JP2014187388A - 結晶積層構造体及び発光素子 - Google Patents

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嘉克 森島
Shinkuro Sato
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健 後藤
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和幸 飯塚
Akito Kuramata
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Abstract

【課題】光出力が高い発光素子を実現することのできる、Ga基板と窒化物半導体層とを有する結晶積層構造体、及びその結晶積層構造体を含む発光素子を提供する。
【解決手段】一実施の形態において、Ga基板2と、Ga基板2上に、Ga基板2の上面を部分的に覆うように形成された誘電体層3と、Ga基板2上の、誘電体層3に覆われていない部分から成長してGa基板2及び誘電体層3上に形成された窒化物半導体層4と、を有する結晶積層構造体1であって、窒化物半導体層4は、X線ロッキングカーブの半値幅が400秒以下である結晶積層構造体1を提供し、また、結晶積層構造体1を含む発光素子100を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、結晶積層構造体及び発光素子に関する。
従来の発光素子として、透光性基板の凹凸パターンが形成された面の上に結晶膜を成長させることにより形成されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1においては、サファイア基板の凹凸パターンが形成された面上にGaN系半導体層を成長させる。
特許文献1のサファイア基板の凹凸パターンは、サファイア基板とGaN系半導体層との界面における、サファイア基板とGaN系半導体層との屈折率の違いに起因するGaN系半導体層中の発光層から発せられた光の反射を抑える機能を有する。このような反射を抑えることにより、発光層による反射光の吸収や、反射光の多重反射による減衰を低減し、発光素子の光取出効率を向上させることができる。
特許第3595277号公報
本発明の目的は、光出力が高い発光素子を実現することのできる、Ga基板と窒化物半導体層とを有する結晶積層構造体、及びその結晶積層構造体を含む発光素子を提供することにある。
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、[1]〜[5]の結晶積層構造体を提供する。
[1]Ga基板と、前記Ga基板上に、前記Ga基板の上面を部分的に覆うように形成された誘電体層と、前記Ga基板上の、前記誘電体層に覆われていない部分から成長して前記Ga基板及び前記誘電体層上に形成された窒化物半導体層と、を有し、前記窒化物半導体層は、X線ロッキングカーブの半値幅が400秒以下である結晶積層構造体。
[2]前記窒化物半導体層は、X線ロッキングカーブの半値幅が300秒より大である、前記[1]に記載の結晶積層構造体。
[3]前記誘電体層がSiNを主成分とするSiN層であり、前記Ga基板との屈折率の差が0.15以下である、前記[1]あるいは[2]に記載の結晶積層構造体。
[4]前記窒化物半導体層がGaN層である、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の結晶積層構造体。
[5]前記誘電体層の厚さが0.5μm以上である、前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の結晶積層構造体。
また、本発明の他の態様は、上記目的を達成するために、[6]の発光素子を提供する。
[6]前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の結晶積層構造体を含み、前記Ga基板及び前記窒化物半導体層に通電する発光素子。
本発明によれば、光出力が高い発光素子を実現することのできる、Ga基板と窒化物半導体層とを有する結晶積層構造体、及びその結晶積層構造体を含む発光素子を提供することができる。
図1は、第1の実施の形態に係る結晶積層構造体の垂直断面図である。 図2(a)〜(d)は、第1の実施の形態に係る結晶積層構造体の製造工程を表す垂直断面図である。 図3(a)は、第1の実施の形態に係る結晶積層構造体の窒化物半導体層形成前のSEM写真であり、図3(b)、(c)は、窒化物半導体層形成後のSEM写真である。 図4(a)は、比較例に係る結晶積層構造体の窒化物半導体層形成前のSEM写真であり、図4(b)、(c)は、窒化物半導体層形成後のSEM写真である。 図5は、第1の実施の形態及び比較例に係る結晶積層構造体の窒化物半導体層のX線ロッキングカーブの半値幅を示すグラフである。 図6は、第1の実施の形態及び比較例に係る結晶積層構造体の誘電体層がSiN層である場合の縦方向の電流−電圧特性を示すグラフである。 図7は、電流−電圧特性の測定のための電極を接続した結晶積層構造体の垂直断面図である。 図8は、第2の実施の形態に係る発光素子の垂直断面図である。 図9は、第2の実施の形態及び比較例に係る発光素子の誘電体層がSiN層である場合の縦方向の電流−電圧特性を示すグラフである。 図10は、第2の実施の形態及び比較例に係る発光素子の光出力特性を示すグラフである。 図11は、光学シミュレーションにより求めた誘電体層の材料と発光素子の光取出効率の関係の一例を表すグラフである。
Ga基板と窒化物半導体層とを有する結晶積層構造体を形成する場合、Ga基板と窒化物半導体層との界面におけるGa基板と窒化物半導体層の屈折率の違いによる光の反射を低減するためには、Ga基板の凹凸パターンが形成された面上に窒化物半導体結晶を成長させる方法が考えられる。
しかしながら、本発明者等は、Ga基板の凹凸パターンが形成された面上に窒化物半導体結晶を成長させた場合、結晶品質の高い窒化物半導体層が得られないという知見を得た。この理由の一つとして、品質の高い窒化物半導体結晶を成長させることのできるGa結晶の結晶面が限られていることが考えられる。Ga基板の上面に凹凸パターンを形成すると、品質の高い窒化物半導体結晶の成長の下地に適さない結晶面を含む様々な結晶面が現れるため、結晶品質の高い窒化物半導体層が得られない。
そこで、この様な問題を回避するため、本発明者等は、鋭意研究の結果、下記実施の形態を一例とするような発明に至ったものである。
〔第1の実施の形態〕
(結晶積層構造体の構造)
図1は、第1の実施の形態に係る結晶積層構造体の垂直断面図である。結晶積層構造体1は、Ga基板2と、Ga基板2上の誘電体層3と、誘電体層3上の窒化物半導体層4を含む。
Ga基板2は、β−Ga単結晶からなる。Ga基板2の上面は、凹凸のない平坦な面であり、品質の高い窒化物半導体結晶の成長の下地となることのできる、(101)、(−201)、(100)等の面方位を有する面である。Ga基板2の屈折率は、およそ1.9である。
誘電体層3は、SiNを主成分とするSiN層やHfOを主成分とするHfO層等の、Ga基板2との屈折率の差が0.15以下である誘電体層である。例えば、Ga基板2の屈折率が1.9である場合は、誘電体層3の屈折率は1.75以上かつ2.05以下である。
誘電体層3は、Ga基板2上に、Ga基板2の上面を部分的に覆うように形成される。誘電体層3のパターン形状は限定されず、例えば、ドットパターン、ホールパターン、ラインアンドスペースパターンである。
誘電体層3の屈折率はGa基板2の屈折率に近いため、Ga基板2と誘電体層3の界面の反射率が小さい。誘電体層3がSiN層である場合は、O等のSi、N以外の元素を含んでもよいが、誘電体層3の屈折率とGa基板2の屈折率の差をより小さくするためには、ほぼSiNのみからなることが好ましい。
また、誘電体層3からGa基板2へ向かう光の全反射を防ぐために、誘電体層3の屈折率は、Ga基板2の屈折率以下であることが好ましい。
誘電体層3の成膜温度等の形成条件を制御することにより、誘電体層3の屈折率を調整して、誘電体層3の屈折率とGa基板2の屈折率の差をより小さくすることができる。
なお、例えば、誘電体層3の代わりにGa基板2との屈折率の差が大きいSiO層を形成した場合、SiO層とGa基板2の界面の反射率が大きく、Ga基板2と窒化物半導体層4の間の光透過率が低くなる。SiO層の屈折率はおよそ1.5〜1.6であり、Ga基板2の屈折率との差が0.3以上である。
窒化物半導体層4は、窒化物半導体結晶、すなわちAlGaInN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)結晶からなる。特に、窒化物半導体層4がGaN結晶(y=1、x=z=0)からなるGaN層である場合、本実施の形態の結晶積層構造体1の構成において、窒化物半導体層4の結晶品質を高くすることができる。
窒化物半導体層4は、異なる窒化物半導体結晶からなる複数の層を積層した多層構造を有してもよい。例えば、結晶積層構造体1を用いて発光素子を形成する場合、発光層及びそれを挟むクラッド層等を窒化物半導体層4により構成することができる。
なお、Ga基板2及び窒化物半導体層4は、Si等の導電型不純物を含んでもよい。
窒化物半導体層4は、Ga基板2の上面を下地とするエピタキシャル結晶成長により形成されるため、誘電体層3がGa基板2の上面を完全に覆うことはない。窒化物半導体層4は、誘電体層3、及びGa基板2の上面の誘電体層3に覆われていない部分に接触する。
窒化物半導体層4を構成する窒化物半導体結晶は、Ga基板2の上面の誘電体層3に覆われていない領域から成長し、誘電体層3からは成長しない。このように、窒化物半導体層4は窒化物半導体結晶の選択成長により形成されるため、窒化物半導体層4中の転位密度が低減され、結晶品質が向上する。なお、このような選択成長を用いた結晶成長方法はELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)などと呼ばれる。
窒化物半導体層4から誘電体層3に入射する光の波長によって、透過率を向上させるための誘電体層3の厚さが決定される。誘電体層3の厚さはこの波長よりも大きいことが望ましい。例えば、誘電体層3がSiN層である結晶積層構造体1を用いて、発光波長が400nm程度である発光層が窒化物半導体層4に含まれる発光素子を形成する場合、誘電体層3の厚さが0.5μm以上であることが好ましい。
結晶積層構造体1においては、窒化物半導体層4と誘電体層3の間では、誘電体層3の凹凸形状のため光が透過しやすい。また、誘電体層3とGa基板2との間では、誘電体層3とGa基板2の屈折率の差が小さいため光が透過しやすい。このため、結晶積層構造体1における窒化物半導体層4とGa基板2の間の光の透過率が高い。
(結晶積層構造体の製造方法)
以下に、本実施の形態の結晶積層構造体の製造工程の一例として、誘電体層3がSiN層である場合の製造工程の例について説明する。
図2(a)〜(d)は、第1の実施の形態に係る結晶積層構造体の製造工程を表す垂直断面図である。
まず、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理されたGa基板2に有機洗浄、SPM(Sulfuric acid/ hydrogen peroxide mixture)洗浄、及びHF液による洗浄を施す。
次に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置のチャンバー内にGa基板2を搬送する。
次に、図2(a)に示されるように、Ga基板2上に膜状の誘電体層3を形成する。この膜状の誘電体層3は、チャンバー内の温度を300〜350℃に保持した状態で、Siの原料としてのSiH、Nの原料としてのNHガス、及び雰囲気ガスとしてのNガスをチャンバー内に供給して、SiNをGa基板2上に体積させることにより形成される。この段階では、誘電体層3はほぼ均一の1μm程度の厚さを有する膜である。なお、それぞれの元素の原料は上記のものに限られない。
次に、図2(b)に示されるように、誘電体層3上にレジストパターン5を形成する。レジストパターン5のパターン形状は、例えば、ドットの直径が2μm、ピッチが3μmのドットパターンである。また、ホールパターン、ラインアンドスペースパターン等の他のパターンであってもよい。レジストパターン5は、例えば、フォトリソグラフィにより形成される。
次に、図2(c)に示されるように、レジストパターン5をマスクとして誘電体層3にBHF(バッファドフッ酸)によりエッチングを施し、レジストパターン5のパターンを誘電体層3に転写する。
次に、図2(d)に示されるように、残ったレジストパターン5を除去する。その後、Nの原料としてのNHガス、Gaの原料としてのトリメチルガリウム(TMG)ガス、Alの原料としてのトリメチルアルミニウム(TMA)ガス、及びInの原料としてのトリメチルインジウム(TMI)ガスをチャンバー内に供給して、窒化物半導体結晶であるAlGaInN結晶をGa基板2上に選択成長させ、窒化物半導体層4を形成する。これにより、結晶積層構造体1が得られる。
以下に、窒化物半導体層4がAlGaInN系結晶からなるバッファ層とその上のGaN層からなる場合の具体的な製造方法の例を示す。まず、有機洗浄及びSPM洗浄によりGa基板2及び誘電体層3からなる構造体の表面を清浄化し、MOCVD装置に投入する。次に、Nの原料としてNH3、Gaの原料としてトリメチルガリウム(TMG)、Alの原料としてトリメチルアルミニウム(TMA)、Inの原料としてトリメチルインジウム(TMI)、n型不純物としてSiを用いて、基板表面の温度を500℃付近に保持して、低温AlGaNバッファ層を形成する。その後、基板表面の温度を1000℃付近にまで上昇させて初期n−GaN核の形成を行い、そのまま2μmほど成長させる。そして基板表面を1100℃付近まで上昇させて、厚さ2μmのn−GaN層を形成し、窒化物半導体層4を得る。
(結晶積層構造体の特性)
図3(a)は、第1の実施の形態に係る結晶積層構造体の窒化物半導体層形成前のSEM(Scanning Electron Microscope)写真であり、図3(b)、(c)は、窒化物半導体層形成後のSEM写真である。
図3(a)はGa基板2と誘電体層3としてのSiN層を示しており、図3(b)、(c)は窒化物半導体層4としての上面の面方位が(002)であるGaN層を示している。
図4(a)は、比較例に係る結晶積層構造体の窒化物半導体層形成前のSEM写真であり、図4(b)、(c)は、窒化物半導体層形成後のSEM写真である。
図4に示される比較例に係る結晶積層構造体は、誘電体層3が形成される代わりに、Ga基板2の上面が凹凸加工されている。図4(a)は上面が凹凸加工されたGa基板2を示しており、図4(b)、(c)は本実施の形態の窒化物半導体層4に対応する上面の面方位が(002)であるGaN層を示している。
図3(a)及び図4(a)は、Ga基板2の上面を斜め上方から写した写真である。図3(a)の円錐台形状の物体は、誘電体層3を構成するドットパターンに形成されたSiNである。図4(a)の円錐台形状の物体は、ドットパターンに加工されたGa基板2の上面の凸部分である。
図3(b)、(c)は、本実施の形態に係る窒化物半導体層4の上面が平坦であり、窒化物半導体層4の結晶品質が高いことを示している。一方、図4(b)、(c)に示される色の濃い部分は結晶の異常成長した部分であり、比較例の窒化物半導体層の結晶品質が悪いことがわかる。この結果は、Ga基板2の上面に凹凸パターンを形成するよりも、Ga基板2の平坦な上面上に誘電体層3を形成した方が、異常成長することなく結晶品質の高い窒化物半導体層が得られることを表している。
図5は、第1の実施の形態及び比較例に係る結晶積層構造体の窒化物半導体層のX線ロッキングカーブの半値幅を示すグラフである。
図5に示される比較例に係る結晶積層構造体は、第1の実施の形態に係る結晶積層構造体1と異なり、誘電体層3を含まず、Ga基板2と窒化物半導体層のみから構成される。
図5に係る測定に用いられた第1の実施の形態の誘電体層3はSiN層である。また、第1の実施の形態の窒化物半導体層4、比較例の窒化物半導体層は、いずれも、GaN結晶からなり、上面の面方位が(002)である。
図5の左側の「誘電体層あり」が第1の実施の形態に係る結晶積層構造体1の測定値であり、右側の「誘電体層なし」が比較例に係る結晶積層構造体の測定値である。
図5には、(002)面、および(002)面に垂直な(101)面のX線ロッキングカーブの半値幅がそれぞれマーク“□”、“◇”で示されている。(002)面のX線ロッキングカーブの半値幅は、窒化物半導体層の上面に平行な面の配向を評価し、(101)面のX線ロッキングカーブの半値幅は、窒化物半導体層の上面に垂直な面の配向を評価することができる。
図5に示されるように、(002)面のX線ロッキングカーブの半値幅、(101)面のX線ロッキングカーブの半値幅ともに、誘電体層3を有さない比較例に係る結晶積層構造体よりも誘電体層3を有する第1の実施の形態に係る結晶積層構造体1において狭くなり、とくに(101)面においては顕著である。この結果は、誘電体層3を設けることにより、窒化物半導体層の結晶品質が向上することを表している。
図6は、第1の実施の形態及び比較例に係る結晶積層構造体の誘電体層がSiN層である場合の縦方向(垂直方向)の電流−電圧特性を示すグラフである。図6の横軸は電圧(V)、縦軸は電流密度(A/cm)を示す。
図6に係る測定に用いられた第1の実施の形態の誘電体層3はSiN層である。誘電体層3がSiN層である場合に、特に優れた結晶積層構造体1の縦方向(垂直方向)の電流−電圧特性が得られることが確認されている。
図6に示される比較例に係る結晶積層構造体は、第1の実施の形態に係る結晶積層構造体1と異なり、SiN層である誘電体層3を含まず、Ga基板と窒化物半導体層のみから構成される。また、第1の実施の形態の窒化物半導体層4、比較例の窒化物半導体層は、いずれも、GaN結晶からなり、上面の面方位が(002)である。
図6の「SiN層あり」が第1の実施の形態に係る結晶積層構造体1の測定値であり、「SiN層なし」が比較例に係る結晶積層構造体の測定値である。
図6に示される電流−電圧特性は、Ga基板と窒化物半導体層の表面にそれぞれ電極を接続し、結晶積層構造体の縦方向に電圧を印加して測定した。図7に、結晶積層構造体1のGa基板2と窒化物半導体層4に電極を接続した様子を示す。Ga基板2と窒化物半導体層4に、それぞれ電極6a、6bを接続した。比較例に係る結晶積層構造体へも、同様に電極を接続した。
図6は、SiN層である誘電体層3を有さない比較例に係る結晶積層構造体においては、Ga基板2と窒化物半導体層との界面に電位障壁が存在し、一方、SiN層である誘電体層3を有する第1の実施の形態に係る結晶積層構造体1においては、Ga基板2と窒化物半導体層4との界面に電位障壁が存在せず、Ga基板2と窒化物半導体層4とがオーミック接合していることを示している。この結果は、SiN層である誘電体層3を設けることにより、結晶積層構造体1の縦方向の電気抵抗が低減することを示している。
上記の図3、図5、図6の写真又は測定に用いられた第1の実施の形態に係るSiN層である誘電体層3は、プラズマCVD装置(PD−220/サムコ(株)製)により、SiHガス、NHガス、Nガスをプロセスガスとして用いて、300℃の成膜温度で形成され、屈折率は1.89であった。
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態によれば、誘電体層3が形成されたGa基板2の上面上に窒化物半導体層4を形成することにより、窒化物半導体層4とGa基板2の間の光の透過率を向上させることができる。また、窒化物半導体層4の結晶品質を向上させ、特に誘電体層3がSiN層である場合は、Ga基板2と窒化物半導体層4をオーミック接合させることができる。また、窒化物半導体層4がGaN層である場合は、本実施の形態により結晶品質を向上させることができる。
〔第2の実施の形態〕
(発光素子の構造)
第2の実施の形態は、第1の実施の形態の結晶積層構造体1を含む発光素子についての形態である。以下に、その発光素子の一例について説明する。
図8は、第2の実施の形態に係る発光素子の垂直断面図である。発光素子100は、Ga基板12と、Ga基板12上の誘電体層13と、誘電体層13上のn型クラッド層14と、n型クラッド層14上の発光層15と、発光層15上のp型クラッド層16と、p型クラッド層16上のコンタクト層17と、コンタクト層17上のp型電極18と、Ga基板12の誘電体層13と反対側の面上のn型電極19とを有するLED素子である。
Ga基板12及び誘電体層13は、それぞれ第1の実施の形態のGa基板2、誘電体層3に相当する。また、n型クラッド層14が窒化物半導体結晶からなるため、少なくともn型クラッド層14が第1の実施の形態の窒化物半導体層4に相当する。n型クラッド層14上の層が窒化物半導体結晶からなる場合は、n型クラッド層14及びその上の窒化物半導体結晶からなる層が窒化物半導体層4に相当する。例えば、n型クラッド層14、発光層15、p型クラッド層16、及びコンタクト層17が窒化物半導体結晶からなる場合は、これら全てが窒化物半導体層4に相当する。
発光素子100は、垂直駆動型の発光素子であり、動作時にGa基板12及び窒化物半導体層4に相当する上記の層に通電する。
発光素子100は、第1の実施の形態に係る結晶積層構造体1を用いて形成されるため、Ga基板2に相当するGa基板12と窒化物半導体層4に相当するn型クラッド層14を含む層との間の光の透過率が高い。このため、発光素子100がGa基板12側から光を取り出すフェイスダウン型の発光素子である場合、発光層15から発せられてGa基板12に向かう光を効率よく透過させ、高い光出力を得ることができる。
また、発光素子100がコンタクト層17側から光を取り出すフェイスアップ型の発光素子である場合、発光層15から発せられてGa基板12に向かう光がn型クラッド層14とGa基板12との界面で反射し、発光層15等に吸収されることを抑制できる。これにより、高い光出力を得ることができる。
(発光素子の特性)
以下に、本実施の形態に係る発光素子100の電流−電圧特性、及び光出力特性を比較例に係る発光素子の特性と比較して説明する。
これらの電流−電圧特性、及び光出力特性の測定に用いた発光素子100の具体的な構成を次に示す。
Ga基板12は、厚さが400μm、上面の面方位が(−201)のn型のβ−Ga基板である。誘電体層13は、厚さが1μm、屈折率が1.89、被覆率(Ga基板12の上面の窒化物半導体層14の直下の領域を誘電体層13が被覆する割合)が15%のSiN層である。n型クラッド層14は、厚さ6μmのn型のGaN結晶膜である。発光層15は、厚さ2.8nmのGaN結晶膜と厚さ12nmのInGaN結晶膜とを交互に積層して形成される、7層のGaN結晶膜と7層のInGaN結晶膜で構成される層である。p型クラッド層16は、厚さ0.2μmのp型のGaN結晶膜である。コンタクト層17は、厚さ0.15μmのp型のGaN結晶膜である。
比較例に係る発光素子の構成は、発光素子100の構成から誘電体層13を省いたものである。
図9は、第2の実施の形態及び比較例に係る誘電体層がSiN層である場合の発光素子の縦方向の電流−電圧特性を示すグラフである。図9の横軸は電圧(V)、縦軸は電流(mA)を示す。
図9に係る測定に用いられた第2の実施の形態の誘電体層13はSiN層である。誘電体層13がSiN層である場合に、特に優れた発光素子100の縦方向(垂直方向)の電流−電圧特性が得られることが確認されている。
図9に示されるように、SiN層である誘電体層13を有する本実施の形態に係る発光素子100の方が、SiN層である誘電体層13を有さない比較例に係る発光素子よりも、特定の電流を流すために必要な電圧が小さい。この結果は、SiN層である誘電体層13を設けることにより、発光素子の駆動電圧を低減できることを表している。
図10は、第2の実施の形態及び比較例に係る発光素子の光出力特性を示すグラフである。図10の横軸は発光波長(nm)、縦軸は光出力(任意単位)を示す。この測定では、発光素子100のp型電極18側をマウントに実装し、全光束測定を行った。
図10は、誘電体層13を有する本実施の形態に係る発光素子100の方が、誘電体層13を有さない比較例に係る発光素子よりも、光出力が大きいことを示している。この結果は、誘電体層13を設けることにより、発光素子の光出力を向上できることを示している。
以上の結果は、誘電体層13を設けることにより、窒化物半導体層4に相当するn型クラッド層14、発光層15、p型クラッド層16、及びコンタクト層17の結晶品質が向上したこと、Ga基板12とn型クラッド層14との界面の反射率が低減したこと等によるものと考えられる。また、誘電体13としてSiN層を用いているために、Ga基板12とn型クラッド層14がオーミック接合することも大きく寄与している。
図11は、光学シミュレーションにより求めた誘電体層の材料と発光素子の光取出効率の関係の一例を表すグラフである。
この光学シミュレーションにおいては、Ga基板12の屈折率が1.9であり、誘電体層13に対応する誘電体層が直径2μm、ピッチ3μm、高さ1μmのドットパターンから構成され、発光層から発せられた光をGa基板12側から取り出すものとした。ここで、誘電体層として、SiO層(n=1.46)、SiN層(n=1.9)、及びZnO層(n=2.2)を用いた。このうち、SiN層のみが本実施の形態の誘電体層13の屈折率の条件を満たす。
図11の光取出効率は、本実施の形態の発光素子100において、誘電体層13の代わりに同じ形状の凹凸をGa基板12の表面に形成した場合の光取出効率を基準として規格化したものである。ただし、この基準となる光取出効率は、表面に凹凸が形成されたGa基板12上に結晶品質のよいn型クラッド層14、発光層15、p型クラッド層16、及びコンタクト層17が形成されたと仮定した場合の理論値である。実際には、図4を用いて説明したように、表面に凹凸が形成されたGa基板上に結晶品質のよい窒化物半導体層を形成することは困難であるため、結晶品質のよいn型クラッド層14、発光層15、p型クラッド層16、及びコンタクト層17を得ることは困難である。
図11は、誘電体層13の屈折率の条件を満たすSiN層を誘電体層として用いた場合に、最も光取出効率が高くなることを示している。
また、光学シミュレーションによれば、誘電体層の屈折率が1.75以上かつ2.05以下であるとき、すなわちGa基板12との屈折率差が0.15以下であるときに、光取出効率が基準値のおよそ98.5%以上になることが求まる。
(第2の実施の形態の効果)
第2の実施の形態によれば、窒化物半導体層4の結晶品質が高く、Ga基板2と窒化物半導体層4がオーミック接合した第1の実施の形態の結晶積層構造体1を用いることにより、光出力が高く、かつ駆動電圧が低い発光素子100を得ることができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。
また、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1…結晶積層構造体、 2、12…Ga2O3基板、 3、13…誘電体層、 4…窒化物半導体層、 100…発光素子

Claims (6)

  1. Ga基板と、
    前記Ga基板上に、前記Ga基板の上面を部分的に覆うように形成された誘電体層と、
    前記Ga基板上の、前記誘電体層に覆われていない部分から成長して前記Ga基板及び前記誘電体層上に形成された窒化物半導体層と、を有し、
    前記窒化物半導体層は、X線ロッキングカーブの半値幅が400秒以下である結晶積層構造体。
  2. 前記窒化物半導体層は、X線ロッキングカーブの半値幅が300秒より大である、
    請求項1に記載の結晶積層構造体。
  3. 前記誘電体層がSiNを主成分とするSiN層であり、前記Ga基板との屈折率の差が0.15以下である、
    請求項1あるいは2に記載の結晶積層構造体。
  4. 前記窒化物半導体層がGaN層である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の結晶積層構造体。
  5. 前記誘電体層の厚さが0.5μm以上である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の結晶積層構造体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の結晶積層構造体を含み、
    前記Ga基板及び前記窒化物半導体層に通電する発光素子。
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