JP2014195416A - 壁面緑化装置における灌水構造 - Google Patents
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Abstract
Description
ところで、前述したような壁面緑化装置の苗床には、植物の育成のために人工的に灌水することが要求され、そこで、前記従来のものでは、灌水パイプを苗床の上面に載置し、該灌水パイプから水が苗床に供給されるようにすると共に、苗床に載置しただけでは不安定であるため、枠材の上面に切り起した爪によって灌水パイプを固定している。
請求項2の発明は、取付け下地に、灌水パイプを収納できる広さを有し、下端が灌水パイプの外径よりも小さな開口寸法で開口したパイプ支持溝を形成し、該パイプ支持溝を灌水パイプ用配設スペースにしたことを特徴とする請求項1記載の壁面緑化装置における灌水構造である。
請求項3の発明は、パイプ支持溝の下部は、下側ほど対向間隔が幅狭となるよう傾斜状に形成され、該傾斜状部の下端が開口していることを特徴とする請求項2記載の壁面緑化装置における灌水構造である。
請求項4の発明は、苗床を支持する枠材は、苗床の上側を支持する上枠を備え、該上枠は、苗床よりも前後方向幅狭に形成されていて苗床の上面の一部が上枠から前後方向に突出する構成になっていると共に、パイプ支持溝の下端の開口は、上枠から前後方向に突出する苗床の上方に位置するように設定されることを特徴とする請求項2または3記載の壁面緑化装置における灌水構造である。
請求項5の発明は、取付け下地は、緑化用ユニットを取付けるための取付けボルトが配置されるボルト配置部を備えると共に、パイプ支持溝は、前記ボルト配置部の後側に形成されていることを特徴とする請求項2乃至4の何れか1記載の壁面緑化装置における灌水構造である。
請求項6の発明は、取付け下地は上下方向に間隔を存する状態で複数配置され、これら取付け下地の上下間に緑化用ユニットがそれぞれ配置される構成であると共に、パイプ支持溝の上面部には、上側に配置される緑化用ユニットから流出する余剰水をパイプ支持溝に流すための水抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項2乃至5の何れか1記載の壁面緑化装置における灌水構造である。
請求項2の発明とすることにより、灌水パイプは、取付け下地に形成されるパイプ支持溝に収納される状態で配設されることになるから、灌水パイプが外部から目視されることなく、壁面緑化装置の意匠を大幅に向上させることができる。
請求項3の発明とすることにより、パイプ支持溝の下部の傾斜状部によって灌水パイプを位置決め状に支持できると共に、灌水パイプから供給される水をパイプ支持溝内で停留させることなく確実に開口から下方に落下させることができる。
請求項4の発明とすることにより、灌水パイプから供給される水を、上枠に妨げられることなく確実に苗床に供給することができる。
請求項5の発明とすることにより、取付け下地の上下幅を長くすることなくパイプ支持溝を設けることができ、更なる意匠性の向上に貢献できる。
請求項6の発明とすることにより、上側の緑化用ユニットから流出する余剰水を下側の緑化用ユニットに供給できることになり、而して、余剰水も無駄なく使用することができる。
そして左右側面部2cと正面部2aとの突き合わせコーナー部2g、左右側面部2cと底面部2eとの突き合わせコーナー部2hが、図3(D)に示すようにそれぞれ縫合(縫製)Nされることで直方体形状となっているが、本実施の形態では形状維持のため、正面部2aと平面部2dとの折り曲げコーナー部2j、平面部2dと延長部2fとの折り曲げコーナー部2k、背面部2bと左右側面部2cとの折り曲げコーナー部2lを、図3(E)に示すように折り曲げて折山部分を縫合Nしており、底面部2eと正面部2aおよび背面部2bとの各コーナー部2m、2nについては縫合していないが、該コーナー部2m、2nについても同様にして縫合してもよい。またこれらコーナー部については、形状維持するための処理として、縫合ではなく、例えば溶着や接着のような形状維持処理を施したものとしてもよいことは勿論である。
さらに袋体2は、正面部2aに植物Aの幹が土壌基材4から出るためのスリット2oが上下左右に複数形成され、平面部2dには灌水用の灌水孔2pが左右方向に複数開設されている。
因みに正面部2aには、植栽される植物Aの幹が貫通する貫通部が形成されていれば足りるものであり、必ずしも本実施の形態のように拡開自在なスリット2oである必要はない。そして本実施の形態のように開閉自在なスリット2oとしたことにより、植栽後、スリット2oを塞ぐことで土壌基材4がスリット2oからこぼれ落ちるのを防止でき都合がよい。そして貫通部としては、例えば単純な孔状のものであってもよく、この場合、壁面取付けしたときに、植物Aの根張りが確りしていたり、土壌基材4が絡み合った長繊維状のものであったりしていて貫通部から土壌基材4がこぼれ落ちる惧れがない場合については、貫通部について何の手当をする必要はなくそのままの状態で壁面取付けをすることができ、一方、壁面取付けをしたときに貫通部から土壌基材4がこぼれ落ちる惧れがある場合には、後述する封止材14のようなものを用いて貫通部を封止すればよい。
そして袋体2は、後述するように箱体3を内装した状態で、延長部2fを内装した箱体3の背面部3bと袋体背面部2bとのあいだに差し込むことで蓋がなされる状態で組み込まれるようになっている。因みに袋体2は、後述するように枠材6により囲撓保持されるため、延長部2fは、単に袋体背面部2bの背面に重ねるようにしてもよいことはいうまでもない。また袋体2は、後述するように箱体3を挿入組み込みする場合の開口は平面部である必要はなく例えば側面部であってもよく、また一つである必要もない。
さらに背面部3bの上下端には差込み片3mが形成されるが、該差込み片3mの背面部3b接続部位には切欠き3nが形成されていて差込み片3mを前後方向に変位できるようになっている。
一方、平面部3dと重ね代3jとのコーナー部3oおよび底面部3eと重ね代3kとのコーナー部3pには前記差込み片3mを差込むためのスリット3qが形成されている。
そして箱体3は、展開図におけるコーナー部(点線部分)を折り曲げ、重ね代3g、3i、3k、3lが箱内に位置する状態で該重ね代3g、3i、3k、3lを対応する箱内面部に重ね合わせると共に、差込み片3mをスリット3qに差し込むことで、平面部3dが開口した状態で組み立てられるようになっている。因みに、箱体3に形成する開口は、土壌基材4を充填するためのものであり、このため開口は必ずしも平面部でなくてもよく例えば側面部であってもよく、さらに植付け孔3rや灌水孔3sからでも土壌基材4を充填することができ、これら開口は一つである必要もない。
さらに箱体3の正面部3aには植物Aを植え付けるための植付け孔3rが前記袋体スリット2oに対応するよう縦横に複数形成され、平面部3dには灌水用の灌水孔3sが、前記袋体灌水孔2pに対応するよう左右に複数形成され、背面部3b、底面部3eには通気および通水をするための細孔3tが複数形成されている。そして、後述するように、灌水孔3sから箱体3内の土壌基材4に供給された水のうち余剰分は、前記細孔3tから箱体3外に排出されるようになっている。
因みに本実施の形態の箱体3は、左右側面部3cと重ね代3lとが接着剤により貼着されている。
尚、このものでは型材5を倒してから袋体2を抜き取っているが、型材5が底面のないものである場合には、起立姿勢のまま型材5を持ち上げることで苗床1を型材5から抜き出すことができ、該抜き出した苗床1を倒し、植栽作業に移行することができる。
因みに、本実施の形態の苗床1は、厚紙により形成された箱体3により確りとした形状維持が図れるものであるため、型材5を用いないでも土壌基材4を充填することができる。
上枠7と下枠9とは天地勝手違いであるため、下枠9について説明をし、上枠7の説明は省略する。下枠9は、縦片9aと、該縦片9aの上端から前後に延びる上片9bと、該上片9bの前端から上方に延び、上端に後述する格子枠10に設けた係止体10cが係止するフック状の係止片9cと、上片9bにおいて、縦片9a位置よりも僅かに係止片9c側に偏倚した位置から上方に延びたものの上端に形成される前側ビスポケット9dと、上片9bの後端から上方に延びたものの上端に形成される後側ビスポケット9eとを備えて構成されている。そして枠材6を苗床1に組み込んだ状態では、袋体平面部2dが苗床1の上面となり、袋体正面部2aが苗床の前面となるが、前記下枠9の係止片9cは、苗床1の前面と下面とのコーナー部に当接するか隣接対向するようになっている。また、下枠9の後端部に位置する後側ビスポケット9eは、苗床1の前後方向中間部にまでしか至らないように下枠9の前後幅寸法が苗床1よりも幅狭に設定され、そして前後ビスポケット9d、9eは苗床1の下面に当接するか近接対向するようになっている。
さらに係止片9cには、格子枠10の縦格子10aが嵌入するための嵌入溝9fが形成され、縦片9aには、後述するように建造物の壁面Gに固定するための取付け下地15にボルト固定するためのボルト孔9gが形成され、上片9bには、後述する背面枠11をビス13を用いて取り付けるためのビス孔9hが形成されている。
尚、図中、7a、7b、7c、7d、7e、7gはそれぞれ上枠7の縦片、上片、係止片、前側ビスポケット、後側ビスポケット、ボルト孔であり、嵌入溝7f、ビス孔7hは図8においては隠れているため見えない状態になっている。
そして、前記上枠7の前後幅寸法が苗床1よりも幅狭に設定されていることによって、苗床1の上面の後半部が上枠7から後方に突出して前記灌水孔2p、3sが露出するようになっている。
さらに本体部8aには、上枠7のビスポケット7d、7eにビス12を螺入するためのビス孔8dが穿設され、係止片8bには、格子枠10の横格子10bが嵌入するための嵌入溝8eが形成されている。
そして上下枠7、9と左右側枠8とは、ビス孔8dに貫通したビス12を前後ビスポケット7d、7eに螺入することで固定されるようになっている。
尚、灌水パイプ18は、一端側は水道に接続された本配管19に分岐接続され、他端側はレ字状に折り曲げた状態で緊締具20で締めることにより止水されるようになっている。灌水パイプ18を折り曲げることにより、該折り曲げ部分が太り、パイプ支持溝15eに入り込まない場合には、例えばパイプ支持溝15eを短く切り落として折り曲げ部分の配設スペースを確保するようにすることができる。
次いで、取付け下地15の上下間に配されるように緑化用ユニットUを取付け下地15に固定するが、この場合、図17に示すように、取付けボルト17のボルト頭部17aを取付け下地ボルト支持溝15dに組み込み、取付けボルト17を緑化用ユニットUの凡その取り付け位置にスライド移動させる。そして、緑化用ユニットUの上下枠7、9のボルト孔7g、9gに、該緑化用ユニットUの上下に位置する取付け下地15のボルト支持溝15dに組み込まれた取付けボルト17をそれぞれ貫通させて、緑化用ユニットUを取付け下地15に仮保持する。この仮保持状態で緑化用ユニットUを正規の取り付け位置まで移動させ、取付けボルト17にナット17bを螺合して緊締することにより、緑化用ユニットUを壁面Gに固定できるようになっている。この場合に、図1、図2に示すように上下に複数列の緑化用ユニットUを並設する場合には、最も上側および下側に配される取付け下地15を除く中間位置の取付け下地15は、該取付け下地15の上側に位置する緑化用ユニットUの下枠9の縦片9aと、下側に位置する緑化用ユニットUの上枠7の縦片7aとを、ボルト孔9g、7g同士が位置合せされるように前後に重ね合わせた状態で、これらボルト9g、7gに取付けボルト17を貫通させることで、該取付けボルト17が共通化された状態で上側の緑化用ユニットUの下枠9と下側の緑化用ユニットUの上枠7とを同時に固定できる構成になっており、これにより、緑化用ユニットUを効率的に取付け下地15に固定できるようになっている。
尚、本実施の形態では、上中下三列の緑化用ユニットUを取付け下地15に取付けるにあたり、上列の緑化用ユニットUの上枠7、および下列の緑化用ユニットUの下枠9を取付け下地15に取り付けた後、中列の緑化用ユニットUの上枠7を上列の緑化用ユニットUの下枠9と共に、また、中列の緑化用ユニットUの下枠9を下列の緑化用ユニットUの上枠7と共に取付けるようにしている。このようにすることにより、中列の緑化用ユニットUについては単独で取り外すことができ、上列、下列の緑化用ユニットUの何れか一方を取り外したいときには、中列の緑化用ユニットUを取り外した後に、取り外したい側の上列、下列の緑化用ユニットUを取り外すことができることになり、これとは逆に中列の緑化用ユニットUを最初に取り付け、上下列の緑化用ユニットUをその後取付けた場合のように、中列の緑化用ユニットUを取り外すときに上下両方の緑化用ユニットUを外さなければならないようなことがなく、メンテナンス性が向上する。
さらに、前記灌水パイプ18から土壌基材4に供給された水のうち余剰分は、箱体3の細孔3tから袋体2を通って緑化用ユニットUの下方に流れて、該緑化用ユニットUの下側に位置する取付け下地15の上側片15bに落下するが、該上側片15bには、前述したようにパイプ支持溝15eの上面15fとなる部分に水抜き孔15nが形成されており、該水抜き孔15nからパイプ支持溝15eに浸入する。そして、該パイプ支持溝15eに浸入した余剰水は、パイプ支持片15j、15kの下端開口15iから落下して下側の緑化用ユニットUの苗床1に供給されるようになっており、而して、緑化用ユニットUから流出する余剰水も無駄にすることなく使用できるようになっている。尚、本実施の形態では、上枠7と下枠9とは天地勝手で違いであるため、苗床1の後半部は下枠9からも後方に突出しており、これにより、余剰水が緑化用ユニットUから排出されやすい構造になっている。
また、前述したように、パイプ支持溝15eの下部を形成するパイプ支持片15j、15kは、下側ほど対向間隔が幅狭となって下端が開口15iするように傾斜しているため、該傾斜するパイプ支持片15j、15kによって灌水パイプ18を位置決め状に支持できると共に、灌水パイプ18から供給される水や、水抜き孔15nから浸入した水を、パイプ支持溝15e内で停留させることなく開口15iから確実に下方に落下させることができる構成になっている。
尚、本実施の形態では、苗床1の上面の後半部が上枠から後方に突出する構成になっているが、苗床1の上面の前半部が上枠から前方に突出する構成にすることもできる。
6 枠材
7 上枠
15 取付け下地
15d ボルト支持溝
15e パイプ支持溝
15f 上面
15i 開口
15j、15k パイプ支持片
15n 水抜き孔
17 取付けボルト
18 灌水パイプ
U 緑化用ユニット
G 壁面
A 植物
R 壁面緑化装置
Claims (6)
- 建造物の壁面を植物で緑化するための壁面緑化装置を、水平方向を向く状態で壁面に固定される取付け下地に、植物が植栽される苗床を枠材で支持してなる緑化用ユニットを取付けて構成するにあたり、前記取付け下地に、苗床に灌水するための灌水パイプを配設する灌水パイプ用配設スペースを設けたことを特徴とする壁面緑化装置における灌水構造。
- 取付け下地に、灌水パイプを収納できる広さを有し、下端が灌水パイプの外径よりも小さな開口寸法で開口したパイプ支持溝を形成し、該パイプ支持溝を灌水パイプ用配設スペースにしたことを特徴とする請求項1記載の壁面緑化装置における灌水構造。
- パイプ支持溝の下部は、下側ほど対向間隔が幅狭となるよう傾斜状に形成され、該傾斜状部の下端が開口していることを特徴とする請求項2記載の壁面緑化装置における灌水構造。
- 苗床を支持する枠材は、苗床の上側を支持する上枠を備え、該上枠は、苗床よりも前後方向幅狭に形成されていて苗床の上面の一部が上枠から前後方向に突出する構成になっていると共に、パイプ支持溝の下端の開口は、上枠から前後方向に突出する苗床の上方に位置するように設定されることを特徴とする請求項2または3記載の壁面緑化装置における灌水構造。
- 取付け下地は、緑化用ユニットを取付けるための取付けボルトが配置されるボルト配置部を備えると共に、パイプ支持溝は、前記ボルト配置部の後側に形成されていることを特徴とする請求項2乃至4の何れか1記載の壁面緑化装置における灌水構造。
- 取付け下地は上下方向に間隔を存する状態で複数配置され、これら取付け下地の上下間に緑化用ユニットがそれぞれ配置される構成であると共に、パイプ支持溝の上面部には、上側に配置される緑化用ユニットから流出する余剰水をパイプ支持溝に流すための水抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項2乃至5の何れか1記載の壁面緑化装置における灌水構造。
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