JP2014098079A - ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する方法において、高温となる反応器内の温度の影響を受けず、飛沫同伴による閉塞や、揮発する副生モノヒドロキシ化合物の液だまりの影響も受けないことで信頼性の高い圧力管理を行うことを目的とする。
【解決手段】
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを反応器内で重縮合反応させ、副生するモノヒドロキシ化合物を減圧ライン4を介して反応系外へ留去しながら、ポリカーボネート樹脂を製造する方法であって、前記減圧ライン4に設けられた枝管6を介して圧力検知手段7が設置され、前記反応器と前記減圧ライン4との接合部(A)21から、圧力検知端(C)23までの距離Ltが、配管長さとして1m以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。より詳しくは、エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造するにあたって、反応器の圧力管理を正確に、かつ長期間安定して行う方法に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱性、機械的強度及び耐衝撃性等が極めて高い等、優れた特性を数多く有し、幅広い分野で多量に使用されている。具体的には、各種機械部品、各種電気絶縁性材料、自動車部品、光ディスク等の情報機器材料、ヘルメット等の安全防護材料等、極めて多岐な用途が挙げられる。
このようなポリカーボネート樹脂の製造方法として、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合させる溶融法、及びジヒドロキシ化合物と塩化カルボニルとを界面にて反応させる界面法が知られている。
上記製造方法のうち、エステル交換反応による溶融法は、界面法と比較して安価にポリカーボネート樹脂を製造することができるという利点を有している。溶融法でポリカーボネート樹脂を製造する場合は、複数の反応器が直列に接続した製造装置を用いて、原料化合物を減圧下、溶融状態で多段階で重縮合反応をさせることによって段階的にポリカーボネート樹脂の重合度(平均分子量)を増大させていくことによって行われる(例えば、特許文献1〜3参照)。
ここで、ポリカーボネート樹脂の重縮合は、エステル交換反応で副生するモノヒドロキシ化合物(炭酸ジエステルがジフェニルカーボネート(DPC)の場合はフェノール)を反応系から除去することにより進行する。
エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する場合、重合に伴い副生するモノヒドロキシ化合物は減圧ライン等を介して反応系外へ留去させられる。この留去を十分に行わない場合、副生したモノヒドロキシ化合物が原因で、ポリマーが解重合するなどして目的とする重合度まであげることができなくなることがある。そのため、減圧ラインを介してモノヒドロキシ化合物を反応系外へ留去させる条件、つまり反応器の圧力管理は、ポリカーボネート樹脂の製造において非常に重要な管理項目の一つである。
一方、エステル交換法によるポリカーボネート樹脂製造の反応器は、200℃を超えるような高温で運転されることが一般的である。また、モノヒドロキシ化合物の揮散に伴い、ポリマーが一部飛沫するような飛沫同伴(いわゆるエントレインメント)が生じることがある。反応器内の圧力を測定するための圧力計は、このような、高温、飛沫同伴、さらには揮散したモノヒドロキシ化合物が配管内で液化する液だまりといった影響を受けないようなものとする必要がある。しかし、従来、圧力計は反応器に直接取り付けられることが多く、高温に適用可能なものを用い、飛沫同伴や液だまりによる異常があるたびに高頻度で取り換える等の対応を行うことが必要であった。
特開2012−153886号公報 特開2011−246628号公報 特開2011−117008号公報
本発明は、溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する方法において、高温となる反応器内の温度の影響を受けず、飛沫同伴による閉塞や、揮発するモノヒドロキシ化合物の液だまりの影響も受けないことで信頼性の高い圧力管理を行うことを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
[1] ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを反応器内で重縮合反応させ、副生するモノヒドロキシ化合物を減圧ラインを介して反応系外へ留去しながら、ポリカーボネート樹脂を製造する方法であって、前記減圧ラインに設けられた枝管に圧力検知手段が設置され、前記反応器と前記減圧ラインとの接合部(A)から、前記圧力検知手段の端部(C)までの距離Ltが、配管長さとして1m以上であるポリカーボネート樹脂の製造方法。
[2] 前記接合部(A)から、圧力検知手段が設置される枝管と減圧ラインとの接合部(B)までの距離Laが、0.1m以上である前記[1]に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[3] 前記圧力検知手段の端部(C)が、前記接合部(B)よりも高い位置にある前記[1]または[2]記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[4] 前記圧力検知手段の端部(C)が、前記接合部(A)よりも0.2m以上高い位置にある前記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[5] 前記減圧ラインが熱交換器を有するものであって、前記圧力検知手段が、前記減圧ラインの前記接合部(A)から前記熱交換器までの最上部を基点として設けられた枝管に設置される前記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[6] 前記反応器が、横型撹拌反応器である前記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[7] 前記圧力検知手段の端部(C)の温度が、150℃以下である前記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[8] 前記減圧ライン内の線速が、100m/sec以下である前記[1]〜[7]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[9] 前記減圧ラインに設けられた枝管に設置される圧力検知手段が複数である前記[1]〜[8]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
本発明によれば、副生するモノヒドロキシ化合物を留去しながらポリカーボネート樹脂を製造する方法において、反応器内の圧力を簡便にかつ正確に、長期間安定して測定することができるため、製造プラント等の装置の運転に資するものである。
本発明における製造方法の装置の例を示した概略図である。 一般的なポリカーボネート樹脂製造工程に用いる製造装置の概略図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
本発明は、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを反応器内で重縮合反応させ、副生するモノヒドロキシ化合物を減圧ラインを介して反応系外へ留去しながら、ポリカーボネート樹脂を製造する方法であって、前記減圧ラインに設けられた枝管に圧力検知手段が設置され、前記反応器と前記減圧ラインとの接合部(A)から、前記圧力検知手段の端部(C)(以下、単に「圧力検知端(C)」という。)までの距離Ltが、配管長さとして1m以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法である。
<ポリカーボネート樹脂の製造工程>
本発明の製造方法では、原料モノマーとして、後述するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と、ジフェニルカーボネート(DPC)等の炭酸ジエステルをそれぞれ溶融状態にて、原料混合溶融液を調製し(原料調製工程)、好ましくはエステル交換触媒の存在下、これらの化合物を溶融状態で重縮合反応をさせる(重縮合工程)ことにより行われ、副生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ留去しながら除去することにより、反応を進行させ、ポリカーボネート樹脂を製造する。
このモノヒドロキシ化合物の留去は、反応器の気相部(一般的に反応器の上部)に設けられる減圧ラインを介して行われる。重縮合工程は、複数の反応器を接続した多段工程で行われ、一般的には、前段反応と後段反応の2段階に分けられる。前段反応は、主に低重合度のオリゴマー生成のための工程であり、通常、減圧下で、好ましくは150℃〜270℃、より好ましくは170℃〜260℃の温度で、好ましくは0.1時間〜10時間、より好ましくは0.5時間〜3時間実施され、副生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ留去させ、オリゴマーを生成させる。
後段反応は、より重合度の高いポリマー生成のための工程であり、反応系の圧力を前段反応から徐々に下げ、反応温度を徐々に上げていき、同時に発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ留去しながら、最終的には反応系の圧力が2kPa以下で、通常好ましくは250℃〜350℃、より好ましくは260℃〜320℃の温度で重縮合反応を行い、ポリカーボネート樹脂を生成させる。なお、本明細書における圧力とは、真空を基準に表した、いわゆる絶対圧力を指す。本発明は、特に、反応温度が高く、反応器内の圧力が低い、後段反応に用いられる横型撹拌反応器の圧力管理において有用である。
減圧ラインを介して、副生するモノヒロドキシ化合物を留去させる程度を、反応器の圧力を管理することで制御することが好ましいため、反応器内の圧力制御は、ポリカーボネート樹脂製造において、非常に重要な指標となる。
前述したように、反応器内は、前段工程で約150℃〜270℃、後段工程で約250〜350℃と非常に高温になるため、反応器に圧力を測定するための圧力検知手段を直接取り付けることは、好ましくない。また、反応器内から、モノヒドロキシ化合物が留去するが、留去したモノヒドロキシ化合物は冷却されると液化して、液だまりをつくることがある。さらに、モノヒドロキシ化合物の留去等に伴い、ポリカーボネート樹脂等の飛沫同伴(以下、「エントレ」と略記することがある。)が生じ、減圧ラインを汚染することがある。よって、圧力管理を行うためには、これらの問題を解消するように圧力検知手段を取り付ける位置およびその取り付け方を工夫することが非常に重要である。
本発明における製造方法の装置の概略図の一例を、図1に示す。ここでは、本発明の態様を後述する図2の横型撹拌反応器1dに設けられる減圧ラインを例に説明する。横型撹拌反応器1dにおいてポリマー融液等の重縮合に伴い副生するモノヒドロキシ化合物等は、反応器1dの気相部に接合される減圧ライン4を介して、留去させられる。ここで、減圧ライン4は、その主配管が接合部(A)21にて、横型撹拌反応器1dに接合される。減圧ライン4は、その主配管が減圧手段である真空ポンプ8に接続されていて、その間に熱交換器2を有するものを例としている。本発明においては、この減圧ライン4に設けられた枝管6に圧力検知手段7が設置され、圧力検知手段7の端部であり枝管に接合される部分が圧力検知端(C)23である。ここで、接合部(A)21から圧力検知端(C)23までの距離Ltは、配管長さとして1m以上である。従来の圧力検知手段は、図1で示すところの圧力検知手段7´のように、横型撹拌反応器1dに直接取り付けられるため、高温による動作異常や劣化、液だまりやエントレによる汚染が生じ、頻繁に取り換える必要があるものであった。
本発明は、圧力検知手段を減圧ラインに設けられた枝管に設置することを特徴とする。本発明において、枝管は、減圧ラインに設けられる。この枝管を介することで、液だまりやエントレによる、圧力検知手段の汚染を防止することができるため、信頼性が高い圧力測定を行うことができ、反応系の管理がより正確なものとなる。
本発明において、減圧ラインは、反応器に配管を接合し、当該配管に真空ポンプ等の減圧手段を設けることで、反応器内を減圧状態にするためのものである。減圧ラインは、少なくとも反応器に取り付けられる主配管と減圧手段とからなり、さらに減圧ラインにおける気体の温度調整を行うための熱交換器や、液化したモノヒドロキシ化合物を一次貯留するタンク、起動や停止の際に用いるベント配管等から構成される。ここで減圧ラインの主配管とは、反応器から減圧手段である真空ポンプまでを連結する配管をいう。
減圧ラインの主配管は、一般的に耐腐食性を有する金属の配管で、径50mm〜2000mmのものが好ましく用いられる。
減圧ラインの減圧手段は、真空ポンプやエジェクターを用いることができる。特に、ポリカーボネート樹脂が高粘度となる後段の反応器ほど、高い真空度を達成するために、真空ポンプを用いることが好ましい。
枝管は、減圧ラインに取り付けられる配管であり、圧力検知手段を取り付けるために設けられる。枝管は、耐腐食性を有する金属の配管で、径50mm〜200mmのものが好ましく用いられる。枝管は、直管である必要はなく、圧力検知手段を接続することができるものであればよい。なお、枝管は減圧ラインに直接取り付けられている一次配管と、一次配管から、圧力検知端(C)までを接続する配管も含めて、枝管と称する。
圧力検知手段とは、圧力を測定するためのものであり、減圧程度を数値として管理または所定の値となればそれを指示することができる指示計として機能するものであればよい。例えば、ブルドン管圧力計、マノメーター、マクラウド真空計、ピラニー真空計、隔膜式真空計などの圧力計を用いることができる。このなかでも、低い圧力において感度が高いブルドン管圧力計、ピラニー真空計、隔膜式真空計が好ましく、特に隔膜式真空計が好ましい。なお、前述のように、圧力検知端とは、圧力検知手段の端部であり枝管に接合される部分である。
減圧ラインに設けられた枝管に設置される圧力検知手段は複数であることが好ましい。この圧力検知手段を、圧力を測定しようとする各反応器の減圧ラインに設けられた枝管に複数設置することで、より信頼性の高い圧力管理を行うことができ、それぞれの圧力検知手段により測定される圧力の差から運転状態の詳細な管理を行うことや、一方の圧力検知手段を交換するときも他方の圧力検知手段によって反応器の圧力を測定することができる等のさらに優れた効果を得ることができる。この各反応器に複数設置される圧力検知手段は、減圧ライン上に設けられた一の枝管に複数設置しても良いし、減圧ライン上に複数の枝管を設けてそれぞれの枝管に設置してもよい。反応器等の運転を行いながら圧力計の交換を行うために、枝管には弁を設け、圧力計の交換時にはその弁を閉じた状態として系から遮断しておくことで、系内の圧力変動をほとんど生じさせずに交換することができる。特に、減圧ライン上に複数の枝管を設けて、それぞれに圧力検知手段を設置することで、交換作業を容易に行うことができる。
また、本発明においては、反応器と減圧ラインとの接合部(A)から圧力検知端(C)までの距離Ltが、配管長さとして1m以上であることを要する。減圧ラインは、この接合部(A)に主配管を接続して、コンデンサ等を介して真空ポンプまで連結されている。この減圧ラインの主配管上に設けられる枝管に、圧力検知手段が設置される。ここで、配管長さには、減圧ラインの主配管と枝管の長さが含まれるものであり、接合部(A)から接合部(B)までの距離Laと接合部(B)から圧力検知端(C)までの距離Lbとの合計として求めた距離としての意味である。なお、配管長さの測定は配管の中央の長さを測定することを意味する。
また、本発明においては、前記接合部(A)から、圧力検知手段が設置される枝管と減圧ラインとの接合部(B)までの距離Laが、0.1m以上であることが好ましい。より好ましくは、前記距離Laが0.3m以上であり、さらに好ましくは0.7m以上、特に好ましくは1m以上である。本発明において、枝管は、減圧ラインの主配管上に取り付けられるが、その取り付けられる位置は、減圧ラインが反応器との接合部(A)から、ある程度離れていることが好ましい。枝管を取り付ける位置が、接合部(A)に近すぎる場合、反応器に直接取り付けた場合とほとんど差がなく、枝管内にモノヒドロキシ化合物の液たまりや、エントレによる汚染が生じやすくなる。
また、本発明においては、前記圧力検知端(C)が、前記接合部(B)よりも高い位置にあることが好ましい。圧力検知端(C)が接合部(B)と同じまたは低い位置にある場合、液化したモノヒドロキシ化合物が接合部(B)と圧力検知手段を連結する枝管内に液たまりを作りやすくなる等の問題が発生するおそれがある。なお、枝管は、接合部(B)から真上に伸びている必要はなく、水平から上方に向かうL字状や、場合によってはU字状にいったん下方に向いてから、上方にむかうような形状であってもよい。
また、本発明においては、圧力検知端(C)は、反応器と減圧ラインの接合部(A)よりも0.2m以上高い位置にあることが好ましい。より好ましくは、0.5m以上、さらに好ましくは1m以上である。これも、液たまりやエントレによる閉塞が発生しやすくなることを防止するためである。接合部(A)から接合部(B)まで高さが同程度の場合は、接合部(B)から圧力検知端(C)までの配管が上方向に向かう等の設計とすることで、これを達成することができる。また、接合部(B)が接合部(A)よりも十分高い位置にある場合は、接合部(B)から圧力検知端(C)までの高さがほとんど変わらない設計とすることもできる。
減圧ラインが熱交換器を有するものである場合、前記圧力検知手段は、接合部(A)から減圧ラインの熱交換器までにおける最上部を基点とした枝管に設置されることがより好ましい。ここでいう熱交換器までの最上部とは、反応器との接合部(A)から必要に応じて設置される熱交換器までの減圧ラインの中で最も高い位置のことをいう。減圧ラインの最上部を基点とすることで、液たまりやエントレによる閉塞等の問題が発生するおそれをより低減することができる。ここで、減圧ラインの最上部とは、複数の反応器を有し複数の減圧ラインが設けられる場合、各反応器に設けられるそれぞれの減圧ラインにおける最上部を指す。
本発明において、圧力検知端(C)の温度が150℃以下であることが好ましい。圧力検知端(C)における温度がこれより高い場合、圧力検知手段に用いられる圧力計等にかかる負荷が大きくなり、圧力計の寿命が短くなったり、誤差が生じやすくなったりすることがある。しかし、反応器から圧力検知端(C)までの距離を十分に設けることで、減圧ラインおよび枝管の内部の温度は徐々に低下し、圧力検知端(C)における温度を低くすることができる。圧力検知端(C)の温度は、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下、特に好ましくは85℃以下である。
本発明において、減圧ライン内の線速は100m/sec以下であることが好ましい。線速がこれより高い場合、減圧ライン内において圧力の動的変動が生じやすくなる。この変動が原因で、正確な圧力管理ができないことがあるため、減圧ライン内の線速は、上記範囲内で制御することが好ましい。本発明においては、圧力検知手段を枝管に設置するため、線速の影響を受けにくいものとしている。線速の管理は、反応器から留去するモノヒドロキシ化合物の量にあわせて、減圧ラインの主配管の径等を設定した設計を行うことによることが一般的である。さらには、減圧手段として用いられる真空ポンプ等の動力の制御などにより、運転状態に合わせた管理を行うことも可能である。線速は、より好ましくは、80m/sec以下、さらにこのましくは70m/sec以下、特に好ましくは50m/sec以下である。なお、線速は、超音波流量計により測定した値である。
以下、本発明にかかるポリカーボネート樹脂の一般的な製造方法についてさらに詳述する。
本発明にかかるポリカーボネート樹脂の製造において、前述したように、重合工程は基本的には前段と後段の反応に分けられる。
なお、重縮合工程の後、ポリカーボネート樹脂中の未反応原料若しくは反応副生物であるモノヒドロキシ化合物を脱揮除去する工程、熱安定剤、離型剤若しくは色剤等を添加する工程、または得られたポリカーボネート樹脂を所定の粒径のペレットに形成する工程等を適宜追加してもよい。
この重縮合工程で用いる反応器は、複数の反応器が連結されたものが好ましく用いられる。連結する反応器の数は特に限定されないが、2器〜7器が好ましく、3器〜5器がより好ましく、3器〜4器が更に好ましい。反応器の種類も特に限定されず、竪型撹拌反応器または横型撹拌反応器のいずれも使用できる。
なお、詳しくは前段反応の反応器は竪型撹拌反応器が1器以上であることが好ましく、後段反応の反応器は横型撹拌反応器が1器以上であることが好ましい。反応器を複数設置する場合は、反応器毎に段階的に温度を上昇させ、段階的に圧力を減少させた設定とすることが好ましい。
その例として、図2においては、3基の竪型撹拌反応器1a〜1cと、1基の横型撹拌反応器1dが用いられている。最初の竪型撹拌反応器1aに原料混合物の溶融物が供給され、好ましくは前記エステル交換触媒の存在下で、重縮合が開始される。次いで、竪型撹拌反応器1b、竪型撹拌反応器1c、横型撹拌反応器1dに順番に送られ、重縮合反応を進行させる。この図2における装置構成において、副生するモノヒドロキシ化合物がフェノールの場合、この留去したフェノールは熱交換器2で液化され、フェノールタンク3に送られる。フェノールタンク3中のフェノールは、適宜処理され、ジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステル化合物等の原料として再利用される。
図2では、一群の重縮合反応装置の最後の反応器として、横型撹拌反応器1dが用いられるが、これは、重縮合反応が進行するにつれ、粘度が上昇するので、最後においては、高粘度となっており、この高粘度での撹拌をより容易にするためである。そして、この重縮合工程で得られたポリカーボネート樹脂は、脱揮後、冷却固化後、ペレット化される。
本発明で使用する反応器における加熱手段は公知のいかなるものでもよい。例えば、熱油またはスチームを加熱媒体とした、ジャケット形式の反応器または内部にコイル状の伝熱管を有する反応器等が挙げられる。
反応器の大きさは特に制限されないが、本発明の製造方法は、反応器に内在する反応液に対して、反応器に備えられた加熱器のみでは、加熱能力の確保が難しい大型の反応器が好適な対象となる。反応器の内容積は反応スケールまたは選択する反応条件により最適な内容積は異なるが、5m3以上であることが好ましい。反応器の内容積の上限は、特に限定はないが、反応効率、現実性の観点から、100m3である。
反応器の温度は、内部の反応液温度で、通常350℃以下であることが好ましく、より好ましくは320℃以下、更に好ましくは300℃以下である。温度が高すぎると、反応器壁面での熱劣化が促進され、異種構造若しくは分解生成物の増加、または色調の悪化等を招くことがある。下限温度は、上記反応が維持可能な温度であれば特に制限されない。
前記の竪型及び横型の反応器としては、例えば、撹拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型撹拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板型反応器等が用いられる。
竪型撹拌反応器の撹拌翼の形式としては、例えば、タービン翼、パドル翼、ファウドラー翼、アンカー翼、フルゾーン翼(神鋼パンテック(株)製)、サンメラー翼(三菱重工業(株)製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業(株)製)、ヘリカルリボン翼、ねじり格子翼(日立製作所(株)製)等が挙げられる。
ところで、横型撹拌反応器とは、撹拌翼の回転軸が横型(水平方向)であるものをいう。横型撹拌反応器の撹拌翼としては、例えば、円板型、パドル型等の一軸タイプの撹拌翼やHVR、SCR、N−SCR(三菱重工業(株)製)、バイボラック(住友重機械工業(株)製)、あるいはメガネ翼、格子翼(日立製作所(株)製)等の二軸タイプの撹拌翼が挙げられる。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂は、上述の通り重縮合反応後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。ペレット化の方法は限定されるものではないが、例えば、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。
その際、押出機中で、残存モノマーの減圧脱揮、または通常知られている、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤若しくは難燃剤等を添加、混練することもできる。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂は、射出成形法、押出成形法または圧縮成形法等の通常知られている方法で成形物にすることができる。ポリカーボネート樹脂の成形方法は特に限定されないが、成形品形状に合わせて適切な成形法が選択される。成形品がフィルムまたはシートの形状である場合は押出成形法が好ましく、射出成形法では成形品の自由度が得られる。
また、本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂は、種々の成形を行う前に、必要に応じて、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤または難燃剤等の添加剤を、タンブラー、スーパーミキサー、フローター、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサーまたは押出機などで混合することもできる。
また、本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂は例えば、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ABS若しくはASなどの合成樹脂、ポリ乳酸若しくはポリブチレンスクシネートなどの生分解性樹脂、またはゴムなどの1種又は2種以上と混練して、ポリマーアロイとしても用いることもできる。
以下、本発明の製造方法に用いることができる原料化合物及び重合触媒について説明する。なお、ここでの例示は一例(代表例)であり、本発明の要旨を超えない限り、以下の原料化合物及び重合触媒に限定されない。
<ジヒドロキシ化合物>
原料モノマーとしてのジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;イソソルビト、イソマンニド、イソイデット等の複素環基を有するジヒドロキシ化合物類;2−(5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデロン等のスピロ炭化水素誘導体;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。これらの中では、ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性の点からビスフェノールA(以下、BPAと略称することがある。)が好ましい。さらに、難燃性を高める目的で、上記のジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物も使用することができる。これらのジヒドロキシ化合物は、二種以上を混合することができる。
又、上記のジヒドロキシ化合物はその一部をポリヒドロキシ化合物および/またはイサチン類等で置換してもよく、その割合は通常10モル%以下、好ましくは2モル%以下である。ポリヒドロキシ化合物としては、例えばフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプテン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンがあげられる。イサチン類としては例えば3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(別名:イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチンがあげられる。前記ポリヒドロキシ化合物および/又はイサチン類等の添加時期は任意であり、反応温度や触媒量を適宜調整することにより、分岐したポリカーボネート樹脂を得ることもできる。
<炭酸ジエステル>
原料モノマーとしての炭酸ジエステルとしては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
ここで、一般式(1)中、A'は、置換されていてもよい、炭素数1〜炭素数10の直鎖状、分岐状または環状の1価の炭化水素基である。2つのA'は、同一でも相互に異なっていてもよい。なお、A'上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜炭素数10のアルキル基、炭素数1〜炭素数10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などが例示される。
炭酸ジエステルの具体例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。これらの中では置換ジフェニルカーボネートが好ましく、ジフェニルカーボネート(DPC)、が更に好ましい。これらの炭酸ジエステルは、2種以上を混合して使用することができる。
また、上記の炭酸ジエステルは、その一部をジカルボン酸またはジカルボン酸エステルで置換してもよく、その割合は、通常50モル%以下、好ましくは30モル%以下である。代表的なジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。
また、エステル交換法で製造するポリカーボネート樹脂では、炭酸ジエステル(上記の置換したジカルボン酸またはジカルボン酸エステルを含んでもよい。以下同じ。)は、ジヒドロキシ化合物に対して過剰に使用される。即ち、ジヒドロキシ化合物に対する炭酸ジエステルの割合(モル比)は、通常1.00〜1.30、好ましくは1.01〜1.20、更に好ましくは1.05〜1.20である。モル比が過度に小さい場合は、得られるポリカーボネート樹脂の末端OH基が多くなり、ポリカーボネート樹脂の熱安定性が悪化する傾向となる。また、モル比が過度に大きい場合は、エステル交換の反応速度が低下し、所望の分子量を有するポリカーボネート樹脂の生産が困難となる傾向となる他、ポリカーボネート樹脂中の炭酸ジエステルの残存量が多くなり、成形加工時や成形品としたときの臭気の原因となることがある。従って、末端OH基量は100ppm以上であることが好ましい。このような末端OH基量とすることにより、分子量の低下を抑制でき、色調もより良好となる。
一般的に、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調節したり、反応時の減圧度を調整したりすることにより、所望の分子量および末端OH基量を有するポリカーボネート樹脂が得られる。より積極的な方法として、反応時に、別途、末端停止剤を添加する周知の調節方法もある。この際の末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。末端OH基量は、製品ポリカーボネート樹脂の熱安定性、加水分解安定性、色調などに大きな影響を及ぼす。末端OH基量は、用途にもよるが、実用的な物性を持たせるためには、通常1,000ppm以下、好ましくは700ppm以下である。
<エステル交換触媒>
通常、エステル交換反応によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は、特に制限されないが、周期表第1族の金属化合物および/または周期表第2族の金属化合物が好ましい。また、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性窒素化合物などの塩基性化合物を併用することも可能である。これらのエステル交換触媒の中では、実用的観点から周期表第1族の金属化合物が好ましい。これらのエステル交換触媒は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。エステル交換触媒の使用量は、ジヒドロキシ化合物1モルに対し、通常1×10-9モル〜1×10-1モル、好ましくは1×10-7モル〜1×10-3モル、更に好ましくは1×10-7モル〜1×10-6モルの範囲である。
周期表第1族の金属化合物としては、該金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素化合物などの無機金属化合物;該金属のアルコール類(又はフェノール類)、有機カルボン酸類との塩などの有機金属化合物が挙げられる。ここで、該金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。これらの金属化合物の中では、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム又は水酸化セシウムが好ましい。
本発明における製造方法の装置の概略図を、図1に示す。なお、図1においては、前述した図2の横型撹拌反応器1dに設けられる、減圧ラインおよび本発明の態様を例に説明する。所定の温度に調節された反応器1dには、重合液の流入路10より、前段の反応器1cからポリマー融液が流入し、反応器内にて重縮合し重合度を上げたポリマー融液として流出路11より次の工程へと移送される。ポリマー融液等の重縮合に伴い、副生するモノヒドロキシ化合物等は、反応器1の気相部に設けられる減圧ライン4を介して、留去させられる。減圧ラインは、その主配管4が接合部(A)21にて、反応器に接合される。減圧ライン4は、主配管に、減圧手段である真空ポンプ8が設けてあり、熱交換器2やフェノールタンク3等が必要に応じて設けられる。本発明においては、この減圧ライン4に、枝管6を設けて、圧力検知手段7が取り付けられる。ここで、接合部(A)21から圧力検知端(C)23までの距離Ltは、配管長さとして1m以上であり、図1においては、減圧ラインは屈曲ポイント5において直角に折れ曲がっているが、この場合、接合部(A)から屈曲ポイント5までの配管長さと、屈曲ポイント5から接合部(B)22までの配管長さ、および接合部(B)22から、圧力検知端(C)23までの配管長さの合計が、1m以上であることを指す。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(測定方法)
(1)粘度平均分子量(Mv)
ウベローデ粘度計を使用し、ポリカーボネート樹脂試料の塩化メチレン溶液(0.6g/dl)を調製し、20℃におけるηspを測定し、以下の式(1)及び(2)より粘度平均分子量(Mv)を求めた。
ηsp/C=[η]×(1+0.28ηsp) (1)
[η]=1.23×10-4×(Mv)0.83 (2)
(式(1)中、ηspはポリカーボネート樹脂試料の塩化メチレン中20℃で測定した比粘度であり、Cはこの塩化メチレン溶液の濃度である。塩化メチレン溶液としては、ポリカーボネート樹脂試料の濃度が0.6g/dlの溶液を使用する。)
(製造方法)
図2に示すような竪型撹拌反応器3器及び横型撹拌反応器1器を有する連続製造設備によってポリカーボネート樹脂を製造した。製造する設備において、実施例1〜4は、各々、同一プラント(プラントI)の第1竪型撹拌反応器1a、第2竪型撹拌反応器1b、第3竪型撹拌反応器1c、第4横型撹拌反応器1dに設置される圧力検知手段に対応する実験結果である。
また、実施例5〜8は、各々、同一プラント(プラントII)の第1竪型撹拌反応槽1a、第2竪型撹拌反応器1b、第3竪型撹拌反応器1c、第4横型撹拌反応器1dに設置される圧力検知手段に対応する実験結果である。
プラントI、プラントIIいずれのプラントも、以下の工程によりポリカーボネート樹脂を長期間、安定して製造する生産設備であり、以下に示す運転条件および使用するモノマー等は、運転期間中の代表的な一例である。
<第1反応器内の反応>
窒素ガス雰囲気下、ビスフェノールA(BPA)とジフェニルカーボネート(DPC)とを、一定のモル比(DPC/BPA=1.050〜1.200)で混合し、140℃に加熱して、溶融混合物を得た。これを、140℃に加熱した原料導入管を介して、常圧、窒素雰囲気下、220℃に制御した第1竪型撹拌反応器内に連続供給した。平均滞留時間が60分になるように、槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合物の供給を開始すると同時に、エステル交換触媒として炭酸セシウムを、ビスフェノールA1モルに対し、0.4×10-6〜0.95×10-6モルの割合で水溶液として連続供給した。
<第2〜4反応器内の反応>
第1竪型撹拌反応器より排出された重合液を、第2竪型撹拌反応器、次いで第3竪型撹拌反応器、次いで第4横型撹拌反応器と、各反応器に順番に移送し、反応した。反応の間、各反応器の平均滞留時間が60分になるように、液面レベルを制御し、また副生するフェノールの留去も行った。各反応器の重合条件は、それぞれ、第2竪型撹拌反応器(260℃、13300Pa)、第3竪型撹拌反応器(275℃、1995Pa)、第4横型撹拌反応器(285℃、67Pa)で、反応の進行とともに高温、高真空、低撹拌速度に条件を設定した。ポリカーボネート樹脂の製造速度は、プラントIは、8000kg/時間、プラントIは、50kg/時間であった。こうして得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、15500〜28000であった。得られたポリカーボネート樹脂は、重合後、適宜、濾過やペレット化工程等を経て、ペレット化した。
なお、各プラントは、定期検診等のために約11ヶ月おきに運転を停止した。
[実施例1]
実施例1として、プラントIの第1竪型撹拌反応器1aの圧力を測定するために、圧力検知手段を設置する際のLtを5.7m、Laを4.2m、圧力検知端(C)は接合部(A)よりも5.5m高い位置とした。設備稼働中の、圧力検知端(C)の温度は53℃であり、減圧ライン内の線速は、平均31.7m/secであった。設置した圧力計は、隔膜式圧力計を使用した。
その結果、2.5年間の設備稼働中に、当該装置での圧力計不具合による運転停止はなく、安定的な運転が可能であった。
[実施例2]
実施例2として、プラントIの第2竪型撹拌反応器1bの圧力を測定するために、圧力検知手段を設置する際のLtを9.2m、Laを7.7m、圧力検知端(C)は接合部(A)よりも9.0m高い位置とした。設備稼働中の、圧力検知端(C)の温度は60℃であり、減圧ライン内の線速は、平均22.2m/secであった。圧力計は、隔膜式圧力計を使用した。
その結果、2.5年間の設備稼働中に、当該装置での圧力計不具合による運転停止はなく、安定的な運転が可能であった。
[実施例3]
実施例3として、プラントIの第3竪型撹拌反応器1cの圧力を測定するために、圧力検知手段を設置する際のLtを14.0m、Laを12.0m、圧力検知端(C)は接合部(A)よりも13.5m高い位置とした。設備稼働中の、圧力検知端(C)の温度は71℃であり、減圧ライン内の線速は、平均23.1m/secであった。圧力計は、隔膜式圧力計を使用した。
その結果、2.5年間の設備稼働中に、当該装置での圧力計不具合による運転停止はなく、安定的な運転が可能であった。
[実施例4]
実施例4として、プラントIの第4横型撹拌反応器1dの圧力を測定するために、圧力検知手段を設置する際のLtを12.5m、Laを10.5m、圧力検知端(C)は接合部(A)よりも12.0m高い位置とした。設備稼働中の、圧力検知端(C)の温度は75℃であり、減圧ライン内の線速は、19.6m/secであった。圧力計は、隔膜式圧力計を使用した。
その結果、2.5年間の設備稼働中に、当該装置での圧力計不具合による運転停止はなく、安定的な運転が可能であった。
[実施例5]
実施例5として、プラントIIの第1竪型撹拌反応器1aの圧力を測定するために、圧力検知手段を設置する際のLtを3.2m、Laを1.2m、圧力検知端(C)は接合部(A)よりも2.5m高い位置とした。設備稼働中の、圧力検知端(C)の温度は50℃であり、減圧ライン内の線速は、平均4.8m/secであった。圧力計は、隔膜式圧力計を使用した。
その結果、1.5年間の設備稼働中に、当該装置での圧力計不具合による運転停止はなく、安定的な運転が可能であった。
[実施例6]
実施例6として、プラントIIの第2竪型撹拌反応器1bの圧力を測定するために、圧力検知手段を設置する際のLtを5.6m、Laを3.6m、圧力検知端(C)は接合部(A)よりも4.9m高い位置とした。設備稼働中の、圧力検知端(C)の温度は62℃であり、減圧ライン内の線速は、平均5.2m/secであった。圧力計は、隔膜式圧力計を使用した。
その結果、1.5年間の設備稼働中に、当該装置での圧力計不具合による運転停止はなく、安定的な運転が可能であった。
[実施例7]
実施例7として、プラントIIの第3竪型撹拌反応器1cの圧力を測定するために、圧力検知手段を設置する際のLtを11.3m、Laを9.3m、圧力検知端(C)は接合部(A)よりも10.6m高い位置とした。設備稼働中の、圧力検知端(C)の温度は60℃であり、減圧ライン内の線速は、平均3.5m/secであった。圧力計は、隔膜式圧力計を使用した。
その結果、1.5年間の設備稼働中に、当該装置での圧力計不具合による運転停止はなく、安定的な運転が可能であった。
[実施例8]
実施例8として、プラントIIの第4横型撹拌反応器1dの圧力を測定するために、圧力検知手段を設置する際のLtを9.7m、Laを6.7m、圧力検知端(C)は接合部(A)よりも8.0m高い位置とした。設備稼働中の、圧力検知端(C)の温度は75℃であり、減圧ライン内の線速は、平均5.2m/secであった。圧力計は、隔膜式圧力計を使用した。
その結果、1.5年間の設備稼働中に、当該装置での圧力計不具合による運転停止はなく、安定的な運転が可能であった。
実施例1〜8の主な運転条件およびその結果を表1に示す。
本発明により、ポリカーボネート樹脂製造工程における反応器内の真空度を、より信頼性の高い値として、長期間、安定して管理することができるため、従来以上に品質が安定したポリカーボネート樹脂を製造することができる。
1a 第1竪型撹拌反応器
1b 第2竪型撹拌反応器
1c 第3竪型撹拌反応器
1d 横型撹拌反応器
2 熱交換器
3 フェノールタンク
4 減圧ライン(主配管)
5 屈曲ポイント
6 枝管
7 圧力検知手段
7´ 圧力検知手段
8 真空ポンプ
10 重合液流入路
11 重合液流出路
21 接合部(減圧ラインと反応器の接合部(A))
22 接合部(減圧ラインと枝管の接合部(B))
23 圧力検知端(C)

Claims (9)

  1. ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを反応器内で重縮合反応させ、副生するモノヒドロキシ化合物を減圧ラインを介して反応系外へ留去しながら、ポリカーボネート樹脂を製造する方法であって、
    前記減圧ラインに設けられた枝管に圧力検知手段が設置され、
    前記反応器と前記減圧ラインとの接合部(A)から、前記圧力検知手段の端部(C)までの距離Ltが、配管長さとして1m以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
  2. 前記接合部(A)から、圧力検知手段が設置される枝管と減圧ラインとの接合部(B)までの距離Laが、0.1m以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  3. 前記圧力検知手段の端部(C)が、前記接合部(B)よりも高い位置にあることを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  4. 前記圧力検知手段の端部(C)が、前記接合部(A)よりも0.2m以上高い位置にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  5. 前記減圧ラインが熱交換器を有するものであって、前記圧力検知手段が、前記減圧ラインの前記接合部(A)から前記熱交換器までの最上部を基点として設けられた枝管に設置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  6. 前記反応器が、横型撹拌反応器であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  7. 前記圧力検知手段の端部(C)の温度が、150℃以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  8. 前記減圧ライン内の線速が、100m/sec以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  9. 前記減圧ラインに設けられた枝管に設置される圧力検知手段が、複数であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
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