JP2014088997A - 冷却装置 - Google Patents

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邦彦 新井
Yoshiaki Kawakami
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Abstract

【課題】低動力で効率よく発熱源を冷却できる冷却装置を提供する。
【解決手段】冷媒を用いて発熱源を冷却する冷却装置1は、冷媒と外気との間で熱交換する熱交換器14と、冷媒を用いて発熱源を冷却する冷却部30と、熱交換器14と冷却部30との間に冷媒を循環させる冷媒通路22,33〜36と、熱交換器14から冷却部30へ向かう冷媒通路に設けられ、直列に接続された第一逆止弁62および第二逆止弁64と、第一逆止弁62と第二逆止弁64との間の冷媒通路34内の冷媒に熱を加える加熱部80と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、冷却装置に関し、特に、冷媒を用いて発熱源を冷却する冷却装置に関する。
近年、環境問題対策の一つとして、モータの駆動力により走行するハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車などが注目されている。このような車両において、モータ、ジェネレータ、インバータ、コンバータおよびバッテリなどの電気機器は、電力の授受によって発熱する。そのため、これらの電気機器を冷却する必要がある。そこで、車両用空調装置として使用される蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用して、発熱体を冷却する技術が提案されている(たとえば、特開2007−69733号公報(特許文献1)、特開2005−90862号公報(特許文献2)参照)。
一方、発熱体を冷却する冷却器に関する技術が種々提案されている(たとえば特開平9−23081号公報(特許文献3)、特開2001−168256号公報(特許文献4)、特開2008−253057号公報(特許文献5)参照)。
特開2007−69733号公報 特開2005−90862号公報 特開平9−23081号公報 特開2001−168256号公報 特開2008−253057号公報
特許文献1,2に開示されている冷却システムでは、蒸気圧縮式冷凍サイクルに冷媒を循環するために圧縮機を運転する必要があり、加えて、発熱体に冷媒を供給して発熱体を冷却するために、常時ポンプを駆動する必要がある。冷媒の循環のために外部動力を必要とするので、動力費が増大する問題があった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、低動力で効率よく発熱源を冷却できる、冷却装置を提供することである。
本発明に係る冷却装置は、冷媒を用いて発熱源を冷却する冷却装置であって、冷媒と外気との間で熱交換する熱交換器と、冷媒を用いて発熱源を冷却する冷却部と、熱交換器と冷却部との間に冷媒を循環させる冷媒通路と、熱交換器から冷却部へ向かう冷媒通路に設けられ、直列に接続された第一逆止弁および第二逆止弁と、第一逆止弁と第二逆止弁との間の冷媒通路内の冷媒に熱を加える加熱部と、を備える。
上記冷却装置において、加熱部自体が発熱してもよい。または、上記冷却装置は、冷却部の出口側から加熱部へ冷媒を供給するための気相冷媒供給路と、気相冷媒供給路を開閉する開閉弁と、を備えてもよい。
上記冷却装置において好ましくは、冷却部は、熱交換器よりも上方に配置されている。
上記冷却装置において好ましくは、熱交換器によって凝縮された液状の冷媒を貯留する蓄液器をさらに備え、蓄液器から第一逆止弁を通過して液状の冷媒が流れる。
上記冷却装置において好ましくは、熱交換器は、蒸気圧縮式冷凍サイクルに含まれる熱交換器であり、蒸気圧縮式冷凍サイクルは、圧縮機を備え、圧縮機の停止中に熱交換器と冷却部との間に冷媒を循環させる。
本発明の冷却装置によると、低動力で効率よく発熱源を冷却することができる。
冷却装置が適用される車両の構成を示す概略図である。 実施の形態1の冷却装置の構成を示す模式図である。 冷却器の構成を示す模式図である。 実施の形態1の冷却装置に冷媒を循環させる動作を示すフローチャートである。 実施の形態2の冷却装置の構成を示す模式図である。 実施の形態2の冷却装置に冷媒を循環させる動作を示すフローチャートである。 実施の形態3の冷却装置の構成を示す模式図である。 蒸気圧縮式冷凍サイクルの運転中の、EV機器を冷却する冷媒の流れを示す模式図である。 蒸気圧縮式冷凍サイクルの停止中の、EV機器を冷却する冷媒の流れを示す模式図である。
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
(実施の形態1)
[車両1000の構成]
図1は、冷却装置1が適用される車両1000の構成を示す概略図である。本実施の形態に係る車両1000は、内燃機関であるエンジン100と、電動機である駆動ユニット200と、PCU(Power Control Unit)700と、走行用バッテリ400と、を含んで構成され、エンジン100と駆動ユニット200とを動力源とするハイブリッド車両である。なお、本発明の冷却装置1は、エンジンと電動機とを動力源とするハイブリッド車両のみならず、電動機のみを動力源とする車両(本明細書では、両者を包含して電気自動車という)にも適用可能である。
エンジン100は、ガソリンエンジンであってもよいし、ディーゼルエンジンであってもよい。駆動ユニット200は、エンジン100とともに車両1000を駆動する駆動力を発生させる。エンジン100および駆動ユニット200は、ともに車両1000のエンジンルーム内に設けられている。駆動ユニット200は、ケーブル500を介してPCU700と電気的に接続される。また、PCU700は、ケーブル600を介して走行用バッテリ400と電気的に接続される。
[冷却装置1の構成]
図2は、実施の形態1の冷却装置1の構成を示す模式図である。冷却装置1は車両1000に搭載され、駆動ユニット200などの車両1000に搭載された機器を冷却するために用いられる。図2に示すように、冷却装置1は、熱交換器14と、冷却部30とを備え、熱交換器14と冷却部30との間で冷媒を循環させることにより、発熱源から冷媒に熱を放出して発熱源を冷却する。
冷却部30は、電気自動車に搭載される電気機器であるEV(Electric Vehicle)機器と、冷媒が内部を流通する後述する冷却器32とを含む。EV機器は、冷却装置1により冷媒を用いて冷却される発熱源の一例である。EV機器は、電力の授受によって発熱する電気機器を含む。電気機器は、たとえば、直流電力を交流電力に変換するためのインバータ、回転電機であるモータジェネレータ、蓄電装置であるバッテリ、バッテリの電圧を昇圧させるための昇圧コンバータ、バッテリの電圧を降圧するためのDC/DCコンバータなどの、少なくともいずれか一つを含む。バッテリは、リチウムイオン電池あるいはニッケル水素電池等の二次電池である。バッテリに代えてキャパシタが用いられてもよい。
熱交換器14は、冷媒を流通するチューブと、チューブ内を流通する冷媒と熱交換器14の周囲の空気との間で熱交換するためのフィンと、を含む。熱交換器14は、冷媒と外気の間で熱交換を行ない、冷却部30において発熱源からの伝熱を受けて気化された冷媒ガスを、外部媒体へ等圧的に放熱させて冷媒液とする。冷却部30において蒸発した気相冷媒は、熱交換器14における冷却風と冷媒との熱交換により、周囲に放熱し冷却される。
冷却風は、車両1000の走行によって発生する自然の通風によって熱交換器14に供給されてもよい。または冷却風は、コンデンサファン42もしくはエンジン冷却用のラジエータファンなどの、外気供給用ファンからの強制通風によって熱交換器14に供給されてもよい。コンデンサファン42は、モータからの駆動力を受けて回転し空気の流れを発生させて、熱交換器に冷却風を供給する。
冷却装置1はまた、気液分離器40と、第一逆止弁62と、第二逆止弁64とを備える。気液分離器40、第一逆止弁62および第二逆止弁64は、熱交換器14から冷却部30へ向かう冷媒の経路上に配置され、それぞれ直列に接続される。冷却装置1は、熱交換器14と気液分離器40とを連通する冷媒通路22と、気液分離器40と第一逆止弁62とを連通する冷媒通路33と、第一逆止弁62と第二逆止弁64とを連通する冷媒通路34と、第二逆止弁64と冷却部30とを連通する冷媒通路35と、冷却部30と熱交換器14とを連通する冷媒通路36と、を備える。
冷媒通路22,33〜35は、熱交換器14から冷却部30へ向かう冷媒の通路である。冷媒は、冷媒通路22,33〜35ならびに気液分離器40、第一逆止弁62および第二逆止弁64を経由して、熱交換器14の出口から冷却部30の入口へ向かって流れる。冷媒通路36は、冷却部30から熱交換器14へ向かう冷媒の通路である。冷媒は、冷媒通路36を経由して、冷却部30の出口から熱交換器14の入口へ向かって流れる。
冷却装置1は、熱交換器14、気液分離器40、第一逆止弁62、第二逆止弁64および冷却部30が、冷媒通路22,33〜36によって連結されて構成される。冷媒通路22,33〜36は、熱交換器14と冷却部30との間に冷媒を循環させる通路となる。なお、冷却装置1を循環する冷媒としては、たとえば二酸化炭素、プロパンやイソブタンなどの炭化水素、アンモニア、フロン類または水などを用いることができる。
気液分離器40は、熱交換器14から流出し気液分離器40へ流入する冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離する。気液分離器40の内部には、液相冷媒である冷媒液と、気相冷媒である冷媒蒸気と、が蓄蔵されている。気液分離器40には、冷媒通路22と、冷媒通路33とが連結されている。
気液分離器40の内部には、飽和液状態の冷媒液が貯留されている。気液分離器40は、その内部に液状の冷媒である冷媒液を一時的に貯留する蓄液器として機能する。気液分離器40内に所定量の冷媒液が溜められることにより、負荷変動時にも気液分離器40から冷却部30へ流れる冷媒の流量を維持できる。気液分離器40が液だめ機能を有し、負荷変動に対するバッファとなり負荷変動を吸収できるので、EV機器の冷却性能を安定させることができる。
熱交換器14で凝縮された冷媒液は、冷媒通路22を通って気液分離器40へ供給される。冷媒通路22から気液分離器40へ流入する冷媒は、気液分離器40の内部において気相と液相とに分離される。気液分離器40は、熱交換器14によって凝縮された冷媒を液体状の冷媒液とガス状の冷媒蒸気とに分離して、一時的に蓄える。
気液分離された冷媒液は、冷媒通路33を経由して、気液分離器40の外部へ流出する。冷媒通路33の端部は、気液分離器40内に液相の冷媒が溜められる冷媒液貯留部に接続されており、液相冷媒の気液分離器40からの流出口を形成する。
気液分離器40の内部では、冷媒液が下側、冷媒蒸気が上側に溜まる。気液分離器40から冷媒液を導出する冷媒通路33の端部は、気液分離器40の底部に連結されている。冷媒通路33を経由して気液分離器40の底側から冷媒液のみが気液分離器40の外部へ送り出される。これにより、気液分離器40は、気相冷媒と液相冷媒との分離を確実に行なうことができる。
第一逆止弁62には冷媒通路33および冷媒通路34が接続されている。第一逆止弁62は、冷媒通路33から冷媒通路34へ向かう冷媒の流れを許容するとともに、その逆向きの冷媒の流れを禁止する。第二逆止弁64には冷媒通路34および冷媒通路35が接続されている。第二逆止弁64は、冷媒通路34から冷媒通路35へ向かう冷媒の流れを許容するとともに、その逆向きの流れを禁止する。第一逆止弁62および第二逆止弁64を設けることにより、気液分離器40から冷却部30へ向かう冷媒液の流れが許容され、かつ、冷却部30側から気液分離器40側への冷媒の逆流が禁止される。
第一逆止弁62と第二逆止弁64との間の冷媒通路34に隣接して、加熱部80が配置されている。加熱部80は、たとえば電気ヒータまたは誘導加熱装置などの、加熱部80自体が発熱する機器である。加熱部80は、冷媒通路34内の冷媒に熱を加え、冷媒通路34内の冷媒液を蒸発させる。
図3は、冷却器32の構成を示す模式図である。冷却部30は、その内部を冷媒が流れることにより発熱源と冷媒との熱交換を行なう冷却器32を含む。図3に示すように、冷却器32は、筐体70を有する。
筐体70は中空に形成されており、その内部に内部空間を規定する。冷却器32の筐体70は、矩形板状の外形を有する。冷却器32はまた、冷媒入口71と、冷媒出口72とを有する。冷媒入口71と冷媒出口72とは、筐体70の形成する矩形の対角線上に配置されている。つまり、冷媒入口71は矩形の一の頂点の位置に設けられ、冷媒出口72は当該一の頂点と隣り合わない他の頂点の位置に設けられる。
冷媒入口71および冷媒出口72は、筐体70の内部と外部とを連通する。冷媒通路35は冷媒入口71に連結され、冷媒通路36は冷媒出口72に連結される。これにより、冷媒入口71は、筐体70の内部空間に冷媒が流入する流入口としての機能を有し、冷媒出口72は、筐体70から冷媒が流出する流出口としての機能を有する。冷却部30へ供給される冷媒は、冷媒通路35から冷媒入口71を経由して冷却器32の筐体70内部の内部空間へ流入する。冷媒は、筐体70の内部を冷媒出口72へ向かって流れる間に、EV機器と熱交換する。冷媒はさらに、冷媒出口72を経由して筐体70から流出し、冷媒通路36へ流れる。
筐体70の外表面には、複数の突起75が形成されている。突起75は、発熱チップを固定する台座であり、発熱チップの絶縁および熱膨張の緩和を目的として設けられる。
筐体70に対して、冷媒入口71が相対的に下方に配置され、冷媒出口72が相対的に上方に配置されている。冷媒入口71と冷媒出口72とは高低差を有し、流入口として機能する冷媒入口71は、流出口として機能する冷媒出口72よりも、低く配置されている。矩形板状の筐体70が、水平面に対して傾斜する方向に延び、冷媒入口71および冷媒出口72もまた、水平面に対して傾斜する方向に沿って延在している。
この構成により、冷却部30内を流れる冷媒の流れが規定される。すなわち、筐体70の内部でEV機器から熱を受けて気化した気相冷媒は、液相冷媒よりも比重が小さいので、水平面に対し上方に向かって流れ、筐体70の内部空間内を上昇する。筐体70に対し流入口が相対的に低い位置に配置され、筐体70に対し流出口が相対的に高い位置に配置されれば、流入口から筐体70の内部に新たに供給される冷媒が筐体70内部で気化した気相冷媒の上昇流を妨げることはない。そのため、筐体70の内部を流れる冷媒は、水平面に対してスムーズに上向きに流れることができる。
筐体70の下方から冷媒が流入するように流入口が設けられ、筐体70の上方から冷媒が流出するように流出口が設けられることにより、筐体70内部で冷媒を滞りなく流すことができる。これにより、筐体70の内部空間内に局所的に気相冷媒が滞留するドライアウトが発生し冷却能力不足となることを回避でき、発熱源から冷媒への熱伝達を効率的に行なうことができる。流入口を経由して筐体70に新たな冷媒を供給し続けることができるので、発熱源の冷却性能の低下を抑制でき、冷却器32による発熱源の冷却能力を向上することができる。
冷却部30は、冷却器32においてEV機器と冷媒との間で熱交換が可能な構造を有するように設けられる。本実施の形態においては、冷却部30は、たとえば、EV機器の筐体に筐体70の外周面が直接接触するように形成された冷却器32を有する。冷却器32は、EV機器の筐体と隣接する部分を有する。当該部分において、冷却器32を流通する冷媒と、EV機器との間で、熱交換が可能となる。冷却器32の外部にEV機器が配置されるので、冷却器32の内部を流通する冷媒の流れにEV機器が干渉することはない。そのため、冷却装置1を循環する冷媒の圧力損失の増加を抑制することができる。
図2には、地面Gが図示されている。地面Gに対して垂直な鉛直方向において、冷却部30は、熱交換器14および気液分離器40よりも上方に配置されている。熱交換器14と冷却部30との間に冷媒を循環させる環状の経路において、冷却部30が上方に配置され、熱交換器14が下方に配置される。熱交換器14および気液分離器40は、冷却部30よりも低い位置に配置される。
熱交換器14を凝縮器、冷却部30を蒸発器とするループ式のヒートパイプにより冷媒を循環するためには、冷却部30で蒸発した気相冷媒を熱交換器14に移動させ、熱交換器14で凝縮した液相冷媒を冷却部30へ還流するサイクルを形成し、定常的な熱移動を行なう必要がある。図2に示す、冷却部30が熱交換器14よりも高い位置に配置された構成では、重力の作用による熱交換器14から冷却部30への液還流を行なうことができない。しかし、本実施の形態の冷却装置1では、熱交換器14で凝縮した冷媒液を蓄える気液分離器40から冷却部30へ至る、液状の冷媒が流れる冷媒通路34に、第一逆止弁62、第二逆止弁64および加熱部80を設けることにより、熱交換器14から冷却部30への冷媒液の還流が可能とされている。
[冷却装置1の動作]
図4は、実施の形態1の冷却装置1に冷媒を循環させる動作を示すフローチャートである。図2および図4を参照して、実施の形態1の冷却装置1の動作について説明する。図2に示す二点鎖線は満水ラインWLを示す。冷却装置1を循環する冷媒は、満水ラインWLよりも地面G側において、液相の状態になる。熱交換器14から冷却部30へ向かう冷媒は液相の状態であり、定常状態において冷媒通路33,34,35は冷媒液で満たされている。冷媒は冷却部30で加熱されることにより蒸発し、冷却部30の出口、すなわち図3に示す冷媒出口72において、冷媒は気相状態になる。
冷媒通路34内に冷媒液が充満した状態で、ステップ(S10)において、加熱部80を起動し、加熱部80の発熱を開始する。続いてステップ(S20)において、第一逆止弁62と第二逆止弁64との間の冷媒通路34内の冷媒液が、加熱部80から熱を受けて一部気化し、体積膨張する。このとき、第一逆止弁62を経由して冷媒通路33側へ冷媒が逆流することはできないので、気化した冷媒により冷媒通路34内の冷媒液が押し上げる駆動力が生じる。これにより、第二逆止弁64を通過して冷媒通路34から冷媒通路35へ向かう、冷媒の流れが発生する。
気化した冷媒蒸気が冷媒通路34内を上昇しようとする流れを、冷媒通路34から第二逆止弁64を通って冷媒通路35へ向かう流れに利用できるように、冷媒通路34は、第一逆止弁62から第二逆止弁64へ向かうにつれて次第に位置が高くなるように配置されるのが望ましい。典型的には、図2に示すように、冷媒通路34を垂直方向に延在させ、第一逆止弁62を下側に、第二逆止弁64を上側にするように、冷媒通路34を配置するのが望ましい。
また加熱部80は、冷媒通路34の第一逆止弁62により近接する位置を加熱するように配置されるのが望ましい。加熱部80を第一逆止弁62寄りに配置することで、気化した冷媒によって、より多くの量の冷媒液を冷媒通路34から冷媒通路35へ移送することが可能になる。冷媒通路34内が液体状の冷媒で満たされる状態にしやすくするためには、第一逆止弁62を気液分離器40により近接させるのが望ましい。すなわち、冷媒通路33の長さは小さいほど望ましく、たとえば冷媒通路35よりも冷媒通路33を短く形成してもよく、冷媒通路34よりも冷媒通路33を短く形成してもよく、または冷媒通路22よりも冷媒通路33を短く形成してもよい。
次にステップ(S30)において、第二逆止弁64を気体の状態の冷媒が通過したか否かを判断する。ステップ(S30)でNOと判断され、第二逆止弁64を気相冷媒が未だ通過していないと判断された場合には、そのまま冷媒通路34内の冷媒の加熱および気化が続行される。ステップ(S30)でYESと判断され、第二逆止弁64を気相冷媒が通過したと判断された場合、冷媒通路34内に液体の冷媒がほぼなくなったと判断され、ステップ(S40)に進み、加熱部80を停止し、加熱部80の発熱を停止する。この際、乾き度が所定値以上となった場合、液体量が所定値以下となった場合または加熱部80の供給熱量が所定値以上となった場合などに、冷媒通路34内に液体の冷媒がほぼなくなったと判断してもよい。
加熱部80の発熱を停止することにより、冷媒通路34内の冷媒が加熱部80から熱を受けなくなる。そのため、気化した冷媒は、周囲の液体により冷却され、再度凝縮して液体の状態に戻る。気化し膨張した冷媒を冷却すると、冷媒は体積収縮し、冷媒通路34内の圧力が低下する。そのため、第一逆止弁62を経由して、冷媒通路33から冷媒通路34へ液冷媒が流入し、冷媒通路34内の冷媒液の量が増加する。続いてステップ(S60)において、第一逆止弁62と第二逆止弁64との間の冷媒通路34内に冷媒液が充満した満液状態となったか否かを判断する。
ステップ(S60)においてNOと判断され、冷媒通路34内が未だ満液状態でないと判断された場合には、そのまま冷媒通路33から冷媒通路34への冷媒液の吸引が続行される。ステップ(S60)でYESと判断され、冷媒通路34内が満液状態になったと判断された場合、制御フローはリターンされ、再びステップ(S10)に戻り、加熱部80の発熱が再開する。このサイクルを繰り返すことにより、冷媒通路33から第一逆止弁62を経由して冷媒通路34へ流れ、さらに第二逆止弁64を経由して冷媒通路35へ流れる、冷媒の流れが形成される。
冷媒は、冷媒通路35から冷却部30の冷却器32へ流れ、冷却部30においてEV機器から熱を吸収することで、EV機器を冷却する。EV機器との熱交換により、冷媒が加熱され、等圧のまま徐々に蒸発して、冷媒の乾き度が増大する。冷却部30において冷媒はEV機器の発熱を受けて気化し、膨張する。典型的には、冷却部30において、全ての冷媒が乾き飽和蒸気になり、さらに過熱蒸気になるまで、冷媒が加熱される。気化して体積膨張した冷媒は、第二逆止弁64側には戻れないため、冷却部30から冷媒通路36へ流出して、熱交換器14側に液体および気体の状態の冷媒を押し出す。冷却部30において冷媒が気化することにより、冷媒通路36を通って冷却部30から熱交換器14へ向かう冷媒の流れが形成される。
熱交換器14に流入した冷媒は、車両の走行風またはファンからの通風により、熱交換器14のチューブ内を流通する際に周囲に放熱し冷却されることによって、凝縮(液化)する。熱交換器14における外気との熱交換によって、冷媒の温度は低下し冷媒は液化する。熱交換器14において凝縮された液相の冷媒は、冷媒通路22を経由して気液分離器40へ流れ、液相の冷媒が気液分離器40内に貯留される。気液分離器40から冷媒通路33へ冷媒液が供給され、さらに図4に示すサイクルに従って第一逆止弁62を通過して冷媒通路34へ冷媒液が流れる。
なお、冷却部30において冷却される発熱源は、連続的に運転される機器であってもよく、または起動停止を繰り返し断続的に運転される機器であってもよい。発熱源が断続的に運転される場合、冷却器32内の冷媒液量、冷却器32の表面温度、または冷却器32内の圧力などを監視し、いずれかの値をパラメータとして使用することで発熱源のオンオフを適宜制御してもよい。冷却器32内の冷媒の状態を外部から監視可能とするサイトグラスを設置してもよく、サイトグラスは冷却器32の延在方向に沿って延在するのが望ましい。冷媒通路35の一部が当該サイトグラスを構成してもよい。
以上説明した実施の形態1の冷却装置1は、熱交換器14と冷却部30との間に冷媒を循環させる環状の経路と、熱交換器14から冷却部30へ向かう経路に直列に配置された第一逆止弁62および第二逆止弁64と、第一逆止弁62と第二逆止弁64との間の冷媒通路34内の冷媒を加熱する加熱部80とを備える。この構成の冷却装置1では、図4に示すサイクルに従って加熱部80を制御し、加熱部80のオン−オフを繰り返すことにより、冷媒の体積膨張と収縮とが繰り返される。これにより、冷媒通路34から冷媒通路35への冷媒の移送、および、冷媒通路33から冷媒通路34への冷媒の移送が繰り返され、その結果、熱交換器14から冷却部30へ液状の冷媒が連続的に移送される。
そのため、冷媒が加熱される冷却部30を熱交換器14よりも上方に配置したトップヒート式の構成としても、冷媒の循環のために圧縮機や液体ポンプなどを必要とせず冷媒の循環流を形成できる。低動力で冷却部30に新たな冷媒を供給し続けることができるので、冷却部30における発熱源の冷却能力を永続することができる。したがって、冷却部30内の冷媒が欠乏して冷却能力不足となることを回避でき、効率的に発熱源を冷却することができる。低動力での発熱源の冷却が可能になることにより、冷却装置1が車両に搭載される場合には、車両1000の燃費を向上でき、車両1000の運転条件をより向上することができる。
第一逆止弁62と第二逆止弁64との間の熱源を用いたポンプ作用により冷媒の循環流を引き起こすことができるので、圧縮機やポンプを設置する必要がなく、冷却装置1の装置コストを低減できるとともに小型化を達成できる。加えて、圧縮機やポンプなどの機器の作動不良による品質不具合を回避できるので、冷却装置1の信頼性を向上でき、さらに品質不具合対策に係る費用の低減が可能になる。
(実施の形態2)
[冷却装置1の構成]
図5は、実施の形態2の冷却装置1の構成を示す模式図である。図5に示す実施の形態2の冷却装置1は、図2に示す実施の形態1と同様の構成を備えている。しかし、実施の形態2の冷却装置1は、加熱部80の構成において、実施の形態1の冷却装置1と異なっている。
具体的には、実施の形態2の冷却装置1は、冷却部30の出口側から加熱部80へ冷媒を供給するための気相冷媒供給路82を備える。気相冷媒供給路82は、冷却部30の出口側の冷媒通路36と、第一逆止弁62と第二逆止弁64との間の冷媒通路34と、を連通する。気相冷媒供給路82は、冷却部30において加熱され気化した冷媒が流れる通路である。
実施の形態2の加熱部80は、図5に示すように、配管系の一部の、気相冷媒供給路82が冷媒通路34に接続される部分を示す。つまり実施の形態2の加熱部80は、実施の形態1と異なりそれ自身が発熱する機器ではなく、外部から冷媒通路34に高温の冷媒を供給可能な構成を有する。冷却部30で冷媒が発熱源から熱を受けることにより、冷媒は冷却部30の出口において全てが気化しており、典型的には高温高圧の過熱蒸気の状態である。過熱された高温の気相冷媒は、気相冷媒供給路82を経由して冷媒通路34へ供給される。これにより、冷媒通路34に冷媒蒸気が流入するとともに、冷媒通路34内の冷媒液が加熱され、冷媒通路34内の冷媒液を第二逆止弁64を経由して冷媒通路35へ移送する駆動力が発生する。
実施の形態2の冷却装置1はさらに、開閉弁84を備える。開閉弁84は、気相冷媒供給路82に設けられた開閉可能な弁である。開閉弁84は、その開閉を切り替えることにより、気相冷媒供給路82を開閉する。開閉弁84は、全開と全閉との切替が可能な仕様の弁であればよく、たとえば電磁弁であってもよい。開閉弁84を開状態にすることで、冷却部30出口と冷媒通路34とが連通し、冷却部30出口の高温の気相冷媒が気相冷媒供給路82を通って冷媒通路34へ流れる。開閉弁84が閉状態にされると、気相冷媒供給路82が閉じられ、冷却部30出口と冷媒通路34とが非連通になる。
[冷却装置1の動作]
図6は、実施の形態2の冷却装置1に冷媒を循環させる動作を示すフローチャートである。図5および図6を参照して、実施の形態2の冷却装置1の動作について説明する。
冷媒通路34内に冷媒液が充満した状態で、ステップ(S110)において、開閉弁84を開状態にし、気相冷媒供給路82を介した冷却部30出口の冷媒通路36と冷媒通路34とを連通する経路を形成する。続いてステップ(S120)において、気相冷媒供給路82を経由して、第一逆止弁62と第二逆止弁64との間の冷媒通路34に、冷却部30で気化された冷媒蒸気を供給する。
冷媒通路34へ供給される冷媒蒸気は、冷媒通路34内に充満している冷媒液と比較して圧力が高い。そのため冷媒蒸気は、気相冷媒供給路82から冷媒通路34へ送り込まれ、冷媒通路34内に充満していた冷媒液を第二逆止弁64側へ押し込む。このとき、蒸気を移送せずに液体を移送する。第一逆止弁62を経由して冷媒通路33側へ冷媒が逆流することはできないので、気相冷媒供給路82から冷媒通路34へ供給された冷媒により、冷媒通路34内の冷媒液を押し上げる駆動力が生じる。このようにして、冷媒通路34から第二逆止弁64を通過して冷媒通路35へ向かう、冷媒の流れが発生する。
気相冷媒供給路82は、冷媒通路34の第一逆止弁62により近接する位置に接続されるのが望ましい。気相冷媒供給路82を第一逆止弁62側に接続することで、加熱部80が第一逆止弁62寄りに配置されるので、冷媒通路34に供給された冷媒蒸気によって、より多くの量の冷媒液を冷媒通路34から冷媒通路35へ移送することが可能になる。
次にステップ(S130)において、第二逆止弁64を通過して冷媒液が流れているか否かを判断する。冷却部30の出口側の冷媒の圧力が冷媒通路34内の冷媒液の圧力よりも高い間は、冷媒の圧力差によって気相冷媒供給路82から冷媒通路34へ冷媒が移送され、第二逆止弁64を通過して流れる冷媒の駆動力が発生する。ステップ(S130)でYESと判断され、第二逆止弁64を冷媒液が流れていると判断された場合には、この冷媒の圧力差が存在し、これにより冷媒通路34内の冷媒に駆動力が与えられている。そのため、開閉弁84は開状態のままとされ、気相冷媒供給路82から冷媒通路34への冷媒の供給が続行される。温度および圧力が基準値を超えた場合に、開閉弁84を閉状態としてもよい。
ステップ(S130)でNOと判断され、第二逆止弁64を通過して冷媒液が流れなくなったと判断された場合、気相冷媒供給路82内の冷媒の圧力と冷媒通路34内の冷媒の圧力とが均等になり、冷媒通路34に冷媒を押し込めなくなったため、冷媒通路34内の冷媒に駆動力が与えられなくなったと判断される。気相冷媒供給路82内の冷媒と冷媒通路34内の冷媒とが平衡状態になると、ステップ(S140)に進み、開閉弁84を閉状態にし、気相冷媒供給路82が閉じられる。その結果、気相冷媒供給路82は、冷却部30出口の冷媒通路36と冷媒通路34とを連通しなくなる。
気相冷媒供給路82を非連通の状態に切り替えることにより、気相冷媒供給路82から冷媒通路34への冷媒の流れが停止する。そのため、冷媒通路34内に移送された冷媒蒸気は、周囲の液体により冷却され、凝縮して液体の状態に戻る。これにより冷媒は体積収縮し、冷媒通路34内の圧力が低下する。そのため、第一逆止弁62を経由して、冷媒通路33から冷媒通路34へ液冷媒が流入し、冷媒通路34内の冷媒液の量が増加する。続いてステップ(S160)において、第一逆止弁62を通過して冷媒液が流れているか否かを判断する。
ステップ(S160)においてYESと判断され、第一逆止弁62を冷媒液が流れていると判断された場合には、そのまま冷媒通路33から冷媒通路34への冷媒液の吸引が続行される。ステップ(S160)でNOと判断され、第一逆止弁62を通過して冷媒液が流れなくなったと判断された場合、冷媒通路33内の冷媒と冷媒通路34内の冷媒とが平衡状態になったと判断され、典型的には冷媒通路34内が満液状態になったと判断される。温度および圧力により、平衡状態になっていることを判断してもよい。この場合、制御フローはリターンされ、再びステップ(S110)に戻り、開閉弁84を開状態にして冷媒通路34への高温の冷媒の供給が再開する。このサイクルを繰り返すことにより、冷媒通路33から第一逆止弁62を経由して冷媒通路34へ流れ、さらに第二逆止弁64を経由して冷媒通路35へ流れる、冷媒の流れが形成される。
以上説明した実施の形態2の冷却装置1では、図6に示すサイクルに従って開閉弁84の開閉を繰り返すことにより、熱交換器14から冷却部30へ液状の冷媒を連続的に移送することが可能になる。そのため、実施の形態1と同様に、冷媒が加熱される冷却部30を熱交換器14よりも上方に配置したトップヒート式の構成としても、冷媒の循環のために液体ポンプなどを必要とせず冷媒の循環流を形成できる。低動力で冷却部30に新たな冷媒を供給し続けることができるので、冷却部30における発熱源の冷却能力を永続することができる。したがって、冷却部30内の冷媒が欠乏して冷却能力不足となることを回避でき、効率的に発熱源を冷却することができる。
冷却部30で加熱された冷媒を冷媒通路34に供給し、供給された冷媒の圧力によって冷媒を移送する駆動力を発生させる。冷媒自身の持つエネルギーを利用して、冷媒通路34から第二逆止弁64を通過して冷媒通路35へ冷媒液を移送することができる。加熱部80自体が発熱せず、加熱部80を作動するための動力は開閉弁84の開閉を切り替えるための動力のみとなる。加熱部80におけるエネルギー消費を抑制できるので、より低動力で冷媒通路34から冷媒通路35へ冷媒を移送することができる。したがって、より省動力化した冷却装置1を提供することができる。
(実施の形態3)
[実施の形態3の装置構成]
図7は、実施の形態3の冷却装置1の構成を示す模式図である。実施の形態3では、実施の形態1で説明した構成の冷却装置1が、冷房運転を行なうための空調装置用の蒸気圧縮式冷凍サイクル10内に組み入れられ、図2に示す熱交換器14が、蒸気圧縮式冷凍サイクル10に含まれる熱交換器のいずれかとして用いられる。図7に示す例では、熱交換器14は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の凝縮器として機能する。
図7に示すように、蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、たとえば、車両の車内の冷房を行なうために、車両1000に搭載される。蒸気圧縮式冷凍サイクル10を用いた冷房は、たとえば、冷房を行なうためのスイッチがオンされた場合、または、自動的に車両の室内の温度を設定温度になるように調整する自動制御モードが選択されており、かつ、車室内の温度が設定温度よりも高い場合に行なわれる。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、圧縮機12と、第一熱交換器としての熱交換器14と、第二熱交換器としての熱交換器15と、減圧器の一例としての膨張弁16と、第三熱交換器としての熱交換器18と、を含む。気液分離器40は、熱交換器14と熱交換器15との間の冷媒の経路上に配置されている。
圧縮機12は、車両に搭載されたモータまたはエンジンを動力源として作動し、冷媒ガスを断熱的に圧縮して過熱状態冷媒ガスとする。圧縮機12は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の作動時に熱交換器18から流通する冷媒を吸入圧縮して、冷媒通路21に高温高圧の気相冷媒を吐出し、蒸気圧縮式冷凍サイクル10に冷媒を循環させる。
熱交換器14,15は、冷媒を流通するチューブと、チューブ内を流通する冷媒と熱交換器14,15の周囲の空気との間で熱交換するためのフィンと、を含む。熱交換器14,15は、圧縮機12において圧縮された過熱状態冷媒ガスを、外部媒体へ等圧的に放熱させて冷媒液とする。冷媒は、熱交換器14,15における冷却風との熱交換により冷却され、冷媒の温度は低下し冷媒は凝縮(液化)する。コンデンサファン42は、モータ44からの駆動力を受けて回転し、熱交換器に冷却風を供給する。
膨張弁16は、冷媒通路25を流通する高圧の液相冷媒を小さな孔から噴射させることにより膨張させて、低温・低圧の霧状冷媒に変化させる。膨張弁16は、熱交換器14,15によって凝縮された冷媒液を減圧して、気液混合状態の湿り蒸気とする。膨張弁16は、温度式膨張弁であってもよく、電気式の膨張弁であってもよい。なお、冷媒液を減圧するための減圧器は、絞り膨張する膨張弁16に限られず、毛細管であってもよい。
熱交換器18は、冷媒を流通するチューブと、チューブ内を流通する冷媒と熱交換器18の周囲の空気との間で熱交換するためのフィンと、を含む。チューブ内には、膨張弁16によって減圧された湿り蒸気状態の冷媒が流通する。熱交換器18は、チューブ内を流通する霧状冷媒が蒸発(気化)して冷媒ガスとなる際の気化熱を、熱交換器18に接触するように導入された周囲の空調用空気から吸収する。冷媒は、フィンを経由して空調用空気の熱を蒸発潜熱として吸収することによって蒸発し低圧高温ガスとなり、さらに顕熱を吸収して過熱蒸気になる。気化した冷媒は、冷媒通路27を経由して圧縮機12へ戻る。圧縮機12は、熱交換器18から流通する冷媒を圧縮する。
熱交換器18において冷媒に吸熱され温度が低下した空調用空気が車室内に供給されることによって、車両の室内の冷房が行なわれる。熱交換器18を経由して蒸気圧縮式冷凍サイクル10を循環する冷媒と、空調用空気と、の熱交換によって、空調用空気の温度が調節される。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10はまた、冷媒通路21〜27を含む。冷媒通路21は、圧縮機12と熱交換器14とを連通し、圧縮機12の出口から熱交換器14の入口へ冷媒を流通させるための通路である。冷媒通路22〜25は、熱交換器14と膨張弁16とを連通し、熱交換器14の出口から膨張弁16の入口へ冷媒を流通させるための通路である。冷媒通路26は、膨張弁16と熱交換器18とを連通し、膨張弁16の出口から熱交換器18の入口へ冷媒を流通させるための通路である。冷媒通路27は、熱交換器18と圧縮機12とを連通し、熱交換器18の出口から圧縮機12の入口へ冷媒を流通させるための通路である。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、圧縮機12、熱交換器14,15、膨張弁16および熱交換器18が、冷媒通路21〜27によって連結されて構成される。なお、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の冷媒としては、たとえば二酸化炭素、プロパンやイソブタンなどの炭化水素、アンモニア、フロン類または水などを用いることができる。
気液分離器40には、冷媒通路22,23と、冷媒通路33とが連結されている。熱交換器14で凝縮された冷媒は、熱交換器14の出口側において、飽和液と飽和蒸気とが混合した気液二相状態の湿り蒸気の状態にある。熱交換器14から流出した冷媒は、冷媒通路22を通って気液分離器40へ供給される。気液分離された冷媒液は、冷媒通路33を経由して、気液分離器40の外部へ流出する。気液分離された冷媒蒸気は、冷媒通路23を経由して、気液分離器40の外部へ流出する。冷媒通路23の端部は、気液分離器40内に気相の冷媒が溜められる冷媒蒸気貯留部に接続されており、気相冷媒の気液分離器40からの流出口を形成する。冷媒通路23は、気相冷媒が気液分離器40から流出し熱交換器15へ向かう経路の一部を形成する。
気液分離器40から冷媒蒸気を導出する冷媒通路23の端部は、気液分離器40の天井部に連結されている。気液分離器40から冷媒液を導出する冷媒通路33の端部は、気液分離器40の底部に連結されている。冷媒通路23を経由して気液分離器40の天井側から冷媒蒸気のみが気液分離器40の外部へ送り出され、冷媒通路33を経由して気液分離器40の底側から冷媒液のみが気液分離器40の外部へ送り出される。これにより、気液分離器40は、気相冷媒と液相冷媒との分離を確実に行なうことができる。
冷却装置1は、熱交換器14,15の間に、並列に接続された二つの冷媒の経路を備える。熱交換器14と熱交換器15との間を流通する冷媒の経路は、熱交換器14の出口側から気液分離器40へ至る冷媒通路22と、気液分離器40から冷媒蒸気を流出させ後述する流量調整弁28を経由する冷媒通路23と、熱交換器15の入口側へ連結される冷媒通路24と、を含む。気液分離器40から導出された気相冷媒は、熱交換器15において周囲に放熱し冷却されることによって、凝縮する。
熱交換器14と熱交換器15との間を流通する冷媒の経路はまた、気液分離器40と冷却部30とを連通する冷媒通路33〜35と、冷却部30と、冷却部30と冷媒通路24とを連通する冷媒通路36と、を含む。冷媒通路33〜35を経由して、気液分離器40から冷却部30へ冷媒液が流れる。冷却部30を通過した冷媒は、冷媒通路36を経由して、冷媒通路24へ戻る。冷却部30は、熱交換器14から熱交換器15へ向けて流れる冷媒の経路上に設けられている。冷却部30は、EV機器31と冷却器32とを含む。冷却器32の入口側は冷媒通路35に接続され、冷却器32の出口側は冷媒通路36に接続される。
冷媒通路23は、気液分離器40と熱交換器15との間に並列に接続された冷媒の経路のうちの、冷却部30を経由しない方の一方の経路を構成する。気液分離器40と冷却部30とを連通する冷媒通路33〜35と、冷却部30に含まれる冷却器32と、冷却部30の出口側と冷媒通路24とを連通する冷媒通路36とは、気液分離器40と熱交換器15との間に並列に接続された冷媒の経路のうちの他方を構成する。
冷媒通路33〜35は、冷却部30よりも上流側(気液分離器40に近接する側)の冷媒の経路であり、液相の冷媒が気液分離器40から冷却部30に流れるための通路である。冷媒通路36は、冷却部30よりも下流側(熱交換器15に近接する側)の冷媒の経路であり、冷却部30から冷媒通路24に冷媒を戻すための通路である。
気液分離器40から流出した冷媒液は、冷媒通路33、第一逆止弁62、冷媒通路34、第二逆止弁64および冷媒通路35を順に経由して、冷却部30へ向かって流通する。冷却部30へ流通し、冷却器32を経由して流れる冷媒は、EV機器と冷媒との温度差に応じて、EV機器31から熱を奪って、EV機器31を冷却する。冷却部30において、冷却器32内を流通する冷媒と、EV機器31と、が熱交換することにより、EV機器31は冷却され、冷媒は加熱される。
冷媒通路34に隣接して、加熱部80が配置されている。加熱部80は、たとえば電気ヒータまたは誘導加熱装置などの、加熱部80自体が発熱する機器である。加熱部80は、冷媒通路34内の冷媒に熱を加え、冷媒通路34内の冷媒液を蒸発させる。なお、圧縮機12の運転中には、加熱部80はその運転を停止しており、加熱部80から冷媒通路34内の冷媒への伝熱は発生しない。
冷媒通路23には、流量調整弁28が設けられている。流量調整弁28は、その弁開度を変動させ、冷媒通路23を流れる冷媒の圧力損失を増減させる。これにより、流量調整弁28は、冷却部30を経由することなく冷媒通路23を介して気液分離器40から熱交換器15へ直接流れる冷媒の流量と、冷却器32を含むEV機器31の冷却系を流れる冷媒の流量と、を任意に調節する。流量調整弁28は、開度調整が可能な仕様の弁であり、たとえば電動弁であってもよい。
流量調整弁28の弁開度を大きくすれば、気液分離器40から流出する冷媒のうち、冷媒通路23を経由して熱交換器15へ直接流れる流量が大きくなり、冷媒通路34を経由して冷却部30へ流れEV機器31を冷却する冷媒の流量が小さくなる。そのためEV機器31の冷却能力が低下する。流量調整弁28の弁開度を小さくすれば、気液分離器40から流出する冷媒のうち、冷媒通路23を経由して熱交換器15へ直接流れる流量が小さくなり、冷媒通路34を経由して冷却部30へ流れEV機器31を冷却する冷媒の流量が大きくなる。そのためEV機器31の冷却能力が向上する。
流量調整弁28を使用して、EV機器31に流れる冷媒の量を増減し、EV機器31の冷却能力を最適に調節できるので、EV機器31の過熱および過冷却を確実に防止することができる。加えて、EV機器31の冷却系の冷媒の流通に係る圧力損失および冷媒を循環させるための圧縮機12の消費電力を、確実に低減することができる。
[蒸気圧縮式冷凍サイクル10の動作]
冷媒は、圧縮機12と熱交換器14,15と膨張弁16と熱交換器18とが冷媒通路21〜27によって順次接続された冷媒循環流路を通って、蒸気圧縮式冷凍サイクル10内を循環する。冷媒はまた、熱交換器14の出口の冷媒通路22から気液分離器40を経由して冷媒通路33〜35へ流れ、冷却部30へ流入してEV機器31を冷却し、冷却部30から冷媒通路36を経由して熱交換器15の入口側の冷媒通路24へ戻る。圧縮機12の起動中の、圧縮機12から吐出された冷媒が熱交換器14を介して冷却部30へ流れるときの経路、すなわち冷媒通路21,22、冷媒通路33〜36および冷媒通路24〜27は、第一通路を形成する。
冷媒が第一通路を経由して流れ発熱源を冷却するときの、冷媒の状態について説明する。圧縮機12に吸入された冷媒は、圧縮機12において等比エントロピー線に沿って断熱圧縮される。圧縮するに従って冷媒の圧力と温度とが上昇し、冷媒は、圧縮機12の出口において高温高圧の過熱度の大きい過熱蒸気になる。
圧縮機12において断熱圧縮された冷媒は、熱交換器14へと流れ、熱交換器14において冷却される。圧縮機12から吐出された高圧の気相冷媒は、熱交換器14における外気との熱交換によって周囲に放熱し冷却される。熱交換器14へ入った高圧の冷媒蒸気は、熱交換器14において等圧のまま過熱蒸気から乾き飽和蒸気になり、凝縮潜熱を放出し徐々に液化して、飽和液と飽和蒸気とが混合した気液混合状態の湿り蒸気になる。
熱交換器14で完全に液化しない程度まで冷やされた気液二相状態の冷媒は、気液分離器40において、飽和蒸気状態の冷媒蒸気と飽和液状態の冷媒液とに気液分離される。気液分離された冷媒のうち、液相の冷媒液が、気液分離器40から流出し、冷媒通路33〜35を経由して冷却部30の冷却器32へ流れ、EV機器31を冷却する。冷却部30において、飽和液状態の液冷媒に熱を放出することで、EV機器31が冷却される。EV機器31との熱交換により、冷媒が加熱され、冷媒の乾き度が増大する。冷媒は、EV機器31から潜熱を受け取って一部気化することにより、冷却部30の出口において、飽和液と飽和蒸気とが混合した気液二相状態の湿り蒸気となる。
冷却部30から流出した冷媒は、冷媒通路36,24を経由して、熱交換器15に流入する。冷媒の湿り蒸気は、熱交換器15において周囲に放熱し外気と熱交換して冷却されることにより再度凝縮され、冷媒の全部が凝縮すると飽和液になり、さらに顕熱を放出して過冷却された過冷却液になる。冷媒は、熱交換器15において、飽和温度以下にまで冷却される。熱交換器15で冷媒を過冷却液にするのは、その後の膨張弁16での減圧量、冷媒流量および冷房能力の制御を容易にするためである。
熱交換器15で過冷却液まで冷却された冷媒は、冷媒通路25を経由して膨張弁16に流入する。膨張弁16において、過冷却液状態の冷媒は絞り膨張され、比エンタルピーは変化せず温度と圧力とが低下して、低温低圧の気液混合状態の湿り蒸気となる。
膨張弁16から出た湿り蒸気状態の冷媒は、冷媒通路26を経由して熱交換器18へ流入する。熱交換器18のチューブ内には、湿り蒸気状態の冷媒が流入する。熱交換器18は、その内部を流通する霧状冷媒が気化することによって、熱交換器18に接触するように導入された空調用空気の熱を吸収する。冷媒は、熱交換器18のチューブ内を流通する際に、フィンを経由して車両の室内の空気の熱を蒸発潜熱として吸収することによって、等圧のまま蒸発する。全ての冷媒が乾き飽和蒸気になると、さらに顕熱を吸収して冷媒蒸気は温度上昇し、過熱蒸気となる。
熱交換器18は、膨張弁16によって減圧された冷媒の湿り蒸気が蒸発して冷媒ガスとなる際の気化熱を、車両の室内へ流通する空調用空気から吸収して、車両の室内の冷房を行なう。熱が熱交換器18に吸収されることによって冷却され温度が低下した空調用空気が車両の室内に再び戻されることによって、車両の室内の冷房が行なわれる。その後冷媒は、冷媒通路27を経由して圧縮機12に吸入される。圧縮機12は、熱交換器18から流通する冷媒を圧縮する。
冷媒はこのようなサイクルに従って、圧縮、凝縮、絞り膨張、蒸発の状態変化を連続的に繰り返す。なお、上述した蒸気圧縮式冷凍サイクルの説明では、理論冷凍サイクルについて説明しているが、実際の蒸気圧縮式冷凍サイクル10では、圧縮機12における損失、冷媒の圧力損失および熱損失を考慮する必要があるのは勿論である。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10の運転中に、冷媒は、空調用空気を冷却して車室内の冷房を行なうとともに、冷却部30へ流通しEV機器31と熱交換することでEV機器31を冷却する。冷却装置1は、車両に搭載された発熱源であるEV機器31を、車両の室内の空調用の蒸気圧縮式冷凍サイクル10を利用して、冷却する。
EV機器31の冷却のために、専用の水循環ポンプまたは冷却ファンなどの機器を設ける必要はない。そのため、EV機器31の冷却装置1のために必要な構成を低減でき、装置構成を単純にできるので、冷却装置1の製造コストを低減することができる。加えて、EV機器31の冷却のためにポンプや冷却ファンなどの動力源を運転する必要がなく、消費動力を低減できるので、低動力でEV機器31を冷却することができる。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10において、圧縮機12から吐出された高圧の冷媒は、第一の凝縮器としての熱交換器14と、第二の凝縮器としての熱交換器15と、の両方によって凝縮される。EV機器31を冷却する冷却部30は、熱交換器14と熱交換器15との間に設けられている。
熱交換器14では、湿り蒸気の状態にまで冷媒が冷却され、気液混合状態の冷媒は気液分離器40により分離され、飽和液状態の冷媒液のみが冷却部30へ供給される。EV機器31から蒸発潜熱を受け取り一部気化した湿り蒸気の状態の冷媒は、熱交換器15で再度冷却される。熱交換器15はさらに、車両の室内の冷房のために必要な程度の過冷却度にまで、液相冷媒を過冷却する。EV機器31から蒸発潜熱を受けて加熱された冷媒を熱交換器15において十分に冷却することにより、膨張弁16の出口において、冷媒は、車両の室内の冷房のために本来必要とされる温度および圧力を有する。
そのため、熱交換器18において冷媒が蒸発するときに外部から受け取る熱量を十分に大きくすることができるので、熱交換器18を通過する空調用空気を十分に冷却できる。このように、冷媒を十分に冷却できる熱交換器15の放熱能力を定めることにより、車室内の空気を冷却する冷房の能力に影響を与えることなく、EV機器31を冷却することができる。したがって、EV機器31の冷却能力と、車室用の冷房能力との両方を、確実に確保することができる。かつ、冷媒の過冷却度を過度に大きくする必要がないので、熱交換器14,15の容量およびサイズを低減することができる。
気液分離器40から熱交換器15へ向かう冷媒が流通する経路として、冷却部30を通過しない経路である冷媒通路23と、冷却部30を経由してEV機器31を冷却する冷媒の経路である冷媒通路33〜36および冷却器32と、が並列に設けられる。そのため、熱交換器14から流出した冷媒の一部のみが、冷却部30へ流れる。冷媒通路23に設けられた流量調整弁28の開度調整によって、気液分離器40から冷媒通路23へ流れる冷媒と、冷却部30を流れる冷媒と、の流量が適切に調整される。この流量調整により、EV機器31の冷却のために必要な量の冷媒が冷却部30へ流れ、EV機器31は適切に冷却される。
冷媒通路33〜36を含むEV機器31の冷却系に冷媒の一部のみを流通させることで、全ての冷媒が冷却部30に流れないので、EV機器31の冷却系に冷媒が流れる際の圧力損失を低減することができる。それに伴い、冷媒を循環させるための圧縮機12の運転に必要な消費電力を低減することができる。
[ヒートパイプ運転モード]
冷却装置1はさらに、連通路51を備える。連通路51は、冷媒通路21と、冷却部30に冷媒を流通させる冷媒通路33〜36のうち冷却部30に対し下流側の冷媒通路36と、を連通する。冷媒通路36は、連通路51との分岐よりも上流側の冷媒通路36aと、連通路51との分岐よりも下流側の冷媒通路36bと、に二分割される。
冷媒通路36には、連通路51と冷媒通路21,36との連通状態を切り替える切替弁52が設けられている。切替弁52は、その開閉を切り替えることにより、連通路51を経由する冷媒の流通を可能または不可能にする。切替弁52を使用して冷却部30から流出する冷媒の経路を切り替えることにより、EV機器31を冷却した後の冷媒を、冷媒通路36b,24を経由させて熱交換器15へ、または、連通路51および冷媒通路21を経由して熱交換器14へ、のいずれかの経路を任意に選択して、流通させることができる。
より具体的には、切替弁52として、冷媒通路36bの連通と遮断とを切り替える開閉弁が、冷媒通路36bに設けられている。切替弁52の開閉を切り替えることにより、冷媒通路36bを含む第一通路の連通状態が切り替えられる。切替弁52は、全開と全閉との切替が可能な仕様の弁であればよく、たとえば電磁弁であってもよい。
冷房運転中には、切替弁52を全開(弁開度100%)とし、流量調整弁28の弁開度を調整することにより冷却部30で必要な冷却能力を得られるように冷媒流量を調整する。これにより、EV機器31を冷却した後の冷媒通路36aを流通する冷媒を、冷媒通路36bを経由させて、確実に熱交換器15へ流通させることができる。
一方、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の停止中には、切替弁52を全閉とし、さらに流量調整弁28を全閉とする。これにより、EV機器31を冷却した後の冷媒通路36aを流通する冷媒を、連通路51を経由させて熱交換器14へ流通させ、圧縮機12を経由せずに冷却部30と熱交換器14との間に冷媒を循環させる環状の経路を形成することができる。
連通路51には、逆止弁58が設けられている。逆止弁58は、連通路51を経由して冷媒通路36から冷媒通路21へ向かう冷媒の流れを許容するとともに、その逆向きの冷媒の流れを禁止する。逆止弁58を設けることにより、圧縮機12の運転中に、冷媒通路21から連通路51を経由して冷媒通路36へ流れる冷媒の流れが禁止される。かつ、圧縮機12の運転中において、冷媒通路21を流れる冷媒は、冷媒通路36を流れる冷媒よりも高圧であるので、連通路51を経由して冷媒通路36から冷媒通路21へ向かう冷媒の流れも発生しない。
そのため、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の運転中には、圧縮機12で断熱圧縮された冷媒の全部を熱交換器14へ流すことができ、かつ、EV機器31を冷却した後の冷媒を確実に熱交換器15へ流通させることができる。加えて、圧縮機12の停止時に切替弁52の開閉を切り換えて切替弁52を全閉にすれば、冷却部30の出口から逆止弁58を通って冷媒通路21へつながる経路が形成され、連通路51を経由して冷却部30と熱交換器14との間に冷媒を循環させる冷媒の経路を形成することができる。
冷却装置1はさらに、逆止弁54を備える。逆止弁54は、圧縮機12と熱交換器14との間の冷媒通路21の、冷媒通路21と連通路51との接続箇所よりも圧縮機12に近接する側に、配置されている。逆止弁54は、圧縮機12から熱交換器14へ向かう冷媒の流れを許容するとともに、その逆向きの冷媒の流れを禁止する。このようにすれば、詳細を後述する図9に示すヒートパイプ運転モードのとき、熱交換器14と冷却部30との間に冷媒を循環させる閉ループ状の冷媒の経路を、確実に形成することができる。
逆止弁54がない場合、冷媒が連通路51から圧縮機12側の冷媒通路21へ流れる虞がある。逆止弁54を備えることによって、連通路51から圧縮機12側へ向かう冷媒の流れを確実に禁止できるので、環状の冷媒経路で形成するヒートパイプを使用した、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の停止時のEV機器31の冷却能力の低下を防止できる。したがって、車両の車室用の冷房が停止しているときにも、EV機器31を効率よく冷却することができる。
また、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の停止中に、閉ループ状の冷媒の経路内の冷媒の量が不足する場合には、圧縮機12を短時間のみ運転することで、逆止弁54を経由して閉ループ経路に冷媒を供給できる。これにより、閉ループ内の冷媒量を増加させ、ヒートパイプの熱交換処理量を増大させることができる。したがって、ヒートパイプの冷媒量を確保することができるので、冷媒量の不足のためにEV機器31の冷却が不十分となることを回避することができる。
図8は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の運転中の、EV機器31を冷却する冷媒の流れを示す模式図である。図9は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の停止中の、EV機器31を冷却する冷媒の流れを示す模式図である。図8に示す蒸気圧縮式冷凍サイクル10を運転させる場合、すなわち圧縮機12を運転させて蒸気圧縮式冷凍サイクル10の全体に冷媒を流通させる運転モードを、「エアコン運転モード」と称する。一方、図9に示す蒸気圧縮式冷凍サイクル10を停止させる場合、すなわち、圧縮機12を停止させ、冷却部30と熱交換器14とを結ぶ環状の経路を経由させて冷媒を循環させる運転モードを、「ヒートパイプ運転モード」と称する。
図8に示すように、圧縮機12を駆動させ蒸気圧縮式冷凍サイクル10が運転している「エアコン運転モード」のときには、流量調整弁28は、冷却部30に十分な冷媒が流れるように、弁開度を調整される。切替弁52は、冷媒を冷却部30から熱交換器15を経由して膨張弁16へ流通させるように操作される。すなわち、切替弁52を全開にすることで、冷媒が冷却装置1の全体を流れるように冷媒の経路が選択される。そのため、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の冷却能力を確保できるとともに、EV機器31を効率よく冷却することができる。
図9に示すように、圧縮機12を停止させ蒸気圧縮式冷凍サイクル10が停止している「ヒートパイプ運転モード」のときには、冷媒を冷却部30から熱交換器14へ循環させるように切替弁52を操作する。すなわち、切替弁52を全閉にする。さらに流量調整弁28を全閉にすることで、冷媒は冷媒通路36aから冷媒通路36bへは流れず連通路51を経由して流通する。これにより、熱交換器14から、冷媒通路22と気液分離器40と冷媒通路34とを順に経由して冷却部30へ至り、さらに冷媒通路36a、連通路51、冷媒通路21を順に経由して熱交換器14へ戻る、閉じられた環状の経路が形成される。このときの冷媒が流れる経路、すなわち冷媒通路21、冷媒通路22、冷媒通路33〜35、冷媒通路36aおよび連通路51は、第二通路を形成する。
この環状の経路を経由して、圧縮機12を動作することなく、熱交換器14と冷却部30との間に冷媒を循環させることができる。冷媒は、EV機器31を冷却するとき、EV機器31から蒸発潜熱を受けて蒸発する。EV機器31との熱交換により気化された冷媒蒸気は、冷媒通路36a、連通路51および冷媒通路21を順に経由して、熱交換器14へ流れる。熱交換器14において、車両の走行風、または、コンデンサファン42などの冷却ファンからの通風により、冷媒蒸気は冷却されて凝縮する。熱交換器14で液化した冷媒液は、冷媒通路22,33〜35を経由して、冷却部30へ戻る。
このように、冷却部30と熱交換器14とを経由する環状の経路によって、EV機器31を加熱部とし熱交換器14を冷却部とする、ヒートパイプが形成される。したがって、蒸気圧縮式冷凍サイクル10が停止しているとき、すなわち車両用の冷房が停止しているときにも、圧縮機12を起動する必要なく、EV機器31を確実に冷却することができる。EV機器31の冷却のために圧縮機12を常時運転する必要がないことにより、圧縮機12の消費動力を低減して車両の燃費を向上することができ、加えて、圧縮機12を長寿命化できるので圧縮機12の信頼性を向上することができる。
電気自動車の乗員は、車内前方の計器盤に設けられた空調用のコントロールパネルを操作することによって、車室内の冷房をONからOFFへ切り替える。この操作に伴い、EV機器31を冷却するための冷却装置1の運転モードが、第一通路が連通し第二通路が遮断された状態のエアコン運転モードから、第一通路が遮断され第二通路が連通した状態のヒートパイプ運転モードへ、切り替えられる。
つまり、圧縮機12が停止されるとともに、切替弁52が全閉とされ、流量調整弁28が全閉とされる。これにより、圧縮機12から吐出された冷媒を冷却部30へ流してEV機器31を冷却するための第一通路が遮断されるとともに、熱交換器14と冷却部30との間に冷媒を循環させるための第二通路が連通され、第一通路の連通と第二通路の連通とが切り替えられる。このようにして、圧縮機12が停止した状態においても、冷媒が第二通路を循環して冷却部30においてEV機器31を冷却することにより、冷却装置1によるEV機器31の冷却能力が維持される。
熱交換器14を凝縮器、冷却部30を蒸発器とするループ式のヒートパイプが作動することによって、EV機器31は確実に冷却される。そのため、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の運転時および停止時の両方においてEV機器31を適切に冷却できる冷却装置1を、簡単な構成で実現することができる。EV機器31の冷却のために圧縮機12の動力を常時必要とせず、圧縮機12の消費動力を低減できる。したがって、低動力でEV機器31を冷却できるので、一層の省電費化および快適性向上を達成することができる。
実施の形態3の冷却装置1では、図9に示す環状の冷媒経路において、熱交換器14で凝縮した冷媒液を蓄える気液分離器40から冷却部30へ至る冷媒の経路に、実施の形態1で説明した第一逆止弁62、第二逆止弁64および加熱部80を設ける。圧縮機12の停止時に、図4に示すサイクルに従って、加熱部80のオンとオフとが繰り返される。これにより、冷媒が加熱される冷却部30を熱交換器14よりも上方に配置したトップヒート式の構成としても、熱交換器14から冷却部30へ液状の冷媒を移送することが可能になる。冷媒の循環のために液体ポンプなどを必要としないので、省動力で冷媒を循環させることができる。したがって、冷却装置1を搭載する車両1000の燃費を向上することができる。
実施の形態3では、蒸気圧縮式冷凍サイクル10内に実施の形態1の冷却装置1を配置する例について説明したが、蒸気圧縮式冷凍サイクル10内に実施の形態2の冷却装置1を配置してもよいことは勿論である。
なお、これまでの実施の形態においては、EV機器を例として車両に搭載された電気機器を冷却する冷却装置1について説明した。電気機器としては、少なくとも作動によって熱を発生させる電気機器であれば、インバータ、モータジェネレータなどの例示された電気機器に限定されるものではなく、任意の電気機器であってもよい。冷却の対象となる電気機器が複数個ある場合においては、複数の電気機器は、冷却の目標となる温度範囲が共通していることが望ましい。冷却の目標となる温度範囲は、電気機器を作動させる温度環境として適切な温度範囲である。
また、本発明の冷却装置1により冷却される発熱源は、車両に搭載された電気機器に限られず、熱を発生する任意の機器、または任意の機器の発熱する一部分であってもよい。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の冷却装置は、モータジェネレータおよびインバータなどの電気機器を搭載するハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車などの車両における、車内の冷房を行なうための蒸気圧縮式冷凍サイクルを使用した電気機器の冷却に、特に有利に適用され得る。
1 冷却装置、10 蒸気圧縮式冷凍サイクル、12 圧縮機、14 熱交換器、22,33〜36 冷媒通路、30 冷却部、40 気液分離器、62 第一逆止弁、64 第二逆止弁、80 加熱部、82 気相冷媒供給路、84 開閉弁。

Claims (6)

  1. 冷媒を用いて発熱源を冷却する冷却装置であって、
    前記冷媒と外気との間で熱交換する熱交換器と、
    前記冷媒を用いて前記発熱源を冷却する冷却部と、
    前記熱交換器と前記冷却部との間に前記冷媒を循環させる冷媒通路と、
    前記熱交換器から前記冷却部へ向かう前記冷媒通路に設けられ、直列に接続された第一逆止弁および第二逆止弁と、
    前記第一逆止弁と前記第二逆止弁との間の前記冷媒通路内の前記冷媒に熱を加える加熱部と、を備える、冷却装置。
  2. 前記加熱部自体が発熱する、請求項1に記載の冷却装置。
  3. 前記冷却部の出口側から前記加熱部へ前記冷媒を供給するための気相冷媒供給路と、
    前記気相冷媒供給路を開閉する開閉弁と、を備える、請求項1に記載の冷却装置。
  4. 前記冷却部は、前記熱交換器よりも上方に配置されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の冷却装置。
  5. 前記熱交換器によって凝縮された液状の前記冷媒を貯留する蓄液器をさらに備え、
    前記蓄液器から前記第一逆止弁を通過して液状の前記冷媒が流れる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の冷却装置。
  6. 前記熱交換器は、蒸気圧縮式冷凍サイクルに含まれる熱交換器であり、
    前記蒸気圧縮式冷凍サイクルは、圧縮機を備え、
    前記圧縮機の停止中に前記熱交換器と前記冷却部との間に前記冷媒を循環させる、請求項1から請求項5のいずれかに記載の冷却装置。
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