以下、本発明の実施の形態について説明する。
(1)部品実装システムの構成
図1においては、部品実装システム1の一部を示し、基板搬送方向(図中右方向となるX方向)に向かって、ローダ(図示せず)、印刷装置4、表面実装機としての部品実装装置6、8、10、リフロー装置12およびアンローダ(図示せず)が直線状に連結されている。
この部品実装システム1では、ローダ(図示せず)から供給されるプリント基板P1、P2を搬送しながら、プリント基板P1、P2にクリーム半田等の印刷、部品の実装、部品の接合といった処理を順次施しながら当該プリント基板P1、P2をアンローダ(図示せず)に回収する。
この部品実装システム1を構成する各装置4〜12は、基板搬送方向と直交する方向(図中上下方向となるY方向)に互いに平行に並ぶ2つの基板搬送コンベア20a、20bを備えている。従って、この部品実装システム1は、部品実装装置6、8、10のそれぞれにおいて、2つの基板搬送コンベア20a、20bの間で同期又は非同期の状態でプリント基板P1、P2を並列に搬送するとともに、互いに連結された部品実装装置6、8、10の各基板搬送コンベア20a、20bにおいて、各部品実装装置6、8、10の間で同期又は非同期の状態でプリント基板P1、P2を並列に搬送しながら、各基板搬送コンベア20a、20bに保持されるプリント基板P1、P2に対して上述した印刷、部品実装、部品接合といった処理を施す。
各装置4、6、8、10、12は、それぞれ制御装置を有する自律型の装置であって、それらの動作が各自の制御装置により個別に制御される。
なお、この部品実装システム1は、各装置4、6、8、10、12の制御装置にLAN(Local Area Network)システムを介して接続されるホストコンピュータ16をさらに備えている。このホストコンピュータ16は、所定の生産プログラム等に基づき各装置4〜12の動作を統括的に制御するとともに、後述するように、プリント基板P1、P2の生産に先立ち、当該生産プログラムに含まれる各部品実装装置6、8、10の実装モードを決定する。
この部品実装装置6、8、10の基本的な構成は共通しているため、以下、部品実装装置6を例にその構成について説明する。
部品実装装置6は、Y方向(X方向と水平面上で直交する方向)に並び、かつ、互いに平行にX方向へ延びる基板搬送装置43b(図2参照)を構成する第1基板搬送コンベア20a及び基板搬送装置44b(図2参照)を構成する第2基板搬送コンベア20bと、部品実装用の第1ヘッドユニット22a及び第2ヘッドユニット22bと、一対の第1部品供給部24a及び第2部品供給部24bとを備えている。
第1基板搬送コンベア20aは、ベルトコンベアからなり、プリント基板P1のY方向両端を支持しながらコンベア駆動装置(図示せず)の作動により当該プリント基板P1をX方向へ搬送する。第2基板搬送コンベア20bは、第1基板搬送コンベア20aと同一構成であり、当該第1基板搬送コンベア20aの後側(装置の後側;図1では上側)に配置され、プリント基板P2のY方向両端を支持しながら当該プリント基板P2をX方向へ搬送する。
なお、以下の説明では、適宜、部品実装装置6の第1基板搬送コンベア20aによる基板搬送路を前側レーン(本発明の第1搬送レーンに相当する)20a、第2基板搬送コンベア20bによる基板搬送路を後側レーン(本発明の第2搬送レーンに相当する)20bと称し、また、特に区別する場合には、前側レーン20aに沿って搬送されるプリント基板P1を第1基板P1、後側レーン20bに沿って搬送されるプリント基板P2を第2基板P2と称する。
部品実装装置6、8、10の前側レーン20a同士はX方向へ直列に連結されており、これにより複数台の部品実装装置6、8、10に亘る前側連結レーン(本発明の第1搬送レーンとしての前側レーン20aがX方向へ直列に連結されたもの)が形成されている。一方、部品実装装置6、8、10の後側レーン20b同士はX方向へ直列に連結されており、これにより複数台の部品実装装置6、8、10に亘る後側連結レーン(本発明の第2搬送レーンとしての前記した後側レーン20bがX方向へ直列に連結されたもの)が形成されている。
前側レーン20a、後側レーン20bの所定位置(図示の第1基板P1、第2基板P2の位置)はそれぞれ実装作業位置として設定されており、それらの位置には、基板クランプ装置43c、44c(図2参照)がそれぞれ配備されている。これらの基板クランプ装置43c、44cは、前側レーン20a、後側レーン20bから第1基板P1、第2基板P2を持ち上げた状態で当該第1基板P1、第2基板P2を実装作業位置に位置決め固定するものである。
すなわち、第1基板P1、第2基板P2は、前側レーン20a、後側レーン20bによりそれぞれ実装作業位置に搬送され、ここで基板クランプ装置43c、44cにより固定された状態で前側ヘッドユニット(本発明の第1ヘッドユニットに相当する)22a、この前側ヘッドユニット22aの後側に配置された後側ヘッドユニット(本発明の第2ヘッドユニットに相当する)22bにより部品実装が施された後、当該基板クランプ装置43c、44cによる固定が解除された後、前側レーン20a、後側レーン20bにより実装作業位置から下流側へ搬送される。
第1部品供給部としての前側部品供給部24a及び第2部品供給部としての後側部品供給部24bは、それぞれ前側レーン20a、後側レーン20bの外側に配置されている。具体的には、前側部品供給部24aは前側レーン20aの前側に配置され、後側部品供給部24bは後側レーン20bの後側に配置されている。
これらの前側部品供給部24aおよび後側部品供給部24bには、それぞれ部品供給装置として複数列のテープフィーダ25がX方向に配列されている。各テープフィーダ25は、集積回路(IC)、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等の小型の電子部品を所定間隔で収納、保持したテープが巻回されるリールと、このリールからテープを引出しながら電子部品をフィーダ先端の部品供給位置に送り出す部品送り機構等とを備えており、当該部品供給位置において前側ヘッドユニット22a、後側ヘッドユニット22bにより部品をピックアップさせるものである。なお、前側部品供給部24aおよび後側部品供給部24bに配置される部品供給装置43d、44d(図2参照)は、テープフィーダ25に限定されるものではなく、トレイ上にパッケージ部品を載置した状態で供給するトレイフィーダ等、他の部品供給装置も適用可能である。
前側ヘッドユニット22aは前側部品供給部24aのテープフィーダ25から、後側ヘッドユニット22bは後側部品供給部24bのテープフィーダ25から、それぞれ部品を取り出して非同期搬送独立実装モードにおいて、第1基板P1上、第2基板P2上にそれぞれ実装するものであり、上述した実装作業位置の上方に配備されている。
これら前側ヘッドユニット22aおよび後側ヘッドユニット22bは、それぞれ駆動部としてのX軸モータ41a、42a(図2参照)および駆動部としてのY軸モータ41b、42b(図2参照)によりX方向及びY方向へ移動可能に設けられているとともに、駆動部としてのヘッド毎Z軸駆動モータ41c、42c(図2参照)を介して上下方向へ移動可能な複数の吸着ヘッド23を当該前側ヘッドユニット22aおよび後側ヘッドユニット22bの下側(図1では便宜的に上側に図示している)に備えている。
つまり、前側ヘッドユニット22aは前側部品供給部24aの、後側ヘッドユニット22bは後側部品供給部24Bの、それぞれのテープフィーダ25の上方に配置された状態でヘッド毎Z軸駆動モータ41c、42cを介して当該吸着ヘッド23が上下動することによりテープフィーダ25から部品を取り出す一方、第1基板P1、第2基板P2の所望位置の上方に配置された状態で吸着ヘッド23がヘッド毎Z軸駆動モータ41c、42cを介して上下動したり、ヘッド毎R軸駆動モータ41d、42dを介して回転することにより部品を第1基板P1上、第2基板P2上の所望位置に実装するように構成されている。
そして、この部品実装装置6では、その制御装置による前側レーン20a、後側レーン20bおよび前側ヘッドユニット22a、後側ヘッドユニット22b等の制御により、次のような非同期搬送独立実装モード、非同期搬送交互実装モードまたは同期搬送乗り入れ実装モードに基づいて部品実装を行うように構成されている。
<非同期搬送独立実装モード>
非同期搬送独立実装モードとは、前側レーン20aおよび後側レーン20bによって第1基板P1および第2基板P2を互いに非同期で搬送しながら、前側ヘッドユニット22aによって第1基板P1にのみ部品実装を行う一方で、後側ヘッドユニット22bによって第2基板P2にのみ実装を行う実装モードである。従って非同期搬送独立実装モードは、前側ヘッドユニット22aにより第2基板P2に部品を実装することや、後側ヘッドユニット22bにより第1基板P1に部品を実装することは行わない実装モードである。
この非同期搬送独立実装モードは、前側レーン20aにおける第1基板P1の基板搬送及び実装作業と後側レーン20bにおける第2基板P2の基板搬送及び実装作業とが完全に独立しているため、スループットが高い反面、第1基板P1、第2基板P2の実装作業時間に差がある場合には、第1基板P1と第2基板P2との生産数に自ずと差が生じる実装モードである。
<非同期搬送交互実装モード>
非同期搬送交互実装モードとは、第1基板P1と第2基板P2とを互いに非同期で搬送しながら、両方の前側ヘッドユニット22Aおよび後側ヘッドユニット22Bにより第1基板P1に実装を行うことと、両方のヘッドユニット22A、22Bにより第2基板P2に実装を行うことを交互に行う実装モードである。
この非同期搬送交互実装モードは、前側レーン20aにおける第1基板P1の基板搬送及び実装作業と後側レーン20bにおける第2基板P2の基板搬送及び実装作業とが交互に行われるため、第1基板P1、第2基板P2の実装作業時間に差がある場合でも、その時間差を保ちながら第1基板P1と第2基板P2とが交互に生産される。そのため、第1基板P1の生産数と第2基板P2の生産数との間に差が生じない実装モードである。
<同期搬送乗り入れ実装モード>
同期搬送乗り入れ実装モードとは、第1基板P1と第2基板P2とを互いに同期搬送しながら、前側ヘッドユニット22Aより第1基板P1に実装を行うとともに後側ヘッドユニット22Bにより第2基板P2に実装を行うことを基本としつつ、搭載部品点数が多い等により部品搭載の作業時間の長くなる方の第1基板P1あるいは第2基板P2に対しては、前側ヘッドユニット22Aおよび後側ヘッドユニット22Bの両方を使って実装を行うモードである。
なお、この前側ヘッドユニット22Aおよび後側ヘッドユニット22Bの両方を使う実装のタイミングは、第1基板P1と第2基板P2の両方が同期搬入されて前側レーン20aおよび後側レーン20bのそれぞれの実装作業位置に当該第1基板P1、第2基板P2が保持された後、最初に実装が行われる段階、第1基板P1と第2基板P2の両方が同期搬出される直前である実装作業の最後の段階、あるいは、前側ヘッドユニット22Aより第1基板P1に実装が行われるとともに後側ヘッドユニット22Bにより第2基板P2に実装が行われている途中の段階(並行実装の途中のタイミング)で適宜実施される。
すなわち、この同期搬送乗り入れ実装モードは、前側ヘッドユニット22Aより第1基板P1に搭載対象部品の全てを実装するとともに、後側ヘッドユニット22Bにより第2基板P2に搭載対象部品の全てを実装するとした場合、両方の第1基板P1および第2基板P2の実装作業時間に差があっても、この実装作業時間が長くなる方の基板Pに対して、前側ヘッドユニット22Aおよび後側ヘッドユニット22Bの両方により実装を行う工程を付加することにより、実装作業時間が長くなる方の基板Pに対する実装サイクルタイムを短くしてスループットを向上させるモードである。
また、この同期搬送乗り入れ実装モードは、第1基板P1、第2基板P2の実装作業時間に差があっても、第1基板P1および第2基板P2が同期搬送されるため、第1基板P1の生産数と第2基板P2の生産数との間に差が生じない実装モードである。
但し、この部品実装システム1では、上述した3つの非同期搬送独立実装モード、非同期搬送交互実装モードおよび同期搬送乗り入れ実装モードのうち、非同期搬送独立実装モードに適用する場合について説明するものである。
続いて、部品実装システム1におけるホストコンピュータ16の構成と、各部品実装装置6(8、10)の制御装置18の構成について説明するが、この制御装置18はホストコンピュータ16のコントロールの下、部品実装装置6(8、10)の非同期搬送独立実装モードにおける実装処理を制御するために用いられるものである。
ホストコンピュータ16は、制御部としての主制御部30、記憶部32及び通信部34を含んでいる。また、ホストコンピュータ16は、液晶表示器等の表示ユニット36及びキーボード等の入力ユニット38をさらに備えている。
主制御部30は、論理演算を実行するCPU(Central processing Unit)などから構成されている。通信部34は、ホストコンピュータ16と各装置4〜12の制御装置との通信制御を行うものである。また記憶部32は、実装モード決定プログラム33a、優先基板決定および実生産プログラムの修正プログラム33b、実生産プログラム33c、生産状況データ33d、基板データ33e及び生産プログラム33f等を記憶している。
主制御部30は、記憶部32に記憶されている実装モード決定プログラム33aに基づいて上述した非同期搬送独立実装モードを決定し、部品実装装置6、8、10それぞれの非同期搬送独立実装処理を制御する。
各部品実装装置6(8、10)の制御装置18の主制御部30Aは、論理演算を実行するCPUなどから構成され、通信部34Aは、ホストコンピュータ16の主制御部30との通信制御を行うものである。記憶部32Aは、実生産プログラム33Ac、生産状況データ33Ad、及び基板データ33Ae等を記憶している。
制御装置18の記憶部32Aに記憶された基板データ33Aeは、この部品実装装置6(8,10)において生産される第1基板P1、第2基板P2に関する情報であって、例えば第1基板P1、第2基板P2毎の実装部品の種類、数、実装位置、その他の第1基板P1、第2基板P2に関する各種情報を含む。ここで基板データ33Aeには、第1基板P1に対応した基板データ33Ae1と第2基板P2に対応した基板データ33Ae2とが含まれている。
記憶部32Aに記憶された生産状況データ33Adは、部品実装装置6(8、10)の生産状況に関する情報であって、部品実装装置6(8、10)における例えば部品の品種毎に部品1個辺りの平均実装時間等、実装サイクルタイム及びスループットの演算に必要な生産状況に関する情報を含む。
記憶部32Aに記憶された実生産プログラム33Acは、非同期搬送独立実装モードに対応したものであり、後側ヘッドユニット22bとは独立して前側ヘッドユニット22aが第1基板P1に部品実装を行う際の実生産プログラム33Ac1、および前側ヘッドユニット22aとは独立して後側ヘッドユニット22bが第2基板P2に部品実装を行う際の実生産プログラム33Ac2が含まれている。
この実生産プログラム33Acは、前側ヘッドユニット22a、後側ヘッドユニット22bにおける1ヘッドユニットの実装に関わる単位プログラムであるシーケンスが複数集まったものであり、当該シーケンスには、個々の動作命令が複数集まったものである。このシーケンスには例えば、ヘッドユニット22a(22b)の部品供給部24a(24b)の上方での吸着ヘッド23毎の移動命令、吸着動作命令、テープフィーダ25へのテープ送り命令、ヘッドユニット22a(22b)の部品供給部24a(24b)の上方から基板P1(P2)上方への移動命令、基板P1(P2)上方での吸着ヘッド23毎の移動命令、実装動作命令、基板P1(P2)上方から部品供給部24a(24b)の上方への移動命令等からなる単位実装プログラムとなるものがある。この単位実装プログラムは、部品供給装置25の位置データ、および基板P1(P2)上の実装位置データを伴っている。さらに、このシーケンスには、基板搬送命令、基板搬送停止命令、基板クランプ命令等からなるものや、基板クランプ解除命令、基板搬送命令、基板搬送停止命令等からなる搬送工程プログラムとなるものがある。
ホストコンピュータ16の記憶部32に記憶された生産プログラム33fは、ローダ(図示せず)、印刷装置4、部品実装装置6、8、10、リフロー装置12およびアンローダ(図示せず)の各装置を統合運用するためのプログラムであり、後述する優先度リストデータが含まれている。また、記憶部32に記憶された基板データ33eは、この部品実装システム1において生産される第1基板P1、第2基板P2に関する情報であって、例えば第1基板P1、第2基板P2毎の実装計画枚数、納期等の各種情報を含む。そして記憶部32に記憶された生産状況データ33dは、ローダ(図示せず)、印刷装置4、部品実装装置6、8、10、リフロー装置12およびアンローダ(図示せず)の各装置におけるそれぞれの生産状況に関する情報であって、各装置や部品実装システム1における例えば実装サイクルタイム及びスループットの演算に必要な生産状況に関する情報を含む。
記憶部32に記憶された優先基板決定および実生産プログラムの修正プログラム33bは、優先基板であることがパラメータにより設定された第1基板P1または第2基板P2の当該パラメータを変更するためのプログラムであり、また、各部品実装装置6、8、10における実生産プログラム33Acを構成している複数のシーケンスの順番を入れ換えるためのプログラムである。
従って制御装置18の主制御部30Aは、実生産プログラム33Acに従って、生産対象である第1基板P1及び第2基板P2の基板データ33Ae及び生産状況データ33Adに基づき部品実装装置6の前側ヘッドユニット22aおよび後側ヘッドユニット22bによる非同期搬送独立実装処理を制御する。
また主制御部30Aは、前側ヘッドユニット22a、後側ヘッドユニット22b、前側レーン20a、後側レーン20bを駆動するための駆動制御部31と接続されるとともに、前側ヘッドユニット22aの基板認識カメラ41e、後側ヘッドユニット22bの基板認識カメラ42e、前側レーン20aの部品認識カメラ43a、後側レーン20bの部品認識カメラ44aに対する撮像制御および撮像結果の画像を処理するための撮像制御および画像処理部35と接続されている。
前側ヘッドユニット22aには、X軸モータ41a、Y軸モータ41b、各吸着ヘッド23を昇降するヘッド毎Z軸モータ41c、各吸着ヘッド23をR軸方向へ回転させるヘッド毎R軸モータ41d、および部品実装対象の第1基板P1を認識して当該前側ヘッドユニット22aを位置決めするための基板認識カメラ41eが設けられており、それぞれが駆動制御部31に接続されている。
後側ヘッドユニット22bには、同様のX軸モータ42a、Y軸モータ42b、ヘッド毎Z軸モータ42c、ヘッド毎R軸モータ42d、および基板認識カメラ42eが設けられており、それぞれが駆動制御部31に接続されている。
前側レーン20aには、基板搬送装置43b、および基板クランプ装置43cが設けられ、前側レーン20aの前側の前側部品供給部24aに部品供給装置43dが、2つの前側部品供給部24aの間に、各吸着ヘッド23により吸着された部品を認識するための部品認識カメラ43aがそれぞれ設けられている。そして、基板搬送装置43b、基板クランプ装置43cおよび部品供給装置43dは駆動制御部31に接続されている一方、部品認識カメラ43aが撮像制御および画像処理部35に接続されている。
後側レーン20bには、同様に、基板搬送装置44b、および基板クランプ装置44cが設けられ、後側レーン20bの後側の後側部品供給部24bに部品供給装置44dが、2つの後側部品供給部24bの間に、各吸着ヘッド23により吸着された部品を認識するための部品認識カメラ44aがそれぞれ設けられている。そして、基板搬送装置44b、基板クランプ装置44cおよび部品供給装置44dは駆動制御部31に接続されている一方、部品認識カメラ44aが撮像制御および画像処理部35に接続されている。
従って、制御装置18の主制御部30Aは、第1基板P1、第2基板P2の生産に先立ち、部品実装装置6における前側ヘッドユニット22a、後側ヘッドユニット22bにそれぞれ対応した実生産プログラム33Ac1 、33Ac2に従い、部品実装装置6における前側ヘッドユニット22a、後側ヘッドユニット22bの非同期搬送独立実装動作を統括的に制御することができる。
(2)非同期搬送独立実装モードにおけるヘッドユニット干渉回避の独立実装処理
次に、非同期搬送独立実装モードにおけるヘッドユニット干渉回避の独立実装処理について説明するが、部品実装装置6、8、10は全て同じ構成であるため、ここでは説明の便宜上、部品実装装置6について説明する。
図3に示すように、部品実装装置6においては、前側ヘッドユニット22aがX軸モータ41a、Y軸モータ41b、および後側ヘッドユニット22bがX軸モータ42a、Y軸モータ42bによりX方向及びY方向へ互いに独立して移動自在に駆動され、前側ヘッドユニット22aが実生産プログラム33Ac1に従い第1基板P1に対して部品を実装する一方、後側ヘッドユニット22bが実生産プログラム33Ac2に従い第2基板P2に対して部品を実装することが可能である。
後側ヘッドユニット22bによる第2基板P2の前側端部への部品の実装中、後側ヘッドユニット22bに前側ヘッドユニット22aが干渉するのを避けるため、前側ヘッドユニット22aは、第1基板P1の後側端部への部品の実装が禁止される。この第1基板P1の後側端部が第1の干渉領域IR1となる。同様に、前側ヘッドユニット22aによる第1基板P1の後側端部、すなわち第1の干渉領域IR1への部品の実装中、前側ヘッドユニット22aに後側ヘッドユニット22bが干渉するのを避けるため、後側ヘッドユニット22bは、第2基板P2の前側端部への部品の実装が禁止される。この第2基板P2の前側端部が第2の干渉領域IR2となる。
図4(A)に示すように、後側ヘッドユニット22bが第2の干渉領域IR2に侵入しているとき、前側ヘッドユニット22aは第1の干渉領域IR1に侵入することができず所定のヘッド干渉回避位置に退避して期間T1だけ待機する。
そして後側ヘッドユニット22bが第2の干渉領域IR2から出て、次に前側ヘッドユニット22aが第1の干渉領域IR1に侵入しているとき、後側ヘッドユニット22bは第1の干渉領域IR1に侵入することができず所定のヘッド干渉回避位置に退避して期間T3だけ待機する。
同様に、次に、後側ヘッドユニット22bが第2の干渉領域IR2に侵入したとき、前側ヘッドユニット22aは第1の干渉領域IR1に侵入することができず所定のヘッド干渉回避位置に退避して期間T2だけ待機し、前側ヘッドユニット22aが第1の干渉領域IR1に侵入したとき、後側ヘッドユニット22bは第2の干渉領域IR2に侵入することができずヘッド干渉回避位置で期間T4だけ待機する。
このように前側ヘッドユニット22aおよび後側ヘッドユニット22bは、第1の干渉領域IR1および第2の干渉領域IR2に、それぞれ同時に侵入して部品実装を行うことができないため、前側ヘッドユニット22aについては期間T1、T2の合計時間だけ生産時間が長引き(生産終了時刻が遅くなり)、後側ヘッドユニット22bについては期間T3、T4の合計時間だけ生産時間が長引く(生産終了時刻が遅くなる)。
このような生産状況を前提として、例えば、第2基板P2の生産時間の方が第1基板P1の生産時間よりも長いため、第2基板P2を第1基板P1よりも優先して部品実装を行う必要が生じた場合、図4(B)に示すように、前側ヘッドユニット22aによる第1の干渉領域IR1への実装よりも優先して、前側ヘッドユニット22aによる第2の干渉領域IR2への実装を行わせる。これにより第2基板P2が優先して生産された結果、第2基板P2に対する生産時間は期間T3、T4の合計時間分だけ短くなる。
一方、第1基板P1を第2基板P2よりも優先して部品実装を行う必要が生じた場合、後側ヘッドユニット22bによる第2の干渉領域IR2への実装よりも優先して第1の干渉領域IR1への実装を行わせる。これにより第1基板P1が優先して生産された結果、第1基板P1に対する生産時間は期間T1、T2の合計時間分だけ短くなる。
ここまでが基本的なヘッドユニット干渉回避の独立実装処理の説明であって、その詳細を図5のフローチャートを用いて説明する。なお、優先基板として第1基板P1が設定されている場合や、優先レーンとして前側レーン20aが設定されている場合は、何れも前側ヘッドユニット22aが優先対象として設定されていることを意味し、優先基板として第2基板P2が設定されている場合や、優先レーンとして後側レーン20bが設定されている場合は、何れも後側ヘッドユニット22bが優先対象として設定されていることを意味する。
(2−1)基本的なヘッドユニット干渉回避の独立実装処理
続いて、部品実装装置6における最も基本的なヘッドユニット干渉回避の独立実装処理の動作を説明する。図5に示すように、ホストコンピュータ16の主制御部30はルーチンRT1の開始ステップから入って次のステップSP1へ移り、現在、優先対象として設定されているのが前側ヘッドユニット22aであるか否かを判定する。
ここで肯定結果が得られると、このことは第1基板P1の基板データ33e1のパラメータおよび第2基板P2の基板データ33e2のパラメータを読み出した結果、当該第1基板P1が優先基板として設定されているため、主制御部30が第1基板P1に対応した前側ヘッドユニット22aを優先対象として認識したことを表しており、このとき次のステップSP2へ移る。
ステップSP2において主制御部30は、第1基板P1に対する部品の実装を優先するため、図4(B)に示すように、実生産プログラム33Ac1に従い前側ヘッドユニット22aを後側ヘッドユニット22bよりも常に優先して第1の干渉領域IR1の実装を行わせるように、制御装置18の記憶部32Aの実生産プログラム33Acを修正する。制御装置18の主制御部30Aは、修正された実生産プログラム33Acに基づき当該前側ヘッドユニット22aによる実装を連続で行わせ、最短の生産時間(期間T1、T2の合計時間分が短縮された状態)で第1基板P1に対する実装作業を終了させ、次のステップSP4へ移って処理を終了する。
このとき制御装置18の主制御部30Aは、前側ヘッドユニット22aが第1の干渉領域IR1の実装を行っている際、非優先対象である第2基板P2の後側ヘッドユニット22bを、第2基板P2の上方ではなく、第2部品供給部24bのテープフィーダ25上の所定のヘッド干渉回避位置(図1)に退避して所定時間(期間T3、T4)だけ待機させる。あるいは、後側ヘッドユニット22bにより第2の干渉領域IR2を除く第2基板P2における領域である第2非干渉領域NIR2の実装を行わせるようにする。
これに対してステップSP1で否定結果が得られると、このことは第1基板P1の基板データ33e1のパラメータおよび第2基板P2の基板データ33e2のパラメータを読み出した結果、当該第1基板P1が優先基板として設定されておらず、当該第2基板P2が優先基板として設定されているため、主制御部30が第2基板P2に対応した後側ヘッドユニット22bを優先対象として認識したことを表しており、このとき主制御部30は次のステップSP3へ移る。
ステップSP3において主制御部30は、第2基板P2に対する部品の実装を優先するため、図4(B)に示すように、実生産プログラム33Ac2に従い後側ヘッドユニット22bを前側ヘッドユニット22aよりも常に優先して第2の干渉領域IR2の実装を行わせるように制御装置18の記憶部32Aの実生産プログラム33Acを修正する。制御装置18の主制御部30Aは、修正された実生産プログラム33Acに基づき、後側ヘッドユニット22bによる実装を連続で行わせ、最短の生産時間(期間T3、T4の合計時間分が短縮された状態)で第2基板P2に対する実装作業を終了させ、次のステップSP4へ移って処理を終了する。
このとき制御装置18の主制御部30A は、後側ヘッドユニット22bが第2の干渉領域IR2の実装を行っている際、非優先対象である第1基板P1に対応した前側ヘッドユニット22aを、第1基板P1の上方ではなく、第1部品供給部24aのテープフィーダ25上の所定のヘッド干渉回避位置(図1)に退避して所定時間(期間T1、T2)だけ待機させる。あるいは、前側ヘッドユニット22aにより第1の干渉領域IR1を除く第1基板P2における領域である第1非干渉領域NIR1の実装を行わせるようにする。
かくして部品実装装置6では、図4(B)に示すように、実装を優先させたい第1基板P1の生産が期間T1、T2の合計時間分だけ短縮されるか、または実装を優先させたい第2基板P2の生産が期間T3、T4の合計時間分だけ短縮されることになる。
(2−1−1)優先対象の設定処理
ところで、第1基板P1に対応した前側ヘッドユニット22aまたは第2基板P2に対応した後側ヘッドユニット22bのいずれを優先対象して部品実装を行うかを決定するに際し、(i)オペレータが前側レーン20aまたは後側レーン20bを直接指定することにより優先レーンを決定する場合、(ii)第1基板P1、第2基板P2に対する優先度リストデータに基づいて優先基板を自動的に決定する場合、(iii)第1基板P1、第2基板P2に対する実装を開始した後の実装中における中間在庫の状況に応じて優先基板を決定する場合、(iv)納期の迫っている方の第1基板P1または第2基板P2を優先基板として決定する場合、(v)第1基板P1に対応した前側レーン20aまたは第2基板P2に対応した後側レーン20bのうち未だ生産が完了していない方を優先基板として決定する場合等が想定される。
従って、(i)オペレータが前側レーン20aまたは後側レーン20bを直接指定することにより優先レーンを決定する場合(実装前に予め指定する場合や、実装中に指定する場合が有る)について最初に説明する。
この場合、入力ユニット38を介して前側レーン20aまたは後側レーン20bが指定されたことに応じて、当該指定された方を優先レーンとして認識する。
主制御部30は、優先レーンとして認識した前側レーン20aまたは後側レーン20bに対応した前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bを優先対象として判別し、制御装置18の記憶部32Aの実生産プログラム33Acを修正あるいはそのままとする。部品実装装置6の制御装置18は修正あるいはそのままとされた実生産プログラム33Acに基づき、優先対象の前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bに対応した第1基板P1または第2基板P2を優先基板として優先的に実装する。
主制御部30は、優先レーンとして認識した前側レーン20aまたは後側レーン20bに対応した前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bを優先対象として判別し、制御装置18の記憶部32Aの実生産プログラム33Acを修正する。部品実装装置6の制御装置18は修正された実生産プログラム33Acに基づき、優先対象の前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bに対応した第1基板P1または第2基板P2を優先基板として優先的に実装する。
続いて、(ii)第1基板P1、第2基板P2に対する優先度リストデータに基づいて優先基板を自動的に決定する場合について説明する。この場合、主制御部30は生産プログラム33fに含まれる優先度リストデータから第1基板P1に対応付けられた優先度のパラメータおよび第2基板P2に対応付けられた優先度のパラメータを取得する。
これにより主制御部30は、優先度のパラメータに基づいて第1基板P1または第2基板P2のいずれが優先基板として設定されているかを認識した後、優先基板(第1基板P1または第2基板P2)に対応した前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bを優先対象として判別し、制御装置18の記憶部32Aの実生産プログラム33Acを修正あるいはそのままとする。部品実装装置6の制御装置18は修正あるいはそのままとされた実生産プログラム33Acに基づき、優先対象の前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bにより優先基板である第1基板P1または第2基板P2を優先的に実装する。
次に、(iii)第1基板P1、第2基板P2に対する実装を開始した後の実装中における中間在庫の状況に応じて優先基板を決定する場合について説明する。
具体的には、例えば第1基板P1の表面に対する実装が終了した後、当該第1基板P1の裏面を第2基板P2として実装する場合、第1基板P1の表面の実装が終了し、その裏面の実装を待っている状態の当該第1基板P1が第2基板P2の中間在庫として不足してくると、第2基板P2に対する実装が滞ることになる。
このため、主制御部30は表面の実装が終了した第1基板P1の在庫状況(マージン)を常時監視し、表面の実装が終了した第1基板P1の残数が所定の閾値を下回って一定のマージンが保てなくなると、そのマージンが保てなくなった第1基板P1を優先基板として決定し、当該第1基板P1の基板データ33e1に対して優先度のパラメータを設定する。
主制御部30は、基板データ33e1に設定された優先度のパラメータに基づいて、第1基板P1に対応した前側ヘッドユニット22aを優先対象として認識し、制御装置18の記憶部32Aの実生産プログラム33Acを修正あるいはそのままとする。部品実装装置6の制御装置18は修正あるいはそのままとされた実生産プログラム33Acに基づき、優先対象の前側ヘッドユニット22aにより優先基板である第1基板P1を優先的に実装する。
次に、(iv)納期の迫っている方の第1基板P1または第2基板P2を優先基板として決定する場合について説明する。
この場合、主制御部30は、基板データ33e1から第1基板P1に関する納期情報や、基板データ33e2から第2基板P2に関する納期情報を取得し、第1基板P1の納期情報と第2基板P2の納期情報とを比較することにより、納期の迫っている方の第1基板P1または第2基板P2を優先基板として決定する。
そして主制御部30は、優先基板として決定した第1基板P1の基板データ33e1または第2基板P2の基板データ33e2に対して優先度のパラメータを設定する。主制御部30は、基板データ33e1、33e2に設定された優先度のパラメータに基づいて、第1基板P1に対応した前側ヘッドユニット22aまたは第2基板P2に対応した後側ヘッドユニット22bを優先対象として判別し、制御装置18の記憶部32Aの実生産プログラム33Acを修正する。部品実装装置6の制御装置18は修正された実生産プログラム33Acに基づき、優先対象の前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bにより優先基板である第1基板P1または第2基板P2を優先的に実装する。
最後に、(v)第1基板P1に対応した前側レーン20aまたは第2基板P2に対応した後側レーン20bのうち未だ生産が完了していない方を優先基板として決定する場合について説明する。
この場合、主制御部30は撮像制御および画像処理部35を介して前側ヘッドユニット22aの基板認識カメラ41eおよび後側ヘッドユニット22bの基板認識カメラ42eによる撮像結果に基づき、前側レーン20aまたは後側レーン20bから第1基板P1または第2基板P2のいずれが搬送されてきていないかを監視し、搬送されてきていない方を生産の完了しているレーンであると判別する。
主制御部30は、既に生産の完了しているレーンを判別したので、それ以降は未だ生産の完了していない方を優先レーンとして決定すべく、未だ生産の完了していない方の前側レーン20aに対応した第1基板P1、または未だ生産の完了していない方の後側レーン20bに対応した第2基板P2を優先基板として決定する。
そして主制御部30は、優先基板として決定した第1基板P1の基板データ33e1または第2基板P2の基板データ33e2に対して優先度のパラメータを設定する。主制御部30は、基板データ33e1、33e2に設定された優先度のパラメータに基づいて、第1基板P1に対応した前側ヘッドユニット22aまたは第2基板P2に対応した後側ヘッドユニット22bを優先対象として判別し、制御装置18の記憶部32Aの実生産プログラム33Acを修正あるいはそのままとする。部品実装装置6の制御装置18は修正あるいはそのままとされた実生産プログラム33Acに基づき、優先対象の前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bにより優先基板である第1基板P1または第2基板P2を優先的に実装する。
このように優先基板(第1基板P1または第2基板P2)を決定し、その優先基板に対応した前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bを優先対象として設定する優先対象設定処理の動作を図6のフローチャートにより説明する。
制御装置18の主制御部30AはルーチンRT2の開始ステップから入って次のステップSP10において、前側レーン20aおよび後側レーン20bの両レーンとも生産が終了したか否か判別し、終了したのであればこのルーチンRT2を終了する。生産が終了していなければ次のステップSP11へ移り、前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bの何れを優先対象として設定するかに際し、オペレータによる直接入力を採用するか否かを判別する。
ここで肯定結果が得られると、オペレータが入力ユニット38、38Aを介して直接入力することが予め許容されていることを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP12へ移る。
ステップSP12において主制御部30Aは、入力ユニット38、38Aを介して外部から優先レーンとされるべき前側レーン20aまたは後側レーン20bが指定されたか否かを判定し、否定結果が得られると次のステップSP13へ移り、肯定結果が得られると次のステップSP14へ移る。
ステップSP13において主制御部30Aは、優先レーンが指定されていないので、図4(B)に示されるような、現在設定されている優先対象を維持したまま前側レーン20aの前側ヘッドユニット22aおよび後側レーン20bの後側ヘッドユニット22bによる実装を継続し、再度ステップSP10へ戻る。
一方、ステップSP14において主制御部30Aは、入力ユニット38を介して指定された優先レーン(前側レーン20aまたは後側レーン20b)に対応した前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bを優先対象として設定し、再度ステップSP10へ戻る。
これに対してステップSP11において否定結果が得られると、このことはオペレータによる直接入力が採用されていないことを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP15へ移る。
ステップSP15において主制御部30Aは、前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bの何れを優先対象として設定するかの決定に際し、生産プログラム33fに含まれる第1基板P1、第2基板P2に対する優先度リストデータを採用するか否かを判別する。
ここで肯定結果が得られると、優先度リストデータに基づいて優先対象を決定することが予め許容されていることを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP16へ移る。
ステップSP16において主制御部30Aは、現在、生産している基板(第1基板P1および第2基板P2)の優先度を示すパラメータを第1基板P1の基板データ33e1および第2基板P2の基板データ33e2から取得し、次のステップSP17へ移る。
ステップSP17において主制御部30Aは、優先度の高い方の第1基板P1または第2基板P2を生産している前側レーン20aに対応した前側ヘッドユニット22aまたは後側レーン20bに対応した後側ヘッドユニット22bを優先対象として設定し、再度ステップSP10へ戻る。
これに対してステップSP15において否定結果が得られると、このことは優先度リストデータに基づいて優先対象を決定することが予め許容されていないことを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP18へ移る。
ステップSP18において主制御部30Aは、前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bの何れを優先対象として設定するかの決定に際し、第1基板P1(または第2基板P2)の中間在庫の状況に基づいて判断するか否かを判別する。
ここで肯定結果が得られると、第1基板P1の中間在庫の状況に基づいて判断することが予め許容されていることを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP19へ移る。
ステップSP19において主制御部30Aは、第1基板P1の在庫状況(マージン)を監視しながら、表面の実装が終了した第1基板P1の残数(中間在庫)が所定の閾値を下回って、第2基板P2の後側レーン20bに対して一定のマージンが保てなくなると、そのマージンが保てなくなった第1基板P1に対応した前側ヘッドユニット22aを認識し、次のステップSP20へ移る。
ステップSP20において主制御部30Aは、マージンが保てなくなった第1基板P1に対応した前側ヘッドユニット22aを優先対象として設定し、再度ステップSP11へ戻る。
これに対してステップSP18において否定結果が得られると、このことは第1基板P1の中間在庫の状況に基づいて判断することが予め許容されていないことを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP21へ移る。
ステップSP21において主制御部30Aは、前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bの何れを優先対象として設定するかの決定に際し、納期の迫っている方を優先するか否かを判別する。
ここで肯定結果が得られると、納期に応じて前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bの何れかを優先対象とすることが予め許許されていることを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP22へ移る。
ステップSP22において主制御部30Aは、基板データ33e1から第1基板P1に関する納期情報および基板データ33e2から第2基板P2に関する納期情報を取得し、第1基板P1の納期情報と第2基板P2の納期情報とを比較することにより、納期の最も迫っている第1基板P1の前側レーン20aまたは第2基板P2の後側レーン20bを優先レーンとして設定し、再度ステップSP10へ戻る。
これに対してステップSP21において否定結果が得られると、このことは納期に応じて優先対象を決定することが予め許容されていないことを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP23へ移る。
ステップSP23において主制御部30Aは、前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bの何れを優先対象として設定するかの決定に際し、第1基板P1に対応した前側レーン20aまたは第2基板P2に対応した後側レーン20bのうち既に生産が完了しているレーンが有るか否かを判別する。
ここで肯定結果が得られると、前側レーン20aの前側ヘッドユニット22aまたは後側レーン20bの後側ヘッドユニット22bによる実装作業が完了していることを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP24へ移る。
ステップSP24において主制御部30Aは、生産の完了しているレーンが存在するため、非優先レーンを次に最優先で生産するか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは優先レーンによる生産が完了し、非優先レーンを次に最優先にして部品実装するべく入力ユニット38を介して指示されたことを表しており、このとき主制御部30は次のステップSP25へ移る。
ステップSP25において主制御部30Aは、非優先レーンのヘッドユニットを最優先に設定し、再度ステップSP10へ戻る。
一方、ステップSP24で否定結果が得られると、このことは非優先レーンのヘッドユニットを次に最優先にして部品実装するよう指示されていないことを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP26へ移る。
ステップSP26において主制御部30Aは、生産の完了したレーンのヘッドユニットが優先対象として設定されている状態を解除し、再度ステップSP10へ戻る。
ところでステップSP23において否定結果が得られると、このことは生産が完了したレーンが存在しないことを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP27へ移る。
ステップSP27において主制御部30Aは、優先対象を変更する機会がないので、何も行わずに、現在設定されている状態を維持したまま前側レーン20aの前側ヘッドユニット22aおよび後側レーン20bの後側ヘッドユニット22bによる通常の実装(図4(A))を継続し、再度ステップSP10へ戻る。
(2−1−2)ヘッドユニットの基本的な干渉回避動作処理
次に、前側ヘッドユニット22aおよび後側ヘッドユニット22bによるヘッドユニット干渉回避動作処理手順について説明する。この場合、前側ヘッドユニット22a(優先側)または後側ヘッドユニット22b(非優先側)に対する1シーケンス毎の実装処理手順を順番に説明する。
ここでは、最初に、前側ヘッドユニット22a(優先側)の第1基板P1に対する実装処理について説明し、その後、後側ヘッドユニット22b(非優先側)の第2基板P2に対する実装処理について説明する。
図7に示すように、各部品実装装置6(8、10)の制御装置18の主制御部30AはルーチンRT3の開始ステップから入って、次のステップSP30において、各部品実装装置6(8、10)における第1基板P1全数への実装生産が終了したか否か判別し、終了したのであればステップSP39へ移り、このルーチンRT3を終了する。生産が終了していなければ次のステップSP31へ移り、優先レーンのヘッドユニットが優先対象として設定されているか否かを判定する。
ここで否定結果が得られると、このことは前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bの何れも優先対象として設定されていないことを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP32へ移る。
ステップSP32において主制御部30Aは、優先対象が設定されていないので、図4(A)に示されるような、第1基板P1および第2基板P2に対して何れも優先対象とすることのない非同期搬送独立実装モードにおける通常の独立実装処理を行い、次のステップSP37へ移る。
これに対してステップSP31で肯定結果が得られると、このことは優先レーンに対応した例えば前側ヘッドユニット22aが優先対象として設定されていることを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP33へ移る。
ステップSP33において主制御部30Aは、前側ヘッドユニット22aよりも優先されるヘッドユニットと干渉する可能性があるか否かを判定するが、ここでは前側ヘッドユニット22aが優先対象として設定されているため、否定結果を得て次のステップSP34へ移る。
ステップSP34において主制御部30Aは、前側ヘッドユニット22aに対応した実生産プログラム33c1 に従い、当該前側ヘッドユニット22aによる第1基板P1に対する独立実装処理を優先して実行し、次のステップSP37へ移る。
ステップSP37において主制御部30Aは、前側ヘッドユニット22aによる第1基板P1に対する全ての部品実装が終了したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、実生産プログラム33c1を構成する複数のシーケンス(単位実装プログラム)のうち未実装の残りのシーケンス(単位実装プログラム)が存在していることを表しており、このとき主制御部30Aは再度ステップSP31に戻って、残りのシーケンス(単位実装プログラム)に従って実装処理を行う。
これに対してステップSP37で肯定結果が得られると、このことは実生産プログラム33c1を構成する複数のシーケンス(単位実装プログラム)に対する部品実装が全て終了したことを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP38へ移る。
ステップSP38において主制御部30Aは、前側レーン20aの基板クランプ装置43cを介して第1基板P1の実装作業位置に対する固定を解除した後、基板搬送装置43bを介して当該第1基板P1を部品実装装置6から搬出し、再度ステップSP30へ戻る。SP30において第1基板P1全数への実装生産が終了していないと判定されれば、ステップSP31に移行し、次に新たに搬入されてくる第1基板P1に対する処理を行う。
次に、後側ヘッドユニット22b(非優先側)の第2基板P2に対する実装処理手順を、同様にステップSP30〜ステップSP38を用いて説明する。
主制御部30AはステップSP30において、第2基板P2全数への実装生産が終了したか否か判別し、終了したのであればステップSP39へ移り、このルーチンRT3を終了する。生産が終了していなければ次のステップSP31において主制御部30Aは、優先レーンのヘッドユニットが優先対象として設定されているか否かを判定する。
ここで否定結果が得られると、このことは前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bの何れも優先対象として設定されていないことを表しており、このとき主制御部30は次のステップSP32へ移る。
ステップSP32において主制御部30Aは、優先対象が設定されていないので、図4(A)に示されるような、第1基板P1および第2基板P2に対して何れも優先対象とすることのない非同期搬送独立実装モードにおける通常の独立実装処理を行い、次のステップSP37へ移る。
これに対してステップSP31で肯定結果が得られると、このことは優先レーンに対応した例えば前側ヘッドユニット22aが優先対象として設定されていることを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP33へ移る。
ステップSP33において主制御部30Aは、第2基板P2に対応した後側ヘッドユニット22bよりも優先されるヘッドユニットと干渉する可能性があるか否かを判定するが、ここでは前側ヘッドユニット22aが優先対象として設定されているため、肯定結果を得て次のステップSP35へ移る。
ステップSP35において主制御部30Aは、優先対象として設定された優先側の前側ヘッドユニット33aが干渉領域IRを実装中であるか否かを判定し、否定結果が得られると、このことは優先対象として設定された優先側のヘッドユニットが第1の干渉領域IR1を実装しておらず、例えば基板搬送中であったり、第1の非干渉領域NIR1を実装していることを意味しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP34へ移る。
ステップSP34において主制御部30Aは、優先側の前側ヘッドユニット33aが第1の干渉領域IR1を実装しておらず干渉の恐れがないので、後側ヘッドユニット22bに対応した実生産プログラム33c2に従い、当該後側ヘッドユニット22bによる第2基板P2に対する独立実装処理を1シーケンス(単位実装プログラム)実行し、次のステップSP37へ移る。
これに対してステップSP35において肯定結果が得られると、このことは前側ヘッドユニット22aが第1基板P1における第1の干渉領域IR1を実装中であることを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP36へ移る。
ステップSP36において主制御部30Aは、前側ヘッドユニット22aが第1基板P1における第1の干渉領域IR1を実装中であるため、当該第1の干渉領域IR1において前側ヘッドユニット22aとの干渉を回避すべく、非優先側の後側ヘッドユニット22bを所定のヘッド干渉回避位置に退避し、優先側の前側ヘッドユニット22aによる干第1の干渉領域IR1の実装が終了するまでの所定時間だけ待機し、次のステップSP37へ移る。
ステップSP37において主制御部30Aは、後側ヘッドユニット22bによる第2基板P2に対する全ての部品実装が終了したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、実生産プログラム33c2を構成する複数のシーケンス(単位実装プログラム)のうち未実装の残りのシーケンス(単位実装プログラム)が存在していることを表しており、このとき主制御部30Aは再度ステップSP31に戻って、残りのシーケンス(単位実装プログラム)に従って実装処理を行う。
これに対してステップSP37で肯定結果が得られると、このことは実生産プログラム33c2を構成する複数のシーケンス(単位実装プログラム)に対する部品実装が全て終了したことを表しており、このとき主制御部30Aは次のステップSP38へ移る。
ステップSP38において主制御部30Aは、後側レーン20bの基板クランプ装置44cを介して第2基板P2の実装作業位置に対する固定を解除した後、基板搬送装置44bを介して当該第2基板P2を部品実装装置6から搬出し、再度ステップSP30へ戻り、ステップSP30において否定結果が得られればステップSP31に移り、次に新たに搬入されてくる第2基板P2に対する処理を行う。
(2−2)優先対象の優先側ヘッドユニットによる基板実装中の非優先側ヘッドユニットによる実装処理
次に、例えば優先側として設定された第1基板P1に対して前側ヘッドユニット22aが第1の干渉領域IR1の実装を行っている際、後側ヘッドユニット22b(非優先側ヘッドユニット)が前側ヘッドユニット22aの実装を邪魔しない範囲で実装動作するよう制御することにより、非優先基板である第2基板P2に対する実装効率を向上させる場合について説明する。
図8に示すように、前側レーン20aの1基板当たりの処理シーケンスは、シーケンスa、シーケンスb、……、シーケンスiの処理順序となっており、そのうちシーケンスa、c、d、e、g、hが干渉のない領域のシーケンス(第1基板P1上の第1非干渉領域NIR1への部品実装を行う単位実装プログラム)であり、シーケンスb、fが第1の干渉領域IR1のシーケンス(第1基板P1上の第1の干渉領域IR1への部品実装を行う単位実装プログラム)であり、シーケンスiが部品の搬送処理のシーケンス(搬送工程プログラム)である。
また、後側レーン20bの1基板当たりの処理シーケンスは、シーケンスa、シーケンスb、……、シーケンスiの処理順序となっており、そのうちシーケンスa、b、c、e、f、gが干渉のない領域のシーケンス(第2基板P2上の第2非干渉領域NIR2への部品実装を行う単位実装プログラム)であり、シーケンスd、hが第2の干渉領域IR2のシーケンス(第2基板P2上の第2の干渉領域IR2への部品実装を行う単位実装プログラム)であり、シーケンスiが部品の搬送処理のシーケンス(搬送工程プログラム)である。
このような場合において、前側レーン20aが優先レーンとして決定されると、当該前側レーン20aでは、第1基板P1の1枚目、2枚目ともに、前側レーン20aの処理シーケンスに従って優先的に部品実装が行われる。
これに対して非優先レーンの後側レーン20bでは、優先レーンの前側レーン20aにおけるシーケンスb(第1の干渉領域IR1のシーケンス)およびシーケンスf(第1の干渉領域IR1のシーケンス)の実装中のタイミングに合わせて、後側ヘッドユニット22b(非優先側ヘッドユニット)は部品実装を行うことなく所定の退避位置に待機する。
この場合、優先レーンである前側レーン20aの前側ヘッドユニット22aによる第1の干渉領域IR1への実装に悪影響を及ぼすことのないように、非優先レーンである後側レーン20bの後側ヘッドユニット22b(非優先側ヘッドユニット)の待機時間が長くなって部品実装が行われなくなる。そうすると、非優先レーンである後側レーン20bでは、後側ヘッドユニット22b(非優先側ヘッドユニット)による部品実装が全く行われない無駄な時間が増えて非効率であった。
これを改善するため、主制御部30は、後側レーン20bにおける処理シーケンスのうち、シーケンスc(第2基板P2上の第2の非干渉領域NIR2のシーケンス)とシーケンスd(第2の干渉領域IR2のシーケンス)との間のタイミングで、前側レーン20aにおけるシーケンスf(第1の干渉領域IR1のシーケンス)を実行中の前側ヘッドユニット22aとの干渉を避けた状態を維持しながら、優先基板決定および実生産プログラムの修正プログラム33bに従ってシーケンスe、f、gの順番を繰り上げる。
また主制御部30は、後側レーン20bにおける処理シーケンスのうち、シーケンスg(第2基板P2上の第2の非干渉領域NIR2のシーケンス)とシーケンスh(第2の干渉領域IR2のシーケンス)との間のタイミングで、前側レーン20aにおけるシーケンスf(第1の干渉領域IR1のシーケンス)を実行中の前側ヘッドユニット22aとの干渉を避けた状態を維持しながら、優先基板決定および実生産プログラムの修正プログラム33bに従ってシーケンスh(第2の干渉領域IR2のシーケンス)の順番を繰り上げる。
これにより主制御部30は、後側レーン20bが非優先レーンであるため、後側ヘッドユニット22b(非優先側ヘッドユニット)の実装動作が制約を受けながらも、処理シーケンスの順番を繰り上げる(入れ換える)ことにより当該後側ヘッドユニット22b(非優先側ヘッドユニット)を効率的に実装させることができる。
すなわち主制御部30は、干渉回避動作として、優先対象として前側ヘッドユニット22aが設定された場合で、当該前側ヘッドユニット22aが第1の干渉領域IR1に侵入しているとき、第2基板P2上の第2の干渉領域IR2以外の第2非干渉領域NIR2に対して後側ヘッドユニット22b(非優先側ヘッドユニット)による部品の実装を行わせることができる。また主制御部30は、優先対象の前側ヘッドユニット22aが第1の干渉領域IR1に侵入していないとき、第2の干渉領域IR2に対して後側ヘッドユニット22b(非優先側ヘッドユニット)による部品の実装を行わせることができる。かくして主制御部30では、優先対象を設定しながらも、非優先対象の実装処理を効率的に短時間で実行することができる。
(2−3)優先対象の優先側ヘッドユニットによる基板実装中の非優先側ヘッドユニットによる分割実装処理
次に、例えば優先レーンである前側レーン20aの前側ヘッドユニット22a(優先側ヘッドユニット)が第1の干渉領域IR1への実装を行っている際、非優先レーンである後側レーン20bの後側ヘッドユニット22b(非優先側ヘッドユニット)が前側ヘッドユニット22a(優先側ヘッドユニット)の実装を邪魔しないように、当該後側ヘッドユニット22b(非優先側ヘッドユニット)の処理シーケンスを分割して実装動作することにより非優先基板である第2基板P2に対する実装効率を向上させる場合について説明する。
図9の(1)に示すように、優先レーンである前側レーン20aの基板1枚当たりの処理プログラムがシーケンスa、シーケンスb、……、シーケンスiの処理順序で構成されており、そのうちシーケンスa、c、d、e、g、hが干渉のない領域への実装シーケンス(第1基板P1上の第1非干渉領域NIR1への部品実装を行う単位実装プログラム)であり、シーケンスb、fが第1の干渉領域IR1への実装シーケンス(第1基板P1上の第1の干渉領域IR1への部品実装を行う単位実装プログラム)であり、シーケンスiが部品の搬送シーケンス(搬送工程プログラム)である。
また、非優先レーンである後側レーン20bの基板1枚当たりの処理プログラムがシーケンスA、シーケンスB、……、シーケンスIの処理順序で構成されており、そのうちシーケンスA、C、D、G、Hが干渉のない領域への実装シーケンス(第2基板P2上の第2非干渉領域NIR2への部品実装を行う単位実装プログラム)であり、シーケンスB、E、Fが第2の干渉領域IR2への実装シーケンス(第2基板P2上の第2の干渉領域IR2への部品実装を行う単位実装プログラム)であり、シーケンスIが部品の搬送シーケンス(搬送工程プログラム)である。
このような場合において、優先レーンである前側レーン20aにおける現在実装中の第1基板P1に対して次に搬入され実装される第1基板P1に対する処理プログラムの各シーケンスのうち、第1の干渉領域IR1への実装シーケンスの動作を更に細かく分割する。シーケンスbは部分シーケンスb1、b2に分割することができ、部分シーケンスb1が部品に対する吸着動作を行う部分シーケンスであり、部分シーケンスb2が第1の干渉領域IR1への実装動作を行う部分シーケンス(第1基板P1上の第1の干渉領域IR1への部品実装を行う単位実装プログラムにおける部分プログラム)である。
シーケンスfは部分シーケンスf1、f2に分割することができ、部分シーケンスf1が部品の吸着動作を行う部分シーケンスであり、部分シーケンスf2が第1の干渉領域IR1への実装動作を行う部分シーケンス(第1基板P1上の第1の干渉領域IR1への部品実装を行う単位実装プログラムにおける部分プログラム)である。シーケンスiは部品の搬送シーケンス(搬送工程プログラム)であり、分割することのできないシーケンスである。
以上のように分割したことにより制御装置18の主制御部30Aは、優先レーンである前側レーン20aでの分割処理が施された処理プログラム(図9の(2))と非優先レーンである後側レーン20bでの処理プログラム(図9の(4))に基づき、後側レーン20bにおいて次に搬入され実装される第2基板P2に対し実際に使用されることになる、修正された処理プログラム(図9の(3))を作成することができる。
具体的には、制御装置18の主制御部30Aは、前側レーン20aにおいて次に第1基板P1が搬入され実装開始されるタイミングT1で優先レーンの処理プログラムをスタートするとし、後側レーン20bにおいて次に第2基板P2が搬入され実装開始されるタイミングT2で非優先レーンの処理プログラムをスタートするとした時、最初に第1の干渉領域IR1への実装動作を行う部分シーケンスb2と動作時間が重なる非優先レーン側の第2の干渉領域IR2への実装シーケンスの有無をチェックする。
図9の(4)の処理プログラムでは、シーケンスBが該当するので、シーケンスBを部品に対する吸着動作を行う部分シーケンスB1と、第2の干渉領域IR2への実装動作を行う部分シーケンスB2に分割する。部分シーケンスB1はそのまま実施するとし、部分シーケンスB2は優先レーン側の部分シーケンスb2が終了したタイミングで開始するように、非優先レーン側の処理プログラムを修正する。なお、上記の有無チェックにおいて、該当する実装シーケンスが無い場合は、非優先レーン側の処理プログラムを修正することなく次の有無チェックに進む。
続いて、次に第1の干渉領域IR1への実装動作を行う部分シーケンスf2と動作時間が重なる、非優先レーン側の第2の干渉領域IR2への実装シーケンスの有無を、修正された非優先レーン側の処理プログラムを使ってチェックする。図9の(3)の処理プログラムの修正途中のものでは、シーケンスEは該当せずシーケンスFが該当するので、シーケンスFを部品に対する吸着動作を行う部分シーケンスF1と、第2の干渉領域IR2への実装動作を行う部分シーケンスF2に分割する。部分シーケンスF1はそのまま実施するとし、部分シーケンスF2は優先レーン側の部分シーケンスf2が終了したタイミングで開始するように、非優先レーン側の処理プログラムをさらに修正する。以下同様に修正作業を行い、優先レーンの処理プログラムにおける第1の干渉領域IR1への実装シーケンスがなくなれば修正作業を終了する。
制御装置18の主制御部30Aは、前側レーン20aにおいて次に搬入された第1基板P1に対しタイミングT1で図9の(1)の優先レーンの処理プログラムをスタートして基板実装を行うとともに、後側レーン20bにおいて次に搬入された第2基板P2に対しタイミングT2で図9の(3)の非優先レーンの修正された処理プログラムをスタートして基板実装を行う。
これにより制御装置18の主制御部30Aは、後側レーン20bが非優先レーンであるため、後側ヘッドユニット22b(非優先側ヘッドユニット)の実装動作が制約を受けながらも、処理シーケンスA〜Iの一部あるいは全部を分割し、その分割した分割シーケンスの実装動作を優先レーンの前側ヘッドユニット22aによる第1非干渉領域NIR1への実装タイミング、吸着タイミングあるいは搬送タイミングに合わせて実行することにより、無駄な待機時間を減らしながら当該後側ヘッドユニット22b(非優先側ヘッドユニット)を効率的に実装させることができる。
すなわち主制御部30Aは、干渉回避動作として、優先対象として前側ヘッドユニット22a(優先側ヘッドユニット)が設定された場合で、当該前側ヘッドユニット22a(優先側ヘッドユニット)が第1の干渉領域IR1に侵入していないとき、後側ヘッドユニット22b(非優先側ヘッドユニット)の第2の干渉領域IR2に対する処理シーケンスを分割し、その分割した分割シーケンスの一部、すなわち後側ヘッドユニット22b(非優先側ヘッドユニット)が第2の干渉領域IR2において実際に処理を行うことを、実行させることができる。かくして制御装置18の主制御部30Aでは、優先対象を設定しながらも、非優先対象の実装処理を効率的に短時間で実行することができる。
(3)他の実施の形態
なお、上述した実施の形態においては、図6に示したフローチャートのステップSP11、SP15、SP18、SP21、SP23に応じて前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bの何れかを優先対象として設定するようにした場合について述べた。
しかしながら、本発明はこれに限らず、前側ヘッドユニット22aによる第1基板P1の生産完了枚数と、後側ヘッドユニット22bによる第2基板P2の生産完了枚数との差分に応じて、前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bの何れかを優先対象として設定したり、第1基板P1の生産時間または第2基板P2の生産時間のうち生産時間の長さに応じて、前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bの何れかを優先対象として設定したり、終了予定時刻で遅れている方の基板に対応した前側ヘッドユニット22aまたは後側ヘッドユニット22bを優先対象として設定するようにしても良い。