JP2014199166A - 化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水和反応で放熱し、加熱による脱水反応で蓄熱する蓄熱材と、化学蓄熱材を加熱し、また蓄熱材からに発熱を受取り反応槽の外に排出する熱媒油管と、蓄熱材に水蒸気を与え、また蓄熱材から出た水蒸気を受け取る水蒸気管を備えた熱交換器を備えてなる反応槽と、内部に貯蔵した水を加熱する蒸発・凝縮管を備え、前記熱交換器の蓄熱材の水和反応に必要な水蒸気を供給しまた前記蓄熱材の加熱によって脱水された水蒸気を凝縮して貯留する水槽と、反応槽と水槽内の空気を排除して真空環境下で作動させるための真空ポンプと、前記前記反応槽と水槽、真空ポンプを連接する配管と、前記配管に設けた真空バルブと、水槽、真空ポンプ、反応槽を制御する制御部とで構成された化学蓄熱システム。
【選択図】図1
Description
このような中、未利用エネルギーを活用する「エネルギーの有効利用」として、例えば、発電プラントや化学プラントなどの工場、下水汚泥焼却プラント、ごみ焼却プラントなどの熱源から発生する低温排熱(200℃以下)を、潜熱蓄熱材(PCM)に蓄え、時間的、場所的にミスマッチな利用施設、例えば熱源施設の付属棟での時間差のある利用、例えば、病院やオフィス、公共施設などへのオフライン輸送での利用を可能とする潜熱蓄熱装置が提案されている。
この潜熱蓄熱装置によれば、その殆どが環境中に捨てられていた低温排熱を、効果的に利用することにより、化石燃料の使用量を抑制することができ、温室効果ガスの代表格である二酸化炭素ガスの削減にも、大きく貢献できることが知られている。
しかし、蓄熱した熱エネルギーを利用するに当たり、より高蓄熱密度で利用したい、夏が高温多湿の日本において、熱の利用として温熱の蓄熱利用だけでなく、蓄熱から直接冷熱が取り出せるようにしたい、との要請がある。この要請には、潜熱蓄熱材では全て応えきれるものではない。
ところで、反応器内に、化学蓄熱材を設け、大気圧よりも低い圧力場での水蒸気との反応により放熱を行い、加熱により化学蓄熱材が再生(つまり蓄熱)される化学蓄熱を使用した化学蓄熱システムが知られている。
化学蓄熱システムの特徴としては、水和反応及び脱水反応を行うので、大気圧よりも低い場に封じられた水を扱い、その沸点が大気圧下(絶対圧約100kPa)の100℃ではない、遙か低温(例えば1kPa程度なら10℃以下)になることが上げられる。この大気圧よりも低い圧力場の水温で、水和反応の場合外部加熱を要求する、つまり冷熱が取り出せるのである。
例えば、前記化学蓄熱を車両に使用した車両用化学蓄熱システムとして、車両に搭載された内燃機関の排気熱により脱水反応を行って蓄熱し、水和反応により放熱する化学蓄熱材が内蔵された反応器と、前記反応器から前記脱水反応に伴って放出された水蒸気の吸着及び吸着した水蒸気の脱着が可能な吸着材が内蔵された吸着器と、前記吸着器の吸着材から水蒸気を脱着させるための脱着促進手段と、前記反応器内の前記化学蓄熱材が水和反応により放熱した熱を加熱対象に伝える伝熱構造と、を備えた車両用化学蓄熱システムがある。(特許文献1参照)。
ところで、200℃以下の排熱を利用して、別なエネルギーとして利用しやすく、社会として利用量が多いエネルギーとして、空調エネルギーが上げられる。空調熱源としては、冷房用途として空調機の冷却コイルに送られる熱媒である冷水(7℃〜10℃程度の送り温度で、12℃〜18℃程度の還り温度の範囲)、暖房用途として空調機の温水コイルに送られる熱媒である温水(50℃〜60℃程度の送り温度で、45℃〜50℃程度の還り温度)として取り出せれば、汎用の空調に利用ができて都合がよい。
水和反応の圧力場(1kPa程度)、脱水反応の加熱温度(望ましくは150℃以下)からみて、適当な化学蓄熱材は、石膏や塩化カルシウム、臭化カルシウムなどが該当する。
この中で、潜熱蓄熱材として高性能なエリスリトール(融解潜熱320kJ/kg)と比較して、劣る石膏(水和熱116kJ/kg)を除き、高蓄熱密度を有する臭化カルシウム(水和熱480kJ/kg)や更に高い蓄熱密度を有する塩化カルシウム(水和熱890kJ/kg)を利用すれば、より高効率に冷熱及び温熱が空調熱源として利用できる。
ところが、塩化カルシウムは、今回の冷熱取りだしの水温域近傍及び水和反応の圧力域で潮解性があるので、反応を継続するためには、潮解しないように留意する必要がある。
前述のように、200℃以下の排熱を利用して、別なエネルギーとして利用しやすく、社会として利用量が多いエネルギーとして、空調エネルギーを取り出す今回の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システムには適用できない。
水和材として、排熱として利用が経済的な温度である100数十度で再生が可能な塩化カルシウムを使用し、熱源として温熱と冷熱を同時に使用する化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システムには、その基本構成や水和反応の圧力場(1kPa程度)、脱水反応の加熱温度(望ましくは150℃以下)等が異なっていて採用することができない。
本発明は、上記事実を考慮して、熱源として温熱と冷熱を同時に使用する化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システムを得ることを目的とする。
また、本発明は、今回の冷熱取りだしの水温域近傍及び水和反応の圧力域で潮解性がある水和材の潮解を防止して継続した排熱利用ができる、化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システムを得ることを目的とする。
(1)水和反応により放熱し、加熱による脱水反応により蓄熱する粒状の蓄熱材と、
該蓄熱材を加熱し該蓄熱材から発熱した熱を受取る熱媒油を循環させるよう入口ヘッダと出口ヘッダとで複数本に分岐しまた合流する熱媒油管と、
前記蓄熱材の水和反応に必要な水蒸気を与え、前記蓄熱材の脱水反応により取り出された水蒸気を受け取る側面に開口を多数有する複数の水蒸気管と、
前記熱媒油管と前記水蒸気管とのそれぞれの外側面に管の軸芯に直交する方向に接するように固定されるフィンとを有し、側面に前記複数の水蒸気管内部を外部と連通するよう固定する、気体−液体熱交換コイル形状の熱交換器と、
前記熱交換器の前記フィンと直交する方向の上面及び下面とをそれぞれ塞ぐ熱交換器蓋と、
底の前記熱交換蓋を閉鎖した後に、前記蓄熱材を前記熱交換器のフィン間隙間に充填し、上部の熱交換蓋で閉鎖した前記熱交換器を内蔵する、前記熱交換器の側面と相対する側面蓋に水蒸気導入管の端部を位置させ、2つの側面蓋の内どちらかを通じて内部に前記熱交換器を入れ込む反応槽を備え、
さらに、内部に貯蔵した水を加熱し、また前記熱交換器で生じた水蒸気を冷却凝縮する熱媒水を流通させる蒸発・凝縮管を備えた水槽と、
前記蓄熱材を大気圧より低い圧力の環境下で反応させるため、反応槽と水槽内の空気を排除して大気圧より低い内圧にする真空ポンプと、
前記反応槽側壁を貫通して前記熱交換器の前記熱媒油管に入口ヘッダを介して接続され前記熱媒油を流入させる熱媒油流入管、及び前記熱媒油管に出口ヘッダを介して接続された熱媒油排出管と、
前記反応槽と水槽とを連接する外部水蒸気配管と、
該外部水蒸気配管の接続部と前記真空ポンプを接続する真空引き配管と、
前記外部水蒸気配管の接続部から見て水槽側の外部水蒸気配管に設けられた第一真空バルブと、前記外部水蒸気配管の接続部から見て反応槽側の外部水蒸気配管に設けられた第二真空バルブと、前記真空引き配管に設けられた第三真空バルブと、
を備え、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管には、大気と熱交換する冷却塔に冷却水ポンプで冷却水を循環する冷却水循環系と、空調機の冷却コイルに冷水ポンプで冷水を循環する冷水循環系とを切り換えて接続し、
前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とには、施設側熱交換器を介して空調用温水循環系と、排熱回収熱媒循環系とを切り換えて接続する
ことを特徴とする化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。
前記熱媒油管に出口ヘッダを介して接続された熱媒油排出管を流出側油カップリングを介して分割し、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管の入口出口タッピングにそれぞれ、流入側水カップリング、流出側水カップリングを付属させて、それぞれ相カップリング付きの外部可撓管と接続可能としたうえで、
前記反応槽と、前記水槽と、前記真空ポンプと、
前記反応槽と水槽とを連接する外部水蒸気配管と、
該外部水蒸気配管の接続部と前記真空ポンプを接続する真空引き配管と、
前記外部水蒸気配管の接続部から見て水槽側の外部水蒸気配管に設けられた第一真空バルブと、前記外部水蒸気配管の接続部から見て反応槽側の外部水蒸気配管に設けられた第二真空バルブと、前記真空引き配管に設けられた第三真空バルブと、
前記熱媒油管の入口ヘッダから流入側油カップリングまでの熱媒油流入管と、
前記熱媒油管の出口ヘッダから流出側油カップリングまでの熱媒油流出管と、
を移動可能な架台上に備え、
排熱施設に移動した場合は、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管に、流入側水カップリング及び流出側水カップリングを介して前記冷却水循環系を接続し、かつ、前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とに、流入側油カップリング及び流出側油カップリングを介して施設側の熱媒油流入管及び施設側の熱媒油流出管に接続して施設側熱交換器を油を循環させ、該施設側熱交換器を介して前記排熱回収熱媒循環系に接続し、
熱利用施設に移動した場合は、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管に、流入側水カップリング及び流出側水カップリングを介して前記冷水循環系を接続し、かつ、前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とに、流入側油カップリング及び流出側油カップリングを介して施設側の熱媒油流入管及び施設側の熱媒油流出管に接続して施設側熱交換器を油を循環させ、該施設側熱交換器を介して前記空調用温水循環系に接続する
ことを特徴とする前記(1)記載の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。
前記水槽に所定量水を充填し、
第三真空バルブ及び第二真空バルブを開けた後真空ポンプを運転して反応槽内圧を2〜50Paまで低圧とした後、第二真空バルブを閉じて第一真空バルブを開けて真空ポンプの吸引により前記水槽内圧をその水温の飽和水蒸気圧の1〜3kPaまで低圧とした後に前記真空ポンプを停止する脱気運転の後、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管に前記冷水循環系を接続して冷熱を、前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とに施設側熱交換器を介して空調用温水循環系を接続して温熱を、水和反応により熱源としてそれぞれ同時に取り出し、
その後、前記水槽の前記蒸発・凝縮管に前記冷却水循環系を接続して水槽中の水の凝縮熱放熱を、前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とに施設側熱交換器を介して排熱回収熱媒循環系を接続し200℃以下の排熱を用いて、脱水反応により蓄熱し、
これを繰り返して行える
ことを特徴とする前記(1)記載の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。
前記水槽に所定量水を充填し、
第三真空バルブ及び第二真空バルブを開けた後真空ポンプを運転して反応槽内圧を2〜50Paまで低圧とした後、第二真空バルブを閉じて第一真空バルブを開けて真空ポンプの吸引により前記水槽内圧をその水温の飽和水蒸気圧の1〜3kPaまで低圧とした後に前記真空ポンプを停止する脱気運転の後、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管に前記冷水循環系を接続して冷熱を、前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とに施設側熱交換器を介して空調用温水循環系を接続して温熱を、水和反応により熱源としてそれぞれ同時に取り出し、
その後、前記水槽の前記蒸発・凝縮管に前記冷却水循環系を接続して水槽中の水の凝縮熱放熱を、前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とに施設側熱交換器を介して排熱回収熱媒循環系を接続し200℃以下の排熱を用いて、脱水反応により蓄熱し、
これを繰り返して行えることを特徴とする前記(1)記載の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。
水和反応時の所定の流入熱媒油温度に、所定の差分を加算した設定排出熱媒油温度を、前記排出熱媒油温度計で計測した排出熱媒油温度が下回った時点で、
前記反応槽内の前記蓄熱材が所定の割合で水和反応を終えたと判断し、
第一真空バルブ及び第二真空バルブを開から閉に動作させて、冷熱及び温熱の取り出しを終了させるよう制御する制御部と
で構成されてなることを特徴とする前記(1)記載の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。
前記蒸発・凝縮管に、流入される熱媒水の温度を計測する流入熱媒水温度計と排出される熱媒水の温度を計測する排出熱媒水温度計、
前記水槽に、内部に貯蔵される水の水位を計測する水位計と、内部の圧力を計測する水槽圧力計を備えるとともに、
蓄熱運転の際に、
反応槽圧力計の圧力値が、水槽圧力計の圧力値より所定量大きくなった時点で第一真空バルブ及び第二真空バルブを閉から開へ動作させて、脱水反応を開始し、
前記水位計の水位計測値が所定量に達した時点で第一真空バルブ及び第二真空バルブを開から閉に動作させて、蓄熱運転を終了させるよう制御する制御部で構成されてなる
ことを特徴とする前記(1)記載の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。
水和反応により冷熱と温熱とをそれぞれ同時に取り出し、200℃以下の排熱を用いて、脱水反応により蓄熱するそれぞれの運転に切り替える際に、反応槽圧力計がリーク設定圧力よりも高い計測値を測定した場合には、再度脱気運転を行った後、それぞれの運転になるように制御する制御部で構成されてなる
ことを特徴とする前記(4)記載の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。
〈1〉本発明の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システムが、
水和反応により放熱し、加熱による脱水反応により蓄熱する粒状の蓄熱材と、
該蓄熱材を加熱し該蓄熱材から発熱した熱を受取る熱媒油を循環させるよう入口ヘッダと出口ヘッダとで複数本に分岐しまた合流する熱媒油管と、
前記蓄熱材の水和反応に必要な水蒸気を与え、前記蓄熱材の脱水反応により取り出された水蒸気を受け取る側面に開口を多数有する複数の水蒸気管と、
前記熱媒油管と前記水蒸気管とのそれぞれの外側面に管の軸芯に直交する方向に接するように固定されるフィンとを有し、側面に前記複数の水蒸気管内部を外部と連通するよう固定する、気体−液体熱交換コイル形状の熱交換器と、
前記熱交換器の前記フィンと直交する方向の上面及び下面とをそれぞれ塞ぐ熱交換器蓋と、
底の前記熱交換蓋を閉鎖した後に、前記蓄熱材を前記熱交換器のフィン間隙間に充填し、上部の熱交換蓋で閉鎖した前記熱交換器を内蔵する、前記熱交換器の側面と相対する側面蓋に水蒸気導入管の端部を位置させ、2つの側面蓋の内どちらかを通じて内部に前記熱交換器を入れ込む反応槽を備え、
さらに、内部に貯蔵した水を加熱し、また前記熱交換器で生じた水蒸気を冷却凝縮する熱媒水を流通させる蒸発・凝縮管を備えた水槽と、
前記蓄熱材を大気圧より低い圧力の環境下で反応させるため、反応槽と水槽内の空気を排除して大気圧より低い内圧にする真空ポンプと、
前記反応槽側壁を貫通して前記熱交換器の前記熱媒油管に入口ヘッダを介して接続され前記熱媒油を流入させる熱媒油流入管、及び前記熱媒油管に出口ヘッダを介して接続された熱媒油排出管と、
前記反応槽と水槽とを連接する外部水蒸気配管と、
該外部水蒸気配管の接続部と前記真空ポンプを接続する真空引き配管と、
前記外部水蒸気配管の接続部から見て水槽側の外部水蒸気配管に設けられた第一真空バルブと、前記外部水蒸気配管の接続部から見て反応槽側の外部水蒸気配管に設けられた第二真空バルブと、前記真空引き配管に設けられた第三真空バルブと、
を備え、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管には、大気と熱交換する冷却塔に冷却水ポンプで冷却水を循環する冷却水循環系と、空調機の冷却コイルに冷水ポンプで冷水を循環する冷水循環系とを切り換えて接続し、
前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とには、施設側熱交換器を介して空調用温水循環系と、排熱回収熱媒循環系とを切り換えて接続する
よう構成されているので、社会として利用量が多い空調エネルギーに利用しやすい、冷房用途として空調機の冷却コイルに送られる熱媒である冷水(7℃〜10℃程度の送り温度で、12℃〜18℃程度の還り温度の範囲)、暖房用途として空調機の温水コイルに送られる熱媒である温水(50℃〜60℃程度の送り温度で、45℃〜50℃程度の還り温度)として取り出すことができる。
前記熱媒油管に出口ヘッダを介して接続された熱媒油排出管を流出側油カップリングを介して分割し、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管の入口出口タッピングにそれぞれ、流入側水カップリング、流出側水カップリングを付属させて、それぞれ相カップリング付きの外部可撓管と接続可能としたうえで、
前記反応槽と、前記水槽と、前記真空ポンプと、
前記反応槽と水槽とを連接する外部水蒸気配管と、
該外部水蒸気配管の接続部と前記真空ポンプを接続する真空引き配管と、
前記外部水蒸気配管の接続部から見て水槽側の外部水蒸気配管に設けられた第一真空バルブと、前記外部水蒸気配管の接続部から見て反応槽側の外部水蒸気配管に設けられた第二真空バルブと、前記真空引き配管に設けられた第三真空バルブと、
前記熱媒油管の入口ヘッダから流入側油カップリングまでの熱媒油流入管と、
前記熱媒油管の出口ヘッダから流出側油カップリングまでの熱媒油流出管と、
を移動可能な架台上に備え、
排熱施設に移動した場合は、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管に、流入側水カップリング及び流出側水カップリングを介して前記冷却水循環系を接続し、かつ、前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とに、流入側油カップリング及び流出側油カップリングを介して施設側の熱媒油流入管及び施設側の熱媒油流出管に接続して施設側熱交換器を油を循環させ、該施設側熱交換器を介して前記排熱回収熱媒循環系に接続し、
熱利用施設に移動した場合は、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管に、流入側水カップリング及び流出側水カップリングを介して前記冷水循環系を接続し、かつ、前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とに、流入側油カップリング及び流出側油カップリングを介して施設側の熱媒油流入管及び施設側の熱媒油流出管に接続して施設側熱交換器を油を循環させ、該施設側熱交換器を介して前記空調用温水循環系に接続するよう構成されているので、排熱施設と熱利用施設との場所的ミスマッチを解消し、従来は捨てられていた200℃以下の排熱を利用して、社会として利用量が多い空調エネルギーを、貯蔵して輸送して利用しまた排熱を貯蔵するという循環利用ができる。
前記水槽に所定量水を充填し、
第三真空バルブ及び第二真空バルブを開けた後真空ポンプを運転して反応槽内圧を2〜50Paまで低圧とした後、第二真空バルブを閉じて第一真空バルブを開けて真空ポンプの吸引により前記水槽内圧をその水温の飽和水蒸気圧の1〜3kPaまで低圧とした後に前記真空ポンプを停止する脱気運転の後、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管に前記冷水循環系を接続して冷熱を、前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とに施設側熱交換器を介して空調用温水循環系を接続して温熱を、水和反応により熱源としてそれぞれ同時に取り出し、
その後、前記水槽の前記蒸発・凝縮管に前記冷却水循環系を接続して水槽中の水の凝縮熱放熱を、前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とに施設側熱交換器を介して排熱回収熱媒循環系を接続し200℃以下の排熱を用いて、脱水反応により蓄熱し、
これを繰り返して行えるよう構成されているので、
排熱として多量にあるにもかかわらず、温度ポテンシャルの低い200℃以下の排熱を利用して、社会として利用量が多い空調エネルギーに利用しやすい、冷房用途として空調機の冷却コイルに送られる熱媒である冷水(7℃〜10℃程度の送り温度で、12℃〜18℃程度の還り温度の範囲)、暖房用途として空調機の温水コイルに送られる熱媒である温水(50℃〜60℃程度の送り温度で、45℃〜50℃程度の還り温度)として取り出すことができる
水和反応時の所定の流入熱媒油温度に、所定の差分を加算した設定排出熱媒油温度を、前記排出熱媒油温度計で計測した排出熱媒油温度が下回った時点で、
前記反応槽内の前記蓄熱材が所定の割合で水和反応を終えたと判断し、
第一真空バルブ及び第二真空バルブを開から閉に動作させて、冷熱及び温熱の取り出しを終了させるよう制御する制御部と
で構成されているので、
真空引きをして反応が分かりづらい水和反応を確実に、しかも安価な測定器で把握可能に、効率よく冷熱温熱の取り出しを制御することができる。
前記蒸発・凝縮管に、流入される熱媒水の温度を計測する流入熱媒水温度計と排出される熱媒水の温度を計測する排出熱媒水温度計、
前記水槽に、内部に貯蔵される水の水位を計測する水位計と、内部の圧力を計測する水槽圧力計を備えるとともに、
蓄熱運転の際に、
反応槽圧力計の圧力値が、水槽圧力計の圧力値より所定量大きくなった時点で第一真空バルブ及び第二真空バルブを閉から開へ動作させて、脱水反応を開始し、
前記水位計の水位計測値が所定量に達した時点で第一真空バルブ及び第二真空バルブを開から閉に動作させて、蓄熱運転を終了させるよう制御する制御部で構成されているので、
真空引きをして反応が分かりづらい脱水反応を確実に、しかも安価な測定器で把握可能に、効率よく蓄熱を制御することができる。
反応槽や水槽の水和反応や脱水反応を所定の圧力温度で制御することができ、効率よく蓄熱や冷熱温熱の取り出しを制御することができる。
図1は、化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システムの概略全体構成を示すシステム構成図である。この図に示される如く、化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム1は、基本的には、水槽10、真空ポンプ20、反応槽30、外部水蒸気管22、真空引き配管23、第一真空バルブ25、第二真空バルブ26、第三真空バルブ27、真空ポンプ20、熱媒油流入管35,熱媒油流出管35’、並びに前記水槽10、反応槽30、第一真空バルブ25、第二真空バルブ26、第三真空バルブ27及び真空ポンプ20を制御する制御部2、までを有するシステム中心部と、
冷却塔60、冷却水ポンプ63、冷却塔60の冷却水を循環する冷却水還り管61、冷却水往き管62、及び蒸発・凝縮管との接続共用配管部を有する冷却水循環系67と、
図示しない空調機に組み込まれる冷水コイルなどを冷熱負荷とし熱媒とする冷水コイルへ送る微小高温冷水と蒸発・凝縮管に流す冷水とを熱交換する水−水熱交換器68、蒸発・凝縮管に流す水循環管路89、冷水ポンプ88、及び蒸発・凝縮管との接続共用配管部を有する冷水循環系69と、
排熱を運ぶ排熱熱媒(排ガスまたは排熱を帯びた液体)と反応槽30へ導入する熱媒油とを熱交換する施設側熱交換器70、施設側熱交換器70の1次側に設ける熱媒油流出排熱回収利用2次配管72,熱媒油流入排熱回収利用2次配管71、及び排熱回収用熱媒油ポンプ73を有する排熱回収熱媒循環系86と、
図示しない空調機に組み込まれる温水コイルなどを温熱負荷とし熱媒とする温水と反応槽30へ導入する熱媒油とを熱交換する施設側熱交換器77、施設側熱交換器77の1次側に設ける熱媒油流出温水利用2次配管81、熱媒油流入温水利用2次配管78、及び温水利用系熱媒油ポンプ79を有する空調用温水加熱循環系87と、
までを含んだ全体構成で構成されている。
水槽10は真空容器であり、水槽内に貯蔵した水を加熱し、前記反応槽から送られてきた水蒸気を冷却凝縮する熱媒水を流通させる蒸発・凝縮管11、前記水槽内に貯蔵される水の水位を計測する水位計12、水槽内の圧力を測定する水槽圧力計13が設けられている。また、前記蒸発・凝縮管11には、水槽に流入される熱媒水の温度を計測する流入熱媒水温度計14と排出される熱媒水の温度を計測する排出熱媒水温度計15が設けられている。なお、前記流入熱媒水温度計14と排出熱媒水温度計15は、化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システムの運転が正常に行われているかの監視計器であり、制御部2へ表示信号として出力する。
前記水槽10と反応槽30は、外部水蒸気管22で連接されていて、放熱(発熱)運転が行われる時は外部水蒸気管22を通じて水槽10から反応槽30に水蒸気が送られ、蓄熱(吸熱)運転が行われる時は外部水蒸気管22を通じて反応槽30から水槽10に水蒸気が送られる。
なお、本実施例においては、反応槽30内の蓄熱材がまんべんなく水和反応及び脱水反応が行えるよう反応槽30の前側と後側から水蒸気の供給・取出しが行えるように2本の外部水蒸気管22が反応槽30に連接されている。
前記外部水蒸気配管22、外部水蒸気配管23及び真空引き配管24には、配管の途中にそれぞれ第一真空バルブ25、第二真空バルブ26及び第三真空バルブ27が設けられていて反応槽30と水槽10から(不用な)空気を吸引したり、水槽10と反応槽30間で水蒸気の授受を行ったりする際に、それぞれの用途に応じて制御部2からの出力信号により開閉される。
水和反応時に取り出せる冷熱は、図示しない空調機に組み込まれる冷水コイルなどを冷熱負荷に対し、冷水コイルへ送る微小高温冷水と蒸発・凝縮管に流す冷水とを熱交換する水−水熱交換器68と水槽10とを、蒸発・凝縮管に流す水循環管路89と該水循環管路89の途中に設けられる冷水ポンプ88により連接されていて、これらにより冷水循環系69を構成している。
前記水槽10には前記蒸冷水循環系67と冷水循環系69が、切り換えバルブ64及び切り換えバルブ65の組と、切り換えバルブ84及び切り換えバルブ85の組で切り換えられるように接続されている。
前記熱媒油流入管35と前記熱媒油流出管35’とには、施設側熱交換器70に連接された施設側熱交換器70の1次側に設ける熱媒油流出排熱回収利用2次配管72、施設側熱交換器70の1次側に設ける熱媒油流入排熱回収利用2次配管71を介して及び排熱回収用熱媒油ポンプ73で熱媒油を循環するよう連接されていて、これらにより排熱回収熱循環系86を構成している。
また、水和反応時に取り出せる冷熱は、図示しない空調機に組み込まれる温水コイルなどを温熱負荷とし、温水と反応槽30へ導入する熱媒油とを熱交換する施設側熱交換器77及び施設側熱交換器77の1次側に設ける熱媒油流出温水利用2次配管81を介して、施設側熱交換器77と反応槽とが連接されていて、これらにより空調用温水加熱循環系87を構成している。
熱媒油流出管35’の先は分岐し切り換えバルブ83,切り換えバルブ82が設けられ、熱媒油流入管35の先は分岐し切り換えバルブ74,切り換えバルブ80が設けられ、前記配管78には熱媒油ポンプ79がそれぞれ設けられ、これらを切り換えることで、排熱回収熱循環系86、または、空調用温水加熱循環系87を切り換える。
前記図1と同様な構成については、説明を省略している。
同図に示すように、化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム1は、前記水槽内には、貯蔵される水の水位を計測する水槽水位計12、水槽内の圧力を測定する圧力計13を、前記蒸発・凝縮管11には、水槽に流入される熱媒水の温度を計測する流入熱媒水温度計14、排出される熱媒水の温度を計測する排出熱媒水温度計15を、前記熱媒油流入管35には、反応槽30内の熱交換器40に送り込まれる熱媒油の温度を計測する流入熱媒油温度計51を、熱媒油排出管35’には反応槽3から排出される熱媒油の温度を計測する排出熱媒油温度計52を、反応槽30には、反応槽30内の圧力を測定する圧力計38を、それぞれ計測器として備え、それらの計測器からの計測信号に基づいて、
第二真空バルブ26、第三真空バルブ27及び真空ポンプ20並びに前記水槽10、反応槽30、第一真空バルブ25、第二真空バルブ26、第三真空バルブ27及び真空ポンプ20を制御する制御部2とで構成されている。
水槽10は真空容器であり、水槽内に貯蔵した水を加熱し、前記反応槽から送られてきた水蒸気を冷却凝縮する熱媒水を流通させる蒸発・凝縮管11、前記水槽内に貯蔵される水の水位を計測する水位計12、水槽内の圧力を測定する圧力計13が設けられている。また、前記蒸発・凝縮管11には、水槽に流入される熱媒水の温度を計測する流入熱媒水温度計14と排出される熱媒水の温度を計測する排出熱媒水温度計15が設けられている。
なお、前記流入熱媒水温度計14と排出熱媒水温度計15は、化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システムの運転が正常に行われているかの監視計器であり、制御部2へ表示信号として出力する。
前記外部水蒸気配管22、外部水蒸気配管23及び真空引き配管24には、配管の途中にそれぞれ第一真空バルブ25、第二真空バルブ26及び第三真空バルブ27が設けられていて反応槽30と水槽10から(不用な)空気を吸引したり、水槽10と反応槽30間で水蒸気の授受を行ったりする際に、それぞれの用途に応じて制御部2からの出力信号により開閉される。
前記反応槽30は、真空容器であり長方形の本体31と真空フランジ蓋32、33で構成されている。
前記真空フランジ蓋32、33には水蒸気を流出入するための水蒸気管34、熱媒油を流入するための熱媒油流入管35及び熱媒油を流出するための熱媒油排出管35’を通す真空継手36が設けられている。なお本実施例では、前記外部水蒸気配管23と前記水蒸気管34を異なる符号をつけて説明しているが前記外部水蒸気配管23で前記水蒸気管34を兼ねてもよい。
真空継手36は、図3(b)の拡大断面図に示すように熱媒油流入管35及び熱媒油排出管35’を通すように鞘管になっていてその先端に設けたOリング37で熱媒油流入管35及び熱媒油排出管35’との間隙を塞いで反応槽30内の気密を保ち、また反応槽から水蒸気が漏出しないようになっている。
そして、反応槽30には反応槽30内の圧力を測定する圧力計38(図2参照)が設けられている。
両図に見られるように、熱交換器40は、外観上長方形の本体41と熱交換器蓋である熱交換器底板42及び熱交換器蓋である熱交換器蓋板43から構成されている。前記熱交換器40は、気体−液体熱交換器形状、いわゆるコイル形状をしており、その内部に充填される水和反応により放熱し、加熱による脱水反応により蓄熱する粒状の蓄熱材47を充填している。
前記熱交換器40の構造は、該蓄熱材47を加熱し該蓄熱材47から発熱した熱を受取る熱媒油を循環させるよう入口ヘッダ50と出口ヘッダ50’とで複数本に分岐しまた合流する熱媒油管48と、前記蓄熱材47の水和反応に必要な水蒸気を与え、前記蓄熱材47の脱水反応により取り出された水蒸気を受け取る側面に開口を多数有する複数の水蒸気管49と、並行して固定される前記熱媒油管48と前記水蒸気管49とのそれぞれの外側面に各管の軸芯に直交する方向に接するように固定される多数のフィン44と、該フィン44と直交する方向の上面及び下面には開放された面とを有し、前記フィンと直交する方向の前記上面及び前記下面について、底の前記熱交換蓋である前記熱交換器底板42を閉鎖した後に、粒状の前記蓄熱材47を前記フィン44間隙間に充填し、さらに上部の熱交換蓋である熱交換器蓋板43で閉鎖して全体をなしている。
前記フィン44間に充填される蓄熱材47は、水和材45であったり、水和材45が、例えば塩化カルシウムの場合は、水和材45と吸着材46の混合材からなっている。
また前記熱交換器40には、熱媒油流入管35と接続され前記複数本の熱媒油管48に熱媒油を分配して供給する熱媒油ヘッダ50が設けられていて、前記熱媒油は熱媒油流入管35から熱媒油ヘッダ50へ入り複数本の熱媒油管48へ分流され他方の熱媒油ヘッダ50’で合流された後、熱媒油排出管35’を介して反応槽30外に搬出される。
前記熱媒油流入管35には、反応槽30内の熱交換器40に送り込まれる熱媒油の温度を計測する流入熱媒油温度計51が、熱媒油排出管35’には反応槽3から排出される熱媒油の温度を計測する排出熱媒油温度計52が設けられている。
前記流入熱媒油温度計51及び排出熱媒油温度計52はそれぞれの計測信号を制御部2へ出力し、水和反応時の所定の流入熱媒油温度に所定の差分を加算した設定排出熱媒油温度を、前記排出熱媒油温度計52で計測した排出熱媒油温度が下回った時点で、前記反応槽30内の前記蓄熱材47が所定の割合で水和反応を終えたと判断し、第一真空バルブ25及び第二真空バルブ26を開から閉に動作させて、冷熱及び温熱の取り出しを終了させるよう制御する。
前記流入熱媒油温度計51は後述する塩化カルシウムが潮解する危険性の判断のためにも使用される。
前記蓄熱材47は、水和反応に伴って放熱(発熱)し脱水に伴って蓄熱(吸熱)する構成とされている。
本実施例では、蓄熱材47として、100数十度で脱水反応(再生)が可能な塩化カルシウム(CaCl2)からなる水和材45と、100℃以下で再生可能な合成ゼオライトからなる吸着材46の混合材が採用されている。
したがって、反応槽30内では、以下に示す反応で蓄熱、放熱を可逆的に繰り返し得る構成とされている。
CaCl2(s)+H2O(g)⇔CaCl2・H2O(s)+Q1(653kJ/kg) 無水和物⇔一水和物
CaCl2・H2O(s)+H2O(g)⇔CaCl2・2H2O(s)+Q2(409kJ/kg) 一水和物⇔二水和物
反応熱Q1及びQ2については、mol基準ではなく水和数の少ない側(式の左側)の質量を基準とした質量基準で示している。
同図において縦軸は、絶対圧、横軸は温度を示している。また、線X(左から数えて一番左側の実線)は、無水和物から一水和物に変化する温度と圧力の条件を表し、線Y(左から数えて二番目の点線)は、一水和物から二水和物に変化する温度と圧力の条件を表し、線Z(左から数えて三番目の実線)は、水の飽和線で水が沸騰する条件を圧力と温度で表す。
また、運転動作における温度と圧力については運転条件の一例でありこれに限定されるものではない。
最初に次の手順により脱気運転(a)を行う。
底の前記熱交換蓋である前記熱交換器底板42を閉鎖した後に、前記水和材45である塩化カルシウム(無水物)と吸着材46である蓄熱材47を前記熱交換器40のフィン44間隙間に充填し、上部の熱交換蓋である熱交換器蓋板43で閉鎖した前記熱交換器40を内蔵するよう、前記熱交換器40の側面と相対する側面蓋である2つの真空フランジ蓋32の内どちらかを通じて内部に前記熱交換器を入れ込む反応槽30をセッティングした中心部1において、
水槽10に水を充填する。真空ポンプ20を運転した状態で第二真空バルブ26及び第三真空バルブ27を開放して反応槽30内の空気を排出する。これは、粒状の蓄熱材47の微細孔や熱交換器40の隙間部分などに空気が溜まっているのである程度の時間真空引きする。反応槽圧力計38の計測値により、内圧を2〜50Paまで低圧としたと制御部2が判断した後、次の動作に移る。前記内圧2Pa〜50Paという値は、反応を阻害する要因である空気を極力系外へ排出できる経済的に真空引きできる値である、この内圧にすれば、水和反応を起こす水蒸気をまんべんなく蓄熱材47に接触させることができ、水和反応での水蒸気の水槽10から反応槽30への移動力を付与できる。
次に、真空バルブ26を閉止し、25を開放して水槽内10の空気を排出する。
これは、水槽10内部水面上に気体として存在したり、貯留水にとけ込んでたりして含まれる空気を、系外に真空引きで引き抜くためある程度の時間真空引きする。水槽圧力計13の計測値により、内圧をその水温の飽和水蒸気圧の1〜3kPaまで低圧としたと制御部2が判断した後、次の動作に移る。この飽和水蒸気圧1〜3kPaは、水温8℃〜25℃という前述の冷水系の水温、及び大気での熱交換を行う冷却塔への冷却水循環系でのある程度冷却された水温が、前記蒸発・凝縮管により間接で熱だけ与えられる水槽内水温での、飽和水蒸気圧である。
水槽10内圧をその水温の飽和水蒸気圧の1〜3kPaまで低圧としたと制御部2が判断したした後、第一真空バルブ25及び第3真空バルブ27を閉止し、真空ポンプ20を停止する。
上記のように反応槽30内及び水槽内10が前述の内圧によりある程度の真空状態になった状態で、反応槽30の熱媒油流入管35から50℃の熱媒油を反応槽30内の熱交換器40に送り込み熱媒油管48内を循環させる。また、水槽10内の蒸発・凝縮管11に12℃の熱媒水を送り込み蒸発・凝縮管11内を循環させる。この当初時の状態は例えば、水槽10内の圧力は水12℃の飽和水蒸気圧約1.4kPaであり、反応槽30は数Pa程度の低圧である。
50℃の熱媒油は、施設側熱交換器を介して、54℃供給温で、温熱負荷の温水コイルからの44℃還り温を有する温水の加熱源として、反応槽で55℃以上まで加熱されて利用される。蒸発・凝縮管の12℃の熱媒水は、冷水の還り温度であり、汎用の冷凍機の蒸発器の設計値である12℃の還り冷水温度となっている。
次に第一真空バルブ25及び第2真空バルブ26を開放すると、図7に示すように水槽10と反応槽30の圧力差△P1により前記水槽10に接続されている水蒸気管34から反応槽30内の熱交換器40内に水蒸気が供給され、図7の線Xから左側の無水和物に水が吸着されると水和反応が生じ同線Xの右側の一水和物に変化する。そしてこの時熱Q1が放熱(発熱)される。この時の反応部は高温となるが、排出熱媒油温度計52の計測値:熱媒油出口温度は70℃程度の温度まで昇温し、水和反応が起きている反応槽内圧力は1kPaである(c点)。この線X上での発熱は、反応槽30内の様々な蓄熱材47と水蒸気との間で生じ、上記の熱媒油出口温度や反応槽内圧力が継続し、多量の熱が取り出せる。
さらに、反応槽30内の無水物がある程度1水和物に変わっていく過程で、今度は、その状態の一水和物(線Xと線Yの間)に水が吸着すると水和反応が生じ線Yの右側の二水和物に変化する。そしてこの時熱Q2が放熱(発熱)される。この時の排出熱媒油温度計52の計測値:熱媒油出口温度は55℃、水和反応が起きている反応槽内圧力は1kPaである(b点)。
また、水槽内10では水蒸気が反応槽30へ移動して圧力が低下する方向に変化するが、12℃の熱媒水を熱源として水が7〜10℃で沸騰するため、この飽和水蒸気圧では水槽10内の圧力は平衡する。
このとき水槽10内の温度は10℃程度で、圧力は1.2kPaになる(a点)。
そして、熱媒水は水槽10内で沸騰する水に蒸発熱Q3を奪われ、10℃以下の低温となり水槽外へ搬出され、冷熱として利用される。
反応槽30に充填した蓄熱材の80%程度が二水和物となった時点で熱媒油排出管35’から排出される熱媒油の温度は54℃になる。熱媒油排出管35’に設けられている排出熱媒油温度計52によって熱媒油排出管35’から排出される熱媒油の温度が54℃になったことを確認した時点で真空バルブ25、26を閉止し、水槽10から反応槽30への水蒸気の供給を停止し、放熱運転を終了する。
次に、反応槽30の熱媒油流入管35から、排熱施設の施設側熱交換器を介して排熱熱媒と熱交換した130℃程度の熱媒油を反応槽30内の熱交換器40に送り込み熱媒油管48内を循環させる。また、水槽10内の蒸発・凝縮管11に20℃の熱媒水を送り込み蒸発・凝縮管11内を循環させる。
蒸発・凝縮管の20℃の熱媒水は、外気と熱交換する冷却塔により外気熱で冷却される冷却水の還り温度であり、中間期よりも寒い時期には充分外気だけで20℃まで冷却でき、夏期は、追加冷熱として冷凍機で冷やした熱媒により更に冷やして20℃にして供給する。
このとき熱交換器40内の塩化カルシウムの二水和物は熱媒油管48から熱を受け、まず一水和物(e点)へ変化し、その後無水物(f点)となり、それぞれの反応において脱水し水蒸気を排出する。このとき吸収する熱はそれぞれQ2とQ1である。
前記のように蓄熱材47が加熱されると塩化カルシウムの二水和物、及び一水和物からの脱水は水蒸気となり反応槽30内の圧力が上昇する。反応槽30に設けられた圧力計38により反応槽30内の圧力が水槽10の圧力よりも高圧となった時点で真空バルブ25・26を開放すると、反応槽30内に排出された水蒸気は圧力差△P2により水槽10へ移動する。水槽10内では反応槽30より移動した水蒸気を蒸発・凝縮管11の表面で冷却し凝縮させる(d点)。水槽10内に設けられた水位計12により水槽内10の貯留水の水位を確認し、脱水が完了した時点で第一真空バルブ25及び第2真空バルブ26を閉止し蓄熱運転を終了する。
さらに、上記一水和物に熱媒油管48からQ1の熱を加えると脱水反応が起こり一水化物から水が外れ無水和物に変化する。この時の温度は130℃、圧力は10kPaである。
図9に示したa−a線は、塩化カルシウムの無水和物と一水和物との状態を分ける線で、a−a線から左側が無水和物CaCl2として安定する領域、a−a線からb−b線の間が一水和物CaCl2・H2Oとして安定する領域、b―b線からc−c線の間が二水和物CaCl2・2H2Oとして安定する領域である。そしてc−c線よりさらに右側の領域が潮解域である。
本実施例においては、塩化カルシウムの潮解を抑制するために、塩化カルシウムに吸着材46を混合している。この吸着材46を混合する効果について同図で説明する。
同図は、水蒸気圧を一定とした場合の温度に対する水分量比を、塩化カルシウムについては階段状の線で、吸着材46については左上がりの曲線で示している。
ここで塩化カルシウム及び吸着材46の水分量比は130℃で脱水した状態(ア)を基準(ゼロ)として示している。
さらに熱媒油による温度低下が続き温度が60℃を下回る時点で再度塩化カルシウムの水和反応が起こり、水分量比を0.32に上げて一水和物CaCl2・H2Oから二水和物CaCl2・2H2Oに変化して発熱する(ウの状態)。
この際の反応槽30内の水蒸気圧は1.2kPaである。
この塩化カルシウムの潮解は塩化カルシウムに吸着材46を混合することにより抑制できる。吸着材46は図10中の水分量比の線のように、一定水蒸気圧の条件下で温度が低下すると、水分量比(吸着量)が上昇し、吸着により発熱するという特徴をもつ。この特徴により、前述の反応槽10に流入する熱媒油の温度が低下した場合、吸着材46は図中矢印のようにさらに吸着できる水分量を増加させるため、温度低下と同時に水分を吸着して発熱し、蓄熱材全体の温度低下を抑制する機能を持つ。つまり、図11に示すように、T1in(反応槽への熱媒油流入温度)が潮解温度以下に低下した場合に、吸着材46を塩化カルシウムに混合しておくと、潮解温度以下に蓄熱材47の温度が低下するまでの時間を、塩化カルシウムのみの場合より遅らせることができ(図11においては約10分)、T1inの温度変動に対する安全性を向上させる効果がある。
上記のように本実施例においては、T1in(反応槽への熱媒油流入温度)が潮解温度以下に低下した場合に蓄熱材47の温度が潮解温度以下に低下するまでの時間を延長することができるが、前記流入熱媒油温度計51によりT1inがある一定時間以上(例えば図13では10分)低温が継続したことが確認された場合は、潮解を回避するためにT1inの流入を閉止するように構成されている。
まず反応槽30に流入する熱媒油の温度(T1in)を130℃として循環を開始する。また水槽10への熱媒水の流入温度(T2in)を25℃として循環を行う。反応槽30の水和材45、吸着材46の温度が上昇し、100℃程度(キ)までは吸着材46のみから水蒸気が発生し反応槽30内の圧力が上昇する。反応槽30内の圧力が水槽10内の圧力より高くなった時点で真空バルブ(図8 25、26)を開放する。その後100℃程度(キ)でCaCl2・2H2OがCaCl2・H2Oに変化し、さらに130℃でCaCl2に変化する。
図13に水和材45の割合を横軸に、蓄熱量を縦軸として水和材45、吸着材46の蓄熱量、熱媒油温度が低下した場合に吸着材46から追加的に得られる蓄熱量を示す。
この関係を式(i〜iv)により説明する。
例えばこの蓄熱材47を2.5時間で放熱させるとして、この放熱速度のまま熱媒油温度低下による潮解を10分間回避するための割合は、式(iv)から水和材45の72%に対して吸着材46は28%となる。
また反応槽30と水槽10の間の配管22,23を通過する水蒸気の圧力損失は配管の径を250mmとして24Paであるから、粒体層を通過する水蒸気の圧力損失を30Pa程度以下とする必要がある。
前記図1の説明で説明している箇所と同じものは省略する。
本実施例は、自動車、鉄道または船舶で移動できる架台上に、水槽10、真空ポンプ20、反応槽30、外部水蒸気管22、真空引き配管23、第一真空バルブ25、第二真空バルブ26、第三真空バルブ27、真空ポンプ20並びに前記水槽10、反応槽30、第一真空バルブ25、第二真空バルブ26、第三真空バルブ27及び真空ポンプ20を制御する制御部2からなる化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システムを設置し、排熱施設の排熱回収熱媒循環系86及び冷却水循環系67と着脱可能であり、熱利用施設の空調用温水加熱循環系87及び冷水循環系69と着脱可能なように、熱媒油流入管に流入側油カップリングを、熱媒油流出管に流出側油カップリングを、水槽の前記蒸発・凝縮管の入口出口タッピングにそれぞれ、流入側水カップリング、流出側水カップリングを付属させて、排熱施設と熱利用施設との間を移動させ、カップリングで着脱することで、排熱、冷熱の有効利用を図るものである。
同図(A)では、排熱施設へ接続して蓄熱するために脱水反応を行わせ、同図(b)では、熱利用施設へ接続して放熱するために水和反応を行わせている様子を示している。
2:制御部
10: 水槽
20:真空ポンプ
22、23、24:配管
25、26、27:真空バルブ
30:反応槽
31:反応層本体
32、33:真空フランジ蓋
34:水蒸気管
35:熱媒油流入管
35’:熱媒油排出管
36:真空継手
38:圧力計
40:熱交換器
41:熱交換器本体
42:熱交換器底板
43:熱交換器蓋板
44:分熱フィン
45:水和材
46:吸着材
47:蓄熱材
48:熱媒油管
49:水蒸気管
50、50‘:熱媒油ヘッダ
Claims (11)
- 水和反応により放熱し、加熱による脱水反応により蓄熱する粒状の蓄熱材と、
該蓄熱材を加熱し該蓄熱材から発熱した熱を受取る熱媒油を循環させるよう入口ヘッダと出口ヘッダとで複数本に分岐しまた合流する熱媒油管と、
前記蓄熱材の水和反応に必要な水蒸気を与え、前記蓄熱材の脱水反応により取り出された水蒸気を受け取る側面に開口を多数有する複数の水蒸気管と、
前記熱媒油管と前記水蒸気管とのそれぞれの外側面に管の軸芯に直交する方向に接するように固定されるフィンとを有し、側面に前記複数の水蒸気管内部を外部と連通するよう固定する、気体−液体熱交換コイル形状の熱交換器と、
前記熱交換器の前記フィンと直交する方向の上面及び下面とをそれぞれ塞ぐ熱交換器蓋と、
底の前記熱交換蓋を閉鎖した後に、前記蓄熱材を前記熱交換器のフィン間隙間に充填し、上部の熱交換蓋で閉鎖した前記熱交換器を内蔵する、前記熱交換器の側面と相対する側面蓋に水蒸気導入管の端部を位置させ、2つの側面蓋の内どちらかを通じて内部に前記熱交換器を入れ込む反応槽を備え、
さらに、内部に貯蔵した水を加熱し、また前記熱交換器で生じた水蒸気を冷却凝縮する熱媒水を流通させる蒸発・凝縮管を備えた水槽と、
前記蓄熱材を大気圧より低い圧力の環境下で反応させるため、反応槽と水槽内の空気を排除して大気圧より低い内圧にする真空ポンプと、
前記反応槽側壁を貫通して前記熱交換器の前記熱媒油管に入口ヘッダを介して接続され前記熱媒油を流入させる熱媒油流入管、及び前記熱媒油管に出口ヘッダを介して接続された熱媒油排出管と、
前記反応槽と水槽とを連接する外部水蒸気配管と、
該外部水蒸気配管の接続部と前記真空ポンプを接続する真空引き配管と、
前記外部水蒸気配管の接続部から見て水槽側の外部水蒸気配管に設けられた第一真空バルブと、前記外部水蒸気配管の接続部から見て反応槽側の外部水蒸気配管に設けられた第二真空バルブと、前記真空引き配管に設けられた第三真空バルブと、
を備え、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管には、大気と熱交換する冷却塔に冷却水ポンプで冷却水を循環する冷却水循環系と、空調機の冷却コイルに冷水ポンプで冷水を循環する冷水循環系とを切り換えて接続し、
前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とには、施設側熱交換器を介して空調用温水循環系と、排熱回収熱媒循環系とを切り換えて接続する
ことを特徴とする化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。 - 前記熱媒油管に入口ヘッダを介して接続され前記熱媒油を流入させる熱媒油流入管を流入側油カップリングを介して分割し、
前記熱媒油管に出口ヘッダを介して接続された熱媒油排出管を流出側油カップリングを介して分割し、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管の入口出口タッピングにそれぞれ、流入側水カップリング、流出側水カップリングを付属させて、それぞれ相カップリング付きの外部可撓管と接続可能としたうえで、
前記反応槽と、前記水槽と、前記真空ポンプと、
前記反応槽と水槽とを連接する外部水蒸気配管と、
該外部水蒸気配管の接続部と前記真空ポンプを接続する真空引き配管と、
前記外部水蒸気配管の接続部から見て水槽側の外部水蒸気配管に設けられた第一真空バルブと、前記外部水蒸気配管の接続部から見て反応槽側の外部水蒸気配管に設けられた第二真空バルブと、前記真空引き配管に設けられた第三真空バルブと、
前記熱媒油管の入口ヘッダから流入側油カップリングまでの熱媒油流入管と、
前記熱媒油管の出口ヘッダから流出側油カップリングまでの熱媒油流出管と、
を移動可能な架台上に備え、
排熱施設に移動した場合は、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管に、流入側水カップリング及び流出側水カップリングを介して前記冷却水循環系を接続し、かつ、前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とに、流入側油カップリング及び流出側油カップリングを介して施設側の熱媒油流入管及び施設側の熱媒油流出管に接続して施設側熱交換器を油を循環させ、該施設側熱交換器を介して前記排熱回収熱媒循環系に接続し、
熱利用施設に移動した場合は、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管に、流入側水カップリング及び流出側水カップリングを介して前記冷水循環系を接続し、かつ、前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とに、流入側油カップリング及び流出側油カップリングを介して施設側の熱媒油流入管及び施設側の熱媒油流出管に接続して施設側熱交換器を油を循環させ、該施設側熱交換器を介して前記空調用温水循環系に接続する
ことを特徴とする請求項1に記載の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。 - 前記水和反応により放熱し、加熱による脱水反応により蓄熱する粒状の蓄熱材は、塩化カルシウムであり、
前記水槽に所定量水を充填し、
第三真空バルブ及び第二真空バルブを開けた後真空ポンプを運転して反応槽内圧を2〜50Paまで低圧とした後、第二真空バルブを閉じて第一真空バルブを開けて真空ポンプの吸引により前記水槽内圧をその水温の飽和水蒸気圧の1〜3kPaまで低圧とした後に前記真空ポンプを停止する脱気運転の後、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管に前記冷水循環系を接続して冷熱を、前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とに施設側熱交換器を介して空調用温水循環系を接続して温熱を、水和反応により熱源としてそれぞれ同時に取り出し、
その後、前記水槽の前記蒸発・凝縮管に前記冷却水循環系を接続して水槽中の水の凝縮熱放熱を、前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とに施設側熱交換器を介して排熱回収熱媒循環系を接続し200℃以下の排熱を用いて、脱水反応により蓄熱し、
これを繰り返して行える
ことを特徴とする請求項1記載の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。 - 前記水和反応により放熱し、加熱による脱水反応により蓄熱する粒状の蓄熱材は、臭化カルシウムであり、
前記水槽に所定量水を充填し、
第三真空バルブ及び第二真空バルブを開けた後真空ポンプを運転して反応槽内圧を2〜50Paまで低圧とした後、第二真空バルブを閉じて第一真空バルブを開けて真空ポンプの吸引により前記水槽内圧をその水温の飽和水蒸気圧の1〜3kPaまで低圧とした後に前記真空ポンプを停止する脱気運転の後、
前記水槽の前記蒸発・凝縮管に前記冷水循環系を接続して冷熱を、前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とに施設側熱交換器を介して空調用温水循環系を接続して温熱を、水和反応により熱源としてそれぞれ同時に取り出し、
その後、前記水槽の前記蒸発・凝縮管に前記冷却水循環系を接続して水槽中の水の凝縮熱放熱を、前記熱媒油流入管と前記熱媒油流出管とに施設側熱交換器を介して排熱回収熱媒循環系を接続し200℃以下の排熱を用いて、脱水反応により蓄熱し、
これを繰り返して行える
ことを特徴とする請求項1記載の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。 - 前記熱媒 前記熱媒油流入管に、流入される熱媒油の温度を計測する流入熱媒油温度計、前記熱媒油排出管に、排出される熱媒油の温度を計測する排出熱媒油温度計、を備えるとともに、
水和反応時の所定の流入熱媒油温度に、所定の差分を加算した設定排出熱媒油温度を、前記排出熱媒油温度計で計測した排出熱媒油温度が下回った時点で、
前記反応槽内の前記蓄熱材が所定の割合で水和反応を終えたと判断し、
第一真空バルブ及び第二真空バルブを開から閉に動作させて、冷熱及び温熱の取り出しを終了させるよう制御する制御部と
で構成されてなることを特徴とする請求項1記載の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。 - 前記反応槽に内部の圧力を計測する反応槽圧力計、
前記蒸発・凝縮管に、流入される熱媒水の温度を計測する流入熱媒水温度計と排出される熱媒水の温度を計測する排出熱媒水温度計、
前記水槽に、内部に貯蔵される水の水位を計測する水位計と、内部の圧力を計測する水槽圧力計を備えるとともに、
蓄熱運転の際に、
反応槽圧力計の圧力値が、水槽圧力計の圧力値より所定量大きくなった時点で第一真空バルブ及び第二真空バルブを閉から開へ動作させて、脱水反応を開始し、
前記水位計の水位計測値が所定量に達した時点で第一真空バルブ及び第二真空バルブを開から閉に動作させて、蓄熱運転を終了させるよう制御する制御部で構成されてなる
ことを特徴とする請求項1記載の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。 - 前記脱気運転の後、
水和反応により冷熱と温熱とをそれぞれ同時に取り出し、200℃以下の排熱を用いて、脱水反応により蓄熱するそれぞれの運転に切り替える際に、反応槽圧力計がリーク設定圧力よりも高い計測値を測定した場合には、再度脱気運転を行った後、それぞれの運転になるように制御する制御部で構成されてなる
ことを特徴とする請求項4記載の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。 - 前記熱交換器に充填された蓄熱材が、水和材と吸着材との混合材からなるものであることを特徴とする
請求項1乃至請求項5の何れか1に記載の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。 - 前記熱交換器に設けられた水蒸気管と熱媒油管の径が16mm〜22mm、水蒸気管の中心と熱媒油管の中心との間隔が40mm〜60mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1に記載の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。
- 前記蓄熱材を構成する水和材と吸着材の粒体の径が0.7mm〜2.5mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1に記載の化学蓄熱を利用した排熱蓄熱空調熱源システム。
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