JP2014189564A - 粘着シートおよび保護膜形成用複合シートならびに保護膜付きチップの製造方法 - Google Patents

粘着シートおよび保護膜形成用複合シートならびに保護膜付きチップの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルム飛散および/またはチップ飛散の発生が抑制された粘着シート、保護膜形成用複合シート、およびその保護膜形成用複合シートを用いる保護膜付きチップの製造方法を提供する。
【解決手段】基材2と、基材2の一方の主面2Aに積層された粘着剤層3とを備えた粘着シート1であって、粘着シート1は、粘着シート1および粘着シート1の粘着剤層3側の主面1Aの少なくとも1つの領域に積層された保護膜形成用フィルム4を備えた保護膜形成用複合シート10の構成要素の1つとして、被加工部材Wをダイシングする際に使用されうるものであり、基材2は、基材2の他方の主面2B側から照射されたエネルギー線の基材2の一方の主面2A側への透過率を低下させるマスク層21を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材とその基材の一方の主面に積層された粘着剤層とを備える粘着シートに関する。具体的には、半導体基板など板状の被加工部材の面に保護膜を形成できる保護膜形成用フィルム、特に、いわゆるフェースダウン(face down)方式で実装される半導体装置の製造に用いられる保護膜形成用フィルムを、その粘着剤層側の面上に形成可能な粘着シートであって、その粘着シートと保護膜形成用フィルムとを備えた保護膜形成用複合シートが被加工部材のダイシングシートとして機能する粘着シートに関する。また、本発明は、上記の粘着シートを備えた保護膜形成用複合シートにも関する。さらに、本発明は、その保護膜形成用複合シートを用いる保護膜付きチップの製造方法にも関する。
近年、いわゆるフェースダウン(face down)方式と呼ばれる実装法を用いた半導体装置の製造が行われている。フェースダウン方式においては、回路面上にバンプなどの電極を有する半導体チップ(以下、単に「チップ」ともいう。)が用いられ、該電極が配線基板と接合される。このため、チップの回路面とは反対側の面(チップ裏面)は剥き出しとなることがある。
この剥き出しとなったチップ裏面を保護するための保護膜形成用フィルムと、チップを与える半導体ウェハのダイシング工程に使用されるダイシングシートとを兼ね備える層状体として、基材上に放射線硬化型の粘着剤層を有するダイシングテープと、該粘着剤層上に設けられたフリップチップ型半導体裏面用フィルムとを有するダイシングテープ一体型半導体裏面用フィルムであって、前記粘着剤層は放射線照射により予め硬化されたものであるダイシングテープ一体型半導体裏面用フィルムが、特許文献1に開示されている。
特開2011−228451号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるダイシングテープ一体型半導体裏面用フィルムは、次のような問題を有する。すなわち、上記フィルム(すなわち、保護膜形成用複合シート)の粘着剤層は放射線照射により予め硬化されているため、フリップチップ型半導体裏面用フィルム(すなわち、保護膜形成用フィルム)に対する粘着性が低くなっている。このことは、半導体ウェハなどの被加工部材に対してダイシング工程などを実施することにより被加工部材を個片化して、得られたチップ状部材をピックアップしたときに、保護膜形成用フィルムと粘着剤層との間で剥離が生じやすくすることには寄与するものの、その一方で、被加工部材のダイシング工程やエキスパンド工程の実施中にも保護膜形成用フィルムと粘着剤層との間で剥離が生じやすく、保護膜形成用フィルムの一部が飛散(以下、「フィルム飛散」ともいう。)したり、ダイシングにより形成されたチップ状部材と保護膜形成用フィルムとの積層体が飛散(以下、「チップ飛散」ともいう。)したりする場合があった。
本発明は、上記の問題(フィルム飛散および/またはチップ飛散)の発生が抑制された粘着シートおよび保護膜形成用複合シートならびにその保護膜形成用複合シートを用いる保護膜付きチップの製造方法を提供することを課題とする。なお、本明細書において、「保護膜形成用複合シート」とは、基材と基材の一方の主面に積層された粘着剤層とを備える粘着シート、および粘着シートの粘着剤層側の主面に積層された保護膜形成用フィルムとを備えた積層体を意味する。また、「保護膜付きチップ」とは、被加工部材が個片化されてなるチップ状部材と、そのチップ状部材の一の面に付着する保護膜とを備えた積層構造体を意味し、この保護膜は保護膜形成用フィルムが硬化してなるものである。
上記目的を達成するために、本発明者らが検討したところ、フィルム飛散やチップ飛散の対象となる保護膜形成用フィルム片は、保護膜形成用フィルムにおける、その外周に近位な部分(周縁部)に位置していたものである場合が多いことが明らかになった。したがって、保護膜形成用フィルムの周縁部に接する粘着剤層の保護膜形成用フィルムに対する粘着性を、保護膜形成用フィルムの周縁部以外の部分に接する粘着剤層の保護膜形成用フィルムに対する粘着性よりも高くすることにより、上記のフィルム飛散やチップ飛散を防止することが可能であるとの知見に至った。
そこで、粘着剤層における保護膜形成用フィルムに対する粘着性を部分的に変化させる手段についてさらに検討した。その結果、次の知見を得た。すなわち、粘着剤層は、粘着剤層を形成するための液状組成物(本明細書において「粘着剤層用塗工液」ともいう。)を基材または工程部材上に塗布し、得られた塗膜の粘度を低下させる工程(乾燥工程など)を経ることにより形成される。ここで、本実施形態に係る粘着剤層は、粘着剤層用塗工液中にエネルギー線の照射により硬化する成分を含有し、保護膜形成用フィルムが積層される粘着剤層はこれにエネルギー線を照射する工程を経たものである。そこで、エネルギー線の粘着剤層への到達量を減少させる材料からなるマスク層を基材の一部に設け、粘着シートの粘着剤層側の主面の一部の領域を、平面視でマスク層が存在する領域(本明細書においてかかる領域を「マスク層領域」ともいう。)とし、基材越しにエネルギー線を粘着剤層に照射する工程を行うことによって、粘着シートの粘着剤層側の主面における平面視でマスク層が存在しない領域(本明細書においてかかる領域を「非マスク層領域」ともいう。)であってエネルギー線が照射された部分に位置する粘着剤層における保護膜形成用フィルムに対する粘着性に比べて、マスク層領域に位置する粘着剤層の上記の粘着性が高くなるようにすることが可能である。
かかる知見に基づき完成された本発明は、第1に、基材と、前記基材の一方の主面側に積層された粘着剤層とを備えた粘着シートであって、前記粘着シートは、前記粘着シートおよび前記粘着シートの前記粘着剤層側の主面の少なくとも1つの領域上に積層された保護膜形成用フィルムを備えた保護膜形成用複合シートの構成要素の1つとして、被加工部材をダイシングする際に使用されうるものであり、前記基材は、前記基材の他方の主面側から照射されたエネルギー線の前記基材の一方の主面側への透過率を低下させるマスク層を有し、前記粘着剤層は、エネルギー線の照射により重合反応を生じる成分を含有し、当該成分の重合反応によって前記保護膜形成用フィルムに対する粘着性が低下可能なものであって、前記粘着シートの前記粘着剤層側の主面における平面視で前記マスク層が存在する領域であるマスク層領域に囲まれた領域であって、前記粘着シートの前記粘着剤層側の主面における前記マスク層領域以外の領域である非マスク層領域の一部または全部の領域であり、前記粘着剤層にエネルギー線が照射されるべき領域であるエネルギー線透過領域を、前記粘着シートの前記粘着剤層側の主面における前記保護膜形成用フィルムが使用時に積層される領域である保護膜用領域は包含することを特徴とする粘着シートを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)において、前記粘着シートは、前記基材側の主面側から、前記エネルギー線透過領域に位置する前記粘着層にエネルギー線が照射されたものであって、前記エネルギー線透過領域に位置する前記粘着剤層の前記保護膜形成用フィルムに対する粘着性は、前記マスク層領域に位置する粘着剤層の前記保護膜形成用フィルムに対する粘着性よりも低いことが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1、2)において、前記粘着シートの前記粘着剤層側の主面における、前記保護膜形成用複合シートの使用時に前記保護膜形成用複合シートに前記被加工部材が配置されるべき領域の投影領域である被加工部材用領域は、前記エネルギー線透過領域を包含することが好ましい(発明3)。
上記発明(発明3)において、前記被加工部材用領域は、前記保護膜用領域に包含されることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1から4)において、前記粘着シートの前記粘着剤層側の主面における、前記保護膜形成用複合シートと前記被加工部材とからなる積層体を保持するための治具が配置される領域の少なくとも一部は、前記マスク層領域からなることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1から5)において、前記マスク層は、前記基材の他方の主面側から照射されたエネルギー線の前記基材の一方の主面側への透過を遮断する材料からなることが好ましい(発明6)。
上記発明(発明1から6)において、前記マスク層は、前記粘着剤層に接するように設けられることが好ましい(発明7)。
上記発明(発明1から7)において、前記粘着シートの前記基材側の主面は、その一部が、前記マスク層の面からなることが好ましい(発明8)。
上記発明(発明1から6)において、前記マスク層は、前記基材の厚さ方向内部に設けられることが好ましい(発明9)。
上記発明(発明1から9)において、前記粘着シートは長尺体であって、長尺方向に離間した複数の前記エネルギー線透過領域を備えることが好ましい(発明10)。
本発明は、第2に、上記発明(発明10)に係る粘着シートを長尺方向に巻収してなる粘着ロールを提供する(発明11)。
本発明は、第3に、上記発明(発明2から9)に係る粘着シート、および前記粘着シートの前記粘着剤層側の主面における前記保護膜用領域上に積層された保護膜形成用フィルムを備えたことを特徴とする保護膜形成用複合シートを提供する(発明12)。
上記発明(発明12)において、前記保護膜形成用複合シートは長尺体であって、長尺方向に離間した複数の前記保護膜形成用フィルムを備えることが好ましい(発明13)。
本発明は、第4に、上記発明(発明13)に係る保護膜形成用複合シートを長尺方向に巻収してなる保護膜形成用複合シートの巻取体を提供する(発明14)。
本発明は、第5に、長尺の剥離シートと、前記剥離シートの剥離面上に互いに離間しつつ前記剥離シートの長尺方向に複数配置された上記発明(発明1から9)に係る粘着シートとを備え、前記粘着シートは、前記粘着剤層側の面が前記剥離シートの剥離面に対向するように積層されることを特徴とする積層体を提供する(発明15)。
本発明は、第6に、上記発明(発明15)に係る積層体を長尺方向に巻収してなる積層体の巻取体を提供する(発明16)。
本発明は、第7に、長尺の剥離シートと、前記剥離シートの剥離面上に互いに離間しつつ前記剥離シートの長尺方向に複数配置された上記発明(発明12)に係る保護膜形成用複合シートとを備え、前記保護膜形成用複合シートは、前記保護膜形成用フィルム側の面が前記剥離シートの剥離面に対向するように積層されることを特徴とする積層体を提供する(発明17)。
本発明は、第8に、上記発明(発明17)に係る積層体を長尺方向に巻収してなる積層体の巻取体を提供する(発明18)。
本発明は、第9に、上記発明(発明12)に係る積層体保護膜形成用複合シートの前記保護膜形成用フィルム側の面を被加工部材の一の面に貼付し、前記保護膜形成用複合シートが貼着する前記被加工部材を個片化するとともに、前記保護膜形成用フィルムが前記被加工部材の面に貼着しているときに前記保護膜形成用フィルムを硬化させて保護膜とすることにより、前記被加工部材が個片化してなるチップ状部材と前記チップ状部材の一の面に積層された前記保護膜とを備える保護膜付きチップを得る、保護膜付きチップの製造方法を提供する(発明19)。
上記発明(発明19)において、前記被加工部材の個片化は前記被加工部材の切断を含むことが好ましい(発明20)。
上記発明(発明19、20)において、前記被加工部材の個片化は前記被加工部材の破断を含むことが好ましい(発明21)。
本発明に係る粘着シートは、基材がマスク層を備えるため、マスク層領域に位置する部分と非マスク層領域に位置する部分とで、粘着剤層の保護膜形成用フィルムに対する粘着性が相違するものとなることができる。それゆえ、粘着剤層の保護膜形成用フィルムに対する粘着性が部分的に変化した粘着剤層、具体的には、保護膜形成用フィルムの周縁部に接する部分では粘着性が高く、保護膜形成用フィルムの周縁部以外の部分に接する部分では粘着性が低くなるように構成された粘着剤層を容易に得ることができる。そして、そのように粘着性に分布を有する粘着シートと、その粘着シートの粘着剤層側の主面に積層された保護膜形成用フィルムとを備えた本発明に係る保護膜形成用複合シートは、その保護膜形成用フィルム側の主面に半導体ウェハなどの被加工部材が貼付してなる積層体をダイシング工程に供した際に、フィルム飛散および/またはチップ飛散が生じにくい。また、本発明に係る保護膜形成用複合シートをダイシングシートとして用いることにより、品質に優れる保護膜付きチップを生産性高く製造することができる。
本発明の一実施形態に係る粘着シートの概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る保護膜形成用複合シートの概略断面図である。 図1に示される粘着シートをその粘着剤層側の主面側からみた概略平面図である。 図2に示される保護膜形成用複合シートをその保護膜形成用フィルム側の主面側からみた概略平面図である。 図1に示される粘着シートにエネルギー線を照射した後の状態を示す概略断面図である。 図2に示される保護膜形成用複合シートが備える保護膜形成用フィルムの粘着剤層に対向する主面と反対側の主面が被加工部材に貼付された状態を示す概略断面図である。 本発明の別の一実施形態に係る粘着シートの概略断面図である。 本発明のまた別の一実施形態に係る粘着シートの概略断面図である。 図1に示される粘着シートに剥離シートが貼着している状態を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
1.粘着シート
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る粘着シート1は、基材2と、基材2の一方の主面2A側に積層された粘着剤層3とを備え、基材2は、マスク層21を備える。
本実施形態に係る粘着シート1は、粘着シート1および粘着シート1の粘着剤層3側の主面1Aの少なくとも1つの領域上に積層された保護膜形成用フィルム4を備えた保護膜形成用複合シート10(図2)の構成要素の1つとして、板状の被加工部材をダイシングする際に使用されうるものである。
(1)基材
本実施形態に係る粘着シート1が備える基材2は、マスク層21およびマスク層21以外の部分である基材主部22からなる。
(1−1)基材主部
本実施形態に係る粘着シート1の基材2の基材主部22は、ダイシング工程の後に行われるエキスパンド工程などにおいて破断しない限り、その構成材料は特に限定されず、通常は樹脂系の材料を主材とするフィルムから構成される。そのフィルムの具体例として、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム等のエチレン系共重合フィルム;低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム等のポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン−ノルボルネン共重合体フィルム、ノルボルネン樹脂フィルム等のポリオレフィン系フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム等のポリ塩化ビニル系フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム;ポリウレタンフィルム;ポリイミドフィルム;ポリスチレンフィルム;ポリカーボネートフィルム;フッ素樹脂フィルムなどが挙げられる。またこれらの架橋フィルム、アイオノマーフィルムのような変性フィルムも用いられる。上記の基材主部22はこれらの1種からなるフィルムでもよいし、さらにこれらを2種類以上組み合わせた積層フィルムであってもよい。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語についても同様である。
基材主部22を構成するフィルムは、エチレン系共重合フィルムおよびポリオレフィン系フィルムの少なくとも一種を備えることが好ましい。
エチレン系共重合フィルムは共重合比を変えることなどによりその機械特性を広範な範囲で制御することが容易である。このため、エチレン系共重合フィルムを基材主部22として備える基材2は本実施形態に係る保護膜形成用複合シート10をダイシングシートとして使用する際に、ダイシングシートの基材として求められる機械特性を満たしやすい。また、エチレン系共重合フィルムは粘着剤層3に対する密着性が比較的高いため、本実施形態に係る保護膜形成用複合シート10をダイシングシートとして使用した際に基材主部22と粘着剤層3との界面での剥離が生じにくい。
エチレン系共重合フィルムおよびポリオレフィン系フィルムは、ダイシングシートとしての特性に悪影響を及ぼす成分(例えば、ポリ塩化ビニル系フィルムなどでは、当該フィルムに含有される可塑剤が基材主部22から粘着剤層3へと移行し、さらに粘着剤層3の基材主部22に対向する側と反対側の面に分布して、粘着剤層3の被着体に対する粘着性を低下させる場合がある。)の含有量が少ないため、粘着剤層3の被着体に対する粘着性が低下するなどの問題が生じにくい。すなわち、エチレン系共重合フィルムおよびポリオレフィン系フィルムは化学的な安定性に優れる。
基材主部22は、上記の樹脂系材料を主剤とするフィルム内に、顔料、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、フィラー等の各種添加剤が含まれていてもよい。顔料としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。また、フィラーとして、メラミン樹脂のような有機系材料、ヒュームドシリカのような無機系材料およびニッケル粒子のような金属系材料が例示される。こうした添加剤の含有量は特に限定されないが、基材主部22が所望の機能を発揮し、平滑性や柔軟性を失わない範囲に留めるべきである。
粘着剤層3に照射するエネルギー線として紫外線を用いる場合には、基材主部22は紫外線に対して透過性を有することが好ましい。粘着剤層3に照射するエネルギー線として電子線を用いる場合には基材主部22は電子線の透過性を有していることが好ましい。
また、基材主部22の粘着剤層3に対向する面(以下、「基材主部対向面」ともいう。)22Aには、カルボキシル基、ならびにそのイオンおよび塩からなる群から選ばれる1種または2種以上を有する成分が存在することが好ましい。基材主部22における上記の成分と粘着剤層3に係る成分(粘着剤層3を構成する成分および架橋剤(δ)などの粘着剤層3を形成するにあたり使用される成分が例示される。)とが化学的に相互作用することにより、これらの間で剥離が生じる可能性を低減させることができる。基材主部対向面22Aにそのような成分を存在させるための具体的な手法は特に限定されない。たとえば、基材主部22自体を例えばエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム等として、基材主部22を構成する材料となる樹脂がカルボキシル基、ならびにそのイオンおよび塩からなる群から選ばれる1種または2種以上を有するものとするのであってもよい。基材主部対向面22Aに上記成分を存在させる他の手法として、基材主部22は例えばポリオレフィン系フィルムであって、基材主部対向面22A側にコロナ処理が施されていたり、プライマー層が設けられていたりしてもよい。また、基材主部22の基材主部対向面22Aと反対側の面には各種の塗膜(ただし、エネルギー線を透過可能なものに限る。)が設けられていてもよい。
基材主部22の厚さは特に限定されない。取り扱いの低下を抑制しつつ製造コストを低減させる観点から、基材主部22の厚さは20μm以上150μm以下であることが好ましく、40μm以上100μm以下であることより好ましく、50μm以上90μm以下であることが特に好ましい。
(1−2)マスク層
本実施形態に係る粘着シート1が備える基材2は、基材2の他方の主面(粘着層3に対向する主面と反対側の主面)2B側から照射されたエネルギー線の基材2の一方の主面(粘着層3に対向する主面)2A側への透過率を低下させるマスク層21を有する。
マスク層21は、粘着シート1の粘着剤層3側の主面1Aをその法線と平行な方向から見たとき(平面視)のマスク層21の配置(主面配置)、および粘着シート1の厚さ方向の断面の法線と平行な方向から見たとき(断面視)のマスク層21の基材2内の配置(断面配置)のそれぞれについて、次の特徴を有する。
(1−2−1)主面配置
マスク層21は、基材2の一方の主面2A側からの平面視で、主面2A全体を占めないように配置される。このため、粘着シート1の粘着剤層3側の主面1Aは、平面視でマスク層が存在する領域であるマスク層領域と、平面視でマスク層が存在しない領域である非マスク層領域とを有する。この非マスク層領域の一部または全部の領域であって、平面視でマスク層領域に囲まれた領域であり、粘着剤層3にエネルギー線が照射されるべき領域であるエネルギー線透過領域1a(粘着シート1を主面1A側からみた図である図3では、破線で囲まれた領域として示されている。)は、粘着シート1の粘着剤層3側の主面1Aにおける保護膜形成用フィルム4が積層される領域である保護膜用領域1b(粘着シート1を主面1A側からみた図である図3では、二点鎖線で囲まれた領域として示されている。)に包含される。
すなわち、図4に示されるように、粘着シート1の粘着剤層3側の主面1Aに保護膜形成用フィルム4を積層して保護膜形成用複合シート10を形成すると、積層された保護膜形成用フィルム4の周縁部4a(保護膜形成用フィルム4の外周より内側であって、図4では破線により示されるエネルギー線透過領域1aの外周よりも外側の領域)は、粘着シート1の粘着剤層3側の主面1Aにおけるマスク層領域に接することになる。
かかる構成として、粘着シート1の基材2側の主面1B側からエネルギー線を照射すると、図5に示されるように、粘着剤層3におけるエネルギー線透過領域1aに位置する部分3bでは、粘着剤層3を構成する成分の重合反応が進行してその部分3bの保護膜形成用フィルム4に対する粘着性は低下する。一方、粘着剤層3におけるマスク層領域に位置する部分3aでは、粘着剤層3を構成する成分の重合反応が進行しにくい、または実質的に進行しないため、その部分3aの保護膜形成用フィルム4に対する粘着性は相対的に高いままとなる。
その結果、保護膜形成用フィルム4の周縁部4aにおける粘着剤層3への密着性を、保護膜形成用フィルム4の周縁部4a以外の部分4bにおける粘着剤層3への密着性よりも高くすることが実現される。それゆえ、保護膜形成用複合シート10をダイシングシートとして用いた際に、ダイシング工程中に、保護膜形成用フィルム4の周縁部4aに位置していた部分に由来する飛散するフィルム飛散やチップ飛散の発生が抑制される。
また、粘着シート1の粘着剤層3側の主面1Aにおける、保護膜形成用複合シート10の使用時に保護膜形成用複合シート10に板状の被加工部材(例えば半導体ウェハ)Wが配置されるべき領域の投影領域である被加工部材用領域1cは、図6に示されるように、エネルギー線透過領域1aを包含することが好ましい。
図6に示されるように、被加工部材用領域1cがエネルギー線透過領域1aを包含する場合には、被加工部材Wの周縁部Waに対応する位置に存在する粘着剤層3は保護膜形成用フィルム4に対する粘着性が相対的に高く、被加工部材Wの周縁部Wa以外の領域に対応する位置に存在する粘着剤層3は保護膜形成用フィルム4に対する粘着性が相対的に低い。それゆえ、保護膜形成用複合シート10を用いたダイシング工程やエキスパンド工程の実施中に、被加工部材Wの周縁部Waが個片化されてなるチップ状部材が、保護膜形成用フィルム4または保護膜形成用フィルム4が硬化してなる保護膜の小片とともに飛散するチップ飛散が生じにくい。
さらに、図6に示されるように、被加工部材用領域1cは保護膜用領域1bに包含されることが好ましい。この場合には、保護膜形成用フィルム4は被加工部材Wの主面全体に接するように被加工部材Wに貼付される。このため、被加工部材Wがその主面の一部において保護膜形成用複合シート10に接していないことに基づくチップ飛散が生じにくい。
ここで、エネルギー線透過領域1a、保護膜用領域1bおよび被加工部材用領域1cの関係についてまとめる。保護膜用領域1bはエネルギー線透過領域1aを包含する。それゆえ、エネルギー線透過領域1aの外周よりも外側に、保護膜用領域1bには該当するがエネルギー線透過領域1aには該当しない領域を有する。被加工部材用領域1cの、エネルギー線透過領域1aおよび保護膜用領域1bに対する関係は特に限定されない。上記のとおり、保護膜用領域1bが被加工部材用領域1cを包含し、被加工部材用領域1cがエネルギー線透過領域1aを包含することが最も好ましい。保護膜用領域1bが被加工部材用領域1cを包含していれば、被加工部材用領域1cの全領域がエネルギー線透過領域1aであってもよいし、エネルギー線透過領域1aが被加工部材用領域1cを包含していてもよい。実用上不具合が生じない(具体的には、被加工部材の外周近傍は保護膜が付着していなくてもよい)のであれば、被加工部材用領域1cが保護膜用領域1bを包含していてもよい。さらには、被加工部材用領域1cの全領域が保護膜用領域1bであってもよい。
粘着シート1の粘着剤層3側の主面1Aにおける、保護膜形成用複合シート10と被加工部材Wとからなる積層体を保持するための治具(具体例としてリングフレームが挙げられる。)が配置される領域(図6では符号1Aaとして示した。)の少なくとも一部は、マスク層領域からなることが好ましい。上記の治具がリングフレームである場合には、粘着シート1の粘着剤層3側の主面1Aにおけるリングフレームが配置される領域1Aaは、エネルギー線透過領域1aを囲むように位置するマスク層領域の一部を含む。前述のように、マスク層領域に位置する粘着層3は非マスク層領域に位置する粘着剤層3に比べて、エネルギー線の照射により重合反応が生じる成分における重合反応の進行の程度が低い(かかる重合反応が実質的に進行していない場合もある。)ため、この領域1Aaに位置する粘着剤層3は、リングフレームに対する粘着性にも優れる。したがって、使用中(ダイシング工程やエキスパンド工程の実施中など)にリングフレームが保護膜形成用複合シート10から脱離しにくい。
なお、保護膜形成用複合シート10とリングフレームとは直接接触せず、保護膜形成用複合シート10の粘着シート1の粘着剤層3側の主面1Aに設けられた治具接着層が介在する場合もあるが、そのような場合であっても、粘着シート1の粘着剤層3側の主面1Aにおける領域1Aaに位置する粘着剤層3の治具接着層に対する粘着性が高いため、使用中にリングフレームが保護膜形成用複合シート10から脱離しにくい。治具接着層としては、芯材を有する両面粘着シートや、粘着剤の単層からなる層を採用することができる。
(1−2−2)断面配置
基材2におけるマスク層21の断面配置は特に限定されない。
マスク層21は、図1に示されるように、粘着剤層3に接するように設けられていてもよい。この場合には、粘着シート1の基材2側の主面1B側からエネルギー線を照射して、粘着剤層3へのエネルギー線の到達量をマスク層21により調整する際に、基材主部22の材料や厚さがその調整の程度に与える影響を低減させることができる。
また、マスク層21は、図7に示されるように、粘着シート1の基材2側の主面1Bの面の一部を構成する、すなわち、粘着シート1の粘着剤層3側の主面1Aと反対側の主面1Bの一部がマスク層21の面からなるようにしてもよい。この場合には、マスク層21を構成する材料が粘着剤層3に与える化学的影響を低減させることができる。また、粘着シート1に係る積層工程または保護膜形成用複合シート10に係る積層工程の最終工程としてマスク層21の積層を行うことが可能となり、保護膜形成用複合シート10に貼付されるべき被加工部材Wの形状に合わせてマスク層21を積層することも可能となる。
また、マスク層21は、図8に示されるように、基材2の厚さ方向内部に設けられていてもよい。かかる構成の場合には、マスク層21が例えば金属蒸着層のように薄い場合であっても、保護膜形成用複合シート10に折り返しのような変形力が加えられたときにマスク層21が剥がれて保護膜形成用複合シート10から脱落するような不具合が発生しにくい。
(1−2−3)材料等
マスク層21を構成する材料は、粘着剤層3に含有されるエネルギー線の照射により重合反応を生じる成分の重合反応を進行させるために用いるエネルギー線の透過率を低下させる機能を有する限り、限定されない。エネルギー線が紫外線である場合を例として説明すれば、アルミニウム、銅などの金属系材料から構成されていてもよいし、紫外線を吸収可能な成分を含有する塗料から形成した塗膜から構成されていてもよい。あるいは、マスク層21は、基材主部22の主面の一部を粗面化することによって構成されていてもよい。この場合には、入射した紫外線を散乱させることにより、粘着剤層3に到達する紫外線量を低減させることができる。
マスク層21の厚さはその機能を果たすことができる限り特に限定されない。マスク層21が金属系の材料から構成される場合には、1μm以下の厚さで十分に機能させることができる場合もある。マスク層21が塗膜から構成される場合には、通常、1μmから50μm程度の厚さとすればよい。
(1−3)基材2の特性
本実施形態に係る基材2は、耐熱性を有し、具体的には、以下の(a)〜(c)の特性を備えることが好ましい。
(a)基材2を構成する要素(具体的には、マスク層21および基材主部22が含まれる。)はその融点が130℃を超える、または融点を持たない、
(b)130℃で2時間加熱したときの基材2の熱収縮率は−5%以上+5%以下である、および
(c)基材2のMD方向およびCD方向のいずれについても、破断伸度が100%以上かつ25%ひずみ時引張応力が100MPa以下である。
基材2を構成する要素の融点が130℃以下であったり、基材2の熱収縮率が上記範囲外であると、保護膜形成用フィルム4が熱硬化型のフィルムである場合に、その硬化時に基材2が溶融し、基材2がその形状を保つことが困難になるおそれがある。また、基材2が被加工部材Wを加工する工程中の周辺の装置(例えばオーブン)と融着してしまうことがある。基材2の熱収縮率が−5%未満または+5%超である基材2を用いて保護膜形成用複合シート10を構成し、被加工部材Wを保持して熱硬化を行った場合には、被加工部材Wの重みによって、被加工部材Wに対応しない周縁部(粘着シート1の外周部における基材2)は収縮ではなくむしろ伸長し、保護膜形成用複合シート10に弛みが生じやすくなる。これによりその後のダイシング工程などの機械加工が困難になったり、被加工部材Wが個片化されてなるチップ状部材および保護膜形成用フィルム4または保護膜との積層体を粘着シート1から剥離させること(ピックアップ)が困難になったりすることがある。
基材2を構成する要素は、その融点が140℃以上である、または融点を持たないことがより好ましく、融点が200℃以上である、または融点を持たないことが特に好ましい。また、130℃で2時間加熱時における基材2の熱収縮率は、−4%以上+4%以下であることがより好ましい。基材2を構成する要素の融点や基材2の熱収縮率を上記範囲とすることで、基材2は耐熱性により優れ、上述の保護膜形成用フィルム4を熱によって硬化させたときの基材2の形状保持性が良好に保たれる。
なお、130℃で2時間加熱時における基材2の熱収縮率は、130℃の環境下に基材フィルムを投入する前後の基材2の面積から下記式により求められる。
熱収縮率(%)={(投入前の基材2の面積)−(投入後の基材2の面積)}/投入前の基材2の面積×100
本実施形態における基材2の破断伸度は、23℃、相対湿度50%のときに測定した値として100%以上であることが好ましく、120%以上1000%以下であることがより好ましく、250%以上1000%以下であることが特に好ましい。ここで、破断伸度はJIS K7161:1994(ISO 527−1 1993)に準拠した引張り試験における、試験片破壊時の試験片の長さの元の長さに対する伸び率である。上記の破断伸度が100%以上である基材2は、ダイシング工程後のエキスパンド工程の際に破断しにくく、チップ状部材を離間し易いものとなる。
また、本実施形態における基材2の25%ひずみ時引張応力は100MPa以下であることが好ましく、80MPa以下であることがより好ましく、15MPa以上70MPa以下であることが特に好ましい。ここで25%ひずみ時引張応力はJIS K7161:1994に準拠した試験により測定される。25%ひずみ時引張応力が100MPa超であると、エキスパンド性が低下して、チップ状部材を離間させる際に不具合が生じる可能性がある。
なお、上記の破断伸度および25%ひずみ時引張応力は基材2における原反の長尺方向(MD方向)および基材2の主面内方向であってMD方向に直交する方向(CD方向)のそれぞれについて測定した場合に満足するものであることが好ましい。
上記の特性(a)〜(c)を備えた基材2を与える基材主部22を構成するフィルムとしては、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、アクリル樹脂フィルム、耐熱ポリウレタンフィルム等が挙げられる。また、これらの架橋フィルムや放射線・放電等による改質フィルムも用いることができる。基材主部22を構成するフィルムは、基材2が上記の特性(a)〜(c)を備えることができる限り、上記フィルムの積層体であってもよい。
保護膜形成用フィルム4またはこれが硬化してなる保護膜に対して、粘着シート1越しにレーザー光を照射することによりマーキングを行う場合には、基材2、特に基材主部22は、マーキングのためのレーザー光に対する透過性を有していることが好ましい。かかるマーキング用のレーザー光の波長として532nmおよび1064nmが例示される。これらの波長における粘着シート1の全光線透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上である。
基材2の厚さは、ダイシング工程で切断されたりエキスパンド工程やピックアップ工程で破断したりする不具合が生じない限り、特に限定されない。好ましくは20μm以上450μm以下、より好ましくは25μm以上400μm以下、特に好ましくは50μm以上350μm以下の範囲にある。
(2)粘着剤層
本実施形態に係る粘着シート1が備える粘着剤層3は、エネルギー線の照射により重合反応を生じる成分を含有する、エネルギー線重合型の粘着剤組成物から構成される。このような粘着剤組成物としては、何ら限定されるものではないが、たとえばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の粘着剤組成物が用いられうる。また、重合のためのエネルギー線としては、X線、紫外線のような電磁波、電子線などが例示される。これらのエネルギー線の中でも、設備設置に要するコストが低く、作業性にも優れる紫外線が好ましい。
紫外線により重合しうる粘着剤組成物の一例として、次に説明するアクリル系重合体(α)およびエネルギー線重合性化合物(β)、さらに必要に応じ貯蔵弾性率調整剤(γ)や架橋剤(δ)などを含有する粘着剤組成物が挙げられる。
(2−1)アクリル系重合体(α)
本実施形態に係る粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物の一例はアクリル系重合体(α)を含有する。この粘着剤組成物から形成された粘着剤層3において、アクリル系重合体(α)は少なくともその一部が後述する架橋剤(δ)と架橋反応を行って架橋物として含有される場合もある。
アクリル系重合体(α)としては、従来公知のアクリル系の重合体を用いることができる。アクリル系重合体(α)の重量平均分子量(Mw)は、上記の粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物またはこれに溶媒を加えて得られる組成物からなる塗工液(本明細書において、これらの塗工液を「粘着層形成用塗工液」と総称する。)の塗工時の造膜性の観点から1万以上200万以下であることが好ましく、10万以上150万以下であることがより好ましい。また、アクリル系重合体(α)のガラス転移温度Tgは、好ましくは−70℃以上30℃以下、さらに好ましくは−60℃以上20℃以下の範囲にある。ガラス転移温度は、Fox式より計算することができる。
上記アクリル系重合体(α)は、1種類のアクリル系モノマーから形成された単独重合体であってもよいし、複数種類のアクリル系モノマーから形成された共重合体であってもよいし、1種類または複数種類のアクリル系モノマーとアクリル系モノマー以外のモノマーとから形成された共重合体であってもよい。アクリル系モノマーとなる化合物の具体的な種類は特に限定されず、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸エステル、その誘導体(アクリロニトリルなど)が具体例として挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルについてさらに具体例を示せば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の鎖状骨格を有する(メタ)アクリレート;シクロへキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イミドアクリレート等の環状骨格を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の水酸基以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。また、アクリル系モノマー以外のモノマーとして、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン、酢酸ビニル、スチレンなどが例示される。なお、アクリル系モノマーがアルキル(メタ)アクリレートである場合には、そのアルキル基の炭素数は1から18の範囲であることが好ましい。
本実施形態に係る粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物が、後述するようにアクリル系重合体(α)を架橋しうる架橋剤(δ)を含有している場合には、アクリル系重合体(α)が有する反応性官能基の種類は特に限定されず、架橋剤(δ)の種類などに基づいて適宜決定すればよい。例えば、架橋剤(δ)がポリイソシアネート化合物である場合には、アクリル系重合体(α)が有する反応性官能基として、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などが例示される。これらの極性的な官能基は、架橋剤(δ)と反応する機能のほか、アクリル系重合体(α)と後述する貯蔵弾性率調整剤(γ)との相溶性を向上させる効果がある。これらのうちでも、架橋剤(δ)がポリイソシアネート化合物である場合には、イソシアネート基との反応性の高い水酸基を反応性官能基として採用することが好ましい。アクリル系重合体(α)に反応性官能基として水酸基を導入する方法は特に限定されない。一例として、アクリル系重合体(α)が2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有するアクリレートに基づく構成単位を骨格に含有する場合が挙げられる。
アクリル系重合体(α)が反応性官能基を有する場合には、アクリル系重合体(α)を形成するためのモノマー換算で、全モノマーに対する反応性官能基の質量割合を1質量%以上20質量%以下程度とすることが好ましく、2質量%以上10質量%以下とすることがより好ましい。
(2−2)エネルギー線重合性化合物(β)
本実施形態に係る粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物が含有するエネルギー線重合性化合物(β)は、エネルギー線重合性基を有し、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けて重合反応することができる限り、具体的な構成は特に限定されない。エネルギー線重合性化合物(β)が重合することによって粘着剤層3の保護膜形成用フィルム4に対する粘着性を低下させることができる。
エネルギー線重合性基の種類は特に限定されない。その具体例として、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和結合を有する官能基などが挙げられる。粘着剤組成物が架橋剤(δ)を含有する場合には、架橋剤(δ)の架橋反応を行う部位と機能的に重複する可能性を少なくする観点から、エネルギー線重合性基はエチレン性不飽和結合を有する官能基であることが好ましく、その中でもエネルギー線が照射されたときの反応性の高さの観点から(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
エネルギー線重合性化合物(β)の分子量は特に限定されない。その分子量が過度に小さい場合には、粘着剤組成物または粘着剤層3の製造過程においてその化合物が揮発することが懸念され、このとき粘着剤層3の組成の安定性が低下する。したがって、エネルギー線重合性化合物(β)の分子量は、重量平均分子量(Mw)として100以上とすることが好ましく、200以上とすることがより好ましく、300以上とすることが特に好ましい。
エネルギー線重合性化合物(β)の少なくとも一部は、分子量が、重量平均分子量(Mw)として4,000以下であって、後述する貯蔵弾性率調整剤(γ)としての性質を有することが好ましい。このような貯蔵弾性率調整剤(γ)としての性質を有するエネルギー線重合性化合物(β)として、エネルギー線重合性基を有する単官能モノマーおよび多官能のモノマーならびにこれらのモノマーのオリゴマーからなる群から選ばれる1種または2種以上からなる化合物が例示される。
上記の化合物の具体的な組成は特に限定されない。上記化合物の具体例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどの鎖状骨格を有するアルキル(メタ)アクリレート;ジシクロペンタジエンジメトキシジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの環状骨格を有するアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ変性(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、イタコン酸オリゴマー等のアクリレート系化合物などが挙げられる。これらの中でもアクリレート系化合物はアクリル系重合体(α)への相溶性が高いため好ましい。
エネルギー線重合性化合物(β)が一分子中に有するエネルギー線重合性基の数は限定されないが、複数であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、5以上であることが特に好ましい。
本実施形態に係る粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物に含有されるエネルギー線重合性化合物(β)が貯蔵弾性率調整剤(γ)としての性質を有する場合には、エネルギー線重合性化合物(β)の含有量は、アクリル系重合体(α)100質量部に対して50質量部以上300質量部以下とすることが好ましく、75質量部以上150質量部以下とすることがより好ましい。なお、本明細書において、各成分の含有量を示す「質量部」は固形分としての量を意味する。エネルギー線重合性化合物(β)の含有量をこのような範囲とすることにより、エネルギー線が照射された部分における粘着剤層3の保護膜形成用フィルム4に対する粘着性とエネルギー線が照射されない部分における粘着剤層3の保護膜形成用フィルム4に対する粘着性との差を十分に確保することができる。
エネルギー線重合性化合物(β)が貯蔵弾性率調整剤(γ)としての性質を有する材料でない場合の例として、エネルギー線重合性化合物(β)がアクリル系重合体であって、エネルギー線重合線基を有する構成単位を主鎖または側鎖に有するものである場合が挙げられる。この場合には、エネルギー線重合性化合物(β)はアクリル系重合体(α)としての性質を有するため、粘着剤層3を形成するための組成物の組成が簡素化される、粘着剤層3におけるエネルギー線重合性基の存在密度を制御しやすい、重合に伴う収縮が少ないなどの利点を有する。
上記のようなアクリル系重合体(α)の性質を有するエネルギー線重合性化合物(β)は、例えば次のような方法で調製することができる。水酸基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を含有する(メタ)アクリレートに基づく構成単位およびアルキル(メタ)アクリレートに基づく構成単位を含んでなる共重合体であるアクリル系重合体と、上記の官能基と反応しうる官能基およびエネルギー線重合性基(例えばエチレン性二重結合を有する基)を1分子内に有する化合物とを反応させることにより、上記のアクリル系重合体にエネルギー線重合性基を付加させることができる。
エネルギー線重合性化合物(β)を硬化させるためのエネルギー線として紫外線を用いる場合には、取り扱いのしやすさから波長200〜380nm程度の紫外線を含む近紫外線を用いればよい。紫外線量としては、エネルギー線重合性化合物(β)の種類や粘着剤層3の厚さに応じて適宜選択すればよく、通常50〜500mJ/cm程度であり、100〜450mJ/cmが好ましく、200〜400mJ/cmがより好ましい。また、紫外線照度は、通常50〜500mW/cm程度であり、100〜450mW/cmが好ましく、200〜400mW/cmがより好ましい。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV−LEDなどが用いられる。
エネルギー線として電子線を用いる場合には、その加速電圧については、エネルギー線重合性化合物(β)の種類や粘着剤層3の厚さに応じて適宜選定すればよく、通常加速電圧10〜1,000kV程度であることが好ましい。また、照射線量は、エネルギー線重合性化合物(β)が適切に硬化する範囲に設定すればよく、通常10〜1,000kradの範囲で選定される。電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
(2−3)貯蔵弾性率調整剤(γ)
本実施形態に係る粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物は、貯蔵弾性率調整剤(γ)を含有してもよい。貯蔵弾性率調整剤(γ)は、重量平均分子量が4,000以下であって、粘着剤層3のエネルギー線照射前の23℃における貯蔵弾性率(本明細書において「照射前貯蔵弾性率」ともいう。)を低下させて、エネルギー線が照射される前の状態における粘着剤層3の保護膜形成用フィルム4に対する粘着性を高めることができる限り、その組成は特に限定されない。1種類の化合物から構成されていてもよいし、複数種類の化合物から構成されていてもよい。粘着剤層3の照射前貯蔵弾性率をより安定的に低下させる観点から、貯蔵弾性率調整剤(γ)の重量平均分子量は2,500以下であることが好ましく、2,000以下であることが特に好ましい。貯蔵弾性率調整剤(γ)の重量平均分子量の下限は特に限定されないが、過度に低い場合には揮発しやすくなり、上記の粘着性組成物の組成安定性を低下させることが懸念される。したがって、貯蔵弾性率調整剤(γ)の重量平均分子量は300以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましく、700以上であることが特に好ましい。重量平均分子量は、GPC装置(HLC-8220、東ソー製)、カラム(TSK−GEL GMHXL、東ソー製)を用いて測定することができる。
前述のように、粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物に含有されるエネルギー線重合性化合物(β)が貯蔵弾性率調整剤(γ)としての性質を有していてもよいし、粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物は貯蔵弾性率調整剤(γ)を別途含有していていもよい。そのような別途含有される貯蔵弾性率調整剤(γ)として粘着付与樹脂や長鎖アルキルアクリルオリゴマーなどが例示される。
貯蔵弾性率調整剤(γ)の含有量は、その機能を安定的に発揮させる観点から、アクリル系重合体(α)100質量部に対して50質量部以上とすることが好ましく、75質量部以上とすることがより好ましく、100質量部以上とすることが特に好ましい。また、粘着剤層3に含有される粘着剤の凝集性を適切な程度に維持するため、貯蔵弾性率調整剤(γ)の含有量はアクリル系重合体(α)100質量部に対して500質量部以下とすることが好ましく、400質量部以下とすることがより好ましく、350質量部以下とすることが特に好ましい。
貯蔵弾性率調整剤(γ)が粘着付与樹脂を含有する場合において、その粘着付与樹脂の種類は特に限定されない。重合化ロジン、エステル化ロジンおよび不均化ロジンならびにこれらの水素添加樹脂などのロジン系の粘着付与樹脂であってもよいし、α−ピネン樹脂などのテルペン系の粘着付与樹脂であってもよいし、炭化水素樹脂などの石油系樹脂であってもよい。あるいは、クマロン樹脂、アルキル・フェノール樹脂、キシレン樹脂といった芳香族系の粘着付与樹脂であってもよい。
これらの異なる種類の粘着付与樹脂を組み合わせて用いることにより、貯蔵弾性率調整剤(γ)のアクリル系重合体(α)への相溶性が高まり、好ましい特性が得られる場合もある。その一例として、粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物が、貯蔵弾性率調整剤(γ)として重合ロジンエステル(C1)を含有するとともに、水添ロジンエステル(C2)および炭化水素樹脂(C3)の少なくとも一方を含有する場合が挙げられる。上記の粘着付与樹脂を含有する場合には、粘着剤層3を形成するための組成物における重合ロジンエステル(C1)の含有量は、アクリル系重合体(α)100質量部に対して20質量部以下であることが好ましく、5質量部以上18質量部以下であることがより好ましく、7質量部以上15質量部以下であることが特に好ましい。粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物における水添ロジンエステル(C2)の含有量および炭化水素樹脂(C3)の含有量の総和は、粘着剤層3に含有される粘着剤の凝集性を高める観点から、アクリル系重合体(α)100質量部に対して50質量部以上とすることが好ましく、70質量部以上200質量部以下であることがより好ましく、90質量部以上170質量部以下であることが特に好ましい。
長鎖アルキルアクリルオリゴマーは、炭素数が4以上18以下程度のアルキル(メタ)アクリレートが重合してなるオリゴマーであって、アルキル基部分の具体的な構成は特に限定されない。かかるオリゴマーを形成するためのモノマーの具体例として、ブチルアクリレートが挙げられる。
(2−4)架橋剤(δ)
本実施形態に係る粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物は、前述のように、アクリル系重合体(α)と反応しうる架橋剤(δ)を含有してもよい。この場合には、本実施形態に係る粘着剤層3は、アクリル系重合体(α)と架橋剤(δ)との架橋反応により得られた架橋物を含有する。
架橋剤(δ)の種類としては、例えば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、金属キレート系化合物、アジリジン系化合物等のポリイミン化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、金属アルコキシド、金属塩等が挙げられる。これらの中でも、架橋反応を制御しやすいことなどの理由により、架橋剤(δ)がポリイソシアネート化合物であることが好ましい。
ここで、ポリイソシアネート化合物についてやや詳しく説明する。ポリイソシアネート化合物は1分子当たりイソシアネート基を2個以上有する化合物であって、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートなどの脂環式イソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの鎖状骨格を有するイソシアネートが挙げられる。
また、これらの化合物の、ビウレット体、イソシアヌレート体や、これらの化合物と、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の非芳香族性低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などの変性体も用いることができる。上記のポリイソシアネート化合物は1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
本実施形態に係る粘着剤層3がアクリル系重合体(α)と架橋剤(δ)とに基づく架橋物を有する場合には、粘着剤層3に含有される架橋物に係る架橋密度を調整することによって、粘着剤層3の照射前貯蔵弾性率などの特性を制御することができる。この架橋密度は、粘着剤層3を形成するための組成物に含まれる架橋剤(δ)の含有量などを変えることによって調整することができる。
具体的には、架橋剤(δ)が上記のイソシアネート系化合物からなる場合には、粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物の架橋剤(δ)の含有量を、アクリル系重合体(α)100質量部に対して5質量部以上とすることで、粘着剤層3の照射前貯蔵弾性率などを適切な範囲に制御することが容易となる。この制御性を高める観点から、かかる架橋剤(δ)の含有量は、アクリル系重合体(α)100質量部に対して10質量部以上とすることがより好ましく、20質量部以上とすることが特に好ましい。かかる架橋剤(δ)の含有量の上限は特に限定されないが、含有量が過度に高い場合には、貯蔵弾性率調整剤(γ)の含有量によっては、照射前貯蔵弾性率を後述する範囲に制御することが困難となる場合もあるため、アクリル系重合体(α)100質量部に対して50質量部以下とすることが好ましく、40質量部以下とすることがより好ましい。架橋剤(δ)が上記のエポキシ系化合物からなる場合には、架橋剤(δ)の含有量は、アクリル系重合体(α)100質量部に対して0.1質量部程度以上で十分である場合もある。
本実施形態に係る粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物が架橋剤(δ)を含有する場合には、その架橋剤(δ)の種類などに応じて、適切な架橋促進剤を含有することが好ましい。例えば、架橋剤(δ)がポリイソシアネート化合物である場合には、粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物は有機スズ化合物などの有機金属化合物系の架橋促進剤を含有することが好ましい。
(2−5)その他の成分
本実施形態に係る粘着シート1が備える粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物は、上記の成分に加えて、光重合開始剤、染料や顔料などの着色材料、難燃剤、フィラー等の各種添加剤を含有してもよい。
ここで、光重合開始剤についてやや詳しく説明する。光重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、パーオキサイド化合物等の光開始剤、アミンやキノン等の光増感剤などが挙げられ、具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどが例示される。エネルギー線として紫外線を用いる場合には、光重合開始剤を配合することにより照射時間、照射量を少なくすることができる。
(2−6)厚さ
本実施形態に係る粘着シート1が備える粘着剤層3の厚さは特に限定されない。粘着剤層3の被着体(保護膜形成用フィルム4、治具など)に対する粘着性を適切に維持する観点から、粘着剤層3の厚さは1μm以上とすることが好ましく、2μm以上とすることがより好ましく、3μm以上とすることが特に好ましい。一方、ダイシング工程中にチップ欠けが生じる可能性を低減させる観点から、粘着剤層3の厚さは100μm以下とすること好ましく、80μm以下とすることより好ましく、50μm以下とすること特に好ましい。
(3)剥離シート
本実施形態に係る粘着シート1は、図9に記載されるように、その粘着剤層3側の面1Aに保護膜形成用フィルム4が積層されるまでの間粘着剤層3を保護する目的で、粘着剤層3側の面1Aに、剥離シート5の剥離面5Aが貼合されていてもよい。剥離シート5の構成は任意であり、プラスチックフィルムを剥離剤等により剥離処理したものが例示される。プラスチックフィルムの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、およびポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンフィルムが挙げられる。剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系などを用いることができるが、これらの中で、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。剥離シート5の厚さについて特に制限はないが、通常20μm以上250μm以下程度である。
2.粘着ロール
本実施形態に係る粘着シート1を含む積層体は、連続作業が可能となって作業性が高まることから、長尺体であることが好ましい。この長尺体は、長尺方向に巻収されて巻取体、すなわち粘着ロールの形態とすることが、保管容易性の観点から好ましい。
この長尺体は粘着シート1自体が長尺体であって、その長尺体から必要に応じ裁断を行って、ダイシング工程に供される際の形状としてもよい。この場合には、その長尺体は、長尺方向に離間した複数のエネルギー線透過領域1aを備える。この長尺体は、粘着シート1のみから構成されていてもよい。この場合には、粘着シート1を粘着ロールとした際の粘着シート1の繰り出し性を高める観点から、粘着シート1の基材2側の面1Bは剥離性を有する剥離面であることが好ましい。あるいは、上記の長尺体は、粘着シート1とその粘着剤層3側の面1Aにその剥離面5Aが対向するように貼合された剥離シート5との積層体であってもよい。この場合には、粘着シート1の基材2側の面1Bは剥離面でなくともよい。
上記の長尺体は、長尺の剥離シート5と、剥離シート5の剥離面5A上に互いに離間しつつ剥離シート5の長尺方向に複数配置された、あらかじめダイシング工程に供される際の形状に切断加工された粘着シート1とを備える構成であってもよい。この場合には、粘着シート1は、その粘着剤層3側の面1Aが剥離シート5の剥離面5Aに対向するように積層される。
3.粘着シートの製造方法
粘着シート1の製造方法は、粘着剤層3を基材2の一方の主面に積層できれば、詳細な方法は特に限定されない。一例を挙げれば、前述の粘着層形成用塗工液を、基材2の一方の主面上に、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スリットコーター、ナイフコーター等により塗布して塗膜を形成し、当該一方の主面上の塗膜を乾燥させることにより、粘着剤層3を形成することができる。塗工用組成物は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、粘着剤層3を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。
塗工用組成物が架橋剤(δ)を含有する場合には、上記の乾燥の条件(温度、時間など)を変えることにより、または加熱処理を別途設けることにより、塗膜内のアクリル系重合体(α)と架橋剤(δ)との架橋反応を進行させ、粘着剤層3内に所望の存在密度で架橋構造を形成させればよい。この架橋反応を十分に進行させるために、上記の方法などによって基材2に粘着剤層3を積層させた後、得られた粘着シート1を、例えば23℃、相対湿度50%の環境に数日間静置するといった養生を行ってもよい。
本実施形態に係る粘着シート1の製造方法の別の一例として、前述の剥離シート5の剥離面5A上に前述の粘着層形成用塗工液を塗布して塗膜を形成し、これを乾燥させて粘着剤層3と剥離シート5とからなる積層体を形成し、この積層体の粘着剤層3における剥離シート5に対向する面と反対側の面を基材2の一方の主面に貼付して、粘着シート1と剥離シート5との積層体を得てもよい。この積層体における剥離シート5は工程材料として剥離してもよいし、粘着剤層3側の面1Aに保護膜形成用フィルムが形成されるまでの間粘着剤層3を保護していてもよい。
こうして得られた粘着シート1は、このままの状態で完成品としてもよいし、粘着シート1の基材2側の面1B側からエネルギー線照射を行って、エネルギー線透過領域1aに位置する粘着剤層3に含有される成分の重合反応を進行させてもよい。本明細書において、こうして部分的に重合反応が進行した粘着剤層3を備える粘着シート1を「照射後粘着シート」という場合もある。
4.保護膜形成用フィルム
本実施形態に係る上記の粘着シート1は、単独で使用されず、次に説明する保護膜形成用フィルム4が、その粘着剤層3側の主面1A上に積層されて、保護膜形成用複合シート10として使用される。なお、保護膜形成用複合シート10が備える粘着シート1は照射後粘着シートの状態にある。以下、保護膜形成用フィルム4について詳しく説明する。
保護膜形成用フィルム4は、次の機能を果たす限り、その構成(構造、組成等)は特に限定されない。
(機能1)被加工部材Wの保護膜形成用フィルム4が積層された面を保護する保護膜を形成可能であること
(機能2)保護膜形成用フィルム4またはこれから形成される保護膜(本明細書において、これらを「保護膜等」と総称する場合もある。)が被加工部材Wと粘着シート1との間に配置されてダイシング工程に供されたときに、被加工部材Wと保護膜等との間での剥離および保護膜等と粘着シート1との間での剥離が生じにくいこと
(機能3)ダイシング工程後に行われるピックアップ工程において、被加工部材Wと保護膜等との間での剥離に優先して保護膜等と粘着シート1との間での剥離が生じること
(機能4)保護膜形成用フィルム4から形成された保護膜における被加工部材Wに対向する面の反対側の面にレーザーマーキングなどにより刻印を行った際に、視認性に優れるマークを形成可能であること
以下、保護膜形成用フィルム4がこれを形成するための組成物(本明細書において「保護膜形成用組成物」ともいう。)を硬化させて得られるものであって、具体的には、(1)シート形状維持性、(2)初期接着性および(3)硬化性を有するフィルムである場合を具体例として、保護膜形成用フィルム4について説明する。
保護膜形成用フィルム4には、バインダー成分の添加により(1)シート形状維持性および(3)硬化性を付与することができ、バインダー成分としては、重合体成分(A)および硬化性成分(B)を含有する第1のバインダー成分または(A)成分および(B)成分の性質を兼ね備えた硬化性重合体成分(AB)を含有する第2のバインダー成分を用いることができる。
なお、保護膜形成用フィルム4を硬化までの間被着体に仮着させておくための機能である(2)初期接着性は、感圧接着性であってもよく、熱により軟化して接着する性質であってもよい。(2)初期接着性は、通常バインダー成分の諸特性や、後述する無機フィラー(C)の配合量の調整などにより制御される。
(第1のバインダー成分)
第1のバインダー成分は、重合体成分(A)と硬化性成分(B)を含有することにより、保護膜形成用フィルム4に(1)シート形状維持性と(3)硬化性を付与する。なお、第1のバインダー成分は、第2のバインダー成分と区別する便宜上、硬化性重合体成分(AB)を含有しない。
(A)重合体成分
重合体成分(A)は、保護膜形成用フィルム4に(1)シート形状維持性を付与することを主目的として保護膜形成用フィルム4に添加される。
上記の目的を達成するため、重合体成分(A)の重量平均分子量(Mw)は、通常20,000以上であり、20,000〜3,000,000であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)の値は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC)法(ポリスチレン標準)により測定される場合の値である。このような方法による測定は、たとえば、東ソー社製の高速GPC装置「HLC−8120GPC」に、高速カラム「TSK gurd column HXL−H」、「TSK Gel GMHXL」、「TSK Gel G2000 HXL」(以上、全て東ソー社製)をこの順序で連結したものを用い、カラム温度:40℃、送液速度:1.0mL/分の条件で、検出器を示差屈折率計として行われる。
なお、後述する硬化性重合体(AB)と区別する便宜上、重合体成分(A)は後述する硬化機能官能基を有しない。
重合体成分(A)としては、アクリル系重合体、ポリエステル、フェノキシ樹脂(後述する硬化性重合体(AB)と区別する便宜上、エポキシ基を有しないものに限る。)、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ゴム系重合体等を用いることができる。また、これらの2種以上が結合したもの、たとえば、水酸基を有するアクリル系重合体であるアクリルポリオールに、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを反応させることにより得られるアクリルウレタン樹脂等であってもよい。さらに、2種以上が結合した重合体を含め、これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1)アクリル系重合体
重合体成分(A)としては、アクリル系重合体(A1)が好ましく用いられる。アクリル系重合体(A1)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−60〜50℃、より好ましくは−50〜40℃、さらに好ましくは−40〜30℃の範囲にある。アクリル系重合体(A1)のガラス転移温度が高いと保護膜形成用フィルム4のプローブタック値は低下する傾向があり、また、硬化後における接着性が低下する傾向がある。したがって、アクリル系重合体(A1)のガラス転移温度(Tg)は、−40〜−5℃の範囲にあることが特に好ましい。
アクリル系重合体(A1)の重量平均分子量は、100,000〜1,500,000であることが好ましい。アクリル系重合体(A1)の重量平均分子量が高いと保護膜形成用フィルム4のプローブタック値は低下する傾向があり、また、硬化後における接着性が低下する傾向がある。したがってアクリル系重合体(A1)の重量平均分子量は600,000〜1,200,000であることがより好ましい。
アクリル系重合体(A1)は、少なくとも構成する単量体に、(メタ)アクリル酸エステルを含む。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレート、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど;環状骨格を有する(メタ)アクリレート、具体的にはシクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、後述する熱による反応する官能基を有する単量体、水酸基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体、アミノ基を有する単量体として例示するもののうち、(メタ)アクリル酸エステルであるものを例示することができる。
アクリル系重合体(A1)を構成する単量体として、水酸基を有する単量体を用いてもよい。このような単量体を用いることで、アクリル系重合体(A1)に水酸基が導入され、保護膜形成用フィルム4が別途エネルギー線硬化性成分(B2)を含有する場合に、これとアクリル系重合体(A1)との相溶性が向上する。水酸基を有する単量体としては、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アクリル系重合体(A1)を構成する単量体として、カルボキシル基を有する単量体を用いてもよい。このような単量体を用いることで、アクリル系重合体(A1)にカルボキシル基が導入され、保護膜形成用フィルム4が、別途エネルギー線硬化性成分(B2)を含有する場合に、これとアクリル系重合体(A1)との相溶性が向上する。カルボキシル基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。後述する硬化性成分(B)として、エポキシ系熱硬化性成分を用いる場合には、カルボキシル基とエポキシ系熱硬化性成分中のエポキシ基が反応してしまうため、カルボキシル基を有する単量体の使用量は少ないことが好ましい。
アクリル系重合体(A1)を構成する単量体として、アミノ基を有する単量体を用いてもよい。このような単量体としては、モノエチルアミノ(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
アクリル系重合体(A1)を構成する単量体として、このほか酢酸ビニル、スチレン、エチレン、α−オレフィン等を用いてもよい。
アクリル系重合体(A1)は架橋されていてもよい。架橋は、架橋される前のアクリル系重合体(A1)が水酸基等の架橋性官能基を有しており、保護膜形成用組成物中に架橋剤を添加することで架橋性官能基と架橋剤の有する官能基が反応することにより行われる。アクリル系重合体(A1)を架橋することにより、保護膜形成用フィルム4の凝集力を調節することが可能となる。
架橋剤としては有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物などが挙げられる。
有機多価イソシアネート化合物としては、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物およびこれらの有機多価イソシアネート化合物の三量体、ならびにこれら有機多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等を挙げることができる。
有機多価イソシアネート化合物として、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネート、およびこれらの多価アルコールアダクト体が挙げられる。
有機多価イミン化合物として、具体的には、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネートおよびN,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等を挙げることができる。
架橋剤は架橋する前のアクリル系重合体(A1)100質量部に対して通常0.01〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部の比率で用いられる。
本発明において、保護膜形成用フィルム4を構成する成分の含有量の態様について、重合体成分(A)の含有量を基準として定める場合、重合体成分(A)が架橋されたアクリル系重合体であるときは、その基準とする含有量は、架橋される前のアクリル系重合体の含有量である。
(A2)非アクリル系樹脂
また、重合体成分(A)として、ポリエステル、フェノキシ樹脂(後述する硬化性重合体(AB)と区別する便宜上、エポキシ基を有しないものに限る。)、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ゴム系重合体またはこれらの2種以上が結合したものから選ばれる非アクリル系樹脂(A2)の1種単独または2種以上の組み合わせを用いてもよい。このような樹脂としては、重量平均分子量が20,000〜100,000のものが好ましく、20,000〜80,000のものがさらに好ましい。
非アクリル系樹脂(A2)のガラス転移温度は、好ましくは−30〜150℃、さらに好ましくは−20〜120℃の範囲にある。
非アクリル系樹脂(A2)を、上述のアクリル系重合体(A1)と併用する場合には、非アクリル系樹脂(A2)の含有量は特に限定されない。非アクリル系樹脂(A2)とアクリル系重合体(A1)との質量比(A2:A1)において、通常1:99〜60:40、好ましくは1:99〜30:70の範囲にある。
(B)硬化性成分
硬化性成分(B)は、保護膜形成用フィルム4に硬化性を付与することを主目的として保護膜形成用フィルム4に添加される。硬化性成分(B)は、熱硬化性成分(B1)、またはエネルギー線硬化性成分(B2)を用いることができる。また、これらを組み合わせて用いてもよい。熱硬化性成分(B1)は、少なくとも加熱により反応する官能基を有する化合物を含有する。また、エネルギー線硬化性成分(B2)は、エネルギー線照射により反応する官能基を有する化合物(B21)を含有し、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する。これらの硬化性成分が有する官能基同士が反応し、三次元網目構造が形成されることにより硬化が実現される。硬化性成分(B)は、重合体成分(A)と組み合わせて用いるため、保護膜形成用組成物の粘度を抑制し、取り扱い性を向上させる等の観点から、通常その重量平均分子量(Mw)は、10,000以下であり、100〜10,000であることが好ましい。
(B1)熱硬化性成分
熱硬化性成分としては、たとえば、エポキシ系熱硬化性成分が好ましい。
エポキシ系熱硬化性成分は、エポキシ基を有する化合物(B11)を含有し、エポキシ基を有する化合物(B11)と熱硬化剤(B12)を組み合わせたものを用いることが好ましい。
(B11)エポキシ基を有する化合物
エポキシ基を有する化合物(B11)(以下、「エポキシ化合物(B11)」ということがある。)としては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、多官能系エポキシ樹脂や、ビスフェノールAジグリシジルエーテルやその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂など、分子中に2官能以上有するエポキシ化合物が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ化合物(B11)を用いる場合には、保護膜形成用フィルム4には、重合体成分(A)100質量部に対して、エポキシ化合物(B11)が、好ましくは1〜1,500質量部含まれ、より好ましくは3〜1,200質量部含まれる。エポキシ化合物(B11)が少ないと、保護膜形成用フィルム4の硬化後における接着性が低下する傾向がある。また、エポキシ化合物(B11)として、常温において固体であるもののみを用いた場合には、エポキシ化合物(B11)が少ない、すなわち、相対的に重合体成分(A)が多いと、保護膜形成用フィルム4のプローブタック値が上昇する傾向がある。なお、常温は25℃を指し、以下同じである。
このような傾向があることから、エポキシ化合物(B11)として、常温において固体であるもののみを用いるときは、重合体成分(A)100質量部に対して、エポキシ化合物(B11)が70〜150質量部含まれることが特に好ましい。
(B12)熱硬化剤
熱硬化剤(B12)は、エポキシ化合物(B11)に対する硬化剤として機能する。好ましい熱硬化剤としては、1分子中にエポキシ基と反応しうる官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。その官能基としてはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基および酸無水物などが挙げられる。これらのうち好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基、酸無水物などが挙げられ、さらに好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基が挙げられる。
フェノール系硬化剤の具体的な例としては、多官能系フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂が挙げられる。アミン系硬化剤の具体的な例としては、DICY(ジシアンジアミド)が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
熱硬化剤(B12)の含有量は、エポキシ化合物(B11)100質量部に対して、0.1〜500質量部であることが好ましく、1〜200質量部であることがより好ましい。熱硬化剤の含有量が少ないと、硬化後における接着性が低下する傾向がある。
(B13)硬化促進剤
硬化促進剤(B13)を、保護膜形成用フィルム4の熱硬化の速度を調整するために用いてもよい。硬化促進剤(B13)は、特に、熱硬化性成分(B1)として、エポキシ系熱硬化性成分を用いるときに好ましく用いられる。
好ましい硬化促進剤としては、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
硬化促進剤(B13)は、エポキシ化合物(B11)および熱硬化剤(B12)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部の量で含まれる。硬化促進剤(B13)を上記範囲の量で含有することにより、高温度高湿度下に曝されても優れた接着性を有し、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても高い信頼性を達成することができる。硬化促進剤(B13)を添加することで、保護膜形成用フィルム4の硬化後の接着性を向上させることができる。このような作用は硬化促進剤(B13)の含有量が多いほど強まる。
(B2)エネルギー線硬化性成分
保護膜形成用フィルム4がエネルギー線硬化性成分を含有することで、多量のエネルギーと長い時間を要する熱硬化工程を行うことなく保護膜形成用フィルム4の硬化を行うことができる。これにより、製造コストの低減を図ることができる。
エネルギー線硬化性成分は、エネルギー線照射により反応する官能基を有する化合物(B21)を単独で用いてもよいが、エネルギー線照射により反応する官能基を有する化合物(B21)と光重合開始剤(B22)を組み合わせたものを用いることが好ましい。
(B21)エネルギー線照射により反応する官能基を有する化合物
エネルギー線照射により反応する官能基を有する化合物(B21)(以下「エネルギー線反応性化合物(B21)」ということがある。)としては、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等のアクリレート系化合物が挙げられ、また、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレート系オリゴマー、エポキ
シアクリレート、ポリエーテルアクリレートおよびイタコン酸オリゴマーなどのアクリレート系化合物等の重合構造を有するアクリレート化合物であって、比較的低分子量のものが挙げられる。このような化合物は、分子内に少なくとも1つの重合性二重結合を有する。
エネルギー線反応性化合物(B21)を用いる場合、保護膜形成用フィルム4には、重合体成分(A)100質量部に対して、エネルギー線反応性化合物(B21)が、好ましくは1〜1,500質量部含まれ、より好ましくは3〜1,200質量部含まれる。
(B22)光重合開始剤
エネルギー線反応性化合物(B21)に光重合開始剤(B22)を組み合わせることで、重合硬化時間を短くし、ならびに光線照射量を少なくすることができる。
このような光重合開始剤(B22)として具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、1,2−ジフェニルメタン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドおよびβ−クロールアンスラキノンなどが挙げられる。光重合開始剤(B22)は1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤(B22)の配合割合は、エネルギー線反応性化合物(B21)100質量部に対して0.1〜10質量部含まれることが好ましく、1〜5質量部含まれることがより好ましい。光重合開始剤(B22)の配合割合が0.1質量部未満であると光重合の不足で満足な硬化性が得られないことがあり、10質量部を超えると光重合に寄与しない残留物が生成し、不具合の原因となることがある。
(第2のバインダー成分)
第2のバインダー成分は、硬化性重合体成分(AB)を含有することにより、保護膜形成用フィルム4に(1)シート形状維持性および(3)硬化性を付与する。
(AB)硬化性重合体成分
硬化性重合体成分は、硬化機能官能基を有する重合体である。硬化機能官能基は、互いに反応して三次元網目構造を構成しうる官能基であり、加熱により反応する官能基や、エネルギー線により反応する官能基が挙げられる。
硬化機能官能基は、硬化性重合体(AB)の骨格となる連続構造の単位中に付加していてもよいし、末端に付加していてもよい。硬化機能官能基が硬化性重合体成分(AB)の骨格となる連続構造の単位中に付加している場合、硬化機能官能基は側鎖に付加していてもよいし、主鎖に直接付加していてもよい。硬化性重合体成分(AB)の重量平均分子量(Mw)は、保護膜形成用フィルム4に(1)シート形状維持性を付与する目的を達成する観点から、通常20,000以上である。
加熱により反応する官能基としてはエポキシ基が挙げられる。エポキシ基を有する硬化性重合体成分(AB)としては、高分子量のエポキシ基含有化合物や、エポキシ基を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。高分子量のエポキシ基含有化合物は、たとえば、特開2001−261789に開示されている。
また、上述のアクリル系重合体(A1)と同様の重合体であって、単量体として、エポキシ基を有する単量体を用いて重合したもの(エポキシ基含有アクリル系重合体)であってもよい。このような単量体としては、たとえばグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
エポキシ基含有アクリル系重合体を用いる場合、その好ましい態様はアクリル系重合体(A1)と同様である。
エポキシ基を有する硬化性重合体成分(AB)を用いる場合には、硬化性成分(B)としてエポキシ系熱硬化性成分を用いる場合と同様、熱硬化剤(B12)や、硬化促進剤(B13)を併用してもよい。
エネルギー線により反応する官能基としては、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。エネルギー線により反応する官能基を有する硬化性重合体成分(AB)としては、ポリエーテルアクリレートなどの重合構造を有するアクリレート系化合物等であって、高分子量のものを用いることができる。
また、たとえば側鎖に水酸基等の官能基Xを有する原料重合体に、官能基Xと反応しうる官能基Y(たとえば、官能基Xが水酸基である場合にはイソシアネート基等)およびエネルギー線照射により反応する官能基を有する低分子化合物を反応させて調製した重合体を用いてもよい。
この場合において、原料重合体が上述のアクリル系重合体(A)に該当するときは、その原料重合体の好ましい態様は、アクリル系重合体(A)と同様である。
エネルギー線により反応する官能基を有する硬化性重合体成分(AB)を用いる場合には、エネルギー線硬化性成分(B2)を用いる場合と同様、光重合開始剤(B22)を併用してもよい。
第2のバインダー成分は、硬化性重合体成分(AB)と併せて、上述の重合体成分(A)や硬化性成分(B)を含有していてもよい。
保護膜形成用フィルム4には、バインダー成分のほか、以下の成分を含有させてもよい。
(C)無機フィラー
保護膜形成用フィルム4は、無機フィラー(C)を含有していてもよい。無機フィラー(C)を保護膜形成用フィルム4に配合することにより、硬化後の保護膜における熱膨張係数を調整することが可能となり、被加工部材Wに対して硬化後の保護膜の熱膨張係数を最適化することで、半導体装置など被加工部材Wから形成される製品(以下、「製品」と略記する。)の信頼性を向上させることができる。また、硬化後の保護膜の吸湿性を低減させることも可能となる。
さらに、保護膜にレーザーマーキングを施すことにより、レーザー光により削り取られた部分に無機フィラー(C)が露出して、反射光が拡散するために白色に近い色を呈する。これにより、保護膜形成用フィルムWが後述する着色剤(D)を含有する場合、レーザーマーキング部分と他の部分にコントラスト差が得られ、印字が明瞭になるという効果がある。
好ましい無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維およびガラス繊維等が挙げられる。これらのなかでも、シリカフィラーおよびアルミナフィラーが好ましい。上記無機フィラー(C)は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
無機フィラー(C)の含有量は特に限定されない。当該含有量が過度に多い場合には被加工部材Wに対する接着性が低下し、過度に少ない場合には無機フィラーを含有させてマーキング部分の視認性を高める効果が得られにくくなること、および無機フィラー(C)の組成を考慮して適宜設定すればよい。通常、保護膜形成用フィルム4を構成する全固形分の質量に占める割合として、無機フィラー(C)の含有量が50〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは60〜80質量%である。
(D)着色剤
保護膜形成用フィルム4には、着色剤(D)を配合することができる。着色剤を配合することで、半導体装置などの製品を機器に組み込んだ際に、製品の周囲に配置された装置から発生する赤外線等により製品が誤作動することを防止することができる。また、レーザーマーキング等の手段により保護膜等に刻印を行った場合に、文字、記号等のマークが認識しやすくなるという効果がある。すなわち、保護膜が形成された製品(半導体装置や半導体チップなど)では、保護膜の表面に品番等が通常レーザーマーキング法(レーザー光により保護膜表面を削り取り印字を行う方法)により印字されるが、保護膜が着色剤(D)を含有することで、保護膜のレーザー光により削り取られた部分とそうでない部分のコントラスト差が充分に得られ、視認性が向上する。
着色剤としては、有機または無機の顔料および染料が用いられる。これらの中でも電磁波や赤外線遮蔽性の点から黒色顔料が好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が用いられるが、これらに限定されることはない。半導体装置などの製品の信頼性を高める観点からは、カーボンブラックが特に好ましい。着色剤(D)は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
着色剤(D)の配合量は、保護膜形成用フィルム4を構成する全固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜35質量部、さらに好ましくは0.5〜25質量部、特に好ましくは1〜15質量部である。
(E)カップリング剤
無機物と反応する官能基および有機官能基と反応する官能基を有するカップリング剤(E)を、保護膜形成用フィルム4の被着体に対する接着性、密着性および/または保護膜の凝集性を向上させるために用いてもよい。また、カップリング剤(E)を使用することで、保護膜形成用フィルム4を硬化して得られる保護膜の耐熱性を損ないことなく、その耐水性を向上させることができる。このようなカップリング剤としては、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、シランカップリング剤等が挙げられる。これらのうちでも、シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤としては、その有機官能基と反応する官能基が、重合体成分(A)、硬化性成分(B)や硬化性重合体成分(AB)などが有する官能基と反応する基であるシランカップリング剤が好ましく使用される。
このようなシランカップリング剤としてはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカ
プトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシランなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
シランカップリング剤は、重合体成分(A)、硬化性成分(B)および硬化性重合体成分(AB)の合計100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部の割合で含まれる。シランカップリング剤の含有量が0.1質量部未満だと上記の効果が得られない可能性があり、20質量部を超えるとアウトガスの原因となる可能性がある。
(F)剥離剤
保護膜形成用フィルム4の被加工部材Wの面に対する密着性や粘着剤層3に対する密着性を調整するために、剥離剤を添加することもできる。剥離剤としては、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンなどのシリコーン化合物やフッ素化合物が挙げられる。
これらの中でも、シリコーン化合物が好ましく、側鎖として芳香環含有基を有するオルガノポリシロキサンであって、かつ、25℃における動粘度が50〜100,000mm/sであるものがより好ましい。ポリシロキサンとは、−Si(X)−O−で表される単位構造(Xは側鎖を表す)が複数連結した化合物であり、この単位構造の数は特に限定されないが、通常3以上である。単位構造の数の増減により、上記の動粘度の値を制御することができる。
シリコーン化合物は、オルガノポリシロキサンのシロキサン部分により支持体との密着力を下げると共に、上記の芳香環含有基を側鎖に有することにより脂溶性が高く、保護膜形成用組成物中の他の成分との相溶性が高い。また、保護膜形成用組成物中の硬化成分(B)は、構成成分が芳香環を有する場合が多く、そのような場合にはシリコーン化合物の前記芳香環含有基により互いの相溶性がさらに高まる。
前記芳香環含有基は芳香環含有基であって、その例としては、フェニル基、アラルキル基が挙げられる。ここでいうアラルキル基とは、アルキル部が直鎖状または分岐鎖状であり、アルキル部の炭素数が好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3であり、アリール部の炭素数が好ましくは6〜10、より好ましくは6であるアラルキル基である。アラルキル基の好ましい例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルイソプロピル基が挙げられる。前記芳香環含有基としては、アラルキル基が好ましい。
(G)汎用添加剤
保護膜形成用フィルム4には、上記の他に、必要に応じて各種添加剤が配合されてもよい。各種添加剤としては、レベリング剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、イオン捕捉剤、ゲッタリング剤、連鎖移動剤などが挙げられる。
保護膜形成用フィルム4の厚さは特に限定されないが、好ましくは3〜300μm、さらに好ましくは5〜250μm、特に好ましくは7〜200μmである。
保護膜形成用フィルム4の光学特性は特に限定されない。保護膜形成用フィルム4から形成された保護膜における、波長300〜1,200nmの範囲内での最大透過率は20%以下であることが好ましく、0〜15%であることがより好ましく、0%を超え10%以下であることがさらに好ましく、0.001〜8%であることが特に好ましい。なお、本明細書において、保護膜の最大透過率とは、UV−visスペクトル検査装置(例えば(株)島津製作所製)を用いて、厚さ25μmの保護膜の300〜1,200nmでの全光線透過率を測定したときに、透過率の最も高い値を意味する。
このように、保護膜が可視光波長領域および/または赤外波長領域を透過しにくい場合には、半導体装置などの製品の赤外線起因の誤作動の防止や、印字の視認性向上といった効果が得られる。かかる保護膜の光学特性は、保護膜形成用フィルム4の含有成分としての着色剤(D)により調整できる。
5.保護膜形成用複合シート
本実施形態に係る保護膜形成用複合シート10は、前述の本実施形態に係る粘着シート(照射後粘着シートの状態にある。)1と、粘着シート1の粘着剤層3側の主面1Aの少なくとも1つの領域上に積層された保護膜形成用フィルム4とを備える。
本実施形態に係る保護膜形成用複合シート10が備える粘着シート1は、前述のようにマスク層21を備え、粘着シート1の保護膜用領域1bがエネルギー線透過領域1aを包含している。このため、粘着剤層3の基材2に対向する面と反対側の面における、保護膜用領域1bではあるがエネルギー線透過領域1aではない領域、つまり、保護膜形成用フィルム4の周縁部4aに貼着している粘着剤層3の保護膜形成用フィルム4に対する粘着性は、エネルギー線透過領域1aに位置する粘着剤層3の保護膜形成用フィルム4に対する粘着性よりも高い。このため、本実施形態に係る保護膜形成用複合シート10が備える保護膜形成用フィルム4は、その周縁部4aにおいて、相対的に強く粘着シート1に密着している。
本実施形態に係る保護膜形成用複合シート10は、保護膜形成用フィルム4側の面に剥離シートの剥離面が貼合されていて、被加工部材Wが保護膜形成用フィルム4の粘着シート1に対向する側の面と反対側の面に貼付されたり、保護膜形成用複合シート10の保護膜形成用フィルム4側の面であって保護膜形成用フィルム4の面からなる領域以外の領域1Aaの面にリングフレームなどの治具が配置されたりするまでの間、保護膜形成用複合シート10の保護膜形成用フィルム4側の面を保護していてもよい。
なお、上記の治具が配置される領域1Aaは、粘着剤層3の面から構成されていてもよいし、粘着剤層3の面に治具接着層が積層されていてもよいことは前述のとおりである。
本実施形態に係る保護膜形成用複合シート10の形状は、1つの被加工部材Wに対応する形状であってもよいし、複数の被加工部材Wに対応する形状であってもよい。複数の被加工部材Wに対応する形状である場合には、保護膜形成用複合シート10は長尺体であって、長尺方向に離間した複数の保護膜形成用フィルム4を備えることが、連続作業を実現する観点から好ましい。保護膜形成用複合シート10の形状が1つの被加工部材Wに対応する形状である場合においても、長尺体からなる剥離シートの剥離面上に、複数の保護膜形成用複合シート10が、互いに離間しつつ剥離シートの長尺方向に配置されていることが好ましい。この場合には、保護膜形成用複合シート10は保護膜形成用フィルム4側の面が剥離シートの剥離面に対向するように積層される。
以上説明したように保護膜形成用複合シート10を含む積層体が全体として長尺体である場合には、その積層体は、使用するまでは、長尺方向に巻収してなる巻取体の形態であることが、保管容易性を高める観点から好ましい。
6.保護膜形成用複合シートの製造方法
保護膜形成用複合シート10の製造方法は特に限定されないが、次の製造方法により製造されることが好ましい。
まず、本実施形態に係る粘着シート1を用意し、その基材2側の面1B側からエネルギー線を照射して、エネルギー線透過領域1aに位置する粘着剤層3に含有される、エネルギー線の照射により重合反応を生じる成分の重合反応を進行させる。その結果、粘着シート1は照射後粘着シートとなり、エネルギー線透過領域1aに位置する粘着剤層3の保護膜形成用フィルム4に対する粘着性は、粘着シート1の粘着剤層3側の面1Aにおけるエネルギー線透過領域1a以外の領域に位置する粘着剤層3の保護膜形成用フィルム4に対する粘着性よりも低下した状態となる。
別途、保護膜形成用組成物を用意し、剥離シートの剥離面上に、その保護膜形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を乾燥させて、剥離シートと保護膜形成用フィルム4との積層体を形成する。次に、この積層体を保護膜形成用フィルム4側から保護膜形成用フィルム4が切断されるようにハーフカットして不要部分(保護膜形成用フィルム4の一部)を除去し、保護膜形成用フィルム4の形状を、粘着シート1の保護膜用領域1bに対応した形状とする。
こうして得られた剥離シートおよび保護膜用領域1bに対応した形状の保護膜形成用フィルム4からなる積層体における保護膜形成用フィルム4側の面と、照射後粘着シート1の粘着剤層3側の面1Aとを、保護膜形成用フィルム4が保護膜用領域1bに接するように貼合する。
かかる貼合により得られた、剥離シート、保護膜形成用フィルム4および照射後粘着シート1がこの順で積層された部分を有する積層体を、照射後粘着シート1側から照射後粘着シート1が切断されるようにハーフカットして不要部分(照射後粘着シート1の一部)を除去することにより、所定の形状に加工された保護膜形成用複合シート10が剥離シート上に積層されてなる積層体が得られる。なお、この積層体が備える剥離シートは使用に際して剥離される。
7.保護膜付きチップの製造方法
以下、保護膜形成用複合シート10の保護膜形成用フィルム4側の面を被加工部材Wの一の面に貼付し、保護膜形成用複合シート10が貼着する被加工部材Wを個片化するとともに、保護膜形成用フィルム4が被加工部材Wの面に貼着しているときに保護膜形成用フィルム4を硬化させて保護膜とすることにより、被加工部材Wが個片化されてなるチップ状部材とこのチップ状部材の一の面に積層された保護膜とを備える保護膜付きチップを得る、保護膜付きチップの製造方法について説明する。
まず、保護膜形成用複合シート10の保護膜形成用フィルム4側の面の所定の領域、具体的には、保護膜形成用複合シート10が備える粘着シート1の粘着剤層3側の面1Aにおける被加工部材用領域1cに対応する領域を、被加工部材Wの一の面に貼付する。被加工部材Wの種類は特に限定されないが、通常、シリコンウェハなど半導体基板であり、回路が形成されていない側の面、すなわち裏面が被着面となる。必要に応じ、リングフレームなどの治具が、保護膜形成用複合シート10の保護膜形成用フィルム4側の面の一部であって保護膜形成用フィルム4以外からなる領域1Aaに配置されてもよい。
次に、被加工部材Wと保護膜形成用複合シート10との積層構造体(さらに治具を備える場合もある。)における、保護膜形成用複合シート10が備える保護膜形成用フィルム4を硬化させて保護膜とする。以下、保護膜形成用フィルム4が保護膜となった保護膜形成用複合シート10を「保護膜含有複合シート」ともいう。保護膜形成用フィルム4の硬化条件は、保護膜形成用フィルム4の組成に応じて適宜設定される。熱硬化性成分を含有する場合には、加熱(例えば、130℃、2時間)により硬化させる。エネルギー線により硬化する成分を含有する場合には、紫外線などのエネルギー線を、粘着シート1越しに照射して、保護膜形成用フィルム4を硬化させる。
上記の硬化のための処理を経て得られた、被加工部材と保護膜含有複合シートとの積層体を、ダイシング加工を行うためのダイシングテーブルに載置し、固定する。この際、保護膜含有複合シートの基材2側の面がダイシングテーブルに接するように載置することで、保護膜含有複合シートをダイシングシートとして機能させることができる。このダイシング加工の種類は限定されない。回転刃を用いて切断するブレードダイシングであってもよいし、レーザー光を用いるレーザーダイシングであってもよい。レーザーダイシングの場合には、被加工部材の除去加工であるアブレーション加工を行ってもよいし、被加工部材(具体例として、シリコン系の材料からなるウェハが挙げられる。)の内部に変質層を形成して機械特性(特に破断性)を変化させるステルスダイシングであってもよい。すなわち、被加工部材Wの個片化は、回転刃やレーザー光を用いた被加工部材Wの切断(具体例としてフルカットが挙げられる。)によって行われてもよく、被加工部材Wの破断によって行われてもよい。被加工部材Wの破断の具体例として、エキスパンド工程において粘着シート1を伸長させることにより被加工部材Wに引張力を付与することに基づく破断が挙げられる。また、スクライビングのようにレーザー光による切断(ハーフカットによる溝加工)と破断(ブレーキング)との組み合わせにより被加工部材Wの個片化が行われてもよい。
以下、ブレードダイシングによるダイシング加工が行われる場合を具体例としてまず説明する。
ダイシングテーブル上に固定された被加工部材Wのブレードダイシングによるダイシング加工を行い、複数のチップが保護膜を介して粘着シート1上に配置されてなる構造体が得られる。その際、保護膜含有複合シートが備える保護膜も同時に切断される。
ここで、前述のように、保護膜形成用フィルム4はその周縁部4aにおいて粘着シート1の粘着剤層3に対して相対的に強く密着しているため、周縁部4aに位置する保護膜形成用フィルム4が硬化してなる保護膜がダイシング加工によって個片化されても、その個片化された保護膜の一部(小片)が粘着剤層3から剥離して飛散するフィルム飛散や、その保護膜の小片とチップ状部材との積層体が粘着剤層3から剥離して飛散するチップ飛散が発生しにくい。
こうしてダイシング工程が終了したら、粘着シート1をエキスパンドするエキスパンド工程を行い、粘着シート1上のチップ状部材を互いに離間させる。続いて、粘着シート1の基材2側からピンを押しつけて個片化された保護膜の小片とチップ状部材との積層体を押し出し、これをコレットでピックアップするピックアップ工程を行うことにより、上記積層体を保護膜付きチップとして得る。ここで、前述のように、本実施形態に係る粘着シート1が備える粘着剤層3は、保護膜形成用フィルム4の周縁部4a以外の部分に対向する部分において保護膜形成用フィルム4に対して相対的に弱く密着しているため、ピックアップする際に、保護膜形成用フィルム4が硬化してなる保護膜と粘着剤層3との間で剥離が生じやすく、チップだけがピックアップされてしまう不具合が生じにくい。
なお、上記の説明では、保護膜形成用フィルム4の硬化はダイシング工程前に行ったが、硬化の時期はこれに限定されない。被加工部材Wと保護膜形成用複合シート10との積層構造体をダイシングテーブルに載置してダイシング工程が開始されるまでの間に硬化が行われてもよいし、ダイシング工程後ピックアップ工程を開始するまでの期間のいずれかにおいて行ってもよい。あるいは、保護膜形成用フィルム4の小片とチップ状部材との積層体をピックアップした後、その積層体における保護膜形成用フィルム4の小片を硬化させてもよい。
ダイシング工程がレーザーダイシングにより行われる場合には、レーザーにより保護膜等が個片化される場合もあれば、エキスパンド工程において被加工部材Wが個片化される際に保護膜等も個片化される場合もある。後者の場合には、保護膜等に対する粘着剤層3の粘着性が過度に低い場合には、被加工部材Wの個片化に伴う衝撃で保護膜等と粘着剤層3との間で剥離が生じやすいため、本実施形態に係る保護膜含有複合シート10のように、チップ状部材に付着する保護膜等に対する粘着剤層3の粘着性が高くなるように設定されていることは、このエキスパンド工程でのフィルム飛散やチップ飛散が生じる可能性が低減され、特に好ましい。
以上説明したとおり、本実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法はフィルム飛散やチップ飛散が生じにくい。このため、被加工部材Wを複数のチップに分割するダイシング工程で歩留まりが低下しにくい。それゆえ、本実施形態に係る保護膜形成用複合シート10を用いる本実施形態に係る製造方法により得られた保護膜付きチップは、コスト的に有利なものとなりやすい。また、チップ飛散は、飛散したチップだけでなく、その飛散したチップが飛散していないチップに衝突することなどによって、同ロットで製造された他のチップに欠けなどの問題を引き起こす場合がある。したがって、本実施形態に係る製造方法により製造された保護膜付きチップは、そのような問題を有する可能性が低減され、品質に優れる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
本発明に係る保護膜形成用複合シートは、半導体ウェハなどの板状の被加工部材から保護膜付きチップを得るためのシートとして好適に用いられる。
1…粘着シート
1A…粘着シート1および粘着シート1の粘着剤層3側の主面
1Aa…保護膜形成用複合シート10と被加工部材Wとからなる積層体を保持するための治具が配置される領域
1B…粘着シート1の粘着剤層3側の主面1Aと反対側の主面
1a…エネルギー線透過領域
1b…保護膜用領域
1c…被加工部材用領域
2…基材
2A…基材2の一方の主面
2B…基材2の他方の主面
21…マスク層
22…基材主部
22A…基材主部22の粘着剤層3に対向する面
3…粘着剤層
3a…粘着剤層3におけるマスク層領域に位置する部分
3b…粘着剤層3における非マスク層領域に位置する部分
4…保護膜形成用フィルム
4a…保護膜形成用フィルム4の周縁部
4b…保護膜形成用フィルム4の周縁部4a以外の部分
5…剥離シート
5A…剥離シート5の剥離面
10…保護膜形成用複合シート
W…被加工部材
Wa…被加工部材Wの周縁部

Claims (21)

  1. 基材と、前記基材の一方の主面側に積層された粘着剤層とを備えた粘着シートであって、
    前記粘着シートは、前記粘着シートおよび前記粘着シートの前記粘着剤層側の主面の少なくとも1つの領域上に積層された保護膜形成用フィルムを備えた保護膜形成用複合シートの構成要素の1つとして、被加工部材をダイシングする際に使用されうるものであり、
    前記基材は、前記基材の他方の主面側から照射されたエネルギー線の前記基材の一方の主面側への透過率を低下させるマスク層を有し、
    前記粘着剤層は、エネルギー線の照射により重合反応を生じる成分を含有し、当該成分の重合反応によって前記保護膜形成用フィルムに対する粘着性が低下可能なものであって、
    前記粘着シートの前記粘着剤層側の主面における平面視で前記マスク層が存在する領域であるマスク層領域に囲まれた領域であって、前記粘着シートの前記粘着剤層側の主面における前記マスク層領域以外の領域である非マスク層領域の一部または全部の領域であり、前記粘着剤層にエネルギー線が照射されるべき領域であるエネルギー線透過領域を、前記粘着シートの前記粘着剤層側の主面における前記保護膜形成用フィルムが使用時に積層される領域である保護膜用領域は包含すること
    を特徴とする粘着シート。
  2. 前記粘着シートは、前記基材側の主面側から、前記エネルギー線透過領域に位置する前記粘着層にエネルギー線が照射されたものであって、
    前記エネルギー線透過領域に位置する前記粘着剤層の前記保護膜形成用フィルムに対する粘着性は、前記マスク層領域に位置する粘着剤層の前記保護膜形成用フィルムに対する粘着性よりも低い、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記粘着シートの前記粘着剤層側の主面における、前記保護膜形成用複合シートの使用時に前記保護膜形成用複合シートに前記被加工部材が配置されるべき領域の投影領域である被加工部材用領域は、前記エネルギー線透過領域を包含する、請求項1または2に記載の粘着シート。
  4. 前記被加工部材用領域は、前記保護膜用領域に包含される、請求項3に記載の粘着シート。
  5. 前記粘着シートの前記粘着剤層側の主面における、前記保護膜形成用複合シートと前記被加工部材とからなる積層体を保持するための治具が配置される領域の少なくとも一部は、前記マスク層領域からなる、請求項1から4のいずれか1項に記載の粘着シート。
  6. 前記マスク層は、前記基材の他方の主面側から照射されたエネルギー線の前記基材の一方の主面側への透過を遮断する材料からなる、請求項1から5のいずれか1項に記載の粘着シート。
  7. 前記マスク層は、前記粘着剤層に接するように設けられる、請求項1から6のいずれか1項に記載の粘着シート。
  8. 前記粘着シートの前記基材側の主面は、その一部が、前記マスク層の面からなる、請求項1から7のいずれか1項に記載の粘着シート。
  9. 前記マスク層は、前記基材の厚さ方向内部に設けられる、請求項1から6のいずれか1項に記載の粘着シート。
  10. 前記粘着シートは長尺体であって、長尺方向に離間した複数の前記エネルギー線透過領域を備える、請求項1から9のいずれか1項に記載の粘着シート。
  11. 請求項10に記載される粘着シートを長尺方向に巻収してなる粘着ロール。
  12. 請求項2から9のいずれか1項に記載される粘着シート、および前記粘着シートの前記粘着剤層側の主面における前記保護膜用領域上に積層された保護膜形成用フィルムを備えたことを特徴とする保護膜形成用複合シート。
  13. 前記保護膜形成用複合シートは長尺体であって、長尺方向に離間した複数の前記保護膜形成用フィルムを備える、請求項12に記載の保護膜形成用複合シート。
  14. 請求項13に記載される保護膜形成用複合シートを長尺方向に巻収してなる保護膜形成用複合シートの巻取体。
  15. 長尺の剥離シートと、前記剥離シートの剥離面上に互いに離間しつつ前記剥離シートの長尺方向に複数配置された請求項1から9のいずれか一項に記載される粘着シートとを備え、
    前記粘着シートは、前記粘着剤層側の面が前記剥離シートの剥離面に対向するように積層されること
    を特徴とする積層体。
  16. 請求項15に記載される積層体を長尺方向に巻収してなる積層体の巻取体。
  17. 長尺の剥離シートと、前記剥離シートの剥離面上に互いに離間しつつ前記剥離シートの長尺方向に複数配置された請求項12に記載される保護膜形成用複合シートとを備え、
    前記保護膜形成用複合シートは、前記保護膜形成用フィルム側の面が前記剥離シートの剥離面に対向するように積層されること
    を特徴とする積層体。
  18. 請求項17に記載される積層体を長尺方向に巻収してなる積層体の巻取体。
  19. 請求項12に記載される保護膜形成用複合シートの前記保護膜形成用フィルム側の面を被加工部材の一の面に貼付し、前記保護膜形成用複合シートが貼着する前記被加工部材を個片化するとともに、前記保護膜形成用フィルムが前記被加工部材の面に貼着しているときに前記保護膜形成用フィルムを硬化させて保護膜とすることにより、前記被加工部材が個片化してなるチップ状部材と前記チップ状部材の一の面に積層された前記保護膜とを備える保護膜付きチップを得る、保護膜付きチップの製造方法。
  20. 前記被加工部材の個片化は前記被加工部材の切断を含む請求項19に記載の保護膜付きチップの製造方法。
  21. 前記被加工部材の個片化は前記被加工部材の破断を含む請求項19または20に記載の保護膜付きチップの製造方法。
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