JP2014173532A - 圧縮自己着火式エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】異常燃焼を伴うことなくスムーズにCI燃焼からSI燃焼へと移行させる。
【解決手段】エンジンの吸気通路20は、吸気を加熱する加熱手段(26)が設けられた高温通路22と、加熱手段が設けられない低温通路23と、各通路22,23の流量を調節する流量調節手段(28,29)とを備える。CI燃焼が実行されるCI領域Aでの運転時には、吸気の一部が高温通路22を通じてエンジン本体1に導入され、SI領域Bでの運転時には、低温通路23からの吸気の割合が増大される。CI領域AからSI領域Bへと運転ポイントが移行する過渡運転時には、SI領域Aでの定常運転時よりも燃料の噴射開始時期を遅らせた状態でSI燃焼が実行され、この過渡運転時の噴射開始時期は、圧縮上死点前45°CAから圧縮上死点後15°CAの範囲内に設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガソリンを含有する燃料を自着火により燃焼させるCI燃焼が少なくとも一部の運転領域で実行可能な圧縮自己着火式エンジンに関する。
従来、ガソリンエンジンの分野では、点火プラグの火花点火によって混合気を強制的に燃焼させる火花点火燃焼を採用することが一般的であったが、近年、このような火花点火燃焼に代えて、いわゆる圧縮自己着火燃焼をガソリンエンジンに適用する研究が進められている。圧縮自己着火燃焼とは、ピストンの圧縮によりつくり出される高温・高圧の環境下で混合気を自着火により燃焼させることである。圧縮自己着火燃焼は、混合気が同時多発的に自着火する燃焼であり、火炎伝播により徐々に燃焼が拡がる火花点火燃焼に比べて燃焼期間が短く、より高い熱効率が得られるといわれている。なお、以下では、火花点火燃焼(Spark Ignition Combustion)のことを「SI燃焼」と略称し、圧縮自己着火燃焼(Compression Self-Ignition Combustion)のことを「CI燃焼」と略称する。
上記CI燃焼は、燃料噴射量が少なく熱発生量が少ないエンジンの低負荷域では起き難い。そこで、このような低負荷域でも確実にCI燃焼を起こさせるために、エンジン本体に導入される吸気を強制的に加熱する吸気加熱手段を設けることが提案されている。例えば、吸気加熱手段を備えた圧縮自己着火式エンジンとして、下記の特許文献1および特許文献2が知られている。
特許文献1には、排気ガスとの熱交換によって吸気を加熱する熱交換器を排気通路に設けたエンジンが開示されている。このエンジンの吸気通路と排気通路との間には、吸気通路から分岐して熱交換器を通った後に再び吸気通路へと戻されるバイパス通路が設けられている。バイパス通路の下流端部と吸気通路との接続部には、切換バルブが設けられており、この切換バルブの開度によって吸気の分岐流れが制御されるようになっている。具体的に、この特許文献1のエンジンでは、その部分負荷運転時に、バイパス通路への分岐流れを許容するように切換バルブが制御される。これにより、バイパス通路を通じて熱交換器に吸気が導入され、この熱交換器で加熱された吸気がエンジン本体に導入されることにより、CI燃焼が促進される。一方、この状態でエンジン負荷が増大するとノッキングの発生が懸念される。そこで、ノッキングが発生したと判定された場合には、バイパス通路への分岐流れを遮断するように切換バルブが制御され、吸気の加熱が停止される。さらに、エンジンの全負荷域では、吸気の加熱が停止される上に、燃焼形式がCI燃焼からSI燃焼に切り換えられる。
特許文献2には、吸気通路をバイパスするバイパス通路に吸気加熱手段としてのヒータを設けたエンジンが開示されている。バイパス通路の下流端部(吸気通路との接続部)には三方電磁弁が設けられており、この三方電磁弁の切換え制御により、ヒータを通じて加熱された高温の吸気がエンジン本体に導入される状態から、ヒータを通過しない未加熱の吸気がエンジン本体に導入される状態へと(またはその逆へと)切り換えられるようになっている。
特開平11−62589号公報 特開2006−283618号公報
上記特許文献1,2によれば、加熱手段により加熱された高温の吸気をエンジン本体に導入するか、未加熱の吸気をエンジン本体に導入するかを、エンジンの運転状態等に応じて切り換えることができるので、適正なCI燃焼が実行可能な領域を拡大できるという利点がある。
ところで、CI燃焼を行わせるために高温の吸気をエンジン本体に導入している状態から、急に、SI燃焼が必要な運転状態(例えばエンジン高負荷域)に移行することがある。このとき、加熱手段による吸気の加熱を停止したとしても、その直前に加熱手段を通過した高温の吸気がまだ存在しているので、この高温の吸気がエンジン本体に導入されて消費されるまでの間に、ある程度の時間が必要となる。この期間中は、高負荷であるにもかかわらず高温の吸気がエンジン本体に導入されるので、ノッキングやプリイグニッション等の異常燃焼が起き易くなる。そこで、高温の吸気が消費されるまでの間、燃料の噴射を停止する燃料カットを実行することが考えられる。しかしながら、そのようにすると、異常燃焼の発生は回避できても、エンジントルクが一時的に急減してトルクショックを招くことになる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、CI燃焼の実行時に吸気を加熱する加熱手段を備えながらも、異常燃焼を伴うことなくスムーズにCI燃焼からSI燃焼へと移行することが可能な圧縮自己着火式エンジンを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、ガソリンを含有する燃料を燃焼室に噴射するインジェクタと燃焼室に火花を放電する点火プラグとを含むエンジン本体と、エンジン本体に導入される吸気が流通する吸気通路と、予め定められたCI領域で上記燃料の自着火によるCI燃焼を実行させるとともに、CI領域よりも高負荷側の領域を含むSI領域で上記点火プラグの火花点火によるSI燃焼を実行させる制御手段とを備えた圧縮自己着火式エンジンであって、上記吸気通路は、吸気を加熱する加熱手段が設けられた高温通路と、高温通路と並列に延び、かつ加熱手段が設けられない低温通路と、高温通路および低温通路が集合した集合部と、集合部と上記エンジン本体とを接続する下流側通路と、上記高温通路および低温通路をそれぞれ流通する吸気の流量を調節する流量調節手段とを有し、上記制御手段は、上記CI領域での運転時に、吸気の少なくとも一部が上記高温通路を通じてエンジン本体に導入されるように上記流量調節手段を制御する一方、上記SI領域での運転時には、上記低温通路からエンジン本体に導入される吸気の割合が上記CI領域での運転時よりも増えるように上記流量調節手段を制御し、さらに、上記制御手段は、上記CI領域からSI領域へと運転ポイントが移行する過渡運転時に、上記SI領域での定常運転時よりも上記燃料の噴射開始時期を遅らせた状態でSI燃焼を実行し、かつその過渡運転時の噴射開始時期を、圧縮上死点前45°CAから圧縮上死点後15°CAの範囲に含まれるように設定する、ことを特徴とするものである(請求項1)。
本発明によれば、CI燃焼の実行領域(CI領域)で、加熱手段で加熱された吸気が高温通路を通じてエンジン本体に導入されるので、負荷が低い条件でも確実に燃料を自着火させることができ、CI燃焼の安定性を高めることができる。一方、CI領域よりも高負荷側のSI領域では、低温通路から導入される低温の吸気が増量されて、その状態でSI燃焼が実行されるので、負荷が高い条件でも、ノッキングやプリイグニッション等の異常燃焼を伴わない適正な燃焼を実現することができる。
その上で、本発明では、CI領域からSI領域へと移行する過渡運転時に、移行先のSI領域での噴射開始時期よりも遅れた所定のクランク角範囲(圧縮上死点前45°CAから圧縮上死点後15°CA)で燃料の噴射が開始され、それに基づきSI燃焼が実行される。すると、その直前に加熱された高温の吸気が一時的に燃焼室に導入されたとしても、これに合わせて燃料噴射の開始時期が大幅に遅らされることで、燃料が圧縮上死点付近の高温環境下に晒される時間が短くされ、その結果、ノッキングやプリイグニッション等の異常燃焼が回避される。また、異常燃焼回避のために一時的に燃料をカットしたような場合と異なり、燃焼が停止されずに継続されるので、エンジントルクが急減するトルクショックのような事態が生じることもない。このように、本発明によれば、異常燃焼を伴うことなく、しかもスムーズに、上記CI燃焼からSI燃焼への移行を行うことができる。
本発明において、好ましくは、上記SI領域での定常運転時に設定される燃料の噴射開始時期が、圧縮上死点前50°CAから圧縮上死点後10°CAの範囲に含まれる(請求項2)。
このようなSI領域での噴射の開始時期は、上述した過渡運転のときに比べれば早いものの、圧縮上死点に比較的近い充分に遅れたタイミングということができる。負荷の高い条件下においてこのような遅めのタイミングで噴射された燃料は、噴射後間もなく行われる火花点火をきっかけに燃焼し、比較的急速に燃え広がるので、高い熱効率を得ることができるとともに、異常燃焼の発生を防止することができる。
上記SI領域での定常運転時、および、上記CI領域からSI領域への過渡運転時は、上記インジェクタから2回以上に分割して燃料を噴射してもよい。このような分割噴射を行う場合は、燃料の最終段の噴射開始時期を、SI領域での定常運転のときは圧縮上死点前50°CAから圧縮上死点後10°CAの範囲に設定し、上記CI領域からSI領域への過渡運転のときは圧縮上死点前45°CAから圧縮上死点後15°CAの範囲に設定すればよい(請求項3)。
本発明において、好ましくは、上記SI領域からCI領域へと運転ポイントが移行する逆過渡運転時にはSI燃焼が実行され、かつそのときの燃料の噴射開始時期は、上記CI領域からSI領域への過渡運転時よりも早い時期に設定される(請求項4)。
この構成によれば、CI領域に移行した直後であるために未だに高温の吸気がエンジン本体に導入されていない状況(つまり低温の吸気が多くを占める状況)でも、早めの燃料噴射に基づくSI燃焼が実行されることにより、例えば失火が起きることが回避され、適正な燃焼を継続的に行わせることができる。
本発明において、好ましくは、上記低温通路には、その内部を流通する吸気を冷却する冷却手段が設けられる(請求項5)。
この構成によれば、低温通路を通過した後の吸気の温度が安定するので、低温通路および高温通路の下流側で混合される吸気の温度を、高い精度で所望の温度範囲に調節することができる。
以上説明したように、本発明の圧縮自己着火式エンジンによれば、CI燃焼の実行時に吸気を加熱する加熱手段を備えながらも、異常燃焼を伴うことなくスムーズにCI燃焼からSI燃焼へと移行することができる。
本発明の一実施形態にかかる圧縮自己着火式エンジンの全体構成を示す図である。 上記エンジンの制御系を示すブロック図である。 上記エンジンの運転領域を燃焼モードの相違によって複数の領域に分けたマップである。 上記エンジンの各運転状態で実行される燃焼モードを模式的に表した説明図であり、(a)はHCCIモード、(b)はリタードCIモード、(c)はリタードSIモードをそれぞれ表している。 上記エンジンの負荷が変化した場合の各種状態量の推移を示す図である。 上記エンジンの運転中に行われる制御の手順を示すフローチャートである。 CI燃焼からSI燃焼へと移行する過渡SIモードでの制御内容を説明するための図である。 SI燃焼からCI燃焼へと移行する逆過渡SIモードでの制御内容を説明するための図である。
(1)エンジンの全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる圧縮自己着火式エンジンの全体構成を示す図である。本図に示されるエンジンは、走行用の動力源として車両に搭載される4サイクルのガソリンエンジンである。具体的に、このエンジンは、紙面に直交する方向に列状に並ぶ複数の気筒2(図1にはそのうちの1つの気筒のみを示す)を有するエンジン本体1と、エンジン本体1に空気を導入するための吸気通路20と、エンジン本体1で生成された排気ガスを排出するための排気通路30と、排気通路30を流通する排気ガスの一部を吸気通路20に還流するためのEGR装置40と、排気ガスのエネルギーにより駆動されるターボ過給機50とを備えている。
エンジン本体1は、上記複数の気筒2が内部に形成されたシリンダブロック3と、シリンダブロック3の上部に設けられたシリンダヘッド4と、各気筒2に往復摺動可能に挿入されたピストン5とを有している。
ピストン5の上方には燃焼室10が形成されており、この燃焼室10には、後述するインジェクタ11からの噴射によって燃料が供給される。そして、噴射された燃料が燃焼室10で燃焼し、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン5が上下方向に往復運動する。なお、当実施形態のエンジンはガソリンエンジンであるため、燃料としてはガソリンが用いられる。ただし、燃料の全てがガソリンである必要はなく、例えばアルコール等の副成分が燃料に含まれていてもよい。
ピストン5は、エンジン本体1の出力軸であるクランク軸15とコネクティングロッド16を介して連結されており、上記ピストン5の往復運動に応じてクランク軸15が中心軸回りに回転するようになっている。
各気筒2の幾何学的圧縮比、つまり、ピストン5が下死点にあるときの燃焼室10の容積とピストン5が上死点にあるときの燃焼室10の容積との比は、ガソリンエンジンとしてはかなり高めの値である17以上23以下に設定されている。これは、ガソリンを自着火により燃焼させるCI燃焼を実現するために、燃焼室10を大幅に高温・高圧化する必要があるからである。
シリンダヘッド4には、吸気通路20から供給される空気(以下、吸気ともいう)を各気筒2の燃焼室10に導入するための吸気ポート6と、各気筒2の燃焼室10で生成された排気ガスを排気通路30に導出するための排気ポート7と、吸気ポート6の燃焼室10側の開口を開閉する吸気弁8と、排気ポート7の燃焼室10側の開口を開閉する排気弁9とが設けられている。
吸気弁8および排気弁9は、それぞれ、シリンダヘッド4に配設された一対のカム軸等を含む動弁機構18,19により、クランク軸15の回転に連動して開閉駆動される。
吸気弁8用の動弁機構18には、吸気弁8のリフト量を連続的に(無段階で)変更することが可能な可変機構18aが組み込まれている。このような構成の可変機構18aは、連続可変バルブリフト機構(CVVL)などとして既に公知であり、具体的な構成例として、吸気弁8駆動用のカムをカム軸の回転と連動して往復揺動運動させるリンク機構と、リンク機構の配置(レバー比)を可変的に設定するコントロールアームと、コントロールアームを電気的に駆動することによって上記カムの揺動量(吸気弁8を押し下げる量と期間)を変更するステッピングモータとを備えたものを挙げることができる。
排気弁9用の動弁機構19には、吸気行程中に排気弁9を押し下げる機能を有効または無効にする切替機構19aが組み込まれている。すなわち、この切替機構19aは、排気弁9を排気行程だけでなく吸気行程でも開弁可能にするとともに、この吸気行程中の排気弁9の開弁動作(いわゆる排気弁9の2度開き)を実行するか停止するかを切り替える機能を有している。
このような構成の切替機構19aは既に公知であり、その具体例として、排気弁9駆動用の通常のカム(排気行程中に排気弁9を押し下げるカム)とは別に吸気行程中に排気弁9を押し下げるサブカムと、このサブカムの駆動力が排気弁9に伝達されるのを有効または無効にするいわゆるロストモーション機構とを備えたものを挙げることができる。
上記切替機構19aのサブカムによる排気弁9の押し下げが有効にされると、排気弁9が排気行程だけでなく吸気行程中にも開弁させられるので、高温の排気ガスが排気ポート7から燃焼室10に逆流する、いわゆる内部EGRが実現され、燃焼室10の高温化が図られるとともに、燃焼室10に導入される吸気の量が低減される。
シリンダヘッド4には、燃焼室10に向けて燃料(ガソリン)を噴射するインジェクタ11と、インジェクタ11から噴射された燃料と空気との混合気に対し火花放電による点火エネルギーを供給する点火プラグ12とが、各気筒2につきそれぞれ1組ずつ設けられている。
インジェクタ11は、ピストン5の上面を臨むような姿勢でシリンダヘッド4に設けられている。各気筒2のインジェクタ11にはそれぞれ燃料供給管13が接続されており、各燃料供給管13を通じて供給される燃料(ガソリン)が、インジェクタ11の先端部に設けられた複数の噴孔(図示省略)から噴射されるようになっている。
より具体的に、燃料供給管13の上流側には、エンジン本体1により駆動されるプランジャー式のポンプ等からなるサプライポンプ14が設けられているとともに、このサプライポンプ14と燃料供給管13との間には、全気筒に共通の蓄圧用のコモンレール(図示省略)が設けられている。そして、このコモンレール内で蓄圧された燃料が各気筒2のインジェクタ11に供給されることにより、各インジェクタ11からは、最大で120MPa程度の高い圧力の燃料が噴射可能となされている。
インジェクタ11から噴射される燃料の噴射圧力(以下、単に燃圧ともいう)は、サプライポンプ14から圧送された燃料の一部を燃料タンク側に戻す量(燃料の逃がし量)を増減させることにより調節可能である。すなわち、サプライポンプ14には、燃料の逃がし量を調節するための燃圧制御弁14a(図2参照)が内蔵されており、この燃圧制御弁14aを用いて燃圧を所定範囲内(例えば20〜120MPaの間)で調節することが可能とされている。
吸気通路20は、1本の共通通路21と、共通通路21の下流端部(吸気の流れ方向下流側の端部)から2股状に分岐した高温通路22および低温通路23と、両通路22,23の各下流端部に接続された所定容積のサージタンク24と、サージタンク24から下流側に延びて各気筒2の吸気ポート6とそれぞれ連通する複数本の独立通路25(図1にはそのうちの1本のみを示す)とを有している。なお、サージタンク24は本発明にかかる「集合部」に相当し、独立通路25は本発明にかかる「下流側通路」に相当する。
高温通路22には、吸気を加熱するインターウォーマ26が設けられている。インターウォーマ26は、エンジン本体1を冷却する冷却水との熱交換によって吸気を加熱する熱交換器であり、本発明にかかる「加熱手段」に相当するものである。詳しい図示を省略するが、インターウォーマ26の内部には、吸気が流通可能な多数のチューブが配設されており、そのチューブの周囲領域にエンジンの冷却水が導入されるようになっている。高温通路22に流れ込んだ吸気は、インターウォーマ26内を上記多数のチューブに分かれて流通し、その過程で、エンジンの冷却水との熱交換によって加熱される。その結果、インターウォーマ26を通過した後の吸気の温度は、エンジンの冷却水の温度(暖機が完了した温間時で約75〜90℃)とほぼ同一の温度まで上昇させられる。
低温通路23には、吸気を冷却するインタークーラ27が設けられている。インタークーラ27は、車両のエンジンルームに導入される走行風との熱交換によって吸気を冷却する空冷式の熱交換であり、本発明にかかる「冷却手段」に相当するものである。詳しい図示を省略するが、インタークーラ27の内部には、吸気が流通可能な多数のチューブが配設されており、そのチューブの周囲領域に走行風が導入されるようになっている。低温通路23に流れ込んだ吸気は、インタークーラ27内を上記多数のチューブに分かれて流通し、その過程で、走行風との熱交換によって冷却される。これにより、吸気通路20の共通通路21を流れる過程で昇温した吸気、特にターボ過給機50で圧縮されることにより昇温した吸気が、インタークーラ27を経て再び外気と同程度の温度まで冷却される。
高温通路22におけるインターウォーマ26よりも下流側(インターウォーマ26とサージタンク24との間)には、高温通路22を流通する吸気の流量を調節する第1スロットル弁28が設けられている。同様に、低温通路23におけるインタークーラ27よりも下流側(インタークーラ27とサージタンク24との間)には、低温通路23を流通する吸気の流量を調節する第2スロットル弁29が設けられている。なお、これら第1スロットル弁28および第2スロットル弁29は、本発明にかかる「流量調節手段」に相当するものである。
詳細な図示を省略するが、第1、第2スロットル弁28,29は、ともに、円筒状のバルブボディと、バルブボディの内部に回転可能に設けられたディスク状の弁体と、弁体を回転させる駆動源としての電気モータとを備えた電動式のバタフライ弁である。高温通路22および低温通路23を流通する各吸気の流量は、電気モータにより回転駆動される弁体の回転角度(開度)に基づき調節される。また、弁体の駆動源が電気モータであるため、例えば機械式のスロットル弁(車両に備わるアクセルペダルとワイヤー等で連係されたもの)を用いた場合と異なり、アクセルペダルの開度とは関係なく自由に各スロットル弁28,29の開度を変更することが可能である。
このように、当実施形態では、第1、第2スロットル弁28,29として同様の構造のバタフライ弁が用いられている。ただし、各弁のボア径、つまりディスク状の弁体が着座する部分におけるバルブボディの内径を比較すると、当実施形態では、高温通路22用の第1スロットル弁28のボア径の方が、低温通路23用の第2スロットル弁29のボア径よりも小さく設定されている。
排気通路30は、各気筒2の排気ポート7と連通する複数本の独立通路31(図1にはそのうちの1本のみを示す)と、独立通路31の各下流端部(排気ガスの流れ方向下流側の端部)が集合した排気集合部32と、排気集合部32から下流側に延びる1本の共通通路33とを有している。
EGR装置40は、排気通路30と吸気通路20とを互いに連通するEGR通路41と、EGR通路41の途中部に設けられたEGRクーラ42および低温EGR弁43と、EGR通路41から分岐するように設けられたバイパス通路45と、バイパス通路45に設けられた高温EGR弁46とを有している。
EGR通路41は、排気通路30を流通する排気ガスの一部を吸気通路20に還流するための通路であり、当実施形態では、排気通路30の排気集合部32と吸気通路20の独立通路25とを互いに連通している。なお、図示しないが、EGR通路41の下流部(吸気通路20側の端部)は、気筒2ごとに設けられた独立通路25の数に対応して複数本に分岐しており、各独立通路25と1対1で接続されている。
EGRクーラ42は、EGR通路41を流通する排気ガスを冷却するための水冷式の熱交換器である。すなわち、EGRクーラ42では、その内部に導入される冷却水との熱交換によって排気ガスが冷却される。EGRクーラ42で用いられる冷却水は、エンジン本体1を冷却するための冷却水(エンジン冷却水)と同じものを用いてもよいが、当実施形態では、より高い冷却効果を得るために、エンジン冷却水とは別の冷却水が用いられる。このため、当実施形態の車両のエンジンルームには、エンジン冷却水を外気との熱交換によって冷却するためのメインラジエータとは別に、EGRクーラ42用の冷却水を冷却するためのサブラジエータが設けられる(いずれも図示省略)。
低温EGR弁43は、EGR通路41におけるEGRクーラ42よりも下流側に設けられた電動式のバルブであり、その開閉動作に応じて、EGR通路41を通じて吸気通路20に還流される排気ガスの量が調節されるようになっている。
バイパス通路45は、EGRクーラ42およびEGR弁43の双方をバイパスするように設けられており、EGR通路41におけるEGRクーラ42の上流側部位とEGR弁43の下流側部位とを互いに連通している。
高温EGR弁46は、バイパス通路45に設けられた電動式のバルブであり、その開閉動作に応じて、EGR通路41からバイパス通路45へ分岐する排気ガスの量が調節されるようになっている。
以上のようなEGR装置40において、低温EGR弁43および高温EGR弁46の双方が閉じられると、EGR通路41またはバイパス通路45を流通する排気ガスの流れが遮断されて、吸気通路20へと還流される排気ガスの量は実質的にゼロになる。一方、低温EGR弁43が開かれて高温EGR弁46が閉じられたときには、排気ガスはEGR通路41のみを通って吸気通路20へと還流される。このため、吸気通路20に還流される排気ガスは、その全てが、EGRクーラ42によって冷却された低温の排気ガスとなる。この状態からさらに高温EGR弁46が開かれたとき、つまり低温EGR弁43および高温EGR弁46の双方が開かれたときには、排気ガスはEGR通路41およびバイパス通路45に分かれた後に吸気通路20へと還流される。このため、吸気通路20に還流される排気ガスは、EGRクーラ42によって冷却された低温の排気ガスと、EGRクーラ42によって冷却されない高温の排気ガスとが混合したものになる。
ターボ過給機50は、排気通路30の共通通路33に設けられたタービン51と、吸気通路20の共通通路21に設けられたコンプレッサ52と、これらタービン51およびコンプレッサ52を互いに連結する連結軸53とを有している。エンジンの運転中、エンジン本体1の各気筒2から排気通路30に排気ガスが排出されると、その排気ガスがターボ過給機50のタービン51を通過することにより、タービン51が排気ガスのエネルギーを受けて高速で回転する。また、タービン51と連結軸53を介して連結されたコンプレッサ52がタービン51と同じ回転速度で回転させられることにより、吸気通路20を通過する吸気が加圧されて、エンジン本体1の各気筒2へと圧送される。
(2)制御系
次に、図2を用いて、エンジンの制御系について説明する。当実施形態のエンジンは、その各部がECU(エンジン制御ユニット)60によって統括的に制御される。ECU60は、周知のとおり、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロプロセッサからなり、本発明にかかる制御手段に相当するものである。
ECU60には、エンジンおよびこれを搭載する車両に設けられた複数のセンサから種々の情報が入力される。
具体的に、エンジンには、図1および図2に示すように、エンジン本体1のクランク軸15の回転速度を検出するエンジン速度センサSN1と、エンジン本体1の冷却水の温度を検出する水温センサSN2と、サージタンク24を通過する吸気の温度を検出する吸気温センサSN3と、サージタンク24を通過する吸気の流量を検出するエアフローセンサSN4とが設けられている。また、車両には、外気温を検出する外気温センサSN5と、運転者により操作される図外のアクセルペダルの開度(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサSN6とが設けられている。ECU60は、これらのセンサSN1〜SN6と電気的に接続されており、それぞれのセンサから入力される信号に基づいて、上述した各種情報(エンジンの回転速度、冷却水の温度、吸気の温度‥‥など)を取得する。
また、ECU60は、上記各センサSN1〜SN6からの入力信号に基づいて種々の演算等を実行しつつ、エンジンの各部を制御する。すなわち、ECU60は、インジェクタ11、点火プラグ12、燃圧制御弁14a、吸気弁8用の可変機構18a、排気弁9用の切替機構19a、第1スロットル弁28、第2スロットル弁29、低温EGR弁43、および高温EGR弁46と電気的に接続されており、上記演算の結果等に基づいて、これらの機器にそれぞれ駆動用の制御信号を出力する。
(3)運転状態に応じた制御
次に、図3〜図5を用いて、運転状態に応じたエンジン制御の具体的内容について説明する。
図3は、エンジンの負荷および回転速度を縦軸および横軸として表したエンジンの運転領域を燃焼モードの相違によって複数の領域に分けたマップである。このマップは、エンジンの高負荷域および高速域に設定されたSI領域Bと、SI領域Bを除く部分負荷の領域に設定されたCI領域Aとを含んでいる。さらに、CI領域Aは、第1CI領域A1と、第1領域A1よりも負荷の高い第2CI領域A2とに分けられる。
CI領域Aは、インジェクタ11から噴射された燃料と空気との混合気をピストン5の圧縮により自着火させる燃焼、つまりCI燃焼が実行される運転領域である。これに対し、SI領域Bは、点火プラグ12の火花点火により混合気に強制着火する燃焼、つまりSI燃焼が実行される運転領域である。
より具体的に、CI領域Aの中でも低負荷側の第1CI領域A1では、HCCIモードと称する燃焼制御が実行される。HCCIモードとは、図4(a)に示すように、燃料と空気とを予め混合して得た混合気(予混合気)を圧縮により自着火させる燃焼制御のことである。なお、当実施形態では、HCCIモードのとき、吸気行程中に燃料が噴射されるものとする。
CI領域Aの中でも高負荷側の第2CI領域A2では、リタードCIモードと称する燃焼制御が実行される。リタードCIモードとは、図4(b)に示すように、噴射すべき燃料の少なくとも一部を例えば圧縮上死点(図中のTDC)の近傍といった遅めのタイミングで噴射し、その燃料を短時間で自着火に至らせる燃焼制御のことである。ただし、当実施形態では、リタードCIモードのとき、前段噴射と後段噴射の2回に分けて燃料が噴射されるものとする(分割噴射)。このうち、前段噴射の時期は吸気行程中に設定され、後段噴射の時期は圧縮行程後期から膨張行程初期の間に設定される。また、噴射量の配分は、後段噴射の噴射量の方が前段噴射の噴射量よりも多くされる。
一方、SI領域Bでは、リタードSIモードと称する燃焼制御が実行される。リタードSIモードとは、図4(c)に示すように、噴射すべき燃料の少なくとも一部を例えば圧縮上死点(図中のTDC)の近傍といった遅めのタイミングで噴射し、その後間もなく行われる火花点火により強制燃焼させる制御のことである。ただし、当実施形態では、リタードSIモードのとき、前段噴射と後段噴射の2回に分けて燃料が噴射されるものとする(分割噴射)。このうち、前段噴射の時期は吸気行程中に設定され、後段噴射の時期は圧縮行程後期から膨張行程初期の間に設定される。また、噴射量の配分は、後段噴射の噴射量の方が前段噴射の噴射量よりも多くされる。
ECU60は、上記のような各モードによる燃焼制御が実現されるように、エンジンの運転状態に応じて、吸気弁8および排気弁9の開弁特性、第1スロットル弁28および第2スロットル弁29の開度、低温EGR弁43および高温EGR46の開度、インジェクタ11からの燃料の噴射時期(噴射開始時期および噴射終了時期)および燃圧、さらには点火プラグ12による火花点火の時期等をそれぞれ制御する。
図5は、図3のマップにおいてエンジンの運転ポイント(負荷および回転速度から特定される2次元マップ上のポイント)が矢印Xのように変化した場合、つまり、第1CI領域A1、第2CI領域A2、SI領域Bの順に移動するように運転ポイントが負荷方向に変化した場合の各種状態量の推移を示している。ただし、ここで示される状態量の推移は、あくまで、それぞれの負荷でエンジンが定常運転された場合のものであり、負荷が急激に変化したときのような過渡運転時については、図5とは異なる状態量に設定されることもある。この点については、後述する「(4)過渡運転時を含む制御動作」の中で詳しく説明する。
図5において、Lminはエンジンの最低負荷、Lmaxはエンジンの最高負荷であり、両者の間に存在する負荷L1,L2,L3,L5,L6,L7は、何らかの制御の変更点となる負荷である。なお、第1CI領域A1(HCCIモード)に対応する負荷域はLminからL5までであり、第2CI領域A2(リタードCIモード)に対応する負荷域はL5からL6までであり、SI領域B(リタードSIモード)に対応する負荷域はL6からLmaxまでである。
図5の(a)は、各気筒2の燃焼室10に導入される充填ガスの内訳、つまり、それぞれの負荷において燃焼室10に充填可能な最大充填量を100%としたときの充填ガスの成分比率を表している。本図において、「内部EGR」とは、排気弁9の2度開き(切替機構19aをONして排気弁9を排気行程だけでなく吸気行程でも開弁させること)により排気ポート7から排気ガスを逆流させる操作により燃焼室10に残留させられた高温の排気ガスのことである。また、「Hot−EGR」とは、EGR装置40のバイパス通路45を通って燃焼室10に還流された高温の排気ガスのことであり、「Cold−EGR」とは、EGR装置40のEGR通路41を通って(つまりEGRクーラ42により冷却された後に)燃焼室10に還流された低温の排気ガスのことである。さらに、「Hot−Air」とは、吸気通路20の高温通路22を通じて燃焼室10に導入された高温の吸気(新気)のことであり、「Cold−Air」とは、吸気通路20の低温通路23を通じて燃焼室10に導入された低温の吸気(新気)のことである。
上記図5の(a)以外のグラフについては、それぞれ次のような状態量を表している。すなわち、(b)は吸気弁8の開時期(IVO)および閉時期(IVC)、(c)は排気弁9の開時期(EVO)および閉時期(EVC)、(d)は高温通路22用の第1スロットル弁28(HTV)の開度、(e)は低温通路23用の第2スロットル弁29(CTV)の開度、(f)は低温EGR弁43の開度、(g)は高温EGR弁46の開度、(h)はインジェクタ11からの燃料の噴射開始時期、(i)はインジェクタ11からの燃料の噴射圧力(燃圧)、(j)は燃焼室10内の空燃比を、それぞれ表している。なお、(j)の空燃比のうち、A/Fとは、燃焼室10に導入された吸気(新気)の質量を燃料の質量で割った値であり、G/Fとは、燃焼室10に導入された全ガス質量を燃料の質量で割った値(ガス空燃比)である。
図5(b)に示すように、吸気弁8については、エンジン負荷がLminからL1までの間、可変機構18aによって吸気弁8のリフト量が所定の小リフトに設定され、それに伴い吸気弁8の開弁期間(IVO〜IVCの期間)が短く設定される。一方、エンジン負荷がL1からL3までの間、吸気弁8のリフト量(開弁期間)は徐々に増大され、L3よりも高負荷側では最大値で一定とされる。
図5(c)に示すように、排気弁9については、エンジン負荷がLminからL4までの間、切替機構19aがONされることにより、排気弁9が排気行程だけでなく吸気行程でも開かれる(2度開き)。一方、エンジン負荷がL4からLmaxまでの間は、切替機構19aがOFFされ、排気弁9の2度開きが停止される。
図5(d)に示すように、高温通路22用の第1スロットル弁28の開度は、負荷LminからL6までの間、所定の中間開度(後述する図6のステップS8で決定される開度)に設定される。負荷L6を超えると、第1スロットル弁28の開度は全閉(0%)まで低減され、負荷Lmaxまで全閉に維持される。
図5(e)に示すように、低温通路23用の第2スロットル弁29の開度は、負荷LminからL6までの間、所定の中間開度(後述する図6のステップS8で決定される開度)に設定される。負荷L6を超えると、第2スロットル弁29の開度は全開(100%)まで増大され、負荷Lmaxまで全開に維持される。
図5(f)に示すように、低温EGR弁43の開度は、負荷LminからL1までの間、全閉(0%)に設定される。負荷L1を超えると、徐々に開度が増大されて、負荷L2で全開(100%)とされる。負荷L2からL5までの間、開度は全開(100%)に維持されるが、負荷L5を超えると、再び開度が低減されて、負荷Lmaxで全閉(0%)に戻される。
図5(g)に示すように、高温EGR弁46の開度は、負荷LminからL4までの間、全閉(0%)に設定される。負荷L4を超えると、開度は一気に全開(100%)まで増大されるが、それ以降は徐々に低減されて、負荷L7で全閉(0%)とされる。さらに、負荷L7からLmaxまでは、一律に全閉(0%)とされる。
図5(h)に示すように、インジェクタ11からの燃料の噴射開始時期は、負荷LminからL5までの間、吸気行程中の所定時期(BDCとTDCの間)に設定される。負荷L5を超えると、噴射開始時期は例えば圧縮上死点(圧縮TDC)の近傍まで遅らされ、負荷Lmaxまで同様の時期に維持される。ただし、負荷L5からLmaxまでは、第2CI領域A2またはSI領域Bに対応するので、ここでの燃料噴射は、図4(b)(c)を用いて既に説明したように、前段噴射と後段噴射の2回に分けられる。図5(h)において示される負荷L5以降における噴射開始時期は、このうちの後段噴射の開始時期を示すものである。
ここで、負荷L5よりも高負荷側での噴射開始時期(後段噴射の開始時期)は、より詳しくいえば、負荷Lmaxに近づくほど僅かずつ遅らされる。また、噴射開始時期は、負荷だけでなくエンジン回転速度によっても変動し、一般的な傾向として、回転速度が高いほど噴射開始時期は早められる。このように条件によって変動する噴射開始時期ではあるが、負荷L5〜Lmaxの範囲で総じていえば、当該噴射開始時期は、圧縮上死点前50°CAから圧縮上死点後10°CAまでのクランク角範囲に含まれる(CAはクランク角を表す)。なお、噴射開始時期がある特定のクランク角範囲に含まれるとは、その特定のクランク角範囲のいずれかの時点で燃料噴射が開始されるということである。このため、燃料の噴射終了時期については、必ずしも上記特定のクランク範囲に含まれる必要はなく、当該クランク角範囲から外れていてもよい。
図5(i)に示すように、燃料の噴射圧力(燃圧)は、負荷LminからL5までの間、20MPa程度に設定される。負荷L5を超えると、燃圧は100MPa以上にまで増大され、負荷Lmaxまで同様の値に維持される。
以上のような負荷に応じた各種状態量の変化に基づき、燃焼室10内のガスの内訳は、次のように変化する。
エンジン負荷がLminからL1までの間にあるとき、燃焼室10を占めるガスの種類は、高温通路22から導入される高温の吸気(Hot−Air)と、低温通路23から導入される低温の吸気(Cold−Air)と、排気弁9の2度開きにより導入される高温の排気ガス(内部EGR)との3種類とされる(図5(a))。中でも、内部EGRによる排気ガスが多くされ、燃焼室10の大半は高温の排気ガスで占められる。
エンジン負荷がL1からL4までの間にあるとき、燃焼室10を占めるガスの種類は、高温通路22から導入される高温の吸気(Hot−Air)と、低温通路23から導入される低温の吸気(Cold−Air)と、EGRクーラ42で冷却された後に導入される低温の排気ガス(Cold−EGR)と、排気弁9の2度開きにより導入される高温の排気ガス(内部EGR)との4種類とされる(図5(a))。吸気の量、つまり、高温の吸気と低温の吸気とが混合したトータルの新気の量は、負荷が上昇するにつれて徐々に増やされる。一方で、内部EGRによる排気ガスの量は、負荷が上昇するにつれて徐々に減らされる。
エンジン負荷がL4からL6までの間にあるとき、燃焼室10を占めるガスの種類は、高温通路22から導入される高温の吸気(Hot−Air)と、低温通路23から導入される低温の吸気(Cold−Air)と、EGRクーラ42で冷却された後に導入される低温の排気ガス(Cold−EGR)と、EGRクーラ42で冷却されないまま導入される高温の排気ガス(Hot−EGR)との4種類とされる。負荷がL4からL6まで上昇するにつれて、高温の排気ガス(Hot−EGR)の量は徐々に減らされ、これに代わって吸気の量が増やされる。
エンジン負荷がL6からLmaxまでの間にあるとき、燃焼室10を占めるガスの種類は、基本的に、低温通路23から導入される低温の吸気(Cold−Air)と、EGRクーラ42で冷却された後に導入される低温の排気ガス(Cold−EGR)との2種類とされる。ただし、負荷L6に近い低負荷側の一部では、EGRクーラ42で冷却されない高温の排気ガス(Hot−EGR)がわずかに燃焼室10に導入される。EGRクーラ42で冷却された後に導入される低温の排気ガス(Cold−EGR)は、負荷がL6からLmaxまで上昇するにつれて徐々に減らされ、これに代わって吸気(ここでは全て低温の吸気)の量が徐々に増やされる。
そして、以上のように負荷ごとにつくり分けられる燃焼室10の環境を前提に、当実施形態では、既に述べたとおり、第1CI領域A1(負荷Lmin〜L5)でHCCIモードによる燃焼制御が実行され、第2CI領域A2(負荷L5〜L6)でリタードCIモードによる燃焼制御が実行され、SI領域B(負荷L6〜Lmax)でリタードSIモードによる燃焼制御が実行される。
すなわち、第1CI領域A1では、高温通路22用の第1スロットル弁28と低温通路23用の第2スロットル弁29とがともに開かれることにより(図5(d)(e))、吸気の一部が高温通路22を通って加熱された上で燃焼室10に導入される。また、排気弁9の2度開きが実行されるか(図5(c))、または高温EGR弁43が開かれることにより(図5(g))、排気ポート7から逆流した高温の排気ガスか、またはEGRクーラ42を介さずに還流された高温の排気ガスが燃焼室10に導入される。これにより、燃焼室10の温度上昇が図られる。インジェクタ11からは吸気行程中に燃料噴射が開始され(図5(h))、そのときの燃圧は20MPa程度に設定される(図5(i))。噴射された燃料に基づく空燃比A/Fは、Lmin〜L2の負荷域では理論空燃比(=14.7)より大きいリーンな値に設定され、L2以上の負荷域では理論空燃比に設定される(図5(j))。これらの制御の結果、第1CI領域A1では、充分に混合された予混合気が圧縮上死点の近傍で自着火し、燃焼する(HCCIモード)。
第2CI領域A2では、上記第1CI領域A1内の高負荷域(負荷L4〜L5)と同様、高温通路22用の第1スロットル弁28と低温通路23用の第2スロットル弁29とがともに開かれ(図5(d)(e))、かつ高温EGR弁43が開かれることにより(図5(g))、燃焼室10の高温化が図られる。また、インジェクタ11からの燃料の噴射開始時期(この場合は後段噴射の開始時期)は、例えば圧縮上死点の近傍まで遅らされ(図5(h))、そのときの燃圧は100MPa以上にまで増大される(図5(i))。噴射された燃料に基づく空燃比A/Fは、理論空燃比(=14.7)に設定される(図5(j))。これらの制御の結果、第2CI領域A2では、燃料噴射の完了後、少なくとも圧縮上死点を過ぎたタイミングで燃料が自着火し、燃焼する(リタードCIモード)。
このように、第1CI領域A1よりも負荷の高い第2CI領域A2において、燃料噴射の時期を遅らせるリタードCIモードが実行されるのは、仮に第1CI領域A1と同様のタイミングで全ての燃料を噴射したとすると、混合気が自着火するタイミングが早くなり過ぎて、異常燃焼や過大な燃焼騒音が生じるおそれがあるためである。
SI領域Bでは、高温通路22用の第1スロットル弁28の開度が全閉(0%)に設定され、低温通路23用の第2スロットル弁29のみが開かれる(図5(d)(e))。これにより、インターウォーマ26により加熱された高温の吸気は燃焼室10に導入されなくなり、燃焼室10の温度低下が図られる。また、インジェクタ11からの燃料の噴射開始時期(この場合は後段噴射の開始時期)は、例えば圧縮上死点の近傍まで遅らされ(図5(h))、そのときの燃圧は100MPa以上とされる(図5(i))。さらに、図5では図示しないが、噴射が完了した後の間もないタイミングで点火プラグ12による火花点火が行われる。噴射された燃料に基づく空燃比A/Fは、理論空燃比(=14.7)に設定される(図5(j))。これらの制御の結果、SI領域Bでは、火花点火の完了後、少なくとも圧縮上死点を過ぎたタイミングで燃料が強制的に着火され、燃焼する(リタードSIモード)。
このときの燃焼形態は、上述したHCCIモードまたはリタードCIモードのときと異なり、火炎伝播により徐々に燃え広がる燃焼(SI燃焼)となるが、燃料が高圧噴射されて間もない高い乱流エネルギー下での燃焼となることから、その燃焼期間は充分に短くなり、熱効率の高い比較的急速なSI燃焼が実現される。また、燃料の噴射タイミングが充分に遅いため、高負荷のときに起き易いノッキングやプリイグニッション等の異常燃焼も回避される。
(4)過渡運転時を含む制御動作
次に、図6のフローチャートを用いて、エンジンの運転中に行われる制御動作の手順について説明する。ただし、図3の各運転領域(A1,A2,B)で行われる定常運転時の制御については既に大まかに説明したので、ここでは、運転領域を短時間でまたぐような過渡運転時の制御や、第1、第2スロットル弁28,29の開度の決め方などについて主に説明することにする。
図6のフローチャートに示す処理がスタートすると、ECU60は、各種センサ値を読み込む処理を実行する(ステップS1)。すなわち、ECU60は、エンジン速度センサSN1、水温センサSN2、吸気温センサSN3、エアフローセンサSN4、外気温センサSN5、およびアクセル開度センサSN6からそれぞれの検出信号を読み込み、これらの信号に基づいて、エンジンの回転速度、冷却水の温度、サージタンク24内の吸気温度および吸気流量、外気温、およびアクセル開度といった各種情報を取得する。
次いで、ECU60は、上記ステップS1で水温センサSN2から取得した情報に基づいて、エンジンの冷却水の温度が所定値(例えば60℃)以上であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS2)。
上記ステップS2でYESと判定されて冷却水温が所定値以上であることが確認された場合、ECU60は、図3に示したマップに従った基本燃焼制御を実行するために、当該マップに対応するデータ(運転領域ごとの各種制御目標値など)を読み出す処理を実行する(ステップS3)。
次いで、ECU60は、上記ステップS1で取得した情報に基づいて、図3のマップにおけるCI領域Aでエンジンが運転されているか否かを判定する処理を実行する(ステップS4)。すなわち、ECU60は、エンジン速度センサSN1、エアフローセンサSN4、およびアクセル開度センサSN6等から得られる情報に基づいて、エンジンの負荷および回転速度を特定するとともに、両者の値から定まるエンジンの運転ポイントが、図3に示したCI領域Aに含まれるか否かを判定する。
上記ステップS4でYESと判定されてCI領域Aで運転されていることが確認された場合、ECU60は、現在のエンジン運転状態がSI領域BからCI領域Aへの過渡運転に該当するか否かを判定する処理を実行する(ステップS5)。すなわち、現在の負荷および回転速度から定まる運転ポイントが仮にCI領域A(第1CI領域A1および第2CI領域A2のいずれか)に含まれていたとしても、その直前の時点ではSI領域Bにあったとすれば、SI領域Bからごく短時間でCI領域Aに移行したことになる。このような場合には、エンジン本体1の各気筒2において、適正なCI燃焼を行い得る環境が整っていない。そこで、このような過渡運転時には、通常の制御とは異なる過渡的な制御(後述するステップS10)が必要である。上記ステップS5では、このような制御が必要な状態に該当するか否かを、所定時間前のエンジンの運転状態に基づいて判定する。なお、以下では、今回のようなSI領域BからCI領域Aへの過渡運転を、CI領域AからSI領域Bへの過渡運転(後述するステップS12)と区別すべく、「逆過渡運転」と称する。
上記ステップS5でNOと判定されて逆過渡運転(SI→CIの過渡運転)に該当しないこと、つまりCI領域Aでの定常運転であることが確認された場合、ECU60は、さらに、CI領域Aの中でも低負荷側の第1CI領域A1でエンジンが運転されているか否かを判定する処理を実行する(ステップS6)。
上記ステップS6でYESと判定されて第1CI領域A1での定常運転であることが確認された場合、ECU60は、図4(a)に示すように、吸気行程中に燃料を噴射して自着火させるHCCIモードによる燃焼制御を実行する(ステップS7)。
そして、このHCCIモードの実行に伴い、ECU60は、インターウォーマ26により加熱された吸気とインタークーラ27により冷却された吸気とが適切な割合で混合されるように第1スロットル弁28(HTV)および第2スロットル弁29(CTV)を制御する処理を実行し(ステップS8)、混合後の吸気の温度、つまりサージタンク24内の吸気の温度を予め定められた所定の温度範囲(例えば50±5℃)まで上昇させる。これにより、当該所定の温度範囲まで昇温された暖かい吸気が独立通路25を通じてエンジン本体1の各気筒2へと導入されるので、第1CI領域A1のような比較的負荷の低い条件であっても、各気筒2での混合気の自着火が促進されて、安定したCI燃焼が実現される。
具体的に、ステップS8では、上記ステップS1で取得した外気温とエンジン冷却水の温度とに基づいて、高温通路22および低温通路23用の各スロットル弁28,29の開度が制御され、インターウォーマ26通過後の高温の吸気(エンジン冷却水とほぼ同一温度の吸気)とインタークーラ27通過後の低温の吸気(外気とほぼ同一温度の吸気)との混合割合が調節される。これにより、混合後の吸気の温度が上記所定の温度範囲に収められる。
例えば、エンジン冷却水の温度が高いほど、エンジン冷却水を利用した上記インターウォーマ26により加熱される吸気の温度は高くなる。このため、混合後の吸気の温度を上記所定の温度範囲に収めるために必要な高温通路22側の吸気の流量は、仮に低温通路23側の吸気の温度が同一であるとすると、エンジン冷却水の温度が高いほど少なくなる。一方、外気温が高いほど、走行風を利用した上記インタークーラ27により冷却される吸気の温度は高くなる。このため、混合後の吸気の温度を上記所定の温度範囲に収めるために必要な低温通路23側の吸気の流量は、仮に高温通路22側の吸気の温度が同一であるとすると、外気温が高いほど多くなる。
このような事情を考慮して、ECU60には、高温通路22および低温通路23用の各スロットル弁28,29の開度をエンジン冷却水の温度と外気温とに基づき決定するためのマップデータが記憶されている。上記ステップS8において、ECU60は、水温センサSN2から取得したエンジン冷却水の温度と、外気温センサSN5から取得した外気温と、上記のマップデータとに基づいて、設定すべき各スロットル弁28,29の開度(目標開度)を決定し、その目標開度に合わせて各スロットル弁28,29を制御する。さらに、ECU60は、サージタンク24内で検出された実際の吸気の温度(吸気温センサSN3の検出値)をフィードバックしつつ各スロットル弁28,29の開度を補正する。これにより、サージタンク24で混合後の吸気の温度は、高い精度で上記所定の温度範囲に収められることになる。
次に、上記ステップS6でNOと判定された場合、つまり、エンジンが第2CI領域A2で定常運転されている場合の制御動作について説明する。この場合、ECU60は、図4(b)に示すように、例えば圧縮上死点の近傍といった遅めのタイミングで燃料を噴射して自着火させるリタードCIモードによる燃焼制御を実行する(ステップS9)。
具体的に、リタードCIモードでは、サプライポンプ14の燃圧制御弁14aが駆動されてインジェクタ11からの燃料噴射圧力(燃圧)が高められた上で、吸気行程中に少量の燃料を噴射する前段噴射と、圧縮行程後期から膨張行程初期の間に比較的多くの燃料を噴射する後段噴射とが実行される。このような遅めのタイミングで噴射された高燃圧の燃料は、高温化した燃焼室10内で直ちに気化した後、圧縮上死点を過ぎた適宜のタイミングで自着火に至り、燃焼する。
上記リタードCIモードにおいても、先のHCCIモードのときと同様の態様で、高温通路22および低温通路23用の各スロットル弁28,29の開度が制御される(ステップS8)。すなわち、インターウォーマ26通過後の高温の吸気とインタークーラ27通過後の低温の吸気との混合割合が上記各スロットル弁28,29の開度制御によって調節されることにより、混合後の吸気の温度、つまりサージタンク24内の吸気の温度が所定の温度範囲(例えば50±5℃)に収められる。
次に、上記ステップS4でNOと判定された場合、つまり、エンジンがSI領域Bで運転されている場合の制御動作について説明する。この場合、ECU60は、現在のエンジンの運転状態がCI領域AからSI領域Bへの過渡運転に該当するか否かを判定する処理を実行する(ステップS12)。すなわち、現在の負荷および回転速度から定まる運転ポイントが仮にSI領域Bに含まれていたとしても、その直前の時点ではCI領域A(第1CI領域A1および第2CI領域A2のいずれか)にあったとすれば、CI領域Aからごく短時間でSI領域Bに移行したことになる。このような場合には、エンジン本体1の各気筒2において、適正なSI燃焼を行い得る環境が整っていない。そこで、このような過渡運転時には、通常の制御とは異なる過渡的な制御(後述するステップS15)が必要である。上記ステップS12では、このような制御が必要な状態に該当するか否かを、所定時間前のエンジンの運転状態に基づいて判定する。
上記ステップS12でNOと判定されて過渡運転(CI→SIの過渡運転)に該当しないこと、つまりSI領域Bでの定常運転であることが確認された場合、ECU60は、図4(c)に示すように、例えば圧縮上死点の近傍といった遅めのタイミングで燃料を噴射して火花点火により強制燃焼させるリタードSIモードによる燃焼制御を実行する(ステップS13)。
具体的に、リタードSIモードでは、サプライポンプ14の燃圧制御弁14aが駆動されてインジェクタ11からの燃料噴射圧力(燃圧)が高められた上で、吸気行程中に少量の燃料を噴射する前段噴射と、圧縮行程後期から膨張行程初期の間に比較的多くの燃料を噴射する後段噴射とが実行される。なお、このときの後段噴射のより詳しいタイミングは、既に述べたとおり、圧縮上死点前50°CAから圧縮上死点後10°CAのいずれかで噴射が開始されるようなタイミングである。さらに、その後間もないタイミングで点火プラグ12が駆動されて、火花点火による着火エネルギーが供給される。インジェクタ11からの燃料は、上記のように遅めのタイミングで、しかも高燃圧で噴射されることにより、燃焼室10内で直ちに気化する。この気化した燃料は、その後の火花点火をきっかけに、圧縮上死点を過ぎた適宜のタイミングで燃焼を開始する。
上記のように、リタードSIモードでの燃焼形態は、火花点火により混合気を強制燃焼させるSI燃焼であるため、燃焼室10の温度を故意に上昇させる必要はなくなる。そこで、リタードSIモードの実行に伴い、ECU60は、高温通路22用の第1スロットル弁28(HTV)を全閉にする処理を実行する(ステップS14)。これにより、高温通路22が遮断されるので、インターウォーマ26で加熱された高温の吸気はサージタンク24まで流入せず、その結果、エンジン本体1に導入される吸気は全てインタークーラ27で冷却された低温の(外気とほぼ同一温度の)吸気となる。
次に、上記ステップS12でYESと判定された場合、つまり、CI領域A(第1CI領域A1および第2CI領域A2のいずれか)からSI領域Bへの過渡運転に該当すると判定された場合の制御動作について説明する。この場合、ECU60は、過渡SIモードとして、SI領域Bでの定常運転時(リタードSIモード)よりもさらに遅いタイミングで燃料を噴射し、その噴射した燃料を火花点火により強制燃焼させる処理を実行する(ステップS15)。
具体的に、過渡SIモードでは、図7に示すように、移行先のリタードSIモードのときと同様、前段噴射および後段噴射に分けて燃料が噴射された後、火花点火が実行される。ただし、過渡SIモードでは、リタードSIモードのときと比べて、後段噴射の開始時期がより遅角側に設定される。詳しくは、リタードSIモードのときの後段噴射の開始時期が圧縮上死点前50°CAから圧縮上死点後10°CAの間に設定されるのに対し、過渡SIモードのときの後段噴射の開始時期は、圧縮上死点前45°CAから圧縮上死点後15°CAの間に設定される。なお、図7では、過渡SIモードを経由する直前の状態がHCCIモード(第1CI領域A1での定常運転)であった場合の燃料噴射と火花点火の時期を示しているが、移行前の状態がリタードCIモード(第2CI領域A2での定常運転)であったときも基本的にこれと同じである。
次に、上記ステップS5でYESと判定された場合、つまり、SI領域BからCI領域A(第1CI領域A1および第2CI領域A2のいずれか)への過渡運転に該当すると判定された場合(逆過渡運転時)の制御動作について説明する。この場合、ECU60は、図8に示すような逆過渡SIモードを実行する(ステップS10)。
逆過渡SIモードでは、上述した過渡SIモード(図7)のときと同様に、前段噴射および後段噴射に分けて燃料が噴射された後、火花点火が実行されるが、逆過渡SIモードでの後段噴射の開始時期は、過渡SIモードのときよりも幾分早められる。なお、図7では、逆過渡SIモードを経由した後にHCCIモード(第1CI領域A1での定常運転)に移行する場合の燃料噴射と火花点火の時期を示しているが、移行後の状態がリタードCIモード(第2CI領域A2での定常運転)であるときも基本的にこれと同じである。
次に、上記ステップS2でNOと判定された場合、つまり、エンジン冷却水の温度が上記所定値(例えば60℃)未満であった場合の制御動作について説明する。この場合、ECU60は、図3のマップによらない制御として、エンジンの全ての運転領域でSI燃焼を行う全域SI制御を実行する(ステップS17)。すなわち、エンジン冷却水の温度が低いときは、インターウォーマ26を用いて吸気を充分に加熱することができず、また、燃焼室10の壁面の温度も低いので、混合気を自着火させることが難しい。そこで、このような場合には、火花点火による強制燃焼、つまりSI燃焼をエンジンの全ての運転領域で実行する。
(5)作用等
以上説明したとおり、当実施形態の圧縮自己着火式エンジンでは、燃料としてガソリンを含有する燃料が用いられ、予め定められたCI領域A(第1CI領域A1および第2CI領域A2)でCI燃焼がされるとともに、CI領域Aよりも高負荷側の領域を含むSI領域BでSI燃焼が実行される。このエンジンの吸気通路20は、吸気を加熱するインターウォーマ26(加熱手段)が設けられた高温通路22と、高温通路22と並列に延び、かつ吸気を冷却するインタークーラ27(冷却手段)が設けられた低温通路23と、高温通路22および低温通路23が集合したサージタンク24(集合部)と、サージタンク24とエンジン本体1とを接続する独立通路25(下流側通路)と、高温通路22および低温通路23をそれぞれ流通する吸気の流量を調節する第1、第2スロットル弁28,29(流量調節手段)とを有する。第1、第2スロットル弁28,29については、CI領域Aでの運転時に、吸気の一部が高温通路22を通じてエンジン本体1に導入されるように制御され(つまり両スロットル弁28,29が開かれ)、SI領域Bでの運転時には、エンジン本体1に導入される吸気が全て低温通路23からの吸気となるように制御される(つまり第1スロットル弁28が全閉とされる)。CI領域AからSI領域Bへと運転ポイントが移行する過渡運転時には、SI領域Aでの定常運転時よりも燃料の噴射開始時期を遅らせた状態でSI燃焼が実行され(過渡SIモード)、この過渡運転時の噴射開始時期(当実施形態では後段噴射の開始時期)は、圧縮上死点前45°CAから圧縮上死点後15°CAの範囲内に設定される。このような構成によれば、CI燃焼からSI燃焼への移行を、異常燃焼を伴うことなくしかもスムーズに行うことができるという利点がある。
すなわち、上記実施形態では、CI燃焼の実行領域(CI領域A)で、インターウォーマ26で加熱された吸気が高温通路22を通じてエンジン本体1に導入されるので、負荷が低い条件でも確実に燃料を自着火させることができ、CI燃焼の安定性を高めることができる。一方、CI領域Aよりも高負荷側のSI領域Bでは、低温通路23から導入される低温の吸気が増量されて(ここでは全てが低温の吸気とされて)、その状態でSI燃焼が実行されるので、負荷が高い条件でもノッキングやプリイグニッション等の異常燃焼を伴わない適正な燃焼を実現することができる。
その上で、上記実施形態では、CI領域AからSI領域Bへと移行する過渡運転時に、移行先のSI領域Bでの噴射開始時期よりも遅れた所定のクランク角範囲(圧縮上死点前45°CAから圧縮上死点後15°CA)で燃料の噴射が開始され、それに基づきSI燃焼が実行される。すると、その直前に加熱された高温の吸気が一時的に燃焼室10に導入されたとしても、これに合わせて燃料噴射の開始時期が大幅に遅らされることで、燃料が圧縮上死点付近の高温環境下に晒される時間が短くされ、その結果、ノッキングやプリイグニッション等の異常燃焼が回避される。また、異常燃焼回避のために一時的に燃料をカットしたような場合と異なり、燃焼が停止されずに継続されるので、エンジントルクが急減するトルクショックのような事態が生じることもない。このように、上記実施形態によれば、異常燃焼を伴うことなく、しかもスムーズに、上記CI燃焼からSI燃焼へと移行を行うことができる。
例えば、CI領域AからSI領域Bに移行したとき、直ちに第1スロットル弁28を全閉に駆動する指令を出したとしても、実際に全閉になるまでにはある程度の時間(指令後の応答遅れや全閉位置までの移動時間に相当する時間)が必要である。また、第1スロットル弁28が全閉にされて高温通路22からの高温の吸気が遮断されたとしても、第1スロットル弁28より下流に位置する高温の吸気がエンジン本体1の各気筒2で完全に消費されるまでには、ある程度の時間(例えばエンジン数回転分の時間)が必要である。これらのタイムラグ(応答遅れ)の間は、インターウォーマ26で加熱された高温の吸気が各気筒2の燃焼室10に残っていることになるので、これを無視していきなり通常のSI燃焼(移行先のSI領域で実行されるリタードSIモード)を実行した場合には、ノッキングやプリイグニッション等の異常燃焼が発生することが懸念される。これに対し、上記実施形態では、上記のタイムラグの間は燃料の噴射開始時期が大幅にリタードされるので、燃焼を継続しながら、上記のような異常燃焼の発生を防止することができる。
また、上記実施形態では、SI領域Bの定常運転(リタードSIモード)のときに、燃料の噴射開始時期(当実施形態では後段噴射の開始時期)が、圧縮上死点前50°CAから圧縮上死点後10°CAの範囲内に設定される。このようなSI領域Bでの噴射の開始時期は、上述した過渡運転のときに比べれば早いものの、圧縮上死点に比較的近い充分に遅れたタイミングということができる。負荷の高い条件下においてこのような遅めのタイミングで噴射された燃料は、噴射後間もなく行われる火花点火をきっかけに燃焼し、比較的急速に燃え広がるので、高い熱効率を得ることができるとともに、異常燃焼の発生を防止することができる。
また、上記実施形態では、SI領域BからCI領域Aへと運転ポイントが移行する逆過渡運転時には、上記CI領域AからSI領域Bへの過渡運転時よりも早い時期に燃料が噴射されて、火花点火に基づくSI燃焼が実行される(逆過渡SIモード)。このような構成によれば、CI領域Aに移行した直後であるために未だに高温の吸気がエンジン本体1に導入されていない状況(つまり低温の吸気が多くを占める状況)でも、上記のように早めの燃料噴射に基づくSI燃焼が実行されることにより、例えば失火が起きることが回避され、適正な燃焼を継続的に行わせることができる。
なお、上記実施形態では、SI領域Bでの定常運転(リタードSIモード)のときに、複数回に分けて燃料が噴射され、このうち遅い方の後段噴射の開始時期が、圧縮上死点前50°CAから圧縮上死点後10°CAのクランク角範囲に含まれるものとしたが、高速域を含む全てのSI領域Bにおいてこのような角度範囲に後段噴射の開始時期が設定されるとは限らない。少なくとも低速域を含む常用の回転域で上記の角度範囲に設定されていればよく、高速域についてはこの限りではない。
このことは、CI領域AからSI領域Bへの過渡運転(過渡SIモード)のときも同様である。すなわち、上記実施形態では、過渡SIモードのときに複数回に分けて燃料が噴射され、このうち遅い方の後段噴射の開始時期が、圧縮上死点前45°CAから圧縮上死点後15°CAのクランク角範囲に含まれるものとしたが、少なくとも低速域を含む常用の回転域で上記の角度範囲に設定されていればよく、高速域についてはこの限りではない。
また、上記実施形態では、リタードSIモードおよび過渡SIモードの双方、さらには第2CI領域A2で実行されるリタードCIモードのときに、複数回に分けて燃料を噴射する分割噴射を実行するようにしたが、これらの各モードにおける噴射の態様を、分割噴射ではなく、1回の噴射で所要量の燃料を噴射する一括噴射としてもよい。特に、エンジンの低速域では、高速域と比べて、狭いクランク角範囲で同量の燃料を噴射できるので、分割噴射ではなく一括噴射とすることが考えられる。なお、このように一括噴射をする場合には、噴射回数が1回だけとなるので、その1回の噴射の開始時期が、上述した各クランク範囲に収められることになる。
逆に、分割噴射をする場合は、前段噴射および後段噴射の2回に限らず、3回以上に分割して燃料を噴射してもよい。その場合は、最終段の噴射開始時期(分割回数が3回の場合は3回目の噴射開始時期)が、上述した各クランク範囲に収められていればよい。
また、上記実施形態では、インターウォーマ26の加熱源であるエンジン冷却水の温度を検出する水温センサSN2の検出値と、インタークーラ27の冷却源である外気の温度を検出する外気温センサSN5の検出値とに基づいて、高温通路22および低温通路23用の各スロットル弁28,29の開度を制御したが、インターウォーマ26およびインタークーラ27の温度条件に基づいて(言い換えれば、インターウォーマ26およびインタークーラ27通過後の各吸気の温度を代表する状態量に基づいて)スロットル弁28,29を制御すればよく、その具体的手法は他にも種々考えられる。例えば、インターウォーマ26より下流側の高温通路22と、インタークーラ27より下流側の低温通路23とに、それぞれ温度センサを設け、各温度センサにより検出される加熱または冷却後の吸気の温度に基づいて、上記各スロットル弁28,29の開度を制御してもよい。
また、上記実施形態では、インターウォーマ26の加熱源としてエンジンの冷却水を用いるとともに、インタークーラ27の冷却源として外気(走行風)を用いたが、これら加熱源および冷却源は、吸気を加熱または冷却できるものであればよく、種々の代替が可能である。例えば、インターウォーマ26として電熱式のヒータを用いてもよく、インタークーラ27として水冷式の熱交換器を用いてもよい。
また、上記実施形態では、吸気を冷却するインタークーラ27を吸気通路20の低温通路23に設けたが、このインタークーラ27は必ずしも必須ではなく、省略してもよい。ただし、インタークーラ27を設けた方が、低温通路23を通過した後の吸気の温度が安定するので、低温通路23および高温通路22の下流側で混合される吸気の温度を、高い精度で所望の温度範囲に調節できるという点で有利である。
また、上記実施形態では、CI燃焼が行われるCI領域A(第1CI領域A1および第2CI領域A2)での運転時に、高温通路22からの吸気と低温通路23からの吸気とを混合させることにより(つまりスロットル弁28,29の双方を開弁させることにより)、混合後の吸気の温度を一律に同じ温度範囲(例えば50±5℃)まで高めるようにしたが、目標とする温度範囲(所定の温度範囲)は、エンジンの負荷または回転速度に応じて異なる値であってもよい。
また、上記実施形態では、高温通路22および低温通路23の各流量を調節する流量調節手段として、高温通路22および低温通路23のそれぞれに独立したスロットル弁28,29を設けたが、これに代えて、高温通路22および低温通路23への吸気の分配割合を調節可能なロータリ式のバルブを、共通通路21の下流端部(高温通路22および低温通路23への分岐部)に設けてもよい。
また、上記実施形態では、SI燃焼が行われるSI領域Bでの運転時に、高温通路22用のスロットル弁28を一律に全閉にすることにより、加熱された高温の吸気がエンジン本体1に導入されるのを禁止するようにしたが、例えばSI領域Bでの低負荷側では、比較的多くの排気ガスがEGR装置40を通じて燃焼室10に導入されるので(図6(a)参照)、燃焼が不安定化するおそれがある。そこで、SI領域Bでは、その低負荷側の一部(例えば負荷L6からL7までの間)に限って、高温通路22用のスロットル弁28を開弁させるようにしてもよい。ただしその場合でも、低温通路23から導入される低温の吸気の割合(高温通路22の流量に対する低温通路23の流量の割合)は、CI領域Aのときと比べれば増大されることになる。
また、上記実施形態では、エンジン本体1の各気筒2に1つずつ点火プラグ12を設けたが、各気筒2に複数個(例えば2つ)の点火プラグを設けてもよい。これにより、SI領域Bで実行されるSI燃焼の燃焼速度が速められるので、熱効率がより向上することが期待できる。
1 エンジン本体
20 吸気通路
22 高温通路
23 低温通路
24 サージタンク(集合部)
25 独立通路(下流側通路)
26 インターウォーマ(加熱手段)
27 インタークーラ(冷却手段)
28 第1スロットル弁(流量調節手段)
29 第2スロットル弁(流量調節手段)
60 ECU(制御手段)
A CI領域
B SI領域

Claims (5)

  1. ガソリンを含有する燃料を燃焼室に噴射するインジェクタと燃焼室に火花を放電する点火プラグとを含むエンジン本体と、エンジン本体に導入される吸気が流通する吸気通路と、予め定められたCI領域で上記燃料の自着火によるCI燃焼を実行させるとともに、CI領域よりも高負荷側の領域を含むSI領域で上記点火プラグの火花点火によるSI燃焼を実行させる制御手段とを備えた圧縮自己着火式エンジンであって、
    上記吸気通路は、吸気を加熱する加熱手段が設けられた高温通路と、高温通路と並列に延び、かつ加熱手段が設けられない低温通路と、高温通路および低温通路が集合した集合部と、集合部と上記エンジン本体とを接続する下流側通路と、上記高温通路および低温通路をそれぞれ流通する吸気の流量を調節する流量調節手段とを有し、
    上記制御手段は、上記CI領域での運転時に、吸気の少なくとも一部が上記高温通路を通じてエンジン本体に導入されるように上記流量調節手段を制御する一方、上記SI領域での運転時には、上記低温通路からエンジン本体に導入される吸気の割合が上記CI領域での運転時よりも増えるように上記流量調節手段を制御し、さらに、
    上記制御手段は、上記CI領域からSI領域へと運転ポイントが移行する過渡運転時に、上記SI領域での定常運転時よりも上記燃料の噴射開始時期を遅らせた状態でSI燃焼を実行し、かつその過渡運転時の噴射開始時期を、圧縮上死点前45°CAから圧縮上死点後15°CAの範囲に含まれるように設定する、ことを特徴とする圧縮自己着火式エンジン。
  2. 請求項1記載の圧縮自己着火式エンジンにおいて、
    上記SI領域での定常運転時に設定される燃料の噴射開始時期が、圧縮上死点前50°CAから圧縮上死点後10°CAの範囲に含まれる、ことを特徴とする圧縮自己着火式エンジン。
  3. 請求項2記載の圧縮自己着火式エンジンにおいて、
    上記SI領域での定常運転時、および、上記CI領域からSI領域への過渡運転時は、上記インジェクタから2回以上に分割して燃料が噴射され、
    上記分割噴射される燃料の最終段の噴射開始時期が、SI領域での定常運転のときは圧縮上死点前50°CAから圧縮上死点後10°CAの範囲であり、上記CI領域からSI領域への過渡運転のときは圧縮上死点前45°CAから圧縮上死点後15°CAの範囲である、ことを特徴とする圧縮自己着火式エンジン。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧縮自己着火式エンジンにおいて、
    上記SI領域からCI領域へと運転ポイントが移行する逆過渡運転時にはSI燃焼が実行され、かつそのときの燃料の噴射開始時期は、上記CI領域からSI領域への過渡運転時よりも早い時期に設定される、ことを特徴とする圧縮自己着火式エンジン。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧縮自己着火式エンジンにおいて、
    上記低温通路には、その内部を流通する吸気を冷却する冷却手段が設けられた、ことを特徴とする圧縮自己着火式エンジン。
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