JP2014129449A - ポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法及びポリスチレン系樹脂押出発泡板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、長期間に亘りより高度な断熱性を有し、難燃性に優れるポリスチレン系樹脂押出発泡板を安定して得ることができる製造方法、高度な断熱性を有し、難燃性に優れるポリスチレン系樹脂発泡板を提供することを、その課題とする。
【解決手段】 本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法は、ポリスチレン系樹脂を基材樹脂とし、物理発泡剤、難燃剤、鱗片状グラファイト及びアルミニウム粉を混練してなる発泡性樹脂溶融物を押出発泡させる、ポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法であって、該鱗片状グラファイトの添加量(X)が、基材樹脂100重量部に対して0.2〜1重量部であり、該アルミニウム粉の添加量(Y)が、基材樹脂100重量部に対して0.05〜0.8重量部であり、且つ、前記アルミニウム粉の添加量(Y)に対する前記鱗片状グラファイトの添加量(X)の比(X/Y)が、0.5〜15であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法、及び該製造方法により得られるポリスチレン系樹脂押出発泡板に関する。
建築用断熱材等として、優れた断熱性と高度な難燃性を有し、かつ好適な機械的強度を有するポリスチレン系樹脂押出発泡板(以下、単に押出発泡板ともいう。)が、広く利用されている。このような押出発泡板は、一般に、押出機中でポリスチレン系樹脂と物理発泡剤とを溶融混練してなる発泡性溶融混練物を、押出機先端に付設されたダイから低圧域に押出発泡し、賦形装置を通すなどして板状に成形することにより製造されている。
押出発泡板の製造には、物理発泡剤として、以前は塩化フッ化炭化水素、水素原子含有塩化フッ化炭化水素、フッ化炭化水素などのフロン類が使用されていたが、現在はオゾン層の保護や地球温暖化防止などの観点から、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンなどの脂肪族炭化水素や、シクロペンタン、イソペンタンなどの脂環式炭化水素(以下、これらを単に「炭化水素」ともいう。)が使用されている。
炭化水素はそれ自体燃焼性が高いので、押出発泡板の熱伝導率を低くしようとして多量に配合すると、得られた押出発泡板に十分な難燃性を付与することは極めて困難になる。また、炭化水素は、押出発泡板から徐々に逸散していくので、押出発泡板の熱伝導率も徐々に上昇していってしまう。
これらの問題を解決するために、押出発泡板を構成する基材樹脂に、グラファイトやアルミニウム粉や酸化チタンを配合することが試みられている。
例えば、特許文献1には、赤外線反射率が40%以上の微粉末を樹脂中に均一に分散させて押出発泡板を製造し、該微粉末により赤外線を反射して減衰させることにより熱伝導率を改良することが提案され、アルミニウム粉、グラファイトを用いることが開示されている。
例えば、特許文献1には、赤外線反射率が40%以上の微粉末を樹脂中に均一に分散させて押出発泡板を製造し、該微粉末により赤外線を反射して減衰させることにより熱伝導率を改良することが提案され、アルミニウム粉、グラファイトを用いることが開示されている。
特許文献2には、イソブタン及び/又はイソペンタン25〜70モル%を含む混合発泡剤を用い、基材樹脂にグラファイトを添加した押出発泡板が提案されている。
しかしながら、特許文献1の実施例に記載された赤外線を反射する微粉末等を添加する方法では、グラファイトやアルミニウム粉をそれぞれ単独で使用しており、該添加量も5重量部と多量に添加している。これらの微粉末を多量に添加すると難燃性が低下し、ポリスチレン発泡体に広く使用されているハロゲン系難燃剤を従来と同程度の量を添加しても充分な難燃性が付与できない。多量の難燃剤を添加すれば難燃性の向上は期待されるが、難燃剤の過剰添加は発泡性を低下させるので、得られるポリスチレン発泡体の独立気泡率の低下や機械的物性の低下を招いたり、低密度にすることが困難になるという問題がある。
また、特許文献1,2のように熱伝導率低減材としてグラファイトを用いる場合、グラファイトの添加量を増やせば押出発泡板の断熱性を向上させることはできる。しかし、グラファイトの添加量が多くなりすぎると、気泡が微細になりすぎて、押出発泡後に板状に成形する過程での成形性が低下したり、押出発泡板の成形が可能であったとしても、酸素指数が低下してしまうという問題がある。またグラファイトを多量に加えると、得られる発泡体の黒色度が高くなることにより、屋外に長時間放置すると、押出発泡板の蓄熱や変形、劣化する虞があるという問題もある。
本発明は、前記課題に鑑み、長期間に亘りより高度な断熱性を有し、難燃性に優れるポリスチレン系樹脂押出発泡板を安定して得ることができる製造方法、高度な断熱性を有し、難燃性に優れるポリスチレン系樹脂発泡板を提供することを、その課題とする。
本発明によれば、以下に示すポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法、ポリスチレン系樹脂押出発泡板が提供される。
[1] ポリスチレン系樹脂を含む基材樹脂、物理発泡剤、難燃剤、鱗片状グラファイト及びアルミニウム粉を混練してなる発泡性樹脂溶融物を押出発泡させる、ポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法であって、
該鱗片状グラファイトの添加量(X)が、基材樹脂100重量部に対して0.2〜1重量部であり、
該アルミニウム粉の添加量(Y)が、基材樹脂100重量部に対して0.05〜0.8重量部であり、且つ、前記アルミニウム粉の添加量(Y)に対する前記鱗片状グラファイトの添加量(X)の比(X/Y)が、0.5〜15であることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
[2] 前記鱗片状グラファイトの添加量(X)と前記アルミニウム粉の添加量(Y)との合計が、基材樹脂100重量部に対して1.5重量部未満であることを特徴とする[1]に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
[3] 前記アルミニウム粉の平均粒子径が5〜50μmであることを特徴とする[1]又は[2]に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
[4] 前記鱗片状グラファイトの平均粒子径が25μm以下であると共に、見かけ密度が0.25g/cm3以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
[5] 前記ポリスチレン系樹脂押出発泡板の見かけ密度が0.02〜0.05g/cm3であり、厚みが10〜150mmであり、厚み方向の平均気泡径が0.06〜0.8mmであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
[6] 見かけ密度0.02〜0.05g/cm3、厚み10〜150mm、厚み方向の平均気泡径0.06〜0.8mmのポリスチレン系樹脂押出発泡板であって、
該ポリスチレン系樹脂押出発泡板は、鱗片状グラファイト及びアルミニウム粉及び難燃剤を含有し、該鱗片状グラファイトの含有量が、基材樹脂100重量部に対して0.2〜1重量部であり、該アルミニウム粉の含有量が、基材樹脂100重量部に対して0.05〜0.8重量部であり、且つ、前記アルミニウム粉の添加量(Y)に対する前記鱗片状グラファイトの添加量(X)の比(X/Y)が、0.5〜15であることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡板。
[1] ポリスチレン系樹脂を含む基材樹脂、物理発泡剤、難燃剤、鱗片状グラファイト及びアルミニウム粉を混練してなる発泡性樹脂溶融物を押出発泡させる、ポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法であって、
該鱗片状グラファイトの添加量(X)が、基材樹脂100重量部に対して0.2〜1重量部であり、
該アルミニウム粉の添加量(Y)が、基材樹脂100重量部に対して0.05〜0.8重量部であり、且つ、前記アルミニウム粉の添加量(Y)に対する前記鱗片状グラファイトの添加量(X)の比(X/Y)が、0.5〜15であることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
[2] 前記鱗片状グラファイトの添加量(X)と前記アルミニウム粉の添加量(Y)との合計が、基材樹脂100重量部に対して1.5重量部未満であることを特徴とする[1]に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
[3] 前記アルミニウム粉の平均粒子径が5〜50μmであることを特徴とする[1]又は[2]に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
[4] 前記鱗片状グラファイトの平均粒子径が25μm以下であると共に、見かけ密度が0.25g/cm3以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
[5] 前記ポリスチレン系樹脂押出発泡板の見かけ密度が0.02〜0.05g/cm3であり、厚みが10〜150mmであり、厚み方向の平均気泡径が0.06〜0.8mmであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
[6] 見かけ密度0.02〜0.05g/cm3、厚み10〜150mm、厚み方向の平均気泡径0.06〜0.8mmのポリスチレン系樹脂押出発泡板であって、
該ポリスチレン系樹脂押出発泡板は、鱗片状グラファイト及びアルミニウム粉及び難燃剤を含有し、該鱗片状グラファイトの含有量が、基材樹脂100重量部に対して0.2〜1重量部であり、該アルミニウム粉の含有量が、基材樹脂100重量部に対して0.05〜0.8重量部であり、且つ、前記アルミニウム粉の添加量(Y)に対する前記鱗片状グラファイトの添加量(X)の比(X/Y)が、0.5〜15であることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡板。
本発明の製造方法によれば、特定量の鱗片状グラファイトと特定量のアルミニウム粉とを基材樹脂に配合して押出発泡することにより、断熱性が従来のものより優れる押出発泡板を得ることができると共に、気泡を微細化させることなく、押出発泡体を板状に成形する過程での成形性を損なうことなく、さらに難燃性にも優れるポリスチレン系樹脂押出発泡板を安定して得ることができる。
また、本発明のポリスチレン系押出発泡板は、特定量の鱗片状グラファイトと特定量のアルミニウム粉とを含むことにより、熱伝導率が低いものであると共に、優れた難燃性を有しており、床,壁,屋根等の建築物の断熱材として好適に用いることができるものである。
以下、本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法、及びポリスチレン系樹脂押出発泡板について詳細に説明する。
本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法においては、ポリスチレン系樹脂を含む基材樹脂、物理発泡剤、難燃剤、鱗片状グラファイト及びアルミニウム粉を混練してなる発泡性樹脂溶融物を押出発泡させることにより、ポリスチレン系樹脂押出発泡体(以下、単に押出発泡体、又は発泡体ともいう。)が製造される。具体的には、ポリスチレン系樹脂等の前記原料を押出機にて混練して得られた発泡性樹脂溶融物を、ダイを通して高圧の押出機内より低圧域に押出して発泡させることにより、ポリスチレン系樹脂押出発泡板を製造する。この際、該ダイの出口に、平行あるいは入口から出口に向かって緩やかに拡大するよう設置された上下2枚のポリテトラフルオロエチレン樹脂等からなる板で構成される装置(以下、ガイダーとも言う。)や成形ロール等の成形具を配置し、押出された発泡体を該成形具を通過させることによって、板状に賦形することができる。
本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法においては、ポリスチレン系樹脂を含む基材樹脂、物理発泡剤、難燃剤、鱗片状グラファイト及びアルミニウム粉を混練してなる発泡性樹脂溶融物を押出発泡させることにより、ポリスチレン系樹脂押出発泡体(以下、単に押出発泡体、又は発泡体ともいう。)が製造される。具体的には、ポリスチレン系樹脂等の前記原料を押出機にて混練して得られた発泡性樹脂溶融物を、ダイを通して高圧の押出機内より低圧域に押出して発泡させることにより、ポリスチレン系樹脂押出発泡板を製造する。この際、該ダイの出口に、平行あるいは入口から出口に向かって緩やかに拡大するよう設置された上下2枚のポリテトラフルオロエチレン樹脂等からなる板で構成される装置(以下、ガイダーとも言う。)や成形ロール等の成形具を配置し、押出された発泡体を該成形具を通過させることによって、板状に賦形することができる。
前記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレンや、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−メチルスチレン共重合体、スチレン−ジメチルスチレン共重合体、スチレン−エチルスチレン共重合体、スチレン−ジエチルスチレン共重合体などのスチレンを主成分とするスチレン系共重合体、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物等が例示される。これらのポリスチレン系樹脂は1種又は2種以上を混合して使用することができる。スチレン系共重合体におけるスチレン成分含有量は50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70重量%以上である。
本発明における基材樹脂はポリスチレン系樹脂を含むものである。発泡性に優れ、断熱性や機械的物性のバランスに優れる押出発泡板を得ることが容易であるという観点からは、基材樹脂はポリスチレンを主成分とすることが好ましく、具体的には、基材樹脂中にスチレン単独重合体が50重量%以上含まれるものが好ましく、より好ましくは60重量%以上であり、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上である。
本発明における基材樹脂には、本発明の目的、作用効果を損なわない範囲において、前記ポリスチレン系樹脂以外の、その他の樹脂を混合することができる。その他の樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。また、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合エラストマー及びその水添物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合エラストマー及びその水添物などのスチレン系エラストマーを配合することもできる。該その他の樹脂、スチレン系エラストマーの配合量は、基材樹脂中に30重量%以下(0を含む)であることが好ましく、より好ましくは20重量%以下(0を含む)であり、さらに好ましくは10%以下(0を含む)であり、特に好ましくは5%以下(0を含む)である。
本発明方法においては、ポリスチレンと、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体及び/またはポリメタクリル酸メチルとの混合物、あるいは、ポリスチレンと非晶性ポリエステル樹脂との混合物を基材樹脂として用いることができる。これらの混合物を使用すると、気泡膜間の輻射熱を抑制し、押出発泡板の熱伝導率を低減することができる。
前記非晶性ポリエステル樹脂としては、例えばシクロヘキサンジメタノール変性ポリエチレンテレフタレート、ネオペンチルグリコール変性ポリエチレンテレフタレート、スピログリコール変性ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
前記非晶性ポリエステル樹脂としては、例えばシクロヘキサンジメタノール変性ポリエチレンテレフタレート、ネオペンチルグリコール変性ポリエチレンテレフタレート、スピログリコール変性ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
本発明方法においては、熱伝導率が低く、その低い熱伝導率を長期間維持でき、かつ高度な難燃性を有する押出発泡板を安定して得るために、特定量の鱗片状グラファイトと特定量のアルミニウム粉が併用して用いられる。
グラファイトが、押出発泡体の熱伝導率を低下させることができる理由は次のように考えられている。
押出発泡板においては、樹脂自体の熱伝導、押出発泡板の気泡中の気体(残存発泡剤及び大気成分)による熱伝導及びその対流により熱が伝わり、さらに気泡が幾重に形成されていることから気泡膜間の赤外線の輻射によっても熱が伝わる。グラファイトは赤外線吸収材としての機能を有することから、押出発泡板を構成する樹脂中にグラファイトを配合すると、グラファイトが気泡膜間の赤外線の輻射を減少させる(赤外線吸収効果)ことにより押出発泡板の熱伝導率を下げることができるものと考えられる。
押出発泡板においては、樹脂自体の熱伝導、押出発泡板の気泡中の気体(残存発泡剤及び大気成分)による熱伝導及びその対流により熱が伝わり、さらに気泡が幾重に形成されていることから気泡膜間の赤外線の輻射によっても熱が伝わる。グラファイトは赤外線吸収材としての機能を有することから、押出発泡板を構成する樹脂中にグラファイトを配合すると、グラファイトが気泡膜間の赤外線の輻射を減少させる(赤外線吸収効果)ことにより押出発泡板の熱伝導率を下げることができるものと考えられる。
更に、グラファイトと共に、アルミニウム粉が組み合わされることにより、押出発泡板の熱伝導率が効果的に下げられる。即ち、アルミニウム粉は、一般的に赤外線の反射率が高いことが知られている材料であることから、このアルミニウム粉が赤外線を乱反射し(赤外線反射効果)、前記グラファイトの赤外線吸収効率を向上させることができるので、グラファイトの添加量が少量であっても押出発泡板の熱伝導率を効果的に下げることができるものと考えられる。
本発明方法で用いられるグラファイトは鱗片状グラファイトである。入手可能な鱗片状グラファイトの平均粒子径は、1〜300μm程度であるが、本発明方法においては3〜50μmのものが好ましい。平均粒子径がこの範囲のグラファイトを用いると、発泡時に気泡核になりにくいため、発泡成形性を低下させることなく、安定した押出発泡板の製造が可能となり、優れた赤外線の吸収効果を有する。かかる観点から、該平均粒子径は5〜25μmがより好ましい。
平均気泡径が3〜50μm程度である鱗片状グラファイトの見かけ密度は、0.05〜0.30g/cm3程度であり、0.1〜0.25g/cm3がより好ましい。
本明細書において、グラファイトの平均粒子径は体積平均粒径(d50)を意味する。例えば、平均粒子径(d50)は、樹脂微粒子を水中に分散させ、レーザー回折法により粒度分布を測定し、全粒子の体積に対する累積体積が50%になる時の粒子径として測定することができる(JIS Z8901:2006)。
本明細書において使用される前記グラファイトの見かけ密度は、JIS K7365:1999に準拠して求める。
また、押出発泡板の製造に用いるグラファイトは、ポリスチレン系樹脂に添加して高濃度のマスターバッチを製造する際の作業性が良好であるとともに、押出発泡板の断熱性向上効果が優れていることから、固定炭素分が90%以上のグラファイトが好ましい。押出発泡板の断熱性を更に高めるために、グラファイトとしては固定炭素分93%以上のものがより好ましく、95%以上のものが更に好ましい。尚、上記グラファイトの固定炭素分は、JIS M8511:2005記載の方法で測定した値を言う。
本発明方法において、前記鱗片状グラファイトの添加量(X)は、前記基材樹脂100重量部に対し0.2〜1重量部である。該添加量が少なすぎると、所望される断熱性が発現しない虞がある。一方、該添加量が多すぎると、得られる押出発泡板の黒色度が高くなって、屋外に長時間放置すると、押出発泡板の蓄熱や変形、劣化が起きるおそれがある。また、板状に賦形する際の成形性、押出発泡板の酸素指数(LOI)が悪くなる虞もある。かかる観点から、該添加量は0.2〜0.9重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜0.6重量部である。
本発明方法においては、前記鱗片状グラファイトと共にアルミニウム粉が前記基材樹脂に添加される。
該アルミニウム粉は、スタンプミル、乾式ボ−ルミル、湿式ボ−ルミル、アトマイズなどにより製造されたものを用いることができる。粉砕の際には、ステアリン酸などの粉砕助剤を用いても良い。また、ミネラルスピリッツのような溶剤を含むペ−スト状のアルミニウム粉を用いても良い。
該アルミニウム粉としては、球状、粒状、板状、鱗片状、薄片状、不定形状、針状などの形状のものを用いることができる。赤外線を効率的に反射する観点からは、薄片状、鱗片状のものが好ましい。
該アルミニウム粉としては、球状、粒状、板状、鱗片状、薄片状、不定形状、針状などの形状のものを用いることができる。赤外線を効率的に反射する観点からは、薄片状、鱗片状のものが好ましい。
該アルミニウム粉の平均粒子径は5〜50μmであることが好ましい。この範囲内であれば、少量の添加でも効率的に赤外線を効率的に乱反射し、成形性が良好な発泡板を得ることができる。該平均粒子径が大きすぎると、発泡を阻害し、発泡板の気泡壁を破壊する虞がある。一方、小さすぎると、アルミニウム粉が微細であるため凝集し易く、押出発泡板中に微細に分散させることができなくなる虞がある。上記観点から、30μm以下であることがより好ましく、更に好ましくは20μm以下である。
アルミニウム粉の平均粒子径の測定法は、前記グラファイトの平均粒子径の測定と同様の測定方法により測定できる。
該アルミニウム粉の添加量(Y)は、前記基材樹脂100重量部に対し0.05〜0.8重量部である。該添加量が少なすぎると、所望される断熱性向上効果が発現しない。一方、該添加量が多すぎると、発泡成形性が悪くなる虞がある。また、アルミニウム粉自体は熱伝導率が高いため、該添加量が多すぎると押出発泡板の熱伝導率が高くなる虞や難燃性が低下する虞がある。
上記観点から、アルミニウム粉の添加量(Y)は、好ましくは0.08〜0.6重量部であり、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部である。
上記観点から、アルミニウム粉の添加量(Y)は、好ましくは0.08〜0.6重量部であり、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部である。
グラファイトの添加量が少量である場合、発泡体中のグラファイトの存在確率が低いため、発泡体の気泡膜間の輻射による赤外線が吸収されず透過してしまう確率が高くなり、十分な熱伝導率低減効果が得られなくなると考えられる。本発明においては、発泡体にグラファイトに加えて、アルミニウム粉を特定量かつ特定比率で添加することで、発泡板中に分散しているアルミニウム粉に赤外線を乱反射させ、グラファイトに効率よく赤外線を吸収させている。これにより、グラファイトの添加量(X)が少量であっても、効率的に赤外線を吸収させることができ、押出発泡板の熱伝導率を低減させることが可能となると考えられる。即ち、該鱗片状グラファイトと該アルミニウム粉を併用することにより、アルミニウム粉が赤外線を乱反射し、グラファイトは乱反射された赤外線を効率的に吸収することができるので、それぞれ単独で用いる場合と比べて赤外線を効率的に吸収するという相乗効果が発現するものと考えられる。かかる観点から、前記アルミニウム粉の添加量(Y)に対する前記グラファイトの添加量(X)の比(X/Y)は、1〜15であり、好ましくは1〜6である。
また、前記相乗効果によりグラファイト、アルミニウム粉それぞれの配合量を少なくすることができる。その結果、従来技術では達成できなかった熱伝導率が低く断熱性に優れると共に、難燃性にも優れた発泡板を安定して製造することができる。
また、該合計添加量が少なくなることは、押出発泡性や難燃性が向上する観点からも好ましい。具体的には、該合計添加量は1.5重量部未満が好ましく、1.2重量部以下がより好ましく、0.9重量部以下であることが更に好ましい。
また、該合計添加量が少なくなることは、押出発泡性や難燃性が向上する観点からも好ましい。具体的には、該合計添加量は1.5重量部未満が好ましく、1.2重量部以下がより好ましく、0.9重量部以下であることが更に好ましい。
前記鱗片状グラファイト、アルミニウム粉を基材樹脂に配合する方法としては、所定量のグラファイトやアルミニウム粉を基材樹脂とドライブレンドして、このブレンド物を押出機の原料供給部から押出機に供給し、混練して溶融基材樹脂中に配合する方法が挙げられる。また、予め鱗片状グラファイトやアルミニウム粉をスチレン系樹脂に配合したマスターバッチを作製し、これを押出機に供給して基材樹脂と溶融、混練して樹脂溶融物とすることができる。特に分散性の点からマスターバッチ方式を採用することが好ましい。
なお、マスターバッチとして供給する場合には、所定量のグラファイトとアルミニウム粉とを含有するマスターバッチを供給しても、又はグラファイトのマスターバッチとアルミニウム粉のマスターバッチとを別々に供給してもよい。
なお、マスターバッチとして供給する場合には、所定量のグラファイトとアルミニウム粉とを含有するマスターバッチを供給しても、又はグラファイトのマスターバッチとアルミニウム粉のマスターバッチとを別々に供給してもよい。
本発明方法においては、更に難燃剤が前記基材樹脂に添加される。該難燃剤としては、臭素系難燃剤が好ましく使用される。臭素系難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、トリブロモフェノール、デカブロモジフェニルオキサイド、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、N−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミド、及び臭素化ポリマー難燃剤、例えば、臭素化ポリスチレン、臭素化ビスフェノールエーテル誘導体、臭素化SBSブロックポリマー、臭素化エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの化合物は単独又は2種以上を混合して使用できる。上記の臭素系難燃剤の中でも、その熱安定性が高く、高い難燃効果が得られることから、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートが特に好ましい。
なお、本発明方法においては、前記難燃剤の他に、押出発泡板において従来公知の難燃剤を使用することもできる。
なお、本発明方法においては、前記難燃剤の他に、押出発泡板において従来公知の難燃剤を使用することもできる。
該難燃剤の配合量は、難燃性を向上させるとともに、発泡性の低下および機械的物性の低下を最小のものとする上で、前記基材樹脂100重量部当たり1〜6重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましく、2〜4重量部が更に好ましい。
さらに、本発明方法においては、押出発泡板の難燃性をさらに向上させることを目的として、難燃助剤を上記難燃剤と併用して少量使用することができる。難燃助剤としては、例えば2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、3,4−ジエチル−3,4−ジフェニルヘキサン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−エチル−1−ペンテン等のジフェニルアルカンやジフェニルアルケン、ポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼン等のポリフェニルアルカン、トリフェニルホスフェート、クレジルジ2,6−キシレニルホスフェート、三酸化アンチモン、五酸化二アンチモン、硫酸アンモニウム、スズ酸亜鉛、シアヌル酸、イソシアヌル酸、トリアリルイソシアヌレート、メラミンシアヌレート、メラミン、メラム、メレム等の窒素含有環状化合物、シリコーン系化合物、酸化ホウ素、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛などの無機化合物、赤リン系、ポリリン酸アンモニウム、フォスファゼン等のリン系化合物等が挙げられる。これらの化合物は単独又は2種以上を混合して使用できる。
なお、難燃剤および難燃助剤を押出機に供給する場合、難燃剤および難燃助剤とスチレン系樹脂とをドライブレンドしたものを押出機に供給する方法、難燃剤及び難燃助剤とスチレン系樹脂とをニーダー等により混練した溶融混練物を押出機に供給する方法、予め加熱溶融させた液状の難燃剤を押出機内に供給する方法や難燃剤および難燃助剤を含むマスターバッチを作製して押出機に供給する方法を採用することができる。特に、分散性の点から難燃剤および難燃助剤を含むマスターバッチを作製して押出機に供給する方法を採用することが好ましい。
本発明方法においては、押出発泡板の気泡径を調整するために気泡調整剤を添加することができる。該気泡調整剤としては、タルク、カオリン、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、ベントナイト、ケイソウ土等が例示され、気泡調整剤は2種以上組合せて用いることもできる。前記各種の気泡調整剤の中では、気泡径の調整が容易であると共に難燃性を阻害することがなく、気泡径を小さくしやすい等の理由でタルクが好適に用いられ、特に、数平均メジアン粒子径が0.1〜10μm、更に0.5〜5μmのタルクが好ましい。
気泡調整剤としてタルクを使用する場合、その添加量は基材樹脂100重量部に対して、好ましくは0.05〜3重量部である。
気泡調整剤としてタルクを使用する場合、その添加量は基材樹脂100重量部に対して、好ましくは0.05〜3重量部である。
本発明方法においては、前記基材樹脂と各種の添加剤とを押出機に供給し、溶融、混練して溶融物とし、該溶融物に物理発泡剤を圧入し、さらに混練して発泡性樹脂溶融物とする。
該物理発泡剤としては、従来公知のオゾン破壊係数がゼロ(0)である発泡剤が好ましい。更に、長期にわたる高い断熱性の維持を考慮すると、以下に示すような前記基材樹脂に対するガス透過性が比較的遅いものが好ましい。ガス透過性が比較的遅い発泡剤としては、炭素数3〜5の脂肪族炭化水素、具体的には、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等が挙げられ、炭素数3〜6の脂環式炭化水素、具体的には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの中でも、ガス透過性が遅く発泡性に優れるために、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタンがより好ましく、ガス透過性、発泡性に加えて取り扱い性に優れることからノルマルブタン、イソブタンが好ましく、特にイソブタンが好ましい。これらの発泡剤は、単独または2種以上を併用して使用することができる。
該物理発泡剤としては、従来公知のオゾン破壊係数がゼロ(0)である発泡剤が好ましい。更に、長期にわたる高い断熱性の維持を考慮すると、以下に示すような前記基材樹脂に対するガス透過性が比較的遅いものが好ましい。ガス透過性が比較的遅い発泡剤としては、炭素数3〜5の脂肪族炭化水素、具体的には、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等が挙げられ、炭素数3〜6の脂環式炭化水素、具体的には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの中でも、ガス透過性が遅く発泡性に優れるために、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタンがより好ましく、ガス透過性、発泡性に加えて取り扱い性に優れることからノルマルブタン、イソブタンが好ましく、特にイソブタンが好ましい。これらの発泡剤は、単独または2種以上を併用して使用することができる。
また、本発明の所期の目的を損なわない範囲内で、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(トランスHFO−1234ze)、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(シスHFO−1234ze)、1,1,1,2−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)等のハイドロフルオロオレフィン(HFO)を発泡剤として使用することもできる。
さらに、得られる押出発泡板の難燃性を考慮すると、上記のような炭化水素の添加量は限られてしまうため、小さい見かけ密度の押出発泡板を製造する場合には、該炭化水素と、押出発泡板の基材樹脂に対するガス透過性が上記炭化水素よりも速い発泡剤とを併用する混合発泡剤を使用することが好ましい。混合発泡剤を使用することにより、炭化水素の添加量を削減でき、発泡性を高めることができる。混合発泡剤を使用すると、ガス透過性が速い発泡剤は発泡直後に押出発泡板中からその殆どが逸散してしまうので、低見かけ密度の押出発泡板を得ることができるとともに、押出発泡板中の炭化水素の配合量を所望の量に調整することができる。
ガス透過性が速い発泡剤として、例えば、塩化アルキル、アルコール類、エーテル類、ケトン類、二酸化炭素、水等が挙げられる。これらの発泡剤の中でも炭素数1〜3の塩化アルキル、炭素数1〜4の脂肪族アルコール、アルキル鎖の炭素数が1〜3のエーテル類、二酸化炭素、水等が好ましい。具体的には、炭素数1〜3の塩化アルキルとしては、例えば塩化メチル、塩化エチル等が挙げられる。炭素数1〜4の脂肪族アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、アリールアルコール、クロチルアルコール、プロパギルアルコール等が挙げられる。アルキル鎖の炭素数が1〜3のエーテル類としては例えばジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチレンジメチルエーテル等が挙げられる。特に、ガス透過性が速く、その取り扱い性に優れることから、上記発泡剤の中でも、塩化メチル、ジメチルエーテル、二酸化炭素、水が特に好ましい。これらの発泡剤は単独または2種以上を併用して用いることができる。
これら発泡剤の使用量は所望される見かけ密度との関連で適宜選択され、見かけ密度が0.02〜0.05g/cm3の押出発泡板を得るには、通常ポリスチレン系樹脂1kg当たり、混合発泡剤として0.5〜3モル添加され、好ましくは0.6〜2.5モルが添加される。
本発明方法により得られるポリスチレン系樹脂押出発泡板が、建築用断熱板として使用される場合には、JIS A9511:2006Rの4.2で規定される熱伝導率の規格と、JIS A9511:2006Rの5.13.1に規定される、「測定方法A」に記載の押出ポリスチレンフォーム保温板を対象とする燃焼性規格を同時に満たすように定めることが要求される。したがって、熱伝導率を小さくして断熱性を向上させるためには、前記混合発泡剤中の炭化水素の添加量は多いことが好ましく、難燃性を向上させるためには、炭化水素の添加量は少ないほど好ましい。具体的には、その配合量の下限は、押出発泡板1kg当たり0.4モル以上であることが好ましく、0.45モル以上であることがより好ましく、0.5モル以上であることが更に好ましい。一方、炭化水素の配合量の上限は押出発泡板1kg当たり0.9モル以下であることが好ましく、0.8モル以下であることがより好ましく、0.7モル以下であることが更に好ましい。
本明細書において、押出発泡板中の炭化水素等の発泡剤残存量は、ガスクロマトグラフを用いて内部標準法により測定される値である。具体的には、押出発泡板から適量のサンプルを切り出し、このサンプルを完全に溶解し得る量のトルエンと内部標準物質の入った蓋付き試料ビン中に入れ蓋を閉めた後、充分に撹拌し押出発泡板中の発泡剤をトルエン中に溶解した溶液を測定用試料としてガスクロマトグラフ分析を行って押出発泡板中の発泡剤残存量を求める。
次に、本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板について説明する。
本発明の押出発泡板は、前記鱗片状グラファイトを、前記基材系樹脂100重量部に対し0.2〜1重量部含有すると共に、アルミニウム粉を、前記基材系樹脂100重量部に対し0.05〜0.8重量部含有するものである。前記したように、該鱗片状グラファイトと該アルミニム粉とが併用されることにより、アルミニウム粉が赤外線を乱反射し、グラファイトは乱反射された赤外線を効率的に吸収することができる。その結果、それぞれを単独で用いる場合と比べて特異的に赤外線を効率的に吸収することが可能となり、それぞれの配合量が少なくても、従来技術では達成できなかった低い熱伝導率を有し断熱性に優れると共に、難燃性にも優れる押出発泡板となる。
本発明の押出発泡板は、前記鱗片状グラファイトを、前記基材系樹脂100重量部に対し0.2〜1重量部含有すると共に、アルミニウム粉を、前記基材系樹脂100重量部に対し0.05〜0.8重量部含有するものである。前記したように、該鱗片状グラファイトと該アルミニム粉とが併用されることにより、アルミニウム粉が赤外線を乱反射し、グラファイトは乱反射された赤外線を効率的に吸収することができる。その結果、それぞれを単独で用いる場合と比べて特異的に赤外線を効率的に吸収することが可能となり、それぞれの配合量が少なくても、従来技術では達成できなかった低い熱伝導率を有し断熱性に優れると共に、難燃性にも優れる押出発泡板となる。
本発明の押出発泡板においては、見かけ密度が0.02〜0.05g/cm3が好ましく、より好ましくは0.022〜0.045g/cm3である。該見かけ密度が小さすぎると、強度が低下しすぎて断熱材として使用できないものとなる。一方、該見かけ密度が大きすぎると、軽量性が失われて施工性が悪くなる。
なお、押出発泡板の見かけ密度は、JIS K7222:1999に基づいて求めることができる。
なお、押出発泡板の見かけ密度は、JIS K7222:1999に基づいて求めることができる。
また、該押出発泡板の厚みは10〜150mmが好ましく、より好ましくは20〜100mmである。この範囲の厚みの押出発泡板は断熱板として好適に用いることができる。該厚みが薄すぎると、強度が低下したり、断熱性が低下したりして断熱材として使用できないものとなる。一方、厚みが厚すぎると、施工性が低下する。
また、該押出発泡板の断面積は60cm2以上が好ましく、より好ましくは100cm2以上である。該断面積が狭すぎると、強度が低下したり、施工性や断熱性が低下したりして断熱材として使用できないものとなる。上記範囲内であれば断熱板として好適に用いることができる。
また、該押出発泡板の厚み方向の平均気泡径は、0.06〜0.8mmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.3mmである。該厚み方向平均気泡径がこの範囲内にあることにより、機械的強度に優れ、より高い断熱性を有するものとなる。該厚み方向平均気泡径が小さすぎると、適正な見かけ密度(発泡倍率)が得られず、発泡体自体の強度が低下してしまい、安定して良好な発泡体を得られなくなる虞がある。一方、該厚み方向平均気泡径が大きすぎると、断熱性が低下し、外観が悪くなる虞がある。
平均気泡径の測定方法は次の通りである。
押出発泡板厚み方向の平均気泡径(DT:mm)及び押出発泡板幅方向の平均気泡径(DW:mm)は押出発泡板の幅方向垂直断面(押出発泡板の押出方向と直交する垂直断面)を、押出発泡板長手方向の平均気泡径(DL:mm)は押出発泡板の長手方向垂直断面(押出発泡板の押出方向に平行に、幅方向の中央部で二等分した垂直断面)を顕微鏡等を用いてスクリーンまたはモニタ等に拡大投影し、投影画像上において測定しようとする方向に線分を引き、その線分と交差する気泡の数を計数し、線分の長さ(但し、この長さは拡大投影した投影画像上の線分の長さではなく、投影画像の拡大率を考慮した真の線分の長さを指す。)を計数された気泡の数で割ることによって、各々の方向における平均気泡径を求める。
押出発泡板厚み方向の平均気泡径(DT:mm)及び押出発泡板幅方向の平均気泡径(DW:mm)は押出発泡板の幅方向垂直断面(押出発泡板の押出方向と直交する垂直断面)を、押出発泡板長手方向の平均気泡径(DL:mm)は押出発泡板の長手方向垂直断面(押出発泡板の押出方向に平行に、幅方向の中央部で二等分した垂直断面)を顕微鏡等を用いてスクリーンまたはモニタ等に拡大投影し、投影画像上において測定しようとする方向に線分を引き、その線分と交差する気泡の数を計数し、線分の長さ(但し、この長さは拡大投影した投影画像上の線分の長さではなく、投影画像の拡大率を考慮した真の線分の長さを指す。)を計数された気泡の数で割ることによって、各々の方向における平均気泡径を求める。
各々の平均気泡径の測定方法について詳述すると、厚み方向の平均気泡径(DT:mm)の測定は幅方向垂直断面の中央部及び両端部の計3箇所に厚み方向に全厚みに亘る線分を引き各々の線分の長さと該線分と交差する気泡の数から各線分上に存在する気泡の平均径(線分の長さ/該線分と交差する気泡の数)を求め、求められた3箇所の平均径の算術平均値を厚み方向の平均気泡径(DT:mm)とする。
幅方向の平均気泡径(DW:mm)は幅方向垂直断面の、中央部及び両端部の計3箇所の押出発泡板を厚み方向に二等分する位置に、長さ3mmの線分を幅方向に引き、長さ3mmの線分と(該線分と交差する気泡の数)−1から各線分上に存在する気泡の平均径(3mm/(該線分と交差する気泡の数)−1))を求め、求められた3箇所の平均径の算術平均値を幅方向の平均気泡径(DW:mm)とする。
長手方向の平均気泡径(DL:mm)は、試験片を長手方向に沿って切断して得られた長手方向垂直断面の、中央部及び両端部の計3箇所において、押出発泡板を厚み方向に二等分する位置に、長さ3mmの線分を長手方向に引き、長さ3mmの線分と(該線分と交差する気泡の数)−1から各線分上に存在する気泡の平均径(3mm/(該線分と交差する気泡の数)−1))を求め、求められた3箇所の平均径の算術平均値を長手方向の平均気泡径(DL:mm)とする。また、押出発泡板の水平方向の平均気泡径(DH:mm)は、DWとDLの相加平均値とする。
幅方向の平均気泡径(DW:mm)は幅方向垂直断面の、中央部及び両端部の計3箇所の押出発泡板を厚み方向に二等分する位置に、長さ3mmの線分を幅方向に引き、長さ3mmの線分と(該線分と交差する気泡の数)−1から各線分上に存在する気泡の平均径(3mm/(該線分と交差する気泡の数)−1))を求め、求められた3箇所の平均径の算術平均値を幅方向の平均気泡径(DW:mm)とする。
長手方向の平均気泡径(DL:mm)は、試験片を長手方向に沿って切断して得られた長手方向垂直断面の、中央部及び両端部の計3箇所において、押出発泡板を厚み方向に二等分する位置に、長さ3mmの線分を長手方向に引き、長さ3mmの線分と(該線分と交差する気泡の数)−1から各線分上に存在する気泡の平均径(3mm/(該線分と交差する気泡の数)−1))を求め、求められた3箇所の平均径の算術平均値を長手方向の平均気泡径(DL:mm)とする。また、押出発泡板の水平方向の平均気泡径(DH:mm)は、DWとDLの相加平均値とする。
更に本発明の押出発泡板においては、気泡変形率が0.7〜2.0であることが好ましい。気泡変形率とは、上記測定方法により求められたDTをDHで除すことにより算出された値(DT/DH)をいい、該気泡変形率が1より小さいほど気泡形状は扁平であり、1より大きいほど縦長である。気泡変形率が上記範囲内にあることにより、圧縮強度等の機械的強度及び寸法安定性に優れ、かつ高い断熱性を有する押出発泡板を得ることができる。そのような観点から、上記気泡変形率は、0.8〜1.5であることが好ましく、0.8〜1.2であることがより好ましい。
本発明の押出発泡板の独立気泡率は85%以上であることが好ましく、93%以上であることがより好ましい。独立気泡率が高い程、高い断熱性能を維持することができる。独立気泡率は、ASTM−D2856−70の手順Cに従って、東芝ベックマン株式会社製の空気比較式比重計930型を使用して測定された押出発泡板の真の体積Vxを用い、下記式(1)により独立気泡率S(%)を算出する。
試料は、押出発泡板における3箇所の異なる部分からカットサンプルを切り出して各々のカットサンプルについて測定した。カットサンプルは押出発泡板から25mm×25mm×20mmの大きさに切断された、成形表皮を有しないサンプルである。厚みが薄く厚み方向に20mmのサンプルが切り出せない場合には、例えば25mm×25mm×10mmの大きさに切断された試料(カットサンプル)を2枚重ねて測定する。
試料は、押出発泡板における3箇所の異なる部分からカットサンプルを切り出して各々のカットサンプルについて測定した。カットサンプルは押出発泡板から25mm×25mm×20mmの大きさに切断された、成形表皮を有しないサンプルである。厚みが薄く厚み方向に20mmのサンプルが切り出せない場合には、例えば25mm×25mm×10mmの大きさに切断された試料(カットサンプル)を2枚重ねて測定する。
S(%)=(Vx−W/ρ)×100/(VA−W/ρ) (1)
ただし、Vx:上記測定に使用されるカットサンプルの真の体積(cm3)(押出発泡板のカットサンプルを構成する樹脂組成物の容積(鱗片状グラファイト、アルミニウム粉等を含む。)と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。)
VA:測定に使用されたカットサンプルの外寸法から算出されたカットサンプルの見かけ上の体積(cm3)
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)
ρ:押出発泡板を構成する樹脂組成物(鱗片状グラファイトの添加量(X)、アルミニウム粉の添加量(Y)等を含む。)の密度(g/cm3)
ただし、Vx:上記測定に使用されるカットサンプルの真の体積(cm3)(押出発泡板のカットサンプルを構成する樹脂組成物の容積(鱗片状グラファイト、アルミニウム粉等を含む。)と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。)
VA:測定に使用されたカットサンプルの外寸法から算出されたカットサンプルの見かけ上の体積(cm3)
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)
ρ:押出発泡板を構成する樹脂組成物(鱗片状グラファイトの添加量(X)、アルミニウム粉の添加量(Y)等を含む。)の密度(g/cm3)
本発明の押出発泡板は、前記したように、鱗片状グラファイト及びアルミニウム粉を特定量含有することにより断熱性に優れるものである。その熱伝導率は0.0280W/(m・K)以下であることが好ましく、より好ましくは0.0278W/(m・K)以下、更に好ましくは0.0275W/(m・K)以下、特に好ましくは0.0273W/(m・K)以下である。
熱伝導率は、JIS A1412−2:1999記載の熱流計方式(試験体1枚・対称構成方式)に準拠し、高温側38℃、低温側8℃、平気温度23℃の温度条件にて測定される値である。
なお、ISO 11561に準拠し、促進試験を行ったサンプルの熱伝導率を測定することにより、長期間経過後の熱伝導率を評価することができる。具体的には、例えば、厚さ50mmの押出発泡板を製造した直後に押出発泡板の両側から均等に削り取るなどして、厚さ10mmの促進試験用サンプルを作製し、製造後15日後に該促進試験用サンプルの熱伝導率を測定することにより、50mm厚みの押出発泡板の製造後375日経過後、約1年経過後の熱伝導率を評価することができる。
なお、ISO 11561に準拠し、促進試験を行ったサンプルの熱伝導率を測定することにより、長期間経過後の熱伝導率を評価することができる。具体的には、例えば、厚さ50mmの押出発泡板を製造した直後に押出発泡板の両側から均等に削り取るなどして、厚さ10mmの促進試験用サンプルを作製し、製造後15日後に該促進試験用サンプルの熱伝導率を測定することにより、50mm厚みの押出発泡板の製造後375日経過後、約1年経過後の熱伝導率を評価することができる。
本発明の押出発泡板は、前記難燃剤を含有することから、難燃性に優れるものである。具体的には、JIS A9511:2006Rの5.13.1に規定される、「測定方法A」に記載の押出ポリスチレンフォーム保温板を対象とする燃焼性規格を満たすことができ、好ましくはJIS K7201−1:1999に準拠した酸素指数LOIが、26.0以上であることが好ましい。
以下、本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法について、実施例により詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
[原料]
実施例、比較例で使用したスチレン系樹脂の種類、メーカー、製品名、物性を下記表1に、グラファイトの種類、メーカー、製品名、物性を下記表2に、アルミニウム粉の種類、メーカー、製品名、物性を下記表3に示す。
実施例、比較例で使用したスチレン系樹脂の種類、メーカー、製品名、物性を下記表1に、グラファイトの種類、メーカー、製品名、物性を下記表2に、アルミニウム粉の種類、メーカー、製品名、物性を下記表3に示す。
難燃剤、気泡調整剤、グラファイト、アルミニウム粉(鱗片状)、酸化チタンは、下記のマスターバッチとして添加した。
難燃剤マスターバッチ:テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)(第一工業製薬製 SR130)50重量%と、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(第一工業製薬製 SR720)50重量%とからなる混合難燃剤を含有する難燃剤マスターバッチを、基材樹脂100重量部に対する混合難燃剤としての添加量が3重量部となるように、基材樹脂に添加した。
気泡調整剤マスターバッチ:ポリスチレン樹脂をベースレジンとし、タルク(松村産業(株)製、商品名:ハイフィラー#12)60重量%を含有するタルクマスターバッチを用いた。
グラファイトマスターバッチ:ポリスチレン樹脂をベースレジンとし、表に示すグラファイト40重量%を含有するグラファイトマスターバッチを用いた。
アルミニウム粉マスターバッチ:ポリスチレン樹脂をベースレジンとし、表に示すアルミニウム粉20重量%を含有するアルミニウム粉マスターバッチを用いた。
酸化チタンマスターバッチ:ポリスチレン樹脂をベースレジンとし、酸化チタン70重量%を含有する酸化チタンマスターバッチを用いた。
グラファイトマスターバッチ:ポリスチレン樹脂をベースレジンとし、表に示すグラファイト40重量%を含有するグラファイトマスターバッチを用いた。
アルミニウム粉マスターバッチ:ポリスチレン樹脂をベースレジンとし、表に示すアルミニウム粉20重量%を含有するアルミニウム粉マスターバッチを用いた。
酸化チタンマスターバッチ:ポリスチレン樹脂をベースレジンとし、酸化チタン70重量%を含有する酸化チタンマスターバッチを用いた。
[装置]
内径65mmの第1押出機と内径90mmの第2押出機が直列に連結されており、発泡剤注入口が第1押出機の終端付近に設けられており、横断面が長方形の樹脂排出口(ダイリップ)を備えたフラットダイが第2押出機の出口に連結された製造装置を用いた。
更にフラットダイの樹脂出口にはこれと平行するように設置された上下一対のポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる板により構成された賦形装置(ガイダー)が付設されている。
内径65mmの第1押出機と内径90mmの第2押出機が直列に連結されており、発泡剤注入口が第1押出機の終端付近に設けられており、横断面が長方形の樹脂排出口(ダイリップ)を備えたフラットダイが第2押出機の出口に連結された製造装置を用いた。
更にフラットダイの樹脂出口にはこれと平行するように設置された上下一対のポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる板により構成された賦形装置(ガイダー)が付設されている。
実施例1〜9、比較例1〜7
表4、5に示すそれぞれの配合量となるようにポリスチレン系樹脂、難燃剤マスターバッチ及び気泡調整剤マスターバッチを、前記第1押出機に供給し、220℃まで加熱し、これらを溶融、混練して溶融物とし、第1押出機の先端付近に設けられた発泡剤注入口から表4、5、に示す配合組成の物理発泡剤を表4、5に示す割合で溶融物に供給し溶融混練し発泡性樹脂溶融物とした。該発泡性樹脂溶融物を、続く第2押出機に導入して樹脂温度を表4、5に示すような発泡適性温度(表中では発泡樹脂温度と表記した。この発泡温度は押出機とダイとの接合部の位置で測定された発泡性樹脂溶融物の温度である)に調整した後、吐出量50kg/hrでダイリップからガイダー内に押出し、発泡させながら厚み方向に28mmの間隙で平行に配置されたガイダー内を通過させることにより板状に成形(賦形)し板状のポリスチレン系樹脂押出発泡断熱板を製造した。
表4、5に示すそれぞれの配合量となるようにポリスチレン系樹脂、難燃剤マスターバッチ及び気泡調整剤マスターバッチを、前記第1押出機に供給し、220℃まで加熱し、これらを溶融、混練して溶融物とし、第1押出機の先端付近に設けられた発泡剤注入口から表4、5、に示す配合組成の物理発泡剤を表4、5に示す割合で溶融物に供給し溶融混練し発泡性樹脂溶融物とした。該発泡性樹脂溶融物を、続く第2押出機に導入して樹脂温度を表4、5に示すような発泡適性温度(表中では発泡樹脂温度と表記した。この発泡温度は押出機とダイとの接合部の位置で測定された発泡性樹脂溶融物の温度である)に調整した後、吐出量50kg/hrでダイリップからガイダー内に押出し、発泡させながら厚み方向に28mmの間隙で平行に配置されたガイダー内を通過させることにより板状に成形(賦形)し板状のポリスチレン系樹脂押出発泡断熱板を製造した。
なお、表4、5中の添加剤(グラファイト、アルミニウム粉)、難燃剤及び気泡調整剤の添加量[重量部]は、基材樹脂100重量部に対する値であり、発泡剤の添加量[モル/kg]は、基材樹脂1kgあたりの添加量である。
なお、本願発明における押出発泡板中のグラファイト、アルミニウム粉のそれぞれの含有量は、押出発泡板を製造する際の基材樹脂への添加量と等しい。
なお、本願発明における押出発泡板中のグラファイト、アルミニウム粉のそれぞれの含有量は、押出発泡板を製造する際の基材樹脂への添加量と等しい。
実施例で得られた押出発泡板の物性を表4に、比較例で得られた押出発泡板の物性を表5にまとめて示す。
実施例1〜9から、本発明の方法に基づいてスチレン系樹脂押出発泡体を製造すると、発泡成形性に優れ、高い難燃性と低い熱伝導率を有するポリスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができることが判る。
比較例1は押出発泡板中に鱗片状グラファイトのみを含有する例で、得られた発泡板はアルミニウム粉を含有していないため、熱伝導率を低減させる効果が小さいものであった。
比較例2、3は発泡板中にアルミニウム粉のみを含有する例で、得られた発泡板は鱗片状グラファイトを含有していないため、熱伝導率を低減させる効果が小さいものであった。
比較例4は鱗片状グラファイトの量が多すぎる例である。得られた押出発泡板は、熱伝導率は低いものの、酸素指数の値が低く難燃性に劣るものであった。
比較例5は、アルミニウム粉の添加量が鱗片状グラファイトの添加量に対して多すぎる例である(x/y=0.5)。得られた押出発泡板は、熱伝導率は低いものの、酸素指数の値が低く難燃性に劣るものであった。
比較例6は、赤外線反射剤として酸化チタンを用いた例である。得られた押出発泡板は、酸化チタンが添加されているが、酸化チタンはアルミニウム粉よりも赤外線反射効果が小さいため、熱伝導率が高く、断熱性に劣るものであった。
比較例7は、鱗片状グラファイト及びアルミニウム粉が添加されていない例である。得られた押出発泡板は、熱伝導率が高く、断熱性に劣るものであった。
比較例2、3は発泡板中にアルミニウム粉のみを含有する例で、得られた発泡板は鱗片状グラファイトを含有していないため、熱伝導率を低減させる効果が小さいものであった。
比較例4は鱗片状グラファイトの量が多すぎる例である。得られた押出発泡板は、熱伝導率は低いものの、酸素指数の値が低く難燃性に劣るものであった。
比較例5は、アルミニウム粉の添加量が鱗片状グラファイトの添加量に対して多すぎる例である(x/y=0.5)。得られた押出発泡板は、熱伝導率は低いものの、酸素指数の値が低く難燃性に劣るものであった。
比較例6は、赤外線反射剤として酸化チタンを用いた例である。得られた押出発泡板は、酸化チタンが添加されているが、酸化チタンはアルミニウム粉よりも赤外線反射効果が小さいため、熱伝導率が高く、断熱性に劣るものであった。
比較例7は、鱗片状グラファイト及びアルミニウム粉が添加されていない例である。得られた押出発泡板は、熱伝導率が高く、断熱性に劣るものであった。
実施例、比較例において各物性の測定、評価は以下により行った。
(溶融粘度の測定方法)
表1中の溶融粘度は株式会社東洋精機製作所のキャピログラフ 型式1Dにて測定を行って得られた値である。測定の詳細としては、内径9.55mm(有効長さ250mm)のシリンダーの先端に穴径1.0mm、長さ10mmのキャピラリーを取付け、シリンダーおよびキャピラリーを200℃に昇温し、シリンダー内に測定試料(樹脂ペレット)を充填した。充填後、シリンダー内にピストンを充填し、4分間の予備加熱にて溶融させた。なお、予備加熱中にピストンを一時的に押し下げ溶融状態の測定試料から気泡を十分に除去した。また、測定試料の充填量は、気泡除去後に測定試料が15cc以上確保できる十分な量とした。予備加熱終了後、ピストンにてキャピラリー部のせん断速度が100s−1となる様にシリンダー内の測定試料を押出し、そのときの溶融粘度を計測した。なお、溶融粘度の測定は200℃、100s−1の条件を採用し、押出荷重が安定した後に行った。
表1中の溶融粘度は株式会社東洋精機製作所のキャピログラフ 型式1Dにて測定を行って得られた値である。測定の詳細としては、内径9.55mm(有効長さ250mm)のシリンダーの先端に穴径1.0mm、長さ10mmのキャピラリーを取付け、シリンダーおよびキャピラリーを200℃に昇温し、シリンダー内に測定試料(樹脂ペレット)を充填した。充填後、シリンダー内にピストンを充填し、4分間の予備加熱にて溶融させた。なお、予備加熱中にピストンを一時的に押し下げ溶融状態の測定試料から気泡を十分に除去した。また、測定試料の充填量は、気泡除去後に測定試料が15cc以上確保できる十分な量とした。予備加熱終了後、ピストンにてキャピラリー部のせん断速度が100s−1となる様にシリンダー内の測定試料を押出し、そのときの溶融粘度を計測した。なお、溶融粘度の測定は200℃、100s−1の条件を採用し、押出荷重が安定した後に行った。
(発泡成形性の評価)
表4、5における発泡成形性の評価は、下記評価基準により評価した。
◎:発泡状態が特に良好であり、発泡体が安定して得られる。
○:発泡状態が良好であり、発泡体が安定して得られる。
表4、5における発泡成形性の評価は、下記評価基準により評価した。
◎:発泡状態が特に良好であり、発泡体が安定して得られる。
○:発泡状態が良好であり、発泡体が安定して得られる。
(難燃性評価:酸素指数LOI)
押出発泡板の酸素指数は、JIS K7201−2:2007に準拠して行った。酸素指数の測定にはスガ試験機株式会社製の難燃性試験機(ON−1D型)を使用した。なお、試験片は、押出発泡板製造後の押出発泡板から(厚さ)10mm×(幅)10mm×(長さ)150mmのサイズに切出した試験片を、温度60℃に設定したオーブン中で十分に養生した後、測定に供した。点火器の熱源の種類は、液化石油ガス(LPG)を使用し、点火手順はA法を使用し、試験片を試験機内の所定の位置に自立させて行った。試験場所の温度は23℃、湿度50%で行った。
押出発泡板の酸素指数は、JIS K7201−2:2007に準拠して行った。酸素指数の測定にはスガ試験機株式会社製の難燃性試験機(ON−1D型)を使用した。なお、試験片は、押出発泡板製造後の押出発泡板から(厚さ)10mm×(幅)10mm×(長さ)150mmのサイズに切出した試験片を、温度60℃に設定したオーブン中で十分に養生した後、測定に供した。点火器の熱源の種類は、液化石油ガス(LPG)を使用し、点火手順はA法を使用し、試験片を試験機内の所定の位置に自立させて行った。試験場所の温度は23℃、湿度50%で行った。
(難燃性評価:JIS A9511)
表4、5における難燃性評価は、製造後15日間経過後の板状押出発泡体から切り出した試験片を、前記JIS A9511:2006R 5・13・1の測定方法Aに記載の押出ポリスチレンフォーム保温板を対象とする燃焼性規格に準拠して評価した。
測定は一つの押出発泡板に対して試験片を5個切り出し、下記評価基準により評価した。
○:全ての試験片において3秒以内で炎が消える。
×:5個の試験片の平均燃焼時間が3秒を超える。
表4、5における難燃性評価は、製造後15日間経過後の板状押出発泡体から切り出した試験片を、前記JIS A9511:2006R 5・13・1の測定方法Aに記載の押出ポリスチレンフォーム保温板を対象とする燃焼性規格に準拠して評価した。
測定は一つの押出発泡板に対して試験片を5個切り出し、下記評価基準により評価した。
○:全ての試験片において3秒以内で炎が消える。
×:5個の試験片の平均燃焼時間が3秒を超える。
(熱伝導率の測定)
表4、5における熱伝導率は前記ISO 11561に記載の促進試験に準拠した以下の方法により測定した。製造直後の押出発泡板の中央部から200mm×200mm×10mmの成形表皮が存在しない試験片を切り出し、該試験片を23℃、湿度50%の雰囲気下に保存した。製造後15日後(28mm厚みの押出発泡板の製造後約4ヶ月後に相当)に該試験片を用いてJIS A1412−2:1999記載の熱流計法(試験体1枚・対称構成方式)に準拠し、高温側38℃、低温側8℃、平均温度23℃の温度条件にて熱伝導率を測定した。なお、押出発泡板の熱伝導率は、気泡中のガスの置換により経時的に上昇する。押出発泡板の厚みや発泡剤の種類にもよるが、押出発泡板の熱伝導率は、製造後4ヶ月経過時には安定していることから、上記促進試験における15日後の測定値を採用した。
表4、5における熱伝導率は前記ISO 11561に記載の促進試験に準拠した以下の方法により測定した。製造直後の押出発泡板の中央部から200mm×200mm×10mmの成形表皮が存在しない試験片を切り出し、該試験片を23℃、湿度50%の雰囲気下に保存した。製造後15日後(28mm厚みの押出発泡板の製造後約4ヶ月後に相当)に該試験片を用いてJIS A1412−2:1999記載の熱流計法(試験体1枚・対称構成方式)に準拠し、高温側38℃、低温側8℃、平均温度23℃の温度条件にて熱伝導率を測定した。なお、押出発泡板の熱伝導率は、気泡中のガスの置換により経時的に上昇する。押出発泡板の厚みや発泡剤の種類にもよるが、押出発泡板の熱伝導率は、製造後4ヶ月経過時には安定していることから、上記促進試験における15日後の測定値を採用した。
(発泡剤残量)
押出発泡板中の発泡剤の残存量はガスクロマトグラフを用いた前記方法により測定した。具体的には、押出発泡板製造直後の押出発泡板から切り出した200mm×200mm×10mmの成形表皮が存在しない試験片を、23℃、湿度50%の雰囲気下に保存した。製造後15日後(28mm厚みの押出発泡板の製造後約4ヶ月後に相当)に該試験片からサンプルの重量が1gとなるように切り出し、サンプルとした。このサンプルを、内部標準物質としてシクロペンタンを含むトルエンの入った蓋付き試料ビン中に入れ蓋を閉めた後、充分に撹拌し押出発泡板中の発泡剤をトルエン中に溶解した溶液を測定用試料としてガスクロマトグラフ分析を行って残存量を求めた。
押出発泡板中の発泡剤の残存量はガスクロマトグラフを用いた前記方法により測定した。具体的には、押出発泡板製造直後の押出発泡板から切り出した200mm×200mm×10mmの成形表皮が存在しない試験片を、23℃、湿度50%の雰囲気下に保存した。製造後15日後(28mm厚みの押出発泡板の製造後約4ヶ月後に相当)に該試験片からサンプルの重量が1gとなるように切り出し、サンプルとした。このサンプルを、内部標準物質としてシクロペンタンを含むトルエンの入った蓋付き試料ビン中に入れ蓋を閉めた後、充分に撹拌し押出発泡板中の発泡剤をトルエン中に溶解した溶液を測定用試料としてガスクロマトグラフ分析を行って残存量を求めた。
ガスクロマトグラフ分析の測定条件
カラム:信和加工株式会社製
担体:chromosorb W、60〜80メッシュ、AW−DMCS処理品
液相:Silicone DC550(液相量20%)
カラム寸法:カラム長さ4.1m、カラム内径3.2mm
カラム素材:ガラス
カラム温度:40℃
注入口温度:200℃
キャリヤーガス:窒素
キャリヤーガス速度:50ml/min.
検出器:FID
検出器温度:200℃
定量:内部標準法
カラム:信和加工株式会社製
担体:chromosorb W、60〜80メッシュ、AW−DMCS処理品
液相:Silicone DC550(液相量20%)
カラム寸法:カラム長さ4.1m、カラム内径3.2mm
カラム素材:ガラス
カラム温度:40℃
注入口温度:200℃
キャリヤーガス:窒素
キャリヤーガス速度:50ml/min.
検出器:FID
検出器温度:200℃
定量:内部標準法
(白色度)
ASTM E313に準拠し、(株)カラーテクノシステム社製コンパクト色彩計X−Rite948Lにて、押出発泡体の表面の白色度を測定した。
ASTM E313に準拠し、(株)カラーテクノシステム社製コンパクト色彩計X−Rite948Lにて、押出発泡体の表面の白色度を測定した。
Claims (6)
- ポリスチレン系樹脂を含む基材樹脂、物理発泡剤、難燃剤、鱗片状グラファイト及びアルミニウム粉を混練してなる発泡性樹脂溶融物を押出発泡させる、ポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法であって、
該鱗片状グラファイトの添加量(X)が、基材樹脂100重量部に対して0.2〜1重量部であり、
該アルミニウム粉の添加量(Y)が基材樹脂100重量部に対して0.05〜0.8重量部であり、且つ、前記アルミニウム粉の添加量(Y)に対する前記鱗片状グラファイトの添加量(X)の比(X/Y)が、0.5〜15であることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
- 前記鱗片状グラファイトの添加量(X)と前記アルミニウム粉の添加量(Y)との合計が、基材樹脂100重量部に対して1.5重量部未満であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
- 前記アルミニウム粉の平均粒子径が5〜50μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
- 前記鱗片状グラファイトの平均粒子径が25μm以下であると共に、見かけ密度が0.25g/cm3以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
- 前記ポリスチレン系樹脂押出発泡板の見かけ密度が0.02〜0.05g/cm3であり、厚みが10〜150mmであり、厚み方向の平均気泡径が0.06〜0.8mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
- 見かけ密度0.02〜0.05g/cm3、厚み10〜150mm、厚み方向の平均気泡径0.06〜0.8mmのポリスチレン系樹脂押出発泡板であって、
該ポリスチレン系樹脂押出発泡板は、鱗片状グラファイト、アルミニウム粉及び難燃剤を含有し、
該鱗片状グラファイトの含有量が、基材樹脂100重量部に対して0.2〜1重量部であり、
該アルミニウム粉の含有量が、基材樹脂100重量部に対して0.05〜0.8重量部であり、且つ、前記アルミニウム粉の添加量(Y)に対する前記鱗片状グラファイトの添加量(X)の比(X/Y)が、0.5〜15であることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡板。
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---|---|---|---|---|
CN105298033A (zh) * | 2015-11-17 | 2016-02-03 | 上海建工五建集团有限公司 | 一种坡屋面天窗结构 |
JPWO2018163905A1 (ja) * | 2017-03-07 | 2020-01-16 | 株式会社カネカ | スチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法 |
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-
2012
- 2012-12-28 JP JP2012287301A patent/JP2014129449A/ja active Pending
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