工程と、当該混合物に酸を添加する第2の工程により、調製することが好ましい。
前記「酸」として、加水分解触媒、縮合触媒としての酸を添加する場合、配合安定性の観点から、先に金属酸化物(A)及び重合体エマルジョン粒子(B)を配合した後に、当該酸を添加することが好ましい。あるいは、金属酸化物(A)の等電点まで酸を添加することで凝集させた後、塩基で中和して安定化させてから重合体エマルジョン粒子(B)を加えてもよい。
固形分が15質量%以下であると、乾燥後の膜厚を所望の膜厚に制御することが容易となり好ましい。また、固形分が0.1質量%以上であると、所望の乾燥膜厚を得るためにコーティング組成物を厚く塗装する必要がなく、膜厚の制御が容易になり好ましい。
上述のコーティング組成物の粘度としては、好ましくは20℃において0.1〜2000mPa・sであり、好ましくは1〜100mPa・s、さらに好ましくは2〜10mPa・sである。
上述のようにして調製したコーティング組成物を、目的とする所定の材料(基材と記載する。)上に塗布する。
上述のコーティング組成物を基材に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、スプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。生産性の観点からロールコート、スクリーン印刷、グラビア印刷が好ましい。さらには大判の基材上へ塗装する目的ではロールコート法が好ましい。
100μmを超えると均一な塗膜が得られず部分的に厚い膜が形成され外観上好ましいとは言えない。
上記のようにコーティング組成物を基材上に塗布した後、乾燥させ、光学塗膜の前駆体を形成する。
前記乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、自然乾燥、冷風乾燥、熱風乾燥、赤外線乾燥等、これらの組み合わせが挙げられる。
前記乾燥温度としては、5〜700℃が好ましく、10〜300℃がより好ましく、20〜200℃がさらに好ましく、最も好ましくは25℃〜80℃が好ましい。
さらに、前記光学塗膜の前駆体を、空隙形成工程として500℃以上の温度で焼結する。
好ましくは、500℃〜800℃、より好ましくは600℃〜700℃、さらに好ましくは、600℃〜650℃での熱処理や高圧水銀灯等の紫外線照射等を行うことで焼結し、塗膜中に空隙を形成することが可能である。
該反射防止膜の表面水接触角は、例えば40℃以下であると親水性の汚れを防ぐ効果があり、40℃以上であると親油性の汚れがふき取りやすくなる効果がある。
なお、本実施の形態において、表面水接触角は後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の光学塗膜は、透明性、反射防止特性に優れているので、太陽電池用の部材(ガラス、及びモジュール等)、太陽電池用集光レンズ、光電池、液晶ディスプレイ、メガネ、窓ガラス、テレビ等において、光透過性の向上及び/又は映り込みの防止を必要としている部材の反射防止膜として用いることができる。
((1)平均粒子径(nm)の測定)
金属酸化物(A)について、50,000〜100,000倍に拡大し、球状の金属酸化物(A)の粒子が100個〜200個写るように調整して透過型顕微鏡写真を撮影した。
次いで、撮影された各金属酸化物(A)の粒子径(長径と短径)を測定し、それらの平均値((長径+短径)/2)を求め、平均粒子径とした。
後述する実施例及び比較例で製造した試験板について、日本国日本電色工業株式会社製濁度計NDH2000を用いて、JIS K7361−1に規定される方法により、全光線透過率を測定した。
後述する実施例及び比較例で製造した光学塗膜から、JIS S6006が規定する試験用鉛筆を製造し、当該試験用鉛筆を用いて、JIS K5400に規定される鉛筆硬度の評価方法に従い、1kg荷重における鉛筆硬度を評価した。
後述する実施例及び比較例で製造した光学塗膜の表面に脱イオン水の滴(1.0μL)を乗せ、20℃で10秒間放置した。その後、日本国協和界面科学製CA−X150型接触角計を用いて初期接触角を測定した。光学塗膜に対する水の接触角が小さいほど、皮膜表面の親水性が高いと評価した。
後述する実施例及び比較例で製造した試験板について、加速環境試験器(エスペック(株)製、EHS−411)を用い、温度135℃、湿度85%の環境下、4時間放置する耐候性試験を行った。なお、耐候性試験後の試験板の全光線透過率を上記(2)に記載した方法に従い測定した。
カンタクロム社製オートソーブ−1」を用い、窒素吸着法によって空隙の容積を測定し、平均空隙サイズを求めた。なお、細孔直径が18nm以下の細孔については、BJH法により空隙の容積を測定し、平均空隙サイズを求めた。
後述する合成例により製造した重合体エマルジョン粒子(B)の数平均粒子径は、動的光散乱式粒度分布測定装置(日機装社製、商品名マイクロトラックUPA)により測定した。
後述する実施例及び比較例により製造した試験板の、耐候性試験前後の全光線透過率、基材の全光線透過率を用いて、下記式(6)、(7)により、AR値、AR変化率を算出した。
前記AR変化率の絶対値が50%以下であることにより、耐候性が良好であると評価できる。
後述する実施例及び比較例で得られた光学塗膜の試験板について、TEM(日立製S550、加圧電圧30kV)で塗膜断面を観察した結果、空隙(X)が直接基材と接しているか否かを評価した。
重合体エマルジョン粒子(B)の、コア層、シェル層における、加水分解性官能基を3つ以上含む加水分解性珪素化合物(b1−3)の、ビニル単量体(b2)と全加水分解性珪素化合物(b1)との合計量に対する質量比率((b1−3)/((b1)+(b2))を、算出した。
以下、後述する実施例及び比較例において用いた重合体エマルジョン粒子(B)の合成例を記載する。
(合成例1)
<重合体エマルジョン粒子(B−1)水分散体の合成>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、及びドデシルベンゼンスルホン酸7gを投入した後、撹拌しながら80℃に加温して混合液(1)を得た。
得られた混合液(1)に、コア層としてジメチルジメトキシシラン185g及びフェニルトリメトキシシラン(b1−3)117gの混合液(2)を、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下して混合液(3)を得た。
その後、反応容器中の温度が80℃の状態で混合液(3)を約1時間撹拌した。
次に、得られた混合液(3)に、シェル層としてアクリル酸ブチル150g、テトラエトキシシラン(b1−3)30g、フェニルトリメトキシシラン(b1−3)145g、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(b1−3)1.3gの混合液(4)と、ジエチルアクリルアミド165g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、及びイオン交換水1900gの混合液(5)とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下して混合物(6)を得た。
さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(6)を約2時間撹拌した。
その後、混合物(6)を室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し、精製水で濃度を調整して数平均粒子径87nmの重合体エマルジョン粒子(B−1)の水分散体(固形分10質量%、pH3.2)を得た。
<重合体エマルジョン粒子(B−2)水分散体の合成>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、及びドデシルベンゼンスルホン酸12gを投入した後、撹拌しながら80℃に加温して混合液(1)を得た。
得られた混合液(1)に、コア層としてジメチルジメトキシシラン185g及びフェニルトリメトキシシラン(b1−3)151gの混合液(2)を、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下して混合液(3)を得た。
その後、反応容器中の温度が80℃の状態で混合液(3)を約1時間撹拌した。
次に、得られた混合液(3)に、シェル層としてアクリル酸ブチル150g、テトラエトキシシラン(b1−3)30g、フェニルトリメトキシシラン(b1−3)145g、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(b1−3)1.3gの混合液(4)と、ジエチルアクリルアミド165g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、及びイオン交換水1900gの混合液(5)とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下して混合物(6)を得た。
さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(6)を約2時間撹拌した。
その後、混合物(6)を室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し、製水で濃度を調整して数平均粒子径40nmの重合体エマルジョン粒子(B−2)の水分散体(固形分10質量%、pH3.2)を得た。
<重合体エマルジョン粒子(B−3)水分散体の合成>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、及びドデシルベンゼンスルホン酸12gを投入した後、撹拌しながら80℃に加温して混合液(1)を得た。
得られた混合液(1)に、コア層としてジメチルジメトキシシラン185g及びフェニルトリメトキシシラン(b1−3)117gの混合液(2)を、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下して混合液(3)を得た。
その後、反応容器中の温度が80℃の状態で混合液(3)を約1時間撹拌した。
次に、得られた混合液(3)に、シェル層としてアクリル酸ブチル150g、テトラエトキシシラン(b1−3)30g、フェニルトリメトキシシラン(b1−3)105g、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(b1−3)1.3gの混合液(4)と、ジエチルアクリルアミド165g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、及びイオン交換水1900gの混合液(5)とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下して混合物(6)を得た。
さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(6)を約2時間撹拌した。
その後、混合物(6)を室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し、精製水で濃度を調整して数平均粒子径45nmの重合体エマルジョン粒子(B−3)の水分散体(固形分10質量%、pH3.2)を得た。
<重合体エマルジョン粒子(B−4)水分散体の合成>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、及びドデシルベンゼンスルホン酸12gを投入した後、撹拌しながら80℃に加温して混合液(1)を得た。
得られた混合液(1)に、コア層としてジメチルジメトキシシラン185g及びフェニルトリメトキシシラン(b1−3)72gの混合液(2)を、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下して混合液(3)を得た。
その後、反応容器中の温度が80℃の状態で混合液(3)を約1時間撹拌した。
次に、得られた混合液(3)に、シェル層としてアクリル酸ブチル150g、テトラエトキシシラン(b1−3)30g、フェニルトリメトキシシラン(b1−3)92g、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(b1−3)1.3gの混合液(4)と、ジエチルアクリルアミド165g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、及びイオン交換水1900gの混合液(5)とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下して混合物(6)を得た。
さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(6)を約2時間撹拌した。
その後、混合物(6)を室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し、精製水で濃度を調整して数平均粒子径42nmの重合体エマルジョン粒子(B−4)の水分散体(固形分10質量%、pH3.2)を得た。
<重合体エマルジョン粒子(B−5)水分散体の合成>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水2600g、及びドデシルベンゼンスルホン酸12g、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの25%水溶液(エマルゲン950、花王(株)製)20部を投入した後、撹拌しながら80℃に加温して混合液(1)を得た。
得られた混合液(1)に、コア層としてメタクリル酸18g、メタクリル酸メチル216g、アクリル酸ブチル216g、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(b1−3)6.9g、メチルトリメトキシシラン101g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、の混合液(2)を反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下して混合液(3)を得た。
その後、反応容器中の温度が80℃の状態で混合液(3)を約1時間撹拌した。
次に、得られた混合液(3)に、シェル層としてアクリル酸ブチル245g、メタクリル酸メチル245g、アクリル酸10g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、及びイオン交換水1900gの混合液(4)とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下して混合物(5)を得た。
さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(5)を約2時間撹拌した。
その後、混合物(5)を室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し、精製水で濃度を調整して数平均粒子径120nmの重合体エマルジョン粒子(B−5)の水分散体(固形分10質量%、pH3.2)を得た。
・重合体エマルジョン粒子(B−6)水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水2600g、及びドデシルベンゼンスルホン酸12g、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの25%水溶液(エマルゲン950、花王(株)製)20部を投入した後、撹拌しながら80℃に加温して混合液(1)を得た。
得られた混合液(1)に、コア層としてメタクリル酸18g、メタクリル酸メチル216g、アクリル酸ブチル216g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、の混合液(2)を反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下して混合液(3)を得た。
その後、反応容器中の温度が80℃の状態で混合液(3)を約1時間撹拌した。
次に、得られた混合液(3)に、シェル層としてアクリル酸ブチル245g、メタクリル酸メチル245g、アクリル酸10g、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(b1−3)6.9g、メチルトリメトキシシラン101g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、及びイオン交換水1900gの混合液(4)とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下して混合物(5)を得た。
さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(5)を約2時間撹拌した。
その後、0.1Nのアンモニア水を徐々に加え、混合物のpHが8になるまで撹拌した。
混合物(5)100メッシュの金網で濾過し、精製水で濃度を調整して数平均粒子径120nmの重合体エマルジョン粒子(B−6)の水分散体(固形分10質量%)を得た。
・重合体エマルジョン粒子(B−7)水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水2600g、及びドデシルベンゼンスルホン酸12g、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの25%水溶液(エマルゲン950、花王(株)製)20部を投入した後、撹拌しながら80℃に加温して混合液(1)を得た。
得られた混合液(1)に、コア層としてメタクリル酸18g、メタクリル酸メチル216g、アクリル酸ブチル216g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、の混合液(2)を反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下して混合液(3)を得た。
その後、反応容器中の温度が80℃の状態で混合液(3)を約1時間撹拌した。
次に、得られた混合液(3)に、シェル層としてアクリル酸ブチル245g、メタクリル酸メチル245g、アクリル酸10g、メチルトリメトキシシラン101g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、及びイオン交換水1900gの混合液(4)とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下して混合物(5)を得た。
さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(5)を約2時間撹拌した。
その後、0.1Nのアンモニア水を徐々に加え、混合物のpHが8になるまで撹拌した。
混合物(5)100メッシュの金網で濾過し、精製水で濃度を調整して数平均粒子径140nmの重合体エマルジョン粒子(B−7)の水分散体(固形分10質量%)を得た。
重合体エマルジョン粒子(B)として合成例1で合成した重合体エマルジョン粒子(B−1)の水分散体を用いた。球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS(表1中、「ST−OXS」と記載する)」、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)を用いた。
加水分解性珪素化合物(C)としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)を用いた。
これらを、表1に記載の固形分質量比で混合し、固形分2%となるように20%エタノール水で調整した後、攪拌し、コーティング組成物(E−1)を得た。
このとき塗膜(F−1)中の組成比(コーティング組成物の固形分換算で計算した各成分の質量比率と同様)は、(A)/(B’)/(C’)=300/100/45となった。
なお、(B’)は、前記焼結後に得られる重合体エマルジョン粒子(B)に由来する重合体粒子であり、(C’)は、前記焼結後に得られる加水分解性珪素化合物(C)の加水分解縮合物とする。
塗膜(F−1)中の組成比(コーティング組成物の固形分換算で計算した各成分の質量比率と同様)を、(A)/(B’)/(C’)=150/100/15とした。その他の条件は実施例1と同様にして試験板(G−2)を得た。得られた試験板(G−2)の評価結果を表1に示す。
重合体エマルジョン粒子(B)として、合成例2で合成した重合体エマルジョン粒子(B−2)の水分散体を用いた。その他の条件は実施例1と同様にして試験板(G−3)を得た。得られた試験板(G−3)の評価結果を表1に示す。
重合体エマルジョン粒子(B)として、合成例3で合成した重合体エマルジョン粒子(B−3)の水分散体を用いた。その他の条件は実施例1と同様にして試験板(G−4)を得た。得られた試験板(G−4)の評価結果を表1に示す。
球状の金属酸化物(A)の原料として、平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS(表1中、「ST−OS」と記載する。)」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)を用いた。その他の条件は、実施例1と同様にして試験板(G−5)を得た。得られた試験板(G−5)の評価結果を表1に示す。
テトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)の代わりにメチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)を用いた。その他の条件は、実施例1と同様にして試験板(G−6)を得た。得られた試験板(G−6)の評価結果を表1に示す。
各成分の質量比率を、(A)/(B’)/(C’)=200/100/100に調整した。その他の条件は、実施例1と同様にして試験板(G−7)を得た。得られた試験板(G−7)の評価結果を表1に示す。
重合体エマルジョン粒子(B)として合成例4で合成した重合体エマルジョン粒子(B−4)の水分散体を用いた。その他の条件は、実施例1と同様にして試験板(G−8)を得た。得られた試験板(G−8)の評価結果を表1に示す。
各成分の質量比率を、(A)/(B’)/(C’)=300/100/0に調整した。その他の条件は、実施例8と同様にして試験板(G−9)を得た。得られた試験板(G−9)の評価結果を表1に示す。
重合体エマルジョン粒子(B)として合成例5で合成した重合体エマルジョン粒子(B−5)の水分散体を用いた。その他の条件は、実施例1と同様にして試験板(G−11)を得た。得られた試験板(G−11)の評価結果を表1に示す。
重合体エマルジョン粒子(B)として合成例6で合成した重合体エマルジョン粒子(B−6)の水分散体、球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径4nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「NALCO1115」、NalcoCompany製、固形分16.5質量%)を、表1に記載の固形分質量比で混合し、固形分2%となるように20%エタノール水で調整した後、攪拌しコーティング組成物(E−10)を得た。
基材(5cm×5cmの白板ガラス)に、上記コーティング組成物(E−10)を、スピンコーターを用いて膜厚が100nmとなるよう塗布した後、25℃で60分間乾燥し、さらに電気炉中で600℃、3分間焼結した後に急冷してから塗膜(F−10)を有する試験板(G−12)を得た。このとき、前記塗膜(F−10)中の組成比(コーティング組成物の固形分換算で計算した各成分の質量比率と同様)は、(A)/(B’)/(C’)=90/10/0となるように調整した。
その他の条件は、実施例1と同様にして試験板(G−12)を得た。得られた試験板(G−12)の評価結果を表1に示す。
重合体エマルジョン粒子(B)として重合体エマルジョン粒子(B−7)(アクリルエマルジョン、固形分32%、pH7.7、粘度150mPa・s、酸価39、ガラス転移温度74℃、最低成膜温度−10℃)、球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径4nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「NALCO1115」、NalcoCompany製、固形分16.5質量%)を、表1に記載の固形分質量比で混合した。その後、0.1N塩酸水溶液でpHを2.5に調整し、さらに固形分が2%となるように20%エタノール水で調整してコーティング組成物(E−11)を得た。
基材(5cm×5cmの白板ガラス)に上記コーティング組成物(E−11)を、スピンコーターを用いて膜厚が100nmとなるよう塗布した後、25℃で60分間乾燥し、さらに電気炉中で600℃、3分間焼結した後に急冷してから塗膜(F−11)を有する試験板(G−13)を得た。このとき塗膜(F−11)中の組成比(コーティング組成物の固形分換算で計算した各成分の質量比率と同様)は、(A)/(B’)/(C’)=90/10/0となった。
その他の条件は、実施例1と同様にして試験板(G−13)を得た。得られた試験板(G−13)の評価結果を表1に示す。
なお、表1中、右端欄には、前記実施例1〜9、比較例1〜3で用いた基材(5cm×5cmの白板ガラス)のみの全光線透過率及び水接触角のデータを示す。
一方、比較例1〜3においては、耐候性試験後において全反射透過率が低下し、反射防止特性が低下したことが確認された。
Claims (10)
- 基材上に形成された塗膜よりなる光学塗膜であって、
前記塗膜中には、長径(L)とそれと直交する短径の最大値(D)の平均値:((L+D)/2)が、20nm以上の空隙(X)を有し、
前記空隙(X)の長径(L)と短径(D)とが1<L/Dであり、
前記空隙(X)が前記基材との界面において、当該基材と非接触である光学塗膜。 - 前記空隙(X)の周囲に前記平均空隙サイズが20nm未満の空隙(Y)を、さらに有する請求項1に記載の光学塗膜。
- 前記光学塗膜が、金属酸化物(A)及び重合体エマルジョン粒子(B)を含むコーティング組成物を塗布し、乾燥して形成される光学塗膜の前駆体を、600℃以上の温度で焼結することにより形成されたものである、請求項1又は2記載の光学塗膜。
- 前記重合体エマルジョン粒子(B)が、コア/シェル層構造からなる粒子であり、
前記重合体エマルジョン粒子(B)は、加水分解性珪素化合物(b1)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2)とを、重合体単量体として含み、
前記コア層中における、加水分解性官能基を3個以上含む加水分解性珪素化合物(b1−3)の割合が、前記2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2)と前記加水分解性珪素化合物(b1)との合計量に対する質量比率で、
(b1−3)/((b1)+(b2))≧0.20である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学塗膜。 - 前記重合体エマルジョン粒子(B)が、コア/シェル層構造からなる粒子であり、
前記重合体エマルジョン粒子(B)は、加水分解性珪素化合物(b1)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2)とを、重合単量体として含み、
前記シェル層中における、加水分解性官能基を3個以上含む加水分解性珪素化合物(b1−3)の割合が、前記2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2)と前記加水分解性珪素化合物(b1)との合計量に対する質量比率で、
0.01<(b1−3)/((b1)+(b2))<0.20
である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光学塗膜。 - 金属酸化物(A)と重合体エマルジョン粒子(B)とを含むコーティング組成物を塗布し、乾燥して、光学塗膜の前駆体を形成する工程と、
前記前駆体を500℃以上の温度で焼結し、光学塗膜を形成する工程と、
を有する、光学塗膜の製造方法。 - 前記光学塗膜が反射防止膜である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学塗膜。
- 請求項7に記載の反射防止膜を含む太陽電池用ガラス。
- 請求項7に記載の反射防止膜を含む太陽電池モジュール。
- 請求項7に記載の反射防止膜を含む太陽電池用集光レンズ。
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