JP2014109551A - 流体識別装置及び流体識別方法 - Google Patents

流体識別装置及び流体識別方法 Download PDF

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Abstract

【課題】管状部材に内在する流体を横断してくる超音波パルスを良好なS/N比で受信できる流体識別技術の提供。
【解決手段】流体が内在する管状部材1の外周面11に配置され、管状部材の横断方向に超音波パルスを送信する送信用探触子2と、流体を横断して伝播する超音波パルスである流体伝播超音波パルスを受信するように外周面11に配置される受信用探触子3と、流体伝播超音波パルスが流体を伝播した伝播時間に基づいて流体の種別を判定する信号評価部と、管状部材1の周壁に沿って伝播する超音波パルスである壁体伝播超音波パルスを吸収するために送信用探触子2と受信用探触子3の間の管状部材1の表面に装着された超音波吸収部材4とから構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、管状部材に内在している流体の種別を判定するための流体識別装置及び流体識別方法に関する。
地中には、都市ガスを供給するためのガス管、上水を供給するための上水道管、下水を回収するための下水道管等の管状部材が埋設されている。土壌の掘削工事を行う際には、それらの管状部材が露出してくることがある。このような場合には、露出した管状部材が有効に使用されているものであるか否か、また有効に使用されている場合にはその内部を流れる流体の種別(例えば、水や都市ガス等)を判定することが必要であり、その内部を流れる流体の種別に応じて適切な保安処置を取る必要があるからである。
管状部材に内在する流体の種別を、穿孔などを行なわない非破壊検査で行なう流体識別装置が特許文献1から知られている。この流体識別装置では、管状部材の外周面に、互いに対向する送信用探触子と受信用探触子が配置され、送信用探触子から送信された超音波パルスが管状部材内の流体を横断して受信用探触子に達するまでの時間から超音波の伝播速度が算出される。超音波の伝播速度、いわゆる音速は、超音波が伝播する媒体の密度や体積弾性率などの物性値に依存するので、音速から物質を特定することができる。このことを利用して、この流体識別装置は算出された音速から管状部材に内在する流体が、水または都市ガスであるかを判定する。
このような装置の使用における問題点は、送信用探触子から送信された超音波パルスは管状部材の外周面に入射した際に、その大部分が管状部材の管壁を伝播する板波や表面波に分解され、管壁だけを伝播して受信用探触子に達するので、音圧レベルの高いノイズ波として受信用探触子に受信されることである。音速による流体の種別判定に要求される音速測定には、管状部材内の流体を横断して受信用探触子に達した超音波パルスの正確な検出が重要であるが、上記のノイズ波がその障害となる。このノイズ波の悪影響を低減するため、上記特許文献1による流体識別装置では、管壁を伝播して受信用探触子に向う超音波を打ち消すキャンセル波を送信するキャンセル用探触子が備えられている。
管状部材の内部に存在している流体の種別を判定する技術分野とは異なるが、管内の液体等の流体中に含まれる空気などの気体層を非破壊的に検出するために、超音波を用いる管内気体層検出装置が特許文献2から知られている。この装置は、管の外部から管の直径方向に超音波を発射し、この超音波の反射エコーを受信して管内の流体とともに存在する気体層の有無を検出するが、その際、管の全外周面に吸音材層を設け、この吸音材層の外部から超音波を発射する。この装置では、いわゆる1つの超音波探触子を送信と受信の両方で用いる、いわゆる反射エコー法を採用している。このような反射エコー法は、管内周面からの反射エコーが繰り返されるため、本願発明のような、管状部材の内部に存在している流体の種別を超音波の伝播時間ないしは音速によって判定する技術に適用することは実質的には難しい。さらに、管の外周全面に巻き付けた吸音材層の外部に超音波探触子を配置して、そこから超音波パルスを発信させると、吸音材層による音波吸収のため、管内部に入射する超音波パルスの音圧が低下してしまう。これを防ぐために、吸音材層の厚みを小さくした場合には、管壁から入射してくる超音波パルス(ノイズ波)を十分に吸収できず、吸音材層の外表面で反射して再び管壁に戻ってしまう不都合が生じる。
2012−185083号公報 平11−183235号公報
上述したように、管状部材の内部に存在している流体の種別を判定するために、上記特許文献2で開示された超音波反射法の適用は実質的に不可能である。さらに、上記特許文献1による流体識別装置において採用されているキャンセル用探触子からのキャンセル波による、管壁を伝播してくる超音波(板波や表面波)の打ち消しは、技術的難度が高く、装置コストの負担が大きい。このため、キャンセル用探触子を用いずにノイズ波を低減し、管状部材に内在する流体を横断してくる超音波パルスを良好なS/N比で受信できる流体識別技術が要望されている。
本発明による流体識別装置は、流体が内在する管状部材の外周面に配置され、前記管状部材の横断方向に超音波パルスを送信する送信用探触子と、前記送信用探触子から送信され前記流体を横断して伝播する超音波パルスである流体伝播超音波パルスを受信するように前記管状部材の外周面に配置される受信用探触子と、前記流体伝播超音波パルスが前記流体を伝播した伝播時間に基づいて前記流体の種別を判定する信号評価部と、前記管状部材の周壁に沿って伝播する超音波パルスである壁体伝播超音波パルスを吸収するために前記送信用探触子と前記受信用探触子の間の前記管状部材の表面に装着された超音波吸収部材とを備えている。
この構成によれば、送信用探触子から送信された超音波パルスが管状部材の外周面に入射した際に分解された板波や表面波である壁体伝播超音波パルスは管状部材の管壁を伝播する途中で管状部材の表面に装着された超音波吸収部材によって部分的に吸収される。これにより、キャンセル用探触子からのキャンセル波による壁体伝播超音波パルス(ノイズ波)の打ち消しを行なわずとも、満足できるS/N比で所望の超音波パルスを受信でき、正確な音速測定に基づく流体種別の判定が実現する。
本発明による流体識別装置は、ガス管と水道管との区別がつかなくなった地中埋設管の種別特定、つまり管を流れている流体がガスかあるいは水であるかを判定するようなケースに適している。そのような管状部材は、主に円形管であり、その外周面は比較的大きな曲率をもって湾曲している。このため、超音波吸収部材には、管壁を伝播するノイズ波(壁体伝播超音波パルス)が当該超音波吸収部材へも伝播するように外周面にぴったりと密着できるような性質が要求される。この要求を満たすために、前記超音波吸収部材は粘性のある超音波吸収部材で構成されることが好ましい。
管壁を伝播するノイズ波をできるだけスムーズに超音波吸収部材に入射させるには、管壁の音響インピーダンスと超音波吸収部材の音響インピーダンスとの差が少ない方がよい。しかしながら、互いの音響インピーダンスを近似させてノイズ波をスムーズに超音波吸収部材に入射させたとしてもそのノイズ波が超音波吸収部材の外周面で再び反射して管壁に戻って再び管壁に入射することは避けなければならない。従って、超音波吸収部材に入射したノイズ波は散乱や段階的な反射などによりできるだけ超音波吸収部材の内部でその音圧エネルギを低減させるとよい。この目的のため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記超音波吸収部材は複数層からなり、各層の音響インピーダンスは前記管状部材の外周面に近い層ほど前記管状部材の音響インピーダンスとの差が少なくなるように構成されている。
地中埋設管などが流体識別対象となる場合、超音波吸収部材は泥などで汚れるため使い捨て使用される。そのような場合、毎回の超音波吸収部材の管外周面への巻き付け装着作業を簡便にするためには、超音波吸収部材をシート成形材として用意することが好ましい。
さらに、管壁を伝播するノイズ波が超音波吸収部材に入射する割合を高めるためには、超音波吸収部材を管壁の外周面に安定的に密着させる必要がある。このため、本発明の好適な実施形態では、前記超音波吸収部材を前記管状部材の外周面に押し付ける締付具が備えられる。その際、この締付具は調整可能な一定の押し付け圧で超音波吸収部材を外周面に押し付けるように構成されることが好ましい。
流体の種別を判定する信号評価部の具体的な実施形態の1つでは、前記信号評価部は、前記流体伝播超音波パルスの伝播時間から前記流体を伝播する時間を算定し、この算定された時間に基づいて前記流体の音速を算定する音速算定部と、算定された音速から前記流体の種別を判定する判定部と、前記判定部の判定結果を報知する報知部とを含んでいる。送信用探触子から送信して受信用探触子で受信される超音波パルスは流体を横断伝播するだけでなく、送信用探触子と接する側と受信用探触子と接する側の2つの管厚部を径方向に伝播する。従って、正確に、流体の音速を算定するためには、管厚部を伝播する時間を含まない流体を伝播する流体伝播時間が求められ、その時間と管状部材の内径から流体の音速が算定される。管内周面と流体との間には反射波が生じるので、この反射波を利用して、流体伝播時間を求めることできる。このような伝播時間測定は、超音波による厚み測定などに利用されている一般的な測定技術であるので、それを流用することができる。判定部は、算定された音速に基づいて流体の種別を判定する。その際、判定部は予め識別対象となっている流体の音速を登録しておくと好都合である。
なお、種別判定すべき管状部材の材質や寸法がわかっており、さらにその内部に存在する液体が予め知られている複数種である場合、超音波パルスが送信用探触子から送信して受信用探触子で受信されるまでの伝播時間を、識別対象となっている流体種が割り当てられるように区分けしておくとよい。この場合、求められた伝播時間がこの区分けられた伝播時間帯のどこに入るかによって流体の種別を判定することができるので、評価部の構成を簡単化することができる。
本発明は、上述した流体識別装置だけでなく、管状部材に内在する流体を識別するための流体識別方法も対象としている。本発明による流体識別方法は、流体が内在する管状部材の外周面に、前記管状部材の横断方向に超音波パルスを送信するように送信用探触子を配置するステップと、前記送信用探触子から送信されるとともに前記流体を横断して伝播する超音波パルスである流体伝播超音波パルスを受信するように受信用探触子を管状部材の外周面に配置するステップと、前記管状部材の周壁に沿って伝播する超音波パルスである壁体伝播超音波パルスを吸収するように前記送信用探触子と前記受信用探触子の間の前記管状部材の表面に超音波吸収部材を装着するステップと、前記流体伝播超音波パルスが前記流体を伝播した伝播時間に基づいて前記流体の種別を判定するステップを含む。この流体識別方法がもたらす作用効果は、上述した流体識別装置で述べた通りである。また、好適な実施形態として述べられた種々の特徴もこの流体識別方法にも適用可能である。
本発明による流体識別装置の基本原理を説明する模式図であり、流体識別作業中の管状部材の径方向断面図である。 管状部材の径方向に発信された超音波パルスの模式的な波形図である。 本発明による流体識別装置の実施形態の1つを示す斜視図である。 締付具を省いた状態での流体識別装置の構成要素を示す模式図である。 吸収部材ありでの超音波パルスの波形図である。 吸収部材なしでの超音波パルスの波形図である。
本発明による流体識別装置に採用されている音速測定の基本原理を図1の模式図を用いて説明する。
図1に示された管状部材1は円形断面を有する導管であり、その内部を都市ガス、空気、LPG、水などの流体が流れる。場合によっては、管状部材1の内部に流体が滞留していることもある。本発明による流体識別装置は、この管状部材1を流れる流体の種別を管状部材1の外周面11から超音波を用いた非破壊測定で判定する。超音波が媒体を伝播する速度、つまり音速は、物性値によって異なるので、この測定ではこのことを利用する。ここでは、超音波パルスを送信する送信用探触子2が超音波パルスの放射中心線が管状部材1の直径に一致するように管状部材1の外周面11に配置される。さらに、送信用探触子2から送信されるとともに管状部材1に内在する流体を横断して伝播する超音波パルスを受信するために、管状部材1の管軸に関して対称の位置となる外周面11に受信用探触子3が配置される。本発明による流体識別装置に採用されている音速測定は、反射法ではなく透過法での音速測定である。従って、超音波パルスが送信用探触子2から送信された時点から、その超音波パルスが受信用探触子3によって受信されるまでの時点の時間が超音波伝播時間として測定される。この超音波伝播時間で送信用探触子2と受信用探触子3との間の長さを割ることで音速が得られる。この場合、流管状部材1を径方向に通過する超音波の伝播時間が含まれるため、流体を通過する超音波の伝播時間だけを求める場合には、管状部材1を通過する超音波の伝播時間を差し引く必要がある。予め、管状部材1の管厚と管状部材1の材料を調べておけば、その超音波伝播時間は推定することができる。流体の音速は、管状部材1に用いられている鋳鉄や鋼、あるいは合成樹脂などに較べるとかなり遅く、また管状部材1の管厚は内径に較べて短いので、流体の種別の判定条件としては、管状部材1の超音波伝播時間も含んだ超音波伝播時間をそのまま利用することも可能である。
このように構成された流体識別装置においては、受信用探触子3で受信される信号には、管状部材1に内在する流体を横断して伝播する超音波パルス(ここでは流体伝播超音波パルスとも称し、図1では符号Wfを付記している)以外の超音波パルス(ここでは壁体伝播超音波パルス又はノイズ波とも称し、図1では符号Wnを付記している)が含まれることである。ノイズ波は、図1でも模式的に示されているが、送信用探触子2から送信された超音波パルスが板波や表面波に分解されたものであり、その分解された超音波が、管壁(管の側壁)に沿って拡散し、受信用探触子3に達して受信される。鋼や鋳鉄あるいは合成樹脂から製造される管状部材1を伝播するノイズ波の音速は流体の音速に較べてかなり速いので、伝播距離は1.5倍ほど長くても、流体を横断して伝播する超音波パルスよりは早く受信用探触子3に達する。また、このノイズ波はさらに管状部材1を一回りして再び受信用探触子3に達する。図2に、受信用探触子3で受信される超音波信号の波形図が模式的に示されている。図2において、1回目のノイズ波に符号Wn1が付記され、さらに一回りして受信されたノイズ波に符号Wn2が付記されている。流体を横断して伝播する超音波パルスの波形には符号Wfが付記されている。
ノイズ波(壁体伝播超音波パルス)が管状部材1の管壁に沿って伝播している間にこのノイズ波を吸収するため、超音波吸収部材4が送信用探触子2と受信用探触子3の間の管状部材1の外表面11に装着されている。管状部材1から超音波吸収部材4にノイズ波が効率良く入射するために、超音波吸収部材4の材料は管状部材1の音響インピーダンスにできるだけ近いものを選ぶ。さらに管状部材1の外表面11への密着性を良くするために、外表面11の曲率に一致する屈曲性を持つ程度の粘性を有することが好ましい。さらには、超音波吸収部材4に入射したノイズ波を吸収するために吸音特性を有する材料の使用、あるいは吸音構造(多孔構造や粒状体混入構造)を形成することも利点がある。一例として、超音波吸収部材4を、各層の音響インピーダンスが管状部材1の外周面に近い層ほど管状部材1の音響インピーダンスとの差が小さくなるように形成した複数層から構成することも好適である。また、超音波吸収部材4の管状部材1の外表面11への密着性をより向上させるためには、超音波吸収部材4を管状部材1の外周面に押し付ける締付具が用いられる。好適な超音波吸収部材4として、油粘土、パテ、さらにはゴムシート、プラスチック(PP)シート、不織布など、あるいはそれらを組み合わせた複合材が挙げられる。
図1に模式的に示されているように、管状部材1から超音波吸収部材4に入射したノイズ波(図1では符号Waを付記している)は散乱等によって超音波吸収部材4に吸収されその音圧エネルギを失っていく。これにより、受信用探触子3で受信される超音波信号としてのノイズ波はかなり減衰することになる。なお、この図2は説明目的であり、その波形は理解し易いようにデフォルメされている。
図2を用いて流体の識別の方法を説明する。なお、図2で示された、横軸に時間軸ととった超音波パルスの波形図では、送信用探触子2で超音波パルスが送信された時点がTs(通常は0秒)で示され、わかりやすいように擬似パルスW0が表示されている。さらに、最初のノイズ波の波形がWn1で、2回目のノイズ波の波形がWn2で示され、それぞれの受信用探触子3への到達時点がTwn1、Twn2で示されている。流体伝播超音波パルスの波形がWfで示され、その到達時点がTwfで示されている。
流体伝播超音波パルスの伝播時間:t0は、t0=Twf―Tsで求めることができ、管状部材1の外径をDとすれば、D/t0で管状部材1を含む流体伝播超音波パルスの音速が得られる。管状部材1を含まない流体伝播超音波パルスの音速を求めるには、管状部材1を伝播する時間:Δtを差し引いた伝播時間:t=t0―2Δtを求め、管状部材1の内径をdとすれば、d/tで流体のみの音速が算定できる。管状部材1を伝播する時間:Δtは、推定値でもよいし、管状部材1の肉厚と材質から算定してもよい。識別しようとする流体の音速と管状部材の音速がかなり違っていると、その影響は少ないので、上述した音速:D/t0に基づいて流体種別を判定してもよい。この流体識別装置において重要なことは、超音波吸収部材4によってノイズ波をできる限り減衰させて、できるだけクリアな流体伝播超音波パルスの立ち上がり波形を得ることである。
なお、超音波パルスは、境界面を形成する媒体の音響インピーダンスの差が大きいほど境界面で強く反射するので、ここでは、流体と管状部材1の内周面との境界面で大きな反射が生じる。従って、図2の波形図では、受信用探触子3には、上述した最初に到着した流体伝播超音波パルスの波形(Wfで示されている)だけでなく、管状部材1内の流体を1回半往復した流体伝播超音波パルスの波形(Wf2で示されている)も示されている。そのような流体伝播超音波パルスの到達時点はTwf2で示されている。Wf2で示された波形の方がWfで示された波形より良いS/N比で検出できる場合には、この波形を用いて伝播時間(Twf2―Ts=t0+2×t0=3t0)の算定結果に基づいて流体種別を判定することができる。
次に、図面を用いて、本発明による流体識別装置の具体的な実施形態の1つを説明する。図3は、流体識別装置の全体構成を示す斜視図であり、図4は、締付具を省いた状態での流体識別装置の構成要素を示す模式図である。
図3と図4に示された流体識別装置は、図1と図2とを用いて説明した基本原理を実施するものであり、管状部材としての水道管またはガス管などの導管1の外表面11に対向設置される送信用探触子2と受信用探触子3、超音波処理ユニット5、超音波吸収部材4、締付具6を備えている。送信用探触子2及び受信用探触子3の超音波励起面には導管1の曲面とのマッチングを行なうためのシュー部材31が装着されている。超音波吸収部材4は、油粘土製で、厚さ数mmで約30cm幅のシート状に成形加工され、導管1の外表面11に隙間なく巻き付けられている。但し、超音波吸収部材4送信用探触子2が導管1の外表面11に直接接触できるように、超音波吸収部材4の送信用探触子2と受信用探触子3の設置箇所には開口部41が設けられている。
締付具6は、巻き付けられた超音波吸収部材4を全面的に導管1に対して押し付けるように構成されており、帯状体61と帯状体61の自由端同士を引っ張り合わせて帯状体61に張力を与える締付ボルトからなる。締付ボルトを締め込むことで、帯状体61の張力を増大させ、その径方向内方へ力によって超音波吸収部材4を締付ける。その締付トルクは10N・m程度である。帯状体61においても、導管1に設置された送信用探触子2と受信用探触子3とに干渉しないように、開口部31aが設けられている。締付具6の装着時には、超音波吸収部材4の開口部41と帯状体61の開口部63とが一致するように、帯状体61の導管1に対する軸方向および周方向の位置が調整される。導管1の外表面11と超音波吸収部材4との密着性を向上させるために、その間にグリセリンや潤滑オイルなどのカップリング剤を介在させることも好適である。
超音波処理ユニット5は図4に示されているように、送信用探触子2から送信され受信用探触子3で受信された流体伝播超音波パルスが前記流体を伝播した伝播時間に基づいて導管1に内在する流体の種別を判定するために、送信回路51、受信回路52、信号評価部53、データ格納部54、表示部55を備えている。送信回路51は、高圧パルスを発生させ送信用探触子2の圧電素子を励起し、超音波パルスを作り出す。受信回路52は、受信用探触子3で受信された信号に対して増幅や周波数選別などを行なう前処理を行なう。表示部55は、超音波パルスの波形やその他情報を表示する、液晶等のディスプレイである。
信号評価部53には、流体伝播超音波パルスの伝播時間から流体を伝播する時間を算定する伝播時間算定部53a、算定された伝播時間に基づいて流体の音速を算定する音速算定部53b、音速算定部53bで算定された音速から前記流体の種別を判定する判定部53c、判定部の判定結果を報知するための報知信号を生成する報知部53dが含まれている。ここでは、伝播時間算定部53aで取り扱われる伝播時間は、厳密な意味で超音波パルスが流体を伝播する時間に限定されるわけでなく、導管1を伝播する時間も含めたトータルの伝播時間も含むものであってもよい。導管伝播時間が推定できる場合には、算定された伝播時間からその導管伝播時間分だけ減算することで正確な流体伝播時間を求めることができる。この実施形態では、導管伝播時間が流体種別判定に大きな影響を与えないので、伝播時間算定部53aで取り扱う伝播時間は、超音波パルスが送信用探触子2で送信された時点から、受信用探触子3で受信される時点までの時間である。但し、上述したように、反射を伴わない真の透過超音波パルス(図2の波形図ではWfで示されている)が良好なS/N比で検出されない場合には、導管1内で1回半往復した超音波パルス(図2の波形図ではWf2で示されている)が用いられる。伝播時間算定部53aや音速算定部53bにおける動作の仕組みは、超音波音速測定器や超音波肉厚測定器で広く利用されているものであるから、ここでは詳しい説明は省略するが、例えば特許文献1が参照される。
判定部53cは、データ格納部54にアクセスして、音速算定部53bで算定された音速に最も類似する音速を有する流体種を検索し、検索合致した流体種を導管1に内在する流体と判定する。判定部53cで実行されるアルゴリズムは種々の変形が可能である。例えば、導管1の材質と内径と肉厚別に、識別するべき流体ごとの相応な伝播時間をデータ格納部54に格納しておけば、音速算定部53bを省略して、伝播時間算定部53aで算定された伝播時間から直接流体種を判定することも可能である。判定部53cで導管1に内在する流体種が判定されると、報知部53dは判定された流体種を表示部55に表示するための表示信号を生成する。また、報知部53dは、判定された流体種を音声やブザーあるいはランプで報知するような構成であっても良い。
上述した実施形態の流体識別装置において、大気圧の空気を内在させた、管外径:118mm、管厚:8.5mmの鋳鉄製導管1に対して測定実験が行なわれた。なお、送信用探触子2と受信用探触子3の周波数に関しては、導管1の材質と管厚によって適切なものが異なるので、数種類の周波数の送信用探触子2と受信用探触子3を用意して最良のS/N比が得られるものを選択することが好ましい。
この実験で得られた超音波波形は図5と図6に示されている。図5は、締付具6を用いて超音波吸収部材4を10Nmの締付トルクで締付けた際に得られた超音波波形である。図6は、参考のため、超音波吸収部材4なしで行なわれた際に得られた超音波波形である。図5の超音波波形から読み取ることができるように、導管1の内部(空気)を1回半往復して受信用探触子3で受信された流体伝播超音波パルスの波形(Wf2で示されている)の到達時点(Twf2で示されている)は920μsである。鋳鉄の音速は、3000から5000m/sであるので、超音波パルスが導管1を伝播する時間は、5μs以下であり、無視してもよいし、その分をTwf2から差し引いてもよい。導管1の内径は101mmで、伝播時間はそれを3回伝播したことになるので、音速は、約330m/sと算定される。つまり、この音速結果から、導管1に内在する流体は空気であると判定できる。ちなみに、超音波吸収部材4なしではノイズ波による干渉により流体伝播超音波パルスの波形を検出することが困難であることが、図4から読み取ることができる。
本発明は、管状部材に内在する流体の種別を管状部材の外側から非破壊的手法で識別する流体識別装置に適用できる。
1:導管(管状部材)
2:送信用探触子
3:受信用探触子
4:超音波吸収部材
5:超音波処理ユニット
51:送信回路
52:受信回路
53:信号評価部
53a:伝播時間算定部
53b:音速算定部
53c:判定部
53d:報知部
54:データ格納部
6:締付具

Claims (7)

  1. 流体が内在する管状部材の外周面に配置され、前記管状部材の横断方向に超音波パルスを送信する送信用探触子と、
    前記送信用探触子から送信され前記流体を横断して伝播する超音波パルスである流体伝播超音波パルスを受信するように前記管状部材の外周面に配置される受信用探触子と、
    前記流体伝播超音波パルスが前記流体を伝播した伝播時間に基づいて前記流体の種別を判定する信号評価部と、
    前記管状部材の周壁に沿って伝播する超音波パルスである壁体伝播超音波パルスを吸収するために前記送信用探触子と前記受信用探触子の間の前記管状部材の表面に装着された超音波吸収部材と、
    を備える流体識別装置。
  2. 前記超音波吸収部材は粘性のある超音波吸収部材である請求項1に記載の流体識別装置。
  3. 前記超音波吸収部材は複数層からなり、各層の音響インピーダンスは前記管状部材の外周面に近い層ほど前記管状部材の音響インピーダンスとの差が少ない請求項1または2に記載の流体識別装置。
  4. 前記超音波吸収部材は、シート成形材である請求項1から3のいずれか一項に記載の流体識別装置。
  5. 前記超音波吸収部材を前記管状部材の外周面に押し付ける締付具が備えられている請求項1から4のいずれか一項に記載の流体識別装置。
  6. 前記信号評価部は、前記流体伝播超音波パルスの伝播時間から前記流体を伝播する時間を算定し、この算定された時間に基づいて前記流体の音速を算定する音速算定部と、算定された音速から前記流体の種別を判定する判定部と、前記判定部の判定結果を報知する報知部とを含む請求項1から5のいずれか一項に記載の流体識別装置。
  7. 流体が内在する管状部材の外周面に、前記管状部材の横断方向に超音波パルスを送信するように送信用探触子を配置するステップと、
    前記送信用探触子から送信されるとともに前記流体を横断して伝播する超音波パルスである流体伝播超音波パルスを受信するように受信用探触子を前記管状部材の外周面に配置するステップと、
    前記管状部材の周壁に沿って伝播する超音波パルスである壁体伝播超音波パルスを吸収するように前記送信用探触子と前記受信用探触子の間の前記管状部材の表面に超音波吸収部材を装着するステップと、
    前記流体伝播超音波パルスが前記流体を伝播した伝播時間に基づいて前記流体の種別を判定するステップと、
    を備える流体識別方法。
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