以下、本発明について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
先ず、上記一般式(I)で表わされる本発明のスルホニウム塩化合物について説明する。
上記一般式(I)におけるR1〜R10で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。上記一般式(I)におけるR1〜R10で表されるハロゲン原子、水酸基、ニトロ基またはシアノ基で置換されていてもよい炭素原子数1〜18の直鎖または分岐鎖アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、イソヘキシル、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、2−メチル−1−アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル、2−エチル−1−アダマンチル、2−エチル−2−アダマンチル、2−ノルボルニル、2−ノルボルニルメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ジフルオロエチル、トリクロロエチル、ジクロロジフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、デカフルオロペンチル、トリデカフルオロヘキシル、ペンタデカフルオロヘプチル、ヘプタデカフルオロオクチル、シアノメチル、ヒドロキシメチル等が挙げられる。
上記一般式(I)におけるR1〜R10で表されるハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基としては、フェニル、ナフチル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、4−ステアリルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、シクロヘキシルフェニル、ヒドロキシフェニル等が挙げられる。
上記一般式(I)におけるR1〜R10で表されるハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、フェナシル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル、2−ヒドロキシベンジル、2−ヒドロキシフェネチル、2−ヒドロキシフェナシル、2−フェノキシエチル、2−フェニルチオエチル等が挙げられる。
上記一般式(I)におけるR11〜R15における−Z−Y中のY、及び、−NR−中のRで表される、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基またはシアノ基で置換されていてもよい炭素原子数1〜18の直鎖または分岐鎖アルキル基;、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基;、又は、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、上記R1〜R10で例示したものが挙げられる。
上記一般式(I)におけるR1〜R10、R11〜R15における−Z−Y中のY、及び、−NR−中のR、がとりうる、アルキル基は、他の置換基を有していてもよい。そのような置換基の具体的な例としては、ホルミル基;カルボキシル基;スルホ基;トリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、トリプロピルシリルオキシ、ジメチルプロピルシリルオキシ、ジエチルプロピルシリルオキシ、ジメチル(1,1,2,2−テトラメチル)エチルシリルオキシ、ブチルジメチルシリルオキシ、ブチルジフェニルシリルオキシ、トリベンジルシリルオキシ、トリキシリルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシ、ブチルメトキシフェニルシリルオキシ等のシリルオキシ基;リン酸エステル基等が挙げられる。
上記一般式(I)におけるR1〜R10、R11〜R15における−Z−Y中のY、及び、−NR−中のR、がとりうる、アリール基、アリールアルキル基は、他の置換基を有していてもよい。そのような置換基の具体的な例としては、1−アダマンチル、2−アダマンチル、2−メチル−1−アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル、2−エチル−1−アダマンチル、2−エチル−2−アダマンチル、2−ノルボルニル、2−ノルボルニルメチル、カンファー−10−イル、ビニル、アリル、イソプロペニル、1−プロペニル、2−メトキシ−1−プロペニル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ジフルオロエチル、トリクロロエチル、ジクロロジフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、デカフルオロペンチル、トリデカフルオロヘキシル、ペンタデカフルオロヘプチル、ヘプタデカフルオロオクチル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、メチルチオメチル、エトキシエチル、ブトキシメチル、t−ブチルチオメチル、4−ペンテニルオキシメチル、トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、メトキシシクロヘキシル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、メトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、エチルジチオエチル、トリメチルシリルエチル、t−ブチルジメチルシリルオキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、t−ブトキシカルボニルメチル、エチルオキシカルボニルメチル、エチルカルボニルメチル、t−ブトキシカルボニルメチル、アクリロイルオキシエチル、メタクリロイルオキシエチル、2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル、アセチルエチル等のアルキル基;フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントラセン−1−イル、フェナントレン−1−イル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、4−ビニルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−ペンチルフェニル、2,5−ジ−t−アミルフェニル、シクロヘキシルフェニル、ビフェニリル、2,4,5−トリメチルフェニル、9−フルオレニル、4−クロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、4−トリクロロフェニル、4−トリフルオロフェニル、フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ペンタフルオロフェニル、ヘプタフルオロ−p−トリル、4−ホルミルフェニル、4−ニトロフェニル、エトキシナフチル、4−フルオロメチルフェニル、4−メトキシフェニル、2,4−ジニトロフェニル等のアリール基;ベンジル、メチルベンジル、ジメチルベンジル、トリメチルベンジル、フェニルベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、2−フェニルエチル、2−フェニルプロピル、スチリル、シンナミル、フルオロベンジル、クロロベンジル、ブロモベンジル、シアノベンジル、ジクロロベンジル、メトキシベンジル、ジメトキシベンジル、ベンジルオキシメチル、メトキシベンジルオキシメチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、グアイアコールメチル、フェノキシメチル、フェニルチオメチル、ニトロベンジル、ジニトロベンズヒドリル、ジベンゾスベリル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル、フェニルスルホニルエチル、トリフェニルホスホニオエチル、トリフェニルメトキシメチル、フェナシル、ブロモフェナシル等のアリールアルキル基;R’’として上記アルキル基、アリール基、アリールアルキル基や、テトラヒドロピラニル、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、メトキシテトラヒドロピラニル、メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラン−S,S−ジオキシド−4−イル、1−〔(2−クロロ−4−メチル)フェニル〕−4−メトキシピペリジン−4−イル、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル、2−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル、3−ピコリン−N−オキシド−2−イルメチル、1,3−ベンゾジチオラニル、ベンズイソチアゾリン−S,S−ジオキシド−3−イル、テトラフルオロ−4−ピリジル等の複素環基が含まれる、R’’O−で表されるアルコキシ基;R’’CO−で表されるアシル基;R’’COO−やR’’OCO−で表されるエステル基;R’’OCOO−で表されるカーボネート基;R’’S−で表されるスルファニル基;R’’SO−で表されるスルフィニル基;R’’SO2−で表されるスルホニル基;R’’SO3−で表されるスルホン酸エステル基;ホルミル基;カルボキシル基;ホルミルオキシ基;スルホ基;トリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、トリプロピルシリルオキシ、ジメチルプロピルシリルオキシ、ジエチルプロピルシリルオキシ、ジメチル(1,1,2,2−テトラメチル)エチルシリルオキシ、ブチルジメチルシリルオキシ、ブチルジフェニルシリルオキシ、トリベンジルシリルオキシ、トリキシリルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシ、ブチルメトキシフェニルシリルオキシ等のシリルオキシ基;リン酸エステル基;ベンジルチオカーボネート;メチルジチオカーボネート;水酸基;ニトロ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子が挙げられる。
上記一般式(I)におけるX1 −で表される陰イオンとしては、例えば、塩素陰イオン、臭素陰イオン、ヨウ素陰イオン、フッ素陰イオン等のハロゲン陰イオン;過塩素酸陰イオン、塩素酸陰イオン、チオシアン酸陰イオン、六フッ化リン酸陰イオン、六フッ化アンチモン陰イオン、六フッ化ヒ素陰イオン、四フッ化ホウ素陰イオン等の無機系陰イオン;メタンスルホン酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸陰イオン、トルエンスルホン酸陰イオン、1−ナフチルスルホン酸陰イオン、2−ナフチルスルホン酸陰イオン、トリフルオロメタンスルホン酸陰イオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸陰イオン、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸陰イオン、ノナフルオロブタンスルホン酸陰イオン、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸陰イオン、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸陰イオン、ペンタデカフルオロヘプタンスルホン酸陰イオン、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸イオン、パーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホン酸イオン、N−アルキル(またはアリール)ジフェニルアミン−4−スルホン酸陰イオン、2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸陰イオン、2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸陰イオン、特開2004−53799号公報に記載されたスルホン酸陰イオン、カンファースルホン酸陰イオン、フルオロベンゼンスルホン酸陰イオン、ジフルオロベンゼンスルホン酸陰イオン、トリフルオロベンゼンスルホン酸陰イオン、テトラフルオロベンゼンスルホン酸陰イオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸陰イオン、1,3,5−トリメチルベンゼンスルホン酸陰イオン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸陰イオン;オクチルリン酸陰イオン、ドデシルリン酸陰イオン、オクタデシルリン酸陰イオン、フェニルリン酸陰イオン、ノニルフェニルリン酸陰イオン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスホン酸陰イオン等の有機リン酸系陰イオン、サリチル酸陰イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミドイオン、ビス(ヘプタフルオロプロパンスルホン)イミドイオン、ビス(ノナフルオロブタンスルホン)イミドイオン、ビス(ウンデカフルオロペンタンスルホン)イミドイオン、ビス(ペンタデカフルオロヘプタンスルホン)イミドイオン、ビス(トリデカフルオロヘキサンスルホン)イミドイオン、ビス(ヘプタデカフルオロオクタンスルホンイミド)イオン、(トリフルオロメタンスルホン)(ノナフルオロブタンスルホン)イミドイオン、(メタンスルホン)(トリフルオロメタンスルホン)イミドイオン、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド陰イオン等の有機フルオロスルホンイミドイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸陰イオン、テトラキス(4−フルオロフェニル)ホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、特開2007−112854号公報に記載されたホウ酸陰イオン、特開平6−184170号公報に記載されたホウ酸陰イオン、特表2002−526391号公報に記載されたホウ酸陰イオン、特願2007−285538号公報に記載されたホウ酸陰イオン等のテトラアリールホウ酸陰イオン、各種脂肪族又は芳香族カルボン酸アニオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、トリス(メタンスルホニル)メチド等の有機スルホニルメチドイオン;等が挙げられ、さらに、アルキルスルホン酸イオンやフルオロ置換アルキルスルホン酸イオン、アルキルスルホンイミド、フルオロ置換アルキルスルホンイミドが、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基で置換されたものや、ノルボルニル基、アダマンチル基等の脂肪族環状アルキル基で置換されたものが挙げられる。また、励起状態にある活性分子を脱励起させる(クエンチングさせる)機能を有するクエンチャー陰イオンやシクロペンタジエニル環にカルボキシル基やホスホン酸基、スルホン酸基等の陰イオン性基を有するフェロセン、ルテオセン等のメタロセン化合物陰イオン等も、必要に応じて用いることができる。これらの陰イオンの中でも、溶解性の点から、無機系陰イオン又は有機フルオロスルホンイミド陰イオンが好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物のうち、下記一般式(II)で表される化合物が、溶媒への溶解性や樹脂との相溶性が高く現像性が高い光酸発生剤が得られるので好ましい。
(式(II)中、R
1〜R
10及びX
1 -は、上記一般式(I)と同じであり、Yは、炭素原子数1〜18のアルキル基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基である。)
上記一般式(II)におけるYで表される炭素原子数1〜18のアルキル基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、上記一般式(I)の説明で例示したものが挙げられる。
上記一般式(I)で表される芳香族スルホニウム塩化合物のカチオンの具体的な例としては、以下の構造が挙げられる。
上記一般式(I)で表される芳香族スルホニウム塩化合物の製造方法としては、特に制限されることなく、周知の有機合成反応を応用した方法を用いることができ、例えば、下記スキームにより得ることができる。
(式中、R
1〜R
15及びX
1 -は、上記一般式(I)と同じである。)
本発明の芳香族スルホニウム塩化合物は、EUV(Extreme Ultra−Violet)、X線、F2、ArF、KrF、I線、H線、G線等の遠紫外線、電子線、放射線、高周波等の活性エネルギー線の照射によりルイス酸を放出する特性を有し、酸反応性有機物質に作用して分解や重合をすることが可能である。従って、本発明の芳香族スルホニウム塩化合物は、ポジ型、及びネガ型フォトレジストの光酸発生剤として、又はカチオン重合開始剤として有用である。
本発明の光酸発生剤は、上記本発明の芳香族スルホニウム塩化合物からなる。本発明の光酸発生剤は、酸反応性有機物質、カチオン重合性化合物の重合、アクリル樹脂中のエステル基或いはエーテル基等の化学結合の切断等に使用される。本発明の光酸発生剤を酸反応性有機物質に対して使用する場合、その使用量は、特に制限されるものではないが、酸反応性有機物質100質量部に対して、好ましくは0.05〜100質量部、更に好ましくは0.05〜20質量部の割合で用いる。但し、酸反応性有機物質の性質、光の照射強度、反応に要する時間、物性、コスト等の要因により、配合量を上述の範囲より増減させて用いることも可能である。
本発明のレジスト組成物は、酸の作用で現像液に対する溶解性が変化する樹脂(以下、「レジストベース樹脂」とも称する)と共に、上記芳香族スルホニウム塩化合物を必須の光酸発生剤として含有するレジスト組成物である。
本発明のレジスト組成物に用いるレジストベース樹脂は、特に制限されるものではないが、活性エネルギー線の波長の吸光係数が小さく、且つ、高いエッチング耐性を有する構造のものが好ましい。
かかるレジストベース樹脂としては、ポリヒドロキシスチレン及びその誘導体;ポリアクリル酸及びその誘導体;ポリメタクリル酸及びその誘導体;ヒドロキシスチレン、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの誘導体から選ばれ形成される2以上の共重合体;ヒドロキシスチレン、スチレン及びそれらの誘導体から選ばれ形成される2以上の共重合体;シクロオレフィン及びその誘導体、無水マレイン酸、並びに、アクリル酸及びその誘導体から選ばれる3以上の共重合体;シクロオレフィン及びその誘導体、マレイミド、並びに、アクリル酸及びその誘導体から選ばれる3以上の共重合体;ポリノルボルネン;メタセシス開環重合体からなる一群から選択される1種以上の高分子重合体;ノボラック樹脂;フェノール樹脂;これら高分子重合体にアルカリ溶解制御能を有する酸不安定基を部分的に置換した高分子重合体等が挙げられる。高分子重合体に導入される酸不安定基としては、三級アルキル基、トリアルキルシリル基、オキソアルキル基、アリール基置換アルキル基、テトラヒドロピラン−2−イル基等の複素脂環基、三級アルキルカルボニル基、三級アルキルカルボニルアルキル基、アルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
かかるレジストベース樹脂の詳細な具体例は、例えば、特開2003−192665号の請求項8〜11、特開2004−323704の請求項3、特開平10−10733、特開2010−15079、特開2010−15101等に開示されている。
また、上記レジストベース樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、通常1,500〜300,000、好ましくは2,000〜200,000、更に好ましくは3,000〜100,000である。この場合、ベース樹脂のMwが1,500未満では、レジストとしての耐熱性が低下する傾向があり、一方300,000を越えると、レジストとしての現像性や塗布性が低下する傾向がある。
本発明のレジスト組成物中の光酸発生剤は、上記一般式(I)で表される芳香族スルホニウム塩化合物を必須成分として含有するものであれば、これ以外の光酸発生剤を任意成分として使用してもよい。光酸発生剤の使用量は、レジストとしての感度及び現像性を確保する観点から、レジストベース樹脂100質量部に対して、通常、0.01〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。この場合、光酸発生剤の使用量が0.01質量部未満では、感度および現像性が低下する場合があり、一方、20質量部を越えると、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンを得られにくくなる場合がある。
本発明の芳香族スルホニウム塩化合物以外の光酸発生剤としては、ヨードニウム塩化合物、スルホニルイミド化合物等が挙げられる。本発明の芳香族スルホニウム塩化合物以外の光酸発生剤を用いる場合、その使用量は、本発明の芳香族スルホニウム塩化合物100質量部に対して、好ましくは50質量部以下とする。
本発明のレジスト組成物には、本発明の芳香族スルホニウム塩化合物以外の光酸発生剤、不飽和結合を有するモノマー、連鎖移動剤、界面活性剤、熱可塑性有機重合体、熱重合抑制剤、無機フィラー、有機フィラー、顔料、染料等の着色剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、増感剤、可塑剤、接着促進剤、充填剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、シランカップリング剤等を併用することができる。
本発明のレジスト組成物は、通常、その使用に際して、全固形分濃度が、通常5〜50重量%、好ましくは10〜25重量%となるように溶剤に溶解した後、例えば、孔径0.2μm程度のフィルターで濾過することによって調整される。本発明のレジスト組成物は、本発明の芳香族スルホニウム塩化合物からなる光酸発生剤、これ以外の光酸発生剤、レジストベース樹脂及びその他の任意成分を混合、溶解又は混練等の方法により調製することができる。
本発明のレジスト組成物は、特に、化学増幅型レジストとして有用である。化学増幅型レジストには、露光により光酸発生剤から発生した酸の作用によって、化学的な連鎖反応を起こし、ベース樹脂の架橋反応や極性変化で現像液に不溶化させるネガ型レジストと、高分子側鎖の脱保護反応で誘起される極性変化で現像液に可溶化させるポジ型レジストの2通りがある。
本発明のレジスト組成物の露光で使用される光源としては、使用する光酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等から適宜選定して使用されるが、本発明は、G線:436nm、H線:405nm、I線:365nmを使用するレジスト組成物において好適に使用することが可能である。
本発明のカチオン重合性組成物は、本発明の芳香族スルホニウム塩化合物を含有する。また、本発明のカチオン重合性組成物は、本発明のカチオン重合開始剤と、カチオン重合性化合物とを含有する組成物であり、平板、凸版用印刷板の作成、プリント基板やIC、LSI作製のためのフォトレジスト、レリーフ像や画像複製等の画像形成、光硬化性のインキ、塗料、接着剤等、広範囲の応用分野において有用である。
本発明のカチオン重合性組成物に用いるカチオン重合性化合物は、光照射により活性化したカチオン重合開始剤により高分子化又は架橋反応を起こす化合物を言い、1種類にて、又は2種類以上混合して使用される。
上記カチオン重合性化合物として代表的なものは、エポキシ化合物、オキセタン化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物、ビニル化合物等であり、これらの1種又は2種以上を使用することができる。中でも入手するのが容易であり、取り扱いに便利なエポキシ化合物及びオキセタン化合物が適している。
このうちエポキシ化合物としては、脂環族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等が適している。
上記脂環族エポキシ化合物の具体例としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又はシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
上記脂環族エポキシ化合物として好適に使用できる市販品としては、UVR−6100、UVR−6105、UVR−6110、UVR−6128、UVR−6200(以上、ユニオンカーバイド社製)、セロキサイド2021、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、セロキサイド2000、セロキサイド3000、サイクロマーA200、サイクロマーM100、サイクロマーM101、エポリードGT−301、エポリードGT−302、エポリード401、エポリード403、ETHB、エポリードHD300(以上、ダイセル化学工業(株)製)、KRM−2110、KRM−2199(以上、ADEKA(株)製)等を挙げることができる。
上記脂環族エポキシ化合物の中でも、シクロヘキセンオキシド構造を有するエポキシ樹脂が、硬化性(硬化速度)の点で好ましい。
また、上記芳香族エポキシ化合物の具体例としては、少なくとも1個の芳香族環を有する多価フェノール又は、そのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、又はこれらに更にアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテルやエポキシノボラック樹脂等が挙げられる。
更に、上記脂肪族エポキシ化合物の具体例としては、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成したホモポリマー、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートとその他のビニルモノマーとのビニル重合により合成したコポリマー等が挙げられる。代表的な化合物として、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。更に、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、また、これらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
上記芳香族化合物及び脂肪族エポキシ化合物として好適に使用できる市販品としては、エピコート801(jER801)、エピコート828(jER828)(以上、三菱化学社製)、PY−306、0163、DY−022(以上、BASFジャパン社製)、KRM−2720、EP−4100、EP−4000、EP−4080、EP−4900、ED−505、ED−506(以上、(株)ADEKA製)、エポライトM−1230、エポライトEHDG−L、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF、エポライト4000、エポライト3002、エポライトFR−1500(以上、共栄社化学(株)製)、サントートST0000、YD−716、YH−300、PG−202、PG−207、YD−172、YDPN638(以上、東都化成(株)製)等を挙げることができる。
また、上記オキセタン化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができる。3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4−メトキシ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等を例示することができる。
これらオキセタン化合物は、特に可撓性を必要とする場合に使用すると効果的であるため好ましい。
本発明の芳香族スルホニウム塩化合物からなるカチオン重合開始剤の使用量は、上記のカチオン重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部である。この使用量が0.01質量部より少ないと、硬化が不充分となる場合があり、一方、10質量部を超えても使用効果の増加が得られないばかりでなく、硬化物の物性に悪影響を与える場合がある。
また、本発明の芳香族スルホニウム塩化合物からなるカチオン重合開始剤を含むカチオン重合性組成物は、上記カチオン重合性化合物と共に各種添加剤を配合してもよい。各種添加剤としては、有機溶剤;ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾエート系の紫外線吸収剤;フェノール系、リン系、硫黄系酸化防止剤;カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等からなる帯電防止剤;ハロゲン系化合物、リン酸エステル系化合物、リン酸アミド系化合物、メラミン系化合物、フッ素樹脂又は金属酸化物、(ポリ)リン酸メラミン、(ポリ)リン酸ピペラジン等の難燃剤;炭化水素系、脂肪酸系、脂肪族アルコール系、脂肪族エステル系、脂肪族アマイド系又は金属石けん系の滑剤;染料、顔料、カーボンブラック等の着色剤;フュームドシリカ、微粒子シリカ、けい石、珪藻土類、クレー、カオリン、珪藻土、シリカゲル、珪酸カルシウム、セリサイト、カオリナイト、フリント、長石粉、蛭石、アタパルジャイト、タルク、マイカ、ミネソタイト、パイロフィライト、シリカ等の珪酸系無機添加剤;ガラス繊維、炭酸カルシウム等の充填剤;造核剤、結晶促進剤等の結晶化剤、シランカップリング剤、可撓性ポリマー等のゴム弾性付与剤;増感剤等が挙げられる。これらの各種添加剤の使用量は、本発明のカチオン重合性組成物中、好ましくは合計で50質量%以下とする。
また、上記カチオン重合性化合物へのカチオン重合開始剤の溶解を容易にするため、予めカチオン重合開始剤を適当な溶媒(例えば、プロピレンカーボネート、カルビトール、カルビトールアセテート、ブチロラクトン等)に溶解して使用することもできる。本発明のカチオン重合性組成物は、本発明の芳香族スルホニウム塩化合物からなるカチオン重合開始剤、カチオン重合性化合物及びその他の任意成分を混合、溶解又は混練等の方法により調製することができる。
本発明のカチオン重合性組成物は、紫外線等のエネルギー線を照射することにより通常は0.1秒〜数分後に指触乾燥状態又は溶媒不溶性の状態に硬化することができる。適当なエネルギー線としては、カチオン重合開始剤の分解を誘発する限りいかなるものでもよいが、好ましくは、超高、高、中、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、エキシマーランプ、殺菌灯、エキシマーレーザー、窒素レーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、ヘリウムネオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、各種半導体レーザー、YAGレーザー、発光ダイオード、CRT光源等から得られる2000オングストロームから7000オングストロームの波長を有する電磁波エネルギーや電子線、X線、放射線等の高エネルギー線を利用する。
エネルギー線への暴露時間は、エネルギー線の強度、塗膜厚やカチオン重合性有機化合物によるが、通常は0.1秒〜10秒程度で十分である。しかし、比較的厚い塗装物についてはそれ以上の照射時間をかけるほうが好ましい。エネルギー線照射後0.1秒〜数分後には、ほとんどの組成物はカチオン重合により指触乾燥するが、カチオン重合を促進するため加熱やサーマルヘッド等による熱エネルギーを併用することも場合によっては好ましい。
下記実施例1−1〜1−5は、上記一般式(I)で表される芳香族スルホニウム塩化合物の具体例として上記で例示されている、化合物No.1、No.2、No.5及びNo.6の六フッ化リン酸塩並びに化合物No.1のビス(トリフルオロメチルスルホニルイミド)塩の製造例を示す。
実施例2−1〜2−4及び比較例2−1〜2−3は、化合物No.1、No.2、No.5及びNo.6並びに下記比較化合物No.1〜No.3の六フッ化リン酸塩を光酸発生剤として配合したネガ型レジスト組成物の調製例を示す。
評価例1−1〜1−4及び比較評価例1−1〜1−3は、実施例2−1〜2−4及び比較例2−1〜2−3で得られたネガ型レジストをフィルムにして、露光量を比較することにより行った露光感度評価と、化合物No.1、No.2、No.5及びNo.6についてアセトニトリル中365nmで測定したεの値を示す。
評価例2−1〜2−4及び比較評価例2−1〜2−3は、化合物No.1、No.2、No.5及びNo.6及び比較化合物No.1〜No.3の六フッ化リン酸塩の溶媒溶解性評価を示す。
[実施例1−1〜1−5]
<化合物No.1、No.2、No.5及びNo.6の六フッ化リン酸塩及び化合物No.1のビス(トリフルオロメチルスルホニルイミド)塩の合成>
目的の各化合物に対応する置換基を有するクマリン誘導体50.0mmolとジフェニルスルホキシド誘導体50.0mmolに、室温でポリリン酸30gを加え、120℃で2〜6時間撹拌した。室温まで冷却し、六フッ化リン酸カリウムまたはリチウムトリフルオロスルホニルイミド37.5mmolの水80ml水溶液を加えた。クロロホルムを加えて水洗を行い、溶媒を減圧留去した。残さをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:クロロホルム)により生成し、化合物No.1、No.2、No.5及びNo.6の六フッ化リン酸塩をそれぞれ得た。分析結果を[表1]〜[表3]に示す。
[実施例2−1〜2−4及び比較例2−1〜2−3]
<ネガ型レジスト組成物の調製>
EPPN−201(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、日本化薬社製)の100gをメチルエチルケトン100gに溶解させ樹脂溶液を調製し、上記化合物No.1(実施例2−1)、No.2(実施例2−2)、No.5(実施例2−3)及びNo.6(実施例2−4)の六フッ化リン酸塩、並びに、比較化合物No.1(比較例2−1)、No.2(比較例2−2)、No.3(比較例2−3)の六フッ化リン酸塩それぞれ0.05gをこの樹脂溶液8.0gに溶解させネガ型レジスト組成物を調製した。
[評価例1−1〜1−4及び比較評価例1−1〜1−3]
<露光感度評価>
実施例2−1〜2−4及び比較例2−1〜2−3で得られたネガ型レジスト組成物を、洗浄したアルミ基板上に、ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で5分乾燥した後、樹脂硬化装置(JASCO社製SS−25C型)を用いて硬化させ、80℃で10分ベークした。室温まで冷却後、メチルエチルケトンで30秒、キシレンで30秒洗い流し、試験片をそれぞれ得た。樹脂硬化装置において、樹脂を硬化させるのに要した露光量を比較して露光感度評価とした。また、規定量以上露光しても硬化しなかったものについては、「―」とした。
また、化合物No.1、No.2、No.5及びNo.6をアセトニトリルに溶解し、日本分光(株)製紫外可視近赤外分光光度計V−570で吸収スペクトルを測定し、365nmにおけるεの値を示した。結果を[表4]に示す。
比較化合物No.1 比較化合物No.2 比較化合物No.3
表4の結果から、上記一般式(I)で表される芳香族スルホニウム塩化合物は、比較化合物と比べて感度が高く、光酸発生剤として優位であることが確認された。
[評価例2−1〜2−4及び比較例2−1〜2−3]
<溶解性評価>
化合物No.1、No.2、No.5及びNo.6及び比較化合物No.1〜No.3の六フッ化リン酸塩について、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテートに対する溶解性を調べ、溶解性評価とした。結果を表5に示す。
上記表5の結果から、上記一般式(I)で表される芳香族スルホニウム塩化合物は、比較化合物と比べて溶解性が高く、また感度が高いため現像性に優れることが明らかである。