JP2014087541A - 透明構造体およびこれを用いてなる内視鏡 - Google Patents

透明構造体およびこれを用いてなる内視鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】視認性に優れる透明構造体およびこれを用いてなる内視鏡を提供する。
【解決手段】透明基材の表面の少なくとも一部に疎水性微粒子を有する体液成分付着防止層を配置してなる透明構造体であり、この透明構造体を内視鏡レンズカバーとして使用する。
【選択図】図15

Description

本発明は、透明構造体およびこれを用いてなる内視鏡に関する。特に、本発明は、視認性に優れる透明構造体およびこれを用いてなる内視鏡に関する。
現在、食道、胃、腸等の消化器系をはじめ、耳、鼻、のど、肺、尿道、膀胱、腎臓や子宮など人体の様々な内部を観察・診断するために、内視鏡が使用されている。観察・診断を行い、病変部を見つけた場合には、その場で、内視鏡先端に設置される処置具を用いて、病変部を切除したり、細胞を採取したりすることが可能になった。これらの処置は、外科手術を伴わない低侵襲な手技である。加えて、近年では、腹部や胸部に小さな穴を開け、腹腔鏡などの内視鏡で体腔内を観察しながら、手術用の処置具や電気メスによる外科的治療で行う内視鏡下外科手術が行われている。この手技は、従来の外科手術とは異なり、患者の体への負担が大幅に軽減して、患者のQOL(Quality Of Life)を大きく向上できる点で、現在、非常によく使用されている。
一般に、内視鏡は、先端部に設けられた対物レンズを介して、体腔内を観察・処置するが、対物レンズに体内の粘液や組織が付着して、視認性が低下して、観察や処置がうまく行えないことがある。このため、レンズ洗浄用ノズルが対物レンズに向けて配置され、このノズルから洗浄液や空気等を噴射してレンズ表面を洗浄し、視野を確保する構造がとられている(例えば、特許文献1)。
特開平2−129613号公報
しかしながら、このようなレンズ洗浄用ノズルをもってしても、レンズを完全に洗浄することは困難である。また、洗浄液がレンズ表面に付着して、逆に視認性を低下させてしまうことがある。加えて、このようなレンズ洗浄用ノズルの必要性により、内視鏡の細径化が難しく、患者の生体管腔を介して内視鏡を挿入する際に、内視鏡が生体管腔を圧迫し、患者に苦痛を与えてしまう。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、視認性に優れる透明構造体およびこれを用いてなる内視鏡を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、レンズ洗浄用ノズルを必要としない内視鏡を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、透明基材の表面の少なくとも一部に疎水性微粒子を配置することにより、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、上記目的は、透明基材の表面の少なくとも一部に疎水性微粒子を有する体液成分付着防止層を配置してなる透明構造体によって達成されうる。
本発明の透明構造体によると、粘液、血液などの体液が表面に付着するのが有効に抑制・防止できる。このため、本発明の透明構造体を内視鏡レンズカバーとして使用すると、洗浄操作なしでも生体由来の体液成分(粘液、血液など)の付着を有効に抑制・防止して、良好な視認性を確保できる。
図1は、本発明の好ましい態様の透明構造体の拡大断面図である。 図2は、本発明の好ましい態様の透明構造体の拡大断面図である。 図3Aは、実施例1の透明構造体(1)の体液成分付着防止層表面のSEM写真であり、図3Bは、実施例1の透明構造体(1)の体液成分付着防止層表面のレーザー顕微鏡による3次元観察像である。 図4は、血液汚染防止能評価前後の実施例1の透明構造体(1)の写真である。 図5Aは、実施例2の透明構造体(2)の体液成分付着防止層表面のSEM写真であり、図5Bは、実施例2の透明構造体(2)の体液成分付着防止層表面のレーザー顕微鏡による3次元観察像である。 図6は、血液汚染防止能評価前後の実施例2の透明構造体(2)の写真である。 図7Aは、実施例3の透明構造体(3)の体液成分付着防止層表面のSEM写真であり、図7Bは、実施例3の透明構造体(3)の体液成分付着防止層表面のレーザー顕微鏡による3次元観察像である。 図8は、血液汚染防止能評価前後の実施例3の透明構造体(3)の写真である。 図9Aは、実施例4の透明構造体(4)の体液成分付着防止層表面のSEM写真であり、図9Bは、実施例4の透明構造体(4)の体液成分付着防止層表面のレーザー顕微鏡による3次元観察像である。 図10は、血液汚染防止能評価前後の実施例4の透明構造体(4)の写真である。 図11Aは、実施例5の透明構造体(5)の体液成分付着防止層表面のSEM写真であり、図11Bは、実施例5の透明構造体(5)の体液成分付着防止層表面のレーザー顕微鏡による3次元観察像である。 図12は、血液汚染防止能評価前後の実施例5の透明構造体(5)の写真である。 図13は、実施例6の透明構造体(6)及び、体液付着防止層の形成されていない透明基材が配置されたQCM電極の、アルブミン水溶液中における周波数変化量を示すグラフである。 図14は、本発明の好ましい態様の透明構造体の構成の概略を示す断面図である。 図15は、本発明の好ましい態様の内視鏡の先端部の構成の概略を示す拡大断面図である。 図16は、実施例7で用いた耐久性評価試験装置(摩擦測定機)の模式図である。 図17は、実施例7における耐久評価結果を示すグラフである。
本発明は、透明基材の表面の少なくとも一部に疎水性微粒子を有する体液成分付着防止層を配置してなる透明構造体に関する。従来、内視鏡を用いて、生体管腔または体腔内を観察する際に、レンズ表面を洗浄しながらであっても、生体由来の体液成分(粘液、血液など)または洗浄液がレンズ表面に付着して、視認性が低下する場合がある。この場合には、内視鏡を一旦体外に取り出して、表面を洗浄する必要があるが、患者への負担が増加し、好ましくない。これに対して、本発明によるように疎水性微粒子を透明基材の表面に配置すると、洗浄なしであっても、レンズ表面への生体由来の体液成分(粘液、血液など)の付着を抑制・防止できる、即ち、洗浄操作を行わなくとも操作中の良好な視認性を確保できる。ここで、疎水性微粒子の配置による体液成分付着防止能の発揮メカニズムは、不明であるが、下記のように推測される。なお、本発明は、下記推測に限定されない。すなわち、疎水性微粒子が配置された透明基材の表面は粗度の高い(凹凸が多い)微細な凹凸構造をとる。ここで、微細な凹凸構造は液体と接触しても凹部に空気が存在するため、隣接する凸部間に空気との界面が存在し、基材表面−液面がみかけ上広い面積で接しており、液面が入り込めない多数の空隙の存在によって点接触をしている(液滴との実際の接触面積が小さい)。そして、水が表面に吸着するための水の表面積の増加量に比べて、実質の自由表面エネルギーの増加量が小さいため、体液成分(粘液、血液など)は粗度の高い表面に広がるよりは液滴の形態を維持して、表面張力により疎水性を発揮する。このような関係は、表面粗度と水の接触角に対する関係を示すウェンツェル(Wenzel)の式と、空気との界面と別の表面との異なる2表面が共存する不均質な表面に対する水の接触角を説明するカシー(Cassie)の式よって説明できる。ゆえに、疎水性微粒子により形成された粗度の高い表面(微細な凹凸構造)は、水による接触角が150度以上の超撥水性を発揮できる。このため、本発明の透明構造体を内視鏡等のレンズカバーとして使用すると、洗浄操作なしでも生体由来の体液成分(粘液、血液など)の付着を有効に抑制・防止して、良好な視認性を確保でき、内視鏡をスムーズに所定の部位にまで導入できる。
したがって、本発明の透明構造体を内視鏡レンズ表面にレンズカバーとして設置することにより、良好な視野を保ち、術者のストレスを軽減し、手技時間を短縮することができ、これにより患者への負担をも軽減することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」及び「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
[透明基材]
本発明で使用されうる透明基材は、透明であれば特に制限されず、一般的に医療分野で使用される透明基材が同様にして使用できる。本明細書において、「透明」とは、十分な視認性を達成できる程度の透明性を意味する。具体的には、「透明性」とは、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらにより好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上の可視光透過率を示すものを意味する。体液成分付着防止層が形成されることを考慮すると、透明基材は、65%以上、より好ましくは75%以上、特に好ましくは85%以上(上限:100%)の可視光透過率を有する基材を意味する。なお、本明細書において、「可視光透過率」は、下記実施例に記載される方法によって測定される値である。
具体的には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート−スチレン共重合体等のメタクリル樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、高密度ポリエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリシクロヘキサジエン、ポリエステル、1,3−シクロヘキサジエンホモポリマー、1,3−シクロヘキサジエンと、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の鎖状共役ジエン系モノマー、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルスチレン等のビニル芳香族系モノマー、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、α−シアノアクリル酸メチル等の極性ビニルモノマー若しくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、環状ラクトン、環状ラクタム、環状シロキサン等の極性モノマー、またはエチレン、α−オレフィン系モノマーと、の共重合体(特開平9−277045号に記載される共重合体)などの高分子材料;ガラスなどが挙げられる。なお、本発明では、透明基材を、そのまま使用してもよいが、体液成分付着防止層を配置する前に、透明基材表面に付着した油脂や汚れなどを除去することが好ましい。
透明基材の厚みは、透明性を確保できる程度であれば特に制限されないが、0.01〜10mmであることが好ましく、0.1〜2mmであることがより好ましい。このような厚みであれば、十分な透明性を発揮し、また、内視鏡レンズ表面にレンズカバーとして設置されても、レンズ表面を良好に保護できる。
[体液成分付着防止層]
本発明では、体液成分付着防止層は、上記透明基材の表面の少なくとも一部に、疎水性微粒子が配置されてなる。ここで、体液成分付着防止層は、所望の体液成分付着防止効果が達成できる限り透明基材の表面の少なくとも一部に配置されればよいが、透明基材の一方の面の表面積に対する体液成分付着防止層形成面積の割合は、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上(上限:100%)である。
疎水性微粒子の材質は、特に制限されないが、表面自由エネルギーの小さい物質が好ましく使用され、疎水性官能基で無機酸化物微粒子表面を修飾した無機疎水性微粒子、有機疎水性微粒子などが疎水性微粒子として使用できる。
このうち、無機酸化物微粒子としては、特に制限されないが、酸化亜鉛、酸化チタン(チタニア)、酸化ケイ素(シリカ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化セリウム(セリア)等の無機酸化物の微粒子が挙げられる。無機酸化物微粒子は、市販品を使用してもよい。市販品としては、AEROSIL(登録商標) 50、90、90G、130、200、200V、200CF、200FAD、255、300、300CF、380、OX50、TT600、200SP、300SP、300/30、MOX80、MOX170、COK84(いずれも、日本アエロジル株式会社製)等のシリカ微粒子;酸化アルミニウムC、AEROXIDE(登録商標)AluC、Alu65、Alu130(いずれも、日本アエロジル株式会社製)等のアルミナ微粒子;二酸化チタンT805、二酸化チタンP25、AEROXIDE(登録商標)TiO P25、TiO PF2(いずれも、日本アエロジル株式会社製)等のチタニア微粒子;FINEX−30、50(堺化学工業株式会社製)等の酸化亜鉛微粒子;SZR(堺化学工業株式会社製)酸化ジルコニウム微粒子などが挙げられる。上記無機酸化物微粒子は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。また、疎水性官能基としては、特に制限されないが、トリフルオロメチル基(−CF)等の炭素原子数1〜12のパーフルオロアルキル基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−イソプロピルブチル基、2−メチル−1−イソプロピル基、1−tert−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基等の炭素原子数1〜30の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基、好ましくは炭素原子数1〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリn−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ジメチルブチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジ−t−ブチルメチルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基等の、トリアルキルシリル基(−Si(R):Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜30の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、好ましくは炭素原子数1〜12の直鎖または分岐鎖のアルキル基である);ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジn−プロピルシリル基、ジイソプロピルシリル基、ジn−ブチルシリル基、ジt−ブチルシリル基、ジイソブチルシリル基、メチルエチルシリル基、メチルイソプロピルシリル基等の、ジアルキルシリル基(−Si(R’)H:R’は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜12の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、好ましくは炭素原子数1〜8の直鎖または分岐鎖のアルキル基である);メチルシリル基、エチルシリル基、n−プロピルシリル基、イソプロピルシリル基、n−ブチルシリル基、t−ブチルシリル基、イソブチルシリル基、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基、2−エチルヘキシルシリル基、オクチルシリル基、ドデシルシリル基等の、アルキルシリル基(−Si(R’)H:R’は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜12の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、好ましくは炭素原子数1〜8の直鎖または分岐鎖のアルキル基である);フルオロシリル基(−Si(R”)(F)3-n:R”は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜12の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、好ましくは炭素原子数1〜8の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、nは0〜2の整数である);フッ素原子などが挙げられる。上記疎水性官能基は、1種単独を修飾に使用してもあるいは2種以上を修飾に使用してもよい。無機酸化物微粒子表面の官能基(例えば、シリカ微粒子の場合にはシラノール基)の上記疎水性官能基による置換の割合は、無機酸化物微粒子に疎水性を付与できる割合であれば特に制限されない。好ましくは、無機酸化物微粒子表面の官能基の5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは20モル%以上(上限:100モル%)が、疎水性官能基によって修飾される。なお、疎水性官能基による無機酸化物微粒子の修飾方法(導入方法)は、特に制限されず、シリル化処理などの公知の方法が同様にしてあるいは適宜修飾して適用できる。
上記疎水性官能基で表面修飾された無機酸化物微粒子(無機疎水性微粒子)は、市販品を使用してもよい。市販品としては、AEROSIL(登録商標) R972、R974、R972V、R972CF、R974、R805、R812、R812S、R504、RX50、NAX50、RX200、RX300、RY50、NY50、RY200、RY200S、R104、R106、R202、R816、R7200、R8200、R9200、R711(いずれも、日本アエロジル株式会社製)等の疎水性シリカ微粒子;AEROXIDE(登録商標)TiO T805、TiO NKT90(いずれも、日本アエロジル株式会社製)等の疎水性チタニア微粒子;AEROXIDE(登録商標)AluC 805(日本アエロジル株式会社製)等の疎水性アルミナ微粒子;FINEX−30S−LP2、30W−LP2、50S−LP2、50W−LP2等の疎水性酸化亜鉛微粒子(堺化学工業株式会社製)などが挙げられる。これらのうち、AEROSIL(登録商標) R972、RX200、RX300が好ましい。
また、有機疎水性微粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリイミド(PI)、塩化ビニル(PVC)、セルロース等の有機微粒子が挙げられる。有機疎水性微粒子は、市販品を使用してもよい。上記有機疎水性微粒子は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
上記疎水性官能基で表面修飾された無機酸化物微粒子(無機疎水性微粒子)および有機疎水性微粒子は、特に生体内で使用する場合には、安全性を考慮すると、ハロゲン原子、特にフッ素原子を含まないことが好ましい。
疎水性微粒子の大きさは、透明基材が体液成分付着防止能を発揮できるものであれば特に制限されない。具体的には、疎水性微粒子の平均粒子径(一次粒子の平均粒子径(直径))は、5〜300nmの範囲内であることが好ましく、10〜100nmの範囲内であることがより好ましい。このような大きさの疎水性微粒子であれば、透明構造体に十分高い粗度の表面(微細な凹凸構造)を付与できるため、透明構造体は生体由来の体液成分(粘液、血液など)の付着を有効に抑制・防止できる。また、上記したような大きさの疎水性微粒子であれば、複数個堆積しても全体として十分な透明性を確保できるため、良好な視認性を達成できる。なお、本明細書において、「粒子径」とは、粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離を意味する。「疎水性微粒子の平均粒子径(一次粒子の平均粒子径(直径))」は、統計学的に十分な数(例えば、数百〜数千個)のサンプルについて、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用いて得られた粒子径の平均値である。
また、透明基材表面上での疎水性微粒子の配置形態は、透明基材が体液成分付着防止能を発揮できるものであれば特に制限されない。具体的には、疎水性微粒子3が透明基材2上に層状に配置されて、体液成分付着防止層5を形成する形態(図1A);疎水性微粒子3が透明基材2中及び上に層状に配置されて、体液成分付着防止層5を形成する形態(図1B);疎水性微粒子3が透明基材2上に形成される中間層4中に配置されて、体液成分付着防止層5を形成する形態(図1C);疎水性微粒子3が溝部6を有する透明基材2全面に配置されて、体液成分付着防止層5を形成する形態(図1D);溝部6を有する透明基材2全面にわたって中間層4が形成され、この中間層4全体に疎水性微粒子3が配置されて、体液成分付着防止層5を形成する形態(図1E);疎水性微粒子3が溝部6を有する透明基材2の溝部(凹部)6中に選択的に配置されて、体液成分付着防止層5を形成する形態(図2F);溝部6を有する透明基材2全面にわたって中間層4が形成され、かつ透明基材2の溝部(凹部)6に疎水性微粒子3が選択的に配置されて、体液成分付着防止層5を形成する形態(図2G);溝部6を有する中間層4が透明基材2上に形成され、溝部(凹部)6及び中間層4全体に疎水性微粒子3が配置されて、体液成分付着防止層5を形成する形態(図2H);および溝部6を有する中間層4が透明基材2上に形成され、この中間層4の溝部(凹部)6及び中間層4中に疎水性微粒子3が選択的に配置されて、体液成分付着防止層5を形成する形態(図2I)などが挙げられる。なお、透明構造体が中間層を有する場合には、微細な凹凸構造がとれるように、図1C、図1Eなどに示されるように、中間層表面に疎水性微粒子の少なくとも一部が露出していることが好ましい。また、図2Gにおいて、中間層4は、溝部6を完全に被覆する必要はなく、例えば、図2Jのように、中間層4が溝部6の一部を被覆するものであってもよい。同様の形態が図1Eにも適用される。また、図2Hにおいて、疎水性微粒子3は、中間層4中にまで配置される必要はなく、例えば、図2Kのように、中間層4表面に選択的に配置されてもよい。同様の形態が図2Iにも適用される。
なお、本明細書において、疎水性微粒子が配置される部分が「体液成分付着防止層」である。このため、図1C等に示されるように、透明基材2上に中間層4が設けられる場合において、疎水性微粒子3を含む中間層4は体液成分付着防止層5でもある。
上記形態のうち、透明構造体が溝部(凹部)を有する形態(例えば、図1D〜図2J)が好ましい。すなわち、透明基材または体液成分付着防止層は、溝部を有することが好ましい。このように溝部を有することによって、溝部に存在する疎水性微粒子が、体液成分付着防止効果や撥水効果を十分発揮する。また、透明構造体表面が生体組織(例えば、管腔内壁)と接触した場合であっても、疎水性微粒子が溝部(凹部)に存在するため脱離することはほとんどないまたはない。このため、この溝部に存在する疎水性微粒子が体液成分付着防止能を発揮するため、本発明の透明構造体は長期間にわたって体液成分付着防止効果を発揮でき、耐久性に優れる。ここで、溝部の配置形式(溝部の大きさ、間隔)は、上記効果が達成できるものであれば特に制限されず、疎水性微粒子の大きさなどによって適宜選択できる。例えば、溝部の配置状態は、特に制限されず、正方格子、千鳥格子、六方格子等、様々な配置状態を採用できる。また、溝部の幅(図1D中の「D」)は、0.1〜200μmの範囲内であることが好ましく、5〜100μmの範囲内であることがより好ましい。また、溝部の深さ(図1D中の「H」)は、0.1〜50μmの範囲内であることが好ましく、1〜25μmの範囲内であることがより好ましい。さらに、溝部の間隔(図1D中の「R」)は、0.1〜600μmの範囲内であることが好ましく、10〜500μmの範囲内であることがより好ましい。これらの要件のうち、溝部の幅、深さ及び間隔が、体液成分付着防止効果、撥水性、耐久性の観点から重要である。すなわち、透明基材または体液成分付着防止層は、表面に間隔0.1〜600μm、幅0.1〜200μm及び深さ0.1〜50μmの溝部を有することが好ましい。なお、溝部の間隔は、図1Dの「R」で示されるように、隣接する2つの凸部の端部間の距離を示す。このように特定の間隔で特定の大きさの溝部中に疎水性微粒子を配置することによって、十分量の疎水性微粒子が溝部に存在する。このため、溝部に存在する疎水性微粒子が、体液成分付着防止効果や撥水効果を十分発揮する。また、透明構造体表面が生体組織(例えば、管腔内壁)と接触した場合であっても、疎水性微粒子が溝部(凹部)に存在するため脱離することはほとんどないまたはない。このため、本発明の透明構造体は長期間にわたって体液成分付着防止効果を発揮でき、耐久性を向上できる。
または、上記形態のうち、透明基材上に中間層が形成される形態(例えば、図1C、図1E、図2G〜図2K)もまた好ましい。このように中間層中及び上に疎水性微粒子を配置することによって、透明構造体表面が生体組織(例えば、管腔内壁)と接触しても、疎水性微粒子は中間層に少なくとも一部が埋設されているため、摩擦によっても疎水性微粒子が剥離しにくい。ゆえにこのような構成を有する透明構造体は、長期間にわたって体液成分付着防止効果を発揮でき、耐久性を向上できる。加えて、従来、超撥水面を実用化する上で大きな問題の一つとして、構造の脆弱さがあったが、このように中間層中に疎水性微粒子を配置することによって、透明構造体の強度を向上することもできる。
ここで、中間層、特に中間層が疎水性微粒子を含む場合には体液成分付着防止層の厚さは、特に制限されないが、膜強度、疎水性微粒子の保持性、体液成分付着防止効果、撥水性、耐久性などを考慮すると、好ましくは0.01〜100μmであり、より好ましくは0.05〜50μmである。また、図1A及び図1Bのように、疎水性微粒子のみが透明基材上に配置されて体液成分付着防止層を形成する場合の体液成分付着防止層の厚みは、特に制限されないが、膜強度、疎水性微粒子の保持性、体液成分付着防止効果、撥水性、耐久性などを考慮すると、好ましくは0.01〜20μmであり、より好ましくは0.05〜10μmである。
また、中間層、特に中間層が疎水性微粒子を含む場合には体液成分付着防止層は、疎水性微粒子の保持能、透明基材との密着性、体液成分付着防止性、耐久性の向上等を考慮すると、バインダー樹脂を含むことが好ましい。バインダー樹脂としては、特に制限されず、医療分野で一般的に使用されるバインダー樹脂が使用できる。具体的には、アルキド樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル等のアクリル樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリルシリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、紫外線硬化樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらのバインダー樹脂を含む中間層(体液成分付着防止層)中では、疎水性微粒子をより良好に保持(埋設)でき(バインダー樹脂と疎水性微粒子とを良好に密着させることができ)、体液成分付着防止効果、撥水性、耐久性などをさらに向上できる。また、疎水性のバインダー樹脂を使用すると、中間層(疎水性微粒子を含む場合には体液成分付着防止層)自体もまたより高い撥水性を示すため、体液成分付着防止効果、撥水性をより向上できる。また、上記バインダー樹脂は、膜とした場合に、高い透明性を発揮するため、視認性の観点からも好ましい。すなわち、体液成分付着防止層は、バインダー樹脂を含むことが特に好ましい。
ここで、バインダー樹脂は、体液成分付着防止効果、撥水性および耐久性等を考慮すると、バインダー樹脂の水との接触角が45度以上であることが好ましい。より好ましくは、バインダー樹脂の接触角が60〜130度である。ここで、バインダー樹脂の接触角は、バインダー樹脂を、ディップコート、スピンキャスト、スプレー法などによって、厚さが5〜20μmの膜を形成させた表面において、一般的な接触角計を用いて測定される値である。なお、バインダー樹脂の接触角は、膜厚によって変化しない。このため、膜厚は、使用されるバインダー樹脂によって適宜選択されうる。より具体的には、液滴を固体板上に置いたときに液滴が固体と接している部分の角度を接触角と定義し、液滴の曲面と固体面の交わる点において液滴の曲面に接線をとり、その角度を測定して求める(接線法)。なお、本明細書において接触角計は協和界面科学社製接触角計CA-DTを用いた。
なお、本明細書では、体液成分付着防止層及びバインダー樹脂の接触角を区別するために、体液成分付着防止層の接触角を「体液成分付着防止層の接触角」または単に「接触角」と称し、バインダー樹脂の接触角を、「バインダー樹脂の接触角」と、称する。
上記バインダー樹脂のうち、上記点を考慮すると、アクリル系単量体とシリル基含有重合性単量体との共重合体であるアクリルシリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリルウレタン樹脂がより好ましく、アクリルシリコーン樹脂、フッ素樹脂が特に好ましい。なお、上記バインダー樹脂は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
中間層がバインダー樹脂を含む場合の、バインダー樹脂の使用量は、疎水性微粒子を良好に保持できる量であれば特に制限されない。具体的には、バインダー樹脂は、疎水性微粒子100重量部に対して、好ましくは100〜100000重量部、より好ましくは250〜10000重量部の割合で、疎水性微粒子と混合されうる。このような量であれば、中間層(体液成分付着防止層)中で疎水性微粒子を良好に保持できるため、優れた体液成分付着防止効果、撥水性、耐久性などを達成できる。
また、中間層がバインダー樹脂を含む場合には、さらに架橋剤を含むことが好ましい。バインダー樹脂との反応(架橋反応)により膜強度が上がるため、より優れた耐久性(特に摩擦に対する耐久性)が達成できる。ここで、架橋剤としては、特に制限されず、使用されるバインダー樹脂の種類によって適宜選択できる。具体的には、イソシアネート系、カルボジイミド系などの通常の架橋剤が挙げられる。このうち、イソシアネート系架橋剤としては、特に制限されないが、トリアリルイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリデンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族ジイソシアネート類;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチル(NBDI)などの脂肪族ジイソシアネート類;トランスシクロヘキサンー1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H6−XDI(水添XDI)、H12−MDI(水添MDI)などの脂環式ジイソシアネート類;上記ジイソシアネートのカルボジイミド変性ジイソシアネート類;またはこれらのイソシアヌレート変性ジイソシアネート類などが挙げられる。また、上記イソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらイソシアネート化合物のビウレット体やイソシアヌレート体も好適に使用することができる。なお、イソシアネート系架橋剤は、合成してもよいし市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、コロネート(登録商標)L、コロネート(登録商標)HL、コロネート(登録商標)2030、コロネート(登録商標)2031(以上、日本ポリウレタン工業株式会社製)、タケネート(登録商標)D−102、タケネート(登録商標)D−110N、タケネート(登録商標)D−200、タケネート(登録商標)D−202(以上、三井化学株式会社製)、デュラネート(商標)24A−100、デュラネート(商標)TPA−100、デュラネート(商標)TKA−100、デュラネート(商標)P301−75E、デュラネート(商標)E402−90T、デュラネート(商標)E405−80T、デュラネート(商標)TSE−100、デュラネート(商標)D−101、デュラネート(商標)D−201(以上、旭化成ケミカルズ株式会社製)等が挙げられる。上記イソシアネート系架橋剤は、単独で使用してもよいし2種以上組み合わせて使用してもよい。
また、カルボジイミド系架橋剤としては、特に制限されないが、カルボジイミド基(−N=C=N−)を分子内に2個以上有する化合物が好ましく用いられ、公知のポリカルボジイミドを用いることができる。また、カルボジイミド化合物としては、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させることによって生成した高分子量ポリカルボジイミドも使用できる。このような化合物としては、以下のジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させたものが挙げられる。ジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートの内の1種、またはこれらの2種以上の混合物を使用することができる。カルボジイミド化触媒としては、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、あるいはこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシドを利用することができる。カルボジイミド系架橋剤は、合成してもよいし市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、日清紡ケミカル株式会社製のカルボジライト(登録商標)シリーズが挙げられる。その中でも、カルボジライト(登録商標)V−01、V−03、V−05、V−07、V−09は有機溶剤との相溶性に優れており好ましい。上記カルボジイミド系架橋剤は、単独で使用してもよいし2種以上組み合わせて使用してもよい。
架橋剤を使用する場合の使用量は、バインダー樹脂を適宜架橋できる量であれば特に制限されないが、バインダー樹脂100重量部に対して、1〜100重量部であることが好ましい。この範囲であれば、中間層(体液成分付着防止層)は高い強度を発揮し、優れた耐久性を有しうる。
上記バインダー樹脂に代えてあるいはバインダー樹脂に加えて、中間層、特に中間層が疎水性微粒子を含む場合には体液成分付着防止層は、疎水性微粒子の保持能、透明基材との密着性等を考慮すると、金属アルコキシドを含むことが好ましい。金属アルコキシドは疎水性微粒子と相互作用する。すなわち、例えば、疎水性微粒子が疎水性シリカ微粒子であり、かつ金属アルコキシドがテトラアルコキシシランである場合には、疎水性微粒子と金属アルコキシドとがシラノール結合(−Si−O−Si−)を介して結合する。このため、透明構造体表面が生体組織(例えば、管腔内壁)と接触しても、中間層中で金属アルコキシドを介して疎水性微粒子が体液成分付着防止層中に強固に保持される。ゆえに、体液成分付着防止効果、撥水性、耐久性などがさらに向上できる。
金属アルコキシドは、式:M(OX)で表される化合物である。ここで、Mは、珪素(Si)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、またはジルコニウム(Zr)を表わす。これらのうち、珪素、アルミニウム、亜鉛、ジルコニウムが好ましく、珪素が特に好ましい。また、Xは、炭素原子数1〜8の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基である。炭素原子数1〜8の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基としては、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルなどが挙げられる。これらのうち、炭素原子数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基が好ましい。なお、Xが複数存在する(即ち、pが2以上の整数である)場合には、各Xは、同一であってもあるいは異なるものであってもよい。さらに、pは、元素Mの価数を示す整数であり、Mの種類によって一義的に規定される。具体的には、金属アルコキシドとしては、特に制限されないが、テトラメトキシシラン[Si(OCH]、テトラエトキシシラン[Si(OC]、テトライソプロポキシシラン[Si(OCH(CH]、テトラブトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウム[Al(OCH(CH]、ジルコニウム−n−ブトキシド[Zr(OC]、亜鉛テトラエトキシド[Zn(OCH]などが挙げられる。
中間層が金属アルコキシドを含む場合の、金属アルコキシドの使用量は、疎水性微粒子と良好に相互作用できる量であれば特に制限されない。具体的には、金属アルコキシドは、疎水性微粒子100重量部に対して、好ましくは5000〜1000000重量部、より好ましくは1000〜100000重量部の割合で、疎水性微粒子と混合されうる。このような量であれば、中間層(体液成分付着防止層)中で疎水性微粒子と金属アルコキシドとが良好に相互作用できるため、優れた体液成分付着防止効果、撥水性、耐久性などを達成できる。
また、中間層が、バインダー樹脂及び金属アルコキシド双方を含む場合の、バインダー樹脂及び金属アルコキシドの各々の使用量は、上記範囲内であれば十分であり、これらの混合比は特に制限されない。好ましくは、金属アルコキシドを、バインダー樹脂100重量部に対して、50〜200重量部混合し、より好ましくは、100〜150重量部混合する。
[透明構造体の製造方法]
本発明の透明構造体の製造方法は、上記したような構造を有するものであれば特に制限されないが、下記(1)〜(6)のいずれかの方法によって透明構造体を製造することが好ましい。
(1)透明基材表面を軟化処理した後、前記軟化表面に疎水性微粒子を配置する;
(2)透明基材表面を軟化処理し、前記軟化表面に疎水性微粒子を配置して体液成分付着防止層を形成した後、前記体液成分付着防止層表面に間隔600μm以下、幅200μm以下及び深さ50μm以下の溝部を形成する;
(3)中間層を有する透明基材を用意し、前記中間層表面に疎水性微粒子を配置する;
(4)中間層を有する透明基材を用意し、前記中間層表面に間隔600μm以下、幅200μm以下及び深さ50μm以下の溝部を形成した後、前記溝部形成面に疎水性微粒子を配置する;
(5)中間層を有する透明基材を用意し、前記基材表面に疎水性微粒子を配置して体液成分付着防止層を形成した後、前記体液成分付着防止層表面に間隔600μm以下、幅200μm以下及び深さ50μm以下の溝部を形成する;または
(6)透明基材表面に間隔600μm以下、幅200μm以下及び深さ50μm以下の溝部を形成した後、前記溝部が形成された基材表面(溝部形成面)に疎水性微粒子を配置する。
以下、上記好ましい製造方法(1)〜(6)について詳述するが、本発明は、下記形態に限定されるものではない。
(透明基材表面の軟化処理)
透明基材を軟化処理することによって、基材表面に配置する中間層を基材層と混合、あるいは基材表面に配置する疎水性微粒子を基材に一部埋没させる効果があり、体液付着防止層の耐久性を向上させることができる。ここで、基材の軟化処理方法は、特に制限されず、使用される透明基材の材質によって適宜選択できる。例えば、透明基材を軟化用溶媒に浸漬させる方法が使用できる。ここで、軟化用溶媒は、特に制限されず、使用される透明基材の材質によって適宜選択できる。例えば、透明基材がPMMA基材である場合には、軟化用溶媒として、酢酸ブチル、アセトンまたはジクロロメタン等を用いることができる。これらは単独でもよいし、他の溶媒と任意に混合して用いてもよい。
また、透明基材の軟化処理条件は、基材表面が軟化できれば特に制限されない。上記したような体液付着防止層の耐久性の向上効果を考慮すると、軟化処理後の透明基材の減少重量が、0.001〜15mg/cmとなるような条件であることが好ましく、0.1〜10mg/cmとなるような条件であることがより好ましい。
(中間層の形成)
中間層は、バインダー樹脂ならびに必要であれば架橋剤及び金属アルコキシドの少なくとも一方を含むことが好ましい。中間層の形成方法は、特に制限されず、公知の方法が同様にしてあるいは適宜修飾して適用できる。具体的には、(a)バインダー樹脂及び架橋剤を適当な溶剤に添加して;(b)バインダー樹脂及び金属アルコキシドを適当な溶剤に添加して;(c)バインダー樹脂、架橋剤及び金属アルコキシドを適当な溶剤に添加して;コート剤を調製し、このコート剤を軟化処理した基材表面に塗布し、必要であれば熱処理して、中間層を形成する。この方法において、上記適当な溶剤は、各成分を適宜溶解または分散できる溶剤であれば特に制限されない。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム等のハロゲン化物、ヘキサン等のオレフィン類、テトラヒドロフラン(THF)、ブチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類、などが挙げられる。ここで、溶液中の各成分の添加量は、特に制限されない。上記(a)では、バインダー樹脂の添加量は、上記したような量のバインダー樹脂が疎水性微粒子と混合されるような量であれば特に制限されないが、バインダー樹脂:溶媒の混合比(重量比)が5:100〜50:100となるような量であることが好ましい。また、上記(b)では、金属アルコキシドの添加量は、上記したような量の金属アルコキシドが疎水性微粒子と混合されるような量であれば特に制限されないが、金属アルコキシド:溶媒の混合比(重量比)が1:99〜50:50となるような量であることが好ましい。さらに、上記(c)では、バインダー樹脂及び金属アルコキシドの添加量は、上記したような量のバインダー樹脂及び金属アルコキシドが疎水性微粒子と混合されるような量であれば特に制限されないが、溶液中のバインダー樹脂及び金属アルコキシドの合計添加量:溶媒の混合比(重量比)が1:99〜50:50となるような量であることが好ましい。なお、上記(a)及び(c)において、バインダー樹脂を架橋剤と組み合わせ使用する場合の、架橋剤の添加量は、上記したようなバインダー樹脂との混合比となるような量であればよい。
また、コート剤を軟化処理した基材表面に塗布する方法は、特に制限されないが、例えば、スプレーコート(噴霧法)、ディップコート(浸漬法)、スピンコート、バーコート、ロールコート、スクリーン印刷などの方法が使用できる。塗布後、塗膜は、そのまま次工程の疎水性微粒子配置工程(体液成分付着防止層形成)に使用してもよいが、必要であれば、上記工程前に、塗膜を適宜乾燥してもよい。
(溝部の形成)
溝部の形成方法は、特に制限されない。具体的には、メッシュ、スタンプ、ニードル(けんざん)等を中間層または体液成分付着防止層に載置して、熱プレスする方法が使用できる。これらの材質は、特に制限されないが、熱プレスを行う場合では、耐熱性を有することが好ましい。具体的には、銅、ステンレス鋼、鉄、白金、金等の金属、ナイロン、ポリイミド等の樹脂などが使用できる。
また、熱プレス条件は、中間層または体液成分付着防止層中に所定の溝部を形成できる条件であれば特に制限されない。例えば、熱プレス温度は、常温から基材変形温度までであることが好ましいが、40〜140℃であることがより好ましく、50〜100℃であることが特に好ましい。また、熱プレス圧力は、0.1〜30MPaであることが好ましく、1〜20MPaであることがより好ましく、5〜15MPaであることが特に好ましい。熱プレス時間は、1〜30分であることが好ましく、3〜10分であることがより好ましい。
(疎水性微粒子の配置)
疎水性微粒子の配置(体液成分付着防止層の形成)方法は、特に制限されないが、例えば、疎水性微粒子の分散溶液を、スプレーコート(噴霧法)、ディップコート(浸漬法)、スピンコート、バーコート、ロールコート、スクリーン印刷などの方法によって、基材表面にコートした後、乾燥、加熱する方法が使用できる。ここで、疎水性微粒子を分散させる溶媒は、特に制限されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム等のハロゲン化物、ヘキサン等のオレフィン類、テトラヒドロフラン(THF)、ブチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類、などが挙げられる。溶液中の疎水性微粒子の分散量は、基材表面に十分量の疎水性微粒子を配置できる量であれば特に制限されず、基材表面の軟化条件、疎水性微粒子の種類及び粒径等によって、適宜選択される。具体的には、疎水性微粒子は、溶媒中に、好ましくは0.05〜20重量%、より好ましくは1〜9重量%の濃度になるように分散する。
疎水性微粒子を透明基材表面にコートした後、透明基材を乾燥・加熱する。これにより、疎水性微粒子から構成される体液成分付着防止層が透明基材上に形成される。ここで、疎水性微粒子の透明基材表面への配置量(塗布量)は、特に制限されない。膜強度、疎水性微粒子の保持性、体液成分付着防止効果、撥水性、耐久性などを考慮すると、0.005〜20mg/cmであることが好ましく、0.01〜10mg/cmであることがより好ましく、0.5〜5mg/cmであることが特に好ましい。また、乾燥・加熱条件は、特に制限されず、基材の耐熱性や溶媒の種類等によって適宜設定すれば良い。具体的には、乾燥・加熱温度は、溶媒の揮発温度以上300℃以下の範囲であることが好ましい。乾燥・加熱時間もまた、疎水性微粒子が基材表面に固着できる時間であれば特に制限されないが、0.5〜24時間が好ましく、1〜10時間がより好ましい。
疎水性微粒子の配置工程および溝部の形成工程の順番は、溝部の形成工程後に疎水性微粒子の配置工程を行ってもあるいは疎水性微粒子の配置工程後に溝部の形成工程を行ってもいずれでもよい。前者の場合には、所望の形状の溝部をより正確に形成でき、また溝部に選択的に疎水性微粒子を配置できる。また、後者の場合には、体液成分付着防止層(または中間層)上及び中双方に疎水性微粒子を保持できる。
上記方法のうち、(2)、(3)、(4)及び(6)の方法が好ましく、(4)及び(6)の方法がより好ましい。
[透明構造体]
本発明の透明構造体は、透明であるため、例えば、内視鏡のレンズ表面に適用された際に、十分な視認性を確保できる。ここで、透明構造体は、十分な視認性を達成できる程度の可視光透過率を示すものであればよいが、透明構造体は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上(上限:100%)の可視光透過率を有する。
また、本発明の透明構造体は、体液成分付着防止能及び撥水性に優れる。ここで、「体液成分付着防止能」または「体液成分付着防止効果」とは、生体由来の体液成分(粘液、血液など)が当該透明構造体に付着しにくいことを意味する。本明細書では、「体液成分付着防止能」または「体液成分付着防止効果」は、透明構造体表面へのアルブミン吸着量によって規定することもできる。具体的には、本発明の体液成分付着防止層を有する透明構造体は、水晶振動子マイクロバランス(QCM)の電極表面におけるアルブミン吸着量が、体液成分付着防止層を形成していない透明基材のアルブミン吸着量に対して1/5以下であることが好ましく、1/10以下であることがより好ましく、1/100以下(下限:0)であることが特に好ましい。このようなアルブミン吸着量は、本発明の透明構造体による150度以上の接触角によって、特に本発明の透明構造体による150度以上の接触角及び20度以下の転落角によって達成できる。ここで、「水晶振動子マイクロバランス(QCM)の電極表面におけるアルブミン吸着量」は、下記方法によって測定された周波数変化量(Frequency Shift)(Hz)によって求められる。すなわち、周波数変化量と付着物質量との関係は、Sauerbrey式で表され、付着物質量が増加すると周波数が減少し、付着物質量が減少すると周波数が増加する。この現象を利用して、透明構造体を形成した水晶振動子を、アルブミン水溶液中に浸漬させ、周波数変化量を検出することで、水晶振動子(電極)上での物質の質量変化(即ち、アルブミン吸量量)が算出できる。なお、下記方法では、1Hzの周波数減少(−1Hz)が、約1ngのアルブミンが水晶振動子(電極)上に形成した透明構造体に付着したことに相当する。
(水晶振動子マイクロバランス(QCM)の電極表面におけるアルブミン吸着量の測定方法)
水晶振動子マイクロバランス(QCM)電極を1重量%の水酸化カリウム溶液で親水化した後、ディップコーティングによりQCM電極上に、透明基材(透明基材層)及び体液付着防止層を形成する。透明基材及び体液付着防止層を形成したQCM電極をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に1時間浸漬し周波数を安定化した後、50μMに調整したアルブミン水溶液(BSA溶液)に1時間浸漬する。アルブミン水溶液に浸漬した瞬間の周波数(Hz)と、アルブミン水溶液に浸漬してから1時間後の周波数(Hz)との周波数変化量(Hz)を測定し、周波数変化量に相当する質量変化量をアルブミン吸着量(体液成分付着防止層のアルブミン吸着量)とする。同様にして、QCM電極に透明基材(透明基材層)のみを形成して、アルブミン吸着量を測定し、これを透明基材のアルブミン吸着量とする。両者の値を比較し、透明基材のアルブミン吸着量に対する体液成分付着防止層のアルブミン吸着量の割合を算出する。
また、「撥水性」は、水に対する接触角で表され、水に対する接触角が大きい場合に、撥水性を有すると称する。または、「撥水性」は、水に対する接触角及び転落角で表さることもあり、この場合には水に対する接触角が大きくかつ転落角が低い場合に、撥水性を有すると称する。具体的には、本発明の透明構造体の体液成分付着防止層は、水による接触角が150度以上の超撥水性を発揮でき、好ましくは水による接触角が150度以上でかつ転落角が20度以下の超撥水性を発揮できる。より好ましくは、本発明の透明構造体の体液成分付着防止層は、水による接触角が150度以上でかつ転落角が10度以下の超撥水性を発揮する。ここで、「水による接触角」は、バインダー樹脂の接触角と同様にして測定することができる。また、「転落角」は、固体板上に置いた液滴が転落し始めたときの固体板の角度として定義され、液滴を接触させた固体板を置いたステージを傾斜させて、液滴が転落したときにステージを停止し、その角度を測定して求めることができる。
[内視鏡]
上述したように、本発明の透明構造体は、優れた体液成分付着防止能及び撥水性を発揮できるため、内視鏡のレンズ表面にレンズカバーとして好適に使用できる。したがって、本発明は、被検部位を観察するための光学素子を遠位端に有する内視鏡であって、前記光学素子の表面に本発明の透明構造体が設けてなる内視鏡をも提供する。本発明によると、洗浄操作なしでも生体由来の体液成分(粘液、血液など)の付着を有効に抑制・防止して、内視鏡レンズを通じて良好な視認性を確保できる。
ここで、本発明の透明構造体は、いずれの内視鏡のレンズカバーとしても適用できる。すなわち、本発明の内視鏡は、レンズ表面に本発明の透明構造体をレンズカバーとして設置することに特徴があり、それ以外の内視鏡の構造には特徴がない。以下に、その好ましい一実施形態を、図15に示すが、本発明は当該形態に限定されない。
図15は、本発明の好ましい態様の内視鏡の先端部の構成の概略を示す拡大断面図である。図15において、本発明の内視鏡100の先端では、本発明の透明構造体は、対物レンズ101の先端(遠位端)のレンズカバー102としてまたは照明用レンズ103の先端(遠位端)にレンズカバー104として、設置できる。これにより、洗浄操作なしでも、生体由来の体液成分(粘液、血液など)がこれらのレンズカバー表面に付着することがないまたはほとんどないので、内視鏡レンズを通じて生体内を良好に視認できる。なお、図15では、送気・送液ノズル105が内視鏡先端に設置されているが、上述したように、本発明の内視鏡によれば、送気・送液ノズルによる洗浄操作なしでも、十分な視認性を確保できるため、送気・送液ノズル105は省略できる。また、送気・送液ノズル105が設置された場合には、本発明の透明構造体の撥水性により、このノズルから噴射される洗浄液がレンズカバー表面に付着することがないまたはほとんどない。このため、このような場合であっても、本発明の透明構造体をレンズカバーとして使用することにより、内視鏡レンズを通じて生体内を良好に視認できる。
また、本発明では、透明構造体の先端(遠位端)に凹部を設けてもよい。すなわち、本発明の透明構造体は、体液成分付着防止層表面からへこんだ凹部を有することが好ましい。このように凹形状のレンズカバーとすることで、液体と接した場合には、この凹部が空気溜まりのための空間となりうる。このため、内視鏡を体液に浸漬した場合であっても、内視鏡先端部(遠位端)に空気の層が形成され、この空気の層が生体由来の体液成分との接触を抑制・防止する。このため、当該構造をとることによって、生体由来の体液成分との接触がより有効に抑制・防止できるため、先端部がより汚染しにくくなり、より良好な視認性が達成できる。ここで、当該の凹形状としては、特に制限されないが、例えば、透明基材2及び体液成分付着防止層5双方が矩形状にくぼんだ構造を有する透明構造体1がレンズ10の先端に設置される形態(図14A);透明基材2及び体液成分付着防止層5双方が逆台形状にくぼんだ構造を有する透明構造体1がレンズ10先端に設置される形態(図14B);体液成分付着防止層5のみが矩形状にくぼんだ構造を有する透明構造体1がレンズ10先端に設置される形態(図14C);および体液成分付着防止層5のみが逆台形状にくぼんだ構造を有する透明構造体1がレンズ10先端に設置される形態(図14D)などが挙げられる。
なお、本発明の透明基材の表面の少なくとも一部に疎水性微粒子を有する体液成分付着防止層を配置してなる透明構造体は、上述の内視鏡のレンズ表面レンズカバー以外にも、透明であり体液と接触しうる部材に適宜使用することができる。具体的には、本発明の透明構造体、栄養カテーテル、吸引カテーテル、導尿カテーテルなどの各種体腔、臓器、組織内に挿入ないし留置されるカテーテル・チューブ類、血液バッグや輸血用チューブ類、体外循環治療用の医療器(人工肺、人工心臓、人工腎臓など)やその回路類、体液成分を採取・分析するための採取装置や分析装置類などにも適用できる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
実施例1
透明基材としてのPMMA基材(厚み:0.2mm)を、エタノールと混合した30体積%ジクロロメタン溶液に浸漬して、基材表面を軟化させた。なお、当該軟化処理は、PMMA基材の重量が0.3mg/cm減少するように行った。このようにして表面を軟化処理したPMMA基材を、金属アルコキシドとしてのテトラエトキシシランとエタノールとの混合溶液(テトラエトキシシラン:エタノールの混合比=7:93(重量比))に浸漬した後、引き上げた。この際、浸漬は、金属アルコキシドの配置量(塗布量)が0.16mg/cmとなるように行った。次に、テトラエトキシシランがコートされたPMMA基材を、4重量%疎水性シリカエタノール分散液に浸漬した後、引き上げた。この際、浸漬は、疎水性シリカ微粒子の配置量(塗布量)が0.65mg/cmとなるように行った。この疎水性シリカ微粒子がコートされたPMMA基材を、140℃で1時間加熱することによって、疎水性シリカ微粒子及びテトラエトキシシランを含む体液成分付着防止層をPMMA基材上に形成した。なお、本実施例で使用した疎水性シリカ微粒子として、日本アエロジル株式会社製のAEROSIL(登録商標) RX200(平均粒子径(一次粒子の平均粒子径(直径)):12nm、トリメチルシリル基で表面処理されたシリカ粒子)(以下、「疎水性シリカ微粒子 RX200」とも称する)を使用した。
さらに、体液成分付着防止層が表面に形成されたPMMA基材に、Cu製メッシュを載置して、100℃の温度及び10MPaの圧力で3分間熱プレスした。これにより、体液成分付着防止層表面に、間隔400μm、幅100μm及び深さ10μmの溝部が形成された。本実施例で得られたものを、透明構造体(1)と称する。
この透明構造体(1)の体液成分付着防止層は、水による接触角が150度以上及び転落角が10度以下の超撥水性を発揮した。また、この透明構造体(1)を、SEM及びレーザー顕微鏡にて観察し、その結果を図3A及び図3Bにそれぞれ示す。図3から、本発明の透明構造体(1)表面には、疎水性微粒子により多数の微細な凹凸構造が、また、Cuメッシュにより溝部が形成されていることが分かる。また、透明構造体(1)の断面を観察したところ、疎水性シリカ微粒子は、図1Eに示されるように、一部が体液成分付着防止層(溝部を含む)表面から露出し、一部が体液成分付着防止層(溝部を含む)中に埋設された状態で体液成分付着防止層を形成していることが観察された。透明構造体(1)について、下記方法に従って、可視光透過率及び血液汚染防止能を評価した。その結果、透明構造体(1)の可視光透過率は90%であり、透明構造体(1)は高い透明性を有していることが分かった。また、図4に示されるように、透明構造体(1)は、一部に血液の付着が認められるものの、大部分の領域で血液の付着が抑制された。
<可視光透過率の測定>
各透明構造体について、400〜800nmの波長域での透過率を測定し、その平均値を可視光透過率とした。
<血液汚染防止能の評価>
各透明構造体を、ヒト全血(ヘパリン添加量:0.75unit/mL)中に1分間浸漬し、取り出した後の外観を肉眼で観察した。
実施例2
バインダー樹脂としてアクリルシリコーン樹脂(マイブロックワコー101、和光純薬社製)及び金属アルコキシドとしてのテトラエトキシシランとを、50:50(=アクリルシリコン樹脂:テトラエトキシシランの重量比)の割合で混合し、この混合物をエタノールで5倍希釈して、コート剤を調製した。なお、本実施例で使用されたアクリルシリコーン樹脂について、バインダー樹脂の接触角は90度であった。このコート剤中に、透明基材としてのPMMA基材(厚み:2mm)を浸漬した後、引き上げた。また、浸漬は、バインダー樹脂の配置量(塗布量)が1.5mg/cmとなるように行った。次に、コート剤をコートしたPMMA基材を80℃で2時間加熱して、中間層を基材表面に形成した。
このようにして中間層が形成されたPMMA基材に、ナイロン製メッシュを載置して、80℃の温度及び10MPaの圧力で、5分間熱プレスした。これにより、体液成分付着防止層表面に、間隔170μm、幅90μm及び深さ18μmの溝部が形成された。
このようにして中間層に溝部が形成されたPMMA基材を、実施例1と同様の疎水性シリカエタノール分散液に浸漬した後、引き上げた。このPMMA基材を、80℃で1時間加熱することによって、疎水性シリカ微粒子 RX200、アクリルシリコーン樹脂及びテトラエトキシシランを含む体液成分付着防止層をPMMA基材上に形成した。この際、浸漬は、疎水性シリカ微粒子の配置量(塗布量)が0.68mg/cmとなるように行った。本実施例で得られたものを、透明構造体(2)と称する。
この透明構造体(2)の体液成分付着防止層は、水による接触角が150度以上及び転落角が10度以下の超撥水性を発揮した。また、この透明構造体(2)を、SEM及びレーザー顕微鏡にて観察し、その結果を図5A及び図5Bにそれぞれ示す。図5から、本発明の透明構造体(2)表面には、疎水性微粒子により多数の微細な凹凸構造が、また、ナイロンメッシュにより溝部が形成されていることが分かる。また、透明構造体(2)の断面を観察したところ、疎水性シリカ微粒子は、図2Hに示されるように、一部が体液成分付着防止層(溝部を含む)表面から露出し、一部が体液成分付着防止層(溝部を含む)中に埋設されていることが観察された。さらに、透明構造体(2)について、実施例1と同様の方法で、可視光透過率及び血液汚染防止能を評価した。その結果、透明構造体(2)の可視光透過率は80%であった。また、図6に示されるように、透明構造体(2)は、全面にわたって血液の付着が見られなかった。
実施例3
実施例2と同様のアクリルシリコーン樹脂100重量部に、イソシアネート系架橋剤として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート20重量部を混合し、この混合物と同量の酢酸ブチルで希釈して、コート剤を調製した。このコート剤中に、透明基材としてのPMMA基材(厚み:2mm)を浸漬した後、引き上げた。次に、コート剤をコートしたPMMA基材を室温で12時間乾燥して、中間層を基材表面に形成した。この際、浸漬は、中間層の製膜量が0.68mg/cmとなるように行った。
このようにして中間層が表面に形成されたPMMA基材を、実施例1と同様の疎水性シリカエタノール分散液に浸漬した後、引き上げた。このPMMA基材を、80℃で5時間加熱することによって、疎水性シリカ微粒子 RX200及びアクリルシリコーン樹脂を含む体液成分付着防止層をPMMA基材上に形成した。この際、浸漬は、疎水性シリカ微粒子の配置量(塗布量)が0.82mg/cmとなるように行った。本実施例で得られたものを、透明構造体(3)と称する。
この透明構造体(3)の体液成分付着防止層は、水による接触角が150度以上及び転落角が10度以下の超撥水性を発揮した。また、この透明構造体(3)を、SEM及びレーザー顕微鏡にて観察し、その結果を図7A及び図7Bにそれぞれ示す。図7から、本発明の透明構造体(3)表面には、疎水性微粒子により多数の微細な凹凸構造が形成されていることが分かる。また、透明構造体(3)の断面を観察したところ、疎水性シリカ微粒子は、図1Cに示されるように、一部が体液成分付着防止層表面から露出し、一部が体液成分付着防止層中に埋設されていることが観察された。さらに、透明構造体(3)について、実施例1と同様の方法で、可視光透過率及び血液汚染防止能を評価した。その結果、透明構造体(3)の可視光透過率は86%であった。また、図8に示されるように、透明構造体(3)は、全面にわたって血液の付着が見られなかった。
実施例4
透明基材としてのPMMA基材(厚み:0.2mm)に、ナイロン製メッシュを載置して、100℃の温度及び15MPaの圧力で、10分間熱プレスした。これにより、PMMA基材表面に、間隔40μm、幅25μm及び深さ8μmの溝部が形成された。熱プレス後すみやかに、このPMMA基材を、実施例1と同様の疎水性シリカエタノール分散液に浸漬した後、引き上げた。このPMMA基材を、80℃で1時間加熱することによって、PMMA基材上に疎水性シリカ微粒子 RX200から構成される体液成分付着防止層を形成した。この際、浸漬は、疎水性シリカ微粒子の配置量(塗布量)が0.64mg/cmとなるように行った。本実施例で得られたものを、透明構造体(4)と称する。
この透明構造体(4)の体液成分付着防止層は、水による接触角が150度以上及び転落角が10度以下の超撥水性を発揮した。また、この透明構造体(4)を、SEM及びレーザー顕微鏡にて観察し、その結果を図9A及び図9Bにそれぞれ示す。図9から、本発明の透明構造体(4)表面には、疎水性微粒子により多数の微細な凹凸構造が形成されていることが分かる。また、透明構造体(4)の断面を観察したところ、疎水性シリカ微粒子は、図1Dに示されるように、一部が基材表面(溝部を含む)から露出し、一部が基材(溝部を含む)中に埋設されていることが観察された。さらに、透明構造体(4)について、実施例1と同様の方法で、可視光透過率及び血液汚染防止能を評価した。その結果、透明構造体(4)の可視光透過率は68%であった。また、図10に示されるように、透明構造体(4)は、極一部の表面を除き、血液の付着は見られなかった。
実施例5
実施例2と同様のアクリルシリコーン樹脂100重量部に、実施例3と同様のイソシアネー系架橋剤20重量部を混合し、この混合物と同量の酢酸ブチルで希釈して、コート剤を調製した。このコート剤中に、透明基材としてのPMMA基材(厚み:0.2mm)を浸漬した後、引き上げた。次に、コート剤をコートしたPMMA基材を室温で12時間乾燥して、中間層を基材表面に形成した。この際、浸漬は、中間層の製膜量が0.67mg/cmとなるように行った。
このようにして中間層が表面に形成されたPMMA基材に、SUS製メッシュを載置して、100℃の温度及び15MPaの圧力で、3分間、熱プレスした。これにより、中間層表面に、間隔40μm、幅25μm及び深さ13μmの溝部が形成された。次に、このPMMA基材を、実施例1と同様の疎水性シリカエタノール分散液に浸漬した後、引き上げた。このPMMA基材を、80℃で1時間加熱することによって、PMMA基材上に疎水性シリカ微粒子 RX200から構成される体液成分付着防止層を形成した。この際、浸漬は、疎水性シリカ微粒子の配置量(塗布量)が0.82mg/cmとなるように行った。本実施例で得られたものを、透明構造体(5)と称する。
この透明構造体(5)の体液成分付着防止層は、水による接触角が150度以上及び転落角が10度以下の超撥水性を発揮した。また、この透明構造体(5)を、SEM及びレーザー顕微鏡にて観察し、その結果を図11A及び図11Bにそれぞれ示す。図11から、本発明の透明構造体(5)表面には、疎水性微粒子により多数の微細な凹凸構造が、また、SUSメッシュにより溝部が形成されていることが分かる。また、透明構造体(5)の断面を観察したところ、疎水性シリカ微粒子は、図2Hに示されるように、一部が体液成分付着防止層表面(溝部を含む)から露出し、一部が体液成分付着防止層(溝部を含む)中に埋設されていることが観察された。さらに、透明構造体(5)について、実施例1と同様の方法で、可視光透過率及び血液汚染防止能を評価した。その結果、透明構造体(5)の可視光透過率は70%であった。また、図12に示されるように、透明構造体(5)は、表面の一部に血液の付着がみられたものの、大部分の領域で血液の付着が抑制された。
実施例6
5重量%の水酸化カリウム水溶液で親水化処理した水晶振動子マイクロバランス(QCM)電極を、PMMAを溶解したジクロロメタン溶液に浸漬させ、QCM電極上にPMMA(透明基材)薄膜を形成した。その後、実施例1と同様の疎水性シリカエタノール分散液に浸漬した後、引き上げて、透明基材上に体液付着防止層を作製した。この際、浸漬は、疎水性シリカ微粒子の配置量(塗布量)が0.82mg/cmとなるように行った。QCM電極上に作成された透明構造体を、透明構造体(6)と称する。このQCM電極を、リン酸緩衝生理食塩水に1時間浸漬して周波数を安定化した後、50μMに調整したアルブミン水溶液(BSA溶液)に1時間浸漬した。アルブミン水溶液浸漬直後からの電極表面における周波数変化を測定し、その変化量(周波数変化量)を算出した。同様に、PMMA薄膜のみを形成したQCM電極を作製し、アルブミン水溶液中での周波数変化を測定した。結果を図13に示す。なお、図13において、黒丸(●)は体液付着防止層を有するQCM電極(透明構造体(6))の周波数変化量であり、白丸(○)は透明基材(PMMA薄膜)のみを有するQCM電極の周波数変化量である。図13から明らかなように、透明構造体のみを有するQCM電極では3600秒後の周波数変化量は130Hzであったのに対して、透明構造体(6)では3600秒後の周波数変化量が25Hzであった、即ち、水晶振動子マイクロバランス(QCM)の電極表面におけるアルブミン吸着量は、体液付着防止層を形成させることにより、1/5以下に減少した。この結果より、本発明の透明構造体によれば、アルブミンの吸着を有意に抑制・防止でき、その抑制・防止効果は経時的に維持できることが示唆される。
実施例7
上記実施例3及び5で得られた透明構造体(3)及び(5)について、下記方法に従って図16に示される摩擦測定機(トリニティーラボ社製、ハンディートライボマスターTL201)20を用いて、耐久性を評価した。すなわち、各透明構造体21をシャーレ22中に固定し透明構造体21全体が浸る高さの純水23中に浸漬した。このシャーレ22を、摩擦測定機20の移動テーブル24に載置した。ガーゼをかぶせたSUS製R形状接触子(幅10mm、R12mm)25を透明構造体21に接触させ、端子25上に100gの荷重26をかけた。速度5mm/秒、移動距離10mmの設定で、移動テーブル24を水平に10回往復移動させ、0回(往復移動前)、5回及び10回往復移動時の接触角[度]を測定した。なお、本評価での擦過時の抵抗値は約60gfであった。評価結果を図17に示す。図17に示されるように、溝部のない透明構造体(3)及び体液成分付着防止層に溝部が形成された透明構造体(5)は、耐久性評価前(往復移動0回)にはほぼ同等の接触角を示したが、体液成分付着防止層に溝部が形成された透明構造体(5)の方が、溝部のない透明構造体(3)に比べて、摩擦(往復移動)中の接触角の低下を抑制できることが分かる。これから、体液成分付着防止層に溝部を形成することによって、耐久性を向上できることが考察される。
1…透明構造体、
2…透明基材、
3…疎水性微粒子、
4…中間層、
5…体液成分付着防止層、
6…溝部。

Claims (7)

  1. 透明基材の表面の少なくとも一部に疎水性微粒子を有する体液成分付着防止層を配置してなる透明構造体。
  2. 前記透明基材または体液成分付着防止層は、表面に間隔0.1〜600μm以下、幅0.1〜200μm以下および深さ0.1〜50μm以下の溝部を有する、請求項1に記載の透明構造体。
  3. 前記体液成分付着防止層は、バインダー樹脂を含む、請求項1または2に記載の透明構造体。
  4. 前記透明構造体は、下記(1)〜(6)のいずれかの方法によって製造される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明構造体:
    (1)透明基材表面を軟化処理した後、前記軟化表面に疎水性微粒子を配置する;
    (2)透明基材表面を軟化処理し、前記軟化表面に疎水性微粒子を配置して体液成分付着防止層を形成した後、前記体液成分付着防止層表面に間隔0.1〜600μm、幅0.1〜200μm及び深さ0.1〜50μmの溝部を形成する;
    (3)中間層を有する透明基材を用意し、前記中間層表面に疎水性微粒子を配置する;
    (4)中間層を有する透明基材を用意し、前記中間層表面に間隔0.1〜600μm、幅0.1〜200μm及び深さ0.1〜50μmの溝部を形成した後、前記溝部形成面に疎水性微粒子を配置する;
    (5)中間層を有する透明基材を用意し、前記基材表面に疎水性微粒子を配置して体液成分付着防止層を形成した後、前記体液成分付着防止層表面に間隔0.1〜600μm、幅0.1〜200μm及び深さ0.1〜50μmの溝部を形成する;または
    (6)透明基材表面に間隔間隔0.1〜600μm、幅0.1〜200μm及び深さ0.1〜50μmの溝部を形成した後、前記溝部形成面に疎水性微粒子を配置する。
  5. 前記体液成分付着防止層表面からへこんだ凹部を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明構造体。
  6. 前記体液成分付着防止層は、水晶振動子マイクロバランス(QCM)の電極表面におけるアルブミン吸着量が前記透明基材の透明基材のアルブミン吸着量に対して1/5以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明構造体。
  7. 被検部位を観察するための光学素子を遠位端に有する内視鏡であって、前記光学素子の表面に請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明構造体が設けられてなる内視鏡。
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