A.第1実施例
A−1.システムの構成
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、実施例における印刷システムの構成を示すブロック図である。このシステムは、プリンタ200と、インターネット70に接続されたローカルエリアネットワーク(LAN)80と、LAN80に接続された複数のアクセスポイント50A〜50Cと、携帯端末400と、LAN80に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)60と、を備えている。
各アクセスポイント50A〜50Cは、例えば、IEEE802.11a/b/g/nなどの規格で定められる通信方式を利用した無線LANのアクセスポイントとして機能する。プリンタ200と、携帯端末400とは、これらのアクセスポイント50A〜50Cを介して、インフラストラクチャーモードを用いた無線通信を行うことが可能である。インフラストラクチャーモードは、複数の無線LAN端末装置が、アクセスポイントを介してデータ通信するモードである。
LAN80は、例えば、建物(ビルなど)内にイーサネット(登録商標)規格に準拠して構築された有線ネットワークである。アクセスポイント50A〜50Cは、例えば、建物内に分散して配置されて無線ネットワークを構築している。この結果、建物内の任意の場所にて、携帯端末400は、無線ネットワークを介して、LAN80に接続可能である。
プリンタ200は、CPU210と、ハードディスクドライブやフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置220と、RAMなどの揮発性記憶装置230と、所定の方式(例えば、インクジェット、レーザー)で画像を印刷するプリントエンジンであるプリンタ部240と、タッチパネルやボタンなどの操作部260と、タッチパネルと重畳された液晶などの表示パネルを含む表示部270と、パーソナルコンピュータや携帯端末などの外部装置とデータ通信を行うためのインタフェースとしての無線IF部280と、を備えている。
揮発性記憶装置230には、CPU210が処理を行う際に生成される種々の中間データを一時的に格納するバッファ領域231が設けられている。不揮発性記憶装置220は、プリンタ200を制御するためのコンピュータプログラム221と、ステータス情報222と、完了期間算出テーブル223と、を格納している。
コンピュータプログラム221は、例えば、プリンタ200の出荷時に予め不揮発性記憶装置220に格納されている。また、コンピュータプログラム221は、CD−ROMなどに記録された形態や、サーバからダウンロードする形態で提供され得る。
ステータス情報222は、後述する印刷処理において、プリンタ200の状態、具体的には、印刷処理の進行状況(図2)を示す情報である。ステータス情報222は、揮発性記憶装置230に格納されていても良い。
完了期間算出テーブル223は、印刷条件(例えば、解像度、用紙サイズ、色数(カラー/モノクロなど))と、印刷処理の開始から完了までに要する時間である印刷完了期間とを対応付けたテーブルである。
CPU210は、コンピュータプログラム221を実行することにより、プリンタ200の全体を制御する。具体的には、CPU210は、印刷を実行するための印刷制御部30、および、後述するステータス通知処理を含む通信処理を実行する通信制御部100として機能する。印刷制御部30は、プリンタ部240を制御する機能(図示省略)に加えて、印刷処理中に、上述したステータス情報222を更新するステータス情報更新部32と、印刷の完了(印刷原稿の出力の完了)までに要する完了期間を特定する期間特定部34と、を備えている。
通信制御部100は、ジョブ受信部110と、ステータス特定部120と、ステータス情報送信部130と、識別情報送信部140と、通知要求受信部150と、を備える。これらの各機能部が実行する具体的な処理については後述する。
無線IF部280は、アンテナを含み、例えば、アクセスポイント50Aを介した無線通信、すなわち、インフラストラクチャーモードに準拠する無線通信を行う。無線IF部280は、例えば、後述するように、携帯端末400とのデータ通信や、PC60とのデータ通信のために用いられる。
携帯端末400は、例えば、スマートフォンと呼ばれる多機能携帯電話である。携帯端末400は、CPU410と、ハードディスクドライブやフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置420と、RAMなどの揮発性記憶装置425と、無線IF部430と、電話IF部440と、スピーカやマイクを含み電話機能などを実現するための音声処理部450と、タッチパネルや操作キーなどを含む操作部460と、タッチパネルと重畳された液晶パネルなどを含む表示部470と、GPS部480と、を主に備えている。
無線IF部430は、アンテナを含み、例えば、アクセスポイント50を介した無線通信、すなわち、インフラストラクチャーモードに準拠する無線通信を行う。例えば、無線IF部430は、後述するように、プリンタ200への印刷ジョブの送信や、プリンタ200からのステータス情報の受信のために用いられる。
電話IF部440は、アンテナを含み、基地局(図示省略)との間で携帯電話通信の方式(例えば、W−CDMA)に準拠する無線通信を行う。電話IF部440は、例えば、電話や、基地局を介したインターネット70への接続などに用いられる。
GPS部480は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)を構成する人工衛星から送信された電波(GPS信号)を受信する受信機を含む。GPS部480は、受信したGPS信号に基づき携帯端末400の現在位置を示す位置情報を取得することができる。位置情報は、緯度、経度および高度をそれぞれ表す値を含む3次元の座標情報である。位置情報は、緯度、経度をそれぞれ表す値を含む2次元の座標情報であっても良い。
不揮発性記憶装置420には、制御プログラムPG1と、プリンタドライバプログラムPG2と、メッセージテーブルMTと、監視範囲登録テーブルATと、が格納されている。制御プログラムPG1は、OS(オペレーティングシステム)の機能や、電話機能、GPS部480の制御機能など、携帯端末400の基本機能を実現するプログラムである。制御プログラムPG1は、例えば、携帯端末400の製造者によって提供され、出荷時に予め格納されている。プリンタドライバプログラムPG2は、プリンタ200を遠隔操作するための機能を実現するプログラムである。プリンタドライバプログラムPG2は、携帯端末400に新たな機能を追加するプログラム(「アプリ」などと呼ばれる。)であり、例えば、携帯端末400の製造者とは異なる提供者(例えば、プリンタ200の製造者)によって、所定のサーバからダウンロードする形態で、提供される。また、プリンタドライバプログラムPG2は、例えば、携帯端末400の製造者によって提供され、出荷時に予め格納されていても良い。メッセージテーブルMTは、詳細は後述するが、プリンタ200の状態と監視範囲との組合わせと、当該組合わせに応じたメッセージとが、対応付けて記録されたテーブルである。監視範囲登録テーブルATは、詳細は後述するが、監視範囲と、当該監視範囲を使用する対象となるプリンタとが、対応付けて記録されたテーブルである。
揮発性記憶装置425には、CPU410が処理を行う際に生成される種々の中間データを一時的に格納するバッファ領域426が設けられている。
CPU410は、制御プログラムPG1を実行することによって、携帯端末400の基本機能を実現するメイン制御部20として機能する。また、プリンタドライバプログラムPG2を実行することによって、プリンタドライバ300として機能する。プリンタドライバ300は、地点登録部310と、印刷ジョブ送信部320と、端末位置取得部330と、関連情報取得部340と、出力処理部350と、監視範囲管理部360と、を備えている。地点登録部310は、登録操作受付部315を備えている。
PC60は、図示しないCPUと、ROM、RAM、ハードディスクなどの記憶装置と、キーボードと、ディスプレイと、を備える周知の計算機である。PC60には、プリンタドライバプログラムがインストールされており、PC60は、プリンタドライバ65としての機能を有する。
A−2:プリンタ200の印刷処理:
プリンタ200のジョブ受信部110が印刷ジョブを外部機器(例えば、PC60や携帯端末400)から受信すると、印刷制御部30は、プリンタ部240を制御して当該印刷ジョブに基づく印刷処理を実行する。
図2は、印刷処理について説明する状態遷移図である。先ず、印刷ジョブの受信から、印刷ジョブに基づいて印刷原稿が出力されるまでのプリンタ200の状態(ステータス)の遷移を説明する。複数の印刷ジョブに対応して、プリンタ200は、同時に複数の状態を取り得る。例えば、プリンタ200は、一の印刷ジョブに基づく印刷処理を実行している状態であっても、他の印刷ジョブを受け付けることができる。しかしながら、ここでは、煩雑を避けるために、1個の印刷ジョブを中心とした状態遷移を説明する。
図2の状態ST1は、プリンタ200(印刷制御部30とプリンタ部240)が印刷ジョブの受付を待っている状態である(ジョブ受付待ち状態ST1)。ジョブ受付待ち状態ST1のときに、印刷ジョブが受け付けられると(TR1)、プリンタ200は、当該印刷ジョブに基づく印刷処理の実行を待つ状態(実行待ち状態ST2)に遷移する。実行待ち状態ST2のときに、印刷ジョブに基づく印刷処理を実行可能な状態になると(TR2、TR3)、すなわち、TR1で受け付けた印刷ジョブよりも先に受信された印刷ジョブに基づく印刷処理が終了すると、プリンタ200は、実行開始操作待ち状態ST3、または、印刷処理状態ST4に遷移する。すなわち、印刷モードが実行開始操作待ちモードである場合には、プリンタ200は、実行開始操作待ち状態ST3に遷移し、印刷モードが通常印刷モードである場合には、プリンタ200は、印刷処理状態ST4に遷移する。
ここで、実行開始操作待ちモードは、印刷処理(印刷原稿の出力)のために、操作部260に対する特定の操作を要求する印刷モード、すなわち、利用者が特定の操作を行うまで印刷処理が開始されない印刷モードである。操作部260に対する特定の操作は、例えば、所定のボタン(スタートボタンなど)を押下すること、非接触ICカードや、NFC(Near Field Communication)機能を備えた機器(携帯端末など)を、操作部260に備えられた読取部(図示省略)に近づけること、などを含む。本実施例では、実行開始操作待ちモードは、例えば、印刷原稿の盗難などを抑制するために、印刷処理に先行して利用者にパスワード等の識別情報を入力させる印刷モード(セキュアモードとも呼ばれる)であることを想定して説明する。一方、通常印刷モードは、印刷処理(印刷原稿の出力)のために、操作部260に対する特定の操作を要求しない印刷モードである。
実行開始操作待ち状態ST3のときに、実行開始待ち操作が受け付けられると(TR4)は、プリンタ200は、印刷処理状態ST4に遷移する。以上の説明から解るように、実行開始操作待ち状態ST3は、特定の操作が受け付けられる前の状態と言うことができ、印刷処理状態ST4は、特定の操作が受け付けられた後の状態と言うことができる。
印刷処理状態ST4は、実行中の状態ST40と、中断中の状態ST43と、を含んでいる。印刷処理状態ST4に遷移したときに、中断原因が発生していない場合には、プリンタ200は、実行中の状態ST40に遷移し、中断原因が発生している場合には、プリンタ200は、中断中の状態ST43に遷移する。ここで、中断原因は、利用者によるプリンタ200に対する処置を要する特定の中断原因、具体的には、紙詰まり、印刷材(トナー、インクなど)切れ、用紙切れを含む。実行中の状態ST40のときに、中断原因が発生すると(TR13)、プリンタ200は、中断中の状態ST43に遷移する。中断中の状態ST43のときに、中断原因が解消すると(TR14)、すなわち、中断原因を解消するための利用者の処置が完了すると、プリンタ200は、実行中の状態ST40に遷移する。中断中の状態ST43のときに、利用者が処置を行った場合であっても、処置が不適切であると(TR15)、プリンタ200の状態は、中断中の状態ST43のままである。ここで、利用者の処置は、例えば、用紙の補充、印刷材の容器(トナーカートリッジや、インクカートリッジ)の交換、詰まった用紙の除去、などを含む。以上の説明から解るように、中断中の状態ST43は、印刷処理が中断された状態と言うことができ、実行中の状態ST40は、印刷処理が中断されていない状態と言うことができる。
実行中の状態ST40は、画像展開中の状態ST41と、出力中の状態ST42と、を含んでいる。実行中の状態ST40に遷移すると、先ず、プリンタ200は、画像展開中の状態ST41になる。画像展開中の状態ST41は、プリンタ200(印刷制御部30)が、印刷ジョブに含まれる画像データを用いて、印刷データを生成する印刷データ生成処理を実行している状態である。印刷データ生成処理は、例えば、ラスタライズ処理と、色変換処理と、ハーフトーン処理と、を含んでいる。ラスタライズ処理は、印刷ジョブに含まれる画像データ(例えば、PDLで記述された画像データや、JPEG形式で圧縮された画像データ)を、ビットマップデータ(具体的には、RGB画像データ)に変換する処理である。色変換処理は、RGB画像データを、印刷材の色に対応した表色系の画像データ(具体的には、CMYK画像データ)に変換する処理である。ハーフトーン処理は、ディザ法や誤差拡散法を用いて、CMYK画像データを、成分毎、かつ、画素毎に、ドットの形成状態を表すドットデータ(例えば、二値画像データ)に変換する処理である。
出力中の状態ST42は、プリンタ200(プリンタ部240)が、印刷データを用いて、印刷原稿を出力する出力処理を実行している状態である。すなわち、プリンタ部240がレーザー式のプリントエンジンである場合には、出力処理は、露光、現像、転写、定着の各工程を含む。
画像展開中の状態ST41のときに、用紙1枚分の画像展開が終了すると(TR11)、すなわち、用紙1枚分の印刷データが生成されると、プリンタ200は、出力中の状態ST42に遷移する。実際には、本実施例では、用紙1枚分の画像展開が終了した後は、印刷制御部30による画像展開(印刷データの生成)と、プリンタ部240による印刷原稿の出力とは、並行して(パラレルに)実行される。ただし、本実施例では、印刷原稿の出力が開始された後は、並行して画像展開が行われているか否かに拘わらずに、プリンタ200の状態は、出力中の状態ST42であると判断される。なお、本実施例とは異なり、印刷制御部30による画像展開(印刷データの生成)と、プリンタ部240による印刷原稿の出力とが、順次に(シリアルに)実行される場合についても説明する。この場合には、画像展開中の状態ST41のときに、全ての画像展開が終了すると、すなわち、印刷ジョブに基づく全ての印刷データが生成されると、プリンタ200は、出力中の状態ST42に遷移する。画像展開中の状態ST41や、出力中の状態ST42は、出力処理が完了する前の状態と言うことができる。
出力中の状態ST42のときに、全ての印刷原稿が出力されると(TR12)、実行中の状態ST40は、終了状態となる。この場合には、印刷処理が正常に終了したことによって(TR7)、プリンタ200は、印刷処理状態ST4から終了状態STEに遷移する。印刷処理(出力処理)が正常に終了したことによって終了状態STEに遷移した状態は、出力処理が完了した後の状態と言うことができる。
また、印刷処理状態ST4のときに、操作部260を介して、印刷の実行を取り消す指示を受け付けると(TR8)、プリンタ200は、終了状態STEに遷移する。また、印刷処理状態ST4のときに、復帰不可能な障害が発生すると(TR6)、プリンタ200は、終了状態STEに遷移する。復帰不可能な障害には、プリンタ200の重大な故障、停電などによる印刷ジョブのデータの消滅などが考えられる。
さらに、ジョブ受付待ち状態ST1のときに、印刷ジョブの受付エラーが発生すると(TR5)、プリンタ200は、終了状態STEに遷移する。印刷ジョブの受付エラーには、例えば、通信障害によって、プリンタ200が印刷ジョブの全体を受信できなかったこと、などが考えられる。
以上説明した印刷ジョブが受け付けられてから終了状態STEに至るまでのプリンタ200の状態(ST2〜ST4、ST40〜ST43)は、ステータス情報222に記録される。ここで、プリンタ200が中断中の状態ST43にある場合には、中断原因(用紙切れ、紙詰まり、印刷材切れ)が、併せてステータス情報222に記録される。また、プリンタ200が終了状態STEにある場合には、終了状態STEに遷移した原因(具体的には、正常終了TR7、実行取消TR8、復帰不可能な障害TR6、ジョブ受付エラーTR5)が、併せてステータス情報222に記録される。すなわち、印刷制御部30のステータス情報更新部32は、ステータス情報222を参照すれば、プリンタ200の状態(印刷処理の進行状況)が特定できるように、プリンタ200の状態が遷移する度に、ステータス情報222を更新する。
ここで、プリンタ200が、印刷処理状態ST4にある場合には、印刷制御部30の期間特定部34は、印刷原稿の出力処理が完了するまでに要する完了期間を特定する完了期間特定処理を実行する。
図3は、完了期間特定処理のフローチャートである。
ステップS1では、期間特定部34は、印刷ジョブに基づく印刷処理が開始されたか否か、すなわち、対象の印刷ジョブについて、プリンタ200が印刷処理状態ST4にあるか否かを判断する。期間特定部34は、印刷ジョブに基づく印刷処理が開始されていない場合には(ステップS1:NO)、印刷処理が開始されるまで待機する。期間特定部34は、印刷ジョブに基づく印刷処理が開始されている場合には(ステップS1:YES)、印刷条件に基づいて印刷完了期間Tfを特定する(ステップS2)。
図4は、完了期間算出テーブル223の一例を示す図である。この例では、色数(例えば、カラーまたはモノクロ)と、解像度(dpi(dot per inch)で表される)と、用紙サイズ(例えば、A4、B5、A3)と、の組合わせに、印刷枚数PNを引数として印刷完了期間Tfを算出する関数Fn(PN)が対応付けられている(nは、図4の例では、1以上18以下の整数)。期間特定部34は、完了期間算出テーブル223を参照することによって、印刷条件に基づく印刷完了期間Tfを算出することができる。
ステップS3では、期間特定部34は、ステップS2で特定された印刷完了期間Tfを、ステータス情報222に記録する。ステータス情報222に記録された印刷完了期間Tfは、タイマによって更新され、印刷完了期間Tfは、印刷処理中の任意のタイミングで、ステータス情報222を参照することによって特定可能にされる。
ステップS4では、期間特定部34は、出力すべき原稿の一部分の印刷処理に要した時間を測定する。例えば、本実施例では、1枚分の印刷原稿の出力が完了するごとに、印刷処理の開始から要した実測時間を特定する。ステップS5では、出力すべき原稿の一部分の印刷処理に要した実測時間を用いて、ステータス情報222に記録された印刷完了期間Tfを修正する。例えば、期間特定部34は、5ページ目までの実測時間を特定した場合には、完了期間算出テーブル223を参照して、印刷条件に基づく5ページ目までの印刷の所要時間を算出して、実測時間と比較する。そして、期間特定部34は、実測時間と、完了期間算出テーブル223を参照して得られる所要時間と、の差分(遅れや進み)を用いて、ステータス情報222に記録された印刷完了期間Tfを修正する。例えば、期間特定部34は、単純に遅れ分を印刷完了期間Tfに加算すること、あるいは、進み分を印刷完了期間Tfから減算することによって、印刷完了期間Tfを修正しても良い。また、期間特定部34は、画像展開(印刷データの生成)と、印刷原稿の出力と、が1枚分ずつ交互に繰り返される場合(シリアル処理)には、例えば、1枚分の印刷処理に要した実測値に印刷枚数PNを乗じた値を、印刷完了期間Tfとしても良い。
ステップS6では、期間特定部34は、印刷処理が終了したか否か、すなわち、印刷ジョブに基づく印刷原稿が全て出力されたか否かを判断する。期間特定部34は、印刷処理が終了していない場合には(ステップS6:NO)、ステップS4に戻って、一部の印刷処理に要した時間の測定(ステップS4)と、実測時間を用いた印刷完了期間Tfの修正(ステップS5)と、を繰り返す。期間特定部34は、印刷処理が終了した場合には(ステップS6:YES)、完了期間特定処理を終了する。
以上のような完了期間特定処理が実行されることにより、印刷処理中の任意のタイミングにおいて、精度の良い印刷完了期間Tfをステータス情報222に記録しておくことができる。なお、印刷処理の遅れは、例えば、1)印刷ジョブのデータ量が大きい場合などに、印刷処理の進行中に複数回に分けて印刷ジョブを受信する必要がある場合に、ネットワークの混雑等によって、印刷ジョブの受信に時間がかかる場合、2)プリンタ200が印刷処理と並行して、他の処理(スキャナを制御する処理、FAXなどを受信する処理など)を行うために、印刷処理が遅れる場合、などに発生しうる。印刷処理の進みは、例えば、印刷画像が簡単な場合に、印刷データの生成などに要する時間が予測よりも短い場合などに発生しうる。
A−3:監視範囲および監視範囲の登録
後述する監視範囲管理処理(図11)や関連情報表示処理(図12)において使用される監視範囲と、監視範囲を登録する監視範囲登録処理について説明する。
図5は、地点登録処理のフローチャートである。地点登録処理は、プリンタドライバプログラムPG2(プリンタドライバ300)によって実行される処理の1つである。地点登録処理は、後述する監視範囲管理処理(図11)や関連情報表示処理(図12)において使用する監視範囲(監視エリア)を事前に携帯端末400に登録する処理である。地点登録処理は、例えば、利用者が、携帯端末400(プリンタドライバ300)を用いてプリンタ200に印刷ジョブを送信する前、あるいは、PC60を用いてプリンタ200に印刷ジョブを送信する前に、利用者の指示に応じて実行される。
地点登録処理が開始されると、ステップS10では、地点登録部310は、監視範囲登録画像UI1を、携帯端末400の表示部470に表示する。
図6は、監視範囲登録画像UI1の一例を示す図である。図6の監視範囲登録画像UI1は、第1フィールドFD1と、第2フィールドFD2と、チェックボックスCBと、登録ボタンBT1と、終了ボタンBT2と、を含んでいる。
ステップS20では、地点登録部310の登録操作受付部315は、第1フィールドFD1を介して、対象プリンタの選択を受け付ける。第1フィールドFD1は、登録すべき監視範囲が対応付けられるプリンタ(対象プリンタ)を入力するためのフィールドである。第1フィールドFD1は、例えば、予め利用者によって登録済みの、印刷ジョブを送信可能な1個以上のプリンタを選択するためのプルダウンメニューを利用して、対象プリンタを入力可能に構成されている。
ステップS30では、登録操作受付部315は、第2フィールドFD2を介して、監視距離の入力を受け付ける。第2フィールドFD2は、監視範囲の大きさを規定するための監視距離(単位は、例えば、メートル)を入力するためのフィールドである。
ステップS40では、登録操作受付部315は、登録ボタンBT1を介して、監視範囲の登録操作を受け付ける。登録ボタンBT1が利用者によって押下されると、続くステップS50では、地点登録部310は、GPS部480を用いて、携帯端末400の現在位置を示す現在位置情報を取得する。現在位置情報は、例えば、緯度、経度および高度をそれぞれ表す値を含む3次元の座標情報である。すなわち、対象プリンタと監視距離とがフィールドに入力された状態で、登録ボタンBT1が押下されたときに、換言すれば、登録操作を利用者から受け付けたときに、携帯端末400が存在する地点が、後述する監視範囲の中心地点として取得される。利用者は、例えば、携帯端末400を所持して、登録すべき監視範囲の中心位置に移動して、登録ボタンBT1を押下することによって、監視範囲の中心地点を、携帯端末400に容易に登録することができる。ここで、利用者は、登録ボタンBT1の押下に際して、チェックボックスCBにチェックを入れることができる。利用者は、登録すべき地点が対象プリンタ(プリンタ200)の設置位置である場合には、チェックボックスCBにチェックを入れ、登録すべき地点が対象プリンタの設置位置とは異なる地点である場合には、チェックボックスCBにチェックを入れない。
ステップS60では、地点登録部310は、監視範囲を規定する範囲規定情報と、対象プリンタを識別するためのプリンタ識別情報(例えば、型番、シリアル番号)と、を対応付けて監視範囲登録テーブルAT(図1)に登録する。
図7は、監視範囲登録テーブルATの一例を示す図である。監視範囲は、本実施例では、中心地点を中心とし、監視距離を半径とする球形の範囲である。図7に示すように、地点登録部310は、範囲規定情報として、ステップS40にて取得された現在位置情報と、ステップS30にて受け付けられた監視距離を示す距離情報と、のセットを、監視範囲登録テーブルATに登録する。ステップS40にて取得された現在位置情報は、監視範囲の中心地点を示す情報として扱われる。図7の例では、1個の対象プリンタを識別するためのプリンタ識別情報(具体的には「MFP−XXXXX」)に対して、3個の監視範囲が対応付けられており、他の対象プリンタ(MFP−AAAAA)に対して、1個の監視範囲が対応付けられている。なお、監視範囲登録テーブルATには、登録された監視範囲が現在有効であるか無効であるかを示す情報が対象プリンタごとに記述可能である(後述)。この有効/無効を表す情報は、後述する監視範囲管理処理(図12)において、監視範囲管理部360によって管理される。
ステップS70では、地点登録部310は、登録を終了するか否かを判断する。具体的には、地点登録部310は、利用者によって終了ボタンBT2が押下された場合には、登録を終了すると判断して(ステップS70:YES)、地点登録処理を終了する。地点登録部310は、利用者によって終了ボタンBT2が押下されていない場合には、登録を終了しないと判断して(ステップS70:NO)、ステップS20に戻って、上述した処理を繰り返す。
図8は、第1実施例の監視範囲の一例を示す図である。図8には、1個の対象プリンタ(プリンタ200)に対応付けられた3個の監視範囲が図示されている。監視範囲A1は、地点P1を中心とし、監視距離D1を半径とする範囲である。監視範囲A2は、地点P2を中心とし、監視距離D2を半径とする範囲である。監視範囲A3は、地点P3を中心とし、監視距離D3を半径とする範囲である。ここで、地点P1は、プリンタ200の位置に設定されており、監視距離D1は、例えば、3〜10メートル程度に設定されている。監視範囲A1のように、印刷原稿の回収などのために、プリンタ200まで容易に立ち寄ることができる程度に、プリンタ200から近い範囲を、第1実施例における第1種の範囲とする。2個の監視範囲A2、A3の中心位置P2、P3は、それぞれ、プリンタ200が設置された部屋RM(例えば、オフィスルーム)の出入り口に位置している。2個の監視範囲A2、A3は、出入り口を通って部屋RMに出入りする人が通過する範囲に設定されている。2個の監視範囲A2、A3のように、監視範囲A1と比較して、プリンタ200との距離が遠い範囲、すなわち、プリンタ200の設置位置とは異なる地点を中心とする範囲を、第1実施例における第2種の範囲とする。
図7に示すように、監視範囲登録テーブルATには、さらに、監視範囲の種類を示す情報、すなわち、第1種の範囲であるか第2種の範囲であるかを示す種別情報が、各監視範囲に対応付けられる。具体的には、上述したステップS40にて、登録ボタンBT1が押下されたとき、すなわち、監視範囲の登録操作を受け付けたときに、チェックボックスCB(図6)にチェックが入れられている場合には、第1の範囲であることを示す種別情報が対応付けられる。また、監視範囲の登録操作を受け付けたときに、チェックボックスCBにチェックが入れられていない場合には、第2の範囲であることを示す種別情報が対応付けられる。これに代えて、種別情報は、例えば、監視範囲登録後に、利用者によって入力されても良い。あるいは、最初に登録された地点に基づく監視範囲を第1種の範囲とし、2番目以降に登録された地点に基づく監視範囲を第2種の範囲としても良い。この場合には、地点登録部310は、最初の監視範囲の登録を受け付けるときに、対象プリンタの設置場所で登録ボタンBT1を押すように、利用者に指示するメッセージを、表示部470に表示すれば良い。
ここで、メッセージテーブルMT(図1)について説明する。図9は、第1実施例のメッセージテーブルMTの一例を示す図である。メッセージテーブルMTには、上述したように、プリンタ200の状態と監視範囲とに応じたメッセージが記録されている。このメッセージテーブルMTは、プリンタ200が設置された部屋RM(図8)の中にいる利用者からプリンタ200に対して印刷ジョブが送信されることを想定して作成されている。プリンタ200近傍の第1種の範囲には、利用者がプリンタ200の近傍に滞在している場合に、プリンタ200の状態に応じて通知すべきメッセージが対応付けられている。すなわち、第1種の範囲には、プリンタ200が利用者の近くにあることを通知するメッセージと、プリンタ200の状態(具体的には、印刷ジョブの進行状況(図2))を説明するメッセージとが対応付けられている。
具体的には、例えば、実行待ち状態ST2には、印刷ジョブに基づく印刷処理が開始されていないこと、および、印刷処理の完了までには、相当の時間を要すること、を説明するメッセージが対応付けられている。また、実行開始操作待ち状態ST3には、印刷処理を開始するための操作部260に対する操作を、利用者に要求する操作要求メッセージが対応付けられている。また、画像展開中の状態ST41には、印刷処理の完了までに要する時間が比較的長いこと、を説明するメッセージが対応付けられている。出力中の状態ST42には、印刷の完了までに要する時間が比較的短いことを説明し、印刷原稿の回収を促すメッセージが対応付けられている。
さらには、中断中の状態ST43には、中断原因に応じて、それぞれ、プリンタ200に対する処置(中断原因を解消する処置)を利用者に要求する処置要求メッセージが対応付けられている。図9では、中断原因が「紙詰まり」である場合の例が示されている。また、終了状態STEには、終了状態STEに遷移した原因に応じて、それぞれ、異なるメッセージが対応付けられている。例えば、復帰不可の障害によって終了状態STEに遷移した状況には、障害の確認を利用者に促すメッセージが対応付けられている。正常終了によって終了状態STEに遷移した状況には、印刷原稿の回収を利用者に促すメッセージが対応付けられている。取り消しによって終了状態STEに遷移した状況には、取り消された印刷ジョブの確認を利用者に促すメッセージが対応付けられている。
また、第2種の範囲には、利用者が部屋RMから出て行くために出入り口を通過したときに、プリンタ200の状態に応じて通知すべきメッセージが対応付けられている。例えば、上述した状態ST3、ST41、ST43、および、正常終了以外の終了状態STEには、第1種の範囲と同じメッセージが対応付けられている。これに対して、状態ST2、ST42、および、正常終了による終了状態STEには、第1種の範囲とは異なるメッセージが対応付けられている。具体的には、第1種範囲に対応付けられたメッセージよりも印刷原稿の回収を強く促すメッセージが対応付けられている。
これは、利用者が部屋RMから出て行くと、比較的長時間に亘って印刷原稿が未回収のままプリンタ200に残される可能性が高くなるためである。未回収の印刷原稿は、例えば、他人の目に触れる可能性があるので、セキュリティの観点から好ましくないと考えられる。このために、本実施例では、利用者が部屋RMから出て行くタイミングで、印刷原稿の回収を強く促すメッセージが送信されるように、第2種の範囲に対応付けるメッセージが作成されている。
A−4:システム全体の動作
次に、図1に示す印刷システムの全体の動作を説明する。図10および図11は、図1の印刷システムの動作の概要を示すシーケンス図である。印刷システムは、図10に示すパターンAと、図11に示すパターンBと、の2つのパターンで動作することができる。
A−4−1:パターンA
図10のパターンAでは、先ず、携帯端末400からプリンタ200に対して、印刷ジョブが送信される(ステップS100)。例えば、携帯端末400の利用者が、携帯端末400のプリンタドライバ300を操作して、所定の画像データを指定して、印刷指示を行う。プリンタドライバ300の印刷ジョブ送信部320は、指定された画像データと、印刷コマンド(用紙サイズの指定、印刷部数の指定などのコマンドを含む)とを含む印刷ジョブを生成する。そして、印刷ジョブ送信部320は、当該印刷ジョブを、無線LANを介して、プリンタ200に対して送信する。
プリンタ200が印刷ジョブを受信すると、プリンタ200の識別情報送信部140は、印刷ジョブを識別するための識別情報であるジョブIDを生成し、生成されたジョブIDを、印刷ジョブの送信元の携帯端末400に対して送信する(ステップS120)。携帯端末400のプリンタドライバ300は、受信したジョブIDを、不揮発性記憶装置420または揮発性記憶装置425の所定領域に格納する。
プリンタ200は、続いて、ステータス通知処理(ステップS200)と、印刷処理(ステップS300)とを、並行して実行する。具体的には、通信制御部100のジョブ受信部110(図1)が印刷ジョブを受信すると、通信制御部100は、ステータス通知処理を開始する。また、印刷制御部30は、受信された印刷ジョブを受け取って、当該印刷ジョブに基づく印刷処理(図2)を開始する。ステータス通知処理は、携帯端末400からのステータス通知要求に対する応答として、プリンタ200の状態、具体的には、印刷処理の進行状況(図2)を示すステータス情報を携帯端末400に対して送信する処理である。
携帯端末400のプリンタドライバ300は、ジョブIDを受信すると、監視範囲管理処理(ステップS500)と、関連情報表示処理(ステップS400)とを、並行して実行する。監視範囲管理処理と、関連情報表示処理と、の詳細は、後述する。
A−4−2:パターンB
図11のパターンBでは、先ず、PC60のプリンタドライバ65からプリンタ200に対して、印刷ジョブが送信される(ステップS130)。プリンタ200(通信制御部100のジョブ受信部110)が、印刷ジョブを受信すると、通信制御部100の識別情報送信部140(図1)は、ジョブIDを、印刷ジョブの送信元のPC60に対して送信する(ステップS140)。その後、プリンタ200は、図10のパターンAと同様に、ステータス通知処理(ステップS200)と、印刷処理(ステップS300)とを、並行して実行する。
PC60のプリンタドライバ65は、ジョブIDを受信すると、ジョブIDと、プリンタ200のIPアドレスとを携帯端末400に対して送信する(ステップS150)。送信先の携帯端末400は、例えば、PC60の利用者によって、指定される。例えば、プリンタドライバ65は、印刷ジョブの送信指示を受け付ける際に、所定のUI画面(図示省略)を表示して、利用者から携帯端末400のIPアドレスの入力を受け付ける。プリンタドライバ65は、入力された携帯端末400のIPアドレスを送信先に設定して、ジョブIDと、プリンタ200のIPアドレスと、送信する。また、変形例としては、プリンタドライバ65は、ジョブIDとプリンタ200のIPアドレスとを含む情報を利用者に対して直接提示しても良い。具体的には、プリンタドライバ65は、ジョブIDとプリンタ200のIPアドレスとが埋め込まれたURL(Uniform Resource Locator)を、プリンタドライバ65の表示装置に表示しても良い。また、このURLは、例えば、携帯端末400とプリンタ200とが、比較的通信可能な距離が短い近距離無線通信(Bluetooth(登録商標)、赤外線通信など)を用いて、通信可能な場合には、これらの通信手段を用いて携帯端末400に送信されても良い。
携帯端末400のプリンタドライバ300は、ジョブIDと、プリンタ200のIPアドレスとを受信すると、図10のパターンAと同様に、監視範囲管理処理(ステップS500)と、関連情報表示処理(ステップS400)とを、並行して実行する。なお、これらの処理は、印刷ジョブの進行状況に応じたメッセージを表示する指示を利用者から受け付けた後に実行されても良い。例えば、プリンタドライバ300は、ジョブIDと、プリンタ200のIPアドレスとを受信した場合に、所定のUI画像(図示省略)を表示部470に表示して、メッセージを表示する指示を受け付けても良い。
なお、携帯端末400のプリンタドライバ300が実行する監視範囲管理処理と関連情報表示処理、および、プリンタ200におけるステータス通知処理は、パターンAであっても、パターンBであっても、基本的に同一の処理である。以下、これらの処理について、さらに、説明する。
A−4−3:監視範囲管理処理
図12は、監視範囲管理処理のフローチャートである。監視範囲管理処理は、プリンタドライバ300の監視範囲管理部360によって、実行される処理である。監視範囲管理処理は、監視範囲登録テーブルATに登録された複数の監視範囲(図7、8)の有効化および無効化を行う処理である。
監視範囲管理処理が開始されると、ステップS505では、監視範囲管理部360は、図10のステップS120または図11のステップS140にて取得済みのジョブIDがあるか否かを判断する。監視範囲管理部360は、ジョブIDが、不揮発性記憶装置420や揮発性記憶装置425の所定の領域に格納されている場合には、取得済みのジョブIDがあると判断する。監視範囲管理部360は、取得済みのジョブIDがない場合には(ステップS505:NO)、処理をステップS545に移行する。
監視範囲管理部360は、取得済みのジョブIDがある場合には(ステップS505:YES)、取得済みのジョブIDと共に取得されたプリンタ200のIPアドレスを用いて、プリンタ200に対して、取得済みのジョブIDに対応する印刷ジョブ(以下、対象印刷ジョブとも呼ぶ)に基づく印刷が完了したか否かを問い合わせる。プリンタ200の通信制御部100は、問い合わせに対する応答として、対象印刷ジョブに基づく印刷が完了していること、または、対象印刷ジョブに基づく印刷が完了していないことを示す情報を、携帯端末400に対して送信する。
ステップS515では、監視範囲管理部360は、プリンタ200からの応答に基づいて、対象印刷ジョブが完了しているか否かを判断する。対象印刷ジョブが完了していない場合には(ステップS515:NO)、監視範囲管理部360は、対象印刷ジョブを処理するプリンタ200(以下、対応するプリンタとも呼ぶ)の監視範囲は、有効か否かを判断する(ステップS520)。監視範囲が有効であるか否かは、上述したように、監視範囲登録テーブルAT(図7)に記録されている。図7に示すように、監視範囲の有効/無効は、プリンタごとに管理されている。図7に示す例では、1個のプリンタ200(MFP−XXXXXX)の3個の監視範囲の有効/無効は、1つのフラグで管理されている。
対応するプリンタ200の監視範囲が有効である場合には(ステップS520:YES)、監視範囲管理部360は、処理をステップS545に移行する。したがって、この場合には、対応するプリンタ200の監視範囲は、有効に維持される。対応するプリンタ200の監視範囲が無効である場合には(ステップS520:NO)、監視範囲管理部360は、対応するプリンタ200の監視範囲を有効にし(ステップS525)、ステップS545に移行する。例えば、図7に示す例では、対応するプリンタ200が「MFP−XXXXXX」である場合には、「MFP−XXXXXX」の3個の監視範囲が、有効にされている。例えば、印刷ジョブを受信(図10のステップS120または図11のS150)した後に、初めてステップS520が実行された場合には、該印刷ジョブに対応するプリンタ200の監視範囲は、有効にされていない。したがって、この場合には、対応するプリンタ200の監視範囲が無効であると判断されて(ステップS520:NO)、監視範囲管理部360は、対応するプリンタ200の監視範囲を有効にする(ステップS525)。
ステップS515にて、対象印刷ジョブが完了している場合には(ステップS515:YES)、監視範囲管理部360は、対象印刷ジョブの監視を終了して良いか否かを判断する(ステップS530)。ここで、対象印刷ジョブが完了している場合に、直ちに、監視範囲を無効にすることなく、対象印刷ジョブの監視を終了して良いか否かを判断する理由を説明する。対象印刷ジョブが完了している場合であっても、印刷原稿が未回収であり、印刷原稿がプリンタ200に残っている場合には、利用者に印刷原稿の回収を促すメッセージ(図9)を通知することが好ましい。このように、対象印刷ジョブが完了している場合であっても、対象印刷ジョブの監視を終了すべきではない場合があるからである。
監視範囲管理部360は、例えば、プリンタ200が、印刷原稿が排紙トレイ上にあるか否かを判定可能な用紙センサを備えている場合には、印刷原稿が残っているか否かをプリンタ200に問い合わせる。監視範囲管理部360は、印刷原稿がプリンタ200に残っている場合には、対象印刷ジョブの監視を終了しないと判断する。監視範囲管理部360は、印刷原稿がプリンタ200に残っていない場合には、対象印刷ジョブの監視を終了すると判断する。
監視範囲管理部360は、対象印刷ジョブの監視を終了しない場合には(ステップS530:NO)、処理をステップS545に移行する。監視範囲管理部360は、対象印刷ジョブの監視を終了する場合には(ステップS530:YES)、対応するプリンタ200の監視範囲を無効にする(ステップS535)。そして、監視範囲管理部360は、対象印刷ジョブに対応するジョブIDを不揮発性記憶装置420または揮発性記憶装置425から削除し(ステップS540)、処理をステップS545に移行する。
ステップS545では、監視範囲管理部360は、所定期間が経過したか否かを判断する。所定期間が経過していない場合には(ステップS545:NO)、監視範囲管理部360は、所定期間が経過するまで待機する。所定期間が経過した場合には(ステップS545:YES)、監視範囲管理部360は、ステップS505に戻って、上述したステップS510〜540までの処理を繰り返す。
なお、上記の処理の説明では、1個のジョブIDについての処理を説明したが、複数個のジョブIDが取得されている場合もある。この場合には、複数個のジョブIDに対応する複数個の対象印刷ジョブについて、それぞれ上述の処理が実行される。したがって、同時に複数個のプリンタ200にそれぞれ対応する複数個の監視範囲が有効とされる場合がある。
以上説明した監視範囲管理処理によって、次に説明する関連情報表示処理において利用する監視範囲の有効/無効を適切に管理することができる。以上の説明から解るように、基本的に、監視対象の印刷ジョブがプリンタ200に受信されてから、監視対象の印刷ジョブに基づく印刷原稿が利用者に回収されるまでの期間に、監視対象の印刷ジョブを処理するプリンタ200の監視範囲が有効となるように、制御される。
A−4−4:関連情報表示処理
図13は、関連情報表示処理のフローチャートである。関連情報表示処理は、プリンタドライバ300(主として端末位置取得部330と関連情報取得部340と出力処理部350)によって、実行される処理である。関連情報表示処理は、上述した監視範囲管理処理で有効とされた監視範囲と、GPS部480を用いて取得される現在位置情報とに基づいて、プリンタ200の現在の状態に応じた関連情報、具体的には、メッセージテーブルMTに記録されたメッセージ(図9)を、表示部470に表示する処理である。
関連情報表示処理が開始されると、ステップS405では、プリンタドライバ300は、上述した監視範囲管理処理にて有効にされている監視範囲があるか否かを、監視範囲登録テーブルAT(図7)を参照して判断する。有効な監視範囲がない場合には(ステップS405:NO)、プリンタドライバ300は、処理をステップS450に進める。有効な監視範囲がある場合には(ステップS405:YES)、端末位置取得部330は、GPS部480を用いて、現在の携帯端末400の位置を示す現在位置情報を取得する(ステップS410)。
ステップS415では、関連情報取得部340は、ステップS410で取得された現在位置情報と、監視範囲登録テーブルAT(図7)に記録された範囲規定情報と、に基づいて、携帯端末400が有効な監視範囲内に存在するか否かを判断する。具体的には、関連情報取得部340は、現在位置情報によって示される携帯端末400の位置と、範囲規定情報によって示される監視範囲の中心地点と、の距離RSを算出する。そして、関連情報取得部340は、距離RSと、範囲規定情報によって示される監視範囲の監視距離(中心地点からの半径)と、を比較する。関連情報取得部340は、距離RSが監視距離より大きい場合には、携帯端末400が、監視範囲内に存在してないと判断し、距離RSが監視距離以下である場合には、携帯端末400が、監視範囲内に存在している、と判断する。
関連情報取得部340は、携帯端末400が有効な監視範囲内に存在しない場合には(ステップS410:NO)、関連情報取得部340は、処理をステップS450に進める。関連情報取得部340は、携帯端末400が有効な監視範囲内に存在する場合には(ステップS415:YES)、関連情報取得部340は、携帯端末400が存在する有効な監視範囲に対応するプリンタ200にステータス情報を要求する(ステップS420)。具体的には、関連情報取得部340は、要求先のプリンタ200で処理されている印刷ジョブのジョブIDを含むステータス通知要求を要求先のプリンタ200に対して送信する。
プリンタ200の通知要求受信部150が、携帯端末400からのステータス通知要求を受信すると、プリンタ200のステータス特定部120は、ステータス情報222を参照して、ステータス通知要求に含まれるジョブIDに対応する印刷ジョブの状態(図2)を特定する。そして、プリンタ200のステータス情報送信部130は、ステータス通知要求に対する応答として、特定された印刷ジョブの状態を示すステータス情報をプリンタ200に対して送信する。
ステップS425では、関連情報取得部330は、プリンタ200から送信されたステータス情報を取得する。後述するステップS450から解るように、ステップS430では、関連情報取得部340は、取得されたステータス情報が、関連情報表示処理において繰り返し実行される複数回のステップS425のうち、直前のステップS425の1回前のステップS425で取得された前回取得済みのステータス情報と異なるか否かを判断する。前回取得済みのステータス情報は、例えば、揮発性記憶装置425の所定の記憶領域に記録されている。
ステップS425にて取得されたステータス情報が、前回取得済みのステータス情報と同じである場合には(ステップS430:NO)、関連情報取得部340は、携帯端末400の前回の位置は、現在、携帯端末400が存在している監視範囲内であったか否かを判断する(ステップS435)。携帯端末400の前回の位置は、直前のステップS410より1回前に実行されたステップS410にて取得された現在位置情報によって表される位置であり、例えば、揮発性記憶装置425の所定の記憶領域に記録されている。関連情報取得部340は、ステップS415で説明した手法と同様の手法を用いて、携帯端末400の前回の位置が監視範囲内であったか、監視範囲外であったかを判断する。
携帯端末400の前回の位置が監視範囲外であった場合には(ステップS435:NO)、関連情報取得部340は、ステップS425にて取得されたステータス情報と、携帯端末400が存在している監視範囲に応じて、表示すべきメッセージを取得する(ステップS440)。表示すべきメッセージは、上述した不揮発性記憶装置420に格納されたメッセージテーブルMT(図9)から取得される。例えば、ステップS425にて取得されたステータス情報が、印刷中の状態ST42であり、携帯端末400が存在している監視範囲が第1種の範囲(具体的には、監視範囲A1(図8))である場合には、印刷の完了までに要する時間が比較的短く、印刷原稿の回収を促すメッセージが、表示すべきメッセージとして取得される。また、ステータス情報が、印刷中の状態ST42であり、携帯端末400が存在している監視範囲が第2種の範囲(具体的には、監視範囲A2またはA3(図8))である場合には、同様のメッセージであって、携帯端末400が存在している監視範囲が第1種の範囲である場合と比較して、さらに強く印刷原稿の回収を促すメッセージが、表示すべきメッセージとして取得される。
ステップS445では、出力処理部350は、ステップS440で取得されたメッセージを表示部470に表示する。図14は、携帯端末400の表示部470にメッセージMA(この例では、実行開始操作待ち状態ST3に対応する操作要求メッセージ)が表示された様子を示す図である。このようなメッセージは、例えば、通知音の発生やバイブレーション動作とともに表示され、利用者は、当該メッセージが表示されたことを認識することができる。出力処理部350は、利用者によって、表示の終了を指示するボタンBT3がタッチされたときに、メッセージの表示を終了する。
以上の説明から解るように、携帯端末400の現在位置が有効な監視範囲内であって(ステップS415:YES)、かつ、前回の位置が当該監視範囲外であった場合に(ステップS435:NO)、携帯端末400の表示部470に、ステータス情報と監視範囲とに応じたメッセージが表示される。言い換えれば、ステップS415とS435にて、携帯端末400が有効な監視範囲外から有効な監視範囲内に移動したか否かが判断される。そして、携帯端末400が有効な監視範囲外から有効な監視範囲内に移動したと判断された場合には、携帯端末400の表示部470に、ステータス情報と監視範囲とに応じたメッセージが表示される。
ステップS425にて取得されたステータス情報が、前回取得済みのステータス情報と異なる場合には(ステップS430:YES)、上述したステップS435はスキップされて、上述したステップS440とS445とが実行される。すなわち、関連情報取得部340は、表示すべきメッセージを取得し(ステップS440)、出力処理部350は、取得されたメッセージを表示部470に表示する。すなわち、携帯端末400の現在位置が有効な監視範囲内であって(ステップS415:YES)、かつ、ステータス情報が、前回取得済みのステータス情報と異なる場合には(ステップS430:YES)、携帯端末400の表示部470にメッセージが表示される。言い換えれば、携帯端末400が有効な監視範囲内に存在するときに、印刷処理の進行状況が変化したことによって、取得されたステータス情報が変わったときには、携帯端末400の前回の位置とは無関係に、携帯端末400の表示部470にメッセージが表示される。
ステップS450では、プリンタドライバ300は、所定期間が経過したか否かを判断する。プリンタドライバ300は、所定期間が経過していない場合には(ステップS450:NO)、所定期間が経過するまで待機し、所定期間が経過した場合には(ステップS450:YES)、ステップS405に戻る。この結果、上述したステップS405〜S445の処理が定期的に繰り返される。すなわち、定期的に(例えば、数秒間隔)、携帯端末400の現在位置情報が取得されて、メッセージ表示条件が満たされた場合に、メッセージが携帯端末400の表示部470に表示される。メッセージ表示条件は、上述したように、1)携帯端末400が有効な監視範囲外から有効な監視範囲内に移動したこと、2)携帯端末400が有効な監視範囲内に位置し、かつ、ステータス情報(すなわち、印刷処理の進行状況)が変化したこと、のうちのいずれか一方が満たされることである。
条件1)から解るように、携帯端末400が有効な監視範囲外から有効な監視範囲内に移動したときには、ステータス情報が変化していなくてもメッセージが表示される。この結果、例えば、印刷原稿の出力が完了してステータス情報が変化しない状態であっても、利用者は監視範囲外から監視範囲内に移動する度に、印刷原稿の回収を促すメッセージを受け取ることができる。
条件2)から解るように、例えば、比較的長い期間に亘って、有効な監視範囲内に利用者が滞在した場合であっても、ステータス情報が変化したことによって、表示すべきメッセージが変化した場合には、利用者の携帯端末400の表示部470に、ステータス情報に応じたメッセージが送信されるので、利用者は、適切に印刷処理の進行状況を把握することができる。
以上説明した本実施例によれば、携帯端末400が、地点P1に基づいて規定される監視範囲A1や、地点P2に基づいて規定される監視範囲A2などの監視範囲内にある場合に、プリンタ200の現在の状態に応じた関連情報としてのメッセージが携帯端末400の表示部470に表示される。従って、利用者は、適切な地点P1、P2を示す情報を、携帯端末400に登録することによって、携帯端末400を介して、プリンタ200に関する適切な情報(具体的には、プリンタ200の現在の状態に応じたメッセージ)を適切な地点で取得することができる。従って、携帯端末400を用いて、利用者に対するプリンタ200の利便性を向上することができる。具体的には、例えば、利用者は、取得したメッセージに応じて、印刷原稿を回収するために採用すべき行動を判断できる。
さらに、監視範囲は、地点P1に基づいて規定される監視範囲A1と、地点P2、P2に基づいて規定される監視範囲A2、A3と、を含んでいる(図8)。そして、図13のステップS440では、関連情報取得部340は、携帯端末400の現在位置が、第1種の範囲である監視範囲A1内にある場合に、第1のメッセージを取得し、携帯端末400の現在位置が、第2種の範囲である監視範囲A2、A3内にある場合に、第1の関連情報とは異なる第2のメッセージを取得する。具体例として、プリンタ200の状態が、実行待ちの状態ST2である場合を説明する。この場合には、図9に示すように、関連情報取得部340は、携帯端末400の現在位置が、監視範囲A1内にある場合には、印刷処理の完了までには、相当の時間を要することを示すメッセージを取得する。また、関連情報取得部340は、携帯端末400の現在位置が、監視範囲A2、A3内にある場合には、印刷処理の完了までには、相当の時間を要することを示すとともに、印刷原稿の回収を忘れないように注意を喚起するメッセージを取得する。
この結果、携帯端末400の位置が、監視範囲A1内にある場合と、監視範囲A2、A3内にある場合とで、異なるメッセージが表示部470に表示される。この結果、利用者は、携帯端末400の位置、すなわち、利用者の位置に応じて、適切なメッセージを取得できるので、便利である。より具体的には、本実施例では、プリンタ200を含む監視範囲A1内に利用者が位置している場合には、すなわち、プリンタ200から比較的近い位置に利用者が位置している場合には、印刷ジョブの状態を通知するメッセージが表示部470に表示される。そして、部屋RMの出入り口に設定された監視範囲A2、A3内に利用者が位置している場合には、すなわち、部屋RMに利用者が出入りしようとしている場合には、印刷ジョブの状態を通知するとともに、印刷原稿の回収を強く促すメッセージが、表示部470に表示される。この結果、例えば、部屋RM内で印刷ジョブをプリンタ200に送信した利用者が、プリンタ200に近づくことなく、部屋RMから出て行こうとした場合に、利用者に対して、印刷原稿の回収を促すことができる。また、利用者がプリンタ200に近づいたときに、メッセージが表示部470に表示されたにも拘わらずに、利用者が印刷原稿の回収を忘れた場合であっても、その後に、利用者が部屋RMから出て行こうとした場合に、利用者に対して印刷原稿の回収を促すことができる。
さらに、上述したように、プリンタ200の現在の状態が特定の状態(例えば、実行待ちの状態ST2や、印刷中の状態ST42)である場合の例(図9)から解るように、プリンタ200の現在の状態が同じ場合であっても、携帯端末400が位置する監視範囲が異なれば、異なる情報が表示部470に表示され得る。この結果、利用者は、利用者の位置に応じて、より適切なメッセージを取得できる。
さらに、地点登録部310は、上述した地点登録処理(図5)において、地点P1、P2を登録するための携帯端末400に対する所定の操作(具体的には、登録ボタンBT1の押下(図6))を利用者から受け付ける受付処理(図5のステップS40)を実行する。地点登録部310は、所定の操作を利用者から受け付けたときに、携帯端末400が存在する地点を、監視範囲(例えば、監視範囲A1、A3、A3)を規定するための地点として登録する(図5のステップS60)。この結果、利用者は、携帯端末400を用いて、容易に、監視範囲を規定するための地点を登録することができる。例えば、地点登録部310は、プリンタ200の存在する地点や、プリンタ200の存在する地点とは異なる地点(具体的には、部屋RMの出入り口など)に、比較的自由に監視範囲を登録することができる。また、地点登録部310は、複数個の監視範囲を容易に登録することができる。
また、地点登録部310は、地点を示す情報(座標情報)と、対象プリンタを識別するための識別情報と、を対応付けて、監視範囲登録テーブルATに登録する(図5:ステップS60)。この結果、地点登録部310は、対象プリンタごとに、1個または複数の監視範囲を規定するための地点を登録することができる。この結果、携帯端末400は、複数種類のプリンタに対してそれぞれ印刷ジョブを送信可能な場合であっても、プリンタごとに、適切な地点で適切なメッセージを表示部470に表示することができる。
また、図8から解るように、監視範囲A1内の地点と、監視範囲A2内の地点とは、客観的に見て、地点P1(プリンタ200の位置)からの距離が異なる。そして、上述したように、プリンタ200が監視範囲A1内に位置する場合と、プリンタ200が監視範囲A2内に位置する場合とでは、異なるメッセージが表示部470に表示され得る。すなわち、関連情報取得部340は、地点P1と携帯端末400との距離が第1の距離である場合に、第1のメッセージを取得し、地点P1と携帯端末400との距離が、第1の距離とは異なる第2の距離である場合に、第1のメッセージとは異なる第2のメッセージを取得し得る。したがって、携帯端末400は、プリンタ200と携帯端末400との距離に応じて、適切なメッセージを表示部470に表示できるので、便利である。
また、プリンタ200は、携帯端末400からの送信要求に応じて、ステータス情報を携帯端末400に対して送信するだけである。この結果、プリンタ200に過度な処理負担をかけることを抑制することができる。
B.第2実施例:
第2実施例が第1実施例と異なる点は、想定される監視範囲と、メッセージテーブルの内容である。第2実施例ネットワークシステムの装置構成および動作は、第1実施例のネットワークシステムの装置構成(図1)および動作(図2〜図7、図10〜図14)と基本的に同一である。
図15は、第2実施例の監視範囲の一例を示す図である。図15には、1個の対象プリンタ(プリンタ200)に対応付けられた2個の監視範囲が図示されている。監視範囲A11は、地点P1(プリンタ200の設置位置)を中心とし、監視距離D11を半径とする範囲である。監視範囲A12は、地点P1を中心とし、監視距離D12(D12>D11)を半径とする範囲内であって、かつ、監視範囲A11外の範囲(図15のハッチングされた範囲)である。言い換えれば、監視範囲A12は、地点P1との距離が、監視距離D11より大きく、監視距離D12以下の範囲である。監視距離D11は、例えば、3〜10メートル程度に設定されている。監視距離D12は、例えば、10〜30メートル程度に設定されている。すなわち、監視範囲A11と監視範囲A12とは、共通の地点P1に基づいて規定されている。
監視範囲A11は、第1実施例における監視範囲A1のように、印刷原稿の回収などのために、プリンタ200まで容易に立ち寄ることができる程度に、プリンタ200から近い範囲である。監視範囲A11を、第2実施例における第1種の範囲とする。監視範囲A12は、利用者がプリンタ200の状態(印刷ジョブに進行状況)に関するメッセージを受信することを望む範囲である。監視範囲A12は、例えば、プリンタ200が設置された部屋全体、あるいは、プリンタ200が配置された建物(オフィスビルなど)全体をカバーするように設定されても良い。監視範囲A12を、第2実施例における第2種の範囲とする。
図16は、第2実施例におけるメッセージテーブルMT2の一例を示す図である。メッセージテーブルMT2には、第1実施例のメッセージテーブルMT(図9)と同様に、プリンタ200の状態と監視範囲とに応じたメッセージが記録されている。メッセージテーブルMT2において、第1種の範囲と、第2種の範囲には、第1実施例のメッセージテーブルMTと同様に、プリンタ200の状態(具体的には、印刷ジョブの進行状況(図2))を説明するメッセージが対応付けられている。
ただし、第2種の範囲に対応付けられたメッセージは、第1種の範囲に対応付けられたメッセージと異なり、利用者をプリンタ200に誘導するメッセージが、基本的に含まれていない。すなわち、第1種の範囲に対応付けられたメッセージは、例えば、印刷ジョブの進行状況の説明とともに、印刷原稿の回収を促すメッセージや、エラー(紙詰まりなど)の解除を促すメッセージが含まれ得る。それに対して、第1種の範囲に対応付けられたメッセージは、基本的に、印刷ジョブの進行状況の説明を含み、印刷原稿の回収を促すメッセージや、エラー(紙詰まりなど)の解除を促すメッセージを含まない。
以上説明した第2実施例によれば、監視範囲A11は、地点P1との距離が第1の基準値(監視距離D11)以内である範囲であり、監視範囲A12は、地点P1との距離が第1の基準値より大きい第2の基準値(監視距離D12)以内である範囲である。言い換えれば、関連情報取得部340は、地点P1と携帯端末400との距離が第1の距離(具体的には、監視距離D11以下の距離)である場合に、第1のメッセージを取得し、地点P1と携帯端末400との距離が、第1の距離とは異なる第2の距離(監視距離D11より大きく、かつ、監視距離D12以下の距離)である場合に、第1のメッセージとは異なる第2のメッセージを取得し得る。この結果、地点P1から端末装置の位置までの距離に応じて、異なるメッセージが表示部470に表示され得る。この結果、利用者は、地点P1からの距離に応じて、より適切なメッセージを取得することができる。
具体的には、利用者は、プリンタ200から比較的遠い位置にいる場合には、印刷ジョブの進行状況の説明を含むメッセージを取得することができるので、印刷ジョブの進行状況を適切に把握することができる。そして、利用者は、プリンタ200から比較的近い位置にいる場合には、印刷ジョブの進行状況の説明に加えて、適宜に、印刷原稿の回収を促すメッセージやエラーの解除を促すメッセージを取得することができる。この結果、利用者は、印刷ジョブの進行状況に応じて、取るべき行動を適切に判断することができる。
C.第3実施例:
上記第1および第2実施例では、携帯端末400の位置が、有効な監視範囲内であるか否かの判断や、表示すべきメッセージの決定は、携帯端末400のプリンタドライバ300によって実行されている。これに代えて、第3実施例では、携帯端末400の位置が、有効な監視範囲内であるか否かの判断や、表示すべきメッセージの決定を、プリンタ200の通信制御部100が実行する例を説明する。このために、上記第1および第2実施例において、携帯端末400の不揮発性記憶装置420に格納されているメッセージテーブルMT、MT2は、第3実施例では、プリンタ200の不揮発性記憶装置220に格納される。
そして、携帯端末400のプリンタドライバ300は、監視範囲登録テーブルATに登録された範囲規定情報をプリンタ200に対して送信する。例えば、プリンタドライバ300は、印刷ジョブをプリンタ200に送信する場合には、印刷ジョブの送信先のプリンタ200について登録された監視範囲を示す範囲規定情報を、印刷ジョブに含めて、プリンタ200に対して送信する。
そして、プリンタ200の通信制御部100は、携帯端末400から受け取った範囲規定情報を用いて、第1および第2実施例のステータス通知処理とは異なる第3実施例のステータス通知処理を実行する。図17は、第3実施例のステータス通知処理のフローチャートである。
ステップS605では、通信制御部100は、携帯端末400から監視範囲を規定する範囲規定情報(図7)を取得する。ステップS610では、通信制御部100は、処理対象の印刷ジョブがあるか否かを判断する。処理対象の印刷ジョブは、取得した範囲規定情報に対応するプリンタ200が実行すべき印刷ジョブである。例えば、範囲規定情報が印刷ジョブに含められて、プリンタ200に送信された場合には、範囲規定情報を含む印刷ジョブが、処理対象の印刷ジョブである。取得される範囲規定情報は、例えば、図8に示す3個の監視範囲A1〜A3を規定する情報である。
処理対象の印刷ジョブが存在する場合には(ステップS610:YES)、通信制御部100は、メッセージを送信すべき携帯端末400に対して、現在位置情報を要求する(ステップS615)。メッセージを送信すべき携帯端末400は、範囲規定情報の送信元の携帯端末400である。以下、ステータス通知処理の説明において、単に携帯端末400と言う場合、ステータス通知処理において、メッセージを送信すべき携帯端末400のことを指す。
携帯端末400のプリンタドライバ300は、現在位置情報の要求を受信すると、GPS部480を制御して、現在の携帯端末400の位置を表す現在位置情報を取得する。プリンタドライバ300は、現在位置情報の要求に対する応答として、取得された現在位置情報を、プリンタ200に対して送信する。この結果、ステップS620では、通信制御部100は、携帯端末400から現在位置情報を取得する。
ステップS625では、通信制御部100は、携帯端末400の現在位置情報と、範囲規定情報と、に基づいて、携帯端末400の現在位置が、範囲規定情報によって規定される監視範囲内であるか否かを判断する。複数個の監視範囲が規定されている場合には、複数個の複数個の監視範囲のうちのいずれかの範囲内であるか否かが判断される。
携帯端末400の位置が、監視範囲内でない場合には(ステップS625:NO)、通信制御部100は、ステップS655に処理を移行する。すなわち、携帯端末400の位置が、監視範囲内でない場合には、携帯端末400に対するメッセージの送信は実行されない。一方、携帯端末400の位置が、監視範囲内である場合には(ステップS625:YES)、通信制御部100は、ステータス情報222を参照して、プリンタ200の状態、すなわち、処理対象の印刷ジョブの現在の進行状況を特定する(ステップS630)。続くステップS635では、通信制御部100は、特定された進行状況と、携帯端末400が存在している監視範囲とに応じて、表示すべきメッセージを取得する(ステップS635)。表示すべきメッセージは、上述した不揮発性記憶装置220に格納されたメッセージテーブルMTから取得される。
ステップS640では、通信制御部100は、ステップS635にて取得されたメッセージが、前回のステップS650で携帯端末400に送信された送信済みのメッセージと異なるか否かを判断する。前回送信済みのメッセージは、処理対象の印刷ジョブに関するメッセージとして、携帯端末400に送信されたメッセージがある場合において、当該送信済みのメッセージのうち最後に携帯端末400に送信されたメッセージのことを指す。前回送信済みのメッセージは、例えば、不揮発性記憶装置220や揮発性記憶装置230の所定の記憶領域に記録されている。
ステップS635にて取得されたメッセージが、前回送信済みのメッセージと同じである場合には(ステップS640:NO)、通信制御部100は、携帯端末400の前回の位置は、現在、携帯端末400が存在する監視範囲内であったか否かを判断する(ステップS645)。携帯端末400の前回の位置は、直前のステップS620より1回前に実行されたステップS620にて取得された現在位置情報によって表される位置であり、例えば、不揮発性記憶装置220や揮発性記憶装置230の所定の記憶領域に記録されている。
携帯端末400の前回の位置が監視範囲外であった場合には(ステップS645:NO)、通信制御部100は、ステップS635にて取得されたメッセージを携帯端末400に対して送信する(ステップS650)。すなわち、携帯端末400の現在位置が監視範囲内であって(ステップS625:YES)、かつ、携帯端末400の前回の位置が監視範囲外であった場合に(ステップS645:NO)、携帯端末400に対してメッセージが送信される。
ステップS635にて取得されたメッセージが、前回送信済みのメッセージと異なる場合には(ステップS640:YES)、通信制御部100は、当該メッセージを携帯端末400に対して送信する(ステップS650)。すなわち、携帯端末400の現在位置が特定範囲内であって(ステップS625:YES)、かつ、メッセージが、前回送信済みのメッセージと異なる場合には(ステップS640:YES)、携帯端末400の前回の位置とは無関係に、携帯端末400に対してメッセージが送信される。
ステップS655では、通信制御部100は、所定期間が経過したか否かを判断する。通信制御部100は、所定期間が経過していない場合には(ステップS655:NO)、所定期間が経過するまで待機し、所定期間が経過した場合には(ステップS655:YES)、ステップS610に戻る。この結果、上述したステップS610〜S650までの処理が定期的に繰り返される。すなわち、定期的に(例えば、数秒間隔)、携帯端末400の現在位置情報が取得されて、メッセージ送信条件が満たされた場合に、メッセージが携帯端末400に対して送信される。メッセージ送信条件は、上記第1および第2実施例において、携帯端末400において判断されるメッセージ表示条件と同じである。すなわち、メッセージ送信条件は、1)携帯端末400が有効な監視範囲外から有効な監視範囲内に移動したこと、2)携帯端末400が有効な監視範囲内に位置し、かつ、ステータス情報(すなわち、印刷処理の進行状況)が変化したこと、のうちのいずれか一方が満たされることである。この結果、第3実施例では、携帯端末400の関連情報取得部340は、メッセージ送信条件が満たされた場合に、プリンタ200からメッセージを取得することになる。
なお、携帯端末400の関連情報取得部340がプリンタ200からメッセージを受信すると、携帯端末400の出力処理部350は、携帯端末400の表示部470に、メッセージを表示する(図14)。
ステップS610にて、処理対象の印刷ジョブが存在しない場合には(ステップS610:NO)、すなわち、処理対象の印刷ジョブが消去された場合には、通信制御部100は、ステータス通知処理を、終了する。印刷ジョブは、例えば、印刷制御部30によって、適切なタイミングで消去される。例えば、印刷制御部30は、プリンタ200が終了状態STEに遷移した後に、所定時間が経過したときに、印刷ジョブを消去しても良い。また、印刷制御部30は、印刷原稿の出力が正常に終了した場合には、利用者によって、印刷原稿が回収されたときに、印刷ジョブを消去しても良い。なお、印刷原稿の回収は、例えば、排紙トレイに設けられた用紙センサによって検出される。
以上説明した本実施例によれば、上記第1および第2実施例と同様の作用・効果を奏する。また、携帯端末400は、範囲規定情報の送信と、送信要求に応じた現在位置情報の送信とを行うだけで、適切なタイミングで、メッセージを受信することができる。したがって、携帯端末400に過度な処理負担をかけることを抑制することができる。
D.変形例:
(1)上記各実施例では、関連情報取得部340は、プリンタ200の状態に応じたメッセージを取得して、出力処理部350は、該メッセージを、表示部470に表示している。これに代えて、例えば、関連情報取得部340は、上述した完了期間特定処理(図3)において算出される印刷完了期間Tfをプリンタ200から取得し、関連情報取得部340は印刷完了期間Tfを表示部470に表示しても良い。この場合には、利用者は、印刷完了期間Tfを認識することで、印刷原稿の回収のタイミングを適切に判断することができる。一般的には、プリンタ200の現在の状態に応じた関連情報(例えば、メッセージや印刷完了期間Tf)が取得および表示されることが好ましい。
ここで、プリンタ200の現在の状態は、厳密に、携帯端末400が監視範囲内に移動したタイミングや、メッセージが表示部470に表示されるタイミングにおけるプリンタ200の状態である必要はない。例えば、ステータス情報更新部32によるステータス情報222の更新と、実際のプリンタ200の状態の遷移との間には、ある程度のタイムラグが発生し得る。このようなタイムラグによって、表示部470に表示されたメッセージの内容と、実際のプリンタ200の状態と、の間にずれが生じることは許容される。
また、上記各実施例では、携帯端末400の出力処理部350は、表示部470に、メッセージを表示しているが、出力処理部350は、メッセージを別の方法で利用者に対して出力しても良い。例えば、出力処理部350は、当該メッセージを読み上げる音声を出力しても良く、あるいは、当該メッセージに対応付けられた音や振動を出力しても良い。この場合は、メッセージと、音や振動と、の対応関係は、例えば、マニュアルなどで、予め利用者に対して説明されていることが好ましい。
(2)上記各実施例では、出力中の状態ST42は、1個のプリンタ200の状態として扱われているが、例えば、出力中の状態ST42は、印刷完了期間Tfに応じて分割された複数個の状態として扱われてもよい。例えば、印刷完了期間Tfが基準期間THより長いか否かによって、送信すべきメッセージを変更してもよい。また、印刷完了期間Tfに限らず、例えば、残りの印刷枚数が基準枚数以上であるか否かに基づいて、印刷完了期間Tfが比較的長い状況と、印刷完了期間Tfが比較的短い状況との間で、送信すべきメッセージを変更してもよい。
(3)上記各実施例では、1個のプリンタ200に対応する少なくとも1個の監視範囲が、プリンタ200の存在する位置(設置位置)である地点P1に基づいて規定されている(図8)。これに限らず、1個のプリンタ200に対応する全ての監視範囲が、プリンタ200の設置位置とは異なる地点に基づいて規定されても良い。第2実施例に示す1個の地点P1に基づいて規定される複数の監視範囲A11、A12(図15)は、例えば、プリンタ200の設置位置とは異なる地点に基づいて規定されても良い。例えば、プリンタ200が設置された部屋の出入り口の地点P2(図8)を中心とした半径R1の球内の範囲A3を第1種の範囲とし、地点P2を中心とした半径R2(R2>R1)の球内であって、かつ、範囲A3より外側の範囲A4を第2種の範囲としても良い。こうすれば、2個の監視範囲A3、A4の間で、対応付けられるメッセージを変更することができる。
(4)また、上述したパターンB(図11)のように、PC60から印刷ジョブが送信される場合には、プリンタ200の設置位置を中心とした監視範囲A5と、PC60を中心とした監視範囲A6と、をそれぞれ登録しても良い。この場合には、例えば、プリンタ200に対する処置を要するエラー(紙詰まり、印刷材切れなど)を通知するメッセージは、監視範囲A5内に携帯端末400が位置する場合に表示し、監視範囲A6内に携帯端末400が位置する場合に表示しないこととしても良い。逆に、PC60に対する操作を要するエラー(印刷ジョブを再送する必要があるエラーなど)を通知するメッセージは、監視範囲A6内に携帯端末400が位置する場合に表示し、監視範囲A5内に携帯端末400が位置する場合に表示しないこととしても良い。
(5) 上述したように、プリンタ200の利用者は、プリンタ200の設置位置まで移動することを要求される場合がある。例えば、印刷原稿がプリンタ200から出力された場合には、利用者は、印刷原稿の回収のためにプリンタ200まで移動することが要求される。また、特定のエラー、具体的には、用紙切れや紙詰まりなどのように、エラーを解消するためにプリンタ200に対する処置を要するエラーが発生した場合には、利用者は、当該エラーを解消するためにプリンタ200まで移動することが要求される。このようなプリンタの特性に基づいて、例えば、第1実施例では、利用者が部屋RMから出て行くとき、すなわち、利用者がプリンタ200から遠ざかる場合に、利用者に対するプリンタ200までの移動要求(以下、単に移動要求と呼ぶ)が強調されたメッセージ(具体的には、印刷原稿の回収を比較的強く促すメッセージ)が表示されるように、メッセージの内容が設定されている(図9)。例えば、プリンタ200が特定の状態(例えば、出力中の状態ST42(図9))である場合を比較すると、プリンタ200が設置された領域(部屋や建物)の出入り口に配置される第2種の範囲に利用者が存在する場合には、プリンタ200の近傍に配置される第1種の範囲に利用者が存在する場合のメッセージと比較して、移動要求が強調されたメッセージが、携帯端末400の表示部470に表示される。また、第2実施例では、利用者が比較的プリンタ200に近い場所に滞在している場合に、移動要求が表示され、利用者が比較的プリンタ200から遠い場所に滞在している場合に、移動要求が表示されないように、メッセージの内容が設定されている(図9)。例えば、プリンタ200が特定の状態(例えば、出力中の状態ST42(図9))である場合を比較すると、プリンタ200の近傍に配置される第1種の範囲に利用者が存在する場合には、印刷原稿の回収を促すメッセージが表示され、プリンタ200から比較的遠い位置に配置される第2種の範囲に利用者が存在する場合には、印刷原稿の回収を促すメッセージが、携帯端末400の表示部470に表示されない。一般的に言えば、携帯端末400が第1種の範囲にある場合に携帯端末400に表示されるメッセージと、携帯端末400が第2種の範囲にある場合に携帯端末400に表示されるメッセージとは、移動要求の有無、または、移動要求を強調する程度が互いに異なることが好ましい。
(6)上記各実施例では、監視範囲は、プリンタごとに、設定されている(図7)。これに代えて、監視範囲は、印刷ジョブごとに変更可能であっても良い。例えば、監視範囲を規定する監視距離D1、D2(図8)を、印刷ジョブごとに変更しても良い。例えば、機密性が高い文書を印刷するための文書は、例えば、印刷原稿の回収を促すメッセージを、携帯端末400の位置が、プリンタ200から遠い場合であっても積極的に通知することが好ましい場合が考えられる。このように、印刷ジョブのセキュリティレベルに応じて、監視範囲を規定する監視距離D1、D2が変更されても良い。
(7)上記第1実施例では、対象印刷ジョブの監視を終了して良いか否かの判断(ステップS515)は、印刷原稿がプリンタ200に残っているか否かをプリンタ200に問い合わせることで実行している。この問い合わせに代えて、あるいは、この問い合わせとともに、例えば、利用者が印刷原稿を回収した際に、利用者が対象印刷ジョブの監視の終了を携帯端末400に入力することとしても良い。この場合には、対象印刷ジョブの監視の終了が入力された場合に、監視範囲管理部360は、直ちに、監視範囲を無効とし、対応するジョブIDを削除すれば良い。
(8)上述したように、第1および第2実施例におけるメッセージ表示条件、および、第3実施例におけるメッセージ送信条件は、1)携帯端末400が有効な監視範囲外から有効な監視範囲内に移動したこと、2)携帯端末400が有効な監視範囲内に位置し、かつ、ステータス情報(すなわち、印刷処理の進行状況)が変化したことである。さらに、3)携帯端末400が有効な監視範囲内に位置し、かつ、前回のメッセージ表示時またはメッセージ送信時から所定期間が経過したことを、メッセージ表示条件またはメッセージ送信条件に加えても良い。
(9)上記第1および第2実施例における関連情報表示処理(図13)では、携帯端末400の端末位置取得部330は、定期的に、現在位置情報を取得している(ステップS410)。端末位置取得部330が現在位置情報を取得するタイミングは、定期的でなくても良い。例えば、端末位置取得部330は、携帯端末400において、利用者から位置情報の取得指示があった場合に、現在位置情報を取得してもよい。
(10)上記各実施例において、関連情報としてのメッセージは、携帯端末400の表示部470に表示されている(図14)が、これに代えて、関連情報は、携帯端末400とは異なる装置、例えば、プリンタ200から出力されても良い。例えば、携帯端末400がプリンタ200に比較的近い位置にある場合に、関連情報はプリンタ200から音声で出力されても良い。
(11)また、上記各実施例では、1個の対象プリンタに複数個の監視範囲を設定可能であるが、1個の対象プリンタに1個の監視範囲を設定することとしても良い。この場合は、1個のプリンタ200の状態に対応付けられるメッセージは、1個であって良い。
(12)監視範囲の形状は、球である必要はなく、2次元、あるいは、3次元の任意の形状が採用され得る。例えば、プリンタ200が設置された部屋の形状に対応した形状の監視範囲(例えば、矩形の監視範囲)であっても良い。この場合には、例えば、1個の監視範囲は、複数個の地点、例えば、矩形の頂点に対応する4個の地点によって規定され得る。
(13)上記各実施例では、携帯端末400とプリンタ200との通信、および、PC60とプリンタ200との通信は、具体的には、印刷ジョブ、携帯端末400の現在位置情報、ステータス情報の送受信は、アクセスポイント50を介した無線通信(インフラストラクチャーモードでの無線通信)を用いて実行されている。これに代えて、これらの通信の一部または全部は、各種の無線通信、例えば、無線LANのアドホックモード、Wi−Fi direct、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信などを用いて実行されても良い。
(14)上記各実施例の携帯端末400は、プリンタドライバ300を備えているが、パターンBの場合には、携帯端末400は、印刷ジョブ送信部320の機能(プリンタドライバとしての機能は、備えていなくても良い。
(15)上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
(16)本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリーカードやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含んでいる。
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。