JP2014178302A - 超音波探触子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】湾曲面で構成された溝部Gを有する検査対象Wに対して超音波を送信すると共に、検査対象Wの内部で反射した反射超音波を受信することで、検査対象Wの内部の欠陥を検出する超音波探触子1において、溝部Gの湾曲面に向かって超音波を送信する送信振動子2と、検査対象Wの内部で反射して湾曲面に伝播した反射超音波を受信する受信振動子3と、を備える。その上で、送信振動子2は、溝部Gの伸長方向に直交する断面視における溝部Gの湾曲面に相当する位置または、湾曲面直下の検査対象Wの内部に、送信した超音波が集束する点を結び、送信振動子2及び受信振動子3は、溝部Gの伸長方向に沿って隣り合うように配置される。
【選択図】図2
Description
特許文献1の超音波探触子は、楔材の傾斜面に超音波振動子を設け、試験体との接触面を曲面状に形成した曲面探傷用超音波探触子において、前記超音波振動子をその放射超音波が前記接触面で集束するように球殻状に形成したことを特徴とするものである。
また、超音波探傷を行う超音波探触子が、特許文献2に開示されている。
特許文献2の超音波探触子は、超音波を送信する素子と、検査対象の凹曲面部へ前記超音波を伝播させる音響レンズと、前記検査対象からの前記超音波のエコーを前記音響レンズを経由して受信する素子とを備えた超音波探傷装置の超音波探触子であって、前記凹曲面部に対面する前記音響レンズの面が、前記凹曲面部の曲率半径の2分の1から3分の2の範囲の曲率半径の凸曲面の形状を有し、前記超音波を送信する素子と前記エコーを受信する素子とがアレイセンサであって、前記送受用各アレイセンサの素子の配列の方向が、円筒形状の一部の形状をした前記音響レンズの凸曲面の形状を構成する前記円筒形状の中心軸方向に向けられており、前記音響レンズの材質は、超音波の縦波音速が前記検査対象内の縦波音速よりも遅く且つ前記超音波探触子と前記検査対象との間の中間媒質内の超音波の縦波音速より早い材質によって構成され、前記音響レンズの内部に、送信された前記超音波と受信された前記エコーとの伝播経路を隔てる配置で、音響の伝播を遮る遮音板を有することを特徴とする。
また、検査対象内部の欠陥の深度は様々であり、広い深度範囲で高精度の探傷を行うことが理想ではあるが、特許文献1の超音波探触子に限らず、従来の超音波探触子を用いて広い深度範囲で高精度に探傷することは一般的には難易度が高いという問題があった。特に検査対象の表面が曲面であれば、照射された超音波が曲面で屈折して深さ方向において拡散(又は分散)してしまうため、広い深度範囲で高精度に探傷することは更に困難であった。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、検査対象の表面が湾曲面である場合でも、湾曲面に対して照射された超音波の該湾曲面での屈折による影響を低減できると共に、該湾曲面での表面エコーを抑制することのできる超音波探触子を提供することを目的とする。
本発明に係る超音波探触子は、湾曲面で構成された溝部を有する検査対象に対して超音波を送信すると共に、前記検査対象の内部で反射した反射超音波を受信することで、前記検査対象の内部の欠陥を検出する超音波探触子であって、前記溝部の湾曲面に向かって超音波を送信する送信振動子を有する送信部と、前記検査対象の内部で反射して前記湾曲面に伝播した反射超音波を受信する受信振動子を有する受信部と、を備え、前記送信振動子は、前記溝部の伸長方向に直交する断面視における前記溝部の湾曲面に相当する位置または、前記湾曲面直下の前記検査対象の内部に、送信した超音波が集束する点を結び、前記送信部及び前記受信部は、前記溝部の伸長方向に沿って隣り合うように配置されていることを特徴とする。
さらに、前記受信振動子の受信面が、前記溝部の伸長方向に直交する断面視における前記溝部の湾曲面に相当する位置に、受信する超音波が集束する点を結ぶと好ましい。
。
ここで、前記受信振動子の受信面が、前記検査対象と接する探傷面に向けて凸状に形成されていて、前記探傷面は、前記検査対象での超音波の伝播速度よりも低い超音波の伝播速度を有する部材で構成されると好ましい。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。従って、本発明の技術的範囲は、本実施形態に開示内容だけに限定されるものではない。
(第1実施形態)
図1及び図2を参照しながら、本実施形態による超音波探触子1について説明する。
び後述する信号記録処理装置(図示せず)に接続されて、機械部品や構造物などの検査対象Wの表面に対して超音波を送信すると共に、検査対象Wの内部の深さ方向に存在する欠陥(クラックなどの物理的な欠陥や及び金属組織的な欠陥)で反射した反射超音波を受信することで、検査対象Wの内部の欠陥を高精度に検出するものである。特に、本実施形態による超音波探触子1は、例えばフィレットなど、湾曲面で構成された凹状の溝部Gが表面に形成された機械部品や構造物などの検査対象Wにおける、該湾曲面下の深さ方向に存在する欠陥の検出に特に適している。
超音波探触子1の送信振動子2は、例えば、複数の球面波の点源が形成された圧電素子からなるコンポジット振動子によって構成されている。送信振動子2は、所定電圧のパルス電圧が印加されると、各点源から印加されたパルス電圧に対応する周波数の球面波を発生する。送信振動子2から同じタイミングで発生した複数の球面波は単一波として合成されるので、送信振動子2は、点源が配置された面の前方に向かって超音波を送信する。
受信振動子3は、例えば、送信振動子2と同様の構成のコンポジット振動子によって構成されており、超音波を受信する受信面6が凹面形状となるように略円弧を描いて湾曲している。受信振動子3は、受信面6で受信した超音波の強度及び周波数に対応する電圧を発生する。
一般的には、受信振動子3を送信振動子2と同様の構成とすると、検査対象W内部の欠陥で反射した反射超音波の受信において良好な感度及びS/N比を得ることができる。しかし、検査対象Wの材質や形状、並びに所望する受信感度及びS/N比に応じて、凹状に
成形された圧電素子で受信振動子3を構成するとよい。
図2(b)に示すように、送信振動子2及び受信振動子3は、それぞれの送信面5及び受信面6を探傷面7に向けてアクリル等の樹脂製くさび4を介して保持されている。また、探傷面7と送信振動子2及び受信振動子3との間の空間は筐体を構成する壁面で分離され、この空間を送信振動子2側の送信くさびと受信振動子3側の受信くさびとに仕切る(分割する)音響分割壁8が設けられている。音響分割壁8は、探傷面7に対してほぼ垂直に形成されて、一方の空間の超音波が他方の空間に伝播しないように遮蔽するものであり、この音響分割壁8によって、受信振動子3が、超音波を送信する送信振動子2の影響を受けるのを防ぐ。
図2(a)を参照すると、送信振動子2は、送信面5から送信された超音波が集束する集束線Lが探傷面7上に形成される位置で保持されている。これによって、溝部Gの伸長方向に直交する断面視である図2(a)では、探傷面7と当接する溝部Gの湾曲面上に超音波が集束する点(焦点F)を結ぶように、送信振動子2の送信面5から超音波が送信される。
既に述べたように、送信振動子2と受信振動子3は、音響分割壁8を挟んで、それぞれの送信面5及び受信面6をくさび4の探傷面7に向けて配置されているが、それだけでなく、送信振動子2は、送信面5が探傷面7から音響分割壁8を向くように傾けて配置され、受信振動子3も、受信面6が探傷面7から音響分割壁8を向くように傾けて配置されている。
まず、例えば、送信振動子2の送信面5の円弧形成方向における中央位置を集束線Lに向かって垂直に貫通する送信軸9と、同じく受信振動子3の受信面6の円弧形成方向における中央位置を受信面6に対応する集束線Lに向かって垂直に貫通する受信軸10とを想定し、送信軸9と受信軸10のなす角を屋根角βとする。なお、受信振動子3が平板状である場合、平板状の受信面6の幅方向及び長手方向における中央位置を垂直に貫通する受信軸10を想定して、送信軸9と受信軸10のなす角を屋根角βとする。
このとき、図2(b)において送信振動子2と受信振動子3は、くさび4を建物と見立てたときに屋根に相当する位置に配置されて傾斜しており、送信振動子2と受信振動子3を、屋根角βが90°未満となる傾きで配置するのが好ましい。屋根角βを90°未満として対面角αを鈍角となるように設定すれば、検査対象Wの表面下での様々な深度に存在する欠陥を検出できる超音波探触子1を実現することができる。
このように、送信軸9と受信軸10が交わるように送信振動子2及び受信振動子3を配置すれば、送信軸9と受信軸10の軸交点近傍の感度が特に高い超音波探触子1を構成することができる。従って、送信軸9と受信軸10が交わる位置を様々な深度に設定することで、所望の深度において優れた感度を有する超音波探触子1を構成することができる。
び屋根角βを適切に設定することで、超音波の表面エコーを良好に抑制し、検査対象Wの深さ方向における感度を所望の深度で適切に調整することができる。
図4(a)は、超音波の送信及び受信を兼ねる一つの振動子によって探傷面7上に集束線Lを形成するように超音波を送信する構成(表面集束)のみによる探傷感度特性を示し、図4(b)は、2分割探触子の構成による探傷感度特性を示している。図4(c)は、送信振動子2と受信振動子3の対面角α及び屋根角βを適切に設定して、図4(a)に示す表面収束の構成と図4(b)に示す2分割探触子の構成を組み合わせた本実施形態による超音波探触子1の探傷感度特性を示している。
次に、図4(b)に示すように、2分割探触子の構成による探傷感度特性は、有効範囲として示したある程度の深度における軸交点位置の近傍で良好な感度特性を示すが、検査対象Wの表面直下などでは、十分な探傷感度を得ることは困難である。
図5を参照しながら、本実施形態による超音波探触子1の効果を具体的に説明する。図5は、屋根角10°(対面角170°)の超音波探触子1と屋根角12°(対面角168°)の超音波探触子1とを用いて、異なる深さの平底穴の平底Hに対して探傷したときの実験結果をグラフに示している。
従って、本実施形態による超音波探触子1によれば、深さ5mm前後の浅い平底Hから深さが40mmを超える深い平底Hまで、検査対象Wの深さ方向における広い範囲での探傷ができる。このことは、図4(c)に示した探傷感度特性とも一致する。さらに、例えば、深さが30mmを超えるような深い平底Hに対しては、屋根角12°の超音波探触子1よりも屋根角10°の超音波探触子1のほうが良好なS/N比が得られている。このことは、屋根角β及び対面角αを適切に設定することで所望の深度において優れた感度を発揮するという本実施形態による超音波探触子1の特徴を示すものであり、図3を用いた説明と合致する。
図1及び図6を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本実施形態による超音波探触子1aが、検査対象Wの溝部Gの湾曲面に配置されたときの構成を示す概略図である。図6(a)は、図2(a)と同様であり、溝部Gの長手方向(伸長方向ともいえる)に直交する一方側の断面視における、超音波探触子1a
の配置及び構成を示す概略図である。図6(b)は、溝部Gの長手方向(伸長方向)に直交するもう一方側(他方側)の断面視における、超音波探触子1aの配置及び構成を示す概略図である。すなわち、図6(a)は、図1における矢印A側(送信部側)から見た図であり、図6(b)は、図1における矢印A側(矢視A)の反対側(受信部側)から見た図である。
超音波探触子1aの受信部は、検査対象Wの内部で反射して湾曲面まで伝播した反射超音波を受信する受信振動子3aを有する。
上述のとおり、超音波探触子1aの受信振動子3aは、溝部Gの湾曲面に相当する位置に受信する超音波が集束する焦点F’を結ぶように、超音波を受信する受信面6aが凹面形状の略円弧を描いて湾曲するように形成される。ここで、受信振動子3aの受信面6aが結ぶ焦点F’に対応する集束線L’は、送信振動子2による集束線Lの延長と一致することが望ましい。集束線L’が集束線Lの延長と一致すれば、第1実施形態の図2(b)に示すように対面角α及び屋根角βが設定された超音波探触子1aにおいて、受信感度を向上させることができる。
(第3実施形態)
図1、図7及び図8を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
様であり、溝部Gの長手方向(伸長方向ともいえる)に直交する一方側の断面視における、超音波探触子1bの配置及び構成を示す概略図である。図8(b)は、溝部Gの長手方向(伸長方向)に直交するもう一方側(他方側)の断面視における、超音波探触子1bの配置及び構成を示す概略図である。すなわち、図8(a)は、図1における矢印A側(送信部側)から見た図であり、図8(b)は、図1における矢印A側(矢視A)の反対側(受信部側)から見た図である。
超音波探触子1bの受信部は、検査対象Wの内部で反射して湾曲面まで伝播した反射超音波を受信する受信振動子3bを有する。
図8(b)に示すように、受信振動子3bは、溝部Gの伸長方向に直交する断面視(図
1の矢視A)における溝部Gの湾曲面(湾曲表面)直下の検査対象Wの内部に、受信する超音波が集束する点である集束点FIを結ぶように、超音面波を受信する受信面6bが、検査対象Wの表面である溝部Gの湾曲(探傷面)に向けて凸面形状の略円弧を描くように湾曲して形成されている。
このように集束点FIを結ぶ受信振動子3bは、送信振動子2が焦点Fに対応して探傷面7上に形成する集束線Lと同様に、集束点FIに対応して検査対象Wの内部に集束線LIを形成する。詳しくは、受信振動子3bは、検査対象Wの内部において、受信する超音波が集束して通過する集束点FIに対応して、集束線Lとほぼ平行に集束線LIを形成する。送信振動子2の送信面5から送信された超音波のうち、検査対象Wの内部で反射して集束線LI(集束点FI)を通過した反射超音波は、受信振動子3bの受信面6bによって受信される。
上述の図8(b)に示すとおり、集束線LI(集束点FI)を、溝部Gの伸長方向に直交する断面視における溝部Gの湾曲面下の検査対象W内部に形成することで、本実施形態による超音波探触子1bは、検査対象Wの表面近傍より深い位置の感度を向上させることができるので、検査対象W内部の欠陥で反射した超音波のうち集束線LI(集束点FI)を通った反射超音波を明瞭に受信できる。また、送信振動子2の送信軸9と受信振動子3bの受信軸10bが交わる点に集束点FIが形成され集束線LIが通過することで、上述の感度の向上に加えて、検査対象Wの深さ方向の非常に広い範囲に高い感度を実現することが可能となる。
2 送信振動子
3,3a,3b 受信振動子
4 くさび(楔材)
5 送信面
6,6a,6b 受信面
7 探傷面
8 音響分割壁
9 送信軸
10,10b 受信軸
G 溝部
H 平底
W 検査対象
本発明に係る超音波探触子は、湾曲面で構成された溝部を有する検査対象に対して超音波を送信すると共に、前記検査対象の内部で反射した反射超音波を受信することで、前記検査対象の内部の欠陥を検出する超音波探触子であって、前記溝部の湾曲面に向かって超音波を送信する送信振動子を有する送信部と、前記検査対象の内部で反射して前記湾曲面に伝播した反射超音波を受信する受信振動子を有する受信部と、を備え、前記送信振動子は、前記溝部の伸長方向に直交する断面視における前記溝部の湾曲面に相当する位置に、送信した超音波が集束する点を結び、前記送信部及び前記受信部は、前記溝部の伸長方向に沿って隣り合うように配置されていることを特徴とする。
本発明に係る超音波探触子は、湾曲面で構成された溝部を有する検査対象に対して超音波を送信すると共に、前記検査対象の内部で反射した反射超音波を受信することで、前記検査対象の内部の欠陥を検出する超音波探触子であって、前記溝部の湾曲面に向かって超音波を送信する送信振動子を有する送信部と、前記検査対象の内部で反射して前記湾曲面に伝播した反射超音波を受信する受信振動子を有する受信部と、探傷面を備えた楔材と、を備え、前記送信振動子は、前記楔材に備えられた前記探傷面に対向する位置に保持されており、前記溝部の伸長方向に直交する断面視における前記溝部の湾曲面に相当する位置に前記送信振動子が送信した超音波が集束する点を結ぶように、前記送信振動子の送信面が前記溝部の湾曲面に向かって凹面形状とされると共に、前記楔材の探傷面が前記溝部の湾曲面に沿うような曲面とされていて、前記送信部及び前記受信部は、前記溝部の伸長方向に沿って隣り合うように配置されていることを特徴とする。
Claims (5)
- 湾曲面で構成された溝部を有する検査対象に対して超音波を送信すると共に、前記検査対象の内部で反射した反射超音波を受信することで、前記検査対象の内部の欠陥を検出する超音波探触子であって、前記溝部の湾曲面に向かって超音波を送信する送信振動子を有する送信部と、前記検査対象の内部で反射して前記湾曲面に伝播した反射超音波を受信する受信振動子を有する受信部と、を備え、
前記送信振動子は、前記溝部の伸長方向に直交する断面視における前記溝部の湾曲面に相当する位置または、前記湾曲面直下の前記検査対象の内部に、送信した超音波が集束する点を結び、前記送信部及び前記受信部は、前記溝部の伸長方向に沿って隣り合うように配置されていることを特徴とする超音波探触子。 - 前記送信部の送信振動子が有する送信面と前記受信部の受信振動子が有する受信面とでなす対面角が鈍角となるように、前記送信振動子及び受信振動子が前記湾曲面に対して傾斜状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
- 前記受信振動子の受信面が、前記溝部の伸長方向に直交する断面視における前記溝部の湾曲面に相当する位置に、受信する超音波が集束する点を結ぶことを特徴とする請求項2に記載の超音波探触子。
- 前記受信振動子の受信面が、前記溝部の伸長方向に直交する断面視における前記溝部の湾曲面下の前記検査対象の内部に、受信する超音波が集束する点を結ぶことを特徴とする請求項2に記載の超音波探触子。
- 前記受信振動子の受信面が、前記検査対象と接する探傷面に向けて凸状に形成されていて、
前記探傷面は、前記検査対象での超音波の伝播速度よりも低い超音波の伝播速度を有する部材で構成されることを特徴とする請求項4に記載の超音波探触子。
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