JP2014190377A

JP2014190377A - 軸受装置

Info

Publication number: JP2014190377A
Application number: JP2013064591A
Authority: JP
Inventors: Shin Kawai; 慎河井
Original assignee: NSK Ltd
Current assignee: NSK Ltd
Priority date: 2013-03-26
Filing date: 2013-03-26
Publication date: 2014-10-06

Abstract

【課題】シール性能を向上させつつ、汎用の密封型転がり軸受を利用可能な軸受装置を提供する。
【解決手段】軸受装置１は、密封型転がり軸受１０と、外輪端面１１ｄとの間でシールを形成する外装シール板２０と、を備える。外装シール板２０は、心金２５と、該心金２５の少なくとも一部を覆い、外輪端面１１ｄに向かって延びる第１シールリップ２７を有する弾性部材２６と、を有する。外装シール板２０は、内輪側部材３０に形成される段部３２、スペーサー３１、内輪端面１２ｃのいずれか２つに挟持される。
【選択図】図１

Description

本発明は、軸受装置に関し、より詳細には、シール機能を向上させた軸受装置に関する。

ダストや水等が飛散する環境で使用される転がり軸受には、これらが内輪と外輪の間の軸受空間へ浸入するのを防止するために、接触シール等のシール板で軸受空間を密封した密封型転がり軸受が用いられている。

特許文献１には、この密封型転がり軸受のシール機能を更に向上させるため、軸受空間を内側と外側の２つの接触シールで密封し、外側の接触シールに内外２枚のリップを設け、外側の接触シールの内外２枚のリップのうちの外側のリップをシール摺接面と面接触させ、内側のリップをシール摺接面と線接触させるようにした密封型転がり軸受が開示されている。

特許第４６７６２１２号公報

しかしながら、特許文献１に記載の密封型転がり軸受は、外輪及び内輪の形状を汎用の転がり軸受から変更させる必要があり、専用の設計となるので、汎用の密封型転がり軸受を利用できないという課題があった。

本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シール性能を向上させつつ、汎用の密封型転がり軸受を利用可能な軸受装置を提供することにある。

本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
（１）内輪と、外輪と、該内輪と該外輪との間に転動自在に配置される複数の転動体と、前記外輪の内周面に取り付けられる一対の第１シール板と、を備え、前記内輪が相対回転する一方の部材である内輪側部材に取り付けられると共に、前記外輪が相対回転する他方の部材である外輪側部材に取り付けられる密封型転がり軸受と、
前記外輪の端面との間でシールを形成する第２シール板と、を備え、
前記第２シール板は、心金と、該心金の少なくとも一部を覆い、前記外輪の端面に向かって延びる第１シールリップを有する弾性部材と、を有し、
前記第２シール板は、前記内輪側部材に形成される段部、スペーサー、前記内輪の端面のいずれか２つに挟持されることを特徴とする軸受装置。
（２）前記第２シール板の前記弾性部材は、挟持される部位を含めて、前記心金の外側端面全体を覆っていることを特徴とする（１）に記載の軸受装置。
（３）前記第１シールリップは、前記外輪の端面に接触していることを特徴とする（１）又は（２）に記載の軸受装置。
（４）前記弾性部材は、さらに前記外輪側部材に向かって延びる第２シールリップを有し、
前記第２シールリップは、前記外輪側部材に接触するか、又は、前記外輪側部材との間でラビリンスシールを形成することを特徴とする（１）〜（３）のいずれかに記載の軸受装置。
（５）前記第２シールリップから前記第１シールリップまで連続した平坦面で形成されていることを特徴とする（４）に記載の軸受装置。
（６）内輪と、外輪と、該内輪と該外輪との間に転動自在に配置される複数の転動体と、前記外輪の内周面に取り付けられる一対の第１シール板と、を備え、前記内輪が相対回転する一方の部材である内輪側部材に取り付けられると共に、前記外輪が相対回転する他方の部材である外輪側部材に取り付けられる密封型転がり軸受と、
前記内輪の端面との間でシールを形成する第２シール板と、を備え、
前記第２シール板は、心金と、該心金の少なくとも一部を覆い、前記内輪の端面に向かって延びる第１シールリップを有する弾性部材と、を有し、
前記第２シール板は、前記外輪側部材に形成される段部、スペーサー、前記外輪の端面のいずれか２つに挟持されることを特徴とする軸受装置。
（７）前記第２シール板の前記弾性部材は、挟持される部位を含めて、前記心金の外側端面全体を覆っていることを特徴とする（６）に記載の軸受装置。
（８）前記第１シールリップは、前記内輪の端面に接触していることを特徴とする（６）又は（７）に記載の軸受装置。
（９）前記弾性部材は、さらに前記内輪側部材に向かって延びる第２シールリップを有し、
前記第２シールリップは、前記内輪側部材に接触するか、又は、前記内輪側部材との間でラビリンスシールを形成することを特徴とする（６）〜（８）のいずれかに記載の軸受装置。
（１０）前記第２シールリップから前記第１シールリップまで連続した平坦面で形成されていることを特徴とする（９）に記載の軸受装置。
（１１）ウォータポンプに用いられることを特徴とする（１）〜（１０）のいずれかに記載の軸受装置。

本発明の上記（１）の軸受装置によれば、外輪の端面との間でシールを形成する第２シール板を内輪側部材に形成される段部、スペーサー、内輪の端面のいずれか２つに挟持させることで、汎用の密封型転がり軸受を利用しながら、シール機能を向上させることができる。

本発明の上記（２）の軸受装置によれば、弾性部材が、挟持される部位を含めて、心金の外側端面全体を覆うことにより、錆抑制効果を有することに加えて、加工精度が悪い場合であっても、接触シールのリップ押圧のばらつきを抑えることができる。

本発明の上記（３）の軸受装置によれば、第１シールリップが外輪の端面に接触することで、よりシール性能を高めることができる。

本発明の上記（４）の軸受装置によれば、第２シールリップが外輪側部材との間でシールを形成することで、よりシール性能を高めることができる。また、第２シールリップは、外輪側部材に接触することでさらにシール性能を高めることができる。一方、外輪側部材に接触せずにラビリンスシールを形成することで、回転トルクの変化を回避することができる。

本発明の上記（５）の軸受装置によれば、弾性部材が比較的単純な形状となり、容易に製造することができる。

本発明の上記（６）の軸受装置によれば、内輪の端面との間でシールを形成する第２シール板を外輪側部材に形成される段部、スペーサー、外輪の端面のいずれか２つに挟持させることで、汎用の密封型転がり軸受を利用しながら、シール機能を向上させることができる。

本発明の上記（７）の軸受装置によれば、弾性部材が、挟持される部位を含めて、心金の外側端面全体を覆うことにより、錆抑制効果を有することに加えて、加工精度が悪い場合であっても、接触シールのリップ押圧のばらつきを抑えることができる。

本発明の上記（８）の軸受装置によれば、第１シールリップが内輪の端面に接触することで、よりシール性能を高めることができる。

本発明の上記（９）の軸受装置によれば、第２シールリップが内輪側部材との間でシールを形成することで、よりシール性能を高めることができる。また、第２シールリップは、内輪側部材に接触することでさらにシール性能を高めることができる。一方、内輪側部材に接触せずにラビリンスシールを形成することで、回転トルクの変化を回避することができる。

本発明の上記（１０）の軸受装置によれば、弾性部材が比較的単純な形状となり、容易に製造することができる。

本発明の上記（１１）の軸受装置によれば、転がり軸受の密封性能が求められるウォーターポンプのシール性能を向上させることができる。

本発明に係る第１実施形態の軸受装置の部分断面図である。本発明に係る第２実施形態の軸受装置の部分断面図である。本発明に係る第３実施形態の軸受装置の部分断面図である。本発明に係る第４実施形態の軸受装置の部分断面図である。本発明に係る第５実施形態の軸受装置の部分断面図である。図１の軸受装置が適用されたウォーターポンプの一実施形態の断面図である。

以下、本発明に係る軸受装置の各実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。

（第１実施形態）
まず、図１を参照して、本発明に係る第１実施形態の軸受装置について説明する。

本実施形態の軸受装置１は、密封型転がり軸受１０と、外装シール板２０と、を備えて構成される。密封型転がり軸受１０は、外輪１１、内輪１２、一対の内装シール板１３、保持器１４及び玉１８を備える深溝玉軸受である。

外輪１１はその内周面に外輪軌道１１ａを有し、内輪１２はその外周面に内輪軌道１２ａを有する。また、外輪軌道１１ａと内輪軌道１２ａとの間には、保持器１４に転動自在に保持された複数の玉１８を備えている。そして、玉１８の転動によって外輪１１と内輪１２とは相対回転が自在になっている。

また、外輪１１の内周面両端、即ち外輪軌道１１ａの両側には係合溝１１ｂが全周に亘って形成され、係合溝１１ｂの軸方向外側には係合溝１１ｂよりも径方向寸法の小さい口元部１１ｃが形成される。また、内輪１２の外周面両端、即ち内輪軌道１２ａの両側には凹溝１２ｂが全周に亘って形成される。

内装シール板１３は心金２３と心金２３の少なくとも一部を覆う弾性部材２４とから、全体で円輪状に形成される。この弾性部材２４の外周縁２４ａを係合溝１１ｂに係合することで、内装シール板１３は外輪１１に固定されている。そして、弾性部材２４の内周縁がシールリップ２４ｂをなし、シールリップ２４ｂの先端縁を内輪１２の外周面両端に形成した凹溝１２ｂ内に進入させると共に、凹溝１２ｂの一部表面に全周に亘って摺接させている。

そして、密封型転がり軸受１０を使用するときは、内装シール板１３、外輪１１の内周面及び内輪１２の外周面に囲まれ、保持器１４と玉１８が存在する軸受空間内にグリース等の潤滑剤を充填し、外輪軌道１１ａ、内輪軌道１２ａ及び玉１８の転動面の間の潤滑を図っている。また、内装シール板１３が軸受空間を外部から遮断し、外部から軸受空間内へ異物等が進入することを防止している。

この密封型転がり軸受１０は、内輪１２が相対回転する一方の部材である内輪側部材３０に取り付けられると共に、外輪１１が相対回転する他方の部材である外輪側部材４０に取り付けられ、内輪側部材３０と外輪側部材４０の相対回転が許容される。

内輪側部材３０には、スペーサー３１が取り付けられ、内輪１２はスペーサー３１に位置決めされるが、スペーサー３１側の内輪端面１２ｃとスペーサー３１の内輪側端面３１ａとの間には、外装シール板２０が挟持される。

外装シール板２０は、心金２５と心金２５の外側端面全体を覆う弾性部材２６とから、全体で円輪状に形成される。心金２５は、内輪１２と略等しい内径寸法を有し、径方向外側に延びる支持部２５ａと、該支持部２５ａの外径端部に接続されて径方向外側且つ軸方向に密封型転がり軸受１０から離れる方向に延びるテーパ部２５ｂと、テーパ部２５ｂの外径端部に接続されてさらに径方向外側延びる先端部２５ｃと、を有する。

心金２５の外側端面全体を覆う弾性部材２６には、心金２５の先端部２５ｃに外輪端面１１ｄに向かって延びる断面先細状の第１シールリップ２７が形成され、第１シールリップ２７が外輪端面１１ｄに接触して接触シールを構成している。さらに、弾性部材２６には、心金２５の先端部２５ｃに径方向外側に延びる断面矩形状の第２シールリップ２８が形成され、ラビリンス隙間を介して外輪側部材４０と対向し、非接触シールを構成している。

このように本実施形態の軸受装置１によれば、外輪端面１１ｄとの間でシールを形成する外装シール板２０を内輪側部材３０に形成されるスペーサー３１と内輪端面１２ｃに挟持させることで、汎用の密封型転がり軸受１０を利用しながら、シール機能を向上させることができる。

また、第１シールリップ２７が外輪端面１１ｄに接触して接触シールを構成することで、よりシール性能を高めることができる。

さらに、第２シールリップ２８が外輪側部材４０との間でラビリンス隙間を介して対向し非接触シールを構成することでさらにシール性能を高めつつ、回転トルクの変化を回避することができる。

また、弾性部材２６が心金２５の外側端面全体を覆うことにより、錆抑制効果を有する。さらに、スペーサー３１側の内輪端面１２ｃとスペーサー３１の内輪側端面３１ａとの間に挟まれた心金２５の支持部２５ａにも弾性部材２６が設けられているので、加工精度が悪い場合であっても、位置決め部に弾性部材２６を挟むことにより、接触シールのリップ押圧のばらつきを抑えることができる。

なお、本実施形態及び以降の実施形態において、第１シールリップ２７及び第２シールリップ２８の形状は、適宜変更することができる。接触シールを構成するシールリップでは回転トルクへの影響を小さくするため接触部の面積を小さくすることが好ましく、非接触シールを構成するシールリップではラビリンス隙間を形成する領域を長く確保することが好ましい。

なお、本実施形態では、第１シールリップ２７を接触シールとして第２シールリップ２８を非接触シールとしたが、反対に第１シールリップ２７を非接触シールとして第２シールリップ２８を接触シールとしてもよく、第１シールリップ２７と第２シールリップ２８の両方を接触シールとしてもよく、第１シールリップ２７と第２シールリップ２８の両方を非接触シールとしてもよい。

（第２実施形態）
次に、図２を参照して、本発明に係る第２実施形態の軸受装置について説明する。なお、本実施形態の軸受装置は、第２シールリップ２８の構成が第１実施形態の軸受装置１と異なる点を除き第１実施形態の軸受装置１と同一の構成を有するので、同一の構成部分については同一符号を付して説明を省略する。

本実施形態の軸受装置１Ａでは、第２シールリップ２８が、心金２５の先端部２５ｃに径方向外側に先細状に延びて、外輪側部材４０に接触して接触シールを構成している。このように、第２シールリップ２８が外輪側部材４０に接触することでさらにシール性能を高めることができる。

（第３実施形態）
次に、図３を参照して、本発明に係る第３実施形態の軸受装置について説明する。なお、本実施形態の軸受装置は、外装シール板２０の構成及び取り付け態様が第１実施形態の軸受装置１と異なる点を除き第１実施形態の軸受装置１と同一の構成を有するので、同一の構成部分については同一符号を付して説明を省略する。

本実施形態の軸受装置１Ｂでは、内輪１２が内輪側部材３０に一体形成された段部３２の内輪側端面３２ａに当接して位置決めされており、外装シール板２０が段部３２の内輪側端面３２ａとは反対側の反内輪側端面３２ｂとスペーサー３１の内輪側端面３１ａとの間に挟持される。

外装シール板２０の心金２５は、内輪１２と略等しい内径寸法を有し、径方向外側に延びる支持部２５ａと、該支持部２５ａの外径端部に接続されて径方向外側且つ軸方向に密封型転がり軸受１０に近づく方向に延びるテーパ部２５ｂと、テーパ部２５ｂの外径端部に接続されてさらに径方向外側延びる先端部２５ｃと、を有する。

このように本実施形態の軸受装置１Ｂによれば、外装シール板２０を段部３２と内輪端面１２ｃに挟持させることが難しい場合等、段部３２とスペーサー３１との間に挟持させることができ、これによっても第１実施形態と同様の効果を得ることができる。

（第４実施形態）
次に、図４を参照して、本発明に係る第４実施形態の軸受装置について説明する。なお、本実施形態の軸受装置は、外装シール板２０の弾性部材２６の構成が第３実施形態の軸受装置１Ｂと異なる点を除き第３実施形態の軸受装置１Ｂと同一の構成を有するので、同一の構成部分については同一符号を付して説明を省略する。

本実施形態の軸受装置１Ｃでは、外輪側部材４０に凹部４３が形成され、凹部４３に外輪１１が位置決めされている。従って、外輪側部材４０の内周面と外輪端面１１ｄとが略直交している。

そして、弾性部材２４は、外輪側部材４０との間でラビリンス隙間を介して対向し非接触シールを構成する第２シールリップ２８から、外輪端面１１ｄに接触して接触シールを構成する第１シールリップ２７までが連続した平坦面で形成されている。これにより、ラビリンス隙間を長く確保することができるとともに、弾性部材２４が比較的単純な形状となり、容易に製造することができる。

なお、上記各実施形態同士の各構成を組み合わせて軸受装置を構成してもよい。また、外装シール板２０を、内輪端面１２ｃとスペーサー３１との間、段部３２とスペーサー３１との間に挟持する場合を例示したが、内輪端面１２ｃと段部３２との間に挟持してもよい。スペーサー３１は、内輪側部材３０に圧入、焼き嵌め、ねじ止め等により取り付けることができる。

（第５実施形態）
次に、図５を参照して、本発明に係る第５実施形態の軸受装置について説明する。これまでの第１〜第４実施形態の軸受装置１〜１Ｃでは、外装シール板２０が外輪１１との間でシールを形成する場合について説明したが、本実施形態では、外装シール板２０が内輪１２との間でシールを形成する場合について説明する。

本実施形態の軸受装置１Ｄでは、外輪側部材４０に、内径側に張り出す段部４２が設けられ、外輪１１は段部４２に位置決めされるが、外輪端面１１ｄと段部４２の外輪側端面４２ａとの間には、外装シール板２０が挟持される。

外装シール板２０は、心金２５と心金２５の外側端面全体を覆う弾性部材２６とから、全体で円輪状に形成される。心金２５は、外輪１１と略等しい外径寸法を有し、径方向内側に延びる支持部２５ａと、該支持部２５ａの内径端部に接続されて径方向内側且つ軸方向に密封型転がり軸受１０から離れる方向に延びるテーパ部２５ｂと、テーパ部２５ｂの内径端部に接続されてさらに径方向内側延びる先端部２５ｃと、を有する。

心金２５の外側端面全体を覆う弾性部材２６には、心金２５の先端部２５ｃに内輪端面１２ｃに向かって延びる断面先細状の第１シールリップ２７が形成され、第１シールリップ２７が内輪端面１２ｃに接触して接触シールを構成している。さらに、弾性部材２６には、心金２５の先端部２５ｃに径方向内側に延びる断面矩形状の第２シールリップ２８が形成され、ラビリンス隙間を介して内輪側部材３０と対向し、非接触シールを構成している。

このように本実施形態の軸受装置１Ｄによれば、内輪端面１２ｃとの間でシールを形成する外装シール板２０を外輪側部材４０に形成される段部４２と外輪端面１１ｄに挟持させることで、汎用の密封型転がり軸受１０を利用しながら、シール機能を向上させることができる。

また、第１シールリップ２７が内輪端面１２ｃに接触して接触シールを構成することで、よりシール性能を高めることができる。

さらに、第２シールリップ２８が内輪側部材３０との間でラビリンス隙間を介して対向し非接触シールを構成することでさらにシール性能を高めつつ、回転トルクの変化を回避することができる。

また、弾性部材２６が心金２５の外側端面全体を覆うことにより、錆抑制効果を有する。さらに、外輪側部材４０に形成される段部４２と外輪端面１１ｄとの間に挟まれた心金２５の支持部２５ａにも弾性部材２６が設けられているので、加工精度が悪い場合であっても、位置決め部に弾性部材２６を挟むことにより、接触シールのリップ押圧のばらつきを抑えることができる。

なお、詳細な説明は省略するが、第２〜第４実施形態で説明した構成を、第５実施形態に適宜修正して採用してもよい。

上記した実施形態の軸受装置は、耐水性が求められる状況で効果が高く、特に、ウォーターポンプに適用されることが好ましい。続いて、上記第１実施形態の軸受装置１が適用されたウォーターポンプの一実施形態について、図６を参照しながら説明する。

ウォータポンプ７０は、図６に示すように、軸方向一端側へ向かって階段状に縮径して形成されたアウターシャフト７１を有し、軸方向他端部に設けられたフランジ部７２を介して不図示のエンジンブロックの側面に固定されることによって当該エンジンブロックとの間にポンプ室を画成するほぼ円筒状に形成されたポンプハウジング７３と、該ポンプハウジング７３の内周側に軸心方向へ沿って挿通され、軸方向中間部がポンプハウジング７３によって囲繞されるインナーシャフト７４と、インナーシャフト７４のエンジンブロック側外周に固定され、ポンプ室内部において回転自在に収容配置されるインペラ７５と、インナーシャフト７４のインペラ７５側と反対側の端部に固定され、不図示のベルトを介しクランクシャフトの回転駆動力をインナーシャフト７４へと伝達するほぼ円筒状に形成されたプーリ７６と、該プーリ７６とアウターシャフト７１の先端部７１ａとの間に介装されて、プーリ７６を回転自在に支持すると共に該プーリ７６を介してインナーシャフト７４を間接的に支持する軸受装置１と、を備えている。

アウターシャフト７１は、封止装置７８によってポンプ室内における冷却水の軸受装置１側への流入を抑制するようになっている。

プーリ７６は、円筒状に一体に成形されており、ほぼ有蓋円筒状に形成されたボス部８０と、該ボス部８０の外周側に延設され、外周にベルトが巻回されるベルト巻回部８１と、ボス部８０から窪み形成された筒状の嵌合部８２と、を有し、該嵌合部８２がインナーシャフト７４の先端部外周に圧入されることによって当該インナーシャフト７４に固定されている。

ボス部８０は、嵌合部８２に接続され、インナーシャフト７４よりも径方向外側に延出する蓋部８０ａと、該蓋部８０ａに接続され、軸線方向に沿って延出する筒部８０ｂと、によって構成されている。なお、蓋部８０ａには、周方向の所定位置に複数の貫通孔８３が設けられていて、該各貫通孔８３を介して当該蓋部８０ａと軸受装置１との間に形成される空間部Ｓに流入した水分を外部へ排出できるようになっている。ここで、これら貫通孔８３によって、空間部Ｓ内には所定量の水分が滞留可能となっている一方、この空間部Ｓ内に滞留した水分が所定量を超えた場合は、当該各貫通孔８３を介してその空間部Ｓ内の水分を外部へと排出可能となっており、これによって、外部からの水分の浸入を抑制しつつ、空間部Ｓ内に流入した水分を軸受装置１に悪影響を及ぼさない範囲内で外部に排出できるようになっている。

軸受装置１は、先端部７１ａの外周面と筒部８０ｂの内周面との間に介装されていて、内輪１２が内輪側部材３０としての先端部７１ａに取り付けられると共に、外輪１１が外輪側部材４０としての筒部８０ｂに取り付けられ、内輪１２と先端部７１ａに取り付けられた形成されたスペーサー３１との間に外装シール板２０が挟持されている。また、第１シールリップ２７が外輪端面１１ｄに接触して接触シールを構成し、第２シールリップ２８がラビリンス隙間を介して筒部８０ｂと対向し、非接触シールを構成している。これにより、密封型転がり軸受１０の一端部に配設された内装シール板１３にあっては、軸受空間内に封入されたグリースを軸受空間内に保持すると共に、封止装置７８によっては抑止しきれずにアウターシャフト７１内周を通じて空間部Ｓ内へと浸入してしまった冷却水や、各貫通孔８３を通じて外部から空間部Ｓ内へと浸入してしまった水分が軸受空間内へ浸入するのを抑制する役割を果たしている。

また、ウォータポンプ７０は、ポンプハウジング７３のフランジ部７２側の部分が外部に露出するようになっていることから、フランジ部７２の外側面やアウターシャフト７１の基端側の外周面に付着した雨水や結露による水滴等はアウターシャフト７１の外周面を伝って密封型転がり軸受１０側へと流れてしまうこととなるが、軸受装置１の外装シール板２０によって密封型転がり軸受１０側への水滴の浸入が抑制される。

尚、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。

１，１Ａ，１Ｂ，１Ｃ，１Ｄ軸受装置
１０密封型転がり軸受
１１外輪
１１ｄ外輪端面（外輪の端面）
１２内輪
１２ｃ内輪端面（内輪の端面）
１３第１シール板（内装シール板）
１８玉（転動体）
２０第２シール板（外装シール板）
２５心金
２６弾性部材
２７第１シールリップ
２８第２シールリップ
３０内輪側部材
３１スペーサー
３２段部
４０外輪側部材
７０ウォータポンプ

Claims

内輪と、外輪と、該内輪と該外輪との間に転動自在に配置される複数の転動体と、前記外輪の内周面に取り付けられる一対の第１シール板と、を備え、前記内輪が相対回転する一方の部材である内輪側部材に取り付けられると共に、前記外輪が相対回転する他方の部材である外輪側部材に取り付けられる密封型転がり軸受と、
前記外輪の端面との間でシールを形成する第２シール板と、を備え、
前記第２シール板は、心金と、該心金の少なくとも一部を覆い、前記外輪の端面に向かって延びる第１シールリップを有する弾性部材と、を有し、
前記第２シール板は、前記内輪側部材に形成される段部、スペーサー、前記内輪の端面のいずれか２つに挟持されることを特徴とする軸受装置。
前記第２シール板の前記弾性部材は、挟持される部位を含めて、前記心金の外側端面全体を覆っていることを特徴とする請求項１に記載の軸受装置。
前記第１シールリップは、前記外輪の端面に接触していることを特徴とする請求項１又は２に記載の軸受装置。
前記弾性部材は、さらに前記外輪側部材に向かって延びる第２シールリップを有し、
前記第２シールリップは、前記外輪側部材に接触するか、又は、前記外輪側部材との間でラビリンスシールを形成することを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項記載の軸受装置。
前記第２シールリップから前記第１シールリップまで連続した平坦面で形成されていることを特徴とする請求項４に記載の軸受装置。
内輪と、外輪と、該内輪と該外輪との間に転動自在に配置される複数の転動体と、前記外輪の内周面に取り付けられる一対の第１シール板と、を備え、前記内輪が相対回転する一方の部材である内輪側部材に取り付けられると共に、前記外輪が相対回転する他方の部材である外輪側部材に取り付けられる密封型転がり軸受と、
前記内輪の端面との間でシールを形成する第２シール板と、を備え、
前記第２シール板は、心金と、該心金の少なくとも一部を覆い、前記内輪の端面に向かって延びる第１シールリップを有する弾性部材と、を有し、
前記第２シール板は、前記外輪側部材に形成される段部、スペーサー、前記外輪の端面のいずれか２つに挟持されることを特徴とする軸受装置。
前記第２シール板の前記弾性部材は、挟持される部位を含めて、前記心金の外側端面全体を覆っていることを特徴とする請求項６に記載の軸受装置。
前記第１シールリップは、前記内輪の端面に接触していることを特徴とする請求項６又は７に記載の軸受装置。
前記弾性部材は、さらに前記内輪側部材に向かって延びる第２シールリップを有し、
前記第２シールリップは、前記内輪側部材に接触するか、又は、前記内輪側部材との間でラビリンスシールを形成することを特徴とする請求項６〜８のいずれか１項に記載の軸受装置。
前記第２シールリップから前記第１シールリップまで連続した平坦面で形成されていることを特徴とする請求項９に記載の軸受装置。
ウォータポンプに用いられることを特徴とする請求項１〜１０のいずれか１項に記載の軸受装置。