JP2014180172A - 車両用回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダイオード整流から同期整流に移行する際の同期外れを防止し、同期外れに伴うサージ電圧の発生やスイッチング素子の破損を防止するとともに高効率の整流動作を維持することができる車両用回転電機を提供すること。
【解決手段】制御回路54は、MOSトランジスタ50、51をオフしてダイオードによる整流を行うダイオード整流動作と、MOSトランジスタ50、51を所定期間オンした後にダイオードを介して通電する同期整流動作とともに、ダイオード整流動作から同期整流動作への移行時にMOSトランジスタ50、51をオンする所定期間を徐々に増加させる遷移整流動作を、MOSトランジスタ50、51をオンオフ制御して行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、乗用車やトラック等に搭載される車両用回転電機に関する。
従来から、ダイオード整流期間に合わせてMOSトランジスタ(スイッチング素子)をオンするとともにダイオード整流期間を超えてMOSトランジスタのオン状態を継続しないようにMOSトランジスタをオフした後にダイオード整流期間を確保するようにした車両用回転電機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この車両用回転電機では、MOSトランジスタについてこのMOSトランジスタをオフした後のダイオード整流期間と目標電気角との差分を算出し、この差分に補正係数を掛けた値を加算するフィードバック制御を行うことにより、着目しているMOSトランジスタのオフタイミングを決定している。
特開2012−70559号公報
ところで、特許文献1に開示された車両用回転電機等では、ダイオード整流動作中に所定の同期制御開始条件を満たしたときにMOSトランジスタをオンオフして整流する同期整流動作に移行する。しかし、ダイオードとMOSトランジスタのそれぞれの電圧降下が異なるため、ダイオード整流によって固定子巻線から出力を取り出すことができる期間よりも、同期整流によって固定子巻線から出力を取り出すことができる期間の方が長くなる。このため、固定子巻線と磁気回路との間や、磁気回路を共有する他相の固定子巻線との間で、相互インダクタンスによる影響をおよぼし、他相の固定子巻線における起電力減少が発生し、整流可能期間の短縮が生じる。また、影響を受ける他相の固定子巻線が同期整流中の場合には、整流可能期間が短くなると、MOSトランジスタのオフタイミングが整流可能期間の終了時点よりも遅くなる同期外れが発生し、MOSトランジスタを逆流する電流を遮断するという現象が生じる。このため、サージ発生やそれに伴うMOSトランジスタの破損が生じる場合があり、整流機能の喪失につながるおそれがある。
また、MOSトランジスタを通して電流が逆流しない程度の同期外れが発生した場合であっても、MOSトランジスタをオフした後に確保されるダイオード整流期間が極端に短くなると、同期整流を終了させてダイオード整流に移行することになり、効率が低下する。
また、2組の三相巻線を用いた6相の車両用発電機では、2組の固定子巻線が磁気回路を共有している。1組の固定子巻線の各相はほぼ電圧波形が同じであるため、ダイオード整流から同期整流に移行する場合は各相がほぼ同時に移行する傾向があり、上述した相互インダクタンスの影響はさらに顕著になり、同期外れは発生しやすい。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、ダイオード整流から同期整流に移行する際の同期外れを防止し、同期外れに伴うサージ電圧の発生やスイッチング素子の破損を防止するとともに高効率の整流動作を維持することができる車両用回転電機を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の車両用回転電機は、電機子巻線とスイッチング部と制御回路とを備える。電機子巻線は、2相以上の相巻線を有する。スイッチング部は、ダイオードが並列接続されたスイッチング素子によってブリッジ回路の複数の上アームおよび下アームが構成され、電機子巻線の誘起電圧を整流する。制御回路は、スイッチング素子をオフしてダイオードによる整流を行うダイオード整流動作と、スイッチング素子を所定期間オンした後にダイオードを介して通電する同期整流動作とともに、ダイオード整流動作から同期整流動作への移行時にスイッチング素子をオンする所定期間を徐々に増加させる遷移整流動作を、スイッチング素子をオンオフ制御して行う制御回路とを備える。
ダイオード整流から同期整流に移行する際に、スイッチング素子をオンする期間を徐々に長くする遷移整流を行っているため、ダイオードとスイッチング素子のそれぞれの電圧降下に起因する整流可能期間の変化が緩やかになり、遷移整流終了後に同期整流を開始した際の同期外れを防止することができる。また、同期外れがなくなるため、同期外れに伴うサージ電圧の発生やスイッチング素子の破損を防止することができるとともに、同期外れが発生してダイオード整流に移行する頻度を減らすことにより高効率の整流動作を維持することが可能となる。
一実施形態の車両用発電機の構成を示す図である。 整流器モジュールの構成を示す図である。 制御回路の詳細構成を示す図である。 上MOS VDS検出部による電圧比較の具体例を示す図である。 下MOS VDS検出部による電圧比較の具体例を示す図である。 温度検出部による温度検出結果の具体例を示す図である。 制御部の詳細構成を示す図である。 制御部によって行う同期整流制御(同期制御)の動作タイミング図である。 車両が急加速する場合を想定した電気角の変動の様子を示す図である。 エンジン回転が変動する場合を想定した電気角の変動の様子を示す図である。 電気負荷が急激に変動する場合を想定した電気角の変動の様子を示す図である。 ドライバにおけるターンオフ遅れを想定した電気角の変動の様子を示す図である。 各種の要因の組合せを想定した電気角の変動の様子を示す図である。 同期制御開始判定を行うために必要な構成を示す図である。 ロードダンプが発生していない通常時における相電圧を示す図である。 ロードダンプが発生した後のロードダンプ保護動作時の相電圧を示す図である。 ロードダンプ保護動作時のローサイド側のMOSトランジスタのドレイン・ソース間電圧を増幅した後の電圧波形を示す図である。 同期制御開始判定の動作タイミングを示す図である。 下MOSオフタイミング演算部によって設定されたオフタイミングが遅れた場合の相電圧波形の具体例を示す図である。 出力電圧変動と上アーム・オン期間および下アーム・オン期間の関係を示す図である。 同期制御停止判定を行うために必要な構成を示す図である。 遷移整流動作を含む整流動作全体の状態遷移図である。 遷移整流の説明図である。 整流器モジュールの変形例を示す図である。 制御回路の変形例を示す図である。
以下、本発明の車両用回転電機を適用した一実施形態の車両用発電機について、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本実施形態の車両用発電機1は、2つの固定子巻線(電機子巻線)2、3、界磁巻線4、2つの整流器モジュール群5、6、発電制御装置7を含んで構成されている。2つの整流器モジュール群5、6がスイッチング部に対応する。
一方の固定子巻線2は、多相巻線(例えばX相巻線、Y相巻線、Z相巻線からなる三相巻線)であって、固定子鉄心(図示せず)に巻装されている。同様に、他方の固定子巻線3は、多相巻線(例えばU相巻線、V相巻線、W相巻線からなる三相巻線)であって、上述した固定子鉄心に、固定子巻線2に対して電気角で30度ずらした位置に巻装されている。本実施形態では、これら2つの固定子巻線2、3と固定子鉄心によって固定子が構成されている。
界磁巻線4は、固定子鉄心の内周側に対向配置された界磁極(図示せず)に巻装されて回転子を構成している。励磁電流を流すことにより、界磁極が磁化される。界磁極が磁化されたときに発生する回転磁界によって固定子巻線2、3が交流電圧を発生する。
一方の整流器モジュール群5は、一方の固定子巻線2に接続されており、全体で三相全波整流回路(ブリッジ回路)が構成され、固定子巻線2に誘起される交流電流を直流電流に変換する。この整流器モジュール群5は、固定子巻線2の相数に対応する数(三相巻線の場合には3個)の整流器モジュール5X、5Y、5Zを備えている。整流器モジュール5Xは、固定子巻線2に含まれるX相巻線に接続されている。整流器モジュール5Yは、固定子巻線2に含まれるY相巻線に接続されている。整流器モジュール5Zは、固定子巻線2に含まれるZ相巻線に接続されている。
他方の整流器モジュール群6は、他方の固定子巻線3に接続されており、全体で三相全波整流回路(ブリッジ回路)が構成され、固定子巻線3に誘起される交流電流を直流電流に変換する。この整流器モジュール群6は、固定子巻線3の相数に対応する数(三相巻線の場合には3個)の整流器モジュール6U、6V、6Wを備えている。整流器モジュール6Uは、固定子巻線3に含まれるU相巻線に接続されている。整流器モジュール6Vは、固定子巻線3に含まれるV相巻線に接続されている。整流器モジュール6Wは、固定子巻線3に含まれるW相巻線に接続されている。
発電制御装置7は、F端子を介して接続された界磁巻線4に流す励磁電流を制御する励磁制御回路であって、励磁電流を調整することにより車両用発電機1の出力電圧(各整流器モジュールの出力電圧)VB が調整電圧Vreg になるように制御する。例えば、発電制御装置7は、出力電圧VB が調整電圧Vreg よりも高くなったときに界磁巻線4への励磁電流の供給を停止し、出力電圧VB が調整電圧Vreg よりも低くなったときに界磁巻線4に励磁電流の供給を行うことにより、出力電圧VB が調整電圧Vreg になるように制御する。また、発電制御装置7は、通信端子Lおよび通信線を介してECU8(外部制御装置)と接続されており、ECU8との間で双方向のシリアル通信(例えば、LIN(Local Interconnect Network)プロトコルを用いたLIN通信)を行い、通信メッセージを送信あるいは受信する。
本実施形態の車両用発電機1はこのような構成を有しており、次に、整流器モジュール5X等の詳細について説明する。各整流器モジュール5Xは、他の整流器モジュール5Y、5Z、6U、6V、6Wと同じ構成を有している。
図2に示すように、整流器モジュール5Xは、2つのMOSトランジスタ50、51、制御回路54を備えている。MOSトランジスタ50は、ソースが固定子巻線2のX相巻線に接続され、ドレインが充電線12を介して電気負荷10やバッテリ9の正極端子に接続された上アーム(ハイサイド側)のスイッチング素子である。MOSトランジスタ51は、ドレインがX相巻線に接続され、ソースがバッテリ9の負極端子(アース)に接続された下アーム(ローサイド側)のスイッチング素子である。これら2つのMOSトランジスタ50、51からなる直列回路がバッテリ9の正極端子と負極端子の間に配置され、これら2つのMOSトランジスタ50、51の接続点(P端子)にX相巻線が接続されている。また、MOSトランジスタ50、51のそれぞれのソース・ドレイン間にはダイオードが並列接続されている。このダイオードはMOSトランジスタ50、51の寄生ダイオード(ボディダイオード)によって実現されるが、別部品としてのダイオードをさらに並列接続するようにしてもよい。なお、上アームおよび下アームの少なくとも一方を、MOSトランジスタ以外のスイッチング素子を用いて構成するようにしてもよい。
図3に示すように、制御回路54は、制御部100、出力電圧検出部110、上MOS VDS検出部120、下MOS VDS検出部130、上MOS短絡故障確認部140、下MOS VDS増幅部142、通電方向判定部144、温度検出部150、電源160、ドライバ170、172を備えている。
電源160は、発電制御装置7から界磁巻線4に励磁電流が供給されるタイミングで動作を開始し、制御回路54に含まれる各素子に動作電圧を供給するとともに、励磁電流の供給が停止されたときに動作電圧の供給を停止する。この電源160の起動、停止は、制御部100からの指示に応じて行われる。
ドライバ170は、出力端子(G1)がハイサイド側のMOSトランジスタ50のゲートに接続されており、MOSトランジスタ50をオンオフする駆動信号を生成する。同様に、ドライバ172は、出力端子(G2)がローサイド側のMOSトランジスタ51のゲートに接続されており、MOSトランジスタ51をオンオフする駆動信号を生成する。
出力電圧検出部110は、例えば差動増幅器とその出力をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器によって構成されており、車両用発電機1(あるいは整流器モジュール5X)の出力端子(B端子)の電圧VB に対応するデータを出力する。なお、アナログ−デジタル変換器は、制御部100側に設けるようにしてもよい。
上MOS VDS検出部120は、B端子とP端子に接続されており、ハイサイド側のMOSトランジスタ50のドレイン・ソース間電圧VDSを検出し、検出したドレイン・ソース間電圧VDSを所定のしきい値と比較してその大小に応じた信号を出力する。図4において、横軸はドレイン側の出力電圧VB を基準としたドレイン・ソース間電圧VDSを示している。また、縦軸は上MOS VDS検出部120から出力される信号の電圧レベルを示している。図4に示すように、相電圧VP が高くなって出力電圧VB よりも0.3V以上高くなるとVDSが0.3V以上になるため、上MOS VDS検出部120の出力信号がローレベル(0V)からハイレベル(5V)に変化する。その後、相電圧VP が出力電圧VB よりも1.0V以上低くなるとVDSが−1.0V以下になるため、上MOS VDS検出部120の出力信号がハイレベルからローレベルに変化する。
上述した出力電圧VB よりも0.3V高い値が図8のしきい値V10に対応している。このしきい値V10は、ダイオード通電期間の開始時点を確実に検出するためのものであり、出力電圧VB にオン時のMOSトランジスタ50のドレイン・ソース間電圧VDSを加算した値よりも高く、出力電圧VB にMOSトランジスタ50と並列接続されたダイオードの順方向電圧VFを加算した値よりも低い値に設定されている。また、上述した出力電圧VB よりも1.0V低い値が図8のしきい値V20に対応している。このしきい値V20は、ダイオード通電期間の終了時点を確実に検出するためのものであり、出力電圧VB よりも低い値に設定されている。相電圧VP がしきい値V10に達した後にしきい値V20に達するまでを上アームの「オン期間」としている。なお、このオン期間は、MOSトランジスタ50がオフ状態のときに実際にダイオードに通電される「ダイオード通電期間」とは開始時点と終了時点がずれているが、本実施形態の同期制御はこのオン期間に基づいて行われる。
下MOS VDS検出部130は、P端子とグランド端子(E端子)に接続されており、ローサイド側のMOSトランジスタ51のドレイン・ソース間電圧VDSを検出し、検出したドレイン・ソース間電圧VDSを所定のしきい値と比較してその大小に応じた信号を出力する。図5において、横軸はドレイン側のバッテリ負極端子電圧であるグランド端子電圧VGND を基準としたドレイン・ソース間電圧VDSを示している。また、縦軸は下MOS VDS検出部130から出力される信号の電圧レベルを示している。図5に示すように、相電圧VP が低くなってグランド電圧VGND よりも0.3V以上低くなるとVDSが−0.3V以下になるため、下MOS VDS検出部130の出力信号がローレベル(0V)からハイレベル(5V)に変化する。その後、相電圧VP がグランド電圧VGND よりも1.0V以上高くなるとVDSが1.0V以上になるため、下MOS VDS検出部130の出力信号がハイレベルからローレベルに変化する。
上述したグランド電圧VGND よりも0.3V低い値が図8のしきい値V11に対応している。このしきい値V11は、ダイオード通電期間の開始時点を確実に検出するためのものであり、グランド電圧VGND からオン時のMOSトランジスタ51のドレイン・ソース間電圧VDSを減算した値よりも低く、グランド電圧VGND からMOSトランジスタ51と並列接続されたダイオードの順方向電圧VFを減算した値よりも高い値に設定されている。また、上述した出力電圧VGND よりも1.0V高い値が図8のしきい値V21に対応している。このしきい値V21は、ダイオード通電期間の終了時点を確実に検出するためのものであり、グランド電圧VGND よりも高い値に設定されている。相電圧VP がしきい値V11に達した後にしきい値V21に達するまでを下アームの「オン期間」としている。なお、このオン期間は、MOSトランジスタ51がオフ状態のときに実際にダイオードに通電される「ダイオード通電期間」とは開始時点と終了時点がずれているが、本実施形態の同期整流はこのオン期間に基づいて行われる。
温度検出部150は、例えばMOSトランジスタ50、51に隣接配置された感温ダイオードの順方向電圧に基づいてMOSトランジスタ50、51の温度を検出し、温度が高いときにハイレベル、低いときにローレベルの信号を出力する。この温度検出部150は、制御部100に含ませるようにしてもよい。図6において、横軸は温度(°C)を示している。また、縦軸は温度検出部150から出力される信号の電圧レベルを示している。図6に示すように、温度が上昇していって200°C以上になると、温度検出部150の出力信号がローレベル(0V)からハイレベル(5V)に変化する。その後、温度が低下していって170°Cよりも低くなると、温度検出部150の出力信号がハイレベルからローレベルに変化する。
上MOS短絡故障確認部140は、ハイサイド側のMOSトランジスタ50のドレイン・ソース間の短絡故障が生じていないことを確認する。この短絡故障には、MOSトランジスタ50自身が故障した場合の他に、このMOSトランジスタ50を駆動するドライバ170が故障してMOSトランジスタ50が常時オンされる場合も含まれる。MOSトランジスタ50やドライバ170に故障が生じていない場合には、相電圧VP は、出力電圧VB とグランド電圧VGND の間で周期的に変化する。一方、MOSトランジスタ50のドレイン・ソース間が常時短絡された状態になると、相電圧VP は、出力電圧VB 近傍で固定される。上MOS短絡故障確認部140は、相電圧VP が周期的に変化していることを検出することにより、MOSトランジスタ50のドレイン・ソース間の短絡故障が生じていないことを確認し、出力をローレベルとする。反対に、MOSトランジスタ50のドレイン・ソース間の短絡故障が生じている場合には、上MOS短絡故障確認部140は、出力をハイレベルにする。
下MOS VDS増幅部142は、オン時のローサイド側のMOSトランジスタ51のドレイン・ソース間電圧VDSを、例えば5倍(−0.5V〜+0.5V)に増幅する(図15C)。通電方向判定部144は、下MOS VDS増幅部142によって増幅された後のドレイン・ソース間電圧VDSに基づいて、MOSトランジスタ51に流れる電流の向きを判定する。具体的には、通電方向判定部144は、例えば+0.35Vに設定されたしきい値電圧と、増幅後のドレイン・ソース間電圧VDSとを比較し、しきい値電圧の方が高いとき(図15Cの範囲W)にハイレベルの信号を出力し、それ以外のときにローレベルの信号を出力する。
制御部100は、同期整流動作を開始および終了するタイミングの判定、同期整流を実施するためのMOSトランジスタ50、51のオン/オフタイミングの設定、このオン/オフタイミングの設定に対応したドライバ170、172の駆動、ロードダンプ保護動作移行タイミングの判定および保護動作の実施などを行う。
図7に示すように、制御部100は、回転数演算部101、同期制御開始処理部102、上MOSオンタイミング判定部103、下MOSオンタイミング判定部104、目標電気角設定部105、上MOS・TFB時間演算部106、上MOSオフタイミング演算部107、下MOS・TFB時間演算部108、下MOSオフタイミング演算部109、ロードダンプ保護判定部111、電源起動・停止判定部112、オフタイミング異常判定部121、同期制御停止判定部122、過熱保護部123を備えている。これらの各構成は、例えばメモリ等に記憶された所定の動作プログラムをCPUで実行することにより実現されるが、各構成をハードウエアを用いて実現するようにしてもよい。また、各構成の具体的な動作内容については後述する。
本実施形態の整流器モジュール5X等はこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。
(1)電源起動・停止判定
電源起動・停止判定部112は、P端子に接続されており、整流器モジュール5Xが接続された固定子巻線2のX相の相電圧(ピーク電圧)が所定値(例えば5V)を超えたことを検出したときに、電源160に起動を指示する。また、電源起動・停止判定部112は、この相電圧が所定値(5V)以下になった状態が所定時間(例えば1秒)継続したときに電源160に停止を指示する。このようにして車両用発電機1の発電時のみ整流器モジュール5X等を動作させており、発電せずに停止している場合に、必要最小限の回路しか動作させないため、暗電流を低減し、バッテリ上がりを防止することができる。
(2)同期制御動作
同期整流制御(同期制御)の動作タイミングを示す図8において、「上アーム・オン期間」は上MOS VDS検出部120の出力信号を、「上MOSオン期間」はハイサイド側のMOSトランジスタ50のオン/オフタイミングを、「下アーム・オン期間」は下MOS VDS検出部130の出力信号を、「下MOSオン期間」はローサイド側のMOSトランジスタ51のオン/オフタイミングをそれぞれ示している。また、TFB1 、TFB2 、目標電気角、ΔTについては後述する。
上MOSオンタイミング判定部103は、上MOS VDS検出部120の出力信号(上アーム・オン期間)を監視しており、この出力信号のローレベルからハイレベルへの立ち上がりをハイサイド側のMOSトランジスタ50のオンタイミングとして判定し、ドライバ170に指示を送る。ドライバ170は、この指示に応じてMOSトランジスタ50をオンする。
上MOSオフタイミング演算部107は、MOSトランジスタ50がオンされてから所定時間経過後をMOSトランジスタ50のオフタイミングとして判定し、ドライバ170に指示を送る。ドライバ170は、この指示に応じてMOSトランジスタ50をオフする。
このオフタイミングを決定する所定時間は、上アーム・オン期間の終了時点(上MOS VDS検出部120の出力信号がハイレベルからローレベルに立ち下がる時点)よりも「目標電気角」だけ早くなるように、その都度可変設定される。
この目標電気角は、MOSトランジスタ50を常時オフしてダイオードを通して整流を行う場合を考えたときに、このダイオード整流における通電期間の終了時点よりもMOSトランジスタ50のオフタイミングが遅くならないようにするためのマージンであり、目標電気角設定部105によって設定される。目標電気角設定部105は、回転数演算部101によって演算された回転数に基づいて目標電気角を設定する。この目標電気角は、回転数に関係なく一定でもよいが、より望ましくは、低回転領域および高回転領域において目標電気角を大きく、その中間領域において目標電気角を小さく設定するようにしてもよい。目標電気角の設定方法の具体例については後述する。
回転数演算部101は、下MOS VDS検出部130の出力信号の立ち上がり周期あるいは立ち下がり周期に基づいて回転数を演算している。下MOS VDS検出部130の出力信号を用いることにより、車両用発電機1の出力電圧VB の変動に関係なく、安定した回転数検出が可能になる。
同様に、下MOSオンタイミング判定部104は、下MOS VDS検出部130の出力信号(下アーム・オン期間)を監視しており、この出力信号のローレベルからハイレベルへの立ち上がりをローサイド側のMOSトランジスタ51のオンタイミングとして判定し、ドライバ172に指示を送る。ドライバ172は、この指示に応じてMOSトランジスタ51をオンする。
下MOSオフタイミング演算部109は、MOSトランジスタ51がオンされてから所定時間経過後をMOSトランジスタ51のオフタイミングとして判定し、ドライバ172に指示を送る。ドライバ172は、この指示に応じてMOSトランジスタ51をオフする。
このオフタイミングを決定する所定時間は、下アーム・オン期間の終了時点(下MOS VDS検出部130の出力信号がハイレベルからローレベルに立ち下がる時点)よりも「目標電気角」だけ早くなるように、その都度可変設定される。
この目標電気角は、MOSトランジスタ51を常時オフしてダイオードを通して整流を行う場合を考えたときに、このダイオード整流における通電期間の終了時点よりもMOSトランジスタ51のオフタイミングが遅くならないようにするためのマージンであり、目標電気角設定部105によって設定される。
ところで、実際には、上アーム・オン期間や下アーム・オン期間の終了時点は、MOSトランジスタ50、51をオフする時点ではわかっていないため、上MOSオフタイミング演算部107や下MOSオフタイミング演算部109は、半周期前の情報をフィードバックすることにより、MOSトランジスタ50やMOSトランジスタ51のオフタイミングの設定精度を上げている。
例えば、ハイサイド側のMOSトランジスタ50のオフタイミングは以下のようにして設定される。下MOS・TFB時間演算部108は、半周期前のローサイド側のMOSトランジスタ51をオフしてから下アーム・オン期間の終了時点までの時間(電気角)TFB2 (図8)を演算し、上MOSオフタイミング演算部107は、このTFB2 から目標電気角を差し引いたΔTを求める。回転等が安定していればTFB2 と目標電気角とが等しくなってΔT=0となるはずであるが、(1)車両の加減速に伴う回転変動、(2)エンジン回転の脈動、(3)電気負荷の変動、(4)所定のプログラムを実行して制御部100を実現する場合の動作クロック周期の変動、(5)ドライバ170、182にMOSトランジスタ50、51をオフする指示を出してから実際にオフされるまでのターンオフ遅れ、などに伴ってΔTが0にならないことが多い。
そこで、上MOSオフタイミング演算部107は、半周期前に下MOSオフタイミング演算部109で用いられた下MOSオン期間をΔTに基づいて補正して上MOSオン期間を設定し、MOSトランジスタ50のオフタイミングを決定している。具体的には、補正係数をαとしたときに、上MOSオン期間は、以下の式で設定される。
(上MOSオン期間)=(半周期前の下MOSオン期間)+ΔT×α
同様に、ローサイド側のMOSトランジスタ51のオフタイミングは以下のようにして設定される。上MOS・TFB時間演算部106は、半周期前のハイサイド側のMOSトランジスタ50をオフしてから上アーム・オン期間の終了時点までの時間(電気角)TFB1 (図8)を演算し、下MOSオフタイミング演算部109は、このTFB1 から目標電気角を差し引いたΔTを求める。下MOSオフタイミング演算部109は、半周期前に上MOSオフタイミング演算部107で用いられた上MOSオン期間をΔTに基づいて補正して下MOSオン期間を設定し、MOSトランジスタ51のオフタイミングを決定している。具体的には、補正係数をαとしたときに、下MOSオン期間は、以下の式で設定される。
(下MOSオン期間)=(半周期前の上MOSオン期間)+ΔT×α
このようにして、ダイオード整流を行う場合と同じ周期で、ハイサイド側のMOSトランジスタ50とローサイド側のMOSトランジスタ51が交互にオンされ、MOSトランジスタ50、51を用いた低損失の同期整流動作が行われる。
(3)目標電気角の設定手法
次に、目標電気角の設定手法について説明する。目標電気角は、回転数に応じた値が設定される。それは、MOSトランジスタ50、51をオフするタイミングが上アーム・オン期間や下アーム・オン期間の終了時点よりも遅くならないように同期制御を行うために必要な目標電気角の値(最小値)が回転数に依存するからである。具体的には、上述した上MOSオフタイミング演算部107や下MOSオフタイミング演算部109におけるオフタイミングの設定動作について説明したように、(A)車両の加減速に伴う回転変動、(B)エンジン回転の脈動、(C)電気負荷の変動、(D)所定のプログラムをCPUで実行して制御部100を実現する場合の動作クロック周期の変動、(E)ドライバ170、172にMOSトランジスタ50、51をオフする指示を出してから実際にオフされるまでのターンオフ遅れ、などに伴ってΔTが0にならないのと同じ理由で、必要な目標電気角の値を回転数に応じて変化させている。
上記のAのケースに対応する図9において、横軸は車両用発電機1の回転数を、縦軸は車両用発電機1の回転数が1秒間で2000rpmから16000rpmまで上昇する回転変動が生じたときに上アーム・オン期間と下アーム・オン期間の長さがどの程度変動したかを表す電気角をそれぞれ示している。なお、図9において実線で示す特性は回転子が8極の場合に、点線で示す特性は回転子が6極の場合に対応している。
図9に示すように、回転数が低いほど電気角で表したオン期間変動の程度が大きくなり、回転数が高いほど電気角で表したオン期間変動の程度が小さくなる。この特性を反映させると、低回転域になるほど目標電気角を大きな値に設定し、高回転域になるほど目標電気角を小さな値に設定する必要があるといえる。
上記のBのケースに対応する図10において、横軸は車両用発電機1の回転数を、縦軸はプーリ比を2.5として上述したエンジン回転の変動が生じたときに上アーム・オン期間と下アーム・オン期間の長さがどの程度変動したかを表す電気角をそれぞれ示している。なお、図10において実線で示す特性は回転子が8極の場合に、点線で示す特性は回転子が6極の場合に対応している。
図10に示すように、回転数が低いほど電気角で表したオン期間変動の程度が大きくなり、回転数が高いほど電気角で表したオン期間変動の程度が小さくなる。この特性を反映させると、低回転域になるほど目標電気角を大きな値に設定し、高回転域になるほど目標電気角を小さな値に設定する必要があるといえる。
上記のCのケースに対応する図11において、横軸は車両用発電機1の回転数を、縦軸は50Aの電気負荷10が切断されて出力電圧VB が13.5V〜14.0Vに変更したときに上アーム・オン期間と下アーム・オン期間の長さがどの程度変動したかを表す電気角をそれぞれ示している。なお、図11において実線で示す特性は回転子が8極の場合に、点線で示す特性は回転子が6極の場合に対応している。
図11に示すように、回転数が低いほど電気角で表したオン期間変動の程度が大きくなり、回転数が高いほど電気角で表したオン期間変動の程度が小さくなる。この特性を反映させると、低回転域になるほど目標電気角を大きな値に設定し、高回転域になるほど目標電気角を小さな値に設定する必要があるといえる。
上記のEのケースに対応する図12において、横軸は車両用発電機1の回転数を、縦軸はドライバ170、172のそれぞれにオフする指示を行ってから実際にオフされるまでのターンオフ遅れを15μ秒としたときに上アーム・オン期間と下アーム・オン期間の長さがどの程度変動したかを表す電気角をそれぞれ示している。なお、図12において実線で示す特性は回転子が8極の場合に、点線で示す特性は回転子が6極の場合に対応している。
図12に示すように、回転数が低いほど電気角で表したオン期間変動の程度が小さくなり、回転数が高いほど電気角で表したオン期間変動の程度が大きくなる。この特性を反映させると、低回転域になるほど目標電気角を小さな値に設定し、高回転域になるほど目標電気角を大きな値に設定する必要があるといえる。
また、上記以外では、クロック周期の変動を考慮する必要がある(上記のDのケースに対応する)。例えば、2MHzのシステムクロックを使用する場合にその精度が±β%、すなわちβ%の変動があるものとすると、上アーム・オン期間と下アーム・オン期間の長さの変動は、高回転域ほど大きくなり、低回転域ほど小さくなる。これは、クロックの精度は回転数に関係なく一定であるが、相電圧VP の電気角1周期分の時間は高回転域になるほど短くなるため、オン期間に占めるクロック変動分の相対的な割合が大きくなるからである。この特性を反映させると、低回転域になるほど目標電気角を小さな値に設定し、高回転域になるほど目標電気角を大きな値に設定する必要があるといえる。
上述したAからEのケースに対応する各種の要因の組合せを想定した電気角の変動の様子を示す図13において、横軸は車両用発電機1の回転数を、縦軸は各種の要因に対応した電気角変動の累積値をそれぞれ示している。なお、図13に示す特性Sは回転子が8極の場合の電気角変動の累積値である。
図13に示すように、AからEのケースに対応する各種の要因を組み合わせると、低速回転域と高速回転域において電気角変動の程度が大きくなり、中速回転域において電気角変動の程度が小さくなることがわかる。目標電気角設定部105は、この特性を反映させて、すなわち、低速回転域と高速回転域において目標電気角の値を大きく、中速回転域において目標電気角の値を小さく設定する。図13においてP、Qで示された2種類の特性は、このようにして設定された目標電気角を示している。一方のPで示された目標電気角は、回転数に応じて値が連続的に変化するようにしたものである。この場合には、回転数に応じて目標電気角の最小値を設定することが可能となる。また、他方のQで示された目標電気角は、回転数に応じて値が階段状に変化するようにしてものである。この場合には、例えば回転数に応じて変化する複数の値をテーブルの形式で記憶しておけばよいため、目標電気角の可変設定に必要な構成を簡略化することができる。
本実施形態の車両用発電機1では、目標電気角の値を回転数に応じて可変設定することにより、MOSトランジスタ50、51がオフされてからダイオードに電流が流れる期間を確保するとともにこの期間を短くすることができるため、ダイオード整流によって生じる損失を低減し、発電効率の向上を図ることが可能となる。特に、低速回転域および高速回転域では目標電気角の値を大きく、中速回転域では目標回転角の値を小さく設定することにより、目標電気角の適切な値を回転数毎に設定することができ、損失低減および発電効率の向上を各回転域で実現することができる。
また、目標電気角を連続的に変化させることにより、回転数等に応じて目標電気角の最小値を設定することが可能となり、損失を最小限に抑えて発電効率を最大とすることができる。また、目標電気角を階段状に可変することにより、目標電気角の可変設定に必要な構成を簡略化することができる。
ところで、上述した実施形態では、目標電気角の値を回転数に応じて可変設定したが、さらに温度や出力電流を回転数と組み合わせて目標電気角の値を設定するようにしてもよい。
例えば、一般に、クロック発生器が発生するクロックの周期は温度が高くなるほど変動が大きくなる。このクロック発生器が整流器モジュール5X等に内蔵されている場合を考えると、温度検出部150によって検出される温度はこのクロック発生器の温度と一致すると考えることができる。目標電気角設定部105は、温度検出部150によって検出された温度が高く、かつ、回転数に対して目標電気角が増加しているときに目標電気角を大きな値に設定し、温度が低いほど目標電気角を小さな値に設定する。温度による影響を加味することにより、さらに目標電気角の適切な値を設定することができ、さらなる損失低減および発電効率向上が可能となる。
また、一般に、出力電流が多いほど相電圧VP の上昇および下降が急峻になり、反対に出力電流が少ないほど相電圧VP の上昇および下降がなだらかになる。上述したように、上アーム・オン期間が終了する時点と実際にMOSトランジスタ50と並列なダイオードに流れる電流が停止するタイミングとはずれており、このずれの程度は、相電圧VP の変化がなだらかになる小出力時の方が顕著になる。目標電気角設定部105は、出力電流が少ないほど目標電気角を大きな値に設定し、出力電流が多いほど目標電気角を小さな値に設定する。出力電流変化による影響を加味することにより、さらに目標電気角の適切な値を設定することができ、さらなる損失低減および発電効率向上が可能となる。なお、出力電流の大小は、発電制御装置7のF端子から界磁巻線4に供給されるPWM信号のオンデューティを監視することにより判定することができる。あるいは、出力電流の大小は、例えば図2に示すMOSトランジスタ51のソースとバッテリ9の負極端子(アース)との間に電流検出用抵抗を挿入し、この電流検出用抵抗の両端電圧に基づいて判定するようにしてもよい。
(4)同期制御の開始判定
次に、上述した同期制御に移行するか否かの判定動作について説明する。整流器モジュール5X等が起動された直後や、何らかの異常が発生して同期制御を一旦停止した後は、所定の同期制御開始条件を満たす場合に同期制御に移行する。なお、本実施形態では、直ちに同期整流に移行するのではなく、上アーム・オン期間と下アーム・オン期間(図8)を徐々に長くする遷移整流動作を経て同期整流に移行している。遷移整流動作については後述する。
同期制御開始処理部102は、同期制御開始条件を満たすか否かの判定を行い、満たすと判断した場合には、遷移整流動作の制御を行った後に、同期制御開始条件を満たす旨の通知が上MOSオンタイミング判定部103と下MOSオンタイミング判定部104に送られる。以後、上述した同期制御が実施されて、MOSトランジスタ50、51が交互にオンされる。
同期制御開始条件としては、以下の(A)〜(F)が用いられる。
(A)上アーム・オン期間と下アーム・オン期間(図8)が上下連続して32回発生する。なお、32回は、8極の回転子を想定し、機械角2回転分に相当する値である。この値は、1回転に相当する値である16や、3回転以上に相当する値、あるいは機械角1回転の整数倍に相当する値以外に変更してもよい。
(B)出力電圧VB が正常範囲である7Vより高く18Vよりも低い範囲に含まれる。なお、12V系の車両システムを想定して正常範囲の下限値を7V、上限値を18Vとしたが、これらの下限値および上限値は適宜変更するようにしてもよい。また、24V系等の車両システムでは、発電電圧に合わせて下限値および上限値を変更する必要がある。
(C)MOSトランジスタ50、51について過熱状態の判定がなされていない。
(D)ロードダンプ保護動作中でない。
(E)出力電圧VB の変動が0.5V/200μ秒よりも小さい。なお、同期制御を開始したときにこの変動がどの程度許容されるかは、使用する素子やプログラムによって変化するため、この変動の許容値は、使用する素子等に応じて適宜変更するようにしてもよい。
(F)TFB1、TFB2がともに15μ秒より長い。なお、これらの期間がどの程度以下になると異常といえるかは、異常の発生原因等によって変化するため、この許容値(15μ秒)は、異常発生原因等に応じて適宜変更するようにしてもよい。また、TFB1、TFB2は、上MOS・TFB時間演算部106、下MOS・TFB時間演算部108によって同期制御動作中に演算されるものとして説明したが、同期制御開始前であってもこれらの演算は行われており、同期制御の開始判定に用いられる。
図14において、ロードダンプ保護判定部111は、出力電圧VB が20Vを超えたときに、車両用発電機1の出力端子やバッテリ端子が外れてサージ電圧が発生するロードダンプを検出し、ドライバ170、182に指示を送ってハイサイド側のMOSトランジスタ50をオフするとともに、ローサイド側のMOSトランジスタ51をオンするロードダンプ保護動作を開始する。また、ロードダンプ保護判定部111は、一旦20Vよりも高くなった出力電圧VB が低下して17Vより低くなったときに、所定期間のオフの後再度ローサイド側のMOSトランジスタ51をオンする。ロードダンプ保護判定部111は、ロードダンプ保護動作中はハイレベル、それ以外のときにローレベルとなる信号を同期制御開始処理部102に向けて出力する。
なお、ロードダンプ保護動作の開始あるいは終了時にMOSトランジスタ50、51のオン/オフによって新たなサージ電圧が発生することを避けるため、ロードダンプ保護判定部111は、図8に示す下アーム・オン期間の間にロードダンプ保護動作の開始あるいは終了を行うようにしている。
同期制御が行われる通常時には、図15Aに示すように、相電圧VP は、出力電圧VB (バッテリ9の正極端子電圧)近傍の下限値とグランド端子電圧VGND 近傍の上限値との間で周期的に変化している。一方、ロードダンプ発生時には、ハイサイド側のMOSトランジスタ50がオフされ、ローサイド側のMOSトランジスタ51がオンされ、この状態が維持される。したがって、図15Bに示すように、相電圧VP は、グランド端子電圧VGND を中心に、MOSトランジスタ51のオン時のドレイン・ソース間電圧VDSの範囲で周期的に変化するようになる。なお、図15Bに示す例では、MOSトランジスタ51のオン時のドレイン・ソース間電圧VDSが、例えば0.1Vとして図示されている。但し、このドレイン・ソース間電圧VDSは、使用するMOSトランジスタ51の仕様やゲート電圧等に応じて異なる。
図3に示した下MOS VDS増幅部142は、オン時のMOSトランジスタ51のドレイン・ソース間電圧VDSを、例えば5倍(−0.5V〜+0.5V)に増幅する(図15C)。また、通電方向判定部144は、例えば+0.35Vに設定されたしきい値電圧と、増幅後のドレイン・ソース間電圧VDSとを比較し、しきい値電圧の方が高いとき(範囲W)にハイレベルの信号を出力し、それ以外のときにローレベルの信号を出力する。
図15Cにおいて、Wで示された範囲は、通常時にローサイド側のMOSトランジスタ51がオンされるタイミングにほぼ対応している。本実施形態では、このWの範囲を、ロードダンプ保護動作を開始あるいは終了させるタイミングとしている。すなわち、このWの範囲に含まれていれば、ロードダンプ保護動作を開始するためにローサイド側のMOSトランジスタ51をオンしたときに、このMOSトランジスタ51に並列接続されたダイオードの順方向と同じ方向にMOSトランジスタ51を介して電流が流れることになるため、サージ電圧の発生を抑制することができる。また、このWの範囲に含まれていれば、ロードダンプ保護動作を終了するためにローサイド側のMOSトランジスタ51をオフする前に、このMOSトランジスタ51を介して流れる電流の向きと、オフした後に、このMOSトランジスタ51に並列接続されたダイオードを介して流れる電流の向きが同じになるため、サージ電圧の発生を抑制することができる。
なお、上述したしきい値電圧にはヒステリシス特性を持たせるようにしてもよい。例えば、ドレイン・ソース間電圧VDSの方が低い場合のしきい値電圧を+0.35Vとし、ドレイン・ソース間電圧VDSの方が高くなった後のしきい値電圧を+0.3Vとする場合が考えられる。これにより、ドレイン・ソース間電圧VDSがしきい値電圧付近で変更した場合に、通電方向判定部144の出力信号のレベルが頻繁に切り替わることを防止することができる。
B 範囲判定部113は、出力電圧検出部110によって検出された出力電圧VB が7〜18Vの範囲に含まれているか否かを判定し、含まれている場合にはローレベル、含まれていない場合(7V以下か18V以上の場合)にはハイレベルの信号を出力する。VB 変動判定部114は、出力電圧検出部110によって検出された出力電圧VB の変動が0.5V/200μ秒よりも小さいか否かを判定し、小さい場合にはローレベル、大きい場合にはハイレベルの信号を出力する。TFB時間判定部115は、上MOS・TFB時間演算部106によって検出されたTFB1 と、下MOS・TFB時間演算部108によって検出されたTFB2 のそれぞれが15μ秒よりも長いか否かを判定し、長い場合にはローレベル、以下の場合にハイレベルの信号を出力する。
過熱保護部123は、温度検出部150の出力信号に基づいて過熱状態発生の有無を判定するとともに、過熱状態発生時には過熱保護動作を行う。過熱状態になると、過熱保護部123は、その旨を示す過熱フラグをセットし、この過熱フラグに対応する出力信号をハイレベルにする。
なお、図14では、VB 範囲判定部113、VB 変動判定部114、TFB時間判定部115を同期制御開始処理部102の外部に設けたが、同期制御開始処理部102に内蔵するようにしてもよい。また、上述した例では、(A)〜(F)の全ての条件を満たす場合に同期制御を開始する場合を想定したが、(B)〜(F)の少なくとも一つと(A)とを組み合わせて同期制御開始条件としてもよい。
図16において、「カウント値」は上アーム・オン期間と下アーム・オン期間のそれぞれの立ち上がり(開始タイミング)に同期したカウント値を、「TFB時間フラグ」はTFB時間判定部115の出力を、「電圧範囲フラグ」はVB 範囲判定部113の出力を、「LDフラグ」はロードダンプ保護判定部111の出力を、「過熱フラグ」は過熱保護部123の出力を、「電圧変動フラグ」はVB 変動判定部114の出力をそれぞれ示している。
同期制御開始処理部102は、上アーム・オン期間と下アーム・オン期間のそれぞれの立ち上がりに同期したカウント動作を行い、このカウント動作のカウント値が「32」に達したときに同期制御開始を示す信号(ローレベルが同期制御開始を示し、ハイレベルが同期制御停止を示している)を上MOSオンタイミング判定部103および下MOSオンタイミング判定部104に入力する。上MOSオンタイミング判定部103および下MOSオンタイミング判定部104では、同期制御開始を示す信号が入力されると、MOSトランジスタ50、51を交互にオンする同期制御を開始する。
ところで、同期制御開始処理部102は、上アーム・オン期間と下アーム・オン期間の立ち上がりの間隔が電気角で1周期以下であること、TFB時間判定部115、VB 範囲判定部113、ロードダンプ保護判定部111、過熱保護部123、VB 変動判定部114の各出力(TFB時間フラグ、電圧範囲フラグ、LDフラグ、過熱フラグ、電圧変動フラグ)が全てローレベルであること、を条件に上述したカウント動作を継続する。反対に、同期制御開始処理部102は、カウント値が32に達するまでに、上アーム・オン期間と下アーム・オン期間の立ち上がりの間隔が電気角で1周期を超えたり、TFB時間判定部115、VB 範囲判定部113、ロードダンプ保護判定部111、過熱保護部123、VB 変動判定部114のいずれかの出力がハイレベルになった場合には、カウント値を0にリセットし、カウント動作継続の条件を満たすようになってからカウント動作を再開する。
(5)同期制御の停止判定
次に、上述した同期制御中に同期制御を停止するか否かの判定動作について説明する。同期制御停止判定部122は、同期制御中に所定の同期制御停止条件を満たすか否かの判定を行い、満たすと判断した場合にその旨の通知が同期制御開始処理部102、上MOSオンタイミング判定部103、下MOSオンタイミング判定部104、上MOSオフタイミング演算部107、下MOSオフタイミング演算部109に送られる。以後、同期制御開始処理部102によって同期制御が開始されるまで同期制御が停止される。
同期制御停止条件としては、以下の(a)〜(e)が用いられる。
(a)下MOSオフタイミング演算部109によって設定されたMOSトランジスタ51のオフタイミングから、相電圧VP が上昇していって次にMOSトランジスタ50のオンタイミングを判定するために用いられたしきい値V10に達するまでの時間が所定時間よりも短い。
この所定時間は、下MOSオフタイミング演算部109によってオフタイミングを指示してから実際にドライバ172によってMOSトランジスタ51がオフされるまでの時間、具体的には、ドライバ172によってMOSトランジスタ51をオフする際のMOSトランジスタ51の駆動能力に応じて設定される。オフタイミング異常判定部121は、この条件を満たす場合(所定時間よりも短い場合)にハイレベル、それ以外のときにローレベルとなる信号を出力する。
図17に示すように、MOSトランジスタ51をオフするタイミングが下アーム・オン期間の終了タイミングよりも遅くなると、その時点でMOSトランジスタ51を通して流れていた電流を遮断することになるため、サージ電圧が発生する。図17では、サージ電圧がSで示されている。このサージ電圧は、MOSトランジスタ51をオフした直後に発生するものである。実際に下MOSオフタイミング演算部109によってオフタイミングが指示されてからMOSトランジスタ51がオフされるまでに要する時間をt0(図17)とすると、オフタイミング遅れに伴うサージ電圧の発生を検出するために、上述した所定時間は、下MOSオフタイミング演算部109によってオフタイミングを指示してから時間t0よりもβだけ長く設定されている。このβは、時間t0経過後に発生するサージ電圧が含まれる値であって、正常に同期制御を行っているとき(オフタイミング異常が発生していないとき)に、相電圧VP が上昇していってしきい値V10に達するまでの時間よりも短い必要がある。
(b)上MOSオフタイミング演算部107によって設定されたMOSトランジスタ50のオフタイミングから、相電圧VP が低下していって次にMOSトランジスタ51のオンタイミングを判定するために用いられたしきい値V11に達するまでの時間が所定時間よりも短い。
この所定時間は、上MOSオフタイミング演算部107によってオフタイミングを指示してから実際にドライバ170によってMOSトランジスタ50がオフされるまでの時間、具体的には、ドライバ170によってMOSトランジスタ50をオフする際のMOSトランジスタ50の駆動能力に応じて設定される。オフタイミング異常判定部121は、この条件を満たす場合(所定時間よりも短い場合)にハイレベル、それ以外のときにローレベルとなる信号を出力する。
なお、上述した(a)、(b)で示された所定時間は、同じ値であってもよいが、異なる値を用いるようにしてもよい。また、これらの所定時間は、主にドライバ170、182の駆動能力に応じて設定するものであるため、回転数に関係なく一定値を用いることが望ましい。
(c)出力電圧VB の変動が0.5V/200μ秒よりも大きくなった。
なお、同期制御を継続する場合にこの変動がどの程度許容されるかは、使用する素子やプログラムによって変化するため、この同期制御の停止判定に用いられる許容値は、使用する素子等に応じて適宜変更するようにしてもよい。
例えば、出力電流が150Aから15Aに急に減少すると、図18に示すように、出力電圧VB が上昇する。この出力電圧の上昇に伴って、上アーム・オン期間は、出力変動がない場合の値T10からT11、T12(<T10)に変化する。下アーム・オン期間についても同様である。このように、上アーム・オン期間あるいは下アーム・オン期間自体が短くなると、それまでと同じ手順でオフタイミングを設定しても、MOSトランジスタ50、51のオフタイミングが上アーム・オン期間あるいは下アーム・オン期間よりも遅くなる事態が生じるため、これを回避するために上述した許容値が用いられる。同期制御開始判定でも、同様の趣旨により同じ許容値が用いられているが、この許容値は、同期制御開始判定と同期制御停止判定で異なる値を用いるようにしてもよい。
(d)ロードダンプ保護動作に移行した。
(e)MOSトランジスタ50、51の過熱状態が発生した。
図19に示す構成は、図7に示した構成の中から同期制御停止判定に必要な構成を抜き出したものである。また、VB 変動判定部114については、図14に示された同期制御開始判定用のVB 変動判定部114がそのまま同期制御停止判定においても用いられている。
図19に示すように、同期制御停止判定部122には、オフタイミング異常判定部121、VB 変動判定部114、ロードダンプ保護判定部111、過熱保護部123の各出力が入力されている。
オフタイミング異常判定部121からは、上述した同期制御停止条件(a)あるいは(b)を満たしているときにハイレベルの信号が出力される。また、VB 変動判定部114からは、出力電圧検出部110によって検出された出力電圧VB の変動が0.5V/200μ秒よりも大きく、上述した同期制御停止条件(c)を満たしているときにハイレベルの信号が出力される。また、ロードダンプ保護判定部111からは、ロードダンプ動作中であって、上述した同期制御停止条件(d)を満たしているときにハイレベルの信号が出力される。また、過熱保護部123からは、上述した同期制御停止条件(e)を満たしているとき、具体的には、過熱状態が発生して過熱フラグがセットされたときにハイレベルの信号が出力される。
同期制御停止判定部122は、オフタイミング異常判定部121、VB 変動判定部114、ロードダンプ保護判定部111、過熱保護部123の各出力信号の中で一つでもハイレベルのものが含まれている場合には、同期制御停止条件を満たしていると判断し、同期制御を停止する旨の指示が同期制御開始処理部102、上MOSオンタイミング判定部103、下MOSオンタイミング判定部104、上MOSオフタイミング演算部107、下MOSオフタイミング演算部109に送られる。
(6)遷移整流動作
次に、遷移整流動作について説明する。図20に示すように、遷移整流は、ダイオード整流から同期整流に切り替わる際に実施される。具体的には、整流器モジュール5X等が動作を開始した直後は、ダイオード整流が行われる。このダイオード整流と並行して、同期制御開始処理部102によって、同期制御開始条件を満たすか否かが判定される。満たさない場合にはダイオード整流が継続される。また、同期制御開始条件を満たす場合には直ちに同期整流を開始するのではなく、同期制御開始処理部102による遷移整流が行われる。
図21に示すように、遷移整流は、上MOSオン期間(下MOSオン期間であってもよい)を所定の初期値Tsに設定することにより行われる。上MOSオン期間および下MOSオン期間は、整流動作の所定周期毎(図21に示す例では半周期毎だが、1周期毎あるいはそれ以上の複数周期毎であってもよい)に所定の増加分ΔTaを増加することにより、徐々に増加させている。この増加は、所定値Teに達するまで繰り返される。なお、この徐々に増加する上MOSオン期間および下MOSオン期間に合わせてMOSトランジスタ50、51をオンオフする必要があるが、オンするタイミングは、同期整流の場合と同様に上MOSオンタイミング判定部103、下MOSオンタイミング判定部104によって判定され、MOSトランジスタ50、51がオンされる。また、オフするタイミングは、同期制御開始処理部102から上MOSオフタイミング演算部107、下MOSオフタイミング演算部109に指示される(あるいは、オフタイミングで同期制御開始処理部103からドライバ170、172に指示を送り、MOSトランジスタ50、51を直接オフするようにしてもよい)。
上述した増加分ΔTaは、所定周期毎に増加したが、所定時間毎に増加するようにしてもよい。また、上述した初期値Tsおよび増加分ΔTaの少なくとも一方は、固定値を用いる場合の他に、回転数、発電電流、MOSトランジスタ50、51の温度のいずれか、あるいは、2以上の組み合わせに基づいて可変設定するようにしてもよい。なお、出力電流を検出する構成については、後述する図22や図23に示された構成を用いることができる。
このような遷移整流と並行して、同期制御停止判定部122によって、同期制御停止条件を満たすか否かが判定される。満たす場合には遷移整流が中止され、直ちにダイオード整流に移行する。また、同期制御停止条件を満たさない場合には、同期制御開始処理部102によって、遷移整流終了条件を満たすか否かが判定される。例えば、「上MOSオン期間あるいは下MOSオン期間が所定値Teに達した」が遷移整流終了条件として用いられる。遷移整流終了条件を満たしていない場合(上MOSオン期間等が所定値Teに達していない場合)には遷移整流が繰り返される。
また、遷移整流終了条件を満たす場合には同期整流に移行する。その後、同期整流と並行して、同期制御停止判定部122によって、同期制御停止条件を満たすか否かが判定される。満たさない場合には同期整流が繰り返される。また、同期制御停止条件を満たす場合には直ちにダイオード整流に移行する。
このように、本実施形態の車両用発電機1では、ダイオード整流から同期整流に移行する際に、MOSトランジスタ50、51をオンする期間を徐々に長くする遷移整流を行っているため、ダイオードとMOSトランジスタ50、51のそれぞれの電圧降下に起因する整流可能期間(整流器モジュール5X等から出力端子を介して充電線12側に電流を供給することが可能な期間)の変化が緩やかになり、遷移整流終了後に同期整流を開始した際の同期外れを防止することができる。また、同期外れがなくなるため、同期外れに伴うサージ電圧の発生やMOSトランジスタ50、51等の破損を防止することができるとともに、同期外れが発生してダイオード整流に移行する頻度を減らすことにより高効率の整流動作を維持することが可能となる。
また、上MOSオン期間および下MOSオン期間を初期値Tsから所定値Teまで所定の増加分ΔTaを繰り返し加算して徐々に長くすることにより遷移整流を行っており、簡単な制御によって遷移整流を実現することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、2つの固定子巻線2、3と2つの整流器モジュール群5、6を備えるようにしたが、一方の固定子巻線2と一方の整流器モジュール群5を備える車両用発電機についても本発明を適用することができる。
また、上述した実施形態では、各整流器モジュール5X等を用いて整流動作(発電動作)を行う場合について説明したが、MOSトランジスタ50、51のオン/オフタイミングを変更することにより、バッテリ9から印加される直流電流を交流電流に変換して固定子巻線2、3に供給して電動動作を行わせる車両用回転電機に本発明を適用することができる。
また、上述した実施形態では、2つの整流器モジュール群5、6のそれぞれに3つの整流器モジュールを含ませるようにしたが、整流器モジュールの数は3以外であってもよい。
また、上述した実施形態では、回転数や出力とは関係なく遷移整流を実施するようにしたが、低回転時や低出力時に遷移整流を行わずにダイオード整流から同期整流に切り替えた際に同期外れが発生しやすいことから、低回転時および低出力時の少なくとも一方において遷移整流を実施するようにしてもよい。
具体的には、同期制御開始処理部102は、回転数演算部101(回転数演算部101以外の回転数検出部を制御部100の外部に設けるようにしてもよい)によって演算された回転数が所定値以下の低回転時のみに遷移制御を行うようにしてもよい。また、同期制御開始処理部102は、出力電流値が所定値以下の低出力時のみ遷移整流を行うようにしてもよい。あるいは、同期制御開始処理部102は、回転数が所定値以下の低回転時で、かつ、出力電流値が所定値以下の低出力時に遷移整流を行うようにしてもよい。
出力電流値は、発電制御装置7のF端子から界磁巻線4に供給されるPWM信号のオンデューティを監視することにより判定することができる。あるいは、出力電流の大小は、例えば図2に示すMOSトランジスタ51のソースとバッテリ9の負極端子(アース)との間に電流検出用抵抗を挿入し、この電流検出用抵抗の両端電圧に基づいて判定するようにしてもよい。図22に示す構成は、図2に示した整流器モジュール5Xに対して、電流検出用抵抗55を追加したものである。図23に示す構成は、図3に示した制御回路54に対して出力電流検出部152を追加したものである。この出力電流検出部152は、電流検出用抵抗55の両端電圧に基づいて出力電流を検出する。なお、この場合には、整流器モジュール5XのMOSトランジスタ51を流れる電流値に基づいて出力電流の大小を判定することになるが、代わりに、充電線12あるいは出力端子に流れる電流値を電流センサを用いて直接検出して出力電流の大小を判定するようにしてもよい。
上述したように、本発明によれば、ダイオード整流から同期整流に移行する際に、スイッチング素子をオンする期間を徐々に長くする遷移整流を行っているため、ダイオードとスイッチング素子のそれぞれの電圧降下に起因する整流可能期間の変化が緩やかになり、ダイオード整流終了後に同期整流を開始した際の同期外れを防止することができる。
2、3 固定子巻線
5、6 整流器モジュール群
50、51 MOSトランジスタ
54 制御回路
101 回転数演算部
152 出力電流検出部

Claims (11)

  1. 2相以上の相巻線を有する電機子巻線(2、3)と、
    ダイオードが並列接続されたスイッチング素子(50、51)によってブリッジ回路の複数の上アームおよび下アームが構成され、前記電機子巻線の誘起電圧を整流するスイッチング部(5、6)と、
    前記スイッチング素子をオフして前記ダイオードによる整流を行うダイオード整流動作と、前記スイッチング素子を所定期間オンした後に前記ダイオードを介して通電する同期整流動作とともに、前記ダイオード整流動作から前記同期整流動作への移行時に前記スイッチング素子をオンする前記所定期間を徐々に増加させる遷移整流動作を、前記スイッチング素子をオンオフ制御して行う制御回路(54)と、
    を備えることを特徴とする車両用回転電機。
  2. 請求項1において、
    前記スイッチング素子は、MOSトランジスタであることを特徴とする車両用回転電機。
  3. 請求項1または2において、
    回転数を検出する回転数検出部(101)をさらに備え、
    前記制御回路は、前記回転数検出部によって検出された回転数が所定値以下の低回転時に前記遷移整流動作を行うことを特徴とする車両用回転電機。
  4. 請求項1または2において、
    出力電流を検出する出力電流検出部(152)をさらに備え、
    前記制御回路は、前記出力電流検出部によって検出された電流値が所定値以下の低出力時に前記遷移整流動作を行うことを特徴とする車両用回転電機。
  5. 請求項1または2において、
    回転数を検出する回転数検出部(101)と、出力電流を検出する出力電流検出部(152)とをさらに備え、
    前記制御回路は、前記回転数検出部によって検出された回転数が所定値以下の低回転時、かつ、前記出力電流検出部によって検出された電流値が所定値以下の低出力時に前記遷移整流動作を行うことを特徴とする車両用回転電機。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、
    前記制御回路は、前記遷移整流動作開始時に前記所定期間を所定の初期値に設定し、整流動作の所定周期毎に所定の増加分を加えて前記所定期間を徐々に増加させることを特徴とする車両用回転電機。
  7. 請求項1〜5のいずれかにおいて、
    前記制御回路は、前記遷移整流動作開始時に前記所定期間を所定の初期値に設定し、所定時間毎に、所定の増加分を加えて前記所定期間を徐々に増加させることを特徴とする車両用回転電機。
  8. 請求項6または7において、
    前記制御回路は、前記遷移整流動作開始時の前記所定期間の初期値と前記所定の増加分を回転数により変化させることを特徴とする車両用回転電機。
  9. 請求項6または7において、
    前記制御回路は、前記遷移整流動作開始時の前記所定期間の初期値と前記所定の増加分を発電電流により変化させることを特徴とする車両用回転電機。
  10. 請求項6または7において、
    前記制御回路は、前記遷移整流動作開始時の前記所定期間の初期値と前記所定の増加分を前記スイッチング素子の温度により変化させることを特徴とする車両用回転電機。
  11. 請求項1〜10のいずれかにおいて、
    前記電機子巻線の複数の出力端子のそれぞれに対応して設けられ、それぞれが前記スイッチング部および前記制御回路を含む複数の整流器モジュールを備えることを特徴とする車両用回転電機。
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