JP2014125355A - 表面強化された透光性アルミナ焼結体及びその製造方法 - Google Patents

表面強化された透光性アルミナ焼結体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
透光性アルミナ焼結体の強度特性を向上させることを課題とした。特に、焼結したままの無加工状態でも透光性を損なうことなく、強度向上した透光性アルミナ焼結体の開発を目的とした。
【解決手段】
本発明者等はアルミナ焼結体の強度向上を検討し、アルミナ焼結体の表面部分がアルミナまたは、アルミナ複合酸化物からなり、その平均結晶粒径が0.5μm以下であり、かつ焼結体内部に比べ平均結晶粒径が1/2以下にしたとき、強度特性が1.5倍に向上することを見出した。Si、Mg、Yのいずれかの金属酸化物をアルミナ表面に添加し、HIPを用いた高温高圧下の焼成することで高強度な透光性アルミナ焼結体が得られることがわかった。
【選択図】 なし

Description

本発明は透光性アルミナ焼結体に係るものであり、さらには、表面が強化された透光性アルミナ焼結体及びその製造方法に係るものである。
近年、透光性アルミナ焼結体の用途は、窓材や発光管などの光学用途以外にも、その高い意匠性から電子機器等の外装部品や各種装飾部品などへの用途に広がってきている。用途の広がりに伴い、透光性アルミナ焼結体には、光学用途で必要とされる以上の機械的特性が求められている。
従来のアルミナ焼結体、いわゆる透光性を有さないアルミナ焼結体の機械的特性を改善する方法としては、例えば、アルミナ焼結体表面へのムライト形成やイオン照射による表面層の変質など、表面改質による強化方法が検討されている。これらの方法は、アルミナ焼結体表面部の化学的変化を伴うものであり、透光性アルミナ焼結体には透光性が低下するために適用できなかった。
透光性アルミナ焼結体の機械的特性を改善する方法としては、例えば、透光性アルミナ焼結体の表面にアルミナまたはシリカをコーティングする方法、化学蒸着する方法またはスパッタリングする方法等が検討されている(特許文献1〜2)。
特開2010−115492号公報 特開昭64−024084号公報
アルミナまたはシリカをコーティングした透光性アルミナ焼結体においては、コーティング相の屈折率とアルミナ焼結体の屈折率との違いによる干渉色の発生が生じることがあった。そのため、透光性アルミナ焼結体を光学用途で使用するためには、高い透光性を維持しながら、この干渉色をできる限り抑え、更に高い機械的強度を有することが市場から望まれていた。
本発明は、表面が強化された透光性アルミナ焼結体、特に、高い透光性及び機械的特性を兼ね備え、表面が強化された透光性アルミナ焼結体及びその製造方法を提供する。
本発明者等は上記の課題に鑑み、高い透明性及び高い機械的特性を兼ね備えた透光性アルミナ焼結体について鋭意検討した。その結果、透光性アルミナ焼結体の表面部分の平均結晶粒径を、焼結体内部における平均結晶粒径と比べて大幅に小さくすることにより、透光性を低下させることなく、機械的特性が向上した透光性アルミナ焼結体が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、透光性アルミナ焼結体の表面部分における平均結晶粒径が1μm以下であり、かつ当該焼結体表面部分から100μmの深さにおける平均結晶粒径の1/2以下であることを特徴とする透光性アルミナ焼結体、及びアルミナ原料を成形後、一次焼結して得られたアルミナ一次焼結体表面に、Si、Mg、Yのいずれか1つの金属酸化物層を形成した後、一次焼結温度以上の温度で熱間静水圧プレス(HIP)処理を行うことを特徴とする上記透光性アルミナ焼結体の製造方法に関する。
以下、本発明の透光性アルミナ焼結体(表面強化透光性アルミナ焼結体)について説明する。
本発明の透光性アルミナ焼結体の表面部分における平均結晶粒径は1μm以下であり、かつ表面部分における平均結晶粒径が、当該表面部分から100μmの深さにおける平均結晶粒径の1/2以下であることを特徴とする。このような範囲内とすることにより、透光性アルミナ焼結体の強度低下の原因と推測される表面欠陥のサイズを小さくする効果があり、強度が大幅に向上する。より高強度、高靭性の透光性アルミナ焼結体とするためには、表面部分の平均結晶粒径は0.5μm以下で、かつ、表面部分から100μmの深さにおける平均結晶粒径の1/4以下が好ましい。
本発明でいう透光性アルミナの表面部分とは、透光性アルミナ焼結体表面から1μmの深さまでの部分を示す。
本発明の透光性アルミナ焼結体の表面部分を構成する結晶は、アルミナ又はアルミナとアルミナ複合酸化物との複合組織であることが好ましい。
アルミナとしては、α−Al結晶が好ましく、アルミナ複合酸化物としては、MgAl結晶、又はYAl12結晶が好ましい。
本発明の透光性アルミナ焼結体が機械的特性が向上する理由は定かではない。しかしながら、焼結体の表面部分の平均結晶粒径が1μm以下でかつ当該焼結体表面部分から100μmの深さにおける平均結晶粒径の1/2以下であることで、焼結体の表面欠陥のサイズが減少し、透光性アルミナ焼結体の機械的特性が向上すると考えられる。
なお、本発明の透光性アルミナ焼結体において、焼結体表面部分から100μmの深さにおける平均結晶粒径を規定している理由は、焼結体表面部分から、より内部の平均粒径を求めるために走査型電子顕微鏡(SEM)測定用の試料を調製しようとすると、表面の研削・研磨により、現実的には100μm程度は削れてしまうためである。本発明の透光性アルミナ焼結体の断面のSEM写真から、焼結体表面部分から少なくとも10μmより深い部分における結晶の平均結晶粒径は、焼結体表面部分から100μmの深さにおける結晶の平均結晶粒径と同等である。
本発明の透光性アルミナ焼結体においては、SiOや非晶質Al等のコーティングによる表面強化の問題点であるコーティング相の屈折率とアルミナ焼結体の屈折率の違いによる干渉色の発生がない。また、本発明で得られる表面部分の結晶粒径が小さい透光性アルミナ焼結体は、通常の表面と内部の粒径差がほとんどない透光性アルミナ焼結体と比べても遜色の無い透光性を有する。
なお、本発明の透光性アルミナ焼結体において、焼結体表面部分の全面に渡って結晶粒径が小さい必要はなく、焼結体において応力が集中する部分の表面が少なくともそのような構造となっていることが好ましい。
本発明の透光性アルミナ焼結体の平均三点曲げ強度値は、少なくとも500MPaを示し、少なくとも600MPaを示すものもある。
本発明の透光性アルミナ焼結体の透明性は、例えば、試料厚さ1mm、測定波長600nmにおける全光線透過率が少なくとも60%であることが好ましく、少なくとも65%であることがより好ましく、少なくとも70%であることが更に好ましい。当該全光線透過率が少なくとも60%であることで、表面強化透光性アルミナ焼結体が高い審美性を有する。
なお、本発明でいう全光線透過率は、以下の関係式を有するパラメーターである。
Ti=Tt−Td ・・・(1)
Tt:全光線透過率(%)
Td:拡散透過率(%)
Ti:直線透過率(%)
次に、本発明の透光性アルミナ焼結体の製造方法について説明するが、本発明は以下の製造方法に限定されるものではない。
本発明の透光性アルミナ焼結体は、アルミナ原料を成形後、一次焼成して得られたアルミナ一次焼結体表面に、Si、Mg、Yのいずれか1つの金属酸化物層を形成した後、一次焼結温度以上の温度で熱間静水圧プレス(HIP)処理することで製造することができる。
アルミナ原料としては、MgO又はY等の粒成長抑制剤を含んでいないことが好ましく、具体的には、MgO又はYの含有量が0.05重量%以下であることが好ましい。また、アルミナ含有率が99.95重量%以上であることが好ましい。このようなアルミナ原料を用いて得られる透光性アルミナ焼結体の透過率を高くすることができる。なお、アルミナ焼結体のアルミナ含有率とは、アルミナ焼結体の重量に対するアルミナの重量%である。
アルミナ原料の成形は、例えば、一軸機械プレス、冷間等方圧プレス(CIP)、射出成形、鋳込み成形、テープ成形等、一般的に知られた方法で成形することができる。それぞれの成形法にて成形する際は、必要に応じて界面活性剤やバインダー添加、原料の顆粒化、コンパウンド化などを行うことができる。
次に、アルミナ成形体を一次焼結する。この工程で得られるアルミナ一次焼結体としては、最終的に透光性アルミナ焼結体が得られれば特に制限されない。
上記アルミナ一次焼結体の相対密度としては、少なくとも95%が好ましく、95%以上98%以下であることがより好ましい。このようなアルミナ一次焼結体は、一般に常圧焼結により得られる。
一次焼結温度としては、アルミナ原料の粒径、比表面積により異なるが、粒径がサブミクロンのアルミナ原料の場合、1200〜1300℃、保持時間は1時間以上が好ましい。この条件にて相対密度が95%以上98%以下であるアルミナ焼成体が得られる。
次いで、アルミナ一次焼結体の表面に、Si、Mg、Yから選ばれる元素の金属酸化物層を形成する。
金属酸化物層は、アルミナ一次焼結体表面の全面を覆っている必要はなく、アルミナ一次焼結体の一部の表面に存在していれば良い。特に応力集中が起こる場所に存在していればよい。
形成方法としては、アルミナ一次焼結体の表面に、目的の元素からなる金属酸化物層が形成される方法であれば、特に限定されない。例えば、市販のSi、Mg、Yのいずれかの酸化物を含むコーティング溶液を使用して、浸漬(DIP)法等により形成する方法、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の水溶性の金属塩を用いて水溶液を作成し、その中にアルミナ一次焼結体を浸す方法(液相法)、ゾル−ゲル法、化学蒸着(CVD)法、スパッタ法、イオンプレーティング法等の物理蒸着(PVD)法等を例示することができる。
例えば、SiO層を形成する場合、CVD法では、SiClの高温加水分解法やSi(OR)(R:アルキル基)等の有機ケイ素化合物のプラズマ分解法が例示できる。スパッタ法では、SiOターゲット又はSiターゲットに、アルゴンプラズマ又は酸素プラズマを衝突させる方法が例示できる。イオンプレーティング法では、SiOを電子ビームで加熱蒸発させる方法が例示できる。液相法としては、ケイ弗化水素酸の過飽和溶液から酸化珪素を基材に析出させるLPD法や有機官能基を有するオルガノシランの加水分解から酸化珪素を基材に析出させる方法を例示することができる。ゾル−ゲル法としてはシリコンアルコキシド溶液を基材に浸漬塗布し、加水分解する方法が例示できる。
凹凸のある複雑形状のアルミナ一次焼結体上に、シリカ層を形成する場合には、有機ケイ素化合物を用いたプラズマ分解法が好ましい。
アルミナ一次焼結体上に形成するシリカの厚さとしては、当該焼結体表面部分のアルミナの粒成長を抑制するために、0.5μm以下が好ましく、0.2μmがより好ましい。このシリカ層の厚みであると、次のHIP処理、特に1300℃以上の温度域での処理において、表面のアルミナ粒子の粒成長を抑制しながら、シリカ層の蒸発が開始し、処理後のアルミナ焼結体表面にシリカがほとんど存在しなくなる。
また、MgO層又はY層を形成した場合、Mg、YはHIP処理工程でシリカのようには蒸発せず、アルミナ表面でMgAl、YAl12等のアルミナ複合酸化物を形成する。MgO層又はY層中のMg又はYの必要量は、HIP処理による透明化処理中に表面のアルミナ粒子の粒成長を抑制できればよい。
一次焼結体上のMgは、表面のアルミナと反応して、MgAlを生成するため、表面に存在するアルミナとの反応量以上にMgを含む場合にはMgOとして表面に偏析する。Yの場合も同様に、表面のアルミナと反応して、YAl12が生成するため、表面に存在するアルミナとの反応量以上にYを含む場合、Yとして表面に偏析する。MgO又はYの偏析は、表面粗さ、透過率、強度の低下の原因となるため、好ましくない。
Si、Mg、Yから選ばれる元素の金属酸化物層形成後は、HIP処理工程前に必要に応じて酸素存在下で加熱処理を行って、より量論に近い金属酸化物とすることができる。
次に、上記のようにして得られたアルミナ一次焼結体に対して熱間静水圧プレス(HIP)処理を行い、本発明の透光性アルミナ焼結体を得ることができる。HIP処理の温度条件としては、より高い機械的強度とするために1200℃以上1550℃以下で1〜10時間、好ましくは、1300℃以上1500℃以下で1〜10時間である。
HIP処理における加圧焼結の圧力としては少なくとも50MPaが好ましく、少なくとも100MPaがより好ましい。圧力は高いほど焼結体中の気孔が小さくなり、透光性が高くなる。HIP処理を行なう場合、HIP処理の圧力媒体はアルゴンガス、窒素ガスであることが好ましく、アルゴンガスであることが好ましい。
本発明は、透光性及び高い機械的特性を有する透光性アルミナ焼結体とその製造方法に関する。本発明の製造方法で得られる透光性アルミナ焼結体は、強度と透光性が必要とされる製品、例えば医療用精密部品、工業用精密部品、時計・電子機器等の外装部品等に利用することができる。
実施例1で得られた焼結体の表面のSEM写真を示す図である。 実施例1で得られた焼結体の断面のSEM写真を示す図である。 実施例2で得られた焼結体の表面のSEM写真を示す図である。 実施例3で得られた焼結体の表面のSEM写真を示す図である。 比較例1で得られた焼結体の表面のSEM写真を示す図である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(全光線透過率)
全光線透過率は、JISK7105「プラスティックスの光学特性試験方法」およびJISK7361−1「プラスティック・透明材料の全光線透過率の試験方法」に基づいて測定した。測定試料は片面を研削することで焼結体厚みを1mmに加工し、研削面は表面粗さRa=0.02μm以下に鏡面研磨した。測定にはダブルビーム方式の分光光度計(日本分光株式会社製、商品名「V−650型」)を用い、光源(重水素ランプおよびハロゲンランプ)より発生した光を試料に透過および散乱させ、積分球を用いて全光線透過量を測定した。測定試料は研削処理していない面(表面強化された面)から光が入射するように設置した。測定波長領域は200〜800nmの領域とし、全光線透過率は可視光線領域の600nmの波長での全光線透過率とした。
(焼結体表面、内部の観察)
実施例及び比較例で得られた焼結体の表面部分と表面部分から100μmの深さの部分をSEM(日本電子製、商品名「JSM−5400」)により観察し、透光性アルミナ焼結体の焼結体組織を観察した。
(平均結晶粒径)
アルミナ焼結体表面の結晶粒径は、試料表面のSEM写真を用いて測定した。また、焼結体表面から100μmの深さにおける平均結晶粒径は、試料を平面研削した後、ダイヤモンド砥粒9μm、6μm、1μmを順に用いて鏡面研磨し、次いで研磨面を熱エッチングした後にSEM観察した。
なお、熱エッチングは試料を電気炉に入れ、その試料のHIP処理温度より50℃〜100℃低い温度で2時間保持することで行った。SEM写真から、平均粒径をJ.Am.Ceram.Soc.,52[8]443−6(1969)に記載されている方法に従い、(6)式により求めた。
D=1.56L (6)
ここで、D:平均結晶粒径(μm)、L:任意の直線を横切る結晶粒子の平均長さ(μm)である。Lの値は100本以上の実測長さの平均値とした。
(平均三点曲げ強度)
三点曲げ試験は、JISR1601「ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法」に基づきサンプルの強度を測定し、サンプル10本の平均値を平均三点曲げ強度とした。測定用サンプルは、アルミナ一次焼結体の角柱を作製し、その上下面を粗さRa≦0.20μmとなるまで研削研磨した後、表面処理とHIP処理により得られた透光性アルミナ焼結体を用いた。
実施例1
(アルミナ一次焼結体の作製)
高純度アルミナ粉末(大明化学工業製、99.99重量%、比表面積14m/g)を一軸プレス装置と金型を用い、圧力50MPaを加え、次に冷間静水圧プレス装置で圧力200MPaを加え、40mm×50mm、厚さ5mmの板状成形体を得た。また、透過率測定用に、同様な方法でφ20mm、厚さ2mmの円板状成形体を作製した。
得られた各成形体を、大気中1300℃、2時間で一次焼結してアルミナ一次焼結体を得た。得られた板状のアルミナ一次焼結体を機械加工し、全面研削、研磨した角柱(3×4×40mm)を用意した。
(シリカ層の表面形成)
次いで、イオンプレーティング法により、得られた角柱状及び円板状アルミナ一次焼結体の表面に非晶質シリカ層を形成した。
イオンプレーティング法は、アルミナ一次焼結体をアルミニウム基板上に貼り付け、SiO粉末を電子ビーム加熱して昇華させるイオンプレーティング装置(昭和真空製、商品名「SIP−700型」)を用いて実施した。非晶質シリカ層の厚さは0.2μmとした。
(HIP処理)
非晶質シリカ層を表面に形成したアルミナ一次焼結体(角柱状及び円板状)をHIP装置に入れ、アルゴンガスを媒体として、1500℃、150MPaで1時間HIP処理し、透光性アルミナ焼結体を製造した。
得られた表面強化された透光性アルミナ焼結体の全光線透過率と平均三点曲げ強度を測定した結果を表1に示すが、透過率は損なわれずに、表面強化されていない透光性アルミナ焼結体に比べて、平均三点曲げ強度が向上することがわかった。
また、表面強化された透光性アルミナ焼結体表面のX線回折(XRD)を測定した結果、その表面はα―アルミナのみで構成されていた。また、表面強化された透光性アルミナ焼結体断面の透過型電子顕微鏡(TEM)を観察した結果、シリカ層は確認できなかった。
このことから、表面強化された透光性アルミナ焼結体表面は微細なアルミナ組織からなっていることが確認された。
また、表面強化されたアルミナ焼結体の表面をSEMで観察した結果を図1に、また、焼結体の断面をSEMで観察した結果を図2にそれぞれ示す。図2からわかるように、表面のみ微粒組織であり、内部は数μmの平均結晶粒径を有する組織となっていた。また、焼結体表面と内部(表面から100μmの部分)の平均結晶粒径を表1にそれぞれ示す。表面は内部に比べ結晶粒径が小さいことが確認できた。また、コーティング膜を有する時のような干渉色は見られなかった。
実施例2
実施例1と同様にしてアルミナ一次焼結体からなる角柱状及び円板状のサンプルを製造し、次いで、イオンプレーティング法により、得られた各アルミナ一次焼結体の表面にMgO層を形成した。
イオンプレーティング法は、アルミナ一次焼結体をアルミニウム基板上に貼り付け、MgO粉末を電子ビーム加熱して昇華させるイオンプレーティング装置(昭和真空製、商品面「SIP−700型」)を用いて、MgO層を形成した。MgO層の厚さは0.1μmとした。
MgO層を表面に形成したアルミナ一次焼結体(角柱状及び円板状)をHIP装置に入れ、アルゴンガスを媒体として、1500℃、150MPaで1時間HIP処理し、透光性アルミナ焼結体を製造した。
得られた表面強化された透光性アルミナ焼結体の全光線透過率と平均三点曲げ強度を測定した結果を表1に示すが、透過率は損なわれずに、表面強化されていない透光性アルミナ焼結体に比べて、平均三点曲げ強度が向上することがわかった。
また、表面強化されたアルミナ焼結体表面のXRDを測定した結果、その表面はα―アルミナ結晶相とMgAl結晶相から構成され、MgO結晶相は存在しなかった。
表面強化されたアルミナ焼結体表面をSEMで観察した結果を図3に示し、また、焼結体表面と内部(表面から100μmの部分)の平均結晶粒径を表1にそれぞれ示す。表面は内部に比べ結晶粒径が小さいことが確認できた。また、コーティング膜を有する時のような干渉色は見られなかった。
実施例3
実施例1と同様にしてアルミナ一次焼結体からなる角柱状及び円板状のサンプルを製造し、次いで、Yコート材料(高純度化学社製、酸化物濃度3%)を用いて、DIP装置にてアルミナ一次焼結体表面にYコートを1回行い、表面にY層を形成した。Y層の厚さは0.05μmとした。
を表面に形成したアルミナ一次焼結体(角柱状及び円板状)をHIP装置に入れ、アルゴンガスを媒体として、1400℃、150MPaで1時間HIP処理し、透光性アルミナ焼結体を製造した。
得られた表面強化された透光性アルミナ焼結体の全光線透過率と平均三点曲げ強度を測定した結果を表1に示すが、透過率は損なわれずに、表面強化されていない透光性アルミナ焼結体に比べて、平均三点曲げ強度が向上することがわかった。
また、表面強化されたアルミナ焼結体表面のXRDを測定した結果、その表面はα―アルミナ結晶相とYAl12結晶相から構成され、Y結晶相は存在しなかった。
表面強化されたアルミナ焼結体表面をSEMで観察した結果を図4に示し、焼結体表面と内部(表面から100μmの部分)の平均結晶粒径をそれぞれ表1に示す。表面は内部に比べ結晶粒径が小さいことが確認できた。また、コーティング膜を有する時のような干渉色は見られなかった。
比較例1
実施例1と同様にしてアルミナ一次焼結体からなる角柱状及び円板状のサンプルを製造した。
次に得られたアルミナ一次焼結体をHIP装置に入れ、アルゴンガスを媒体として、1500℃、150MPaで1時間HIP処理し、透光性アルミナ焼結体を製造した。
透光性アルミナ焼結体の平均三点曲げ強度を測定した。また、透光性アルミナ焼結体表面をSEMで観察した結果を図5に示し、その平均結晶粒径を表1に示す。焼結体表面と内部(表面から100μmの部分)で結晶粒径があまり変わらないことが確認できた。
比較例2
非晶質シリカ膜の膜厚を0.2μm、HIP処理条件を大気中、1000℃、1hとした外は、実施例1と同様に行ってシリカ層がその表面に残存する透光性アルミナ焼結体を製造した。得られた透光性アルミナ焼結体は光の干渉色が見られた。
Figure 2014125355
本発明により、高い透光性と高い機械的特性を兼ね備えた透光性アルミナ焼結体を得ることができる。そのため、当該焼結体は高い機械的特性及び透光性が必要とされる製品、例えば医療用精密部品、工業用精密部品、時計や電子機器等の外装部品等に利用することができる。

Claims (9)

  1. 透光性アルミナ焼結体の表面部分における平均結晶粒径が1μm以下であり、かつ当該焼結体表面部分から100μmの深さにおける平均結晶粒径の1/2以下であることを特徴とする透光性アルミナ焼結体。
  2. 表面部分を構成する結晶が、アルミナである請求項1記載の透光性アルミナ焼結体。
  3. 表面部分を構成する結晶が、アルミナとアルミナ複合酸化物である請求項1記載の透光性アルミナ焼結体。
  4. アルミナ複合酸化物が、MgAlまたはYAl12である請求項3記載の透光性アルミナ焼結体。
  5. 測定波長600nm、試料厚さ1mmにおける全光線透過率が少なくとも60%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透光性アルミナ焼結体。
  6. アルミナ原料を成形後、一次焼結して得られたアルミナ一次焼結体表面に、Si、Mg、Yのいずれか1つの金属酸化物層を形成した後、一次焼結温度以上の温度で熱間静水圧プレス(HIP)処理を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透光性アルミナ焼結体の製造方法。
  7. アルミナ一次焼結体の相対密度が少なくとも95%であることを特徴とする請求項6記載の透光性アルミナ焼結体の製造方法。
  8. 一次焼成を大気中、1200〜1300℃で行う請求項6又は請求項7に記載の透光性アルミナ焼結体の製造方法。
  9. HIP処理を温度1200〜1500℃、圧力50〜200MPaで行う請求項6〜8のいずれかに記載の透光性アルミナ焼結体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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TWI705950B (zh) * 2015-05-13 2020-10-01 日商日本碍子股份有限公司 礬土燒結體以及光學元件用底層基板

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