JP2014162776A - 脳保護剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】脳の保護作用を有する組成物を提供することを課題とする。またこの組成物を含有する飲食品を提供することを課題とする。
【解決手段】小麦末粉の水抽出物を70℃以下の温度で10分以上加熱して、脳の保護作用を有する組成物とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、虚血性疾患に伴う脳障害を予防する組成物に関する。
脳梗塞などによる虚血性神経細胞死は、虚血巣中心部においてオルガネラの膨化や核の凝集など、病理学的に無秩序な典型的壊死の状態を示すことから、脳虚血に陥った細胞の壊死(Necrosis)による神経細胞死であるとされてきた。しかし、軽度の脳虚血時には壊死とは全く異なった病理像を呈することから(非特許文献1:Brain Res. Mol., 29, pp.1-14, 1995;)、これらの神経細胞では、壊死に加えてアポトーシスが誘発されていると考えられるようになった(非特許文献2:Science, 281, pp.1302-1304, 1998)。
アポトーシスは、細胞死へのスイッチがオンになってから一連のシグナルカスケードが進行し、細胞死の実行分子であるカスパーゼが活性化され、最終的に細胞が死に至ると考えられている。新生児期の低酸素脳症にもカスパーゼの活性化を介するアポトーシスの関与が示唆されている(非特許文献3:J. Clin. Invest., 101, pp.1992-1999, 1998)。 また、損傷脳領域と神経線維連絡を持つ遠隔部位領域の神経細胞が二次的に細胞死に至ることが知られており、これにもアポトーシスが深く関与していることが判明している。
脳虚血によるアポトーシスは、虚血壊死(コア部分)の辺縁部(ペナンブラ領域)において、壊死より少し遅れて出現することが認められている。従って、脳虚血時のアポトーシスに起因する脳細胞死を抑制するための治療開始時間(治療タイムウインドー)は、壊死に比べて許容度が大きく、発症後数時間を経て薬剤を投与してもアポトーシスに起因する細胞死を抑制できる可能性がある。また、このことによって、アポトーシスに陥る運命にある細胞を保護して生存細胞数を増やすことができ、さらに遠隔部位領域における二次的な変性を阻止して神経機能後遺障害を軽減できる可能性がある。
このような観点から特許文献1(特開2000−344663号公報)には、2-フェニル-1,2-ベンゾイソセレナゾール-3(2H)-オン(一般名エプセレン)がアポトーシスに起因する脳細胞死を抑制することから、脳虚血に伴う脳障害を予防する剤として使用可能であることが記載されている。また最近では虚血性の障害の治療剤として、天然物由来の脳保護剤やアポトーシス抑制剤が注目されている。特許文献2(特開平6−172200号公報)にはラクトフェリン由来のペプチド、特許文献3(特開2002−265359号公報)にはお茶由来のテアニン、特許文献4(特開2008−266177号公報)には担子菌や子嚢菌抽出物、特許文献5(特開2009−292747号公報)には紫芋発酵液など天然物由来の脳保護剤が開示されている。
特開2000−344663号公報 特開平6−172200号公報 特開2002−265359号公報 特開2008−266177号公報 特開2009−292747号公報
Brain Res. Mol., 29, pp.1-14, 1995; Science, 281, pp.1302-1304, 1998 J. Clin. Invest., 101, pp.1992-1999, 1998
本発明は、脳の保護作用を有する組成物を提供することを課題とする。またこの組成物を含有する飲食品を提供することを課題とする。
本発明者らは小麦末粉に着目して試験した結果、小麦末粉の抽出物の加熱物に、虚血によって引き起こされるアポトーシス発生の抑制作用があることを知見したことに基づき、本発明を提案する。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1)小麦末粉の抽出物を60℃以上70℃以下で加熱処理した組成物。
(2)(1)の組成物を有効成分とする脳保護剤。
(3)虚血性脳障害の予防用である(2)記載の脳保護剤。
(4)脳虚血に由来して発生するアポトーシス抑制によるものである(3)記載の脳保護剤。
(5)経口剤である(2)〜(4)のいずれかに記載の脳保護剤。
(6)(2)〜(5)のいずれかに記載の脳保護剤を含有する飲食品。
(7)小麦末粉の水抽出物であって、ブタノールに溶解せず、陽イオン交換体に吸着することを特徴とする、脳保護作用を有する組成物。
本発明は、虚血によって発生するアポトーシスを抑制し、脳保護作用を有する剤を提供することができる。また虚血性の脳障害を予防する飲食品を提供することができる。
小麦末粉抽出物の無加熱品の神経様細胞に対するストレス性の細胞死抑制効果を示すグラフである。 小麦末粉抽出物を各種温度で10分間加熱した加熱物の神経様細胞に対するストレス性の細胞死抑制効果を示すグラフである。 小麦末粉抽出物を各種温度で1時間加熱した加熱物の神経様細胞に対するストレス性の細胞死抑制効果を示すグラフである。 小麦末粉抽出物を各種温度で2時間加熱した加熱物の神経様細胞に対するストレス性の細胞死抑制効果を示すグラフである。 人工的に脳虚血を発生させたマウス脳の梗塞状態を観察した梗塞スコアを示すグラフである。 脳梗塞画像を画像解析し、梗塞容積を数値化したグラフである。小麦末粉が濃度依存性で梗塞範囲の拡大を抑制していることを示すグラフである。 脳梗塞モデルの脳断面画像を示す。本画像では梗塞部位が白く映し出されている。 ブタノール-水分配抽出後の水層の活性を測定したグラフである。 ブタノール-水分配抽出後のブタノール層の活性を測定したグラフである。 陽イオン交換体SP−550に吸着させた後水で溶出した活性を測定したグラフである。 陽イオン交換体SP−550に吸着させた後0.1M塩化ナトリウム水溶液で溶出した活性を測定したグラフである。 陽イオン交換体SP−550に吸着させた後0.25M塩化ナトリウム水溶液で溶出した活性を測定したグラフである。 陽イオン交換体SP−550に吸着させた後0.5M塩化ナトリウム水溶液で溶出した活性を測定したグラフである。 陰イオン交換体QAE−550に吸着させた後水で溶出した活性を測定したグラフである。 陰イオン交換体QAE−550に吸着させた後0.1M塩化ナトリウム水溶液で溶出した活性を測定したグラフである。 陰イオン交換体QAE−550に吸着させた後0.25M塩化ナトリウム水溶液で溶出した活性を測定したグラフである。 陰イオン交換体QAE−550に吸着させた後0.5M塩化ナトリウム水溶液で溶出した活性を測定したグラフである。
本発明の脳保護剤は小麦末粉の抽出物を60℃以上70℃以下で加熱処理したものを有効成分とする。
本発明の組成物の原料となる小麦粉を分類するには大きく分けて2つの方法がある。ひとつは、タイプ(種類)による分類で、もうひとつはグレード(等級)によるものである。グレードによる分類は、原料の小麦粒の形態に由来する。
同じ小麦粒の胚乳部分でも、中心部は灰分が少なく、色が白く、またたんぱく質の量も少なくなる傾向がある。製粉工程で、主にこの中心部分からとれる粉を分類して上級粉と呼ぶ。上級粉は、灰分が低く、乳白色または淡黄色の冴えた色をしている。逆に、表皮近くからとれる下級粉は、たんぱく質も多くなり、色がくすんで茶褐色を帯びてくる。一般に、灰分値が0.3〜0.35%のものは特等粉、0.35〜0.45%のものは1等粉、0.45〜0.65%のものは2等粉、0.7〜1.0%のものは3等粉、そして1.2〜2.0%のものを末粉(すえこ)と分類している。また小麦粒の外皮はふすまとして別に篩い分けられる。
末粉は通常食用には適さないため、ふすまとあわせて動物用飼料としたり、工業用の糊原料とされたりする。本発明はこの末粉を原料としている。
小麦末粉から本発明の剤を調製するためには、末粉を水で抽出する。以降「末粉」として記載した場合は、小麦末粉を意味する。
末粉は飼料用として市販されているものでよいが、製粉直後のものが、含有されている脂質分の酸化がなく好ましい。
末粉1重量部に対して水5〜10重量部を加え、攪拌しながら、0.5〜1時間室温抽出する。抽出時間を短縮するためには、超音波振動を与えるなど物理的な振動を加え、水溶性成分を抽出する。小規模な抽出操作であれば、末粉1重量部に対して水5重量部を加え攪拌分散させた後、超音波処理を3〜10分行うことで有効成分が水に溶出してくる。さらにこの抽出物を、60℃〜70℃で加熱処理する。加熱時間は10分以上2時間を越えないことが好ましい。このような加熱をおこなうことで、小麦末粉の脳保護作用を失活させずに小麦末粉由来のタンパク質を加熱変性させることができる。
小麦タンパク質であるグルテンやω5グリアジンなどの抗原性タンパク質は、このような加熱によって抗原性を失うことが知られている。一方、本発明に係る脳保護機能は失われない。
ついで、遠心分離あるいはフィルター濾過で固液分離を行い、濾液又は上清を回収する。回収した上清又は濾液は乾燥処理を行い粉末化する。乾燥処理は通常の液体を乾燥する方法であれば噴霧乾燥やドラムドライヤー、凍結乾燥などどのような方法でも適用できるが、活性を低下させないためには可能な限り低温で乾燥させることが好ましい。
本発明の脳保護剤は、上記の方法で得られた乾燥物を更に粉砕し、超微細粒子とすることもできる。
本発明の脳保護剤の活性成分は、上記した末粉の水抽出物からさらに抽出、濃縮することが可能である。
脳保護作用を有する活性成分は、水抽出物をブタノールで洗浄した後、水相を陽イオン交換樹脂に吸着させ、0.1M塩化ナトリウム水溶液で溶出させ、脱塩し活性成分を選択的に濃縮することができる。
本発明品の脳保護剤は、常法によって、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤として製品化することができる。また、水や果汁に溶解して液状、ゼリー状の飲料として製品化することもできる。更に、各種飲食品に添加して利用することもできる。
このような飲食品としては、特に限定されない。
本発明の脳保護剤の有効投与量は、経口摂取において成人1日当り1〜10gである。
以下実施例を示し、本発明をさらに説明する。
<試験例1>
1.小麦末粉水抽出物の加熱条件の決定
小麦のアレルギー性抗原タンパク質は加熱処理により活性を失うことが知られており、抗原性を除去し、活性が失われない加熱条件を確認した。
A.実験材料および方法
(1)使用細胞及び培養方法
DSファーマバイオメディカル株式会社より購入したヒト神経芽細胞腫由来SH-SY5Y細胞(継代数X+18)を使用した。通常培養用培地はD-MEM/Ham's F-12(和光純薬工業株式会社)に不活化したウシ胎児血清(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)15%,非必須アミノ酸(Sigma)1%,ペニシリン(SIGMA)50000 U,ストレプトマイシン(明治製菓)0.05 pot.を添加して使用した。通常培養においては、10cmシャーレに細胞を播種し、80-90%コンフルエント時に0.05%トリプシン-EDTA溶液で細胞を剥離して継代を行った。培養は37℃、5%二酸化炭素、95%空気存在下で行った。
(2) プレート播種
継代したSH-SY5Y細胞(継代数X+19〜25)を96 wellプレート(96well マイクロテストプレート;FALCON(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社))上に1.0〜1.5×105cells / mLで播種し、一晩培養した。
(3) 試薬調製
1)6-Hydroxydopamineの調製
酸化ストレス誘因物質として6-Hydroxydopamine(6-OHDA)を用いた。6-OHDAを150mMになるよう蒸留水で調製し,最終濃度150μMになるよう培地(通常培養用培地と同組成の培地)に添加した。
2)小麦末粉抽出物の調製
日本製粉株式会社製の小麦末粉1gに対して水5mLを添加し、3分超音波処理を行った。
遠心機で1,000 rpm×10分遠心後、上清を回収し、凍結乾燥機で水分を飛ばしたものを水抽出物とした。これを−20℃で凍結保存し、試験時に室温で融解して用いた。
3)加熱条件及び活性測定試料の調製
上記のコムギ末粉水抽出物を100mg/mLになるよう蒸留水で調製し、60℃、70℃および80℃でそれぞれ10分、1時間および2時間の加熱処理を施した。
この加熱処理の後、試料を30および10mg/mLに調製し、さらに最終濃度が300、100、30および10μg/mLになるよう6-OHDA 150μM含有培地に添加した。
(4) MTTアッセイ
1)MTT試薬の調製
3-[4,5-dimethylthiazol-2-yl]-2,5-diphenyltetrazolium bromide(MTT)をPBS(-)で5mg/mLになるよう調製し、0.45μmフィルター(アデバンテック東洋株式会社)で濾過したものをMTT溶液とした。MTT溶液は分注し、使用まで−20℃保存した。使用時は、500μg/mLになるよう通常培養培地に添加した(MTT培地)。
2)MTTアッセイ
6-OHDAおよび被験物質添加から15時間後にMTTアッセイを行った。
6-OHDAおよび被験物質添加培地からMTT培地に交換して3時間インキュベートした後、培地を除去し、dimethyl sulfoxideを添加した。沈殿したホルマザンを溶解させた後、570nmの吸光度を測定した。
B.結果
加熱時間と加熱温度ごとの酸化ストレスによる細胞死抑制効果を図1〜図4に示した。この結果から0℃10分、1時間および2時間いずれの熱処理を施しても大きな活性低下は認められなかった。70℃の処理ではわずかに活性の低下が認められた。しかし80℃の加熱条件では10分の加熱でも細胞死の抑制活性が消失することが分かった。したがって加熱条件は70℃以下の温度で処理することが重要であることが判明した。
以下の試験例は60℃1時間加熱処理した試料を用いた。
<試験例2>
1.人工的脳梗塞モデルを用いた脳保護効果の確認試験
人工的に脳血流を遮断して脳梗塞モデルを作成して本発明の脳保護作用を確認した。
A.試験方法
(1)脳保護剤の調製と投与
試験例1で用いた加熱殺菌水抽出物を連続的に経口投与して脳保護効果を確認した。
試験用の脳保護剤は、あらかじめ1日分ずつ規定量を秤量・分注し、投与日および群を記載して-20℃に保存した。投与液の調製は用時調製とし、転倒混和にて,10,30,60mg/mLになるように溶解した。
(2)試験動物
マウス,Slc:ddY,雄60匹を用いた。
入荷時:4週齢
手術・解剖時:7週齢
入荷時に種、系統、週齢、動物数及び性別を確認し、一般状態および外観を観察するとともに体重を測定した。馴化期間は7日間とした。
体重をもとに、各群に差がないよう群分けを行った。
(3)試験系の環境条件
飼育環境
設定温度:25℃(許容範囲23〜27℃)、設定湿度:60%(許容範囲40〜80%)、照明:午前7時点灯、午後7時消灯の12時間に維持された動物飼育室で動物を飼育した。動物は、プラスチックケージを用いて、1ケージあたり5匹で飼育した。

飼料
固形飼料(CE-2、日本クレア株式会社)を給餌器に入れて自由に摂取させた。

飲料水
フィルターで洗浄した水道水を給水瓶より自由に摂取させた。
(4)投与方法・投与経路
胃ゾンデを用いた強制経口投与とした。また1日1回14日間投与した。投与液量は、最も近い測定体重値から換算して、10mL/kgで算出した。
群構成および投与量
投与量(mg/kg) 使用動物数
対照群 0 15
100mg/kg群 100 15
300mg/kg群 300 15
600mg/kg群 600 15
(5)脳梗塞モデルの作成
8-0ナイロンモノフィラメント(Ethilon; Ethicon, NJ, USA)を11mmの長さに切り、先端から4mmをシリコン樹脂(Xantopren; Bayer Dental, Osaka, Japan)でコーティングしたものを塞栓子として作成した。これを以下の手法でマウスに挿入して脳梗塞モデルを作成した。
手術方法
マウスに2% halothane吸入により麻酔を導入し、続いて1% halothane吸入によって麻酔を維持し手術台上に固定した。マウスの頚部の中央を切開し,左側総頸動脈と外頸動脈を結紮した。総頸動脈を切開し、塞栓子が中大脳動脈(MCA)の起始部に到達するように内頸動脈と外頸動脈の分岐部から内頸動脈を経由して9mm挿入した。再灌流は、塞栓子を手前に引き抜くことによって行った。MCA閉塞時間は4時間を負荷し、24時間後に行動観察(Neurological score)および2,3,5,-Triphenyltetrazolium chloride(TTC)染色を行い、梗塞巣体積の変化を測定した。
(6)行動観察(Neurological score)
MCA閉塞4時間後再灌流を行い、その梗塞巣の変化を観察するためMCA閉塞24時間後に、脳梗塞のスコア付を行った。スコア付は以下の通り。
Score (0-5)
0: 運動機能に影響なし
1: 胴体の屈曲, 前肢のlifting
2: 正常な姿勢でのcircling行動
3: 明らかな異常姿勢でのcircling行動
4: Rolling行動
5: 自発的な行動がなく, 体が傾く状態
(7)TTC染色および画像解析
行動観察の後、マウスの頚椎を脱臼して、ただちに断頭した。取り出した脳を冷えた生理食塩水でよく冷し、アクリル製スライサー(マウス用Sagittal type スライス厚2mm;株式会社ニューロサイエンス;Fig. 3)を用いて、大脳皮質を含む脳の前額断スライスを2mm間隔で作製した。2% 2,3,5,-triphenyltetrazolium chloride(シグマアルドリッチジャパン株式会社)を生理食塩水で作製し、切片を溶液中で37℃、30分間インキュベートした。
その後、スライドガラス上に並べ、デジタルスチルカメラ(MVC-FD91, SONY)で撮影した。梗塞巣体積は、割面の写真から梗塞総面積を画像解析ソフト(NIH Image 1.63)で測定し算出した。
B.結果
図5に示すとおり、行動観察(Neurological score)の結果、用量依存的に脳梗塞に伴う障害発生が抑制された。
また図6、図7に示すとおり脳梗塞巣の画像解析の結果用量依存的に脳梗塞巣の減少が認められた。
以上の結果から本発明の脳保護剤は虚血性の脳梗塞による脳の障害を予防することが明らかとなった。
<試験例3>
1.小麦末粉水抽出物の活性成分の分画
A.溶媒による分配試験
コムギ末粉水抽出物5gを水100mL、ブタノール(以下BuOH)100mLにて液々分配し、さらにその水層を再度BuOH 100mLにて繰り返し抽出した。水層およびBuOH層をそれぞれ乾固し、それぞれを30、100、300および1000mg/mLになるよう試験試料を調製した。それぞれの試験試料を最終濃度30、100、300および1000μg/mLになるよう6-hydroxydopamine (6-OHDA) 150μM含有培地に添加し、試験例1と同様に活性評価を行った。
B.結果
それぞれの分配液の活性試験結果を図8、図9に示した。活性成分はブタノールには溶解しないことが判明した。
2.活性成分のイオン交換体による吸着、溶出試験
A.イオン交換樹脂による吸着分配試験
1.の試験で陽性の結果であった水層の分配成分300mgを水に溶解し、イオン交換カラム(SP-550:陽イオン交換樹脂,QAE-550:陰イオン交換樹脂;TOYOPEARL) に吸着させて水で洗浄した後、0.1M、0.5M、0.25Mおよび0.5M)のNaCl溶液で溶出した。得られた8つの画分を脱塩後、同様にして最終濃度30、100および300μg/mLになるよう6-OHDA 150μM含有培地に添加し、活性評価を行った。
B.結果
結果を図10〜図17に示す。活性成分の主要部分は陽イオン交換カラムに吸着され、このカラムから0.1Mの塩化ナトリウム水溶液により溶出されることが明らかとなった。
試験例3から、本発明の脳保護剤は、水に可溶性であり、ブタノールに分配されず、陽イオン交換体に吸着され、0.1Mの塩化ナトリウム水溶液で溶出されることが明らかとなった。

Claims (7)

  1. 小麦末粉の抽出物を60℃以上70℃以下で加熱処理した組成物。
  2. 請求項1の組成物を有効成分とする脳保護剤。
  3. 虚血性脳障害の予防用である請求項2記載の脳保護剤。
  4. 脳虚血に由来して発生するアポトーシス抑制によるものである請求項3記載の脳保護剤。
  5. 経口剤である請求項2〜4のいずれかに記載の脳保護剤。
  6. 請求項2〜5のいずれかに記載の脳保護剤を含有する飲食品。
  7. 小麦末粉の水抽出物であって、ブタノールに溶解せず、陽イオン交換体に吸着することを特徴とする、脳保護作用を有する組成物。
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