JP2014144928A - Tlr阻害作用を有するチアゾール誘導体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は核酸受容体阻害作用を有し、核酸受容体下流のシグナルの阻害に起因する疾患、例えば関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群(SS)、多発性硬化症(MS)、炎症性腸疾患(IBD)、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群、血管炎などの自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病(GvHD)又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療剤として有用な新規化合物に関する。
病原体が生体に進入すると、免疫系はそれらの病原体をすみやかに識別し排除する。哺乳類では免疫系は大きく自然免疫と獲得免疫に分けることが出来る。獲得免疫では、遺伝子再構成という方法で無数の個々に異なる抗原特異性を有する受容体がT細胞やB細胞表面に発現され、あらゆる未知の外来抗原に対処する(非特許文献1)。
一方で、マクロファージや樹状細胞などによって担われる自然免疫系は非特異的な免疫応答で微生物の排除が行われると考えられていたが、Toll様受容体(Toll−like receptor;TLR)の発見や樹状細胞を中心とした諸研究の急速な進展により、適応免疫系における抗原認識ほどの親和性や特異性は高くない、特徴的な微生物認識機構が存在していることが明らかになってきた(非特許文献2)。とくにTLRに代表される細胞内にシグナルを伝達する核酸認識受容体は、感染をいち早く前線においてキャッチするという役割のみならず、その後、細胞内にシグナルを伝え、自然免疫系活性化のスイッチをオンにする重要な役割がある。その意味において、これまで知られていた自然免疫系の活性化によって誘導されるI型インターフェロン等のサイトカインやケモカイン、そして抗原提示に関与する分子群の遺伝子発現誘導と、その後の適応免疫系の活性化へと連携させて特異的な免疫応答発動へと導くという経路が明らかとなった(非特許文献2)。
核酸受容体のうちTLR3はウイルス由来の二本鎖RNAを認識し、TLR7は同様にウイルス由来の一本鎖RNAを認識することが明らかとなっている。TLR9は細菌のCpG DNAを認識して活性化される。CpG DNAは細菌のゲノムDNAの特徴的な配列でメチル化されてないCpG配列がある頻度で繰り返されている。哺乳類のゲノムDNAではCpG配列の頻度が少なく高頻度にメチル化されているため、免疫賦活作用はない(非特許文献3)。
これまでRNAやDNAセンサーとして報告されてきたTLR7及び9に関しては多くの研究がなされ、その詳細がかなり明らかになってきている。TLR7及び9はエンドソームやライソソームにおいて細胞外に存在するRNAやDNAを認識する受容体として機能し、I型インターフェロンや炎症性サイトカインの遺伝子発現を誘導する。この両者ともMyD88依存性のシグナル伝達経路を介するが、前者がIRAK1/IKKα−IRF−7が関与するのに対し,後者では、NF−κBやIRF−5やMAPキナーゼの経路が関与する。MyD88にはIRF−7やIRF−5の他に、IRF−1やIRF−4が会合することが知られているが(非特許文献4、5、6)、TLR9下流で関与するIRF転写因子の種類や役割は細胞の種類によって異なっている。
上記に示したように核酸受容体はRNAやDNAをリガンドとして認識するが、正常な状態では自己核酸はリガンドとして認識されず、自然免疫を活性化しない。これは細胞死により放出された自己核酸は血清中のヌクレアーゼにより核酸受容体により認識される前に分解されるからである。またTLR3、7及び9の細胞表面ではなく、エンドソームでの細胞内局在も自己核酸を認識しない機構として考えられている。しかしながら、自己免疫反応や炎症が起こっている状況下ではこのような防御機構が破綻し、内在性のタンパク質と複合体を形成し、核酸受容体シグナルを活性化することが考えられる(非特許文献7)。
これらのことから核酸受容体を阻害することにより、RA、SLE、SS、MS、IBD、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群、血管炎などの自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、GvHD及び敗血症による心筋症を改善することが可能であると考えられる。以下に示すようにこれらのいくつかの疾患についてはTLRと具体的な関係が示されている。
RAについてはTLR9阻害作用を有する核酸配列を用いて、TLR9を阻害することによりプリスタン誘導性ラット関節炎モデルにおいて発症と病態が抑制されたことが報告されている(非特許文献8)。また抗マラリア薬であるヒドロキシクロロキンはエンドソームの酸性化抑制によりTLR7及び9の阻害作用を有していることが知られ、日本を除くほとんどの国でRA、SLEの治療薬として承認されている(非特許文献9)。
SLEについてはTLR9ノックアウトマウスにおいてSLE様の病体において見られる抗核抗体の減弱が報告されており(非特許文献10)、TLR9阻害作用を有する核酸を用いた実験においても同様の結果が報告されている(非特許文献11)。さらに同様の作用を有する低分子化合物についても報告されている(CPG52364:特許文献1)。
TLR7ノックアウトマウス(SLE様の症状を自然発症するMRL/lprマウス)においても尿中タンパク質の減少、血中IgGの減少などSLE様の症状の発症が抑制されることが知られている(非特許文献12、13)。さらに抑制性の核酸を投与することによりSLE様の症状の抑制も報告されている(非特許文献11)。これらの報告からはTLR7もSLEのターゲットとして非常に有用であることが推察される。
マウスにおけるMSのモデルであるEAEモデルにおいては、TLR2、TLR9ノックアウトマウスで病態の発症が弱いという報告があり、TLRの関与が示されている(非特許文献14)。
SS患者の唾液腺上皮細胞では、TLR3の活性化によるアポトーシスに感受性が高いという報告がなされており、TLRの関与が考えられる(非特許文献15)。
IBDなどの腸炎では様々なTLRが炎症に関与していることがマウスの腸炎モデルを用いて示されており、TLR阻害により病体に抑制的に働く場合、TLRの活性化が病体に抑制的に働く場合が報告されており、一概に阻害作用のみが病態回復に機能するとは考えられないが、TLRとの関与は示されている(非特許文献16)。
リガンドであるCpG−B DNAにより産生される炎症性サイトカインにより、心筋細胞の収縮性が失われたとされる報告があり、TLR9ノックアウトマウスではその作用が減弱された(非特許文献17)。このようなことから敗血症による心筋症に関与していると考えられる。
ヒドロキシクロロキンはTLR9阻害作用を有することが公知であり、すでに臨床でも使用されている薬剤であるが、TLR9阻害作用としてはそれほど強くなく、さらに強いTLR9阻害作用を有する薬剤により、より強力な薬効が期待できる。またヒドロキシクロロキンはクロロキン網膜症などの副作用の懸念があるが、異なる骨格の化合物により、このような副作用の懸念は払拭できる可能性も考えられる。
したがって、強い核酸受容体阻害作用を示し、経口投与可能な低分子性の薬剤が、今後のRA、SLE、SS、MS、IBD、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群、血管炎などの自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、GvHD又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療において有用であると考えられる。
一方、チアゾール誘導体としては、例えば、キサンチンオキシダーゼ作用を有し痛風治療薬としての効果が知られている(特許文献2)。しかしながら、この文献に開示されている化合物は、チアゾール環上の置換基の組み合わせが本発明の化合物と異なり、TLR阻害作用に関連する記載や示唆もない。
植松智ら ウイルス、54:145−152(2004)
高岡晃教ら ウイルス、58:37−46(2008)
Takeda K et al.,Annu.,Rev.Immunol.,21:335−376(2003)
Honda K et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,101:15416−15421(2004)
Negishi H et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,102:15989−15994(2005)
Negishi H et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:15136−15141(2006)
Kim,Y.M et al.,Nature,452:234−238(2008)
S Herman et al.,Ann.Rheum.Dis.,70 :A39 doi:10.1136/ard.2010.148973.8(2011)
横川直人、Current Therapy,28:85−91(2010)
Sean R.Christensen et al.,J.Exp.Med.,202:321−331(2005)
Rahul D.Pawar et al.,J Am Soc Nephrol 18:1721−1731(2007)
Sean R.Christensen et al.,Immunity,25:417-428(2006)
Kevin M.Nickerson et al.,J.Immunol.,184:1840−1848(2010)
Socorro Miranda−Hernandez,et al.,J.Immunol.,187:791−804(2011)
Manoussakis MN,et al.,J.Autoimmun.,35(3):212−218(2010)
Elke Cario,Inflamm.Bowel.Dis.,14(3):411−21(2008)
Pascal Knuefermannal.,Cardiovascular Research,78:26-35(2008)
本発明の目的は、低分子性の核酸受容体阻害作用を有する新規化合物を提供することにある。さらに詳細には、RA、SLE、SS、MS、IBD、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群、血管炎などの自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、GvHD又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療に有用な医薬を提供することにある。
上記実情に鑑み、本発明者らは、鋭意TLR3、7及び/又は9阻害作用を持つ化合物を探索した結果、下記一般式(1)で表されるチアゾール誘導体が、内在的にヒトTLR3を発現しているヒト血管内皮細胞由来のECV304を用いた試験、ヒトTLR7を発現させたヒト胎児腎臓細胞由来のHEK293細胞を用いた試験、ヒトTLR9を発現させたヒト胎児腎臓細胞由来のHEK293細胞を用いた試験において核酸受容体阻害作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に示す発明に関する。
[1]次の一般式(1):
[1]次の一般式(1):
[式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又はC1−3アルキル基を示し、
Qは、C1−6アルキレン基を示し、
環T及び環Uは、それぞれ独立して、5乃至7員の含窒素飽和複素環を示し、
ここで前記5乃至7員の含窒素飽和複素環は、同一又は異なって、C1−3アルキル基、ハロゲン原子、水酸基及びC1−3アルコキシ基からなる群から選ばれる置換基を1乃至3個有しても良い]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又はC1−3アルキル基を示し、
Qは、C1−6アルキレン基を示し、
環T及び環Uは、それぞれ独立して、5乃至7員の含窒素飽和複素環を示し、
ここで前記5乃至7員の含窒素飽和複素環は、同一又は異なって、C1−3アルキル基、ハロゲン原子、水酸基及びC1−3アルコキシ基からなる群から選ばれる置換基を1乃至3個有しても良い]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[2]一般式(1)で表される化合物が、N-(3-([1,4’-ビピペリジン]-1’-イル)プロピル)-2-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)チアゾール-5-カルボキサミドである、前記[1]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[3]前記[1]又は[2]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、TLR3、TLR7及びTLR9からなる群から選択される少なくとも1種の、特にTLR9の阻害剤。
[4]前記[1]または[2]に記載の化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療剤。
[5]自己免疫疾患が、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、多発性硬化症、炎症性腸疾患、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群又は血管炎である、前記[4]に記載の予防及び/又は治療剤。
[6]TLR3、TLR7及びTLR9からなる群から選択される少なくとも1種の、特にTLR9のシグナル活性化に起因する疾患、例えば、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群(SS)、多発性硬化症(MS)、炎症性腸疾患(IBD)、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群、血管炎などの自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病(GvHD)又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療剤の製造のための、前記[1]又は[2]に記載の化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用。
[7]前記[1]又は[2]に記載の化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を患者に投与することを特徴とする、TLR3、TLR7及びTLR9からなる群から選ばれる少なくとも1種の、特にTLR9のシグナルの活性化に起因する疾患、例えば、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群(SS)、多発性硬化症(MS)、炎症性腸疾患(IBD)、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群、血管炎などの自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病(GvHD)又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療方法。
TLR3、7及び9からなる群から選ばれる少なくとも1種の阻害剤の有効成分である、本発明のチアゾール誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、RA、SLE、SS、MS、IBD、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群、血管炎などの自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、GvHD又は敗血症による心筋症等の予防及び/又は治療において有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明における用語の定義は以下のとおりである。
本明細書中で使用するとき、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
本明細書中で使用するとき、「C1−3アルキル基」とは、炭素数1乃至3の直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基を意味する。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
本明細書で使用するとき、「C1−6アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6の飽和炭化水素基を意味する。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基又は2−エチルブチル基等が挙げられる。
本明細書中で使用するとき、「C1−3アルコキシ基」とは、前記C1−3アルキル基が酸素原子に結合した基を意味する。具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
本明細書中で使用するとき、「C1−6アルキレン基」とは、2価の炭素1乃至6の直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基を意味する。具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基、n−ペンチレン基、2−メチルブチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、n−ヘキシレン基などが挙げられる。
本明細書中で使用するとき、「5乃至7員の含窒素飽和複素環」とは、隣接する環員原子間で多重結合を有さず、環員原子として窒素原子を少なくとも1つ含有する、5乃至7員の複素環を意味する。具体的には、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、アゼパン環、モルホリン環、チオモルホリン環、チオモルホリン 1−オキシド環、チオモルホリン 1,1−ジオキシド環、ピペラジン環、ホモピペラジン環等が挙げられる。
式(1)中、環Uの環員原子、特に窒素原子は、環Tの任意の環員原子の炭素原子と結合する。但し、Qが結合する環Tの環員原子とは結合しない。
式(1)中、C1−3アルキル基としては、メチル基が好ましい。
式(1)中、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
式(1)中、C1−3アルコキシ基としては、メトキシ基が好ましい。
式(1)中、C1−6アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基が好ましく、n−プロピレン基がより好ましい。
式(1)中、5乃至7員の含窒素飽和複素環としては、ピペリジン環が好ましい。
式(1)中、Qとしては、n−プロピレン基が好ましい。
式(1)中、R1としては、水素原子が好ましい。
式(1)中、R2としては、C1−3アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(1)中、環Tとしては、ピペリジン環が好ましい。
式(1)中、環Uとしては、ピペリジン環が好ましい。
式(1)中、環Tがピペリジン環を示す時、環Uの環員原子である窒素原子は、当該ピペリジン環の4位に結合することが好ましい。
式(1)中、Q、R1、R2、T、及びUの組み合わせとしては、以下のものが好ましい。
Q=n−プロピレン基、R1=水素原子、R2=メチル基、T=ピペリジン環、U=ピペリジン環。
Q=n−プロピレン基、R1=水素原子、R2=メチル基、T=ピペリジン環、U=ピペリジン環。
本発明のチアゾール誘導体の具体例として、
N-(3-([1,4’-ビピペリジン]-1’-イル)プロピル)-2-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)チアゾール-5-カルボキサミドを挙げることができる。
N-(3-([1,4’-ビピペリジン]-1’-イル)プロピル)-2-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)チアゾール-5-カルボキサミドを挙げることができる。
本発明のTLR3、TLR7及びTLR9からなる群から選択される少なくとも1種の阻害剤の有効成分の具体例として、
N-(3-([1,4’-ビピペリジン]-1’-イル)プロピル)-2-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)チアゾール-5-カルボキサミド
を挙げることができる。
N-(3-([1,4’-ビピペリジン]-1’-イル)プロピル)-2-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)チアゾール-5-カルボキサミド
を挙げることができる。
本発明のチアゾール誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、本発明のチアゾール誘導体のみならず、その医薬として許容される塩、それらの各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形を有する物質、及びこれらの物質のプロドラッグとなる物質を包含している。
本発明のチアゾール誘導体において許容される塩としては、具体的には、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等)や有機酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)との酸付加塩等が挙げられる。
本発明のチアゾール誘導体、及びその医薬として許容される塩の溶媒和物としては、水和物や各種の溶媒和物(例えば、エタノール等のアルコールとの溶媒和物等)が挙げられる。
本発明のチアゾール誘導体は、公知の方法を組み合わせて製造することができる。チアゾール誘導体の製造方法を下記反応工程図に示すが、製造法はこれに限定されるものではない。下記一般式における置換基等は必要に応じ一般に用いられる方法(Comprehensive Organic Transformations Second Edition, A John Wiley&Sons, Inc.)を参考に、酸化、還元、アルキル化、アミド化、エステル化、加水分解、還元的アミノ化等により適宜変換させてもよい。また、保護基を用いる場合には、保護基としては特に制限はないが、一般に用いられる方法(Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis Fourth Edition,A John Wiley&Sons,Inc.)等により導入できるものを適宜使用できるが、これに限定されるものではない。
一般式(1)で表される本発明の化合物は、チアゾール誘導体(2)から製造することができる。
[式中、R1、R2、Q、T及びUは、前記定義と同じものを示し、Eは、ハロゲン原子又はトリフレート基などの脱離基を示し、R3及びR4は水素原子又はC1−6アルキル基を示し、ここでR3とR4は一緒になって環を形成してもよい。]
[工程1]チアゾール誘導体(2)とアミン誘導体(3)の脱水縮合反応を、溶媒中塩基の存在下又は非存在下、縮合促進剤の存在下又は非存在下において縮合剤を用いて行うことで、チアゾール誘導体(4)を製造することができる。溶媒としては特に制限はないが、例えば、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン炭化水素類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;水等を単独又は組み合わせて使用することができる。塩基としては特に制限はないが、例えば、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、コリジン、ルチジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクテン(DABCO)、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルペンチルアミン、トリメチルアミン等の有機塩基類、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属類、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の重炭酸アルカリ金属等を使用することができる。縮合促進剤としては特に制限はないが、DMAP、HOAt、HOBt、HODhbt、HONB、HOPfp、HOPht、HOSu等を使用することができる。縮合剤としては特に制限はないが、DCC、DIPCI、WSCI、WSC・HCl、DEPC、BOP、PyBOP、TBTU等を使用することができる。反応温度は、−20℃〜100℃、好ましくは0℃〜40℃である。反応時間は、5分〜2日、好ましくは10分〜24時間である。上記反応で用いるチアゾール誘導体(2)及びアミン誘導体(3)は、市販の入手可能なものをそのまま使用するか、又は公知の方法により適宜製造できるが、これに限定されるものではない。
[工程2]チアゾール誘導体(4)とボラン化合物(5)との鈴木−宮浦カップリング反応によって、本発明化合物(1)を製造することができる。使用される金属触媒、塩基ならびに反応条件は、通常、鈴木−宮浦カップリング反応に使用される試薬及び条件であれば特に限定されないが、例えばN.Miyaura,A.Suzuki,Chem.Rev.1995,95,2457−2483,(1995)等に記載されている方法を用いることができる。使用される金属触媒としては特に制限は無いが、例えば、酢酸パラジウム(II)、パラジウム(0)ジベンジリデンアセトン、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)ジパラジウム(0)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等のパラジウム錯体であり、好ましくは、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)である。塩基としては特に制限は無いが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、tert−ブトキシナトリウム、tert−ブトキシカリウム等であり、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸セシウムである。溶媒としては特に制限はないが、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;トルエン等の芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド、水等を単独又は組み合わせて使用することができる。好ましくはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、水、及びそれらの混合溶媒である。反応温度は、0℃〜200℃、好ましくは60℃〜150℃である。反応時間は、1時間〜48時間、好ましくは30分間〜24時間である。上記反応で用いるボラン化合物(5)は、市販の入手可能なものをそのまま使用するか、或いは、公知の方法により適宜製造できるが、これに限定されるものではない。
前記の各反応で得られた中間体及び目的物は、有機合成化学で常用されている精製法、例えば、ろ過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して必要に応じて単離、精製することができる。また、中間体においては、特に精製することなく次反応に供することもできる。
さらに、各種の異性体は異性体間の物理化学的性質の差を利用した常法を適用して単離できる。例えば、ラセミ混合物は、例えば、酒石酸等の一般的な光学活性酸とのジアステレオマー塩に導き光学分割する方法、又は、光学活性カラムクロマトグラフィーを用いた方法等の一般的ラセミ分割法により、光学的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオマー混合物は、例えば、分別結晶化又は各種クロマトグラフィー等により分割できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
本発明のTLR3、7及び/又は9阻害剤、並びに自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、GvHD又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療剤は、一般式(1)で表されるチアゾール誘導体、その塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有するものであって、医薬組成物として使用することができる。その場合、本発明の化合物を単独で用いてもよいが、通常は医薬として許容される担体、及び/又は希釈剤を配合して使用される。
投与経路は、特に限定されないが、治療目的に応じて適宜選択することができる。例えば、経口剤、注射剤、坐剤、吸入剤等のいずれでもよい。これらの投与形態に適した医薬組成物は、公知の製剤方法を利用することによって製造できる。
経口用固形製剤を調製する場合は、一般式(1)で表される化合物に医薬として許容される賦形剤、更に必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法を利用して、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。添加剤は、当該分野で一般的に使用されているものでよい。例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸等が挙げられる。結合剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。矯味剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
経口用液体製剤を調製する場合は、一般式(1)で表される化合物に、矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法を利用して内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。矯味剤としては上記に挙げられたものでよく、緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム等が、安定化剤としては、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
注射剤を調製する場合は、一般式(1)で表される化合物にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法を利用して皮下、筋肉及び静脈内注射剤を製造することができる。pH調製剤及び緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA(エデト酸ナトリウム)、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。局所麻酔剤としては、例えば、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が挙げられる。
坐剤を調製する場合は、一般式(1)で表される化合物に公知の坐剤用担体、例えば、ポリエチレングリコール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセライド等、更に必要に応じて界面活性剤(例えば、ツイーン(登録商標))等を加えた後、常法を利用して製造することができる。
上記以外に、常法を利用して適宜好ましい製剤とすることもできる。
本発明の一般式(1)で表されるチアゾール誘導体の投与量は年齢、体重、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、通常は成人に対して一般式(1)で表わされる化合物として1日あたり0.1mg〜1000mg、好ましくは1mg〜1000mg、より好ましくは1mg〜500mgを、1回又は数回に分けて経口投与又は非経口投与するのが好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例中で用いられている略号は下記の意味を示す。
s:シングレット(singlet)
d:ダブレット(doublet)
t:トリプレット(triplet)
m:マルチプレット(multiplet)
brs:ブロードシングレット(broad singlet)
J:カップリング定数(coupling constant)
Hz:ヘルツ(Hertz)
CDCl3:重クロロホルム
1H-NMR:プロトン核磁気共鳴
WSC・HCl:1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド塩酸塩
HOBt・H2O:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 一水和物
PLC:分取用薄層クロマトグラフィー
s:シングレット(singlet)
d:ダブレット(doublet)
t:トリプレット(triplet)
m:マルチプレット(multiplet)
brs:ブロードシングレット(broad singlet)
J:カップリング定数(coupling constant)
Hz:ヘルツ(Hertz)
CDCl3:重クロロホルム
1H-NMR:プロトン核磁気共鳴
WSC・HCl:1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド塩酸塩
HOBt・H2O:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 一水和物
PLC:分取用薄層クロマトグラフィー
実施例1
N-(3-([1,4’-ビピペリジン]-1’-イル)プロピル)-2-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)チアゾール-5-カルボキサミドの製造
N-(3-([1,4’-ビピペリジン]-1’-イル)プロピル)-2-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)チアゾール-5-カルボキサミドの製造
工程1
N-(3-([1,4'-ビピペリジン]-1'-イル)プロピル)-2-ブロモチアゾール-5-カルボキサミドの製造
N-(3-([1,4'-ビピペリジン]-1'-イル)プロピル)-2-ブロモチアゾール-5-カルボキサミドの製造
2-ブロモチアゾール-5-カルボン酸(200 mg, 0.96 mmol)、3-([1,4’-ビピペリジン]-1’-プロパン)-1-アミン3塩酸塩(418 mg, 1.25 mmol)、WSC・HCl(276 mg, 1.44 mmol)、HOBt・H2O(195 mg, 1.44 mmol)及びトリエチルアミン(389 mg, 3.84 mmol)を塩化メチレン(5 mL)に加え、室温で一晩攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:アンモニア飽和メタノール=98:2→90:10、グラジエント)を用いて精製し、表題化合物(300 mg, 75%)を黄色油状物として得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ: 1.42-1.49 (2H, m), 1.56-1.85 (10H, m), 1.90-1.98 (2H, m), 2.37 (1H, tt, J = 11.5, 3.6 Hz), 2.52-2.56 (6H, m), 3.05-3.12 (2H, m), 3.53 (2H, dt, J = 5.6, 5.6 Hz), 7.93 (1H, s), 8.72 (1H, brs).
工程2
N-(3-([1,4'-ビピペリジン]-1'-イル)プロピル)-2-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル) チアゾール-5-カルボキサミドの製造
N-(3-([1,4'-ビピペリジン]-1'-イル)プロピル)-2-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル) チアゾール-5-カルボキサミドの製造
N-(3-([1,4'-ビピペリジン]-1'-イル)プロピル)-2-ブロモチアゾール-5-カルボキサミド(80 mg, 0.19 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(11 mg, 0.01 mmol)、1-メチル-4-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)ピペラジン(70 mg, 0.23 mmol)及び2M炭酸ナトリウム水溶液(0.23 mL)を1,4-ジオキサン(1 mL)に混合し、還流下で一晩攪拌した。室温に戻し、水を加え、クロロホルムで抽出を行い、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をPLC(クロロホルム:アンモニア飽和メタノール=11:1)を用いて精製し、さらにPLC(クロロホルム:メタノール=10:1)を用いて精製し、表題化合物(56.5 mg, 57%)を淡黄色固体して得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ: 1.37-1.87 (12H, m), 1.89-1.98 (2H, m), 2.27-2.36 (1H, m), 2.36 (3H, s), 2.48-2.56 (6H, m), 2.57 (4H, t, J = 4.9 Hz), 3.06-3.14 (2H, m), 3.32 (4H, t, J = 4.9 Hz), 3.52-3.59 (2H, m), 6.92 (2H, d, J = 9.0 Hz), 7.84 (2H, d, J = 9.0 Hz), 8.15 (1H, s), 8.42 (1H, brs)
[試験例1]TLR9発現レポーター細胞を用いたTLR9活性化阻害試験
1)TLR9発現レポーター細胞の樹立
ヒトTLR9発現細胞は、ヒト胎児腎臓細胞株であるHEK293にヒトTLR9を発現させた細胞をInvivogen社より購入した(hTLR9/293xL)。hTLR9/293xLを、10%ウシ胎仔血清、ペニシリン、ストレプトマイシンを含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM(sigma社))を用いて継代培養した。NFκB認識配列の4回繰り返しにホタルルシフェラーゼ遺伝子を連結したpGL4.28(Promega社)を、Fugene6(Roche社)を用いてリポフェクションにより遺伝子導入した。ハイグロマイシン、ブラストサイジン耐性細胞クローンを選択し、TLR9発現レポーター細胞とした(hTLR9 NFκB−luc/293xL)。
2)TLR9活性化阻害試験
hTLR9 NFκB−luc/293xLを96ウェルホワイトマイクロタイタープレートに1.0×104/80μLで播き、CO2インキュベータ中で37℃、1晩培養した。DMEMにより希釈した被検化合物(10μL)を添加し、終濃度0.01,0.03,0.1,0.3,1μMとした。1時間後にTLR9リガンドであるCpG−B DNA(ODN2006)(Invivogen)を終濃度1μMとなるように添加した(10μL)。合計100μLとして4時間CO2インキュベータ中でインキュベート後にルシフェラーゼ活性をTLR9活性として測定した。ルシフェラーゼ活性はBright Glo(Promega)を60μL添加し、マルチマイクロプレートリーダーARVO(Perkin Elmer)により発光量を測定した。被検化合物を添加していない場合のルシフェラーゼ活性を100%として、各被検化合物の50%阻害濃度(IC50値)を計算した。
1)TLR9発現レポーター細胞の樹立
ヒトTLR9発現細胞は、ヒト胎児腎臓細胞株であるHEK293にヒトTLR9を発現させた細胞をInvivogen社より購入した(hTLR9/293xL)。hTLR9/293xLを、10%ウシ胎仔血清、ペニシリン、ストレプトマイシンを含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM(sigma社))を用いて継代培養した。NFκB認識配列の4回繰り返しにホタルルシフェラーゼ遺伝子を連結したpGL4.28(Promega社)を、Fugene6(Roche社)を用いてリポフェクションにより遺伝子導入した。ハイグロマイシン、ブラストサイジン耐性細胞クローンを選択し、TLR9発現レポーター細胞とした(hTLR9 NFκB−luc/293xL)。
2)TLR9活性化阻害試験
hTLR9 NFκB−luc/293xLを96ウェルホワイトマイクロタイタープレートに1.0×104/80μLで播き、CO2インキュベータ中で37℃、1晩培養した。DMEMにより希釈した被検化合物(10μL)を添加し、終濃度0.01,0.03,0.1,0.3,1μMとした。1時間後にTLR9リガンドであるCpG−B DNA(ODN2006)(Invivogen)を終濃度1μMとなるように添加した(10μL)。合計100μLとして4時間CO2インキュベータ中でインキュベート後にルシフェラーゼ活性をTLR9活性として測定した。ルシフェラーゼ活性はBright Glo(Promega)を60μL添加し、マルチマイクロプレートリーダーARVO(Perkin Elmer)により発光量を測定した。被検化合物を添加していない場合のルシフェラーゼ活性を100%として、各被検化合物の50%阻害濃度(IC50値)を計算した。
3)結果
上記実施例によって得られた化合物の活性値(IC50値)を表2に示す。
上記実施例によって得られた化合物の活性値(IC50値)を表2に示す。
以上より、本発明の化合物は強いTLR9阻害作用を有していることが確認された。したがって、本発明の一般式(1)で表されるチアゾール誘導体は、TLR9阻害剤として、TLR9シグナルの活性化に関連する疾患、例えば、RA、SLE、SS、MS、IBD、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群、血管炎などの自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、GvHD又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療剤の有効成分として有用であることがわかった。
本発明のチアゾール誘導体若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、優れたTLR3、7及び/又は9阻害作用を有しており、自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、GvHD又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療剤への使用に有用である。本発明は、自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、GvHD又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療剤を提供し、製薬工業において有用であり、産業上の利用可能性を有している。
Claims (5)
- 一般式(1)で示される化合物が、
N-(3-([1,4’-ビピペリジン]-1’-イル)プロピル)-2-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)チアゾール-5-カルボキサミド
である、請求項1に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。 - 請求項1又は2に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、TLR3、TLR7及びTLR9からなる群から選択される少なくとも1種の阻害剤。
- 請求項1又は2に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療剤。
- 自己免疫疾患が、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、多発性硬化症、炎症性腸疾患、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群又は血管炎である、請求項4に記載の予防及び/又は治療剤。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2013014586A JP2014144928A (ja) | 2013-01-29 | 2013-01-29 | Tlr阻害作用を有するチアゾール誘導体 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
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JP2013014586A Pending JP2014144928A (ja) | 2013-01-29 | 2013-01-29 | Tlr阻害作用を有するチアゾール誘導体 |
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