JP2014193685A - 電動車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】発進時のペダルの漕ぎ感覚が、ペダル回転機構と駆動輪とが機械的に接続されている一般車両における発進時漕感に近似した電動車両を提供する。
【解決手段】ペダル251L、251Rとクランク25L、25Rとによって回転トルクが入力されるクランク軸250Lと、クランク軸250Lと、モータで駆動する駆動輪23fとが機械的な伝達機構でつながっていない車両であって、待機状態において、クランク軸250Lに対して抵抗を付与してクランク軸250Lをロックする抵抗付与手段GUを有し、ペダル踏み込み時の入力トルクが所定値に達した時に、クランク軸250lLのロック解除とともに駆動輪23fの駆動を開始する。
【選択図】図1
【解決手段】ペダル251L、251Rとクランク25L、25Rとによって回転トルクが入力されるクランク軸250Lと、クランク軸250Lと、モータで駆動する駆動輪23fとが機械的な伝達機構でつながっていない車両であって、待機状態において、クランク軸250Lに対して抵抗を付与してクランク軸250Lをロックする抵抗付与手段GUを有し、ペダル踏み込み時の入力トルクが所定値に達した時に、クランク軸250lLのロック解除とともに駆動輪23fの駆動を開始する。
【選択図】図1
Description
この発明は、電動車両に係り、詳しくは、運転者が漕ぐペダルの回転を駆動指令として走行する電動車両に関するものである。
従来、自転車に代表されるように、入力軸に接続されたクランクのペダルを左右の足で漕ぐことによって、チェーンを介して駆動車輪に駆動力を伝えて前進する車両が存在する。また、このような機械的な動力伝達機構に加えて、電動モータで駆動力を補強するアシスト自転車が提案されている。
一方、これに対して、下記特許文献の通り、機械的な伝達機構を持たず、ペダルによる入力装置と、駆動輪を駆動させる駆動装置が電気的に接続されている自転車が提案されている。
一方、これに対して、下記特許文献の通り、機械的な伝達機構を持たず、ペダルによる入力装置と、駆動輪を駆動させる駆動装置が電気的に接続されている自転車が提案されている。
上記従来の電動自転車においては、ペダルはアクセルとして利用され、ペダルの回転量に応じた出力が駆動輪から出力される。このような電動自転車では、ペダルの回転機構と駆動輪とが機械的に接続されていないので、運転者がペダルを踏み込んだ際のトルクが、直接駆動輪に伝わらない構成となっている。機械的な動力伝達機構を含む従来の自転車やアシスト自転車では、ペダルの踏み応えを感じながらペダルを踏む力を調節して漕いでいるが、上記電気自転車は、駆動輪から伝わる反力がペダルで感じられないので、従来の自転車と同じ感覚でペダルを漕ぐことができず、どの程度踏み込めば、どの程度加速が付くのか感覚的に把握できない。
例えば、一般自転車においては、自転車自体の重量と運転者の体重によって、慣性が生じているため、停止状態から漕ぎ始める時(漕ぎだし時)、或いは走行中に加速する時には、定速走行時に比較して、ペダルが重く感じられる。
これに対して、上記従来の電動自転車では、機械的に駆動輪と接続されていないため、走行状況に応じたペダル感覚(ペダルの重さ)を、漕ぎ足が感じることが少なく、これが違和感となってしまっていた。
特許文献1に記載の電動自転車では、一般の自転車の走行感覚を模倣するような観点からペダルクランク軸に回転抵抗となるような部材(例えば、発電機)を設けることが記載されているが、具体的にどのような制御を行って、一般の自転車の走行感覚を模倣するのか、といった構成は記載されていない。
これに対して、上記従来の電動自転車では、機械的に駆動輪と接続されていないため、走行状況に応じたペダル感覚(ペダルの重さ)を、漕ぎ足が感じることが少なく、これが違和感となってしまっていた。
特許文献1に記載の電動自転車では、一般の自転車の走行感覚を模倣するような観点からペダルクランク軸に回転抵抗となるような部材(例えば、発電機)を設けることが記載されているが、具体的にどのような制御を行って、一般の自転車の走行感覚を模倣するのか、といった構成は記載されていない。
特許文献2に記載の電動自転車には、ペダルに回転負荷を付与する装置や、発進時に操作する発進スイッチが設けられているが、発進ボタンがない一般の自転車の走行感覚を模倣するための制御が行われるものではない。
この発明は、発進時のペダルの漕ぎ感覚が、ペダル回転機構と駆動輪とが機械的に接続されている一般車両における発進時漕感に近似した電動車両を提供することを目的とするものである。
この発明は、発進時のペダルの漕ぎ感覚が、ペダル回転機構と駆動輪とが機械的に接続されている一般車両における発進時漕感に近似した電動車両を提供することを目的とするものである。
以上のような問題を解決する本発明は、以下のような構成を有する。
(1)運転者を載せる車体と、
該車体の前後にそれぞれ支持された前輪と後輪とを有する車両であって、
運転者の踏力を受けるペダルと、
回転軸と、
前記ペダルが先端部に設けられ、踏力をトルクとして前記回転軸に伝えるクランクと、
前記前輪又は前記後輪の少なくとも一方を駆動させるモータとを備え、
ペダルの踏力によって前記回転軸にトルクが加えられた時に、これに抗する抵抗を前記回転軸に発生させる抵抗付与手段と、
ペダル踏力によって回転軸に加えられるトルクを検出するトルク検出手段と、
前記トルク検出手段によって検出されたトルク値に基づいて運転者の加速の意図を判定する加速判定手段と、
前記加速判定手段が、運転者に加速の意図があると判定した場合に、駆動モータの出力を決定する駆動モータ制御手段とを有する電動車両。
(1)運転者を載せる車体と、
該車体の前後にそれぞれ支持された前輪と後輪とを有する車両であって、
運転者の踏力を受けるペダルと、
回転軸と、
前記ペダルが先端部に設けられ、踏力をトルクとして前記回転軸に伝えるクランクと、
前記前輪又は前記後輪の少なくとも一方を駆動させるモータとを備え、
ペダルの踏力によって前記回転軸にトルクが加えられた時に、これに抗する抵抗を前記回転軸に発生させる抵抗付与手段と、
ペダル踏力によって回転軸に加えられるトルクを検出するトルク検出手段と、
前記トルク検出手段によって検出されたトルク値に基づいて運転者の加速の意図を判定する加速判定手段と、
前記加速判定手段が、運転者に加速の意図があると判定した場合に、駆動モータの出力を決定する駆動モータ制御手段とを有する電動車両。
(2)前記加速判定手段は、前記トルク検出手段で検出されたトルクが所定値を越えた時に発進の意図があると判定する上記(1)に記載の電動車両。
(3)前記抵抗付与手段は、トルク検出手段によって検出されるトルク値が所定値を超えるまで、前記回転軸をロックできる程度の抵抗を付与する上記(2)に記載の電動車両。
(4)前記駆動モータ制御手段は、トルク検出手段によって検出された値に基づいて駆動モータの出力を決定する上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の電動車両。
請求項1に記載の発明によれば、ペダルを踏み込む力に対して抵抗が付与されるので、駆動輪から機械的な反力が伝わらない電動車両のペダル漕ぎ感覚を、一般の自転車のペダルを漕いだ場合の感覚に近づける事が可能となる。特に、踏まれたペダルから入力される回転軸のトルクの値に応じて、加速の判定を行うので、加速する際の操作を、通常の自転車を加速させる操作に近似させることができる。従って、一般の自転車に乗り慣れた運転者が、違和感なく加速操作することができる。
請求項2に記載の発明によれば、回転軸に加えられるトルクが所定値を超えた時に発進するため、一般の自転車の発進のためにペダルに載せた足を踏ん張る動作と同様の操作を再現できるので、一般の自転車を発進させる操作に一層近似させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、発進を開始する所定値を、発進に必要なトルク値とすることで、一般自転車で発進する際の操作感覚に近づけることができる。
請求項3に記載の発明によれば、発進を開始する所定値を、発進に必要なトルク値とすることで、一般自転車で発進する際の操作感覚に近づけることができる。
請求項4に記載の発明によれば、ペダルからのトルクが所定値を超えるまで、ペダルは回転せずにロックされるので、発進が開始するまでペダルは固定されていることとなり、ペダルの回転開始と同時に車両が発進するので、この点においても一般自転車の操作感覚に近づけることができる。
請求項5に記載の発明によれば、トルク検出手段によって検出された値に基づいて駆動モータの出力を決定するので、ペダルの踏み込みによる加速感も、一般自転車の感覚に近似させることができる。
請求項5に記載の発明によれば、トルク検出手段によって検出された値に基づいて駆動モータの出力を決定するので、ペダルの踏み込みによる加速感も、一般自転車の感覚に近似させることができる。
以下、本発明の車両の好適実施形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の電動車両1の一実施形態を示すもので、電動自転車の全体斜視図である。車体2は、操作部20と、本体21とを備える。操作部20は、ハンドル22と、ハンドル22の回動軸であるステム221と、前輪23fを備える。本体21は、例えば、1本の基体や、複数の部材を組み合わせたフレームで構成されており、この実施形態では、1つの基体で構成されている。本体21の先端部ヘッドチューブ211には、ハンドル22のステム221が回動自在に支持されており、後端部では、従動輪である後輪23bが支持され、制御ユニットCUとバッテリユニットBUが搭載されている。なお、ハンドル22には、両端のハンドルグリップ部分223に制動装置を操作する制動操作手段としてのブレーキレバー224が設けられている。このブレーキレバー224には、制動するための操作量を検出するブレーキセンサBBSが設けられている。
一方、本体21の中央部には、支柱24が立設され、支柱24の基端部には発電ユニットGUが設けられている。支柱24の先端部には、サドル241が取り付けられている。ステム下端部にはフロントフォーク222が接続されており、該フロントフォーク222の先端には、駆動輪である前輪23fが設けられている。前輪23fの中心軸部分には駆動モータユニットMCが設けられている。駆動モータユニットMCは、駆動モータMであるインホイールモータを有する。該インホイールモータの出力軸はフロントフォーク222に固定されており、駆動輪23fは、インホイールモータの駆動によって駆動輪として回転駆動する。駆動モータユニットMUには、走行状況検出手段としての駆動輪回転数センサMRSと駆動モータ電流センサMTSが設けられており、駆動輪回転数センサMRSは、駆動輪の回転数を検出し、駆動モータ電流センサMTSは、駆動モータに流れる電流値を検出する。この電流値によって駆動モータMが出力しているトルクTmを知ることができる。
発電ユニットGUの左右両側には、入力軸が突出し、各左右入力軸は、クランク25L、25Rが、それぞれ逆方向に向けて接続されたクランク軸250L(右側のクランク軸250Rは図示されていない)となっている。左右のクランク25L、25Rの先端には、ペダル251L、251Rがそれぞれ回動自在に支持されている。また、発電ユニットGUは、抵抗付与手段としての発電機Gを備え、クランク25L、25Rに加えられた踏力が、入力軸を介して回転トルクTpとして、発電機Gのロータに伝達される。発電ユニットGUは、入力軸に加わったトルクTpを発電機Gに伝達する機械的な伝達機構、例えば変速装置などを備えてもよい。発電ユニットGUは、更に、発電機電流センサPIS、トルク検出手段としてのペダル用トルクセンサPTS、ペダル用回転数センサPRSを備えている。ペダル用トルクセンサPTSは、運転者の踏み込みによってペダルから伝えられるトルクTpを検出するセンサであり、ペダル用回転数センサPRSは、ペダルの回転数を検出する。発電機電流センサPISは、発電機に流れる電流値を検出する。この電流値は、発電機によってペダルに与えられる抗力を測るものである。
制御ユニットCUは、集積回路及びメモリ等によって構成された車両制御回路ECや、バッテリの放電や充電を制御するバッテリ制御回路BC、発電機制御回路GC、モータ制御回路MCを備えている。制御ユニットCUに隣接して設けられているバッテリユニットBUは、バッテリBTと、バッテリBTから出力される電流値を検出するバッテリ電流センサBIS、バッテリBTから出力される電圧を検出する電圧センサBVSを備えている。バッテリユニットBUは、車体2に対して、機械的及び電気的に着脱自在に設けられており、車体2から取り外した状態で外部電源によって充電可能に構成されている。バッテリBTの電力は、駆動モータMに供給され、駆動モータMの回生時には、回生電力がバッテリBTに供給される。
また、バッテリBTの電力は発電機Gによってペダル抗力を発生させる際には、発電機Gに供給され、発電機Gによって発電された電力は、バッテリBTに供給されて蓄積される。駆動モータMと発電機Gは、それぞれ電気エネルギーと機械的な回転エネルギーとの間で相互にエネルギー変換を行うアクチュエータであり、駆動モータMは、主として電力を回転トルクに変換するが、回生時には回転トルクを電力に変換する。また、発電機Gは、主として回転トルクを電力に変換するが、ペダルの回転数を制御する場合には、発電機制御回路GCによって電力を回転トルクに変換する場合もある。駆動モータMは、回転数を制御することで制動手段として機能する。
図2は、本発明の制御系の構成を示すブロック図である。制御系は、車両制御回路EC、バッテリ制御回路BC、発電機制御回路GC、モータ制御回路MCを備え、各車両制御回路ECから他の制御回路へ向けて指示信号が供給される。車両制御回路ECには、各センサから検出値が入力され、入力された値に基づいて、ペダルの回転軸に与える抗力の値、ペダルの目標回転数、目標車速等を決定する。
発電機制御回路GCは、車両制御回路ECからペダル目標回転数の指示に基づいて、実際のペダルの回転数が目標回転数となるよう発電機の回転を制御する。具体的には、発電機の電流を制御することにより発電機のロータの回転に抵抗を与え、ペダルの回転数を制御する。
モータ制御回路MCは、車両制御回路ECから目標車速値の指示に基づいて、実際の車速が目標値となるように、駆動モータMに供給される電力を制御する。また、回生時には、駆動モータから得られる回生電力をバッテリBTへ供給できるように回路を切り換え制御する。
バッテリ制御回路BCは、車両制御回路ECの指示に基づいてモード切り換えを行う。バッテリ制御回路BCは、発電機系統と駆動モータ系統とに分けられ、それぞれについて、駆動モータMに電力を供給するモード、駆動モータMからの回生電力を充電するモード及び発電機Gに電力を供給するモード、発電機Gから発電された電力を充電するモードとの間で、モードの切り換えを行う。
バッテリ制御回路BCは、車両制御回路ECの指示に基づいてモード切り換えを行う。バッテリ制御回路BCは、発電機系統と駆動モータ系統とに分けられ、それぞれについて、駆動モータMに電力を供給するモード、駆動モータMからの回生電力を充電するモード及び発電機Gに電力を供給するモード、発電機Gから発電された電力を充電するモードとの間で、モードの切り換えを行う。
以下、図3〜図6に示されているフローチャートに基づいて、本発明の電動車両の走行制御処理について説明する。本制御処理は、車両を停止している状態からペダルを踏んで漕ぎ出す際の行われる漕ぎ出し判定制御処理S101と、車両を走行させる際に駆動出力に関して行われる駆動制御処理S103と、走行時の運転者のペダルの踏み込み操作に対して、機械的な動力伝達機構でペダルと駆動輪とがつながっている一般自転車のペダル漕ぎ感覚に沿うようにペダル回転軸の抵抗を制御するペダル制御処理S105とを備えている。
図4に示されているフローチャートに基づいて、漕ぎ出し判定処理について説明する。本発明の電動車両では、駆動輪に加わっている走行抵抗がペダルの踏み込みの抗力として伝わらない構成となっているので、ペダルの踏力を受けつつペダルの回転を制御する処理が行われる。
ブレーキセンサBBSからブレーキ操作量を取得する(ステップS201)。取得した操作量からブレーキに基づいて、ブレーキがONとなっているか否か、即ち、駆動輪をロックする操作が行われているか否か判断する(ステップS203)。
ブレーキセンサBBSからブレーキ操作量を取得する(ステップS201)。取得した操作量からブレーキに基づいて、ブレーキがONとなっているか否か、即ち、駆動輪をロックする操作が行われているか否か判断する(ステップS203)。
ブレーキがOFFとなっている場合には、駆動モータ回転数センサMRSから駆動モータの回転数N1を取得し(ステップS205)、取得した回転数から車速Vを演算する(ステップS207)。この車速の取得は、別個に車速センサを設けて、該車速センサから車速を取得してもよい。
次に、ステップS207で取得した車速Vがゼロ以下(V≦0)であるか判定する(ステップS209)。車速Vがゼロ以下である場合には、車両が前進可能な状態であることを意味しているので、次に漕ぎ出し操作が行われているか判定する。即ち、ペダル用トルクセンサPTSからペダルを介して加えられているトルクTpを取得して、そのトルクTpが予め定められている閾値aより大きいか判断する(ステップS211)。クランク軸250がフリー回転する状態ではペダル踏力によるトルク検出ができないので、ペダル用トルクセンサPTSにトルク検出させるために、予め発電機Gに0回転数指令がされており、ステップS211に先だって、クランク軸250の回転が規定された状態となっている。
閾値aは、例えば次のような値に設定される。チェーンなどの動力伝達機構を含む従来型の自転車では、駆動輪が止まっている停止状態ではペダルも前進方向には動かない。このように前記従来型の自転車のペダル操作感覚を再現させるために、閾値aは、車両停止時において、ペダルが固定されている感覚を演出するために必要なトルク値に設定される。或いは、車両を前進させるために必要な最低値として設定された値としてもよい。又は、高齢者等のように踏力が、一般健常者よりも弱い人でも発進できるようにするため、閾値aは、単にペダルに足を載せた程度で加わるトルクに設定してもよい。トルク値Tpが、閾値aより大きい場合には、ペダルに前進させるための踏力が加わっている(或いは、運転者に前進させる意思がある)と判断できるので、駆動走行制御処理に移行する(ステップS213)。
ステップS203でブレーキONである(車輪を止めた状態)と判断された場合、これは車両を止めた状態とする意思があることを意味する。そこで、モータ制御回路MCに対して、駆動モータMの目標回転数を0にする指令を供給する(ステップS219)。このような処理によって、駆動モータMの回転は規制され、実質的に駆動輪にブレーキが掛かった状態となる。ステップS219の後、発電機制御回路GCに対して、目標回転数を0にする指令を供給する(ステップS221)。この処理によって、ペダルが固定される。ステップS219で制動手段が構成され、ステップS221で抵抗調節手段が構成される。ステップS219とステップS221によって、駆動輪23fとクランク軸250とが同時に制動される。
ステップS209で車速Vがゼロ又はマイナスでないと判断された場合、少なくとも車両は前進していることを意味する。車両の状態としては、例えば、運転者はサドルに乗っていないか、または、サドルに乗ったままペダルを漕いでいない状態で前進していると推定される。次に、漕ぎ出し判定処理においてペダルに加わるトルクを検出するためにペダルを固定する必要があり、ペダル回転数を0にする指令を発電機制御回路GCに供給する(ステップS221)。
一方、ステップS211でペダルトルクTpが閾値aより小さい場合には、前進するための十分なトルクが出るような踏力がペダルに加わっていないと判断されるので、漕ぎ出しを意識した運転操作はされていないと判定され、駆動制御処理(ステップS213)には移行せず、ペダル回転数を0とする指示を発電機制御回路GCに供給する(ステップS221)。ペダル回転数を0とする制御は、踏力によってクランク軸250に入力されるトルクの値が、後述する閾値bを越えるまで実行される。
以上の処理において、ステップS211で閾値aよりペダルトルクTpが小さいと判断された状態とは、具体的には、自転車のサドル241に乗った運転者がプレーキレバー224を戻して(OFFにして)、片足をペダルに載せ、漕ぎ出すために準備を整えた状態である。この時点では、運転者及び車体の自重などによって、駆動輪は止められており、また、クランク25R、25Lも止められた状態となっている。
ここで、ペダルに載せている足を踏ん張って、ペダル踏力を増加させ、閾値aよりペダルトルクTpが大きくなると、自転車を発進させるために必要なトルクがペダルによって加えられたと推定されるので、駆動制御処理が開始される(ステップS213)。これは、一般の自転車において、片足を地面に付け、他方の足でペダルを踏んで、自転車を発進させた状態と同様の状態と推定される。このステップS211とステップS213によって加速(発進)判定手段が構成される。
次に、図5に示されているフローチャートに基づいて駆動制御処理について説明する。ペダル用トルクセンサPTSよりペダルから入力されるトルクTpを取得する(ステップS301)。取得されたペダルトルクTpが閾値aより大きいか判断する(ステップS303)。閾値aより大きい場合には、駆動輪23fを駆動させる意思があると判断できるので、車速Vを、駆動輪回転数センサMRSで取得した回転数から算出する(ステップS305)。 ◎
ステップS305で得られた車速Vが閾値cより大きいか判断する(ステップS307)。閾値cは、自転車が速度0状態から加速され、両足を両側のペダルにそれぞれ載せられる程度の速度に設定されている。
ステップS305で得られた車速Vが閾値cより大きいか判断する(ステップS307)。閾値cは、自転車が速度0状態から加速され、両足を両側のペダルにそれぞれ載せられる程度の速度に設定されている。
車速Vが閾値cより大きい場合には、ステップS301で取得したペダルトルクTpに基づいて目標車速を演算する(ステップS309)。次に、車速が目標車速となるために、駆動モータMが出力する必要があるトルク値を演算しトルク指令値T0とする(ステップS311)。このようなトルク指令値T0の演算は、現在車速と目標車速との差や、速度0から発進した時の加速の度合いを考慮して決定される。
決定されたトルク指令値T0は、モータ制御回路MCに供給され(ステップS313)、モータ制御回路MCでは指令されたトルク値T0が駆動モータMから出力されるように電流値を制御する。ステップS309、ステップS311、ステップS313によって駆動モータ制御手段が構成される。
決定されたトルク指令値T0は、モータ制御回路MCに供給され(ステップS313)、モータ制御回路MCでは指令されたトルク値T0が駆動モータMから出力されるように電流値を制御する。ステップS309、ステップS311、ステップS313によって駆動モータ制御手段が構成される。
ステップS307で、車速Vが閾値cより小さい場合には、両足をペダルに載せられる程の速度に達していないことを意味するので、車両の状態は不安定な状態なので、安定走行できる程度の速度まで早急に加速する必要がある。つまり、早急に閾値cまで速度を上げる必要があり、トルク指令値T0を駆動モータMの出力トルクの最大値に設定し(ステップS317)て、指令する(ステップS313)。この処理(ステップS313)で設定される出力トルク値は最大値でなくてもよいが、加速が必要であるので、少なくとも、現在駆動モータMが出力しているトルクよりも大きなトルクが必要である。この最大値出力は、車速が閾値cに達した時にキャンセルされる。以後はステップS309〜311の処理が行われる。
また、ステップS303で、ペダルトルクTpが閾値aより小さい場合には、加速する意思がないものと判断できるので、駆動モータMの出力トルクを0に決定し(ステップS315)、トルク指令値T0(=0)をモータ制御回路MCに供給する(ステップS313)。この状態は、駆動モータMは駆動せず、自転車が惰性で進行している状態である。ステップS301によってペダルトルク取得手段が構成される。ステップS305によって車速取得手段が構成される。ステップS317によって加速トルク決定手段が構成される。
駆動制御が開始されると、次に、ペダルトルクTpが閾値bより大きいか判断する(ステップS215)。閾値bは、更に加速させるために必要な値であって、閾値b>閾値aとなっている。ペダルトルクTpが閾値bより小さい場合には、加速する意図がないものと判定し、ペダル回転数は0に設定された状態に維持される(ステップS221)。
駆動制御が開始されると、次に、ペダルトルクTpが閾値bより大きいか判断する(ステップS215)。閾値bは、更に加速させるために必要な値であって、閾値b>閾値aとなっている。ペダルトルクTpが閾値bより小さい場合には、加速する意図がないものと判定し、ペダル回転数は0に設定された状態に維持される(ステップS221)。
ペダルトルクTpが閾値bより大きい場合には、ペダル制御処理(ステップS217)が行われる。以下、ペダル制御処理の概要について説明する。図6に示されているように、ペダル251Lに足を載せて踏み込む力(踏力)Kは、略鉛直方向に向かって加えられる。この踏力がクランク軸250Lを回転させる力、即ちトルクは、ペダル251Lの回転軌跡(円輪)の接線方向に分解された分力Qにクランクの長さを乗した値となる。図7に示されているように、ペダル踏力Kは、ペダルの位置によって変化し、また、分力Qも大きく変化する。ペダル踏力Kは、頂点近傍にペダルが位置すると加わり始め、前側近傍から下方にかけて最大となり、後方へ移動するに従って減少する。更に、分力Qは、円周に沿って移動するペダルの移動方向が下方に向いている辺りで踏力Kの向きと重なり、大きさが最大となる。
従って、ペダルが一回転する間にクランク軸250Lに加わるトルクTpは周期的に変化し、これに基づき回転数も周期的に変化する。図8は、運転車によるペダル漕ぎ操作に応じて変化するペダル回転数の周期的変化を示す図である。図中のグラフ(a)は、平坦地で定速を維持しつつ走行する場合の回転数の変化を概念的に示すものであり、回転数変化は略正弦波に沿った曲線によって示される。このような回転数の変化は、ペダルのクランク軸から動力が機械的に駆動輪に伝わる一般の自転車においても同様に生じているが、走行する車両の慣性が駆動輪からペダルに直接伝わるため、運転者がペダルを漕ぐ際にペダルから感じる感覚には、グラフで示されている程の大きな変化はない。
しかしながら、本発明の車両のように駆動輪23fとクランク軸250とが機械的に接続されていない場合には、慣性による反力が伝わらないので、回転数の変化がペダルを踏む足に直接感じられ、一般自転車の運転時感覚と大きく異なる感覚が生じて、これが違和感となる。特に、登坂時や、加速時等において、ペダル踏力を上げた場合には、グラフ(b)に示されているように、変化する回転数の幅が大きくなり、特に違和感が大きくなる傾向がある。そこで、ペダル漕ぎ時の違和感を解消するため、ペダル漕ぎ時において、クランク軸250にペダル踏力に抗する力を与えて、機械的に駆動輪とペダルが接続されている一般自転車と近似したペダル漕ぎ感覚を演出する。さらに、違和感が増幅されるペダル踏力増加時には、クランク軸250Lの回転数を調整する処理を更に実行することで、違和感の発生を抑制する。
以下、図9に示されているフローチャートに基づいて、ペダル制御処理について説明する。ペダル用トルクセンサPTSからペダルから入力されるトルクTpを取得する(ステップS401)。取得したトルクTpが閾値bより大きいか判断する(ステップS403)。閾値bより小さい場合には、運転者は加速を意図していないと判断し、ペダル回転数を0に設定、即ちペダルが固定された状態とすることを決定する(ステップS419)。トルクTpが閾値bより大きい場合には、ステップS221又はステップS419で設定されたペダル回転数0設定が解除される。即ち、ペダルは回転可能状態となる。そして、ペダル回転数センサPRSから供給されるクランク25L、25Rの回転量θをモニターする(ステップS405)。クランク25L、25Rの回転量θが所定値dより大きくなったか判断する(ステップS407)。所定値dは、ペダルが回転しているか否かを判定するための値である。
回転量θが所定値dより大きい場合には、ペダルが回転していると判断できるので、ペダルから発電機Gに入力されてくる回転数をモニターし、周期的に発生する回転数の変化の割合を検出する。そして、その変化の割合に応じて発電機の目標回転数を設定する。回転数の変化の割合は、例えば、回転数の変化をモニターした期間内での最高値と最低値の差(dN)を算出する。この回転数の差は、周期的に変化する回転数の振幅として算出してもよい。又は、平均値と最大値との差、又は平均値と最小値との差を変化の割合を示す指標として演算してもよい。或いは、平均値における曲線の傾き(回転数の加速度)を変化の割合を示す指数として取得してもよい。又は、最大値と最小値との結んだ直線の傾きや、図8の各グラフに示されている正弦波と目標回転数Ngとで囲まれた部分の面積値(積分値)を指標とすることもできる。この実施形態では、回転数の変化の割合を示す指標として、既述の通り、回転数の最高値と最低値の差を算出する(ステップS409)。
回転数差dNが所定値fよりも大きいか否か判断する(ステップS411)。回転数差dNが所定値fより大きい場合には、加速を意図してペダルを踏んでいると判断し、ステップS401とステップS405で取得したペダルトルクTpと回転量θに基づき、取得されたペダルトルクTpで回転量θとなった時の車速Vを演算する(ステップS413)。そして、図8のグラフに示されているように、加速している場合(図8(b))が、特にペダルの漕ぎムラが発生して違和感が生じやすいので、次のような処理を行う。一般自転車の車速が、ステップS413で求められた車速Vとなるようにペダルを漕いだ場合のペダル回転数Ng1を演算する。そして、そのペダル回転数Ng1より高い値を発電機Gの目標回転数Ng2として決定する (ステップS415)。このように、目標回転数Ng2を、実際の自転車で予想される回転数よりも高く設定する(Ng1<Ng2:図8(b))ことにより、ペダルを回転させるために必要とされるトルクが小さくなる(換言すると、ペダル踏力によって入力されるトルクに対する抗力が小さくなる)ので、ペダルを漕いでいる時の違和感が軽減される。
ステップS407で回転量θが所定値dより小さいと判断された場合には、ペダルはまだ回転していないと判断されるので、駆動輪回転数センサMRSから取得した駆動輪回転数Nmに基づき、車速Vを演算する(ステップS421)。一般自転車の車速が、ステップS421で求められた車速Vとなるようにペダルを漕いだ場合のペダル回転数r0を演算し、発電機Gの目標回転数r1として決定する(ステップS423)。
なお、ステップS403で、ペダルトルクTpが閾値bより小さい場合には、発電機Gの目標回転数を0として、ペダルを固定した状態に維持する(ステップS419)。さらに、ステップS411で、回転数差dNが所定値fより小さい場合には、減速を意図していると判断し、この様な場合には、ペダルの漕ぎムラも感じにくいので、発電機Gの待機回転数を目標回転数に設定する(ステップS425)。
そして、ステップS423、ステップS415、ステップS425及びステップS419で決定された発電機Gの目標回転数は、発電機制御回路GCに供給される(ステップS417)。ここで、発電機制御回路GCは、目標回転数となるように、ペダルの回転に適宜抵抗を与えて回転数制御を行う。
上記ステップS411、ステップS413、ステップS415、ステップS417及びステップS411、ステップS425、ステップS417によって抵抗調整手段が構成される。ステップS409によって回転数変化量検出手段が構成される。
上記ステップS411、ステップS413、ステップS415、ステップS417及びステップS411、ステップS425、ステップS417によって抵抗調整手段が構成される。ステップS409によって回転数変化量検出手段が構成される。
抗力付与手段は、発電機Gのほか、ディスクブレーキなどの摩擦制動装置を用い、制動部材の押圧力を調整することによって抗力を調節する抗力調整手段を設けてもよい。或いは、抗力付与手段としてフライホイールを設け、抗力調整手段は、フライホイールとクランク軸との間に設けられた変速装置を用い、変速比を変更することによって抗力を調節する構成とすることもできる。
なお、本発明は、ペダルに抗力を与えて回転を制御するための発電機Gと、駆動力を出力する駆動モータMとを、別個に制御することで、一般の自転車やアシスト自転車の操作感覚に沿った操作感を演出するものであるが、これに限らず、ペダルと駆動輪を別個に制御することによって、従来の構成では達成できない、全く新しい操作感覚の車両を提供することも可能である。ペダル回転に対する駆動輪の回転比を、従来よりも高い比率として、従来の自転車よりも高速走行できる車両を提供し、或いは、逆に従来よりも低い比率として、ペダルをより多く回転させなければ前進しない制御内容とし、ダイエット効果を発揮できる車両を提供することもできる。
以上の説明は電動車両として自転車を例に挙げて説明したが、前後に車輪を有する二輪車に限らず、三輪車や、前輪と後輪が二輪づつある四輪車であってもよい。また、駆動輪は、前輪でなく後輪であってもよい。
以上の説明は電動車両として自転車を例に挙げて説明したが、前後に車輪を有する二輪車に限らず、三輪車や、前輪と後輪が二輪づつある四輪車であってもよい。また、駆動輪は、前輪でなく後輪であってもよい。
Claims (5)
- 運転者を載せる車体と、
該車体の前後にそれぞれ支持された前輪と後輪とを有する車両であって、
運転者の踏力を受けるペダルと、
回転軸と、
前記ペダルが先端部に設けられ、踏力をトルクとして前記回転軸に伝えるクランクと、
前記前輪又は前記後輪の少なくとも一方を駆動させるモータとを備え、
ペダルの踏力によって前記回転軸にトルクが加えられた時に、これに抗する抵抗を前記回転軸に発生させる抵抗付与手段と、
待機時にペダル踏力によって回転軸に加えられるトルクを検出するトルク検出手段と、
前記トルク検出手段によって検出されたトルク値に基づいて運転者の発進の意図を判定する発進判定手段と、
前記発進判定手段が、運転者に発進の意図があると判定した場合に、駆動モータの駆動を開始する駆動モータ制御手段とを有する電動車両。 - 前記発進判定手段は、前記トルク検出手段で検出されたトルクが所定値を越えた時に発進の意図があると判定する請求項1に記載の電動車両。
- 前記所定値は、発進に必要なトルク値である請求項2に記載の電動車両。
- 前記抵抗付与手段は、トルク検出手段によって検出されるトルク値が所定値を超えるまで、回転軸をロックする請求項2又は3に記載の電動車両。
- 前記駆動モータ制御手段は、トルク検出手段によって検出された値に基づいて駆動モータの出力を決定する請求項1〜4のいずれか1に記載の電動車両。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013070737A JP2014193685A (ja) | 2013-03-28 | 2013-03-28 | 電動車両 |
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JP2014193685A true JP2014193685A (ja) | 2014-10-09 |
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Family Applications (1)
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JP2013070737A Pending JP2014193685A (ja) | 2013-03-28 | 2013-03-28 | 電動車両 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019189191A (ja) * | 2018-04-27 | 2019-10-31 | 株式会社シマノ | 制御装置 |
-
2013
- 2013-03-28 JP JP2013070737A patent/JP2014193685A/ja active Pending
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