JP2014201511A - 窒化リチウムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】窒化リチウムの生成が安全かつ速やかに進行し、窒化リチウムの安定生産が可能な窒化リチウムの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の窒化リチウムの製造方法は、表面に酸素を主成分とする粒子状物質を有する金属リチウムを窒素ガス中で保持することにより、上記金属リチウムと上記窒素ガスとを反応させて窒化リチウムを生成する工程を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、窒化リチウムの製造方法に関する。
窒化リチウムは、リチウムイオン伝導度が室温で10−3Scm−1を示す高イオン伝導体として知られており、たとえばリチウムイオン電池用の固体電解質や電極材料としての応用が検討されている。
窒化リチウムは水分と接触すると容易に分解してしまうため、その合成方法は多くの制約を受けており、通常は金属リチウムと窒素ガスとの反応で窒化リチウムが製造されている。
特許文献1(特開2001−48504号公報)には、窒素ガス雰囲気下、冷却によりリチウム及び生成する窒化リチウムの温度をリチウムの溶融温度以下に維持しながら、金属リチウムと窒素とを反応させることを特徴とする窒化リチウムの製造方法が開示されている。
また、特許文献2(特開2002−3209号公報)には、窒素雰囲気下、0.4℃/min〜7.0℃/minの昇温速度で、50℃〜110℃まで金属リチウムを加熱する工程を有する窒化リチウムの製造方法が開示されている。
特開2001−48504号公報 特開2002−3209号公報
しかし、本発明者らの検討によれば、上記特許文献1および2に開示されているような金属リチウムと窒素ガスとの反応で窒化リチウムを製造する方法では、金属リチウムと窒素ガスとの反応が再現性よく起こらず、窒化反応が進行しない場合があることが明らかになった。
そこで、本発明では、窒化リチウムの生成が安全かつ速やかに進行し、窒化リチウムの安定生産が可能な窒化リチウムの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、窒化リチウムの生成が安全かつ速やかに進行し、窒化リチウムの安定生産が可能な窒化リチウムの製造方法を提供するため、窒化リチウムの製造に用いる金属リチウムの表面性状について鋭意検討した。その結果、金属リチウムの表面が特定の性状であると、金属リチウムの窒化反応が暴走もなく速やかに進行することを見出し、本発明に至った。
本発明によれば、
表面に酸素を主成分とする粒子状物質を有する金属リチウムを窒素ガス中で保持することにより、上記金属リチウムと上記窒素ガスとを反応させて窒化リチウムを生成する工程を含む、窒化リチウムの製造方法が提供される。
本発明によれば、
金属リチウムの表面にマイクロクラックを形成する工程と、
上記マイクロクラックが形成された上記金属リチウムを窒素ガス中で保持することにより、上記金属リチウムと上記窒素ガスとを反応させて窒化リチウムを生成する工程と、
を含む、窒化リチウムの製造方法が提供される。
本発明によれば、窒化リチウムの生成が安全かつ速やかに進行し、窒化リチウムの安定生産が可能な窒化リチウムの製造方法を提供することができる。
実施例1の金属リチウム箔表面の電子顕微鏡写真を示す図面である。 図1に示す実施例1の金属リチウム箔表面の拡大図を示す図面である。 比較例1の金属リチウム箔表面の電子顕微鏡写真を示す図面である。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明に係る第1の実施形態の窒化リチウムの製造方法について説明する。
第1の実施形態の窒化リチウムの製造方法は、表面に酸素を主成分とする粒子状物質を有する金属リチウムを窒素ガス中で保持することにより、上記金属リチウムと上記窒素ガスとを反応させて窒化リチウムを生成する工程を含んでいる。
第1の実施形態の窒化リチウムの製造方法によれば、窒化リチウムの生成が安全かつ速やかに進行し、窒化リチウムの安定生産が可能な窒化リチウムの製造方法を提供することができる。
第1の実施形態の窒化リチウムの製造方法を用いると上記効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のように考えている。
一般的に市販されている金属リチウムの表面には、炭素と酸素を構成成分とする薄い皮膜が存在している。箔などに加工された金属リチウムはその皮膜によってリチウム箔が相互に癒着するのが抑制されている。
炭素と酸素を構成成分とする上記皮膜は、通常は炭酸リチウムが主要物質であり、酸化リチウムを含むこともある。金属リチウム表面の炭素と酸素を構成成分とする上記皮膜は前述したようにリチウム箔の癒着などを防ぐ効果がある一方で、窒化の進行を抑制する作用があるため、酸素濃度や露点が適正に管理された雰囲気で製造された金属リチウムは、窒素ガス雰囲気下で加熱しても窒化反応は進行しないと考えられる。
また、このような金属リチウムに傷を加えても、傷の表面には速やかに酸化皮膜が形成され窒素との結合を阻害すると考えられる。
本発明者らは、金属リチウムの表面性状と窒化の進行状況を綿密に観察した結果、窒化反応が進行しない場合は金属リチウム表面が比較的平坦で析出物はないが、窒化反応が進行する場合は金属リチウム表面に酸素を主成分とする粒子状物質が析出していることを見出した。
金属リチウムを酸素または水分が極微量含有するアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中に保持すると、炭素と酸素を構成成分とする皮膜の厚さは徐々に増加する。例えば、酸化リチウムや水酸化リチウム、炭酸リチウムは、リチウムよりも緻密な結晶構造であり、皮膜の厚さが増加すると引張り応力が働くため皮膜には多数の亀裂(マイクロクラックとも呼ぶ。)が入る。亀裂が入った部分は内部の活性なリチウムが露出するため、露出した活性なリチウムは酸素と結合し酸素を主成分とする粒子状物質が形成される。このような酸素を主成分とする粒子状物質が存在する状態の金属リチウムを窒素ガス雰囲気中に入れると粒子状物質の隙間に露出した活性なリチウムと窒素が容易に結合し、マイクロクラック部分から窒化反応が速やかに進行する。さらに窒化反応は、マイクロクラック部分のみから進むため反応面積が限られており窒化反応の暴走を防ぐことができる。
以上の理由から、第1の実施形態の窒化リチウムの製造方法によれば、窒化リチウムの生成が安全かつ速やかに進行し、窒化リチウムの安定生産が可能な窒化リチウムの製造方法を提供することができると考えられる。
本実施形態に係る金属リチウムの形状は、インゴット、箔、ワイヤー、ロッドなど一般的に提供されているものであれば良く、特別な形状である必要はない。ただし、窒化反応を速やかに完了させるには表面積が大きな形状が良いため、金属リチウムの形状としては箔が好ましい。
金属リチウムの表面に、酸素を主成分とする粒子状物質を析出させる方法としては特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
水分と酸素が一定の濃度に制御されたアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に、金属リチウムを一定時間放置することにより、金属リチウムの表面に酸素を主成分とする粒子状物質を析出させることができる。
例えば、酸素濃度は好ましくは0.2ppm以上20ppm以下、より好ましくは0.5ppm以上15ppm以下の範囲内である。水分濃度は好ましくは50ppm以上1,000ppm以下、より好ましくは300ppm以上800ppm以下の範囲内である。雰囲気温度は好ましくは10℃以上50℃以下、より好ましくは15℃以上40℃以下の範囲内である。このような雰囲気に金属リチウムを保持する時間は、好ましくは10分間以上12時間以下、より好ましくは15分間以上3時間以下である。
酸素を主成分とする上記粒子状物質は特に限定されないが、通常は酸化リチウムおよび水酸化リチウムから選択される少なくとも一方を含んでいる。
また、酸素を主成分とする上記粒子状物質の粒子径は特に限定されないが、通常は0.01μm以上0.5μm以下の範囲内である。
また、前述したように、金属リチウムの表面にはマイクロクラックが形成されており、酸素を主成分とする上記粒子状物質は、通常はマイクロクラック部分に析出している。
上記マイクロクラックのクラック幅は通常は0.01μm以上0.5μm以下の範囲内である。
また、前述したように、金属リチウムの表面には炭素と酸素を含む皮膜が形成されており、上記マイクロクラックは、通常は炭素と酸素を含む上記皮膜に形成されている。
第1の実施形態の窒化リチウムの製造方法では、金属リチウムの窒化反応には、窒素ガスを使用する。窒素ガスは、金属リチウムと反応し易く、安価でかつ毒性も無い。アンモニアガスを使用すると、金属リチウムは水素化が優先的に起こり、窒化反応は抑制される。
窒素ガス中の酸素濃度と水分濃度は低いほど好ましい。窒素ガス中の酸素濃度や水分濃度が高くなると金属リチウムは著しく酸化腐食し、窒化リチウムの形成を阻害するだけでなく、窒化リチウムに酸化リチウムや水酸化リチウムの混入を引き起こしてしまうからである。
具体的には、窒素ガス中の酸素濃度は100ppm以下が好ましく、60ppm以下がより好ましい。また、窒素ガス中の水分濃度は1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましい。さらに、露点は−50℃以下が好ましく、−60℃以下がより好ましい。
また、窒素ガスの純度は、99.99%以上が好ましい。
金属リチウムの窒化反応の際の温度は、窒化リチウムの生成を安全かつ速やかに進行させる観点から、15℃以上120℃以下の範囲内が好ましく、30℃以上80℃以下の範囲内がより好ましい。
金属リチウムと窒素ガスとを反応させて窒化リチウムを生成する方法の一例として、以下の方法が挙げられる。
まず、アルゴングローブボックス内で、表面に酸素を主成分とする粒子状物質を析出させた金属リチウム箔を小片に切り、密閉容器に入れる。密閉容器としては、例えば、耐熱ガラス製のセパラブルフラスコやステンレス製の密閉缶などを用いることができる。密閉容器としては、180℃以下で金属リチウムと反応しない材質であり、かつ、密閉性が確保できる堅牢な容器が好ましい。
次いで、密閉容器に窒素ガスの導入バルブと排出バルブを取り付ける。金属リチウム箔を入れた密閉容器をアルゴングローブボックスから取り出し、大気が流入しないように窒素ガスの導入バルブに窒素ガス配管を接続し、一方の排出バルブには排気管を接続する。
次いで、密閉容器を加熱炉にセットする。加熱装置は特に限定されず、均一に目的の温度に加熱できる装置であればよいが、密閉容器が横に長い筒状であれば加熱炉は管状炉が適しており、縦に長い筒状であればマッフル炉が適している。
次いで、窒素ガスの導入バルブを開き、窒素ガスを導入するとともに排気バルブを開き密閉容器に窒素ガスを流入させる。加熱炉を昇温し、密閉容器内部が所定の温度になるように制御し、たとえば0.5時間以上24時間以下放置する。金属リチウムは、密閉容器との不用意な反応を避けるためカーボン、鉄、ニッケル、チタンなどリチウムと反応し難い材質で作製した容器に入れて、その容器を密閉容器に収めてもよい。
金属リチウムの窒化反応において、酸素を主成分とする粒子状物質が析出している金属リチウム表面のマイクロクラック部分から紫色の斑点が発生し、時間の経過とともに斑点の面積が拡大し、窒化リチウムの生成が進行する。最終的には、金属リチウムの全量が紫色の窒化リチウムに変化する。
また、金属リチウムの表面の中で粒子状物質が析出していない部分は炭素と酸素が構成成分として検出され、金属リチウム表面に酸化リチウムまたは炭酸リチウムからなる皮膜が形成されていると考えられる。金属リチウムの表面には多数のマイクロクラックがあり、粒子状物質はそのマイクロクラックに沿って析出していることが確認できる。この粒子状物質は、エネルギー分散型蛍光X線分析で酸素のみを検出したことから酸化リチウムまたは水酸化リチウムを含んでいる。
本実施形態の製造方法により得られた窒化リチウムは、例えば、リチウムイオン電池用の固体電解質、リチウムイオン電池用電極材料、化学薬品用の中間原料として好適に用いることができる。本実施形態の製造方法により得られた窒化リチウムは、高純度であるため、特に高純度が求められるリチウムイオン電池用の固体電解質およびリチウムイオン電池用電極材料用の原料として好適に用いることができる。
(第2の実施形態)
つぎに、本発明に係る第2の実施形態の窒化リチウムの製造方法について説明する。
第2の実施形態の窒化リチウムの製造方法は、金属リチウムの表面にマイクロクラックを形成する工程と、上記マイクロクラックが形成された上記金属リチウムを窒素ガス中で保持することにより、上記金属リチウムと上記窒素ガスとを反応させて窒化リチウムを生成する工程と、とを含んでいる。
第2の実施形態に係る窒化リチウムの製造方法は、表面に酸素を主成分とする粒子状物質を有する金属リチウムを用いる代わりに、金属リチウムの表面にマイクロクラックを形成する工程をおこなう点を除いて、第1の実施形態と同様である。そのため、金属リチウムの表面にマイクロクラックを形成する工程を中心に説明し、他の工程については、その説明を適宜省略する。
第2の実施形態の窒化リチウムの製造方法によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
金属リチウムの表面にマイクロクラックを形成する方法としては特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
水分と酸素が一定の濃度に制御されたアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に、金属リチウムを一定時間放置することにより、金属リチウムの表面にマイクロクラックを形成することができる。
例えば、酸素濃度は好ましくは0.2ppm以上20ppm以下、より好ましくは0.5ppm以上15ppm以下の範囲内である。水分濃度は好ましくは50ppm以上1,000ppm以下、より好ましくは300ppm以上800ppm以下の範囲内である。雰囲気温度は好ましくは10℃以上50℃以下、より好ましくは15℃以上40℃以下の範囲内である。このような雰囲気に金属リチウムを保持する時間は、好ましくは10分間以上12時間以下、より好ましくは15分間以上3時間以下である。
上記マイクロクラックのクラック幅は通常は0.01μm以上0.5μm以下の範囲内である。
また、金属リチウムの表面には炭素と酸素を含む皮膜が形成されており、上記マイクロクラックは、通常は炭素と酸素を含む上記皮膜に形成されている。
金属リチウムを酸素または水分が極微量含有するアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中に保持すると炭素と酸素を構成成分とする皮膜の厚さは徐々に増加する。例えば、酸化リチウムや水酸化リチウム、炭酸リチウムは、リチウムよりも緻密な結晶構造であり、皮膜の厚さが増加すると引張り応力が働くため皮膜には多数のマイクロクラックが形成される。マイクロクラックが入った部分は内部の活性なリチウムが露出する。このような状態の金属リチウムを窒素ガス雰囲気中に入れると、露出した活性なリチウムと窒素が容易に結合し、マイクロクラック部分から窒化反応が速やかに進行する。さらに窒化反応は、マイクロクラック部分のみから進むため反応面積が限られており窒化反応の暴走を防ぐことができる。
マイクロクラックが形成された金属リチウムと窒素ガスとの窒化反応は、第1の実施形態における金属リチウムと窒素ガスとの窒化反応に準じた方法でおこなうことができるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の製造方法により得られた窒化リチウムは、例えば、リチウムイオン電池用の固体電解質、リチウムイオン電池用電極材料、化学薬品用の中間原料として好適に用いることができる。本実施形態の製造方法により得られた窒化リチウムは、高純度であるため、特に高純度が求められるリチウムイオン電池用の固体電解質およびリチウムイオン電池用電極材料用の原料として好適に用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
なお、当然ながら、上述した第1の実施形態および第2の実施形態は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
酸素濃度0.1ppm以下、水分濃度1ppm(露点−76℃)以下に制御したアルゴングローブボックス内で、50mm×50mmに金属リチウム箔(電池グレード、純度99.5%、厚さ0.5mm)を切断した。次いで、内容積1000mlのセパラブルフラスコに金属リチウム箔を入れた。セパラブルフラスコのフタを取り付けた後でクランプを使用して締め付けた。セパラブルフラスコのフタには雰囲気ガス導入用のバルブ付き配管を2式取り付けた。セパラブルフラスコをアルゴングローブボックスから取り出し、マントルヒーターに設置した。セパラブルフラスコのフタに取り付けておいたバルブ付き配管の一つに雰囲気ガス導入配管を、もう一つにガス排気用配管を接続した。
(金属リチウムの前処理)
アルゴングローブボックスからセパラブルフラスコを取り出した後、雰囲気ガス導入配管からセパラブルフラスコに酸素濃度1ppm、水分濃度560ppm(露点−26℃)のArガスを500ml/分で導入しながら20℃、30分間放置した。導入したArガスはガス排気配管からセパラブルフラスコの外部に放出した。
次いで、Arガス導入を止め、雰囲気ガス導入用バルブとガス排気用バルブを閉じ、セパラブルフラスコを再度アルゴングローブボックス内に戻した。
セパラブルフラスコから金属リチウム箔を取り出し、その小片を大気に触れないようにアルゴン雰囲気制御風袋を介して走査型電子顕微鏡にセットし、金属リチウム箔の表面状態の観察とエネルギー分散型蛍光分析(EDX)装置によりCおよびOの分析を行なった。
図1に、実施例1の金属リチウム箔表面の電子顕微鏡写真を示す。また、図2に、図1に示す実施例1の金属リチウム箔表面の拡大図を示す。
図1および図2に示すように、金属リチウムの表面には、一方向に伸びる多数のマイクロクラックとマイクロクラック内に析出した粒子径が0.05μm〜0.3μmの粒子状物質が観察された。
また、EDXにより、図2に示す金属リチウムのマトリックスに相当する部位Aおよび粒子状物質である部位BについてEDXを行い、CおよびOの分析を行なった。
部位Aには、CとOが検出され金属リチウムの表面にはきわめて薄い炭酸リチウムや酸化リチウムなどからなる皮膜があることが確認できた。なお、Cが22質量%、Oが78質量%検出された。
また、粒子状物質である部位BはOのみが検出され、酸化リチウムまたは水酸化リチウムが生成していることが確認できた。
(金属リチウムの窒化反応)
得られた金属リチウム箔をセパラブルフラスコに入れた後、再度アルゴングローブボックスから取り出し、雰囲気ガス導入配管に窒素ガス配管を接続し、窒素ガス導入配管からセパラブルフラスコに酸素濃度1ppm、水分濃度63ppm(露点−46℃)の窒素ガスを500ml/分で導入しながら50℃、60分間加熱した。セパラブルフラスコのガス排気用配管から窒素ガスを排出した。
金属リチウム箔は、急速に黒色から紫色に変化し、X線回折装置(XRD)を用いたX線回折から窒化リチウム(LiN)が生成していることを確認した。
(実施例2および3)
金属リチウムの前処理条件および窒化反応の条件を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様にして窒化リチウムの製造をおこなった。
実施例2および3により得られた金属箔は、実施例1と同様に、金属リチウムの表面には、一方向に伸びる多数のマイクロクラックとマイクロクラック内に析出した粒子径が0.05μm〜0.3μmの粒子状物質が観察された。
また、実施例1と同様に、金属リチウム箔は急速に黒色から紫色に変化し、X線回折装置(XRD)を用いたX線回折から窒化リチウムが生成していることを確認した。
(比較例1)
金属リチウムの前処理条件および窒化反応の条件を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様にして窒化リチウムの製造をおこなった。
図3に比較例1の金属リチウム箔表面の電子顕微鏡写真を示す。比較例1の金属リチウム箔の表面は平滑であり、特別な析出物は認められなかった。
また、EDXにより、図3に示す金属リチウムの部位CについてEDXを行い、CおよびOの分析を行なった。
部位Cには、CとOが検出され金属リチウムの表面にはきわめて薄い炭酸リチウムや酸化リチウムなどからなる皮膜があることが確認できた。なお、Cが24質量%、Oが76質量%検出された。
また、窒化反応後の金属リチウム箔は、変色がなく、X線回折からリチウム(Li)のままであることを確認した。
(比較例2および3)
金属リチウムの前処理条件および窒化反応の条件を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様にして窒化リチウムの製造をおこなった。
比較例1と同様に、比較例2および3の金属リチウム箔の表面も平滑であり、特別な析出物は認められなかった。また、窒化反応後の金属リチウム箔は、変色がなく、X線回折からリチウムのままであること確認した。

Claims (12)

  1. 表面に酸素を主成分とする粒子状物質を有する金属リチウムを窒素ガス中で保持することにより、前記金属リチウムと前記窒素ガスとを反応させて窒化リチウムを生成する工程を含む、窒化リチウムの製造方法。
  2. 請求項1に記載の窒化リチウムの製造方法において、
    前記金属リチウムは、前記金属リチウムの表面にマイクロクラックを有し、酸素を主成分とする前記粒子状物質が前記マイクロクラック部分に析出しているものである、窒化リチウムの製造方法。
  3. 請求項2に記載の窒化リチウムの製造方法において、
    前記マイクロクラックのクラック幅が0.01μm以上0.5μm以下の範囲内である、窒化リチウムの製造方法。
  4. 請求項2または3に記載の窒化リチウムの製造方法において、
    前記金属リチウムが前記金属リチウムの表面に炭素と酸素を含む皮膜を有し、前記マイクロクラックは炭素と酸素を含む前記皮膜に形成されている、窒化リチウムの製造方法。
  5. 請求項1乃至4いずれか一項に記載の窒化リチウムの製造方法において、
    酸素を主成分とする前記粒子状物質が、酸化リチウムおよび水酸化リチウムから選択される少なくとも一方を含む、窒化リチウムの製造方法。
  6. 請求項1乃至5いずれか一項に記載の窒化リチウムの製造方法において、
    酸素を主成分とする前記粒子状物質の粒子径が0.01μm以上0.5μm以下の範囲内である、窒化リチウムの製造方法。
  7. 請求項1乃至6いずれか一項に記載の窒化リチウムの製造方法において、
    前記金属リチウムが箔状である、窒化リチウムの製造方法。
  8. 金属リチウムの表面にマイクロクラックを形成する工程と、
    前記マイクロクラックが形成された前記金属リチウムを窒素ガス中で保持することにより、前記金属リチウムと前記窒素ガスとを反応させて窒化リチウムを生成する工程と、
    を含む、窒化リチウムの製造方法。
  9. 請求項8に記載の窒化リチウムの製造方法において、
    前記マイクロクラックのクラック幅が0.01μm以上0.5μm以下の範囲内である、窒化リチウムの製造方法。
  10. 請求項8または9に記載の窒化リチウムの製造方法において、
    前記金属リチウムが前記金属リチウムの表面に炭素と酸素を含む皮膜を有し、前記マイクロクラックは炭素と酸素を含む前記皮膜に形成されている、窒化リチウムの製造方法。
  11. 請求項10に記載の窒化リチウムの製造方法において、
    マイクロクラックを形成する前記工程では、
    酸素濃度が0.2ppm以上20ppm以下の範囲内であり、水分濃度が50ppm以上1000ppm以下の範囲内である雰囲気下に、前記金属リチウムを保持して、炭素と酸素を含む前記皮膜を増加させることにより、前記金属リチウムの表面に前記マイクロクラックを形成する、窒化リチウムの製造方法。
  12. 請求項8乃至11いずれか一項に記載の窒化リチウムの製造方法において、
    前記金属リチウムが箔状である、窒化リチウムの製造方法。
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