JP2014125588A - ポリエステル組成物およびポリエステル成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、黒を呈色するポリエステル組成物であって、太陽の日射によるポリエステル組成物の温度上昇を抑制することが可能な非蓄熱黒原着ポリエステル組成物を提供することである。
【解決手段】ポリエステル組成物に対し、カーボンブラックを実質含有せず、カーボンブラック以外の黒色色素を0.05〜40質量%を含むポリエステル組成物によって達成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、黒色ポリエステル組成物に関する。さらに詳しくは、実質的にカーボンブラックを含有せず、太陽の日射によって、表面の温度上昇を抑制することが必要とされる各種産業製品に好適なポリエステル組成物およびそれからなるポリエステル成形品に関する。
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびポリテトラメチレンテレフタレートは、その機械的、物理的および化学的性能が優れているため、繊維、フィルムまたはその他の成形物に広く利用されている。
通常、黒色ポリエステル成形品はカーボンブラックの添加によって得られるのが一般的である。カーボンブラックを添加した場合、優れた漆黒の色相のポリエステル・成形品が得られるが、カーボンブラックは赤外領域においても高い吸光度を有するため、太陽光に含まれる赤外線によって、成形品の温度が上昇する特性を有している。例えば、カーボンブラック含有のポリエステル繊維を車の内装材に用いた場合、夏場の日射により車内温度が高温に到達し、快適性が大きく損なわれる欠点があった。
成形品が繊維の場合は、ポリエステルの布帛を黒色分散染料によって染色し、黒色ポリエステル繊維製品を製造できる。しかし、染色工程は、高温の熱処理が必要であり、また染色液の排水処理に費用がかかるなど、省エネルギーの観点・生産性の観点から染色不要な黒原着ポリエステルが望まれている。
このようなカーボンブラックの蓄熱性を解消するため、非蓄熱性の無機系黒色色素の検討が行われている。(例えば、先行文献1〜8を参照。)しかし、蓄熱性が優れた物は、得られるポリエステルの色相は黒色よりは灰色の物が大半であり、黒色性が十分なレベルでない。得られたポリエステルが優れた黒色性を示す物は、蓄熱性が不十分である。蓄熱性と黒色性の両立した黒色色素が得られていないのが現実である。また、これら無機系黒色色素は、有害なクロム系化合物を用いている物が多く、環境面においても問題があった。
特開2000−072990号公報 特開2001−311049号公報 特開2004−083616号公報 特開2000−264639号公報 特開2003−238164号公報 特開2002−331611号公報 特開2007−197570号公報 特開2010−150354号公報
本発明は、上記背景に鑑みなされたもので、その目的は、カーボンブラックを実質的に含有せず、太陽光、各種照明光など赤外線を含む可視光の照射によって、ポリエステル成形品の表面の温度上昇を抑制することが可能な黒色ポリエステル組成物および黒色ポリエステル成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、主たる繰り返し単位が、エチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレート、テトラメチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、トリメチレン−2,6−ナフタレートおよびテトラメチレン−2,6−ナフタレートからなる群から少なくとも1種選ばれるポリエステルと、カーボンブラック以外の黒色色素からなるポリエステル組成物であり、前記カーボンブラック以外の黒色色素をポリエステル組成物に対して0.05〜40質量%含有し、カーボンブラックをポリエステル組成物に対して実質的に含有しないポリエステル組成物であって、下記式(I)を満たすことを満たすことを特徴とするポリエステル組成物およびこれを溶融成形して得られるポリエステル成形品である。またこの発明によって、上記課題を解決することができる。
Color−L≦30 …(I)
[上数式中、Col−Lはポリエステル組成物のCIE色差系のL系による色相L値を示す。]
本発明によれば、カーボンブラックを用いず、黒色でかつ、近赤外領域で吸光しないポリエステル組成物を得ることができる。その結果、太陽の日射によってポリエステル組成物の温度上昇を抑制することが可能な各種産業製品を得ることができる。本発明のポリエステル組成物を溶融成型したポリエステル成形品は、太陽光で蓄熱しづらい性質を有するため、カーシート、ダッシュボードなど車の内装材や、夏用黒色衣料などの衣料用と、産業用途などで広く用いることが可能である。
以下、本発明のポリエステル組成物について以下、詳細に説明する。
<本発明のポリエステル組成物を構成するポリエステルとその製造方法について>
本発明のポリエステル組成物を構成するポリエステルポリマーとしては、汎用的なポリエステルポリマーが用いられる。中でもポリエステルの主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、トリメチレンテレフタレート、トリメチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、ブチレン−2,6−ナフタレートからなる群から選択されたものであることが好ましい。とりわけ物性に優れ、大量生産に適した点を考慮すると、ポリエステルを構成する主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレートであることが好ましく、工業的に安価であることから、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであることが最も好ましい。
ポリエステルの主たる繰返し単位としては、ポリエステルを構成する全繰り返し単位に対して、その特定の繰り返し単位が80モル%以上含有されていることを表す。特に85モル%以上であることが好ましい。更に特には90モル%以上含むポリエステルであることが好ましい。またポリエステルポリマー中に少量であれば、適当な第3成分を含む共重合体であっても差し支えない。
その第3成分のジカルボン酸としてはオルソフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸のアルカリ金属塩、5−ナトリウムスルホイソフタル酸のアルカリ金属土類金属塩、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の4級アンモニウム塩、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の4級ホスホニウム塩等に代表される芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸等に代表される脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、デカンジカルボン酸、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジカルボン酸等に例示される脂環族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。また、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の3官能以上のカルボン酸成分を共重合させても良い。また、前記ジカルボン酸は、分子鎖中に置換基や脂環構造を含んでいても良く、同時に2種以上を使用しても良い。
エステル形成性誘導体とはジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステル、ジヘキシルエステル等に代表されるジアルキルエステル、ジフェニルエステル、ジナフチルエステル等に代表されるジアリールエステル、ジカルボン酸クロライド、ジカルボン酸ブロマイド、ジカルボン酸ヨーダイド等に代表されるジカルボン酸ハライドを挙げることができる。
第3成分のグリコールとしては、ジエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレングリコール、1,10−デカメチレングリコール、1,12−ドデカンジオールなどのアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコールや、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール等に例示される脂環族グリコールや、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシメチルビスフェノール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5−ナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコール(例えば、1,3−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシエトキシフェニル)プロパン)等に例示される芳香族基含有グリコールが挙げられる。また、前記グリコールは、分子鎖中に置換基や脂環構造を含んでいても良く、同時に2種以上を使用しても良い。
本発明に使用するポリエステルの製造方法は、通常知られている製造方法が用いられる。すなわち、まずテレフタル酸の如きジカルボン酸成分とエチレングリコールの如きグリコール成分とを直接エステル化反応させる方法により、ジカルボン酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を製造する。または、テレフタル酸ジメチルのごとき、ジカルボン酸成分とエチレングリコールの如きジオール成分とエステル交換触媒の存在下をエステル交換反応させる方法により、ジカルボン酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を製造する。
次いでこの低重合体を重合触媒の存在下で減圧加熱して所定の重合度になるまで重縮合反応させることによって、目的とするポリエステルが製造される。例えば、本発明で用いられるポリエステルポリマーとしては、テレフタル酸あるいはナフタレン−2,6−ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を触媒の存在下で、適当な反応条件の下に重合することができる。また、ポリエステルの重縮合完結前に、適当な1種または2種以上の上記の第三成分を添加すれば、共重合ポリエステルが製造される。後述するように、エステル交換触媒に特定の化合物を用いることによって、得られるポリエステルの色相Lをより黒色にすることができるので、本発明のポリエステル組成物を製造するに当たっては、テレフタル酸ジメチルのごとき、ジカルボン酸成分とエチレングリコールの如きジオール成分とエステル交換触媒の存在下をエステル交換反応させる方法を採用することが好ましい。
<エステル交換触媒について>
エステル交換触媒については、特に限定されるものではなく、従来公知のエステル交換触媒を用いることができる。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、マンガン、コバルト、亜鉛、アルミニウム化合物を用いることができる。このような化合物としては、例えば各金属化合物の酸化物、酢酸塩、カルボン酸塩、水素化物、アルコラート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等を挙げることができる。また、これらの化合物は二種以上を併用してもよい。
エステル交換反応の触媒がマグネシウム、カルシウム、マンガン、アルミニウムの場合、エステル交換反応の触媒量としては、好ましくは原料として用いられるジカルボン酸成分のモル数に対して、5〜200mmol%の範囲である。さらに好ましくは10〜100mmol%の範囲であり、最も好ましくは15〜50mmol%範囲である。5mmol%未満の場合、エステル交換の反応速度が遅く生産上、好ましくない。200mmol%を超える場合、触媒が熱劣化を引き起こすため、成形品としての十分な重合度、十分な機械的強度を有することができない場合があり、好ましくない。
本発明のポリエステル組成物は、黒色が求められるため、エステル交換反応の触媒としてチタン化合物またはマンガン化合物を使用することが望ましい。エステル交換反応触媒としてチタン化合物を用いると得られるポリエステルが濃黄色になり、またマンガン化合物をもちいると得られるポリエステルが淡灰色になり最終的に得られるポリエステル組成物のCIE色差系のL系による色相L(以下、単に色相Lと称する。)を低下させ、結果的に黒色性を増加させるために良好となる。
エステル交換反応の触媒がチタン化合物の場合、エステル交換反応の触媒量としては、ジカルボン酸成分のモル数に対して好ましくは5〜1000mmol%の範囲である。さらに好ましくは10〜750mmol%の範囲である。5mmol%未満の場合、エステル交換の反応速度が遅く生産上、好ましくない。また得られるポリエステルの濃色性が不十分となるため、好ましくない。1000mmol%を超える場合、触媒が熱劣化を引き起こすため、好ましくない。これらの要件を満たすことにより成形品を得るに十分な固有粘度を達成しうるエステル交換反応物を得ることができる。
<重合触媒について>
重合触媒については、特に限定されるものではないが、アンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、ジルコニウム、スズ化合物を用いることができる。このような化合物としては、例えばアンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、ジルコニウム、スズの酸化物、酢酸塩、カルボン酸塩、水素化物、アルコラート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等を挙げることができる。また、これらの化合物は二種以上を併用してもよい。また重合触媒として、本発明に用いる金属化合物を触媒として用いることも可能である。
重合反応触媒がアンチモン化合物の場合、触媒量としては、好ましくは原料として用いられるジカルボン酸成分のモル数に対して10〜200mmol%の範囲である。さらに好ましくは15〜150mmol%の範囲、さらに好ましくは、20〜100mmol%の範囲であり、最も好ましくは25〜80mmol%の範囲である。5mmol%未満の場合、溶融重合の反応速度が遅く生産上、好ましくない。また固相重合速度も低下するため、好ましくない。200mmol%を超える場合、触媒が溶融時にポリエステルの熱劣化を引き起こすため、好ましくない。
本発明のポリエステル組成物は、色相において黒色が求められるため、溶融重合反応の触媒としてチタン化合物またはアンチモン化合物を使用することが望ましい。溶融重合反応触媒としてチタン化合物を用いると得られるポリエステルが濃黄色になり、またアンチモン化合物を用いると得られるポリエステルが灰色を呈するようになり最終的に得られるポリエステルの色相L*を低下させ、黒色性を増加させるために良好である。これらの触媒を採用することにより、最終のポリエステルの色相Lを低下させ、色相Lが30以下となることを実現し、結果的に黒色性を増加させるために良好である。
重合反応の触媒がチタンの場合、触媒量としては、好ましくは原料として用いられるジカルボン酸成分のモル数に対して5〜1000mmol%の範囲である。さらに好ましくは10〜750mmol%の範囲である。5mmol%未満の場合、溶融重合の反応速度が遅く生産上、好ましくない。また得られるポリエステルの濃色性が不十分となるため、好ましくない。1000mmol%を超える場合、触媒が熱劣化を引き起こすため、好ましくない。重合活性が高く、また入手容易であるアンチモン化合物とチタン化合物を併用することも好ましく実施される。
<チタン触媒について>
ここで用いられる触媒のチタン化合物としては、ポリエステル可溶性のチタン元素を含む有機チタン化合物が好ましい。有機チタン化合物としては、チタン錯体化合物であることが好ましく、より具体的には炭素数1〜10のアルキル基を有するテトラアルコキシチタンまたはテトラフェノキシキシチタン、ヘキサアルキルジチタネート、またはオクタアルキルトリチタネート等が挙げられる。テトラアルコキシチタンの具体的な化合物の例としては、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、またはテトラ−n−ブトキシチタンが挙げられる。他のチタン化合物としては、テトラフェノキシチタン、ヘキサブチルジチタネート、またはオクタブチルトリチタネート等が好ましく挙げることができる。
他のチタン錯体化合物として、乳酸チタン、酢酸チタン、テトラキスアセチルアセトナトチタン、テトラキス(2,4−ヘキサンジオナト)チタン、テトラキス(3,5−ヘプタンジオナト)チタン、ビスアセチルアセトナトジメトキシチタン、ビスアセチルアセトナトジエトキシチタン、ビスアセチルアセトナトビス(n−プロポキシ)チタン、ビスアセチルアセトナトジイソプロポキシチタン、ジアセチルアセトナトジブトキシチタン、チタニウムジヒドロキシビスグリコレート、チタニウムジヒドロキシビスラクテート、チタニウムジヒドロキシビス(2−ヒドロキシプロピオネート)、ジメトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジエトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジイソプロポキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジノルマルプロポキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、またはジブトキシビス(トリエタノールアミナト)チタンを好ましく挙げることができる。これらの化合物はポリエステル製造時の重合触媒として用いることができる。
<DEG(ジエチレングリコール)について>
本発明に用いるポリエステル中に含まれるDEGは、0.40≦DEG≦2.00重量%の範囲であることが望ましい。ここでDEGとは、ポリエステル中に含まれるジエチレングリコールの質量%を示す。DEGは、ポリエステルの成形しやすさに影響するため、目的とする成形品(繊維・成型品・フィルム)によって、コントロールすることが望ましい。ただし、DEGが2.0重量%を超える場合、得られる成形品の機械的物性が低下するため、好ましくない。後述するように、本願発明のポリエステル組成物は、フィルム、シート、各種包装容器、繊維等の種々の成形品に使用される。その際には個々の用途によって事情は異なるものの、最低限の機械的強度は求められる場合が多い。よって太陽光によって温度の上昇を抑制可能であっても、機械的強度が極端に劣る場合には本発明の最終的な目的を達成できない場合がある。より好ましくはDEGの含有量が0.45〜1.00質量%、更により好ましくは0.50〜0.80重量%である。
<黒色色素について>
本発明のポリエステル組成物は、カーボンブラック以外の黒色色素をポリエステル組成物に対して、0.05質量%〜40質量%含有し、カーボンブラックをポリエステル組成物に対して実質的に含有しないことを特徴とする。0.05質量%未満の場合、得られるポリエステル組成物の黒色性が不十分であり、好ましくない。40質量%を超えると、ポリエステルを溶融成形する際の工程調子が悪化するため、好ましくない。そのカーボンブラック以外の黒色色素の添加量は、黒色性を維持しつつ、溶融成形性や成形品の機械的強度の物性に悪影響を及ぼさないという観点から、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、0.8〜10質量%が最も好ましい。なお、黒色とは、無彩色、煤や隅のような色であり、光が人間の可視領域における全帯域にわたりむらなく感得されないこと、またはそれに近い状態、ないしそのように人間に感じられる状態を表す。ウェブカラーの色指定に用いられる16進表記では#0000と、ブラウン管や液晶ディスプレイ、デジタルカメラ等で画像表現の際に用いられるRGB(RGBカラーモデル)の表記では(0,0,0)と、CMYK(CMYKカラーモデル)の表記では(0,0,0,100)と、マンセル・カラー・システムの表記ではN1とそれぞれ表現される場合である。
本発明のポリエステル組成物中のカーボンブラックの添加量は実質的に含有せず、0ppmである。0ppmを超えると、ポリエステル組成物中に添加されたカーボンブラックは、可視光領域は波長の電磁波はもちろんのこと、赤外線領域の波長の電磁波まで吸収する特性を有するために、赤外線を照射したときのポリエステル組成物の表面温度の到達温度が大幅に増加するため、好ましくない。ここで実質的に含有しないとは、機器分析を用いても検出限界未満であるか、コンタミネーションによるものとして、ポリエステル、ポリエステル組成物における分野において許容される程度であり、0.5ppm以下であること、より好ましくは0.1ppm以下、更に好ましくは0.01ppm以下であることをいう。ここで、ポリエステル組成物中のカーボンブラックの定量方法としては、JIS規格K6277、ゴム−カーボンブラックの定量−熱分解法及び化学分解法を適宜適用することができる。
<黒色色素の種類について>
本発明のポリエステル組成物に用いる黒色色素は、下記一般式(II)を満たすことが望ましい。
0≦(無機黒色色素)/(有機黒色色素)≦0.5 …(II)
[上数式中、(無機黒色色素)はポリエステル組成物に含まれるカーボンブラック以外の無機黒色色素の質量%を示す。(有機黒色色素)はポリエステル組成物に含まれる有機黒色色素の質量%を示す。]
上記比率が0.5を超える場合、得られるポリエステル組成物の黒色度、色相Lが不十分であるため、好ましくない。上記比率は好ましくは0.2以下であり、さらに好ましくは、0である。すなわち、有機黒色色素単独でポリエステル組成物中へ配合される場合がポリエステル組成物の黒色度を維持しつつ、近赤外領域の波長の光を吸光しないという点でより好ましい態様である。
<無機黒色色素の種類について>
無機黒色色素については、従来公知の赤外線反射性黒色系顔料を用いることができる。
<有機黒色色素の種類について>
有機黒色色素としては、青色系整色色素、黄色系整色色素、紫色系整色色素、赤色系整色色素、橙色系整色色素から選ばれる1種または2種以上の色素を用いられる。ここでの青色系整色色素とは、一般に市販されている整色用色素の中で、「Blue」と表記されているものであって、最大吸収波長が580〜620nm程度にあるものを示す。ここでの紫色系整色色素とは、一般に市販されている整色用色素の中で、「Violet」と表記されているものであって、最大吸収波長が560〜580nm程度にあるものを示す。ここでの赤色系整色色素とは、一般に市販されている整色用色素の中で、「Red」と表記されているものであって、最大吸収波長が480〜580nm程度にあるものを示す。ここでの橙色系整色色素とは、一般に市販されている整色用色素の中で、「Orange」と表記されているものである。ここでの黄色系整色色素とは、一般に市販されている整色用色素の中で、「Yellow」と表記されているものである。
これらの整色用色素としては溶剤染料・分散染料が特に好ましく、青色系整色用色素には、C.I.Solvent Blue 11、C.I.Solvent Blue 25、C.I.Solvent Blue 35、C.I.Solvent Blue 36、C.I.Solvent Blue 45、C.I.Solvent Blue 55、C.I.Solvent Blue 63、C.I.Solvent Blue 78、C.I.Solvent Blue 83、C.I.Solvent Blue 87、C.I.Solvent Blue 94などが挙げられる。紫色系整色用色素には、C.I.Solvent Violet 8、C.I.Solvent Violet 13、C.I.Solvent Violet 14、C.I.Solvent Violet 21、C.I.Solvent Violet 27、C.I.Solvent Violet 28、C.I.Solvent Violet 36などが挙げられる。赤色系整色用色素には、C.I.Solvent Red 24、C.I.Solvent Red 25、C.I.Solvent Red 27、C.I.Solvent Red 30、C.I.Solvent Red 49、C.I.Solvent Red 52、C.I.Solvent Red 100、C.I.Solvent Red 109、C.I.Solvent Red 111、C.I.Solvent Red 121、C.I.Solvent Red 135、C.I.Solvent Red 168、C.I.Solvent Red 179等が挙げられる。橙色系整色用色素には、C.I.Solvent Orange 60などが挙げられる。黄色系整色用色素には、C.I.Solvent Yellow 33、C.I.Solvent Yellow 93、C.I.Disperse Yellow 54、C.I.Disperse Yellow 160、C.I.Disperse Yellow 201などが挙げられる。
上記整色用色素の中でも、キノリン系化合物、アントラキノン系化合物、ペリノン系化合物が色素としての耐熱性が良好であり、ポリエステル組成物を溶融成形するにあたって、色素の熱分解を抑制することができ、ポリエステル組成物が良好な黒色度や、色相Lを維持できる点で好ましい。本発明に用いる有機黒色色素は、これら青色系整色色素、紫色系整色色素、赤色系整色色素、橙色系整色色素、黄色系整色色素の複数種を混合し、調合することが好ましい。特に下記に示した組み合わせ、すなわち
1)青色系整色色素、紫色系整色色素、および黄色系整色色素の組み合わせ
2)青色系整色色素、黄色系整色色素、および赤色系整色色素の組み合わせ
3)青色系整色色素、黄色系整色色素、および橙色系整色色素の組み合わせ
の少なくともいずれか1種の組み合わせが、下記のような可視光の吸収スペクトルの特性やポリエステル組成物の色相L*を特定の値以下にできるので、より好ましい態様である。
<有機黒色色素の物性>
本発明に用いる有機黒色色素を、濃度20mg/L、光路長1cmでのヘキサフルオロイソプロパノール溶液において測定された吸光度が、下記式(1)〜(5)のすべてを満たすことが好ましい。
A400≧0.1 …(1)
A500≧0.1 …(2)
A600≧0.1 …(3)
A700≦0.1 …(4)
A800≦0.1 …(5)
[上記数式中、A400、A500、A600、A700およびA800はそれぞれ波長400nm、500nm、600nm、700nmおよび800nmでの可視光吸収スペクトルにおける吸光度を表す。]
式(1)のA400が0.1未満の場合、得られるポリエステル組成物の色相が、明るくなり、黒色性が不十分となるため、好ましくない。式(2)のA500が0.1未満の場合、得られるポリエステル組成物の色相が、明るくなり、黒色性が不十分となるため、好ましくない。式(3)のA600が0.1未満の場合、得られるポリエステル組成物の色相が、明るくなり、黒色性が不十分となるため、好ましくない。式(4)のA700が0.1を超える場合、得られるポリエステル組成物が近赤外線を吸収するようになり、赤外線を照射したときの到達温度が上昇するため、好ましくない。式(4)のA700は好ましくは0.05以下である。式(5)のA800が0.1を超える場合、得られるポリエステル組成物が近赤外線を吸収するようになり、赤外線を照射したときの到達温度が上昇するため、好ましくない。式(5)のA800は好ましくは0.05以下である。可視光吸収スペクトルにおいてこれらの要件を満たすことによって、黒色度、色相Lにおいて十分に黒色であり、且つ近赤外線領域の光の吸収を抑制することができる。
<有機黒色色素の熱安定性>
本発明に用いる有機黒色色素の熱分解温度は好ましくは300℃以上である。さらに好ましくは320℃以上、340℃以上あることが好ましい。これ以下の温度の場合、ポリエステル重合・成形反応中に熱分解が発生し、目的の黒色が得られないことがあるため好ましくない。また、有機黒色色素の熱分解生成物が最終ポリエステル組成物の物性、特に溶融成形性や機械的物性に悪影響をあたえることがあるため、好ましくない。
<黒色色素の添加時期>
ここでポリエステル製造時におけるカーボンブラック以外の黒色色素の添加時期としては特に限定はないが、エステル交換反応の開始前から重合反応が終了する任意の段階で添加することができる。また後述の混練による添加手法を採用した場合、ポリエステルの重合後、成形加工の直前に添加することも可能である。
<黒色色素の添加方法>
さらに、カーボンブラック以外の黒色色素のポリエステル中への添加方法としては、黒色色素を直接添加する方法、黒色色素を溶解・分散することが可能な溶媒に溶解・分散させ添加する方法を挙げることができる。溶液として添加する方法の場合、溶解させる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレンの如き溶媒や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールの如きポリエステルを構成するジオール成分を溶媒や水、またこれら溶媒の混合液を例示できる。溶媒としては、エチレングリコールが溶解性・分散性に優れ、好ましい。
<黒色色素の乾式添加方法>
また本ポリエステル組成物の製造方法として、溶融状態のポリエステルに混練による添加手法を採用することができる。混練する方法は特に限定されるものではないが、通常の一軸、二軸混練機を使用することが好ましい。さらに好ましくは、得られるポリエステル組成物の重合度の低下を抑制するために、ベント式の一軸、二軸混練機を使用する方法を例示できる。
この混練時の条件は特に限定されるものではないが、例えばポリエステルの融点以上、滞留時間は1時間以内、好ましくは1分〜30分である。また、混練機への黒色色素とポリエステルの供給方法は特に限定されるものではない。例えば乾式法により黒色色素とポリエステルを別々に混練機に供給する方法、黒色色素とポリエステルを適宜混合して供給する方法などを挙げることができる。
<ポリエステル組成物の色相:Color−L(L)>
本発明のポリエステル組成物にあっては、CIE色差系のL系による色相L値が30以下であることが必要である。
Color−L≦30 …(I)
[上数式中、Col−Lはポリエステル組成物のCIE色差系のL系による色相L値を示す。]
値が30以下であることにより、本発明のポリエステル組成物は十分な黒色性を有することが明らかになり、溶融成形を行った場合に得られるポリエステル成形品においても、十分な黒色性を達成することができる。好ましくはL*は0以上30以下であり、より好ましくは0以上26以下である。本発明のポリエステル組成物にあっては、そのようなL値、すなわち黒色性(非白色度)を奏しながら、近赤外線領域の電磁波を吸収しないことによって、発明の効果である太陽の日射によってポリエステル組成物の温度上昇を抑制する性質、およびポリエステル組成物を溶融成形したポリエステル成形品は、太陽光で蓄熱しづらい性質を奏することができる。またこのような発明の効果を奏するにあたっては、上述のようにポリエステル組成物中に配合する黒色色素の選択が重要となる。また補助的に、触媒の適切な選択により黒色色素を配合する前であっても、Lが大きな値とならないようなポリエステルの態様を選択することも重要となりえる。
<ポリエステル組成物の固有粘度、その他>
本発明のポリエステル組成物の固有粘度(溶媒:オルトクロロフェノール、測定温度:35℃)は特に限定はないが、0.3〜1.5dL/gの範囲にあることが好ましい。該固有粘度が0.3dL/g未満の場合、得られるポリエステル繊維の機械的特性が不十分となり、1.5dL/gを超える場合、溶融成形性が低下する為好ましくない、ポリエステル組成物の固有粘度は0.55〜1.3dL/gの範囲がより好ましく、0.6〜0.8dL/gの範囲が更に好ましい。また、本発明の黒色色素を高濃度に含有するマスターチップを製造し、ポリエステルに混練し、本発明のポリエステル組成物・ポリエステル成形品を得ることも可能である。
本発明のポリエステル組成物は、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、リン化合物系安定剤、ラジカル捕捉剤、酸化防止剤、固相重合促進剤、整色剤、蛍光増白剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、難燃剤または艶消剤等を含んでいてもよい。
また本発明のポリエステル組成物は溶融成形して、フィルム、成型品、繊維などのポリエステル成形品を得ることができる。本発明のポリエステル成形品を溶融成形により製造する時の製造方法としては特に限定はなく、従来公知の方法が用いられる。本発明のポリエステル繊維を溶融紡糸により製造する時の製造方法としては特に限定はなく、従来公知の溶融紡糸方法が用いられる。例えば乾燥したポリエステル組成物を270℃〜300℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の速度は400〜9000m/分で紡糸することができ、必要によって延伸工程などを経て繊維の強度を十分なものに高めることが可能である。また紡糸時に使用する口金の形状についても特に制限は無く、円形、異形、中実または中空などのいずれも採用することが出来る。更に本発明のポリエステル繊維は風合を高める為に、アルカリ減量処理も好ましく実施される。
本発明をさらに下記実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定されるものではない。また各種特性は下記の方法により測定した。
(ア)固有粘度:
ポリエステル組成物チップを100℃、60分間でオルトクロロフェノールに溶解した希薄溶液を、35℃でウベローデ粘度計を用いて測定した値から求めた。
(イ)ポリエステル組成物中の金属元素含有量・リン元素含有量:
ポリエステル組成物中の金属元素量は粒状のポリエステル組成物サンプルをスチール板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平坦面を有する試験成形体を作成した。この試験成形体を使って蛍光X線装置(理学電機工業株式会社製3270E型)を用いて求めた。
(ウ)蓄熱試験:
ポリエステル組成物を常法により溶融紡糸、次いで延伸操作を行いポリエステル繊維を得る。そのポリエステル繊維を常法により、筒編み機で筒網試験サンプルを作成後し、試験サンプルの蓄熱温度測定を実施した。筒編サンプルを測定雰囲気:20℃、相対湿度=60%にコントロールした室内において、12時間静置し、安定化させた後、筒編サンプルと赤外線ランプ(東芝製:赤外線乾燥用電球125W)の距離を30cmに設定した。赤外線ランプに100Vの電流を流した時点を、テスト開始時点とし、テスト開始から10分後の布帛温度を測定し、到達温度とした。この到達温度の高低により、太陽の日射によってポリエステル組成物の温度上昇を抑制する性質、およびポリエステル組成物を溶融成形したポリエステル成形品は、太陽光で蓄熱しづらい性質についての評価をすることができる。
[参考例1]有機黒色色素の光吸収スペクトル測定、有機黒色色素Aの調合
表1に示す整色用色素を室温で、20mg/Lのヘキサフルオロイソプロパノール溶液とし、光路長10mmの石英セルに充填し、ブランクセルにはヘキサフルオロイソプロパノールのみを充填して、日立分光光度計U−3010型を用いて、300nm〜820nmの領域での光吸収スペクトルを測定した。有機黒色色素が2種類以上を混合する場合は、合計で濃度20mg/Lになるようにした。400nm、500nm、600nm、700nm、800nmでの吸光度を測定した。結果を表1に示した。さらに、表1に示す整色用色素の粉末の熱質量減少開始温度を測定した。結果を表1に示した。なお、実施例・比較例でこれら有機黒色色素を添加する場合は、100℃の温度で、原料として用いるグリコール溶液に対して、0.1質量%となるように溶解・分散させて使用した。
Figure 2014125588
[実施例1]
・ポリエステル組成物チップの製造
テレフタル酸ジメチル(以下DMTと称する。)194.2質量部とエチレングリコール124.2質量部(DMT対比200mol%)との混合物に、触媒として酢酸マンガン・4水和物0.049質量部(DMT対比20mmol%)をSUS製容器に仕込んだ。常圧下で140℃から245℃に昇温しながらエステル交換反応させ、ほぼ理論量のメタノールを留出したことを確認し、エステル交換反応を終了させた。反応終了時の内温は240℃であった。その後、反応生成物にリン酸トリメチル0.042(DMT対比30mmol%)、三酸化二アンチモン0.116質量部(DMT対比40mmol%)を加え、次いで黒色色素A1.94質量部(最終ポリエステル組成物量に対して、黒色色素Aが1質量%)、撹拌装置、窒素導入口、減圧口および蒸留装置を備えた反応容器に移した。反応容器内温を285℃まで昇温し、30Pa以下の高真空で重縮合反応を行い、固有粘度0.64dL/gであるポリエステル組成物を得た。さらに常法に従いチップ化した。なお、上述した手法によりポリエステル組成物中のカーボンブラックの含有量を評価したが、検出限界以下であった。
・ポリエステル筒網サンプルの製造
ポリエステル組成物チップサンプルを窒素気流下160℃で6時間乾燥後、紡糸温度285℃、口金孔径0.27mm、ホール数24の条件で溶融紡糸・延伸し、84dtex(24fil)のポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を常法により、筒編み機で筒網試験サンプルを作成後し、試験サンプルの蓄熱温度測定を実施した。到達温度は59℃であった。ポリエステル組成物と筒網サンプルの評価結果を表2に示した。
[実施例2〜6,比較例1〜2]
実施例2において、染色剤の種類・量、添加剤の種類・量を表2記載に変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。ポリエステル組成物と筒網サンプルの評価結果を表2に示した。なお、上述した手法によりポリエステル組成物中のカーボンブラックの含有量を評価したが、比較例1以外はいずれも検出限界以下であった。
Figure 2014125588
本発明によれば、黒を呈色するポリエステル組成物であって、太陽の日射によるポリエステル組成物の蓄熱による温度上昇を抑制することが可能な非蓄熱黒原着ポリエステル組成物を提供することが可能となる。その結果、太陽光によって温度の上昇を抑制可能な、種々の成形品(フィルム、シート、各種包装容器、繊維、車のダッシュボード、各種ハウジング)など、非蓄熱黒色ポリエステル成形品を生産することができる。

Claims (4)

  1. 主たる繰り返し単位が、エチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレート、テトラメチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、トリメチレン−2,6−ナフタレートおよびテトラメチレン−2,6−ナフタレートからなる群から少なくとも1種選ばれるポリエステルと、カーボンブラック以外の黒色色素からなるポリエステル組成物であり、前記カーボンブラック以外の黒色色素をポリエステル組成物に対して0.05〜40質量%含有し、カーボンブラックをポリエステル組成物に対して実質的に含有しないポリエステル組成物であって、下記式(I)を満たすことを満たすことを特徴とするポリエステル組成物。
    Color−L≦30 …(I)
    [上数式中、Col−Lはポリエステル組成物のCIE色差系のL系による色相L値を示す。]
  2. 前記黒色色素が下記一般式(II)を満たすことを特徴とする請求項1記載のポリエステル組成物。
    0≦(無機黒色色素)/(有機黒色色素)≦0.5 …(II)
    [上数式中、(無機黒色色素)はポリエステル組成物に含まれるカーボンブラック以外の無機黒色色素の質量%を示す。(有機黒色色素)はポリエステル組成物に含まれる有機黒色色素の質量%を示す。]
  3. 請求項2記載のポリエステル組成物であって、有機黒色色素を、濃度20mg/L、光路長1cmでのヘキサフルオロイソプロパノール溶液において測定された波長300〜820nm間の紫外可視吸収スペクトルによる吸光度が、下記式(1)〜(5)のすべてを満たすことを特徴とする請求項2記載のポリエステル組成物。
    A400≧0.1 …(1)
    A500≧0.1 …(2)
    A600≧0.1 …(3)
    A700≦0.1 …(4)
    A800≦0.1 …(5)
    [上記数式中、A400、A500、A600、A700およびA800はそれぞれ波長400nm、500nm、600nm、700nmおよび800nmでの可視光吸収スペクトルにおける吸光度を表す。]
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステル組成物を成形することによって、得られるポリエステル成形品。
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