JP2014114447A - 芳香族含窒素複素環をグラフト鎖に有するグラフト共重合体、その製造方法およびそれを用いるイオン吸着材 - Google Patents

芳香族含窒素複素環をグラフト鎖に有するグラフト共重合体、その製造方法およびそれを用いるイオン吸着材 Download PDF

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Yusuke Amano
雄介 天野
Keisuke Morikawa
圭介 森川
Takumi Takayama
拓未 高山
Naoki Fujiwara
直樹 藤原
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

【課題】金属イオン等を効率よく吸着し回収することを可能にする、グラフト共重合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】(1)エチレン−ビニルアルコール系共重合体にグラフト鎖を導入したグラフト共重合体において、芳香族含窒素複素環がグラフト鎖に導入されていることを特徴とするグラフト共重合体。(2)グラフトに用いる基材を準備する工程と、前記基材に対して、電離放射線を作用させ、ついで(1)芳香族含窒素複素環を有する不飽和単量体をグラフト重合することにより、または(2)芳香族含窒素複素環に変換可能な官能基を有する不飽和単量体をグラフト重合して、グラフト重合後、官能基の変換を行うことにより、
芳香族含窒素複素環を有するグラフト鎖を導入し、芳香族含窒素複素環を有するグラフト鎖が導入されたグラフト共重合体を得る工程と、を備える、グラフト共重合体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、白金族金属をはじめとする種々の金属および半金属イオンを、効率よく吸着し回収することを可能にする、芳香族含窒素複素環をグラフト鎖に有するグラフト共重合体、その製造方法および該グラフト共重合体を用いた金属および半金属イオン吸着材に関する。
近年、貴金属やレアメタルなどの金属資源はその需要の高まりと、資源ナショナリズム
による供給制限とが相まって、供給不安、価格の高騰など市場は不安定である。そのよう
な状況において、使用済みの製品をリサイクルする技術や仕組みの構築、更には、回収や
製錬工程で極力ロスを少なくする技術開発が精力的に行われている。
金属イオン含有水溶液から金属を分離・回収する方法としては、ジブチルカルビトール
のような有機溶剤を用いて金属を抽出させる溶媒抽出法、イオン交換樹脂やキレート樹脂
などを用いて分離・回収する吸着法があり、特に後者は希薄な溶液処理に適している。
例えば、側鎖にチオウレア基を有するキレート樹脂がいくつか市販されており、水銀の
除去、貴金属の回収に利用されている。また、特許文献1および2では、ポリエチレン繊
維にチオウレア基をグラフト化させた化合物や結晶性セルロース粒子上にチオウレア基を
導入した化合物が開示されている。しかしながら、チオウレア基を有するキレート樹脂は
、金属を吸着後、樹脂を燃焼させ金属を回収するなどのプロセスでは、廃ガスにSOxが
発生するなどの課題を有しており、SOxを発生させないキレート樹脂への代替が望まれ
ている。
特許第4198460号公報 特開2009−13204号公報
従って、本発明の目的は、S源を有さず、硝酸水溶液からの貴金属の回収などに使用可能なグラフト共重合体、その製造方法および該グラフト共重合体を用いる金属イオン等の吸着に有効なイオン吸着材を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、電離放射線を基材に作用
させ、グラフト鎖を導入したグラフト共重合体において、芳香族含窒素複素環がグラフト
鎖に導入されているグラフト共重合体を作製することにより、硝酸水溶液からの貴金属の
回収などに使用可能なS源を含まない吸着材の可能性を見出し、本発明を完成した。さら
に基材として多孔質なエチレン-ビニルアルコール系共重合体を用いることでより高いグラフト率、より高いイオン吸着性能を達成できることを見出した。
すなわち、本発明第1の構成は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体にグラフト鎖を導入したグラフト共重合体において、芳香族含窒素複素環がグラフト鎖に導入されていることを特徴とするグラフト共重合体である。
前記芳香族含窒素複素環が有するアミノ基の導入量が5.0mmol/g以上であることが好ましい。
前記グラフト共重合体が多孔質体であり、前記多孔質体の表面に形成された細孔の平均細孔径が0.01μm〜50μmであることが好ましい。
前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体が粒子状の多孔質体であり、粒子の表面に形成された細孔の平均細孔径が0.01μm〜50μmであることが好ましい。
なお、本発明において、多孔質とは、粒子中に複数個の細孔が存在することを意味している。なお、この細孔は、連続構造であってもよく、独立構造であってもよい。
前記グラフト共重合体が、平均粒子径が10μm〜2000μmの粒子状であることが好ましい。
本発明第2の構成は、グラフトに用いる基材を準備する工程と、
前記基材に対して、(1)電離放射線を作用させ、ついで芳香族含窒素複素環を有する不飽和単量体のグラフト重合を行うか、または(2)芳香族含窒素複素環に変換可能な官能基を有する不飽和単量体をグラフト重合して、グラフト重合後、官能基の変換を行うことにより、芳香族含窒素複素環を有するグラフト鎖を導入し、芳香族含窒素複素環を有するグラフト鎖が導入されたグラフト共重合体を得る工程と、を備える、グラフト共重合体の製造方法である。
本発明第3の構成は、前記のグラフト共重合体を用いてなる金属および半金属イオン吸着材である。
本発明のグラフト共重合体は、基材に芳香族含窒素複素環を有するグラフト鎖が導入されたグラフト共重合体であるため、例えば、硝酸水溶液中からの貴金属イオンの吸着回収など金属・半金属イオンを吸着、回収することが可能である。
また、本発明のグラフト共重合体の製造方法では、上記のような優れた性能を有するグ
ラフト共重合体を、基材に電離放射線を作用させて、芳香族含窒素複素環を有する不飽和単量体をグラフトすることにより、芳香族含窒素複素環がグラフト鎖に導入されたグラフト共重合体を効率よく製造することができる。
本発明のイオン吸着材は、芳香族含窒素複素環が導入されている基材を用いるため、各種金属・半金属イオンを効率的に吸着・回収することが可能である。
(グラフト共重合体)
本発明は、電離放射線が照射された基材に芳香族含窒素複素環を有する不飽和単量体をグラフト重合することにより得られるグラフト共重合体である。より詳しくは、エチレン−ビニルアルコール系共重合体にグラフト鎖が導入されたグラフト共重合体において、芳香族含窒素複素環がグラフト鎖に導入されたグラフト共重合体である。
本発明のグラフト鎖に導入される芳香族含窒素複素環としては、特に限定されず、例えば、ピロール基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピリジン基、ピジダジン基、ピリミジン基、ピラジン基、キノリン基、イソキノリン基、キノキサリン基、シンノリン基、イミダゾリン基、ベンゾイミダゾリン基、インドール基、イソインドール基、ベンゾイミダゾール基、トリアジン基、トリアゾール基、ベンゾトリアゾール基、テトラゾール基、オキサゾール基、イソオキサゾール基、オキサジアゾール基、オキサトリアゾール基、プリン基、プテリジン基などが挙げられる。
本発明のグラフト共重合体は、導入された含窒素複素環化合物に由来するアミノ基の優れた吸着特性により、高い吸着性能を示す。なお、本発明における「含窒素複素環化合物に由来するアミノ基の数」は、含窒素複素環化合物が有する窒素原子の数と同義である。アミノ基の導入量、すなわち、該グラフト共重合体が単位質量あたりに保有するアミノ基のモル数は特に限定されないが、吸着性能の観点から、5.0mmol/g以上であることが好ましく、6.0mmol/g以上であることがより好ましく、6.5mmol/g以上であることがさらに好ましい。導入量が5.0mmol/g未満の場合、金属イオンの吸着性能が充分に得られないことがある。一方、導入量が20mmol/gを超える場合、粒子の膨潤を抑制することが難しく、また製造上も困難な場合が多い。なお、本発明におけるアミノ基は、それらの一部またはすべてが塩の状態で存在してもよい。
本発明のグラフト共重合体は、官能基を効率的に利用する観点から、多孔質体であることが好ましい。多孔質体は、少なくとも表面に細孔が形成されていればよく、構造の内部まで細孔が形成されていなくてもよい。表面に形成される細孔は、平均細孔径が0.01μm〜50μm程度であってもよく、好ましくは0.05μm〜20μm、より好ましくは0.2μm〜10μm程度であってもよく、さらに好ましくは0.2μm〜7μm程度であってよい。上記の平均細孔径の値は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
本発明のグラフト共重合体の形状としては、特に限定されず、グラフト共重合体の適用箇所に応じて、繊維やその集合である織布や不織布、粒子、シート、フィルムあるいはそれらの加工品など各種の形状から選択することができる。これらのうち、官能基を有効に利用する観点から、粒子状であることが好ましい。粒子状である場合、適宜粉砕などにより目的の粒子径の粒子を用いることができるが、粒子径としては10μm〜2000μmであることが好ましく、30μm〜1500μmがさらに好ましく、40μm〜1000μmが最も好ましい。粒子径が10μm以下の場合、微粉が飛散し易いなど取り扱いが難しい。粒子径が2000μm以上の場合、官能基を充分に利用できないことがある。
(エチレン−ビニルアルコール系共重合体)
本発明のグラフト共重合体の基材として用いられるエチレン−ビニルアルコール系共重
合体は、上記の性質を有するグラフト共重合体を得ることができる限り特に限定されない
が、例えば、そのエチレン含有量は、10〜60モル%程度であってもよく、20〜50
モル%程度が好ましい。エチレン含量が10モル%未満の場合、得られるグラフト共重合
体の耐水性が低下する虞がある。一方、エチレン含量が60モル%を越えると製造が難し
く入手が困難である。
また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体のけん化度は、90モル%以上が好まし
く、95モル%以上がより好ましく、99モル%以上が特に好ましい。けん化度が90モ
ル%未満の場合、成形性が悪くなったり、得られるグラフト共重合体の耐水性が低下したりする虞がある。
また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体のメルトフローレート(MFR)(21
0℃、荷重2160g)についても特に限定されないが、0.1g/分以上が好ましく、
0.5g/分以上がより好ましい。0.1g/分未満の場合、耐水性や強度が低下する虞
がある。なお、メルトフローレートの上限は通常用いられる範囲であればよく、例えば、
25g/分以下であってもよい。
本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で
別の不飽和単量体単位を含んでいてもよい。該不飽和単量体単位の含量は、10モル%以
下であることが好ましく、5%モル以下であることがより好ましい。
このようなエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、単独で又は2種以上組み合わせ
て用いることができる。
エチレン−ビニルアルコール系重合体の形状としては、特に限定されず、グラフト共重合体の適用箇所に応じて、繊維やその集合である織布や不織布、粒子、シート、フィルムあるいはそれらの加工品など各種の形状から選択することができる。これらのうち、金属イオンとの吸着性を向上する観点から、粒子状であることが好ましい。粒子状である場合、適宜粉砕などにより目的の粒子径の粒子を用いることができるが、平均粒子径としては10μm〜2000μmであることが好ましく、30μm〜1500μmがさらに好ましく、40μm〜1000μmが最も好ましい。平均粒子径が10μm以下の場合、微粉が舞い易いなど取り扱いが難しい。平均粒子径が2000μm以上の場合、グラフト率が上がらず目的の金属イオン吸着能が充分に得られないことがある。
さらに、エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、グラフト鎖を効率的に導入する観点から、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体であるこが好ましい。多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、発泡剤などの気孔形成材とエチレン−ビニルアルコール系共重合体とを溶融混合することにより多孔質化させてもよいが、細孔のサイズを制御する観点から、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体はエチレン−ビニルアルコール系共重合体と水溶性ポリマーとを溶融混練などにより混合し、溶融物を冷却固化させた複合体を得る工程と、前記複合体から水溶性ポリマーを抽出する工程と、によって形成するのが好ましい。
なお、本発明において、「溶融物の冷却固化」とは、溶融物を凝固浴など用いることな
く冷却固化することを意味している。
本発明に用いられる水溶性ポリマーは、エチレン−ビニルアルコール系共重合体と溶融
混合できる限り特に限定されず、一般に知られている水溶性ポリマーが利用できる。当該
水溶性ポリマーは、例えば、デンプン;ゼラチン;セルロース誘導体;ポリビニルアミン
、ポリアリルアミン等の水溶性アミン系ポリマー;ポリアクリル酸;ポリイソプロピルア
クリルアミド等のポリアクリルアミド;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコールな
どが挙げられる。これらの中でも、エチレン−ビニルアルコール系共重合体との溶融混練
のし易さに優れ、空隙の制御が容易であることから、特にポリビニルアルコールが好適に
用いられる。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体と水溶性ポリマーとの混合割合(質量比)は、必要とする多孔質の程度に応じて、適宜決めることができるが、例えば、エチレン−ビニルアルコール系共重合体:水溶性ポリマーは、99.9:0.1〜20:80程度であってもよく、好ましくは、99.9:0.1〜30:70程度であってもよい。
本発明において、水溶性ポリマーとして用いられるポリビニルアルコールは、本発明の
効果が得られる限り、ビニルアルコール単位及びビニルエステル系単量体に由来する構造
単位以外の構造単位を有することができる。当該構造単位は、例えば、エチレン、プロピ
レン、n−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;アクリル酸及
びその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸N−プロピル、アクリル酸
i−プロピル、アクリル酸N−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、
アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアク
リル酸エステル基を有する不飽和単量体;メタクリル酸及びその塩;メタクリル酸メチル
、メタクリル酸エチル、メタクリル酸N−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタク
リル酸N−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2
−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸
エステル基を有する不飽和単量体;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エ
チルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ア
クリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミン
およびその塩(例えば4級塩);メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−
エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリ
ルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩(例えば4級塩);メチルビニルエーテル
、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、
n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ド
デシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、2,3−ジアセトキシ−1−ビニル
オキシプロパンなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの
シアン化ビニル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデ
ン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、2,3−ジアセトキ
シ−1−アリルオキシプロパン、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン
酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸及びその塩またはエステル;ビニルトリメトキシ
シランなどのビニルシリル化合物、酢酸イソプロペニルである。当該構造単位の含有量は
、10モル%未満である。
本発明において、水溶性ポリマーとして用いられるポリビニルアルコールの粘度平均重
合度(JIS K6726に準拠して測定)は特に限定されないが、好ましくは100〜
10,000であり、より好ましくは200〜7,000であり、さらに好ましくは30
0〜5,000である。粘度平均重合度が上記範囲から逸脱すると、得られる多孔質体の
表面積が低下する虞がある。
本発明において、水溶性ポリマーとして用いられるポリビニルアルコールのけん化度は
特に限定されないが、好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは60〜98モル
%であり、特に好ましくは70〜95モル%である。けん化度が50モル%未満になると
水溶性が低下し成形後の熱水抽出での抽出性が悪くなる。けん化度が98モル%より高い
ポリビニルアルコールは溶融混合が難しい。
本発明の多孔質エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、例えば、エチレン−ビニル
アルコール系共重合体と水溶性ポリマーを溶融混練して複合体(コンパウンド)を得た後に、冷却固化された複合体から水溶性ポリマーを抽出することによって得られる。溶融混練する方法は特に限定されず、一軸押出機、二軸押出機、ブラベンダー、ニーダーなど公知の混練機を用いることができる。目的とする形状を得るために、必要に応じて各段階で粉砕などを実施しても良い。
また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を溶解せず、水溶性ポリマーを抽出する
ことができる限り、抽出に用いられる溶媒は特に限定されず、水、各種有機溶媒、水と有
機溶媒との混合物などを用いることができるが、水溶性ポリマーを利用している観点から
、溶媒としては水、特に熱水を用いるのが好ましい。熱水の温度は、40℃〜120℃が
好ましく、50℃〜100℃がさらに好ましい。
このようにして得られたエチレン−ビニルアルコール系重合体粒子は、多孔質体である
が、少なくとも粒子の表面に細孔が形成されていればよく、粒子内部まで細孔が形成され
ていなくてもよい。表面に形成される細孔は、その平均細孔径が0.01μm〜50μm程度であってもよく、好ましくは、0.05μm〜20μm、より好ましくは、0.2μm〜10μm程度、さらに好ましくは0.2μm〜7μm程度であってよい。平均細孔径が小さすぎると官能基導入量が充分でない場合があり、平均細孔径が大きすぎると粒子の機械的強度が不十分となり、基材の耐久性が不十分となる場合がある。これら細孔の平均細孔径は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
(グラフト共重合体の製造方法)
本発明のグラフト共重合体の製造方法は、グラフトに用いる基材を準備する工程と、前
記基材に対して、芳香族含窒素複素環を有するグラフト鎖を導入し、芳香族含窒素複素環
を有するグラフト鎖が導入されたグラフト共重合体を得る工程と、を備えている。芳香族含窒素複素環を導入する方法としては、(1)芳香族含窒素複素環を有する不飽和単量体でグラフト重合を行う方法と、(2)芳香族含窒素複素環に変換可能な官能基を有する不飽和単量体をグラフト重合して、グラフト重合後、官能基の変換を行うことにより、芳香族含窒素複素環を有するグラフト鎖を導入する方法が挙げられる。
芳香族含窒素複素環を有するグラフト鎖を導入する場合、電離放射線を用いて、芳香族
含窒素複素環を有する不飽和単量体をグラフト化させてもよいし、反応性基を有する不飽
和単量体をグラフト化させた後に芳香族含窒素複素環に変換してもよい。
電離放射線としては、α線、β線、γ線、加速電子線、紫外線などがあるが、実用的に
は加速電子線またはγ線が好ましい。
電離放射線を用いて、基材に不飽和単量体をグラフト重合させる方法としては、基材と
不飽和単量体とを共存下放射線を照射する混合照射法と、基材のみに予め放射線を照射し
た後、不飽和単量体と基材とを接触させる前照射法のいずれでも可能であるが、後者の方法である前照射法がグラフト重合以外の副反応を生成しにくい特徴を有する。
グラフト重合の際に、基材と不飽和単量体とを接触させる方法としては、液状の不飽和
単量体あるいは不飽和単量体溶液と直接接触させる液相重合法と、不飽和単量体の蒸気あ
るいは気化状態で接触させる気相グラフト重合法とがあるが、目的に応じて選択可能であ
る。
電離放射線を照射する線量としては、特に限定されないが、5〜230kGyが好まし
く、10〜190kGyがより好ましく、15〜140kGyがさらに好ましく、20〜90kGyが特に好ましい。5kGy未満の場合、線量が少な過ぎるためグラフト率が低下し目的の金属イオン吸着能が得られないことがある。230kGy以上の場合、処理工程にコストがかかる、照射時に樹脂が劣化するなどの懸念がある。
グラフト重合に用いる芳香族含窒素複素環を有する不飽和単量体としては、特に限定さ
れないが、例えば、ビニルピリジン[(2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなど)
など]、ビニルイミダゾール[(1−ビニルイミダゾール、2−ビニルイミダゾール、1-
メチル-2-ビニルイミダゾール)など]、ビニルトリアゾール[(2−ビニル−1,2,4
−トリアゾール)など]の他に、下記式(1)で示される不飽和単量体を用いることがで
きる。
Figure 2014114447
上記式(1)において、R1は水素またはメチル基である。また、Xは隣接するカルボ
ニル基とエステル結合またはアミド結合を形成する成分であり、化学的安定性の観点から
R1はメチル基であることが好ましい。
上記式(1)において、R2は炭素数2〜20の置換していてもよいアルキレン鎖であ
り、末端に、先に例示した芳香族含窒素複素環の構造を有するものである。
また、グラフト重合後、芳香族含窒素複素環に変換可能な官能基を有する不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を有する不飽和単量体、クロロメチルスチレンやクロロエチル(メタ)アクリレートなどのハロゲン化アルキル基を有する不飽和単量体などが用いることができる。
官能基を芳香族含窒素複素環に変換する方法としては、例えば、芳香族含窒素複素環を有する化合物をエポキシ基やハロゲン化アルキル基に付加させる方法が挙げられる。上記芳香族含窒素複素環を有する化合物としては、例えば、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、4−(メチルアミノ)ピリジン4−アミノ(2−メチル)ピリジン、4−アミノ(3−メチル)ピリジン、2−ピコリルアミン、3−ピコリルアミン、4−ピコリルアミン、4−(エチルアミノメチル)ピリジン、3−(2−アミノメチル)ピリジン、2−(2−アミノエチル)ピリジン、ビス(3−ピリジルメチル)アミン、ビス(2−ピリジルメチル)アミン、2−アミノ−4−メチルピリジン、3−アミノ−4−メチルピリジン、イミダゾール系化合物(2−アミノイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、2−アミノベンゾイミダゾールなど)、トリアゾール系化合物(4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾールなど)、ベンゾトリアゾール系化合物(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−アミノベンゾトリアゾールなど)、4−アミノインドール、5−アミノインドール、6−アミノインドール、ヒスタミン、トリプタミン、トリプトファン、などが挙げられる。これらの中でも、製造上の容易さ、金属イオン吸着性能の観点から、特にイミダゾール系、トリアゾール系、ベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。
上記アミノ基をグラフト鎖に導入する方法の中でも、グリシジルメタクリレート、グリ
シジルアクリレートをグラフト重合した後、エポキシ基を芳香族含窒素複素環に変換する
方法が、多量に目的の官能基を導入させる方法として好ましい。また、エポキシ基導入時
や芳香族含窒素複素環導入時にエポキシとエチレン−ビニルアルコール系共重合体の水酸
基が一部架橋反応することにより、適度に耐水性が付与できる点でも、グリシジルメタク
リレート、グリシジルアクリレートを介した芳香族含窒素複素環の導入方法が好ましい。
上記不飽和単量体以外にも性能を損なわない範囲で他の不飽和単量体を併用しても構わ
ない。例えば、グラフト鎖の膨潤を抑制するために、多官能不飽和単量体として、ジビニ
ルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(
メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1−(アクリ
ロイルオキシ)−3−(メタクロイルオキシ)−2−プロパノール、ビスメチレンアクリ
ルアミドなどを用いることができる。
グラフト重合により導入する不飽和単量体の量(グラフト率)は、特に限定されないが
、エチレン−ビニルアルコール系重合体100質量部に対して30〜900質量部(30
〜900%)であることが好ましく、90〜800質量部(90〜800%)であること
がより好ましく、150〜700質量部(150〜700%)であることがさらに好ましく、210〜700質量部(210〜700%)であることが特に好ましい。グラフト率が30質量部(30%)未満の場合は、金属イオン吸着性能が不十分である場合が多い。グラフト率が900質量部(900%)を超える場合は、一般的に合成が難しい。
本発明のグラフト共重合体は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、架橋剤、無機微粒
子、光安定剤、酸化防止剤などの添加剤を含んでいても良い。
本発明のグラフト共重合体は、成形体、塗料、接着剤等の広範な用途に使用できる。成
形体としては、食品、医薬品、化粧品などの包装材料として有用に用いることが可能であ
るが、例えば、優れた金属イオン吸着能を有しているため、特に、金属イオン吸着材として用いるのが好ましい。以下、一例として金属イオン吸着材として使用する方法を述べるが、吸着材としての利用方法はこの限りではなく、半金属イオン吸着材として用いることもできる。
(金属イオン回収方法)
本発明のイオン吸着材は、各種金属(特に白金族金属)を、簡単な操作で、高効率かつ低コストで金属イオンとして回収することができる。金属イオン回収方法としては、本発明のイオン吸着材を用いる限り特に限定されず、イオン吸着材の形状に応じてさまざまな回収方法を利用することができる。
例えば、金属イオン回収方法は、本発明のイオン吸着材と、目的とする金属イオンを含有する金属イオン含有液とを接触させ、前記吸着材に金属イオンを吸着させる吸着工程と、金属イオンを吸着した吸着材を回収し、前記吸着材と溶離液とを接触させ、吸着材から金属イオンを溶離させる溶離工程とを備えていてもよい。また、溶離工程の代わりに、金属イオンを吸着した吸着材を燃焼させ、金属を回収する燃焼工程を備えていてもよい。
吸着工程および溶離工程においては、必要に応じて、液体中で吸着材を撹拌してもよい。
本発明のイオン吸着材の回収対象となる金属としては、特に限定されないが、白金族金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金)、金、銀、銅、ニッケル、クロム、バナジウム、コバルト、鉛、亜鉛、水銀、カドミウム、ウラン、アメリシウム、タリウム、砒素、モリブデン、セレン、セシウム等のイオン(カチオン性イオン)が挙げられ、とりわけ白金族金属イオンの回収に好適である。また、本発明のイオン吸着材は白金族以外の金属や半金属のイオンに対しても吸着性能を有するため、例えばホウ素、ヒ素、ゲルマニウム、セレン、アンチモン等の半金属イオンの吸着や、土壌や水に含まれる重金属の除去等に用いることができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何
ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「%」および「部」は特に断りの
ない限り、それぞれ「質量%」および「質量部」を表す。
[平均細孔径の算出]
得られた吸着材を40℃、12時間真空乾燥した後、走査型電子顕微鏡を用い粒子表面を観察した。表面に形成されている細孔から任意に50個を選択し、それぞれの細孔の長径を計測した。50個の長径を平均し、平均値を導出して平均細孔径とした。但し、1nm以下の場合、傷、付着物等との区別がつかないため、選択から除外した。
[グラフト率]
以下に示す式に従い算出した。
グラフト率[w/w(%)]=100×(付与したグラフト鎖の重量)/(基材の重量)
[官能基量]
官能基導入反応を行う前後の質量変化をWとする。以下に示す式に従い算出した。
官能基量[mmol/g]=(反応基質1分子あたりの窒素原子数[個]×W[g]/反応基質分子量[g/mol])/(反応後の樹脂粒子質量)×1000
[金属吸着量]
吸着材50mgを、パラジウムイオンの濃度が50mg/Lである1規定の硝酸溶液100mLに投入し、25℃にて24時間撹拌する。その後、溶液1mLをサンプリングし25mLにメスアップした後、ICP発光分析装置(日本ジャーレルアッシュ製、IRIS−AP)にて測定した金属濃度をC(mg/L)とする。以下の式より、金属吸着量を求める。
サンプル1gあたりの金属吸着量(mg/g)=(100−50×C)/0.25
[実施例1]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、F101)90質
量部とビニルアルコール系重合体(株式会社クラレ製、PVA205)10質量部をラボ
プラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコ
ンパウンドを粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子に分級した。さら
に得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してビニルアルコール系重合体のみを抽
出し、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子を得た。該多孔質粒子の細孔
の平均細孔径は0.60μmであった。該多孔質粒子に30kGyのγ線を照射し、80℃窒素置換したグリシジルメタクリレートの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ247%であった。さらに、該粒子を80℃に調整した4−アミノ−1,2,4−トリアゾールの20質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、4時間反応させた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾燥させることで目的の芳香族含窒素複素環がグラフト鎖に導入されたエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる耐水性のイオン吸着材を得た。得られた金属イオン吸着材を、篩を用いて粒子径212μm〜500μmの粒子に分級し、Pdの吸着量を評価した。結果を表1に示す。なお、該吸着材の細孔の平均細孔径は0.58μm、官能基量は11.5mmol/gであった。
[実施例2]
実施例1に記載のグリシジルメタクリレートがグラフトされたグラフト共重合体粒子を
、80℃に調整した3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾールの20質量%イソプロ
パノール溶液に浸漬し、4時間反応させた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾燥
させることで目的の芳香族含窒素複素環がグラフト鎖に導入されたエチレン−ビニルアル
コール系共重合体からなる耐水性のイオン吸着材を得た。得られたイオン吸着材
を、篩を用いて粒子径212μm〜500μmの粒子に分級し、Pdの吸着量を評価した
。結果を表1に示す。なお、該吸着材の細孔の平均細孔径は0.50μm、官能基量は10.1mmol/gであった。
[実施例3]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、F101)80質
量部とビニルアルコール系重合体(株式会社クラレ製、PVA205)20質量部をラボ
プラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコ
ンパウンドを粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子に分級した。さら
に得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してビニルアルコール系重合体のみを抽
出し、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子を得た。該多孔質粒子の細孔
の平均細孔径は0.43μmであった。該多孔質粒子に30kGyのγ線を照射し、80℃窒素置換したグリシジルメタクリレートの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ270%であった。さらに、該粒子を80℃に調整した1−(3−アミノプロピル)イミダゾールの20質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、4時間反応させた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾燥させることで目的の芳香族含窒素複素環がグラフト鎖に導入されたエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる耐水性のイオン吸着材を得た。得られたイオン吸着材を、篩を用いて粒子径212μm〜500μmの粒子に分級し、Pdの吸着量を評価した。結果を表1に示す。なお、該吸着材の細孔の平均細孔径は0.40μm、官能基量は8.5mmol/gであった。
[実施例4]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、E105)60質
量部とビニルアルコール系重合体(株式会社クラレ製、PVA217)40質量部をラボ
プラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコ
ンパウンドを粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子に分級した。さら
に得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してビニルアルコール系重合体のみを抽
出し、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子を得た。該多孔質粒子の細孔
の平均細孔径は1.46μmであった。該多孔質粒子に30kGyのγ線を照射し、80℃窒素置換したグリシジルメタクリレートの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ223%であった。さらに、該粒子を80℃に調整した1−アミノベンゾトリアゾールの20質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、4時間反応させた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾燥させることで目的の芳香族含窒素複素環がグラフト鎖に導入されたエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる耐水性のイオン吸着材を得た。得られたイオン吸着材を、篩を用いて粒子径212μm〜500μmの粒子に分級し、Pdの吸着量を評価した。結果を表1に示す。なお、該吸着材の細孔の平均細孔径は1.39μm、官能基量は10.1mmol/gであった。
[実施例5]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、E105)を粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子に分級した。該粒子には細孔が形成されていなかった。該粒子に50kGyのγ線を照射し、80℃窒素置換したグリシジルメタクリレートの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ67%であった。さらに、該粒子を80℃に調整した4−アミノ−1,2,4−トリアゾールの20質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、4時間反応させた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾燥させることで目的の芳香族含窒素複素環がグラフト鎖に導入されたエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる耐水性のイオン吸着材を得た。得られたイオン吸着材を、篩を用いて粒子径300μm〜500μmの粒子に分級し、Pdの吸着量を評価した。結果を表1に示す。なお、該吸着材には細孔が形成されておらず、官能基量は4.7mmol/gであった。
[比較例1]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ社製、E105)を粉
砕し、篩を用いて粒子径425μm〜710μmの粒子に分級した。該粒子を用い、Pd
の吸着量を評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1に記載のグリシジルメタクリレートがグラフトされたグラフト共重合体粒子を
、篩を用いて粒子径212μm〜500μmの粒子に分級し、Pdの吸着量を評価した。
結果を表1に示す。
Figure 2014114447
実施例1〜5から明らかなように、本発明のイオン吸着材は、金属イオンを吸着することができるため、例えば金属イオンを分離回収する際に非常に有効である。
比較例1のように、エチレン−ビニルアルコール共重合体そのものでは、金属イオン吸
着性能は発現しない。比較例2のように、芳香族含窒素複素環がグラフト鎖に導入されていない場合、金属イオン吸着性能は発現しない。
本発明によれば、高い金属イオン吸着性を発現する、工業的に使用可能な新規なグラフ
ト共重合体、およびそれを用いたイオン吸着材を提供することができる。該吸着材は、例えば、白金族金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金)、金、銀、銅、ニッケル、クロム、バナジウム、コバルト、鉛、亜鉛、水銀、カドミウム、ウラン、アメリシウム、タリウム、モリブデン、セシウム、ホウ素、ヒ素、ゲルマニウム、セレン、アンチモン等の金属、半金属イオンを効率よく回収することができる。
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲
で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含ま
れる。

Claims (7)

  1. エチレン−ビニルアルコール系共重合体にグラフト鎖を導入したグラフト共重合体において、芳香族含窒素複素環がグラフト鎖に導入されていることを特徴とするグラフト共重合体。
  2. 前記芳香族含窒素複素環が有するアミノ基の導入量が5.0mmol/g以上である、請求項1に記載のグラフト共重合体。
  3. 前記グラフト共重合体が多孔質体であり、前記多孔質体の表面に形成された細孔の平均細孔径が0.01μm〜50μmである、請求項1または2に記載のグラフト共重合体。
  4. 前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体が粒子状の多孔質体であり、粒子の表面に形成された細孔の平均細孔径が0.01μm〜50μmである請求項1〜3のいずれか一項に記載のグラフト共重合体。
  5. 前記グラフト共重合体が、粒子径が10μm〜2000μmの粒子状である請求項1〜4のいずれか一項に記載のグラフト共重合体。
  6. グラフトに用いる基材を準備する工程と、
    前記基材に対して、電離放射線を作用させ、ついで(1)芳香族含窒素複素環を有する不飽和単量体をグラフト重合することにより、
    または(2)芳香族含窒素複素環に変換可能な官能基を有する不飽和単量体をグラフト重合して、グラフト重合後、官能基の変換を行うことにより、
    芳香族含窒素複素環を有するグラフト鎖を導入し、芳香族含窒素複素環を有するグラフト鎖が導入されたグラフト共重合体を得る工程と、を備える、グラフト共重合体の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のグラフト共重合体を用いてなる金属および半金属イオン吸着材。
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