JP2014101424A - フィルム状シール材、ヘミング加工方法および車両用ドア - Google Patents

フィルム状シール材、ヘミング加工方法および車両用ドア Download PDF

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Abstract

【課題】金属パネル同士を、それらの間をより確実にシールしつつ適切に接合する。
【解決手段】金属製パネルのヘミング加工に用いられるフィルム状シール材8であって、樹脂材料から形成された粘着力を有する第1フィルム層8aと、樹脂材料から形成された粘着力を有するフィルム層であって第1フィルム層8aよりも厚みの厚い第2フィルム層8cと、第1フィルム層8aと第2フィルム層8cとの間に介設される、ガラスクロスからなる補強層8bとを含む。第2フィルム層8cの厚みtは、フィルム状シール材8の厚みtの50%〜90%に設定される。
【選択図】図2

Description

本発明は、金属製パネル同士をヘミング加工により接合する際に用いられるフィルム状シール材、このフィルム状シール材を用いたヘミング加工方法、およびこのヘミング加工方法を用いて製造される車両用ドアに関するものである。
例えば車両用ドアの製造等では、インナパネルの端部を内包するようにアウタパネルの端部を車内側に折り曲げるヘミング加工によりパネル同士を接合一体化することが行われている。この場合、パネル同士の接合部分(ヘム部)に隙間があると、水が侵入した際に錆の発生原因となる。そのため、従来は、アウタパネル(又はインナパネル)の端部に沿って、粘性のあるペースト状のシール材を塗布した上でヘミング加工を実施することにより、パネル間をシールすることが行われる。しかし、ペースト状のシール材を塗布する場合には、その塗布量のバラツキにより加工品質に差が生じたり、ヘミング加工に伴いパネル間からシール材がはみ出した場合に、その拭き取り作業が必要になる等の難点がある。
そこで、ペースト状のシール材を塗布する代わりに、例えば特許文献1に開示されるように、フィルム状(シート状)のシール材、具体的には、不織布にエポキシ性樹脂を主成分とする組成物を含浸させたシール材をパネル間に挟み込んでヘミング加工を行う方法が提案されている。この方法によれば、シール材の塗布量のバラツキが無く、また、シール材の拭き取り作業も不要になるという利点がある。
特開昭62−181383号公報
しかし、上記従来のフィルム状のシール材を用いてヘミング加工を行う場合には、次のような課題がある。すなわち、ヘミング加工の際には、アウタパネル(又はインナパネル)にシール材を貼付けた上で両パネルを重ね合わせるため、シール材には粘着性が求められるが、その粘着力が強いと、一旦パネル同士を重ね合わせた後に位置修正を行うことが困難となり、パネル同士の位置決め作業性が悪くなり、逆に、粘着力が弱いと、シール材が位置ずれを起こし易くなる、という二律背反する問題がある。
また、エポキシ性樹脂を主成分とする組成物を不織布に含浸させた従来のシール材は、ペースト状のシール材とは異なり流動性が無いため、アウタパネルの折り返し部分に隙間無くシール材を介在させることは容易ではないと考えられる。そこで、不織布を省略した変形容易なフィルム状のシール材を用いることも考えられるが、この場合には、シール材の強度確保が困難となって取扱いが不便になり、また、塗装焼き付け後、硬化したシール材にクラックが生じる等して、パネル同士の適切な接合状態を保つことが困難となる。
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、ヘミング加工により金属パネル同士を接合する場合に、金属パネル間をより確実にシールしつつ当該金属パネル同士を適切に接合すること、また、その作業性を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のフィルム状シール材は、金属製パネルのヘミング加工に用いられるフィルム状シール材であって、粘着力を有する樹脂材料から形成される第1フィルム層と、粘着力を有する樹脂材料から形成されるフィルム層であって前記第1フィルム層よりも厚みの大きい第2フィルム層と、前記第1フィルム層と前記第2フィルム層との間に介設される、ガラスクロス又は不織布からなる補強層とを含むものである。
そして、本発明のヘミング加工方法は、上記のフィルム状シール材を用いたヘミング加工方法であって、表面に油膜が形成された金属製の第1パネルと、金属製の第2パネルとを準備するパネル準備工程と、前記フィルム状シール材を準備するシール材準備工程と、前記第2パネルのうちその端部を含む所定領域に対して、前記フィルム状シール材をその第2フィルム層を介して貼付けるシール材貼付け工程と、前記第1パネルの端部を、前記フィルム状シール材の第1フィルム層に重ね合わせるとともに、前記第2パネルに対して予め定められた位置に位置決めする位置決め工程と、前記第1パネルの端部を内包するように前記第2パネルの端部を折り返すヘミング加工工程と、を含むものである。
このヘミング加工方法では、第2フィルム層を介してフィルム状シール材を第2パネルに貼付け、このフィルム状シール材8に第1パネルの端部を重ねて位置決めを行うが、上記の通り、第1パネルの表面に予め油膜が形成されていることで、当該位置決めに際しては、フィルム状シール材に重ねた第1パネルを比較的容易にずらしながら第1パネルを位置決めすることができる。また、ヘミング加工時には、フィルム状シール材が上記のような三層構造を有していることで、第1フィルム層が第1パネルに密着する一方で、主に、補強層よりも外側に位置する厚みの大きい第2フィルム層が圧縮されつつ第2パネルに沿って変形し、これにより第2パネルの折り曲げ部分に当該第2フィルム層が充填される。そのため、両パネル間をより隙間無くシールすることが可能となる。しかも、第1フィルム層と第2フィルム層との間に補強層が介在しているため、例えばその後塗装焼き付けなどの加熱処理が加えられる場合でも熱収縮によるクラック等の発生が効果的に抑制される。また、比較剛性の高い補強層と第1パネルとの間に厚みの小さい第1フィルム層が介在していることで、第1パネルの端部に対するフィルム状シール材の保持効果が向上し、これにより第1パネルと第2パネルとが安定的に接合されることとなる。
なお、上記のフィルム状シール材において、前記第2フィルム層は、その厚みが、当該フィルム状シール材の厚みの50%〜90%に設定されているのが好適である。
この構造によれば、ヘミング加工に伴い、第2フィルム層を速やかに変形させて第2パネルの折り返し部分に充填することが可能となる。よって、両パネル間をより確実にフィルム状シール材で隙間無くシールすることが可能となる。
また、上記のヘミング加工方法において、前記パネル準備工程では、前記第2パネルとして、その端部がほぼ直角に折り曲げられたものを準備し、前記シール材準備工程では、前記フィルム状シール材として、前記第2フィルム層側の表面に、当該フィルム状シール材の厚み方向への切込部が形成されたものを準備し、前記シール材貼付け工程では、前記フィルム状シール材を前記切込部の位置でほぼ直角に折り曲げ、当該折り曲げ部分を前記第2パネルの折り曲げ部分に対応させた状態で、当該フィルム状シール材を前記第2パネルの前記所定領域に貼付けるようにしてもよい。
この方法によれば、例えば平坦な第2パネルに予めフィルム状シール材を貼付け、その後、第1パネルを重ねてヘミング加工を行う場合に比べ、フィルム状シール材に皺等が生じることが抑制され、両パネル間を隙間無くシール上で有効となる。
また、本発明の他のヘミング加工方法は、表面に油膜が形成された金属製の第1パネルと、金属製の第2パネルとを準備するパネル準備工程と、粘着力を有する樹脂材料から形成される第1フィルム材と、粘着力を有する樹脂材料から形成されるフィルム材であって前記第1フィルム材よりも厚みの大きい第2フィルム材と、ガラスクロス又は不織布からなる補強材とを準備するシール材準備工程と、前記第2パネルのうち、その端部を含む所定領域に対して前記第2フィルム材、前記補強材および前記第1フィルム材をこの順番で貼付けて積層するシール材貼付け工程と、前記第1パネルの端部を、前記第1フィルム材に重ね合わせるとともに、前記第2パネルに対して予め定められた位置に位置決めする位置決め工程と、前記第1パネルの端部を内包するように前記第2パネルの端部を折り返すヘミング加工工程と、を含むものである。
このヘミング加工方法において、前記第2フィルム材は、その厚みが、当該第2フィルム材、前記補強材および前記第1フィルム材を積層した積層体の厚みの50%〜90%に設定されているのが好適である。
また、上記のヘミング加工方法において、前記パネル準備工程では、前記第2パネルとして、その端部がほぼ直角に折り曲げられたものを準備し、前記シール材準備工程では、前記第2フィルム材として、その表面に厚み方向への切込部が形成されたものを準備し、前記シール材貼付け工程では、前記第2フィルム材を前記切込部の位置でほぼ直角に折り曲げ、当該折り曲げ部分を前記第2パネルの折り曲げ部分に対応させた状態で、当第2フィルム材を前記第2パネルの前記所定領域に貼付けるようにしてもよい。
これらのヘミング加工方法は、先に説明したヘミング加工方法のように、予め第1フィルム層、補強層及び第2フィルム層からなるフィルム状フィート材を用いるのではなく、第2フィルム層、補強層および第1フィルム層に相当する、第2フィルム材、補強材および第1フィルム材を順次第2パネルに貼付け積層するようにしたものである。このようなヘミング加工方法によっても、先に説明したヘミング加工方法と同様の作用効果を享受することが可能となる。
一方、本発明の車両用ドアは、上述した何れかのヘミング加工方法を用いて製造される車両用ドアであって、インナパネルとアウタパネルとを製造するパネル製造工程と、前記インナパネルを前記第1パネルとするとともに前記アウタパネルを前記第2パネルとして、前記ヘミング加工方法を用いて前記インナパネルと前記アウタパネルとを接合一体化することによりパネル接合体を製造するパネル接合工程と、前記パネル接合体に塗装を施す塗装工程と、前記塗装が施された前記パネル接合体に加熱処理を施すベーク工程と、がこの順番で実施されるものである。
このような車両用ドアによれば、そのヘム部がフィルム状シール材によってより隙間なくシールされた良好なものとなるため、当該ヘム部の腐食(錆の発生)を長期的に良好に抑制することが可能となる。特に、インナパネルが鋼製パネルで、アウタパネルが軽金属製パネル(アルミニウム合金等)である場合には、電食による腐食が懸念されるが、このような電食の発生を効果的に抑制することが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、ヘミング加工により金属パネル同士を接合する場合に、金属パネル間をより確実にシールしつつ当該金属パネル同士を適切に接合することができ、また、その作業性を向上させることができる。
本発明に係る車両用ドアを示す平面図である。 車両用ドアのヘム部を示す図1のII−II線断面図である。 車両用ドアの製造方法を説明する工程図である。 ヘミング加工に使用されるフィルム状シール材(本発明のフィルム状シール材)を示す断面図である。 (a)〜(c)は、車両用ドアの製造方法、特にアウタパネルとインナパネルとを接合する方法(本発明に係るヘミング加工方法)を示す断面図である。 (a)〜(c)は、アウタパネルとインナパネルとを接合する方法を示す断面図である。 車両用ドアの製造方法の変形例を説明する工程図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
図1及び図2は、本発明に係る車両用ドアを平面図で概略的に示している。この車両用ドアは、車室の側面部に設置されるサイドドアであって、その略下半部を構成するドア本体部1と、その上方に設置される窓枠部2とを備えている。
前記ドア本体部1は、車内側に位置するインナパネル3(第1パネル)と、車外側に位置するアウタパネル4(第2パネル)とを有する。前記インナパネル3は、亜鉛系メッキが施された鋼板から構成される一方、前記アウタパネル4は、軽金属板、当例ではアルミニウム合金板から構成されている。この車両用ドアは、このようにインナパネル3が鋼板から構成されることにより剛性が確保される一方で、アウタパネル4がアルミニウム合金板から構成されることで全体としての軽量化が図られている。
両パネル3、4は、ドア本体部1の下辺部および前後両側辺部においてアウタパネル4にヘミング加工が施されることで互いに接合されている。同図では、符号6で示す部分が、両パネル3、4の接合部分、すなわちヘム部を示している。具体的に説明すると、ドア本体部1の下辺部は、図2に示すように、アウタパネル4の下端部がインナパネル3を内包するように略180°の角度でもって折り返され、インナパネル3の下端部がアウタパネル4により厚み方向に挟み込まれることによりインナパネル3とアウタパネル4とが互いに接合されている。なお、前記ヘム部6において、インナパネル3とアウタパネル4との間には、後に詳述するフィルム状シール材8が挟み込まれており、これにより両パネル3、4が液密状態にシールされている。また、アウタパネル4の折り返し部4aの末端部分には、上記フィルム状シール材8とは別に、当該アウタパネル4とインナパネル3との間をシールするシール剤10が塗布されている。なお、図示を省略するが、ドア本体部1の前後両側辺部についても同様に、アウタパネル4の前後端部にヘミング加工が施されることにより、インナパネル3とアウタパネル4とが互いに接合されている。
図3は、上述したドア本体部10の製造方法を示す工程図である。以下、このドア本体部10の製造方法について、図4〜図6を参照しつつ図3に基づき説明する。
〈 S1:パネル製造/準備工程 〉
鋼板をプレス加工することによりインナパネル3を製造するとともに、アルミニウム合金板をプレス加工することによりアウタパネル4を製造する。これにより、所定形状のインナパネル3とアウタパネル4とを準備する。この際、インナパネル3には、その表面に油膜(例えば鉱油に油膜調整剤などが含有されたもの)を形成する。また、アウタパネル4は、その端部(アウタパネル4の下辺部および前後両側辺部)、つまりヘミング加工により上記折り返し部4aとなる部分を予め直角に折り曲げておく(図5(a)参照)。
〈 S2:シール材準備工程〉
フィルム状シール材8を準備する。このフィルム状シール材8は、図4に示すように、三層構造を有するシール材であり、同図の紙面に直交する方向に延びる帯状を成す。フィルム状シール材8は、それぞれ、粘着力(接着力)を有する熱硬化性の樹脂製フィルムからなる二つのフィルム層、当例ではエポキシ樹脂を主成分とする樹脂製フィルムからなる第1フィルム層8a、第2フィルム層8cと、これら第1フィルム層8aと第2フィルム層8cとの間に介在するガラスクロス又は不織布からなる補強層8bとを含み、これらが互いに接着されることにより積層一体化された構造を有する。
第2フィルム層8cの厚みは第1フィルム層8aの厚みよりも大きく、第2フィルム層8cの厚み寸法tは、フィルム状シール材8の厚み寸法tの50%〜90%に設定されている。当例では、フィルム状シール材8の厚み寸法tは略500μmであり、第2フィルム層8cの厚み寸法tは略400μmに設定されている。
第1フィルム層8aの粘着力は、第2フィルム層8cの粘着力よりも低く、当例では、例えば摩擦係数を指標とした場合に、第1フィルム層8aはその摩擦係数が0.8以下であるの対して、第2フィルム層8cの摩擦係数は5.0程度とされている。
フィルム状シール材8のうち、第2フィルム層8c側の面(図3では下面)には、その厚み方向に延びて補強層8bに至る切込部9が形成されている。この切込部9の位置は、上述したアウタパネル4の端部折り曲げ部分に対応する位置となっている。これにより、フィルム状シール材8は、第1フィルム層8aのうち当該切込部9の位置を支点として容易に折り曲げることが可能となっている。
〈 S3:シール材貼付け工程〉
フィルム状シール材8を、アウタパネル4の車室側の側面であってその端部を含む所定領域に貼付ける。詳しくは、図5(a)に示すように、フィルム状シール材8を、前記切込部9の位置で直角に折り曲げ、当該折り曲げ部分をアウタパネル4の端部折り曲げ部分に対応させた状態で、第2フィルム層8cを介してアウタパネル4に貼付ける。
このような作業は、例えば断面L字型の治具に対して、予め直角に折り曲げた状態で前記第1フィルム層8aを介してフィルム状シール材8を貼付けておき、このフィルム状シール材8の第2フィルム層8c側をアウタパネル4の端部折り曲げ部分に押し付けることにより当該フィルム状シール材8をアウタパネル4に貼付け、その後、当該フィルム状シール材8から治具を引き離すことにより行うことができる。この場合、フィルム状シール材8は、第1フィルム層8aの粘着力(接着力)が第2フィルム層8cの粘着力よりも低いため、アウタパネル4に対しては強い粘着力でフィルム状シール材8を安定的に貼付けることができる一方、フィルム状シール材8からの治具の引き離しを容易に行うことができるように両フィルム層8a、8bの粘着力を設定しておくことで、当該シール材貼付け工程の作業を円滑に行うことができる。
なお、フィルム状シール材8は、上記のように切込部9の位置で直角に折り曲げた状態でアウタパネル4に貼付けられるため、当該フィルム状シール材8とアウタパネル4との間には、同図に示すように、アウタパネル4の折り曲げ部分(コーナー部分)に隙間Sが形成される。
〈 S4:位置決め工程〉
図5(b)に示すように、インナパネル3の端部3aをフィルム状シール材8(第1フィルム層8a)に重ね合わせ、アウタパネル4に対してインナパネル3を位置決めする。
この場合、第1フィルム層8aには粘着力があるが、上記の通り、インナパネル3の表面に予め油膜が形成されていることで、一旦インナパネル3の端部3aをフィルム状シール材8に重ね合わせた後も、フィルム状シール材8に沿ってインナパネル3を難なく移動させて所定位置に位置決めを行うことができる。
〈 S5:ヘミング加工工程〉
図5(c)、図6(a)、(b)に示すように、インナパネル3の端部3aを内包するようにアウタパネル4の端部折り曲げ部分をプレス加工、又はロール成形などによりヘミング加工する。これによりアウタパネル4の折り返し部4aでインナパネル3の端部3aをその厚み方向に挟み込み、インナパネル3とアウタパネル4とを接合する。
このようにアウタパネル4の端部をヘミング加工すると、第1フィルム層8aがインナパネル3に密着する一方で、図6(b)に示すように、主に、補強層8bよりも外側に位置する厚みの大きい第2フィルム層8cが圧縮されつつ当該第2フィルム層8cに沿って変形し、これによりアウタパネル4の折り返し部分に当該第2フィルム層8cが入り込む(充填される)。そのため、アウタパネル4の折り曲げ部分に形成されていた上記空間Sが消滅し、両パネル3,4間が隙間無くシールされることとなる。
なお、ヘミング加工の完了後、アウタパネル4の折り返し部4aの末端(先端)に、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂またはウレタン樹脂等を主成分とする前記シール剤10を塗布する。このシール剤10は、アウタパネル4の折り返し部4aの全域に亘って、かつ同図に示すようにフィルム状シール材8の末端部分を覆うように塗布する。
〈 S6:塗装工程 / S7:ベーク工程〉
上述のようにしてインナパネル3とアウタパネル4とが互いに接合されたパネル接合体に対して電着塗装および吹き付け塗装を施し、その後、塗装焼き付け(ベーク)処理を施す。塗装焼き付け処理は、当例では大凡170°Cで上記パネル接合体を加熱することにより行う。また、これら塗装工程及びベーク工程は、塗装の種類等に応じて複数回繰り返し実施する。なお、このようにパネル接合体に塗装焼き付け処理が施されると、フィルム状シール材8の各フィルム層8a、8b及びシール剤10が硬化し、これによりインナパネル3とアウタパネル4とが完全な接合状態となる。この際、前記フィルム状シール材8については、第1フィルム層8aと第2フィルム層8cとの間にガラスクロスからなる補強層8bが介在しているため、熱収縮によるクラック等の発生が効果的に抑制される。また、比較剛性の高い補強層8bとインナパネル3との間に厚みの小さい第1フィルム層8aが介在していることで、インナパネル3の端部に対するフィルム状シール材8の保持効果が向上し、これによりインナパネル3とアウタパネル4とが安定的に接合されることとなる。これにより、図2に示すような、ドア本体部1が完成する。
以上、本発明の車両用ドア(ドア本体部1)、ヘミング加工方法(ドア本体部1の製造方法)およびフィルム状シール材8について説明したが、これらは本発明に係る車両用ドア、ヘミング加工方法、およびフィルム状シール材の好ましい実施形態の例示であって、車両用ドアやフィルム状シール材の具体的な構成、さらにヘミング加工の具体的な方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更である。
例えば、上記実施形態では、端部が予め折り曲げられたアウタパネル4に対して、切込部9の位置で折り曲げたフィルム状シール材8を貼付けているが、アウタパネル4にフィルム状シール材8を貼付け、その後、アウタパネル4の端部を折り曲げるようにしてもよい。但し、上記実施形態の方法によれば、ヘミング加工の際にフィルム状シール材8が位置ずれを起こしたり、若しくは皺になることを抑制できるため、両パネル3、4をより隙間無くシールする上では有利である。
また、上記実施形態では、フィルム状シール材8として予め切込部9を形成したものを用いているが、勿論、切込部9が形成されていないフィルム状シール材8を用いてもよい。また、切込部9が形成されたものを用いる場合でも、当該切込部9は必ずしも補強層8bに達している必要はなく、第2フィルム層8cにのみ形成されていてもよい。
また、上記実施形態の製造方法では、第1フィルム層8a、補強層8bおよび第2フィルム層8cが積層一体化されたフィルム状シール材8を準備し(S2:シール材準備工程)、このフィルム状シール材8をアウタパネル4に貼付けているが(S3:シール材貼付け工程)、このようにする代わりに、例えば図7に示すように、前記第1フィルム層8aに相当する第1フィルム材と、第2フィルム層8cに相当する第2フィルム材と、補強層に相当するガラスクロスとを準備し(S2′:シール材準備工程)、第2フィルム材、ガラスクロスおよび第1フィルム材をこの順番でアウタパネル4に順次貼付けるようにしてもよい(S3′:シール材貼付け工程)。この場合には、第2フィルム材に上記切込部に相当する切込みを形成しておけばよい。
また、上記実施形態では、フィルム状シール材8の各フィルム層8a、8bは、エポキシ樹脂を主成分とする樹脂製フィルムであるが、これ以外に、例えばアクリル樹脂を主成分とする樹脂製フィルムやそれらのハイブリッド化した樹脂等を適用することも可能である。なお、実施形態の説明では言及していないが、両パネル3、4の接合強度を適切に確保するには、第1フィルム層8a及び第2フィルム層8cの粘着強度(接着強度)は、何れも10MPa以上であるのが好ましい。
また、上述した実施形態では、本発明を車両用ドアの一つであるサイドドアのドア本体部1に適用した例について説明したが、本発明は、サイドドアに限らず、バックドア、ボンネット、トランクリット等、インナパネル(第1パネル)とアウタパネル(第2パネル)とを当該アウタパネルのヘミング加工により接合する部品であれば適用可能である。
また、インナパネルを構成する金属材料とアウタパネルを構成する金属材料の組合せは、鋼板とアルミニウム合金板に限らず、鋼板とマグネシウム合金板等であってもよい。
1 ドア本体部
2 窓枠部
3 インナパネル
4 アウタパネル
4a 折り返し部
6 ヘム部
8 フィルム状シール材
8a 第1フィルム層
8b 補強層
8c 第2フィルム層
10 シール剤

Claims (9)

  1. 金属製パネルのヘミング加工に用いられるフィルム状シール材であって、
    粘着力を有する樹脂材料から形成される第1フィルム層と、
    粘着力を有する樹脂材料から形成されるフィルム層であって前記第1フィルム層よりも厚みの大きい第2フィルム層と、
    前記第1フィルム層と前記第2フィルム層との間に介設される、ガラスクロス又は不織布からなる補強層とを含むことを特徴とするフィルム状シール材。
  2. 請求項1に記載のフィルム状シール材において、
    前記第2フィルム層は、その厚みが、当該フィルム状シール材の厚みの50%〜90%に設定されていることを特徴とするフィルム状シール材。
  3. 請求項1又は2に記載のフィルム状シール材を用いたヘミング加工方法であって、
    表面に油膜が形成された金属製の第1パネルと、金属製の第2パネルとを準備するパネル準備工程と、
    前記フィルム状シール材を準備するシール材準備工程と、
    前記第2パネルのうちその端部を含む所定領域に対して、前記フィルム状シール材をその第2フィルム層を介して貼付けるシール材貼付け工程と、
    前記第1パネルの端部を、前記フィルム状シール材の第1フィルム層に重ね合わせるとともに、前記第2パネルに対して予め定められた位置に位置決めする位置決め工程と、
    前記第1パネルの端部を内包するように前記第2パネルの端部を折り返すヘミング加工工程と、を含むことを特徴とするヘミング加工方法。
  4. 請求項3に記載のヘミング加工方法において、
    前記パネル準備工程では、前記第2パネルとして、その端部がほぼ直角に折り曲げられたものを準備し、
    前記シール材準備工程では、前記フィルム状シール材として、前記第2フィルム層側の表面に、当該フィルム状シール材の厚み方向への切込部が形成されたものを準備し、
    前記シール材貼付け工程では、前記フィルム状シール材を前記切込部の位置でほぼ直角に折り曲げ、当該折り曲げ部分を前記第2パネルの折り曲げ部分に対応させた状態で、当該フィルム状シール材を前記第2パネルの前記所定領域に貼付ける、ことを特徴とするヘミング加工方法。
  5. ヘミング加工方法であって、
    表面に油膜が形成された金属製の第1パネルと、金属製の第2パネルとを準備するパネル準備工程と、
    粘着力を有する樹脂材料から形成される第1フィルム材と、粘着力を有する樹脂材料から形成されるフィルム材であって前記第1フィルム材よりも厚みの大きい第2フィルム材と、ガラスクロス又は不織布からなる補強材とを準備するシール材準備工程と、
    前記第2パネルのうち、その端部を含む所定領域に対して前記第2フィルム材、前記補強材および前記第1フィルム材をこの順番で貼付けて積層するシール材貼付け工程と、
    前記第1パネルの端部を、前記第1フィルム材に重ね合わせるとともに、前記第2パネルに対して予め定められた位置に位置決めする位置決め工程と、
    前記第1パネルの端部を内包するように前記第2パネルの端部を折り返すヘミング加工工程と、を含むことを特徴とするヘミング加工方法。
  6. 請求項5に記載のヘミング加工方法において、
    前記第2フィルム材は、その厚みが、当該第2フィルム材、前記補強材および前記第1フィルム材を積層した積層体の厚みの50%〜90%に設定されていることを特徴とするヘミング加工方法。
  7. 請求項5又6に記載のヘミング加工方法であって、
    前記パネル準備工程では、前記第2パネルとして、その端部がほぼ直角に折り曲げられたものを準備し、
    前記シール材準備工程では、前記第2フィルム材として、その表面に厚み方向への切込部が形成されたものを準備し、
    前記シール材貼付け工程では、前記第2フィルム材を前記切込部の位置でほぼ直角に折り曲げ、当該折り曲げ部分を前記第2パネルの折り曲げ部分に対応させた状態で、当第2フィルム材を前記第2パネルの前記所定領域に貼付ける、ことを特徴とするヘミング加工方法。
  8. 請求項3乃至7の何れか一項に記載のヘミング加工方法を用いて製造される車両用ドアであって、
    インナパネルとアウタパネルとを製造するパネル製造工程と、
    前記インナパネルを前記第1パネルとするとともに前記アウタパネルを前記第2パネルとして、前記ヘミング加工方法を用いて前記インナパネルと前記アウタパネルとを接合一体化することによりパネル接合体を製造するパネル接合工程と、
    前記パネル接合体に塗装を施す塗装工程と、
    前記塗装が施された前記パネル接合体に加熱処理を施すベーク工程と、がこの順番で実施されることにより製造されることを特徴とする車両用ドア。
  9. 請求項8に記載の車両用ドアにおいて、
    前記インナパネルは鋼製パネルであり、前記アウタパネルは軽金属製パネルであることを特徴とする車両用ドア。
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