JP2014081311A - レーダ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成を用いて、ターゲットにより反射された反射波信号のコヒーレント積分利得を向上する。
【解決手段】レーダ送信部は、送信信号を高周波のレーダ送信信号に変換して送信アンテナから送信する。少なくとも1個のレーダ受信部は、受信アンテナを用いて、ターゲットにより反射された前記レーダ送信信号である反射波信号を受信する。相関演算部は、受信信号と送信信号との相関値を、レーダ送信信号の送信周期毎に演算する。ドップラ周波数検出部は、(Np×Nc:Np、Ncは、1以上の整数)個の相関値を、異なる複数のドップラ周波数に応じたドップラ位相回転の補正量を用いてコヒーレント積分する。
【選択図】図2
【解決手段】レーダ送信部は、送信信号を高周波のレーダ送信信号に変換して送信アンテナから送信する。少なくとも1個のレーダ受信部は、受信アンテナを用いて、ターゲットにより反射された前記レーダ送信信号である反射波信号を受信する。相関演算部は、受信信号と送信信号との相関値を、レーダ送信信号の送信周期毎に演算する。ドップラ周波数検出部は、(Np×Nc:Np、Ncは、1以上の整数)個の相関値を、異なる複数のドップラ周波数に応じたドップラ位相回転の補正量を用いてコヒーレント積分する。
【選択図】図2
Description
本開示は、ターゲットに反射された反射波信号を基にしてターゲットを検出するレーダ装置に関する。
レーダ装置は、高周波のレーダ送信信号を測定地点から空間に送信し、ターゲットに反射された反射波信号を受信し、測定地点とターゲットとの距離、方向のうち、少なくとも1つを測定する。近年、マイクロ波又はミリ波を含む波長の短いレーダ送信信号を用いて、自動車及び歩行者を含むターゲットまでの距離又は到来方向を高分解能に推定するレーダ装置の要請が高い。
従来のレーダ装置は、例えば送信側において送信周期Tr毎にパルス圧縮符号を繰り返して送信する場合、受信側においてパルス圧縮処理により算出された相関演算値を複数回加算処理する。これにより、ターゲットからの反射波信号の受信SNR(signal to noise ratio)が改善する。加算処理の一例として、相関演算値における位相成分がほぼ同位相とみなせる場合に相関演算値を複数回加算処理するコヒーレント積分が用いられる。
例えば、パルス圧縮処理により算出された相関演算値のうち、時間相関が高い期間(Nc×Tr)では、相関演算値のI成分及びQ成分毎にコヒーレント積分が可能である。Ncは、コヒーレント積分回数を示し、ターゲットの想定最大移動速度に依存して設定される。Trは送信周期[秒]である。コヒーレント積分により、受信SNR[dB]が、コヒーレント積分利得Gc[dB]分の改善が可能となる(数式(1)参照)。ターゲットが静止しているような理想的な状態では、コヒーレント積分利得Gcは、数式(2)により示される。
一方、ターゲットの想定最大移動速度が大きい状態では、ターゲットからの反射波信号に含まれるドップラ周波数の変動が大きくなり、時間相関の高い期間が短くなる。即ち、コヒーレント積分数Ncが小さくなり、数式(2)によってコヒーレント積分による利得Gcが小さくなり、数式(1)において、コヒーレント積分によるSNRの向上効果が小さくなる。
例えば特許文献1では、送受信手段から入力した受信信号が低次高域除去フィルタによって高周波クラッタ成分が除去され、高周波クラッタ成分の除去後の受信信号がコヒーレント積分処理部においてコヒーレント積分されるレーダ信号処理装置が開示されている。
更に、レーダ信号処理装置は、コヒーレント積分処理後の受信信号に対し、フーリエ変換処理部(FFT処理部)においてフーリエ変換処理(FFT処理)し、周波数スペクトルを算出する。周波数スペクトル上でのピークスペクトラムは、フーリエ変換処理(FFT)点数に比例したコヒーレント加算利得が得られる。
特許文献1では、フーリエ変換処理(FFT処理)前にコヒーレント積分処理するため、コヒーレント積分処理部におけるコヒーレント積分によりデータレートが低減される。このため、フーリエ変換処理(FFT処理)部では、フーリエ変換処理(FFT処理)点数が少なくなり、処理量が少なくなる。
しかし、特許文献1に示すレーダ信号処理装置では、コヒーレント積分処理部におけるコヒーレント積分の積分回数は想定するターゲットの移動速度により上限がある。従って、コヒーレント積分利得による受信SNRを更に改善するためには、フーリエ変換処理(FFT処理)部におけるフーリエ変換処理(FFT処理)点数を増加する必要がある。あるいは、特許文献1に示すレーダ信号処理装置では、周波数分解能を高めるためは、周波数ビン数を多くする必要がある。フーリエ変換処理(FFT処理)点数を増加する場合、あるいは周波数ビン数を多くする場合は、フーリエ変換処理部(FFT処理部)の回路構成が複雑化するという課題があった。
本開示は、上述した従来の課題を解決するために、従来のフーリエ変換処理(FFT処理)部に比べ、簡易なフーリエ変換(FFT)構成を用いて、フーリエ変換によるコヒーレント積分利得を向上するレーダ装置を提供することを目的とする。
本開示は、送信信号を高周波のレーダ送信信号に変換し、前記レーダ送信信号を送信アンテナから送信するレーダ送信部と、受信アンテナを用いて、ターゲットにより反射された前記レーダ送信信号である反射波信号を受信する少なくとも1個のレーダ受信部と、を含み、前記レーダ受信部は、受信信号と前記送信信号との相関値を、前記レーダ送信信号の送信周期毎に演算する相関演算部と、演算された(Np×Nc:Np、Ncは、1以上の整数)個の前記相関値を、異なる複数のドップラ周波数に応じたドップラ位相回転の補正量を用いてコヒーレント積分するドップラ周波数検出部と、を有するレーダ装置である。
本開示によれば、簡易なフーリエ変換(FFT)構成を用いて、フーリエ変換によるコヒーレント積分利得を向上できる。
(本開示に係るレーダ装置の各実施形態の内容に至る経緯)
先ず、本開示に係るレーダ装置の各実施形態の内容を説明する前に、本開示に係るレーダ装置の各実施形態の内容に至る経緯について説明する。
先ず、本開示に係るレーダ装置の各実施形態の内容を説明する前に、本開示に係るレーダ装置の各実施形態の内容に至る経緯について説明する。
Nd回のパルス圧縮符号の送信区間(Nd×Tr)に対し、特定の離散時刻においてパルス圧縮されたNd個の相関値、又はNd個の相関値を単位とした所定回のコヒーレント積分出力(特許文献1参照)を用いてフーリエ変換すると、ターゲットからの反射波信号に含まれるドップラスペクトルが周波数領域信号から観測できる。レーダ装置は、ドップラスペクトル上のピーク周波数成分を、コヒーレント積分による利得向上効果が得られた信号成分として検出できる。なお、フーリエ変換は、「FFT」(Fast Fourier Transform)又は「DFT」(Discrete Fourier Transform)のアルゴリズムが用いられる。
レーダ装置は、ターゲットの移動に伴うドップラ周波数の変移に基づくドップラ位相変動がターゲットからの反射波信号に含まれる場合、フーリエ変換を用いたコヒーレント積分によってドップラスペクトルのピークを検出することで、ドップラ位相変動に応じたコヒーレント積分が可能となる。
ドップラスペクトルの広がりが十分に小さい場合、フーリエ変換サイズに相当するコヒーレント積分区間に拘わらず、レーダ装置は、コヒーレント積分による理想的な利得向上効果(数式(1)参照)が得られる。特に、ドップラスペクトルが線スペクトルによって近似できる場合には、レーダ装置は、フーリエ変換を用いたコヒーレント積分回数Ndに対し、数式(3)に示すコヒーレント積分効果による利得Gd[dB]が得られる。
しかし、フーリエ変換を用いてコヒーレント積分する場合、フーリエ変換サイズに相当するコヒーレント積分回数Nd又はフーリエ変換における周波数軸上の周波数ビン数Nfが大きくなると、コヒーレント積分利得又は周波数分解能が向上するが、レーダ装置の回路構成が複雑化するという課題がある。
フーリエ変換のアルゴリズムのうち、FFT(高速フーリエ変換)について説明する。例えば、フーリエ変換として、2のべき乗となるNd個の特定の離散時刻においてパルス圧縮された相関値を用いてFFT(高速フーリエ変換)した場合、FFTの演算量は数式(4)により示される。例えばNd=128では、FFTにおける複素乗算回数は448となり、実数乗算器は448×4=1792個が必要となる。
図8は、本発明者らによる先願のレーダ装置のレーダ受信部Rxxにおける動作の流れの一部を示す説明図である。図8に示すレーダ受信部Rxxは、A/D変換部101a,101b、相関演算部102、コヒーレント積分部103、ドップラ位相回転テーブル104、Nf(=2NL)個の乗算器MX#NL,MX#NL−1〜MX#−NL+1、Nf(=2NL)個のドップラコヒーレント加算バッファBF#NL,BF#NL−1〜BF#−NL+1、絶対値算出部105及びピークドップラ出力選択部106を含む。
A/D変換部101aには、直交検波後のベースバンドの受信信号のうち同相信号(I信号)が入力される。A/D変換部101bには、直交検波後のベースバンドの受信信号のうち直交信号(Q信号)が入力される。
図8に示すレーダ受信部Rxxにおいて、複数の異なるドップラ周波数q毎に設けられた各乗算器MX#NL,MX#NL−1〜MX#−NL+1は、離散時刻k毎に順次出力されるコヒーレント積分結果h(k)に、ドップラ周波数qに応じたドップラ位相回転ベクトルD(k,q)を乗算する。ドップラ位相回転ベクトルD(k,q)は、数式(5)により示され、ドップラ位相回転テーブル104に記憶されている。
離散時刻kは、k=0,…,Nd−1である。qはドップラ周波数の序数を表し、q=−NL+1,…,0,…,NL−2,NL−1,NLである。Nfは周波数ビン数を示し、Nf=2NLである。Δθは周波数分解能を示す。各乗算器MX#NL,MX#NL−1〜MX#−NL+1における乗算処理結果は、各乗算器MX#NL,MX#NL−1〜MX#−NL+1に対応して設けられた各ドップラコヒーレント加算バッファBF#NL,BF#NL−1〜BF#−NL+1に出力される。
各ドップラコヒーレント加算バッファBF#NL,BF#NL−1〜BF#−NL+1は、離散時刻k=0,…,Nd−1を揃えた数式(6)に示す演算処理結果によって、ドップラ位相回転ベクトルD(k,q)が乗算されたコヒーレント積分結果h(k)を、ドップラ周波数q毎に更にコヒーレント積分する。
数式(6)の演算によって、周波数ビン数に相当するNf個の乗算回路を用いることでフーリエ変換が可能となり、例えばNf=128では、フーリエ変換における複素乗算回数は128となり、実数乗算器は128×4=512個が必要となる。即ち、図8に示すレーダ装置は、フーリエ変換に2のべき乗となるNd個の特定の離散時刻においてパルス圧縮された相関値を用いてFFTした場合に比べて、フーリエ変換に必要な実数乗算器の個数を低減できる。
以下、フーリエ変換を用いてコヒーレント積分する場合に、図8に示すレーダ装置のレーダ受信部の構成に比べて、更に回路構成を簡易化してフーリエ変換によるコヒーレント積分利得を得るレーダ装置の例を説明する。
(本開示に係るレーダ装置の各実施形態)
次に、本開示に係るレーダ装置の各実施形態について、図面を参照して説明する。
次に、本開示に係るレーダ装置の各実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態のレーダ装置1の構成及び動作について、図1〜図5を参照して説明する。図1は、第1の実施形態のレーダ装置1の内部構成を簡略に示すブロック図である。図2は、第1の実施形態のレーダ装置1の内部構成を詳細に示すブロック図である。図3は、レーダ送信信号の送信区間Twと送信周期Trとの関係を示す説明図である。図4は、送信信号生成部2の他の内部構成を詳細に示すブロック図である。図5は、レーダ送信信号と、遅延時間τ1の受信信号と、遅延時間τ2の受信信号との関係を示す図である。
第1の実施形態のレーダ装置1の構成及び動作について、図1〜図5を参照して説明する。図1は、第1の実施形態のレーダ装置1の内部構成を簡略に示すブロック図である。図2は、第1の実施形態のレーダ装置1の内部構成を詳細に示すブロック図である。図3は、レーダ送信信号の送信区間Twと送信周期Trとの関係を示す説明図である。図4は、送信信号生成部2の他の内部構成を詳細に示すブロック図である。図5は、レーダ送信信号と、遅延時間τ1の受信信号と、遅延時間τ2の受信信号との関係を示す図である。
レーダ装置1は、レーダ送信部Txにより生成された高周波のレーダ送信信号を送信アンテナAnt−Txから送信(放射)する。レーダ装置1は、ターゲット(不図示)により反射されたレーダ送信信号である反射波信号を、図1に示す受信アンテナAnt−Rxにおいて受信する。レーダ装置1は、受信アンテナAnt−Rxにおいて受信された反射波信号を信号処理することで、ターゲットの有無を検出する。
なお、ターゲットはレーダ装置1が検出する対象の物体であり、例えば自動車又は人を含み、以下の各実施形態においても同様である。なお、受信アンテナAnt−Rxは受信アンテナ素子でも良い。
(レーダ装置1)
先ず、レーダ装置1の各部の構成について簡略に説明する。
先ず、レーダ装置1の各部の構成について簡略に説明する。
図1に示すレーダ装置1は、レーダ送信部Tx及びレーダ受信部Rxを含む。レーダ送信部Txは、送信信号生成部2と、送信アンテナAnt−Txが接続された送信RF部7とを有する。レーダ送信部Tx及びレーダ受信部Rxは、基準信号発振器Loに接続され、基準信号発振器Loから信号の供給を受け、同期して動作する。
レーダ受信部Rxは、受信アンテナAnt−Rxが接続された受信RF部10と、信号処理部11とを有する。信号処理部11は、少なくとも相関演算部17と、ドップラ周波数検出部19とを有する。
(レーダ送信部Txの各部の構成)
次に、レーダ送信部Txの各部の構成について、図2を参照して詳細に説明する。
次に、レーダ送信部Txの各部の構成について、図2を参照して詳細に説明する。
図2に示すレーダ送信部Txは、送信信号生成部2と、送信アンテナAnt−Txが接続された送信RF部7とを有する。送信信号生成部2は、符号生成部3と、変調部4と、LPF(Low Pass Filter)5と、D/A(Digital to Analog)変換部6とを有する。図2に示す送信信号生成部2はLPF5を有するが、LPF5は、送信信号生成部2と独立してレーダ送信部Txに設けられても良い。送信RF部7は、周波数変換部8と、増幅器9とを有する。
(レーダ送信部Txの各部の動作)
次に、レーダ送信部Txの各部の動作について詳細に説明する。
次に、レーダ送信部Txの各部の動作について詳細に説明する。
送信信号生成部2は、基準信号発振器Loにより生成されたリファレンス信号に基づいて、リファレンス信号を所定倍に逓倍した送信基準クロック信号を生成する。送信信号生成部2の各部は、生成された送信基準クロック信号に基づいて動作する。
送信信号生成部2は、符号長Lの符号系列anの変調によって、数式(7)に示すベースバンドのパルス圧縮符号(送信信号)r(k,M)を周期的に生成する。n=1〜Lの整数であり、Lは符号系列anの符号長を示す。jはj2=−1を満たす虚数単位である。Mはレーダ送信信号の送信周期Trの序数を示す。
数式(7)に示すベースバンドの送信信号r(k,M)は、第M番目の送信周期Trの離散時刻kにおける送信信号を示し、同相信号成分I(k,M)と、虚数単位jが乗算された直交信号成分Q(k,M)との加算処理結果として表される。
送信信号生成部2により生成される送信信号は、例えば各送信周期Trの送信区間Tw[秒]では、符号長Lの符号系列anに対して、1つの符号あたり送信基準クロック信号のNo[個]のサンプルを用いて変調されている。送信信号生成部2におけるサンプリングレートは(No×L)/Twであり、図3に示す送信区間Twでは、Nr(=No×L)のサンプルを用いて変調されている。また、各送信周期Trの非送信区間(Tr−Tw)[秒]では、ベースバンドの送信信号としてNu[個]のサンプルを用いて変調されている。kは、1から(Nr+Nu)までの値であり、送信信号の生成のための変調タイミングを表す離散時刻である。
符号生成部3は、送信周期Tr毎に、符号長Lの符号系列anのパルス圧縮用の送信符号を生成する。符号系列anの要素は、例えば、[−1,1]の2値、若しくは[1,−1,j,−j]の4値を用いて構成される。送信符号は、レーダ送信信号が低サイドローブ特性を有するために、例えばBarker符号系列、M系列符号、スパノ符号を構成する符号系列のうち少なくとも1つを含む符号、及び相補符号のペアを構成する符号系列のうちいずれか1つを含む符号であることが好ましい。符号生成部3は、生成された符号系列anの送信符号を変調部4に出力する。以下、符号系列anの送信符号を、便宜的に送信符号anと記載する。
なお、符号生成部3は、送信周期Trにおいて、送信符号anとして相補符号(例えば符号Pn,Qn)のペアのいずれかを生成する場合、2個の送信周期(2Tr)を用いて、相補符号のペアとなる符号Pn,Qnを送信周期毎に交互に生成する。
即ち、符号生成部3は、第M番目の送信周期(Tr)において、パルス圧縮符号an(M)として符号Pnを生成し、続く第(M+1)番目の送信周期(Tr)ではパルス圧縮符号an(M+1)として、符号Qnを生成する。これ以後、符号生成部3は、第(M+2)番目以降の送信周期では、第M番目の送信周期及び第(M+1)の2個の送信周期を単位として、同様に符号Pn,符号Qnの順に繰り返して生成する。
変調部4は、符号生成部3により出力された送信符号anのパルス変調によって、数式(7)に示されるベースバンドの送信信号r(k,M)を生成する。なお、パルス変調とは、振幅変調、ASK(Amplitude Shift Keying))又は位相変調(PSK(Phase Shift Keying)であり、以下の各実施形態においても同様である。
例えば位相変調(PSK)は、符号系列anが例えば[−1,1]の2値の位相変調ではBPSK(Binary Phase Shift Keying)となり、符号系列anが例えば[1,−1,j,−j]の4値の位相変調ではQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)若しくは4相PSKとなる。即ち、位相変調(PSK)では、IQ平面上のコンスタレーションにおける所定の変調シンボルが割り当てられる。
変調部4は、生成された送信信号r(k,M)のうち予め設定された制限帯域以下の送信信号を、LPF5を介してD/A変換部6に出力する。なお、LPF5は送信信号生成部2において省略し、D/A変換部6の後段においても良く、以下の各実施形態でも同様である。
D/A変換部6は、変調部4から出力されたデジタルの送信信号r(k,M)をアナログの送信信号に変換する。D/A変換部6は、アナログの送信信号を送信RF7に出力する。
送信RF部7は、基準信号発振器Loにより生成されたリファレンス信号に基づいて、リファレンス信号を所定倍数に逓倍したキャリア周波数帯域の送信基準信号を生成する。なお、逓倍信号は、送信信号生成部2と送信RF部7とそれぞれ、異なる倍数に逓倍した信号でもよいし、同一の倍数に逓倍した信号でもよい。送信RF部7の各部は、生成された送信基準信号に基づいて動作する。
周波数変換部8は、送信信号生成部2により生成された送信信号r(k,M)をアップコンバートすることによって、キャリア周波数帯域(高周波)のレーダ送信信号を生成する。周波数変換部8は、生成されたレーダ送信信号を増幅器9に出力する。
増幅器9、周波数変換部8により出力されたレーダ送信信号の信号レベルを所定の信号レベルに増幅することによって、送信アンテナAnt−Txに出力する。増幅されたレーダ送信信号は、送信アンテナAnt−Txを介した空間に放射される。
送信アンテナAnt−Txは、送信RF部7により出力されたレーダ送信信号を空間に放射することによって送信する。レーダ送信信号は、送信周期Trのうち送信区間Twの間に送信され、非送信区間(Tr−Tw)の間には送信されない(図3参照)。
なお、送信RF部7及び受信RF部10には、基準信号発振器Loにより生成されたリファレンス信号が所定倍に逓倍された信号が共通に供給される。送信RF部7及び受信RF部10は同期して動作する。
なお、上述した符号生成部3、変調部4及びLPF5を、送信信号生成部2に設けず、送信信号生成部2により生成された送信符号anを予め記憶する送信符号記憶部CMを設けても良い(図4参照)。送信符号記憶部CMは、送信信号生成部2により相補符号が生成される場合、相補符号のペア、例えば送信周期毎に交互にペアとなる符号Pn,Qnを記憶する。
なお、図4に示す送信符号記憶部CMは、本実施形態に限らず、後述の各実施形態にも同様に適用できる。図4に示す送信信号生成部2rは、送信符号記憶部CM及びD/A変換部6を含む。
(レーダ受信部の各部の構成)
次に、レーダ受信部Rxの各部の構成について、図2を参照して詳細に説明する。
次に、レーダ受信部Rxの各部の構成について、図2を参照して詳細に説明する。
図2に示すレーダ受信部Rxは、受信アンテナAnt−Rxが接続された受信RF部10と、信号処理部11とを有する。受信RF部10は、増幅器12と、周波数変換部13と、直交検波部14とを有する。信号処理部11は、2個のA/D変換部15,16と、相関演算部17と、コヒーレント積分部18と、ドップラ周波数検出部19とを有する。信号処理部11は、各送信周期Trを信号処理区間として周期的に動作する。
ドップラ周波数検出部19は、記憶部20と、加減算処理部21と、ドップラ位相回転記憶部22と、2NL(=Nf)個の乗算器23#NL,23#NL−1〜23#−NL+1と、2NL(=Nf)個のドップラコヒーレント加算バッファ24#NL,24#NL−1〜24#−NL+1と、ドップラ出力選択部25とを有する。乗算器とドップラコヒーレント加算バッファとは、異なる複数の周波数ビンqに対応するドップラ周波数fsの範囲に応じて設けられている(q=−NL+1〜NL−1,NL)。
(レーダ受信部の各部の動作)
次に、レーダ受信部Rxの各部の動作について詳細に説明する。
次に、レーダ受信部Rxの各部の動作について詳細に説明する。
受信アンテナAnt−Rxは、レーダ送信部Txから送信されたレーダ送信信号がターゲット(不図示)により反射された反射波信号を受信する。受信アンテナAnt−Rxにて受信された受信信号は、受信RF部10に入力される。
受信RF部10は、送信RF部7と同様に、基準信号発振器Loにより生成されたリファレンス信号に基づいて、リファレンス信号を所定倍に逓倍したキャリア周波数帯域の受信基準信号を生成する。受信RF部10の各部は、生成された受信基準信号に基づいて動作する。
増幅器12は、受信アンテナAnt−Rxにて受信された高周波の受信信号の信号レベルを増幅して周波数変換部13に出力する。
周波数変換部13は、増幅器12から出力された受信信号と受信基準信号とを用いて、高周波の受信信号をダウンコンバートする。周波数変換部13は、ベースバンドの受信信号を生成して直交検波部14に出力する。
直交検波部14は、周波数変換部13から出力された受信信号を直交検波することで、同相信号(In-phase signal)及び直交信号(Quadrate signal)を用いて構成されるベースバンドの受信信号を生成する。直交検波部14は、生成された受信信号のうち、同相信号をA/D変換部15に出力し、直交信号をA/D変換部16に出力する。
A/D変換部15は、直交検波部14から出力されたベースバンドの同相信号を離散時刻k毎にサンプリングし、アナログデータの同相信号をデジタルデータに変換する。A/D変換部15は、変換されたデジタルデータの同相信号成分を相関演算部17に出力する。
A/D変換部15は、ベースバンドの同相信号を、送信信号生成部2が生成する送信信号r(k,M)の1つのパルス幅(パルス時間)Tp(=Tw/L)あたりNs[個]の割合によってサンプリングする。即ち、A/D変換部15のサンプリングレートは、Ns×L/Tw=Ns/Tpとなり、1パルス当たりのオーバーサンプル数はNs[個]である。
なお、A/D変換部15のサンプリングタイミングは、送信信号生成部2と同期して動作するために、送信信号生成部2と同様に、基準信号発振器Loにおいて生成されたリファレンス信号に基づいて、リファレンス信号を所定倍に逓倍した受信基準クロック信号を基に生成される。
A/D変換部16は、直交検波部14から出力されたベースバンドの直交信号に対して、A/D変換部15と同様に動作し、変換されたデジタルデータの直交信号成分を、相関演算部17に出力する。また、A/D変換部16のサンプリングレートはNs/Tpとなり、1パルスあたりのオーバーサンプル数はNsである。
以下、A/D変換部15,16により変換された第M番目の送信周期Trの離散時刻kにおける受信信号を、受信信号の同相信号成分Ir(k,M)及び直交信号成分Qr(k,M)を用いて、数式(8)の複素信号x(k,M)として表す。
図5の第1段は、レーダ送信信号の送信タイミングを表す。図5の第1段では、離散時刻kは、各送信周期Trが開始するタイミングを基準(k=1)とし、信号処理部11は、送信周期Trが終了する前までのサンプル点であるk=Ns(Nr+Nu)/Noまで周期的に動作する。
即ち、信号処理部11は、離散時刻k=1〜Ns(Nr+Nu)/Noにおいて周期的に動作する(図5の第2段参照)。図5の第2段は、遅延時間τ1の受信信号の受信タイミングを示す図である。図5の第3段は、遅延時間τ2の受信信号の受信タイミングを示す図である。離散時刻k=Nr×(Ns/No)は、各送信周期Trにおける送信区間Twの終了直前のサンプル点を示す。以下、A/D変換部15,16から出力されたデジタルの受信信号x(k,M)を離散サンプル値x(k,M)とも言う。
相関演算部17は、A/D変換部15,16から出力された各離散サンプル値Ir(k,M),Qr(k,M)、即ち、受信信号としての離散サンプル値x(k,M)を入力する。相関演算部17は、リファレンス信号を所定倍に逓倍した受信基準クロック信号に基づいて、離散時刻k毎に、図5の第1段に示す各送信周期Trにおいて送信される符号長Lの送信符号anを周期的に生成する。
相関演算部17は、入力された離散サンプル値x(k,M)と、送信符号anとのスライディング相関値AC(k,M)を演算する。AC(k,M)は、離散時刻kにおけるスライディング相関値を表す。
具体的には、相関演算部17は、図5の第2段に示す各送信周期Tr、即ち、各離散時刻k=1〜Ns(Nr+Nu)/Noに対して、数式(9)に従ってスライディング相関値AC(k,M)を演算する。相関演算部17は、数式(9)に従って演算された離散時刻k毎のスライディング相関値AC(k,M)をコヒーレント積分部18に出力する。数式(9)において、*(アスタリスク)は、複素共役演算子である。
図5の第2段では、レーダ送信信号の送信開始時から遅延時間τ1の経過後に反射波信号が受信された場合の測定期間の範囲が示されている。図5の第3段では、レーダ送信信号の送信開始時から遅延時間τ2の経過後に反射波信号が受信される場合の測定期間の範囲が示されている。遅延時間τ1及びτ2は、それぞれ数式(10)及び(11)により示される。
相関演算部17は、本実施形態を含む各実施形態において、離散時刻k=1〜Ns(Nr+Nu)/Noにおいて演算する。なお、相関演算部17は、レーダ装置1の測定対象となるターゲットの存在範囲に応じて、測定距離の範囲、即ち離散時刻kの範囲を限定しても良い。これにより、レーダ装置1は、相関演算部17の演算量を更に低減できる。即ち、レーダ装置1は、信号処理部11における演算量を削減することで、レーダ受信部Rxにおける消費電力量を更に低減できる。
なお、レーダ装置1は、相関演算部17が離散時刻k=Ns(L+1)〜Ns(Nr+Nu)/No−NsLの範囲におけるスライディング相関値AC(k,M)を演算する場合には、レーダ送信信号の送信区間Twにおける反射波信号の測定を省略しても良い。
レーダ装置1は、レーダ送信信号が、反射波信号としてではなく、レーダ受信部Rxに直接的に回り込んだとしても、回り込みによる影響を排除して測定できる。また、測定レンジ(離散時刻kの範囲)を限定する場合、コヒーレント積分部18及びドップラ周波数検出部19も同様の限定された測定レンジにおいて動作するため、各部の処理量を削減でき、レーダ受信部Rxにおける消費電力を低減できる。
コヒーレント積分部18は、複数回(Np回)の送信周期Trの期間(Np×Tr)において、離散時刻k毎に算出された相関値AC(k,Np(m−1)+g)を基に、数式(12)に従って、積分数Np回、コヒーレント積分する。
Npはコヒーレント積分部18におけるコヒーレント積分の積分回数を示す。mは、1以上の整数であり、Np回分の送信周期Trを単位とした送信周期(Np×Tr)の序数を示す。gは1〜Npの1以上の整数であり、コヒーレント積分部18におけるコヒーレント積分回数の範囲を示す。
即ち、コヒーレント積分部18は、g=1に相当する第{Np(m−1)+1}番目の送信周期Trにおける相関値AC(k,Np(m−1)+1)からg=Npに相当する第(Np×m)番目の送信周期Trにおける相関値AC(k,Np×m)を単位に、離散時刻kのタイミングを揃えて各相関値を加算する。コヒーレント積分部18は、積分数Np回のコヒーレント積分結果CI(k,m)をドップラ周波数検出部19に出力する。
レーダ装置1は、コヒーレント積分部18におけるコヒーレント積分により、Np回にわたるコヒーレント積分区間(時間範囲)のうち、ターゲットからの反射波の受信信号が高い相関値を有する範囲において受信SNRを改善でき、反射波の到来方向の推定精度を向上できる。更に、レーダ装置1は、ターゲットまでの距離の推定精度を向上できる。
なお、本実施形態では、ドップラ周波数検出部19の前段にコヒーレント積分部18を設けることで、高いコヒーレント積分利得を得ているが、高い周波数分解能を得るためにコヒーレント積分部18を設けなくても良く、Np=0となる。
ドップラ周波数検出部19は、Np×Nc回の送信周期Trの期間(Tr×Np×Nc)において、離散時刻k毎に得られたコヒーレント積分部18のNc個の出力(CI(k,Nc(w−1)+1)〜CI(k,Nc×w))を用いて、記憶部20、加減算処理部21、ドップラ位相回転記憶部22及び乗算器23#NL,23#NL−1〜23#−NL+1により、離散時刻kのタイミングを揃えてNf個の異なるドップラ周波数成分fsに応じたドップラ位相変動(数式(13)参照)を補正する。ドップラ周波数検出部19は、ドップラ位相変動を補正した後に、ドップラコヒーレント加算バッファ24#NL,24#NL−1〜24#−NL+1により、Nc回、加算処理することにより、積分数Nc回、コヒーレント積分する。
wは、1以上の整数であり、Np×Nc回分の送信周期Trを単位とした送信周期(Np×Nc×Tr)の序数を示す。w=1であれば、1回目のTrからNp×Nc回目のTrまでの送信周期Trとなる(Np×Nc×Tr)。つまり、ドップラ周波数検出部19は、送信周期TrがNp×Nc回繰り返す度に、離散時刻kのタイミングを揃えてNf個の異なるドップラ周波数成分fsに応じた位相変動(数式(13)参照)を補正した後に、積分数Nc回、コヒーレント積分する。
次に、ドップラ周波数検出部19の各部の動作を詳細に説明する。
記憶部20は、Ncが偶数である場合、逐次的に入力されるコヒーレント積分部18のNc個のコヒーレント積分出力CI(k,Nc(w−1)+1)〜CI(k,Nc×w)のうち、前半のNc/2個のコヒーレント積分出力CI(k,Nc(w−1)+1)〜CI(k,Nc(w−1)+Nc/2)を一時的に格納する。
記憶部20は、Ncが奇数である場合、逐次的に入力されるコヒーレント積分部18のNc個のコヒーレント積分出力CI(k,Nc(w−1)+1)〜CI(k,Nc×w)のうち、前半の(Nc−1)/2個のコヒーレント積分出力CI(k,Nc(w−1)+1)〜CI(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2)を一時的に格納する。
加減算処理部21は、Ncが偶数である場合、記憶部20に格納された前半のNc/2個のコヒーレント積分出力CI(k,Nc(w−1)+1)〜CI(k,Nc(w−1)+Nc/2)を、記憶部20への格納順序と逆順に読み出す。
加減算処理部21は、逐次的に入力されるNc個のコヒーレント積分出力のうち後半の第1番目(Nc/2+1個目)のコヒーレント積分出力CI(k,Nc(w−1)+Nc/2+1)が入力された後、前半のコヒーレント積分出力CI(k,Nc(w−1)+Nc/2)〜CI(k,Nc(w−1)+1)と後半のコヒーレント積分出力CI(k,Nc(w−1)+Nc/2+1)〜CI(k,Nc×w)とを用いて、数式(14)に示す加算処理、及び数式(15)に示す減算処理に必要なコヒーレント積分出力の各データが揃った順に、数式(14)に示す加算処理、及び数式(15)に示す減算処理を行う。
なお、数式(15)に示す減算処理は、コヒーレント積分出力に対して、90度の位相回転を付与した後に行う減算処理である。
即ち、加減算処理部21は、数式(14)に示す加算処理、及び数式(15)に示す減算処理の演算結果を、演算処理が終了した演算処理結果から逐次的に、加算処理、減算処理の順、又は減算処理、加算処理の順に、各乗算器23#NL,23#NL−1〜23#−NL+1に出力する。
例えば、数式(14)及び(15)において、s=Nc/2から降順に処理すると、加減算処理部21は、
加算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2),
減算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc),
加算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2−1),
減算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)
〜
加算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+1),
減算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2+1)
の順に加算処理又は減算処理が終了した演算処理結果を、逐次的に各乗算器23#NL,23#NL−1〜23#−NL+1の全てに出力する。
加算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2),
減算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc),
加算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2−1),
減算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)
〜
加算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+1),
減算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2+1)
の順に加算処理又は減算処理が終了した演算処理結果を、逐次的に各乗算器23#NL,23#NL−1〜23#−NL+1の全てに出力する。
ここで、数式(14)及び(15)において、sは1≦s≦Nc/2を満たす整数である。また、jは虚数単位であってj=exp[jπ/2]である。なお、虚数単位jの乗算処理は、90度の位相回転を付与する処理となるため、CI(k,Nc(w−1)+s)の実数成分を虚数成分に変換し、CI(k,Nc(w−1)+s)の虚数成分の符号を反転して実数成分に変換することによって減算処理を簡易に実現できる。
加減算処理部21における数式(14)に示す加算処理のうち第1番目の加算処理(s=Nc/2)は、前半のNc/2個の最後(s=Nc/2)のコヒーレント積分出力と、後半のNc/2個の第1番目(Nc−s+1=Nc−Nc/2+1=Nc/2+1)のコヒーレント積分出力との加算処理となる。
一方、加減算処理部21における数式(15)に示す減算処理のうち第1番目の減算処理は、前半のNc/2個の最後(s=Nc/2)のコヒーレント積分出力に−90度の位相回転が付与されたコヒーレント積分出力と、後半のNc/2個の第1番目(Nc−s+1=Nc−Nc/2+1=Nc/2+1)のコヒーレント積分出力に90度の位相回転が付与されたコヒーレント積分との減算処理となる。つまり、数式(15)の第1項は−jが乗算され、数式(15)の第2項はjが乗算される。
加減算処理部21は、Ncが奇数である場合、記憶部20に格納された前半の(Nc−1)/2個のコヒーレント積分出力CI(k,Nc(w−1)+1)〜CI(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2)を、記憶部20への格納順序と逆順に読み出す。
加減算処理部21は、逐次的に入力されるNc個のコヒーレント積分出力のうち後半の第1番目(Nc−1)/2+1個目)のコヒーレント積分出力CI(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2+1)が入力された後、前半のコヒーレント積分出力CI(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2)〜CI(k,Nc(w−1)+1)と後半のコヒーレント積分出力CI(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2+1)〜CI(k,Nc×w)とを用いて、数式(16)に示す加算処理、及び数式(17)に示す減算処理に必要なコヒーレント積分出力の各データが揃った順に、数式(16)に示す加算処理、及び数式(17)に示す減算処理を行う。
なお、数式(17)に示す減算処理は、コヒーレント積分出力に対して、90度の位相回転を付与した後に行う減算処理である。
即ち、加減算処理部21は、数式(16)に示す加算処理、及び数式(17)に示す減算処理の演算結果を、演算処理が終了した演算結果から逐次的に、加算処理、減算処理の順、又は減算処理、加算処理の順に、各乗算器23#NL,23#NL−1〜23#−NL+1に一様に出力する。
例えば、数式(16)及び(17)において、s=(Nc−1)+1/2から降順に処理すると、加減算処理部21は、
加算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2+1),
加算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2),
減算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc),
加算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2−1),
減算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)
〜
加算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+1),
減算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc+1)/2+1)
の順に加算処理又は減算処理が終了した演算処理結果を、逐次的に各乗算器23#NL,23#NL−1〜23#−NL+1の全てに出力する。
加算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2+1),
加算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2),
減算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc),
加算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2−1),
減算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)
〜
加算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+1),
減算処理:CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc+1)/2+1)
の順に加算処理又は減算処理が終了した演算処理結果を、逐次的に各乗算器23#NL,23#NL−1〜23#−NL+1の全てに出力する。
数式(16)及び(17)において、sは1≦s≦(Nc−1)/2を満たす整数であるが、数式(16)の第2式ではs=(Nc−1)/2+1である。また、jは虚数単位であってj=exp[jπ/2]と示される。
加減算処理部21における数式(16)に示す加算処理のうち第1番目の加算処理(s=(Nc−1)/2+1)は、Ncが奇数であるため、後半の(Nc−1)/2+1個の第1番目((Nc−1)/2+1)のコヒーレント積分出力を2回加算したコヒーレント積分出力となる。
更に、加減算処理部21における数式(16)に示す加算処理のうち第2番目の加算処理(s=(Nc−1)/2)は、Ncが奇数であるため、前半の(Nc−1)/2個の最後(s=(Nc−1)/2)のコヒーレント積分出力と、後半の((Nc−1)/2+1)個の第2番目(Nc−s+1=Nc−((Nc−1)/2)+1=(Nc−1)/2+2)のコヒーレント積分出力との加算処理となる。
一方、加減算処理部21における数式(17)に示す減算処理のうち第1番目の減算処理は、Ncが奇数であるため、前半の(Nc−1)/2個の最後(s=(Nc−1)/2)のコヒーレント積分出力に−90度の位相回転が付与されたコヒーレント積分出力と、後半の((Nc−1)/2+1)個の第2番目(Nc−s+1=Nc−((Nc−1)/2))+1=(Nc−1)/2+2)のコヒーレント積分出力に90度の位相回転が付与されたコヒーレント積分との減算処理となる。
ドップラ位相回転記憶部22は、Ncが偶数では、Nf個の異なるドップラ周波数成分fsに応じたドップラ位相変動を補正するための補正係数としてのドップラ位相回転因子E(q)を予め格納している。ドップラ位相回転因子E(q)は、Nc×Nf個の実数値の要素を含む(数式(18)参照)。qは周波数ビン数の序数を示し、q=NL,NL−1,NL−2,…,−NL+1である。qの絶対値が大きくなるほど、高いドップラ周波数成分に相当する周波数ビンとなる。Δθは、周波数分解能(位相回転単位)を示す。
ここで、逐次的に出力されるNc個のコヒーレント積分出力の中心時刻(t0=(Nc−1)Tr/2)を位相基準とした場合に、従来のドップラ位相回転因子D(q)が、中心時刻を中心とした位相共役対称性を有する性質に着目し、ドップラ位相回転因子E(q)は、数式(19)に示す変換処理を施し、実数化したものである。
Uは数式(19)により示される行列であり、IPは、P次の単位行列(数式(20)参照)であり、IIPはP次単位行列が行方向において転置された行列である(数式(21)参照)。Dは数式(22)により示されるベクトルである。ここでは、Ncは偶数である。また、Hは行列の転置を示す。従って、ドップラ位相回転因子E(q)は、数式(23)に示すように、実数成分によって示される。
また、Ncが奇数の場合も同様に、逐次的に出力されるNc個のコヒーレント積分出力の中心時刻(t0=(Nc−1)Tr/2)を位相基準とした場合に、従来のドップラ位相回転因子D(q)が、中心時刻を中心とした位相共役対称性を有する性質に着目し、ドップラ位相回転因子E(q)は、数式(19)に示す変換処理を用いて実数化したものである。
なお、Ncが奇数の場合は、数式(19)に示す変換処理において、数式(18)の代わりに数式(24)に示す従来のドップラ位相回転因子D(q)を用い、さらに数式(19)の代わりに数式(25)を用いる。ドップラ位相回転記憶部22は、実数化したドップラ位相回転因子E(q)を予め格納している(数式(26)参照)。
補正係数乗算部としての各乗算器23#NL,23#NL−1〜23#−NL+1は、異なるNf(=2NL)個のドップラ周波数成分fsに応じて設けられる。各乗算器23#NL,23#NL−1〜23#−NL+1は、ドップラ位相回転記憶部22から読み出したドップラ周波数成分fsの序数qに応じたドップラ位相回転因子E(s,q)と、加減算処理部21から逐次的に出力される各演算結果の序数sがドップラ位相回転因子E(s,q)のパラメータs,qと一致する演算処理結果とを乗算処理する。
ここで、qは周波数ビン数の序数を示し、q=NL,NL−1,NL−2,…,−NL+1である。sは、1≦s≦Ncの整数である。
各乗算器#NL,23#NL−1〜23#−NL+1は、各乗算器に対応するドップラコヒーレント加算バッファ24#NL,24#NL−1〜24#−NL+1に乗算処理結果を出力する。
具体的には、乗算器23#qは、Ncが偶数である場合、
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2)E(Nc/2,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc)E(Nc,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2−1)E(Nc/2−1,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)E(Nc−1,q)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+s)E(s,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+s+Nc/2)E(s+Nc/2,q)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+1)E(1,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2+1)E(Nc/2+1,q)
の各乗算処理結果を、順次、ドップラコヒーレント加算バッファ24#qに出力する。ここで、q=NL,NL−1,NL−2,…,−NL+1である。
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2)E(Nc/2,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc)E(Nc,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2−1)E(Nc/2−1,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)E(Nc−1,q)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+s)E(s,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+s+Nc/2)E(s+Nc/2,q)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+1)E(1,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2+1)E(Nc/2+1,q)
の各乗算処理結果を、順次、ドップラコヒーレント加算バッファ24#qに出力する。ここで、q=NL,NL−1,NL−2,…,−NL+1である。
より具体的には、例えば、乗算器23#NLは、Ncが偶数である場合(q=NL)、
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2)E(Nc/2,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc)E(Nc,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2−1)E(Nc/2−1,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)E(Nc−1,NL)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+s)E(s,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+s+Nc/2)E(s+Nc/2,NL)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+1)E(1,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2+1)E(Nc/2+1,NL)
の各乗算処理結果をドップラコヒーレント加算バッファ24#NLに出力する。
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2)E(Nc/2,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc)E(Nc,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2−1)E(Nc/2−1,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)E(Nc−1,NL)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+s)E(s,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+s+Nc/2)E(s+Nc/2,NL)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+1)E(1,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2+1)E(Nc/2+1,NL)
の各乗算処理結果をドップラコヒーレント加算バッファ24#NLに出力する。
また、例えば乗算器23#NL−1は、Ncが偶数である場合(q=NL−1)、
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2)E(Nc/2,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc)E(Nc,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2−1)E(Nc/2−1,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)E(Nc−1,NL−1)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+s)E(s,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+s+Nc/2)E(s+Nc/2,NL−1)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+1)E(1,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2+1)E(Nc/2+1,NL−1)
の各乗算処理結果をドップラコヒーレント加算バッファ24#NL−1に出力する。
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2)E(Nc/2,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc)E(Nc,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2−1)E(Nc/2−1,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)E(Nc−1,NL−1)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+s)E(s,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+s+Nc/2)E(s+Nc/2,NL−1)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+1)E(1,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2+1)E(Nc/2+1,NL−1)
の各乗算処理結果をドップラコヒーレント加算バッファ24#NL−1に出力する。
同様に、例えば乗算器23#−NL+1は、Ncが偶数である場合(q=−NL+1)、
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2)E(Nc/2,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc)E(Nc,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2−1)E(Nc/2−1,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)E(Nc−1,−NL+1)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+s)E(s,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+s+Nc/2)E(s+Nc/2,−NL+1)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+1)E(1,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2+1)E(Nc/2+1,−NL+1)
の各乗算処理結果をドップラコヒーレント加算バッファ24#−NL+1に出力する。
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2)E(Nc/2,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc)E(Nc,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2−1)E(Nc/2−1,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)E(Nc−1,−NL+1)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+s)E(s,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+s+Nc/2)E(s+Nc/2,−NL+1)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+1)E(1,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc/2+1)E(Nc/2+1,−NL+1)
の各乗算処理結果をドップラコヒーレント加算バッファ24#−NL+1に出力する。
また、乗算器23#qは、Ncが奇数である場合、
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2+1)E((Nc−1)/2+1,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2)E((Nc−1)/2,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc)E(Nc,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2−1)E((Nc−1)/2−1,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)E(Nc−1,q)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+s)E(s,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+s+(Nc−1)/2)E(s+(Nc−1)/2,q)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+1)E(1,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc+1)/2+2)E((Nc+1)/2+2,q)
の各乗算処理結果をドップラコヒーレント加算バッファ24#qに出力する。ここで、q=NL,NL−1,NL−2,…,−NL+1である。
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2+1)E((Nc−1)/2+1,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2)E((Nc−1)/2,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc)E(Nc,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2−1)E((Nc−1)/2−1,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)E(Nc−1,q)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+s)E(s,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+s+(Nc−1)/2)E(s+(Nc−1)/2,q)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+1)E(1,q),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc+1)/2+2)E((Nc+1)/2+2,q)
の各乗算処理結果をドップラコヒーレント加算バッファ24#qに出力する。ここで、q=NL,NL−1,NL−2,…,−NL+1である。
例えば、乗算器23#NLは、Ncが奇数である場合(q=NL)、
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2+1)E((Nc−1)/2+1,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2)E((Nc−1)/2,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc)E(Nc,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2−1)E((Nc−1)/2−1,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)E(Nc−1,NL)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+s)E(s,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+s+(Nc−1)/2)E(s+(Nc−1)/2,NL)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+1)E(1,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc+1)/2+2)E((Nc+1)/2+2,NL)
の各乗算処理結果をドップラコヒーレント加算バッファ24#NLに出力する。
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2+1)E((Nc−1)/2+1,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2)E((Nc−1)/2,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc)E(Nc,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2−1)E((Nc−1)/2−1,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)E(Nc−1,NL)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+s)E(s,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+s+(Nc−1)/2)E(s+(Nc−1)/2,NL)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+1)E(1,NL),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc+1)/2+2)E((Nc+1)/2+2,NL)
の各乗算処理結果をドップラコヒーレント加算バッファ24#NLに出力する。
また、例えば乗算器23#NL−1は、Ncが奇数である場合(q=NL−1)、
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2+1)E((Nc−1)/2+1,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2)E((Nc−1)/2,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc)E(Nc,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2−1)E((Nc−1)/2−1,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)E(Nc−1,NL−1)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+s)E(s,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+s+(Nc−1)/2)E(s+(Nc−1)/2,NL−1)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+1)E(1,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc+1)/2+2)E((Nc+1)/2+2,NL−1)
の各乗算処理結果をドップラコヒーレント加算バッファ24#NL−1に出力する。
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2+1)E((Nc−1)/2+1,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2)E((Nc−1)/2,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc)E(Nc,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2−1)E((Nc−1)/2−1,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)E(Nc−1,NL−1)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+s)E(s,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+s+(Nc−1)/2)E(s+(Nc−1)/2,NL−1)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+1)E(1,NL−1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc+1)/2+2)E((Nc+1)/2+2,NL−1)
の各乗算処理結果をドップラコヒーレント加算バッファ24#NL−1に出力する。
同様に、例えば乗算器23#−NL+1は、Ncが奇数である場合(q=−NL+1)、
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2+1)E((Nc−1)/2+1,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2)E((Nc−1)/2,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc)E(Nc,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2−1)E((Nc−1)/2−1,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)E(Nc−1,−NL+1)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+s)E(s,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+s+(Nc−1)/2)E(s+(Nc−1)/2,−NL+1)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+1)E(1,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc+1)/2+2)E((Nc+1)/2+2,−NL+1)
の各乗算処理結果をドップラコヒーレント加算バッファ24#−NL+1に出力する。
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2+1)E((Nc−1)/2+1,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2)E((Nc−1)/2,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc)E(Nc,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc−1)/2−1)E((Nc−1)/2−1,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+Nc−1)E(Nc−1,−NL+1)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+s)E(s,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+s+(Nc−1)/2)E(s+(Nc−1)/2,−NL+1)
〜
CI_sum(k,Nc(w−1)+1)E(1,−NL+1),
CI_sum(k,Nc(w−1)+(Nc+1)/2+2)E((Nc+1)/2+2,−NL+1)
の各乗算処理結果をドップラコヒーレント加算バッファ24#−NL+1に出力する。
バッファ部としての各ドップラコヒーレント加算バッファ24#NL,24#NL−1〜24#−NL+1は、対応する乗算器23#NL,23#NL−1〜23#−NL+1から出力された乗算処理結果(Nc(w−1)番目からNcw番目までのコヒーレント積分出力)を逐次的に加算処理する(数式(27)参照)。各ドップラコヒーレント加算バッファ24#NL,24#NL−1〜24#−NL+1は、加算処理結果DCB(k,q,w)をドップラ出力選択部25に出力する。
これにより、ドップラコヒーレント加算バッファ24#NL,24#NL−1〜24#−NL+1における加算処理結果は、Ncが偶数である場合、前半Nc/2個の加減算処理部21の演算処理結果とドップラ位相回転因子E(q)との乗算処理結果と、後半Nc/2個の加減算処理部21の演算処理結果とドップラ位相回転因子E(q)との乗算処理結果との加算処理となる。ドップラ位相回転因子E(q)が、従来複素成分であったのに対し、本実施形態では実数成分となるため、乗算回数を半減できる。
また、ドップラコヒーレント加算バッファ24#NL,24#NL−1〜24#−NL+1における加算処理結果は、Ncが奇数である場合、前半(Nc−1)/2個の加減算処理部21の演算処理結果とドップラ位相回転因子E(q)との乗算処理結果と、後半(Nc−1)/2+1個の加減算処理部21の演算処理結果とドップラ位相回転因子E(q)との乗算処理結果との加算処理となる。ドップラ位相回転因子E(q)が、従来複素成分であったのに対し、本実施形態では実数成分となるため、乗算回数を半減できる。
ドップラ出力選択部25は、q=−NL+1〜0〜NLに対応する各ドップラコヒーレント加算バッファ24#NL,24#NL−1〜24#−NL+1からの出力の絶対値或いは電力値から、所定レベルを超えるピーク値を与えるドップラコヒーレント加算バッファを選択する。ドップラ出力選択部25は、選択された周波数ビン番号qに対応するドップラ周波数fselect(k,w)を特定し、ターゲットの相対移動速度vd(k,w)を推定する(数式(28)参照)。λは、レーダ送信信号におけるキャリア周波数の波長である。
以上により、レーダ装置1は、コヒーレント積分部18からのNc個の出力のうち、加減算処理部21においてNc個の半分の前半の最後の値と後半の最初の値とをデータが揃った順に加算処理及び減算処理し、次に、前半の最後から1つ前の値と後半の2番目の値とをデータが揃った順に、以降同様にして加算処理及び減算処理する。
レーダ装置1は、コヒーレント積分回数sが一致する加算処理及び減算処理の各演算結果とドップラ周波数成分毎に設けられたドップラ位相回転因子とを乗算処理する。
レーダ装置1は、ドップラ周波数成分毎の各乗算処理結果を、対応するドップラコヒーレント加算バッファにおいて逐次的に加算処理することで、コヒーレント積分として得られる出力が、所定レベルを超える場合のピーク周波数をドップラ周波数と特定し、ターゲットの相対移動速度を推定する。ドップラ位相回転因子は、従来複素成分であったのに対し、本実施の形態では実数成分となるため、乗算回数を半減できる。
これにより、レーダ装置1は、簡易な構成を用いて、ターゲットにより反射された反射波信号のコヒーレント積分利得を向上できる。
更に、従来のFFTを用いたコヒーレント積分ではNc個の出力データが揃う必要があったが、レーダ装置1は、コヒーレント積分部18の出力データがNc/2個揃った時点からドップラ周波数検出部19においてコヒーレント積分が開始可能となるため、ドップラ周波数検出部19におけるコヒーレント積分の処理遅延を低減できる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態のレーダ装置1aの構成及び動作について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、第2の実施形態のレーダ装置1aの内部構成を簡略に示すブロック図である。図7は、第2の実施形態のレーダ装置1aの内部構成を詳細に示すブロック図である。本実施形態では、第1の実施形態のレーダ装置1と構成及び動作において同一の内容の説明は省略し、異なる内容について説明する。
次に、第2の実施形態のレーダ装置1aの構成及び動作について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、第2の実施形態のレーダ装置1aの内部構成を簡略に示すブロック図である。図7は、第2の実施形態のレーダ装置1aの内部構成を詳細に示すブロック図である。本実施形態では、第1の実施形態のレーダ装置1と構成及び動作において同一の内容の説明は省略し、異なる内容について説明する。
図6又は図7に示すレーダ装置1aは、1個のレーダ送信部Txと、複数(例えば2個)のレーダ受信部Rx1,Rx2と、到来方向推定部26とを含む。受信アンテナAnt−Rx2は、レーダ受信部Rx2に対応して設けられている。各レーダ受信部Rx1,Rx2の内部構成は第1の実施形態のレーダ受信部Rxの内部構成と同様であるため、説明は省略する。
各レーダ受信部Rx1,Rx2において、ドップラ出力選択部25は、q=−NL+1〜0〜NLに対応する各ドップラコヒーレント加算バッファ24#NL,24#NL−1〜24#−NL+1からの出力の絶対値或いは電力値から、所定レベルを超えるピーク値を与えるドップラコヒーレント加算バッファを選択する。ドップラ出力選択部25は、選択された周波数ビン番号qに対応するドップラ周波数fselect(k,w)を特定し、ターゲットの相対移動速度vd(k,w)を推定する(数式(28)参照)。ドップラ出力選択部25は、選択された周波数ビン番号q_peakと、周波数ビン番号q_peakに対応するドップラ検出値DCBN_ANT(k,q_peak,w)(数式(29)参照)とを、到来方向推定部26に出力する。N_ANTは、レーダ受信部Rx1,Rx2の序数を示し、例えばレーダ装置1aが2個のレーダ受信部を含む場合には1又は2となる。
到来方向推定部26は、各レーダ受信部Rx1,Rx2のドップラ出力選択部25からの出力と、受信アンテナ間の位相差情報であるアンテナ相関ベクトルA(k,q_peak,w)(数式(30))とを用いて、ターゲットの到来方向を推定する。k=1〜Ns(Nr+Nu)/Noである。
なお、到来方向推定部26によるターゲットからの反射波信号の到来方向の推定演算は、既に公知の技術であり、例えば下述参考非特許文献1において開示されているアレーアンテナを用いた推定方法を用いて実現可能である。
(参考非特許文献1)JAMES A. Cadzow、「Direction of Arrival Estimation Using Signal Subspace Modeling」、 Aerospace and Electronic Systems, IEEE、Vol.28、pp.64−79(1992)
以上により、レーダ装置1aは、第1の実施形態のレーダ装置1の効果に加え、各レーダ受信部Rx1,Rx2の処理量を低減でき、ターゲットにより反射された反射波信号の到来方向の推定精度を向上できる。
以上、図面を参照し、各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
本開示は、簡易な構成を用いて、ターゲットにより反射された反射波信号のコヒーレント積分利得を向上するレーダ装置として有用である。
1,1a レーダ装置
2 送信信号生成部
3 符号生成部
4 変調部
5 LPF
6 D/A変換部
7 送信RF部
8、13 周波数変換部
9、12 増幅器
10 受信RF部
11 信号処理部
14 直交検波部
15,16 A/D変換部
17 相関演算部
18 コヒーレント積分部
19 ドップラ周波数検出部
20 記憶部
21 加減算処理部
22 ドップラ位相回転記憶部
23#NL、23#NL−1、23#NL−2、23#−NL+1 乗算器
24#NL、24#NL−1、24#NL−2、24#−NL+1 ドップラコヒーレント加算バッファ
25 ドップラ出力選択部
26 到来方向推定部
Rx,Rx1,Rx2 レーダ受信部
Tx レーダ送信部
2 送信信号生成部
3 符号生成部
4 変調部
5 LPF
6 D/A変換部
7 送信RF部
8、13 周波数変換部
9、12 増幅器
10 受信RF部
11 信号処理部
14 直交検波部
15,16 A/D変換部
17 相関演算部
18 コヒーレント積分部
19 ドップラ周波数検出部
20 記憶部
21 加減算処理部
22 ドップラ位相回転記憶部
23#NL、23#NL−1、23#NL−2、23#−NL+1 乗算器
24#NL、24#NL−1、24#NL−2、24#−NL+1 ドップラコヒーレント加算バッファ
25 ドップラ出力選択部
26 到来方向推定部
Rx,Rx1,Rx2 レーダ受信部
Tx レーダ送信部
Claims (9)
- 送信信号を高周波のレーダ送信信号に変換し、前記レーダ送信信号を送信アンテナから送信するレーダ送信部と、
受信アンテナを用いて、ターゲットにより反射された前記レーダ送信信号である反射波信号を受信する少なくとも1個のレーダ受信部と、を含み、
前記レーダ受信部は、
受信信号と前記送信信号との相関値を、前記レーダ送信信号の送信周期毎に演算する相関演算部と、
演算された前記相関値を、異なる複数のドップラ周波数に応じたドップラ位相回転の補正量を用いてコヒーレント積分するドップラ周波数検出部と、
を有するレーダ装置。 - 請求項1に記載のレーダ装置であって、
前記レーダ受信部は、
演算されたNp(Np:1以上の整数)個の前記相関値を単位として、前記Np個の相関値をNc(Nc:1以上の整数)回コヒーレント積分するコヒーレント積分部と、
を更に有し、
前記ドップラ周波数検出部は、前記コヒーレント積分部の出力を、異なる複数のドップラ周波数に応じたドップラ位相回転の補正量を用いて加算処理する、
レーダ装置。 - 請求項1に記載のレーダ装置であって、
前記ドップラ周波数検出部は、
Nc(Nc:1以上の整数)回の前記相関値出力のうちの前半回数を格納する記憶部と、
前記Nc回の前記相関値出力のうち後半回数と前記記憶部において格納された前記Nc回の前記相関値出力のうちの前半回数とを用いて、加算処理及び減算処理を行う加減算処理部と、
前記異なる複数のドップラ周波数毎に、ドップラ位相回転の補正係数を格納するドップラ位相回転記憶部と、
前記異なる複数のドップラ周波数毎に格納された前記補正係数と、前記Nc回の前記加減算処理部の出力とを乗算する補正係数乗算部と、
前記Nc回の前記補正係数乗算部の出力を加算するバッファ部と、を
有するレーダ装置。 - 請求項2に記載のレーダ装置であって、
前記ドップラ周波数検出部は、
前記Nc回のコヒーレント積分出力のうちの前半回数を格納する記憶部と、
前記Nc回のコヒーレント積分出力のうち後半回数と前記記憶部において格納された前記Nc回の前記相関値出力のうちの前半回数とを用いて、加算処理及び減算処理を行う加減算処理部と、
前記異なる複数のドップラ周波数毎に、ドップラ位相回転の補正係数を格納するドップラ位相回転記憶部と、
前記異なる複数のドップラ周波数毎に格納された前記補正係数と、前記Nc回の前記加減算処理部の出力とを乗算する補正係数乗算部と、
前記Nc回の前記補正係数乗算部の出力をコヒーレント積分するバッファ部と、を
有するレーダ装置。 - 請求項3又は4に記載のレーダ装置であって、
前記ドップラ位相回転記憶部に格納されている前記ドップラ位相回転の補正係数は実数である、
レーダ装置。 - 請求項2に記載のレーダ装置であって、
前記ドップラ周波数検出部は、
前記Nc回のコヒーレント積分出力のうち前半の1回目からNc/2回目までの各コヒーレント積分出力を格納する記憶部と、
前記Nc回のコヒーレント積分出力のうち後半の(Nc/2)+1回目からNc回目までの各コヒーレント積分出力と、前記記憶部への格納順序と逆順に格納された前記前半の最後のNc/2回目から1回目までの各コヒーレント積分出力とを基に、加算処理及び減算処理する加減算処理部と、
前記異なる複数のドップラ周波数毎に、ドップラ位相回転の補正係数を格納するドップラ位相回転記憶部と、
前記異なる複数のドップラ周波数毎に格納された前記補正係数と、前記Nc回の前記加減算処理部の出力とを乗算する補正係数乗算部と、
前記Nc回の前記補正係数乗算部の出力をコヒーレント積分するバッファ部と、
を有するレーダ装置。 - 請求項2に記載のレーダ装置であって、
前記ドップラ周波数検出部は、
前記Nc回のコヒーレント積分出力のうち前半の1回目から(Nc−1)/2回目までの各コヒーレント積分出力を格納する記憶部と、
前記Nc回のコヒーレント積分出力のうち後半の(((Nc−1)/2)+1)回目からNc回目までの各コヒーレント積分出力と、前記記憶部への格納順序と逆順に格納された前記前半の最後の(Nc−1)/2回目から1回目までの各コヒーレント積分出力とを基に、加算処理及び減算処理する加減算処理部と、
前記異なる複数のドップラ周波数毎に、ドップラ位相回転の補正係数を格納するドップラ位相回転記憶部と、
前記異なる複数のドップラ周波数毎に格納された前記補正係数と、前記Nc回の前記加減算処理部の出力とを乗算する補正係数乗算部と、
前記Nc回の前記補正係数乗算部の出力をコヒーレント積分するバッファ部と、
を有するレーダ装置。 - 請求項1又は2に記載のレーダ装置であって、
前記レーダ受信部は、
前記ドップラ周波数検出部によって検出されたドップラ周波数を基に、前記ターゲットの相対移動速度を導出するドップラ出力選択部と、
を更に有するレーダ装置。 - 請求項1又は2に記載のレーダ装置であって、
複数の前記レーダ受信部により選択された各ドップラ周波数に応じた前記バッファ部の出力と、前記複数の前記レーダ受信部の各受信アンテナ間の位相差情報であるアンテナ間相関ベクトルとを基に、前記ターゲットの到来方向を推定する到来方向推定部と、
を更に有するレーダ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018054494A (ja) * | 2016-09-29 | 2018-04-05 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 検知装置、検知方法および検知プログラム |
CN109413750A (zh) * | 2018-12-07 | 2019-03-01 | 京信通信***(中国)有限公司 | 一种频点确定方法及装置 |
WO2022185507A1 (ja) * | 2021-03-05 | 2022-09-09 | 三菱電機株式会社 | 信号処理器、信号処理方法及びレーダ装置 |
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-
2012
- 2012-10-17 JP JP2012230273A patent/JP2014081311A/ja active Pending
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