JP2014141086A - 高耐久機能性成型シート及びそれを用いて得られる加飾成型品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガードフィルム1、クリヤー層2、及び接着層4がこの順で積層されており、クリヤー層2が、モノオール(A)、ポリイソシアネート(B)、ポリアミン(C)、及びポリオール(D)を反応させて得られるポリウレタン樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物からなり、モノオール(A)とポリオール(D)の少なくともいずれかは(メタ)アクリロイルオキシ基を有し、ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が2,000〜150,000である高耐久機能性成型シート10。
【選択図】図1
Description
(1)加飾シートを下チャンバーボックス上部に設置されたテーブルに挟む。
(2)上チャンバーを降下させて密閉空間とする。
(3)両チャンバー内を真空状態にする。
(4)加飾シートを赤外線ヒーターで加熱する。
(5)下チャンバーボックスに設置した成型部品を上昇させる。
(6)成型部品が加飾シートに接触した段階で上チャンバーを大気圧に開放させる。
[1]ガードフィルム、クリヤー層、及び接着層がこの順で積層されているとともに、必要に応じて前記接着層の表面にセパレートフィルムが配置されており、前記クリヤー層が、モノオール(A)、ポリイソシアネート(B)、ポリアミン(C)、及びポリオール(D)を必須成分として反応させて得られる、下記一般式(1)で表されるポリウレタン樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物からなり、前記モノオール(A)の水酸基のモル数と前記ポリオール(D)の水酸基のモル数の合計に対する、前記ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基のモル数の比((B)/((A)+(D)))が1.5〜3であるとともに、前記ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基のモル数に対する、前記モノオール(A)の水酸基のモル数、前記ポリアミン(C)のアミノ基のモル数、及び前記ポリオール(D)の水酸基モル数の合計の比(((A)+(C)+(D))/(B))が0.7〜1.0であり、前記モノオール(A)と前記ポリオール(D)の少なくともいずれかは(メタ)アクリロイルオキシ基を有するとともに、前記モノオール(A)、前記ポリイソシアネート(B)、前記ポリアミン(C)、及び前記ポリオール(D)の合計に占める、(メタ)アクリロイルオキシ基を有しない前記ポリオールの(D)の割合は、30質量%以下であり、前記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が2,000〜150,000である高耐久機能性成型シート。
[4]前記ポリウレタン樹脂の二重結合当量が、130〜1300g/eq.である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の高耐久機能性成型シート。
[5]前記光硬化性樹脂組成物が、さらに光重合開始剤を0.01〜10質量%含有する前記[1]〜[4]のいずれかに記載の高耐久機能性成型シート。
[6]前記接着層に意匠が施されている前記[1]〜[5]のいずれかに記載の高耐久機能性成型シート。
[7]前記接着層が、意匠が施された樹脂層である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の高耐久機能性成型シート。
[8]前記接着層が、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化又は酸変性ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、及びテルペン系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含むか、或いは、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂の少なくともいずれかの熱硬化性樹脂を含む前記[1]〜[7]のいずれかに記載の高耐久機能性成型シート。
[9]前記接着層と前記クリヤー層との間に意匠層が配置されている前記[1]〜[8]のいずれかに記載の高耐久機能性成型シート。
[10]前記[1]〜[9]のいずれかに記載の高耐久機能性成型シートを用いて得られる、前記クリヤー層を紫外線硬化させて形成された硬化層を有する加飾成型品。
図1は、本発明の高耐久機能性成型シートの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、本実施形態の機能性成型シート(以下、単に「機能性成型シート」とも記す)10は、ガードフィルム1、クリヤー層2、及び接着層4がこの順で積層されている。クリヤー層2は、耐擦傷性及び衝撃抵抗性を有する層である。なお、接着層4の表面にはセパレートフィルム5が配置されていてもよい。また、接着層4とクリヤー層2の間には意匠層3が配置されていてもよい。機能性成型シート10を用いて成型部品を三次元加飾した後、紫外線照射により硬化することにより、耐擦傷性及び衝撃抵抗性に優れた加飾成型品(表面層)を得ることができる。
基材シートとなるガードフィルムの材質等は、三次元成型(真空成型)への適性を考慮して適宜選定される。一般的には、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルム(シート)がガードフィルムとして使用される。熱可塑性樹脂としては、PET、ポリカーボネート、ABS樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びアロイ樹脂等を挙げることができる。
本発明の機能性成型シートを構成するクリヤー層を紫外線硬化させて形成される硬化層の、JIS K5400に準拠して測定される荷重500gにおける鉛筆硬度は、好ましくはH以上、さらに好ましくは2H以上、特に好ましくは3H以上である。すなわち、本発明の機能性成型シートは、クリヤー層を紫外線硬化させて形成される硬化層の硬度が十分に高いため、耐擦傷性及び衝撃抵抗性に優れた表面を有する加飾成型品を製造することができる。さらに、紫外線硬化させる前のクリヤー層は、伸びが良好である。すなわち、本発明の機能性成型シートは、そのクリヤー層が、紫外線照射前は優れた三次元成型性を有しながらも紫外線照射後は十分に硬化する。このため、本発明の機能性成型シートを用いれば、耐擦傷性及び衝撃抵抗性に優れた表面を有する加飾成型品を、割れ等の不具合を生じさせることなく簡便に製造することができる。なお、硬化層の鉛筆硬度の上限については特に限定されないが、実質的には5H以下である。
(i)紫外線硬化前の表面タックが低減して操作性が向上する。
(ii)三次元成型性が向上する。
(iii)耐擦傷性及び衝撃抵抗性に優れた表面を有する加飾成型品を製造することができる。
(1)機器装置:商品名「HLC−8020」(東ソー社製)
(2)カラム:商品名「TSKgel G2000HXL」、「G3000HXL」、「G4000GXL」(東ソー社製)
(3)溶媒:THF
(4)流速:1.0ml/min
(5)試料濃度:2g/L
(6)注入量:100μL
(7)温度:40℃
(8)検出器:型番「RI−8020」(東ソー社製)
(9)標準物質:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製)
(1)ポリエーテルポリオール、例えば、アルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等)及び/又は、複素環式エーテル(テトラヒドロフラン等)を重合又は共重合して得られるもの、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコール(ブロック又はランダム)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレングリオール等。
ただし、耐久性及び耐熱性の観点から、主としてポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。
接着層の構成材料(バインダー樹脂)としては、本発明の機能性成型シートを貼付する対象となる部材の材質等に応じて、熱可塑性樹脂、並びに熱硬化性及び紫外線硬化性等の硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化又は酸変性ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、テルペン系樹脂等を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。硬化性樹脂の具体例としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
さらに接着層とクリヤー層との間に、高度なデザイン性を付与することを目的として、接着層に付与した図柄と同様の図柄や他の図柄を付与した意匠層を設けることも好ましい。このような意匠層を形成する材料としては、上記の接着層の構成材料と同様のものを挙げることができる。
セパレートフィルムは、主として接着層を保護することを目的とするフィルム(層)である。セパレートフィルムとしては、例えば、熱可塑性樹脂からなるフィルムが用いられる。セパレートフィルムの厚さや材質は特に限定されないが、一般的には厚さ50〜100μm程度のPETフィルムが好適である。
以下、本発明の機能性成型シートを作製する方法の一例について説明する。先ず、基材シートとなるガードフィルムの表面上に、通常の塗工方法によりクリヤー層形成用の樹脂組成物(以下、「クリヤー層用塗料」とも記す)を塗布して塗工層を形成する。ガードフィルムの表面上にクリヤー層用塗料を塗布する方法(印刷方法)としては、例えば、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、デップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、スプレーコート等の通常の印刷方法を挙げることができる。クリヤー層の乾燥温度は、通常60〜100℃、好ましくは70〜90℃である。また、クリヤー層用塗料を得して形成した塗工層の表面に、インクジェット法により絵付けすることもできる。絵付けには、例えばUV硬化型インクジェットインクを用いることができる。UV硬化型インクジェットインクは、通常、水や有機溶剤を含まないので特に乾燥を必要としない。
本発明の加飾成型品は、上記本発明の機能性成型シートを用いて得られる。すなわち、本発明の加飾成型品は、上述のクリヤー層を紫外線硬化させて形成された硬化層を有するので、耐擦傷性及び衝撃抵抗性に優れている。なお、本発明の加飾成型品は、前述の機能性成型シートを使用し、一般的な三次元加飾成型(真空成型)を行うことで製造することができる。
(合成例1:ポリウレタン1の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合体(水酸基価102.9mgKOH/g)400.0gと、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量=2,000)3.0gを仕込んだ。次いで、溶剤として酢酸エチル187gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)61.9g、及び4,4’−メチレンビス−シクロヘキシルジイソシアネート96.5gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して75℃で4時間反応させ、プレポリマーを得た。次いで、30℃まで冷却してイソプロピルアルコール187gで希釈して、イソホロンジアミン62.6gを徐々に滴下して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。酢酸エチルとイソプロピルアルコールの質量比が1:1、固形分が40%となるまで希釈して、ポリウレタン1を含有する樹脂溶液1を得た。得られた樹脂溶液1の粘度は200mPa・s/20℃、二重結合当量は162g/eq.であった。また、GPCにより測定したポリウレタン1の重量平均分子量は3900であった。
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合体(水酸基価102.9mgKOH/g)400.0gと、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量=2,000)3.0gを仕込んだ。次いで、溶剤として酢酸エチル174gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)46.4g、及び4,4’−メチレンビス−シクロヘキシルジイソシアネート72.4gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して75℃で4時間反応させ、プレポリマーを得た。次いで、30℃まで冷却してイソプロピルアルコール174gで希釈して、イソホロンジアミン31.3gを徐々に滴下して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。酢酸エチルとイソプロピルアルコールの質量比が1:1、固形分が40%となるまで希釈して、ポリウレタン2を含有する樹脂溶液2を得た。得られた樹脂溶液2の粘度は160mPa・s/20℃、二重結合当量は145g/eq.であった。また、GPCにより測定したポリウレタン2の重量平均分子量は3500であった。
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合体(水酸基価102.9mgKOH/g)400.0gと、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量=2,000)20.0gを仕込んだ。次いで、溶剤として酢酸エチル186gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)63.3g、及び4,4’−メチレンビス−シクロヘキシルジイソシアネート98.7gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して75℃で4時間反応させ、プレポリマーを得た。次いで、30℃まで冷却してイソプロピルアルコール186gで希釈して、イソホロンジアミン64.1gを徐々に滴下して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。酢酸エチルとイソプロピルアルコールの質量比が1:1、固形分が40%となるまで希釈して、ポリウレタン3を含有する樹脂溶液3を得た。得られた樹脂溶液3の粘度は280mPa・s/20℃、二重結合当量は168g/eq.であった。また、GPCにより測定したポリウレタン3の重量平均分子量は4500であった。
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合体(水酸基価102.9mgKOH/g)400.0gと、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量=2,000)3.0gを仕込んだ。次いで、溶剤として酢酸エチル191gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)61.9g、4,4’−メチレンビス−シクロヘキシルジイソシアネート86.9g、及び2−ヒドロキシエチルアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートの重合体、Laromer LR9000(BASF社製、両末端イソシアネートプレポリマー、NCO%=15.1)を20.4g仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して75℃で4時間反応させ、プレポリマーを得た。次いで、30℃まで冷却してイソプロピルアルコール191gで希釈して、イソホロンジアミン62.6gを徐々に滴下して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。酢酸エチルとイソプロピルアルコールの質量比が1:1、固形分が40%となるまで希釈して、ポリウレタン4を含有する樹脂溶液4を得た。得られた樹脂溶液4の粘度は240mPa・s/20℃、二重結合当量は162g/eq.であった。また、GPCにより測定したポリウレタン4の重量平均分子量は4000であった。
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合体(水酸基価102.9mgKOH/g)400.0gを仕込んだ。次いで、溶剤として酢酸エチル186gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)61.6g、及び4,4’−メチレンビス−シクロヘキシルジイソシアネート96.1gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して75℃で4時間反応させ、プレポリマーを得た。次いで、30℃まで冷却してイソプロピルアルコール186gで希釈して、イソホロンジアミン62.4gを徐々に滴下して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。酢酸エチルとイソプロピルアルコールの質量比が1:1、固形分が40%となるまで希釈して、ポリウレタン5を含有する樹脂溶液5を得た。得られた樹脂溶液5の粘度は200mPa・s/20℃、二重結合当量は161g/eq.であった。また、GPCにより測定したポリウレタン5の重量平均分子量は3800であった。
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合体(水酸基価102.9mgKOH/g)400.0gと、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量=2,000)3.0gを仕込んだ。次いで、溶剤として酢酸エチル170gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)37.1g、及び4,4’−メチレンビス−シクロヘキシルジイソシアネート57.7gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して75℃で4時間反応させ、プレポリマーを得た。次いで、30℃まで冷却してイソプロピルアルコール170gで希釈して、イソホロンジアミン12.5gを徐々に滴下して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。酢酸エチルとイソプロピルアルコールの質量比が1:1、固形分が40%となるまで希釈して、ポリウレタン6を含有する樹脂溶液6を得た。得られた樹脂溶液6の粘度は60mPa・s/20℃、二重結合当量は133g/eq.であった。また、GPCにより測定したポリウレタン6の重量平均分子量は1800であった。
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、水酸基とメタクリロオキシ基を含有する化合物(エポキシエステル40EM、共栄社化学社製、分子量346)400gと、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量=2,000)3.0gを仕込んだ。次いで、溶剤として酢酸エチル251gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)272.3gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して75℃で4時間反応させ、プレポリマーを得た。次いで、30℃まで冷却してイソプロピルアルコール251gで希釈して、イソホロンジアミン78.7gを徐々に滴下して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。酢酸エチルとイソプロピルアルコールの質量比が1:1、固形分が40%となるまで希釈して、ポリウレタン7を含有する樹脂溶液7を得た。得られた樹脂溶液6の粘度は160dPa・s/20℃、二重結合当量は327g/eq.であった。また、GPCにより測定したポリウレタン7の重量平均分子量は15,000であった。なお、使用した水酸基とメタクリロオキシ基を含有する化合物(エポキシエステル40EM)の構造を以下に示す。
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合体(水酸基価102.9mgKOH/g)400.0gと、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量=2,000)3.0gを仕込んだ。次いで、溶剤として酢酸エチル186gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)61.9g、及び4,4’−メチレンビス−シクロヘキシルジイソシアネート96.5gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して75℃で4時間反応させ、プレポリマーを得た。次いで、30℃まで冷却してイソプロピルアルコール186gで希釈して、イソホロンジアミン18.8g(当量の30%)を徐々に滴下した。その後、固形分が40%となるまで希釈して、ポリウレタン8を含有する樹脂溶液8を得た。得られた樹脂溶液8の粘度は45mPa・s/20℃、二重結合当量は148g/eq.であった。また、GPCにより測定したポリウレタン8の重量平均分子量は1500であった。
(クリヤー層用塗料1)
合成例1で得た樹脂溶液1 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2gを配合し、酢酸エチルとイソプロパノールを質量比1:1の比率で配合して、固形分40%のクリヤー層用塗料1を得た。
合成例2で得た樹脂溶液2 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2gを配合し、酢酸エチルとイソプロパノールを質量比1:1の比率で配合して、固形分40%のクリヤー層用塗料2を得た。
合成例3で得た樹脂溶液3 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2gを配合し、酢酸エチルとイソプロパノールを質量比1:1の比率で配合して、固形分40%のクリヤー層用塗料3を得た。
合成例4で得た樹脂溶液4 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2gを配合し、酢酸エチルとイソプロパノールを質量比1:1の比率で配合して、固形分40%のクリヤー層用塗料4を得た。
比較合成例1で得た樹脂溶液5 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2gを配合し、酢酸エチルとイソプロパノールを質量比1:1の比率で配合して、固形分40%の比較クリヤー層用塗料1を得た。
比較合成例2で得た樹脂溶液6 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2gを配合し、酢酸エチルとイソプロパノールを質量比1:1の比率で配合して、固形分40%の比較クリヤー層用塗料2を得た。
比較合成例3で得た樹脂溶液7 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2gを配合し、酢酸エチルとイソプロパノールを質量比1:1の比率で配合して、固形分40%の比較クリヤー層用塗料3を得た。
比較合成例4で得た樹脂溶液8 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2gを配合し、酢酸エチルとイソプロパノールを質量比1:1の比率で配合して、固形分40%の比較クリヤー層用塗料4を得た。
(接着層用樹脂組成物1)
変性ポリオレフィン(商品名「アウローレン 150S」、日本製紙ケミカル社製)を、メチルシクロヘキサンとMEKを9:1の質量比で含有する混合溶媒に溶解させ、固形分15%としたものを接着層用樹脂組成物1とした。
接着層用樹脂組成物1 100gに黒顔料分散着色剤(商品名「セイカセブンSS01−323ブラック」、大日精化工業社製、固形分25%、溶剤:MEK、顔料:カーボンブラック)20.0g、溶剤としてMEKとシクロヘキサノンを質量比1:1の比率で配合して、固形分30%の接着層用樹脂組成物2を得た。
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量=2,000)400.0g、1,4−ブタンジオール10.0g、を仕込んだ。次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)118gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でイソホロンジイソシアネート62.2gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して80℃で反応させた。溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1となるまでシクロヘキサノンを添加して、ポリウレタンを含有する接着層用樹脂組成物3を得た。得られた接着層用樹脂組成物3の粘度は610dPa・s/20℃、固形分は55%であった。また、接着層用樹脂組成物3に含まれるポリウレタンのGPCにより測定した重量平均分子量は21,000であった。
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換した後、メチルエチルケトン(MEK)100g、メタクリル酸メチル50.0gを仕込み、窒素雰囲気下で60℃に加熱した。アクリル酸ブチル50.0g、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2gの混合物を用意した。混合物の半分を反応容器内に添加し、残りの半分を滴下ロートで1時間かけて反応容器内に滴下した。滴下後、そのままの状態で6時間反応させて、アクリル重合体からなる接着層用樹脂組成物4を得た。得られた接着層用樹脂組成物4の粘度は80dPa・s/20℃、固形分は55%であった。また、接着層用樹脂組成物4に含まれるアクリル重合体のGPCにより測定した重量平均分子量は35,000であった。
(実施例1)
基材シートとなるガードフィルムとして、厚さ200μmの非晶質PETフィルム(商品名「ノバクリア」、三菱化学社製)を用意した。このガードフィルムの表面にバーコーターでクリヤー層用塗料1を塗工した後、90℃で2分乾燥して厚さ15μmのクリヤー層を形成した。形成したクリヤー層の表面に接着層用樹脂組成物2をバーコーターで塗工し、90℃で2分乾燥して厚さ20μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面にセパレートフィルム(厚さ80μmのPETフィルム)を貼着して、機能性成型シート(実施例1)を得た。
基材シートとなるガードフィルムとして、厚さ200μmの非晶質PETフィルム(商品名「ノバクリア」、三菱化学社製)を用意した。このガードフィルムの表面にバーコーターでクリヤー層用塗料1を塗工した後、90℃で2分乾燥して厚さ15μmのクリヤー層を形成した。形成したクリヤー層の表面に、UVインクジェットプリンターを使用して、UV反応性モノマー、顔料、及び開始剤を含有するUVインクを塗布して絵柄を印刷して意匠層を形成した。形成した意匠層の表面に接着層用樹脂組成物2をバーコーターで塗工し、90℃で2分乾燥して厚さ20μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面にセパレートフィルム(厚さ80μmのPETフィルム)を貼着して、機能性成型シート(実施例2)を得た。
基材シートとなるガードフィルムとして、厚さ200μmの非晶質PETフィルム(商品名「ノバクリア」、三菱化学社製)を用意した。このガードフィルムの表面にバーコーターでクリヤー層用塗料1を塗工した後、90℃で2分乾燥して厚さ15μmのクリヤー層を形成した。形成したクリヤー層の表面に、蒸着法によりアルミニウムの薄膜からなる意匠層を形成した。形成した意匠層の表面に接着層用樹脂組成物2をバーコーターで塗工し、90℃で2分乾燥して厚さ20μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面にセパレートフィルム(厚さ80μmのPETフィルム)を貼着して、機能性成型シート(実施例3)を得た。
表1に示す種類のクリヤー層用塗料又は比較クリヤー層用塗料を用いてクリヤー層を形成したこと以外は、前述の実施例1の場合と同様にして機能性成型シート(実施例4〜9及び比較例1〜4)を得た。
真空成型機(商品名「NGF−0404−S型」、布施真空社製)を使用し、80℃に加温したPP樹脂製の被加飾部材(厚さ3.5mm)表面に100℃に加温した実施例1〜9及び比較例1〜3の機能性成型シートを真空成型によりそれぞれ貼着した。紫外線照射機(商品名「ユニキュア UVC−02512S1AA01」、ウシオ電機社製)を使用し、部材表面に貼着された機能性成型シートに対して積算光量2000mJ/cm2となるようにUV照射してクリヤー層を硬化させて硬化層を形成して加飾成型品を得た。
(1)三次元成型性(真空成型性)
機能性成型シート(紫外線硬化前)を使用して作製した加飾成型品の外観を観察し、以下に示す評価基準に従って三次元成型性(真空成型性)を評価した。結果を表3に示す。
◎:クリヤー層及び意匠層に塗膜割れや白化が全く認められず、型の形状に良好に追従した。
○:三次元形状部又は最大延伸部の一部に微細な塗膜割れ又は白化が認められたが、実用上問題ないレベルであった。
△:三次元形状部又は最大延伸部の一部に軽微な塗膜割れ又は白化が認められた。
×:クリヤー層及び意匠層が型の形状に追従できず、塗膜割れ又は白化が認められた。
クリヤー層用塗料及び比較クリヤー層用塗料を、乾燥膜厚が約30μmとなるようにそれぞれPETフィルム上に塗工してクリヤー層を形成した。形成したクリヤー層に無処理のPETフィルムを重ねて、7×7cmの正方形にカットして試料を作製した。作製した試料を硝子板で挟み、荷重20kg/49cm2の条件下、45℃で1日保存した。25℃まで放冷した後、無処理のPETフィルムをはがした。クリヤー層を目視観察し、以下に示す評価基準に従って耐ブロッキング性を評価した。結果を表3に示す。
○:クリヤー層に著しい変化は生じなかった。
×:ブロッキングによりクリヤー層に破断やウキが生じた。
JIS K5400に準拠し、荷重500gの条件で、作製した加飾成型品の表面(紫外線硬化済みの硬化層)の鉛筆硬度を測定した。結果を表3に示す。
キシレンを含ませた脱脂綿を使用して、作製した加飾成型品の表面(紫外線硬化済みの硬化層)を荷重50g/cm2で50回ラビングした後の外観を観察し、以下に示す評価基準に従って耐溶剤性を評価した。結果を表3に示す。
○:硬化層に著しい変化は認められなかった。
×:硬化層の膨潤又は剥離が認められた。
重さ500gの鋼球を、作製した加飾成型品の表面(紫外線硬化済みの硬化層)に35cmの高さから落球させた後の外観を観察し、以下に示す評価基準に従って衝撃抵抗性を評価した。結果を表3に示す。
○:硬化層に割れが認められなかった。
×:硬化層に割れが認められた。
作製した加飾成型品(紫外線硬化済み)をオーブンに入れ、120℃で400時間保持する耐熱性試験を行った。試験後の硬化層の外観を観察し、以下に示す評価基準に従って耐熱性を評価した。結果を表3に示す。
○:硬化層に黄変、チョーキング、ワレ、ヒビ等が生じなかった。
×:硬化層に黄変、チョーキング、ワレ、ヒビ等が生じた。
作製した加飾成型品(紫外線硬化済み)を加水分解槽に入れ、70℃/95%RHで20週間保持する耐加水分解性試験を行った。試験後の硬化層の外観を観察し、以下に示す評価基準に従って耐加水分解性を評価した。結果を表3に示す。
○:硬化層にワレ、ヒビ等が生じなかった。
×:硬化層にワレ、ヒビ等が生じた。
2:クリヤー層
3:意匠層
4:接着層
5:セパレートフィルム
10:高耐久機能性成型シート
Claims (10)
- ガードフィルム、クリヤー層、及び接着層がこの順で積層されているとともに、必要に応じて前記接着層の表面にセパレートフィルムが配置されており、
前記クリヤー層が、モノオール(A)、ポリイソシアネート(B)、ポリアミン(C)、及びポリオール(D)を必須成分として反応させて得られる、下記一般式(1)で表されるポリウレタン樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物からなり、
前記モノオール(A)の水酸基のモル数と前記ポリオール(D)の水酸基のモル数の合計に対する、前記ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基のモル数の比((B)/((A)+(D)))が1.5〜3であるとともに、前記ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基のモル数に対する、前記モノオール(A)の水酸基のモル数、前記ポリアミン(C)のアミノ基のモル数、及び前記ポリオール(D)の水酸基モル数の合計の比(((A)+(C)+(D))/(B))が0.7〜1.0であり、
前記モノオール(A)と前記ポリオール(D)の少なくともいずれかは(メタ)アクリロイルオキシ基を有するとともに、前記モノオール(A)、前記ポリイソシアネート(B)、前記ポリアミン(C)、及び前記ポリオール(D)の合計に占める、(メタ)アクリロイルオキシ基を有しない前記ポリオールの(D)の割合は、30質量%以下であり、
前記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が2,000〜150,000である高耐久機能性成型シート。
(前記一般式(1)中、R1はモノオール残基を示し、R2はポリイソシアネート残基を示し、R3はポリアミン残基を示し、R4はポリオール残基を示し、m及びnは、それぞれ繰り返し数を示す) - 前記ポリイソシアネート(B)が、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリイソシアネートである請求項1に記載の高耐久機能性成型シート。
- 前記ポリオール(D)が、ポリカーボネートポリオールである請求項1又は2に記載の高耐久機能性成型シート。
- 前記ポリウレタン樹脂の二重結合当量が、130〜1300g/eq.である請求項1〜3のいずれか一項に記載の高耐久機能性成型シート。
- 前記光硬化性樹脂組成物が、さらに光重合開始剤を0.01〜10質量%含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の高耐久機能性成型シート。
- 前記接着層に意匠が施されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の高耐久機能性成型シート。
- 前記接着層が、意匠が施された樹脂層である請求項1〜6のいずれか一項に記載の高耐久機能性成型シート。
- 前記接着層が、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化又は酸変性ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、及びテルペン系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含むか、或いは、
ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂の少なくともいずれかの熱硬化性樹脂を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の高耐久機能性成型シート。 - 前記接着層と前記クリヤー層との間に意匠層が配置されている請求項1〜8のいずれか一項に記載の高耐久機能性成型シート。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の高耐久機能性成型シートを用いて得られる、前記クリヤー層を紫外線硬化させて形成された硬化層を有する加飾成型品。
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