JP2014198837A - 炭素繊維巻きテープとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、保管や運搬が容易であり、作業性を著しく向上させることができる、円筒状芯材に炭素繊維テープが巻き付けられた広幅の炭素繊維巻きテープと、その製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 炭素繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)を含む炭素繊維テープが、円筒状芯材に巻き付けられた炭素繊維巻きテープで、
炭素繊維テープの単位面積当たりに含まれる炭素繊維(A)の質量が、60〜400g/m2、
炭素繊維テープの単位面積当たりに含まれる炭素繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)の体積の割合が20/80〜55/45であって、
炭素繊維テープの厚さが0.1〜0.5mm、幅が110〜1800mm、
円筒状芯材の外径が60mm以上400mm以下である連続した炭素繊維巻きテープ。
【選択図】 なし
【解決手段】 炭素繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)を含む炭素繊維テープが、円筒状芯材に巻き付けられた炭素繊維巻きテープで、
炭素繊維テープの単位面積当たりに含まれる炭素繊維(A)の質量が、60〜400g/m2、
炭素繊維テープの単位面積当たりに含まれる炭素繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)の体積の割合が20/80〜55/45であって、
炭素繊維テープの厚さが0.1〜0.5mm、幅が110〜1800mm、
円筒状芯材の外径が60mm以上400mm以下である連続した炭素繊維巻きテープ。
【選択図】 なし
Description
本発明は、円筒状芯材に炭素繊維テープが巻き付けられた炭素繊維巻きテープと、その製造方法に関する。
炭素繊維複合材料は、軽量で且つ高強度であるという特徴から、航空機、自動車、スポーツ、レジャー、その他各種工業用途に利用されている。また、炭素繊維複合材料は、それを構成する炭素繊維集束体の配向性によって特徴ある異方性光沢を有し、更に表面に塗装等の処理を施すことによって深みのある重厚な外観を与え、また導電性、X線透過性、電磁波遮蔽性等の特徴を有している。一般に炭素繊維複合材料は、積層板やハニカムサンドイッチ板などの形態で各種工業用途に利用されている。しかしながら、その殆どはマトリックスとして熱硬化性樹脂を用いたものであるので、これらを成形するためには、樹脂の硬化反応を伴うような比較的成形時間の長い、すなわちオートクレーブ成形に代表されるような多量生産に向かないものであった。
一方、熱可塑性樹脂をマトリックスにするような複合材料及びその成形品も多く提案されている。例えば、特許文献1に開示された技術では一方向に引き揃えられた強化繊維と熱可塑性樹脂からなるプリプレグ及びそれを用いた構造材が提案されている。この方法では、幅広く薄く開繊した炭素繊維と不織布を用いている。実施例では、単位面積当たりに含まれる炭素繊維の質量(以下、FAW)が40〜53g/m2に不織布を重ね合わせたプリプレグが記載されているが、より高いFAWの炭素繊維テープの製造については記載されていない。
特許文献2では、炭素繊維とオレフィン系樹脂を含む複合体からなる巻きテープおよびその製造方法、特許文献3では、炭素繊維とポリアミド樹脂を含む複合体からなる巻きテープおよびその製造方法、が記載されている。この製造方法では、クロスヘッドダイを用いた製造方法が記載されており、炭素繊維テープの幅(W)が100mmを越えると、炭素繊維の分布が均一なテープを得る事は困難であった。
本発明は、炭素繊維テープの厚さが0.1〜0.5mm、幅が110〜1800mmの炭素繊維テープにおいて、保管や運搬が容易であり、作業性を著しく向上させることができる、円筒状芯材に炭素繊維テープが巻き付けられた広幅の炭素繊維巻きテープと、その製造方法を提供することを課題とする。
本発明の要旨は、炭素繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)を含む炭素繊維テープが、円筒状芯材に巻き付けられた炭素繊維巻きテープで、
炭素繊維テープの単位面積当たりに含まれる炭素繊維(A)の質量が、60〜400g/m2、
炭素繊維テープの単位面積当たりに含まれる炭素繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)の体積の割合が20/80〜55/45であって、
炭素繊維テープの厚さが0.1〜0.5mm、幅が110〜1800mm、
円筒状芯材の外径が60mm以上400mm以下である連続した炭素繊維巻きテープにある。
炭素繊維テープの単位面積当たりに含まれる炭素繊維(A)の質量が、60〜400g/m2、
炭素繊維テープの単位面積当たりに含まれる炭素繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)の体積の割合が20/80〜55/45であって、
炭素繊維テープの厚さが0.1〜0.5mm、幅が110〜1800mm、
円筒状芯材の外径が60mm以上400mm以下である連続した炭素繊維巻きテープにある。
上記炭素繊維巻きテープは、 炭素繊維(A)が炭素繊維巻きテープの長手方向に配向していることが好ましい。
また、本発明の別の実施形態として、一方向に引き揃えた炭素繊維(A)を単位面積当たりに含まれる炭素繊維(A)の質量が、60〜400g/m2となるように引き揃えて並べて炭素繊維シートとし、熱可塑性樹脂(B)のせん断粘度が30〜500Pa・sとなる条件で熱可塑性樹脂(B)を該炭素繊維シートに含浸し、外径が60mm以上400mm以下である円筒状芯材に巻き取る炭素繊維巻きテープの製造方法も挙げられる。
上記製造方法においては、一方向に引き揃えた炭素繊維(A)を120〜1850mmの幅に引き揃えて並べて炭素繊維シートとし、25〜200μmの熱可塑性樹脂(B)のフィルムで両面からはさんで加熱加圧した後に、両端をスリットして除去することが好ましい。
厚さが0.1〜0.5mmで幅が110〜1800mmであるにもかかわらず、外径が60mm以上400mm以下である円筒状芯材に巻き取ってもクラックを発生せず、円筒状芯材の周囲に炭素繊維テープが巻き取られた形態であることから、保管及び運搬が容易であり、必要量だけ取り出して使用できることから、作業性も良い。
(炭素繊維巻きテープ)
本発明における炭素繊維テープは、従来、クラックをさほど発生させることなく円筒状芯材に巻き取ることができなかった「厚さが0.1〜0.5mmで幅が110〜1800mmである炭素繊維テープ」であることを前提としている。
本発明における炭素繊維テープは、従来、クラックをさほど発生させることなく円筒状芯材に巻き取ることができなかった「厚さが0.1〜0.5mmで幅が110〜1800mmである炭素繊維テープ」であることを前提としている。
本発明の炭素繊維巻きテープは、上記の炭素繊維テープが円筒状芯材の周囲に多数回巻き付けられたものである。本発明の炭素繊維巻きテープに用いることができる炭素繊維テープは、円筒状芯材に巻き取ることができ、かつ巻き取った際に外観に変化がないもの(クラック等が生じないもの)である。また、110〜1800mmの幅の範囲のものであることが必要であり、好ましくは200〜1500mm幅、さらに好ましくは、350〜1000mm幅である。110mm以上1800mm以下とする事で、大型成形品に使用する際にも並べる枚数を少なく抑える事が可能で、作業性、取扱性に優れる炭素繊維巻きテープを得ることができる。
またテープの厚さは、0.1〜0.5mmの範囲であることが必要である。テープの厚さが薄いほど柔軟性が向上して円筒状芯材に巻きやすくなり、補強材などとしてテープを使用する場合に積層する枚数が多くなることや、繊維の配向と直角方向の強度が低くなるために取扱い性が悪化することがない。
本発明の炭素繊維巻きテープに用いることができる炭素繊維(A)は周知のものであるポリアクリロニトリル系、ピッチ系、レーヨン系、リグニン系等の炭素繊維を用いることができる。炭素繊維の引張弾性率は200GPa以上であることが好ましい。また、引張強度は、2000MPa以上が好ましく、3000MPa以上がさらに好ましい。引張強度がこの範囲にある事で、円筒状芯材に巻き取る際に、炭素繊維テープにクラックなどが発生し難い。直径は、4μm以上15μm以下が好ましく、5μm以上11μm以下がさらに好ましい。15μmを超える繊維径では取扱いの上で不利であり、また4μm未満の繊維径では炭素繊維の製造が困難である。
炭素繊維としては市販品を用いても良く、ポリアクリロニトリル系炭素繊維として、パイロフィル(登録商標)TR30S 3L、TR50S 6L、TRH50 12L、TRH50 18M、TR50S 12L、TR50S 15L、MR40 12M、MR60H 24P、MS40 12M、HR40 12M、HS40 12P、P330 60K、WCF 50K(以上、製品名、三菱レイヨン社製)、ピッチ系炭素繊維として、ダイアリード(登録商標)K1352U、K1392U、K13C2U、K13D2U、K63712、K63A12、K13312(以上、商品名、三菱樹脂社製)などが挙げられる。
なお本発明においては、その使用形態と使用時の強度の観点から、炭素繊維(A)が一方向に配向している(一方向に引き揃えられている)ことが好ましく、炭素繊維巻きテープの長手方向に配向している(長手方向に引き揃えられている)ことがより好ましい。
本発明の炭素繊維巻きテープに用いることができる熱可塑性樹脂(B)としては、例えば、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸エステル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ABS、ASA、AES等のスチレン系樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;ポリスルフォン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;熱可塑性ポリウレタン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体等のα−オレフィンと各種単量体との共重合体類;ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、脂肪族グリコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体等の脂肪族ポリエステル系樹脂;生分解性セルロース、ポリペプチド、ポリビニルアルコール、澱粉、カラギーナン、キチン・キトサン質等の生分解性樹脂が挙げられる。強度と加工性の観点から、結晶性樹脂が好ましく、さらに好ましくはポリプロピレン樹脂である。
さらに必要に応じて、種々の樹脂添加剤を配合する事ができる、樹脂添加剤としては、例えば着色剤、酸化防止剤、金属不活性剤、カーボンブラック、造核剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐衝撃性改質剤、溶融張力向上剤、難燃剤等が挙げられる。
本発明の炭素繊維巻きテープで使用することができる炭素繊維テープの単位面積当たりに含まれる炭素繊維(A)の質量(以下、FAWという。)は、60〜400g/m2であることが必要である。好ましくは、65〜200g/m2であり、さらに好ましくは70〜120g/m2である。FAWの値が小さいほど柔軟性が向上して芯材に巻きやすくなる。但し、小さすぎる場合には、補強材などとして使用する場合の補強効果が限定的なる恐れや、積層する枚数が多くなる恐れがある。
本発明の炭素繊維巻きテープで使用することができる炭素繊維テープは、炭素繊維テープに含まれる炭素繊維(A)の体積割合が、20〜55体積%であることが必要である。好ましくは25〜50体積%であり、さらに好ましくは30〜45体積%である。炭素繊維が少ないほど柔軟性が向上して芯材に巻きやすくなる。但し、低すぎる場合には、補強材などとして使用する場合の補強効果が限定的なる恐れや、積層する枚数が多くなる恐れがある。
本発明の炭素繊維巻きテープで使用することができる炭素繊維テープは、炭素繊維テープに含まれる熱可塑性樹脂(B)の体積割合が、45〜80体積%であることが必要である。好ましくは50〜75体積%であり、さらに好ましくは55〜70体積%である。熱可塑性樹脂が多いほど柔軟性が向上して芯材に巻きやすくなる。但し、高すぎる場合には、炭素繊維が少なくなり、補強材などとして使用する場合の補強効果が限定的なる恐れや、積層する枚数が多くなる恐れがある。
即ち、本発明の炭素繊維巻きテープの単位面積あたりに含まれる炭素繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)の体積割合は、炭素繊維(A)/熱可塑性樹脂(B)=20/80〜55/45であり、好ましくは25/75〜50/50、より好ましくは30/70〜45/55・である。単位面積あたりに含まれる炭素繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)の体積割合(炭素繊維(A)/熱可塑性樹脂(B))が低すぎると、テープの厚さが厚くなるために炭素繊維への樹脂の含侵が困難になり、クラックが発生しやすくなる。、高すぎると、熱可塑性樹脂が相対的に少なくなるため、炭素繊維への樹脂の含侵が困難になり、クラックが発生しやすくなる。
本発明の炭素繊維巻きテープは、円筒状芯材に巻き取られた形態のものであることが必要である。この形態であると作業時には、適当長さを繰り出し、所望長さに切断して、炭素繊維テープとして各種樹脂成形体の補強材と使用することができる。
本発明の炭素繊維巻きテープから取り出した炭素繊維テープは、平織り、綾織り、朱子織り等の方法を適用して、シート状の織物にすることもでき、前記のシート状の織物を筒状等に加工することもできる。また本発明の炭素繊維巻きテープから取り出した炭素繊維テープを筒状に編み上げることもできる。
本発明の炭素繊維巻きテープから取り出した炭素繊維テープ、それらから得られたシートや筒状体等は、熱可塑性樹脂を含んでいるため、加熱することにより、所望形状に変形させることができる。
本発明の炭素繊維巻きテープで使用することができる円筒状芯材は、幅(直径)方向の断面が円形のものであっても、多角形(三角形以上であるが、望ましくは六角形、八角形等)であってもよいし、楕円形でもよい。円筒状芯材は、紙、木、プラスチック、金属、セラミックス等の材質のものを用いることができる。
本発明の炭素繊維巻きテープで使用することができる円筒状芯材の外径は、60mm以上であることが必要である。好ましくは70mm以上、さらに好ましくは80mm以上である。外径が60mm以上である事で、クラックなどの発生を抑える事が可能となる。円筒状芯材が多角形の場合には、正対する角同士を結んだ長さを外径とし、楕円形の場合には長径の長さを外径とする。また、上限値は、炭素繊維テープを巻くことができ、かつクラック等を生じさせないとの理由からは制限はなく、製造工程、保管及び運搬、作業現場等の要請に応じて適宜選択することができるものであり、例えば400mm以下にすることができるが、取り扱い上の観点からは200mm以下が好ましく、100mm以下がより好ましい。
本発明の炭素繊維巻きテープの製造方法では、炭素繊維(A)を一方向に引き揃えることが必要である。炭素繊維を一方向に引き揃える事で、一方向性の炭素繊維テープとなり、補強材などに最適に使用する事ができる。
本発明の炭素繊維巻きテープの製造方法では、単位面積あたりの繊維の重量(Fiber Areal Weight、以下FAW)が60〜400g/m2の範囲で製造することが必要である。好ましくは、FAWが65〜200g/m2であり、さらに好ましくは70〜120g/m2である。FAWが低い方が含浸し易くなるが、FAWが低すぎる場合には補強材として使用する場合に、補強効果が限定的になる恐れがある。また、炭素繊維を引き揃えて並べる事が必要である。炭素繊維を引き揃えて並べる事で、110mm幅以上の幅の炭素繊維巻きテープを製造する事が可能となる。
目的のFAWにするためには、炭素繊維の目付に応じて炭素繊維を開繊する事が必要である。開繊方法としては、例えばバー開繊、振動開繊、空気開繊、超音波開繊などが知られている。振動開繊、バー開繊が好ましく、バー開繊が特に好ましい。好ましい方法であれば、経済的に生産し易い。また開繊し易くするため、加熱を組み合わせても良い。
本発明の炭素繊維巻きテープの製造方法では、100Hzでのせん断粘度が30〜500Pa・sとなる温度条件で熱可塑性樹脂(B)を含浸することが必要である。好ましくは50〜300Pa・sとなる温度であり、さらに好ましくは80〜200Pa・sとなる温度である。せん断粘度がこの範囲にある事で、生産性が良好である。
本発明での加熱温度は、180〜350℃が好ましく、200〜300℃がさらに好ましい。温度が高すぎる場合には、熱可塑性樹脂(B)が分解して品質が不安定になる恐れがある。低すぎる温度条件で上記の粘度になる熱可塑性樹脂(B)であれば、熱可塑性樹脂(B)が脆くなる恐れがある。
本発明の製造方法では、円筒状芯材に巻き取る前に、両端をスリットして除去するのが好ましい。両端部はその他の部分と炭素繊維(A)/熱可塑性樹脂(B)比率が著しく異なり、巻き取った際にクラックが発生する恐れがある。
本発明の製造方法では、炭素繊維(A)を120〜1850mm幅に引き揃えて並べるのが好ましい。さらに好ましくは、目的とする炭素繊維巻きテープに対し、10〜50mm広い事である。好ましい範囲にある事で、両端をスリットして除去した場合にも、110〜1800mm幅の炭素繊維巻きテープを得る事が可能である。また、さらに好ましい範囲にある事で、高品質で経済的に炭素繊維巻きテープを得る事が可能である。
本発明では、25〜200μmの熱可塑性樹脂(B)のフィルムを用いる事が好ましく、さらに好ましくは80μm未満、60μm未満である。好ましい範囲のフィルムを用いる事で、クラックが生じ難い。
本発明では、フィルムで上下から挟む事が好ましい。両面から挟む事で、加熱加圧処理後に、炭素繊維が表面に浮き出ず、クラックが生じ難い。
本発明の炭素繊維テープは、熱可塑性樹脂の軟化温度以上で厚さ0.1〜0.5mmに賦形し、冷却する事により得られる。含侵した後に賦形しても良いが、好ましくは含侵と同時に賦形する。この厚さとするためには、例えば線圧を10〜100kgf/cmとしたロールの間に、炭素繊維テープ、または炭素繊維シートと熱可塑性樹脂を重ねたものを通す事により得られる。ロールへの付着を防止するために、炭素繊維テープとロールの間に、離型紙や離型フィルム、スチールベルトを用いても良い。線圧が高すぎる場合には、目的とする厚さより薄くなる恐れがある。線圧が低すぎる場合には、含侵が十分に進まない恐れがある。
本発明の炭素繊維巻きテープは、一方向に引き揃えた炭素繊維と熱可塑性樹脂とを重ね合わせて加熱加圧して、炭素繊維に熱可塑性樹脂を含侵し、冷却して熱可塑性樹脂を固化した後に、円筒状芯材に巻き取る事よって得られる。
本発明の炭素繊維巻きテープは、FAWを60〜400g/m2とした炭素繊維に熱可塑性樹脂を重ね合わせて製造する。炭素繊維と熱可塑性樹脂の体積割合が20/80〜55/45とするためには、単位面積当たりの炭素繊維と熱可塑性樹脂の体積の割合が20/80〜55/45となるように重ね合わせる。単位面積あたりの炭素繊維の体積は、FAWを炭素繊維の密度で除す事により得られる。単位面積あたりの熱可塑性樹脂の体積は、熱可塑性樹脂をフィルムで供給する場合は、フィルムの目付を樹脂の密度で除す事により得られ、フィルムを複数枚用いる場合は、その総和により得られる。表面の凹凸が少ないフィルムであれば、その厚さから単位面積あたりの体積を求めても良い。
100Hzでのせん断粘度を30〜500Pa・sとするためには、予め熱可塑性樹脂(B)の100Hzでのせん断粘度を測定してせん断粘度が30〜500Hzとなる温度を確認し、この範囲内となる温度に加熱装置を設定する。例えば加熱加圧ロールを用いる場合には、加熱加圧ロールの設定温度を、熱可塑性樹脂のせん断粘度が30〜500Hzとなる温度に設定する。
100Hzでのせん断粘度を30〜500Pa・sとするためには、予め熱可塑性樹脂(B)の100Hzでのせん断粘度を測定してせん断粘度が30〜500Hzとなる温度を確認し、この範囲内となる温度に加熱装置を設定する。例えば加熱加圧ロールを用いる場合には、加熱加圧ロールの設定温度を、熱可塑性樹脂のせん断粘度が30〜500Hzとなる温度に設定する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(耐久性試験)
炭素繊維巻きテープを、円筒状芯材に対して3〜5層と肉眼観察で密になるように巻取り、巻き終わり端部を粘着テープで固定した。これを、25℃、湿度50%の雰囲気で24時間以上保持した。その後、炭素繊維巻きテープから炭素繊維テープを全て繰り出し、炭素繊維テープの表面を肉眼で観察して、クラック等の発生有無を観察し、以下の評価を実施した。
炭素繊維巻きテープを、円筒状芯材に対して3〜5層と肉眼観察で密になるように巻取り、巻き終わり端部を粘着テープで固定した。これを、25℃、湿度50%の雰囲気で24時間以上保持した。その後、炭素繊維巻きテープから炭素繊維テープを全て繰り出し、炭素繊維テープの表面を肉眼で観察して、クラック等の発生有無を観察し、以下の評価を実施した。
◎:クラック発生なし
〇:クラックが目立たない
×:クラックが目立つ
(実施例1)
ポリアクリロニトリル系炭素繊維(三菱レイヨン製、製品名:パイロフィル TR50S15L、目付:1000mg/m)を、FAWが75g/m2となるように一方向に引き揃えて1000mm幅に並べ、厚さ40μmの酸変性ポリプロピレンフィルムを上下から重ね合わせて、260℃で連続的に加熱加圧し、両端をスリットして除去する事で、炭素繊維を34体積%、熱可塑性樹脂を66体積%含有し、厚さ0.12mm、幅960mmの炭素繊維テープを製造した。なお、ここで用いた酸変性ポリプロピレンを回転式レオメーター(ティー・エイ・インスツルメント社製、製品名:ARES)で、260℃、100Hzの条件でせん断粘度を測定したところ、91Pa・sであった。得られた炭素繊維テープを内径75mm、外径82mmの円筒状芯材に200m巻き取った。
〇:クラックが目立たない
×:クラックが目立つ
(実施例1)
ポリアクリロニトリル系炭素繊維(三菱レイヨン製、製品名:パイロフィル TR50S15L、目付:1000mg/m)を、FAWが75g/m2となるように一方向に引き揃えて1000mm幅に並べ、厚さ40μmの酸変性ポリプロピレンフィルムを上下から重ね合わせて、260℃で連続的に加熱加圧し、両端をスリットして除去する事で、炭素繊維を34体積%、熱可塑性樹脂を66体積%含有し、厚さ0.12mm、幅960mmの炭素繊維テープを製造した。なお、ここで用いた酸変性ポリプロピレンを回転式レオメーター(ティー・エイ・インスツルメント社製、製品名:ARES)で、260℃、100Hzの条件でせん断粘度を測定したところ、91Pa・sであった。得られた炭素繊維テープを内径75mm、外径82mmの円筒状芯材に200m巻き取った。
(実施例2)
FAWが100g/m2となるように引き揃えたこと、厚さ30μmの酸変性ポリプロピレンフィルムを用いた点を除いては実施例1と同様に実施し、炭素繊維を48体積%、熱可塑性樹脂を52体積%含有し、厚さ0.12mm、幅960mmの炭素繊維テープを製造した。得られた炭素繊維テープを内径75mm、外径82mmの円筒状芯材に10m巻き取った。
FAWが100g/m2となるように引き揃えたこと、厚さ30μmの酸変性ポリプロピレンフィルムを用いた点を除いては実施例1と同様に実施し、炭素繊維を48体積%、熱可塑性樹脂を52体積%含有し、厚さ0.12mm、幅960mmの炭素繊維テープを製造した。得られた炭素繊維テープを内径75mm、外径82mmの円筒状芯材に10m巻き取った。
(実施例3)
厚さ40μmのナイロン6フィルムを用いた点を除いては実施例1と同様に実施し、炭素繊維を34体積%、熱可塑性樹脂を66体積%含有し、厚さ0.12mm、幅960mmの炭素繊維テープを製造した。なお、ここで用いたナイロン6のせん断粘度(260℃、100Hzの条件)は、150Pa・sであった。得られた炭素繊維テープを内径75mm、外径82mmの円筒状紙管に10m巻き取った。
厚さ40μmのナイロン6フィルムを用いた点を除いては実施例1と同様に実施し、炭素繊維を34体積%、熱可塑性樹脂を66体積%含有し、厚さ0.12mm、幅960mmの炭素繊維テープを製造した。なお、ここで用いたナイロン6のせん断粘度(260℃、100Hzの条件)は、150Pa・sであった。得られた炭素繊維テープを内径75mm、外径82mmの円筒状紙管に10m巻き取った。
(実施例4)
FAWが100g/m2となるように引き揃えたこと、厚さ30μmのナイロン6フィルムを用いる点を除いては実施例3と同様に実施し、炭素繊維を48体積%、熱可塑性樹脂を52体積%含有し、厚さ0.12mm、幅960mmの炭素繊維テープを製造した。
FAWが100g/m2となるように引き揃えたこと、厚さ30μmのナイロン6フィルムを用いる点を除いては実施例3と同様に実施し、炭素繊維を48体積%、熱可塑性樹脂を52体積%含有し、厚さ0.12mm、幅960mmの炭素繊維テープを製造した。
得られた炭素繊維テープを内径75mm、外径82mmの円筒状紙管に10m巻き取った。
(実施例5〜11、比較例1〜5)
表1に記載の通りにFAW、並べる幅、フィルム厚さ、加工温度を変更し、表1に記載の炭素繊維テープを製造した。ここで得られたテープを、表1に記載の芯材に各10m巻き取った。
表1に記載の通りにFAW、並べる幅、フィルム厚さ、加工温度を変更し、表1に記載の炭素繊維テープを製造した。ここで得られたテープを、表1に記載の芯材に各10m巻き取った。
Claims (4)
- 炭素繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)を含む炭素繊維テープが、円筒状芯材に巻き付けられた炭素繊維巻きテープで、
炭素繊維テープの単位面積当たりに含まれる炭素繊維(A)の質量が、60〜400g/m2、
炭素繊維テープの単位面積当たりに含まれる炭素繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)の体積の割合が20/80〜55/45であって、
炭素繊維テープの厚さが0.1〜0.5mm、幅が110〜1800mm、
円筒状芯材の外径が60mm以上400mm以下である連続した炭素繊維巻きテープ。 - 炭素繊維(A)が炭素繊維巻きテープの長手方向に配向している請求項1に記載の炭素繊維巻きテープ。
- 一方向に引き揃えた炭素繊維(A)を単位面積当たりに含まれる炭素繊維(A)の質量が、60〜400g/m2となるように引き揃えて並べて炭素繊維シートとし、熱可塑性樹脂(B)のせん断粘度が30〜500Pa・sとなる条件で熱可塑性樹脂(B)を該炭素繊維シートに含浸し、外径が60mm以上400mm以下である円筒状芯材に巻き取る炭素繊維巻きテープの製造方法。
- 一方向に引き揃えた炭素繊維(A)を120〜1850mmの幅に引き揃えて並べて炭素繊維シートとし、25〜200μmの熱可塑性樹脂(B)のフィルムで両面からはさんで加熱加圧した後に、両端をスリットして除去する、請求項3記載の炭素繊維巻きテープの製造方法。
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