JP2014107157A - 導電性樹脂ペースト及びそれを用いた電子素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】銀粉末(A)、熱可塑性樹脂(B)、および溶剤(C)を必須成分とする導電性樹脂ペーストにおいて、熱可塑性樹脂(B)は、平均分子量が900以上の固形エポキシ樹脂であり、硬化剤を含まず、銀粉末(A)と熱可塑性樹脂(B)の重量比率が80:20〜97:3の範囲、かつ銀粉末(A)と熱可塑性樹脂(B)とを合わせた量と溶剤(C)の量との重量比率が95:5〜30:70の範囲となるように混合され、25℃における粘度が0.2〜100Pasとなることを特徴とする導電性樹脂ペーストなどによって提供。
【選択図】なし
Description
熱可塑性樹脂(B)は、平均分子量が900以上の固形エポキシ樹脂であり、硬化剤を含まず、銀粉末(A)と熱可塑性樹脂(B)の重量比率が80:20〜97:3の範囲、かつ銀粉末(A)と熱可塑性樹脂(B)とを合わせた量と溶剤(C)の量との重量比率が95:5〜30:70の範囲となるように混合され、25℃における粘度が0.2〜100Pasとなることを特徴とする導電性樹脂ペーストが提供される。
従来のように硬化剤を含む液状エポキシ樹脂を用いないことから、樹脂が電極間の隙間に塗布されるような場合でも、隙間が埋まる前に硬化してしまわないので、安定した塗布性が得られる。
本発明の導電性樹脂ペーストは、銀粉末と熱可塑性樹脂、溶剤が配合された導電性樹脂ペーストにおいて、熱可塑性樹脂として平均分子量が900以上の固形エポキシ樹脂を用い、硬化剤を配合せず、導電性付与に十分な量の銀粉末を含有させ、その際、熱可塑性樹脂と溶剤の量を調整して特定の粘度となるようにしている。
本発明において銀粉末(以下、Ag粉末とも表記する)は、導電性樹脂ペーストの導電性成分であり、通常、電子素子や人体にとって有害な元素(Pbなど)を含まない純粋なAgを用いる。
しかし、本発明の目的を損なわない範囲でSn、Bi、In、Ni、Cu、Fe、Zn、Ru、Au、Pt、Pdなどとの合金やそれらの表面にAgをコーティングしたコート粉やそれらとの混合粉を採用しても良い。
ただし、Ag粉末は、タップ密度や粒径の大きさによって特性が異なることから、電子素子の種類によっては、タップ密度3〜8/cm3のAg粉末を使用することが好ましい場合がある。
一方、3g/cm3より小さいと分散性が劣るので、樹脂接着剤組成物中に高充填できないことがあり、また、タップ密度が8g/cm3以上の銀被覆金属粉末は現在のところ入手困難であり、調製も容易ではない。好ましいタップ密度は3.5〜7g/cm3で、より好ましいタップ密度は4〜6g/cm3である。
また、銀粉末の形状は、フレーク状、球状、これらの混合物のいずれでもよい。本発明で好ましいのはフレーク状である。平均粒径は、15μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。この数値はマイクロトラックで測定した時の値を示す。なお、上記を満たすのであれば、2種類以上のAg粉を混合しても差し支えない。
本発明では、熱可塑性樹脂として、平均分子量900以上の固形エポキシ樹脂を使用し、導電性樹脂ペーストの接着成分とする。固形エポキシ樹脂とは、エポキシ基を有する樹脂のうち、室温で固体を示すものである。
このため、本発明では固形エポキシ樹脂を使用して溶剤に溶解することで硬化剤を配合せず、使用時には所定の温度で溶剤を揮発させることによって、ポリエステルやアクリル樹脂のような熱可塑性樹脂と同様な乾燥固化が実現できるようにした。
本発明では、熱可塑性樹脂が固形エポキシ樹脂なので、溶剤に溶解させる必要がある。溶剤の種類は、熱可塑性樹脂を溶解できれば特に限定されるものではない。多価アルコールや炭化水素及びエステル等を使用でき、例えば、ターピネオール、ジヒドロターピニルアセテート(水素添加テルピネオールアセテート)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、又はジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジヒドロターピニルアセテート、イソボルニルプロピオネート、イソボルニルブチレート、又はイソボルニルイソブチレートなどが挙げられる。
なお、粘度は、長時間放置すると銀粉末の一部が沈降することがある。そのため粘度は、ブルックフィールド社製のHAT型粘度計を用い、試料を20rpmで60秒後の測定値である。本発明では、0.3〜50Pasの範囲が好ましい。
本発明では、上記必須成分に対して、本発明の目的を損なわない限り、分散剤、安定剤、着色剤などを添加することができる。
また、本発明の目的を損なわない範囲でポリエステルやアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を添加しても構わない。ポリエステルやアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を添加する場合は、固形エポキシ樹脂に対して30重量%以下、好ましくは10重量%以下とする。
本発明の導電性樹脂ペーストは、タンタルコンデンサやアルミ固体電解コンデンサ、チップ抵抗器などの各種電子素子の内部電極や端面電極の形成や、その接着に適用できる。特に導電性樹脂ペーストをディッピング等により塗布膜形成する固体電解コンデンサの内部電極を製造するのに効果的である。
フレーク状Ag粉末A タップ密度が3.8g/cm3のAg粉末
フレーク状Ag粉末B タップ密度が2g/cm3のAg粉末
球状Ag粉C タップ密度が4.1g/cm3のAg粉末
エポキシ樹脂化合物A ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(三菱化学株式会社:jER1256、平均分子量:約50,000)
エポキシ樹脂化合物B ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(三菱化学株式会社:jER1004、平均分子量:約1,650)
エポキシ樹脂化合物C ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱化学株式会社:jER828、平均分子量:約370)
エポキシ樹脂化合物D 液状のエポキシ化ポリブタジエン樹脂(株式会社ダイセル:エポリードPB4700 平均分子量:約2,750)
ポリエステル樹脂化合物A 高分子量飽和ポリエステル樹脂(日本合成化学工業株式会社:ニチゴーポリエスター TP−220、平均分子量:約16,000)
アクリル樹脂化合物A アクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社:BR−95、平均分子量:約320,000)
硬化剤A ジシアンジアミド(三菱化学株式会社:DICY7)
硬化促進剤A 2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成株式会社:キュアゾール2P4MHZ−PW)
溶剤A 酢酸2−(2−n−ブトキシエトキシ)エチル(関東化学株式会社:酢酸2−(2−n−ブトキシエトキシ)エチル、蒸気圧(20℃):0.01hPa)
溶剤B 酢酸2−n−ブトキシエチル(関東化学株式会社:酢酸2−n−ブトキシエチル、蒸気圧(20℃):0.31hPa)
溶剤C ブチルカルビトール(関東化学株式会社:2−(2−n−ブトキシエトキシ、蒸気圧(20℃):0.013hPa)
溶剤D N−メチル−2−ピロリドン(関東化学株式会社:N−メチル−2−ピロリジノン、蒸気圧(20℃):0.32hPa)
溶剤E 2−n−ブトキシエタノール(関東化学株式会社:2−n−ブトキシエタノール、蒸気圧(20℃):0.8hPa)
粘度はブルックフィールド社製のHAT型粘度計を用い、試料を20rpmで、60秒後の測定値である。
アルミナ基板上に幅0.6mm、長さ60mmの長方形状に試料(導電性樹脂ペースト)を印刷し、150℃のオーブン中に40分間放置し、固化した後、室温まで冷却し、導電性樹脂ペースト上の両端で抵抗値を測定した。続いて、印刷し固化した導電性樹脂ペーストの膜厚を測定し、抵抗値と膜厚から抵抗率を求めた。
アルミナ基板上に試料(導電性樹脂ペースト)を滴下し、1.5mm角のシリコンチップを載せ、150℃のオーブン中に40分間放置して固化させた。室温まで冷却した後、この基板に対し水平方向からシリコンチップに力を加え、該シリコンチップが剥がれた時の力を接着強度として測定した。
混練された導電性樹脂ペーストを25℃で保管しながら、1回/週の頻度で粘度を測定し、初期粘度から20%以上高くなるまでの日数が90日以上の場合は良(○)、それ未満の場合は不可(×)とした。
ブルックフィールド社製のHAT型粘度計を用い、20rpm時の粘度を計測した。
上記の4項目において、粘度が0.2〜100Pas、体積抵抗率が50μΩ・cm以下、接着強度は10N以上、保存安定性が90日以上の条件を全て満たしたもののみ良(○)とし、1つでも条件に満たさないものがある場合は不可(×)とした。
Ag粉末として、タップ密度が3.8g/cm3のフレーク状Ag粉末A、樹脂成分として、エポキシ樹脂化合物A:ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(三菱化学株式会社:jER1256)、溶剤成分として、酢酸2−(2−n−ブトキシエトキシ)エチル(関東化学株式会社:酢酸2−(2−n−ブトキシエトキシ)エチル)を原料として、導電性樹脂ペーストを調製し、3本ロール型混練機を使用して混練し、本発明の導電性接着剤を得た。
この導電性樹脂ペーストを用いて、アルミナ基板上に印刷し、上記の条件で体積抵抗率を測定した。また、アルミナ基板上に滴下しシリコンチップを載せ、150℃に加熱し40分間溶剤を気化させてから、接着強度を測定した。また、本発明の導電性樹脂ペーストを25℃で保管しながら粘度を測定し保存安定性を評価した。この結果は表1に併記した。表1中、各成分の濃度は重量%で示している。
表1に記載したAg粉、エポキシ樹脂化合物A、溶剤Aの配合を変えた以外は実施例1と同様にして、導電性樹脂ペーストを調整し、3本ロール型混練機を使用して混練し、本発明の導電性樹脂ペーストを得た。その後、この導電性樹脂ペーストを用いて、アルミナ基板上に印刷し、上記の条件で体積抵抗率を測定した。また、アルミナ基板上に滴下しシリコンチップ載せ、150℃に加熱し40分間溶剤を気化させてから、接着強度を測定した。本発明の導電性樹脂ペーストを25℃で保管しながら粘度を測定し保存安定性を評価した。この結果は表1に併記した。
表1に記載したようにAg粉末をタップ密度が2g/cm3のフレークAg粉Bとし(実施例5)、又はタップ密度が4.1g/cm3の球状Ag粉Cを用い(実施例6)以外は実施例1と同様にして、導電性樹脂ペーストを調整し、3本ロール型混練機を使用して混練し、本発明の導電性樹脂ペーストを得た。
また、樹脂成分をエポキシ樹脂化合物B:ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(三菱化学株式会社:jER1004)に変えるか(実施例7)、溶剤成分を溶剤B:酢酸2−n−ブトキシエチル(関東化学株式会社:酢酸2−n−ブトキシエチル)とし(実施例8)、又は溶剤C:ブチルカルビトール(関東化学株式会社:2−(2−n−ブトキシエトキシ)エタノールとし(実施例9)、又は溶剤D:N−メチル−2−ピロリドン(関東化学株式会社:N−メチル−2−ピロリジノン)とするか(実施例10)、又は溶剤E:2−n−ブトキシエタノール(関東化学株式会社:2−n−ブトキシエタノール)に変えた(実施例11)以外は実施例1と同様にして、導電性樹脂ペーストを調整し、3本ロール型混練機を使用して混練し、本発明の導電性樹脂ペーストを得た。
その後、この導電性樹脂ペーストを用いて、アルミナ基板上に印刷し、上記の条件で体積抵抗率を測定した。また、アルミナ基板上に滴下しシリコンチップ載せ、150℃に加熱し40分間溶剤を気化させてから、接着強度を測定した。本発明の導電性樹脂ペーストを25℃で保管しながら粘度を測定し保存安定性を評価した。この結果は表1に併記した。
表2に記載したようにAg粉末成分と樹脂成分と溶剤成分の配合量を変えた以外は実施例1と同様にして、導電性樹脂ペーストを調整し、3本ロール型混練機を使用して混練し、比較用の導電性樹脂ペーストを得た。
その後、この導電性樹脂ペーストを用いて、アルミナ基板上に印刷し、上記の条件で体積抵抗率を測定した。また、アルミナ基板上に滴下しシリコンチップ載せ、150℃に加熱し40分間溶剤を気化させてから、接着強度を測定した。この導電性樹脂ペーストを25℃で保管しながら粘度を測定し保存安定性を評価した。この結果は表2に併記した。
表2に記載したように硬化剤成分として硬化剤A:ジシアンジアミド(三菱化学株式会社:DICY7)、及び促進剤成分として硬化促進剤A:2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成株式会社:キュアゾール2P4MHZ−PW)を加えた以外は実施例1と同様にして、導電性樹脂ペーストを調整し、3本ロール型混練機を使用して混練し、比較用の導電性樹脂ペーストを得た(比較例4)。
また、樹脂成分のエポキシ樹脂化合物Aの代わりにエポキシ樹脂化合物C:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱化学株式会社:jER828)を用い(比較例5)、又はエポキシ樹脂化合物D:エポキシ化ポリブタジエン樹脂(株式会社ダイセル:エポリードPB4700)を用いるか(比較例6)、又はポリエステル樹脂化合物A:高分子量飽和ポリエステル樹脂(日本合成化学工業株式会社:ニチゴーポリエスター TP−220)、又はアクリル樹脂化合物A:アクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社:BR−95)に変えた(比較例7)以外は実施例1と同様にして、導電性樹脂ペーストを調整し、3本ロール型混練機を使用して混練し、比較用の導電性樹脂ペーストを得た。
その後、これらの導電性樹脂ペーストを用いて、アルミナ基板上に印刷し、上記の条件で体積抵抗率を測定した。また、アルミナ基板上に滴下しシリコンチップを載せ、150℃に加熱し40分間溶剤を気化するか硬化させてから、接着強度を測定した。次に、この導電性樹脂ペーストを25℃で保管しながら粘度を測定し保存安定性を評価した。この結果は表2に併記した。
表1から明らかなように、実施例1〜11の導電性樹脂ペーストは、本発明により平均分子量が900以上の固形エポキシ樹脂を用い、硬化剤を含まず、銀粉末(A)と熱可塑性樹脂(B)の重量比率、かつ銀粉末(A)と熱可塑性樹脂(B)とを合わせた量と溶剤(C)の量との重量比率が所定の範囲となるように混合されているので、導電性、接着性、保存安定性のいずれも優れていることが分かる。なお、実施例2は、接着強度がやや弱く、実施例3及び実施例5はやや体積抵抗率が高いが、実用上問題の無いレベルである。
比較例4は、固形エポキシ樹脂に対して、硬化剤と硬化促進剤を使用しているため、保存安定性が悪く不可となった。また、比較例5は液状のエポキシ樹脂化合物Cを使用したため、体積抵抗率が高く、接着強度が弱く不可となった。
比較例6は、固形エポキシ樹脂ではなくポリエステル化合物Aを使用したため、接着強度が弱く不可となった。比較例7は、固形エポキシ樹脂ではなくアクリル樹脂化合物Aを使用したため,接着強度が弱く不可となった。
Claims (8)
- 銀粉末(A)、熱可塑性樹脂(B)、および溶剤(C)を必須成分とする導電性樹脂ペーストにおいて、
熱可塑性樹脂(B)は、平均分子量が900以上の固形エポキシ樹脂であり、硬化剤を含まず、銀粉末(A)と熱可塑性樹脂(B)の重量比率が80:20〜97:3の範囲、かつ銀粉末(A)と熱可塑性樹脂(B)とを合わせた量と溶剤(C)の量との重量比率が95:5〜30:70の範囲となるように混合され、25℃における粘度が0.2〜100Pasとなることを特徴とする導電性樹脂ペースト。 - 前記銀粉末(A)は、タップ密度が3〜8g/cm3であることを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂ペースト。
- 前記銀粉末(A)は、形状がフレーク状であることを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂ペースト。
- 前記熱可塑性樹脂(B)は、平均分子量が1000〜100,000であることを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂ペースト。
- 前記熱可塑性樹脂(B)は、直鎖状の2官能性エポキシ高分子化合物であることを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂ペースト。
- 前記溶剤(C)は、20℃での蒸気圧が0.7hPa以下の溶剤であることを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂ペースト。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の導電性樹脂ペーストを用いてなる電子素子。
- 導電性樹脂ペーストにより固体電解コンデンサの内部電極が形成された請求項7に記載の電子素子。
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